説明

フレキシブル回路基板

【課題】基板の折れ曲がりによる断線を防止することができるフレキシブル回路基板を提供すること。
【解決手段】フレキシブル回路基板1は、一方の面11及び他方の面12を有し、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んで構成される基板10と、基板10の一方の面11上に形成される端子20と、基板10の他方の面12上における端子20と重なる領域に接着される補強基板30と、基板10と補強基板30とを接着する接着剤40と、を備え、接着剤40は、ホットメルト接着剤であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電子機器において、可撓性を有する基板上に配線が設けられたフレキシブル回路基板が用いられている。このようなフレキシブル回路基板の一つとして、配線と接続された電極が基板上に形成されたフレキシブル回路基板が知られている。この基板上の電極は、例えば、フレキシブル回路基板に実装される部品の端子が接続されるランドであったり、基板の端部に形成されて、フレキシブル回路基板が他の基板等と接続されるための端子であったりする。基板上の電極が、基板の端部に形成された端子である場合、このフレキシブル回路基板は、端子が形成された端部が、電子機器内のコネクタ等に挿入されて使用される。
【0003】
下記特許文献1には、このようなフレキシブル回路基板が記載されている。下記特許文献1に記載のフレキシブル回路基板においては、樹脂から成る基板の一方の面上の端部に電極としての端子が形成されており、さらに、基板の他方の面上における端子と重なる位置に補強基板が接着されている。この補強基板は、アクリル系接着剤やテープ等により接着されている。そして、フレキシブル回路基板の端子がコネクタ等に挿入されるとき、この補強基板によりフレキシブル回路基板の折れ曲がりが抑制されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平07-29871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載のフレキシブル回路基板においては、補強基板が剥がれてしまう場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、補強基板の剥がれを防止することができるフレキシブル回路基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記特許文献1に記載のフレキシブル回路基板において、補強基板が剥がれてしまう原因について鋭意研究をした。その結果、上記特許文献1に記載のフレキシブル回路基板において、基板がポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートから構成される場合に、補強基板が剥がれてしまうことを見出した。そして、本発明者は、さらに研究を重ねた結果、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートは、一定時間、所定の温度の環境下に放置されるエージングが施されて使用されることが多く、このエージングにより基板の表面に微粒子のオリゴマーが析出していることを見出した。そして、このオリゴマーが、基板と補強基板との接着を阻害しているという結論に達した。そこで、本発明者は、さらに鋭意研究を重ねて本発明をするに至った。
【0008】
すなわち、本発明のフレキシブル回路基板は、一方の面及び他方の面を有し、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んで構成される基板と、前記基板の前記一方の面上に形成される電極と、前記基板の前記他方の面上における少なくとも前記電極と重なる領域に接着される補強基板と、前記基板と前記補強基板とを接着する接着剤と、を備え、前記接着剤は、ホットメルト接着剤であることを特徴とするものである。
【0009】
このようなフレキシブル回路基板によれば、基板の一方の面に形成される電極に外部から力がかかるとき、補強基板により基板の折れ曲がりが抑制できる。このとき、基板と補強基板とを接着する接着剤は、ホットメルト接着剤であるため、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んで構成される基板の表面にオリゴマーが析出している場合においても、補強基板が基板から剥がれることが防止できる。このように接着剤としてホットメルト接着剤を用いる場合に、基板の表面にオリゴマーが析出している場合においても、補強基板が基板から剥がれることが防止できる原因については定かではない。しかし、本発明者は、ホットメルト接着剤が熱により溶かされてから、冷却されて固まるまでに、ホットメルト接着剤が、オリゴマーを包み込むように取り込んで、基板の表面に直接ホットメルト接着剤が付着するためであると考えている。
【0010】
さらに上記フレキシブル回路基板において、前記電極は、前記基板の端部に形成される端子であることが好ましい。
【0011】
このようなフレキシブル回路基板によれば、フレキシブル回路基板の端部に形成された端子がコネクタ等に挿入されるとき、補強基板により基板の折れ曲がりを抑制できる。
【0012】
さらに上記フレキシブル回路基板において、前記補強基板における前記基板の前記端部側と反対側が、前記接着剤により接着されない領域とされ、前記接着されない領域の端部は自由端とされることが好ましい。
【0013】
このようなフレキシブル回路基板によれば、補強基板における接着されない領域の端部が自由端とされることで、この補強基板における接着されない領域を把持することができる。従って、基板の端部に形成される端子をコネクタ等に挿入するとき、補強基板の自由端側を把持して挿入するができ、効率よく端子をコネクタ等に挿入することができる。
【0014】
或いは上記フレキシブル回路基板において、前記電極は、前記基板に実装される電子部品の端子が接続されるランドであることが好ましい。
【0015】
このようなフレキシブル回路基板によれば、基板に電子部品を実装するときに、補強基板により、基板の折れ曲がりによるランドの歪みを抑制して、ランドと電子部品の端子との接続を良好なものとすることができる。
【0016】
さらに上記フレキシブル回路基板において、前記補強基板は、前記基板の前記他方の面上において、前記電子部品が実装される領域と重なる領域全体に接着されることが好ましい。
【0017】
このようなフレキシブル回路基板によれば、電子部品が実装される領域全体において、基板の折れ曲がりが抑制できる。従って、電子部品を適切に実装することができる。
【0018】
また上記フレキシブル回路基板において、前記基板の前記一方の面上において前記電極と接続される配線と、前記配線の前記基板と反対側の表面上において前記配線を被覆する保護層と、を更に備え、前記補強基板は、前記電極と重なる領域から前記保護層と重なる領域まで接着されることが好ましい。
【0019】
このようなフレキシブル回路基板においては、保護層を備えることで、基板の一方の面上に設けられる配線が保護される。このような保護層が設けられる場合においては、外部から基板に力が加わる場合、この力による応力が、基板の保護層が設けられる領域と保護層が設けられない領域との境界に集中する傾向がある。この場合、この境界で断線が生じやすい。しかし、補強基板が、電極と重なる領域から保護層と重なる領域まで接着されるため、補強基板により、この応力が分散されて、応力集中による断線等を防止することができる。
【0020】
また、上記フレキシブル回路基板において、前記ホットメルト接着剤の融点は、80℃〜150℃とされることが好ましい。
【0021】
このような融点のホットメルト接着剤を使用することで、ホットメルト接着剤を溶かすときにポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んで構成される基板の熱による変形を抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、補強基板の剥がれを防止することができるフレキシブル回路基板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係るフレキシブル回路基板の断面における様子を示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係るフレキシブル回路基板の断面における様子を示す断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係るフレキシブル回路基板の断面における様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るフレキシブル回路基板の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るフレキシブル回路基板の断面における様子を示す断面図である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態のフレキシブル回路基板1は、一方の面11及び他方の面12を有する基板10と、基板10の一方の面11上の端部に形成される電極としての端子20と、基板10の他方の面12上に接着される補強基板30と、基板10と補強基板30とを接着する接着剤40とを主な構成として備える。
【0027】
基板10は、可撓性を有する平板状の形状とされている。また、基板10は、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレート(PEN)を含んで構成されている。このような基板10の厚さは、特に限定されるわけではないが、38μm〜300μmとされる。
【0028】
また、この基板10の一方の面11上の端部に形成される端子20は、1層または2層以上の薄い導電層により形成されている。このような導電層としては、特に限定されないが、例えば、導電性ペーストや金属めっき等により構成されている。導電性ペーストとしては、銀粒子やニッケル粒子を含む金属ペーストや、カーボンペーストが挙げられる。また、金属めっきの材料としては、金、銅、ニッケル等が挙げられる。また、端子20が2層の導電層から形成される場合には、銀ペーストから成る層の上にカーボンペーストから成る層が形成されることが好ましい。このように構成することで、カーボンペーストが、導電層としての役割を果たすと共に、銀ペーストのマイグレーションを防止する保護層としての役割を果たすことができる。さらに端子20の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.1μm〜30μmであることが好ましい。
【0029】
また、端子20は、基板10の一方の面11上に設けられ、端子20と同様の構成とされる配線21と接続されている。さらに、この配線21は、基板10側と反対側の表面が絶縁性の保護層50により被覆されている。この絶縁性の保護層50は、ポリイミド等の樹脂や、絶縁性テープにより構成されている。
【0030】
また、基板10の他方の面12に垂直な方向に沿って基板10を見る場合に、基板10の他方の面12上における端子20が形成される端部と重なる領域には、補強基板30が接着剤40により接着されている。この補強基板30は、基板10側の表面の全面が接着剤40と接触して、基板10に接着されている。さらに、補強基板30は、他方の面12に垂直な方向に沿って基板10を見る場合に、保護層50と重なる領域にも接着されている。従って、補強基板30は、端子20が形成される端部と重なる領域から保護層50と重なる領域まで接着されている。
【0031】
この補強基板30は、樹脂から構成されている。この補強基板30を構成する樹脂としては、特に限定されないが、例えば、PET、PEN、ポリイミド、ガラスエポキシ、紙等が挙げられる。また、補強基板30の厚さは、特に限定されるわけではないが、50μm〜250μmとされる。
【0032】
また、この補強基板30と基板10とを接着する接着剤は、ホットメルト接着剤により構成されている。このホットメルト接着剤としては、特に限定されないが、ポリエステル系、ポリオレフィン系、熱可塑性ポリウレタン、合成ゴム系等のホットメルト接着剤が挙げられる。中でも、ポリエステル系のホットメルト接着剤が基板10の材質であるPETやPENとの密着性に富んでいるため、強く接着される観点から好ましい。また、このホットメルト接着剤の融点は、基板10や補強基板30の融点より低い限りにおいて、特に限定されないが、60℃〜200℃とされ、特に、80℃〜150℃とされることが、基板10の熱による変形を抑制する観点から好ましい。
【0033】
本実施形態におけるフレキシブル回路基板1によれば、基板10の端部に形成される端子20がコネクタ等に挿入されるとき、補強基板30により基板10の折れ曲がりが抑制できる。このとき、基板10と補強基板30とを接着する接着剤40は、ホットメルト接着剤であるため、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んで構成される基板10の表面にオリゴマーが析出している場合においても、補強基板30が基板10から剥がれることが防止できる。このように接着剤40としてホットメルト接着剤を用いる場合に、基板10の表面にオリゴマーが析出している場合においても、補強基板30が基板10から剥がれることが防止できる原因については定かではない。しかし、本発明者は、ホットメルト接着剤が熱により溶かされてから、冷却されて固まるまでに、ホットメルト接着剤が、オリゴマーを包み込むように取り込んで、基板10の表面に直接ホットメルト接着剤が接着するためであると考えている。
【0034】
さらに、フレキシブル回路基板1においては、保護層50を備えることで、基板10の一方の面11上に設けられる配線21が保護される。このような保護層50が設けられる場合においては、外部から基板10に力が加わる場合、この力による応力が、基板10の保護層50が設けられる領域と保護層50が設けられない領域との境界に集中する傾向がある。この場合、この境界で断線が生じやすい。しかし、補強基板30が、端子20と重なる領域から保護層50と重なる領域まで接着されるため、補強基板30により、この応力が分散されて、応力集中による断線等を防止することができる。
【0035】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図2を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図2は、本発明の第2実施形態に係るフレキシブル回路基板の断面における様子を示す断面図である。
【0036】
図2に示すように、本実施形態のフレキシブル回路基板2は、補強基板31が基板10に接着される領域33と接着されない領域32とを有する点において、第1実施形態におけるフレキシブル回路基板1と異なる。
【0037】
具体的には、補強基板31は、基板10の他方の面12に垂直な方向に沿って基板10を見る場合に、端子20が形成される端部と重なる領域から保護層50と重なる領域まで接着されており、この接着されている領域が領域33とされる。また、補強基板31において、基板10の端部側と反対側の領域が基板10に接着されておらず、この接着されていない領域が領域32とされる。そして、この接着されていない領域32の端部が自由端とされている。この接着されていない領域32の長さは、特に限定されないが、2mm〜20mmであることが、補強基板31の自由端側を把持する観点から好ましい。
【0038】
本実施形態におけるフレキシブル回路基板2によれば、補強基板31における接着されない領域32の端部が自由端とされることで、この補強基板31における接着されない領域32を把持することができる。従って、基板10の端部に形成される端子20をコネクタ等に挿入するとき、補強基板31の自由端側を把持して挿入するができ、効率よく端子20をコネクタ等に挿入することができる。
【0039】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図3を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図3は、本発明の第3実施形態に係るフレキシブル回路基板の断面における様子を示す断面図である。
【0040】
図3に示すように、本実施形態のフレキシブル回路基板3は、基板10の一方の面11上に形成される一対の電極としてのランド23、23を備えている。ランド23は、第1実施形態における端子20と同様の構成とされる。また、それぞれのランド23、23には、配線21が接続されている。そして、配線21は、保護層50により被覆されている。
【0041】
また、これら一対のランド23、23が形成される領域、及び、基板10の一対のランド23、23で挟まれる領域は、電子部品70が実装される領域15とされる。この電子部品70は、本体71の両端部に一対の端子72が形成された構成とされている。このような電子部品70としては、例えば、コンデンサ、LED、フィルタ、半導体部品等が挙げられる。そして、電子部品70が基板10に実装されるとき、一対のランド23、23は、図示しない導電性ペースト等の導電性接続部材により、一対の端子72、72と接続される。
【0042】
そして、基板10の他方の面12に垂直な方向に沿って基板10を見る場合に、基板10の他方の面12上における電子部品70が実装される領域15と重なる領域には、補強基板30が接着剤40により接着されている。具体的には、補強基板30は、領域15と重なる領域から、保護層50と重なる領域にかけて接着されている。
【0043】
本実施形態におけるフレキシブル回路基板3によれば、基板10に電子部品70を実装するときに、基板10の折れ曲がりによるランド23の歪みを抑制して、ランド23と電子部品70の端子72との接続を良好なものとすることができる。
【0044】
さらにフレキシブル回路基板3は、補強基板30が、基板10の他方の面12上において、電子部品70が実装される領域と重なる領域全体に接着されているため、電子部品70が実装される領域全体において、基板10の折れ曲がりが抑制できる。従って、電子部品70を適切に実装することができる。
【0045】
以上、本発明について、第1、第2実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0046】
例えば、第1〜第3実施形態において、配線21は、保護層50により保護されるものとしたが、保護層50を設けなくても良い。
【0047】
また、端子20と配線21とは、同様の構成とされたが、端子20と配線21とが異なる構成であっても良い。例えば、配線21が導線性ペーストから構成され、端子20が金属めっきにより構成されたり、端子20が2層以上の導電層により形成される場合には、配線21が端子20の基板10側の導電層により形成されても良い。
【0048】
また、第3実施形態において、ランド23は一対とされたが、ランド23の数は、基板10に実装される電子部品の種類により異なる。従って、ランド23の数は、1つでも良く、3つ以上とされても良い。
【実施例】
【0049】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものでは無い。
【0050】
(実施例1)
厚さが75μmのPETから成る基板を準備し、175℃の環境下で2時間エージングした。その後、この基板の一方の面上の端部に銀ペーストにより、複数の端子と配線とを形成した。また、厚さが188μmのPETから成る補強基板を準備した。その後、この補強基板に、シートタイプの接着剤として共重合ポリエステル系のホットメルト接着剤(東亜合成社製、型番PSE1100EE)を張り付けた。
【0051】
次に複数の端子が形成された基板の他方の面上に、ホットメルト接着剤が配置されるように、基板と補強基板とを重ね合わせた。そして、熱ラミネータにより、120℃で3秒間ホットメルト接着剤を溶かし、次いで、自然冷却によりホットメルト接着剤を固化した。このとき、ホットメルト接着剤の厚さは、30μmであった。
【0052】
次に、型抜き機により、基板と補強基板とを打ち抜き、複数のフレキシブル回路基板を作成した。このとき基板は、幅が11.5mmで、長さが70mmであり、補強基板の幅と長さは、基板と同様にした。また、このとき打ち抜きの位置を調整して、ホットメルト接着剤が、基板及び補強基板の端部において、幅が基板と同様で、長さが10mmとなるようにした。そして、補強基板におけるホットメルト接着剤で接着されない領域は、長さが20mmとなるようにして、補強基板の接着されていない領域の端部を自由端とした。
【0053】
(実施例2)
接着剤として、補強基板にシート型のホットメルト接着剤を張り付ける代わりに、100℃で溶かされた架橋反応型ポリエステル系のホットメルト接着剤(藤倉化成社製、型番なし)を補強基板上に印刷したこと以外は、実施例1と同様にしてフレキシブル回路基板を作成した。
【0054】
(比較例1)
接着剤として、アクリル系接着剤を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてフレキシブル回路基板を作成した。
【0055】
(ピール試験)
次に、それぞれのフレキシブル回路基板について、基板を固定し、補強基板の自由端を基板に平行な方向に沿って、補強基板の自由端側から基板と補強基板とが接着されている端部側に向かう方向に引っ張り、基板から補強基板を引き剥がした。このとき引き剥がす速さは、100mm/分とした。このとき幅20mm当たりにおいて、基板から補強基板を引き剥がす力について測定した。その結果を表1に示す。
【0056】
(折り曲げ試験)
次に、基板と補強基板とが接着されている領域と、基板と補強基板とが接着されていない領域との境界を支点にして、折り曲げ試験を行った。この折り曲げの半径を徐々に小さくしていき、補強基板の剥がれ量が1.0mm以上になったときの半径を測定した。その結果を表1に示す。
【0057】
(クリープ試験)
次に、基板が上で補強基板が下になるようにして、基板を水平に固定し、補強基板の自由端に幅1mmあたりにつき質量が3gとなる重りを固定した。こうして、補強基板の接着されていない領域が垂直になった状態で、80℃で20時間放置した。そして、20時間後に補強基板の剥がれの長さを測定した。その結果を表1に示す。
【表1】

【0058】
表1に示すようにピール試験において、実施例1、2は、共に比較例1よりも強い力で補強基板を基板から引き剥がす結果となった。
【0059】
また、折り曲げ試験において、実施例1、2は、共に比較例1よりも小さい半径となるまで、補強基板の剥がれが1.0mm以上にならなかった。
【0060】
また、クリープ試験において、実施例1、2は、共に比較例1よりも小さい剥がれの長さとなった。
【0061】
以上より、本発明によるフレキシブル回路基板によれば、補強基板の剥がれが防止できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、補強基板の剥がれを防止することができるフレキシブル回路基板が提供される。
【符号の説明】
【0063】
1、2、3・・・フレキシブル回路基板
10・・・基板
20・・・端子(電極)
21・・・配線
23・・・ランド(電極)
30、31・・・補強基板
40・・・接着剤
50・・・保護層
70・・・電子部品
71・・・本体
72・・・端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面及び他方の面を有し、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んで構成される基板と、
前記基板の前記一方の面上に形成される電極と、
前記基板の前記他方の面上における少なくとも前記電極と重なる領域に接着される補強基板と、
前記基板と前記補強基板とを接着する接着剤と、
を備え、
前記接着剤は、ホットメルト接着剤である
ことを特徴とするフレキシブル回路基板。
【請求項2】
前記電極は、前記基板の端部に形成される端子である
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項3】
前記補強基板における前記基板の前記端部側と反対側が、前記接着剤により接着されない領域とされ、前記接着されない領域の端部は自由端とされる
ことを特徴とする請求項2に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項4】
前記電極は、前記基板に実装される電子部品の端子が接続されるランドである
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項5】
前記補強基板は、前記基板の前記他方の面上において、前記電子部品が実装される領域と重なる領域全体に接着される
ことを特徴とする請求項4に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項6】
前記基板の前記一方の面上において、前記電極と接続される配線と、
前記配線の前記基板と反対側の表面上において、前記配線を被覆する保護層と、
を更に備え、
前記補強基板は、前記電極と重なる領域から前記保護層と重なる領域まで接着される
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項7】
前記ホットメルト接着剤の融点は、80℃〜150℃とされる
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のフレキシブル回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−138805(P2011−138805A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295894(P2009−295894)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】