説明

ブリスターパックのカバーフィルム

本発明は、子供に安全で年配者に容易な取扱いを提供するブリスターのカバーホイルに関する。このカバーホイルは5乃至30μm厚のアルミニウムホイルからなり、その第1の面は、被覆されずに、又は0.1乃至10g/mの範囲の付着重量を有する保護ペイントで塗装され、又は17乃至60g/m2の範囲の単位面積当り質量を有する紙でラミネートされ、又は15μm厚のポリエステルフィルムでラミネートされる。アルミニウムホイルの第2の面は、ブリスター底部に対する密封を提供するように、10乃至40μmのフィルム厚のPVC、10乃至40μmのフィルム厚のPVDC、6乃至35μmのフィルム厚のPP、5乃至15μmのフィルム厚のポリエステル、8乃至76μmのフィルム厚のPCTFE、又は、10乃至40μm厚のCOCを基材とする、無延伸、1軸延伸又は2軸延伸プラスチックフィルムでラミネートされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱成形又は冷間成形されたブリスター・ベースパーツを有するブリスターパックのカバーフィルムに関し、子供にとって安全でかつ年配者にとって取り扱いが容易な、医薬品の包装に使用されるブリスターパックのカバーフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
子供に安全であると共に年配者にとって取扱いが容易なブリスターパックの要求を満たすために、カバーフィルムはプレス・スルー(press-through)、ピール(peel)及びピール・プレス(peel-press)フィルムの形態で、対応する基材フィルム及びブリスターデザインとの組み合わせで使用される。法律で定められた規則が異なるため、一国において認可されたブリスターパックが、自動的に他国においても使用許可されるものではない。
【0003】
アメリカ合衆国では、子供に安全で、かつ、年配者にとって取扱いが容易でなければならない新製品を包装した全てのブリスターパックは、実地テストで試験されなければならない。ここでの決定的な基準は、試験年齢の子供達が彼らの口の中にブリスターパックを入れて噛むことを要求されることである。かかる理由により、アメリカ合衆国では、カバーフィルムとして、紙/PET/アルミニウム/熱シール層という連続層を有する積層材料が使用される。現在、このカバーフィルムが噛み通されることは絶対に不可能であるから、ブリスターの中の製品が押し出されて包装の外に出ることはない。このカバーフィルムの噛切り防止設計により、これらのブリスターパックは必然的にクロスパーフォレーションと目立たないように形成された開放用補助手段とを有する。これは、従来のプレス・スルー(press-through)フィルムを備えたプレス・スルー包装に比べて、ブリスターの実質的な寸法を増大させることになる。ブリスターの寸法を、少なくとも幅3mm増加させると共に少なくとも長さ12mm増加させると、面積当たりの収量が低下することになるから、ブリスターパックを生産するときの成形サイクル当たりのブリスター数が減少することになる。
【0004】
アメリカ合衆国とは対照的に、ヨーロッパでは、子供に安全であると共に年配者にとっては取扱いが容易なブリスターパックについての一律の規則は存在しない。カバーフィルムとベースパーツの次の組み合わせがドイツでテストされて公表されている。
【0005】
【表1】

【0006】
前述のプレス・スルーの特性は機械学的にテストされた。このとき、半円形の型(ダイ)が、ホルダーにクランプされたフィルムの内側に、所定の速度で押圧された。プレス・スルーに必要な力はニュートン(N)で与えられた。
【0007】
ヨーロッパの多くの国で使用されているカバーフィルムの形態は、次表に示すように、プレス・スルーに要する力が38Nと56Nの間(標準偏差は約8)にある。
【0008】
【表2】

【0009】
アメリカ合衆国で適用されるテスト規則とは対照的に、ヨーロッパにおける包装は、前述の方法で一回のみテストされる必要があるだけであり、その後、一般的に、あらゆる製品について子供に安全であるとして認可される。しかしながら、新しい規則の草案の一部として、アメリカ合衆国で必須の、前述の噛み付きテスト(bite test)を、子供に安全な包装の認可のための決定的な基準として、ヨーロッパでのテストに包含させようとする努力がなされている。これは、製薬会社にとって、新しい基本的な包装手段が使用されなければならないことを意味する。これは、包装用の機械類を交換しなければならないと共にブリスター製造の生産性が低下するという、高コストを内包した安定性テストであるという連想を与える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、全ての一般のベース材料に対する密封に適当であり、子供にとって安全であると共に年配者がトロピカル・ブリスターを含むブリスターパックをプレス・スルーによって容易に開放することができ、そして、現存する包装機械類を交換することなく使用することができる、カバーフィルムを考案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、5乃至30μmの厚さのアルミニウムフィルムの第1の面が、
コーティングを施されずに、又は
0.1乃至10g/mの付着重量を有する保護ラッカーでコーティングされ、又は
17乃至60g/mの連量を有する紙でラミネートされ、又は
5乃至15μmの厚さのポリエステルフィルムでラミネートされ、
前記アルミニウムフィルムの第2の面は、ブリスターのベースパートに対する密封性を得るために、無延伸プラスチックフィルムによって、又は、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルムによってラミネートされ、前記無延伸プラスチックフィルム又は前記一軸又は二軸延伸プラスチックフィルムは、
10乃至40μmのフィルム厚を有するポリ塩化ビニル(PVC)、又は
10乃至40μmのフィルム厚を有するポリ塩化ビニリデン(PVDC)、又は
6乃至35μmのフィルム厚を有するポリプロピレン(PP)、又は
5乃至15μmのフィルム厚を有するポリエステル、又は
8乃至76μmのフィルム厚を有するポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、又は
10乃至40μmのフィルム厚を有するシクロオレフィンコポリマー(COC)を基材とすることによって達成される。
【発明の効果】
【0012】
ブリスターのベースパートに密封しようとするプラスチックフィルムの材料は、ブリスターのベースパートの密封しようとする面の材料に従って選択される。これにより、本発明によるカバーフィルムの面のうち、製品に接触する面の化学構造と、従来から認可されて使用されているベースフィルムの面のうち、製品に接触する面の化学構造との間の融和性(compatibility)が保証されるから、新しい安定性テストを実行する必要性は必ずしもなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明によるカバーフィルムを備えた所望のブリスターパックは、現存する機械類によって製造することができる。また、本発明によれば、プッシュ・スルーが可能なアルミニウム/プラスチックラミネートである一方で、プラスチックフィルムが子供の噛み開けを困難にする。
【実施例】
【0014】
アルミニウムフィルムは7乃至30μmの厚さであることが望ましい。
【0015】
このアルミニウムフィルムの第1の面の保護ラッカー層は、ニトロセルロース、エポキシ樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、又は、これらのラッカー原料の混合物を基材とする、水性又は有機溶剤を材料としたラッカーで構成されることが望ましく、この保護ラッカー層の付着重量は0.5乃至5g/mであることが望ましい。
【0016】
このアルミニウムフィルムの第1の面の紙は、グラシン紙、グラシン代用紙、コート紙、又は、サテン紙であることが可能であり、この紙の連量は19乃至50g/mであることが望ましい。
【0017】
このアルミニウムフィルムの第1の面の紙又はポリエステルフィルムは、水系接着剤、溶剤系接着剤、又は、非溶剤系接着剤を用いて、このアルミニウムフィルムに貼り合わされることが望ましい。
【0018】
このアルミニウムフィルムの第2の面のプラスチックフィルムは、水系接着剤、溶剤系接着剤、非溶剤系接着剤を用いて、又は、押し出しラミネーションによって、前記アルミニウムフィルムに貼り合わされることが望ましい。
【0019】
ブリスターのベースパートと、このベースパートに密封された本発明のカバーフィルムとを有する、ブリスターパックにおいて、このブリスター・ベースパートは、少なくともカバーフィルムによって密封される面に、ブリスター・ベースパートに密封されるプラスチックフィルムの化学構造と融和性(compatible)のある化学構造の物質を有する。このブリスター・ベースパートは、少なくともカバーフィルムに密封される面に、ブリスター・ベースパートに密封されるプラスチックフィルムと同一の物質を有することが望ましい。
【0020】
ブリスター・ベースパートの製造に使用される材料の例として、PVC、PVDC、PP、PET、PEのフィルム及びPVC/ACLAR(登録商標)(PCTFE)、PVC/PVDC及びCOC又はFORMPACK(登録商標)(Al−Alブリスター)のようなラミネートフィルムを挙げることができる。
【0021】
ここで、上記カバーフィルムとベースフィルムのいずれもが印刷可能であることを述べておかなければならない。
【0022】
下表に、プレス・スルーに要する力が付記された本発明のカバーフィルムの例を示す。外部コーティングという用語は、外方に向かうアルミニウムフィルムのコーティングを示し、内部コーティングという用語は、ブリスター・ベースパートに対して密封されるように構成されたコーティングを示す。いずれの用語も、ラッカーコーティング用及び紙コーティング用の連量(substance weight)又はフィルムコーティング用のフィルム厚さを示し、更に、コーティングとアルミニウムフィルムの間の連結類型を示している。
【0023】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱成形又は冷間成形されたブリスター用のカバーフィルムであって、子供に安全でかつ年配者の取り扱いが容易な、薬剤又は医薬品の包装に使用されるブリスターのカバーフィルムにおいて、前記カバーフィルムは、5乃至30μmの厚さのアルミニウムフィルムを有し、
前記アルミニウムフィルムの第1の面は、
コーティングを施されずに、又は
0.1乃至10g/mの付着重量を有する保護ラッカーでコーティングを施され、又は
17乃至60g/mの連量を有する紙でラミネートされ、又は
5乃至15μmの厚さのポリエステルフィルムでラミネートされ、
前記アルミニウムフィルムの第2の面は、ブリスターのベースパートに対する密封性を得るために、無延伸プラスチックフィルムによって、又は、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルムによってラミネートされ、前記無延伸プラスチックフィルム又は前記一軸又は二軸延伸プラスチックフィルムは、
10乃至40μmのフィルム厚を有するポリ塩化ビニル(PVC)、又は
10乃至40μmのフィルム厚を有するポリ塩化ビニリデン(PVDC)、又は
6乃至35μmのフィルム厚を有するポリプロピレン(PP)、又は
5乃至15μmのフィルム厚を有するポリエステル、又は
8乃至76μmのフィルム厚を有するポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、又は
10乃至40μmのフィルム厚を有するシクロオレフィンコポリマー(COC)を基材とする
ことを特徴とする、ブリスターのカバーフィルム。
【請求項2】
請求項1に記載のカバーフィルムにおいて、前記アルミニウムフィルムは、軟質又は硬質の状態にあり、又は境界が限定された硬度を有することを特徴とする、前記カバーフィルム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカバーフィルムにおいて、前記アルミニウムフィルムの厚さは7乃至30μmであることを特徴とする、前記カバーフィルム。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載のカバーフィルムにおいて、前記アルミニウムフィルムの前記第1の面の前記保護ラッカー層は、ニトロセルロース、エポキシ樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、又は、これらのラッカー原料の混合物を基材とする水性又は有機溶剤を材料としたラッカーを含むことを特徴とする、前記カバーフィルム。
【請求項5】
請求項4に記載のカバーフィルムにおいて、前記保護ラッカー層の付着重量は0.5乃至5g/mであることを特徴とする、前記カバーフィルム。
【請求項6】
請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載のカバーフィルムにおいて、前記アルミニウムフィルムの前記第1の面の前記紙は、グラシン紙、グラシン代用紙、コート紙、又は、サテン紙であることを特徴とする、前記カバーフィルム。
【請求項7】
請求項6に記載のカバーフィルムにおいて、前記紙の連量(substance
weight)は19乃至50g/mであることを特徴とする、前記カバーフィルム。
【請求項8】
請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載のカバーフィルムにおいて、前記アルミニウムフィルムの前記第1の面の前記紙又は前記ポリエステルフィルムは、水系接着剤、溶剤系接着剤、又は、非溶剤系接着剤を用いて、前記アルミニウムフィルムに貼り合わされていることを特徴とする、前記カバーフィルム。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載のカバーフィルムにおいて、前記アルミニウムフィルムの前記第2の面の前記プラスチックフィルムは、水系接着剤、溶剤系接着剤、非溶剤系接着剤を用いて、又は、押出しラミネーションによって、前記アルミニウムフィルムに貼り合わされていることを特徴とする、前記カバーフィルム。
【請求項10】
ブリスターのベースパートと前記ベースパートに対して密封されたカバーフィルムとを有するブリスターパックにおいて、前記カバーフィルムは5乃至30μmの厚さを有するアルミニウムフィルムであり、前記アルミニウムフィルムの第1の面は、
コーティングを施されずに、又は
0.1乃至10g/mの付着重量を有する保護ラッカーのコーティングを施され、又は
17乃至60g/mの連量(substance weight)を有する紙でラミネートされ、又は
5乃至15μmの厚さのポリエステルフィルムでラミネートされ、
前記アルミニウムフィルムの第2の面は、前記ベースパートに対する密封性を得るために、無延伸プラスチックフィルムによって、又は、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルムによってラミネートされ、前記無延伸プラスチックフィルム又は前記一軸又は二軸延伸プラスチックフィルムは、
10乃至40μmのフィルム厚を有するポリ塩化ビニル(PVC)、又は
10乃至40μmのフィルム厚を有するポリ塩化ビニリデン(PVDC)、又は
6乃至35μmのフィルム厚を有するポリプロピレン(PP)、又は
5乃至15μmのフィルム厚を有するポリエステル、又は
8乃至76μmのフィルム厚を有するポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、又は
10乃至40μmのフィルム厚を有するシクロオレフィンコポリマー(COC)を基材とし、
前記ベースパートの少なくとも前記カバーフィルムで密封される面は、前記ベースパートに密封される前記プラスチックフィルムの化学構造と融和性(compatible)の化学構造の物質からなることを特徴とする、ブリスターパック。
【請求項11】
請求項10に記載のブリスターパックにおいて、前記ブリスターの前記ベースパートは、少なくとも前記カバーフィルムに密封される面に、前記ベースパートに密封される前記プラスチックフィルムと同一の物質を含むことを特徴とする、前記ブリスターパック。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のブリスターパックにおいて、前記アルミニウムフィルムは、軟質又は硬質の状態にあり、又は境界が限定された硬度を有することを特徴とする、前記ブリスターパック。
【請求項13】
請求項10乃至12のうちのいずれか一項に記載のブリスターパックにおいて、前記アルミニウムフィルムの厚さは7乃至30μmであることを特徴とする、前記ブリスターパック。
【請求項14】
請求項10乃至13のうちのいずれか一項に記載のブリスターパックにおいて、前記アルミニウムフィルムの前記第1の面の前記保護ラッカー層は、ニトロセルロース、エポキシ樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、又は、これらのラッカー原料の混合物を基材とする水性又は有機溶剤を基材とするラッカーを有することを特徴とする、前記ブリスターパック。
【請求項15】
請求項14に記載のブリスターパックにおいて、前記保護ラッカー層の付着重量は0.5乃至5g/mであることを特徴とする、前記ブリスターパック。
【請求項16】
請求項10乃至13のうちのいずれか一項に記載のブリスターパックにおいて、前記アルミニウムフィルムの前記第1の面の前記紙は、グラシン紙、グラシン代用紙、コート紙、又は、サテン紙であることを特徴とする、前記ブリスターパック。
【請求項17】
請求項16に記載のブリスターパックにおいて、前記紙の連量(substance
weight)は19乃至50g/mであることを特徴とする、前記ブリスターパック。
【請求項18】
請求項10乃至13のうちのいずれか一項に記載のブリスターパックにおいて、前記アルミニウムフィルムの前記第1の面の前記紙又は前記ポリエステルフィルムは、水系接着剤、溶剤系接着剤、又は、非溶剤系接着剤を用いて、前記アルミニウムフィルムに貼り合わされていることを特徴とする、前記ブリスターパック。
【請求項19】
請求項10乃至18のうちのいずれか一項に記載のブリスターパックにおいて、前記アルミニウムフィルムの前記第2の面の前記プラスチックフィルムは、水系接着剤、溶剤系接着剤、非溶剤系接着剤を用いて、又は、押し出しラミネーションによって、前記アルミニウムフィルムに貼り合わされていることを特徴とする、前記ブリスターパック。

【公表番号】特表2006−523581(P2006−523581A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504997(P2006−504997)
【出願日】平成16年4月5日(2004.4.5)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003583
【国際公開番号】WO2004/091905
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(504313044)アルカン テヒノロギー ウント メーニッジメント リミテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】ALCAN TECHNOLOGY & MANAGEMENT LTD.
【住所又は居所原語表記】Badische Bahnhofstrasse 16, CH−8212 Neuhausen am Rheinfall, Switzerland
【Fターム(参考)】