説明

プラスチックまたは金属プラスチック製軟質チューブの製造方法

軟質チューブ胴部の製造方法であって、一つまたは複数のプラスチックまたは金属層から成る平坦な帯材から円筒状のスリーブを製造する過程と、それに続いて前記胴部を得るために所望の長さに前記円筒状のスリーブを切り抜く過程とから成る製造方法。該製造方法は、円筒状のスリーブの製造過程の前に、少なくとも0.5%に等しい薄肉化、または振幅が少なくとも厚みの1/30とその5倍の間に含まれる凹凸の生成となる塑性変形を前記帯材に加える予備過程を備える。帯材は例えば、ほぼ平行な二本のカレンダーロールの間に含まれるギャップ内を通る。典型的には、カレンダーロールは帯材の幅1ミリメートルあたり2.5ニュートンと500ニュートンの間に含まれる応力を、該帯材にかける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペースト状の液状製品を貯蔵または分配するための、軟質チューブ製造方法の改良に関するものである。これらの軟質チューブは「ラミネート」軟質チューブと呼ばれるが、それは該チューブが頭部と軟質胴部とから成り、胴部自体は、一般的にプラスチックまたは金属の複数の層を含む「ラミネート」と呼ばれる帯材から得られるからである。胴部は、平坦な帯材の圧延加工によって得られた、円筒状のスリーブにおける切り抜きによって得られる。圧延加工は、帯材の縁を一般的にわずかに重ね合わせて互いに向かい合わせ、ついで相互に溶着することによって、前記帯材が円筒状に成形されるように実施される。チューブの頭部は次に、前記胴部の一端に溶着される。頭部は、該チューブ内に含まれる製品の分配孔を備えた頸部と、頸部を前記胴部に接続する肩部とを具備している。このようにして実現されたチューブは、次に、頭部を下にして−例えば、頸部にねじ込んだ口金によって−分配孔を閉塞して、包装機に引き渡されることによって、該包装機がチューブの開放端から該チューブを充填するようにしている。一旦チューブが充填されると、その開放端は平坦にされ、その平坦化によって向かい合わせにされた両壁部を結合し、それによって包装物を密封する溶着(横断溶着または最終溶着と呼ばれる)を実施する。
【背景技術】
【0002】
例えば、仏国特許発明第1571778号明細書により、帯材を圧延加工し、それについで互いに向かい合わせにされた後の帯の縁を、例えば、誘導加熱により熱溶着する、円筒状チューブの従来の製造は周知である。以下において、ペースト状の液体製品を貯蔵および分配するための軟質チューブを特徴づけるため、この円筒状のチューブを、「スリーブ」形状されたと呼ぶものとする。
【0003】
図1〜図4は、かかるスリーブの製造を可能にする先行技術の典型的方法を実施する装置を図示している。
【0004】
図1は、コイル状に巻かれた帯材(1)からスリーブ(4)を製造することを可能にする製造装置または製造ライン(6)のXZまたはPXZ面での縦断面図である。スリーブを次に、所与の長さに切り分けて、円筒状の胴部(41)を得るようにし、該胴部は頭部に組み立てられるためのものであり、それによって軟質チューブを得るようにする。
【0005】
図1eにおいて、長手方向Xにそった生産ライン(6)のさまざまな手段を、それらの横座標X=XAからXFで表した。
【0006】
図1a〜図1dは、装置(6)の種々の移動ベルト(620、640、650および660)のPXZ面にそった断面図であって、該移動ベルトはそれ自体閉じており、X軸に沿って互いに位置づけられているが、別個に示すためにZ軸に沿ってずれている。
【0007】
・図1a:帯材の縁2と3を覆う区域の下に位置づけられ、典型的には約1.8mの長さにわたって、X=XDからX=XGまで延長している、図4の断面図に示した、「内側ベルト」と呼ばれる、中心マンドレル(62)と一体の移動ベルト(620)。
【0008】
・図1b:帯材の縁2と3を覆う区域の上に位置づけられ、典型的には約0.4mの長さにわたって、X=XEからX=XFまで延長している、「高温外側ベルト」と呼ばれる、移動ベルト(640)。
【0009】
・図1c:帯材の縁2と3を覆う区域の上に位置づけられ、典型的には約1mの長さにわたって、X=XFからX=XGまで延長している、「低温外側ベルト」と呼ばれる、移動ベルト(650)。
【0010】
・図1d:X=XBとX=XHの間で、約2.5mの長さにわたってチューブを駆動する、巻かれた帯材とスリーブの下に位置する、搬送ベルトと呼ばれる、移動ベルト(660)。
【0011】
図1eと図1fは、前記製造ライン(6)内の帯材(1)と前記帯材(1)の縁の圧延加工と溶着によるスリーブの実現を、とくに示している。図1eは、PXZ面にそった断面図で帯材とスリーブを示している。図1fは、帯材(1)の圧延加工、前記帯材の縁(2)と(3)の重ね合わせ、および前記縁の溶着の連続する過程を、X軸に沿ってXAからXHで示した、横座標が異なるXZ面にそった横断面図で図示している。
【0012】
以下において、図1に関連して、上流から下流に向かって、図1a〜1eの異なる移動ベルトにくわえて、製造ライン(6)上の様々な手段を明らかにすることにするが、これらの手段のいくつかは図示を複雑にしないために図1には、そのままでは表示されていない。
【0013】
a)帯材が平坦なまま横断方向の正確な位置に到達する、すなわち固定された長手方向軸(40)を含むその中心面(100)を備えた製造ラインの箇所(6)を表すX=XAの上流には、まず、帯材(1)送給手段(10)、典型的には帯材送出器、ついで側方案内手段(60)がある。
【0014】
・ついで図3に詳細を示したように、二本のローラ(61)、上流側張力用ローラ(610)と下流側張力用ローラ(611)があり、該二本のローラの回転速度の差は、側方の波が生じたときはそれを打ち消して帯材の縁または端を安定させるための張力を、帯材内に発生させる。図3は、二本の張力用ローラ(610)と(611)を備えた装置(61)の概略図であり、二本のローラは、図3に示したように同じ直径で、第二ローラ(611)が第一ローラ(610)の角速度ω1を超える角速度ω2で回転するか、または両角速度は近接しており、帯材(1)の線速度が第一ローラよりも第二ローラの出口で早くなるように第二ローラ(611)の直径が第一ローラ(610)のものより大きいものである。このため、帯材(1)はこれら二本のローラの間で、帯材構成材料の弾性限界に達する可能性がある長手方向張力にかけられる。
【0015】
ローラ(610)の上流に示された帯材(1)は縁に凹凸また起伏があるが、ローラ(611)の下流で帯材に張力をかけた後、帯材の縁に凹凸はない。典型的には、帯材(1)を形成する材料の弾性限界の0.3倍と0.8倍の間に含まれるこの張力は、チューブ(4)が形成される間維持される。
【0016】
b)X=XAとX=XBの間で、一般的にY軸上での帯材の位置決めを、よりよく制御することを可能にする補助手段が見いだされる。規則的な長手方向の溶着を得ようとするならば、帯材の横断方向の位置をよく制御することが重要な効果となる、なぜなら溶着の際、帯材の縁がある幾何学的形状を制御する必要があるからである。
【0017】
c)点X=XBにおいて、図1fに示された横断形状に沿ってこの帯材の圧延加工を開始するように、中心の小ローラ(630)がその中心面(100)の部位で帯材(1)に押し付けられる。
【0018】
d)点X=XCにおいて、帯材の縁(2)と(3)は溝付き小ローラ(6310)の溝と噛み合い、このとき帯材の横断形状は図1fに示したようになる。図2は、二つの溝付き小ローラ(6310)を用いて、帯材(1)の縁(2、3)の案内装置(631)をPYZ面の断面で示し、縁はこの溝の中に維持され、この装置(631)はそれ自体が製造ライン(6)の基台に固定された円形支え(6311)を備えている。
【0019】
e)X=XCとX=XDの間に、中心マンドレル(62)をその位置に維持するための、そして必要に応じて帯材の圧延加工を継続するための(図1に示されていない)手段がとくに見いだされる。
【0020】
f)X=XDとX=XEの間で、圧延ローラ(632)と(633)は、帯材の縁(2、3)を折り畳むように、図4に示したごとく側方に押し付けられる。図4は、圧延加工ローラ(632)と(633)を用いて帯材(1)の圧延加工をPYZ面の断面図で示しており、該圧延加工ローラは、溶着のために上縁(2)と下縁(3)を向かい合わせるように、それぞれ凹型表面(6320)と(6330)並びに回転軸(6321)と(6331)を有している。軸(6321)と(6331)は、−図4に示したごとく−垂直または傾けることが可能で、それらの収斂点は重なり区域と同じ側に位置することによって、縁2と3を向かい合わせてより強固に維持し、できる限り安定した重なりの幾何学的形状を得るようにする。なぜなら、帯材の縁がある幾何学的形状は、溶着の差異にできる限り安定していることが大事だからである。とくにそれが重なり幅、したがって、目に見える溶着幅を決定するからである。
【0021】
g)X=XEとX=XFの間で、高温外側ベルト(640)によって内側ベルト(620)に押し付けられているおかげで、縁は上下に重ねられて維持(あるいは、欧州特許第0627982号明細書(Karl Magerle Lizenz))に記載されている方法のように、単に互いに並置)される。このように押し付けられるので、これらの縁は、例えば、帯材が金属プラスチックである場合に帯材に直接作用するインダクタ(641)を用いて、X=XEからXF区域内に入る直前に、あるいはX=XEからXF区域それ自体の中で、この部位に対して熱を加えることによって互いに溶着される。
【0022】
h)X=XFとX=XGの間で、スリーブを中心マンドレル(62)で内部に支えている間に溶着が冷却される。溶着区域自体はこの行程の間、内側移動ベルト(620)と低温外側ベルト(650)の間で圧縮して維持される。
【0023】
i)XGとXHの間で、このようにして得られた円筒状のスリーブはその形成装置(移動ベルト620と650並びに中心マンドレル(62))から出て、所望の長さの円筒状の胴部(41)に切り分けられる(67)。
【特許文献1】仏国特許発明第1571778号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
帯材の側方位置決め制御のために払われた全ての注意にもかかわらず、溶着の際に帯材の縁がある幾何学的形状は期待されるほど安定していないので、溶着品質がその影響を受ける。同一の胴部上の目に見える欠陥は回避できても、長手方向溶着の幅は胴部毎に大幅に異なる可能性があり、溶着の堅牢性を制御するのは困難かつコスト高になる。その現象は、帯材の流れ速度とともに拡大するので、この方法の生産性はそのために制限される。
【0025】
くわえて、形成装置(ベルト620と650並びに中心マンドレル(62))から出るとき、大多数の場合、とくに元の帯材が体積の70%を超える熱可塑性材料を含んでいるとき、スリーブはその完全な円形形状を喪失することが明らかになる。その断面は、後述の実施例に図示されたごとく、実際には「水滴」の形状を取る。このことはとくに、軟質チューブ製造の一環としてその後実施される作業に悪影響がある。第一に、胴部の端にチューブの頭部を取り付けるとき、それは鋳造された頭部の円形の端とうまく一致しない。次に、胴部のもう一方の端はその後問題の発生源になるが、それは包装機が胴部のこの開放端からノズルを差し込んで軟質チューブを充填しなければならないからである。この開放端が完全に円形でなければ、充填ノズルの自動挿入はかき乱され(例えば、胴部の端の充填ノズルへの接着)、そのため、所望の充填の速さに達するために心出しと測定の高価な手段を付加することが必要になる。最後に、チューブが充填されたとき、この同じ端が最終溶着の対象となり、もし、胴部の端が反復的な円形の幾何学的形状を有する場合には、その端の最終溶着は全く容易になる。
【0026】
したがって、本出願人は、かかる不都合を回避するように前記製造方法を変更しようとした。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、上述のようなラミネート軟質チューブの製造方法の改良を目的とするものであり、上述の帯材の製造過程に予備過程を挿入することからなるものである。その帯材の長手方向の二つの端を折り畳み、ついで向かい合わせるか並置させて円筒状に成形する前に、応力を緩和した後に帯材が非可逆的変形を受けるような応力を帯材にかける。この非可逆的変形、つまり塑性変形は、必ずしも極めて大きい必要はないが、典型的には1%を超える。重要なのは、この可塑化が残留応力の状態を変えるに十分な帯材の厚みの部分に及ぶことである。
【0028】
帯材を塑性変形させるために、−例えば、圧延によって−少なくとも0.5%の、好適には1%を超える薄肉化を想定することができる。同様に、振幅が厚みの値の1/30とその5倍の間、好適には厚みの1/15とその5倍の間、さらに好適には厚みの1/10とその3倍の間に含まれる凹凸または陥凹を生み出すことになるエンボス加工を想定することもできる。
【0029】
本発明の好適な実施態様によれば、ほぼ平行な二本のカレンダーロールの間に含まれるギャップに帯材が通され、二本のカレンダーロールの間の平均距離は帯材の初期厚み未満である。典型的には、これらのカレンダーロールは、帯材の幅1ミリメートルあたり2.5ニュートンと500ニュートンの間に含まれる応力を帯材にかけなければならない。
【0030】
これはいわば簡易カレンダ加工であり、該加工において、使用される装置が具備するカレンダーロールの数は少なく(例えば、二本に制限される)、また前記カレンダーロールは必ずしも加熱されていない。以下において、この作業を「カレンダ加工」あるいは、用語が適切な場合、「エンボス加工」と呼ぶ。
【0031】
必要な応力は、帯材の構成材料の種類に依存する。体積の70%を超える熱可塑性材料が該帯材に含まれるとき、この応力は帯材がおかれる平均温度とともに低下し、熱可塑性材料の粘性作用とともに増加する。
【0032】
カレンダーロールは平滑で、この場合にかけられるカレンダ加工は、少なくとも0.5%に等しく、好適には1%を超える可塑性薄肉化になる。カレンダーロールは、帯材のエンボス加工を可能にする多少高低のある凹凸を付けることもできる。エンボス加工された凹凸の振幅は、典型的には帯材の厚みの30分の1とその5倍の間に含まれるが、もっとも良い結果は厚みの1/10とその3倍の間に含まれる凹凸で得られる。この場合カレンダーロールの間に加えられる応力は、帯材のエンボス加工に必要な最小応力に少なくとも等しい。
【0033】
好適には、エンボス加工された凹凸が帯材の全表面にわたっていないとき、該凹凸は規則的なコイルの形で帯材を巻くことができるように規則的に配分されていなければならない。エンボス加工された模様が規則的に配分されていないとき、帯材を円筒状にすることを可能にする装置の上流に、例えば、中心の小ローラ(630)の上流に、あるいはさらに望ましくは、帯材の側方案内手段(60)の上流にカレンダーロールを置くことによって、胴部製造ラインの上に直接エンボス加工を実施することが望ましい。凹凸が帯材の全幅にわたって規則的に配分されているとき、円筒状に成形される帯材の適性に対するエンボス加工の効果はきわめて顕著なので、帯材の前記側方案内手段は場合によっては不必要とみなされる。
【0034】
帯材の可塑性力学作用が支配的なとき(わずかな応力での非可逆的変形を得る適性)、例えば、該帯材がアルミ合金などの金属を体積の30%を超えて含むとき、圧延または環境温度でのエンボス加工を実施することができる。圧延は、前記金属の環境温度での弾性限界が達成されるように、カレンダーロールの間の締め付けによって実現される:大まかに言えば、変形は平坦変形に近いので、カレンダーロールの間の締め付け力は、牽引応力がないときには、弾性限界の2/√3倍に近い通常応力にあたる。エンボス加工は、凹凸が非可逆的に得られるような十分な応力をかけることで実現される。
【0035】
帯材が、典型的には体積の70%を超える大量の熱可塑性材料を含むとき、カレンダーロールの間のギャップ内の帯材の入口の上流に、帯材の厚み内の平均温度が75℃と120℃の間に含まれる温度に達し、カレンダーロールと接触する直前に、少なくとも0.5秒の間所期の温度で維持されるのに十分長い加熱区域を備えるのが望ましい。
【0036】
大量の熱可塑性材料を含む帯材は、紙、金属などの非熱可塑性材料で構成された層、あるいは、例えば、熱圧縮繊維で構成された不織材料などの異質層を含むこともできる。さらに、該帯材は、典型的には炭酸カルシウム、粘土鉱物、雲母などの固体粒子を充填した熱可塑性材料の層を含むこともできる。しかしながら、本発明の推奨実施態様に勧められた予備熱処理の良い効果が現れるためには、該帯材は、体積の少なくとも70%の熱可塑性材料を含んでいなければならない。
【0037】
二本のローラ間を通過することでエンボス加工が行われる場合、ローラの一方は好適には金属製で、他方はエラストマーまたはゴム製である。また好適には、金属製ローラは、帯材がカレンダーロールの間のギャップから出たときに巻取器に巻かれるか、円筒状の形に成形するために変形されるように冷却され、その温度は環境温度に近く、典型的には40℃未満である。
【0038】
一般的に、軟質チューブの胴部はチューブに含まれる中身の製品を使用者に知らせるための、印刷された模様を含んでいる。軟質チューブのこの製造方法において、円筒状に成形する前に、例えば、カレンダーロールの間に含まれるギャップ内に帯材を通す前、あるいはその間に、帯材の上に印刷される。
【0039】
このような場合のカレンダーロールは、例えば、フレキソ印刷あるいは直接活版印刷などによって、模様を印刷するのに用いられるカレンダーロールに対応することができる。帯材にエンボス加工しようとする場合、エンボス加工を可能にする凹版ローラは、エンボス加工された陥凹にインクを付けるのに用いることも可能であり、それによって特殊な装飾(「print valley」)の効果が付与される。
【発明の効果】
【0040】
かかる予備過程によって、帯材が示すのは、円筒状に成形される適性が大幅に改善され、得られたスリーブが形成装置(内側ベルト(620)、低温外側ベルト(650)と中心マンドレル(62))から出たときにもはや水滴形の断面を持たない(したがって、真円性が高くなる)ような、力学的作用である。円筒状に成形される帯材の最も優れた適性は、前記帯材の縁の上に側方の波の発生の減少と、前記帯材の、長手方向により大きく横断方向により均質になる弾性剛性とによるものである。
【0041】
実際、本発明による予備過程は、帯材の形を規則的にし(側方の波が少ない)、前記帯材内を支配する残留応力の振幅を減らす効果のあるカレンダ加工/エンボス加工の作業である。その効果は、帯材の弾性作用を均一にすることであり、とくに規則的に配分された凹凸および/または陥凹を生成するエンボス加工の場合、長手方向にも横断方向にも帯材の剛性を増加させることである。
【0042】
したがって、曲げ応力の影響を受けて、帯材はその全幅にわたってより均質な曲率半径を示す。くわえて、これらの曲げ応力は(中心の小ローラ(630)によって、X=XCとX=XDの間で帯材の圧延を継続することを可能にする手段によって、圧延ローラ(632)と(633)によって)局所的に加えられるので、長手方向の剛性がより高い帯材は、前記応力のかかる区域の外で課された形状をよりよく保存する。これらすべてが、帯材の縁を溶着するために向かい合わせる(つまり並置させる)まで、圧延の間、該縁をよりよく案内することを可能にする。したがって、より安定した被覆の幾何学的形状を得ることができ、実現される溶着はより良い品質である。
【0043】
結局、横断方向の剛性の均一化と残留応力の低下ということは、スリーブが形成装置を出た後により高い真円性を示すということでの、一つの説明になり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
先に見たごとく、図1〜図4は、帯材を円筒形スリーブの形にするの適した装置を図示している。図5は、スリーブの二つの断面を図示している。図5aは、本発明による予備処理を受けていないスリーブについて、水滴の形の断面を図示している。図5bは、前記予備処理を受けたスリーブに関するものである;それはより高い真円性を示している。
【実施例1】
【0045】
全厚みが280μm、幅225mmの金属プラスチック帯材は、下記の構造を有する。
PE.BD(90μm)/EAA(25μm)/アルミニウム(15μm)/EAA(20μm)/PE.BD(130μm)
ここでPE.BD=低密度ポリエチレン
EAA=共重合体(アクリル酸エチレン)
【0046】
帯材はコイルの形を取る。帯材の第一の部分は、本発明による予備処理を受けずに用いられる。該帯材の第一の部分は、先に説明し、図1〜図4に示したごとく、円筒状スリーブを実現するために用いられる。その流れ速度は30m/分程度である。
【0047】
コイル全体、すなわち約1000mを巻出した後、幅が1.6mmと2.5mmの間で変動する長手方向溶着を備えてスリーブが出てくることが分かる。その断面は、図5aに示したような形状タイプの水滴形で成形装置を出る。楕円化は、選択された軸Lが最大直径に対応するとき、二つの直交する直径LとPの値を比較して測定される。表1の左側部分では、これらの直径の比の平均が0.95、標準偏差が0.02であることが分かる。
【0048】
同じ帯の他の部分は、円筒状に成形される前に、環境温度でエンボス加工にかけられる。エンボス加工装置は、高さが50μmと100μmの間に含まれる凹凸が彫られたエンボス加工用カレンダーロールとエラストマー製の押圧用カレンダーロールとから成る。エンボス加工用カレンダーロールにかかる応力は、200kN程度である。
【0049】
先に述べた試論に記載のごとく、帯材が流れる速度は30m/分程度である。エンボス加工の後、全幅にわたって「皮」のような外観を呈する帯材は、巻かれてコイルを形成する。
【0050】
次にコイルは、上述の方法に従って円筒状スリーブを実現するのに用いられる。実現された溶着は、帯材にエンボス加工をしていないときよりも品質が優れていることが分かる;その長さは変動するが、変化の幅ははるかにより小さく1.8mmと2.2mmの間である。その断面は、図5bに図示したような形状タイプの円形で成形装置を出る。表1の右側部分では、これらの直径の比の平均は0.99であり、標準偏差は0.02であることが分かる。
【0051】
【表1】

【0052】
他方で、「リバウンド」と呼ばれる特性の向上が認められる。「リバウンド」とは、押された後にその円筒形状を取り戻すチューブの胴部の適性の特徴である。この値が高くなるほど、この適性も向上する。押さえ板法を用いる標準曲げ試験によって、該適性を測定する:胴部の半分は直径面に沿って打ち抜かれ、ついでその端により支えに嵌め込まれる。アーチの頂点の母線に押し付けられる軸装置を用いて、このように形成されたアーチを押し込む(MD)。その他の試験は、軸方向に垂直な方向に曲げられた半胴部で形成されたアーチで実施された(CMD)。所与の曲げに対応する押し込み力の値を測定する。下記の表2は、直径35mmの胴部に対する5mmの曲げに対応する応力(単位N)の値を示している。
【0053】
【表2】

【実施例2】
【0054】
全厚みが280μm、幅225mmの全プラスチック帯材は下記の構造を有する:
PE.BD(15μm)/PEHD(60μm)/PE.BD(75μm)/EMA(10μm)/EVOH(20μm)/EMA(10μm)/PE.BD(90μm)
ここでPE.BD=低密度ポリエチレン
PE.HD=高密度ポリエチレン
EAA=重合体(アクリル酸エチレン)
【0055】
帯材はコイルの形を取る。帯材の第一の部分は、本発明による予備処理を受けずに用いられる。該帯材の第一の部分は、先に説明し、図1〜図4に示したごとく、円筒状スリーブを実現するために用いられる。
【0056】
コイル全体(約1000m)を巻出した後、幅が1.4mmと2.6mmの間で変動する長手方向溶着を備えてスリーブが出てくることが分かる。その断面は、図5aに示したような形状タイプの水滴形で成形装置を出る。楕円化は、選択された軸Lが最大直径に対応するとき、二つの直交する直径LとPの値を比較して測定される。表3の左側部分では、これらの直径の比の平均が0.93、標準偏差が0.02であることが分かる。
【0057】
【表3】

【0058】
同じ帯の他の部分は、円筒状に成形される前に、深さがほぼ70μmに等しい陥凹の六角形模様で「蜂の巣」状の凹凸をそれに付与するためのエンボス加工にかけられる。エンボス加工装置の上流で、帯材は加熱トンネル内を連続して通過する。該帯は、そこで80℃に加熱され、そこで少なくとも0.6秒間維持されてから、エンボス加工装置のギャップの中に入る。エンボス加工装置は、彫られたエンボス加工用カレンダーロールとエラストマー製の押圧用カレンダーロールとから成る。エンボス加工用カレンダーロールにかかる応力は、170kN程度である。
【0059】
金属製のエンボス加工用カレンダーロールは、水回路で冷却される。したがって帯材は、環境温度に近い、いずれにしても40℃未満の温度で巻取器に到達する。
【0060】
次にコイルは、円筒状スリーブを実現するのに用いられる。実現された溶着は品質が優れていることが分かる;その幅は、1.8mmと2.2mmの間で変動する。その断面は、円の形状で成形装置を出る。
【0061】
他方で、「リバウンド」と呼ばれる特性の向上が認められる(実施例1の説明を参照)。下記の表4は、直径35mmの胴部に対する5mmの曲げに対応する応力(単位N)の値を示している。
【0062】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】帯材を円筒形スリーブの形に製造する装置の図
【図2】帯材を円筒形スリーブの形に製造する装置の図
【図3】帯材を円筒形スリーブの形に製造する装置の図
【図4】帯材を円筒形スリーブの形に製造する装置の図
【図5a】本発明による予備処理を受けていないスリーブの断面図
【図5b】本発明による予備処理を受けたスリーブの断面図
【符号の説明】
【0064】
1 帯材
6 製造ライン
40 長手方向軸
41 胴部
62 中心マンドレル
100 中心面
631 案内装置
620、640、650、660 移動ベルト







【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質チューブ胴部の製造方法であって、単一または複数のプラスチック層または金属層から成る平坦な帯材から円筒状のスリーブを製造する過程と、それに続いて前記胴部を得るために所望の長さに前記円筒状のスリーブを切り抜く過程とから成り、円筒状のスリーブの製造過程の前に、前記帯材に塑性変形を加える予備過程を備えることを特徴とする、軟質チューブ胴部の製造方法。
【請求項2】
互いの接近によって帯材の初期厚み未満の寸法のギャップが前記帯材に付与される自在移動装置二つの間に、前記帯材を通すことを特徴とする、請求項1に記載の軟質チューブ胴部の製造方法。
【請求項3】
0.5%を超える、好適には1%を超える塑性薄肉化を伴って、帯材が前記ギャップから出るように、前記自在移動装置二つの間に応力を加えることを特徴とする、請求項2に記載の軟質チューブ胴部の製造方法。
【請求項4】
前記ギャップを出た帯材が、振幅が前記帯材の厚みの30分の1とその5倍の間に含まれる、好適には15分の1とその5倍の間に、さらに好適には10分の1とその3倍の間に含まれる凹凸または陥凹を具備するエンボス加工された模様を呈するように、前記自在移動装置二つの間に応力を加えることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の軟質チューブ胴部の製造方法。
【請求項5】
前記自在移動装置二つが、ほぼ平行なカレンダーロールであり、その一方が彫られた凹凸を少なくとも有することにより、前記カレンダーロールの間を通過した後、帯材がエンボス加工されて出てくることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一つに記載の軟質チューブ胴部の製造方法。
【請求項6】
帯材が、帯材の幅1ミリメートルあたり2.5ニュートンと500ニュートンの間に含まれる応力で前記自在移動装置二つの間で圧縮されることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか一つに記載の軟質チューブ胴部の製造方法。
【請求項7】
前記帯材が、前記自在移動装置二つと接触する前に、75℃と120℃の間に含まれる温度に加熱されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の軟質チューブ胴部の製造方法。
【請求項8】
前記帯材が、前記カレンダーロールと接触する前に、少なくとも1/2秒の間前記温度に維持されることを特徴とする、請求項7に記載の軟質チューブ胴部の製造方法。
【請求項9】
少なくとも一つのカレンダーロールが、帯材がカレンダーロールの間のギャップから出たときに巻取器に巻かれるか、円筒状の形に成形するために変形されるように冷却され、その温度が環境温度に近く、典型的には40℃未満であることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか一つに記載の軟質チューブ胴部の製造方法。
【請求項10】
彫られたカレンダーロールが前記帯材に模様を印刷するためにも用いられることを特徴とする、請求項5〜9のいずれか一つに記載の軟質チューブ胴部の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−503737(P2006−503737A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−547700(P2004−547700)
【出願日】平成15年10月21日(2003.10.21)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003105
【国際公開番号】WO2004/039561
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(503307327)
【氏名又は名称原語表記】CEBAL S.A.S.
【Fターム(参考)】