説明

プラスチックの処理方法、リサイクル方法、プラスチックの処理回収物およびリサイクルプラスチック

【課題】 工場などから排出される産業廃棄物や一般廃棄物中に大量に含まれる、熱硬化性樹脂を含むプラスチックを、高速で大量に、分解および/または可溶化する処理方法、得られた生成物を分離・回収して、プラスチックの原材料として再利用するリサイクル方法を提供する。
【課題手段】 フェノール化合物を必須成分とする溶媒中で、プラスチックを分解および/または可溶化して、プラスチックを処理する方法であって、前記プラスチックの分解および/または可溶化は、バイオマス存在下で行うことを特徴とする、プラスチックの処理方法およびプラスチックのリサイクル方法、ならびにプラスチックの処理回収物およびリサイクルプラスチック。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックの処理方法、リサイクル方法、プラスチックの処理回収物およびリサイクルプラスチックに関するものである。より詳しくは、バイオマス存在下でのプラスチックの処理方法、リサイクル方法、プラスチックの処理回収物およびリサイクルプラスチックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、化石資源の利用は不可欠なものとなっているが、化石資源は再生産が不可能であり、近い将来の枯渇が懸念されている。化石資源枯渇の問題解決のために、化学原料としての消費の抑制(省資源)、エネルギーとしての消費の抑制(省エネルギー)技術の開発が進められており、化学原料としての消費抑制の1つとして、化石資源を原料としたプラスチックのリサイクル技術が注目されている。しかしながら、プラスチックは、金属やガラスなどの他の素材と比較してリサイクルが難しく、実用化は進んでいないのが実状である。特に、熱硬化性樹脂は、硬化すると、熱により軟化・融解せず、溶剤にも溶解しないため、その硬化物をプラスチック原料として再生すること、すなわちリサイクルは技術的に困難であった。
【0003】
このような、プラスチックの処理あるいはリサイクルに関する課題を克服するため、超臨界流体または亜臨界流体を用いて、プラスチックを可溶化処理する方法が検討されている。例えば、超臨界水では処理が難しい、熱硬化性樹脂を可溶化処理およびリサイクルするために、超臨界又は亜臨界状態のフェノール化合物又は水/フェノール化合物の溶液中で可溶化処理する方法が検討されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。この方法では、酸触媒やアルカリ触媒などを加えることなく、10分間程度の短い反応時間で、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂の硬化物が可溶化して、分子量200〜10,000のオリゴマー成分を回収することが可能であり、前記オリゴマー成分を熱硬化性樹脂の原料として再利用できるとしている。
この技術は、化石資源を原料とするプラスチックの処理技術あるいはリサイクル技術であり、化石資源の消費抑制にはある程度の効果が期待できる。しかし、プラスチックの処理やリサイクルを実施するには、エネルギーとしての化石資源を消費しなければいけないことから判断すると、化石資源枯渇の根本的な解決方法としては、必ずしも充分な方法とは言えない。
【0004】
化石資源枯渇の問題を解決する方策の一つとして、バイオマス資源を化石資源に替えて利用する技術が検討されている。バイオマス資源は、地球上に膨大に存在し、短期間で生産可能であり、適切な維持管理により持続的な供給が可能な資源である点、さらに資源としての利用後は、自然界で分解し、新たなバイオマス資源として生まれ変わるという点が特徴である。近年は、バイオマス資源をそのままの形態で利用するよりも、物理的・化学的処理を施した改質物を、化石資源由来の化学原料の代替原料として利用する技術が注目されている。例えば、バイオマスの一種であるリグノセルロース系物質をフェノール誘導体で処理することで得た、リグノフェノール誘導体の利用が検討されている(例えば、特許文献2、3、4参照。)。
しかしながら、バイオマスから回収された化学原料を用いた製品は、必ずしも、化石資源から回収された化学原料を用いた製品と同等の機能・性能面を得ることができるわけではなく、利用範囲が限定されてしまう場合があった。
【0005】
【特許文献1】特開2001−151933号公報(第3−4頁)
【特許文献2】特許3299110号広報
【特許文献3】特開2001−342353号公報
【特許文献4】特開2002−105240号公報
【非特許文献1】第52回ネットワークポリマー講演討論会講演要旨集,56-59(2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記問題点を解決するため種々の検討を行った結果なされたものである。その目的とするところは、主として、工場などから排出される産業廃棄物や一般廃棄物中に大量に含まれていながら、これまでリサイクルが実現できていないプラスチックの処理方法、リサイクル方法、プラスチックの処理回収物およびリサイクルプラスチックを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、フェノール化合物を必須成分とする溶媒中で、プラスチックを分解および/または可溶化して、プラスチックを処理する方法において、バイオマス存在下で、前記プラスチックと前記バイオマスを同時に分解および/または可溶化するプラスチックの処理方法を見出し、本発明を完成させるに至った
【0008】
すなわち、本発明は、
(1) フェノール化合物を必須成分とする溶媒中で、プラスチックを分解および/または可溶化して、プラスチックを処理する方法であって、前記プラスチックの分解および/または可溶化は、バイオマス存在下で行うことを特徴とする、プラスチックの処理方法、
(2) 前記バイオマスは、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、および、デンプンから選ばれる1種又は2種以上を主成分とするものである、第(1)項に記載のプラスチックの処理方法、
(3) 前記バイオマスが、前記プラスチックの有機基材として含まれるものである、第(1)項または第(2)項に記載のプラスチックの処理方法、
(4) 前記バイオマスと前記プラスチックとが、それぞれ単独で混合物として存在する、第(1)項から第(3)項のいずれかに記載のプラスチックの処理方法、
(5) 前記バイオマスの含有量は、前記プラスチック100重量部に対して、10重量部から200重量部の範囲である、第(1)項から第(4)項のいずれかに記載のプラスチックの処理方法、
(6) 前記バイオマスの含有量は、前記プラスチック100重量部に対して、20重量部から100重量部の範囲である、第(1)項から第(5)項のいずれかに記載のプラスチックの処理方法、
(7) 前記プラスチックは、熱硬化性樹脂を含むものである、第(1)項から第(6)項のいずれかに記載のプラスチックの処理方法、
(8) 前記熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂およびユリア樹脂から選ばれる1種又は2種以上である、第(7)項に記載のプラスチックの処理方法、
(9) 前記プラスチックの分解および/または可溶化は、200〜500℃の温度範囲で行うものである、第(1)項から第(8)項のいずれかに記載のプラスチックの処理方法、
(10) 前記プラスチックの分解および/または可溶化は、1〜60MPaの圧力範囲で行うものである、第(1)項から第(9)項のいずれかに記載のプラスチックの処理方法、
(11) 前記フェノール化合物は、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、アルキル置換フェノールおよびナフトールから選ばれる1種又は2種以上である、第(1)項から第(10)項のいずれかに記載のプラスチックの処理方法、
(12) 前記フェノール化合物は、第(1)項から第(11)項のいずれかに記載のプラスチックの処理方法により、プラスチックとバイオマスを同時に分解および/または可溶化した後、分離・精製して得られるフェノール化合物を含むものである、プラスチックの処理方法、
(13) 第(1)項から第(12)項のいずれかに記載のプラスチックの処理方法により、プラスチックとバイオマスを同時に分解および/または可溶化し回収して得られる、樹脂成分および/または残渣からなるプラスチックの処理回収物、
(14) 前記樹脂成分は、200〜10,000の分子量を有する樹脂成分を主体とする化合物である第(13)項に記載のプラスチックの処理回収物、
(15) 前記残渣は、プラスチックの未分解樹脂成分、該プラスチックの重合炭化生成物、該プラスチックに含有する充填材、塩基性触媒、バイオマスの未分解成分、該バイオマスの重合炭化生成物、該バイオマスに含有する無機成分から選ばれるものである第(13)項に記載のプラスチックの処理回収物、
(16) 第(1)項から第(12)項のいずれかに記載のプラスチックの処理方法により、プラスチックとバイオマスを同時に分解および/または可溶化し回収して得られる、樹脂成分および/または残渣からなるプラスチックの処理回収物を、プラスチックの原料として再利用することを特徴とする、プラスチックのリサイクル方法、
(17) 第(13)項から第(15)項のいずれかに記載のプラスチックの処理回収物を、原料として、再利用してなるリサイクルプラスチック、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、工場などから排出される産業廃棄物や一般廃棄物中に大量に含まれる、プラスチックを分解および/または可溶化処理することで、得られた処理回収物をプラスチックの原料として再利用することができる。それにより化石資源の消費量を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、フェノール化合物を必須成分とする溶媒中でプラスチックを分解および/または可溶化する処理方法において、バイオマス存在下で、プラスチックとバイオマスを同時に分解および/または可溶化するプラスチックの処理方法であり、また、前記プラスチックの処理方法により得られた処理回収物をプラスチックの原料として再利用するリサイクル方法であり、かつ、処理回収物を原料として再利用してなるリサイクルプラスチックである。
なお、本発明におけるプラスチックの処理とは、化学的な分解・再結合による処理および/または物理的な可溶化による処理を含むものである。また、得られるプラスチックの処理回収物においては、単なるプラスチック由来の樹脂成分とバイオマス由来の樹脂成分との物理的な混合物ではなく、双方に由来する樹脂成分が分解・再結合を繰り返すことで、一部が化学的に結合した共重合物であるため、処理回収物を原料として再利用したリサイクルプラスチックは、優れた材料特性を示すことが可能となる。
【0011】
本発明の方法で処理されるプラスチックは、樹脂単独で構成される場合、硬化樹脂、半硬化樹脂および未硬化樹脂、熱可塑性樹脂などがあり、溶剤を含むワニスであっても良い。また、樹脂の他に充填材や添加物等を含む場合、シリカ微粒子およびガラス繊維等の無機質系や木粉等の有機質系の充填材を含む成形材料もしくは成形品、ガラス布のような無機質系や紙および布等の有機質系基材に樹脂を含浸した積層板、これに銅箔等の金属箔を張り合わせた金属張り積層板、さらには、銅張り積層板などを加工して得られるプリント回路板のようなプラスチック製品等をも含むものとする。
【0012】
本発明に適用されるプラスチックの種類としては、特に限定されるものではないが、熱硬化性樹脂を含む場合に効果的である。熱硬化性樹脂の中でも、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等に対し好適であり、これらの内フェノール樹脂について特に効果的である。これらは、単独又は2種以上を含んでいても良い。
【0013】
本発明で適用されるバイオマスの種類としては、特に限定されるものではないが、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、および、デンプンから選ばれる1種又は2種以上を主成分とすることが好ましい。具体的には、セルロース、ヘミセルロース、リグニンを主成分とするバイオマスとして、木質系バイオマスである、木材、端材、おが屑、間伐材等や、草本系バイオマスである、もみがら、稲わら、麦わら等を用いることができる。デンプンを主成分とするバイオマスとしては、とうもろこし、ギャガイモ、サツマイモ等を用いることができる。セルロースを主成分とするバイオマスとしては、紙を用いることができる。
前記バイオマスは、廃棄物や副生物に適応することが好ましく、この場合は化石資源の消費抑制だけでなく、社会で発生する廃棄物量の削減にも効果的である。
【0014】
前記バイオマスが存在する際の状態としては、バイオマスがプラスチックの有機基材として含まれていても良く、また、バイオマス単独とプラスチック単独との混合体、さらには両者を含む混合体であっても良い。
【0015】
本発明の処理に供するプラスチック、バイオマス、およびバイオマスを有機基材として含むプラスチックの大きさは、特に限定されるものではないが、好ましくは1000μm以下であり、さらに好ましくは500μm以下である。
分解および/または可溶化処理工程においては、より小さく粉砕して用いることにより、処理時間を短縮できるので好ましい。一方で、処理工程に供する前の粉砕工程においては、小さく粉砕することが粉砕コスト増加につながる場合があるため、前記の粒子径の範囲において、処理工程と粉砕工程の双方のバランスがとれる粒子径を選定すれば良い。また、バイオマス自体が水分を含む場合、あらかじめ乾燥させてから供しても良いし、乾燥させずに水分を含むまま供しても良い。
【0016】
本発明の処理において、プラスチックとバイオマスとが、それぞれ単独で存在する場合は、前記プラスチック100重量部に対して前記バイオマスは、10〜200重量部の範囲が好適であり、20〜100重量部の範囲がより好ましい。前記の範囲よりも多くなると、処理回収物の化学原料としての特性・性能が低下する場合がある。一方、前記の範囲よりも少なくなると、格別の効果は得られないことがある。
【0017】
本発明で溶媒として用いるフェノール化合物は、芳香環の炭素に結合する水素の少なくとも一つが水酸基に置換しており、単独または他の溶媒との混合物として、超臨界または亜臨界状態で溶媒として機能し、プラスチックを分解および/または可溶化処理し得るフェノール化合物であれば、特に限定されない。通常、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、およびアルキル置換フェノールなどの単環式のフェノール化合物、ならびに、1−ナフトールおよび2−ナフトールなどの多環式のフェノール化合物が好適に挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。これらの内、コスト面および、分解および/または可溶化反応に与える効果から、フェノールが好ましい。
【0018】
本発明における溶媒としては、フェノール化合物単独、または、フェノール化合物と他の溶媒との混合物を用いることができる。フェノール化合物と他の溶媒との混合物を用いる場合、他の溶媒としては、水をはじめとして、メタノール、エタノール等のモノアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、有機酸類、酸無水物類など、通常の化学反応において溶媒として用いられるものは、いずれを用いても良く、また、複数の溶媒を併用しても良い。これらの溶媒のうち、分解および/または可溶化反応に与える効果、および、入手の容易さ等から水が好ましい。また、フェノール化合物に対する他の溶媒の混合割合としては、フェノール化合物100重量部に対して他の溶媒1〜500重量部の割合が好ましく、さらに好ましくは、フェノール化合物100重量部に対して他の溶媒5〜50重量部の割合である。他の溶媒の添加量が500重量部よりも多いと、分解速度が低下する場合がある。また、他の溶媒の添加量が1重量部よりも少ないと、やはり、分解速度が低下する場合がある。
【0019】
本発明の分解および/または可溶化処理における、プラスチックおよびバイオマスと、溶媒との割合としては、バイオマスを含むプラスチックまたはプラスチックとバイオマスの合計量が、100重量部に対して、溶媒が50〜1,000重量部の範囲が好適であり、100〜400重量部の範囲がより好ましい。溶媒の割合が前記の範囲よりも少なくなると、プラスチックとバイオマスの分解および/または可溶化処理を円滑に進行させるのが困難になる場合がある。一方、前記の範囲よりも多くなると、格別の効果は得られなく、加熱に要するエネルギーが増加する場合がある。
【0020】
本発明の分解および/または可溶化処理における、処理温度としては、通常、200〜500℃の範囲が好ましく、より好ましくは250〜400℃の範囲である。温度が前記下限値よりも低くなると、プラスチックの分解および/または可溶化速度が低下し、短時間での処理が困難になる場合がある。一方、温度が前記上限値よりも高くなると、熱分解や脱水反応などの副反応が併発して、樹脂成分の化学構造が変化するため、化学原料としての再利用が困難になる場合がある。また、処理圧力としては、通常、1〜60MPaの範囲が好ましく、より好ましくは2〜25MPaの範囲である。圧力が前記下限値よりも低くなると、溶媒が蒸気または気体の状態となるため、分解および/または可溶化速度が著しく低下してしまい、プラスチックの処理自体が困難になる場合がある。圧力が前記上限値よりも高くなると、より過酷な条件で運転可能な設備が必要となり、高圧を維持するために必要なエネルギーが増加する反面、分解および/または可溶化速度はほとんど向上せず、格段な効果が得られない場合がある。処理時間は1〜60分の範囲で調節できるが、通常は3〜30分程度で処理が完了する。
【0021】
本発明においては、前記フェノール化合物を必須成分とする溶媒に、酸、塩基触媒を添加しなくとも、分解および/または可溶化処理が効果的に進行する。この場合は、処理後の触媒分離操作が不要となるのが利点である。一方、酸、塩基触媒を添加した場合は、反応温度の低減や反応時間の短縮が可能となる。
【0022】
処理を行った加熱加圧処理容器の内容物から、溶媒(フェノール化合物、水)などを分離することで、樹脂成分および/または残渣からなる処理回収物を得ることができる。前記分離方法としては、特に限定されるものではなく、通常の固液分離で用いられる、サイクロン・ろ過・重力沈降などの方法が挙げられる。また、処理で得られた前記200〜10,000の分子量を有する樹脂成分を主体とする化合物と残渣とを含む混合物を、有機溶媒で希釈した後に、サイクロン・ろ過・重力沈降などの固液分離操作をしても良い。
【0023】
また、本発明においては、未反応の溶媒を分離し、これを溶媒として、プラスチックの処理に再利用することができる。更には、前記200〜10,000の分子量を有する樹脂成分を主体とする化合物に、蒸留や抽出などの方法を施し、フェノール化合物を分離・回収して、溶媒として再利用することができる。これらの再利用においては、必要に応じて、新たにフェノール化合物や水を加えても良い。ここで、未反応の溶媒を分離する方法には、特に限定はなく、フラッシュ蒸留、減圧蒸留、溶媒抽出など、いずれの方法を用いても良い。
【0024】
本発明のプラスチックの処理方法により得られた樹脂成分は、通常、200〜10,000の分子量を有する樹脂成分を主体とする化合物からなる。200〜10,000の分子量は、熱硬化性樹脂から構成されるプラスチックを製造する際に用いられるプレポリマーの分子量と同程度であるため、必要に応じて精製を行うことにより、熱硬化性樹脂から構成されるプラスチックの化学原料(プレポリマー)として再利用することができる。ここで、200〜10,000の分子量を有する樹脂成分を主体とするとは、ここで示した分子量の樹脂成分が50%以上含まれることを言うが、主体をする分子量の他に、分子量10,000以上の樹脂成分も含まれる。また、200〜10,000の分子量を有する樹脂成分としては、通常の熱硬化性樹脂の場合は、原料モノマーの2〜100核体程度である。また、前記200〜10,000の分子量を有する樹脂成分を主体とする化合物は、プラスチック中の樹脂から得られる成分およびバイオマスから得られる成分だけでなく、プラスチック中に含まれる有機質系充填材や基材から得られる成分を含む場合がある。
また、前記樹脂成分は、単なるプラスチック由来の樹脂成分とバイオマス由来の樹脂成分との物理的な混合物ではなく、双方に由来する樹脂成分が分解・再結合を繰り返して、一部が化学的に結合した共重合物である。このように、双方の樹脂成分間に存在する化学的な結合により、処理回収物を原料として再利用したリサイクルプラスチックは優れた材料特性を示すことが可能となる。
【0025】
本発明のプラスチックの処理方法により得られた残渣は、前記プラスチックの未分解樹脂成分、該プラスチックの重合炭化生成物、該プラスチックに含有する充填材、バイオマスの未分解成分、該バイオマスの重合炭化生成物、該バイオマスに含有する無機成分、および塩基性触媒を含むものである。
【0026】
本発明のリサイクル方法においては、上記のプラスチックの処理方法により得られた、樹脂成分および/または残渣からなるプラスチックの処理回収物を、それぞれ単独または混合して、プラスチックの原料として再利用するものである。
前記樹脂成分をプラスチックの原材として再利用する場合、前記の樹脂成分だけを原料として用いても良いし、通常の化学原料と併用して用いても良い。前記の樹脂成分は、例えば、ノボラック型フェノール樹脂などの代替原料として用いることができる。前記残渣をプラスチックの原材料として再利用する場合、前記の残渣だけを用いても良いし、通常の充填材と併用して用いても良い。前記残渣は、例えば、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、タルク、シリカ、アルミナなどの無機物の代替原料として用いることができる。
【0027】
前記リサイクル方法により、前記樹脂成分および/または残渣からなるプラスチックの処理回収物を原料として、再利用してなるリサイクルプラスチックは、成形材料、積層板、化粧板、接着剤、研磨材などとして、工業的に利用することができる。
【実施例】
【0028】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0029】
[実施例1]フェノール樹脂成形材料と木粉の処理
プラスチックとして、木粉を有機基材(充填材)として含む、汎用フェノール樹脂成形材料(住友ベークライト(株)製 PM−8200)を粉砕ふるいわけして、粒子径を500μm以下に調整したものを用いた。バイオマスとして、スギのおが屑を粉砕ふるいわけして、粒子径を500μm以下に調整した木粉を用いた
前記のフェノール樹脂成形材料:30.0gと木粉:30.0g、フェノール(和光純薬製):85.6gと水:21.3gの混合物からなる溶媒とを混合して、オートクレーブ(内容積200cm)に仕込んだのち、加熱して内温を300℃とすることで、反応器内圧を10MPaまで上昇させ高温高圧状態とした。反応系内を300rpmで攪拌しながら、300℃、10MPaで20分間保ったのち、冷却して常温常圧に戻した。
次いで、得られた分解生成物にアセトンを添加して混合した後、減圧ろ過を行うことで、ろ液とろ残に分離した。次いで、ろ液を常圧下、減圧下で加熱することで、アセトン、水、フェノールを除去して、樹脂成分:63.2gを得た。この樹脂成分を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略)により分析したところ、数平均分子量(Mn):512、重量平均分子量(Mw):2910の分子量を有していることを確認した。また、ろ残を、乾燥機で120℃/6時間の乾燥処理を行うことで、固体の残渣:8.5gを得た。
【0030】
[実施例2]フェノール樹脂成形材料と木粉の処理
実施例1において、プラスチックとして、有機基材を含まない、ガラス繊維強化フェノール樹脂成形材料(住友ベークライト(株)製 PM−9640)を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:51.0gと、固体の残渣:17.8gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0031】
【表1】

【0032】
[実施例3]エポキシ樹脂成形材料と木粉の処理
実施例1において、プラスチックとして、半導体封止用のエポキシ樹脂成形材料(住友ベークライト(株)製 EME-6300H)を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:39.3gと、固体の残渣:23.1gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0033】
[実施例4]メラミン樹脂成形材料と木粉の処理
実施例1において、プラスチックとして、メラミン樹脂成形材料(松下電工製 ME−J)を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分63.6gと、固体の残渣:8.5gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0034】
[実施例5]ユリア樹脂成形材料と木粉の処理
実施例1において、プラスチックとして、ユリア樹脂成形材料(松下電工製 CU−A)を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:64.0gと、固体の残渣:7.9gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0035】
[実施例6]フェノール樹脂成形材料と木粉の処理
実施例1において、プラスチックの仕込み量を15.0g、バイオマスの仕込み量を45.0gに変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:62.2gと、固体の残渣:6.9gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0036】
[実施例7]フェノール樹脂成形材料と木粉の処理
実施例1において、プラスチックの仕込み量を24.0g、バイオマスの仕込み量を36.0gに変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:62.8gと、固体の残渣:7.9gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0037】
[実施例8]フェノール樹脂成形材料と木粉の処理
実施例1において、プラスチックの仕込み量を50.0g、バイオマスの仕込み量を10.0gに変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:64.6gと、固体の残渣:10.6gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0038】
[実施例9]フェノール樹脂成形材料と木粉の処理
実施例1において、プラスチックの仕込み量を57.0g、バイオマスの仕込み量を3.0gに変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:65.1gと、固体の残渣:11.4gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0039】
[実施例10]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、単独のバイオマスを仕込まずに、プラスチックの仕込み量を60.0gとして、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:75.0gと、固体の残渣:12.1gを得た。ここで、本実施例におけるプラスチックである汎用フェノール樹脂成形材料は、有機基材(充填材)として木粉を含有しており、バイオマスがプラスチックの有機基材として存在している。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0040】
[実施例11]フェノール樹脂成形材料と麦わらの処理
実施例1において、バイオマスを木粉に代えて、麦わらを粉砕ふるいわけして、粒子径を500μm以下に調整した粉砕粉を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:63.9gと、固体の残渣:7.2gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0041】
[実施例12]フェノール樹脂成形材料と紙の処理
実施例1において、バイオマスを木粉に代えて、新聞紙を粉砕ふるいわけして、粒子径を500μm以下に調整した粉砕粉を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:64.2gと、固体の残渣:8.1gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0042】
[実施例13]フェノール樹脂成形材料とトウモロコシ種皮の処理
実施例1において、バイオマスを木粉に代えて、トウモロコシ種皮を粉砕ふるいわけして、粒子径を500μm以下に調整した粉砕粉を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:65.4gと、固体の残渣:6.0gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0043】
[実施例14]フェノール樹脂成形材料と木粉の処理
実施例1において、反応時間を40分間に変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:64.7gと、固体の残渣:7.9gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0044】
[実施例15]フェノール樹脂成形材料と木粉の処理
実施例1において、反応温度を200℃、反応圧力を1.6MPa、反応時間を120分間に変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:56.6gと、固体の残渣:15.2gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0045】
[実施例16]フェノール樹脂成形材料と木粉の処理
実施例1において、反応温度を400℃、反応圧力を25MPa、反応時間を10分間に変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:66.1gと、固体の残渣:6.9gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0046】
[実施例17]フェノール樹脂成形材料と木粉の処理
実施例1において、反応温度を450℃、反応圧力を45MPa、反応時間を5分間に変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:67.6gと、固体の残渣:5.7gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0047】
[実施例18]フェノール樹脂成形材料と木粉の処理
実施例1において、溶媒として、フェノールに代えて、オルトクレゾール(和光純薬製)を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:64.6gと、固体の残渣:10.2gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0048】
[実施例19]フェノール樹脂成形材料と木粉の処理
実施例1において、溶媒として、フェノールに代えて、パラクレゾール(和光純薬製)を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:65.1gと、固体の残渣:9.7gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0049】
[実施例20]フェノール樹脂成形材料と木粉の処理
実施例1において、溶媒として、フェノールに代えて、2−ナフトール(和光純薬製)を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:59.6gと、固体の残渣:12.7gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0050】
[実施例21]フェノール樹脂成形材料と木粉の処理
実施例1において、溶媒として、フェノールに代えて、フェノール:50.0gとオルトクレゾール:35.6gの混合物を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:64.1gと、固体の残渣:8.7gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0051】
[実施例22]フェノール樹脂成形材料と木粉の処理
実施例1において、酸触媒として、10wt%硫酸水溶液:15gを加え、反応時間を10分間に変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:63.2gと、固体の残渣:8.4gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0052】
[実施例23]フェノール樹脂成形材料と木粉の処理
実施例1において、塩基触媒として、10wt%水酸化ナトリウム水溶液:15gを加え、反応時間を10分間に変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:63.5gと、固体の残渣:8.5gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0053】
[比較例1]木粉の処理
実施例1において、プラスチックを仕込まずに、バイオマスとして木粉:60gを用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:61.1gと、固体の残渣:5.3gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0054】
[比較例2]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、バイオマスを仕込まずに、プラスチックとして、有機基材を含まないガラス繊維強化フェノール樹脂成形材料(住友ベークライト(株)製 PM−9640):60gを用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂成分:55.2gと、固体の残渣:39.0gを得た。樹脂成分の回収量・分子量、固体の残渣の回収量は表1にまとめて示した。
【0055】
[実施例24]フェノール樹脂成形材料としてのリサイクル(プラスチック/バイオマス系回収物)
実施例1で回収した樹脂成分:43重量部に対して、ヘキサメチレンテトラミン(和光純薬製、特級):7重量部、木粉:40重量部、炭酸カルシウム(和光純薬製):10重量部を配合して、フェノール樹脂成形材料として再利用した。前記原材料をクッキングミル(松下電器製、ファイバーミキサー)で乾式混合したのち、金型温度:175℃、成形圧力:10MPa、成形時間:3分間の条件で、曲げ強度および熱変形温度の試験片を作製した。曲げ強度・曲げ弾性率および熱変形温度は、JIS−K6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定を行った。表2に測定結果を示す。
【0056】
【表2】

【0057】
[実施例25〜29]フェノール樹脂成形材料としてのリサイクル(プラスチック/バイオマス系回収物)
実施例6〜実施例10で回収した樹脂成分:43重量部に対して、ヘキサメチレンテトラミン(和光純薬製、特級):7重量部、木粉:40重量部、炭酸カルシウム(和光純薬製):10重量部を配合した以外は、実施例23と同様の操作で、曲げ強度・曲げ弾性率、熱変形温度を測定した。表2に測定結果をまとめて示す。
【0058】
[比較例3]通常のフェノール樹脂成形材料
実施例24において、実施例1で得た樹脂成分43重量部に代えて、市販のノボラックフェノール樹脂43重量部(住友ベークライト(株)製 PR−51714)を用いた以外は、実施例24と同様の操作で、通常のフェノール樹脂成形材料の試験片を作製して、曲げ強度、曲げ弾性率、熱変形温度を測定した。表2に測定結果を示す。
【0059】
[比較例4]フェノール樹脂成形材料としてのリサイクル(バイオマス単独系回収物)
実施例24において、実施例1で得た樹脂成分43重量部に代えて、比較例1で得た樹脂成分43重量部を用いた以外は、実施例24と同様の操作で試験片を作製して、曲げ強度、曲げ弾性率、熱変形温度を測定した。表2に測定結果を示す。
【0060】
[比較例5]フェノール樹脂成形材料としてのリサイクル
(バイオマス単独系回収物とプラスチック単独系回収物との混合物)
実施例24において、実施例1で得た樹脂成分43重量部に代えて、比較例1で得た樹脂成分22重量部と、比較例2で得た樹脂成分21重量部とを用いた以外は、実施例24と同様の操作で試験片を作製して、曲げ強度、曲げ弾性率、熱変形温度を測定した。表2に測定結果を示す。
【0061】
表2に示した結果から、比較例4、比較例5のように、バイオマス単独を処理することで回収した樹脂成分を原料としたフェノール樹脂成形材料、あるいは、バイオマス単独とプラスチック単独とを、別々に処理することで回収した樹脂成分を混合して原料としたフェノール樹脂成形材料は、比較例3のような通常のフェノール樹脂成形材料と比較して、機械特性と熱変形温度の劣化が顕著であり、不充分な特性しか得られない。
それに対して、実施例24から実施例29のように、バイオマス存在下で、プラスチックとバイオマスを同時に、分解および/または可溶化することで回収した樹脂成分を原料とすれば、比較例3のような通常のフェノール樹脂成形材料とほぼ同等の高い機械強度と、高い熱変温度を有する成形材料を得ることができる。これは、プラスチックとバイオマスの双方に由来する樹脂成分が、分解・再結合を繰り返して、一部が化学的に結合した共重合物を形成したために実現できたものである。
【産業上の利用可能性】
【0062】
工場などから排出される産業廃棄物や、一般廃棄物中に大量に含まれていながら、これまでリサイクルが実現できていないプラスチックを、高速で大量に分解および/または可溶化処理し、プラスチックの原材料として再利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール化合物を必須成分とする溶媒中で、プラスチックを分解および/または可溶化して、プラスチックを処理する方法であって、前記プラスチックの分解および/または可溶化は、バイオマス存在下で行うことを特徴とする、プラスチックの処理方法。
【請求項2】
前記バイオマスは、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、および、デンプンから選ばれる1種又は2種以上を主成分とするものである、請求項1に記載のプラスチックの処理方法。
【請求項3】
前記バイオマスが、前記プラスチックの有機基材として含まれるものである、請求項1または請求項2に記載のプラスチックの処理方法。
【請求項4】
前記バイオマスと前記プラスチックとが、それぞれ単独で混合物として存在する、請求項1から請求項3のいずれかに記載のプラスチックの処理方法。
【請求項5】
前記バイオマスの含有量は、前記プラスチック100重量部に対して、10重量部から200重量部の範囲である、請求項1から請求項4のいずれかに記載のプラスチックの処理方法。
【請求項6】
前記バイオマスの含有量は、前記プラスチック100重量部に対して、20重量部から100重量部の範囲である、請求項1から請求項5のいずれかに記載のプラスチックの処理方法。
【請求項7】
前記プラスチックは、熱硬化性樹脂を含むものである、請求項1から請求項6のいずれかに記載のプラスチックの処理方法。
【請求項8】
前記熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂およびユリア樹脂から選ばれる1種又は2種以上である、請求項7に記載のプラスチックの処理方法。
【請求項9】
前記プラスチックの分解および/または可溶化は、200〜500℃の温度範囲で行うものである、請求項1から請求項8のいずれかに記載のプラスチックの処理方法。
【請求項10】
前記プラスチックの分解および/または可溶化は、1〜60MPaの圧力範囲で行うものである、請求項1から請求項9のいずれかに記載のプラスチックの処理方法。
【請求項11】
前記フェノール化合物は、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、アルキル置換フェノールおよびナフトールから選ばれる1種又は2種以上である、請求項1から請求項10のいずれかに記載のプラスチックの処理方法。
【請求項12】
前記フェノール化合物は、請求項1から請求項11のいずれかに記載のプラスチックの処理方法により、プラスチックとバイオマスを同時に分解および/または可溶化した後、分離・精製して得られるフェノール化合物を含むものである、プラスチックの処理方法。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれかに記載のプラスチックの処理方法により、プラスチックとバイオマスを同時に分解および/または可溶化し回収して得られる、樹脂成分および/または残渣からなるプラスチックの処理回収物。
【請求項14】
前記樹脂成分は、200〜10,000の分子量を有する樹脂成分を主体とする化合物である請求項13に記載のプラスチックの処理回収物。
【請求項15】
前記残渣は、プラスチックの未分解樹脂成分、該プラスチックの重合炭化生成物、該プラスチックに含有する充填材、塩基性触媒、バイオマスの未分解成分、該バイオマスの重合炭化生成物、該バイオマスに含有する無機成分から選ばれるものである請求項13に記載のプラスチックの処理回収物。
【請求項16】
請求項1から請求項12のいずれかに記載のプラスチックの処理方法により、プラスチックとバイオマスを同時に分解および/または可溶化し回収して得られる、樹脂成分および/または残渣からなるプラスチックの処理回収物を、プラスチックの原料として再利用することを特徴とする、プラスチックのリサイクル方法。
【請求項17】
請求項13から請求項15のいずれかに記載のプラスチックの処理回収物を、原料として、再利用してなるリサイクルプラスチック。

【公開番号】特開2006−104230(P2006−104230A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−288986(P2004−288986)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】