説明

ブラシレスモータ及び電動ポンプ

【課題】 各ティースとロータの外周との隙間を一定にすると共に、各ティースとヨークとの接続不良を防止する。
【解決手段】 ブラシレスモータは、ロータ44とステータ50を有している。ステータ50は、ヨーク52,62と、複数のティース54,56,64,66を有している。ティース54,56,64,66は、その後端がヨーク52,62に接続される一方で、その先端がロータ44の外周に隙間を空けて対向している。複数のティースは、ヨーク52,62の両端部に接続される一対の第1ティース54,64と、ヨーク52,62の中央部に接続される第2ティース56,66を有している。第1ティース54,64は、第1の接続方向でヨークに接続されており、第2ティース55,66は、第1の接続方向とは異なる第2の接続方向でヨークに接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、ブラシレスモータ及び電動ポンプを開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、従来技術に係るブラシレスモータを開示する。このブラシレスモータは、ロータと、ロータの外周側に配置されたステータを有している。ステータは、ロータを挟むように配置された2つのステータブロックを有している。各ステータブロックは、ヨークと、ヨークと別体で成形された複数のティースを有している。複数のティースは、その後端がヨークに接続される。ティースの先端は、ロータの外周に隙間を空けて対向している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−340506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のブラシレスモータでは、ヨークに接続される複数のティースの長さに、製造誤差等によってバラツキが生じることがある。この場合に、各ティースをヨークのロータ側の面を基準に位置決めすると、各ティースとロータの外周との隙間にバラツキが生じる。その結果、ティース間で磁気抵抗のバラツキが生じ、モータ効率の低下や回転時の振動の原因となる。
【0005】
一方、各ティースをロータの外周を基準に位置決めし、各ティースの先端とロータの外周との隙間を一定にすると、バラツキを吸収するためにティース及び/又はヨークが変形し、これらの部材間に力が発生する。特許文献1のブラシレスモータでは、各ティースの後端面がヨークのロータ側の面に当接するように接続され、各ティースのヨークへの接続方向が同一となっている。このため、一部のティースにおいて、当該ティースがヨークかとの接続を解除する方向に力が発生し、当該ティースとヨークとの接続状態を悪化させる。その結果、当該ティースでヨークとの接続不良が生じ易く、ティース間で磁気抵抗のバラツキが発生し易い。
【0006】
本願は、上述した実情に鑑みて為されたものであり、各ティースとロータの外周との隙間を一定にすると共に、各ティースとヨークとの接続不良を抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示されるブラシレスモータは、ロータと、ロータの外周側に配置されたステータを有している。ステータは、ロータの周方向に間隔を空けて配置された少なくとも2個のヨークと、ヨーク毎に少なくとも3個以上設けられているティースを有している。各ティースは、その後端がヨークに接続される一方でその先端がロータの外周に隙間を空けて対向している。同一のヨークに設けられる前記少なくとも3個以上のティースは、当該ヨークの両端部に接続される一対の第1ティースと、当該ヨークの中央部に接続される第2ティースを有している。そして、第1ティースは、第1の接続方向でヨークに接続されており、第2ティースは、第1の接続方向とは異なる第2の接続方向でヨークに接続されている。
【0008】
このブラシレスモータでは、ヨークの両端部に一対の第1ティースが接続され、ヨークの中央部に第2ティースが接続される。そして、第1ティースのヨークへの接続方向(第1の接続方向)と、第2ティースのヨークへの接続方向(第2の接続方向)が相違している。このため、各ティースの先端とロータの外周との隙間が一定となるように各ティースを位置決めすることで、各ティースとヨークの間に力が発生しても、第1ティースからヨークに作用する力の方向と第2ティースがヨークから離脱する方向とは一致せず、また、第2ティースからヨークに作用する力の方向と第1ティースがヨークから離脱する方向とは一致しない。このため、第1ティース及び第2ティースがヨークから離脱してしまうことが防止され、各ティースとヨークとの接続を良好に維持し易い。したがって、このブラシレスモータでは、各ティースとロータの外周との隙間を一定にすると共に、各ティースとヨークとの接続不良を抑制することができる。
【0009】
上記のブラシレスモータでは、ステータは、第1ヨークと、第1ヨークに対向して配置された第2ヨークを有しており、ロータは、第1ヨークと第2ヨークの間に位置していてもよい。この場合に、第1ヨークと第2ヨークのそれぞれには、互いに平行な3本のティースが接続されていてもよい。このような構成によると、ステータを偏平に形成することができ、ブラシレスモータを小型化することができる。
【0010】
上記のブラシレスモータの一態様では、各ヨークに接続される第2ティースは、当該ヨークのロータ側の面と直交する方向で当該ヨークに接続されており、各ヨークに接続される第1ティースは、当該ヨークのロータ側の面と平行な方向で当該ヨークに接続されていてもよい。このような構成によると、第1ティースのヨークへの接続方向と、第2ティースのヨークへの接続方向とが直交するため、各ティースとヨークとの接続を良好に維持することができる。
【0011】
上記のブラシレスモータの他の態様では、各ヨークに接続される第1ティースは、当該ヨークのロータ側の面に対して直交する方向で当該ヨークに接続されており、各ヨークに接続される第2ティースは、当該ヨークのロータ側の面に対して平行な方向で当該ヨークに接続されていてもよい。このような構成によっても、各ティースとヨークとの接続を良好に維持することができる。
【0012】
上記のブラシレスモータでは、各ヨークに接続される第1ティースの先端は、当該ヨークに接続される第2ティースの先端と連結されると共に、当該第1ティースの先端に対向すると共に当該ヨークとは異なるヨークに接続される第1ティースの先端に連結されていることが好ましい。このような構成によると、各ティースの先端が連結されるため、各ティースを一体として扱うことができ、ヨークとの接続作業を容易に行うことができる。なお、ここでいう「連結」とは、各ティースと、各ティースを連結する連結部と、を一体に成形することのみを意味しているのではなく、各ティースが他の部材によって連結されていてもよい。したがって、各ティースを樹脂材料内に埋設し、樹脂材料によって各ティースの先端が連結されている場合も、ここでいう「連結」に含まれる。
【0013】
また、本明細書は、上記のブラシレスモータを用いた新規な電動ポンプを開示する。すなわち、本明細書が開示する電動ポンプは、上記に記載したいずれかのブラシレスモータと、そのブラシレスモータによって駆動されるインペラと、そのインペラを回転可能に収容するポンプ室を有している。この電動ポンプでは、上記のブラシレスモータが用いられるため、ポンプ効率を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1の電動ポンプの概略縦断面図を示す。
【図2】図1のII−II線におけるステータとロータとを示す図。
【図3】変形例に係る電動ポンプのステータを示す図。
【図4】変形例に係る電動ポンプのステータを示す図。
【図5】変形例に係る電動ポンプのステータを示す図。
【実施例1】
【0015】
実施例1の電動ポンプ10は、自動車のエンジンルーム内に設置され、エンジンやインバータ等を冷却する冷却水を循環するために用いられる。図1に示すように、電動ポンプ10は、ポンプ部20、モータ部40及び回路部70を有している。
【0016】
ポンプ部20は、ケーシング12の上部に形成されている。ポンプ部20は、ポンプ室26を有している。ポンプ室26には、ケーシング12に形成された吸入口22と吐出口24が接続されている。吸入口22は、ポンプ室14の上端に接続されている。吸入口22は、回転体28の回転軸が伸びる方向に伸びている。吐出口24は、ポンプ室26の外周に接続されている。吐出口24は、ポンプ室26の外周の接線方向に伸びている。ポンプ室26内には、回転体28のインペラ30が配置されている。
【0017】
モータ部40は、ポンプ部20の下方に配置されている。モータ部40は、固定軸42と、回転体28と、ステータ50を備えている。固定軸42の下端は、ケーシング12に固定されている。固定軸42は、ケーシング12内を上下方向に伸びており、その先端はポンプ室26内に達している。固定軸42には、回転体28が回転可能に取り付けられている。回転体28は、インペラ30とロータ部44を備えている。インペラ30の上面には、一定の間隔で複数枚の羽根が形成されている。インペラ30の下方には、円筒形状のロータ部44が設けられている。ロータ部44は、磁性材料によって形成されており、周方向に複数の磁極を有するように磁化処理が施されている。インペラ30とロータ部44とは一体に連結されている。このため、ロータ部44が回転すると、インペラ30も回転する。ステータ50は、ロータ部44の外周側に配置され、ロータ部44と対向している。ステータ50の詳細な構成については、後で詳述する。
【0018】
回路部70は、モータ部40の下方に配置されている。回路部70は、ステータ50への給電制御を行うモータ駆動回路72を備えている。モータ駆動回路72は、図示しない配線により図示しない外部電源(例えば、車両に搭載されているバッテリ)に接続されている。モータ駆動回路72は、外部電源から供給される電力をモータ部40に供給する。
【0019】
次に、ステータ50について詳述する。図1に示すように、ステータ50は、複数の電磁鋼板を積層して形成されている。ステータ50は、ケーシング12内に埋設されており、その周囲を樹脂材料(すなわち、ケーシング12の材料)によって囲まれている。図2に示すように、ステータ50は、一対のヨーク52,62と、ヨーク52,62のそれぞれに固定された3本のティース(54,56,54)、(64,66,64)と、各ティース(54,56,54)、(64,66,64)に巻回されたコイル68を有している。
【0020】
ヨーク52,62は、図2のy軸方向に伸びており、ロータ部44の周方向に間隔を空けて配置されている。すなわち、ヨーク52,62は、ロータ部44の周方向に180度の間隔を空けて配置されている。その結果、ヨーク52,62は、ロータ部44を挟んで左右対称に配置されている。なお、ヨーク62及びティース(64,66,64)は、ロータ部44に対して左右対称に配置される点を除いて、ヨーク52及びティース(54,56,54)と同一構成となっている。このため、以下では、ヨーク52及びティース(54,56,54)ついて主に説明する。
【0021】
ヨーク52の両端面には、凹部53a,53aが形成されている。また、ヨーク52のロータ部44側の面(ヨーク62と対向する面)には凹部53bが形成されている。ヨーク52には、3本のティース54,56,54が接続されている。
【0022】
ティース54,56,54は、その後端がヨーク52に接続される一方で、その先端がロータ部44の外周に隙間Cを空けて対向する。本実施例では、各ティース54,56,54とロータ部44の外周との隙間Cが一定となるように、ロータ部44の外周に対して各ティース54,56,54が位置決めされている。また、ティース54,56,54は、互いに平行に配置され、x方向に伸びている。このため、図2に示すように、ステータ50の断面(すなわち、ロータ部44の回転軸線に直交する断面)は、x方向に伸びる長辺と、y方向に伸びる短辺を有する長方形状となっている。すなわち、ステータ50は、偏平型のステータとなっている。
【0023】
3本のティース54,56,54は、ヨーク52の両端部に接続される一対の第1ティース54,54と、ヨーク52の中央部に接続される第2ティース56から構成されている。第1ティース54,54の後端には、凸部55a,55aが形成される。凸部55a,55aは、ヨーク52と当接する面、すなわち、第1ティース54,54の側面に形成されている。凸部55a,55aがヨーク52の凹部53a,53aに圧入されることで、第1ティース54,54とヨーク52が接続されている。凹部53a,53aがヨーク52の端面に形成され、凸部55a,55aが第1ティース54の側面に形成されているため、第1ティース54のヨーク52への接続方向は、ヨーク52のロータ部44側の面に平行な方向(すなわち、y軸方向)となっている。詳細には、図2の上側の第1ティース54のヨーク52への接続方向はy軸のマイナス方向となっており、図2の下側の第1ティース54のヨーク52への接続方向はy軸のプラス方向となっている。なお、第1ティース54,54の先端55b,55bは、ロータ部44の外周形状に倣った形状に形成されている。また、第1ティース54,54の中間部55c,55cには、コイル68が巻回されている。コイル68は、図示しない配線によってモータ駆動回路72に接続されている。
【0024】
第2ティース56の後端には、凸部57aが形成される。凸部57aは、ヨーク52と当接する面、すなわち、第2ティース56の後端面に形成されている。凸部57aがヨーク52の凹部53bに圧入されることで、第2ティース56とヨーク52が接続されている。凹部53bがヨーク52の側面(ロータ部44と対向する面)に形成され、凸部57aが第2ティース54の後端面に形成されているため、第2ティース56のヨーク52への接続方向は、ヨーク52のロータ部44側の面に直交する方向(すなわち、x軸方向)となっている。なお、第2ティース56の先端57bは、ロータ部44の外周形状に倣った形状に形成されている。また、第2ティース56の中間部57cには、コイル68が巻回されている。コイル68は、図示しない配線によってモータ駆動回路72に接続されている。
【0025】
上述したように、ヨーク62と、そのヨーク62に接続される3本のティース64,66,64は、上記のヨーク52と3本のティース54,56,54と同様の構成を備えている。すなわち、ヨーク62には、3本のティース64,66,64(第1ティース64,64と第2ティース66)が接続されている。ティース64,66,64は、その後端がヨーク52に接続される一方で、その先端がロータ部44の外周に隙間Cを空けて対向する。なお、ヨーク62と3本のティース64,66,64との接続構造は、ヨーク52と3本のティース54,56,54との接続構造と同一であるため、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0026】
図1に示すように、上記のステータ50はケーシング12内に埋設され、ケーシング12と一体化されている。すなわち、ケーシング12とステータ50は、インサート成形によって一体に成形されている。インサート成形時には、各ティース54,56,54,64,66,64とロータ部44の外周との隙間Cが一定となるように、各ティース54,56,54,64,66,64の先端を金型内で位置決めし、その状態で金型内に樹脂が注入されてケーシング12が成形される。したがって、ヨーク52に接続された第1ティース54の先端は、第2ティース56の先端と樹脂材料によって連結されると共に、ヨーク62に接続された第1ティース64の先端と樹脂材料によって連結される。同様に、ヨーク62に接続された第1ティース64の先端は、第2ティース66の先端と樹脂材料によって連結されると共に、ヨーク52に接続された第1ティース54の先端と樹脂材料によって連結される。これによって、各ティース54,56,54,64,66,64の位置がロータ部44の回転中にずれてしまうことが防止され、隣接するティース間の間隔のバラツキや、ティース先端とロータ部40との隙間のバラツキが低減される。
【0027】
また、本実施例では、インサート成形時に各ティース54,56,54,64,66,64の先端をロータ部44の外周に対して位置決めし、各ティース54,56,54,64,66,64の先端とロータ部44の外周との隙間を一定とする。このため、各ティース54,56,54,64,66,64の長さが設計値に対してバラツキが生じると、各ティース54,56,54,64,66,64とヨーク52,62の間で内部的な力が発生する。この際、各ティース54,56,54,64,66,64のヨーク52,62への接続方向が相違するため、各ティース54,56,54,64,66,64とヨーク52,62との接続が不良となることを相互に抑制することができる。例えば、第2ティース56の長さが設計値より長い場合、第2ティース56はヨーク52を外側(図2のx軸方向)に押圧する。しかしながら、第1ティース54,54のヨーク52への接続方向はy軸方向であり、第2ティース56からヨーク52に作用する力の方向とは直交する。その結果、ティース54,56,54とヨーク52との接続が良好に維持される。
【0028】
なお、第1ティース54、54の長さが設計値より長くなる場合、第1ティース54、54はヨーク52を外側(図2のx軸方向)に押圧する。このため、第1ティース54、54からヨーク52に作用する力の方向は、第2ティース56がヨーク52から離脱する方向と一致する。しかしながら、各ティース54,56,54の長さが設計値からばらついても常に第2ティース56とヨーク52との間に圧縮力が生じるように、第2ティース56の長さを長めに設定することで、第2ティース56とヨーク52との接続を良好に維持することができる。
【0029】
次に、電動ポンプ10の動作について説明する。モータ駆動回路72からコイル68に電力が供給されると、ロータ部44が固定軸42回りを回転する。この結果、インペラ30が回転し、冷却水が吸入口22よりポンプ室26内に吸引される。ポンプ室26内に吸引された冷却水は、インペラ30の回転によって昇圧され、吐出口24からケーシング12外へ吐出される。
【0030】
上述したように、本実施例では、ステータ50の各ティース54,56,54,64,66,64とロータ部44の外周との隙間が一定であり、かつ、各ティース54,56,54,64,66,64とヨーク52,62とが良好に接続されている。したがって、ティース54,56,54,64,66,64間での磁気抵抗のバラツキが抑えられ、モータ効率の向上及び回転時の振動の低減が図られている。その結果、本実施例の電動ポンプ10は、ポンプ効率が高く、また、吐出量の変動が抑えられる。
【0031】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0032】
例えば、ステータの形状は上記の実施例に限られず、図3に示すようなステータ形状としてもよい。図3に示すように、ステータ150は、上記のステータ50と略同様の構成を有しているが、隣接するティース154,156,164,166の先端を連結する連結部158,168,170を備えている点で相違する。すなわち、ステータ150では、ヨーク152に接続された第1ティース154の先端が、連結部158によって第2ティース156の先端に連結され、また、ヨーク162に接続された第1ティース164の先端と連結部170によって連結される。同様に、ヨーク162に接続された第1ティース164の先端は、連結部168によって第2ティース166の先端と連結され、また、ヨーク152に接続された第1ティース154の先端と連結される。連結部158,168,170を備えることで、各ティース154,156,164,166を一体として扱うことができ、ヨーク152,162への組付け作業等を容易に行うことができる。また、隣接するティース間の間隔がばらつくことを防止でき、ティース毎の磁気抵抗のバラツキを好適に抑制することができる。なお、図3に示すステータ150では、各ティース154,156,164,166の凸部の形状と、ヨーク152,162の凹部の形状も相違している。
【0033】
また、図4に示すようなステータ形状としてもよい。図4に示すように、ステータ250は、上記のステータ150と略同様の構成を有するが、各ティース254,256,264,266のヨーク252,262への接続方向が相違している。すなわち、ステータ250では、第1ティース254,264の後端面に凸部が形成され、その凸部がヨーク252,262のロータ側の面に形成された凹部に圧入されている。すなわち、第1ティース254,264のヨーク252,262への接続方向は、ヨーク252,262のロータ側の面に垂直な方向(x軸方向)となっている。
【0034】
一方、第2ティース256,266の後端には、側方に大きく突出する突出部256a,266aが形成され、この突出部256a,266aがヨーク252,262に形成された凹部252a,262aに圧入されている。突出部256a,266aが側方に大きく突出するため、第2ティース256,266のヨーク252,262への接続方向は図4の紙面に垂直な方向(すなわち、ヨーク252,262のロータ側の面に平行な方向)となる。このような構成によっても、第1ティース254,264のヨーク252,262への接続方向と、第2ティース256,266のヨーク252,262への接続方向とが直交するため、各ティース254,256,264,266とヨーク252,262との接続が良好に維持される。
【0035】
なお、各ティース254,256,264,266とヨーク252,262とを接続する際は、まず、第2ティース256,266の突出部256a,266aをヨーク252,262の凹部252a,262aに、図5の紙面垂直方向から圧入する。この状態では、第1ティース254,264とヨーク252,262とは接続されていないため、ヨーク252,262は中央部がロータ側に凸となるように曲げ変形している。次いで、第1ティース254,264の凸部を、ヨーク252,262の凹部に圧入する。これによって、各ティース254,256,264,266とヨーク252,262とを接続することができる。
【0036】
さらには、図5に示すようなステータ形状としてもよい。図5に示すように、ステータ350は、図3に示すステータ150と略同様の構成を有するが、ティース354,356,364,366とヨーク352,362の接続構造が相違している。すなわち、ステータ350では、第1ティース354,364の後端に内側に屈曲する屈曲部354a,364aが形成される。屈曲部354a,364aは、ヨーク352,362の反ロータ側の面に当接する。一方、第2ティース356,366の後端には、当接部356a,366aが形成される。当接部356a,366aは、ヨーク352,362のロータ側の面に当接する。ティース354,356,364,366の長さは、第1ティース354,364がヨーク352,362をロータ側に押圧し、第2ティース356,366がヨーク352,362を反ロータ側に押圧するように設定されている。第1ティース354,364によるヨーク352,362の押圧方向と、第2ティース356,366によるヨーク352,362の押圧方向が逆方向となるため、各ティース354,356,364,366とヨーク352,362との間に充分な接触圧が確保される。したがって、各ティース354,356,364,366とヨーク352,362との良好な接続状態が実現できる。
【0037】
なお、上記のティース354,356,364,366をヨーク352,362に接続する際は、まず、第2ティースの当接部356a,366aをヨーク352,362のロータ側の面に当接させる。次いで、第1ティース354,364をy軸方向に撓ませ、その復元力を利用して屈曲部354a,364aをヨーク352,362の反ロータ側の面に当接させる。したがって、このステータ350では、第1ティース354,364のヨーク352,362への接続方向は、ヨーク352,362のロータ側の面に対して垂直な方向(x軸方向)となる。一方、第2ティース356,366のヨーク352,362への接続方向は、ヨーク352,362のロータ側の面に対して平行な方向(y軸方向)となる。その結果、ステータ350でも、第1ティース354,364のヨーク352,362への接続方向と、第2ティース356,366のヨーク352,362への接続方向とが直交し、各ティース354,356,364,366とヨーク352,362との接続が良好に維持される。
【0038】
また、ステータ350では、第1ティース354,364の側面がヨーク352,362の両端面を押圧し、ヨーク352,362を圧縮方向に変形させる。その結果、隣接するティース354,356,364,366間の間隔がばらつくことが抑制され、ティース間の磁気抵抗のバラツキが好適に抑えられる。
【0039】
なお、上述した図2,3,4の実施例では、ティース側に凸部を形成し、ヨーク側に凹部を形成して、ティースとヨークを接続していたが、これとは逆に、ティース側に凹部を形成し、ヨーク側に凸部を形成して両者を接続してもよい。また、上述した各実施例では、ロータに対して対称に配置される一対のヨーク及びティースの構成を同一構成としたが、両者を異なる構成としてもよい。
【0040】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0041】
10:電動ポンプ
12:ケーシング
20:ポンプ部
28:回転体
30:インペラ
40:モータ部
44:ロータ部
50:ステータ
52,62:ヨーク
54,56,64,66:ティース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータと、
ロータの外周側に配置されたステータと、を有しており、
ステータは、
ロータの周方向に間隔を空けて配置された少なくとも2個のヨークと、
ヨーク毎に少なくとも3個以上設けられているティースと、を有しており、
各ティースは、その後端がヨークに接続される一方でその先端がロータの外周に隙間を空けて対向しており、
同一のヨークに設けられる前記少なくとも3個以上のティースは、当該ヨークの両端部に接続される一対の第1ティースと、当該ヨークの中央部に接続される第2ティースを有しており、
第1ティースは、第1の接続方向でヨークに接続されており、
第2ティースは、第1の接続方向とは異なる第2の接続方向でヨークに接続されている、ブラシレスモータ。
【請求項2】
ステータは、第1ヨークと、第1ヨークに対向して配置された第2ヨークと、を有しており、
ロータは、第1ヨークと第2ヨークの間に位置しており、
第1ヨークと第2ヨークのそれぞれには、互いに平行な3本のティースが接続されている、請求項1に記載のブラシレスモータ。
【請求項3】
各ヨークに接続される第2ティースは、当該ヨークのロータ側の面に対して直交する方向で当該ヨークに接続されており、
各ヨークに接続される第1ティースは、当該ヨークのロータ側の面に対して平行な方向で当該ヨークに接続されている、請求項1又は2に記載のブラシレスモータ。
【請求項4】
各ヨークに接続される第1ティースは、当該ヨークのロータ側の面に対して直交する方向で当該ヨークに接続されており、
各ヨークに接続される第2ティースは、当該ヨークのロータ側の面に対して平行な方向で当該ヨークに接続されている、請求項1又は2に記載のブラシレスモータ。
【請求項5】
各ヨークに接続される第1ティースの先端は、当該ヨークに接続される第2ティースの先端と連結されると共に、当該第1ティースの先端に対向すると共に当該ヨークとは異なるヨークに接続される第1ティースの先端と連結されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のブラシレスモータと、
そのブラシレスモータによって駆動されるインペラと、
そのインペラを回転可能に収容するポンプ室と、を有している、電動ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−85359(P2013−85359A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223066(P2011−223066)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【Fターム(参考)】