説明

フローモニターおよびこれを備えた機能液供給装置

【課題】液体の流量に相当するパラメーターを自動的にセンシングすることができるフローモニターおよびこれを備えた機能液供給装置を提供することを課題としている。
【解決手段】流入ポート13および流出ポート14を有するケース15と、ケース15に収容された回転体12と、ケース15の端面に沿わせるように配設され、回転体12を動力源として回転する被検出円板(被検出部)16と、被検出円板16に臨み、回転体12の回転数を検出する光センサー18と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体の回転を利用し流量を計測するフローモニターおよびこれを備えた機能液供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フローモニターとして、液体が流れる流路配管と、液体の流れによって回転し、回転時に中間混色を表す色彩或いは主観色を表す図形に塗り分けられている回転体と、回転体を流路配管に設置し、液体の流れにより回転する回転体が外部から見えるように設計されたケースと、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。
このフローモニターでは、流速により回転体の回転速度が変化し、回転速度により回転体の色が異って見えるため、これを利用し、ケース外部から見える回転体の色で液体の流量(流速)を確認している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−104254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなフローモニターでは、もっぱら人間の視覚により、流量の多少を判断することになるため、例えばこれをフィルターの監視のために用いた場合、監視作業が煩雑になるだけでなく、フローモニターの設置場所や使用状況によっては、監視自体が不可能となる問題があった。
【0005】
本発明は、液体の流量に相当するパラメーターを自動的にセンシングすることができるフローモニターおよびこれを備えた機能液供給装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフローモニターは、回転体の回転を利用し流量を計測するフローモニターであって、流入ポートおよび流出ポートを有するケースと、ケースに収容され、流入ポートから流出ポートに流れる液体により回転する回転体と、ケースの外部に配設され、回転体を動力源として回転する被検出部と、被検出部に臨み、回転体の回転数を検出する検出部と、を有することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、ケースの流入ポートに流れ込んだ液体によって、ケースに収容された回転体が回転し、回転体の回転を動力として回転する被検出部が回転する。そして、この被検出部の回転数が検出部によって検出されることで、回転体の回転数を検出することができる。すなわち、検出部により、液体の流量に相当するパラメーターを電気的にセンシングすることができる。
【0008】
この場合、被検出部は、径方向にスリットを有する円板を有し、検出部は、透過型の光センサーおよび反射型の光センサーのいずれかを有していることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、被検出部と検出部とを用いることにより、透過型の光センサーまたは反射型の光センサーを用いたエンコーダー様の構成とすることができ、簡単な構造で、回転体の回転、すなわち液体の流量に相当するパラメーターを精度良くセンシングすることができる。
【0010】
この場合、回転体は、羽根車本体および回転軸を有し、被検出部は、前記ケースから突出した回転軸の軸端部に固定されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、ケース内の回転体の回転動力を、回転軸を介してケース外部に設置された円板型の被検出部に、有効に伝達することができる。
【0012】
本発明の他のフローモニターは、流入ポートおよび流出ポートを有するケースと、ケースに収容され、流入ポートから流出ポートに流れる液体により回転すると共にマグネットを有する回転体と、ケースの外部からマグネットに対峙し、マグネットを介して回転体の回転数を検出する磁気センサーと、を備えたことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、磁気センサーにより、回転体の回転数を電気信号として検出することができ、簡単な構造で、液体の流量に相当するパラメーターを精度良くセンシングすることができる。また、回転体の回転数をケースの外部から検出することができ、そのシール構造を含め構造を単純化することができる。
【0014】
本発明の機能液供給装置は、機能液を貯留する機能液タンクと、機能液タンクと液滴吐出ヘッドとを接続する機能液流路と、機能液流路に介設され、機能液流路を流れる機能液を濾過するフィルターと、フィルターと液滴吐出ヘッドとの間の機能液流路の上流側および下流側の一方に位置して機能液流路に介設された、上記のフローモニターと、フローモニターの検出部から回転数を入力し、回転数が所定の閾値以下となった場合に、フィルターの要交換を報知するフィルター監視手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、フィルターの目詰まりがすすんで、フィルターを通過する機能液の流量が減ずると、フローモニターにより検出される回転体の回転数が減少する。そして、フィルター監視手段は、フローモニターから入力した回転数が所定の閾値以下となった場合に、フィルターの要交換を報知する。これにより、フィルターの交換が必要な時期を、フローモニターを目視することなく知ることができる。これにより、フィルターの交換が適切に行われるため、異物による液滴吐出ヘッドの目詰まりや吐出不良を有効に防止することができる。
【0016】
この場合、フィルターと液滴吐出ヘッドとの間の機能液流路に介設され、機能液タンクから流入する機能液を減圧して液滴吐出ヘッドに供給する圧力調整弁を、更に備えていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、異物による圧力調整弁の弁体の動作不良を防止することができ、液滴吐出ヘッドからの機能液の吐出流量を、一定に且つ安定化させることができる。
【0018】
この場合、フィルター監視手段は、吐出ノズルのクリーニングのために液滴吐出ヘッドから機能液を吸引するクリーニング動作、および機能液タンクから液滴吐出ヘッドに至る流路に機能液を充填するために液滴吐出ヘッドから機能液を吸引する初期充填動作、の少なくとも一方の動作に同期して、監視を実施すること好ましい。
【0019】
この構成によれば、機能液タンクから液滴吐出ヘッドに機能液が多量に流れるときを利用して、フィルターの目詰まりを監視することができる。これにより、フィルターの目詰まり状態を精度良く検出(監視)することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る液滴吐出装置の斜視図である。
【図2】キャリッジユニット廻りの断面図である。
【図3】液滴吐出ヘッドの斜視図である。
【図4】機能液供給ユニットの概要図である。
【図5】第1実施形態に係るフローモニターの斜視図である。
【図6】機能液供給ユニットにおけるフィルター監視装置のブロック図である。
【図7】第2実施形態に係るフローモニターの斜視図である。
【図8】第3実施形態に係るフローモニターの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るフローモニターおよび機能液供給装置を適用した液滴吐出装置について説明する。この液滴吐出装置は、フラットパネルディスプレイの製造ラインに組み込まれ、例えば、特殊なインクや発光性の樹脂液である機能液を導入した液滴吐出ヘッドを用い、液晶表示装置のカラーフィルターや有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成するものである。また、機能液供給装置である機能液供給ユニットは、フィルターを介して機能液を液滴吐出ヘッドに供給する。
【0022】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、X軸支持ベース2上に配設され、主走査方向となるX軸方向に延在してワークWをX軸方向に移動させるX軸テーブル(移動手段)3と、複数の液滴吐出ヘッド23を搭載したキャリッジユニット4と、複数本の支柱5を介してX軸テーブル3を跨ぐように架け渡された1対のY軸支持ベース6上に配設され、副走査方向となるY軸方向に延在してキャリッジユニット4をY軸方向に移動させるY軸テーブル7とを備えている。
また、液滴吐出装置1は、各種の構成装置を収容しその雰囲気の温度および湿度を管理するチャンバー(図示省略)と、RGB3色の機能液タンク22を有し液滴吐出ヘッド23に機能液を供給する機能液供給ユニット9と、各部を制御する制御装置(制御手段)10とを備えている。液滴吐出装置1は、X軸テーブル3およびY軸テーブル7の駆動と同期して、液滴吐出ヘッド23を吐出駆動させることにより、機能液供給ユニット9から供給された機能液を吐出させて、ワークWに所定の描画パターンを描画する。なお、Y軸方向は、水平面内においてX軸方向に直交する方向である。
【0023】
さらに、液滴吐出装置1は、吸引ユニット52やワイピングユニット53等から成るメンテナンス装置60を備えており、これらユニットによって、各液滴吐出ヘッド23を保守し、各液滴吐出ヘッド23の機能維持・機能回復を図るようになっている。本実施形態の液滴吐出装置1では、X軸テーブル3とY軸テーブル7とが交わる領域(描画エリア)にキャリッジユニット4を臨ませてワークWの描画処理を行う。また、Y軸テーブル7とメンテナンス装置60が交わる領域(メンテナンスエリア)にキャリッジユニット4を臨ませて、液滴吐出ヘッド23のメンテナンス処理(機能維持および機能回復)を行う。
【0024】
吸引ユニット52は、液滴吐出ヘッド23を吸引して、液滴吐出ヘッド23の吐出ノズルから機能液を強制的に排出させるものである。詳細は図示しないが、吸引ユニット52は、キャリッジユニット4に下側から臨み、キャリッジユニット4に搭載された複数の各液滴吐出ヘッド23のノズル面に、対応する各キャップをそれぞれに密着させるキャップユニットと、キャップユニットを昇降させ、液滴吐出ヘッド23に対してキャップを離接させるキャップ昇降機構と、密着させたキャップを介して各液滴吐出ヘッド23に吸引力を作用させる吸引手段と、を備えている。
【0025】
ワイピングユニット53は、洗浄液を噴霧したワイピングシートで液滴吐出ヘッド23のノズル面を拭き取るものである。詳細は図示しないが、ワイピングユニット53は、ロール上に巻回したワイピングシートを繰り出しながら巻き取ってゆく巻取りユニットと、ワイピングシートで液滴吐出ヘッド23ノズル面を拭き取る、拭き取りユニットと、を備えている。ワイピング動作は、吸引ユニット52による吸引後などに行われ、ノズル面に付着した汚れを払拭する。
【0026】
X軸テーブル3は、ワークWをセットするセットテーブル31と、セットテーブル31をX軸方向にスライド自在に支持するX軸スライダー32と、X軸方向に延在し、セットテーブル31をX軸方向に移動させる左右一対のX軸リニアモーター(図示省略)とを備えている。一対のX軸リニアモーターを駆動することで、一対のX軸スライダー32上のセットテーブル31をX軸方向に移動し、ワークWをX軸方向に移動する。これによって、X軸テーブル3は、描画時にワークWを主走査方向であるX軸方向に移動させる。
【0027】
Y軸テーブル7は、一対のY軸支持ベース6に支持されると共に、キャリッジユニット4をY軸方向に移動自在に吊設する一対のY軸スライダー(図示省略)と、一対のY軸支持ベース6上に設置され、キャリッジユニット4をY軸方向に移動させる一対のY軸リニアモーター(図示省略)と、を備えている。一対のY軸リニアモーターを駆動することで、一対のY軸スライダー上のキャリッジユニット4をY軸方向に移動する。これによって、Y軸テーブル7は、各キャリッジユニット4を介して、描画時に液滴吐出ヘッド23を副走査方向であるY軸方向に移動させるほか、メンテナンス時に液滴吐出ヘッド23をメンテナンス装置60に臨ませる。
【0028】
図2に示すように、キャリッジユニット4は、キャリッジ本体94と、キャリッジ本体94の下端部に着脱可能にボルト止めしたヘッドユニット85と、を備えている。キャリッジ本体94は、上記の一対のY軸スライダー間に渡したブリッジプレート87と、ブリッジプレート87に支持された吊設部材88と、吊設部材88に支持されたθ回転機構86と、θ回転機構86に支持された取付け部材89と、を有し、この取付け部材89にヘッドユニット85が垂設されている。
【0029】
ヘッドユニット85は、R・G・Bの3色、各4個(計12個)の液滴吐出ヘッド23と、12個の液滴吐出ヘッド23を、当該各液滴吐出ヘッド23が同一の水平面内に配設されるように支持するヘッドプレート84と、を有している。各液滴吐出ヘッド23は、いわゆる2連のインクジェットヘッドであり、2連の接続針44を有する機能液導入部41と、機能液導入部41に連なる2連のヘッド基板42と、ヘッド基板42に連なり機能液を吐出するヘッド本体43と、を備えている(いずれも、図3参照)。
【0030】
機能液供給ユニット9は、R色の機能液を対応する4個の液滴吐出ヘッド23に供給するR色供給ユニット9aと、G色の機能液を対応する4個の液滴吐出ヘッド23に供給するG色供給ユニット9bと、B色の機能液を対応する4個の液滴吐出ヘッド23に供給するB色供給ユニット9cと、で構成されている(図1参照)。R色供給ユニット9a、G色供給ユニット9bおよびB色供給ユニット9cは、同一の構造を有しており、以下、R色供給ユニット9aを例に説明を進める。なお、請求項に言う機能液供給装置は、これらの各供給ユニット9a,9b,9cで構成されている。
【0031】
図4に示すように、R色供給ユニット9aは、機能液(R色)を貯留する機能液タンク22(メインタンク)と、機能液タンク22から供給された機能液を一時的に貯留し、各液滴吐出ヘッド23に供給するサブタンク29と、機能液タンク22とサブタンク29とを接続する主機能液流路24と、図示しないマニホールド等を介してサブタンク29と各液滴吐出ヘッド23を接続する複数本(実施形態のものは4本:1本のみ図示)の個別機能液流路(機能液流路)51と、を備えている。また、R色供給ユニット9aは、各個別機能液流路51に介設されたフィルター25と、フィルター25の下流側に位置して、個別機能液流路51に介設されたフローモニター11と、フローモニター11の下流側に位置して、個別機能液流路51に介設された圧力調整弁30と、フローモニター11の信号に基づいて、フィルター25の交換時期を監視するフィルター監視装置(フィルター監視手段)26と、を有している。そして、フィルター監視装置26は、上記の制御装置10に接続されている。なお、フローモニター11は、フィルター25の上流側に配設してもよい。
【0032】
機能液タンク22は、上記チャンバーの一部に設けたキャビネットに収容され、サブタンク29は、上記のブリッジプレート87に搭載されている。また、フィルター25、フローモニター11および圧力調整弁30は、上記のヘッドユニット85におけるヘッドプレート84の上側に搭載されている。
【0033】
機能液タンク22の機能液は、サブタンク29の減液をトリガーにして、サブタンク29に圧力送液される。サブタンク29の機能液は、フィルター25を介して濾過され、圧力調整弁30により所定の圧力に減圧されて各液滴吐出ヘッド23に供給される。なお、サブタンク29として、使い捨てのパック容器を用いてもよい。かかる場合には、機能液タンク22および主機能液流路24は、不要となる。
【0034】
機能液タンク22は、例えば圧力容器で構成され、高圧のエアーや窒素を導入することで、機能液を圧力送液する。サブタンク29は、開放型のタンクであり、機能液タンク22と圧力的に縁切りされた状態で、各液滴吐出ヘッド23の機能液消費に応じて機能液を重力供給する。
【0035】
圧力調整弁30は、例えば一次側をサブタンク29に接続し、二次側を液滴吐出ヘッド23に接続したケーシングを有し、一次側と二次側とを連通する流路に弁体を設けると共に、二次側に設けたダイヤフラムにより大気圧基準で弁体を開閉する。フィルター25は、いわゆるケミカルフィルターで構成したフィルター本体と、フィルター本体を保持するケース様のホルダと、で構成されている。ホルダの流入側および流出側は、個別機能液流路51に対しワンタッチで接続されるジョイントの構造を有しており、目詰まりした場合には、フィルター25が全体として交換される(使い捨て)。
【0036】
図5に示すように、フローモニター11は、流入ポート13および流出ポート14を有するケース15と、ケース15に収容された回転体12と、ケース15の端面に沿わせるように配設され、回転体12を動力源として回転する被検出円板(被検出部)16と、被検出円板16に臨み、回転体12の回転数を検出する光センサー(検出部)18と、を有している。
【0037】
ケース15は、円形箱状のケース本体55と、ケース本体55をその弦方向に貫くように同軸上に突設させた流入ポート13および流出ポート14と、を有している。図示では省略したが、流入ポート13および流出ポート14は、個別機能液流路51に対し接続されるジョイントの構造を有している。流入ポート13から流出ポート14に機能液が流れると、機能液の流れに押されて回転体12が回転する。
回転体12は、いわゆる羽根車の形態を有しており、その回転軸56は、ケース本体55の端面壁に回転自在に支持されている。回転軸56の一方の軸端部は、端面壁を貫通して、ケース本体55の外部に突出している。そして、この回転軸56の軸端部に被検出円板16が固定されている。すなわち、回転体12の回転軸56と被検出円板16の軸とが共用され(直結)、回転体12の回転動力を受けて被検出円板16が回転体12と同時に回転する。
【0038】
被検出円板16は、半径径方向に延びる1つのスリット17を有するスリット円板で構成されている。光センサー18は、透過型のフォトセンサー(フォトインターラプタ)で構成され、被検出円板16の周縁部に臨むように配設されている。被検出円板16が回転すると、光センサー18の発光素子からの検出光がスリット17の部分で透過し受光素子に受光されて、回転が検出される。すなわち、このフローモニター11では、液体の流量によって変化する回転体12の回転数を、被検出円板16の回転数として光センサー18により、定量的に検出するようになっている。
【0039】
図6に示すように、フィルター監視装置26は、フローモニター11(光センサー18)の検出結果を入力し、この検出結果に基づいて、回転体12の回転数を割り出し、この回転数がフィルター25の要交換の指標となる閾値を越えているか否かを判定する判定回路27と、判定回路27の判定結果を、有線あるいは無線により制御装置10に送信する通信回路28と、を有している。判定回路27により要交換と判定された場合に、制御装置10は、音声やモニター54(ディスプレイ)にその旨表示(報知)する。
【0040】
ところで、流入ポート13から流出ポート14に流れる機能液の流量が少ないと、回転体12が十分に回転しないおそれがある。一方、本液滴吐出装置1では、装置の稼働開始時に、吸引ユニット52による吸引動作とワイピングユニット53によるワイピング動作を行なうようにしている。この吸引動作では、液滴吐出ヘッド23から機能液を強制的に吸引することから、フローモニター11に比較的、多量の機能液が流れる。そこで、本実施形態では、キャリッジユニット4をメンテナンスエリアに移動し、吸引ユニット52による機能液の吸引動作時に、上記フィルター25の監視を実施するようにしている(図4参照)。もっとも、サブタンク29から液滴吐出ヘッド23に至る流路に、機能液を充填する初期充填動作時にも、上記の吸引動作を実施するため、その際に上記フィルター25の監視を実施してもよい。
【0041】
次に、図7を参照して、第2実施形態に係るフローモニター11について説明する。なお、第1実施形態と同一となる部分は、説明を省略する。このフローモニター11では、光センサー19として反射型のフォトセンサーを用いている。もっともこの場合には、被検出円板16において、スリット17に相当する部分にミラー等を用い、他の部分を黒色としたものとしてもよい。いずれにあっても、スリット17およびこれに相当する部分で検出信号を得る。
【0042】
次に、図8を参照して、第3実施形態に係るフローモニター11について説明する。なお、第1実施形態と同一となる部分は、説明を省略する。このフローモニター11では、羽根車で構成された回転体12の各羽根の先端にマグネット57が設けられている。一方、ケース15の外部には、このマグネット57に対峙するように、磁気センサー20が配設されている。
この構成では、回転体12が、流入ポート13から流出ポート14に向かって流れる液体によって回転すると、回転体12の先端に設けたマグネット57の磁気を、ケース15の外部に設置している磁気センサー20によって電気信号として検出する。これにより、回転体12の回転数が検出される。
【0043】
以上の構成によれば、フィルター25の目詰まりがすすんで、フィルター25を通過する機能液の流量が減ずると、フローモニター11により検出される回転体12の回転数が減少する。そして、フィルター監視装置26は、フローモニター11から入力した回転数が所定の閾値以下となった場合に、フィルター25の要交換を報知する。これにより、フィルター25の交換が必要な時期を、フローモニター11を目視することなく知ることができる。これにより、フィルター25の交換が適切に行われるため、異物による液滴吐出ヘッド23の目詰まりや吐出不良を有効に防止することができ、且つ圧力調整弁30の動作不良を防止することができる。
【0044】
なお、本実施形態においては、機能液供給ユニット9に、本発明のフローモニター11を適用したが、このフローモニター11は、目視確認が困難な工業用フィルターの劣化判定等に適用可能である。
【0045】
また、フローモニター11の被検出円板16にはスリット17を形成し検出する方法を用いたが、被検出円板16の一部に遮蔽用の突起、反射体や磁性体を設ける構造であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1:液滴吐出装置、 3:X軸テーブル、 4:キャリッジユニット、 6:Y軸支持ベース、 7:Y軸テーブル、 9:機能液供給ユニット、 11:フローモニター、 12:回転体、 13:流入ポート、 14:流出ポート、 15:ケース、 16:被検出円板、 17:スリット、 18:透過型の光センサー、 19:反射型の光センサー、 20:磁気センサー、 23:液滴吐出ヘッド、 24:主機能液流路、 25:フィルター、 26:フィルター監視装置、 55:ケース本体、 56:回転軸、 57:マグネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入ポートおよび流出ポートを有するケースと、
前記ケースに収容され、前記流入ポートから前記流出ポートに流れる液体により回転する回転体と、
前記ケースの外部に配設され、前記回転体を動力源として回転する被検出部と、
前記被検出部に臨み、前記回転体の回転数を検出する検出部と、を備えたことを特徴とするフローモニター。
【請求項2】
前記被検出部は、径方向にスリットを有する円板を有し、
前記検出部は、透過型の光センサーおよび反射型の光センサーのいずれかを有していることを特徴とする請求項1に記載のフローモニター。
【請求項3】
前記回転体は、羽根車本体および回転軸を有し、
前記被検出部は、前記ケースから突出した前記回転軸の軸端部に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のフローモニター。
【請求項4】
流入ポートおよび流出ポートを有するケースと、
前記ケースに収容され、前記流入ポートから前記流出ポートに流れる液体により回転すると共にマグネットを有する回転体と、
前記ケースの外部から前記マグネットに対峙し、前記マグネットを介して前記回転体の回転数を検出する磁気センサーと、を備えたことを特徴とするフローモニター。
【請求項5】
インクジェット方式の液滴吐出ヘッドに機能液を供給する機能液供給装置であって、
機能液を貯留する機能液タンクと、
前記機能液タンクと前記液滴吐出ヘッドとを接続する機能液流路と、
前記機能液流路に介設され、前記機能液流路を流れる機能液を濾過するフィルターと、
前記フィルターと前記液滴吐出ヘッドとの間の前記機能液流路の上流側および下流側の一方に位置して前記機能液流路に介設された、請求項1ないし4のいずれかに記載のフローモニターと、
前記フローモニターの検出部から前記回転数を入力し、前記回転数が所定の閾値以下となった場合に、前記フィルターの要交換を報知するフィルター監視手段と、を備えたことを特徴とする機能液供給装置。
【請求項6】
前記フィルターと前記液滴吐出ヘッドとの間の前記機能液流路に介設され、前記機能液タンクから流入する機能液を減圧して前記液滴吐出ヘッドに供給する圧力調整弁を、更に備えたことを特徴とする機能液供給装置。
【請求項7】
前記フィルター監視手段は、吐出ノズルのクリーニングのために前記液滴吐出ヘッドから機能液を吸引するクリーニング動作、および前記機能液タンクから前記液滴吐出ヘッドに至る流路に機能液を充填するために前記液滴吐出ヘッドから機能液を吸引する初期充填動作、の少なくとも一方の動作に同期して、監視を実施することを特徴とする請求項5または6に記載の機能液供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−145071(P2011−145071A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3559(P2010−3559)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】