説明

フレキシブル基板積層体

【課題】フレキシブル基板に形成されたパターンの寸法精度を容易に向上させることができるフレキシブル基板積層体を提供する。
【解決手段】本発明によるフレキシブル基板積層体10、一対のフレキシブル基板11、12と、一対のフレキシブル基板11、12の間に介在された粘着層13とを備えている。一対のフレキシブル基板11、12のうち一方のフレキシブル基板11に、パターン14が形成されている。この一方のフレキシブル基板11のうちパターン14が形成された部分において、一対のフレキシブル基板11、12を貼り合せたことにより生じたひずみが、±0.01%以内となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のフレキシブル基板と、一対のフレキシブル基板の間に介在され、当該一対のフレキシブル基板を貼り合わせた粘着層とを備えたフレキシブル基板積層体に係り、とりわけ、一方のフレキシブル基板に形成されたパターンの寸法精度を容易に向上させることができるフレキシブル基板積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、電子ペーパーディスプレイ等のフラットパネルディスプレイの急速な普及に伴って、このようなディスプレイを構成するディスプレイ部材の需要が拡大している。現在のフラットパネルディスプレイは、その用途を、テレビやデスクトップモニターのみならず、携帯用ノートパソコン、携帯電話、携帯用ゲーム機、電子リーダー、電子ブックなどの携帯型電子機器にまで広く拡大していることから、さらなる軽量化、小型化、および薄型化が必要とされている。このため、ディスプレイ部材としても、軽量化、小型化、および薄型化が求められている。
【0003】
このような状況において、従来、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、電子ペーパーディスプレイ等を構成するディスプレイ部材としては、これまで主として用いられてきたガラス基板に替わり、可撓性を有するフレキシブル基板を用いたディスプレイ部材が提案されている。ディスプレイ部材において、ガラス基板の替わりにフレキシブル基板を用いることにより、ディスプレイを、フレキシブルディスプレイとすることも可能となる。現に、このようなフレキシブルディスプレイとしては、例えば、透明タッチパネル、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−36859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、フレキシブル基板は、従来のガラス基板等に比べて機械的強度が低いことから、フレキシブル基板を用いてディスプレイ部材を製造する場合、特に、パターンが形成された一のフレキシブル基板に、他のフレキシブル基板を粘着層によって貼り合わせる場合に、フレキシブル基板が歪み、フレキシブル基板に形成されたパターンの寸法精度が低下するという問題があった。この場合、歪んだフレキシブル基板に、他の対向基板を位置合わせして接合することが困難になる。例えば、解像度200dpiで1ピクセルに赤色画素、緑色画素、青色画素が一列に並んでいるカラーフィルターにおいて、200mmの距離を有するパターン間が40μm変化する(200ppmの寸法変化に相当)場合には、一色分のずれが生じることになり、重大な欠陥となる。このため、フレキシブル基板を用いて大面積のカラーフィルターを製造することは困難であった。また、フレキシブル基板に、パターニング工程に3〜5μmの位置合わせ精度を必要とするアクティブマトリックス方式のスイッチング素子を形成することも困難であった。
【0006】
ところで、フレキシブル基板の寸法変化を抑制するために、フレキシブル基板に応力緩和孔を設ける方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。ここでは、フレキシブル基板の表示領域に負荷される応力を、応力緩和孔を変形させることによって緩和し、当該表示領域に歪みが生じることを防止している。しかしながら、このような方法では、フレキシブル基板に、上述したような応力緩和孔を設ける工程が必要となり、ディスプレイ部材を製造する工程が煩雑になるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、フレキシブル基板に形成されたパターンの寸法精度を容易に向上させることができるフレキシブル基板積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一対のフレキシブル基板と、前記一対のフレキシブル基板の間に介在された粘着層と、を備え、前記一対のフレキシブル基板のうち一方のフレキシブル基板に、パターンが形成されており、前記一方のフレキシブル基板のうち前記パターンが形成された部分において、前記一対のフレキシブル基板を貼り合せたことにより生じたひずみが、±0.01%以内であることを特徴とするフレキシブル基板積層体を提供する。
【0009】
本発明によれば、一方のフレキシブル基板のうちパターンが形成された部分において、一対のフレキシブル基板を貼り合せたことにより生じたひずみを低減することができる。このことにより、一対のフレキシブル基板を貼り合せる前のパターンの寸法と、貼り合せた後のパターンの寸法との差を低減することができる。このため、貼り合せ前後でパターンの寸法が変化することを抑制し、当該一方のフレキシブル基板に形成されたパターンの寸法精度を容易に向上させることができる。この場合、後の工程で接合される他のパターンが形成された対向基板と、容易に、かつ精度良く、パターンを位置合わせすることができる。
【0010】
なお、上述したフレキシブル基板積層体において、前記一方のフレキシブル基板に、前記パターンは複数形成されており、前記一方のフレキシブル基板のうち一の前記パターンが形成された部分において、前記一対のフレキシブル基板を貼り合せたことにより生じたひずみと、他の前記パターンが形成された部分において、当該貼り合せにより生じたひずみとの差が、±0.01%以内である、ようにしてもよい。この場合、一方のフレキシブル基板のうち一のパターンが形成された部分において、一対のフレキシブル基板を貼り合せたことにより生じたひずみと、他のパターンが形成された部分において、この貼り合せにより生じたひずみとの差を低減することができる。このため、貼り合せ前後で各パターンの寸法が異なることを抑制し、当該一方のフレキシブル基板に形成された各パターンの寸法精度を容易に向上させることができる。この場合、後の工程で接合される他のパターンが形成された対向基板と、容易に、かつ精度良く、各パターンを位置合わせすることができ、精度良いパターンを、量産することができる。
【0011】
なお、上述したフレキシブル基板積層体において、前記パターンは、前記一方のフレキシブル基板の前記粘着層側の面に形成されている、ようにしてもよい。
【0012】
また、上述したフレキシブル基板積層体において、前記パターンは、前記一方のフレキシブル基板の前記粘着層とは反対側の面に形成されている、ようにしてもよい。
【0013】
また、上述したフレキシブル基板積層体において、前記一対のフレキシブル基板のうち他方のフレキシブル基板に、バリア層が設けられている、ようにしてもよい。
【0014】
また、上述したフレキシブル基板積層体において、前記一対のフレキシブル基板のうち他方のフレキシブル基板に、反射防止層が設けられている、ようにしてもよい。
【0015】
また、上述したフレキシブル基板積層体において、前記一対のフレキシブル基板のうち他方のフレキシブル基板に、ハードコート層が設けられている、ようにしてもよい。
【0016】
また、上述したフレキシブル基板積層体において、前記パターンは、カラーフィルター用の画素パターンを有する、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、一対のフレキシブル基板のうち一方のフレキシブル基板に形成されたパターンの寸法精度を容易に向上させることができ、後の工程で接合される他のパターンが形成された対向基板と、容易に、かつ精度良く、パターンを位置合わせすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態におけるフレキシブル基板積層体の構成を示す図。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態において、第1フレキシブル基板を示す平面図。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態における貼合装置の概略を示す図。
【図4】図4(a)は、本発明の第1の実施の形態において、一対のフレキシブル基板が貼り合わされる前の状態を示す図。図4(b)は、一対のフレキシブル基板が貼り合わされた状態を示す図。図4(c)は、対向基板が接合された状態を示す図。
【図5】図5(a)は、本発明の第1の実施の形態の変形例において、一対のフレキシブル基板が貼り合わされる前の状態を示す図。図5(b)は、一対のフレキシブル基板が貼り合わされた状態を示す図。図5(c)は、対向基板が接合された状態を示す図。
【図6】図6(a)は、本発明の第1の実施に形態の変形例において、バリア層を有するフレキシブル基板積層体の構成を示す図。図6(b)は、AG層を有するフレキシブル基板積層体の構成を示す図。図6(c)は、AR層を有するフレキシブル基板積層体の構成を示す図。図6(d)は、ハードコート層を有するフレキシブル基板積層体の構成を示す図。
【図7】図7(a)は、本発明の第1の実施の形態の変形例において、バリア層とハードコート層とを有するフレキシブル基板積層体の構成を示す図。図7(b)は、バリア層とAG層とを有するフレキシブル基板積層体の構成を示す図。図7(c)は、バリア層とAR層とを有するフレキシブル基板積層体の構成を示す図。
【図8】図8は、本発明の第2の実施の形態におけるフレキシブル基板積層体の構成を示す図。
【図9】図9(a)は、本発明の第2の実施の形態において、一対のフレキシブル基板が貼り合わされる前の状態を示す図。図9(b)は、一対のフレキシブル基板が貼り合わされた状態を示す図。図9(c)は、対向基板が接合された状態を示す図。
【図10】図10(a)は、本発明の第2の実施の形態の変形例において、一対のフレキシブル基板が貼り合わされる前の状態を示す図。図10(b)は、一対のフレキシブル基板が貼り合わされた状態を示す図。図10(c)は、対向基板が接合された状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。ここで、図1乃至図7は、本発明の第1の実施の形態におけるフレキシブル基板積層体を説明するための図である。
【0020】
まず、図1により、本実施の形態におけるフレキシブル基板積層体10について説明する。図1に示すフレキシブル基板積層体10は、一対の帯状のフレキシブル基板(第1フレキシブル基板11、第2フレキシブル基板12)と、第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12との間に介在され、第1フレキシブル基板11および第2フレキシブル基板12を貼り合わせた粘着層13と、を備えている。
【0021】
図1および図2に示すように、第1フレキシブル基板11には、カラーフィルター用のパターン14が複数形成されている。各パターン14は、赤色画素15a、緑色画素15b、および青色画素15c(必要に応じてブラックマトリックス(図示せず))を含むカラーフィルター用の矩形状の画素パターン15と、画素パターン15の四隅に対応する位置にそれぞれ形成された十字状のマーク16とを有している。このようなパターン14は、第1フレキシブル基板11の粘着層13側の面に形成され、粘着層13は第2フレキシブル基板12とパターン14に粘着されている。
【0022】
第1フレキシブル基板11のうち各パターン14が形成された部分において、一対のフレキシブル基板11、12を貼り合せたことにより生じたひずみが、±0.01%以内、好ましくは、±0.005%以内となっている。すなわち、第1フレキシブル基板11の当該部分の寸法の貼り合せ前後における変形量が、貼り合せ前の当該部分の寸法に対して、±0.01%(例えば、100mmの基準寸法に対するずれ量が±10μm)以内、好ましくは±0.005%(例えば、100mmの基準寸法に対するずれ量が±5μm)以内となっている。この場合、第1フレキシブル基板11および第2フレキシブル基板12を貼り合せる前のパターン14の寸法と、第1フレキシブル基板11および第2フレキシブル基板12を貼り合わせた後のパターン14の寸法との差は、±0.01%以内、好ましくは、±0.005%以内になる。このことにより、各パターン14の寸法精度を向上させて、カラーフィルターとしての表示画像の精度を向上させることができる。具体的には、カラーフィルター用の画素パターン15を有するフレキシブル基板積層体10とTFTアレイの貼り合せにおいては、寸法のずれ量を±10μm以内とすることにより、液晶素子の駆動に不具合が生じることを防止し、画素の透過率や色を所定の範囲に維持でき、画像の表示を良好にすることができる。
【0023】
また、第1フレキシブル基板11のうち一のパターン14が形成された部分において、一対のフレキシブル基板11、12を貼り合せたことにより生じたひずみと、他のパターン14が形成された部分において、この貼り合せにより生じたひずみとの差が、±0.01%以内、好ましくは、±0.005%以内になっている。この場合、一のパターン14の寸法と、他のパターン14の寸法との差は、±0.01%以内、好ましくは、±0.005%以内になる。このことにより、各パターン14の寸法精度を向上させて、複数のパターン14を、精度良く量産することができる。
【0024】
次に、各フレキシブル基板11、12の材料について説明する。本実施の形態におけるフレキシブル基板11、12は、引張力が負荷された場合であっても可塑性が著しく高いものでなければ特に限定されることはなく、ディスプレイ用途に応じて適宜選択して用いることができる。このようなフレキシブル基板としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、セルローストリアセテート(CTA)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリサルフォン(PSF)、ポリアミドイミド(PAI)、ノボルネン系樹脂、アリルエステル樹脂等の合成樹脂を挙げることができる。このうち、PEN、PETを用いることが好適である。
【0025】
フレキシブル基板11、12の厚さとしては、10μm〜500μmの範囲内、好ましくは20μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。フレキシブル基板11、12の厚さが上記範囲よりも厚すぎると、可撓性が損なわれ、折れやすくなり、ロール状に巻き取ることが困難になるからである。一方、上記範囲よりも薄すぎると、こしが無くなり、各工程における取り扱いが困難になるからである。
【0026】
フレキシブル基板11、12の幅としては、特に限定されるものではないが、例えば、50mm〜2000mmの範囲内、好ましくは100mm〜1500mmの範囲内であることが好ましい。
【0027】
なお、フレキシブル基板11、12は、単一層よりなる構成であっても良く、あるいは、複数の層が積層された構成を有するものであっても良い。
【0028】
粘着層13の材料としては、柔軟性を有する材料であれば特に限定されるものではなく、アクリル系、スチレン系等の樹脂材料からなっていることが好ましい。また、粘着層13の厚さとしては、柔軟性が喪失されない程度の厚さであれば良い。
【0029】
次に、図3を用いて、第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12とを貼り合わせる貼合装置20について説明する。図3に示す貼合装置20は、パターン14が形成された第1フレキシブル基板11を繰り出す第1繰出ロール21と、粘着層13が設けられた第2フレキシブル基板12を繰り出す第2繰出ロール22とを有している。
【0030】
第1繰出ロール21および第2繰出ロール22の下流側に、第1繰出ロール21から繰り出された第1フレキシブル基板11と、第2繰出ロール22から繰り出された第2フレキシブル基板12をラミネートするラミネート部23が設けられている。このラミネート部23において、第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12が粘着層13を介して貼り合わされ、フレキシブル基板積層体10が作製される。また、ラミネート部23は、一対の押圧ローラ23aからなっており、一対の押圧ローラ23a間の圧力を調整することにより、第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12をラミネートする際のラミネート圧力を調整することができるようになっている。
【0031】
ラミネート部23の下流側には、フレキシブル基板積層体10をロール状に巻き取る巻取ロール24が設けられている。この巻取ロール24は、フレキシブル基板積層体10を搬送する駆動部としての機能を有している。
【0032】
また、図3に示す貼合装置20においては、第1繰出ロール21および第2繰出ロール22に搬送方向とは反対側にトルクを負荷して、このトルクを調整することにより、搬送されている第1フレキシブル基板11および第2フレキシブル基板12に負荷される張力をそれぞれ調整可能になっている。
【0033】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち本実施の形態による一対のフレキシブル基板の貼合方法(フレキシブル基板積層体の製造方法)について説明する。
【0034】
まず、第1フレキシブル基板11に、画素パターン15とマーク16とを有する複数のパターン14(図1および図2参照)が形成される。
【0035】
その後、パターン14が半径方向外側に配置されるように第1フレキシブル基板11がロール状に巻き付けられて、第1繰出ロール21(図3参照)に取り付けられる。
【0036】
一方、第2フレキシブル基板12に粘着層13が設けられ、当該粘着層13が半径方向外側に配置されるように第2フレキシブル基板12がロール状に巻き付けられて、第2繰出ロール22に取り付けられる。
【0037】
次に、巻取ロール24が駆動され、第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12が貼り合わされて(図4(a)参照)、フレキシブル基板積層体10が作製される(図4(b)参照)。
【0038】
この場合、まず、第1繰出ロール21から第1フレキシブル基板11が繰り出されると共に、第2繰出ロール22から第2フレキシブル基板12が繰り出される。続いて、繰り出された第1フレキシブル基板11および第2フレキシブル基板12が、ラミネート部23において、粘着層13を介して、互いに貼り合わされる。ラミネート部23では、第1フレキシブル基板11に形成されたパターン14と、第2フレキシブル基板12に設けられた粘着層13とが、互いに向かい合うように(図4(a)参照)、第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12とが貼り合わされる。
【0039】
第1フレキシブル基板11および第2フレキシブル基板12が搬送されている間、第1フレキシブル基板11に負荷される単位断面積当たりの張力と、第2フレキシブル基板12に負荷される単位断面積当たりの張力が、それぞれ小さく、かつ同程度の値となることが好ましい。例えば、各単位断面積当たりの張力は、0.026N/mm以上4000N/mm以下であることが好ましい。このことにより、貼り合せ時に第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12にしわが形成されることを防止すると共に第1フレキシブル基板11の変形と第2フレキシブル基板12の変形を抑制することができる。ここで、第1フレキシブル基板11に負荷される単位断面積当たりの張力(応力)は、搬送されている第1フレキシブル基板11に負荷される張力を、第1フレキシブル基板11の断面積(幅×厚さ)で割ることにより求められ、第2フレキシブル基板12に負荷される単位断面積当たりの張力(応力)は、搬送されている第2フレキシブル基板12に負荷される張力を、第2フレキシブル基板12の断面積(幅×厚さ)で割ることにより求められる。
【0040】
また、各単位断面積当たりの張力の差は、一対のフレキシブル基板11、12が同一のヤング率を有する場合には、±0.01%以内であることが好ましい。このことにより、第1フレキシブル基板11の変形量と第2フレキシブル基板12の変形量を同程度にすることができる。なお、第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12とで材料が異なる場合には、上述した単位断面積当たりの張力から、それぞれの材料のヤング率を用いて張力によるひずみを算出して、第1フレキシブル基板11の張力によるひずみと第2フレキシブル基板12の張力によるひずみが同程度(例えば、張力によるひずみの差が±0.01%以内)となるように張力を設定すれば良い。
【0041】
また、この間、第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12をラミネートする際のラミネート圧力は、低くすることが好ましく、例えば、0MPa以上1MPa以下とすることが好ましい。このことにより、第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12を確実に貼り合わせると共に、第1フレキシブル基板11の変形と第2フレキシブル基板12の変形を抑制することができる。
【0042】
このようにして、図1に示すような、第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12とが粘着層13によって貼り合わされたフレキシブル基板積層体10が得られる。このフレキシブル基板積層体10において、第1フレキシブル基板11のうち各パターン14が形成された部分において貼り合せにより生じたひずみを、少なくとも±0.01%以内とすることができると共に、第1フレキシブル基板11のうち一のパターン14が形成された部分において貼り合せにより生じたひずみと、他のパターン14が形成された部分において貼り合せにより生じたひずみとの差を、少なくとも±0.01%以内とすることができる。このため、第1フレキシブル基板11および第2フレキシブル基板12にそれぞれ負荷される単位断面積当たりの張力と、第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12との間のラミネート圧力とを調整することにより、パターン14の寸法精度を容易に向上させることができる。
【0043】
その後、フレキシブル基板積層体10は、巻取ロール24に巻き取られ、ロール状に形成される。
【0044】
このようにして得られたフレキシブル基板積層体10は、図4(c)に示すように、この後、他のパターン(例えば、TFT、画像表示素子など)が形成されたマーク付き対向基板30に接合される。
【0045】
ここで、第1フレキシブル基板11において、第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12とを貼り合せたことにより生じたひずみを確認する方法について説明する。このようなひずみは、第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12とを貼り合せる前後において、第1フレキシブル基板11のパターン14の寸法を測定することにより得られる。パターン14の寸法として、マーク16間の寸法を用いる場合には、例えば、第1フレキシブル基板11の幅方向のマーク16間のA寸法と、長手方向のマーク16間のB寸法とを測定すれば良い(図2参照)。なお、寸法の測定には、一般に測長機を用いることが好ましい。とりわけ、マイクロメートル単位まで寸法を測定することができる精密な測長機がより好ましい。例えば、SOKKIA製の超精密自動2次元座標測定機や、ニコンインストルメンツカンパニー製のCNC画像測定システムなどを使用することができる。
【0046】
貼り合せ前の各パターン14のマーク16間のA寸法およびB寸法と、貼り合せ後の当該A寸法およびB寸法とを用いて、各寸法の差を求め、第1フレキシブル基板11のうち各パターン14が形成された部分の貼り合せにより生じたひずみを確認することができる。
【0047】
パターン14の寸法として、マーク16間のA寸法およびB寸法を測定することに限られることはなく、画素パターン15の寸法を測定しても良い。この場合、画素パターン15の幅方向の寸法と、長手方向の寸法とを測定すれば良い。あるいは、幅方向に連続した所定数の赤色画素15a、緑色画素15b、および青色画素15cの集合体の寸法と、長手方向に連続した所定数の赤色画素15a、緑色画素15b、および青色画素15cの集合体の寸法を測定しても良い。
【0048】
また、図1に示すフレキシブル基板積層体10が作製された後(すなわち、第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12とが貼り合わされた後)に、第1フレキシブル基板11上のパターン14の貼り合せ前の寸法を求める方法について説明する。
【0049】
この場合、まず、フレキシブル基板積層体10をアセトンなどの有機溶剤に十分に浸す。続いて、第1フレキシブル基板11から第2フレキシブル基板12と粘着層13とが、第1フレキシブル基板11に大きな張力が負荷されないように剥離される。このことにより、第2フレキシブル基板12の応力によるパターン14への影響を取り除くと共に、第1フレキシブル基板11が変形することを防止しながら、第2フレキシブル基板12を第1フレキシブル基板11から剥離することができる。
【0050】
なお、第2フレキシブル基板12による応力の影響を取り除くための別の方法として、第2フレキシブル基板12を第1フレキシブル基板11から剥離することなく、第2フレキシブル基板12のみを、例えば10mm間隔で格子状にハーフカットしても良い。
【0051】
次に、第1フレキシブル基板11が、第2フレキシブル基板12を剥離する前にマーク16間の寸法を測定した際の雰囲気と同じ温湿度の雰囲気に曝され、第1フレキシブル基板11から溶剤が蒸発して平衡状態となるまで放置される。このことにより、剥離された第1フレキシブル基板11の温度および吸水率を、剥離前の第1フレキシブル基板11の温度および吸水率と等しくすることができる。このため、周囲環境の変化による寸法変化の要因を取り除くことができる。
【0052】
その後、この第1フレキシブル基板11上の各パターン14のマーク16間のA寸法およびB寸法が測定される。このようにして得られたマーク16間のA寸法およびB寸法は、第2フレキシブル基板12を貼り合わせる前のA寸法およびB寸法に相当する。このことにより、第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12とを貼り合わせた後であっても、貼り合わせる前のA寸法およびB寸法を得ることができる。このため、このようにして得られた貼り合せ前のパターン14のマーク16間のA寸法およびB寸法と、貼り合せ後のA寸法およびB寸法とにより、貼り合せ前後における各寸法の差をそれぞれ求めて、第1フレキシブル基板11のうちパターン14が形成された部分のひずみを確認することができる。
【0053】
このように本実施の形態によれば、第1フレキシブル基板11のうち一のパターン14が形成された部分において、一対のフレキシブル基板11、12を貼り合せたことにより生じたひずみは、少なくとも±0.01%以内となっている。このことにより、第1フレキシブル基板11のうちパターン14が形成された部分の貼り合せによるひずみを低減することができ、貼り合せ前のパターン14の寸法と、貼り合せ後のパターン14の寸法との差を低減することができる。このため、貼り合せ前後でパターン14の寸法が変化することを抑制し、第1フレキシブル基板11に形成されたパターン14の寸法精度を容易に向上させることができる。この場合、後の工程で接合される他のパターン14が形成されたマーク付き対向基板30と、容易に、かつ精度良く、パターン14を位置合わせすることができる。
【0054】
また、本実施の形態によれば、第1フレキシブル基板11のうち一のパターン14が形成された部分において、一対のフレキシブル基板11、12を貼り合せたことにより生じたひずみと、他のパターン14が形成された部分において、この貼り合せにより生じたひずみとの差を低減することができる。このため、貼り合せ前後で各パターン14の寸法が異なることを抑制し、第1フレキシブル基板11に形成された各パターン14の寸法精度を容易に向上させることができる。この場合、後の工程で接合される他のパターンが形成された対向基板30と、容易に、かつ精度良く、各パターン14を位置合わせすることができ、精度良いパターン14を、量産することができる。
【0055】
なお、本実施の形態においては、粘着層13が、貼り合せ前に、第2フレキシブル基板12に設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、粘着層13を、貼り合せ前に、第2フレキシブル基板12に設けることなく、第1フレキシブル基板11に形成されたパターン14に設けるようにしても良い。
【0056】
この場合、粘着層13を半径方向外側に配置させるように、第1フレキシブル基板11がロール状に巻き付けられた第1繰出ロール21(図3参照)を準備する。また、第2フレキシブル基板12がロール状に巻き付けられた第2繰出ロール22を準備する。このこと以外は、上述した実施の形態と同様にして、第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12が、粘着層13を介して貼り合わされて(図5(a)参照)、図1に示すフレキシブル基板積層体10を作製することができる(図5(b)参照)。その後、フレキシブル基板積層体10は、他のパターン(例えば、TFT、画像表示素子など)が形成されたマーク付き対向基板30に接合される(図5(c)参照)。このように、貼り合せ前に粘着層13がパターン14に設けられることにより、例えば、後述するように、貼り合せ前の第2フレキシブル基板12に、立体形状を有する機能層が積層される場合、または繊細なバリア層40(図6および図7参照)、反射防止層41、42、若しくはレンズシート(図示せず)が積層される場合であっても、これらの機能層の性能を良好に維持することができる。
【0057】
また、本実施の形態においては、第2フレキシブル基板12に粘着層13のみが設けられている例について説明した。しかしながらこのことに限られることはなく、図6に示すように、第2フレキシブル基板12の粘着層13とは反対側の面に、各種機能層が設けられるようにしても良い。
【0058】
このようなフレキシブル基板積層体10としては、例えば、図6(a)に示すように、第2フレキシブル基板12の粘着層13とは反対側の面に、酸素が透過することを抑制するバリア層40が設けられていても良い。この場合、粘着層13とバリア層40とが予め設けられた第2フレキシブル基板12を、第1フレキシブル基板11と貼り合わせて、図6(a)に示すフレキシブル基板積層体10を作製するようにしても良く、あるいは、粘着層13のみが設けられた第2フレキシブル基板12を、第1フレキシブル基板11と貼り合わせた後、第2フレキシブル基板12の粘着層13とは反対側の面に、バリア層40を形成して、図6(a)に示すフレキシブル基板積層体10を作製するようにしても良い。このことにより、バリア層40を有するフレキシブル基板積層体10であっても、パターン14の寸法精度を容易に向上させることができる。
【0059】
また、例えば、図6(b)、(c)に示すように、第2フレキシブル基板12の粘着層13とは反対側の面に、画面のちらつきを抑制する反射防止層(AG(アンチグレア)層41、またはAR(アンチリフレクション)層42)が設けられていても良い。この場合、粘着層13と反射防止層41、42とが予め設けられた第2フレキシブル基板12を、第1フレキシブル基板11と貼り合わせて、図6(b)、(c)に示すフレキシブル基板積層体10を作製するようにしても良く、あるいは、粘着層13のみが設けられた第2フレキシブル基板12を、第1フレキシブル基板11と貼り合わせた後、第2フレキシブル基板12の粘着層13とは反対側の面に、反射防止層41、42を形成して、図6(b)、(c)に示すフレキシブル基板積層体10を作製するようにしても良い。このことにより、反射防止層41、42を有するフレキシブル基板積層体10であっても、パターン14の寸法精度を容易に向上させることができる。
【0060】
さらに、例えば、図6(d)に示すように、第2フレキシブル基板12の粘着層13とは反対側の面に、ディスプレイに傷が付くことを防止するハードコート層43が設けられていても良い。この場合、粘着層13とハードコート層43とが予め設けられた第2フレキシブル基板12を、第1フレキシブル基板11と貼り合わせて、図6(d)に示すフレキシブル基板積層体10を作製するようにしても良く、あるいは、粘着層13のみが設けられた第2フレキシブル基板12を、第1フレキシブル基板11と貼り合わせた後、第2フレキシブル基板12の粘着層13とは反対側の面に、ハードコート層43を形成して、図6(d)に示すフレキシブル基板積層体10を作製するようにしても良い。このことにより、ハードコート層43を有するフレキシブル基板積層体10であっても、パターン14の寸法精度を容易に向上させることができる。
【0061】
また、フレキシブル基板積層体10は、図7に示すように、2つの機能層を有していても良い。
【0062】
このようなフレキシブル基板積層体10としては、例えば、図7(a)に示すように、第2フレキシブル基板12に、バリア層40、第2の粘着層45、第3フレキシブル基板46、ハードコート層43が、順次積層されていても良い。この場合、第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12との貼り合せ、第2フレキシブル基板12と第3フレキシブル基板46との貼り合せの順序は限定されるものではなく、また、図6に示すフレキシブル基板積層体10と同様に、バリア層40およびハードコート層43は、任意のタイミングで、第2フレキシブル基板12および第3フレキシブル基板46にそれぞれ形成することができる。このようにして、図7(a)に示すフレキシブル基板積層体10を作製することができる。このことにより、バリア層40とハードコート層43とを有するフレキシブル基板積層体10であっても、パターン14の寸法精度を容易に向上させることができる。
【0063】
また、例えば、図7(b)、(c)に示すように、第2フレキシブル基板12に、バリア層40、第2の粘着層45、第3フレキシブル基板46、反射防止層(AG層41またはAR層42)が、順次積層されていても良い。この場合、第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12との貼り合せ、第2フレキシブル基板12と第3フレキシブル基板46との貼り合せの順序は限定されるものではなく、また、図6に示すフレキシブル基板積層体10と同様に、バリア層40および反射防止層41、42は、任意のタイミングで、第2フレキシブル基板12および第3フレキシブル基板46にそれぞれ形成することができる。このようにして、図7(b)、(c)に示すフレキシブル基板積層体10を作製することができる。このことにより、バリア層40と反射防止層41、42とを有するフレキシブル基板積層体10であっても、パターン14の寸法精度を容易に向上させることができる。
【0064】
なお、図6および図7においては、各種機能層が、第2フレキシブル基板の図6および図7における上方に積層されている例について説明したが、このことに限られることはなく、各種機能層を、第1フレキシブル基板11の下方に積層するようにしても良い。また、上述した各種機能層が設けられる例においては、パターン14と粘着層13とが互いに向き合うように構成されている例について述べたが、このことに限られることはなく、パターン14が、第1フレキシブル基板11の粘着層13とは反対側の面に形成された場合(後述する図8参照)においても、同様にして上述のような各種機能層を設けることができる。
【0065】
第2の実施の形態
次に、図8および図9により、本発明の第2の実施の形態におけるフレキシブル基板積層体について説明する。
【0066】
図8および図9に示す第2の実施の形態においては、パターンが、第1フレキシブル基板の粘着層とは反対側の面に形成されている点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図7に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図8および図9において、図1乃至図7に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0067】
図8に示すフレキシブル基板積層体50においては、パターン14は、第1フレキシブル基板11の粘着層13とは反対側の面に形成されている。すなわち、粘着層13は、第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12とに直接粘着されている。
【0068】
このようなフレキシブル基板積層体50を作製する場合、第1フレキシブル基板11が、パターン14を半径方向内側に配置させるように、ロール状に巻き付けられた第1繰出ロール21(図3参照)を準備する。このこと以外は、第1の実施の形態と同様にして、第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12が、粘着層13を介して貼り合わされて(図9(a)参照)、図8に示すフレキシブル基板積層体50が作製される(図9(b)参照)。
【0069】
作製されたフレキシブル基板積層体50は、図9(c)に示すように、この後、他のパターン(例えば、TFT、画像表示素子など)が形成されたマーク付き対向基板30に接合される。
【0070】
このように本実施の形態によれば、第1フレキシブル基板11のうち一のパターン14が形成された部分において、一対のフレキシブル基板11、12を貼り合せたことにより生じたひずみは、少なくとも±0.01%以内となっている。このことにより、第1フレキシブル基板11のうちパターン14が形成された部分の貼り合せによるひずみを低減することができ、貼り合せ前のパターン14の寸法と、貼り合せ後のパターン14の寸法との差を低減することができる。このため、貼り合せ前後でパターン14の寸法が変化することを抑制し、第1フレキシブル基板11に形成されたパターン14の寸法精度を容易に向上させることができる。この場合、後の工程で接合される他のパターン14が形成されたマーク付き対向基板30と、容易に、かつ精度良く、パターン14を位置合わせすることができる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、第1フレキシブル基板11のうち一のパターン14が形成された部分において、一対のフレキシブル基板11、12を貼り合せたことにより生じたひずみと、他のパターン14が形成された部分において、この貼り合せにより生じたひずみとの差を低減することができる。このため、貼り合せ前後で各パターン14の寸法が異なることを抑制し、第1フレキシブル基板11に形成された各パターン14の寸法精度を容易に向上させることができる。この場合、後の工程で接合される他のパターンが形成された対向基板30と、容易に、かつ精度良く、各パターン14を位置合わせすることができ、精度良いパターン14を、量産することができる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、フレキシブル基板積層体10の最表面に、カラーフィルター用の画素パターン15が配置されるため、LCDパネルを組み立てる際、液晶層に画素パターン15を接近させることができ、視差の問題を回避することができる。
【0073】
なお、本実施の形態においては、粘着層13が、貼り合せ前に、第2フレキシブル基板12に設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、粘着層13を、貼り合せ前に、第2フレキシブル基板12に設けることなく、第1フレキシブル基板11のパターン14とは反対側の面に設けても良い。
【0074】
この場合、粘着層13を半径方向外側に配置させるように、第1フレキシブル基板11がロール状に巻き付けられた第1繰出ロール21(図3参照)を準備する。また、第2フレキシブル基板12がロール状に巻き付けられた第2繰出ロール22を準備する。このこと以外は、第1の実施の形態と同様にして、第1フレキシブル基板11と第2フレキシブル基板12が、粘着層13を介して貼り合わされて(図10(a)参照)、図8に示すフレキシブル基板積層体50を作製することができる(図10(b)参照)。その後、フレキシブル基板積層体50は、他のパターン(例えば、TFT、画像表示素子など)が形成されたマーク付き対向基板30に接合される(図10(c)参照)。このように、貼り合せ前に粘着層13が第1フレキシブル基板11に設けられることにより、例えば、貼り合せ前の第2フレキシブル基板12に、立体形状を有する機能層が積層される場合、または繊細なバリア層40(図6および図7参照)、反射防止層41、42、若しくはレンズシート(図示せず)が積層される場合であっても、これらの機能層の性能を良好に維持することができる。
【0075】
以上、本発明による実施の形態について説明してきたが、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、部分的に、適宜組み合わせることも可能である。また、これらの本実施の形態においては、本発明の要旨の範囲内で、上述した変形例以外の種々の変形も可能である。
【実施例】
【0076】
本発明のフレキシブル基板積層体30において、貼り合せ前後のパターン14の寸法を測定した。
【0077】
まず、第1フレキシブル基板11として、300mm幅×0.125mm厚さ、10m長さのPETフィルム(東洋紡績株式会社製、コスモシャインA4100)を準備し、また、粘着層13が設けられた第2フレキシブル基板12として、270mm幅×0.050mm厚さ、10mの長さの基材付き粘着フィルム(リンテック株式会社製、フジクリア50)を準備した。なお、基材(第2フレキシブル基板12)は、PETよりなっている。
【0078】
PETフィルムに、複数の画素パターン15を形成すると共に、寸法測定用のマーク16を、各画素パターン15の四隅に対応する位置に形成した(図2参照)。なお、マーク16間の距離は、212mmとした。ここで、PETフィルムと粘着フィルムを貼り合わせる前に、上述した方法により、PETフィルム上に形成されたマーク16間の寸法を測定した。
【0079】
貼合装置20には、株式会社ディー・エヌ・ケー(DNK)製の貼合装置(品名:LM−203−SB)を用いた。
【0080】
PETフィルムと粘着フィルムを貼り合わせる際、搬送速度は0.6m/minとし、PETフィルムおよび粘着フィルムに負荷されるラミネート圧力(実効圧力)は、0.28MPAに設定した。また、各フィルムにおける変形量を小さくすると共に同程度とするために、各フィルムに負荷される張力をそれぞれ調整し、PETフィルムにかかる単位断面積あたりの張力を1.33N/mm、粘着フィルムの基材にかかる単位断面積あたりの張力を1.48N/mmとした。
【0081】
このような条件の下、PETフィルムと粘着フィルムを貼り合せ、フレキシブル基板積層体10を作製した。
【0082】
その後、上述した方法により、貼り合せ前に寸法測定したマーク16間の寸法を測定した。
【0083】
このようにして得られた、貼り合せ前後のマーク16間の寸法の差は、±0.003%(例えば、100mmの基準寸法に対するずれ量が±3μm)以内であることが確認できた。すなわち、PETフィルムのうちパターン14が形成された部分において、PETフィルムと粘着フィルムとを貼り合せることにより生じたひずみが、±0.003%以内であることが確認できた。また、各パターン14の寸法の差が、±0.003%以内であることが確認できた。すなわち、PETフィルムのうち一のパターン14が形成された部分において、PETフィルムと粘着フィルムとを貼り合せたことにより生じたひずみと、他のパターン14が形成された部分において、この貼り合せにより生じたひずみとの差が、±0.003%以内であることが確認できた。
【0084】
さらに、得られたフレキシブル基板積層体10の各パターン14を、マーク付きの他の対向基板30と重ね合わせたところ、マーク同士を、容易に、かつ精度良く、位置合わせすることができた。
【符号の説明】
【0085】
10 フレキシブル基板積層体
11 第1フレキシブル基板
12 第2フレキシブル基板
13 粘着層
14 パターン
15 画素パターン
15a 赤色画素
15b 緑色画素
15c 青色画素
16 マーク
20 貼合装置
21 第1繰出ロール
22 第2繰出ロール
23 ラミネート部
23a 押圧ローラ
24 巻取ロール
30 対向基板
40 バリア層
41 AG層
42 AR層
43 ハードコート層
45 第2の粘着層
46 第3フレキシブル基板
50 フレキシブル基板積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のフレキシブル基板と、
前記一対のフレキシブル基板の間に介在された粘着層と、を備え、
前記一対のフレキシブル基板のうち一方のフレキシブル基板に、パターンが形成されており、
前記一方のフレキシブル基板のうち前記パターンが形成された部分において、前記一対のフレキシブル基板を貼り合せたことにより生じたひずみが、±0.01%以内であることを特徴とするフレキシブル基板積層体。
【請求項2】
前記一方のフレキシブル基板に、前記パターンは複数形成されており、
前記一方のフレキシブル基板のうち一の前記パターンが形成された部分において、前記一対のフレキシブル基板を貼り合せたことにより生じたひずみと、他の前記パターンが形成された部分において、当該貼り合せにより生じたひずみとの差が、±0.01%以内であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル基板積層体。
【請求項3】
前記パターンは、前記一方のフレキシブル基板の前記粘着層側の面に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のフレキシブル基板積層体。
【請求項4】
前記パターンは、前記一方のフレキシブル基板の前記粘着層とは反対側の面に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のフレキシブル基板積層体。
【請求項5】
前記一対のフレキシブル基板のうち他方のフレキシブル基板に、バリア層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のフレキシブル基板積層体。
【請求項6】
前記一対のフレキシブル基板のうち他方のフレキシブル基板に、反射防止層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のフレキシブル基板積層体。
【請求項7】
前記一対のフレキシブル基板のうち他方のフレキシブル基板に、ハードコート層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のフレキシブル基板積層体。
【請求項8】
前記パターンは、カラーフィルター用の画素パターンを有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のフレキシブル基板積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−113156(P2012−113156A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262693(P2010−262693)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】