説明

フルパネルイージーオープン蓋を電気コーティングする方法

フルパネルイージーオープン蓋の表面を電気コーティングする方法が、開示される。この表面は、電着の前には実質的にコーティングされていない。本発明によって調製されるフルパネルイージーオープン蓋もまた、開示される。本発明の方法は、フルパネルイージーオープン蓋の実質的にコーティングされていない表面上に、電着可能コーティングを電着する工程を包含する。本発明の1つの実施形態において、この方法は、陽極電着によって達成される。本発明の1つの実施形態において、上記コーティングは、エポキシを含む。本発明の1つの実施形態において、上記コーティングは、エポキシ非含有である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、フルパネルイージーオープン蓋(full panel easy open end)を電気コーティングする方法であって、ここで、この蓋の表面は、電着の前には実質的にコーティングされていない方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景情報)
腐食を遅らせるかもしくは阻害するための、金属に対する種々の処理溶液および前処理溶液は、十分に確立されている。このことは、金属の食品缶詰の分野において、特に当てはまる。コーティングは、このような容器の内側に適用されて、内容物が容器の金属と接触することを防ぐ。金属と食品もしくは飲料との間の接触は、金属容器の腐食をもたらし得、この腐食は、次いで、この食品もしくは飲料を汚染し得る。
【0003】
食品缶詰の金属蓋は、代表的に、既に塗装されているかそして/またはワニス掛けされている金属シートから、蓋がスタンピングされる操作によって産生される。スタンピング手順の結果として、コーティングのひび割れもしくは破損が起こり得る。電着は、しばしば、これらのひびもしくは破損を「修復」するために使用され、電着可能コーティングが、裸の金属が曝されている比較的小さな領域の上に堆積される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明は、フルパネルイージーオープン蓋の実質的にコーティングされていない表面を電気コーティングする方法に関し、この方法は、この蓋の上に、電着可能コーティングを電着する工程を包含する。この方法にしたがって調製されたフルパネルイージーオープン蓋もまた、本発明の範囲内である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
(発明の詳細な説明)
本発明は、フルパネルイージーオープン蓋の実質的にコーティングされていない表面を電気コーティングする方法に関し、この方法は、この蓋の上に、電着可能コーティングを電着する工程を包含する。この蓋の表面は、本発明の方法にしたがって、実質的にコーティングされていない。
【0006】
フルパネルイージーオープン蓋は、缶の開缶の際に蓋の実質的に全て(すなわち、90%以上)が除去される蓋(end)もしくは蓋(lid)として当業者に理解される。開缶は、缶切りとは対照的に、プルタブの手段によって達成される。蓋の全周を実質的に取り巻く刻み目(score)は、代表的にプルタブの手段によって、開缶もしくは缶からの蓋の除去を容易にする。したがって、フルパネルイージーオープン蓋は、他の蓋(lid)もしくは蓋(end)(缶切りによってのみ除去され得る蓋、または蓋の小さな部分しか除去されないかさもなければ(例えば飲料缶の様式で)蓋の小さな部分しか開かない蓋)と区別される。フルパネルイージーオープン蓋のコーティングは、大きな刻み目領域およびフルパネルイージーオープン蓋に伴う他の複雑さゆえに、しばしば、他の缶の蓋(end)もしくは蓋(lid)よりも改善することが難しいことが、当業者によってさらに理解される。リベットもまた、代表的に、タブをその場所に維持するために必要とされる。刻み目と同様に、このリベットは、しばしば、この蓋の製造を、もっとずっと困難にし得る。
【0007】
本発明の方法に従い、フルパネルイージーオープン蓋は、電着の手段によってコーティングされる。この蓋の実質的にコーティングされていない表面が、本発明の方法によってコーティングされる。「実質的にコーティングされていない」および同様の用語は、表面の50%以上がコーティングされていないことを意味する。したがって、本発明は、当該分野で公知の電気コーティング「修復」(ここでは、電着の前には蓋の50%よりずっと少ない表面だけがコーティングされていない)とは異なる。このような蓋は、1つ以上の他の層で既に実質的にコーティングされている。さらに、上で記載した従来の蓋修復方法論では、蓋の非常に低い割合しか電気コーティングされない。したがって、本発明の方法は、従来技術と異なっている。例えば、事前コーティング(例えば、ある種の印刷)された、透明なオーバーコーティングを有する外側を有する蓋は、本発明の方法にしたがって処理され得、ここで、蓋の外側の任意のコーティングされていない部分および/または実質的にコーティングされていない蓋の内側が、電気コーティングされる。電着可能コーティングは、電気コーティング前にコーティングされている蓋のいかなる部分にも、このコーティングが導電性でない限り、堆積しないことが理解される。別の代替形態において、内部および/または外部において実質的にコーティングを有さない蓋が、本発明の方法にしたがって処理され得る。これらの代替形態は、限定的であるとは意図されない。
【0008】
蓋において、電着の間この蓋を適切に維持するために使用されるデバイスの結果として、「接触点(touch point)」が生じ得ることがさらに理解される。しかし、接触点の影響は、接触が除去されそして未硬化の電気コーティング塗装が接触点に流入する際(例えば、高温ベーキングの間)に起こる「リフローイング」によって、最小化される。さらに、接触点が生じる蓋の上の点は、しばしば、缶の製造の間にクリンプされ、空気もしくは缶の内容物に曝されない。
【0009】
任意の適切な電着可能コーティングが、本発明にしたがって使用され得る。陽極電着もしくは陰極電着のいずれも使用され得、陰極電着は、代表的により好適である。しかし、フルパネルイージーオープン蓋は、代表的に、食品缶詰と組み合わせて使用されているので、食品との直接の接触については米国食品医薬品局(「FDA」)に認可された成分を使用すること、および/または欧州既存商業化学物質(「EINECS」)を使用することが所望され得る。用語「食品缶詰」は、本明細書中で、任意の種類の食品もしくは飲料を維持するための、缶、コンテナもしくは任意の種類の金属容器をいう。例えば、コーティングは、導電性物質上に電着され得る、産業界で使用される任意の従来のエポキシ−アミンコーティングであり得る。
【0010】
樹脂の形成において有用であるポリマーの例としては、ヒドロキシル含有アクリルコポリマーもしくはカルボン酸含有アクリルコポリマー、ヒドロキシル含有ポリエステルポリマーもしくはカルボン酸含有ポリエステルポリマー、イソシアネート含有ポリウレタンポリマーもしくはヒドロキシル含有ポリウレタンポリマー、ならびにアミン含有ポリ尿素もしくはイソシアネート含有ポリ尿素が挙げられる。これらのポリマーは、さらに、米国特許第5,939,491号、第7欄、第7行〜第8欄、第2行に記載される;この特許ならびにこの特許の中で引用されている特許は、本明細書中で参考として援用される。特に適切なフィルム形成樹脂は、アクリル樹脂およびエポキシ−アクリル樹脂であり、例えば、PPG Industries,Inc.から市販されている樹脂または当該分野で報告されている他の樹脂である。これらの樹脂についての硬化剤もまた、’491特許の第6欄、第6行〜第62行に記載される;特に適した架橋剤、特にエポキシ−アクリル樹脂およびアクリル樹脂に適した架橋剤としては、メラミン、ベンゾグアナミンおよびフェノール架橋剤が挙げられる。「フェノール」は、1つ以上のフェノールモノマー(例えばフェノール、ビスフェノール A、t−ブチル−フェノール、ならびにホルムアルデヒドと反応した同様のもの)から作製されるポリマーをいうことが、理解される。
【0011】
本発明の特定の実施形態において、電着コーティングは、エポキシ非含有である。「エポキシ非含有」および同様の用語は、コーティングの全ての成分が、オキシラン環もしくはオキシラン環の残基;ビスフェノール A;ビスフェノールAジグリシジルエーテル(「BADGE」)またはBADGEの付加物を実質的に含まないことを意味する。他の実施形態において、本発明にしたがうコーティングは、エポキシ非含有かつ/またはポリビニル塩化物および/もしくは関連のハロゲン化物含有ビニルポリマー非含有であり得る。
【0012】
本発明の特定の実施形態において、コーティングはエポキシ非含有であり、アクリル樹脂(例えば、フェノールと架橋したアクリル)を含む。アクリルポリマーは、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル(例えばヒドロキシエチルメタクリレートもしくはヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート)であり得る;(メタ)アクリルのアルキルエステルもまた使用され得、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなど、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ホルムアルデヒドおよびブタノールと反応したアクリルアミド(「nBMA」)、ビニル芳香族化合物(例えばスチレンおよびビニルトルエン)、ニトリル(例えば(メタ)アクリロニトリル)、およびビニルエステル(例えば酢酸ビニル)である。当業者に公知の任意の他のアクリルモノマーもまた、使用され得る。用語「(メタ)アクリレート」および同様の用語は、従来的に、および本明細書中で、メタクリレートおよびアクリレートの両方を意味するように使用される。特定の実施形態において、アクリルの組み合わせが、使用され得る。
【0013】
本発明の特定の実施形態において、コーティングは、アクリル部分およびポリエステル部分の両方を含み得る。2つの部分は、例えば、ブレンディング(blending)によって、もしくはグラフティング(grafting)によって合わされ得る。適切なブレンドおよびグラフトは、米国出願公開第2004/0044117号A1に記載され、これは、本明細書によって参考として援用される。
【0014】
特定の実施形態において、本発明のコーティングは、水性(water−borne)すなわち水性(aqueous)コーティングである。水性コーティングは、一般に、溶媒ベースのコーティングよりも、環境的な理由により好ましい。用語「水性(aqueous)」は、本明細書中で使用される場合、このコーティングが、主に水であることを意味する。従来の溶媒(例えばアルコール)の少量、例えば(揮発物の総重量ベースで)20重量%もしくはそれ未満は、含まれてもよく、なお本発明の水性組成物の範囲内である。実際、少量の溶媒(例えば、アルコール、CELLOSOLVEなど)が入ることは、明らかに本発明の特定の実施形態の水性組成物の範囲内である。
【0015】
水性コーティング組成物を調製するために、樹脂の水溶性を改善することが、必要である場合があるかまたは所望される場合がある。例えば、米国出願公開第2004/0044117号A1(これは本明細書によって本明細書中で参照される)に記載されるアクリル樹脂および/またはポリエステル/アクリルコポリマーは、本発明における使用に好適であり、そして適切なアミン(例えばジメチルエチルアミン)による酸の中性化によって改善された水溶性を有し得る。酸が十分に中性化される場合、したがって、これは水にゆっくりと添加され得る。
【0016】
本発明にしたがって使用されるコーティングは、エポキシ非含有であろうとなかろうと、代表的に、硬化剤を含む。本発明の特定の実施形態において、硬化剤は、フェノールもしくはフェノールの混合物である。適切なフェノールは、CytecからPHENODURラインで市販されている。特定の実施形態において、架橋剤は、コーティングの総固体重量の30重量%以上(例えば、50重量%以上、例えば、60重量%以上)を構成する。
【0017】
本発明にしたがって使用されるコーティングはまた、色素を含み得る。任意の適切な色素が使用され得、これらとしては、TiO、ZnO、およびMgOが挙げられる。色素は、着色のために添加され得、また、高硫化物食品(例えば、肉)を含み得る食品缶詰のコーティングにおけるしみを隠すためおよびしみ耐性のために添加され得る。
【0018】
本発明にしたがって使用される組成物は、さらに、当該分野で標準的な1種以上の添加物(例えば、合体溶媒(coalescence solvent)、可塑剤、分散化剤、湿潤剤、光安定化剤、界面活性剤および触媒)をさらに含み得る。このような添加物は、使用される場合、コーティングの総固体重量ベースで0.001〜5重量%を構成する。
【0019】
当該分野で周知の方法のいずれかのような任意の適切な電気コーティング方法が、本発明にしたがって使用され得る。同様に、電着コーティングの硬化は、当該分野で公知の硬化パラメータを用い、そして使用した特定のコーティングに基づいて行われ得る。例えば、特定のフェノールを使用する場合、華氏400度で3分間の硬化が適切であり得る。硬化コーティングの乾燥フィルム厚は、例えば、7〜12mgs/inの範囲であり得る。
【0020】
フルパネルイージーオープン蓋は、導電性基板からなることが理解される。適切な基板としては、缶分野で公知の任意の基板(例えば、スズめっきした鋼、スズ非含有鋼、および鉄めっきした鋼)が挙げられる。
【0021】
本発明のフルパネルイージーオープン蓋は、任意の適切な種類の缶(例えば、食品缶詰)と組み合わせて使用され得る。適切な缶としては、ツーピース缶(two−piece can)およびスリーピース缶(three−piece can)が挙げられる。ツーピース缶は、引き抜き加工された(drawn)鉄の壁の缶をいうことが当業者によって理解され得る。スリーピース缶は、平らなシートでコーティングされて、組み立てられてそして溶接されたものをいうことが当業者によって理解され得る。
【0022】
本発明はさらに、フルパネルイージーオープン蓋を調製する方法に関し、この方法は、金属シートから蓋をスタンピングする工程、およびこの蓋の上に電着可能コーティングを電着する工程を包含する。この蓋の少なくとも1つの表面は、この電着工程の前には実質的にコーティングされていない。特定の実施形態において、この金属は、例えば、市販の潤滑剤を使用することによって、スタンピングの前に潤滑され得る。好適な潤滑剤は、PPG Industries,Inc.から入手可能である。代表的に、潤滑剤は、スタンピング後に金属から洗浄される。さらに、任意の従来の洗浄剤(例えば、PPG Industries,Inc.から市販されている酸性洗浄剤もしくはアルカリ性洗浄剤)が、この潤滑剤を除去するために使用され得る。潤滑剤は、「コーティング」を構成せず、潤滑剤および/または洗浄剤を適用されたがそれ以外は何も適用されていないフルパネルイージーオープン蓋は、なお「コーティングされていない」ことが、当業者によって理解される。特定の実施形態において、蓋の表面の一方もしくは両方の一定部分は、電着の前に適用された一定のコーティングを有し得る。例えば、電気コーティングの前に、この蓋の一方もしくは両方の側に、印刷もしくは他のデザインが適用され得る。印刷は、透明な保護コーティングでカバーされ得る。この蓋の少なくとも1つの表面は、電着の前に実質的にコーティングされていない。電着プロセス、コーティングなどは、上で記載したとおりである。
【0023】
本発明の任意の実施形態にしたがい、第1の電気コーティングの硬化の後、第2の電気コーティングを適用することが所望され得る。第2の電気コーティングは、第1のコーティングの硬化の間に作製されていた可能性のある何らかのブリスター点もしくは接触点の可能性を最小限にすることが望ましい。しかし、代表的に、フルパネルイージーオープン蓋上の1つの電着可能コーティングは、適切なエナメル評点(enamel rater)試験結果を生じる。例えば、本発明の方法は、25ミリアンプ未満(例えば10ミリアンプ未満もしくは5ミリアンプ未満ですらある)のエナメル評点読み取りを与える、蓋における一貫した結果を生じ得る。第2の電気コーティングが、本発明にしたがって使用され得るが、本発明の方法にしたがう電気コーティングの上面の上にさらなるコーティングは必要ないことが、本発明の特徴である。
【0024】
本発明の特定の実施形態にしたがい、蓋に対する修復の必要性は、排除されない場合は最小化される。何故なら、この部分は、コーティングの前にスタンピングされるからである。したがって、本発明は、従来の方法と比較して時間と材料の両方における有意な節約を示す。従来の方法においては、1つ、2つもしくは3つものコーティングが、金属シートに適用され、蓋がスタンピングされ、そしてこのコーティングの修復が必要とされる。
【0025】
本発明は、本明細書中で開示される本発明の方法のいずれかにしたがって調製されるフルパネルイージーオープン蓋にさらに関する。
【0026】
本明細書中で使用される場合、他にはっきりと特定されない限り、値、範囲、量もしくは百分率を表す全ての数は、語「約」が、この用語がはっきりと表されていない場合であっても、前に置かれるものとして読まれ得る。本明細書中で挙げられる任意の数の範囲は、その中に含まれる全ての下位範囲を含むことが意図される。複数形は、単数形を包含し、逆もまた然りである。例えば、特定の実施形態が、「1種の(an)」アクリル樹脂の点から記載されている場合があるが、この場合、1種以上のアクリル樹脂が使用され得る。また、本明細書中で使用される場合、用語「ポリマー」は、プレポリマー、オリゴマーならびにホモポリマーおよびコポリマーの両方をいうことが意味される。接頭語「ポリ」は、2以上を意味する。
【実施例】
【0027】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図されており、いかなる意味でも本発明を限定すると解釈されるべきではない。
【0028】
(実施例1)
本実施例は、ポリエステル−グラフト−アクリルコポリマーの調製を説明する。
【0029】
(第1部)
ポリエステル「A」の合成を、以下のように実施する:
【0030】
【表1】

チャージ#1を、モーター駆動ステンレス鋼撹拌ブレード、水冷コンデンサーに接続した充填カラム、および温度フィードバックコントロールデバイスを通して接続したサーモメーターを有する加熱マントルを備えた、丸底4つ首フラスコに加えた。反応混合物を、125℃まで加熱した。チャージ#2を、この混合物に加え、そして得られた混合物を加熱して、窒素雰囲気中で反応させた。130℃で、エステル化プロセスによって発生した水が集まり始めた。継続的に水を除去しながら、加熱を200℃まで続けた。水の蒸留が顕著に減速し始めるまで、反応温度を200℃に維持した。この反応混合物を、180℃まで冷まし、充填カラムをDean−Starkと置き換え、そして窒素スパージを開始した。チャージ#3を加え、そしてこの反応物を、195℃まで7時間にわたって加熱し、7時間目に、酸価は3.0mg KOH/g未満であった。樹脂を冷まし、チャージ#4で薄め、取り出し、そして分析した。
【0031】
決定された酸価は、2.1mg KOH/gであり、そしてヒドロキシ価(hydroxy value)は、20.9mg KOH/gであった。樹脂の不揮発性内容物の測定値は、110℃まで1時間にわたって加熱したサンプルの重量の減少として測定した場合、69.9%であった。GPCによるポリマーの分析(直鎖ポリスチレン標準を使用する)は、このポリマーが、10,115のM値、2,798のM値、そして3.6のM/M値を有することを示した。
【0032】
(第2部)
ポリエステル−グラフト−アクリルコポリマー「B」の合成を、以下のように実施する:
【0033】
【表2】

チャージ#1を、モーター駆動ステンレス鋼撹拌ブレード、水冷したコンデンサー、および温度フィードバックコントロールデバイスを通して接続したサーモメーターを有する加熱マントルを備えた、丸底4つ首フラスコに加えた。フラスコの内容物を、還流温度まで加熱した。チャージ#2およびチャージ#3の添加を同時に開始し、3時間にわたって続けた。添加が完了した後、反応物を、120℃で30分間維持した。次いで、チャージ#4をこの混合物に加え、そしてさらに60分後、チャージ#5を加えた。チャージ#5を添加した後、この混合物を、さらに60分間維持し、そしてチャージ#6を加えた。
【0034】
次いで、この反応産物を冷まし、取り出して、分析した。決定された酸価は、28.6mg KOH/gであった。樹脂の不揮発性内容物の測定値は、110℃まで1時間にわたって加熱したサンプルの重量の減少として測定した場合、59.70%であった。GPCによるポリマーの分析(直鎖ポリスチレン標準を使用する)は、このポリマーが、147,598のM値、4,937のM値、そして29.9のM/M値を有することを示した。
【0035】
(実施例2)
この実施例は、ポリエステル−グラフト−アクリルコポリマーの調製を説明する。
【0036】
ポリエステル−グラフト−アクリルコポリマー「C」の合成を、以下のように実施する:
【0037】
【表3】

チャージ#1を、モーター駆動ステンレス鋼撹拌ブレード、水冷コンデンサー、および温度フィードバックコントロールデバイスを通して接続したサーモメーターを有する加熱マントルを備えた、丸底4つ首フラスコに加えた。このフラスコの内容物を、還流温度まで加熱した。チャージ#2およびチャージ#3の添加を同時に開始し、3時間にわたって続けた。添加が完了した後、反応物を、120℃で30分間維持した。次いで、チャージ#4をこの混合物に加え、そしてさらに60分後、チャージ#5を加えた。チャージ#5を添加した後、この混合物を、さらに60分間維持し、そしてチャージ#6を加えた。
【0038】
次いで、この反応産物を冷まし、取り出して、分析した。決定された酸価は、28.6mg KOH/gであった。樹脂の不揮発性内容物の測定値は、110℃まで1時間にわたって加熱したサンプルの重量の減少として測定した場合、61.00%であった。GPCによるポリマーの分析(直鎖ポリスチレン標準を使用する)は、このポリマーが、38,794のM値、4,878のM値、そして8.0のM/M値を有することを示した。
【0039】
(実施例3)
この実施例は、アクリルポリマーの調製を説明する。
【0040】
アクリルポリマー「D」の合成を、以下のように行う:
【0041】
【表4】

チャージ#1を、モーター駆動ステンレス鋼撹拌ブレード、水冷コンデンサー、および温度フィードバックコントロールデバイスを通して接続したサーモメーターを有する加熱マントルを備えた、丸底4つ首フラスコに加えた。フラスコの内容物を、還流温度まで加熱した。チャージ#2およびチャージ#3の添加を同時に開始し、3時間にわたって続けた。添加が完了した後、チャージ#4の1/3をこの混合物に加え、そしてさらに60分後、チャージ#4のさらに1/3を加え、そしてさらに60分後、チャージ#4のさらに1/3を加えた。チャージ#4の最後の部分を加えた後、この混合物を、さらに120分間維持し、そして冷まして、リアクタから取り出した。
【0042】
(実施例4)
コーティング組成物を、実施例1(第2部)のポリエステル−グラフト−アクリルコポリマー「B」から調合した。
【0043】
撹拌を備えた適切な容器に、93.8gのポリエステル−グラフト−アクリルコポリマー「B」を加えた。次いで、このコーティングに、40.0gのGPRI 7590(Georgia−Pacific)フェノール樹脂溶液を加えた。完全に混合した時、6.8gのN,N’−ジエチルエタノールアミンを撹拌しながら加え、その後、1859.4gの脱イオン水を非常にゆっくりと加えた。
【0044】
得られたコーティングを、スズめっきした207.5イージーオープン蓋上に電着した。この電着を、245ボルト、ドウェル(dwell)3秒間、浴温華氏77度で行った。この蓋を、ガスオーブンで3分間華氏410度のオーブン温度でベーキングし、約8mg/inのフィルム重量を得た。得られた蓋を、Wilkens−Anderson WACO Digital Enamel Raterを用いて、フィルム強度について試験した(表5参照)。平均エナメル評点値が3ミリアンプ未満であり、1回の値で5を超える値が存在しないものを、標的とした。
【0045】
(実施例5)
実施例2のポリエステル−グラフト−アクリルコポリマー「C」から、コーティング組成物を調合した。
【0046】
撹拌を備えた適切な容器に、91.8gのポリエステル−グラフト−アクリルコポリマー「C」を加えた。これに、40.0gのGPRI 7590(Georgia−Pacific)フェノール樹脂溶液を加えた。完全に混合した時、9.5gのN,N’−ジエチルエタノールアミンを撹拌しながら加え、その後、1858.7gの脱イオン水を非常にゆっくりと加えた。
【0047】
得られたコーティングを、スズめっきした207.5イージーオープン蓋上に電着した。この電着を、245ボルト、ドウェル(dwell)3秒間、浴温華氏77度で行った。この蓋を、ガスオーブンで3分間華氏410度のオーブン温度でベーキングし、約8mg/inのフィルム重量を得た。得られた蓋を、Wilkens−Anderson WACO Digital Enamel Raterを用いて、フィルムの完全性(integrity)について試験した(表5参照)。平均エナメル評点値が3ミリアンプ未満であり、1回の値で5を超える値が存在しないものを、標的とした。
【0048】
(実施例6)
実施例3のアクリルポリマー「D」からコーティング組成物を調合した。
【0049】
撹拌を備えた適切な容器に、67.7gのアクリルポリマー「D」を加えた。これに、40.0gのMETHYLON 75108(Durez Corporation)フェノール樹脂を加えた。完全に混合した時、10.2gのN,N’−ジエチルエタノールアミンを撹拌しながら加え、その後、1882.1gの脱イオン水を非常にゆっくりと加えた。
【0050】
得られたコーティングを、スズめっきした300イージーオープン蓋上に電着した。この電着を、230ボルト、ドウェル(dwell)30秒間、浴温華氏85度で行った。この蓋を、ガスオーブンで3分間華氏410度のオーブン温度でベーキングし、約8mg/inのフィルム重量を得た。得られた蓋を、Wilkens−Anderson WACO Digital Enamel Raterを用いて、フィルムの完全性について試験した(表5参照)。平均エナメル評点値が3ミリアンプ未満であり、1回の値で5を超える値が存在しないものを、標的とした。
【0051】
【表5】

表5から見られるように、優秀なエナメル評点読み取りを、3種全てのコーティングから得た。
【0052】
本発明の特定の実施形態が、説明の目的で上に記載されているが、本発明の詳細の多くのバリエーションが、添付の特許請求の範囲に規定される本発明から逸脱することなく行われ得ることが、当業者には明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルパネルイージーオープン蓋の実質的にコーティングされていない表面を電気コーティングするための方法であって、該方法は、該蓋の上に電着可能コーティングを電着する工程を包含する、方法。
【請求項2】
前記方法は、陽極電着によって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コーティングは、エポキシを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティングは、エポキシ非含有である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記コーティングは、アクリルを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記アクリルは、ヒドロキシエチルメタクリレートを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記コーティングは、フェノール架橋剤をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記架橋剤は、総固体重量ベースで前記コーティングの少なくとも50重量%を構成する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記架橋剤は、総固体重量ベースで前記コーティングの少なくとも60重量%を構成する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記コーティングは、ポリエステルをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記アクリルおよびポリエステルは、グラフトコポリマーである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記コーティングは、水性である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コーティングは、水性である、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
フルパネルイージーオープン蓋を調製するための方法であって、該方法は、以下:
(a)金属シートから蓋をスタンピングする工程;および
(b)該蓋の上に電着可能コーティングを電着する工程;
を包含し、ここで、該蓋の表面は、工程(b)の前には実質的にコーティングされていない、方法。
【請求項15】
前記金属シートは、スタンピングの前に潤滑される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記スタンピングされた蓋は、電着の前に洗浄される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
表面の一部分は、電着の前に適用されたコーティングを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
請求項1にしたがって調製されたフルパネルイージーオープン蓋。
【請求項19】
請求項14にしたがって調製されたフルパネルイージーオープン蓋。

【公表番号】特表2009−515035(P2009−515035A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534631(P2008−534631)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/038697
【国際公開番号】WO2007/044359
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】