ブレードクラスタ交換センタサーバ及びシグナリング方法
本発明は、呼を処理する交換センタサーバ(100)であって、複数の異なるブレード(110)を有するブレードクラスタと、前記複数のブレードの1つへの呼に関するメッセージを分配する分配器(125,170)と、前記呼を処理するために、前記複数のブレード(110)による、プールされたリソースの使用を集中制御するマスタ(130,150)とを有し、前記分配器は、前記メッセージをどのブレードに分配すべきかの情報を読み出すために、前記マスタにコンタクトすることを特徴とする交換センタサーバに関する。ある呼に関するメッセージを当該呼を処理しているブレードに分配するためにマスタがコンタクトされることができるよう、前記ブレードクラスタ内の前記複数の異なるブレードは、外部から1つのノードとして見える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は呼を処理する交換センタサーバ及び、交換センタサーバ内の呼制御ブレードに信号メッセージを分配するための方法に関する。本発明はまた、ゲートウェイから、複数のブレードを有するクラスタ構造を有する交換センタサーバのブレードに、応答メッセージをルーティングするための方法に関する。本発明は、好ましくは移動サービス交換センタ(MSC)サーバに関するが、それに限定されない。
【背景技術】
【0002】
業界動向は、高能力かつスケーラブルなMSCサーバに向かっている。そのようなシステムの典型的なアーキテクチャはブレードクラスタ構造である。ペイロードを搬送する複数の送信ラインはメディアゲートウェイ(MGw)で終端され、それらリソースの切換はMSCサーバによって制御される。
【0003】
呼制御信号及びメディアゲートウェイ制御信号のいずれもマルチブレードアーキテクチャのサポートを提供しないので、時分割多重終端(TDM終端)は、ブレードクラスタシステムでの制御にあまり適していない。呼に対して終端(termination)が使用可能になる前に、排他的な使用法についてMSCブレード間での調整が行われる必要がある。終端の捕捉(seizure)はメディアゲートウェイによって調整される。MSCサーバ側でのブレード間調整は不要である。信号メッセージを個々の呼を処理するブレードへルーティングする必要がある。BICC(ベアラ非依存呼制御プロトコル)は、エフェメラル端末(ephemeral terminals)を用いるが、それらは全ベアラの共通リソースなので、MSCサーバ側で呼インスタンス符号(CIC)の調整を必要とする。
【0004】
既存の技術を用いて、いくつかのブレード間でTDM終端及びCICを共用することは不可能である。利用可能なTDM回線の範囲及び、BICCについては呼インスタンス符号の範囲を区分しなければならない 各区分は、管理に基づいて(administratively)特定のMSCブレードに割り当てられる。
【0005】
図1aに、そのような既知のMSCサーバを示す。交換センタサーバ10は、複数のブレード11を備えるブレード構造クラスタを有する。メディアゲートウェイ15との通信のため、メディアゲートウェイはいくつかの仮想メディアゲートウェイ16に分割され、その各々がサーバの1つのブレード11と通信する。物理的なメディアゲートウェイの各々は、MSCブレードごとに1つの仮想メディアゲートウェイを備えるように構成される必要がある。リソースの区分及び、1つのブレードを1つの仮想メディアゲートウェイに割り当てることには、不利な点がいくつか存在する。まず、TDM回線の区分を必要としないシステムと比較して、MSCサーバの構成が複雑になることである。図1に示す構成において1つのブレードが故障すると、仮想メディアゲートウェイに割り当てられたリソースを呼接続に使用できない。さらに、例えば、サーバの処理能力を増強するためにブレードの数が変更された場合、メディアゲートウェイもまた適合されなければならない。
【0006】
図1bに、既知の、ブレード構造を有するMSCサーバの外部ネットワークビューを示す。MSCサーバは、各ブレードに対する信号端局を有するように見える。そのため、回線は異なるブレード上に区分されている。図示の例において、MSCサーバは、前段に2つの信号プロキシを有する2つのサーバとして見える。新たなブレードがサーバに追加された場合、仮想メディアゲートウェイ及びリソースの区分を含むシステム全体を再構成する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
上述の問題点に鑑み、リソースの制御に影響を与えずにブレードサーバクラスタの構成を容易に変更可能とする可能性を提供することへの要求が存在する。
【0008】
この要求は、独立請求項の特徴によって達成される。従属請求項には、本発明の好ましい実施形態が記載されている。
【0009】
本発明の第1の見地によれば、呼を処理する交換センタサーバであって、複数の異なるブレードを備えるクラスタ構造を有する交換センタサーバが提供される。呼に関するメッセージを、ブレードの1つ及びマスタに分配する分配器が設けられる。マスタは、プールされたリソースの、呼を処理する前記複数のブレードによる利用を集中制御する。呼に関するメッセージをブレードの1つに分配するため、メッセージをどのブレードに分配すべきかの情報を読み出すために分配器はマスタにコンタクトする。任意のブレードにおける呼処理のためにアクセス可能であるべき、プールされたリソースの例は、回線、チャネル及びユーザプレーン終端の一式である。各トランクルート、A-インタフェースルート及び各PRA(Primary Rate Access)は、使用されているリソースのビジー状態を維持する責を負う1つのブレードを有する。各ISDNアクセスに対してチャネルの利用を制御するアクセスマスタが設けられるのに対し、プールされたリソースの利用を集中制御するマスタ(ルートマスタ)が各ルートに対して設けられる。分配器及びマスタを有する交換センタサーバの構成により、サーバ内の物理リソースは他のノードから見たりアドレス指定したりすることができない。ブレードクラスタにおける異なるブレードは、外部からは1つのノードとして見える。ブレード数の変更は、他のノードの構成に影響を与えない。特に、新たなブレードのインストールによって増強された処理能力を、操作上の介入なしに他のノードで利用することが可能である。さらなる利点は、本発明の方法が任意の要素の停止(outage)に対してロバストであるため、1つ以上のブレードが故障した際に、トラフィックに利用できないユーザプレーン帯域がないことである。プールを維持するマスタインスタンスの停止はユーザに影響を与えず、また、あるユーザの停止は他のユーザに影響を与えない。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、マスタがどのブレードにメッセージを分配すべきかを決定し、分配器はマスタの決定に従ってメッセージを分配する。
【0011】
交換センタサーバが呼設定用の初期メッセージを受信すると、マスタはその呼をどのブレードで制御すべきかを決定することができ、分配器はメッセージを決定されたブレードに分配する。好ましくは、マスタはどのブレードに初期メッセージを分配すべきかを、異なる複数のブレードの処理負荷を考慮して決定する。その結果、個々のブレードに設けられたプロセッサの負荷状況をより均等に分散することが可能になる。マスタは、全ブレードにおけるプロセッサ負荷状況を考慮し、相対的プロセッサ負荷が最も低いブレードにまず呼を割り当てるようにしてもよい。
【0012】
しかし、分配器が既に確立された呼に関するメッセージ、例えばその交換センタサーバによって既に処理されている呼に関するメッセージを受信した場合、分配器は複数のブレードの中から、その確立された呼を処理しているブレードを調べ、そのブレードにメッセージを分配すべきである。
【0013】
分配器及びマスタに加え、呼の継続中に複数の異なるブレードに用いられるリソースを制御する呼制御器が設けられてもよい。ブレードの1つに設けられた呼制御器が呼の呼制御を行うということは、呼制御器がプロトコル状態機械を有し、呼ルーティングを決定し、メディアゲートウェイを制御し、課金を行う等を意味する。好ましくは、各呼に対して1つの呼制御器が設けられる。分配器は呼に関するメッセージを、その呼に対する呼制御器が設けられているブレードに分配してよい。各ブレードがブレード固有のアドレスによって外部から直接アドレス指定できず、また呼制御器がどのブレードに設けられても良いため、分配器は確立された呼に関するメッセージを呼制御器が設けられているブレードに分配しなければならない。
【0014】
そのため、一実施形態によれば、確立された呼に関するメッセージをどのブレードに分配すべきかの情報を読み出すために、分配器はマスタにコンタクトする。好ましくは、確立された呼についてのメッセージに含まれるリソース識別データを抽出し、確立された呼についての呼制御器がどのブレードにあるかの情報を読み出すため、抽出されたリソース識別データを用いてマスタにコンタクトする分配器が提供される。分配器は、抽出されたリソース識別データについての呼制御器が存在するか、またその呼制御器がどのブレードに存在するかを見いだすため、受信メッセージ毎にマスタに問い合わせなければならない。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、交換センタサーバは、ブレードの1つにメッセージを割り当てるバランサをさらに有する。バランサは、どのブレードが現在呼制御器か(または今後呼制御器になるか)を正確に知ることなく負荷を分散するため、入来メッセージをアクティブトラフィック状態にあるMSCブレードの1つに割り当てる。バランサは、メッセージに含まれる以下の情報の少なくとも1つを考慮して、ブレードの1つにメッセージを割り当てることが好ましい:発信元情報データ(OPC)、宛先情報データ(DOP)、及び信号リンク情報データ(SI,SLS)。さらに、バランサがリモートノードからの入来トランクメッセージを受信した場合、個々の呼に関する全てのメッセージを呼制御器の同一パスに送信する必要がある。従って、バランサは、発信元情報データ、宛先情報データ、及び/又は信号リンク情報データを含んだメッセージが、常に同一ブレードに割り当てられるように構成されてよい。例えば、バランサはOPC,DCP,SI又はCICデータの中からハッシュ値を生成してもよい。バランサはメッセージをハッシュ値に応じてブレードの1つに割り当て、そのブレードが分配器の役を果たす。
【0016】
1つのノードに見え、かつブレードの数を容易に変更可能とする交換センタサーバを提供することの必要性は、上述したブレードクラスタと、ゲートウェイからの応答メッセージをブレードの1つに分配する分配器とを有する交換センタサーバによっても満たすことができる。メディアゲートウェイから受信した応答メッセージが呼を制御するブレードに分配されることを保証するため、呼制御器は、呼制御器が設けられているブレードを特定することを可能にするブレード識別データを含んだトランザクション識別データTIDを生成する。交換センタサーバがトランザクション識別データTIDをゲートウェイに送信する場合、応答メッセージ分配器は、トランザクション識別データTIDに含まれるブレード識別データを用いて、受信した応答メッセージを呼制御器が設けられたブレードにルーティングする。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、交換センタサーバの信号端局が応答メッセージを受信してブレードの1つに送信し、そのブレードはその後応答メッセージ分配器として振る舞う。信号端局は、異なるブレードの信号負荷に応じてブレードの1つに応答メッセージを送信することが好ましい。応答メッセージの復号はプロセッサ能力を要求する処理であるため、この処理(step)は様々なブレードに分散されるべきである。そして、応答メッセージ分配器は、特定された呼制御器へ応答メッセージを分配することが可能になる。
【0018】
応答メッセージを受信した後、呼制御器は初期アドレスメッセージ(IAM)をリモートノードに送信してもよい。交換センタサーバが逆方向(backward)メッセージ、例えばアドレス完了メッセージ(ACM)を受信すると、バランサはそのメッセージを分配器へ送信し、分配器がメッセージを呼制御器に分配する。これは、確立された呼に関する何らかのメッセージについての場合であるので、逆方向メッセージはバランサで受信され、好ましくは逆方向メッセージに含まれる、送信元情報データ(OPC)、宛先情報データ(DPC)、及び信号リンク情報データの少なくとも1つを考慮して、バランサからそのメッセージがブレードの1つに送信されてもよい。
【0019】
上述の通り、本発明の一実施形態によれば、ブレードクラスタは、ブレードクラスタが有する異なるブレードをリモートノードから1つの共通アドレスによってアドレス指定できるように構成される。全てのブレードに共通の信号ポイントコード及びIPアドレスは、個々のブレードの特定には用いられない。
【0020】
以下、マルチブレード構成を用いたプライマリレートアクセス(PRA)呼の処理について説明する。PRA発信呼(originating call)について、分配器はその呼についての全ての入来メッセージに含まれる呼番号データを抽出し、抽出した呼番号データを用いるその呼についての呼制御器がどのブレードに設けられているかの情報を読み出すため、PRAマスタにコンタクトし、分配機はメッセージをそのブレードにルーティングする。PRAマスタは、呼番号データと呼が処理されているブレードとをリンクするルックアップテーブルを有している。
【0021】
PRA着信呼について、呼制御器はブレード識別データを含んだ呼番号を生成し、分配器はブレード識別データを用いて、そのPRA着信呼に関する全ての入来メッセージを、その呼を処理しているブレードに分配する。
【0022】
従って、PRA着信呼については呼識別に符号化されたブレード識別データによって呼制御ブレードが特定され、一方でPRA発信呼については呼制御ブレードの特定が呼番号及びPRAマスタを用いて実行される。
【0023】
通知は通常メディアゲートウェイ側から開始されるが、交換センタサーバから要求される。メディアゲートウェイからの通知コマンドのための呼制御ブレードを見つけるため、要求識別子(RID)が用いられる。1つのブレードから送信される通知要求コマンドは要求識別子を有し、メディアゲートウェイから受信される通知コマンドは前記識別子を有する。この通知コマンドの識別子を用いて、通知を要求したブレードに通知を方向付ける。
【0024】
本発明の別の実施形態によれば、マスタは保守手順を制御する。確立された呼の期間、上述したルーティングの仕組みにより、その呼に用いられる回線に関する保守メッセージが呼制御ブレードに到来するであろう。好ましくは、呼制御器は受信した保守メッセージをマスタに知らせ、マスタが全ブレードに保守メッセージの状態を知らせる。マスタは保守手順の管理の責を負い、マスタは保守手順のステータスが全てのブレードに通知されることを保証する。
【0025】
上述した必要性は、交換センタサーバのブレードに呼を分配するための方法であって、呼に関するメッセージを受信して当該呼に関するメッセージを複数のブレードの1つに分配するステップを有し、前記メッセージの分配のために、マスタが、前記呼をどのブレードに分配すべきかの情報を読み出すためにコンタクトされることを特徴とする方法によっても解決される。それが呼設定のための初期メッセージであれば、マスタはそのメッセージをどのブレードに分配すべきかを異なるブレードの処理負荷を考慮して決定することができる。
【0026】
確立された呼に関するメッセージが受信された場合、複数のブレードから前記確立された呼を処理しているブレードが判別され、前記メッセージが前記呼へ分配される。呼制御器が呼を処理するので、前記確立された呼に関する前記メッセージは、前記呼制御器が存在するブレードに分配される。好ましくは、呼の分配は2ステップの処理で実行される。最初のステップにおいて、メッセージはブレードクラスタの複数のブレードの1つに割り当てられる。この割り当てステップは、メッセージ処理及び復号の処理負荷が、複数のMSCブレード間で分散されることを保証する。論理的な理由(conceptual reasons)から、スケーラブルでないことから、また呼の取扱い処理におけるボトルネックとなるリスクが存在することから、このステップはアプリケーションレベルプロトコルの難解(deep)な復号及び処理を行ってはならない。
【0027】
本発明の一実施形態において、メッセージは、発信元情報データ、宛先情報データ、信号リンク情報データの1つ以上に応じて複数のブレードの1つに割り当てられる。メッセージが1つのブレードに割り当てられると、複数のブレードのうち、呼を制御しているブレードが判別され、この判別のため、確立された呼に関するメッセージをどのブレードに分配すべきかの情報を読み出すためにマスタがコンタクトされる。そのため、確立された呼についてのメッセージに含まれるリソース識別データが抽出され、抽出されたリソース識別データを用いる前記確立された呼についての制御器がどのブレードに設けられているかの情報を読み出すためにマスタがコンタクトされる。最後に、抽出されたリソースを制御しているブレードにメッセージがルーティングされる。
【0028】
上述した処理は、交換センタサーバに転送される入来メッセージに対して有効であることが好ましい。出方向メッセージは呼制御ブレードから宛先へ直接送信されてよい。
【0029】
さらに、ゲートウェイからの応答メッセージを交換センタサーバのブレードにルーティングする方法が提供され、この方法は、呼制御器が設けられているブレードを特定することを可能にするブレード識別データを含んだトランザクション識別データを生成するステップを有する。交換センタサーバがトランザクション識別データをゲートウェイに送信し終わり、応答メッセージがゲートウェイから受信されると、トランザクション識別データに含まれるブレード識別データに基づいて、応答メッセージは呼制御器が設けられたブレードにルーティングされることが可能になる。
【0030】
トランザクション識別データに含まれるブレード識別データを特定するため、応答メッセージは複数のブレードの1つに割り当てられ、そのブレードで復号されることが好ましく、応答メッセージはブレード識別データに基づいて、呼制御器が設けられているブレードに分配される。
【0031】
ゲートウェイからの応答メッセージは、サーバの信号端局で受信され、信号端局から、異なるブレードの信号負荷を考慮して、応答メッセージが複数のブレードの1つに送信されてもよい。このブレードにおいて、ブレード識別データが抽出される。
【0032】
呼の処理に複数の呼制御器が関与している場合、異なる識別データを含んだトランザクション識別データが生成され、関与する各ブレードについてゲートウェイに送信される。リモートノードへのコネクションのための初期アドレスメッセージ(IAM)がリモートノードへ送信されると、リモートノードから逆方向メッセージ(例えばACM)が受信され、逆方向メッセージはIAMを送信した呼制御器が設けられているブレードに分配される。逆方向メッセージはマスタにアクセスして呼制御器がどのブレードに設けられているかの情報を要求することによって分配される。
【0033】
二重捕捉(dual seizure)状態は、出方向のIAMが既に送信されたCICに対するIAMが受信されたネットワーク状況である。CICのようなリソースに対する二重捕捉状況は、呼制御器が、あるリモートノードに対してIAMを送信済みのリソースに対し、そのリモートノードからのIAMを受信した場合に、当該呼制御器によって検出可能である。
【0034】
リソースに対する要求が満足され得ない場合、リソースに対する捕捉要求は待ち行列に入れられてよく、呼試行が待ち行列から除去されるべきである旨がマスタに通知されると、マスタはその呼試行に対する捕捉要求を待ち行列から除去する。
【0035】
本発明の別の見地によれば、故障したブレードは故障情報をマスタに送信し、マスタは他のブレードに故障に関して通知する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1a】従来技術に係る、ブレードクラスタ交換サーバとメディアゲートウェイとの間のゲートウェイ制御インタフェースを示す図。
【図1b】従来技術に係る、ブレードクラスタ交換サーバとリモートネットワークノードとの間のトランク信号インタフェースを示す図。
【図1c】従来技術に係る、A-インタフェースにMTP3を用いた場合のトリプルノードビューを示す図。
【図2】トランク信号及びA-インタフェースにMTP3を用いた場合のトリプルノードビューを示す図。
【図3】SCTP、GCP及びDSS.1を用いる場合の、単独ノードとしてのブレードクラスタを示す図。
【図4】トランクからトランクへの呼のための交換センタサーバにおけるメッセージ処理を示す図。
【図5】移動通信ユニットで着信するトランクからの呼を処理する交換センタサーバを示す図。
【図6】2つの移動通信ユニットを接続する呼についての交換センタサーバを示す図。
【図7】共通配置されたV-MSCで転送されるトランクからトランクへの呼についての交換センタサーバを示す図。
【図8】トランクからPRAへの呼を用いる交換センタサーバを示す図。
【図9】PRAからトランクへの呼を用いる交換センタサーバを示す図。
【図10】呼に関するGCPメッセージのルーティングを用いる交換センタサーバを示す図。
【図11】サービス変更メッセージのルーティングを用いる交換センタサーバを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を、添付図面を参照してより詳細に説明する。
図2及び図3に関連して、本発明による交換センタサーバのネットワークビューについてより詳細に説明する。図2と図1bとの比較から、本発明のMSCサーバが全てのブレードについて1つの信号端局のように見えることが理解される。
【0038】
ネットワークビュー
サーバ内の物理リソースは他のノードから見ることもアドレス指定することもできない。ブレード数の変更は他のノードの構成に何ら影響を与えない。具体的には、新たなブレードの実装により、他のノードにおける動作に何ら介入することなく、追加の処理能力を用いることができる。
【0039】
アーキテクチャの観点から、2つの異なるアプローチが用いられる。MTP(メッセージ転送部)ベースの信号スタック及び非MTPベースの信号スタック。MSCブレードへのコネクションは、以下の方法で行うことができる。
【0040】
GCP(ゲートウェイ制御プロトコル)は、SCTP(ストリーム制御送信プロトコル)上で直接、あるいはM3UA(MTP3ユーザアダプテーションレイヤ)/SCTP,CN(コアネットワーク)上で搬送可能である。
呼制御関連信号(ISUP(ISDNユーザ部)、BICC、TUP(電話ユーザ部)は、常にM3UA/SCTPスタック上で搬送される。
- A-インタフェース呼制御信号(BSSAP)は常にSCCP/M3UA/SCTPスタック上で搬送される。
- DSS.1(ディジタル加入者ステージ信号システムNo. 1)は、常にIUA/SCTP上で搬送される。
【0041】
メディアゲートウェイMGw又はBSC(基地局制御器)への信号にMTP3が用いられる場合、図2に示されるように、MSC-S BS(ブレードクラスタ)100は、トリプルノードビューを表す。それは、1つのMSC-Sノードを有する2つのSTP(信号中継局)のように見えるであろう。MSC-Sへ向かう全ての信号はSTP190を通らなければならない。リモートノード200,300は、これらノードの3つの信号局コードを知るだけでよい。ブレードの追加及び除去はリモートノードの信号構成に全く影響を与えない。複数のSTPは、複数のMSCブレードに信号トラフィックを拡散することにより、負荷バランス調整を行う。冗長性を増し、負荷を分担するために、2つのSTPが用いられている。
【0042】
準対応モードについての標準的なMTP手順は、1つのSTP又は関連する信号リンクの故障時に、他のSTPへ向かう信号リンクが用いられることを保証する。準対応モードをサポートしないノードは、2つのSPX(信号プロキシ)の一方に、フェイルオーバの可能性なしに単に接続される。
【0043】
MGwへ向かう信号にSCTPが用いられる場合、図3に示すようにMSC-S BSは単独ノードビューを示す。ただ1つのSCTPアソシエーションが存在するであろう。いくつかの物理エンティティ(ブレード)間にある1つのSCTP端局の負荷分散は標準化されておらず、実現は困難である。信号パスの冗長性を実現するため、マルチホーミングが用いられる。すなわち、個々の端局が複数のIPアドレスを用いてアクセス可能である。SCTPアソシエーションはMSCブレードに置かれる。
【0044】
MSCクラスタ概説
考慮すべき主観点は、単独ノードビューに加え、MSCブレード間の均一な処理負荷分散である。全てのブレードに共通の信号局コード及びIPアドレスは、個々のブレードの特定には用いられない。
【0045】
入来する全てのトラフィック関連メッセージは、呼制御ブレードにルーティングされなければならない。呼制御ブレードへの分配は、段階的に実行される。最初の段階では、メッセージ処理及び復号の処理負荷が、複数のMSCブレード間で分散されることを保証する。論理的な理由(conceptual reasons)から、スケーラブルでないことから、またボトルネックとなるリスクが存在することから、この段階はアプリケーションレベルプロトコルの難解(deep)な復号及び処理を行ってはならない。MTP又はM3UAで搬送されるメッセージの順序を維持するため、ハッシュベースの関数が用いられる。それにより、同一のOPC、DPC及びSLSを有する全てのメッセージがブレードクラスタを通じて常に同一パスを通り、かつ同一の分配ブレードによって処理されることを保証する。分配の最終段階は複数のMSCブレードで実行される。これらのブレードはスケーラブルであるため、より高い負荷を受けることができる。ブレードはアプリケーションレベル情報を処理する。MSCブレードは以下のいずれかの役を負うことができる。なお、一部は同一場所に配置されてもよく、また所定の信号シナリオには適用できないこともある。
【0046】
- SCTPアソシエーションホスト
非MTPベースの信号について、信号コネクションは1つのMSCブレード上で終端される。そのブレードはバランサ及び/又は分配器として振る舞うであろう。
【0047】
- バランサ
バランサは、負荷分散を目的として、どのブレードが呼制御器である(又は呼制御器となるか)を知ることなく、アクティブ状態にある複数のMSCブレードに入来メッセージを分配する。
【0048】
- 分配器
分配器は呼制御のためにメッセージを他のブレードへ転送する。
【0049】
- 制御器
制御器ブレードは呼の呼制御を実行している。すなわち、プロトコル状態機械を有し、呼ルーティングを決定し、MGwを制御し、課金を実行し、等を行う。
【0050】
- マスタ
各トランクルート、A-インタフェースルート及び各PRAは、接続されている回線/チャネルのビジー状態を維持する責を負う1つのMSCブレードを有する。呼制御器は、設定時にマスタからのルート/PRAに属する空き回線/チャネルを要求し、呼の切断時に回線の制御を差し戻す。
各MGwは、MGwのグローバル状態(global state)を追跡するマスタブレードを有する。
【0051】
- バディ
バディはマスタと異なるブレードに割り当てられる。バディはまた、制御器がマスタと同じブレード上に存在する場合、動的データ冗長性の維持を助ける。
【0052】
- コーディネータ
コーディネータの役は、最も長期にアクティブ状態にあるブレードによって果たされる。コーディネータは、マスタ及びバディ役の再割り当てを明示的にトリガする。
【0053】
1つの呼に関してブレード間で送信されるメッセージの数のみならず、呼を処理するブレードの数が一定であり、ブレードの数の関数ではないため、ここで提案する方法は十分にスケーラブルである。MSCブレードの役は全ブレード間で適応的にバランスが取られる。クラスタからの1つのブレード除去またはある1つのブレード上での他の復旧手順は、影響を受けるブレード上で継続中のトランザクションを有する呼か、そのブレードで制御されている呼にのみ影響を与えるであろう。
【0054】
ロバストネス
異なるレベルのロバストネスを区別することができる:
セルレベルでは、ブレードの故障の影響を呼が受けない状態を維持することが、意図されたロバストネスである。呼を処理するブレードが所定タイプの復旧手順を実行する場合や、他の理由によってトラフィックを処理できない場合、そのブレードで制御される全ての呼は失われるであろう。ルート又はPRAマスタ及びMGwマスタのような、呼をサポートする機能を有するたのブレードによって提供される機能は、故障が生じた場合に継続中の呼に影響を与えることなく他のブレードに移行可能である。そのため、nのブレードを有するシステムにおいてmのブレードが故障した場合、呼レグの総数のm/nが影響を受けるであろう。呼転送又はローミング再ルーティングに起因して、1つの呼は複数の呼レグを有することができる。そのため、影響を受ける呼の割合は、影響を受ける呼レグの割合よりも高くなるであろう。
【0055】
ノードレベルでは、ネットワーク内のノードの振る舞いはブレードの故障によって変化すべきでない。nのブレードを有するシステムにおいて、交換機(exchange)データ(オペレータ定義データ及び加入者定義データの両方)はmのブレードの同時故障に耐えなければならない(m<n)。外部HLR(ホームロケーションレジスタ)データベースに保存されている移動加入者データを除き、全ての交換データはクラスタブレードに保存される。従って、全てのブレードに全ての交換機データを保存すれば必要なロバスト性は実現できる。
【0056】
呼制御ブレードの故障によってアイドル状態になっている回線ができる限り速やかにトラフィックに利用できるようになるべきである場合、回線の利用可能度は問題である。各回路のBUSY状態は、マスタブレードでも利用可能である。マスタブレードはクラスタサービスから、ブレード復旧又はクラスタ内のいずれかのブレードの他のタイプの機能停止を通知されるであろう。アクティブ状態でなくなったが、呼が生きのこるであろう復旧動作を実行していないブレードにリースされている回線は、回線リセット実行直後から再使用可能である。呼制御ブレードが各ルート又はPRAについてもマスタ機能をホスティングするようにすれば、同一レベルの回線利用度を実現するためにバディブレードにおいてビジー状態が維持される。回線のビジー状態は常に2つのブレードで利用可能であるべきである。呼が生きのこるであろう復旧手順を実行しているブレードにリースされている回線は、復旧手順が完了するまで使用できない。なぜなら、どの呼が復旧手順を生きのびたかを復旧ブレードが判断するからである。
【0057】
呼制御
シングルノードビューを実現したいので、どのブレードが呼制御器として振る舞っているかに関する情報は、他の信号局には隠し続ける必要がある。ブレードを局コード又はCICと関連付けることはできない。これらの識別子とMSCブレードとの関係は動的に決定され、MSC-S内でのみアクセス可能である。
【0058】
入来ISUP、TUP及びBICCメッセージについて、バランサは信号リンク選択番号(SLS)を用いることができる。いくつかのブレード(その全てはアクティブ状態であることが必要)にメッセージ処理負荷を分散させるために、SLSはメッセージ負荷分散目的でMTPによって用いられる。バランサがメッセージを送信するブレードの数は、単純に負荷分散の問題であり、機能的な観点からの問題ではない。バランサからのメッセージを受け取るのは分配器である。分配器は処理状態を把握せず(stateless)、また、CICに対する呼制御器が存在するかどうか、またそれがどのブレードに存在するのかを見出すため、受信した全てのメッセージについてルートマスタに問い合わせなければならない。そして、メッセージは制御ブレードに渡される。 入来IAMメッセージについて、ルートマスタは全てのブレードにおけるプロセッサ負荷状況を考慮し、相対プロセッサ負荷がもっとも低いブレードに最初に呼を割り当てるようにしてもよい。
【0059】
出方向のISUP、TUP及びBICCメッセージは、呼制御ブレードから直接送信されてよく、分配器やバランサに渡されなくてよい。
入来DSS.1メッセージについて、呼番号はそれがMSC又はPRA側で割り当てられたものかどうかを示すビットを有している。
・番号がMSCによって割り当てられていれば、そのメッセージはISDNアクセス端末呼に属する逆方向メッセージであり、ブレード番号は番号値の2〜3ビットに符号化される SCTPアソシエーションをホスティングするブレードは分配器として振る舞い、メッセージを呼制御ブレードに転送するであろう。
・呼番号をPRAが割り当てている場合、メッセージは順方向にあり、ISDNアクセス発呼に属している。SCTPアソシエーションをホスティングしているブレードは、分配器として振る舞うであろう。そして、呼を制御しているブレードをPRAマスタに指摘させるであろう。
【0060】
出方向のDSS.1メッセージは、PRAが接続されているMGwへの信号アソシエーションの端局をホスティングしているブレードに送信される必要がある。
BSSAPについては、分配器が逆方向メッセージをコネクションを開始したブレードに宛てるためにSCCP(信号接続制御部)コネクションIDが用いられる。
【0061】
メディアゲートウェイ制御
大部分の呼関連トランザクションはMSCサーバ側から開始され、通知はMGw側から開始され、サービス変更コマンドは両側から開始可能である。MSC-Sによって開始されたトランザクションについては、トランザクション識別子(TID)内の6ビットを、関連する呼のコンテキストを制御しているブレードを示すために指定可能である。これにより、MGwから受信した応答を、トランザクションを開始したブレードへルーティングすることが可能になる。通知はMSC-Sによって命令される。命令は要求識別子(RID)を含んでいる。関連する呼のコンテキストを制御しているブレードを示すために、要求識別子の数ビットを指定することができる。それにより、M-MGwから受信した通知を、要求元のブレードにルーティングすることが可能になる。
【0062】
関連する呼をどのブレードが処理しているのかを見出すには、トランザクションID又は要求IDを見るためにGCPメッセージを復号する必要がある。GCPメッセージの復号は処理能力を多く必要とするため、MSCブレード間でうまくバランスを取ることが必要である。1つのMGwからの全メッセージを、SCTPアソシエーションをホスティングするブレードで行うことは、よい選択肢とは思えない。この手法はスケーラブルでなく、多数のMGwに対してボトルネックとなりうる。クラスタ内での現在の負荷分散状況に応じて選択される様々なブレードへ、メッセージを復号するために送信する。そして、最終的に復号を行うブレードが、トランザクションを正しい呼制御ブレードに渡す。
そして、呼に関連しない全てのトランザクションは、MGwマスタブレードに渡されるであろう。
【0063】
トラフィック処理の例
MSC-S BS内のメッセージルーティングの原理を、最も頻度の高いトラフィックの事象を用いて説明する。ブレードクラスタの一部として示される論理エンティティは、異なるブレードに置かれてもよい。また、それらエンティティの全て又は一部が物理的に同一なブレード上に共通配置されてもよい。示されるメッセージは典型的な例として、理解を容易にするために選ばれたものである。また、「IAM」は順方向に送信される任意の設定メッセージを表し、「ACM」は引き続いていずれかの方向に送信される任意のメッセージを表す。MSC-SからMGwへ向けて開始される任意の呼関連コマンドを代表して、「Add」コマンドが用いられる。例において、GCPはSCTP上で転送される。GCPがM3UA/SCTP上で搬送されるとすると、MGwへ向かう信号はSPXを通る。これはブレード間の機能割り当てには影響しないため、図示していない。
【0064】
例:トランクからトランクへの呼(trunk to trunk call)
図4におけるシーケンスは、呼制御にMSCブレードが1つだけ必要なトラフィックの場合を示している。1つのGCPコンテキストが2つの終端によって捕捉される 2つのaddコマンドがMGwへ送信される。これは、必要に応じてHLRへの問い合わせを伴う、トランクからトランクへの呼となりうる。
【0065】
バランサ120は入来トランクメッセージをリモートノードから受信する(ステップ1)。個々の呼に関する全てのメッセージは、同一経路で呼制御器へ送信されなければならない。そのため、バランサ120はOPC1、DPC1、SI1及びCIC1からハッシュ値を生成する。各分配器ブレードは、ブレードの能力を考慮して自動的に割り当てられるハッシュ値の範囲を有する。メッセージがブレードに送信されると(ステップ2)、そのブレードは分配器125として機能するであろう。分配器125はメッセージを、その呼を制御しているブレードへルーティングする。CICが空(idle)であれば、分配器125はその呼を制御するであろうブレードにメッセージをルーティングする。分配器125は、どのブレードがCICをリースしているのかを見出すため、ルートマスタ130にコンタクトする(ステップ3)。CICが空であれば、マスタ130はその呼を制御すべきブレードを決定し、CICが暗に捕捉される。そして、分配器125は、呼を制御するブレードにメッセージを送信する(ステップ4)。
【0066】
CICが捕捉されていれば、呼制御器135は、選択されたCICに関連付けされた終端を追加するために、MGwへ向かう「Add request」GCPメッセージを送信する。呼制御器135は自身のブレードIDをトランザクション識別子TID1に符号化する。GCPメッセージは正しいMGwへ導くSCTPアソシエーションを有するGCP信号端局140を通じて(ステップ5)ルーティングされる(ステップ6)。
【0067】
GCPメッセージに応えて受信される「Add Reply」GCPメッセージが、GCP信号端局で受信される(ステップ7)。GCP信号端局140は、クラスタ内での現在の負荷分散状況に応じて選択される1つのブレードへ、復号のためにメッセージを送信する。分配器は応答メッセージ分配器とも呼ばれる。メッセージに含まれるトランザクション識別子TID1が復号中に見つけられ、呼制御器が存在し、GCPメッセージを分配しなくてはならないブレードを特定するために用いられる(ステップ8)。
【0068】
出方向のトランクでIAMが送信可能となる前に、呼制御器135は、ルートマスタ150に対し、所望の出方向ルートの回線に対する制御を、当該ルートに対して設定されている選択形式に従って要求する(ステップ9)。この回線はCIC2によって特定される。
【0069】
そして、呼制御器135は、選択されたCICに関連付けされた終端を追加するために、MGwへ向かう「Add Request」GCPメッセージを送信する。呼制御器135は自身のブレードIDをトランザクション識別子TID2に符号化する。GCPメッセージは正しいMGwへ導くSCTPアソシエーションを有するGCP信号端局155を通じて(ステップ10)ルーティングされる(ステップ11)。
【0070】
GCPメッセージに応えて受信される「Add Reply」GCPメッセージが、GCP信号端局155で受信される(ステップ12)。GCP信号端局155は、クラスタ内での現在の負荷分散状況に応じて選択される1つのブレード160へ、復号のためにメッセージを送信する。メッセージに含まれるトランザクション識別子TID2が復号中に見つけられ、呼制御器が存在し、GCPメッセージを分配しなくてはならないブレードを特定するために用いられる(ステップ13)。
【0071】
IAMがリモートノードに送信される(ステップ14)。逆方向メッセージがバランサ165で受信され(ステップ15)、OPC2、DPC2、SI2及びCIC2に基づいて算出されるハッシュ値の区分に従って、あるMSCブレード170へ渡される(ステップ16)。このブレードは分配器として振る舞う。分配器は、呼を制御しているブレードを調べる必要がある。この情報は回線2が属しているルートのルートマスタ150から取得することが可能である(ステップ17)。分配器ブレード170は逆方向メッセージを呼制御ブレード135へ向けて送信する(ステップ18)。呼制御ブレード135はメッセージを入来トランクへ転送する(ステップ19)。
【0072】
例:MS(移動機)着信呼(MS terminating call)
図5におけるシーケンスは、呼制御に2つのMSCブレード135a、135bが必要なトラフィックの場合を示している。これは、着呼在圏MSC呼コンポーネント(terminating visited MSC call component)がブレードクラスタによって取り扱われている場合に生じる。2つのブレードが呼制御に用いられているので、ブレードごとに1つのGCPコンテキストが生成される。合計で4つのAddコマンドがMGwへ送信される。ここで、同一ブレードクラスタによって受け持たれるMSへのローミングリルーティングを用いた、トランクからGMSCへの呼を例に用いる。
【0073】
バランサ120は入来トランクメッセージをリモートノードから受信する(ステップ1)。個々の呼に関する全てのメッセージは、同一経路で呼制御器135aへ送信されなければならない。そのため、バランサ120はOPC1、DPC1、SI1及びCIC1からハッシュ値を生成する。各分配器ブレード125は、ブレードの能力を考慮して自動的に割り当てられるハッシュ値の範囲を有する。メッセージがブレードに送信されると(ステップ2)、そのブレードは分配器125として機能するであろう。分配器125はメッセージを、その呼を制御しているブレード135aへルーティングする。CICが空であれば、分配器125はその呼を制御するであろうブレードにメッセージをルーティングする。分配器125は、どのブレードがCICをリースしているのかを見出すため、ルートマスタ130にコンタクトする(ステップ3)。CICが空であれば、マスタ130はその呼を制御すべきブレードを決定し、CICが暗に捕捉される。そして、分配器125は、呼を制御するブレードにメッセージを送信する(ステップ4)。
【0074】
CICが捕捉されていれば、呼制御器135aは、選択されたCICに関連付けされた終端を追加するために、MGwへ向かう「Add Request」GCPメッセージを送信する。呼制御器135aは自身のブレードIDをトランザクション識別子TID1に符号化する。GCPメッセージは正しいMGwへ導くSCTPアソシエーションを有するGCP信号端局140を通じて(ステップ5)ルーティングされる(ステップ6)。
【0075】
GCPメッセージに応えて受信される「Add Reply」GCPメッセージが、GCP信号端局140で受信される(ステップ7)。GCP信号端局は、クラスタ内での現在の負荷分散状況に応じて選択される1つのブレード145へ、復号のためにメッセージを送信する。メッセージに含まれるトランザクション識別子TID1が復号中に見つけられ、呼制御器135aが存在し、GCPメッセージを分配しなくてはならないブレードを特定するために用いられる(ステップ8)。
【0076】
呼制御器ブレード135aは、HLR問い合わせを行い、ローミング番号を受信する。ローミング番号を取得するための手順及び、被呼加入者を受け持つブレードによってローミング番号を分配する手順については、これ以上詳細に説明しない。
【0077】
呼制御器135aは第2の呼制御器135bが別のブレードに配置されている場合、第2の呼制御器135bによって用いられるコンテキストに向かうコネクションを設定するために第2の終端を追加する。このメッセージフローは、ステップ5〜8でトランザクション識別子TID2を用いたものとなる。
【0078】
着信呼コンポーネントが異なるブレードに存在する場合、着信呼コンポーネントを制御するブレードに呼をルーティングするためにMSRNが用いられる(ステップ9)。
【0079】
着信呼制御器135bは、入来呼制御器135aが別のブレードに配置されている場合、入来呼制御器135aによって用いられるコンテキストに向かうコネクションを設定するために終端を追加する。呼制御器135bは自身のブレードIDをトランザクション識別子TID3に符号化する。GCPメッセージは正しいMGwへ導くSCTPアソシエーションを有するGCP信号端局を通じて(ステップ10)ルーティングされる(ステップ11)。
【0080】
GCPメッセージに応えて受信される「Add Reply」GCPメッセージが、GCP信号端局155で受信される(ステップ12)。GCP信号端局155は、クラスタ内での現在の負荷分散状況に応じて選択される1つのブレードへ、復号のためにメッセージを送信する。メッセージに含まれるトランザクション識別子TID3が復号中に見つけられ、呼制御器135bが存在し、GCPメッセージを分配しなくてはならないブレードを特定するために用いられる(ステップ13)。
【0081】
呼び出しメッセージがコネクションレスでBSCへ送信される(ステップ14)。呼び出し応答及びコネクション要求がコネクションレスSCCPメッセージで搬送される(ステップ15)。信号ゲートウェイベースのバランサは、受信した全てのコネクションレスメッセージを任意のMSCブレード165aにラウンドロビンで送信する(ステップ16)。受信したブレードは、どのブレードが呼を制御しているかを見出すために、メッセージに含まれるTIMSI(仮移動加入者識別番号)を用い、見出したブレードにメッセージを分配する(ステップ17)。
【0082】
着信呼を制御するブレードは、ルートマスタ150に対し、所望の出方向ルートの回線に対する制御を、BSC(基地局コントローラ)へ向かうルートに対して設定されている選択形式に従って要求する(ステップ18)。この回線はCIC2によって特定される。
【0083】
そして、呼制御器135bは、CIC2に関連付けられた終端を追加するために、MGwへ向かう「Add Request」GCPメッセージを送信する。このメッセージフローは、TID4を用いたステップ10〜13となる。
【0084】
呼制御のためのBSSAP(基地局システム応用部)通信はコネクションオリエンテッドであるため、上述した分配器を用いることなく終端MSCブレードとBSCとの間でさらに通信することが可能である。BSCが要求したSCCPコネクションが確立されるとすぐに、BSCからMSC-Sへのメッセージが、分配器として振る舞う信号ゲートウェイによって直接制御MSCブレードにルーティングされるであろう。この、信号ゲートウェイベースの分配器は、ルーティングのために、局所SCCP参照番号を評価する。
【0085】
着信呼コンポーネントに対する呼制御器ブレードは、発信呼コンポーネントに対する制御ブレードへ逆方向呼制御メッセージを送信することができる(ステップ19)。入来トランクへの逆方向メッセージは、トランク上の入来呼制御器によって送信される(ステップ20)。
【0086】
例:MSからMSへの呼(MS to MS call)
図6におけるシーケンスは、呼制御に2つのMSCブレードが必要なトラフィックの場合を示している。これは発呼者及び被呼者の加入者データが異なるブレードに存在する場合に生じる。各呼制御器が、2つの終端を用いて1つのGCPコンテキストを捕捉する 合計で4つのAddコマンドがMGwへ送信される。
【0087】
上述の例と異なるのは、入来トランクからではなく、モバイルアクセスから発呼されることである。着信呼コンポーネントの処理は、上述の例と同一である。
【0088】
MSCから受信される最初のメッセージは「CM Service Request」を有する「COMPLETE LAYER 3」メッセージである(ステップ1)。信号ゲートウェイベースのバランサ120aは、このメッセージをラウンドロビン方式でいずれかのMSCブレードに送信する(ステップ2)。メッセージを受信したブレードは、呼制御器135aとなるべきブレードを特定するためにIMSI(移動加入者識別番号)を解析し、メッセージをそのブレードに分配する(ステップ3)。この分配に応答して送信される「CM Service Accept」は、その呼に対するSCCPコネクションの設定を要求するメッセージで搬送される(ステップ4)。それ以外の全ての入来メッセージは、分配器として振る舞う信号ゲートウェイから直接呼制御ブレードへ送信される。この、信号ゲートウェイベースの分配器120aは、ルーティングのために、局所SCCP参照番号を評価する。
【0089】
発呼コンポーネントを制御するブレードは、発呼BSCへ向かうルートの回路の制御を取得するため、設定されている選択形式に従ってルートマスタ130に問い合わせる(ステップ5)。この回路はCIC1によって特定される。
残りの処理は1つ前の章でトランクから移動機への呼に関して説明した手順と同一である。
【0090】
例:V-MSCにおける呼転送を用いるトランク間の呼(trunk to trunk with call forwarding in V-MSC)
図7に示すこの例では、(例えば、無応答時の自動転送によって)V-MSCによって呼が出方向トランクに転送される。トランクからの入来呼は上述したものと同じ方法で処理される。出方向トランク呼の処理は、この呼コンポーネントが着呼コンポーネントの呼制御器ブレードで処理されることを除き、トランクからトランクへの呼について説明したものと同じである。
【0091】
例:トランクからPRAへの呼(trunk to PRA call)
図8は、(PBX)が接続されてもよいトランクからの、構内交換機一時群速度アクセスで着信する呼を示している。入来トランク呼を処理するブレードは、着信呼レグもまた制御するであろう。
回線の捕捉並びにMGwにおける終端の追加を含む、入来トランク信号の処理は、上述の例で説明した入来トランクの処理と同一である。
【0092】
PRA着信呼について、呼制御器135はPRAマスタに一時群速度アクセス上のBチャネルの捕捉を要求する(ステップ9)。
【0093】
DSS.1信号について、呼制御器は自身のブレードIDを含んだ呼番号を生成する。DSS.1設定メッセージは、MGwへ向かう端局のSCTPアソシエーションをホスティングするブレードに渡される必要がある。そして、メッセージはそこからPRAへ転送される(ステップ10)。応答メッセージがそのブレードで受信される(ステップ11)。メッセージは呼制御器が生成した呼番号を含んでいる。DSS.1分配器165bは呼番号から、どのブレードが呼を処理しているかを知ることができ、そのブレードにメッセージを転送する(ステップ12)。DSS.1信号手順に従って最終的にチャネルが決定されると、終端がGCPコンテキストに追加される(ステップ13から16)。
【0094】
例:PRAからトランクへの呼(PRA to trunk call)
図9は、PRAから出方向トランクへの呼を示している。
DSS.1分配器ブレード120bは、SCTPアソシエーションの端局を有し、そこでSETUPメッセージを受信する(ステップ1)。アクセス発呼トラフィックの場合に対してPRAが呼番号を生成する。分配器120bは、呼をどのブレードで制御すべきかを決定するため、PRAマスタ130aにコンタクトする(ステップ2)。そして、分配器120bはSETUPメッセージをPRAマスタ130aが決定したブレードに送信する(ステップ3)。そのブレードは呼制御ブレードになり、マスタ130aにコンタクトして、SETUPメッセージで示されたチャネルの捕捉を試行する。そのチャネルが使われておらず(また、ここでは述べないが他の条件が満たされる)場合、ブレードはSETUP ACKNOWLEDGEを送信し(ステップ5)、出方向呼レグの処理を継続するであろう。メッセージはSCTPアソシエーション上でPRAへ向けて送信される。そして、対応する終端が呼のGCPコンテキストに追加される。
出方向トランク呼コンポーネントの処理は、上述の例と同一である。
【0095】
CP負荷均一化
複数のブレード間におけるプロセッサ負荷の良好な均一化(balancing)はブレードクラスタの必須条件である。プロセッサ負荷が均一に分散されないと、最初に飽和状態に達するブレードによってクラスタ全体の機能性が制限されることになる。能力の限界で動作しているブレード上に割り当てられている中央集権化された機能性は、その中央集権化された機能への依存性により、クラスタにおける他のブレードの性能を制限するであろう。
【0096】
均一化の品質は2面からの影響を受ける。
- 分散されるべきオブジェクトの粒状性(granularity)は、最適な負荷均一化にどの程度近づけるかを制限する要因となりうる。さらに、小さなオブジェクトよりも大きなオブジェクトの方が移動しづらい。小さな粒状性の方が大きな粒状性よりも好ましい。
【0097】
- 最適な均一化のためには、オブジェクトに必要な処理負荷及び記憶容量を知っておく必要がある。これは、交換機データから得ても、設定しておいても、また測定に基づいて得てもよい。測定は研究室で行ってもよいし、実際に稼働している際に行ってもよい。
【0098】
トランク回線処理
CIC選択
基本機能
空き回線を選択するために用いられるアルゴリズムは、ルートに対して定められている選択形式に依存する。そのため、空き回線の選択は、例えばそれを各ブレードへの一式の空き回線の複数のサブセットに分割して分散することができない。各ルートについて、専用のブレードが、要求に応じた空き回線を提供し、呼が開放された後にそれら回線を空き回線のプールに戻す責を負う。このブレードを「ルートマスタ」と呼ぶ。
【0099】
ノードレベルでは、回線選択は従来技術と同様の方法で行われる。これは、各ルートの捕捉シーケンスがルートマスタブレードによって集中的に実行されるからである。ネットワークレベルでの見掛けに差は生じない。CIC選択の原理は従来のノードに対するものと同一である。IAMが送信されていない限り、入来呼試行(IAM)が常に優先される。IAMが送信済みだがそれに応答する逆方向メッセージが受信されていない場合、入来IAMはどちらの交換機がそのCICを制御するかに応じて処理される。この処理については後で詳述する。
【0100】
CIC捕捉の競合は、1つのブレード内で常に解決可能である。なぜなら、関与する呼の両方の呼制御がその同一のブレードに割り当てられているからである。
【0101】
二重捕捉
二重捕捉は、あるCICに対してIAMが受信されており、そのCICに対して出方向のIAMが送信済みであるネットワーク状況である。
【0102】
分配器が入来IAMを分配する際、ルートマスタはそのCICを探すように依頼されるであろう。そのCICが既にリースされていることをマスタが検出した場合、マスタは分配器に対し、そのCICがリースされているブレード上の呼制御器にメッセージを送信するように通知する。二重捕捉は、呼制御器が、出方向IAMを既に送信したCICに対するIAMを受信した際に、その呼制御器によって検出されるであろう。
【0103】
調停は、非クラスタ構成の従来技術における方法と同様に処理可能である。呼の一方が生きのこり、CICをリースしているブレードは変化しないので、二重捕捉状況の結果についてマスタに知らせる必要はない。
【0104】
呼衝突
呼の衝突は、マスタからある出方向コネクションに対して既にリースされているCICに対してIAMが受信され、そのCICについてのIAMがまだ送信されていないというノード内状況である。
【0105】
分配器が入来IAMを分配する際、ルートマスタはそのCICを探すように依頼されるであろう。そのCICが既にリースされていることをマスタが検出した場合、マスタは分配器に対し、そのCICがリースされているブレード上の呼制御器にメッセージを送信するように通知する。呼制御ブレードが出方向IAMを送信する前に入来IAMがそのブレードに到達した場合、競合状態が生じる。
【0106】
・ 入来IAMが出方向IAMの送信前に呼制御ブレードに到着した場合、出方向の呼に対して既にリースされたCIC上で呼制御ブレードがIAMを受信すると、当該呼制御ブレードによって呼衝突が検出されるであろう。入来呼が勝利するであろう。マスタは、呼の方向が変わったことを知らされない。CICのリースは依然として影響を受けない。その後、出力呼レグの再選択が通常行われるであろう。
【0107】
・ 出方向IAMの送信後に呼制御ブレードに入来IAMが到着した場合は、状況は二重捕捉になり、その場合の手順は上述した通りである。
【0108】
無線優先サービス用のトランクキューイング
空きCICが存在しない場合、要求は待ち行列に入れることができる。この必要性は捕捉要求に示されるべきである。待ち行列はルートマスタによって維持される。待ち時間は呼制御器によって管理される。最大待ち時間に達した場合、あるいは他の理由により呼試行がアボートされた場合、呼制御器はマスタに対し、その呼が待ち行列から除去可能であることを通知する。
【0109】
ブレードがアクティブ状態で無くなるとすぐに、マスタはそのブレードが発行した捕捉要求を待ち行列から除去するであろう。
そのマスタが存在するブレードがアクティブ状態で無くなった場合、呼制御ブレードは新たなマスタにCICのリースを要求するであろう。
【0110】
CICロケーション
信号の機能停止またはマスタ機能を別のブレードに移動する際のバッファモードにより、分配器ブレードからマスタへの問い合わせができない場合、メッセージはCICを割り当てたブレードのうち、最新のものへ送信されるべきである。同一の呼に関する全てのメッセージは同一の分配器を通るものと仮定することができる。この仕組みは、対象のCICに対してIAM、RSC(回線リセットメッセージ)又はGRS(回線群リセット)メッセージが分配されようとした場合には停止すべきである。
【0111】
CIC解放
RLCの送信又は受信後、呼制御器は、マスタからリースされたCICの解放を要求する。同一CIC上でのその後の呼設定との衝突については、以下で説明する。
【0112】
解放完了前の出方向捕捉送信の禁止
出方向呼の解放手順が完了するまでは、CICが新たな呼によって捕捉されてはならない。MSC BCがRELを送信したとすると、MSC BSはルートマスタにCICの解放を要求する前にRLCを待たなければならない。MSC BCがRELを受信した場合、MSC BCはCICの解放をRLCを送信後に要求しなければならない。異なるブレードが同一のCICを捕捉し、IAMがRLCより前にリモートエンドに到着することは回避されねばならない。
【0113】
解放完了後の入来捕捉の許可
RLCを送信すると、リモートノードは新たな呼を除き、同一CICについてのIAMを直ちに送信することが可能になる。最初の呼が出方向の呼である場合、ほとんどの場合には、新たな呼は最初の呼を制御していたブレードとは異なるブレードが制御することになるであろう。しかし、最初の呼の制御器が何とかそのCICの解放を要求する前に、分配器がIAMの送信を要求することが起こりうる。この場合、そのIAMは進行中の呼を制御しているブレードに送信され、暗黙のCIC捕捉は存在しない。呼制御ブレードはマスタから、黙示的な捕捉が実行されておらず、新たな呼についてマスタに対して明示的にCIC捕捉を要求する必要があることを通知される。
【0114】
保守メッセージ処理
MSCブレードの保守メッセージについての機能的な役割は、可能な限りトラフィックメッセージの処理に準拠する。
【0115】
自ノードにより開始される手順
プロトコルタイマの満了によって検出されたトラフィック処理中の障害は、保守メッセージの送信を必要としうる。障害状況を検出したブレードは、CICについての制御権を有している。そのブレードはルートマスタに知らせ、そのルートマスタは通常の手順に従って保守メッセージを送信し、確認応答メッセージの受信を監視し、適用可能になれば保守メッセージのポンピングを実行するであろう。ブレードの機能停止に対して最大限のロバストネスを実現するため、継続中のメッセージポンピングに関する情報は、マスタから全てのブレードに供給されなければならない。いわゆる手動閉塞と呼ばれる閉塞状態が全ブレードで利用可能である。影響を受けるCICがリースされているかどうかとは無関係に、ルートマスタだけが、適切な閉塞メッセージを送信し、確認応答メッセージの受信を監視するであろう。監視タイマが満了するまでに閉塞がリモートエンドによって確認応答されない場合、ルートマスタは保守メッセージのポンピングを実行するであろう。
【0116】
影響を受けるCICが呼制御器にリースされている場合、CICに基づくメッセージルーティング機構により、呼制御ブレードに何らかの閉塞確認応答メッセージが到達するであろう。呼制御器は閉塞確認応答の受信に関してルートマスタに通知するとともに、通常の呼処理を継続するであろう。
【0117】
どのルートにも接続されていない機器は、既に閉塞状態にあるため、これら機器についてはコマンドは成功裏に実行されてメッセージは生成されない。
【0118】
リモートノードによって開始される手順
入来保守メッセージはトラフィックメッセージと同様にして分配される。個々のCICに関して呼が継続中であればメッセージは呼制御ブレードに送信され、そうでなければメッセージはルートマスタをホスティングするブレードに送信される。メッセージは新たな呼を開始していないので、暗示的捕捉は実行されない。制御中のブレードはマスタに保守アクティビティに関して通知するであろう。
【0119】
マスタは全ブレードに通知するであろう。いくつかのルートに影響を与えるメッセージの処理は、1つのルートのみに影響を与えるメッセージの処理と変わらない。各ブレードは保守メッセージを自身で処理するであろう。リセットメッセージは回線を空き状態に戻し、閉塞メッセージは継続中の呼を中断させない。
【0120】
全てのブレードがマスタに応答し終わると、保守メッセージを処理しているブレードに通知され、そのブレードは確認応答メッセージを生成するであろう。閉塞状態は影響を受けるルートのマスタ及びバディが同時に故障しても維持される。
【0121】
ノードレベルでは、複数のブレードが故障するシナリオにおいても、確認応答された保守メッセージが観測されることが保証される。そのようなシナリオにおいて起こりうる最悪のケースは、保守メッセージが確認応答されないか、遅れて確認応答されることである。リモートノードは保守メッセージのポンピングを開始し、ネットワークはブレードクラスタが復旧されると安定状態に戻るであろう。
【0122】
不存在回線メッセージ
UCICメッセージの受信
入来UCICメッセージはトラフィックメッセージと同様にして分配される。個々のCICに関して呼が継続中であればメッセージは呼制御ブレードに送信され、そうでなければメッセージはルートマスタに渡される。制御中のブレードはマスタにUCICの受信に関して通知するであろう。マスタは、全てのアクティブなブレードに対し、CICを自動閉塞(auto-block)するように通知する。ルートマスタは警報を発する。IAMに応答してメッセージが受信されていれば、制御ブレードは回線の再選択を試みるであろう。制御ブレードはCICの制御をマスタに戻す。
【0123】
UCICメッセージの送信
どのユーザ部にも接続されていないCICを有するメッセージを受信すると、不存在(unequipped)回線に対するメッセージ受信をリモート交換機に知らせるためのUCICメッセージが分配器によって生成される。
【0124】
範囲フィールドにおける不存在回線
ルーティングラベルに含まれるCICについて呼が継続中であれば、メッセージは呼制御ブレードに送信され、そうでなければメッセージはルートマスタに渡される。
【0125】
ルーティングラベル内のCICが空(unequipped)でないが、範囲フィールドによって示される1つ以上の回線が空である回線群リセット又は回線群リセット確認応答メッセージは、破棄される。
【0126】
ルーティングラベル内の回線番号は存在し、範囲フィールドにおけるCICが空である回線群閉塞(閉塞解除)メッセージは、空のCICが存在しないものとして処理される。
【0127】
導通確認(continuity check)要求
呼関連導通確認のためのトラフィック処理との競合のために、また全てのブレードから導通確認試験の開始を可能にするために、導通確認手順は呼制御ブレードによって処理される。
【0128】
導通確認試験呼(continuity check calls)
初期アドレスメッセージの送信後に、最初の導通確認要求メッセージを受信した場合、その導通確認要求メッセージは無視しなければならない。分配器はそのメッセージを他のメッセージと同様に分配する。呼制御器ブレードはそのメッセージを破棄するであろう。
【0129】
最初の導通確認メッセージが送信された後にIAMが受信されると、全ての導通確認機器を切断し、入来呼を処理しなければならない。CC試験呼を処理する呼処理はCICをリースする。分配器はそのメッセージを他のメッセージと同様に分配する。マスタはCICの場所について問い合わせを受けるであろう。マスタは、CICが既にリースされており、CC試験呼を処理するブレードにIAMが分配されるであろうことを認識するであろう。呼制御器ブレードは入来呼を処理するであろう。CICは同一ブレードによって同一回線にリースされ続けるので、それ以上マスタと通信する必要はない。
【0130】
導通再確認(continuity re-check)
導通再確認は呼処理に関連する。IAMで指示された最初の継続確認が失敗した際に実行される。入来呼に関し、COTメッセージにより導通確認の失敗が通知された後は、CCRメッセージが予期される。最初の再確認はタイマT24の満了時に開始し、さらに失敗した場合にはタイマT25によって決まる時間後に行い、その後はさらにタイマT26によって決定される間隔で成功するまで繰り返される。再試験ループの間、CICの制御は呼処理ブレードにありつづける。再確認が成功すると、再びトラフィックを許可するため、CICの制御はマスタに戻される。
【0131】
初期アドレスメッセージの送信後に、導通確認を繰り返すための導通確認要求メッセージが受信された場合、出方向の呼の処理を停止され、導通確認機器を接続することにより導通確認要求メッセージが処理されるであろう。CICは同一ブレードによって同一回線にリースされ続けるので、それ以上ルートマスタと通信する必要はない。
【0132】
A-インタフェース回線処理
機器の捕捉
通常手順
各ルートについて、専用のブレードが、要求に応じた空き回線を提供し、呼が開放された後にそれら回線を空き回線のプールに戻す責を負う。このブレードを「ルートマスタ」と呼ぶ。回線はBSCではなく常にMSC-Sによって選択される。そのため、捕捉の競合も二重捕捉も起こりえない。空き機器はFIFO空きリストによって見つけられる。
【0133】
コネクションレスメッセージの処理
自ノードにより開始される手順
MSCによって開始される手順は以下の通りである:
・ 回線及び回線群レベルの閉塞及び閉塞解除
・ 個々の回線及びノードレベルでのリセット
・ 不存在CICに関するメッセージの受信に関する通知
【0134】
いわゆる手動閉塞と呼ばれる閉塞状態が全ブレードで利用可能である。回線はMSCによってのみ選択されるので、BSCに送信される閉塞メッセージは存在しない。
【0135】
どのルートにも接続されていない機器について、コマンドは成功裏に実行される。
プロトコルタイマの満了によって検出されたトラフィック処理中の障害は、保守メッセージの送信をトリガしない。
【0136】
リモートノードによって開始される手順
BSCによって開始される手順は以下の通りである:
・ 回線及び回線群レベルの閉塞及び閉塞解除
・ 個々の回線及びBSCレベルでのリセット
・ 不存在CICに関するメッセージの受信に関する通知
【0137】
入来コネクションレスメッセージは適宜いずれかのブレードに分配され、そのブレードはそのメッセージの処理を制御するであろう。
【0138】
そのブレードはアクティブ状態にある全てのブレードを通知する。いくつかのルートに影響を与えるメッセージに対する処理は、1つのルートにのみ影響を与えるメッセージの処理と変わらない。各ブレードは保守アクティビティを自身で処理するであろう。リセットメッセージは回線を空き状態に戻し、閉塞メッセージは継続中の呼を中断させない。BSCレベルで有効なメッセージ(リセット)に関し、各ブレードはどのルートがそのBSCに接続されているかを調べる。ブレードはその結果をメッセージ処理ブレードに通知し、メッセージ処理ブレードは確認応答メッセージを生成するであろう。コネクションレスBSSAPメッセージを制御するブレードは、時間管理を実行する。アクティブな全ブレードから応答が受信されると、タイマは停止する。タイマが満了すると、タイマは確認応答メッセージを、それまでに受信した応答に基づくBSCに送信する。
【0139】
閉塞状態は影響を受けるルートのマスタ及びバディが同時に故障しても維持される。ノードレベルでは、複数のブレードが故障するシナリオにおいても、確認応答された保守メッセージが観測されることが保証される。この状況での最悪なケースは、保守メッセージが確認応答されないか、遅れて確認応答されることである。管理された期間内に確認応答メッセージがBSCで受信されない限り、BSCは保守メッセージを1回繰り返し、保守システムに動作が依然として失敗しているかどうかを通知する。
【0140】
回線及び回線群レベルの閉塞、閉塞解除及びリセットのユースケースは、CICを有する任意のタイプのルートに対して使用されるべきである。
【0141】
不存在回線メッセージ(unequipped circuit massages)
UNEQUIPPED CIRCUITメッセージの受信
入来UNEQUIPPED CIRCUITメッセージは保守メッセージと同様にして分配される。全ブレードは、そのCICを自己閉塞するように通知される。ルートマスタが存在するブレードは警報を発する。
【0142】
UNEQUIPPED CIRCUITメッセージの送信
分配ブレードは、メッセージの受信時に、ルーティングラベル内で示されるCICをいずれかのブレードが制御しているかどうかをルートマスタに問い合わせる。そのCICがBSSMAPと結びつけられていない場合、そのCICを受け持つマスタが存在しない。分配器は、不存在回線についてのメッセージの受信をBSCに通知するため、UNEQUIPPED CIRCUITメッセージを生成するであろう。
【0143】
CIRCUIT GROUP BLOCK又はCIRCUIT GROUP UNBLOCKメッセージが不存在回線を参照している場合、閉塞/閉塞解除回線のリストを含んだ確認応答メッセージに加え、その未知の回線を示すUNEQUIPPED CIRCUITメッセージがルートマスタに送信される。
【0144】
GCPメッセージルーティング
呼関連GCPメッセージルーティング
呼関連GCPメッセージのルーティングを図10に示す。このルーティングは以下のステップを有する。
【0145】
1. MSC側から開始されたトランザクションは、トランザクションIDの一部として符号化されたブレードIDを有している。呼制御器ブレード135はMGwに向かう信号コネクションを有する任意のブレード140aにメッセージを送信することができる。M3UAプロトコルスタックが用いられる場合、信号端局を有するブレードが複数存在していてもよい。
【0146】
2. トランザクションを含んだGCPメッセージ(図においてはADD要求コマンドを有する)は、MGw400に送信される。MGwから見た場合、MSC-Sのブレードクラスタ構造を示すものは何もない。
【0147】
3. MGw400から送信される応答トランザクションは、要求と同じトランザクションID(TID)を含むであろう。
【0148】
4. 受信信号端局は全てのGCPメッセージを復号するため、適宜選択されたブレードに送信する。ブレード選択を、クラスタ内のブレード間におこりうる負荷の不均衡を補償する手段として用いることができる。
【0149】
5. デコーダはメッセージに含まれるトランザクション応答を個々の呼制御器ブレードに送信する。ブレードIDはTIDから抽出可能である。
【0150】
デコーダは通知を要求した呼制御器ブレードへの通知コマンドを含んだトランザクション要求を送信する。ブレードIDはコマンドに含まれる要求IDから抽出可能である。 この場合、TIDがMGwによって選択されているので、受信されたトランザクション要求は特定のブレードを示していない。
【0151】
非呼関連メッセージルーティング
サービス変更コマンドは、MSC-SとMGwとの間の非呼関連保守情報を搬送する。図11に示す以下のシーケンスは、そのようなメッセージがどのようにルーティングされるかを示している。
【0152】
1. MGwレベルでの保守アクティビティは、MGwマスタ400によって実行される。MGwマスタは、MGwに向かう信号端局を有するブレードを選択する際に負荷均一化を適用する。
【0153】
2. MGwへ向かう信号端局を有するブレードは、MGwへメッセージを送信する。
【0154】
3. 受信信号端局は全てのGCPメッセージを復号するため、適宜選択されたブレードに送信する。ブレード選択を、クラスタ内のブレード間におこりうる負荷の不均衡を補償する手段として用いることができる。
【0155】
4. デコーダ145はメッセージに含まれるトランザクション応答を個々のMGwマスタブレードに送信する。ブレードIDはTIDから抽出可能である。 受信されたトランザクション要求は特定のブレードを示していない。
【0156】
5. トランザクション要求が通知コマンドを含んでいない場合、トランザクションはMGwマスタに送信される。
【0157】
本発明は、並行処理できないタスクを処理するためのスケーラブルなブレードシステムを可能にする。タスクは個々のブレードに動的に割り当てられる。本明細書で説明したメッセージルーティングは、システムのCP負荷均一化を念頭に置きながら、トラフィック処理アクティビティを適宜いずれかのブレードに割り当てることを可能にする。
【技術分野】
【0001】
本発明は呼を処理する交換センタサーバ及び、交換センタサーバ内の呼制御ブレードに信号メッセージを分配するための方法に関する。本発明はまた、ゲートウェイから、複数のブレードを有するクラスタ構造を有する交換センタサーバのブレードに、応答メッセージをルーティングするための方法に関する。本発明は、好ましくは移動サービス交換センタ(MSC)サーバに関するが、それに限定されない。
【背景技術】
【0002】
業界動向は、高能力かつスケーラブルなMSCサーバに向かっている。そのようなシステムの典型的なアーキテクチャはブレードクラスタ構造である。ペイロードを搬送する複数の送信ラインはメディアゲートウェイ(MGw)で終端され、それらリソースの切換はMSCサーバによって制御される。
【0003】
呼制御信号及びメディアゲートウェイ制御信号のいずれもマルチブレードアーキテクチャのサポートを提供しないので、時分割多重終端(TDM終端)は、ブレードクラスタシステムでの制御にあまり適していない。呼に対して終端(termination)が使用可能になる前に、排他的な使用法についてMSCブレード間での調整が行われる必要がある。終端の捕捉(seizure)はメディアゲートウェイによって調整される。MSCサーバ側でのブレード間調整は不要である。信号メッセージを個々の呼を処理するブレードへルーティングする必要がある。BICC(ベアラ非依存呼制御プロトコル)は、エフェメラル端末(ephemeral terminals)を用いるが、それらは全ベアラの共通リソースなので、MSCサーバ側で呼インスタンス符号(CIC)の調整を必要とする。
【0004】
既存の技術を用いて、いくつかのブレード間でTDM終端及びCICを共用することは不可能である。利用可能なTDM回線の範囲及び、BICCについては呼インスタンス符号の範囲を区分しなければならない 各区分は、管理に基づいて(administratively)特定のMSCブレードに割り当てられる。
【0005】
図1aに、そのような既知のMSCサーバを示す。交換センタサーバ10は、複数のブレード11を備えるブレード構造クラスタを有する。メディアゲートウェイ15との通信のため、メディアゲートウェイはいくつかの仮想メディアゲートウェイ16に分割され、その各々がサーバの1つのブレード11と通信する。物理的なメディアゲートウェイの各々は、MSCブレードごとに1つの仮想メディアゲートウェイを備えるように構成される必要がある。リソースの区分及び、1つのブレードを1つの仮想メディアゲートウェイに割り当てることには、不利な点がいくつか存在する。まず、TDM回線の区分を必要としないシステムと比較して、MSCサーバの構成が複雑になることである。図1に示す構成において1つのブレードが故障すると、仮想メディアゲートウェイに割り当てられたリソースを呼接続に使用できない。さらに、例えば、サーバの処理能力を増強するためにブレードの数が変更された場合、メディアゲートウェイもまた適合されなければならない。
【0006】
図1bに、既知の、ブレード構造を有するMSCサーバの外部ネットワークビューを示す。MSCサーバは、各ブレードに対する信号端局を有するように見える。そのため、回線は異なるブレード上に区分されている。図示の例において、MSCサーバは、前段に2つの信号プロキシを有する2つのサーバとして見える。新たなブレードがサーバに追加された場合、仮想メディアゲートウェイ及びリソースの区分を含むシステム全体を再構成する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
上述の問題点に鑑み、リソースの制御に影響を与えずにブレードサーバクラスタの構成を容易に変更可能とする可能性を提供することへの要求が存在する。
【0008】
この要求は、独立請求項の特徴によって達成される。従属請求項には、本発明の好ましい実施形態が記載されている。
【0009】
本発明の第1の見地によれば、呼を処理する交換センタサーバであって、複数の異なるブレードを備えるクラスタ構造を有する交換センタサーバが提供される。呼に関するメッセージを、ブレードの1つ及びマスタに分配する分配器が設けられる。マスタは、プールされたリソースの、呼を処理する前記複数のブレードによる利用を集中制御する。呼に関するメッセージをブレードの1つに分配するため、メッセージをどのブレードに分配すべきかの情報を読み出すために分配器はマスタにコンタクトする。任意のブレードにおける呼処理のためにアクセス可能であるべき、プールされたリソースの例は、回線、チャネル及びユーザプレーン終端の一式である。各トランクルート、A-インタフェースルート及び各PRA(Primary Rate Access)は、使用されているリソースのビジー状態を維持する責を負う1つのブレードを有する。各ISDNアクセスに対してチャネルの利用を制御するアクセスマスタが設けられるのに対し、プールされたリソースの利用を集中制御するマスタ(ルートマスタ)が各ルートに対して設けられる。分配器及びマスタを有する交換センタサーバの構成により、サーバ内の物理リソースは他のノードから見たりアドレス指定したりすることができない。ブレードクラスタにおける異なるブレードは、外部からは1つのノードとして見える。ブレード数の変更は、他のノードの構成に影響を与えない。特に、新たなブレードのインストールによって増強された処理能力を、操作上の介入なしに他のノードで利用することが可能である。さらなる利点は、本発明の方法が任意の要素の停止(outage)に対してロバストであるため、1つ以上のブレードが故障した際に、トラフィックに利用できないユーザプレーン帯域がないことである。プールを維持するマスタインスタンスの停止はユーザに影響を与えず、また、あるユーザの停止は他のユーザに影響を与えない。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、マスタがどのブレードにメッセージを分配すべきかを決定し、分配器はマスタの決定に従ってメッセージを分配する。
【0011】
交換センタサーバが呼設定用の初期メッセージを受信すると、マスタはその呼をどのブレードで制御すべきかを決定することができ、分配器はメッセージを決定されたブレードに分配する。好ましくは、マスタはどのブレードに初期メッセージを分配すべきかを、異なる複数のブレードの処理負荷を考慮して決定する。その結果、個々のブレードに設けられたプロセッサの負荷状況をより均等に分散することが可能になる。マスタは、全ブレードにおけるプロセッサ負荷状況を考慮し、相対的プロセッサ負荷が最も低いブレードにまず呼を割り当てるようにしてもよい。
【0012】
しかし、分配器が既に確立された呼に関するメッセージ、例えばその交換センタサーバによって既に処理されている呼に関するメッセージを受信した場合、分配器は複数のブレードの中から、その確立された呼を処理しているブレードを調べ、そのブレードにメッセージを分配すべきである。
【0013】
分配器及びマスタに加え、呼の継続中に複数の異なるブレードに用いられるリソースを制御する呼制御器が設けられてもよい。ブレードの1つに設けられた呼制御器が呼の呼制御を行うということは、呼制御器がプロトコル状態機械を有し、呼ルーティングを決定し、メディアゲートウェイを制御し、課金を行う等を意味する。好ましくは、各呼に対して1つの呼制御器が設けられる。分配器は呼に関するメッセージを、その呼に対する呼制御器が設けられているブレードに分配してよい。各ブレードがブレード固有のアドレスによって外部から直接アドレス指定できず、また呼制御器がどのブレードに設けられても良いため、分配器は確立された呼に関するメッセージを呼制御器が設けられているブレードに分配しなければならない。
【0014】
そのため、一実施形態によれば、確立された呼に関するメッセージをどのブレードに分配すべきかの情報を読み出すために、分配器はマスタにコンタクトする。好ましくは、確立された呼についてのメッセージに含まれるリソース識別データを抽出し、確立された呼についての呼制御器がどのブレードにあるかの情報を読み出すため、抽出されたリソース識別データを用いてマスタにコンタクトする分配器が提供される。分配器は、抽出されたリソース識別データについての呼制御器が存在するか、またその呼制御器がどのブレードに存在するかを見いだすため、受信メッセージ毎にマスタに問い合わせなければならない。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、交換センタサーバは、ブレードの1つにメッセージを割り当てるバランサをさらに有する。バランサは、どのブレードが現在呼制御器か(または今後呼制御器になるか)を正確に知ることなく負荷を分散するため、入来メッセージをアクティブトラフィック状態にあるMSCブレードの1つに割り当てる。バランサは、メッセージに含まれる以下の情報の少なくとも1つを考慮して、ブレードの1つにメッセージを割り当てることが好ましい:発信元情報データ(OPC)、宛先情報データ(DOP)、及び信号リンク情報データ(SI,SLS)。さらに、バランサがリモートノードからの入来トランクメッセージを受信した場合、個々の呼に関する全てのメッセージを呼制御器の同一パスに送信する必要がある。従って、バランサは、発信元情報データ、宛先情報データ、及び/又は信号リンク情報データを含んだメッセージが、常に同一ブレードに割り当てられるように構成されてよい。例えば、バランサはOPC,DCP,SI又はCICデータの中からハッシュ値を生成してもよい。バランサはメッセージをハッシュ値に応じてブレードの1つに割り当て、そのブレードが分配器の役を果たす。
【0016】
1つのノードに見え、かつブレードの数を容易に変更可能とする交換センタサーバを提供することの必要性は、上述したブレードクラスタと、ゲートウェイからの応答メッセージをブレードの1つに分配する分配器とを有する交換センタサーバによっても満たすことができる。メディアゲートウェイから受信した応答メッセージが呼を制御するブレードに分配されることを保証するため、呼制御器は、呼制御器が設けられているブレードを特定することを可能にするブレード識別データを含んだトランザクション識別データTIDを生成する。交換センタサーバがトランザクション識別データTIDをゲートウェイに送信する場合、応答メッセージ分配器は、トランザクション識別データTIDに含まれるブレード識別データを用いて、受信した応答メッセージを呼制御器が設けられたブレードにルーティングする。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、交換センタサーバの信号端局が応答メッセージを受信してブレードの1つに送信し、そのブレードはその後応答メッセージ分配器として振る舞う。信号端局は、異なるブレードの信号負荷に応じてブレードの1つに応答メッセージを送信することが好ましい。応答メッセージの復号はプロセッサ能力を要求する処理であるため、この処理(step)は様々なブレードに分散されるべきである。そして、応答メッセージ分配器は、特定された呼制御器へ応答メッセージを分配することが可能になる。
【0018】
応答メッセージを受信した後、呼制御器は初期アドレスメッセージ(IAM)をリモートノードに送信してもよい。交換センタサーバが逆方向(backward)メッセージ、例えばアドレス完了メッセージ(ACM)を受信すると、バランサはそのメッセージを分配器へ送信し、分配器がメッセージを呼制御器に分配する。これは、確立された呼に関する何らかのメッセージについての場合であるので、逆方向メッセージはバランサで受信され、好ましくは逆方向メッセージに含まれる、送信元情報データ(OPC)、宛先情報データ(DPC)、及び信号リンク情報データの少なくとも1つを考慮して、バランサからそのメッセージがブレードの1つに送信されてもよい。
【0019】
上述の通り、本発明の一実施形態によれば、ブレードクラスタは、ブレードクラスタが有する異なるブレードをリモートノードから1つの共通アドレスによってアドレス指定できるように構成される。全てのブレードに共通の信号ポイントコード及びIPアドレスは、個々のブレードの特定には用いられない。
【0020】
以下、マルチブレード構成を用いたプライマリレートアクセス(PRA)呼の処理について説明する。PRA発信呼(originating call)について、分配器はその呼についての全ての入来メッセージに含まれる呼番号データを抽出し、抽出した呼番号データを用いるその呼についての呼制御器がどのブレードに設けられているかの情報を読み出すため、PRAマスタにコンタクトし、分配機はメッセージをそのブレードにルーティングする。PRAマスタは、呼番号データと呼が処理されているブレードとをリンクするルックアップテーブルを有している。
【0021】
PRA着信呼について、呼制御器はブレード識別データを含んだ呼番号を生成し、分配器はブレード識別データを用いて、そのPRA着信呼に関する全ての入来メッセージを、その呼を処理しているブレードに分配する。
【0022】
従って、PRA着信呼については呼識別に符号化されたブレード識別データによって呼制御ブレードが特定され、一方でPRA発信呼については呼制御ブレードの特定が呼番号及びPRAマスタを用いて実行される。
【0023】
通知は通常メディアゲートウェイ側から開始されるが、交換センタサーバから要求される。メディアゲートウェイからの通知コマンドのための呼制御ブレードを見つけるため、要求識別子(RID)が用いられる。1つのブレードから送信される通知要求コマンドは要求識別子を有し、メディアゲートウェイから受信される通知コマンドは前記識別子を有する。この通知コマンドの識別子を用いて、通知を要求したブレードに通知を方向付ける。
【0024】
本発明の別の実施形態によれば、マスタは保守手順を制御する。確立された呼の期間、上述したルーティングの仕組みにより、その呼に用いられる回線に関する保守メッセージが呼制御ブレードに到来するであろう。好ましくは、呼制御器は受信した保守メッセージをマスタに知らせ、マスタが全ブレードに保守メッセージの状態を知らせる。マスタは保守手順の管理の責を負い、マスタは保守手順のステータスが全てのブレードに通知されることを保証する。
【0025】
上述した必要性は、交換センタサーバのブレードに呼を分配するための方法であって、呼に関するメッセージを受信して当該呼に関するメッセージを複数のブレードの1つに分配するステップを有し、前記メッセージの分配のために、マスタが、前記呼をどのブレードに分配すべきかの情報を読み出すためにコンタクトされることを特徴とする方法によっても解決される。それが呼設定のための初期メッセージであれば、マスタはそのメッセージをどのブレードに分配すべきかを異なるブレードの処理負荷を考慮して決定することができる。
【0026】
確立された呼に関するメッセージが受信された場合、複数のブレードから前記確立された呼を処理しているブレードが判別され、前記メッセージが前記呼へ分配される。呼制御器が呼を処理するので、前記確立された呼に関する前記メッセージは、前記呼制御器が存在するブレードに分配される。好ましくは、呼の分配は2ステップの処理で実行される。最初のステップにおいて、メッセージはブレードクラスタの複数のブレードの1つに割り当てられる。この割り当てステップは、メッセージ処理及び復号の処理負荷が、複数のMSCブレード間で分散されることを保証する。論理的な理由(conceptual reasons)から、スケーラブルでないことから、また呼の取扱い処理におけるボトルネックとなるリスクが存在することから、このステップはアプリケーションレベルプロトコルの難解(deep)な復号及び処理を行ってはならない。
【0027】
本発明の一実施形態において、メッセージは、発信元情報データ、宛先情報データ、信号リンク情報データの1つ以上に応じて複数のブレードの1つに割り当てられる。メッセージが1つのブレードに割り当てられると、複数のブレードのうち、呼を制御しているブレードが判別され、この判別のため、確立された呼に関するメッセージをどのブレードに分配すべきかの情報を読み出すためにマスタがコンタクトされる。そのため、確立された呼についてのメッセージに含まれるリソース識別データが抽出され、抽出されたリソース識別データを用いる前記確立された呼についての制御器がどのブレードに設けられているかの情報を読み出すためにマスタがコンタクトされる。最後に、抽出されたリソースを制御しているブレードにメッセージがルーティングされる。
【0028】
上述した処理は、交換センタサーバに転送される入来メッセージに対して有効であることが好ましい。出方向メッセージは呼制御ブレードから宛先へ直接送信されてよい。
【0029】
さらに、ゲートウェイからの応答メッセージを交換センタサーバのブレードにルーティングする方法が提供され、この方法は、呼制御器が設けられているブレードを特定することを可能にするブレード識別データを含んだトランザクション識別データを生成するステップを有する。交換センタサーバがトランザクション識別データをゲートウェイに送信し終わり、応答メッセージがゲートウェイから受信されると、トランザクション識別データに含まれるブレード識別データに基づいて、応答メッセージは呼制御器が設けられたブレードにルーティングされることが可能になる。
【0030】
トランザクション識別データに含まれるブレード識別データを特定するため、応答メッセージは複数のブレードの1つに割り当てられ、そのブレードで復号されることが好ましく、応答メッセージはブレード識別データに基づいて、呼制御器が設けられているブレードに分配される。
【0031】
ゲートウェイからの応答メッセージは、サーバの信号端局で受信され、信号端局から、異なるブレードの信号負荷を考慮して、応答メッセージが複数のブレードの1つに送信されてもよい。このブレードにおいて、ブレード識別データが抽出される。
【0032】
呼の処理に複数の呼制御器が関与している場合、異なる識別データを含んだトランザクション識別データが生成され、関与する各ブレードについてゲートウェイに送信される。リモートノードへのコネクションのための初期アドレスメッセージ(IAM)がリモートノードへ送信されると、リモートノードから逆方向メッセージ(例えばACM)が受信され、逆方向メッセージはIAMを送信した呼制御器が設けられているブレードに分配される。逆方向メッセージはマスタにアクセスして呼制御器がどのブレードに設けられているかの情報を要求することによって分配される。
【0033】
二重捕捉(dual seizure)状態は、出方向のIAMが既に送信されたCICに対するIAMが受信されたネットワーク状況である。CICのようなリソースに対する二重捕捉状況は、呼制御器が、あるリモートノードに対してIAMを送信済みのリソースに対し、そのリモートノードからのIAMを受信した場合に、当該呼制御器によって検出可能である。
【0034】
リソースに対する要求が満足され得ない場合、リソースに対する捕捉要求は待ち行列に入れられてよく、呼試行が待ち行列から除去されるべきである旨がマスタに通知されると、マスタはその呼試行に対する捕捉要求を待ち行列から除去する。
【0035】
本発明の別の見地によれば、故障したブレードは故障情報をマスタに送信し、マスタは他のブレードに故障に関して通知する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1a】従来技術に係る、ブレードクラスタ交換サーバとメディアゲートウェイとの間のゲートウェイ制御インタフェースを示す図。
【図1b】従来技術に係る、ブレードクラスタ交換サーバとリモートネットワークノードとの間のトランク信号インタフェースを示す図。
【図1c】従来技術に係る、A-インタフェースにMTP3を用いた場合のトリプルノードビューを示す図。
【図2】トランク信号及びA-インタフェースにMTP3を用いた場合のトリプルノードビューを示す図。
【図3】SCTP、GCP及びDSS.1を用いる場合の、単独ノードとしてのブレードクラスタを示す図。
【図4】トランクからトランクへの呼のための交換センタサーバにおけるメッセージ処理を示す図。
【図5】移動通信ユニットで着信するトランクからの呼を処理する交換センタサーバを示す図。
【図6】2つの移動通信ユニットを接続する呼についての交換センタサーバを示す図。
【図7】共通配置されたV-MSCで転送されるトランクからトランクへの呼についての交換センタサーバを示す図。
【図8】トランクからPRAへの呼を用いる交換センタサーバを示す図。
【図9】PRAからトランクへの呼を用いる交換センタサーバを示す図。
【図10】呼に関するGCPメッセージのルーティングを用いる交換センタサーバを示す図。
【図11】サービス変更メッセージのルーティングを用いる交換センタサーバを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を、添付図面を参照してより詳細に説明する。
図2及び図3に関連して、本発明による交換センタサーバのネットワークビューについてより詳細に説明する。図2と図1bとの比較から、本発明のMSCサーバが全てのブレードについて1つの信号端局のように見えることが理解される。
【0038】
ネットワークビュー
サーバ内の物理リソースは他のノードから見ることもアドレス指定することもできない。ブレード数の変更は他のノードの構成に何ら影響を与えない。具体的には、新たなブレードの実装により、他のノードにおける動作に何ら介入することなく、追加の処理能力を用いることができる。
【0039】
アーキテクチャの観点から、2つの異なるアプローチが用いられる。MTP(メッセージ転送部)ベースの信号スタック及び非MTPベースの信号スタック。MSCブレードへのコネクションは、以下の方法で行うことができる。
【0040】
GCP(ゲートウェイ制御プロトコル)は、SCTP(ストリーム制御送信プロトコル)上で直接、あるいはM3UA(MTP3ユーザアダプテーションレイヤ)/SCTP,CN(コアネットワーク)上で搬送可能である。
呼制御関連信号(ISUP(ISDNユーザ部)、BICC、TUP(電話ユーザ部)は、常にM3UA/SCTPスタック上で搬送される。
- A-インタフェース呼制御信号(BSSAP)は常にSCCP/M3UA/SCTPスタック上で搬送される。
- DSS.1(ディジタル加入者ステージ信号システムNo. 1)は、常にIUA/SCTP上で搬送される。
【0041】
メディアゲートウェイMGw又はBSC(基地局制御器)への信号にMTP3が用いられる場合、図2に示されるように、MSC-S BS(ブレードクラスタ)100は、トリプルノードビューを表す。それは、1つのMSC-Sノードを有する2つのSTP(信号中継局)のように見えるであろう。MSC-Sへ向かう全ての信号はSTP190を通らなければならない。リモートノード200,300は、これらノードの3つの信号局コードを知るだけでよい。ブレードの追加及び除去はリモートノードの信号構成に全く影響を与えない。複数のSTPは、複数のMSCブレードに信号トラフィックを拡散することにより、負荷バランス調整を行う。冗長性を増し、負荷を分担するために、2つのSTPが用いられている。
【0042】
準対応モードについての標準的なMTP手順は、1つのSTP又は関連する信号リンクの故障時に、他のSTPへ向かう信号リンクが用いられることを保証する。準対応モードをサポートしないノードは、2つのSPX(信号プロキシ)の一方に、フェイルオーバの可能性なしに単に接続される。
【0043】
MGwへ向かう信号にSCTPが用いられる場合、図3に示すようにMSC-S BSは単独ノードビューを示す。ただ1つのSCTPアソシエーションが存在するであろう。いくつかの物理エンティティ(ブレード)間にある1つのSCTP端局の負荷分散は標準化されておらず、実現は困難である。信号パスの冗長性を実現するため、マルチホーミングが用いられる。すなわち、個々の端局が複数のIPアドレスを用いてアクセス可能である。SCTPアソシエーションはMSCブレードに置かれる。
【0044】
MSCクラスタ概説
考慮すべき主観点は、単独ノードビューに加え、MSCブレード間の均一な処理負荷分散である。全てのブレードに共通の信号局コード及びIPアドレスは、個々のブレードの特定には用いられない。
【0045】
入来する全てのトラフィック関連メッセージは、呼制御ブレードにルーティングされなければならない。呼制御ブレードへの分配は、段階的に実行される。最初の段階では、メッセージ処理及び復号の処理負荷が、複数のMSCブレード間で分散されることを保証する。論理的な理由(conceptual reasons)から、スケーラブルでないことから、またボトルネックとなるリスクが存在することから、この段階はアプリケーションレベルプロトコルの難解(deep)な復号及び処理を行ってはならない。MTP又はM3UAで搬送されるメッセージの順序を維持するため、ハッシュベースの関数が用いられる。それにより、同一のOPC、DPC及びSLSを有する全てのメッセージがブレードクラスタを通じて常に同一パスを通り、かつ同一の分配ブレードによって処理されることを保証する。分配の最終段階は複数のMSCブレードで実行される。これらのブレードはスケーラブルであるため、より高い負荷を受けることができる。ブレードはアプリケーションレベル情報を処理する。MSCブレードは以下のいずれかの役を負うことができる。なお、一部は同一場所に配置されてもよく、また所定の信号シナリオには適用できないこともある。
【0046】
- SCTPアソシエーションホスト
非MTPベースの信号について、信号コネクションは1つのMSCブレード上で終端される。そのブレードはバランサ及び/又は分配器として振る舞うであろう。
【0047】
- バランサ
バランサは、負荷分散を目的として、どのブレードが呼制御器である(又は呼制御器となるか)を知ることなく、アクティブ状態にある複数のMSCブレードに入来メッセージを分配する。
【0048】
- 分配器
分配器は呼制御のためにメッセージを他のブレードへ転送する。
【0049】
- 制御器
制御器ブレードは呼の呼制御を実行している。すなわち、プロトコル状態機械を有し、呼ルーティングを決定し、MGwを制御し、課金を実行し、等を行う。
【0050】
- マスタ
各トランクルート、A-インタフェースルート及び各PRAは、接続されている回線/チャネルのビジー状態を維持する責を負う1つのMSCブレードを有する。呼制御器は、設定時にマスタからのルート/PRAに属する空き回線/チャネルを要求し、呼の切断時に回線の制御を差し戻す。
各MGwは、MGwのグローバル状態(global state)を追跡するマスタブレードを有する。
【0051】
- バディ
バディはマスタと異なるブレードに割り当てられる。バディはまた、制御器がマスタと同じブレード上に存在する場合、動的データ冗長性の維持を助ける。
【0052】
- コーディネータ
コーディネータの役は、最も長期にアクティブ状態にあるブレードによって果たされる。コーディネータは、マスタ及びバディ役の再割り当てを明示的にトリガする。
【0053】
1つの呼に関してブレード間で送信されるメッセージの数のみならず、呼を処理するブレードの数が一定であり、ブレードの数の関数ではないため、ここで提案する方法は十分にスケーラブルである。MSCブレードの役は全ブレード間で適応的にバランスが取られる。クラスタからの1つのブレード除去またはある1つのブレード上での他の復旧手順は、影響を受けるブレード上で継続中のトランザクションを有する呼か、そのブレードで制御されている呼にのみ影響を与えるであろう。
【0054】
ロバストネス
異なるレベルのロバストネスを区別することができる:
セルレベルでは、ブレードの故障の影響を呼が受けない状態を維持することが、意図されたロバストネスである。呼を処理するブレードが所定タイプの復旧手順を実行する場合や、他の理由によってトラフィックを処理できない場合、そのブレードで制御される全ての呼は失われるであろう。ルート又はPRAマスタ及びMGwマスタのような、呼をサポートする機能を有するたのブレードによって提供される機能は、故障が生じた場合に継続中の呼に影響を与えることなく他のブレードに移行可能である。そのため、nのブレードを有するシステムにおいてmのブレードが故障した場合、呼レグの総数のm/nが影響を受けるであろう。呼転送又はローミング再ルーティングに起因して、1つの呼は複数の呼レグを有することができる。そのため、影響を受ける呼の割合は、影響を受ける呼レグの割合よりも高くなるであろう。
【0055】
ノードレベルでは、ネットワーク内のノードの振る舞いはブレードの故障によって変化すべきでない。nのブレードを有するシステムにおいて、交換機(exchange)データ(オペレータ定義データ及び加入者定義データの両方)はmのブレードの同時故障に耐えなければならない(m<n)。外部HLR(ホームロケーションレジスタ)データベースに保存されている移動加入者データを除き、全ての交換データはクラスタブレードに保存される。従って、全てのブレードに全ての交換機データを保存すれば必要なロバスト性は実現できる。
【0056】
呼制御ブレードの故障によってアイドル状態になっている回線ができる限り速やかにトラフィックに利用できるようになるべきである場合、回線の利用可能度は問題である。各回路のBUSY状態は、マスタブレードでも利用可能である。マスタブレードはクラスタサービスから、ブレード復旧又はクラスタ内のいずれかのブレードの他のタイプの機能停止を通知されるであろう。アクティブ状態でなくなったが、呼が生きのこるであろう復旧動作を実行していないブレードにリースされている回線は、回線リセット実行直後から再使用可能である。呼制御ブレードが各ルート又はPRAについてもマスタ機能をホスティングするようにすれば、同一レベルの回線利用度を実現するためにバディブレードにおいてビジー状態が維持される。回線のビジー状態は常に2つのブレードで利用可能であるべきである。呼が生きのこるであろう復旧手順を実行しているブレードにリースされている回線は、復旧手順が完了するまで使用できない。なぜなら、どの呼が復旧手順を生きのびたかを復旧ブレードが判断するからである。
【0057】
呼制御
シングルノードビューを実現したいので、どのブレードが呼制御器として振る舞っているかに関する情報は、他の信号局には隠し続ける必要がある。ブレードを局コード又はCICと関連付けることはできない。これらの識別子とMSCブレードとの関係は動的に決定され、MSC-S内でのみアクセス可能である。
【0058】
入来ISUP、TUP及びBICCメッセージについて、バランサは信号リンク選択番号(SLS)を用いることができる。いくつかのブレード(その全てはアクティブ状態であることが必要)にメッセージ処理負荷を分散させるために、SLSはメッセージ負荷分散目的でMTPによって用いられる。バランサがメッセージを送信するブレードの数は、単純に負荷分散の問題であり、機能的な観点からの問題ではない。バランサからのメッセージを受け取るのは分配器である。分配器は処理状態を把握せず(stateless)、また、CICに対する呼制御器が存在するかどうか、またそれがどのブレードに存在するのかを見出すため、受信した全てのメッセージについてルートマスタに問い合わせなければならない。そして、メッセージは制御ブレードに渡される。 入来IAMメッセージについて、ルートマスタは全てのブレードにおけるプロセッサ負荷状況を考慮し、相対プロセッサ負荷がもっとも低いブレードに最初に呼を割り当てるようにしてもよい。
【0059】
出方向のISUP、TUP及びBICCメッセージは、呼制御ブレードから直接送信されてよく、分配器やバランサに渡されなくてよい。
入来DSS.1メッセージについて、呼番号はそれがMSC又はPRA側で割り当てられたものかどうかを示すビットを有している。
・番号がMSCによって割り当てられていれば、そのメッセージはISDNアクセス端末呼に属する逆方向メッセージであり、ブレード番号は番号値の2〜3ビットに符号化される SCTPアソシエーションをホスティングするブレードは分配器として振る舞い、メッセージを呼制御ブレードに転送するであろう。
・呼番号をPRAが割り当てている場合、メッセージは順方向にあり、ISDNアクセス発呼に属している。SCTPアソシエーションをホスティングしているブレードは、分配器として振る舞うであろう。そして、呼を制御しているブレードをPRAマスタに指摘させるであろう。
【0060】
出方向のDSS.1メッセージは、PRAが接続されているMGwへの信号アソシエーションの端局をホスティングしているブレードに送信される必要がある。
BSSAPについては、分配器が逆方向メッセージをコネクションを開始したブレードに宛てるためにSCCP(信号接続制御部)コネクションIDが用いられる。
【0061】
メディアゲートウェイ制御
大部分の呼関連トランザクションはMSCサーバ側から開始され、通知はMGw側から開始され、サービス変更コマンドは両側から開始可能である。MSC-Sによって開始されたトランザクションについては、トランザクション識別子(TID)内の6ビットを、関連する呼のコンテキストを制御しているブレードを示すために指定可能である。これにより、MGwから受信した応答を、トランザクションを開始したブレードへルーティングすることが可能になる。通知はMSC-Sによって命令される。命令は要求識別子(RID)を含んでいる。関連する呼のコンテキストを制御しているブレードを示すために、要求識別子の数ビットを指定することができる。それにより、M-MGwから受信した通知を、要求元のブレードにルーティングすることが可能になる。
【0062】
関連する呼をどのブレードが処理しているのかを見出すには、トランザクションID又は要求IDを見るためにGCPメッセージを復号する必要がある。GCPメッセージの復号は処理能力を多く必要とするため、MSCブレード間でうまくバランスを取ることが必要である。1つのMGwからの全メッセージを、SCTPアソシエーションをホスティングするブレードで行うことは、よい選択肢とは思えない。この手法はスケーラブルでなく、多数のMGwに対してボトルネックとなりうる。クラスタ内での現在の負荷分散状況に応じて選択される様々なブレードへ、メッセージを復号するために送信する。そして、最終的に復号を行うブレードが、トランザクションを正しい呼制御ブレードに渡す。
そして、呼に関連しない全てのトランザクションは、MGwマスタブレードに渡されるであろう。
【0063】
トラフィック処理の例
MSC-S BS内のメッセージルーティングの原理を、最も頻度の高いトラフィックの事象を用いて説明する。ブレードクラスタの一部として示される論理エンティティは、異なるブレードに置かれてもよい。また、それらエンティティの全て又は一部が物理的に同一なブレード上に共通配置されてもよい。示されるメッセージは典型的な例として、理解を容易にするために選ばれたものである。また、「IAM」は順方向に送信される任意の設定メッセージを表し、「ACM」は引き続いていずれかの方向に送信される任意のメッセージを表す。MSC-SからMGwへ向けて開始される任意の呼関連コマンドを代表して、「Add」コマンドが用いられる。例において、GCPはSCTP上で転送される。GCPがM3UA/SCTP上で搬送されるとすると、MGwへ向かう信号はSPXを通る。これはブレード間の機能割り当てには影響しないため、図示していない。
【0064】
例:トランクからトランクへの呼(trunk to trunk call)
図4におけるシーケンスは、呼制御にMSCブレードが1つだけ必要なトラフィックの場合を示している。1つのGCPコンテキストが2つの終端によって捕捉される 2つのaddコマンドがMGwへ送信される。これは、必要に応じてHLRへの問い合わせを伴う、トランクからトランクへの呼となりうる。
【0065】
バランサ120は入来トランクメッセージをリモートノードから受信する(ステップ1)。個々の呼に関する全てのメッセージは、同一経路で呼制御器へ送信されなければならない。そのため、バランサ120はOPC1、DPC1、SI1及びCIC1からハッシュ値を生成する。各分配器ブレードは、ブレードの能力を考慮して自動的に割り当てられるハッシュ値の範囲を有する。メッセージがブレードに送信されると(ステップ2)、そのブレードは分配器125として機能するであろう。分配器125はメッセージを、その呼を制御しているブレードへルーティングする。CICが空(idle)であれば、分配器125はその呼を制御するであろうブレードにメッセージをルーティングする。分配器125は、どのブレードがCICをリースしているのかを見出すため、ルートマスタ130にコンタクトする(ステップ3)。CICが空であれば、マスタ130はその呼を制御すべきブレードを決定し、CICが暗に捕捉される。そして、分配器125は、呼を制御するブレードにメッセージを送信する(ステップ4)。
【0066】
CICが捕捉されていれば、呼制御器135は、選択されたCICに関連付けされた終端を追加するために、MGwへ向かう「Add request」GCPメッセージを送信する。呼制御器135は自身のブレードIDをトランザクション識別子TID1に符号化する。GCPメッセージは正しいMGwへ導くSCTPアソシエーションを有するGCP信号端局140を通じて(ステップ5)ルーティングされる(ステップ6)。
【0067】
GCPメッセージに応えて受信される「Add Reply」GCPメッセージが、GCP信号端局で受信される(ステップ7)。GCP信号端局140は、クラスタ内での現在の負荷分散状況に応じて選択される1つのブレードへ、復号のためにメッセージを送信する。分配器は応答メッセージ分配器とも呼ばれる。メッセージに含まれるトランザクション識別子TID1が復号中に見つけられ、呼制御器が存在し、GCPメッセージを分配しなくてはならないブレードを特定するために用いられる(ステップ8)。
【0068】
出方向のトランクでIAMが送信可能となる前に、呼制御器135は、ルートマスタ150に対し、所望の出方向ルートの回線に対する制御を、当該ルートに対して設定されている選択形式に従って要求する(ステップ9)。この回線はCIC2によって特定される。
【0069】
そして、呼制御器135は、選択されたCICに関連付けされた終端を追加するために、MGwへ向かう「Add Request」GCPメッセージを送信する。呼制御器135は自身のブレードIDをトランザクション識別子TID2に符号化する。GCPメッセージは正しいMGwへ導くSCTPアソシエーションを有するGCP信号端局155を通じて(ステップ10)ルーティングされる(ステップ11)。
【0070】
GCPメッセージに応えて受信される「Add Reply」GCPメッセージが、GCP信号端局155で受信される(ステップ12)。GCP信号端局155は、クラスタ内での現在の負荷分散状況に応じて選択される1つのブレード160へ、復号のためにメッセージを送信する。メッセージに含まれるトランザクション識別子TID2が復号中に見つけられ、呼制御器が存在し、GCPメッセージを分配しなくてはならないブレードを特定するために用いられる(ステップ13)。
【0071】
IAMがリモートノードに送信される(ステップ14)。逆方向メッセージがバランサ165で受信され(ステップ15)、OPC2、DPC2、SI2及びCIC2に基づいて算出されるハッシュ値の区分に従って、あるMSCブレード170へ渡される(ステップ16)。このブレードは分配器として振る舞う。分配器は、呼を制御しているブレードを調べる必要がある。この情報は回線2が属しているルートのルートマスタ150から取得することが可能である(ステップ17)。分配器ブレード170は逆方向メッセージを呼制御ブレード135へ向けて送信する(ステップ18)。呼制御ブレード135はメッセージを入来トランクへ転送する(ステップ19)。
【0072】
例:MS(移動機)着信呼(MS terminating call)
図5におけるシーケンスは、呼制御に2つのMSCブレード135a、135bが必要なトラフィックの場合を示している。これは、着呼在圏MSC呼コンポーネント(terminating visited MSC call component)がブレードクラスタによって取り扱われている場合に生じる。2つのブレードが呼制御に用いられているので、ブレードごとに1つのGCPコンテキストが生成される。合計で4つのAddコマンドがMGwへ送信される。ここで、同一ブレードクラスタによって受け持たれるMSへのローミングリルーティングを用いた、トランクからGMSCへの呼を例に用いる。
【0073】
バランサ120は入来トランクメッセージをリモートノードから受信する(ステップ1)。個々の呼に関する全てのメッセージは、同一経路で呼制御器135aへ送信されなければならない。そのため、バランサ120はOPC1、DPC1、SI1及びCIC1からハッシュ値を生成する。各分配器ブレード125は、ブレードの能力を考慮して自動的に割り当てられるハッシュ値の範囲を有する。メッセージがブレードに送信されると(ステップ2)、そのブレードは分配器125として機能するであろう。分配器125はメッセージを、その呼を制御しているブレード135aへルーティングする。CICが空であれば、分配器125はその呼を制御するであろうブレードにメッセージをルーティングする。分配器125は、どのブレードがCICをリースしているのかを見出すため、ルートマスタ130にコンタクトする(ステップ3)。CICが空であれば、マスタ130はその呼を制御すべきブレードを決定し、CICが暗に捕捉される。そして、分配器125は、呼を制御するブレードにメッセージを送信する(ステップ4)。
【0074】
CICが捕捉されていれば、呼制御器135aは、選択されたCICに関連付けされた終端を追加するために、MGwへ向かう「Add Request」GCPメッセージを送信する。呼制御器135aは自身のブレードIDをトランザクション識別子TID1に符号化する。GCPメッセージは正しいMGwへ導くSCTPアソシエーションを有するGCP信号端局140を通じて(ステップ5)ルーティングされる(ステップ6)。
【0075】
GCPメッセージに応えて受信される「Add Reply」GCPメッセージが、GCP信号端局140で受信される(ステップ7)。GCP信号端局は、クラスタ内での現在の負荷分散状況に応じて選択される1つのブレード145へ、復号のためにメッセージを送信する。メッセージに含まれるトランザクション識別子TID1が復号中に見つけられ、呼制御器135aが存在し、GCPメッセージを分配しなくてはならないブレードを特定するために用いられる(ステップ8)。
【0076】
呼制御器ブレード135aは、HLR問い合わせを行い、ローミング番号を受信する。ローミング番号を取得するための手順及び、被呼加入者を受け持つブレードによってローミング番号を分配する手順については、これ以上詳細に説明しない。
【0077】
呼制御器135aは第2の呼制御器135bが別のブレードに配置されている場合、第2の呼制御器135bによって用いられるコンテキストに向かうコネクションを設定するために第2の終端を追加する。このメッセージフローは、ステップ5〜8でトランザクション識別子TID2を用いたものとなる。
【0078】
着信呼コンポーネントが異なるブレードに存在する場合、着信呼コンポーネントを制御するブレードに呼をルーティングするためにMSRNが用いられる(ステップ9)。
【0079】
着信呼制御器135bは、入来呼制御器135aが別のブレードに配置されている場合、入来呼制御器135aによって用いられるコンテキストに向かうコネクションを設定するために終端を追加する。呼制御器135bは自身のブレードIDをトランザクション識別子TID3に符号化する。GCPメッセージは正しいMGwへ導くSCTPアソシエーションを有するGCP信号端局を通じて(ステップ10)ルーティングされる(ステップ11)。
【0080】
GCPメッセージに応えて受信される「Add Reply」GCPメッセージが、GCP信号端局155で受信される(ステップ12)。GCP信号端局155は、クラスタ内での現在の負荷分散状況に応じて選択される1つのブレードへ、復号のためにメッセージを送信する。メッセージに含まれるトランザクション識別子TID3が復号中に見つけられ、呼制御器135bが存在し、GCPメッセージを分配しなくてはならないブレードを特定するために用いられる(ステップ13)。
【0081】
呼び出しメッセージがコネクションレスでBSCへ送信される(ステップ14)。呼び出し応答及びコネクション要求がコネクションレスSCCPメッセージで搬送される(ステップ15)。信号ゲートウェイベースのバランサは、受信した全てのコネクションレスメッセージを任意のMSCブレード165aにラウンドロビンで送信する(ステップ16)。受信したブレードは、どのブレードが呼を制御しているかを見出すために、メッセージに含まれるTIMSI(仮移動加入者識別番号)を用い、見出したブレードにメッセージを分配する(ステップ17)。
【0082】
着信呼を制御するブレードは、ルートマスタ150に対し、所望の出方向ルートの回線に対する制御を、BSC(基地局コントローラ)へ向かうルートに対して設定されている選択形式に従って要求する(ステップ18)。この回線はCIC2によって特定される。
【0083】
そして、呼制御器135bは、CIC2に関連付けられた終端を追加するために、MGwへ向かう「Add Request」GCPメッセージを送信する。このメッセージフローは、TID4を用いたステップ10〜13となる。
【0084】
呼制御のためのBSSAP(基地局システム応用部)通信はコネクションオリエンテッドであるため、上述した分配器を用いることなく終端MSCブレードとBSCとの間でさらに通信することが可能である。BSCが要求したSCCPコネクションが確立されるとすぐに、BSCからMSC-Sへのメッセージが、分配器として振る舞う信号ゲートウェイによって直接制御MSCブレードにルーティングされるであろう。この、信号ゲートウェイベースの分配器は、ルーティングのために、局所SCCP参照番号を評価する。
【0085】
着信呼コンポーネントに対する呼制御器ブレードは、発信呼コンポーネントに対する制御ブレードへ逆方向呼制御メッセージを送信することができる(ステップ19)。入来トランクへの逆方向メッセージは、トランク上の入来呼制御器によって送信される(ステップ20)。
【0086】
例:MSからMSへの呼(MS to MS call)
図6におけるシーケンスは、呼制御に2つのMSCブレードが必要なトラフィックの場合を示している。これは発呼者及び被呼者の加入者データが異なるブレードに存在する場合に生じる。各呼制御器が、2つの終端を用いて1つのGCPコンテキストを捕捉する 合計で4つのAddコマンドがMGwへ送信される。
【0087】
上述の例と異なるのは、入来トランクからではなく、モバイルアクセスから発呼されることである。着信呼コンポーネントの処理は、上述の例と同一である。
【0088】
MSCから受信される最初のメッセージは「CM Service Request」を有する「COMPLETE LAYER 3」メッセージである(ステップ1)。信号ゲートウェイベースのバランサ120aは、このメッセージをラウンドロビン方式でいずれかのMSCブレードに送信する(ステップ2)。メッセージを受信したブレードは、呼制御器135aとなるべきブレードを特定するためにIMSI(移動加入者識別番号)を解析し、メッセージをそのブレードに分配する(ステップ3)。この分配に応答して送信される「CM Service Accept」は、その呼に対するSCCPコネクションの設定を要求するメッセージで搬送される(ステップ4)。それ以外の全ての入来メッセージは、分配器として振る舞う信号ゲートウェイから直接呼制御ブレードへ送信される。この、信号ゲートウェイベースの分配器120aは、ルーティングのために、局所SCCP参照番号を評価する。
【0089】
発呼コンポーネントを制御するブレードは、発呼BSCへ向かうルートの回路の制御を取得するため、設定されている選択形式に従ってルートマスタ130に問い合わせる(ステップ5)。この回路はCIC1によって特定される。
残りの処理は1つ前の章でトランクから移動機への呼に関して説明した手順と同一である。
【0090】
例:V-MSCにおける呼転送を用いるトランク間の呼(trunk to trunk with call forwarding in V-MSC)
図7に示すこの例では、(例えば、無応答時の自動転送によって)V-MSCによって呼が出方向トランクに転送される。トランクからの入来呼は上述したものと同じ方法で処理される。出方向トランク呼の処理は、この呼コンポーネントが着呼コンポーネントの呼制御器ブレードで処理されることを除き、トランクからトランクへの呼について説明したものと同じである。
【0091】
例:トランクからPRAへの呼(trunk to PRA call)
図8は、(PBX)が接続されてもよいトランクからの、構内交換機一時群速度アクセスで着信する呼を示している。入来トランク呼を処理するブレードは、着信呼レグもまた制御するであろう。
回線の捕捉並びにMGwにおける終端の追加を含む、入来トランク信号の処理は、上述の例で説明した入来トランクの処理と同一である。
【0092】
PRA着信呼について、呼制御器135はPRAマスタに一時群速度アクセス上のBチャネルの捕捉を要求する(ステップ9)。
【0093】
DSS.1信号について、呼制御器は自身のブレードIDを含んだ呼番号を生成する。DSS.1設定メッセージは、MGwへ向かう端局のSCTPアソシエーションをホスティングするブレードに渡される必要がある。そして、メッセージはそこからPRAへ転送される(ステップ10)。応答メッセージがそのブレードで受信される(ステップ11)。メッセージは呼制御器が生成した呼番号を含んでいる。DSS.1分配器165bは呼番号から、どのブレードが呼を処理しているかを知ることができ、そのブレードにメッセージを転送する(ステップ12)。DSS.1信号手順に従って最終的にチャネルが決定されると、終端がGCPコンテキストに追加される(ステップ13から16)。
【0094】
例:PRAからトランクへの呼(PRA to trunk call)
図9は、PRAから出方向トランクへの呼を示している。
DSS.1分配器ブレード120bは、SCTPアソシエーションの端局を有し、そこでSETUPメッセージを受信する(ステップ1)。アクセス発呼トラフィックの場合に対してPRAが呼番号を生成する。分配器120bは、呼をどのブレードで制御すべきかを決定するため、PRAマスタ130aにコンタクトする(ステップ2)。そして、分配器120bはSETUPメッセージをPRAマスタ130aが決定したブレードに送信する(ステップ3)。そのブレードは呼制御ブレードになり、マスタ130aにコンタクトして、SETUPメッセージで示されたチャネルの捕捉を試行する。そのチャネルが使われておらず(また、ここでは述べないが他の条件が満たされる)場合、ブレードはSETUP ACKNOWLEDGEを送信し(ステップ5)、出方向呼レグの処理を継続するであろう。メッセージはSCTPアソシエーション上でPRAへ向けて送信される。そして、対応する終端が呼のGCPコンテキストに追加される。
出方向トランク呼コンポーネントの処理は、上述の例と同一である。
【0095】
CP負荷均一化
複数のブレード間におけるプロセッサ負荷の良好な均一化(balancing)はブレードクラスタの必須条件である。プロセッサ負荷が均一に分散されないと、最初に飽和状態に達するブレードによってクラスタ全体の機能性が制限されることになる。能力の限界で動作しているブレード上に割り当てられている中央集権化された機能性は、その中央集権化された機能への依存性により、クラスタにおける他のブレードの性能を制限するであろう。
【0096】
均一化の品質は2面からの影響を受ける。
- 分散されるべきオブジェクトの粒状性(granularity)は、最適な負荷均一化にどの程度近づけるかを制限する要因となりうる。さらに、小さなオブジェクトよりも大きなオブジェクトの方が移動しづらい。小さな粒状性の方が大きな粒状性よりも好ましい。
【0097】
- 最適な均一化のためには、オブジェクトに必要な処理負荷及び記憶容量を知っておく必要がある。これは、交換機データから得ても、設定しておいても、また測定に基づいて得てもよい。測定は研究室で行ってもよいし、実際に稼働している際に行ってもよい。
【0098】
トランク回線処理
CIC選択
基本機能
空き回線を選択するために用いられるアルゴリズムは、ルートに対して定められている選択形式に依存する。そのため、空き回線の選択は、例えばそれを各ブレードへの一式の空き回線の複数のサブセットに分割して分散することができない。各ルートについて、専用のブレードが、要求に応じた空き回線を提供し、呼が開放された後にそれら回線を空き回線のプールに戻す責を負う。このブレードを「ルートマスタ」と呼ぶ。
【0099】
ノードレベルでは、回線選択は従来技術と同様の方法で行われる。これは、各ルートの捕捉シーケンスがルートマスタブレードによって集中的に実行されるからである。ネットワークレベルでの見掛けに差は生じない。CIC選択の原理は従来のノードに対するものと同一である。IAMが送信されていない限り、入来呼試行(IAM)が常に優先される。IAMが送信済みだがそれに応答する逆方向メッセージが受信されていない場合、入来IAMはどちらの交換機がそのCICを制御するかに応じて処理される。この処理については後で詳述する。
【0100】
CIC捕捉の競合は、1つのブレード内で常に解決可能である。なぜなら、関与する呼の両方の呼制御がその同一のブレードに割り当てられているからである。
【0101】
二重捕捉
二重捕捉は、あるCICに対してIAMが受信されており、そのCICに対して出方向のIAMが送信済みであるネットワーク状況である。
【0102】
分配器が入来IAMを分配する際、ルートマスタはそのCICを探すように依頼されるであろう。そのCICが既にリースされていることをマスタが検出した場合、マスタは分配器に対し、そのCICがリースされているブレード上の呼制御器にメッセージを送信するように通知する。二重捕捉は、呼制御器が、出方向IAMを既に送信したCICに対するIAMを受信した際に、その呼制御器によって検出されるであろう。
【0103】
調停は、非クラスタ構成の従来技術における方法と同様に処理可能である。呼の一方が生きのこり、CICをリースしているブレードは変化しないので、二重捕捉状況の結果についてマスタに知らせる必要はない。
【0104】
呼衝突
呼の衝突は、マスタからある出方向コネクションに対して既にリースされているCICに対してIAMが受信され、そのCICについてのIAMがまだ送信されていないというノード内状況である。
【0105】
分配器が入来IAMを分配する際、ルートマスタはそのCICを探すように依頼されるであろう。そのCICが既にリースされていることをマスタが検出した場合、マスタは分配器に対し、そのCICがリースされているブレード上の呼制御器にメッセージを送信するように通知する。呼制御ブレードが出方向IAMを送信する前に入来IAMがそのブレードに到達した場合、競合状態が生じる。
【0106】
・ 入来IAMが出方向IAMの送信前に呼制御ブレードに到着した場合、出方向の呼に対して既にリースされたCIC上で呼制御ブレードがIAMを受信すると、当該呼制御ブレードによって呼衝突が検出されるであろう。入来呼が勝利するであろう。マスタは、呼の方向が変わったことを知らされない。CICのリースは依然として影響を受けない。その後、出力呼レグの再選択が通常行われるであろう。
【0107】
・ 出方向IAMの送信後に呼制御ブレードに入来IAMが到着した場合は、状況は二重捕捉になり、その場合の手順は上述した通りである。
【0108】
無線優先サービス用のトランクキューイング
空きCICが存在しない場合、要求は待ち行列に入れることができる。この必要性は捕捉要求に示されるべきである。待ち行列はルートマスタによって維持される。待ち時間は呼制御器によって管理される。最大待ち時間に達した場合、あるいは他の理由により呼試行がアボートされた場合、呼制御器はマスタに対し、その呼が待ち行列から除去可能であることを通知する。
【0109】
ブレードがアクティブ状態で無くなるとすぐに、マスタはそのブレードが発行した捕捉要求を待ち行列から除去するであろう。
そのマスタが存在するブレードがアクティブ状態で無くなった場合、呼制御ブレードは新たなマスタにCICのリースを要求するであろう。
【0110】
CICロケーション
信号の機能停止またはマスタ機能を別のブレードに移動する際のバッファモードにより、分配器ブレードからマスタへの問い合わせができない場合、メッセージはCICを割り当てたブレードのうち、最新のものへ送信されるべきである。同一の呼に関する全てのメッセージは同一の分配器を通るものと仮定することができる。この仕組みは、対象のCICに対してIAM、RSC(回線リセットメッセージ)又はGRS(回線群リセット)メッセージが分配されようとした場合には停止すべきである。
【0111】
CIC解放
RLCの送信又は受信後、呼制御器は、マスタからリースされたCICの解放を要求する。同一CIC上でのその後の呼設定との衝突については、以下で説明する。
【0112】
解放完了前の出方向捕捉送信の禁止
出方向呼の解放手順が完了するまでは、CICが新たな呼によって捕捉されてはならない。MSC BCがRELを送信したとすると、MSC BSはルートマスタにCICの解放を要求する前にRLCを待たなければならない。MSC BCがRELを受信した場合、MSC BCはCICの解放をRLCを送信後に要求しなければならない。異なるブレードが同一のCICを捕捉し、IAMがRLCより前にリモートエンドに到着することは回避されねばならない。
【0113】
解放完了後の入来捕捉の許可
RLCを送信すると、リモートノードは新たな呼を除き、同一CICについてのIAMを直ちに送信することが可能になる。最初の呼が出方向の呼である場合、ほとんどの場合には、新たな呼は最初の呼を制御していたブレードとは異なるブレードが制御することになるであろう。しかし、最初の呼の制御器が何とかそのCICの解放を要求する前に、分配器がIAMの送信を要求することが起こりうる。この場合、そのIAMは進行中の呼を制御しているブレードに送信され、暗黙のCIC捕捉は存在しない。呼制御ブレードはマスタから、黙示的な捕捉が実行されておらず、新たな呼についてマスタに対して明示的にCIC捕捉を要求する必要があることを通知される。
【0114】
保守メッセージ処理
MSCブレードの保守メッセージについての機能的な役割は、可能な限りトラフィックメッセージの処理に準拠する。
【0115】
自ノードにより開始される手順
プロトコルタイマの満了によって検出されたトラフィック処理中の障害は、保守メッセージの送信を必要としうる。障害状況を検出したブレードは、CICについての制御権を有している。そのブレードはルートマスタに知らせ、そのルートマスタは通常の手順に従って保守メッセージを送信し、確認応答メッセージの受信を監視し、適用可能になれば保守メッセージのポンピングを実行するであろう。ブレードの機能停止に対して最大限のロバストネスを実現するため、継続中のメッセージポンピングに関する情報は、マスタから全てのブレードに供給されなければならない。いわゆる手動閉塞と呼ばれる閉塞状態が全ブレードで利用可能である。影響を受けるCICがリースされているかどうかとは無関係に、ルートマスタだけが、適切な閉塞メッセージを送信し、確認応答メッセージの受信を監視するであろう。監視タイマが満了するまでに閉塞がリモートエンドによって確認応答されない場合、ルートマスタは保守メッセージのポンピングを実行するであろう。
【0116】
影響を受けるCICが呼制御器にリースされている場合、CICに基づくメッセージルーティング機構により、呼制御ブレードに何らかの閉塞確認応答メッセージが到達するであろう。呼制御器は閉塞確認応答の受信に関してルートマスタに通知するとともに、通常の呼処理を継続するであろう。
【0117】
どのルートにも接続されていない機器は、既に閉塞状態にあるため、これら機器についてはコマンドは成功裏に実行されてメッセージは生成されない。
【0118】
リモートノードによって開始される手順
入来保守メッセージはトラフィックメッセージと同様にして分配される。個々のCICに関して呼が継続中であればメッセージは呼制御ブレードに送信され、そうでなければメッセージはルートマスタをホスティングするブレードに送信される。メッセージは新たな呼を開始していないので、暗示的捕捉は実行されない。制御中のブレードはマスタに保守アクティビティに関して通知するであろう。
【0119】
マスタは全ブレードに通知するであろう。いくつかのルートに影響を与えるメッセージの処理は、1つのルートのみに影響を与えるメッセージの処理と変わらない。各ブレードは保守メッセージを自身で処理するであろう。リセットメッセージは回線を空き状態に戻し、閉塞メッセージは継続中の呼を中断させない。
【0120】
全てのブレードがマスタに応答し終わると、保守メッセージを処理しているブレードに通知され、そのブレードは確認応答メッセージを生成するであろう。閉塞状態は影響を受けるルートのマスタ及びバディが同時に故障しても維持される。
【0121】
ノードレベルでは、複数のブレードが故障するシナリオにおいても、確認応答された保守メッセージが観測されることが保証される。そのようなシナリオにおいて起こりうる最悪のケースは、保守メッセージが確認応答されないか、遅れて確認応答されることである。リモートノードは保守メッセージのポンピングを開始し、ネットワークはブレードクラスタが復旧されると安定状態に戻るであろう。
【0122】
不存在回線メッセージ
UCICメッセージの受信
入来UCICメッセージはトラフィックメッセージと同様にして分配される。個々のCICに関して呼が継続中であればメッセージは呼制御ブレードに送信され、そうでなければメッセージはルートマスタに渡される。制御中のブレードはマスタにUCICの受信に関して通知するであろう。マスタは、全てのアクティブなブレードに対し、CICを自動閉塞(auto-block)するように通知する。ルートマスタは警報を発する。IAMに応答してメッセージが受信されていれば、制御ブレードは回線の再選択を試みるであろう。制御ブレードはCICの制御をマスタに戻す。
【0123】
UCICメッセージの送信
どのユーザ部にも接続されていないCICを有するメッセージを受信すると、不存在(unequipped)回線に対するメッセージ受信をリモート交換機に知らせるためのUCICメッセージが分配器によって生成される。
【0124】
範囲フィールドにおける不存在回線
ルーティングラベルに含まれるCICについて呼が継続中であれば、メッセージは呼制御ブレードに送信され、そうでなければメッセージはルートマスタに渡される。
【0125】
ルーティングラベル内のCICが空(unequipped)でないが、範囲フィールドによって示される1つ以上の回線が空である回線群リセット又は回線群リセット確認応答メッセージは、破棄される。
【0126】
ルーティングラベル内の回線番号は存在し、範囲フィールドにおけるCICが空である回線群閉塞(閉塞解除)メッセージは、空のCICが存在しないものとして処理される。
【0127】
導通確認(continuity check)要求
呼関連導通確認のためのトラフィック処理との競合のために、また全てのブレードから導通確認試験の開始を可能にするために、導通確認手順は呼制御ブレードによって処理される。
【0128】
導通確認試験呼(continuity check calls)
初期アドレスメッセージの送信後に、最初の導通確認要求メッセージを受信した場合、その導通確認要求メッセージは無視しなければならない。分配器はそのメッセージを他のメッセージと同様に分配する。呼制御器ブレードはそのメッセージを破棄するであろう。
【0129】
最初の導通確認メッセージが送信された後にIAMが受信されると、全ての導通確認機器を切断し、入来呼を処理しなければならない。CC試験呼を処理する呼処理はCICをリースする。分配器はそのメッセージを他のメッセージと同様に分配する。マスタはCICの場所について問い合わせを受けるであろう。マスタは、CICが既にリースされており、CC試験呼を処理するブレードにIAMが分配されるであろうことを認識するであろう。呼制御器ブレードは入来呼を処理するであろう。CICは同一ブレードによって同一回線にリースされ続けるので、それ以上マスタと通信する必要はない。
【0130】
導通再確認(continuity re-check)
導通再確認は呼処理に関連する。IAMで指示された最初の継続確認が失敗した際に実行される。入来呼に関し、COTメッセージにより導通確認の失敗が通知された後は、CCRメッセージが予期される。最初の再確認はタイマT24の満了時に開始し、さらに失敗した場合にはタイマT25によって決まる時間後に行い、その後はさらにタイマT26によって決定される間隔で成功するまで繰り返される。再試験ループの間、CICの制御は呼処理ブレードにありつづける。再確認が成功すると、再びトラフィックを許可するため、CICの制御はマスタに戻される。
【0131】
初期アドレスメッセージの送信後に、導通確認を繰り返すための導通確認要求メッセージが受信された場合、出方向の呼の処理を停止され、導通確認機器を接続することにより導通確認要求メッセージが処理されるであろう。CICは同一ブレードによって同一回線にリースされ続けるので、それ以上ルートマスタと通信する必要はない。
【0132】
A-インタフェース回線処理
機器の捕捉
通常手順
各ルートについて、専用のブレードが、要求に応じた空き回線を提供し、呼が開放された後にそれら回線を空き回線のプールに戻す責を負う。このブレードを「ルートマスタ」と呼ぶ。回線はBSCではなく常にMSC-Sによって選択される。そのため、捕捉の競合も二重捕捉も起こりえない。空き機器はFIFO空きリストによって見つけられる。
【0133】
コネクションレスメッセージの処理
自ノードにより開始される手順
MSCによって開始される手順は以下の通りである:
・ 回線及び回線群レベルの閉塞及び閉塞解除
・ 個々の回線及びノードレベルでのリセット
・ 不存在CICに関するメッセージの受信に関する通知
【0134】
いわゆる手動閉塞と呼ばれる閉塞状態が全ブレードで利用可能である。回線はMSCによってのみ選択されるので、BSCに送信される閉塞メッセージは存在しない。
【0135】
どのルートにも接続されていない機器について、コマンドは成功裏に実行される。
プロトコルタイマの満了によって検出されたトラフィック処理中の障害は、保守メッセージの送信をトリガしない。
【0136】
リモートノードによって開始される手順
BSCによって開始される手順は以下の通りである:
・ 回線及び回線群レベルの閉塞及び閉塞解除
・ 個々の回線及びBSCレベルでのリセット
・ 不存在CICに関するメッセージの受信に関する通知
【0137】
入来コネクションレスメッセージは適宜いずれかのブレードに分配され、そのブレードはそのメッセージの処理を制御するであろう。
【0138】
そのブレードはアクティブ状態にある全てのブレードを通知する。いくつかのルートに影響を与えるメッセージに対する処理は、1つのルートにのみ影響を与えるメッセージの処理と変わらない。各ブレードは保守アクティビティを自身で処理するであろう。リセットメッセージは回線を空き状態に戻し、閉塞メッセージは継続中の呼を中断させない。BSCレベルで有効なメッセージ(リセット)に関し、各ブレードはどのルートがそのBSCに接続されているかを調べる。ブレードはその結果をメッセージ処理ブレードに通知し、メッセージ処理ブレードは確認応答メッセージを生成するであろう。コネクションレスBSSAPメッセージを制御するブレードは、時間管理を実行する。アクティブな全ブレードから応答が受信されると、タイマは停止する。タイマが満了すると、タイマは確認応答メッセージを、それまでに受信した応答に基づくBSCに送信する。
【0139】
閉塞状態は影響を受けるルートのマスタ及びバディが同時に故障しても維持される。ノードレベルでは、複数のブレードが故障するシナリオにおいても、確認応答された保守メッセージが観測されることが保証される。この状況での最悪なケースは、保守メッセージが確認応答されないか、遅れて確認応答されることである。管理された期間内に確認応答メッセージがBSCで受信されない限り、BSCは保守メッセージを1回繰り返し、保守システムに動作が依然として失敗しているかどうかを通知する。
【0140】
回線及び回線群レベルの閉塞、閉塞解除及びリセットのユースケースは、CICを有する任意のタイプのルートに対して使用されるべきである。
【0141】
不存在回線メッセージ(unequipped circuit massages)
UNEQUIPPED CIRCUITメッセージの受信
入来UNEQUIPPED CIRCUITメッセージは保守メッセージと同様にして分配される。全ブレードは、そのCICを自己閉塞するように通知される。ルートマスタが存在するブレードは警報を発する。
【0142】
UNEQUIPPED CIRCUITメッセージの送信
分配ブレードは、メッセージの受信時に、ルーティングラベル内で示されるCICをいずれかのブレードが制御しているかどうかをルートマスタに問い合わせる。そのCICがBSSMAPと結びつけられていない場合、そのCICを受け持つマスタが存在しない。分配器は、不存在回線についてのメッセージの受信をBSCに通知するため、UNEQUIPPED CIRCUITメッセージを生成するであろう。
【0143】
CIRCUIT GROUP BLOCK又はCIRCUIT GROUP UNBLOCKメッセージが不存在回線を参照している場合、閉塞/閉塞解除回線のリストを含んだ確認応答メッセージに加え、その未知の回線を示すUNEQUIPPED CIRCUITメッセージがルートマスタに送信される。
【0144】
GCPメッセージルーティング
呼関連GCPメッセージルーティング
呼関連GCPメッセージのルーティングを図10に示す。このルーティングは以下のステップを有する。
【0145】
1. MSC側から開始されたトランザクションは、トランザクションIDの一部として符号化されたブレードIDを有している。呼制御器ブレード135はMGwに向かう信号コネクションを有する任意のブレード140aにメッセージを送信することができる。M3UAプロトコルスタックが用いられる場合、信号端局を有するブレードが複数存在していてもよい。
【0146】
2. トランザクションを含んだGCPメッセージ(図においてはADD要求コマンドを有する)は、MGw400に送信される。MGwから見た場合、MSC-Sのブレードクラスタ構造を示すものは何もない。
【0147】
3. MGw400から送信される応答トランザクションは、要求と同じトランザクションID(TID)を含むであろう。
【0148】
4. 受信信号端局は全てのGCPメッセージを復号するため、適宜選択されたブレードに送信する。ブレード選択を、クラスタ内のブレード間におこりうる負荷の不均衡を補償する手段として用いることができる。
【0149】
5. デコーダはメッセージに含まれるトランザクション応答を個々の呼制御器ブレードに送信する。ブレードIDはTIDから抽出可能である。
【0150】
デコーダは通知を要求した呼制御器ブレードへの通知コマンドを含んだトランザクション要求を送信する。ブレードIDはコマンドに含まれる要求IDから抽出可能である。 この場合、TIDがMGwによって選択されているので、受信されたトランザクション要求は特定のブレードを示していない。
【0151】
非呼関連メッセージルーティング
サービス変更コマンドは、MSC-SとMGwとの間の非呼関連保守情報を搬送する。図11に示す以下のシーケンスは、そのようなメッセージがどのようにルーティングされるかを示している。
【0152】
1. MGwレベルでの保守アクティビティは、MGwマスタ400によって実行される。MGwマスタは、MGwに向かう信号端局を有するブレードを選択する際に負荷均一化を適用する。
【0153】
2. MGwへ向かう信号端局を有するブレードは、MGwへメッセージを送信する。
【0154】
3. 受信信号端局は全てのGCPメッセージを復号するため、適宜選択されたブレードに送信する。ブレード選択を、クラスタ内のブレード間におこりうる負荷の不均衡を補償する手段として用いることができる。
【0155】
4. デコーダ145はメッセージに含まれるトランザクション応答を個々のMGwマスタブレードに送信する。ブレードIDはTIDから抽出可能である。 受信されたトランザクション要求は特定のブレードを示していない。
【0156】
5. トランザクション要求が通知コマンドを含んでいない場合、トランザクションはMGwマスタに送信される。
【0157】
本発明は、並行処理できないタスクを処理するためのスケーラブルなブレードシステムを可能にする。タスクは個々のブレードに動的に割り当てられる。本明細書で説明したメッセージルーティングは、システムのCP負荷均一化を念頭に置きながら、トラフィック処理アクティビティを適宜いずれかのブレードに割り当てることを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼を処理する交換センタサーバ(100)であって、
複数のブレード(110)を有するブレードクラスタと、
前記複数のブレードの1つへ、呼に関するメッセージを分配する分配器(125,170)と、
前記呼を処理するために、前記複数のブレード(110)によってプールされたリソースの使用を集中制御するマスタ(130,150)と、を有し、
前記分配器は、前記メッセージをどのブレードに分配すべきかの情報を読み出すために、前記マスタにコンタクトすることを特徴とする交換センタサーバ。
【請求項2】
呼設定用の初期メッセージの場合、前記マスタは前記呼をどのブレードで制御すべきかを決定し、前記分配器は前記メッセージを前記決定されたブレードに分配することを特徴とする請求項1記載の交換センタサーバ。
【請求項3】
前記マスタは、複数の異なるブレードの処理負荷に応じて、前記初期メッセージを分配すべきブレードを選択することを特徴とする請求項2記載の交換センタサーバ。
【請求項4】
前記分配器が確立された呼に関するメッセージを受信した場合、前記分配器は前記複数の異なるブレードの中から、前記確立された呼を処理しているブレードを判別し、前記メッセージを当該ブレードに分配することを特徴とする請求項1記載の交換センタサーバ。
【請求項5】
前記呼のために前記複数のブレード(110)によって用いられるリソースを制御する呼制御器(135)をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の交換センタサーバ。
【請求項6】
前記分配器(125,170)は、前記確立された呼に関する前記メッセージを、前記確立された呼についての前記呼制御器(135)が設けられているブレードに分配することを特徴とする請求項5記載の交換センタサーバ(100)。
【請求項7】
前記分配器(125,170)は、前記確立された呼に関する前記メッセージをどのブレードに分配すべきかの情報を読み出すために、前記マスタ(130,150)にコンタクトすることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の交換センタサーバ。
【請求項8】
前記分配器(125,170)は、前記確立された呼に関する前記メッセージに含まれる、リソース識別データ(CIC)を抽出し、前記抽出されたリソース識別データを用いる前記確立された呼についての前記呼制御器がどのブレードに設けられているかの情報を読み出すために前記マスタ(130,150)にコンタクトし、前記メッセージを当該ブレードにルーティングすることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の交換センタサーバ。
【請求項9】
PRA発の呼について、前記分配器は当該呼についての前記メッセージに含まれる呼番号データを抽出し、前記抽出された呼番号データを用いる前記呼についての前記呼制御器がどのブレードに設けられているかの前記情報を読み出すために前記PRAマスタにコンタクトし、前記メッセージを当該ブレードにルーティングすることを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の交換センタサーバ。
【請求項10】
PRA着呼について、前記呼制御器はブレード識別データを含んだ呼番号を生成し、前記分配器は前記PRA着呼に関するメッセージを、前記ブレード識別データを用いて前記呼を処理する前記ブレードへ分配することを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の交換センタサーバ。
【請求項11】
前記メッセージを前記複数のブレードの1つに割り当てるバランサ(120,165)をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の交換センタサーバ(100)。
【請求項12】
前記バランサ(120,165)は、前記メッセージに含まれる発呼元情報データ(OPC)、宛先情報データ(DOP)、シグナリングリンク情報データ(SI,SLS)の情報の少なくとも1つに応じて前記メッセージを前記複数のブレードの1つに割り当てることを特徴とする請求項11記載の交換センタサーバ(100)。
【請求項13】
前記バランサ(120,165)は、同一の発信元情報データ、宛先情報及び信号リンク情報データを有するメッセージが同一ブレードに割り当てられるように構成されることを特徴とする請求項12記載の交換センタサーバ(100)。
【請求項14】
前記分配器が、前記バランサが前記メッセージを割り当てたブレードに設けられることを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれか1項記載の交換センタサーバ(100)。
【請求項15】
呼を処理する交換センタサーバであって、
複数のブレード(110)を有するブレードクラスタと、
前記複数のブレードの1つへ応答メッセージを分配する応答メッセージ分配器(125,170)と、
前記呼について前記複数の異なるブレード(110)によって用いられるリソースを制御する呼制御器(135)とを有し、
前記呼制御器(135)は、前記呼制御器(135)が設けられているブレードを特定することを可能にするブレード識別データを含んだトランザクション識別データ(TID)を生成し、前記交換センタサーバは前記トランザクション識別データ(TID)をゲートウェイに送信し、前記応答メッセージ分配器(145,160)が前記ゲートウェイからの前記応答メッセージを、前記トランザクション識別データ(TID)に含まれる前記ブレード識別データに基づいて、前記呼制御器が設けられている前記ブレードにルーティングすることを特徴とする交換センタサーバ。
【請求項16】
前記応答メッセージを受信する前記交換センタサーバの信号端局が、前記複数の異なるブレードの信号処理負荷に応じて、前記複数の異なるブレードのうち、前記応答メッセージ分配器として振る舞う1つに前記応答メッセージを送信することを特徴とする請求項15記載の交換センタサーバ。
【請求項17】
前記応答メッセージ分配器(145,160)が前記応答メッセージを復号し、前記ブレード識別データを読み出し、前記応答メッセージを前記特定された呼制御器に分配することを特徴とする請求項15又は請求項16記載の交換センタサーバ。
【請求項18】
前記呼制御器(135)は前記マスタ(120,135)に、リモートノードへのコネクション用のリソースを要求することを特徴とする請求項5乃至請求項12のいずれか1項に記載の交換センタサーバ。
【請求項19】
前記呼制御器(135)は呼制御信号メッセージを前記リモートノードに送信し、逆方向メッセージを受信する前記交換センタサーバは、前記逆方向メッセージを分配器(170)に送信し、前記分配器が前記逆方向メッセージを前記呼制御器(135)に分配することを特徴とする請求項18記載の交換センタサーバ。
【請求項20】
前記バランサ(165)は、前記逆方向メッセージを受信し、発呼元情報データ、宛先情報データ、及び信号リンク情報データの少なくとも1つに応じて、前記逆方向メッセージを前記複数のブレードの1つに送信することを特徴とする請求項19記載の交換センタサーバ。
【請求項21】
前記ブレードクラスタは、前記ブレードクラスタの異なる複数のブレードが、1つの共通したアドレスによって前記リモートノードからアドレス指定可能となるように構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項20のいずれか1項に記載の交換センタサーバ。
【請求項22】
1つのブレードによって送信される通知要求が要求識別データを有し、前記メディアゲートウェイから受信される通知コマンドは、通知を前記1つのブレードに宛てるために用いられている前記要求識別データを含むことを特徴とする請求項15乃至請求項21のいずれか1項に記載の交換センタサーバ。
【請求項23】
前記マスタは保守手順を制御し、前記分配器から未使用のリソースに関する保守メッセージを受信する一方、使用されているリソースに関する、確立された呼の保守メッセージは前記呼制御器に分配されることを特徴とする請求項5乃至請求項22のいずれか1項に記載の交換センタサーバ。
【請求項24】
前記呼制御器が、受信した保守メッセージを前記マスタに通知することを特徴とする請求項23記載の交換センタサーバ。
【請求項25】
前記マスタが、前記保守手順の状態を前記複数のブレードの全てに通知することを特徴とする請求項23又は請求項24記載の交換センタサーバ。
【請求項26】
呼を処理し、複数のブレードを有するクラスタ構造を有する交換センタサーバ(100)の前記複数のブレードの1つに呼を分配する方法であって、
呼に関するメッセージを受信するステップと、
前記複数のブレードの1つへ、呼に関するメッセージを分配するステップとを有し、
前記メッセージを分配するため、前記複数のブレード(110)によるプールされたリソースの使用を集中制御するマスタが、どのブレードに前記呼を分配すべきかの情報を読み出すためにコンタクトされることを特徴とする方法。
【請求項27】
呼設定用の初期メッセージの場合、前記マスタは前記呼をどのブレードで制御すべきかを決定し、前記メッセージが前記決定されたブレードに分配されることを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記初期メッセージが、前記複数の異なるブレードの処理負荷に応じて分配されることを特徴とする請求項27記載の方法。
【請求項29】
呼の制御、呼の設定、呼の監視、及び呼の切断のうち少なくとも1つが呼制御器(111)によって実行されることを特徴とする請求項26乃至請求項28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
確立された呼に関するメッセージが受信されると、前記複数のブレードのうち、前記確立された呼を処理しているブレードが判別され、前記メッセージが当該ブレードに分配されることを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項31】
前記確立された呼に関する前記メッセージが、前記呼制御器(135)が設けられているブレードに分配されることを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記分配するステップが、
前記メッセージを、前記ブレードクラスタの前記複数のブレードの1つに割り当てるステップと、
前記1つのブレードから、前記メッセージを前記呼制御器(135)が設けられているブレードに分配するステップとをさらに有することを特徴とする請求項30又は請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記メッセージが、前記メッセージに含まれる発呼元情報データ、宛先情報データ、及び信号リンク情報データの少なくとも1つに応じて、前記1つのブレードに割り当てられることを特徴とする請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記複数のブレードのうち、前記確立された呼を制御しているブレードが、前記確立された呼に関する前記メッセージをどのブレードに分配すべきかの情報を呼び出すために前記マスタにコンタクトすることによって判別されることを特徴とする請求項30乃至請求項33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
PRA発の呼について、当該呼についての前記メッセージに含まれる呼番号データが抽出され、前記抽出された呼番号データを用いる前記呼についての前記呼制御器がどのブレードに設けられているかの前記情報を読み出すために前記PRAマスタがコンタクトされ、前記メッセージが当該ブレードにルーティングされることを特徴とする請求項30乃至請求項34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
PRA着信呼について、ブレード識別データを含んだ呼番号が生成され、前記PRA着信呼に関するメッセージは、前記呼を処理するブレードに前記ブレード識別データを用いて分配されることを特徴とする請求項30乃至請求項35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
さらに、
前記確立された呼に関する前記メッセージに含まれるリソース識別データを抽出するステップと、
前記抽出されたリソース識別データを用いる前記確立された呼についての前記呼制御器がどのブレードに設けられているかの情報を読み出すために前記マスタ(130,150)にコンタクトするステップと、
前記メッセージを当該ブレードにルーティングするステップとを有することを特徴とする請求項27乃至請求項36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
応答メッセージを、ゲートウェイ(400)から、複数のブレードを有するクラスタ構造を有する交換センタサーバの前記複数のブレードの1つにルーティングする方法であって、前記交換センタサーバは、呼に関して前記複数の異なるブレード(110)によって用いられるリソースを制御する呼制御器(135)を有し、前記方法が、
前記呼制御器が設けられているブレードを特定することを可能にするブレード識別データを含んだトランザクション識別データを生成するステップと、
前記交換センタサーバから前記ゲートウェイへ前記トランザクション識別データを送信するステップと、
前記ゲートウェイ(400)から前記応答メッセージを受信するステップと、
前記トランザクション識別データに含まれる前記ブレード識別データに基づいて、前記呼制御器が設けられているブレードに前記応答メッセージをルーティングするステップとを有することを特徴とする方法。
【請求項39】
前記応答メッセージが前記複数のブレードの1つに割り当てられ、前記トランザクション識別データ(TID)に含まれる前記ブレード識別データを特定するために当該1つのブレードで復号され、前記応答メッセージが、前記ブレード識別データに基づいて前記呼制御器が設けられているブレードに分配されることを特徴とする請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記応答メッセージが前記交換センタサーバの信号端局で受信され、当該信号端局から前記応答メッセージが前記複数の異なるブレードの信号処理負荷に応じて前記複数の異なるブレードの1つに送信されることを特徴とする請求項39記載の方法。
【請求項41】
確立された呼を処理するために複数の呼制御器が関与している場合、関与する各ブレードについて前記ブレード識別データを含んだトランザクション識別データ(TID)が生成され、前記ゲートウェイに送信されることを特徴とする請求項38乃至請求項40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
さらに、
リモートノードへのコネクションに関する呼制御信号メッセージ(IAM,paging)を前記リモートノードに送信するステップと、
逆方向メッセージを前記リモートノードから受信するステップと、
前記逆方法メッセージを前記呼制御器が設けられているブレードに分配するステップとを有することを特徴とする請求項26乃至請求項41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記逆方向応答メッセージが、マスタにアクセスし、前記呼制御器がどのブレードに設けられているかの情報を要求することによって分配されることを特徴とする請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記呼制御器(135)は、前記呼制御器が既に初期アドレスメッセージをあるリモートノードに送信しているリソースについて、前記あるリモートノードと異なるリモートノードから捕捉要求を受信すると、当該リソースについての二重捕捉状態を検出することを特徴とする請求項26乃至請求項43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
あるリソースについての捕捉要求を満たすことができない場合、当該捕捉要求を待ち行列に入れるステップをさらに有し、前記マスタ(130,150)は、前記待ち行列から呼試行を除去するように指示されると、前記呼試行に関する捕捉要求を前記待ち行列から除去することを特徴とする請求項26乃至請求項44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
1つのブレードによって通知要求に要求識別データを含めるステップをさらに有し、前記要求識別データが、前記メディアゲートウェイから前記1つのブレードに通知コマンドをルーティングするために用いられることを特徴とする請求項26乃至請求項45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記マスタによって保守手順を制御するステップをさらに有する一方、確立された呼の場合、保守メッセージが前記呼制御器に分配されることを特徴とする請求項26乃至請求項45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記マスタは前記呼制御器による保守メッセージの受信を通知されることを特徴とする請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記保守手順の状態を前記複数のブレードの全てが通知されることを特徴とする請求項47又は請求項48記載の方法。
【請求項50】
あるブレードの故障が検出された場合、故障情報が前記マスタに送信され、前記マスタは他のブレードに前記故障に関して通知することを特徴とする請求項26乃至請求項49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記複数のブレードの1つにメッセージを分配する前記ステップが、前記交換センタサーバの入来メッセージに関して実行される一方、1つのブレードからの出方向メッセージはその宛先へ直接送信されることを特徴とする請求項26乃至請求項50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項1】
呼を処理する交換センタサーバ(100)であって、
複数のブレード(110)を有するブレードクラスタと、
前記複数のブレードの1つへ、呼に関するメッセージを分配する分配器(125,170)と、
前記呼を処理するために、前記複数のブレード(110)によってプールされたリソースの使用を集中制御するマスタ(130,150)と、を有し、
前記分配器は、前記メッセージをどのブレードに分配すべきかの情報を読み出すために、前記マスタにコンタクトすることを特徴とする交換センタサーバ。
【請求項2】
呼設定用の初期メッセージの場合、前記マスタは前記呼をどのブレードで制御すべきかを決定し、前記分配器は前記メッセージを前記決定されたブレードに分配することを特徴とする請求項1記載の交換センタサーバ。
【請求項3】
前記マスタは、複数の異なるブレードの処理負荷に応じて、前記初期メッセージを分配すべきブレードを選択することを特徴とする請求項2記載の交換センタサーバ。
【請求項4】
前記分配器が確立された呼に関するメッセージを受信した場合、前記分配器は前記複数の異なるブレードの中から、前記確立された呼を処理しているブレードを判別し、前記メッセージを当該ブレードに分配することを特徴とする請求項1記載の交換センタサーバ。
【請求項5】
前記呼のために前記複数のブレード(110)によって用いられるリソースを制御する呼制御器(135)をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の交換センタサーバ。
【請求項6】
前記分配器(125,170)は、前記確立された呼に関する前記メッセージを、前記確立された呼についての前記呼制御器(135)が設けられているブレードに分配することを特徴とする請求項5記載の交換センタサーバ(100)。
【請求項7】
前記分配器(125,170)は、前記確立された呼に関する前記メッセージをどのブレードに分配すべきかの情報を読み出すために、前記マスタ(130,150)にコンタクトすることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の交換センタサーバ。
【請求項8】
前記分配器(125,170)は、前記確立された呼に関する前記メッセージに含まれる、リソース識別データ(CIC)を抽出し、前記抽出されたリソース識別データを用いる前記確立された呼についての前記呼制御器がどのブレードに設けられているかの情報を読み出すために前記マスタ(130,150)にコンタクトし、前記メッセージを当該ブレードにルーティングすることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の交換センタサーバ。
【請求項9】
PRA発の呼について、前記分配器は当該呼についての前記メッセージに含まれる呼番号データを抽出し、前記抽出された呼番号データを用いる前記呼についての前記呼制御器がどのブレードに設けられているかの前記情報を読み出すために前記PRAマスタにコンタクトし、前記メッセージを当該ブレードにルーティングすることを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の交換センタサーバ。
【請求項10】
PRA着呼について、前記呼制御器はブレード識別データを含んだ呼番号を生成し、前記分配器は前記PRA着呼に関するメッセージを、前記ブレード識別データを用いて前記呼を処理する前記ブレードへ分配することを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の交換センタサーバ。
【請求項11】
前記メッセージを前記複数のブレードの1つに割り当てるバランサ(120,165)をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の交換センタサーバ(100)。
【請求項12】
前記バランサ(120,165)は、前記メッセージに含まれる発呼元情報データ(OPC)、宛先情報データ(DOP)、シグナリングリンク情報データ(SI,SLS)の情報の少なくとも1つに応じて前記メッセージを前記複数のブレードの1つに割り当てることを特徴とする請求項11記載の交換センタサーバ(100)。
【請求項13】
前記バランサ(120,165)は、同一の発信元情報データ、宛先情報及び信号リンク情報データを有するメッセージが同一ブレードに割り当てられるように構成されることを特徴とする請求項12記載の交換センタサーバ(100)。
【請求項14】
前記分配器が、前記バランサが前記メッセージを割り当てたブレードに設けられることを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれか1項記載の交換センタサーバ(100)。
【請求項15】
呼を処理する交換センタサーバであって、
複数のブレード(110)を有するブレードクラスタと、
前記複数のブレードの1つへ応答メッセージを分配する応答メッセージ分配器(125,170)と、
前記呼について前記複数の異なるブレード(110)によって用いられるリソースを制御する呼制御器(135)とを有し、
前記呼制御器(135)は、前記呼制御器(135)が設けられているブレードを特定することを可能にするブレード識別データを含んだトランザクション識別データ(TID)を生成し、前記交換センタサーバは前記トランザクション識別データ(TID)をゲートウェイに送信し、前記応答メッセージ分配器(145,160)が前記ゲートウェイからの前記応答メッセージを、前記トランザクション識別データ(TID)に含まれる前記ブレード識別データに基づいて、前記呼制御器が設けられている前記ブレードにルーティングすることを特徴とする交換センタサーバ。
【請求項16】
前記応答メッセージを受信する前記交換センタサーバの信号端局が、前記複数の異なるブレードの信号処理負荷に応じて、前記複数の異なるブレードのうち、前記応答メッセージ分配器として振る舞う1つに前記応答メッセージを送信することを特徴とする請求項15記載の交換センタサーバ。
【請求項17】
前記応答メッセージ分配器(145,160)が前記応答メッセージを復号し、前記ブレード識別データを読み出し、前記応答メッセージを前記特定された呼制御器に分配することを特徴とする請求項15又は請求項16記載の交換センタサーバ。
【請求項18】
前記呼制御器(135)は前記マスタ(120,135)に、リモートノードへのコネクション用のリソースを要求することを特徴とする請求項5乃至請求項12のいずれか1項に記載の交換センタサーバ。
【請求項19】
前記呼制御器(135)は呼制御信号メッセージを前記リモートノードに送信し、逆方向メッセージを受信する前記交換センタサーバは、前記逆方向メッセージを分配器(170)に送信し、前記分配器が前記逆方向メッセージを前記呼制御器(135)に分配することを特徴とする請求項18記載の交換センタサーバ。
【請求項20】
前記バランサ(165)は、前記逆方向メッセージを受信し、発呼元情報データ、宛先情報データ、及び信号リンク情報データの少なくとも1つに応じて、前記逆方向メッセージを前記複数のブレードの1つに送信することを特徴とする請求項19記載の交換センタサーバ。
【請求項21】
前記ブレードクラスタは、前記ブレードクラスタの異なる複数のブレードが、1つの共通したアドレスによって前記リモートノードからアドレス指定可能となるように構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項20のいずれか1項に記載の交換センタサーバ。
【請求項22】
1つのブレードによって送信される通知要求が要求識別データを有し、前記メディアゲートウェイから受信される通知コマンドは、通知を前記1つのブレードに宛てるために用いられている前記要求識別データを含むことを特徴とする請求項15乃至請求項21のいずれか1項に記載の交換センタサーバ。
【請求項23】
前記マスタは保守手順を制御し、前記分配器から未使用のリソースに関する保守メッセージを受信する一方、使用されているリソースに関する、確立された呼の保守メッセージは前記呼制御器に分配されることを特徴とする請求項5乃至請求項22のいずれか1項に記載の交換センタサーバ。
【請求項24】
前記呼制御器が、受信した保守メッセージを前記マスタに通知することを特徴とする請求項23記載の交換センタサーバ。
【請求項25】
前記マスタが、前記保守手順の状態を前記複数のブレードの全てに通知することを特徴とする請求項23又は請求項24記載の交換センタサーバ。
【請求項26】
呼を処理し、複数のブレードを有するクラスタ構造を有する交換センタサーバ(100)の前記複数のブレードの1つに呼を分配する方法であって、
呼に関するメッセージを受信するステップと、
前記複数のブレードの1つへ、呼に関するメッセージを分配するステップとを有し、
前記メッセージを分配するため、前記複数のブレード(110)によるプールされたリソースの使用を集中制御するマスタが、どのブレードに前記呼を分配すべきかの情報を読み出すためにコンタクトされることを特徴とする方法。
【請求項27】
呼設定用の初期メッセージの場合、前記マスタは前記呼をどのブレードで制御すべきかを決定し、前記メッセージが前記決定されたブレードに分配されることを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記初期メッセージが、前記複数の異なるブレードの処理負荷に応じて分配されることを特徴とする請求項27記載の方法。
【請求項29】
呼の制御、呼の設定、呼の監視、及び呼の切断のうち少なくとも1つが呼制御器(111)によって実行されることを特徴とする請求項26乃至請求項28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
確立された呼に関するメッセージが受信されると、前記複数のブレードのうち、前記確立された呼を処理しているブレードが判別され、前記メッセージが当該ブレードに分配されることを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項31】
前記確立された呼に関する前記メッセージが、前記呼制御器(135)が設けられているブレードに分配されることを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記分配するステップが、
前記メッセージを、前記ブレードクラスタの前記複数のブレードの1つに割り当てるステップと、
前記1つのブレードから、前記メッセージを前記呼制御器(135)が設けられているブレードに分配するステップとをさらに有することを特徴とする請求項30又は請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記メッセージが、前記メッセージに含まれる発呼元情報データ、宛先情報データ、及び信号リンク情報データの少なくとも1つに応じて、前記1つのブレードに割り当てられることを特徴とする請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記複数のブレードのうち、前記確立された呼を制御しているブレードが、前記確立された呼に関する前記メッセージをどのブレードに分配すべきかの情報を呼び出すために前記マスタにコンタクトすることによって判別されることを特徴とする請求項30乃至請求項33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
PRA発の呼について、当該呼についての前記メッセージに含まれる呼番号データが抽出され、前記抽出された呼番号データを用いる前記呼についての前記呼制御器がどのブレードに設けられているかの前記情報を読み出すために前記PRAマスタがコンタクトされ、前記メッセージが当該ブレードにルーティングされることを特徴とする請求項30乃至請求項34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
PRA着信呼について、ブレード識別データを含んだ呼番号が生成され、前記PRA着信呼に関するメッセージは、前記呼を処理するブレードに前記ブレード識別データを用いて分配されることを特徴とする請求項30乃至請求項35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
さらに、
前記確立された呼に関する前記メッセージに含まれるリソース識別データを抽出するステップと、
前記抽出されたリソース識別データを用いる前記確立された呼についての前記呼制御器がどのブレードに設けられているかの情報を読み出すために前記マスタ(130,150)にコンタクトするステップと、
前記メッセージを当該ブレードにルーティングするステップとを有することを特徴とする請求項27乃至請求項36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
応答メッセージを、ゲートウェイ(400)から、複数のブレードを有するクラスタ構造を有する交換センタサーバの前記複数のブレードの1つにルーティングする方法であって、前記交換センタサーバは、呼に関して前記複数の異なるブレード(110)によって用いられるリソースを制御する呼制御器(135)を有し、前記方法が、
前記呼制御器が設けられているブレードを特定することを可能にするブレード識別データを含んだトランザクション識別データを生成するステップと、
前記交換センタサーバから前記ゲートウェイへ前記トランザクション識別データを送信するステップと、
前記ゲートウェイ(400)から前記応答メッセージを受信するステップと、
前記トランザクション識別データに含まれる前記ブレード識別データに基づいて、前記呼制御器が設けられているブレードに前記応答メッセージをルーティングするステップとを有することを特徴とする方法。
【請求項39】
前記応答メッセージが前記複数のブレードの1つに割り当てられ、前記トランザクション識別データ(TID)に含まれる前記ブレード識別データを特定するために当該1つのブレードで復号され、前記応答メッセージが、前記ブレード識別データに基づいて前記呼制御器が設けられているブレードに分配されることを特徴とする請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記応答メッセージが前記交換センタサーバの信号端局で受信され、当該信号端局から前記応答メッセージが前記複数の異なるブレードの信号処理負荷に応じて前記複数の異なるブレードの1つに送信されることを特徴とする請求項39記載の方法。
【請求項41】
確立された呼を処理するために複数の呼制御器が関与している場合、関与する各ブレードについて前記ブレード識別データを含んだトランザクション識別データ(TID)が生成され、前記ゲートウェイに送信されることを特徴とする請求項38乃至請求項40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
さらに、
リモートノードへのコネクションに関する呼制御信号メッセージ(IAM,paging)を前記リモートノードに送信するステップと、
逆方向メッセージを前記リモートノードから受信するステップと、
前記逆方法メッセージを前記呼制御器が設けられているブレードに分配するステップとを有することを特徴とする請求項26乃至請求項41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記逆方向応答メッセージが、マスタにアクセスし、前記呼制御器がどのブレードに設けられているかの情報を要求することによって分配されることを特徴とする請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記呼制御器(135)は、前記呼制御器が既に初期アドレスメッセージをあるリモートノードに送信しているリソースについて、前記あるリモートノードと異なるリモートノードから捕捉要求を受信すると、当該リソースについての二重捕捉状態を検出することを特徴とする請求項26乃至請求項43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
あるリソースについての捕捉要求を満たすことができない場合、当該捕捉要求を待ち行列に入れるステップをさらに有し、前記マスタ(130,150)は、前記待ち行列から呼試行を除去するように指示されると、前記呼試行に関する捕捉要求を前記待ち行列から除去することを特徴とする請求項26乃至請求項44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
1つのブレードによって通知要求に要求識別データを含めるステップをさらに有し、前記要求識別データが、前記メディアゲートウェイから前記1つのブレードに通知コマンドをルーティングするために用いられることを特徴とする請求項26乃至請求項45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記マスタによって保守手順を制御するステップをさらに有する一方、確立された呼の場合、保守メッセージが前記呼制御器に分配されることを特徴とする請求項26乃至請求項45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記マスタは前記呼制御器による保守メッセージの受信を通知されることを特徴とする請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記保守手順の状態を前記複数のブレードの全てが通知されることを特徴とする請求項47又は請求項48記載の方法。
【請求項50】
あるブレードの故障が検出された場合、故障情報が前記マスタに送信され、前記マスタは他のブレードに前記故障に関して通知することを特徴とする請求項26乃至請求項49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記複数のブレードの1つにメッセージを分配する前記ステップが、前記交換センタサーバの入来メッセージに関して実行される一方、1つのブレードからの出方向メッセージはその宛先へ直接送信されることを特徴とする請求項26乃至請求項50のいずれか1項に記載の方法。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1b】
【図1c】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2011−527126(P2011−527126A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509856(P2011−509856)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004075
【国際公開番号】WO2009/140978
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004075
【国際公開番号】WO2009/140978
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】
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