フレキシブルプリント配線板及びその製造方法
【課題】生産性に優れたフレキシブルプリント配線板を提供することである。
【解決手段】フレキシブルプリント配線板1は、接着層30を介して第1の回路基板20と第2の回路基板40とが積層され、第1及び第2の回路基板20,40の間に中空部31が形成されたフレキシブルプリント配線板1であって、接着層30において製品10となる領域の外に、中空部31に連通した副中空部32が形成され、前記第1又は第2の回路基板20,40の少なくとも一方に、開口部で前記副中空部に開口する貫通孔25,45が形成されており、貫通孔25,45は、通気性及び防水性を有する閉塞部材51,52によって閉塞されていることを特徴とする。
【解決手段】フレキシブルプリント配線板1は、接着層30を介して第1の回路基板20と第2の回路基板40とが積層され、第1及び第2の回路基板20,40の間に中空部31が形成されたフレキシブルプリント配線板1であって、接着層30において製品10となる領域の外に、中空部31に連通した副中空部32が形成され、前記第1又は第2の回路基板20,40の少なくとも一方に、開口部で前記副中空部に開口する貫通孔25,45が形成されており、貫通孔25,45は、通気性及び防水性を有する閉塞部材51,52によって閉塞されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空部が形成されたフレキシブルプリント配線板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製品となるフレキシブル配線板対応部に中空部が形成された多連フレキシブル配線板が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−142045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の多連フレキシブル配線板では、例えばリフロー等の加熱工程を実施する際に、中空部の膨張による製品の外観異常を防ぐため、中空部内の圧力を開放する貫通孔を形成する必要がある。
【0005】
一方、例えばメッキ処理等のウェット工程を実施する際には、中空部への液体の侵入を防ぐために、当該貫通孔を閉塞する必要がある。
【0006】
すなわち、この多連フレキシブル配線板では、加熱工程時には貫通孔を開口し、ウェット工程時には貫通孔を閉塞する作業が必要となり、生産性に劣るという問題があった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、生産性に優れたフレキシブルプリント配線板及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るフレキシブルプリント配線板は、接着層を介して第1の回路基板と第2の回路基板とが積層され、前記第1及び第2の回路基板の間に中空部が形成されたフレキシブルプリント配線板であって、前記接着層において製品となる領域の外に、前記中空部に連通した副中空部が形成され、前記第1又は第2の回路基板の少なくとも一方に、開口部で前記副中空部に開口する貫通孔が形成されており、前記貫通孔は、通気性及び防水性を有する閉塞部材によって閉塞されていることを特徴とする。
【0009】
上記発明において、前記閉塞部材は、前記開口部を閉塞するように、前記第1又は前記第2の回路基板の少なくとも一方に貼り付けられたフィルム状部材であってもよい。
【0010】
上記のフレキシブルプリント配線板の製造方法は、前記中空部となる第1の開口パターンを、前記接着層に形成する第1のパターン形成工程と、前記副中空部となる第2の開口パターンを、前記接着層に形成する第2のパターン形成工程と、前記第1又は第2の回路基板の少なくとも一方に、前記貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔を、前記閉塞部材によって閉塞する閉塞工程と、前記接着層を介して前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを積層する積層工程と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るフレキシブルプリント配線板は、接着層を介して第1の回路基板と第2の回路基板とが積層され、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板との間に中空部が形成されたフレキシブルプリント配線板であって、前記接着層に、前記中空部を外部に連通させる連通路が形成されており、前記連通路は、通気性及び防水性を有する閉塞部材によって閉塞されていることを特徴とする。
【0012】
上記のフレキシブルプリント配線板の製造方法は、前記中空部となる第1の開口パターンを、前記接着層に形成する第1のパターン形成工程と、前記連通路となる第2の開口パターンを、前記接着層に形成する第2のパターン形成工程と、前記第2の開口パターンの少なくとも一部に、前記閉塞部材を充填する充填工程と、前記接着層を介して前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを積層する積層工程と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
上記発明において、前記閉塞部材は、多孔質ポリテトラフルオロエチレンからなるものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通気性及び防水性を有する閉塞部材で貫通孔が閉塞されているので、フレキシブルプリント配線板の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の平面図である。
【図2】図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図4は、図2のIV部の拡大断面図である。
【図5】図5は、図4のV方向からみた第1の閉塞部材の平面図である。
【図6】図6は、本発明の第1実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の第1変形例を示す要部断面図である。
【図7】図7は、本発明の第1実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の第2変形例を示す要部断面図である。
【図8】図8は、本発明の第1実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の製造方法を示すフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の第1実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の製造方法を示す斜視図である。
【図10】図10は、本発明の第2実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の平面図である。
【図11】図11は、図10のXI−XI線に沿った断面図である。
【図12】図12は、図11のXII−XII線に沿った断面図である。
【図13】図13は、図10のXIII−XIII線に沿った拡大断面図である。
【図14】図14は、本発明の第2実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の製造方法を示すフローチャートである。
【図15】図15は、本発明の第2実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の製造方法を示す斜視図である。
【図16】図16は、本発明の実施例における高温真空試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
<<第1実施形態>>
図1は本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の平面図、図2は図1のII−II線に沿った断面図、図3は図2のIII−III線に沿った断面図、図4は図2のIV部の拡大断面図、図5は図4のV方向からみた第1の閉塞部材の平面図、図6及び図7は本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の変形例を示す要部断面図である。
【0018】
本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1は、図1に示すように、4つの製品部10(図中実線で区画し模様を付した部分)を含んでいる。この製品部10は、フレキシブルプリント配線板1からそれぞれ切断及び分離され、製品としてのフレキシブルプリント配線板となって、例えば携帯電話やゲーム機等のヒンジ部分に組み込まれる。この製品部10は、2つの製品矩形部11,12と、製品矩形部11,12を繋ぐ製品傾斜部13と、を有している。なお、図1において、破線で区画した部分は、後述する接着層30における中空部31及び副中空部32である。
【0019】
フレキシブルプリント配線板1は、図2に示すように、第1の回路基板20と、接着層30、第2の回路基板40と、第1の閉塞部材51と、第2の閉塞部材52と、を備えている。
【0020】
第1の回路基板20は、第1の絶縁性基板21と、第1の回路層22と、第2の回路層23と、第1のカバーレイフィルム24と、を有している。
【0021】
第1の絶縁性基板21は、可撓性を有しており、例えばポリイミド(polyimide)で構成されている。
【0022】
第1の回路層22は、図2に示すように、第1の絶縁性基板21の上面に積層されており、例えば所定の配線パターンに形成された銅で構成されている。
【0023】
第2の回路層23は、第1の絶縁性基板21の下面に積層されており、第1の回路層22と同様に、例えば所定の配線パターンに形成された銅で構成されている。
【0024】
第1のカバーレイフィルム24は、図2に示すように、第1の回路層22上に積層され、第1の回路層22を保護している。この第1のカバーレイフィルム24は、第1の絶縁性フィルム24aと、第1のカバーレイ接着層24bと、から構成されている。
【0025】
第1の絶縁性フィルム24aは、第1の回路基板20の最上層に位置している。この第1の絶縁性フィルム24aは、可撓性及び絶縁性を有しており、例えばポリイミド(polyimide)からなるフィルムで構成されている。
【0026】
第1のカバーレイ接着層24bは、第1の絶縁性フィルム24aと第1の回路層22を接着しており、例えばエポキシ系樹脂からなる接着剤で構成されている。
【0027】
この第1の回路基板20には、図2及び図4に示すように、副中空部32(後述)を介して中空部31(後述)を外部に連通させる第1の貫通孔25が形成されている。この第1の貫通孔25は、接着層30の副中空部32の下方において、第1の回路基板20を貫通し、第1の開口部24cで開口している。なお、この第1の開口部24cは、第1の絶縁性フィルム24aにおいて、接着層30の副中空部32(後述)と対応する部分に位置している。この第1の貫通孔25の断面形状は、円形(内径D1)となっているが、特に限定されず矩形であってもよい。
【0028】
接着層30は、図2に示すように、第1の回路基板20と第2の回路基板40との間に積層され、両者を接着している。この接着層30は、例えばエポキシ系樹脂からなる接着剤で構成されている。接着層30には、中空部31と、副中空部32と、が形成されている。
【0029】
中空部31は、図2及び図3に示すように、接着層30において、第1及び第2の回路基板20,40の間に形成された空洞であり、製品部10の一部と対応する領域に形成されている。なお、この中空部31は、製品部10(製品となるフレキブルプリント配線板)の屈曲性を向上させるために設けられたものである。
【0030】
中空部31は、図3に示すように、中空矩形部31a,31bと、中空傾斜部31cと、を有している。
【0031】
中空矩形部31a,31bは、製品部10の製品矩形部11,12において、その中央部分から製品傾斜部13側の半分と対応する領域に形成されている。この中空矩形部31a,31bの幅は、製品矩形部11,12の幅よりも相対的に大きくなっている。なお、図3において、破線で区画した部分が、製品部10である。
【0032】
中空傾斜部31cは、中空矩形部31a,31bを接続する部分であり、製品傾斜部13と対応する領域に形成されている。また、中空傾斜部31cの幅は、製品傾斜部13の幅よりも相対的に大きくなっている。
【0033】
副中空部32は、図3において模様を付した部分であり、中空矩形部31aと連通し、且つ製品となる領域の外(製品部10の領域外)に形成されている。なお、副中空部32を、中空矩形部31bや中空傾斜部31cと接続させてもよい。また、副中空部32は、図中において矩形となっているが、その形状は特に限定されない。
【0034】
第2の回路基板40は、図2に示すように、第2の絶縁性基板41と、第3の回路層42と、第4の回路層43と、第2のカバーレイフィルム44と、を有している。
【0035】
第2の絶縁性基板41は、可撓性を有しており、例えばポリイミド(polyimide)で構成されている。
【0036】
第3の回路層42は、図2に示すように、第2の絶縁性基板41の下面に積層されており、例えば所定の配線パターンに形成された銅で構成されている。
【0037】
第4の回路層43は、第2の絶縁性基板41の上面に積層されており、第3の回路層42と同様に、例えば所定の配線パターンに形成された銅で構成されている。
【0038】
第2のカバーレイフィルム44は、図2に示すように、第3の回路層42に積層され、第3の回路層42を保護している。この第2のカバーレイフィルム44は、第2の絶縁性フィルム44aと、第2のカバーレイ接着層44bと、から構成されている。
【0039】
第2の絶縁性フィルム44aは、第2の回路基板40の最下層に位置している。この第2の絶縁性フィルム44aは、可撓性及び絶縁性を有しており、例えばポリイミド(polyimide)からなるフィルムで構成されている。
【0040】
第2のカバーレイ接着層44bは、第2の絶縁性フィルム44aと第2の回路層42を接着しており、例えばエポキシ系樹脂からなる接着剤で構成されている。
【0041】
この第2の回路基板40には、図2及び図4に示すように、副中空部32を介して中空部31を外部に連通させる第2の貫通孔45が形成されている。この第2の貫通孔45は、接着層30の副中空部32の上方において、第2の回路基板40を貫通し、第2の開口部44cで開口している。なお、この第2の開口部44cは、第2の絶縁性フィルム44aにおいて、接着層30の副中空部32と対応する部分に位置している。また、本実施形態では、第2の貫通孔45の断面形状が円形(内径D1)となっているが、特に限定されず矩形であってもよい。
【0042】
第1の閉塞部材51は、図2及び図4に示すように、第1の開口部24cで第1の貫通孔25を閉塞している。この第1の閉塞部材51は、フィルム状となっており、第1の閉塞フィルム51aと、第1の閉塞接着層51bと、から構成されている。
【0043】
第1の閉塞フィルム51aは、通気性及び防水性を有している。なお、本実施形態において、「通気性」とは、空気を通すことに加えて、湿気も通す概念であり、「防水性」とは、液体の侵入を防ぐことに加えて、液体をはじく(撥水)ことも含む概念である。すなわち、第1の閉塞フィルム51aは、空気や湿気を通過させつつ、液体を通過させないようになっている。
【0044】
この第1の閉塞フィルム51aは、例えば透湿防水素材や中空糸等で構成されている。さらに、透湿防水素材としては、水滴の直径(100μm〜6000μm)よりも小さく水蒸気の分子の直径(0.0004μm)よりも大きな孔が多数形成された多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:Polytetrafluoro-ethylene、例えばゴアテックス(登録商標))を例示できる。また、この第1の閉塞フィルム51aは、250℃以上の耐熱性を有している。これにより、リフロー等の加熱工程でも性能(特に通気性)を維持することができる。また、この第1の閉塞フィルム51aは、優れた耐薬品性を有している。
【0045】
この第1の閉塞フィルム51aは、図5に示すように、円形となっており、その外径D2は、第1の貫通孔25の内径D1よりも相対的に大きくなっている(D2>D1)。このため、第1の閉塞フィルム51aは、完全に第1の貫通孔25を閉塞できるようになっている。
【0046】
第1の閉塞接着層51bは、図4に示すように、第1の閉塞フィルム51aの下面に積層され、第1の閉塞フィルム51aと第1の絶縁性フィルム24aを接着している。この第1の閉塞接着層51bは、例えばエポキシ系樹脂からなる接着剤で構成されている。
【0047】
第1の閉塞接着層51bには、図4及び図5に示すように、中央部分で第1の閉塞フィルム51aを露出させる第1の閉塞開口部51cが形成されている。この第1の閉塞開口部51cは、第1の貫通孔25と同軸上に位置しており、第1の閉塞開口部51cの内径D3は、第1の貫通孔25の内径D1と実質的に同一となっている(D3≒D1)。このため、リフロー等の加熱工程において、中空部31内の空気(圧力)が第1の閉塞接着層51bで堰き止められることなく、第1の閉塞フィルム51aを介してスムーズに開放される。
【0048】
第2の閉塞部材52は、図2及び図4に示すように、第2の開口部44cで第2の貫通孔45を閉塞している。この第2の閉塞部材52は、第1の閉塞部材51と同様に、フィルム状となっており、第2の閉塞フィルム52aと、第2の閉塞接着層52bと、から構成されている。
【0049】
第2の閉塞フィルム52aは、第1の閉塞部材51の第1の閉塞フィルム51aと同様に、通気性及び防水性を有しており、空気や湿気を通過させつつ、液体を通過させないようになっている。この第2の閉塞フィルム52aの材料は、第1の閉塞部材51の第1の閉塞フィルム51aの材料と実質的に同一であり、第2の閉塞フィルム52aの形状や大きさも、第1の閉塞フィルム51aの形状や大きさと実質的に同一となっている。
【0050】
第2の閉塞接着層52bは、図4に示すように、第2の閉塞フィルム52aの上面に積層され、第2の閉塞フィルム52aと第2の絶縁性フィルム44aを接着している。この第2の閉塞接着層52bの材料は、第1の閉塞部材51の第1の閉塞接着層51bの材料と実質的に同一であり、第2の閉塞接着層52bの形状や大きさも、第1の閉塞接着層51bの形状や大きさと実質的に同一となっている。
【0051】
本実施形態では、第1の回路基板20と第2の回路基板40にそれぞれ貫通孔25,45が形成されているが、何れか一方の回路基板20,40に貫通孔25,45を形成し、他方の回路基板20,40には貫通孔25,45を形成しなくともよい。例えば、図6に示すように、第1の回路基板20のみに、第1の貫通孔25を形成し、第1の閉塞部材51で閉塞してもよい。
【0052】
また、本実施形態では、1つの中空部31に対して1の副中空部32と2つの貫通孔25,45が形成されているが、1つの中空部31に対して複数の副中空部32を接着層30に形成し、さらに、その複数の副中空部32に対応する貫通孔25,45を回路基板20,40にそれぞれ形成してもよい。このように、1つの中空部31に対し、複数の副中空部32と貫通孔25,45を形成することで、中空部31と外部との間における通気性が向上する。ここで、中空部31と外部との間の通気性において、副中空部32と貫通孔25,45の数が多いほど好ましい。
【0053】
なお、本実施形態では、第1及び第2の閉塞部材51,52が第1及び第2のカバーレイフィルム24,44(第1及び第2の回路基板20,40において副中空部32側)に貼り付けられているが、第1及び第2の閉塞部材51,52を、第2及び第4の回路層23,43(第1及び第2の回路基板20,40において外側)に貼り付けてもよい。
【0054】
また、図7に示すように、第1及び第2の貫通孔25,45の内部に閉塞部材53a,53bを充填させてもよい。なお、このような閉塞部材53a,53bも、第1及び第2の閉塞部材51,52と同様に、通気性及び防水性を有している。
【0055】
このように本実施形態では、接着層30において製品となる領域の外(製品部10の領域の外)に、中空部31に連通した副中空部32を形成し、第1及び第2の回路基板20,40に、副中空部32で開口する第1及び第2の貫通孔25,45を形成し、防水性を有する第1及び第2の閉塞部材51,52で第1及び第2の貫通孔25,45を閉塞したので、例えばメッキ処理や洗浄等の液体を用いるウェット工程において、中空部31内への液体の侵入が抑制されている。
【0056】
また、この第1及び第2の閉塞部材51,52は通気性も有しているので、第1及び第2の回路基板20,40に第1及び第2の閉塞部材51,52を取り付けた状態でフレキシブルプリント配線板1に対してプラズマデスミア処理やリフロー等の加熱工程を行っても、中空部31内の圧力が外部に開放され、中空部31の膨張による製品部10の外観異常が抑制されている。このように、中空部31の膨張が抑制されることにより、製品部10の品質も向上する。
【0057】
以上のように、本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1は、第1及び第2の閉塞部材51,52をフレキブルプリント配線板1に取り付けた状態で、フレキシブルプリント配線板1に対して加熱工程とウェット工程の両方を実施でき、各工程毎の第1及び第2の閉塞部材51,52の取り外しが不要となっている。このため、フレキシブルプリント配線板の生産性が向上している。
【0058】
また、本実施形態では、図2に示すように、第1及び第2の閉塞部材51,52が第1及び第2の開口部24c,44cを閉塞するように第1及び第2の回路基板20,40に取り付けられ、第1及び第2の閉塞部材51,52が副中空部32内に収容されているので、外力による第1及び第2の閉塞部材51,52の剥離(脱落)が抑制されている。
【0059】
次に、本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1の製造方法について説明する。
【0060】
図8は本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の製造方法を示すフローチャート、図9は本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の製造方法を示す斜視図である。
【0061】
本実実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1の製造方法は、図8に示すように、開口パターン形成工程S10と、副開口パターン形成工程S20と、貫通孔形成工程S30と、閉塞工程S40と、積層工程S50と、を備えている。
【0062】
開口パターン形成工程S10では、図9に示すように、フィルム状の接着層30に中空部31となる開口パターン33aを形成する。このような開口パターン33aは、例えば打抜き加工により形成することができ、本実施形態では、4つの開口パターン33aを一括して形成している。なお、開口パターン33aとなる部分をマスキングして、第1の回路基板20に接着層30となる接着剤をスクリーン印刷することで開口パターン33aを形成してもよい。
【0063】
副開口パターン形成工程S20では、図9に示すように、フィルム状の接着層30に、副中空部32となる副開口パターン33bを形成する。このような副開口パターン33bは、例えば打抜き加工により形成することができ、本実施形態では、4つの副開口パターン33bを一括して形成している。なお、副開口パターン33bとなる部分をマスキングして、接着層30となる接着剤をスクリーン印刷することで副開口パターン33bを形成してもよい。また、この副開口パターン形成工程S20を、開口パターン形成工程S10と同時に実施してもよい。
【0064】
貫通孔形成工程S30では、図9に示すように、第1及び第2の回路基板20,40において接着層30の副開口パターン33bと対応する領域に第1及び第2の貫通孔25,45を形成する。なお、図6に示すように、第1の回路基板20のみに、第1の貫通孔25を形成してもよい。このような貫通孔25,45は、例えばドリル加工により形成することができる。
【0065】
閉塞工程S40では、図9に示すように、第1及び第2の貫通孔25,45を接着層30側から塞ぐように、第1の回路基板20の上面及び第2の回路基板40の下面に第1及び第2の閉塞部材51,52を貼り付ける。
【0066】
積層工程S50では、図9に示すように、第1及び第2のカバーレイフィルム24,44を対向させた状態で、接着層30を介して第1及び第2の回路基板20,40を積層する。この際に、接着層30の開口パターン33aを製品部10の一部に対応させ、副開口パターン33bを製品部10の領域外に対応させ、且つ第1及び第2の閉塞部材51,52を副開口パターン33b内に収容するように第1及び第2の回路基板20,40と接着層30を位置合わせする。
【0067】
このように、開口パターン33aが第1及び第2の回路基板20,40の間に挟まれることで、接着層30に中空部31が形成される。また、副開口パターン33bが第1及び第2の回路基板20,40の間に挟まれることで、接着層30に副中空部32が形成される。
【0068】
このようにして製造されたフレキシブルプリント配線板1は、電子部品の実装や、メッキ処理が施され、製品部10が切断及び分離されて、製品としてのフレキシブルプリント配線板となる。
【0069】
本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1の製造方法では、通気性及び防水性を有する第1及び第2の閉塞部材51,52で第1及び第2の貫通孔25,45を閉塞したので、その後の工程において、第1及び第2の閉塞部材51,52を取り付けた状態で、フレキシブルプリント配線板1に対して加熱工程とウェット工程の両方を実施でき、各工程毎の第1及び第2の閉塞部材51,52の取り外しが不要となっている。このため、フレキシブルプリント配線板の生産性が向上している。
【0070】
<<第2実施形態>>
次に、第2実施形態について説明する。
【0071】
図10は本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の平面図、図11は図10のXI−XI線に沿った断面図、図12は図11のXII−XII線に沿った断面図、図13は図10のXIII−XIII線に沿った拡大断面図である。
【0072】
本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1aは、接着層30に連通路34が形成されている点と、閉塞部材54と、で第1実施形態と相違するが、それ以外の構成は、第1実施形態と同様である。以下に、第1実施形態と相違する点についてのみ説明し、第1実施形態と同様の構成である部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
図10に示すように、本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1aの接着層30には、中空部31を外部に連通させる連通路34が形成されている。なお、本実施形態では、連通路34が1つの中空部31に対して2つ形成されているが、連通路34を1つだけ形成してもよい。また、連通路34を、1つの中空部31に対して、3つ以上形成してもよい。なお、図10において、実線で区画し模様を付した部分が製品部10であり、破線で区画した部分が中空部31と連通路34である。
【0074】
この連通路34は、図10及び図12に示すように、その一端で中空矩形部31a,31bと接続し、他端で外部と接続(開口)している。なお、連通路34の一端を、中空傾斜部31cと接続していてもよく、特に限定されない。また、連通路34は、図13に示すように、断面が矩形となっている。なお、図12において、破線で区画した部分が製品部10である。
【0075】
この連通路34の幅l1は、図12に示すように、製品矩形部11,12の幅l2,l3よりも相対的に小さくなっている(l1<l2,l1<l3)。このため、製品部10の製品矩形部11,12の端部では、第1及び第2の回路基板20,40の間に接着層30が必ず介在する。
【0076】
この連通路34は、図11〜図13に示すように、閉塞部材54により閉塞されている。
【0077】
閉塞部材54は、閉塞フィルム54aと、第3の閉塞接着層54bと、第4の閉塞接着層54cと、を有している。
【0078】
閉塞フィルム54aは、第1実施形態における第1及び第2の閉塞部材51,52の第1及び第2の閉塞フィルム51a,52aと、実質的に同一の材料で構成されており、通気性及び防水性を有している。また、この閉塞フィルム54aは、連通路34の形状に応じた立方体(図15参照)となっている。
【0079】
第3の閉塞接着層54bは、閉塞フィルム54aの下面に積層されており、閉塞フィルム54aと第1のカバーレイフィルム24(第1の絶縁性フィルム24a)を接着している。一方、第4の閉塞接着層54cは、閉塞フィルム54aの上面に積層されており、閉塞フィルム54aと第2のカバーレイフィルム44(第2の絶縁性フィルム44a)を接着している。これらの第3及び第4の接着層54b,54cは、例えばエポキシ系樹脂からなる接着剤で構成されている。
【0080】
本実施形態では、連通路34全体が閉塞部材54で充填されているが、閉塞部材54を、連通路34の一部分のみに充填してもよい。なお、通気性を向上させるために、連通路34の図12中Y方向の長さを短くし、図13中の断面を大きくして、閉塞部材54を充填することが望ましい。
【0081】
また、1つの中空部31に対し、3つ以上の連通路34を形成し、それらの連通路34に閉塞部材54を充填することで、中空部31と外部との間における通気性がより向上する。
【0082】
このように本実施形態では、接着層30に連通路34を形成し、通気性及び防水性を有する閉塞部材54で連通路34を閉塞したので、第1実施形態と同様に、閉塞部材54をフレキブルプリント配線板1aに取り付けた状態で、フレキシブルプリント配線板1aに対して加熱工程とウェット工程の両方を実施でき、各工程毎の閉塞部材54の取り外しが不要となっている。このため、フレキシブルプリント配線板1aの生産性が向上している。また、第1実施形態と同様に、中空部31の膨張が抑制されることにより、製品部10の品質も向上する。
【0083】
次に、本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1aの製造方法について説明する。
【0084】
図14は本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の製造方法を示すフローチャート、図15は本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の製造方法を示す斜視図である。
【0085】
本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1aの製造方法は、連通路形成工程S60と、充填工程S70と、で第1実施形態と相違するが、それ以外の構成は、第1実施形態と同様である。以下に、第1実施形態と相違する点についてのみ説明し、第1実施形態と同様の構成である部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0086】
連通路形成工程S60では、図15に示すように、フィルム状の接着層30に連通路34となる連通路開口パターン35を形成する。このような連通路開口パターン35は、例えば打抜き加工により形成することができ、本実施形態では、8つの連通路開口パターン35を一括して形成している。なお、連通路34となる部分をマスキングして、第1の回路基板20に接着層30となる接着剤をスクリーン印刷することで連通路開口パターン35を形成してもよい。また、この連通路形成工程S60を、開口パターン形成工程S10と同時に実施してもよい。
【0087】
次いで、連通路開口パターン35が形成された接着層30を、第1の回路基板20の第1のカバーレイフィルム24に積層する。
【0088】
充填工程S70では、図15に示すように、接着層30の連通路開口パターン35に閉塞部材54を充填する。閉塞部材54(閉塞フィルム54a)は、連通路開口パターン35に応じた立方体となっており、下面には第3の閉塞接着層54bが積層されている。このため、閉塞部材54を、連通路開口パターン35に挿入することで、連通路開口パターン35内に閉塞部材54が固定される。
【0089】
なお、予め連通路開口パターン35のピッチに合わせて第2の回路基板40の下面(第2のカバーレイフィルム44)に閉塞部材54を貼り付けておき、積層工程S50において第2の回路基板40を接着層30に積層するのと同時に、閉塞部材54を連通路開口パターン35に充填してもよい。
【0090】
本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1aの製造方法では、第1実施形態と同様に、その後の工程において、閉塞部材54を取り付けた状態で、フレキブルプリント配線板1aに対して加熱工程とウェット工程の両方を実施でき、各工程毎の閉塞部材54の取り外しが不要となっている。このため、フレキシブルプリント配線板の生産性が向上している。
【0091】
また、本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1aの製造方法は、第1実施形態のフレキシブルプリント配線板1の製造方法と比較して、工程が少なくなっている。このため、フレキシブルプリント配線の生産性がより向上している。
【0092】
また、上述のように、充填工程S70と積層工程S50を同時に行うことで、フレキシブルプリント配線板の生産性がさらに向上する。
【0093】
なお、以上に説明した実施形態において、開口パターン33aが本発明の第1の開口パターンの一例に相当し、副開口パターン33b又は連通路開口パターン35が本発明の第2の開口パターンの一例に相当し、開口パターン形成工程S10が本発明の第1のパターン形成工程の一例に相当し、副開口パターン形成工程S20又は連通路形成パターン形成工程S60が本発明の第2のパターン形成工程の一例に相当する。
【実施例】
【0094】
図16は実施例における高温真空試験の結果を示すグラフである。
【0095】
以下に、本発明をさらに具体化した実施例及び比較例により本発明の効果を確認した。以下の実施例及び比較例は、上述した実施形態のフレキシブルプリント配線板の中空部における膨張抑制の効果を確認するためのものである。
【0096】
<実施例1>
実施例1では、上述した第1実施形態と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。実施例1のサンプルでは、中空部と副中空部の体積の合計を5mm3とした。
【0097】
この実施例1のサンプルに対して、温度を150℃とし、気圧を約66kPaとした環境下で、60分間放置する高温真空試験を行い(n=100)、中空部の膨張による外観異常の有無を調べた。高温真空試験の結果(外観異常の発生率)を表1及び図16に示す。なお、表1に示すように、実施例1の外観異常発生率はゼロであり、図16では、実施例1が表示されていない(以下、実施例2〜5、実施例7〜11及び比較例1において同様である。)。
【0098】
【表1】
<実施例2>
実施例2では、中空部と副中空部の体積の合計を10mm3としたこと以外は、実施例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この実施例2のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例2についての高温真空試験の結果(外観異常の発生率)を表1及び図16に示す。
【0099】
<実施例3>
実施例3では、中空部と副中空部の体積の合計を20mm3としたこと以外は、実施例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この実施例3のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例3についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0100】
<実施例4>
実施例4では、中空部と副中空部の体積の合計を30mm3としたこと以外は、実施例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この実施例4のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例4についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0101】
<実施例5>
実施例5では、中空部と副中空部の体積の合計を50mm3としたこと以外は、実施例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この実施例5のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例5についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0102】
<実施例6>
実施例6では、中空部と副中空部の体積の合計を100mm3としたこと以外は、実施例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この実施例6のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例6についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0103】
<実施例7>
実施例7では、上述した第2実施形態と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。実施例7のサンプルでは、中空部の体積を5mm3とした。この実施例7のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例7についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。なお、この実施例7のサンプルには副中空部が形成されていないため、表1及び図16における「中空部と副中空部の体積の合計」には、中空部の体積のみを表示した(以下、実施例8〜12において同様である。)。
【0104】
<実施例8>
実施例8では、中空部の体積を10mm3としたこと以外は、実施例7と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この実施例8のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例8についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0105】
<実施例9>
実施例9では、中空部の体積を20mm3としたこと以外は、実施例7と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この実施例9のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例9についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0106】
<実施例10>
実施例10では、中空部の体積を30mm3としたこと以外は、実施例7と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この実施例10のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例10についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0107】
<実施例11>
実施例11では、中空部の体積を50mm3としたこと以外は、実施例7と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この実施例11のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例11についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0108】
<実施例12>
実施例12では、中空部の体積を100mm3としたこと以外は、実施例7と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この実施例12のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例12についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0109】
<比較例1>
比較例1では、接着層に副中空部が形成されておらず、且つ第1及び第2の回路基板に貫通孔が形成されていないこと以外は、実施例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを作成した。なお、比較例1のサンプルの中空部の体積を、5mm3とした。この比較例1のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。比較例1についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。なお、表1及び図16における「中空部と副中空部の体積の合計」には、中空部の体積のみを表示した(以下、比較例2〜6において同様である。)。
【0110】
<比較例2>
比較例2では、中空部の体積を10mm3としたこと以外は、比較例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この比較例2のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。比較例2についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0111】
<比較例3>
比較例3では、中空部の体積を20mm3としたこと以外は、比較例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この比較例3のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。比較例3についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0112】
<比較例4>
比較例4では、中空部の体積を30mm3としたこと以外は、比較例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この比較例4のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。比較例4についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0113】
<比較例5>
比較例5では、中空部の体積を50mm3としたこと以外は、比較例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この比較例5のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。比較例5についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0114】
<比較例6>
比較例6では、中空部の体積を100mm3としたこと以外は、比較例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この比較例6のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。比較例6についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0115】
<考察>
表1及び図16に示すように、比較例2では、45%が外観異常となり、比較例3では、95%が外観異常となった。また、比較例4〜6では、全て(100%)のサンプルが外観異常となった。
【0116】
一方、実施例1〜5及び実施例7〜11では、外観異常がゼロであった。ここで、実施例6及び実施例12では、外観異常が発生したが、実施例6の外観異常発生率が5%であり、実施例12の外観異常発生率が15%であり、何れも僅かなものであった。このことから、実施例1〜12のサンプルは、高温真空下において製品部の外観異常が抑制されていることが分かる。
【0117】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0118】
1,1a…フレキシブルプリント配線板
10…製品部
20,40…回路基板
21,41…絶縁性基板
22,23…回路層
24,44…カバーレイフィルム
24c,44c…開口部
25,45…貫通孔
30…接着層
31…中空部
32…副中空部
33a…開口パターン
33b…副開口パターン
34…連通路
35…連通路開口パターン
51,52,53a,53b,54…閉塞部材
51a,52a,54a…閉塞フィルム
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空部が形成されたフレキシブルプリント配線板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製品となるフレキシブル配線板対応部に中空部が形成された多連フレキシブル配線板が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−142045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の多連フレキシブル配線板では、例えばリフロー等の加熱工程を実施する際に、中空部の膨張による製品の外観異常を防ぐため、中空部内の圧力を開放する貫通孔を形成する必要がある。
【0005】
一方、例えばメッキ処理等のウェット工程を実施する際には、中空部への液体の侵入を防ぐために、当該貫通孔を閉塞する必要がある。
【0006】
すなわち、この多連フレキシブル配線板では、加熱工程時には貫通孔を開口し、ウェット工程時には貫通孔を閉塞する作業が必要となり、生産性に劣るという問題があった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、生産性に優れたフレキシブルプリント配線板及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るフレキシブルプリント配線板は、接着層を介して第1の回路基板と第2の回路基板とが積層され、前記第1及び第2の回路基板の間に中空部が形成されたフレキシブルプリント配線板であって、前記接着層において製品となる領域の外に、前記中空部に連通した副中空部が形成され、前記第1又は第2の回路基板の少なくとも一方に、開口部で前記副中空部に開口する貫通孔が形成されており、前記貫通孔は、通気性及び防水性を有する閉塞部材によって閉塞されていることを特徴とする。
【0009】
上記発明において、前記閉塞部材は、前記開口部を閉塞するように、前記第1又は前記第2の回路基板の少なくとも一方に貼り付けられたフィルム状部材であってもよい。
【0010】
上記のフレキシブルプリント配線板の製造方法は、前記中空部となる第1の開口パターンを、前記接着層に形成する第1のパターン形成工程と、前記副中空部となる第2の開口パターンを、前記接着層に形成する第2のパターン形成工程と、前記第1又は第2の回路基板の少なくとも一方に、前記貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔を、前記閉塞部材によって閉塞する閉塞工程と、前記接着層を介して前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを積層する積層工程と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るフレキシブルプリント配線板は、接着層を介して第1の回路基板と第2の回路基板とが積層され、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板との間に中空部が形成されたフレキシブルプリント配線板であって、前記接着層に、前記中空部を外部に連通させる連通路が形成されており、前記連通路は、通気性及び防水性を有する閉塞部材によって閉塞されていることを特徴とする。
【0012】
上記のフレキシブルプリント配線板の製造方法は、前記中空部となる第1の開口パターンを、前記接着層に形成する第1のパターン形成工程と、前記連通路となる第2の開口パターンを、前記接着層に形成する第2のパターン形成工程と、前記第2の開口パターンの少なくとも一部に、前記閉塞部材を充填する充填工程と、前記接着層を介して前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを積層する積層工程と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
上記発明において、前記閉塞部材は、多孔質ポリテトラフルオロエチレンからなるものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通気性及び防水性を有する閉塞部材で貫通孔が閉塞されているので、フレキシブルプリント配線板の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の平面図である。
【図2】図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図4は、図2のIV部の拡大断面図である。
【図5】図5は、図4のV方向からみた第1の閉塞部材の平面図である。
【図6】図6は、本発明の第1実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の第1変形例を示す要部断面図である。
【図7】図7は、本発明の第1実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の第2変形例を示す要部断面図である。
【図8】図8は、本発明の第1実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の製造方法を示すフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の第1実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の製造方法を示す斜視図である。
【図10】図10は、本発明の第2実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の平面図である。
【図11】図11は、図10のXI−XI線に沿った断面図である。
【図12】図12は、図11のXII−XII線に沿った断面図である。
【図13】図13は、図10のXIII−XIII線に沿った拡大断面図である。
【図14】図14は、本発明の第2実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の製造方法を示すフローチャートである。
【図15】図15は、本発明の第2実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の製造方法を示す斜視図である。
【図16】図16は、本発明の実施例における高温真空試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
<<第1実施形態>>
図1は本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の平面図、図2は図1のII−II線に沿った断面図、図3は図2のIII−III線に沿った断面図、図4は図2のIV部の拡大断面図、図5は図4のV方向からみた第1の閉塞部材の平面図、図6及び図7は本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の変形例を示す要部断面図である。
【0018】
本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1は、図1に示すように、4つの製品部10(図中実線で区画し模様を付した部分)を含んでいる。この製品部10は、フレキシブルプリント配線板1からそれぞれ切断及び分離され、製品としてのフレキシブルプリント配線板となって、例えば携帯電話やゲーム機等のヒンジ部分に組み込まれる。この製品部10は、2つの製品矩形部11,12と、製品矩形部11,12を繋ぐ製品傾斜部13と、を有している。なお、図1において、破線で区画した部分は、後述する接着層30における中空部31及び副中空部32である。
【0019】
フレキシブルプリント配線板1は、図2に示すように、第1の回路基板20と、接着層30、第2の回路基板40と、第1の閉塞部材51と、第2の閉塞部材52と、を備えている。
【0020】
第1の回路基板20は、第1の絶縁性基板21と、第1の回路層22と、第2の回路層23と、第1のカバーレイフィルム24と、を有している。
【0021】
第1の絶縁性基板21は、可撓性を有しており、例えばポリイミド(polyimide)で構成されている。
【0022】
第1の回路層22は、図2に示すように、第1の絶縁性基板21の上面に積層されており、例えば所定の配線パターンに形成された銅で構成されている。
【0023】
第2の回路層23は、第1の絶縁性基板21の下面に積層されており、第1の回路層22と同様に、例えば所定の配線パターンに形成された銅で構成されている。
【0024】
第1のカバーレイフィルム24は、図2に示すように、第1の回路層22上に積層され、第1の回路層22を保護している。この第1のカバーレイフィルム24は、第1の絶縁性フィルム24aと、第1のカバーレイ接着層24bと、から構成されている。
【0025】
第1の絶縁性フィルム24aは、第1の回路基板20の最上層に位置している。この第1の絶縁性フィルム24aは、可撓性及び絶縁性を有しており、例えばポリイミド(polyimide)からなるフィルムで構成されている。
【0026】
第1のカバーレイ接着層24bは、第1の絶縁性フィルム24aと第1の回路層22を接着しており、例えばエポキシ系樹脂からなる接着剤で構成されている。
【0027】
この第1の回路基板20には、図2及び図4に示すように、副中空部32(後述)を介して中空部31(後述)を外部に連通させる第1の貫通孔25が形成されている。この第1の貫通孔25は、接着層30の副中空部32の下方において、第1の回路基板20を貫通し、第1の開口部24cで開口している。なお、この第1の開口部24cは、第1の絶縁性フィルム24aにおいて、接着層30の副中空部32(後述)と対応する部分に位置している。この第1の貫通孔25の断面形状は、円形(内径D1)となっているが、特に限定されず矩形であってもよい。
【0028】
接着層30は、図2に示すように、第1の回路基板20と第2の回路基板40との間に積層され、両者を接着している。この接着層30は、例えばエポキシ系樹脂からなる接着剤で構成されている。接着層30には、中空部31と、副中空部32と、が形成されている。
【0029】
中空部31は、図2及び図3に示すように、接着層30において、第1及び第2の回路基板20,40の間に形成された空洞であり、製品部10の一部と対応する領域に形成されている。なお、この中空部31は、製品部10(製品となるフレキブルプリント配線板)の屈曲性を向上させるために設けられたものである。
【0030】
中空部31は、図3に示すように、中空矩形部31a,31bと、中空傾斜部31cと、を有している。
【0031】
中空矩形部31a,31bは、製品部10の製品矩形部11,12において、その中央部分から製品傾斜部13側の半分と対応する領域に形成されている。この中空矩形部31a,31bの幅は、製品矩形部11,12の幅よりも相対的に大きくなっている。なお、図3において、破線で区画した部分が、製品部10である。
【0032】
中空傾斜部31cは、中空矩形部31a,31bを接続する部分であり、製品傾斜部13と対応する領域に形成されている。また、中空傾斜部31cの幅は、製品傾斜部13の幅よりも相対的に大きくなっている。
【0033】
副中空部32は、図3において模様を付した部分であり、中空矩形部31aと連通し、且つ製品となる領域の外(製品部10の領域外)に形成されている。なお、副中空部32を、中空矩形部31bや中空傾斜部31cと接続させてもよい。また、副中空部32は、図中において矩形となっているが、その形状は特に限定されない。
【0034】
第2の回路基板40は、図2に示すように、第2の絶縁性基板41と、第3の回路層42と、第4の回路層43と、第2のカバーレイフィルム44と、を有している。
【0035】
第2の絶縁性基板41は、可撓性を有しており、例えばポリイミド(polyimide)で構成されている。
【0036】
第3の回路層42は、図2に示すように、第2の絶縁性基板41の下面に積層されており、例えば所定の配線パターンに形成された銅で構成されている。
【0037】
第4の回路層43は、第2の絶縁性基板41の上面に積層されており、第3の回路層42と同様に、例えば所定の配線パターンに形成された銅で構成されている。
【0038】
第2のカバーレイフィルム44は、図2に示すように、第3の回路層42に積層され、第3の回路層42を保護している。この第2のカバーレイフィルム44は、第2の絶縁性フィルム44aと、第2のカバーレイ接着層44bと、から構成されている。
【0039】
第2の絶縁性フィルム44aは、第2の回路基板40の最下層に位置している。この第2の絶縁性フィルム44aは、可撓性及び絶縁性を有しており、例えばポリイミド(polyimide)からなるフィルムで構成されている。
【0040】
第2のカバーレイ接着層44bは、第2の絶縁性フィルム44aと第2の回路層42を接着しており、例えばエポキシ系樹脂からなる接着剤で構成されている。
【0041】
この第2の回路基板40には、図2及び図4に示すように、副中空部32を介して中空部31を外部に連通させる第2の貫通孔45が形成されている。この第2の貫通孔45は、接着層30の副中空部32の上方において、第2の回路基板40を貫通し、第2の開口部44cで開口している。なお、この第2の開口部44cは、第2の絶縁性フィルム44aにおいて、接着層30の副中空部32と対応する部分に位置している。また、本実施形態では、第2の貫通孔45の断面形状が円形(内径D1)となっているが、特に限定されず矩形であってもよい。
【0042】
第1の閉塞部材51は、図2及び図4に示すように、第1の開口部24cで第1の貫通孔25を閉塞している。この第1の閉塞部材51は、フィルム状となっており、第1の閉塞フィルム51aと、第1の閉塞接着層51bと、から構成されている。
【0043】
第1の閉塞フィルム51aは、通気性及び防水性を有している。なお、本実施形態において、「通気性」とは、空気を通すことに加えて、湿気も通す概念であり、「防水性」とは、液体の侵入を防ぐことに加えて、液体をはじく(撥水)ことも含む概念である。すなわち、第1の閉塞フィルム51aは、空気や湿気を通過させつつ、液体を通過させないようになっている。
【0044】
この第1の閉塞フィルム51aは、例えば透湿防水素材や中空糸等で構成されている。さらに、透湿防水素材としては、水滴の直径(100μm〜6000μm)よりも小さく水蒸気の分子の直径(0.0004μm)よりも大きな孔が多数形成された多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:Polytetrafluoro-ethylene、例えばゴアテックス(登録商標))を例示できる。また、この第1の閉塞フィルム51aは、250℃以上の耐熱性を有している。これにより、リフロー等の加熱工程でも性能(特に通気性)を維持することができる。また、この第1の閉塞フィルム51aは、優れた耐薬品性を有している。
【0045】
この第1の閉塞フィルム51aは、図5に示すように、円形となっており、その外径D2は、第1の貫通孔25の内径D1よりも相対的に大きくなっている(D2>D1)。このため、第1の閉塞フィルム51aは、完全に第1の貫通孔25を閉塞できるようになっている。
【0046】
第1の閉塞接着層51bは、図4に示すように、第1の閉塞フィルム51aの下面に積層され、第1の閉塞フィルム51aと第1の絶縁性フィルム24aを接着している。この第1の閉塞接着層51bは、例えばエポキシ系樹脂からなる接着剤で構成されている。
【0047】
第1の閉塞接着層51bには、図4及び図5に示すように、中央部分で第1の閉塞フィルム51aを露出させる第1の閉塞開口部51cが形成されている。この第1の閉塞開口部51cは、第1の貫通孔25と同軸上に位置しており、第1の閉塞開口部51cの内径D3は、第1の貫通孔25の内径D1と実質的に同一となっている(D3≒D1)。このため、リフロー等の加熱工程において、中空部31内の空気(圧力)が第1の閉塞接着層51bで堰き止められることなく、第1の閉塞フィルム51aを介してスムーズに開放される。
【0048】
第2の閉塞部材52は、図2及び図4に示すように、第2の開口部44cで第2の貫通孔45を閉塞している。この第2の閉塞部材52は、第1の閉塞部材51と同様に、フィルム状となっており、第2の閉塞フィルム52aと、第2の閉塞接着層52bと、から構成されている。
【0049】
第2の閉塞フィルム52aは、第1の閉塞部材51の第1の閉塞フィルム51aと同様に、通気性及び防水性を有しており、空気や湿気を通過させつつ、液体を通過させないようになっている。この第2の閉塞フィルム52aの材料は、第1の閉塞部材51の第1の閉塞フィルム51aの材料と実質的に同一であり、第2の閉塞フィルム52aの形状や大きさも、第1の閉塞フィルム51aの形状や大きさと実質的に同一となっている。
【0050】
第2の閉塞接着層52bは、図4に示すように、第2の閉塞フィルム52aの上面に積層され、第2の閉塞フィルム52aと第2の絶縁性フィルム44aを接着している。この第2の閉塞接着層52bの材料は、第1の閉塞部材51の第1の閉塞接着層51bの材料と実質的に同一であり、第2の閉塞接着層52bの形状や大きさも、第1の閉塞接着層51bの形状や大きさと実質的に同一となっている。
【0051】
本実施形態では、第1の回路基板20と第2の回路基板40にそれぞれ貫通孔25,45が形成されているが、何れか一方の回路基板20,40に貫通孔25,45を形成し、他方の回路基板20,40には貫通孔25,45を形成しなくともよい。例えば、図6に示すように、第1の回路基板20のみに、第1の貫通孔25を形成し、第1の閉塞部材51で閉塞してもよい。
【0052】
また、本実施形態では、1つの中空部31に対して1の副中空部32と2つの貫通孔25,45が形成されているが、1つの中空部31に対して複数の副中空部32を接着層30に形成し、さらに、その複数の副中空部32に対応する貫通孔25,45を回路基板20,40にそれぞれ形成してもよい。このように、1つの中空部31に対し、複数の副中空部32と貫通孔25,45を形成することで、中空部31と外部との間における通気性が向上する。ここで、中空部31と外部との間の通気性において、副中空部32と貫通孔25,45の数が多いほど好ましい。
【0053】
なお、本実施形態では、第1及び第2の閉塞部材51,52が第1及び第2のカバーレイフィルム24,44(第1及び第2の回路基板20,40において副中空部32側)に貼り付けられているが、第1及び第2の閉塞部材51,52を、第2及び第4の回路層23,43(第1及び第2の回路基板20,40において外側)に貼り付けてもよい。
【0054】
また、図7に示すように、第1及び第2の貫通孔25,45の内部に閉塞部材53a,53bを充填させてもよい。なお、このような閉塞部材53a,53bも、第1及び第2の閉塞部材51,52と同様に、通気性及び防水性を有している。
【0055】
このように本実施形態では、接着層30において製品となる領域の外(製品部10の領域の外)に、中空部31に連通した副中空部32を形成し、第1及び第2の回路基板20,40に、副中空部32で開口する第1及び第2の貫通孔25,45を形成し、防水性を有する第1及び第2の閉塞部材51,52で第1及び第2の貫通孔25,45を閉塞したので、例えばメッキ処理や洗浄等の液体を用いるウェット工程において、中空部31内への液体の侵入が抑制されている。
【0056】
また、この第1及び第2の閉塞部材51,52は通気性も有しているので、第1及び第2の回路基板20,40に第1及び第2の閉塞部材51,52を取り付けた状態でフレキシブルプリント配線板1に対してプラズマデスミア処理やリフロー等の加熱工程を行っても、中空部31内の圧力が外部に開放され、中空部31の膨張による製品部10の外観異常が抑制されている。このように、中空部31の膨張が抑制されることにより、製品部10の品質も向上する。
【0057】
以上のように、本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1は、第1及び第2の閉塞部材51,52をフレキブルプリント配線板1に取り付けた状態で、フレキシブルプリント配線板1に対して加熱工程とウェット工程の両方を実施でき、各工程毎の第1及び第2の閉塞部材51,52の取り外しが不要となっている。このため、フレキシブルプリント配線板の生産性が向上している。
【0058】
また、本実施形態では、図2に示すように、第1及び第2の閉塞部材51,52が第1及び第2の開口部24c,44cを閉塞するように第1及び第2の回路基板20,40に取り付けられ、第1及び第2の閉塞部材51,52が副中空部32内に収容されているので、外力による第1及び第2の閉塞部材51,52の剥離(脱落)が抑制されている。
【0059】
次に、本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1の製造方法について説明する。
【0060】
図8は本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の製造方法を示すフローチャート、図9は本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の製造方法を示す斜視図である。
【0061】
本実実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1の製造方法は、図8に示すように、開口パターン形成工程S10と、副開口パターン形成工程S20と、貫通孔形成工程S30と、閉塞工程S40と、積層工程S50と、を備えている。
【0062】
開口パターン形成工程S10では、図9に示すように、フィルム状の接着層30に中空部31となる開口パターン33aを形成する。このような開口パターン33aは、例えば打抜き加工により形成することができ、本実施形態では、4つの開口パターン33aを一括して形成している。なお、開口パターン33aとなる部分をマスキングして、第1の回路基板20に接着層30となる接着剤をスクリーン印刷することで開口パターン33aを形成してもよい。
【0063】
副開口パターン形成工程S20では、図9に示すように、フィルム状の接着層30に、副中空部32となる副開口パターン33bを形成する。このような副開口パターン33bは、例えば打抜き加工により形成することができ、本実施形態では、4つの副開口パターン33bを一括して形成している。なお、副開口パターン33bとなる部分をマスキングして、接着層30となる接着剤をスクリーン印刷することで副開口パターン33bを形成してもよい。また、この副開口パターン形成工程S20を、開口パターン形成工程S10と同時に実施してもよい。
【0064】
貫通孔形成工程S30では、図9に示すように、第1及び第2の回路基板20,40において接着層30の副開口パターン33bと対応する領域に第1及び第2の貫通孔25,45を形成する。なお、図6に示すように、第1の回路基板20のみに、第1の貫通孔25を形成してもよい。このような貫通孔25,45は、例えばドリル加工により形成することができる。
【0065】
閉塞工程S40では、図9に示すように、第1及び第2の貫通孔25,45を接着層30側から塞ぐように、第1の回路基板20の上面及び第2の回路基板40の下面に第1及び第2の閉塞部材51,52を貼り付ける。
【0066】
積層工程S50では、図9に示すように、第1及び第2のカバーレイフィルム24,44を対向させた状態で、接着層30を介して第1及び第2の回路基板20,40を積層する。この際に、接着層30の開口パターン33aを製品部10の一部に対応させ、副開口パターン33bを製品部10の領域外に対応させ、且つ第1及び第2の閉塞部材51,52を副開口パターン33b内に収容するように第1及び第2の回路基板20,40と接着層30を位置合わせする。
【0067】
このように、開口パターン33aが第1及び第2の回路基板20,40の間に挟まれることで、接着層30に中空部31が形成される。また、副開口パターン33bが第1及び第2の回路基板20,40の間に挟まれることで、接着層30に副中空部32が形成される。
【0068】
このようにして製造されたフレキシブルプリント配線板1は、電子部品の実装や、メッキ処理が施され、製品部10が切断及び分離されて、製品としてのフレキシブルプリント配線板となる。
【0069】
本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1の製造方法では、通気性及び防水性を有する第1及び第2の閉塞部材51,52で第1及び第2の貫通孔25,45を閉塞したので、その後の工程において、第1及び第2の閉塞部材51,52を取り付けた状態で、フレキシブルプリント配線板1に対して加熱工程とウェット工程の両方を実施でき、各工程毎の第1及び第2の閉塞部材51,52の取り外しが不要となっている。このため、フレキシブルプリント配線板の生産性が向上している。
【0070】
<<第2実施形態>>
次に、第2実施形態について説明する。
【0071】
図10は本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の平面図、図11は図10のXI−XI線に沿った断面図、図12は図11のXII−XII線に沿った断面図、図13は図10のXIII−XIII線に沿った拡大断面図である。
【0072】
本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1aは、接着層30に連通路34が形成されている点と、閉塞部材54と、で第1実施形態と相違するが、それ以外の構成は、第1実施形態と同様である。以下に、第1実施形態と相違する点についてのみ説明し、第1実施形態と同様の構成である部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
図10に示すように、本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1aの接着層30には、中空部31を外部に連通させる連通路34が形成されている。なお、本実施形態では、連通路34が1つの中空部31に対して2つ形成されているが、連通路34を1つだけ形成してもよい。また、連通路34を、1つの中空部31に対して、3つ以上形成してもよい。なお、図10において、実線で区画し模様を付した部分が製品部10であり、破線で区画した部分が中空部31と連通路34である。
【0074】
この連通路34は、図10及び図12に示すように、その一端で中空矩形部31a,31bと接続し、他端で外部と接続(開口)している。なお、連通路34の一端を、中空傾斜部31cと接続していてもよく、特に限定されない。また、連通路34は、図13に示すように、断面が矩形となっている。なお、図12において、破線で区画した部分が製品部10である。
【0075】
この連通路34の幅l1は、図12に示すように、製品矩形部11,12の幅l2,l3よりも相対的に小さくなっている(l1<l2,l1<l3)。このため、製品部10の製品矩形部11,12の端部では、第1及び第2の回路基板20,40の間に接着層30が必ず介在する。
【0076】
この連通路34は、図11〜図13に示すように、閉塞部材54により閉塞されている。
【0077】
閉塞部材54は、閉塞フィルム54aと、第3の閉塞接着層54bと、第4の閉塞接着層54cと、を有している。
【0078】
閉塞フィルム54aは、第1実施形態における第1及び第2の閉塞部材51,52の第1及び第2の閉塞フィルム51a,52aと、実質的に同一の材料で構成されており、通気性及び防水性を有している。また、この閉塞フィルム54aは、連通路34の形状に応じた立方体(図15参照)となっている。
【0079】
第3の閉塞接着層54bは、閉塞フィルム54aの下面に積層されており、閉塞フィルム54aと第1のカバーレイフィルム24(第1の絶縁性フィルム24a)を接着している。一方、第4の閉塞接着層54cは、閉塞フィルム54aの上面に積層されており、閉塞フィルム54aと第2のカバーレイフィルム44(第2の絶縁性フィルム44a)を接着している。これらの第3及び第4の接着層54b,54cは、例えばエポキシ系樹脂からなる接着剤で構成されている。
【0080】
本実施形態では、連通路34全体が閉塞部材54で充填されているが、閉塞部材54を、連通路34の一部分のみに充填してもよい。なお、通気性を向上させるために、連通路34の図12中Y方向の長さを短くし、図13中の断面を大きくして、閉塞部材54を充填することが望ましい。
【0081】
また、1つの中空部31に対し、3つ以上の連通路34を形成し、それらの連通路34に閉塞部材54を充填することで、中空部31と外部との間における通気性がより向上する。
【0082】
このように本実施形態では、接着層30に連通路34を形成し、通気性及び防水性を有する閉塞部材54で連通路34を閉塞したので、第1実施形態と同様に、閉塞部材54をフレキブルプリント配線板1aに取り付けた状態で、フレキシブルプリント配線板1aに対して加熱工程とウェット工程の両方を実施でき、各工程毎の閉塞部材54の取り外しが不要となっている。このため、フレキシブルプリント配線板1aの生産性が向上している。また、第1実施形態と同様に、中空部31の膨張が抑制されることにより、製品部10の品質も向上する。
【0083】
次に、本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1aの製造方法について説明する。
【0084】
図14は本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の製造方法を示すフローチャート、図15は本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の製造方法を示す斜視図である。
【0085】
本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1aの製造方法は、連通路形成工程S60と、充填工程S70と、で第1実施形態と相違するが、それ以外の構成は、第1実施形態と同様である。以下に、第1実施形態と相違する点についてのみ説明し、第1実施形態と同様の構成である部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0086】
連通路形成工程S60では、図15に示すように、フィルム状の接着層30に連通路34となる連通路開口パターン35を形成する。このような連通路開口パターン35は、例えば打抜き加工により形成することができ、本実施形態では、8つの連通路開口パターン35を一括して形成している。なお、連通路34となる部分をマスキングして、第1の回路基板20に接着層30となる接着剤をスクリーン印刷することで連通路開口パターン35を形成してもよい。また、この連通路形成工程S60を、開口パターン形成工程S10と同時に実施してもよい。
【0087】
次いで、連通路開口パターン35が形成された接着層30を、第1の回路基板20の第1のカバーレイフィルム24に積層する。
【0088】
充填工程S70では、図15に示すように、接着層30の連通路開口パターン35に閉塞部材54を充填する。閉塞部材54(閉塞フィルム54a)は、連通路開口パターン35に応じた立方体となっており、下面には第3の閉塞接着層54bが積層されている。このため、閉塞部材54を、連通路開口パターン35に挿入することで、連通路開口パターン35内に閉塞部材54が固定される。
【0089】
なお、予め連通路開口パターン35のピッチに合わせて第2の回路基板40の下面(第2のカバーレイフィルム44)に閉塞部材54を貼り付けておき、積層工程S50において第2の回路基板40を接着層30に積層するのと同時に、閉塞部材54を連通路開口パターン35に充填してもよい。
【0090】
本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1aの製造方法では、第1実施形態と同様に、その後の工程において、閉塞部材54を取り付けた状態で、フレキブルプリント配線板1aに対して加熱工程とウェット工程の両方を実施でき、各工程毎の閉塞部材54の取り外しが不要となっている。このため、フレキシブルプリント配線板の生産性が向上している。
【0091】
また、本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1aの製造方法は、第1実施形態のフレキシブルプリント配線板1の製造方法と比較して、工程が少なくなっている。このため、フレキシブルプリント配線の生産性がより向上している。
【0092】
また、上述のように、充填工程S70と積層工程S50を同時に行うことで、フレキシブルプリント配線板の生産性がさらに向上する。
【0093】
なお、以上に説明した実施形態において、開口パターン33aが本発明の第1の開口パターンの一例に相当し、副開口パターン33b又は連通路開口パターン35が本発明の第2の開口パターンの一例に相当し、開口パターン形成工程S10が本発明の第1のパターン形成工程の一例に相当し、副開口パターン形成工程S20又は連通路形成パターン形成工程S60が本発明の第2のパターン形成工程の一例に相当する。
【実施例】
【0094】
図16は実施例における高温真空試験の結果を示すグラフである。
【0095】
以下に、本発明をさらに具体化した実施例及び比較例により本発明の効果を確認した。以下の実施例及び比較例は、上述した実施形態のフレキシブルプリント配線板の中空部における膨張抑制の効果を確認するためのものである。
【0096】
<実施例1>
実施例1では、上述した第1実施形態と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。実施例1のサンプルでは、中空部と副中空部の体積の合計を5mm3とした。
【0097】
この実施例1のサンプルに対して、温度を150℃とし、気圧を約66kPaとした環境下で、60分間放置する高温真空試験を行い(n=100)、中空部の膨張による外観異常の有無を調べた。高温真空試験の結果(外観異常の発生率)を表1及び図16に示す。なお、表1に示すように、実施例1の外観異常発生率はゼロであり、図16では、実施例1が表示されていない(以下、実施例2〜5、実施例7〜11及び比較例1において同様である。)。
【0098】
【表1】
<実施例2>
実施例2では、中空部と副中空部の体積の合計を10mm3としたこと以外は、実施例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この実施例2のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例2についての高温真空試験の結果(外観異常の発生率)を表1及び図16に示す。
【0099】
<実施例3>
実施例3では、中空部と副中空部の体積の合計を20mm3としたこと以外は、実施例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この実施例3のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例3についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0100】
<実施例4>
実施例4では、中空部と副中空部の体積の合計を30mm3としたこと以外は、実施例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この実施例4のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例4についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0101】
<実施例5>
実施例5では、中空部と副中空部の体積の合計を50mm3としたこと以外は、実施例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この実施例5のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例5についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0102】
<実施例6>
実施例6では、中空部と副中空部の体積の合計を100mm3としたこと以外は、実施例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この実施例6のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例6についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0103】
<実施例7>
実施例7では、上述した第2実施形態と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。実施例7のサンプルでは、中空部の体積を5mm3とした。この実施例7のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例7についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。なお、この実施例7のサンプルには副中空部が形成されていないため、表1及び図16における「中空部と副中空部の体積の合計」には、中空部の体積のみを表示した(以下、実施例8〜12において同様である。)。
【0104】
<実施例8>
実施例8では、中空部の体積を10mm3としたこと以外は、実施例7と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この実施例8のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例8についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0105】
<実施例9>
実施例9では、中空部の体積を20mm3としたこと以外は、実施例7と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この実施例9のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例9についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0106】
<実施例10>
実施例10では、中空部の体積を30mm3としたこと以外は、実施例7と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この実施例10のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例10についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0107】
<実施例11>
実施例11では、中空部の体積を50mm3としたこと以外は、実施例7と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この実施例11のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例11についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0108】
<実施例12>
実施例12では、中空部の体積を100mm3としたこと以外は、実施例7と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この実施例12のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。実施例12についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0109】
<比較例1>
比較例1では、接着層に副中空部が形成されておらず、且つ第1及び第2の回路基板に貫通孔が形成されていないこと以外は、実施例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを作成した。なお、比較例1のサンプルの中空部の体積を、5mm3とした。この比較例1のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。比較例1についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。なお、表1及び図16における「中空部と副中空部の体積の合計」には、中空部の体積のみを表示した(以下、比較例2〜6において同様である。)。
【0110】
<比較例2>
比較例2では、中空部の体積を10mm3としたこと以外は、比較例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この比較例2のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。比較例2についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0111】
<比較例3>
比較例3では、中空部の体積を20mm3としたこと以外は、比較例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この比較例3のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。比較例3についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0112】
<比較例4>
比較例4では、中空部の体積を30mm3としたこと以外は、比較例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この比較例4のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。比較例4についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0113】
<比較例5>
比較例5では、中空部の体積を50mm3としたこと以外は、比較例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この比較例5のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。比較例5についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0114】
<比較例6>
比較例6では、中空部の体積を100mm3としたこと以外は、比較例1と同一構造のフレキシブルプリント配線板のサンプルを100個作成した。この比較例6のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で高温真空試験を行った。比較例6についての高温真空試験の結果を表1及び図16に示す。
【0115】
<考察>
表1及び図16に示すように、比較例2では、45%が外観異常となり、比較例3では、95%が外観異常となった。また、比較例4〜6では、全て(100%)のサンプルが外観異常となった。
【0116】
一方、実施例1〜5及び実施例7〜11では、外観異常がゼロであった。ここで、実施例6及び実施例12では、外観異常が発生したが、実施例6の外観異常発生率が5%であり、実施例12の外観異常発生率が15%であり、何れも僅かなものであった。このことから、実施例1〜12のサンプルは、高温真空下において製品部の外観異常が抑制されていることが分かる。
【0117】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0118】
1,1a…フレキシブルプリント配線板
10…製品部
20,40…回路基板
21,41…絶縁性基板
22,23…回路層
24,44…カバーレイフィルム
24c,44c…開口部
25,45…貫通孔
30…接着層
31…中空部
32…副中空部
33a…開口パターン
33b…副開口パターン
34…連通路
35…連通路開口パターン
51,52,53a,53b,54…閉塞部材
51a,52a,54a…閉塞フィルム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着層を介して第1の回路基板と第2の回路基板とが積層され、前記第1及び第2の回路基板の間に中空部が形成されたフレキシブルプリント配線板であって、
前記接着層において製品となる領域の外に、前記中空部に連通した副中空部が形成され、
前記第1又は第2の回路基板の少なくとも一方に、開口部で前記副中空部に開口する貫通孔が形成されており、
前記貫通孔は、通気性及び防水性を有する閉塞部材によって閉塞されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項2】
請求項1記載のフレキシブルプリント配線板であって、
前記閉塞部材は、前記開口部を閉塞するように、前記第1又は前記第2の回路基板の少なくとも一方に貼り付けられたフィルム状部材であることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項3】
接着層を介して第1の回路基板と第2の回路基板とが積層され、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板との間に中空部が形成されたフレキシブルプリント配線板であって、
前記接着層に、前記中空部を外部に連通させる連通路が形成されており、
前記連通路は、通気性及び防水性を有する閉塞部材によって閉塞されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のフレキシブルプリント配線板であって、
前記閉塞部材は、多孔質ポリテトラフルオロエチレンからなることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項5】
請求項1又は2記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、
前記中空部となる第1の開口パターンを、前記接着層に形成する第1のパターン形成工程と、
前記副中空部となる第2の開口パターンを、前記接着層に形成する第2のパターン形成工程と、
前記第1又は第2の回路基板の少なくとも一方に、前記貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔を、前記閉塞部材によって閉塞する閉塞工程と、
前記接着層を介して前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを積層する積層工程と、を備えたことを特徴とするフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
請求項3記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、
前記中空部となる第1の開口パターンを、前記接着層に形成する第1のパターン形成工程と、
前記連通路となる第2の開口パターンを、前記接着層に形成する第2のパターン形成工程と、
前記第2の開口パターンの少なくとも一部に、前記閉塞部材を充填する充填工程と、
前記接着層を介して前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを積層する積層工程と、を備えたことを特徴とするフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
請求項5又は6記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、
前記閉塞部材は、多孔質ポリテトラフルオロエチレンからなることを特徴とするフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項1】
接着層を介して第1の回路基板と第2の回路基板とが積層され、前記第1及び第2の回路基板の間に中空部が形成されたフレキシブルプリント配線板であって、
前記接着層において製品となる領域の外に、前記中空部に連通した副中空部が形成され、
前記第1又は第2の回路基板の少なくとも一方に、開口部で前記副中空部に開口する貫通孔が形成されており、
前記貫通孔は、通気性及び防水性を有する閉塞部材によって閉塞されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項2】
請求項1記載のフレキシブルプリント配線板であって、
前記閉塞部材は、前記開口部を閉塞するように、前記第1又は前記第2の回路基板の少なくとも一方に貼り付けられたフィルム状部材であることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項3】
接着層を介して第1の回路基板と第2の回路基板とが積層され、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板との間に中空部が形成されたフレキシブルプリント配線板であって、
前記接着層に、前記中空部を外部に連通させる連通路が形成されており、
前記連通路は、通気性及び防水性を有する閉塞部材によって閉塞されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のフレキシブルプリント配線板であって、
前記閉塞部材は、多孔質ポリテトラフルオロエチレンからなることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項5】
請求項1又は2記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、
前記中空部となる第1の開口パターンを、前記接着層に形成する第1のパターン形成工程と、
前記副中空部となる第2の開口パターンを、前記接着層に形成する第2のパターン形成工程と、
前記第1又は第2の回路基板の少なくとも一方に、前記貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔を、前記閉塞部材によって閉塞する閉塞工程と、
前記接着層を介して前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを積層する積層工程と、を備えたことを特徴とするフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
請求項3記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、
前記中空部となる第1の開口パターンを、前記接着層に形成する第1のパターン形成工程と、
前記連通路となる第2の開口パターンを、前記接着層に形成する第2のパターン形成工程と、
前記第2の開口パターンの少なくとも一部に、前記閉塞部材を充填する充填工程と、
前記接着層を介して前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを積層する積層工程と、を備えたことを特徴とするフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
請求項5又は6記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、
前記閉塞部材は、多孔質ポリテトラフルオロエチレンからなることを特徴とするフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−114251(P2011−114251A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271089(P2009−271089)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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