説明

ブレーキ装置及び回転電機

【課題】制動解放時における摩耗や発熱を十分に防止する。
【解決手段】電磁ブレーキ装置100は、回転電機1のモータシャフト3に取り付けられたハブ21と、ハブ21に対し回転伝達可能かつ軸方向に移動可能に係合され、制動時において軸方向一方側へ移動してサイドプレート31へ接触するとともに、制動解放時には軸方向他方側へ移動してサイドプレート31への接触が解除される、ブレーキディスク33と、制動解放時においてはブレーキディスク33に対し軸方向一方側への移動のための駆動力を与えず、制動時においてブレーキディスク33に対し上記軸方向一方側への移動のための駆動力を与える、ばね25及び励磁コイル23と、ブレーキディスク33の軸方向他方側への移動量を規制する突起21cと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば無励磁作動型の電磁ブレーキであるブレーキ装置、及びこれを備えた回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば無励磁作動型の電磁ブレーキ装置が、従来、知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術では、回転電機の回転軸が上下方向に配置され、その回転軸に対し、ブレーキディスクが軸方向(上下方向)に移動可能に取り付けられる。制動時においては、ブレーキディスクの下方に位置するフィールドコアに設けたばねの付勢力によってアーマチュアが上方へ押し上げられ、これによってアーマチュアの上方に位置するブレーキディスクが上方へ移動してサイドプレートに接触し、制動が行われる。制動解放時には、フィールドコアの励磁用コイルからの電磁吸引力がばねの付勢力に打ち勝ってアーマチュアを下降させ、これによってブレーキディスクが下降してサイドプレートから離間する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−121836号公報(段落0016〜0026、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、制動解放時、下降したブレーキディスクの下面が自重によりアーマチュアに押しつけられ、アーマチュアと摺動しつつ回転する。これを緩和するために、ブレーキディスクの下面に、摩擦係数が小さい材料からなる摺動目的材を設けている。しかしながら、摩擦係数の小さい材質を用いたとしても、摩擦自体は完全には避けられないため、摩耗や発熱の発生を十分に防止するのは困難であった。
【0005】
本発明の目的は、制動解放時における摩耗や発熱を十分に防止できるブレーキ装置、及び、これを備えた回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のブレーキ装置は、被制動装置の回転軸に取り付けられたトルク伝達部材と、前記トルク伝達部材に対し回転伝達可能かつ軸方向に移動可能に係合され、制動時において軸方向一方側へ移動して固定側部材へ接触するとともに、制動解放時には軸方向他方側へ移動可能となる、円盤状部材と、前記制動解放時においては前記円盤状部材に対し上記軸方向一方側への移動のための駆動力を与えず、前記制動時において前記円盤状部材に対し上記軸方向一方側への移動のための駆動力を付与可能な、駆動手段と、前記円盤状部材の前記軸方向他方側への移動量を規制する規制手段と、を有する。
【0007】
本発明のブレーキ装置は、被制動装置の回転軸に取り付けられたトルク伝達部材を備えている。このトルク伝達部材に、回転を伝達しつつ軸方向に移動可能な円盤状部材が設けられており、この円盤状部材を用いて被制動装置の回転軸の制動が行われる。すなわち、制動時においては、駆動手段からの駆動力により円盤状部材が軸方向一方側へ移動し、固定側部材に接触する。この接触によって固定側部材の摩擦力が円盤状部材に作用する結果、円盤状部材の回転が制動される。これにより、円盤状部材に回転伝達可能に係合された被駆動装置の回転軸が静止する。一方、制動解放時には、上記駆動手段による駆動力の付与が行われなくなり、円盤状部材は、軸方向他方側へ移動可能となる。
【0008】
このとき、当該円盤状部材の軸方向他方側への移動量が、規制手段によって規制される。このように、本発明においては、駆動手段による軸方向一方側への駆動力の付与が消失した場合であっても、円盤状部材の軸方向他方側への移動は完全に自由ではなく、一定の規制が行われる。例えば軸方向一方側を上側、軸方向他方側を下側にして使用した場合には、円盤状部材が上記固定側部材への接触を解消すると自重により固定側部材から離間するが、上記規制手段の規制により、上記のように離間した円盤状部材がそのまま固定側部材と反対側の他の部材へ向かって軸方向他方側へと移動し当該他の部材へ接触してしまうのを防止することができる。この結果、制動解放時に固定側部材から離間した円盤状部材が、固定側部材の反対側の他の部材からも離間した状態を維持可能となるので、接触による摩耗や発熱が生じるのを十分に防止することができる。
【0009】
好ましくは、前記規制手段は、前記トルク伝達部材に設けられ、前記軸方向に移動可能な前記円盤状部材に対し、前記軸方向他方側から当接可能な当接部材を備える。
【0010】
これにより、制動解放時に駆動手段による駆動力の付与が消失し、円盤状部材が固定側部材から離間して軸方向他方側へ移動したとしても、当接部材が軸方向他方側から円盤状部材に当接してそれ以上の移動を防止することができる。この結果、円盤状部材が上記他の部材へ接触するのを確実に防止することができる。
【0011】
また好ましくは、前記駆動手段は、前記円盤状部材に対し、前記軸方向一方側への付勢力を与えるための弾性部材と、前記制動解放時において励磁され、前記円盤状部材に対し前記軸方向他方側への磁気吸引力を付与可能な励磁コイルと、を備える。
【0012】
これにより、制動時には励磁コイルを励磁しないことで、励磁コイルと円盤状部材との間に軸方向移動可能な磁性体部材を設けたり、あるいは、円盤状部材が磁性体を含んでいた場合であっても、弾性部材の付勢力を利用して円盤状部材を軸方向一方側へ移動可能となる。また制動解放時には励磁コイルを励磁し弾性部材の付勢力に打ち勝つ磁気吸引力を発生することで、上記のような場合であっても、円盤状部材を軸方向他方側へ移動可能となる。このように、励磁コイルの磁気吸引力と弾性部材の付勢力とのバランスを利用して、円盤状部材の軸方向移動を円滑に行わせることができる。また、励磁コイルへの通電が遮断されたときに制動状態となる(いわゆる無励磁作動型)ので、フェイルセーフ機能による安全性確保を図ることができる。
【0013】
また好ましくは、前記励磁コイルと前記円盤状部材との間に介在しつつ、前記軸方向に移動可能に配置された、磁性体部材をさらに有し、前記弾性部材は、前記磁性体部材に当接して前記軸方向一方側へ押圧し、前記磁性体部材は、前記制動時において、前記弾性部材に押圧されることにより前記軸方向一方側へ移動して前記円盤状部材に接触し、前記円盤状部材は、前記制動時において、前記軸方向他方側から前記磁性体部材に接触されることにより、前記軸方向一方側の前記固定側部材に接触し、前記励磁コイルは、前記制動解放時において、前記磁性体部材に対し前記軸方向他方側への磁気吸引力を与え、前記磁性体部材は、前記制動解放時において、前記励磁コイルからの前記磁気吸引力によって前記弾性部材の押圧に抗しつつ前記軸方向他方側へ移動して前記円盤状部材から離間し、前記円盤状部材は、前記制動解放時において前記磁性体部材が前記軸方向他方側へ移動可能になることにより、前記固定側部材から離間可能となる。
【0014】
これにより、励磁コイル及び弾性部材、磁性体部材、円盤状部材、固定側部材の順の軸方向配置において、制動時には弾性部材の付勢力により磁性体部材を円盤状部材に押し当て、円盤状部材を軸方向一方側へ移動させて固定側部材に接触させることができる。また制動解放時には励磁コイルの磁気吸引力により磁性体部材を吸引することで、磁性体部材による円盤状部材の押圧を消失させ、これによって円盤状部材を軸方向他方側へ移動可能とすることができる。円盤状部材自体を磁性体で構成した場合には、励磁コイルの磁気吸引力により積極的に軸方向他方側へ駆動することもできる。このように、励磁コイルの磁気吸引力と弾性部材の付勢力とのバランスを利用して、円盤状部材の軸方向移動を円滑に行わせることができる。
【0015】
また好ましくは、前記当接部材は、前記制動時と前記制動解放時とにおける前記軸方向に沿った前記円盤状部材の最大移動距離が、前記制動時と前記制動解放時とにおける前記軸方向に沿った前記磁性体部材の最大移動距離よりも小さくなるように、前記移動量を規制する。
【0016】
これにより、制動時において円盤状部材が固定側部材に接触した状態から制動解放され、円盤状部材及び磁性体部材が軸方向他方側へ移動するとき、磁性体部材の移動が完了するより前に円盤状部材の移動が当接部材によって阻止される。これにより、それ以降は円盤状部材の軸方向他方側への移動はないまま、磁性体部材のみが軸方向他方側へ移動することとなるので、円盤状部材と磁性体部材との間が軸方向に沿って確実に離間する。これにより、制動解放時に、固定側部材から離れた円盤状部材がその反対側の磁性体部材から離間した状態を確実に維持できるので、接触による摩耗や発熱が生じるのを確実に防止することができる。
【0017】
また好ましくは、前記当接部材は、前記制動解放時に前記円盤状部材の前記軸方向他方側が当該当接部材に当接したときに、前記固定側部材と前記円盤状部材との間に所定の空隙が生じるとともに、前記軸方向他方側に移動した状態の前記磁性体部材と前記円盤状部材との間に所定の空隙が生じるように、前記移動量を規制する。
【0018】
これにより、制動解放時に、固定側部材から離れて当接部材に当接した状態の円盤状部材は、軸方向一方側の固定側部材からも、軸方向他方側の磁性体部材からも、確実に離間した状態を維持できる。この結果、接触による摩耗や発熱が生じるのをさらに確実に防止することができる。
【0019】
また好ましくは、前記円盤状部材は、磁性体からなる芯板を備える。
【0020】
これにより、軸方向他方側を上側、軸方向一方側を下側にして使用することが可能となる。すなわち、この場合には、上側から下側に向かって、励磁コイル及び弾性部材、磁性体部材、円盤状部材、固定側部材の順の配置となる。この配置において、制動時には弾性部材の付勢力により磁性体部材を円盤状部材に押し当て、円盤状部材を軸方向下側へ移動させて固定側部材に接触させることができる。また制動解放時には励磁コイルの磁気吸引力により磁性体部材及び円盤状部材を吸引することで、磁性体部材による円盤状部材の押圧を消失させるとともに円盤状部材を積極的に上側へ駆動し、円盤状部材を上側へ移動させることができる。このように軸方向他方側を上側、軸方向一方側を下側にして使用することもできるし、前述のようにして軸方向一方側を上側、軸方向他方側を下側にして使用することもできる。つまり、円盤状部材の自重がどの向きに作用するかに関係なく円盤状部材の上記離間状態を維持可能となる。したがって、ブレーキ装置の設置向きに対する制限がなくなり、ブレーキ装置を自在に設置することができる。
【0021】
上記目的を達成するために、また本発明のブレーキ装置は、被制動装置の回転軸に取り付けられたトルク伝達部材と、前記トルク伝達部材に対し回転伝達可能かつ軸方向に移動可能に係合され、制動時において軸方向一方側へ移動して固定側部材へ接触するとともに、制動解放時には軸方向他方側へ移動可能となる、円盤状部材と、前記円盤状部材に対し、前記軸方向一方側への付勢力を与えるための弾性部材と、前記制動解放時において励磁され、前記円盤状部材に対し前記軸方向他方側への磁気吸引力を付与可能な励磁コイルと、前記励磁コイルと前記円盤状部材との間に介在しつつ、前記軸方向に移動可能に配置された、磁性体部材と、前記トルク伝達部材に設けられ、前記軸方向に移動可能な前記円盤状部材に対し、前記軸方向他方側から当接し、当該円盤状部材の前記軸方向他方側への移動量を規制する規制手段と、を有し、前記弾性部材は、前記磁性体部材に当接して前記軸方向一方側へ押圧し、前記磁性体部材は、前記制動時において、前記弾性部材に押圧されることにより前記軸方向一方側へ移動して前記円盤状部材に接触し、前記円盤状部材は、前記制動時において、前記軸方向他方側から前記磁性体部材に接触されることにより、前記軸方向一方側の前記固定側部材に接触し、前記励磁コイルは、前記制動解放時において、前記磁性体部材に対し前記軸方向他方側への磁気吸引力を与え、前記磁性体部材は、前記制動解放時において、前記励磁コイルからの前記磁気吸引力によって前記弾性部材の押圧に抗しつつ前記軸方向他方側へ移動して前記円盤状部材から離間し、
前記円盤状部材は、前記制動解放時において前記磁性体部材が前記軸方向他方側へ移動可能になることにより、前記固定側部材から離間可能となる。
【0022】
本発明のブレーキ装置は、被制動装置の回転軸に取り付けられたトルク伝達部材を備えている。このトルク伝達部材に、回転を伝達しつつ軸方向に移動可能な円盤状部材が設けられており、この円盤状部材を用いて被制動装置の回転軸の制動が行われる。すなわち、励磁コイル及び弾性部材、磁性体部材、円盤状部材、固定側部材の順の軸方向配置において、制動時においては、弾性部材の付勢力により磁性体部材を円盤状部材に押し当て、円盤状部材を軸方向一方側へ移動させて固定側部材に接触させることができる。この接触によって固定側部材の摩擦力が円盤状部材に作用する結果、円盤状部材の回転が制動される。これにより、円盤状部材に回転伝達可能に係合された被駆動装置の回転軸が静止する。一方、制動解放時には励磁コイルの磁気吸引力により磁性体部材を吸引することで、磁性体部材による円盤状部材の押圧を消失させ、これによって円盤状部材を軸方向他方側へ移動可能とすることができる。円盤状部材自体を磁性体で構成した場合には、励磁コイルの磁気吸引力により積極的に軸方向他方側へ駆動することもできる。
【0023】
このとき、当該円盤状部材の軸方向他方側への移動量が、規制手段によって規制される。このように、本発明においては、磁性体部材の円盤状部材に対する軸方向一方側への押圧が消失した場合であっても、円盤状部材の軸方向他方側への移動は完全に自由ではなく、一定の規制が行われる。例えば軸方向一方側を上側、軸方向他方側を下側にして使用した場合には、円盤状部材が上記固定側部材への接触を解消すると自重により固定側部材から離間するが、上記規制手段の規制により、上記のように離間した円盤状部材がそのまま固定側部材と反対側の他の部材へ向かって軸方向他方側へと移動し当該他の部材へ接触してしまうのを防止することができる。この結果、制動解放時に固定側部材から離間した円盤状部材が、固定側部材の反対側の他の部材からも離間した状態を維持可能となるので、接触による摩耗や発熱が生じるのを十分に防止することができる。
【0024】
上記目的を達成するために、本発明の回転電機は、回転体と、前記回転体に対し回転伝達可能かつ軸方向に移動可能に係合され、制動時において軸方向一方側へ移動して固定側部材へ接触するとともに、制動解放時には軸方向他方側へ移動可能となる、円盤状部材と、前記制動解放時においては前記円盤状部材に対し上記軸方向一方側への移動のための駆動力を与えず、前記制動時において前記円盤状部材に対し上記軸方向一方側への移動のための駆動力を付与可能な、駆動手段と、前記円盤状部材の前記軸方向他方側への移動量を規制する規制手段と、を有する。
【0025】
本発明の回転電機は、回転体を備える。回転体には、回転を伝達しつつ軸方向に移動可能な円盤状部材が設けられており、この円盤状部材を用いて回転体の制動が行われる。すなわち、制動時においては、駆動手段からの駆動力により円盤状部材が軸方向一方側へ移動し、固定側部材に接触する。この接触によって固定側部材の摩擦力が円盤状部材に作用する結果、円盤状部材の回転が制動される。これにより、円盤状部材に回転伝達可能に係合された回転体が静止する。一方、制動解放時には、上記駆動手段による駆動力の付与が行われなくなり、円盤状部材は、軸方向他方側へ移動可能となる。
【0026】
このとき、本発明においては、当該円盤状部材の軸方向他方側への移動量が、規制手段によって規制される。すなわち、駆動手段による軸方向一方側への駆動力の付与が消失した場合であっても、円盤状部材の軸方向他方側への移動は完全に自由ではなく、一定の規制が行われる。例えば軸方向一方側を上側、軸方向他方側を下側にして使用した場合には、円盤状部材が上記固定側部材への接触を解消すると自重により固定側部材から離間するが、上記規制手段の規制により、上記のように離間した円盤状部材がそのまま固定側部材と反対側の他の部材へ向かって軸方向他方側へと移動し当該他の部材へ接触してしまうのを防止することができる。この結果、制動解放時に固定側部材から離間した円盤状部材が、固定側部材の反対側の他の部材からも離間した状態を維持可能となるので、接触による摩耗や発熱が生じるのを十分に防止することができる。
【0027】
好ましくは、前記回転体は、回転子と、モータシャフトと、前記モータシャフトに取り付けられたトルク伝達部材とを備えており、前記円盤状部材は、前記トルク伝達部材に対し回転伝達可能かつ軸方向に移動可能に係合されている。
【0028】
モータシャフトに取り付けたトルク伝達部材に対し軸方向に移動可能に設けた円盤状部材の移動量を規制することで、制動解放時に円盤状部材での摩耗や発熱の発生を十分に防止することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、制動解放時における摩耗や発熱を十分に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態による電磁ブレーキ装置を備えた電動機の全体構造を表す縦断面図である。
【図2】ハブの詳細構造を表す図1中の部分抽出拡大図、及び、図2(a)中A方向から見た矢視図である。
【図3】電磁ブレーキ装置の制動状態または制動解放状態を示す説明図である。
【図4】回転電機の設置例を示す図である。
【図5】ハブ形状の変形例の詳細構造を表す側断面図、及び、は図5(a)中B方向から見た矢視図である。
【図6】ハブ形状の別の変形例の詳細構造を表す側断面図、及び、は図6(a)中C方向から見た矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態のブレーキ装置100を備えた回転電機である、電動機1の全体構造を表す縦断面図である。
【0033】
図1において、電動機1は、回転軸であるモータシャフト3を備えた回転子2と、固定子4と、負荷側ブラケット5aと、反負荷側ブラケット5bと、それら負荷側及び反負荷側ブラケット5a,5bにそれぞれ設けられ、モータシャフト3の両端側をそれぞれ軸支するベアリング6a,6bと、モータシャフト3の反負荷側(図1中の左側)に対し制動を行う無励磁作動型の本実施形態による電磁ブレーキ装置100とを有している。
【0034】
モータシャフト3は、図1に示す左右方向(軸方向)に配設されている。モータシャフト3は、その反負荷側(図1中の左側)が上記反負荷側ブラケット5bから突出し、その突出部に上記電磁ブレーキ装置100が設けられている。言い換えれば電動機1が、電磁ブレーキ装置100の被制動装置を構成している。なお、電磁ブレーキ装置100の図1中の左側には、モータシャフト3の回転を検出する、例えばエンコーダ等からなる検出器8と、検出器カバー9とが設けられている。
【0035】
電磁ブレーキ装置100は、モータシャフト3の外周部に固定されたトルク伝達部材としてのハブ21と、励磁コイル23及びばね25を収納したフィールドコア27と、フィールドコア27に上記軸方向に対向するように上記軸方向の一方側(図1中の右側。以下同様)に配置された磁性体部材としてのアーマチュア29と、このアーマチュア29の上記軸方向一方側に配置された固定側部材としてのサイドプレート31と、このサイドプレート31とアーマチュア29との間に配置され、上記ハブ21に係合(詳細は後述)された円盤状部材としてのブレーキディスク33を備えている。なお、モータシャフト3と、ハブ21と、上記回転子2とが、各請求項記載の回転体を構成する。
【0036】
フィールドコア27は、内側円筒部27Aと、外側円筒部27Bと、底板部27Cとを備えている。内側円筒部27Aと外側円筒部27Bとの間の径方向空間が、図1中の右側に解放するコイル用凹部35となっており、このコイル用凹部35に上記励磁コイル23が収納されている。また外側円筒部27Bの上記軸方向一方側の面には、複数のばね用凹部37が周方向に適宜の等間隔で形成されており、これらばね用凹部37のそれぞれに圧縮コイルばねである弾性部材としての上記ばね25が収納されている。これらのばね25は、アーマチュア29に対し、上記軸方向一方側へ押圧する付勢力を作用させる。なお、内側円筒部27Aと外側円筒部27Bの上記軸方向一方側の面は、アーマチュア29を磁気的に吸引する磁極面を形成する。なお、ばね25と励磁コイル23とが、各請求項記載の駆動手段を構成している。
【0037】
アーマチュア29は、適宜の磁性体材料(例えば鋼板)によって円板状に形成され、貫通孔29aを径方向中心側に備えている。このアーマチュア29は、フィールドコア27とブレーキディスク33との間に上記軸方向にのみ移動自在に配置されている。
【0038】
サイドプレート31は、円盤状に形成されており、貫通孔31aを径方向中心側に備えている。サイドプレート31の外周縁部は、カラー39を介在させつつ、複数個の固定用ねじ41によってフィールドコア27の外側円筒部27Bに固定される。カラー39は、アーマチュア29の外周に形成された凹部29bに挿入配置され、アーマチュア29の回転を防止する。
【0039】
ブレーキディスク33は、芯板43、摩擦材45、および摩擦材47を備えている。この芯板43は、適宜の磁性体によって円板状に形成され、その内周面にスプライン43aを設けている。このスプライン43aと上記ハブ21に設けられたスプライン21aとの係合により、ブレーキディスク33は、ハブ21に対し軸方向に移動可能でかつ回転不能(言い換えれば回転伝達可能)に設けられている。
【0040】
芯板43の外周側縁部の上記軸方向一方側の面、すなわちサイドプレート31に対向する面には摩擦材45が取り付けられ、また、芯板43の外周側縁部の上記軸方向の他方側(図1中の左側。以下同様)の面、すなわちアーマチュア29と対向する面に、摩擦材47が取り付けられている。なお、摩擦材45及び摩擦材47を、芯板43に設ける代わりに、対向する部材であるサイドプレート31やアーマチュア29側に設けてもよい。
【0041】
図2(a)は、ハブ21の詳細構造を表す図1中の部分抽出拡大図であり、図2(b)は図2(a)中A方向から見た矢視図である。図2(a)及び図2(b)において、ハブ21の内周側には、モータシャフト3を貫通させて固定するための貫通孔21bが設けられている。またハブ21の外周側には、鋸歯状の凸部として形成された上記スプライン21aが、例えばワイヤカットの手法により形成されている。このスプライン21aは、前述したようにブレーキディスク33の芯板43のスプライン43aと互いに係合している。また、各スプライン21aの軸方向他方側端部には、当接部材としての突起21cがそれぞれ設けられている。突起21cは、ブレーキディスク33の軸方向の移動を制限する規制手段を構成する(詳細は後述)。
【0042】
次に、上記構成の電動機1に備えられる電磁ブレーキ装置100の動作について、図1に示された構造の要部拡大図に相当する図3を用いて説明する。
【0043】
図3(a)は、励磁コイル23に通電されず(=無励磁状態)、電磁ブレーキ装置100による制動が行われる制動状態を示している。図3(a)において、この制動状態では、アーマチュア29はばね25に押圧されることにより軸方向一方側(図示右側)へ移動してブレーキディスク33に接触し、ブレーキディスク33はその軸方向他方側(図示左側)からのアーマチュア29の接触によって、サイドプレート31に接触する。この結果、ブレーキディスク33はアーマチュア29とサイドプレート31とによって挟圧されて制動され、これにより、電動機1のモータシャフト3の回転は制動される(慣性回転しているモータシャフト3を静止させる、または、静止しているモータシャフト3に外部から回転しようとする力(トルク)が加えられた時にモータシャフト3を保持することによってモータシャフト3の静止状態を維持する)。
【0044】
なお、この制動状態において、アーマチュア29とフィールドコア27との間にわずかな空隙G1が形成されるように、カラー39の軸方向長さが設定される。この空隙G1の寸法は、例えば0.05〜0.3mm程度である。また、この制動状態において、ハブ21の突起21cとブレーキディスク33(詳細には芯板43)との間には、空隙G2が形成されている。この空隙G1,G2の大きさは、上記のハブ21の突起21cによるブレーキディスク33の移動量規制機能に対応して、G2<G1となっている。
【0045】
図3(b)は、励磁コイル23に通電され(=励磁状態)、電磁ブレーキ装置100による制動が行われない制動解放状態を示している。図3(b)において、この制動状態では、励磁コイル23はアーマチュア29及びブレーキディスク33に対して軸方向他方側(図示左側)への磁気吸引力を与える。これにより、アーマチュア29及びブレーキディスク33は、アーマチュア29を押圧するばね25の付勢力に抗しつつ軸方向他方側へ移動する。この結果、ブレーキディスク33は、サイドプレート31から離間し、ブレーキディスク33は上記制動から解放され、電動機1のモータシャフト3は回転可能となる。
【0046】
このようにしてアーマチュア29及びブレーキディスク33が軸方向他方側へ移動するとき、ブレーキディスク33の上記軸方向他方側の移動は、芯板43の軸方向他方側の面が上記ハブ21の突起21cに当接したところで阻止され、停止する(上記G2=0の状態となる)。ここで、前述したようにG2<G1となっていることから、このようにしてブレーキディスク33の軸方向他方側への移動が突起21cによって停止した後も、アーマチュア29はさらに軸方向他方側へと移動してブレーキディスク33から離間し、フィールドコア27の上記磁極面に密着する(すなわち前述のG1=0の状態となる)。
【0047】
上記の挙動より分かるように、上記空隙G1の寸法は、前述の制動状態と、この制動解放状態とにおける、軸方向に沿ったアーマチュア29の最大移動距離に相当している。また上記空隙G2の寸法は、前述の制動状態と、この制動解放状態とにおける、軸方向に沿ったブレーキディスク33の最大移動距離に相当している。上述のようにこれらの寸法がG2<G1となるようにハブ21の突起21cがブレーキディスク33の軸方向移動量を規制することで、この制動解放状態において、ブレーキディスク33がアーマチュア29から離間する。
【0048】
詳細には、この制動解放状態で上記のように芯板43が突起21cに当接しブレーキディスク33が停止した状態において、ブレーキディスク33(詳細には摩擦材45)とサイドプレート31との間に所定の空隙g1が生じ、ブレーキディスク33(詳細には摩擦材47)とアーマチュア29との間にも所定の空隙g2が生じるよう、設定されている。これにより、ブレーキディスク33は、この制動解放状態で、アーマチュア29からもサイドプレート31からも離間する。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の電磁ブレーキ装置100においては、ブレーキディスク33がサイドプレート31に接触して制動が行われる制動状態から、励磁コイル23の磁気吸引力によって、ブレーキディスク33がサイドプレート31から離間し、制動解放状態となる。その際、軸方向他方側(アーマチュア29側)へと移動するブレーキディスク33の移動量をハブ21に設けた突起21cが規制し、芯板43が当接した時点で当該移動を阻止する。これにより、ブレーキディスク33は、制動解放状態で、アーマチュア29からもサイドプレート31からも確実に離間した状態となる。この結果、従来構造と異なり、制動解放状態において接触による摩耗や発熱が生じるのを十分に防止することができる。またこれにより、熱的に余裕のある電磁ブレーキの設計や、摩耗によるブレーキ吸引力の変化を考慮しなくてよい電磁ブレーキの設計が、可能となるという効果もある。さらに、芯板43の素材が磁性体で足りることから、材料選定や加工方法の制約がなくなり、より安価な電磁ブレーキの提供が可能となる効果もある。
【0050】
また、上記のような構造により、図4(a)に示すような回転電機1の設置方向、すなわちモータシャフト3を鉛直上下方向としつつ、上方から下方へ向かって、サイドプレート31、ブレーキディスク33、アーマチュア29、フィールドコア27の順に配置する構造も可能となる。すなわち、この配置の場合、制動解放状態で、励磁コイル23の磁気吸引力によってブレーキディスク33がサイドプレート31から離間する際、ブレーキディスク33の自重をハブ21の突起21cで支え、ブレーキディスク33がアーマチュア29から上下方向に離間した状態を確保することができる。これにより、ブレーキディスク33の自重がアーマチュア29に加わるのを防止し、自重による接触で摩耗や発熱が生じるのを十分に防止することができる。
【0051】
また、芯板43の素材を磁性体にすることにより、従来構造では特に摩耗や発熱の懸念が大きく設置が困難であった、図4(b)に示すような回転電機1の設置方向、すなわちモータシャフト3を鉛直上下方向としつつ、上方から下方へ向かって、フィールドコア27、アーマチュア29、ブレーキディスク33、サイドプレート31の順に配置する構造も可能となる。すなわち、芯板43の素材を磁性体にすることにより、制動解放状態では、ブレーキディスク33が自重によって下方に移動することなく、励磁コイル23の磁気吸引力によってブレーキディスク33がハブ21の突起21cと当接するまで上方に移動する。この結果、上記従来構造とは異なり、回転電機1の設置向きに対する制限がなくなり、自在に設置することができる。
【0052】
なお、上述では、ブレーキディスク33の芯板43を磁性体としたが、これに限定されない。芯板43は、非磁性体であってもよい。この場合でもあっても、突起21cにより、図4(a)に示した設置方向において自重による接触で摩耗や発熱が生じるのを十分に防止することができる。
【0053】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0054】
(1)ハブの形状のバリエーション(その1)
すなわち、上記実施形態において図2(a)に図2(b)に示した形状のハブ21に限られず、別の形状も可能である。図5(a)は、そのような変形例によるハブ21Aの詳細構造を表す図であり、図5(b)は図5(a)中B方向から見た矢視図であり、それぞれ上記図2(a)及び図2(b)に対応する図である。
【0055】
図5(a)及び図5(b)において、上記実施形態のハブ21と同様、ハブ21Aの内周側には、モータシャフト3を貫通させて固定するための貫通孔21Abが設けられている。またハブ21Aの外周側には、鋸歯状の凸部として形成されたスプライン21Aaが、例えばホブ盤を用いた加工により形成されている。この場合、図示のように、ホブ盤の工具逃げ121が形成された形状となる。スプライン21Aaは、ブレーキディスク33の芯板43のスプライン43aと互いに係合している。また、各スプライン21Aaの軸方向他方側端部には、当接部材としての突起21Acが周方向全周にわたって設けられ、上記同様、ブレーキディスク33の軸方向の移動を制限する規制手段を構成する。
【0056】
本変形例のハブ21Aを用いた場合も、上記実施形態と同様の効果を得る。また、本変形例でのハブ21Aは、上記実施形態のハブ21よりも、量産性に優れ、安価に製造できるという効果を得る。
【0057】
(2)ハブの形状のバリエーション(その2)
図6(a)は、さらに別の変形例によるハブ21Bの詳細構造を表す図であり、図6(b)は図6(a)中C方向から見た矢視図であり、それぞれ上記図2(a)及び図2(b)に対応する図である。
【0058】
図6(a)及び図6(b)において、本変形例のハブ21Bは、上記ハブ21,21Aのスプライン21a,21Aaに代えて、ブレーキディスク33にトルクを伝達するために、略四角筒形状のトルク伝達部21Baが設けられる。このトルク伝達部21Baは、ブレーキディスク33の芯板43に設けられた図示しない四角穴に係合する。これにより、ブレーキディスク33は、ハブ21Bに対し、軸方向に移動可能でかつ回転伝達可能に係合される。また、前述と同様、ハブ21Bの内周側には、モータシャフト3を貫通させて固定するための貫通孔21Bbが設けられている。また、トルク伝達部21Baの軸方向他方側端部には、当接部材としての略フランジ状の突起21Bcが設けられ、上記同様、ブレーキディスク33の軸方向の移動を制限する規制手段を構成する。
【0059】
本変形例のハブ21Bを用いた場合も、上記実施形態や(1)の変形例と同様の効果を得る。また、本変形例のハブ21Bは、上記(1)の変形例のハブ21Aよりも、さらに安価に製造できるという効果を得る。
【0060】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0061】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0062】
1 回転電機(被制動装置)
2 回転子(回転体)
3 モータシャフト(回転軸、回転体)
21 ハブ(トルク伝達部材、回転体)
21c 突起(当接部材、規制手段)
23 励磁コイル(駆動手段)
25 ばね(弾性部材、駆動手段)
29 アーマチュア(磁性体部材)
31 サイドプレート(固定側部材)
33 ブレーキディスク(円盤状部材)
100 電磁ブレーキ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被制動装置の回転軸に取り付けられたトルク伝達部材と、
前記トルク伝達部材に対し回転伝達可能かつ軸方向に移動可能に係合され、制動時において軸方向一方側へ移動して固定側部材へ接触するとともに、制動解放時には軸方向他方側へ移動可能となる、円盤状部材と、
前記制動解放時においては前記円盤状部材に対し上記軸方向一方側への移動のための駆動力を与えず、前記制動時において前記円盤状部材に対し上記軸方向一方側への移動のための駆動力を付与可能な、駆動手段と、
前記円盤状部材の前記軸方向他方側への移動量を規制する規制手段と、
を有することを特徴とするブレーキ装置。
【請求項2】
請求項1記載のブレーキ装置において、
前記規制手段は、
前記トルク伝達部材に設けられ、前記軸方向に移動可能な前記円盤状部材に対し、前記軸方向他方側から当接可能な当接部材を備える
ことを特徴とするブレーキ装置。
【請求項3】
請求項2記載のブレーキ装置において、
前記駆動手段は、
前記円盤状部材に対し、前記軸方向一方側への付勢力を与えるための弾性部材と、
前記制動解放時において励磁され、前記円盤状部材に対し前記軸方向他方側への磁気吸引力を付与可能な励磁コイルと、
を備えることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項4】
請求項3記載のブレーキ装置において、
前記励磁コイルと前記円盤状部材との間に介在しつつ、前記軸方向に移動可能に配置された、磁性体部材をさらに有し、
前記弾性部材は、
前記磁性体部材に当接して前記軸方向一方側へ押圧し、
前記磁性体部材は、
前記制動時において、前記弾性部材に押圧されることにより前記軸方向一方側へ移動して前記円盤状部材に接触し、
前記円盤状部材は、
前記制動時において、前記軸方向他方側から前記磁性体部材に接触されることにより、前記軸方向一方側の前記固定側部材に接触し、
前記励磁コイルは、
前記制動解放時において、前記磁性体部材に対し前記軸方向他方側への磁気吸引力を与え、
前記磁性体部材は、
前記制動解放時において、前記励磁コイルからの前記磁気吸引力によって前記弾性部材の押圧に抗しつつ前記軸方向他方側へ移動して前記円盤状部材から離間し、
前記円盤状部材は、
前記制動解放時において前記磁性体部材が前記軸方向他方側へ移動可能になることにより、前記固定側部材から離間可能となる
ことを特徴とするブレーキ装置。
【請求項5】
請求項4記載のブレーキ装置において、
前記当接部材は、
前記制動時と前記制動解放時とにおける前記軸方向に沿った前記円盤状部材の最大移動距離が、前記制動時と前記制動解放時とにおける前記軸方向に沿った前記磁性体部材の最大移動距離よりも小さくなるように、前記移動量を規制する
ことを特徴とするブレーキ装置。
【請求項6】
請求項5記載のブレーキ装置において、
前記当接部材は、
前記制動解放時に前記円盤状部材の前記軸方向他方側が当該当接部材に当接したときに、前記固定側部材と前記円盤状部材との間に所定の空隙が生じるとともに、前記軸方向他方側に移動した状態の前記磁性体部材と前記円盤状部材との間に所定の空隙が生じるように、前記移動量を規制する
ことを特徴とするブレーキ装置。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれか1項記載のブレーキ装置において、
前記円盤状部材は、
磁性体からなる芯板を備えることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項8】
被制動装置の回転軸に取り付けられたトルク伝達部材と、
前記トルク伝達部材に対し回転伝達可能かつ軸方向に移動可能に係合され、制動時において軸方向一方側へ移動して固定側部材へ接触するとともに、制動解放時には軸方向他方側へ移動可能となる、円盤状部材と、
前記円盤状部材に対し、前記軸方向一方側への付勢力を与えるための弾性部材と、
前記制動解放時において励磁され、前記円盤状部材に対し前記軸方向他方側への磁気吸引力を付与可能な励磁コイルと、
前記励磁コイルと前記円盤状部材との間に介在しつつ、前記軸方向に移動可能に配置された、磁性体部材と、
前記トルク伝達部材に設けられ、前記軸方向に移動可能な前記円盤状部材に対し、前記軸方向他方側から当接し、当該円盤状部材の前記軸方向他方側への移動量を規制する規制手段と、
を有し、
前記弾性部材は、
前記磁性体部材に当接して前記軸方向一方側へ押圧し、
前記磁性体部材は、
前記制動時において、前記弾性部材に押圧されることにより前記軸方向一方側へ移動して前記円盤状部材に接触し、
前記円盤状部材は、
前記制動時において、前記軸方向他方側から前記磁性体部材に接触されることにより、前記軸方向一方側の前記固定側部材に接触し、
前記励磁コイルは、
前記制動解放時において、前記磁性体部材に対し前記軸方向他方側への磁気吸引力を与え、
前記磁性体部材は、
前記制動解放時において、前記励磁コイルからの前記磁気吸引力によって前記弾性部材の押圧に抗しつつ前記軸方向他方側へ移動して前記円盤状部材から離間し、
前記円盤状部材は、
前記制動解放時において前記磁性体部材が前記軸方向他方側へ移動可能になることにより、前記固定側部材から離間可能となる
ことを特徴とするブレーキ装置。
【請求項9】
回転体と、
前記回転体に対し回転伝達可能かつ軸方向に移動可能に係合され、制動時において軸方向一方側へ移動して固定側部材へ接触するとともに、制動解放時には軸方向他方側へ移動可能となる、円盤状部材と、
前記制動解放時においては前記円盤状部材に対し上記軸方向一方側への移動のための駆動力を与えず、前記制動時において前記円盤状部材に対し上記軸方向一方側への移動のための駆動力を付与可能な、駆動手段と、
前記円盤状部材の前記軸方向他方側への移動量を規制する規制手段と、
を有することを特徴とする回転電機。
【請求項10】
請求項9記載の回転電機において、
前記回転体は、
回転子と、
モータシャフトと、
前記モータシャフトに取り付けられたトルク伝達部材と
を備えており、
前記円盤状部材は、
前記トルク伝達部材に対し回転伝達可能かつ軸方向に移動可能に係合されている
ことを特徴とする回転電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−190918(P2011−190918A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60087(P2010−60087)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】