説明

フルオロベタインコポリマーおよびそれからの消火泡濃縮物

分子当たり1つのみのベタイン基を有するフルオロ界面活性剤と比べて、分子当たり複数のベタイン基を有するフルオロ界面活性剤が、消火組成物の他の成分との静電相互作用を受ける能力において優れており、それによって消火組成物の性能を改善することが本発明によって発見された。以前より知られているフルオロ界面活性剤は分子当たり1つのみのベタイン基を含んでいる。それに反して、本発明は、複数のベタイン基を含有するフルオロベタインコポリマーを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロベタインコポリマー、その製造、および消火泡濃縮物中で使用するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ベタイン基を組み込んでいるフルオロ界面活性剤は、消火組成物中の添加剤として用いるために知られている。例えば、米国特許第6,521,730号明細書には、式(N+−CH2−CO2-)によって表されるベタイン基を有するフルオロ界面活性剤が開示されている。ベタイン基は、こうしたフルオロ界面活性剤が消火組成物中の他の成分との静電相互作用を受けることを可能にし、従って性能を改善する。
【0003】
米国特許第6,518,345号明細書には、フルオロ界面活性剤、ポリエチレンイミンおよび多塩基酸を含有するベタインを含む消火組成物が開示されている。多塩基酸はポリエチレンイミンとの静電相互作用を受け、それによって組成物の耐炎性および耐燃料性を改善する目的のために必要である。明らかに、フルオロ界面活性剤のみでは、耐炎性および耐燃料性を改善するためにポリエチレンイミンとの静電相互作用を十分に受けることができないであろう。
【0004】
消火組成物の他の成分との静電相互作用を受ける高い能力を有し、それによって消火組成物の性能を改善するフルオロ界面活性剤を発見することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
分子当たり1つのみのベタイン基を有するフルオロ界面活性剤と比べて、分子当たり複数のベタイン基を有するフルオロ界面活性剤が、消火泡濃縮物の他の成分との静電相互作用を受ける能力において優れており、それによって消火泡濃縮物の性能を改善することが本発明において発見された。米国特許第6,521,730号明細書および米国特許第6,518,345号明細書で開示されたフルオロ界面活性剤などの以前から知られているフルオロ界面活性剤は分子当たり1つのみのベタイン基を含んでいる。それに反して、本発明は以下の式においてRBとして示された複数のベタイン基を含むフルオロベタインコポリマーを提供する。
【0006】
本発明のフルオロベタインコポリマーは以下の式によって表される単位を含む。
【0007】
【化1】

【0008】
式中、Rfは、場合により酸素によって中断される、少なくとも3個の炭素原子、好ましくは6個以下の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基を表し、各R1は独立してC1〜C20ヒドロカルビレン、好ましくはC1〜C5、より好ましくは直鎖、なおより好ましくはエチルから選択され、R8は、C1〜C20ヒドロカルビル、好ましくはC1〜C5、より好ましくは直鎖、なおより好ましくはエチルから選択され、R2は、水素、フッ素またはC1〜C4アルキルから選択され、好ましくは水素またはメチルであり、sは0または1、好ましくは1であり、Yはベンジルまたはカルボニル、好ましくはカルボニルであり、RBは、式(N+−Cn2n−CO2-)または(N+−Cn2n−SO3-)の少なくとも1個のベタイン基を組み込む構造を有する式Cabcf2(a-e)+b+1-2d(ここで、aは4〜25の整数であり、bは1〜4の整数であり、cは2〜15の整数であり、dは0〜3の整数であり、eは0〜4の整数であり、fは0〜4の整数であり、eとfの合計は1〜4であり、nは1〜5の整数から独立して選択される)を有する基であり、R3は水素またはC1〜C4ヒドロカルビルから選択され、好ましくは水素またはメチルであり、xは1〜10の整数であり、yは4〜200の整数であり、y:xの比は少なくとも1:1、好ましくは少なくとも1:35、より好ましくは少なくとも1:45、最も好ましくは少なくとも1:60である。
【0009】
本発明のフルオロベタインコポリマーは2つの工程で製造することができ、第1の工程は、式(1)および式(2)によってそれぞれ以下のとおり表される少なくとも1種のフッ素化アクリレートモノマーと少なくとも1種のアミノビニルモノマーとを含むモノマーを重合することである。
【0010】
【化2】

【0011】
式中、Rfは、場合により酸素によって中断される、少なくとも3個の炭素原子、好ましくは6個以下の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基を表し、各R1は独立してC1〜C20ヒドロカルビレン、好ましくはC1〜C5、より好ましくは直鎖、なおより好ましくはエチルから選択され、R8は、C1〜C20ヒドロカルビルまたは水素、好ましくはC1〜C5、より好ましくは直鎖、なおより好ましくは水素またはメチルから選択され、R2は、水素、フッ素またはC1〜C4アルキルから選択され、好ましくは水素またはメチルであり、sは0または1、好ましくは1であり、RNは、式Cabc2a+b+1-2d(ここで、aは3〜20、好ましくは3〜15の整数であり、bは1〜4の正の整数であり、cは0〜4の整数であり、dは0〜4の整数である)を有する少なくとも1個の第三級アミン基を組み込む基であり、Yはカルボニルまたはベンジル、好ましくはカルボニルであり、R3は水素またはC1〜C4ヒドロカルビルから選択され、好ましくは水素またはメチルである。
【0012】
フルオロベタインを製造する第2の工程は、第1の工程で得られたポリマーを、第1の工程で得られたポリマーに含まれる第三級アミンの少なくとも一部を転化させる化合物と反応させるベタイン転化である。ベタイン転化は、第1の工程で得られたポリマーを、式X−A−COOH(式中、Xはハロゲン、好ましくは塩素であり、AはC1〜C4アルキレン、好ましくはC1〜C2である)を有する脂肪族ハロカルボン酸などの少なくとも1種のベタイン前駆体と反応させることにより実行することが可能である。ベタイン前駆体の別の例は、式−X−A−SO3H(式中、Xはハロゲン、好ましくは塩素であり、AはC1〜C4アルキレン、好ましくはC1〜C2である)を有する脂肪族ハロスルホン酸である。脂肪族ハロカルボン酸および/または脂肪族ハロスルホン酸は、好ましくは有機塩またはアルカリ土類金属塩、より好ましくはそのアルカリ金属塩などの塩の形態において用いられる。本発明のために特に適するベタイン前駆体はクロロ酢酸ナトリウムである。またベタイン転化を、ラクトン、好ましくはβ−プロピオラクトンなどのβ−ラクトンによって実行してもよい。
【0013】
本発明によるフルオロベタインコポリマーは水溶液の表面張力を下げ、そして有用な起泡剤であり、従って、多目的消火泡濃縮物、特に、炭化水素がガソリン、油、ジーゼル油、燃料油、ヘプタン、ヘキサンまたはシクロヘキサンである火災などの炭化水素火災、または極性液体がアルコール(例えば、メタノール、エタノールおよびイソプロパノール)、ケトン(例えば、ジメチルケトンおよびメチルイソブチルケトン)、エステル(例えば、酢酸n−ブチル)およびエーテル(例えば、メチル−t−ブチルエーテル)である火災などの極性液体火災を抑制するように意図された消火泡濃縮物中の添加剤として有用である。フルオロベタインコポリマーは、紙、木材、布地、ゴムおよび特定のプラスチックなどの灰の燃え殻を残す燃焼材料によって勢いづけられた火災であるクラスA火災を抑制するよう意図された多目的消火泡濃縮物中の添加剤としても有用である。
【0014】
本発明の消火泡濃縮物は、好ましくはポリエチレンイミンを含む。本発明の消火泡濃縮物は、好ましくは炭化水素界面活性剤を含む。本発明の消火泡濃縮物は、好ましくは一塩基酸、多塩基酸またはそれらの混合物を含む。ベタインフルオロコポリマーのゆえに、消火泡濃縮物はあらゆる多塩基酸を除くことができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のフルオロベタインコポリマーは2つの工程で製造することができ、第1の工程は、式(1)および式(2)によってそれぞれ以下のとおり表される少なくとも1種のフッ素化アクリレートモノマーと少なくとも1種のアミノビニルモノマーとを含むモノマーを重合することである。
【0016】
【化3】

【0017】
式中、Rfは、場合により酸素によって中断される、少なくとも3個の炭素原子、好ましくは6個以下の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基を表し、各R1は独立してC1〜C20ヒドロカルビレン、好ましくはC1〜C5、より好ましくは直鎖、なおより好ましくはエチルから選択され、R8は、C1〜C20ヒドロカルビルまたは水素、好ましくはC1〜C5、より好ましくは直鎖、なおより好ましくは水素またはメチルから選択され、R2は、水素、フッ素またはC1〜C4アルキルから選択され、好ましくは水素またはメチルであり、sは0または1、好ましくは1であり、RNは、式Cabc2a+b+1-2d(ここで、aは3〜20、好ましくは3〜15の整数であり、bは1〜4の正の整数であり、cは0〜4の整数であり、dは0〜4の整数である)を有する少なくとも1種の第三級アミン基を組み込む基であり、Yはカルボニルまたはベンジル、好ましくはカルボニルであり、R3は水素またはC1〜C4ヒドロカルビルから選択され、好ましくは水素またはメチルである。全体を通して用いられる「ヒドロカルビル」という用語は、炭化水素から1個の水素原子を除去することにより形成された一価基を意味しようと意図されている。全体を通して用いられる「ヒドロカルビレン」という用語は、炭化水素から2個の水素を除去することにより形成された二価基を意味しようと意図されており、その自由原子価は二重結合に関係しない。
【0018】
式(1)(式中、s=0)の適するフッ素化アクリレートモノマーの例は、米国特許第4,174,851号明細書、米国特許第2,642,416号明細書、米国特許第3,384,627号明細書、米国特許第3,392,046号明細書、米国特許第3,282,905号明細書、米国特許第3,532,659号明細書、米国特許第3,102,103号明細書において開示されている。これらの特許のすべては適用法によって許される限りにおいて参照により本明細書に援用する。式(1)(式中、s=0)の適するフッ素化アクリレートモノマーの特定の例には、パーフルオロブチルエチルアクリレート、パーフルオロヘキシルエチルアクリレート、パーフルオロブチルエチルメタクリレートおよびパーフルオロヘキシルエチルメタクリレートが挙げられる。式(1)(式中、s=1)の適するフッ素化アクリレートモノマーの例は米国特許第5,439,998号明細書において開示されている。この特許は適用法によって許される限りにおいて参照により本明細書に援用する。式(1)(式中、s=1)の適するフッ素化アクリレートモノマーの特定の例には、2−[メチル[(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)スルホニル]アミノ]エチルアクリレート、2−[メチル[(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)スルホニル]アミノ]エチルアクリレート、2−[メチル[(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル)スルホニル]アミノ]エチルアクリレート、2−[メチル[(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)スルホニル]アミノ]エチルメタクリレート、[メチル[(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)スルホニル]アミノ]エチルメタクリレートおよび2−[メチル[(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル)スルホニル]アミノ]エチルメタクリレートが挙げられる。
【0019】
適するRN基を描いている式(2)の例には、
【0020】
【化4】

【0021】
が挙げられる。
【0022】
式(2)のアミノビニルモノマーの特定の例には、2−(ジメチルアミノ)−1−[(ジメチルアミノ)メチル]エチルアクリレート、3−(ジメチルアミノ)−2,2−ジメチルプロピルアクリレート、2−(4−モルホリニル)エチルアクリレート、2−(4−モルホリニル)エチルメタクリレート、2−(1−ピペリジニル)エチルメタクリレート、2−(1−ピペリジニル)エチルアクリレート、3−(ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、2−[ビス(1−メチルエチル)アミノ]エチルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、N−[3−(ジブチルアミノ)−1,1−ジメチルプロピル]−2−メチル−メタクリルアミド、N−[3−(ジエチルアミノ)−1,1−ジメチルプロピル]−2−メチル−メタクリルアミド、N−アクリロイル−N’−プロピルピペラジン、N−[1,1−ジメチル−3−(4−モルホリニル)プロピル]−アクリルアミド、N−[1,1−ジメチル−3−(1−ピペリジニル)プロピル]−アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルプロピル]−アクリルアミド、1−メチル−4−(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)−ピペラジン、N−[3−(4−モルホリニル)プロピル]−アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルプロピル]−2−メチル−メタクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルプロピル]−アクリルアミド、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−2−メチル−メタクリルアミド、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−メチル−メタクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−2−メチル−メタクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−アクリルアミド、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−アクリルアミド、4−エチル−N,N−ジメチルベンジルアミンおよびN−(p−ビニルベンジル)ジブチルアミンが挙げられる。
【0023】
第1の工程における重合は有機溶媒中で行われるラジカル重合であり、ラジカル開始剤および分子量を制御するための連鎖移動剤により可能にされる。ラジカル開始剤の例には、アゾビスイソブチロニトリルおよびアゾ−2−シアノバレリアン酸などのアゾ化合物、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシドおよびt−アミルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシドおよびジクミルペルオキシドなどのジアルキルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエートおよびジ−t−ブチルペルオキシフタレートなどのペルオキシエステル、ならびに過酸化ベンゾイルおよび過酸化ラウロイルなどのジアシルペルオキシドが挙げられる。連鎖移動剤の例には、メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、ステアリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、トリクロロメタン、ジエチルホスフェート、メタノールなど、およびそれらの混合物が挙げられる。適する有機溶媒の例には、2−メチルプロパン−2−オール、イソプロパノール、2−メトキシプロパン−2−オールなどのアルコール、アセトン、メチルイソブチルケトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン、ならびにn−メチル−2−ピロリドンなどのピロリドンなど、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0024】
式(1)のフッ素化アクリレートモノマーと式(2)のアミノビニルモノマーとを含むモノマーのラジカル重合は、モノマー、ラジカル開始剤および連鎖移動剤を有機溶媒に溶解させることにより行うことが可能である。溶液を加熱し、約40〜100℃、より好ましくは約55〜85℃に維持することが可能であり、放置して、少なくとも95%のポリマー収率を得るための時間にわたり不活性条件下で反応させることが可能である。ポリマー収率は、ガスクロマトグラフによって残留モノマーの量を測定することにより決定してもよい。
【0025】
反応溶媒中のモノマーの濃度は、好ましくは30重量%〜70重量%である。アミノビニルモノマー対フッ素化アクリレートモノマーの重量比は、好ましくは少なくとも1:1、より好ましくは少なくとも1:35、なおより好ましくは少なくとも1:45、最も好ましくは少なくとも1:60である。開始剤は、好ましくは全モノマーの0.1〜2モル%の量で添加される。連鎖移動剤は、望ましい目標分子量を有するポリマーを産出する量で添加することが可能であり、それは、グラムでモノマーの重量を合計し、その合計を用いられた連鎖移動剤の全モルで除し、その後、用いられた連鎖移動剤の分子量の重み付き平均をこの商に加算することにより決定することが可能である。消火用途に関する好ましい目標分子量は、40,000g・モル-1以下、より好ましくは20,000g・モル-1以下、最も好ましくは10,000g・モル-1以下である。
【0026】
本発明において、ラジカル重合は、「制御ラジカル重合」によっても行ってよい。それらの例には、原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization)(ATRP)、可逆的付加開裂連鎖移動重合(Reversible Addition Fragmentation Chain Transfer Polymerization)(RAFT)、ヨウ素移動重合(Iodine Transfer Polymerization)(ITP)、可逆的ヨウ素移動重合(Reversible Iodin Transfer Polymerization)(RITP)、キサンテートの交換によるマクロ分子設計(Macromolecular Design via the Interchange of Xanthates)(MADIX)およびニトロキシド媒介重合(Nitroxide Mediated Polymerization)(NMP)が挙げられる。これらのメカニズムの内、RAFTおよびITPは本発明において用いるために好ましい。
【0027】
RAFTメカニズムは、ラジカル開始剤としてジチオエステル基含有化合物を用い、適用法によって許される限りにおいて参照により本明細書に援用する米国特許第6,642,318号明細書に記載されている。ITPメカニズムはヨード含有連鎖移動剤を用い、両方を適用法によって許される限りにおいて参照により本明細書に援用する米国特許第4,158,678号明細書および米国特許第5,231,154号明細書に記載されている。
【0028】
第1の工程のラジカル重合後に得られたポリマーは式(3)によって以下の通り表される単位を含む。
【0029】
【化5】

【0030】
式中、Rfは、場合により酸素によって中断される、少なくとも3個の炭素原子、好ましくは6個以下の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基を表し、各R1は独立してC1〜C20ヒドロカルビレン、好ましくはC1〜C5、より好ましくは直鎖、なおより好ましくはエチルから選択され、R8は、C1〜C20ヒドロカルビルまたは水素、好ましくはC1〜C5、より好ましくは直鎖、なおより好ましくは水素またはメチルから選択され、R2は、水素、フッ素またはC1〜C4アルキルから選択され、好ましくは水素またはメチルであり、sは0または1、好ましくは1であり、RNは、式Cabc2a+b+1-2d(ここで、aは3〜20、好ましくは3〜15の整数であり、bは1〜4の正の整数であり、cは0〜4の整数であり、dは0〜4の整数である)を有する少なくとも1個の第三級アミン基を組み込む基であり、Yはカルボニルまたはベンジル、好ましくはカルボニルであり、R3は水素またはC1〜C4ヒドロカルビルから選択され、好ましくは水素またはメチルであり、xは1〜10の整数であり、yは4〜200の整数であり、y:xの比は少なくとも1:1、好ましくは少なくとも1:35、より好ましくは少なくとも1:45、最も好ましくは少なくとも1:60である。
【0031】
フルオロベタインコポリマーを製造する第2の工程は、RNとして特定された側基中の第三級アミンの少なくとも一部を転化させる化合物と式(3)のポリマーを反応させるベタイン転化である。ベタイン転化は、第三級アミン基と反応させてベタイン基を生成させるために当該技術分野で周知されている化合物によって実行することが可能である。
【0032】
ベタイン転化は、式X−A−COOH(式中、Xはハロゲン、好ましくは塩素であり、AはC1〜C4アルキレン、好ましくはC1〜C2である)を有する脂肪族ハロカルボン酸などの少なくとも1種のベタイン前駆体と第1の工程で得られたポリマー、すなわち式(3)を反応させることにより実行することが可能である。ベタイン前駆体の別の例は、式−X−A−SO3H(式中、Xはハロゲン、好ましくは塩素であり、AはC1〜C4アルキレン、好ましくはC1〜C2である)を有する脂肪族ハロスルホン酸である。脂肪族ハロカルボン酸および/または脂肪族ハロスルホン酸は、好ましくは有機塩またはアルカリ土類金属塩、より好ましくはそのアルカリ金属塩などの塩の形態において用いられる。全体を通して用いられる「アルキレン」という用語は、式Cn2nによって表される非環式炭素または飽和非環式炭素鎖を意味しようと意図されている。ベタイン前駆体の水溶液は、有機溶液に溶解された式(3)のポリマーと混合することが可能である。この有機溶液は、好都合には、ポリマーを中で製造した媒体であることが可能である。第三級アミンのすべてをベタインに著しく転化させるために好ましい時間にわたり、典型的には約1時間にわたり約40℃〜100℃、より好ましくは約60〜90℃に混合物を加熱することが可能である。その後、有機溶媒を蒸留によって除去することが可能である。
【0033】
ベタインの転化は、ラクトン、好ましくは、β−プロピオラクトンなどのβ−ラクトンによっても実行してよい。
【0034】
本発明のフルオロベタインコポリマーは、以下の通り式(4)によって表される単位を含む。
【0035】
【化6】

【0036】
式中、Rfは、場合により酸素によって中断される、少なくとも3個の炭素原子、好ましくは6個以下の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基を表し、各R1は独立してC1〜C20ヒドロカルビレン、好ましくはC1〜C5、より好ましくは直鎖、なおより好ましくはエチルから選択され、R8は、C1〜C20ヒドロカルビルまたは水素、好ましくはC1〜C5、より好ましくは直鎖、なおより好ましくは水素またはメチルから選択され、R2は、水素、フッ素またはC1〜C4アルキルから選択され、好ましくは水素またはメチルであり、sは0または1、好ましくは1であり、Yはベンジルまたはカルボニル、好ましくはカルボニルであり、RBは、式(N+−Cn2n−CO2-)または(N+−Cn2n−SO3-)の少なくとも1個のベタイン基を組み込む構造を有する式Cabcf2(a-e)+b+1-2d(ここで、aは4〜25の整数であり、bは1〜4の整数であり、cは2〜15の整数であり、dは0〜3の整数であり、eは0〜4の整数であり、fは0〜4の整数であり、eとfの合計は1〜4であり、nは1〜5の整数から独立して選択される)を有する基であり、R3は水素またはC1〜C4ヒドロカルビルから選択され、好ましくは水素またはメチルであり、xは1〜10の整数であり、yは4〜200の整数であり、y:xの比は少なくとも1:1、好ましくは少なくとも1:35、より好ましくは少なくとも1:45、最も好ましくは少なくとも1:60である。
【0037】
本発明によるフルオロベタインコポリマーは、水溶液の表面張力を下げ、有用な起泡剤であり、従って、多目的消火泡濃縮物、特に炭化水素がガソリン、油、ジーゼル油、燃料油、ヘプタン、ヘキサンまたはシクロヘキサンである火災などの炭化水素火災、極性液体がアルコール(例えば、メタノール、エタノールおよびイソプロパノール)、ケトン(例えば、ジメチルケトンおよびメチルイソブチルケトン)、エステル(例えば、酢酸n−ブチル)およびエーテル(例えば、メチル−t−ブチルエーテル)である火災などの極性液体火災を抑制するように意図された消火泡濃縮物中の添加剤として有用である。フルオロベタインコポリマーは、紙、木材、布地、ゴムおよび特定のプラスチックなどの灰の燃え殻を残す燃焼材料によって勢いづけられた火災であるクラスA火災を抑制するよう意図された多目的消火泡濃縮物または組成物中の添加剤としても有用である。
【0038】
消火泡濃縮物は、燃焼性液体火災、特に炭化水素および/または極性液体によって引き起こされた燃焼性液体火災を抑制するように意図された液体組成物である。典型的には、使用の時点で、泡濃縮物は、一般に3%(すなわち、水97重量部当たり泡濃縮物3重量部)または6%(すなわち、水94重量部当たり泡濃縮物6重量部)、しかし、また、より稀には1%(すなわち、水99重量部当たり泡濃縮物1重量部)の重量を基準とした濃度に水道水または海水中で希釈される。泡溶液は、泡濃縮物を水で希釈することにより得ることが可能である。この泡溶液は消化ホースノズルを通り抜けるが、このノズルでは、空気の導入により機械的攪拌が生じ、それにより燃焼性液体火災を抑制するために用いられる消火泡が発生する。
【0039】
本発明によるフルオロベタインコポリマーを泡濃縮物に組み込むと、フルオロベタインコポリマーは極性液体上での消火泡の安定性および従って、このタイプの災の上での消火泡の消火性能を改善する。泡濃縮物中のフルオロベタインコポリマー含有率は、一般に0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%の範囲であることが可能である。
【0040】
フルオロベタインコポリマーを中に組み込むことが可能である泡濃縮物は、泡濃縮物起泡基剤の出所に応じて2つのタイプがある。その発泡基剤が少なくとも1種の炭化水素系表面活性剤からなる合成泡濃縮物およびその発泡基剤が動物性蛋白質水解物からなる蛋白質泡濃縮物は区別される。これらの2つのタイプの泡濃縮物は、泡濃縮物の目的により、1種以上のフルオロ界面活性剤、1種以上の泡安定化共溶媒、揺変性およびアルコール反発性を有する多糖タイプの高分子量の親水性ポリマー、不凍剤、腐食防止剤、保存剤、pH安定剤または例えばマグネシウムイオンまたはカルシウムイオンなどのカチオンが二価である無機塩を含むことが可能である。
【0041】
式(4)のフルオロベタインコポリマーに加えて、本発明の消火泡濃縮物は、好ましくはポリエチレンイミンを含む。本明細書において用いられる「ポリエチレンイミン」という用語は、ポリエチレンイミンおよびその誘導体を含む。有用なポリエチレンイミンの例は、適用法によって許される限りにおいて参照により本明細書に援用する米国特許第6,518,345号明細書において開示されている。商品名によって識別される消火組成物中で有用なポリエチレンイミンの特定の例には、約750,000g・モル-1の平均分子量、約31.5〜34.5重量%の固体含有率を有するBASF AGから市販されているLUPASOL PS、約25,000g・モル-1の平均分子量、約56重量%の固体含有率を有するBASF AGから市販されているLUPASOL HFおよび約70,000g・モル-1の平均分子量、約50重量%の固体含有率を有する日本触媒から市販されているEPOMIN1050が挙げられる。本発明の消火泡濃縮物中のポリエチレンイミンの量は、一般には0.1〜15重量%、好ましくは0.2〜12重量%の範囲であることが可能である。
【0042】
米国特許第6,518,345号明細書のような既知の消火組成物において、多塩基酸化合物は、消火泡濃縮物として用いられるとき、耐炎性および耐燃料性を改善する目的でポリエチレンイミンとの静電相互作用を受けるために利用される。これらの既知の消火組成物とは異なり、本発明の消火泡濃縮物は、式(4)のフルオロベタインコポリマー中の多ベタイン基がポリエチレンイミンとの静電相互作用を受け、従って、消火泡濃縮物として用いられるときに耐炎性および耐燃料性を提供しつつあらゆる多塩基酸を完全に入れ替えることが可能であるので、多塩基酸化合物の使用を必要としない。
【0043】
式(4)のフルオロベタインコポリマーに加えて、本発明の消火泡濃縮物は、好ましくは、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤またはそれらの混合物であることが可能である少なくとも1種の炭化水素界面活性剤を含む。炭化水素界面活性剤の例には、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、第四化ココアミンエトキシレート、Triton X100(Union Carbideの商品名)およびジオクチルスルホコハク酸ナトリウムが挙げられる。本発明の消火泡濃縮物中の炭化水素界面活性剤の量は、一般には0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜15重量%の範囲であることが可能である。
【実施例】
【0044】
以下は下の実施例において用いられる材料を記載している。LUPASOL PS(BASF AGの商品名)は、750,000モル/gの平均分子量および約31.5〜34.5重量%の固体含有率を有するポリエチレンイミンである。EPOMIN1050(日本触媒の商品名)は、70,000モル/gの平均分子量および50重量%の固体含有率を有するポリエチレンイミンである。AMPHOTENSID B4F(Zschimmer&Schwarzの商品名)は、35重量%の固形物含有率を有する炭化水素界面活性剤である。用いられたフッ素化アクリレートモノマーは、2−[メチル[(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルスルホニル]アミノ]エチルアクリレートである。用いられた比較単量体フルオロ界面活性剤は、米国特許第3,721,706号明細書により製造され、過フッ素化アルキル鎖および1個のベタイン基を各々が有する分子を含む。
【0045】
消火時間は以下の手順により測定した。150mLのアセトンを内径115mmの円形金属容器に注いだ。更に、水道水で6重量%に希釈された消火泡濃縮物からなる水溶液を調製した。この溶液は起泡溶液であった。回転スターラーは、ロッドが回転しているとき、機械的効果をもたらしたパドルがその端に取り付けられていた金属ロッドおよびモータからなっていた。回転速度は0から2,800rpmまで調節可能であった。底に位置した入口オリフィスが装着された円筒容器の底にロッドを導入した。出口オリフィスは上部に位置した。計量ポンプは、入口オリフィスを経由して水溶液を円筒容器の底に移送する。回転パドルに接触すると泡を生じた。この泡が生成するにつれてこの泡を出口オリフィスを経由して排出した。泡が約40g/分に等しい定常泡流量で連続的に生成するようにポンプの流量およびロッドの回転速度を調節した。泡流量が安定化したとき、アセトンを点火した。アセトンが90秒にわたり燃焼した後、円周上に位置した単一点を経由して泡を金属容器に注いだ。アセトンが完全に消火したとき、消火時間を記録した。極性溶媒上で最良の性能を有する泡濃縮物は、消火時間が可能な限り短かった泡濃縮物であった。
【0046】
再着火時間を以下の手順により測定した。消火時間が120秒未満であった場合、このパラメータを評価することが可能である。この場合、炎シートが消火した後でさえ、泡をアセトン上に注いだ。ここで記載されたすべての場合、泡を120秒にわたり注いだ。泡を注ぎ止めてから60秒後、再着火容器(高さ20mmまでアセトンで充填された直径55mm、高さ40mmの金属容器)の内容物を点火した。再着火容器を上述した金属容器の中央に置き、前記容器中に存在する燃料の表面を泡で覆っておいた。炎が泡を初期に覆った表面の25%を消滅させ、金属容器の表面上に永続的に広がった終わりの時間を記録した。この時間が長ければ長いほど、炎の復活を妨げる泡の能力が良好である。
【0047】
実施例1
本発明のフルオロベタインコポリマーを以下の手順により製造した。二重ジャケット付き2.5L反応器に、ジメチルアミノエチルメタクリレート(183.8g、1.17モル)、フッ素化アクリレートモノマー(アセトン中の重量%純度81.8%、110.0g、0.167モル)、t−ブタノール(422.9g、5.71モル)およびn−ドデシルメルカプタン(19.9g、97.9ミリモル)を攪拌(200rpm)しつつ添加した。温度を70℃に上げた。反応器を25分にわたり窒素の流れでパージした。アゾビスイソブチロニトリル(1.42g、8.64ミリモル)を溶液に添加した。温度を窒素下で4時間にわたり維持した。アゾビスイソブチロニトリル(0.35g、2.13ミリモル)を溶液に添加し、温度を窒素下で3時間にわたり維持した。水(1303.4g)中のクロロ酢酸ナトリウム(141.6g、1.22モル)の溶液を1時間10分の過程にわたり滴下した。温度を70℃で1時間にわたり維持した。この混合物から、蒸留によって500gの溶媒を除去した。溶液の固形物含有率は、4.16重量%のNaClを含め26.3重量%であり、pHは4.1であった。フルオロベタインコポリマーの目標分子量は3,700g・モル-1であった。
【0048】
実施例2
本発明の消火泡濃縮物を以下の手順により製造した。水道水33g、LUPASOL PS18g、AMPHOTENSID B4F2.85g、実施例1の生産物9.1gを激しい攪拌下で室温で添加し、pHをジグリコール酸によって7.5に調節し、溶液を100gに至るまで水道水で調節した。フッ素144ppmを含有する溶液を得るために水道水中で6重量%にこの調節された溶液を希釈することにより起泡溶液を得た。上述した試験に供された得られた溶液は以下の特性を示した。1分27秒の消火時間および6分10秒の再着火時間。
【0049】
比較例A
比較の消火泡濃縮物を以下の手順により製造した。水道水33g、LUPASOL PS18g、AMPHOTENSID B4F2.85g、比較の単量体フルオロ界面活性剤(固体含有率27重量%)5.0gを激しい攪拌下で室温で添加し、pHをジグリコール酸によって7.5に調節し、溶液を100gに至るまで水道水で調節した。フッ素225ppmを含有する溶液を得るために水道水中で6重量%にこの溶液を希釈することにより起泡溶液を得た。上述した試験に供された得られた溶液は以下の特性を示した。4分より長い消火時間。
【0050】
実施例3
本発明の消火泡濃縮物を以下の手順により製造した。水道水33g、EPOMIN P−1050・12g、AMPHOTENSID B4F2.85g、実施例1の生産物9.1gを激しい攪拌下で室温で添加し、pHをジグリコール酸によって7.5に調節し、溶液を100gに至るまで水道水で調節した。フッ素144ppmを含有する溶液を得るために水道水中で6重量%にこの溶液を希釈することにより起泡溶液を得た。上述した試験に供された得られた溶液は以下の特性を示した。1分32秒の消火時間および5分48秒の再着火時間。
【0051】
比較例B
比較の消火泡濃縮物を以下の手順により製造した。水33g、EPOMINP−1050・12g、AMPHOTENSID B4F2.85g、比較の単量体フルオロ界面活性剤(固体含有率27重量%)1.96gを激しい攪拌下で室温で添加し、pHをジグリコール酸によって7.5に調節し、溶液を100gに至るまで水道水で調節した。フッ素144ppmを含有する溶液を得るために水道水中で6重量%にこの溶液を希釈することにより起泡溶液を得た。上述した試験に供された得られた溶液は以下の特性を示した。4分より長い消火時間。
【0052】
実施例4
本発明の消火泡濃縮物を以下の手順により製造した。水道水33g、EPOMIN P−1050・20g、AMPHOTENSID B4F2.85gおよび実施例1の生産物9.1gを激しい攪拌下で室温で添加し、pHをchloridric酸によって7.5に調節し、溶液を100gに至るまで水道水で調節した。フッ素144ppmを含有する溶液を得るために水道水中で6重量%にこの溶液を希釈することにより起泡溶液を得た。上述した試験に供された得られた溶液は以下の特性を示した。1分36秒の消火時間および7分2秒の再着火時間。
【0053】
上の実施例において、実施例Aは実施例2の比較実施例であり、実施例Bは3の比較例である。これらの実施例において、消火時間に及ぼす比較単量体フルオロ界面活性剤(比較例AおよびB)の作用に対するフルオロベタインコポリマー(実施例2および3)の作用を比較する評価を行った。フルオロベタインコポリマーおよび比較単量体フルオロ界面活性剤は、両方がベタイン基を有する点で似ていた。しかし、フルオロベタインコポリマーが分子当たり多ベタイン基を有する一方で、比較単量体フルオロ界面活性剤は、分子当たり単一のベタイン基しか有していなかった。従って、フルオロベタインコポリマーは、改善された消火性能をもたらした他の成分との静電相互作用を受けるより高い能力を有していた。フルオロベタインコポリマーが2分17秒の消火時間をもたらした実施例2において、この証拠を見ることができる。実施例Aの同様の条件下で、比較単量体フルオロ界面活性剤は4分より長い消火時間をもたらした。フルオロベタインコポリマーが1分32秒の消火時間をもたらした実施例3において、更なる証拠を見ることができる。実施例3Aの同様の条件下で、比較単量体フルオロ界面活性剤は4分より長い消火時間をもたらした。
【0054】
実施例3と実施例4の両方が本発明の消火泡濃縮物を代表し、両方が本発明のフルオロベタインコポリマーを用いるけれども、多塩基酸化合物を実施例4で用いた一方で、一塩基酸化合物を実施例3で用いた。実施例3および実施例4の似た消火時間および再着火時間により実証されたように、本発明のフルオロベタインコポリマーを用いるとき消火性能を付与するために多塩基酸を必要としなかった。それに反して、米国特許第6,518,345号明細書などの既知の消火組成物は、消火性能を改善する目的でポリエチレンイミンとの静電相互作用を受けるために多塩基酸を必要とする。式(4)のフルオロベタインコポリマー中の多ベタイン基がポリエチレンイミンとの静電相互作用を受け、従って、消火泡濃縮物として用いられるとき耐炎性および耐燃料性を提供しつつ、あらゆる多塩基酸を完全に入れ替えることが可能であるので、本発明は多塩基酸化合物の使用を必要としない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式
【化1】

(式中、Rfは、任意選択的に酸素によって中断される、少なくとも3個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基を表し、各R1は独立してC1〜C20ヒドロカルビレンから選択され、R8はC1〜C20ヒドロカルビルまたは水素から選択され、R2は、水素、フッ素またはC1〜C4から選択され、sは0または1であり、Yはベンジルまたはカルボニル、好ましくはカルボニルであり、RBは、式(N+−Cn2n−CO2-)または(N+−Cn2n−SO3-)の少なくとも1個のベタイン基を組み込む構造を有する式Cabcf2(a-e)+b+1-2d(ここで、aは4〜25の整数であり、bは1〜4の整数であり、cは2〜15の整数であり、dは0〜3の整数であり、eは0〜4の整数であり、fは0〜4の整数であり、eとfの合計は1〜4であり、nは1〜5の整数から独立して選択される)を有する基であり、R3は水素またはC1〜C4ヒドロカルビルから選択され、xは1〜10の整数であり、yは4〜200の整数であり、y:xの比は少なくとも1:1である)
によって表される単位を含むフルオロコポリマー。
【請求項2】
sが1である請求項1に記載のフルオロコポリマー。
【請求項3】
fが1〜6個の炭素原子を有し、各R1が独立してC1〜C5ヒドロカルビレンであり、R8がC1〜C5ヒドロカルビルまたは水素から選択され、R2が水素またはメチルから選択され、Yがカルボニルであり、R3が水素またはメチルから選択され、y:xの比が少なくとも1:35である請求項1〜2のいずれか1項に記載のフルオロポリマー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のフルオロコポリマーを製造する方法であって、
(A)式(1)および式(2)
【化2】

(式中、Rfは、任意選択的に酸素によって中断される、少なくとも3個の炭素を有する過フッ素化アルキル基を表し、各R1は独立してC1〜C20ヒドロカルビレン、好ましくはC1〜C5から選択され、R8はC1〜C20ヒドロカルビルから選択され、R2は、水素、フッ素またはC1〜C4アルキルから選択され、R8はC1〜C20ヒドロカルビルまたは水素から選択され、RNは、式Cabc2a+b+1-2d(ここで、aは3〜20の整数であり、bは1〜4の正の整数であり、cは0〜4の整数であり、dは0〜4の整数である)を有する少なくとも1個の第三級アミン基を組み込む基であり、Yはカルボニルまたはベンジルであり、R3は水素またはC1〜C4ヒドロカルビルから選択される)
によってそれぞれ表される少なくとも1種のフッ素化アクリレートモノマーと少なくとも1種のアミノビニルモノマーとを含むモノマーを重合する工程と、
(B)i)式X−A−COOH(式中、Xはハロゲンであり、AはC1〜C4アルキレンである)を有する脂肪族ハロカルボン酸、
ii)式X−A−SO3H(式中、Xはハロゲンであり、AはC1〜C4アルキレンである)を有する脂肪族ハロスルホン酸、または
iii)ラクトン
から選択される少なくとも1種のベタイン形成性化合物を、工程A)で得られたポリマーと反応させる工程と
を含む方法。
【請求項5】
sが1である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記脂肪族ハロカルボン酸または前記脂肪族ハロスルホン酸が、中性アルカリ土類金属塩の形態において使用される請求項4〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のフルオロコポリマーを含む消火泡濃縮物。
【請求項8】
ポリエチレンイミンを更に含む請求項7に記載の消火泡濃縮物。
【請求項9】
炭化水素界面活性剤を更に含む請求項7〜8のいずれか1項に記載の消火泡濃縮物。
【請求項10】
一塩基酸、多塩基酸またはそれらの混合物を更に含む請求項8〜9のいずれか1項に記載の消火泡濃縮物。
【請求項11】
消火泡濃縮物としての請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。

【公表番号】特表2010−522256(P2010−522256A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554544(P2009−554544)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/003477
【国際公開番号】WO2008/115457
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】