説明

ブレードコンタクト

【課題】低背化に適合するベースコネクタに好適な構造を有するブレードコンタクトを提供する。
【解決手段】ブレードコンタクト3は、対向する一対の第1側壁12a・12bと、一対の第1側壁12a・12bと直交する第2側壁12cとで凹部11を形成するベースコネクタ1に対して、第2側壁12cから凹部11に向って挿嵌され、相手側コンタクトと接続されるためのコンタクト接続部31が凹部11の底面に当接する構造としたので、従来のように、ブレードコンタクトをベースの底面から圧入して、ブレードコンタクトの姿勢を保持することなく、凹部11の底面と第2側壁12cでブレードコンタクト3の姿勢を保持できる。したがって、ベース12の肉厚を薄くでき、ベースコネクタの更なる低背化が実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレードコンタクトに関する。特に、相手側コンタクトは平行に延出した一対の弾性をもつ接触片を備え、この一対の接触片で、平板状又は直刃状のコンタクト本体の両面に接触力が加えられるブレードコンタクトに関する。このブレードコンタクトはコネクタに圧入されて、プリント基板に例えば、はんだ接合される。
【背景技術】
【0002】
近年の小型化した携帯用電子機器、例えば、DSC(Digital Still Camera)や携帯電話機、CDプレイヤー又はMDプレイヤーなどには、バッテリーが内蔵されている。このバッテリー電源を前記電子機器に備わる回路基板(プリント基板)に供給するために、極小型、いわゆるチップサイズパッケージ型のワイヤー・ツー・ボード・コネクタ(Wire to Board Connector)が用いられている。
【0003】
前述のコネクタ及びソケットコネクタとして、ソケットコネクタはバッテリーから延びるリード線の端部が取り付けられており、ベースコネクタはプリント基板に固定されており、このリード線を引っ張って、ベースコネクタからソケットコネクタを取り外すときに、挿抜方向とリード線の延びる方向が異なるために、両コネクタ間にこじれを生じて破損し易いことを解消したコネクタが発明されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1によるコネクタは、リード線を引っ張ると、この引っ張り力が、ベースコネクタのカム面とソケットコネクタのカム面の働きにより、ソケットコネクタを抜去方向に沿う力に変換されている。又、このベースコネクタはブレードコンタクトを備え、このソケットコネクタはソケットコンタクトを備え、ソケットコンタクトが有する一対の接触片で、ブレードコンタクトを両側から抱き合わせるように接触力を加えて接続される。
【特許文献1】特開2002−33150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図12は、特許文献1において、連結状態の両コネクタの縦断面図である。図12において、ソケットコンタクト及びブレードコンタクトは断面のハッチングを省略してある。そして、本願の図12は特許文献1の図9に対応している。図13は、特許文献1によるソケットコンタクトの正面図である。そして、本願の図13は特許文献1の図8に対応している。
【0006】
図12において、コネクタ100は、ベースコネクタ6とソケットコネクタ7を備えている。ベースコネクタ6は、プリント基板5の取り付け面51に「はんだ」接合されている。一方、ソケットコネクタ7は、ベースコネクタ6と組をなし、ベースコネクタ6に形成された凹部(挿抜空間)に挿抜される。
【0007】
図12において、ベースコネクタ6のハウジング60には、ブレードコンタクト8が設けられている。一方、ソケットコネクタ7のハウジング70には、ソケットコンタクト9が設けられている。例えば、ハウジング60には、3極のブレードコンタクト8が並列配置されており、対応する3本のソケットコンタクト9はハウジング70に並列配置されている。ソケットコンタクト9の圧着部92に圧着されたリード線9wはハウジング70から延出している。
【0008】
図12において、ブレードコンタクト8は、ベース62に形成された固定穴69に挿通された状態で、ベース62および後壁62cにより保持されている。ブレードコンタクト8は、略矩形をなす本体80と、本体80の下端から後方へ延びるリード部81を含んでいる。本体80は、ベース62の上方へ突出するコンタクト部82と、固定穴69に圧入される圧入突起83を有する固定部84を有している。透孔85は圧入突起83に対応して固定部84に形成される。コンタクト部82の上縁及び前縁には、面取り部86が形成され、ソケットコンタクト9の挿入を容易にしている。
【0009】
図12において、ブレードコンタクト8は、本体80がハウジング60に圧入されて固定され、コンタクト部82がベースコネクタ6に形成された凹部に突出している。一方、ソケットコンタクト9は、四角柱状の収容室71に挿入され、保持されている。収容室71は、ソケットコンタクト9の接触部91に対応する部位が、前記凹部に向って開口している。
【0010】
図12において、ベースコネクタ6に形成された凹部に向って、ソケットコネクタ7が挿入され、ソケットコネクタ7がベースコネクタ6に嵌合される。そして、ブレードコンタクト8とソケットコンタクト9が導電接続される。
【0011】
図13において、ソケットコンタクト9は相対向して平行に延びる一対の接触片91a・91bを有し、一対の接触片91a・91bの対向面に相対向して突出する突起からなる接点91c・91dが設けられている。
【0012】
図13において、対向する一対の接点91c・91d間の間隙Sに、ブレードコンタクト8のコンタクト部82(図12参照)が導入されて、ブレードコンタクト8が一対の接触片91a・91bにより抱き合わせ状に弾性的に保持され、ブレードコンタクト8とソケットコンタクト9間に接触力が確保されるようになっている。
【0013】
しかしながら、図12に示されるベースコネクタ6は、実装高さの更なる低背化が要求されている。一方では、ベースコネクタ6に設けられたブレードコンタクト8の高さで、ベースコネクタ6の実装高さがほぼ規定されている。図12において、ブレードコンタクト8はベース62の底面から圧入されており、ベース62に所要の肉厚が無いと、ブレードコンタクト8の姿勢を保持できないからである。ブレードコンタクトの構造を変えて、ベースコネクタの更なる低背化が求められている。そして、以上が本発明の課題といってよい。
【0014】
本発明は、このような課題に鑑み、ベースコネクタに形成される凹部に配列されるブレードコンタクトであって、低背化に適合するベースコネクタに好適な構造を有するブレードコンタクトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明者は、上記目的を満たすため、対向する一対の第1側壁と、この一対の第1側壁と直交する第2側壁とで凹部を形成するベースコネクタに対して、第2側壁から凹部に向って挿嵌され、相手側コンタクトと接続されるためのコンタクト接続部が凹部の底面に当接する構造とし、以下のような新たなブレードコンタクトを発明した。
【0016】
(1) 略直方体状のベースコネクタは、対向する一対の第1側壁と、この一対の第1側壁と直交する第2側壁とで三方が囲まれる凹部を有し、この凹部の第2側壁側に前記一対の第1側壁と略平行に配列されるブレードコンタクトであって、相手側コンタクトと接続されるための略長方形板のコンタクト接続部と、このコンタクト接続部の基端側に設けられ、前記第2側壁内部に挿嵌される固定部と、を備え、前記コンタクト接続部における長手方向の一方の板厚面は、前記凹部の底面に当接するブレードコンタクト。
【0017】
(1)の発明によるブレードコンタクトは、略直方体状のベースコネクタが対向する一対の第1側壁と、一対の第1側壁と直交する第2側壁とで三方が囲まれる凹部を有しており、凹部の第2側壁側に一対の第1側壁と略平行に配列される。そして、ブレードコンタクトは、相手側コンタクトと接続されるための略長方形板のコンタクト接続部と、このコンタクト接続部の基端側に設けられ、前記第2側壁内部に挿嵌される固定部と、を備えており、コンタクト接続部における長手方向の一方の板厚面は、凹部の底面に当接する。
【0018】
ベースコネクタの凹部にブレードコンタクトが配列されているとは、例えば、相手側コンタクトと接続されるためのコンタクト接続部が凹部に突出されていることを含んでよく、この凹部に突出されたコンタクト接続部がソケットハウジングに収容されるソケットコンタクト(相手側コンタクト)と嵌合して接続される。
【0019】
このベースコネクタは、例えば、プリント基板に固定されるプリント基板用コネクタであってよく、例えば、ねじなどで、ベースコネクタがプリント基板に固定される態様を含んでよく、ベースハウジングに圧入されて固定されるブレードコンタクトがプリント基板に「はんだ」接合されて固定される、いわゆる表面実装によって、ベースコネクタがプリント基板に固定される態様を含んでよい。なお、表面実装の場合は、金属製の補強部材としての一対の補強タブを設け、この一対の補強タブをベースコネクタに圧入して固定し、プリント基板の取り付け面にブレードコンタクトと共にこの一対の補強タブを「はんだ」接合して、ベースコネクタをプリント基板に固定してもよい。
【0020】
ブレードコンタクトは、通常、面取りされた挿入部分をもつ断面が長方形のばね性(弾性)のないコンタクトと定義され、例えば、リード線を圧着する圧着部を有している態様もあるが、この発明では、ブレードコンタクトは、ベースコネクタに配列され、プリント基板に固定されるベースコネクタ用のコンタクトとして取り扱う。そして、前述の「面取りされた挿入部分」とは、コンタクト接続部の部位のことであってよい。
【0021】
例えば、相手側コンタクトは、平行に延出した一対の弾性を有する接触片で、平板状又は直刃状のコンタクト接続部の両面に接触力を加えるソケットコンタクトであってよく、例えば、前記ソケットコンタクトは、平形端子であり2本のアームによって向かい合った板厚方向に接触力を加える音叉形をした弾性コンタクト、いわゆる音叉形コンタクトであってもよい。前記ソケットコンタクトは、従来技術で開示されたベーロズ形の二股コンタクトであってもよく、低背・小型のソケットコネクタに対応する構造を有するソケットコンタクトが好ましい。
【0022】
又、バッテリー電源を供給するためのコネクタということであれば、ブレードコンタクト及び相手側コンタクトは2極又は3極であってよいが、3極以上のブレードコンタクト及び相手側コンタクトを有する多極のコネクタとしてもよい。
【0023】
例えば、ソケットコネクタは、ベースコネクタの凹部に対してプリント基板の取り付け面と直交する挿抜方向に沿って挿抜され、このコネクタが、いわゆるトップ型であることを意味している。トップ型のコネクタに対して、いわゆるサイド型のコネクタがある。サイド型のコネクタの場合は、ベースコネクタに対してプリント基板の取り付け面と平行する挿抜方向に沿って挿抜される。ワイヤー・ツー・ボード・コネクタにおいて、トップ型のコネクタはプリント基板への配置の自由度が確保されるという利点がある。一方、サイド型のコネクタはベースコネクタがプリント基板の端部に配置されるという制約がある。
【0024】
「挿嵌」とは、差し込んで嵌めることであって、「第2側壁内部に挿嵌される固定部」とは、「第2側壁内部に差し込まれて嵌められる固定部」としてもよい。そして、「挿嵌」の概念は「挿入」と「圧入」の双方の概念を含んでよい。
【0025】
そして、コンタクト接続部における長手方向の一方の板厚面は、凹部の底面に当接する。コンタクト接続部における長手方向の他方の板厚面は、相手側コンタクトの挿入を容易にするために面取りが施されている。
【0026】
本発明によるブレードコンタクトは、対向する一対の第1側壁と、この一対の第1側壁と直交する第2側壁とで凹部を形成するベースコネクタに対して、第2側壁から凹部に向って挿嵌され、相手側コンタクトと接続されるためのコンタクト接続部が凹部の底面に当接する構造としたので、従来のように、ブレードコンタクトをベースの底面から圧入して、ブレードコンタクトの姿勢を保持することなく、凹部の底面と第2側壁でブレードコンタクトの姿勢を保持できる。したがって、ベースの肉厚が薄くでき、ベースコネクタの更なる低背化が実現できる。
【0027】
(2) 前記固定部は、前記第2側壁内部に圧入される圧入部と、この圧入部に対向し、かつ前記第2側壁内部に挿入される固定アームと、前記圧入部と前記固定アームの基端同士を連結する連結脚と、を備える(1)記載のブレードコンタクト。
【0028】
(2)の発明によるブレードコンタクトは、第2側壁内部に圧入される圧入部と、圧入部に対向し、かつ第2側壁内部に挿入される固定アームと、圧入部と前記固定アームの基端同士を連結する連結脚と、を固定部が備えている。
【0029】
例えば、第2側壁内部に圧入される圧入部の基端側が立脚して連結脚を形成し、更に、連結脚から固定アームが反転し、この固定アームがコンタクト接続部側に延出しているUの字状の形状としてもよい。
【0030】
ブレードコンタクトの固定部は、このように構成されているので、ブレードコンタクトのコンタクト接続部に相手側コンタクトが挿入されるときは、圧入部を支点とする第1の方向に作用する回転モーメントは、コンタクト接続部が凹部の底面に当接して、ブレードコンタクトの姿勢が維持される。一方、ブレードコンタクトのコンタクト接続部から相手側コンタクトが抜去されるときは、圧入部を支点とする第2の方向に作用する回転モーメントは、固定アームにより阻止され、ブレードコンタクトの姿勢が維持される。
【0031】
(3) 前記圧入部は、固定アームに向う側に第2側壁内部に係止される圧入突起を備える(2)記載のブレードコンタクト。
【0032】
例えば、圧入突起は山脈状に突出する微細突起であってよく、合成樹脂で成形された第2側壁内部を食い破るように圧入される。そして、互いに対向する固定アームと圧入部とは、第2側壁内部を挟むことにより、ブレードコンタクトの姿勢が強固に維持される。
【0033】
(4) 前記固定部は、プリント基板にはんだ接合されるリード部を前記コンタクト接続部と相反する方向に延出する(1)から(3)のいずれかに記載のブレードコンタクト。
【0034】
前述のとおり、このベースコネクタを表面実装型のコネクタとする場合は、固定部にリード部を設けて、このリード部がプリント基板にはんだ接合されてよく、固定部にプリント基板に形成されるスルーホールに挿入されるピン端子を設け、このベースコネクタをプリント基板に実装してもよい。
【発明の効果】
【0035】
本発明のブレードコンタクトは、対向する一対の第1側壁と、この一対の第1側壁と直交する第2側壁とで凹部を形成するベースコネクタに対して、第2側壁から凹部に向って挿嵌され、相手側コンタクトと接続されるためのコンタクト接続部が凹部の底面に当接する構造としたので、従来のように、ブレードコンタクトをベースの底面から圧入して、ブレードコンタクトの姿勢を保持することなく、凹部の底面と第2側壁でブレードコンタクトの姿勢を保持できる。したがって、ベースの肉厚が薄くでき、ベースコネクタの更なる低背化が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0037】
図1は、本発明による一実施形態のブレードコンタクトを備えるベースコネクタを示す斜視外観図である。図2は、前記実施形態によるベースコネクタの斜視外観図である。図2は、図1と反対側からベースコネクタを観ている。図3は、前記実施形態によるベースコネクタと連結されるソケットコネクタの斜視外観図である。図4は、前記実施形態によるソケットコネクタの斜視外観図である。図4は、図3と反対側からソケットコネクタを観ている。
【0038】
図5は、前記実施形態によるベースコネクタの外観図及び断面図である。図5(A)はベースコネクタの平面図、図5(B)はベースコネクタの正面図、図5(C)は図5(A)の左側面図、図5(D)は図5(A)の右側面図、図5(E)は図5(A)のQ−Q矢視断面図、図5(F)は図5(A)のR−R矢視断面図である。図6は、前記実施形態によるソケットコネクタの外観図である。図6(A)はソケットコネクタの平面図、図6(B)はソケットコネクタの正面図、図6(C)はソケットコネクタの背面図、図6(D)は図6(A)の左側面図、図6(E)は図6(A)の右側面図である。
【0039】
図7は、前記実施形態によるソケットコネクタに適用されるソケットコンタクトの斜視外観図である。図8は、前記実施形態によるソケットコネクタに適用されるソケットコンタクトの斜視外観図である。図8は、図7と反対側からソケットコンタクトを観ている。図9は、前記実施形態による連結状態の両コネクタの縦断面図である。図10は、前記実施形態による連結状態の両コネクタの平面図である。図10は、要部を横断面図としている。図11は、前記実施形態による連結状態の両コネクタの斜視外観図である。
【0040】
最初に、本発明の一実施形態によるブレードコンタクトを備えるベースコネクタ及びこのベースコネクタと連結されるソケットコネクタを説明する。図1及び図2において、略直方体状のベースコネクタ1はプリント基板5の取り付け面51に「はんだ」接合により固定されている。ベースコネクタ1の凹部11はプリント基板5の取り付け面51と直交する方向であって取り付け面51から離れる方向(図1の抜去方向X2に相当)に開放し、又、取り付け面51と平行な方向のうち前方Y2に開口している。
【0041】
図3及び図4に示されるソケットコネクタ2は、ベースコネクタ1の凹部11に対して、取り付け面51と直交する挿抜方向X1・X2に沿って挿抜される。ソケットコネクタ2は概ね前方Y2へ延びる複数のリード線4wを備えている。
【0042】
ソケットコネクタ2をベースコネクタ1から取り外すときに、リード線4wが抜去方向X2以外の方向へ引っ張られることがあるが、その場合に、リード線4wを介する引っ張り力をソケットコネクタ2の抜去方向X2の力に変換して、こじりを生ずることなく、ソケットコネクタ2をスムーズに引き抜くことができる。
【0043】
図1及び図2において、ベースコネクタ1はベースハウジング1hを備え、ベースハウジング1hは、取り付け面51に沿って固定されるベース12と、ベース12上に立設される左右一対の第1側壁12a・12b及び第1側壁12a・12bに直交する第2側壁12cを備えている。これらベース12、一対の第1側壁12a・12b及び第2側壁12cにより、凹部11は三方が囲まれ、区画されている。
【0044】
図1及び図2において、凹部11の第2側壁12c側には、一対の第1側壁12a・12bに平行な三つの平板状のブレードコンタクト3が配列されている。図5において、ブレードコンタクト3は、第2側壁12cに形成された固定穴121・122に挿嵌された状態で、ベース12及び第2側壁12cにより保持されている。
【0045】
図9に示されるように、ブレードコンタクト3は、ソケットコンタクト(相手側コンタクト)4と接続されるための略長方形板のコンタクト接続部31と、コンタクト接続部31の基端側に設けられ、第2側壁12c内部に挿嵌される固定部32と、を備えている。コンタクト接続部31における長手方向の一方の板厚面は、凹部11の底面に当接している。固定部32は、プリント基板5に「はんだ」接合されるリード部36を、コンタクト接続部31と相反する方向に延出している。
【0046】
図9に示される両コネクタ1・2の連結状態において、ソケットコンタクト4が有する一対の反転アーム45a・45bによって、コンタクト接続部31の両側を挟み接触力が加えられる(図10参照)。
【0047】
図1及び図2において、一対の第1側壁12a・12bの内側面には、凹部11の底面から抜去方向X2に延びる一対の嵌合溝13a・13bが設けられている。一対の嵌合溝13a・13bは、ソケットコネクタ2の両翼に突出形成された一対の張り出し片23a・23bと嵌まり合う(図3及び図4参照)。
【0048】
図3、図4及び図6に示されるように、一対の張り出し片23a・23bは、下方において隅部が円弧形状をなし、その円弧面は、一対の嵌合溝13a・13bに形成される斜面(図5参照)と滑り合うカム面を形成している。
【0049】
図1及び図2において、凹部11において対向する一対の第1側壁12a・12bの一対の第1内壁には、互いに対向する一対の嵌合凹部16a・16bが設けられている。一方、ソケットハウジング2hにおいて、相反する位置に形成される一対の第1外壁には、一対の嵌合凸部26a・26bが設けられている(図3、図4及び図6参照)。
【0050】
そして、一対の嵌合凹部16a・16bに一対の嵌合凸部26a・26bが嵌まり合うことにより、両コネクタ1・2の連結状態が所定の保持力で保持される。このように、一対の嵌合凹部16a・16bと一対の嵌合凸部26a・26bは、リード線4wが延びる方向と直交する方向に互いに係合する一対の第1ロック機構を構成している。
【0051】
図1及び図2において、一対の嵌合凹部16a・16bは、前記一対の第1内壁に横断面が「C」の字状に窪みを有する形状で形成されている。一対の前記窪みが一対の第1内壁に互いに対向する方向に形成される。一方、図3、図4及び図6に示されるように、一対の嵌合凸部26a・26bは、一対の前記第1外壁に横断面が鋭角の斜面を有する略直角三角形の形状に形成され、一対の突出端が一対の第1外壁に互いに相反する方向に形成されている。
【0052】
一対の嵌合凹部16a・16bをベースハウジング1hの一対の第1内壁に設けることにより、凹部11を区画する一対の第1側壁12a・12bの肉厚を薄くし、ソケットコネクタ2の挿抜が容易なると考えられる。又、一対の嵌合凹部16a・16bをベースハウジング1hの一対の第1内壁に設けることにより、ベースハウジング1hを小型化(実装面積の縮小)できると考えられる。
【0053】
又、図1及び図2において、ベースハウジング1hの凹部11において、リード線4wが延びる方向と相反する方向Y1に形成される第2内壁(第2側壁12cに含まれる)には、二つの溝14a・14bが設けられている。二つの溝14a・14bは、凹部11側に開口されると共に、プリント基板5の取り付け面51と直交する挿抜方向X1・X2に沿って貫通されている。又、二つの溝14a・14bは、ブレードコンタクト3の配列間にそれぞれ設けられている。そして、これらの溝14a・14bの対向する一方の内壁にはそれぞれ第1突起15a・15bが設けられている(図1及び図5参照)。
【0054】
一方、図3及び図4に示されるように、ソケットハウジング2hにおいてリード線4wが延びる方向と相反する方向Y1(図1参照)に形成される第2外壁には、二つの凸条片24a・24bが設けられている。そして、これらの凸条片24a・24bは、一方の外壁にそれぞれ第2突起25a・25bが設けられている。
【0055】
ソケットコネクタ2を凹部11に向けて挿入すると、二つの溝14a・14bに二つの凸条片24a・24bが挿入され、第2突起25a・25bが第1突起15a・15bをそれぞれ乗り越える。ソケットコネクタ2が凹部11に完全に挿入された状態では、第2突起25a・25bが第1突起15a・15bに係止され、ソケットコネクタ2とベースコネクタ1の係合状態が維持される(図11参照)。
【0056】
このように、二つの溝14a・14bと二つの凸条片24a・24bは、互いに係合する一つ以上の第2ロック機構を構成している。なお、第1突起15a・15b及び第2突起25a・25bも第2ロック機構に含まれる。又、二つの溝14a・14bは方形溝が図示されているが、Uの字状の円弧溝であってもよい。
【0057】
図1及び図2において、凹部11に対して互い向かい合う一対の突部18a・18bが設けられている。一方の突部18aは、嵌合溝13aと嵌合凹部16aを区画している。そして、一方の突部18aは、張り出し片23aと嵌合凸部26a間に挿入される。他方の突部18bは、嵌合溝13bと嵌合凹部16bを区画している。そして、他方の突部18bは、張り出し片23bと嵌合凸部26b間に挿入される。
【0058】
図1、図2及び図5において、金属製の補強部材としての一対の補強タブ17a・17bが、ベースハウジング1hの前下部に形成された圧入溝に圧入されて、一部がベースハウジング1hの底面に露出し、プリント基板5の取り付け面51に「はんだ」接合されている。
【0059】
図6において、ソケットコネクタ2の前部には、ソケットハウジング2hの押圧面としての上面にブレードコンタクト3の位置に対応して突出する凸部22cと、ソケットハウジング2hの両側面にそれぞれ突出する上述した一対の張り出し片23a・23bを備えている。凸部22cの表面を押すことにより、ソケットコネクタ2をベースコネクタ1に装着できる。
【0060】
図3及び図4において、ソケットコネクタ2は、略直方体状のソケットハウジング2hを有している。ソケットハウジング2hには、リード線4wの延びる方向に収容穴21が設けられている。ソケットハウジング2hには、複数の収容穴21が並べて設けられている。各収容穴21には、それぞれリード線4wの端部に圧着されたソケットコンタクト4が収容されている(図9参照)。
【0061】
図7及び図8に示されるソケットコンタクト4はブレードコンタクト3と接続される。ソケットコンタクト4は、リード線4wが接続される長尺状の圧着部47と、圧着部47の基端側に設けられ、ブレードコンタクト3に接続されるコンタクト接続部45と、を備えている。
【0062】
コンタクト接続部45は、平板状のコンタクト本体41と、コンタクト本体41の基端42側から延出する略平行な一対の伸長アーム43a・43bと、一対の伸長アーム43a・43bの先端からコンタクト本体41に向って延出しかつ先端同士が結合された略平行な一対の反転アーム45a・45bを備えている。そして、一対の反転アーム45a・45bには、互いに対向しブレードコンタクト3が挿入可能な一対の接点46a・46bが設けられている。
【0063】
図7及び図8に示されるように、一対の反転アーム45a・45bは、先端部が相互に結合されている。一対の反転アーム45a・45bの先端部は、予め相互に結合されて結合部45cが形成されており、折り曲げ加工により一対の反転アーム45a・45bが形成されている。
【0064】
図7又は図8に示されるように、一対の反転アーム45a・45bは、折り返し部44a・44b側の板厚面に互いに対向する半球状の突起からなる一対の接点46a・46bが設けられている。これら一対の接点46a・46b間に平板状のブレードコンタクト3(図9参照)を挿入可能としている。一対の反転アーム45a・45bから一対の伸長アーム43a・43bに向けて、一対の接点46a・46b間にコンタクト接続部31が挿入される(図9及び図10参照)
【0065】
一対の接点46a・46b間にコンタクト接続部31が挿入されると、一対の接点46a・46bが押し広げられる。つまり、一対の伸長アーム43a・43b及び反転アーム45a・15bの折り返し部44a・44b側が押し広げられる。一対の伸長アーム43a・43b及び反転アーム45a・45bの折り返し部44a・44b側と反対側は、相互に結合されているので、弾性力によりコンタクト接続部31の両面に適切な接触力を加えることができる。
【0066】
このソケットコンタクト4は、従来のソケットコンタクトに比べ強い接触力をブレードコンタクト3に加えることでき、しかも、従来のソケットコンタクトより小型化できる。又、ソケットコンタクト4は、1.2mm程度の狭ピッチでも並列配置することができる。このようなソケットコンタクト4が適用されるソケットコネクタ2は、低背化・小型化を可能としている。
【0067】
図7及び図8において、ソケットコンタクト4は、リード線4wを圧着する圧着部47が設けられている。そして、圧着部47は、リード線4wの被覆部に圧着されるインシュレーショングリップ47aと、リード線4wの芯線に圧着されるコンダクタグリップ47bを備えている。リード線4wの一方の端末が圧着されて、収容穴21に挿入される(図9参照)。
【0068】
図9において、弾性突起からなるランス41cは、収容穴21に連通して外面に開口している係合穴に係止しており、ソケットコンタクト4が収容穴21から抜け出すのを防止している。ソケットコネクタ2は、一対の接点46a・46bがベースコネクタ1に対向する部分が開口され、ブレードコンタクト3が一対の接点46a・46bに挿入可能となっている(図10参照)。
【0069】
図9において、ブレードコンタクト3は、略長方形をなすコンタクト接続部31と、コンタクト接続部31の基端側に設けられる固定部32を備えている。固定部32は、第2側壁12cに形成された固定穴121・122(図5参照)に挿嵌された状態で、第2側壁12c内部に保持されている。そして、固定部32は、第2側壁12c内部に圧入される圧入部33と、圧入部33に対向し、かつ第2側壁12c内部に挿入される固定アーム34と、圧入部33と固定アーム34の基端同士を連結する連結脚35と、を備えている。
【0070】
図9において、圧入部33は、第2側壁12cに形成された固定穴122(図5参照)に圧入された状態で、第2側壁12c内部に保持されている。固定アーム34は、第2側壁12cに形成された固定穴122(図5参照)に挿入された状態で、第2側壁12c内部に保持されている。又、連結脚35は、固定穴121と固定穴122を連通するスリット状の溝に挿入されている。
【0071】
図9において、ブレードコンタクト3の固定部32は、このように構成されているので、ブレードコンタクト3のコンタクト接続部31に相手側コンタクトが挿入されるときは、圧入部33を支点とする第1の方向に作用する回転モーメントは、コンタクト接続部31が凹部11の底面(図1参照)に当接して、ブレードコンタクト3の姿勢が維持される。一方、ブレードコンタクト3のコンタクト接続部31から相手側コンタクトが抜去されるときは、圧入部33を支点とする第2の方向に作用する回転モーメントは、固定アーム34により阻止され、ブレードコンタクト3の姿勢が維持される。
【0072】
又、圧入部33は、固定アーム34に向う側に第2側壁12c内部に係止される圧入突起33aを備えている。圧入突起33aは山脈状に突出する微細突起であってよく、合成樹脂で成形された第2側壁12c内部を食い破るように圧入される。そして、互いに対向する固定アーム34と圧入部33とは、第2側壁12c内部を挟むことにより、ブレードコンタクト3の姿勢が強固に維持される。
【0073】
図9において、コンタクト接続部31の上縁31a及び前縁31bには、面取りが形成され、ソケットコンタクト4の挿入を容易にしている。そして、コンタクト接続部31における長手方向の一方の板厚面は、凹部11の底面に当接している。
【0074】
本発明によるブレードコンタクトは、対向する一対の第1側壁と、この一対の第1側壁と直交する第2側壁とで凹部を形成するベースコネクタに対して、第2側壁から凹部に向って挿嵌され、相手側コンタクトと接続されるためのコンタクト接続部が凹部の底面に当接する構造としたので、従来のように、ブレードコンタクトをベースの底面から圧入して、ブレードコンタクトの姿勢を保持することなく、凹部の底面と第2側壁でブレードコンタクトの姿勢を保持できる。したがって、ベースの肉厚が薄くでき、ベースコネクタの更なる低背化が実現できる。例えば、ベースコネクタの高さを、従来の「6.1」mmから「1.5」mmに低背化できた。
【0075】
本発明によるブレードコンタクト3を備えるベースコネクタ1と、上述のソケットコンタクト4を備えるソケットコネクタ2が連結されたコネクタ3cn(図11参照)は、大変小型・低背であり、近年の小型化した携帯用電子機器に適合している。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明による一実施形態のブレードコンタクトを備えるベースコネクタを示す斜視外観図である。
【図2】前記実施形態によるベースコネクタの斜視外観図である。
【図3】前記実施形態によるベースコネクタと連結されるソケットコネクタの斜視外観図である。
【図4】前記実施形態によるソケットコネクタの斜視外観図である。
【図5】前記実施形態によるベースコネクタの外観図及び断面図である。
【図6】前記実施形態によるソケットコネクタの外観図である。
【図7】前記実施形態によるソケットコネクタに適用されるソケットコンタクトの斜視外観図である。
【図8】前記実施形態によるソケットコネクタに適用されるソケットコンタクトの斜視外観図である。
【図9】前記実施形態による連結状態の両コネクタの縦断面図である。
【図10】前記実施形態による連結状態の両コネクタの平面図であり、要部を横断面図としている。
【図11】前記実施形態による連結状態の両コネクタの斜視外観図である。
【図12】従来技術による連結状態の両コネクタの縦断面図である。
【図13】従来技術によるソケットコンタクトの正面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 ベースコネクタ
3 ブレードコンタクト
4 ソケットコンタクト(相手側コンタクト)
5 プリント基板
11 凹部
12a・12b 一対の第1側壁
12c 第2側壁
31 コンタクト接続部
32 固定部
33 圧入部
33a 圧入突起
34 固定アーム
35 連結脚
36 リード部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略直方体状のベースコネクタは、対向する一対の第1側壁と、この一対の第1側壁と直交する第2側壁とで三方が囲まれる凹部を有し、この凹部の第2側壁側に前記一対の第1側壁と略平行に配列されるブレードコンタクトであって、
相手側コンタクトと接続されるための略長方形板のコンタクト接続部と、このコンタクト接続部の基端側に設けられ、前記第2側壁内部に挿嵌される固定部と、を備え、
前記コンタクト接続部における長手方向の一方の板厚面は、前記凹部の底面に当接するブレードコンタクト。
【請求項2】
前記固定部は、前記第2側壁内部に圧入される圧入部と、この圧入部に対向し、かつ前記第2側壁内部に挿入される固定アームと、前記圧入部と前記固定アームの基端同士を連結する連結脚と、を備える請求項1記載のブレードコンタクト。
【請求項3】
前記圧入部は、固定アームに向う側に第2側壁内部に係止される圧入突起を備える請求項2記載のブレードコンタクト。
【請求項4】
前記固定部は、プリント基板にはんだ接合されるリード部を前記コンタクト接続部と相反する方向に延出する請求項1から3のいずれかに記載のブレードコンタクト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−128034(P2006−128034A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−317952(P2004−317952)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)
【Fターム(参考)】