プラスチックパイプ熱融着機
【課題】１本の主管に多数本の枝管を突設したヘッダーに対し多数の縦管群を直交状態に加熱融着する手段を、各融着部を均斉に融着出来、且つ各作業工程を自動化する。
【解決手段】前側に枝管側固定テーブル１Ｔを、後側に主管側固定テーブル１Ｔ´を、間隔Ｓを保って設置し、縦管用移動テーブル２を縦管側の固定テーブル１Ｔ上に摺動可能に、移動テーブル３を主管側固定テーブル１Ｔ´上に摺動可能に配置し、移動テーブル２上には縦管クランプ装置５を、移動テーブル３上には主管クランプ装置６を配置し、間隔Ｓには、下方から出没するセットプレート装置７と、上方から降下する加熱装置９とを配設し、縦管移動テーブル２と移動テーブル３の前後進退運動により、降下した加熱装置９の両面で縦管８Ｃ群とヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂとを溶融し縦管８Ｃの端縁ｃｆとヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂとを押圧融着するプラスチックパイプ熱融着機。
【解決手段】前側に枝管側固定テーブル１Ｔを、後側に主管側固定テーブル１Ｔ´を、間隔Ｓを保って設置し、縦管用移動テーブル２を縦管側の固定テーブル１Ｔ上に摺動可能に、移動テーブル３を主管側固定テーブル１Ｔ´上に摺動可能に配置し、移動テーブル２上には縦管クランプ装置５を、移動テーブル３上には主管クランプ装置６を配置し、間隔Ｓには、下方から出没するセットプレート装置７と、上方から降下する加熱装置９とを配設し、縦管移動テーブル２と移動テーブル３の前後進退運動により、降下した加熱装置９の両面で縦管８Ｃ群とヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂとを溶融し縦管８Ｃの端縁ｃｆとヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂとを押圧融着するプラスチックパイプ熱融着機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、給水器、給湯器、熱交換器、暖房器などの配管材として使用するプラスチックパイプの、主管と枝管群とから成るヘッダー管と、ヘッダー管に直交する縦管群とを融着接合する機械に関するものであり、より詳しくは、大口径の主管から直交形態で一体化突出した中口径の枝管群に、小口径の縦管群を、直接熱融着する機械に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
プラスチックパイプを接合する手段としては熱融着接合が慣用されており、被覆ソケットを採用する典型例として、図１６に示す従来例１がある。
図１６の、（Ａ）は加熱融着状態説明図であり、（Ｂ）は融着製品の説明図である。
従来例１（図１６）は、特許文献１として挙げたものであって、図１６（Ａ）に示す如く、金属被覆ソケットの両側から接合管相互を挿入し、クランプでソケットと接合管との挿入状態を保持して外部からガスバーナーで加熱し、図１６（Ｂ）に示す如く、ソケットと接合管とを一体化するものである。
【０００３】
また、従来例２（図１７）に示す如く、プラスチック管相互を直接熱融着する方法も提案されている。
従来例２（図１７）は、特許文献２として挙げたものであり、図１７（Ａ）は主管への穿孔説明図、（Ｂ）は主管加熱説明図、（Ｃ）は分岐管加熱説明図、（Ｄ）は融着作業説明図、（Ｅ）は融着製品説明図である。
【０００４】
従来例２（図１７）は、主管に対して取付孔を、図１７（Ａ）に示す如く、治具を用いて、大径の第１の孔と、接合対象の分岐管の内径に対応する小径の第２の孔を穿設し、次いで、図１７（Ｂ）に示す如く、表層部をテフロン加工し、表層部から凸部を突設した主管用加熱具を用いて、主管の取付孔を凸部で加熱溶融する。
また、分岐管も、図１７（Ｃ）に示す如く、テフロン加工した表層部に凹部を配置した分岐管用加熱具を用いて、分岐管を凹部に挿入加熱して分岐管の先端の外周面を加熱溶融する。
【０００５】
次いで、図１７（Ｄ）に示す如く、主管の加熱溶融状態の取付孔に対して、分岐管の加熱溶融状態の先端を嵌入押圧し、分岐管の先端外周面を、主管取付孔の第１の孔の内周面に、分岐管先端面を、主管取付孔の第１の孔の段部に融着接合し、図１７（Ｅ）に示す如く、主管に対して分岐管を直交接合し、分岐管の先端が主管の第１孔と第２孔との段差部に当接することにより、分岐管先端が主管内部に突出しない形態で、分岐管の内部流路を主管第２の孔と連通して、分岐管と主管とを流路連通するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開２００１−１７１００７号公報
【特許文献２】特開２００７−２４７８６９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
従来例１（図１６）の手法で、主管に枝管（分岐管）群を直交接合する場合は、Ｔ字形態のソケットを採用し、Ｔ字ソケット群を主管に直列状態で挿通配置し、各Ｔ字ソケットの枝管用突出部に枝管先端を挿入して、Ｔ字ソケットを加熱することとなるが、各枝管の主管への接合位置毎でのＴ字ソケットの配置は、Ｔ字ソケット相互の干渉の問題が生じて、主管への枝管群の密集並列接合は事実上不可能である。
【０００８】
また、例え、枝管の所望間隔接合を可能とするＴ字ソケットを採用しても、各Ｔ字ソケットの主管への配置、各枝管のＴ字ソケットへの挿入、各Ｔ字ソケット位置での加熱、等の作業は煩雑である。
従って、従来例１の接合用ソケットを採用する手段では、図１５に示す如き、主管に枝管群を、直交状態に、且つ小間隔で接合する製品へは、事実上適用不可能である。
【０００９】
また、従来例２（図１７）は、主管取付孔群に、直接分岐管（枝管）群を嵌入熱融着するため、主管への枝管の配置間隔は自在であって、図１５に示す如き、主管に枝管群を、直交状態に、且つ小間隔で接合することは可能であるが、枝管先端は、分岐管用加熱工具の凹部での熱溶融によって、先端部外周面を溶融し、主管取付孔も、主管用加熱工具の凸部によって第１孔の内周面及び段部を溶融しての、枝管群の主管取付孔への挿入押圧融着となるため、先端部外周の溶融した枝管群の、取付孔内周面の溶融した主管への、手作業による挿入、押圧作業は、熟練を要する困難な作業であり、多数本の枝管の主管への均斉な熱融着は困難である。
【００１０】
また、主管用加熱工具と枝管（分岐管）用加熱工具は、別体であって、主管取付孔の加熱溶融作業と、枝管先端の加熱溶融作業が別作業であるため、主管側と枝管側の溶融状態管理も、熟練を要する作業である。
本発明は、従来例１（図１６）の手法では製造不可能な、図１５に示す如き、プラスチックパイプ接合製品を、従来例２（図１７）の手法よりも、均質性に優れた製品が得られ、且つ従来例２（図１７）よりも製造を合理的に機械化したプラスチックパイプ熱融着機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明は、図１、図２に示す如く、長手方向の両側にポスト１Ａを備え、ポスト１Ａの前部には縦管側ＭＢの固定テーブル１Ｔを、ポスト１Ａの後部には主管側ＭＨの固定テーブル１Ｔ´を、間隔Ｓを保って備えた架台１上で、１本の主管８Ａから複数の枝管８Ｂを直交突設したヘッダー８に、並行縦管８Ｃ群を直交当接融着するプラスチックパイプ熱融着機Ｍであって、図１、図２に示す如く、縦管側ＭＢの固定テーブル１Ｔは、上面に縦管クランプ装置５を配置した前後移動テーブル２を備え、主管側ＭＨの固定テーブル１Ｔ´は、ヘッダー８を位置規制状態で確保する主管クランプ装置６を上面に配置した前後移動テーブル３を備え、固定テーブル１Ｔと固定テーブル１Ｔ´との間隔Ｓには、下方からセットプレート７Ａを上下動させるセットプレート装置７と、上方から下降上昇する加熱装置９とを配置し、上昇したセットプレート７Ａで縦管８Ｃ群の端縁ｃｆを揃えて縦管８Ｃ群をクランプ装置５が保持し、セットプレート７Ａの下降後に加熱装置９を降下させ、主管側の移動テーブル３及び縦管側の移動テーブル２を前進させて、加熱装置９の、一側の加熱面１０Ｆで縦管８Ｃ群の端縁ｃｆを、他側の加熱面１０Ｆ´でヘッダー枝管８Ｂ群の取付孔Ｈｂを加熱溶融し、移動テーブル２と３とを後進させて加熱装置９を上昇離脱させた後、再度、移動テーブル２及び３を前進させて、縦管８Ｃ群の端縁ｃｆをヘッダー枝管８Ｂ群の取付孔Ｈｂ群に嵌入融着一体化するプラスチックパイプ熱融着機である。
【００１２】
この場合、架台１は、縦管側の固定テーブル１Ｔと主管側の固定テーブル１Ｔ´とが、間隔Ｓを保持した形態で、且つ、セットプレート７Ａの下降時より高い位置を保持した形態での関係剛構造体を担保すれば良く、典型的には、図１４に示す如く、長手方向両側端の溝形鋼ポスト１Ａに、ポスト１Ａの幅Ｗ４を間隔Ｓとして、ポスト１Ａの前側、即ち縦管側、及び後側、即ち主管側に、角鋼材の上桟１Ｃ、下桟１Ｄ及び縦桟１Ｅで機枠支持構造体を構築し、上桟１Ｃ上の、前側及び後側に鋼板を固定して、ポスト１Ａの、前側を縦管側の固定テーブル１Ｔ、後側を主管側の固定テーブル１Ｔ´としたものである。
【００１３】
また、各移動テーブル２、及び３の「前進」の意は、移動テーブル２，３が、間隔Ｓ（加熱、融着域）内へ突出する相互近接を、「後退」は、間隔Ｓから後退する相互離反を意味するものである。
また、移動テーブル２及び３の移動手段は、移動量が制御出来る手段であれば良く、典型的には、伸縮ロッドを備えた伸縮シリンダー手段であり、慣用のエアシリンダーを採用すれば良い。
【００１４】
また、加熱装置９は、加熱面１０Ｆが縦管８Ｃ群の端縁ｃｆを、加熱面１０Ｆ´がヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂを溶解出来れば良く、加熱面１０Ｆは平坦面であり、加熱面１０Ｆ´は取付孔Ｈｂに嵌入する突起形態であれば良い。
また、加工対象のヘッダー８及び縦管８Ｃは加熱融着出来るパイプであれば良く、典型的には、共に、ポリプロピレンランダムコポリマー樹脂（ＰＰ−Ｒ樹脂）パイプである。
この場合、１本の主管８Ａに複数本の枝管８Ｂ群を直交形態で付設したヘッダー８は、大量生産及び高い寸法精度で、複雑な構造の成形を可能とする射出成形品であって、ヘッダー枝管８Ｂ群の各取付孔Ｈｂは、成形時に構成出来る。
【００１５】
従って、本発明によれば、多数の縦管８Ｃ群の均斉位置決めは、セットプレート７Ａを用いて容易であり、縦管８Ｃ群のヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂ内への嵌入溶着も、縦管クランプ装置５と主管クランプ装置６との機械的な相互近接嵌入作業となって、全縦管８Ｃの均質な溶接が得られる。
【００１６】
また、縦管８Ｃ側の溶解作業とヘッダー枝管８Ｂ側の溶解作業も、１本の加熱装置９の両側面で実施するため、作業性も熱効率も良い。
そして、縦管８Ｃのクランプ装置への配置、及びヘッダー８のクランプ装置への配置以外は、機械化出来たため、多数本の縦管８Ｃ群の１本のヘッダー８への直交融着接合が、均質接合状態の下に、合理的に実施出来る。
【００１７】
また、本発明の熱融着機にあっては、セットプレート７Ａは、図１に示す如く、両固定テーブル１Ｔ，１Ｔ´の間隔Ｓの下方に配置したセットプレート装置７の伸縮シリンダーＪ３で上下動させ、上昇したセットプレート７Ａが全縦管８Ｃの端縁ｃｆを位置規制するのが好ましい。
この場合、セットプレート７Ａは、セットプレート装置７で駆動するものであり、セットプレート７Ａが前後方向の定位置を上下動し、縦管８Ｃ群を当接しても変位しなければ良く、セットプレート装置７は、典型的には、図９（Ａ）に示す如く、架台１の上桟１Ｃと下桟１Ｄとの上下中間位置で、両側のポスト１Ａ間の縦管側ＭＢに差渡し状に剛構造配置した、アングル鋼材の受桟１Ｌを介して固定したものであり、セットプレート７Ａ自体は、厚さ１５mm、高さ１５０mm、長さＬ７が８４０mmの鋼板である。
【００１８】
従って、セットプレート７Ａは、剛構造配置されたシリンダーＪ３から縦管８Ｃ群を配置する位置へ上下動出没し、各プラスチックパイプ縦管８Ｃを、手作業で順次セットプレート７Ａに当接することにより、全縦管８Ｃの端縁ｃｆもセットプレート７Ａの前面で均斉に揃えることが出来、縦管８Ｃ群の整列揃え作業が簡便、且つ均斉に実施出来る。
そのため、熱融着機に於ける、以降の加熱溶融作業、融着作業等が、各縦管８Ｃに均斉に適用出来、高品質のパイプ接合製品の提供が可能となる。
【００１９】
また、パイプ熱融着機の加熱装置９は、図６（Ａ）に示す如く、縦管８Ｃ当接用の加熱面１０Ｆを一側面に、ヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂ嵌入用融着チップ１０Ａ群を突設した加熱面１０Ｆ´を他側面に備えた融着チップホルダー１０の上面に、融着ヒーター１１を当接嵌合し、融着ヒーター１１の上部に融着バー１２を取付け、融着バー１２を、ポスト１Ａ間に差渡したヒーターベース１Ｂに配置した伸縮シリンダーＪ１で、縦管側固定テーブル１Ｔと主管側固定テーブル１Ｔ´との間隔Ｓ内を上下動させるのが好ましい。
【００２０】
この場合、融着バー１２は、上方の伸縮シリンダー（エアシリンダー）Ｊ１に接続し、下方の融着チップホルダー１０及び融着ヒーター１１を支持するもので、融着ヒーター１１の確保を保証し、且つ伸縮シリンダーＪ１の熱変位を保証すれば良く、角筒鋼棒でも良いが、典型的には、長さＬＡが９３０mmで、幅Ｗ１２が５０mm、高さｈ１２が６０mmの断面矩形鋼棒であって、間隔配置した２本の伸縮シリンダーＪ１で上下動するものであって、融着ヒーター１１とは、５mm厚のセラミックカラー１２Ａを介在して、間隔ｄ１１（標準：５mm）を保ってボルト１２Ｐで固定し、ボルト１２Ｐの上部も、５mm厚のセラミックカラー１２Ａを介して融着バー１２上面に締着し、融着ヒーター１１の上面１１Ｔからの融着バー１２への熱伝達、及びボルト１２Ｐからの融着バー１２への熱伝達を抑制する。
【００２１】
また、融着チップホルダー１０は、融着ヒーター１１で加熱されて、縦管８Ｃ及びヘッダー枝管８Ｂを加熱溶融するものであるから、融着ヒーター１１の熱が効率よく伝達されるのが好ましく、融着チップホルダー１０と融着ヒーター１１との接触当接面は、平滑面仕上げするのが好ましい。
また、ヒーターベース１Ｂは、伸縮シリンダーＪ１を、強固に、変位を生じることなく保持すれば良いため、典型的には、断面コ字状の９mm厚の鋼製で、両側辺と底辺を備えた、上面開放箱形状の鋼板加工品であって、両側の剛構造ポスト１Ａ間に差渡し状に剛構造固定し、間隔配置した２本の伸縮シリンダーＪ１を保持したものである。
【００２２】
従って、加熱装置９は、剛構造体としてのヒーターベース１Ｂに確保された伸縮シリンダーＪ１で変位を生ずることなく所定域を上下動し、伸縮シリンダーＪ１の作用で降下した状態で、一側の加熱面１０Ｆでは、縦管８Ｃ群の先端ｃｆを、他側面では、加熱面１０Ｆ´に突出した融着チップ１０Ａによってヘッダー枝管群の取付孔Ｈｂを同時に加熱溶融するため、縦管８Ｃ群先端ｃｆもヘッダー枝管８Ｂ群の取付孔Ｈｂも、均斉当接形態で、均斉な溶融を生じ、各縦管８Ｃ群の、ヘッダー枝管８Ｂ群の各取付孔Ｈｂへの均質な加熱融着接合が可能となる。
尚、この場合、融着ヒーター１１と融着バー１２との界面にセラミックカラー１２Ａを介在して、融着ヒーター１１から融着バー１２への熱伝達を抑制すれば、融着バー１２が熱変位を生じなくて、伸縮シリンダーＪ１の、設計どおりの上下動が保証出来、融着チップホルダー１０の設計どおりの上下動が保証出来る。
【００２３】
また、本発明にあっては、融着チップホルダー１０は、図６、図７に示す如く、一側面が縦管８Ｃ群の端縁ｃｆ当接用の平坦加熱面１０Ｆであり、他側面がヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂに嵌入する融着チップ１０Ａ群を着脱自在に突設し、一側の縦管８Ｃ当接用の加熱面１０Ｆ、及び他側の融着チップ１０Ａの外面がテフロン樹脂被膜１０Ｂを備えたブロック片であり、各融着チップホルダー１０群相互を、間隔ｄ１０を保って融着ヒーター１１に対して摺動可能に配置するのが好ましい。
【００２４】
この場合、融着チップホルダー１０は、アルミ金属製品であり、典型的に実施する、ポリプロピレンランダムコポリマー（ＰＰ−Ｒ）樹脂のパイプ８Ｂ，８Ｃの接合時には、融着チップホルダー１０の表面温度は、２００℃〜２１０℃の温度域を採用が、アルミ金属製の融着ヒーター１１及び融着チップホルダー１０は、２１０℃で、長さ（ＬＢ）７８０mmに対して６．５mmの伸長を生じるため、各融着チップホルダー１０は、典型的には、幅（Ｗ１０）が３０mm、長さ（Ｌ１０）が５８mm、高さ（ｈ１０）が３７mmのブロック片の直列配置とし、１個当りの熱伸長０．５mmに抑えて実施し、各融着チップホルダー１０間の間隔ｄ１０は、典型的には、２mmとした。
【００２５】
従って、加熱装置９の加熱稼働中に、融着ヒーター１１が熱伸長するが、各融着チップホルダー１０は、間隔ｄ１０（２mm）で熱伸長が吸収出来、融着ヒーター１１の熱伸長に追従することなく、各短寸（５８mm長）の融着チップホルダー１０は、融着ヒーター１１上で所定位置に留まり、各融着チップ１０Ａの、ヘッダー枝管８Ｂの各取付孔Ｈｂへの適切な挿入が可能となる。
そして、各縦管８Ｃの端縁ｃｆの加熱面１０Ｆ、及び各融着チップ１０Ａのヘッダー枝管８Ｂ取付孔Ｈｂへの嵌入部、即ち、加熱装置９の各プラスチックパイプとの加熱接触部、がテフロン樹脂被膜１０Ｂを備えているため、縦管８Ｃ及びヘッダー枝管８Ｂの加熱溶融部は、付着欠損を生ずることなく加熱装置９から離反出来る。
【００２６】
この場合、ヘッダー枝管８Ｂ側の加熱部へのテフロン樹脂被膜付与は、加熱面１０Ｆ´から突出した融着チップ１０Ａの先端部のみで良いため、従来例２の主管用加熱工具の表層部全面、及び凸部全面でのテフロン加工より遥かに小範囲となり、テフロン樹脂被膜の塗着作業面でも、コスト面でも有利である。
しかも、融着チップ１０Ａは、融着チップホルダー１０に着脱自在に突設したため、加熱装置９のメンテナンス、及び対象プラスチックパイプ８Ｃ，８Ｂの径変更に対応する取換えが容易となる。
【００２７】
また、本発明の融着チップ１０Ａは、図７（Ａ），（Ｂ）に示す如く、金属製円筒片であって、外周は、融着チップホルダー１０の取付孔Ｈ１０に嵌入する基端円筒部１０Ｄと、中間の大径円筒部１０Ｔと、ヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂの段差ｂｅまで嵌入する先端円筒部１０Ｓとを備え、内周は、基端側のボルト挿入用孔Ｈａ´と、先端側のボルト頭部着座用の大径のボルト挿入用孔Ｈａとを連通し、先端円筒部１０Ｓの外周面と、先端円筒部１０Ｓの先端面ｅｆとを、テフロン樹脂被膜１０Ｂで被覆したものが好ましい。
【００２８】
尚、融着チップ１０Ａは、図１２（Ｂ）に示す如く、融着チップホルダー１０で加熱されてヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂを加熱溶融するものであるため、熱良導体の金属パイプであれば良く、典型的には、熱伝導に優れたアルミ金属（熱伝導率：２３７ｗ／ｍ／ｋ）パイプの加工品である。
従って、ボルト１０Ｎで融着チップホルダー１０への着脱が容易であるため、融着チップ１０Ａのメンテナンスが容易で、加工対象ヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂの径変更に伴なう融着チップ１０Ａの取換え対応作業も容易である。
そして、テフロン樹脂被膜１０Ｂの付与加工も、先端円筒部１０Ｓの外周面及び先端面ｅｆのみであるから、テフロン加工が簡便、且つ低コストで実施出来る。
【００２９】
また、本発明の加熱装置９にあって、融着ヒーター１１は、図８（Ｃ）に示す如く、アルミ合金成形品であって、内部には、ストレートヒーター１１Ａを、セパレータ１１Ｂを介在して一体化した上部材１１Ｕと、鋳鉄成形品であって、下端に嵌合溝１１Ｇを介して嵌合突出部嵌合突起１１Ｓをレール形態で備えた下部材１１Ｄとを、面当接で着脱自在に一体化し、融着チップホルダー１０は、アルミ合金成形品であって、上面に融着ヒーター１１下端の嵌合突出部１１Ｓを摺動形態で嵌入するための嵌合溝１０Ｇを備え、融着チップホルダー１０を融着ヒーター１１の下面に密接摺動嵌合するのが好ましい。
【００３０】
尚、融着ヒーター１１の上部材１１Ｕ成形に際しては、ストレートヒーター１１Ａが型内で浮遊移動するため、図６（Ａ）の如く、型内にアルミ製板状材のセパレータ１１Ｋを係止配置して、ストレートヒーター１１Ａをセパレータ１１Ｋに挿通保持した状態でアルミ合金を打設すれば、ストレートヒーター１１Ａは所定位置に埋設出来る。
この場合、ストレートヒーター１１Ａの、側端からは電源端子取付部１１Ｂを突出させ、前面（縦管側）からは計測コード１１Ｃ（図３）を突出させておけば良い。
【００３１】
また、融着ヒーター１１の融着チップホルダー１０との嵌合当接面は、平滑に研磨して熱伝達を良好にしておけば良い。
この場合、融着ヒーター１１を、アルミ合金製の上部材１１Ｕと、鋳鉄製の下部材１１Ｄとの二部材重層タイプとしたため、上部材１１Ｕは、高い熱伝導率（アルミ金属の熱伝導率：２２７ｗ／ｍ／ｋ）でストレートヒーター１１Ａからの発熱量を有効に伝熱し、下部材１１Ｄは、鋳鉄の高硬度、高融点（鋳鉄融点：１５４０℃）で低熱膨張の物性によって、嵌合したアルミ合金（融点：６６０℃）の融着チップホルダー１０との、加熱稼動時の融点相違、熱膨張率相違によって、相互の熱変位すべりをスムーズに許容し、融着チップホルダー１０の経年熱変位も阻止する。
【００３２】
従って、融着ヒーター１１は、融着チップホルダー１０と、嵌合突出部１１Ｓが嵌入形態で当接するため、当接面が大となり、全長に亘って所定加熱が達成出来て、融着チップホルダー１０に有効に熱伝達出来、しかも、融着チップホルダー１０は、長さが短寸（標準：５８mm）のブロック片で、且つ、間隔ｄ１０（標準:２mm）を保って、融着ヒーター１１に摺動形態で配置するため、融着ヒーター１１の熱伸長に追従すること無く、個々の、ブロック片としての独自の微少の熱伸長を生ずるため、融着チップ１０Ａを適正位置に保持出来る。
そして、融着ヒーター１１を、上部材１１Ｕと下部材１１Ｄとの着脱自在一体化動としたため、下部材１１Ｄ下面の研磨平滑化加工も、単体での取扱いが出来て容易となり、耐用中の加熱能力変更等の、メンテナンスも合理化出来る。
【００３３】
また、本発明の熱融着機にあっては、縦管８Ｃ用クランプ装置５は、図９に示す如く、パイプ嵌合溝５Ｇ群を上面に平行配置したパイプホルダー５Ａを、移動テーブル２の上面に着脱自在に固定し、パイプホルダー５Ａの上面に配置した縦管８Ｃ群を、伸縮シリンダーＪ４によって上下動する押圧板５Ｂで保持及び開放するのが好ましい。
【００３４】
尚、パイプホルダー５Ａは、各縦管８Ｃを位置規制するものであるから、パイプ嵌合溝５Ｇは、縦管８Ｃを嵌合するだけで縦管８Ｃが定間隔位置となるように、断面が円弧溝とすれば良い。
また、押圧板５Ｂは、各縦管８Ｃを、単に、嵌合溝５Ｇに、均斉に押圧出来れば良く、桟材群を間隔配置した簀の子板でも良いが、典型的には、１０mm厚のアルミ平板である。
【００３５】
従って、各縦管８Ｃをパイプホルダー５Ａの各嵌合溝５Ｇ内に挿入し、セットプレート７Ａを上昇させて、各縦管８Ｃをセットプレート７Ａに当接して縦管端縁ｃｆを揃え、押圧板５Ｂを降下圧接させれば、各縦管８Ｃは、端縁ｃｆが揃った状態で、嵌合溝５Ｇの配置間隔で確保出来、以後、クランプ装置５によって縦管８Ｃ群を一体として、加熱装置９への移動テーブル２での前進運動、加熱装置上昇のための移動テーブル２での後退運動、及び移動テーブル２によるヘッダー枝管８Ｂと当接融着のための前進運動等が、縦管８Ｃ群に間隔変位を生ずることなく実施出来、縦管８Ｃ群のヘッダー８との融着接合作業の、均質化、合理化が可能となる。
【００３６】
また、本発明の熱融着機にあっては、主管クランプ装置６は、図１０に示す如く、長手方向のヘッダー主管嵌合溝Ｇ１と、前端のヘッダー枝管嵌合溝Ｇ２群とを上面に備えたクランプ下台６Ｂを、移動テーブル３の上面前端に着脱自在に固定し、クランプ下台６Ｂ上に嵌合載置したヘッダー８を、伸縮シリンダーＪ５によって上下動する移動上プレート６Ｔで、保持及び開放するのが好ましい。
【００３７】
この場合、クランプ下台の、主管嵌合溝Ｇ１にヘッダー主管８Ａを、枝管嵌合溝Ｇ２群に各枝管８Ｂを嵌合すれば、ヘッダー８が融着姿勢となり、ヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂが対向接近する縦管８Ｃの端縁ｃｆと整合する作用を奏すれば良く、上プレート６Ｔは、ヘッダー枝管８Ｂの上方への回動を抑制すれば良く、典型的には、図１０（Ｂ）に示す如く、上プレート６Ｔは、下面に、ヘッダー主管８Ａ押圧用の当接曲面Ｇ３と、先端のヘッダー枝管８Ｂ押圧用の当接突辺Ｐ６とを備えたものであり、クランプ下台の嵌合溝Ｇ１と嵌合溝Ｇ２は、ヘッダー８の融着作用時の位置、姿勢に整合する形状である。
【００３８】
尚、主管クランプ装置６は、主管側の移動テーブル３上に配置されたものであって、移動テーブル３によって前後移動するものであるから、伸縮シリンダーＪ５は、移動テーブル３上に配置すれば良く、典型的には、図１０（Ｂ）に示す如く、移動テーブル３の前端上面に固定したクランプ下台６Ｂの後部上面にアングルブラケット６Ａを配置し、アングルブラケット６Ａ上にストローク長２０mmの伸縮シリンダーＪ５を配置して実施する。
【００３９】
従って、主管クランプ装置６でのヘッダー８の位置規制は、クランプ下台６Ｂの、上面の、嵌合溝Ｇ１にヘッダー主管８Ａを嵌入することで前後方向が規制出来、前面の嵌合溝Ｇ２群にヘッダー枝管８Ｂ郡を嵌入することで左右方向が規制出来、上プレート６Ｔをヘッダー８上に押圧することで、ヘッダー枝管８Ｂの端縁ｂｆが移動テーブル３から前方突出の形態で、ヘッダー８の融着姿勢が規定出来、ヘッダー８の配置作業も、作業性良く正確に実施出来る。
そして、ヘッダー枝管８Ｂの縦管８Ｃとの加熱融着作業は、ヘッダー枝管８Ｂを把持した主管クランプ装置の移動テーブル３による前進、後退作業で実施出来るため、適正な温度管理、運動管理の下で、自動的に、且つ均質に実施出来る。
【００４０】
また、本発明の熱融着機にあっては、枝管側の移動テーブル２が、図５（Ａ）に示す如く、固定テーブル１Ｔ上に配置した伸縮シリンダーＪ７で前後動する下テーブル板２Ｂと、下テーブル板２Ｂ上に配置した伸縮シリンダーＪ８で前後動する上テーブル板２Ａとから成る二重テーブルであり、主管側の移動テーブル３が、図５（Ｂ）に示す如く、固定テーブル１Ｔ´上に配置した伸縮シリンダーＪ６で前後動するテーブル板３Ａであり、各伸縮シリンダーＪ７，Ｊ８及びＪ６が、コイルスプリングＪｓを介して作動するバネ介在伸縮シリンダーであるのが好ましい。
【００４１】
この場合、バネ介在伸縮シリンダーとは、例えば図５（Ｂ）の如く、空気の入排気部Ｊａを備えたエアシリンダーＪ６の、シリンダー金具Ｊｍから突出する伸縮ロッドＪｒの先端にナット４Ｍを固定し、袖駆動体（移動テーブル板３Ａ）に固定したブラケット４Ｅの外側から有頭シリンダーボルトＪｂを、ブラケット４Ｅのボルト挿入用孔Ｈ５を貫通してナット４Ｍに、コイルスプリングＪｓを、ブラケット４Ｅとナット４Ｍ間に、介在して螺着し、シリンダーＪ６が伸縮ロッドＪｒを伸長すれば、ボルトＪｂは伸縮ロッドＪｒの剛構造一体化ロッドとして、同時に前方へ伸長するが、被駆動体（移動テーブル板３Ａ）は、伸縮ロッドＪｒの伸長及びナット４Ｍの前進によるコイルスプリングＪｓの圧縮作用を介してのバネ弾性反撥力により、ブラケット４ＥのコイルスプリングＪｓでの押圧力によって前方へ移動するものである。
【００４２】
従って、縦管移動テーブル２側にあっては、下テーブル板２Ｂがバネ介在伸縮シリンダーＪ７で移動し、移動下テーブル板２Ｂ上で、更に上テーブル板２Ａがバネ介在伸縮シリンダーＪ８で移動し、主管移動テーブル３も、バネ介在伸縮シリンダーＪ６で移動するため、縦管８Ｃ及びヘッダー８の加熱装置９への前進当接作用は、バネ作用での当接となり、押圧融着作用でも、プラスチックパイプ製の縦管８Ｃとヘッダー８とは、弾性押圧力作用での衝突作用を奏し、熱に敏感なプラスチック材に対する温和な衝突作用となる。
【００４３】
そして、加熱縦管８Ｃの加熱ヘッダー枝管８Ｂへの押圧融着作用は、縦管８Ｃ群の、下テーブル板２Ｂのバネ弾性前進に、更に上テーブル板２Ａのバネ弾性前進が加わった前進押圧当接作用となるため、縦管８Ｃのヘッダー枝管取付孔Ｈｂ内への嵌入押圧は、必要押圧力を弾性的に、順次段階的に付与するものとなり、縦管８Ｃの端縁ｃｆの、ヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂ内への融着が、繊細な、時間経過を伴う漸増押圧力作用によって、変形を抑制しながら、確実に達成出来る。
【００４４】
また、本発明の熱融着機にあっては、縦管８Ｃ側の移動テーブル２は、加熱装置９の上昇離脱後、バネ介在伸縮シリンダーＪ７で下テーブル板２Ｂを固定テーブル１Ｔと１Ｔ´との間隔Ｓ内へ突出して縦管８Ｃ群をヘッダー８と対向させ、次いで、バネ介在伸縮シリンダーＪ８で上テーブル板２Ａを突出させて縦管８Ｃ群の端縁ｃｆをヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂ内に弾性押圧して、縦管８Ｃ端縁ｃｆを取付孔Ｈｂの段部ｂｅに融着させるのが好ましい。
【００４５】
この場合、典型的には、バネ介在伸縮シリンダーＪ７のストローク長（標準：１００mm）よりバネ介在伸縮シリンダーＪ８のストローク長（標準：２５mm）が小であり、バネ反撥力は、シリンダーＪ７よりシリンダーＪ８の方が小である。
従って、縦管８Ｃ群のヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂ内への嵌入押圧作用は、バネ弾性で前進する下テーブル板２Ｂに、更にバネ弾性で前進する上テーブル板２Ａの付加された二段階バネ弾性押圧作用となり、縦管８Ｃとヘッダー枝管８Ｂの相互融着部での押圧変形を抑制した状態での融着作用となって、加熱温度と押圧時間に敏感なプラスチックパイプ相互の直交形態の融着接合が良好に実施出来る。
【００４６】
また、本発明の熱融着機にあっては、加熱装置９の融着ヒーター１１を温度管理し、ヘッダー枝管８Ｂ及び縦管８Ｃの溶融時間及び融着時間と共に、各伸縮シリンダーＪ１，Ｊ３，Ｊ４，Ｊ５及び各バネ介在伸縮シリンダーＪ６，Ｊ７，Ｊ８を、タイマーを介在して制御作動するのが好ましい。
【００４７】
この場合、融着ヒーター１１の温度、及び溶融時間は、対象プラスチックパイプの材質、太さに対応して最適状態を決定すれば良く、ポリプロピレンランダムコポリマー（ＰＰ−Ｒ）樹脂製の、肉厚３．５mmのヘッダー枝管８Ｂと肉厚１．６mmの縦管８Ｃを採用する場合は、加熱装置９の表面加熱温度２００℃〜２１０℃、加熱時間はヘッダー枝管８Ｂが２０秒間、縦管８Ｃが１０秒で実施すれば良い。
【００４８】
従って、本発明の熱融着機は、縦管クランプ装置５のパイプホルダー５Ａ上への縦管の載置と、主管クランプ装置６のクランプ下台６Ｂ上へのヘッダー８の位置決め載置との作業以外の、製品の良否を決定する、加熱、融着等の重要作業は自動制御で機械的に遂行出来るため、ヘッダー８への縦管８Ｃ群の直交連通接続が、均質性の担保の下に、高い生産性で実施出来る。
【００４９】
そして、所定長さの縦管８Ｃ群を１本のヘッダー８に直交接続連通した、図１５（Ｂ）の半製品８Ｋに、半製品製造時と同様に、各縦管８Ｃ群の他端に、再度、ヘッダー８を直交接続連通すれば、両端のヘッダー８間に多数本の縦管８Ｃ群が連通した、温水循環放熱器用のプラスチック製放熱パネルが得られる。
【発明の効果】
【００５０】
プラスチック樹脂材の加熱溶解は、室温、加熱温度によって、生き物のように微妙に変化し、プラスチックパイプ相互の融着連通は、非常に困難な作業であって、融着精度に問題があると、経年耐用中に漏水の問題を生ずるが、本発明では、高精度の射出成形品である、大径の主管８Ａに直交形態で突出する中径の枝管８Ｂ群を備えたヘッダー８を用いて、枝管８Ｂ群に縦管８Ｃ群を接続する加熱融着機の採用で、ヘッダー８に対する縦管８Ｃ群の直交融着連通作業が、半自動で容易に、且つ、均質精度の下で遂行出来る。
【００５１】
そのため、本発明熱融着機は、従来例１の融着ソケットを採用するパイプ直交接続では製作困難な、縦管８Ｃ群をヘッダー８に対して、高密度に配置するパイプ接続製品の製造を可能とし、従来例２の如き、プラスチックパイプ相互を、手作業で、直接直交接続するパイプ直交接続方法を、半自動的な合理的手法で、且つ、均質、高精度で、高い生産性の下で実施可能とした。
【００５２】
また、縦管８Ｃ側ＭＢの固定テーブル１Ｔと主管側ＭＨの固定テーブル１Ｔ´との間隔Ｓ内で、下方からのセットプレート５Ｅの上下動、及び上方からの加熱装置９の降下上昇動を実施するため、熱融着機の小型化を可能とし、多数の縦管８Ｃ群を、セットプレート７Ａで正確に揃えた状態で、縦管クランプ装置５が保持し、縦管８Ｃ群を一体として加熱作用、融着作用を実施することで、均質性が担保出来る。
【００５３】
その上、縦管クランプ装置５と主管クランプ装置６を、共に、前後動する移動テーブル上に配置して、１個の加熱装置で同時に縦管８Ｃとヘッダー枝管８Ｂ群とを加熱するため、熱効率良く溶融作業が実施出来、対象パイプ材料に適した、加熱温度及び溶解時間で、各移動テーブル２，３を適切に駆動することにより、高精度で高品質の、パイプの直交融着連通品の製作が、作業工程の合理化と省熱エネルギーの下で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【００５４】
【図１】本発明の熱融着機の縦断側面図である。
【図２】熱融着機の上面図である。
【図３】熱融着機の縦管側から見た正面図である。
【図４】熱融着機の主管側から見た正面図である。
【図５】移動テーブル説明図であって、（Ａ）は縦管側移動テーブル２の一部切欠縦断側面図、（Ｂ）は主管側移動テーブル３の縦断側面図、（Ｃ）はスライドユニット配置構造の縦断正面図、（Ｄ）はスライドユニット斜視図である。
【図６】加熱装置の説明図であって、（Ａ）は縦断側面図、（Ｂ）は一部切欠正面図である。
【図７】加熱装置の部分説明図であって、（Ａ）は融着チップホルダー１０と融着チップ１０Ａの分解斜視図、（Ｂ）は融着チップ装着状態の縦断面図である。
【図８】加熱装置の部分説明図であって、（Ａ）は融着ヒーター１１の斜視図、（Ｂ）は融着ヒーターの縦断側面図、（Ｃ）は融着ヒーターの分解断面図である。
【図９】縦管クランプ装置の説明図であって、（Ａ）はクランプ装置５の作用状態の縦断側面図、（Ｂ）はクランプ装置５の一部切欠斜視図、（Ｃ）はパイプホルダー５Ａの移動テーブルへの取付構造を示す部分縦断正面図である。
【図１０】主管クランプ装置６の説明図であって、（Ａ）は一部切欠斜視図、（Ｂ）はヘッダー把持状態の縦断側面図、（Ｃ）は図１０（Ｂ）の矢印Ｃ視図である。
【００５５】
【図１１】ヘッダー及び縦管をセットした状態での、熱融着機の要部縦断側面図である。
【図１２】（Ａ）はヘッダー枝管８Ｂ及び縦管８Ｃの加熱状態での、熱融着機の要部縦断側面図、（Ｂ）は（Ａ）の部分拡大図である。
【図１３】ヘッダー８と縦管８Ｃとの融着状態での、熱融着機の要部縦断側面図である。
【図１４】機枠架台の説明図であって、（Ａ）は全体斜視図、（Ｂ）は（Ａ）のＢ部拡大図である。
【図１５】本発明の熱融着機で製作実施する製品の説明図であって、（Ａ）はヘッダー８と縦管８Ｃとの部分拡大断面図、（Ｂ）は半製品の一部切欠平面図、（Ｃ）は完成品の斜視図である。
【図１６】従来例１の説明図であって、（Ａ）は融着状態断面図、（Ｂ）は融着製品断面図である。
【図１７】従来例２の説明図であって、（Ａ）は主管の孔開け状態説明断面図、（Ｂ）は主管用加熱工具と主管の斜視図、（Ｃ）は分岐管加熱工具と分岐物の斜視図、（Ｄ）は主管と分岐管の接合作業斜視図、（Ｅ）は融着接合状態斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００５６】
本発明を、図１５に示す放熱器用のパイプ接続製品を製作する加熱融着機に就いての、実施例で詳述する。
尚、図１５（Ａ）はヘッダー８と縦管８Ｃとの縦断側面図であり、図１５（Ｂ）は一側のヘッダー８の枝管８Ｂに縦管８Ｃ群を接続連通した半製品８Ｋの平面図であり、図１５（Ｃ）は、図１５（Ｂ）の半製品８Ｋの縦管８Ｃ群の他端にも、ヘッダー８を接続連通した、完成品としてのプラスチックパイプパネルの２枚８１，８２を、更に、セパレータパイプ８Ｄ、及び接続パイプ８Ｅで連通したプラスチックパイプ製の放熱器である。
【００５７】
ヘッダー８と縦管８Ｃとは、同一材料の、ポリプロピレンランダムコポリマー樹脂（ＰＰ−Ｒ樹脂）製パイプであり、この場合、ヘッダー８の主管８Ａは、外径ｄＡが２７mm、肉厚ｔが５mmであり、長さＬ８が３５０mmであって、ヘッダー主管８Ａからは、外径ｄＢが１７mm、肉厚３．６mm、長さＬＡが３０mmの枝管８Ｂ群を、中心間距離（ＰＡ）２０mmで、直交突出しており、各ヘッダー枝管８Ｂは、図１５（Ａ）に示す如く、枝管端縁ｂｆから、内径１３mmの取付孔Ｈｂを、深さ５mm、同心切欠して、取付孔Ｈｂの奥端に段部ｂｅを形成したものである。
また、縦管８Ｃは、外径ｄＣが１３mm、肉厚が１．６mmである。
【００５８】
〔熱融着機の概要〕
図１は熱融着機の縦断側面図であり、図２は、熱融着機の上面図であり、図３は、縦管側の正面図であり、図４は、主管側の正面図である。
本発明のプラスチックパイプ熱融着機Ｍは、図１及び図２に示す如く、両側端のポスト１Ａと、上桟１Ｃ、下桟１Ｄ及び縦桟１Ｅとを剛構造に構築して機枠を構成し、機枠の上桟１Ｃの上面に固定テーブル１Ｔと１Ｔ´とを、ポスト１Ａの幅間隔を保って、同一レベルで前後に配置して架台（機枠架台）を形成している。
【００５９】
そして、架台１上の、縦管側ＭＢの固定テーブル１Ｔ上には、上下二重の移動テーブル２を配置して、移動テーブル２上に縦管クランプ装置５を配設し、主管側ＭＨの固定テーブル１Ｔ´上には、移動テーブル３を配置して、移動テーブル３上に主管クランプ装置６を配設し、縦管側固定テーブル１Ｔと主管側固定テーブル１Ｔ´との間隔Ｓ、即ち、長手方向両側端のポスト１Ａの幅Ｗ４で生じた間隔Ｓ、の固定テーブル１Ｔ，１Ｔ´間の下方には、セットプレート装置７を配置し、固定テーブル１Ｔ，１Ｔ´間の上方には、上下動する加熱装置９を配置したものである。
【００６０】
そして、縦管８Ｃ群を移動テーブル２上のクランプ装置５上に載置し、セットプレート装置７によってセットプレート７Ａを上昇した状態で、各縦管８Ｃを、セットプレート７Ａに当接してパイプ端縁を揃えて、クランプ装置５で確保し、ヘッダー８も、主管クランプ装置６で位置規制して確保し、セットプレート７Ａを下方に引っ込めた後、加熱装置９を降下し、縦管移動テーブル２と主管移動テーブル３の、加熱装置９への前進によって、縦管８Ｃ群とヘッダー枝管８Ｂ群とを加熱装置９で加熱溶融し、移動テーブル２と移動テーブル３とを後退させて加熱装置９を上昇離脱させた後、再度、移動テーブル２と移動テーブル３の対向前進で、縦管８Ｃ群とヘッダー枝管８Ｂ群とを対向前進させて、縦管８Ｃ群の先端溶融部とヘッダー枝管８Ｂ群の溶融取付孔Ｈｂとを当接押圧して縦管８Ｃとヘッダー８とを融着接合させるものである。
【００６１】
〔架台１の構造（図１４）〕
架台（機枠架台）１は、各種機構部を配置するための支承枠体であって、図１４（Ａ）は、架台１の全体斜視図、図１４（Ｂ）は、図１４（Ａ）のＢ部拡大説明図である。
即ち、架台１は、図１４（Ａ）に示す如く、両側のポスト１Ａの縦管側ＭＢと主管側ＭＨとに、上桟１Ｃ、下桟１Ｄ及び縦桟１Ｅから成る台枠を構築し、台枠の下桟１Ｄ隅下面には高さ調整ボルト１Ｋを配置し、台枠上には、縦管側固定テーブル１Ｔと、主管側固定テーブル１Ｔ´とを、ポスト１Ａのウェブ１Ａ´の幅Ｗ４に相当する間隔Ｓを保って取付け、ポスト１Ａの上部間にはヒーターベース１Ｂを差渡し固定したものであり、機枠架台１の全体形状は、長さＬ１が１１３０mm、幅Ｗ１が１０７５mm、ポスト１Ａの上端までの高さｈ１が１６００mmで、固定テーブル１Ｔ，１Ｔ´の高さｈ２が７００mmである。
【００６２】
ポスト１Ａは、慣用の溝形鋼（ＪＩＳＧ３１９２）で、ウェブ１Ａ´の、厚さが９mm、幅Ｗ４が１５０mmで、フランジ１Ａ”の、厚さが１２．５mm、幅Ｌ３が７５mmで、長さ（高さ）が１４５０mmであり、下端には、ボルト挿入用孔Ｈ２を備えた１２mm厚鋼板のアンカープレート１Ｖ´を溶接固着し、ボルト１Ｐを用いて下側の下桟１Ｄにアンカープレート１Ｖ´を固定して、ポスト１Ａを下桟１Ｄ上に立設配置する。
【００６３】
また、ウェブ１Ａ´の下端より３４０mm（ｈ７）上方で縦管側に、図１に示す如く、９mm厚の山形鋼の受桟１Ｌを、セットプレート７Ａ用の、左右の伸縮シリンダーＪ３の取付材として配置している。
そして、ポスト１Ａの両側フランジ１Ａ”の、上下方向の、中間部には、上桟１Ｃ調整取付用のボルト孔Ｈ２を、上端には、ヒーターベース１Ｂ調整取付用のボルト孔Ｈ３を配置している。
【００６４】
また、縦管側ＭＢ及び主管側ＭＨの台枠は、４．５mm厚で一辺が７５mmの慣用の角形鋼管（ＪＩＳＧ３４６６）の上桟１Ｃ、下桟１Ｄ及び縦桟１Ｅで溶接構築し、四隅の下桟１Ｄ下面には、高さ調整ボルト１Ｋを配置し、ポスト１Ａのフランジ１Ａ”に対し、上桟１Ｃはボルト孔Ｈ２を介して取付け、縦管側ＭＢの上桟１Ｃ上には９mm厚の鋼板を固定して固定テーブル１Ｔとし、主管側ＭＨの上桟１Ｃ上にも、９mm厚の鋼板を固定して固定テーブル１Ｔ´とし、幅（Ｗ２）６７５mmの縦管側の固定テーブル１Ｔの前端と、幅（Ｗ３）２５０mmの主管側の固定テーブル１Ｔ´の前端との間隔Ｓ、即ち両テーブル１Ｔ，１Ｔ´の対向間隔Ｓをポスト１Ａの幅Ｗ４（１５０mm）で確保している。
また、ヒーターベース１Ｂは、図１に示す如く、底板１Ｂ´と側板１Ｂ”を備え、９mm厚で、幅が１００mm、長さＬ２が９８０mmの鋼板加工品であって、両側端に溶着した取付プレート１Ｓを、ポストウェブ１Ａ´とボルト孔Ｈ３を介して取付けたものである。
【００６５】
〔移動テーブル２，３（図５）〕
図５（Ａ）は、縦管側移動テーブル２の要部縦断側面図、図５（Ｂ）は主管側移動テーブル３の要部縦断側面図、図５（Ｃ）は移動テーブル２のスライドユニット配置説明図、図５（Ｄ）はスライドユニット斜視図である。
スライドユニット４自体は、図５（Ｄ）に示す如く、長尺のアンカーブロック４Ｄと、アンカーブロック４Ｄ上に載置する、上端に断面円形レール４Ｂを備えた長尺の支持台４Ｃと、レール４Ｂに嵌合するための嵌合溝４Ｇを下面に備え、上面にねじ孔ＨＮを備えたスライドブロック４Ａとから構成したものである。
【００６６】
移動テーブル２は、厚さ９mm、前後幅５００mm、長さ９８０mmの下テーブル板２Ｂと、下テーブル板２Ｂと同一の上テーブル板２Ａとが、別個独立的に前後移動する二重テーブルであって、下テーブル板２Ｂは、図５（Ｃ）に示す如く、固定テーブル１Ｔ上に、前後幅方向にスライドユニット４を配置し、支持台４Ｃとアンカーブロック４Ｄとをボルト４Ｐで固定テーブル１Ｔ（９mm厚鋼板）上に固定し、スライドブロック４Ａ上に、９mm厚鋼板の下テーブル板２Ｂをねじ４Ｎで固定して、下テーブル板２Ｂを固定テーブル１Ｔに対して、前後幅方向に摺動可能とし、更に、下テーブル板２Ｂ上に、図５（Ｃ）の如く、スライドユニット４´を前後幅方向に固定し、スライドユニット４´上に、９mm厚鋼板の上テーブル板２Ａを固定し、上テーブル板２Ａを、下テーブル板２Ｂに対して、前後幅方向に摺動可能としたものである。
【００６７】
そして、図５（Ａ）に示す如く、固定テーブル１Ｔと下テーブル板２Ｂ間の、隙間ｇ２´（標準：６２mm）の前部位置で、機械の長手方向中心から左右各２５０mmには、ストローク長１００mmのバネ介在伸縮シリンダー（エアシリンダー）Ｊ７を、シリンダーＪ７の前後の入排気部Ｊａを固定テーブル１Ｔ上に、アングル形態のストッパー４Ｋを介してボルト４Ｐで固定し、伸縮シリンダーＪ７のシリンダー金具Ｊｍから突出した伸縮ロッドＪｒにナット４Ｍを取付け、ナット４Ｍの前部にコイルスプリングＪｓを配置し、移動下テーブル板２Ｂ下面にねじ２Ｎで下方突設固定したブラケット４Ｅの前側から、シリンダーボルトＪｂを、ブラケット４Ｅのボルト挿入用孔Ｈ５を介して、コイルスプリングＪｓ内を貫通して、ナット４Ｍに螺合固定する。
【００６８】
従って、バネ介在伸縮シリンダーＪ７は、伸縮シリンダーＪ７が伸縮ロッドＪｒを伸長すれば、ナット４Ｍ及びシリンダーボルトＪｂも一体的に伸長し、ブラケット４Ｅと一体の下テーブル板２Ｂは、ナット４Ｍの前進がコイルスプリングＪｓを押圧し、コイルスプリングＪｓの圧縮弾性反撥力がブラケット４Ｅを押圧して下テーブル板２Ｂを前進させることとなり、伸縮シリンダーＪ７は、伸長初期段階ではシリンダーボルトＪｂのみを伸長し、引続くコイルスプリングＪｓの圧縮バネ作用力で、下テーブル板２Ｂに、ブラケット４ＥがシリンダーボルトＪｂの頭部に当接するまで、バネ押圧前進力を付与し、下テーブル板２Ｂの後退は、シリンダーボルトＪｂの後退運動で遂行するものとなる。
【００６９】
また、図５（Ａ）の如く、下テーブル板２Ｂ（９mm厚鋼板）と上テーブル板２Ａ（９mm厚鋼板）との隙間ｇ２（標準：４０mm）の前部位置で、機械の長手方向中心から左右各３００mmの位置にも、ストローク長２５mmの小型のバネ介在伸縮シリンダーＪ８を、下テーブル板２Ｂ上に固定し、上テーブル板２Ａから下方に突設したブラケット４Ｅ´のボルト挿入用孔Ｈ５´を介して、シリンダーボルトＪｂをブラケット４Ｅ´の前側からシリンダーナット４Ｍ´に、コイルスプリングＪｓを介在して螺合し、伸縮シリンダーＪ８に伸長駆動を付与すれば、上テーブル板２Ａは、コイルスプリングＪｓの圧縮バネ弾撥力で伸長する構造とした。
従って、縦管側の移動テーブル２は、下テーブル板２Ｂが、固定テーブル１Ｔに対して、バネ介在伸縮シリンダーＪ７のバネ弾性力で前動し、上テーブル板２Ａが、下テーブル板２Ｂに対して、バネ介在伸縮シリンダーＪ８のバネ弾撥力で前動する二重移動テーブル構造である。
【００７０】
また、主管側の移動テーブル３も、固定テーブル１Ｔ´上で、バネ介在伸縮シリンダーＪ６のバネ弾撥力によって前後動するものである。
即ち、機械の長手方向中心から左右各２５０mmの位置で、図５（Ｂ）に示す如く、固定テーブル１Ｔ´と移動テーブル３との隙間ｇ３（標準：１００mm）の固定テーブル１Ｔ´上に、ストローク長５０mmの伸縮シリンダーＪ６の前後の入排気部Ｊａを、板形状のストッパー４Ｋを介してボルト４Ｐで固定し、移動テーブル３（９mm厚鋼板）の前端３ｔ下面にボルト挿入用孔Ｈ５を備えたブラケット４Ｅをねじ２Ｎで垂下固定しておき、伸縮シリンダーＪ６のシリンダー金具Ｊｍから伸長するシリンダー伸縮ロッドＪｒの前端にナット４Ｍを固定し、ブラケット４Ｅの前側からシリンダーボルトＪｂを、ブラケット４Ｅのボルト挿入用孔Ｈ５を介して、且つ、ブラケット４Ｅとナット４Ｍ間に介在したコイルスプリングＪｓを貫通してナット４Ｍに螺着する。
また、図４に示す如く、移動テーブル３下面と固定テーブル１Ｔ´上面との隙間ｇ３には、前後幅方向に、スライドユニット４を配置しておく。
【００７１】
〔縦管クランプ装置５（図１、図９）〕
縦管クランプ装置５は、外径１３mm、肉厚１．６mmの縦管８Ｃ群を、先端縁ｃｆを揃えた状態で、所定中心間距離ＰＡ（標準：２０mm）で確保するものであって、図９（Ａ）は縦管８Ｃ群を確保した状態の縦断側面図、（Ｂ）は一部切欠斜視図、（Ｃ）はパイプホルダー５Ａの機械の長さＬ１方向縦断説明図である。
縦管クランプ装置５は、図９（Ｂ）に示す如く、パイプホルダー５Ａと、パイプホルダー５Ａに対し、ストローク長が３０mmの伸縮シリンダーＪ４で上下動する押圧板５Ｂとから成り、パイプホルダー５Ａは、対象縦管８Ｃの径、配置間隔の変更に応じて準備するものである。
【００７２】
パイプホルダー５Ａは、両側で縦管クランプサイド５Ｄと固定し、下面で移動テーブル２の上テーブル板２Ａと固定するもので、長さＬ４（図２参照）が８４０mm、幅（Ｗ５）２００mmで、厚さ１０mmのアルミ金属製で、上面には、中心間距離ＰＡが２０mmで直径１３mmの半円状の嵌合溝５Ｇを備え、下面を、図９（Ｃ）の如く、移動テーブル２の上テーブル板２Ａ上にねじ５Ｎで着脱自在に固着し、長手方向両側端は、図２に示す如く、上テーブル板２Ａ上に載置固定した縦管クランプサイド５Ｄと固定している。
【００７３】
クランプサイド５Ｄは、上部中央に欠込み５Ｋを備え、図２、及び図９（Ｂ）に示す如く、両端のクランプサイド５Ｄの該欠込み５Ｋ間に亘って、差渡し状に、鋼製６mm厚で、底板５Ｃ´の幅が５８mm、側板５Ｃ”の高さが３０mm、長さＬ４が８４０mmのＣ形状の鉄板加工品のシリンダー受５Ｃを、ボルト５Ｐ（図２参照）でクランプサイド５Ｄの上面の欠込み５Ｋに固定し、シリンダー受５Ｃの底板５Ｃ´には、図２に示す如く、機械の長さ方向中心から左右各２２５mmの位置に、ストローク長３０mmの伸縮シリンダーＪ４を配置し、シリンダーロッドＪｒの下端には、図９（Ａ）に示す如く、幅（Ｗ５）が２００mm、長さ７８０mm、厚さ１０mmのアルミ平板の押圧板５Ｂを固定している。
【００７４】
〔縦管セットプレート装置７（図９（Ａ））〕
セットプレート装置７は、縦管８Ｃ群を縦管クランプ装置で位置確保する前に、パイプホルダー５Ａ上に縦管８Ｃ群を載置した後、各縦管８Ｃの先端（前端）を揃える基準当て板としてのセットプレート７Ａを、伸縮シリンダーＪ３で上下動させる装置である。
図９（Ａ）に示す如く、シリンダーＪ３は、架台（機枠）１のポスト１Ａ間で、縦管側ＭＢに寄せて固定した受桟１Ｌの水平辺に、機械長手方向中心から左右各２５０mmの位置で固定する。
【００７５】
そして、伸縮ロッドＪｒの先端に係止金具７Ｆの底板７Ｆ´を溶着し、断面溝型の係止金具７Ｆの両側板７Ｆ”間にセットプレート７Ａの下端を嵌入し、ボルト７Ｐでセットプレート７Ａ下端を係止金具７Ｆで挟着固定したものである。
この場合、セットプレート７Ａは、鋼製で、厚さ１５mm、高さ１５０mm、長さＬ７が、クランプ装置５のパイプホルダー５Ａの全長をカバーするため８４０mmの板材であり、係止金具７Ｆは、６mm厚の鋼製溝形鋼で、長さが、セットプレート７Ａと同長であり、伸縮シリンダーＪ３はストローク長１５０mmである。
【００７６】
〔主管クランプ装置６（図１０）〕
主管クランプ装置６は、ヘッダー８を所定姿勢で把持し、ヘッダー枝管８Ｂに、必要加熱溶融作用、及び縦管８Ｃ群との押圧融着作用を付与するものであり、図１０（Ａ）は、主管クランプ装置６の斜視図であり、図１０（Ｂ）は、ヘッダー８を把持した状態のクランプ装置６の縦断側面図であり、図１０（Ｃ）は、図９（Ｂ）の矢印Ｃ視図である。
【００７７】
主管クランプ装置６は、図１０に示す如く、クランプ下台６Ｂと、上プレート６Ｔと、クランプ下台６Ｂに対して上プレート６Ｔを昇降させる伸縮シリンダーＪ５とから成り、クランプ下台６Ｂは、幅Ｗ６が５０mm、厚さｈｂが３０mm、長さＬ６（図２参照）が７８０mmのアルミ板状材であって、上面６Ｕの、前部には、主管嵌合溝Ｇ１を、嵌合溝Ｇ１の前端からは枝管嵌合溝Ｇ２群を備えたもので、ねじ６Ｎで移動テーブル板３Ａの前端に固定するものである。
【００７８】
そして、図２に示す如く、機械の長手方向中心から左右に、２５０mmの位置で伸縮シリンダーＪ５保持用アングルブラケット６Ａを、図１０（Ａ），（Ｂ）に示す如く、クランプ下台６Ｂの上面６Ｕ後端に載置する形態で、クランプ下台６Ｂにねじ６Ｎ´で固定し、アングルブラケット６Ａにはストローク長２０mmの伸縮シリンダーＪ５を取付け、伸縮シリンダーの伸縮ロッドＪｒの先端には、幅３０mm、厚さ１２mmで、長さ（Ｌ６）７８０mmの板材で、下面前部にヘッダー主管８Ａを抑止するための当接曲面Ｇ３を備えた上プレート６Ｔを固定したもので、クランプ下台６Ｂ上に嵌合載置したヘッダー主管８Ａを、伸縮シリンダーＪ５の伸長によって、上プレート６Ｔで圧接把持する構造である。
【００７９】
従って、主管クランプ装置６でのヘッダー８の位置規制は、クランプ下台６Ｂの上面６Ｕの嵌合溝Ｇ１にヘッダー主管８Ａを嵌入することで前後位置が定まり、上面６Ｕの前部の嵌合溝Ｇ２群にヘッダー枝管８Ｂ群を嵌入することで左右位置が定まり、位置規制されたヘッダー８上に上プレート６Ｔを降下押圧すれば、上プレート６Ｔの下面の、当接曲面Ｇ３がヘッダー主管８Ａを確保すると共に、下面前端の当接突辺Ｐ６がヘッダー枝管８Ｂ群の回動変位も阻止し、主管クランプ装置６は、ヘッダー８の、定位置での確保、及びヘッダー８の開放を保証する。
【００８０】
〔加熱装置９（図６、図７、図８）〕
加熱装置９は、図１に示す如く、ポスト１Ａ間に差渡し状に配置した溝形鋼形態のヒーターベース１Ｂ上に左右２個配置した、伸縮シリンダーＪ１から垂下したシリンダーロッドＪｒの下端に、融着バー１２、融着ヒーター１１、及び融着チップホルダー１０を連結配置し、伸縮シリンダーＪ１で加熱装置９を縦管側移動テーブル２と主管側移動テーブル３間に降下させた状態で、縦管８Ｃ群及びヘッダー枝管８Ｂ群を融着チップホルダー１０に当接して、所定状態に溶融して上昇離脱させるものであり、融着バー１２は、図３、図６に示す如く、機械長手方向の中心から各２５０mmの位置に配置した、ストローク長３００mmの伸縮シリンダーＪ１と、伸縮ロッドＪｒ下端に溶接した取付金具１２Ｔを介してのねじ１２Ｎでの固定で連結している。
【００８１】
〔融着バー１２〕
融着バー１２は、図３、及び図６に示す如く、幅Ｗ１２が５０mm、高さｈ１２が６０mmの断面矩形鋼棒で、長さＬＡが９３０mmであり、長さ方向中心位置から、おのおのの左右対称に計４本の、孔径２０mmのボルト挿入用孔Ｈ１２を貫通し、図６（Ａ）に示す如く、ボルト挿入用孔Ｈ１２上に、厚さ５mm、直径４０mmのつば１２Ｂと内径１６mm、長さ２０mmで厚さ２mmのスリーブ１２Ｓから成る、高強度、低熱伝導で耐熱性に優れたセラミックカラー１２Ａを載置し、下方の融着ヒーター１１との間にも、同一のセラミックカラー１２Ａを介在して、径１２mmのボルト１２Ｐで、融着バー１２と下側の融着ヒーター１１とを締着する。
【００８２】
従って、融着ヒーター１１の上面からの、融着バー１２への熱伝達は、セラミックカラー１２Ａで抑制され、融着ヒーター１１からボルト１２Ｐに伝達される熱も、上部のセラミックカラー１２Ａによって、ボルト１２Ｐから融着バー１２への熱伝達が抑制され、融着バー１２は発熱体である融着ヒーター１１からの熱伝達を抑制して、熱変位の抑制された状態で、平滑な上下動を達成する。
【００８３】
融着ヒーター１１は、図８（Ａ），（Ｂ）に示す如く、上部材１１Ｕと下部材１１Ｄとの上下二部材の積層体であって、図３に示す如く、２本直列形態で融着バー１２に取付けるものであり、上部材１１Ｕは、アルミ鋳造品（ＡＣ４Ｃアルミ合金鋳造品）の断面矩型状体であって、上面１１Ｔは平坦面であり、上面１１Ｔの幅中央には、融着バー１２と接続するための径１２mmで深さ１５mmのねじ孔Ｈ１１を備え、下面１１Ｅ´も平坦面であって、下面１１Ｅ´には、下部材１１Ｄと接合するための、径３mm、深さ１８mmのねじ孔Ｈｄを、幅方向に３列、長さ方向には両端と中央の３ヶ所で計９本配置し、内部に鋳造一体化したストレートヒーター１１Ａの端部を、電源端子取付部１１Ｂとして両側端から突出し、縦管側（ＭＢ）の側面（垂直面）１１Ｆ中央からは、融着ヒーター１１の表面温度計測用の計測コード１１Ｃを突出（図３参照）し、計測コード１１Ｃを配電盤内の表示盤に接続するものである。
【００８４】
また、融着ヒーター１１の上部材１１Ｕは、図８に示す如く、幅Ｗｄが６５mm、高さｈｕが４５mm、長さＬｕが３５０mmであり、内部のストレートヒーター１１Ａは、鋳造時に、型枠内の定位置を保持するように、ストレートヒーター１１Ａ挿入用孔Ｈ１１´を備えたアルミ板のセパレータ１１Ｋを適宜間隔（標準：１２０mm）で型内に配置して、２本のストレートヒーター１１Ａを一体化鋳造している。
【００８５】
また、融着ヒーターの下部材１１Ｄは、図８に示す如く、鋳鉄製品の断面矩形状体であって、上面１１Ｔ´は、上部材１１Ｕの平坦下面１１Ｅ´に面当接するための平坦面であり、下面１１Ｅは、幅中央部に、長さ方向全長に亘る嵌合溝１１Ｇと、嵌合溝１１Ｇの幅中央に、長さ方向全長に亘る、断面レール状の嵌合突起１１Ｓを、下面１１Ｅより入り込んだ形態で備え、且つ、下面１１Ｅの、幅方向の両側、及び嵌合突起１１Ｓの中央からは、それぞれ、上部材１１Ｕの下面のねじ孔Ｈｄと整合する、計９本の上下貫通ねじ孔Ｈｄ´を備えており、幅Ｗｄが、上部材１１Ｕと同幅の６５mm、高さｈｄが３０mm、長さＬｄが３９０mmである。
【００８６】
そして、上部材１１Ｕの下面１１Ｅ´、下部材１１Ｄの上面１１Ｔ´、下面１１Ｅ、嵌合溝１１Ｇ周面、及び嵌合突起１１Ｓ周面を平滑面仕上げし、上部材１１Ｕと下部材１１Ｄとを、図８（Ｂ）の如く、ボルトねじ１１Ｐで一体化締着して、融着ヒーター１１は、総高さｈｆが７５mm、幅ｗｄが６５mm、長さは、下部材１１Ｄ部が３９０mm、上部材１１Ｕ部が３５０mmで、上部材１１Ｕ部の両端面１１ｅ´が下部材１１Ｄ部の両端面１１ｅより、各２０mm入り込んだ、欠込み１１Ｍの存在するものである。
【００８７】
また、内蔵するストレートヒーター１１Ａ自体は、供給電力２００Ｖで容量５００Ｗ用の径が１２mm、長さが３７０mmである。
そして、融着ヒーター１１は、図６に示す如く、融着バー１２に対して、セラミックカラー１２Ａを介在して、ボルト１２Ｐで一体化し、図３に示す如く、２本の融着ヒーター１１を、下部材１１Ｄの端面１１ｅの当接する直列配置で融着バー１２に取付け、長さＬＢが７８０mmの融着ヒーター１１の、上部材１１Ｕの欠込み１１Ｍから電源端子取付部１１Ｂの露出した状態に配置する。
【００８８】
また、融着チップホルダー１０は、図７（Ａ）に示す如く、長尺のアルミ（ＡＬ−Ｍｇ−Ｓｉ系６１５）製の押出品を適寸に切断したものであり、長さＬ１０が５８mm、幅Ｗ１０が３０mm、高さｈ１０´が５７mm、露出高さｈ１０が３７mmの断面矩形状ブロックであって、上面１０Ｕには、融着ヒーター１１の嵌合突起１１Ｓを、全周面が密接形態で摺動嵌入するための、嵌合突起１１Ｓに対応整合する嵌合溝１０Ｇを備えたもので、縦管側の平坦な加熱面１０Ｆにはテフロン樹脂被膜１０Ｂを、露出高さｈ１０（３７mm）に亘って塗着焼付けし、主管側の加熱面１０Ｆ´には、下端から上方１８．５mmで、両端から９mmと、中央の位置に、計３個の、径が１２mm、深さ４mmの挿入用孔Ｈ１０を、挿入用孔Ｈ１０から連続する同心の、径が５mmで深さ７mmの、ねじ孔Ｈ１０´を穿設しておき、融着チップ１０Ａを、挿入用孔Ｈ１０を介して加熱面１０Ｆ´に３個付設する。
【００８９】
また、融着チップ１０Ａは、アルミ製丸棒鋼の切削加工品であって、ヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂ内に嵌入して、取付孔Ｈｂ内を加熱溶融するものであり、図７（Ａ）、図７（Ｂ）に示す如く、基端の円筒部１０Ｄは径１２mm、長さ４mmで、中央の大径円筒部１０Ｔは径が１７mmで長さ７mm、先端の円筒部１０Ｓは径ｄｂが１３mm、長さが８mmであり、前側のボルト挿入用孔Ｈａは内径９．８mm、長さ８mmで、引続く後側ボルト挿入用孔Ｈａ´は内径６mm、長さ１１mmであり、総長さＬｂが１９mmの円筒部片である。
【００９０】
そして、先端の円筒部１０Ｓの外周面、及び先端縁ｅｆ面には、テフロン樹脂被膜１０Ｂを塗着焼付けしておく。
そして、各融着チップ１０Ａを、図７（Ｂ）に示す如く、融着チップホルダー１０の挿入用孔Ｈ１０に基端円筒部１０Ｄを嵌入し、ボルト１０Ｎを挿入用孔Ｈａからねじ孔Ｈ１０´に螺入固定し、融着ヒーター１１への嵌着用の融着チップホルダー１０として準備する。
【００９１】
融着チップ１０Ａを一体化した融着チップホルダー１０の融着ヒーター１１への連結は、図６（Ａ），（Ｂ）に示す如く、融着チップホルダー１０の上部を融着ヒーター１１の下部材１１Ｄが包み込むような形態で、融着チップホルダー１０の上面１０Ｕの嵌合溝１０Ｇを融着ヒーター１１の下面１１Ｅの嵌合突起１１Ｓに嵌合摺動して配置する。
【００９２】
この場合、融点が高くて、高硬度の鋳鉄製品である、融着ヒーターの下部材１１Ｄの嵌合突起１１Ｓによって、融着チップホルダー１０は、スムーズに摺動し、且つ、融着チップホルダー１０の上部を挟着して、融着チップホルダー１０の熱変位を阻止するものであり、１本の長さＬｄが３９０mmの融着ヒーター１１を２本直列とした長さ（ＬＢ）７８０mmの融着ヒーター１１に対し、長さ（Ｌ１０）５８mmの融着チップホルダー１０の１３個を、隙間ゲージを用いて、相互間隔２mm（ｄ１０）を保って配置する。
【００９３】
従って、長さ５８mmの各融着チップホルダー１０は、融着ヒーター１１の加熱使用中に、長さ方向に熱伸長（２００〜２１０℃で、長さ７８０mmにつき６．５mm伸長）しても、融着ヒーター１１の熱伸長に追従することなく、各５８mm長の融着チップホルダー１０は、各個独立的に０．５mm伸長するが、相互間隔ｄ１０（２mm）で、相互干渉せずに、各個体の熱伸長を吸収し、融着チップホルダー１０から突設した各融着チップ１０Ａは、中心間距離ＰＡ（標準：２０mm）が、支障の無い程度に維持出来る。
【００９４】
〔ヘッダー８及び縦管８Ｃ（図１５）〕
図１５（Ａ）は、本発明の実施に用いるヘッダー８及び縦管８Ｃの断面図であり、図１５（Ｂ）は、ヘッダー８と縦管８Ｃとを融着した半製品の平面図であり、図１５（Ｃ）は製品斜視図である。
図１５（Ａ）に示す如く、ヘッダー８は、１本の主管８Ａに複数本の枝管８Ｂ群を突設したものであり、縦管８Ｃはヘッダー枝管８Ｂに接続する真直ぐなパイプであり、ヘッダー８及び縦管８Ｃは、ポリプロピレンランダムコポリマー（ＰＰ−Ｒ）樹脂製パイプであり、ヘッダー８の主管８Ａは、肉厚５mm、外径（ｄＡ）２７mmであり、枝管８Ｂは肉厚３．６mm、外径ｄＢが１７mmであり、縦管８Ｃは、肉厚１．６mm、外径（ｄＣ）が１３mmで、主管８Ａには、長さ（ＬＡ）３０mmの枝管８Ｂ群が中心間距離ＰＡが２０mmで突出しており、各ヘッダー枝管８Ｂには、図１５（Ａ）に示す如く、端縁ｂｆから段部ｂｅまでの、５mm長の、取付孔Ｈｂを枝管内径に対して同心的に備え、取付孔Ｈｂの内径は、縦管８Ｃの外径と同じ１３mmであり、ヘッダー枝管８Ｂの内径は、縦管８Ｃの内径と同じ９．８mmである。
【００９５】
〔ヘッダー８と縦管８Ｃとの接合（図１１、図１２、図１３）〕
図１は熱融着機Ｍの稼動前の縦断面図であって、図１１は、ヘッダー８及び縦管８Ｃの位置決定状態の縦断面図、図１２は、ヘッダー枝管８Ｂ及び縦管８Ｃの加熱溶融状態の縦断面図、図１３は、ヘッダー８と縦管８Ｃの押圧融着状態の縦断面図である。
【００９６】
図１の状態から図１１の状態に至るまでの作業は：
（ア）．機械の長さ方向中心から左右各２５０mmの位置の受桟１Ｌ上に配置したセットプレートシリンダーＪ３を駆動伸長してセットプレート７Ａを上昇させる。
（イ）．縦管側ＭＢの移動テーブル２の、上テーブル板２Ａ上に固定したパイプホルダー５Ａ上面の、中心間距離（ＰＡ）２０mmで配置した嵌合溝５Ｇ群に、縦管８Ｃ群を手作業で、先端縁ｃｆをセットプレート７Ａ面に当接して、配列する。
（ウ）．機械長さ方向中心から、左右、各２２５mmの位置で、シリンダー受５Ｃ内に配置した縦管クランプ昇降シリンダーＪ５の伸長で押圧板５Ｂを降下して、パイプホルダー５Ａと押圧板５Ｂとで縦管８Ｃ群を挟着確保する。
【００９７】
（エ）．主管側ＭＨでは、図１０（Ｃ）に示す如く、クランプ下台６Ｂの、上面６Ｕ前部の嵌合溝Ｇ１にヘッダー主管８Ａを、前面上端の嵌合溝Ｇ２群にヘッダー枝管８Ｂ群を、手作業で嵌入する。
（オ）．次に、機械長さ方向中心から左右各２５０mmの位置の、アングルブラケット６Ａ上に配置した主管クランプシリンダーＪ５の伸長によって、上プレート６Ｔを降下して、ヘッダー８をクランプ下台６Ｂと上プレート６Ｔとで挟着確保して、図１１の状態となる。
【００９８】
図１１の状態から図１２の状態までは：
（カ）．伸縮シリンダーＪ３でセットプレート７Ａを降下させる。
（キ）．加熱装置９を、伸縮シリンダーＪ１で降下させる。
【００９９】
（ク）．次いで、主管側移動テーブル３を、縦管側に先行して、伸長シリンダーＪ６で、スライドユニット４を介して前進させ、加熱装置９の融着チップホルダー１０から突出した各融着チップ１０Ａへ、ヘッダー枝管取付孔Ｈｂを嵌合し、図１２（Ｂ）に示す如く、融着チップ１０Ａの先端縁ｅｆが、取付孔Ｈｂの段部ｂｅに当接した形態に挿入して当接部を溶融する。
（ケ）．次いで、縦管側の移動テーブル２を、伸縮シリンダーＪ７で、スライドユニット４を介して前進させて、縦管８Ｃ群の端縁ｃｆを融着チップホルダー１０の、平坦なテフロン加工加熱面１０Ｆに当接し、溶融する（図１２状態）。
【０１００】
この場合、加熱装置９の、融着チップホルダー１０の加熱面１０Ｆ，１０Ｆ´は、２００℃〜２１０℃の適温となるには２時間を要するので、スイッチ入力はタイマー制御する。
また、ヘッダー枝管取付孔Ｈｂの溶解は２０±２秒で、縦管８Ｃの先端縁ｃｆの溶融は、ヘッダー枝管８Ｂより１０秒遅れで、１０±２秒行うが、全てタイマーセットで実施する。
尚、上記時間は、室温２０℃の条件下であり、室温が２０℃以下なら、溶解等は時間増となる。
【０１０１】
図１２の状態から図１３の状態までの作業は：
（コ）．移動テーブル２を、スライドユニット４を介した伸縮シリンダーＪ７の作用で、移動テーブル３を、スライドユニット４を介した伸縮シリンダーＪ６の作用で、共に後退させる。
（サ）．次いで、加熱装置９を伸縮シリンダーＪ１で上昇離脱させ、再度、主管側移動テーブル３を、スライドユニット４を介した伸縮シリンダーＪ６の作用で前進させ、縦管側移動テーブル２を、伸縮シリンダーＪ７による下テーブル板２Ｂの前進と、引続く伸縮シリンダーＪ８による上テーブル板２Ａの前進との二重前進作用で前進させる。
【０１０２】
この場合、主管側の伸縮シリンダーＪ６、縦管側の伸縮シリンダーＪ７，Ｊ８は、共にバネ介在伸縮シリンダーであって、コイルスプリングの弾性反撥力での前進であるため、ヘッダー枝管取付孔Ｈｂの端縁ｂｆから段部ｂｅまでの孔と、縦管線端縁ｃｆとの当接押圧は、繊細な押圧力の下での実施となり、融着部の変形は最小限に抑制されて、パイプ８Ｂ，８Ｃ相互の連通が保証され、ヘッダー枝管８Ｂ先端の溶融樹脂８Ｍの不均斉突出も抑制出来た、良好な外見の融着接合となる。
尚、融着時間は、ＰＰ−Ｒ樹脂のパイプ相互の完全融着冷却のために、１２０秒にセットして実施する。
【０１０３】
図１３の状態から図１の状態までの作業は：
（シ）．パイプホルダー５Ａの嵌合溝５Ｇに嵌合して、押圧板５Ｂで確保されている縦管８Ｃ群を、伸縮シリンダーＪ４の収縮作用で押圧板５Ｂを上昇させて開放し、また、クランプ下台６Ｂの嵌合溝Ｇ１，Ｇ２に嵌合して、上プレート６Ｔで確保しているヘッダー８を、伸縮シリンダーＪ５の収縮作用による上プレート６Ｔの上昇で開放し、１本のヘッダー８に直行状に縦管８Ｃ群が融着一体化した半製品８Ｋを熱融着機Ｍから取外す。
（ス）．そして、縦管側移動テーブル２を、下テーブル板２Ｂ用の伸縮シリンダーＪ７のスライドユニット４を介した作用、及び上テーブル板２Ａ用の伸縮シリンダーＪ８のスライドユニット４´を介した作用で、主管側移動テーブル３を、伸縮シリンダーＪ６のスライドユニット４を介した作用で、おのおの後退させる。
尚、ヘッダー８及び縦管８Ｃの、溶融時間、融着時間と共に、各伸縮シリンダー群の作動も、タイマーによって制御作動する。
【０１０４】
〔放熱器の製作（図１５）〕
図１５（Ｂ）は、本発明の熱融着機の実施で製作した半製品８Ｋの平面図であり、図１５（Ｃ）は完成品の斜視図である。
図１５（Ｂ）に示す如く、１本のヘッダー８に対する縦管８Ｃ群の１回目の熱融着作業で、半製品８Ｋが得られる。
次いで、縦管側のパイプホルダー５Ａの嵌合溝５Ｇに、半製品８Ｋの縦管８Ｃ群を嵌入配置し、主管側のクランプ装置６のクランプ下台６Ｂ上にヘッダー８を配置し、１回目の融着作業と同様に、２回目の融着作業を実施することにより、各縦管８Ｃ群の両端にヘッダー８が融着した、プラスチックパイプ製放熱面８１が得られる。
該２枚の放熱面８１，８２をセパレータパイプ８Ｄ及び接続パイプ８Ｅを介して連続し、ヘッダー主管８Ａの端面に閉止板８Ｆを融着閉止して、各放熱面の上側主管８Ａの一端に、パイプ片で供給口８Ｓ及び排出口８Ｒを融着連通することにより、前後２連の放熱器（放熱パネル）が得られる。
【符号の説明】
【０１０５】
１ 架台（機枠架台）
１Ａ ポスト
１Ａ´ ウェブ
１Ａ” フランジ
１Ｂ ヒーターベース
１Ｂ´底板
１Ｂ” 側板
１Ｃ 上桟
１Ｄ 下桟
１Ｅ 縦桟
１Ｋ 高さ調整ボルト
１Ｌ 受桟
１Ｍ，４Ｍ，４Ｍ´ ナット
１Ｐ，４Ｐ，５Ｐ，７Ｐ，１１Ｐ，１２Ｐ ボルト
１Ｓ 取付プレート
１Ｔ，１Ｔ´ 固定テーブル
１Ｖ，１Ｖ´ アンカープレート
２，３ 移動テーブル
２Ａ 上テーブル板
２Ｂ 下テーブル板
３Ａ テーブル板
４，４´ スライドユニット
４Ａ スライドブロック
４Ｂ レール
４Ｃ 支持台
４Ｄ アンカーブロック
４Ｅ，４Ｅ´ ブラケット
４Ｇ，５Ｇ，１０Ｇ，１１Ｇ 嵌合溝
４Ｋ ストッパー
５ 縦管クランプ装置（クランプ装置）
５Ａ パイプホルダー
５Ｂ 押圧板
５Ｃ シリンダー受
５Ｄ クランプサイド
５Ｋ，１１Ｍ 欠込み
６ 主管クランプ装置（クランプ装置）
６Ａ アングルブラケット
６Ｂ クランプ下台
５Ｎ，６Ｎ，６Ｎ´，７Ｎ，９Ｎ，１０Ｎ，１２Ｎ，１２Ｎ´ ねじ
６Ｔ 上プレート
６Ｕ 上面
７ セットプレート装置
７Ａ セットプレート
７Ｆ 係止金具
７Ｆ´ 底板
７Ｆ” 側板
８ ヘッダー
８Ａ ヘッダー主管（主管、パイプ）
８Ｂ ヘッダー枝管（枝管、パイプ）
８Ｃ 縦管（パイプ）
８Ｄ セパレータパイプ
８Ｅ 接続パイプ
８Ｆ 閉止板
８Ｋ 半製品
８Ｒ 排出口
８Ｓ 供給口
９ 加熱装置
１０ 融着チップホルダー
１０Ａ 融着チップ
１０Ｂ テフロン樹脂被膜
１０Ｄ 基端円筒部
１０Ｆ，１０Ｆ´ 加熱面
１０Ｓ 先端円筒部
１０Ｔ 大径円筒部
１１ 融着ヒーター
１１Ａ ストレートヒーター
１１Ｂ 電源端子取付部（端部）
１１Ｃ 計測コード
１１Ｄ 下部材
１１Ｋ セパレータ
１１Ｓ 嵌合突起（嵌合突出部）
１１Ｕ 上部材
１２ 融着バー
１２Ａ セラミックカラー
１２Ｂ つば
１２Ｓ スリーブ
１２Ｔ 取付金具
ｂｅ 段部
ｂｆ，ｃｆ，ｅｆ 端縁（先端縁）
ｄ１０，ｄ１１，Ｓ 間隔
ｇ２，ｇ２´，ｇ３ 隙間
Ｇ１，Ｇ２ 嵌合溝
Ｇ３ 当接曲面
Ｈｂ，Ｈ１０ 取付孔
Ｊ１，Ｊ３，Ｊ４，Ｊ５ 伸縮シリンダー（シリンダー、エアシリンダー）
Ｊ６，Ｊ７，Ｊ８ バネ介在伸縮シリンダー（シリンダー、エアシリンダー）
Ｊａ 入排気部
Ｊｂ シリンダーボルト
Ｊｍ シリンダー金具
Ｊｒ 伸縮ロッド（シリンダーロッド、ロッド）
Ｊｓ コイルスプリング
Ｍ 熱融着機
ＭＢ 枝管側
ＭＨ 主管側
【技術分野】
【０００１】
本発明は、給水器、給湯器、熱交換器、暖房器などの配管材として使用するプラスチックパイプの、主管と枝管群とから成るヘッダー管と、ヘッダー管に直交する縦管群とを融着接合する機械に関するものであり、より詳しくは、大口径の主管から直交形態で一体化突出した中口径の枝管群に、小口径の縦管群を、直接熱融着する機械に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
プラスチックパイプを接合する手段としては熱融着接合が慣用されており、被覆ソケットを採用する典型例として、図１６に示す従来例１がある。
図１６の、（Ａ）は加熱融着状態説明図であり、（Ｂ）は融着製品の説明図である。
従来例１（図１６）は、特許文献１として挙げたものであって、図１６（Ａ）に示す如く、金属被覆ソケットの両側から接合管相互を挿入し、クランプでソケットと接合管との挿入状態を保持して外部からガスバーナーで加熱し、図１６（Ｂ）に示す如く、ソケットと接合管とを一体化するものである。
【０００３】
また、従来例２（図１７）に示す如く、プラスチック管相互を直接熱融着する方法も提案されている。
従来例２（図１７）は、特許文献２として挙げたものであり、図１７（Ａ）は主管への穿孔説明図、（Ｂ）は主管加熱説明図、（Ｃ）は分岐管加熱説明図、（Ｄ）は融着作業説明図、（Ｅ）は融着製品説明図である。
【０００４】
従来例２（図１７）は、主管に対して取付孔を、図１７（Ａ）に示す如く、治具を用いて、大径の第１の孔と、接合対象の分岐管の内径に対応する小径の第２の孔を穿設し、次いで、図１７（Ｂ）に示す如く、表層部をテフロン加工し、表層部から凸部を突設した主管用加熱具を用いて、主管の取付孔を凸部で加熱溶融する。
また、分岐管も、図１７（Ｃ）に示す如く、テフロン加工した表層部に凹部を配置した分岐管用加熱具を用いて、分岐管を凹部に挿入加熱して分岐管の先端の外周面を加熱溶融する。
【０００５】
次いで、図１７（Ｄ）に示す如く、主管の加熱溶融状態の取付孔に対して、分岐管の加熱溶融状態の先端を嵌入押圧し、分岐管の先端外周面を、主管取付孔の第１の孔の内周面に、分岐管先端面を、主管取付孔の第１の孔の段部に融着接合し、図１７（Ｅ）に示す如く、主管に対して分岐管を直交接合し、分岐管の先端が主管の第１孔と第２孔との段差部に当接することにより、分岐管先端が主管内部に突出しない形態で、分岐管の内部流路を主管第２の孔と連通して、分岐管と主管とを流路連通するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開２００１−１７１００７号公報
【特許文献２】特開２００７−２４７８６９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
従来例１（図１６）の手法で、主管に枝管（分岐管）群を直交接合する場合は、Ｔ字形態のソケットを採用し、Ｔ字ソケット群を主管に直列状態で挿通配置し、各Ｔ字ソケットの枝管用突出部に枝管先端を挿入して、Ｔ字ソケットを加熱することとなるが、各枝管の主管への接合位置毎でのＴ字ソケットの配置は、Ｔ字ソケット相互の干渉の問題が生じて、主管への枝管群の密集並列接合は事実上不可能である。
【０００８】
また、例え、枝管の所望間隔接合を可能とするＴ字ソケットを採用しても、各Ｔ字ソケットの主管への配置、各枝管のＴ字ソケットへの挿入、各Ｔ字ソケット位置での加熱、等の作業は煩雑である。
従って、従来例１の接合用ソケットを採用する手段では、図１５に示す如き、主管に枝管群を、直交状態に、且つ小間隔で接合する製品へは、事実上適用不可能である。
【０００９】
また、従来例２（図１７）は、主管取付孔群に、直接分岐管（枝管）群を嵌入熱融着するため、主管への枝管の配置間隔は自在であって、図１５に示す如き、主管に枝管群を、直交状態に、且つ小間隔で接合することは可能であるが、枝管先端は、分岐管用加熱工具の凹部での熱溶融によって、先端部外周面を溶融し、主管取付孔も、主管用加熱工具の凸部によって第１孔の内周面及び段部を溶融しての、枝管群の主管取付孔への挿入押圧融着となるため、先端部外周の溶融した枝管群の、取付孔内周面の溶融した主管への、手作業による挿入、押圧作業は、熟練を要する困難な作業であり、多数本の枝管の主管への均斉な熱融着は困難である。
【００１０】
また、主管用加熱工具と枝管（分岐管）用加熱工具は、別体であって、主管取付孔の加熱溶融作業と、枝管先端の加熱溶融作業が別作業であるため、主管側と枝管側の溶融状態管理も、熟練を要する作業である。
本発明は、従来例１（図１６）の手法では製造不可能な、図１５に示す如き、プラスチックパイプ接合製品を、従来例２（図１７）の手法よりも、均質性に優れた製品が得られ、且つ従来例２（図１７）よりも製造を合理的に機械化したプラスチックパイプ熱融着機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明は、図１、図２に示す如く、長手方向の両側にポスト１Ａを備え、ポスト１Ａの前部には縦管側ＭＢの固定テーブル１Ｔを、ポスト１Ａの後部には主管側ＭＨの固定テーブル１Ｔ´を、間隔Ｓを保って備えた架台１上で、１本の主管８Ａから複数の枝管８Ｂを直交突設したヘッダー８に、並行縦管８Ｃ群を直交当接融着するプラスチックパイプ熱融着機Ｍであって、図１、図２に示す如く、縦管側ＭＢの固定テーブル１Ｔは、上面に縦管クランプ装置５を配置した前後移動テーブル２を備え、主管側ＭＨの固定テーブル１Ｔ´は、ヘッダー８を位置規制状態で確保する主管クランプ装置６を上面に配置した前後移動テーブル３を備え、固定テーブル１Ｔと固定テーブル１Ｔ´との間隔Ｓには、下方からセットプレート７Ａを上下動させるセットプレート装置７と、上方から下降上昇する加熱装置９とを配置し、上昇したセットプレート７Ａで縦管８Ｃ群の端縁ｃｆを揃えて縦管８Ｃ群をクランプ装置５が保持し、セットプレート７Ａの下降後に加熱装置９を降下させ、主管側の移動テーブル３及び縦管側の移動テーブル２を前進させて、加熱装置９の、一側の加熱面１０Ｆで縦管８Ｃ群の端縁ｃｆを、他側の加熱面１０Ｆ´でヘッダー枝管８Ｂ群の取付孔Ｈｂを加熱溶融し、移動テーブル２と３とを後進させて加熱装置９を上昇離脱させた後、再度、移動テーブル２及び３を前進させて、縦管８Ｃ群の端縁ｃｆをヘッダー枝管８Ｂ群の取付孔Ｈｂ群に嵌入融着一体化するプラスチックパイプ熱融着機である。
【００１２】
この場合、架台１は、縦管側の固定テーブル１Ｔと主管側の固定テーブル１Ｔ´とが、間隔Ｓを保持した形態で、且つ、セットプレート７Ａの下降時より高い位置を保持した形態での関係剛構造体を担保すれば良く、典型的には、図１４に示す如く、長手方向両側端の溝形鋼ポスト１Ａに、ポスト１Ａの幅Ｗ４を間隔Ｓとして、ポスト１Ａの前側、即ち縦管側、及び後側、即ち主管側に、角鋼材の上桟１Ｃ、下桟１Ｄ及び縦桟１Ｅで機枠支持構造体を構築し、上桟１Ｃ上の、前側及び後側に鋼板を固定して、ポスト１Ａの、前側を縦管側の固定テーブル１Ｔ、後側を主管側の固定テーブル１Ｔ´としたものである。
【００１３】
また、各移動テーブル２、及び３の「前進」の意は、移動テーブル２，３が、間隔Ｓ（加熱、融着域）内へ突出する相互近接を、「後退」は、間隔Ｓから後退する相互離反を意味するものである。
また、移動テーブル２及び３の移動手段は、移動量が制御出来る手段であれば良く、典型的には、伸縮ロッドを備えた伸縮シリンダー手段であり、慣用のエアシリンダーを採用すれば良い。
【００１４】
また、加熱装置９は、加熱面１０Ｆが縦管８Ｃ群の端縁ｃｆを、加熱面１０Ｆ´がヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂを溶解出来れば良く、加熱面１０Ｆは平坦面であり、加熱面１０Ｆ´は取付孔Ｈｂに嵌入する突起形態であれば良い。
また、加工対象のヘッダー８及び縦管８Ｃは加熱融着出来るパイプであれば良く、典型的には、共に、ポリプロピレンランダムコポリマー樹脂（ＰＰ−Ｒ樹脂）パイプである。
この場合、１本の主管８Ａに複数本の枝管８Ｂ群を直交形態で付設したヘッダー８は、大量生産及び高い寸法精度で、複雑な構造の成形を可能とする射出成形品であって、ヘッダー枝管８Ｂ群の各取付孔Ｈｂは、成形時に構成出来る。
【００１５】
従って、本発明によれば、多数の縦管８Ｃ群の均斉位置決めは、セットプレート７Ａを用いて容易であり、縦管８Ｃ群のヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂ内への嵌入溶着も、縦管クランプ装置５と主管クランプ装置６との機械的な相互近接嵌入作業となって、全縦管８Ｃの均質な溶接が得られる。
【００１６】
また、縦管８Ｃ側の溶解作業とヘッダー枝管８Ｂ側の溶解作業も、１本の加熱装置９の両側面で実施するため、作業性も熱効率も良い。
そして、縦管８Ｃのクランプ装置への配置、及びヘッダー８のクランプ装置への配置以外は、機械化出来たため、多数本の縦管８Ｃ群の１本のヘッダー８への直交融着接合が、均質接合状態の下に、合理的に実施出来る。
【００１７】
また、本発明の熱融着機にあっては、セットプレート７Ａは、図１に示す如く、両固定テーブル１Ｔ，１Ｔ´の間隔Ｓの下方に配置したセットプレート装置７の伸縮シリンダーＪ３で上下動させ、上昇したセットプレート７Ａが全縦管８Ｃの端縁ｃｆを位置規制するのが好ましい。
この場合、セットプレート７Ａは、セットプレート装置７で駆動するものであり、セットプレート７Ａが前後方向の定位置を上下動し、縦管８Ｃ群を当接しても変位しなければ良く、セットプレート装置７は、典型的には、図９（Ａ）に示す如く、架台１の上桟１Ｃと下桟１Ｄとの上下中間位置で、両側のポスト１Ａ間の縦管側ＭＢに差渡し状に剛構造配置した、アングル鋼材の受桟１Ｌを介して固定したものであり、セットプレート７Ａ自体は、厚さ１５mm、高さ１５０mm、長さＬ７が８４０mmの鋼板である。
【００１８】
従って、セットプレート７Ａは、剛構造配置されたシリンダーＪ３から縦管８Ｃ群を配置する位置へ上下動出没し、各プラスチックパイプ縦管８Ｃを、手作業で順次セットプレート７Ａに当接することにより、全縦管８Ｃの端縁ｃｆもセットプレート７Ａの前面で均斉に揃えることが出来、縦管８Ｃ群の整列揃え作業が簡便、且つ均斉に実施出来る。
そのため、熱融着機に於ける、以降の加熱溶融作業、融着作業等が、各縦管８Ｃに均斉に適用出来、高品質のパイプ接合製品の提供が可能となる。
【００１９】
また、パイプ熱融着機の加熱装置９は、図６（Ａ）に示す如く、縦管８Ｃ当接用の加熱面１０Ｆを一側面に、ヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂ嵌入用融着チップ１０Ａ群を突設した加熱面１０Ｆ´を他側面に備えた融着チップホルダー１０の上面に、融着ヒーター１１を当接嵌合し、融着ヒーター１１の上部に融着バー１２を取付け、融着バー１２を、ポスト１Ａ間に差渡したヒーターベース１Ｂに配置した伸縮シリンダーＪ１で、縦管側固定テーブル１Ｔと主管側固定テーブル１Ｔ´との間隔Ｓ内を上下動させるのが好ましい。
【００２０】
この場合、融着バー１２は、上方の伸縮シリンダー（エアシリンダー）Ｊ１に接続し、下方の融着チップホルダー１０及び融着ヒーター１１を支持するもので、融着ヒーター１１の確保を保証し、且つ伸縮シリンダーＪ１の熱変位を保証すれば良く、角筒鋼棒でも良いが、典型的には、長さＬＡが９３０mmで、幅Ｗ１２が５０mm、高さｈ１２が６０mmの断面矩形鋼棒であって、間隔配置した２本の伸縮シリンダーＪ１で上下動するものであって、融着ヒーター１１とは、５mm厚のセラミックカラー１２Ａを介在して、間隔ｄ１１（標準：５mm）を保ってボルト１２Ｐで固定し、ボルト１２Ｐの上部も、５mm厚のセラミックカラー１２Ａを介して融着バー１２上面に締着し、融着ヒーター１１の上面１１Ｔからの融着バー１２への熱伝達、及びボルト１２Ｐからの融着バー１２への熱伝達を抑制する。
【００２１】
また、融着チップホルダー１０は、融着ヒーター１１で加熱されて、縦管８Ｃ及びヘッダー枝管８Ｂを加熱溶融するものであるから、融着ヒーター１１の熱が効率よく伝達されるのが好ましく、融着チップホルダー１０と融着ヒーター１１との接触当接面は、平滑面仕上げするのが好ましい。
また、ヒーターベース１Ｂは、伸縮シリンダーＪ１を、強固に、変位を生じることなく保持すれば良いため、典型的には、断面コ字状の９mm厚の鋼製で、両側辺と底辺を備えた、上面開放箱形状の鋼板加工品であって、両側の剛構造ポスト１Ａ間に差渡し状に剛構造固定し、間隔配置した２本の伸縮シリンダーＪ１を保持したものである。
【００２２】
従って、加熱装置９は、剛構造体としてのヒーターベース１Ｂに確保された伸縮シリンダーＪ１で変位を生ずることなく所定域を上下動し、伸縮シリンダーＪ１の作用で降下した状態で、一側の加熱面１０Ｆでは、縦管８Ｃ群の先端ｃｆを、他側面では、加熱面１０Ｆ´に突出した融着チップ１０Ａによってヘッダー枝管群の取付孔Ｈｂを同時に加熱溶融するため、縦管８Ｃ群先端ｃｆもヘッダー枝管８Ｂ群の取付孔Ｈｂも、均斉当接形態で、均斉な溶融を生じ、各縦管８Ｃ群の、ヘッダー枝管８Ｂ群の各取付孔Ｈｂへの均質な加熱融着接合が可能となる。
尚、この場合、融着ヒーター１１と融着バー１２との界面にセラミックカラー１２Ａを介在して、融着ヒーター１１から融着バー１２への熱伝達を抑制すれば、融着バー１２が熱変位を生じなくて、伸縮シリンダーＪ１の、設計どおりの上下動が保証出来、融着チップホルダー１０の設計どおりの上下動が保証出来る。
【００２３】
また、本発明にあっては、融着チップホルダー１０は、図６、図７に示す如く、一側面が縦管８Ｃ群の端縁ｃｆ当接用の平坦加熱面１０Ｆであり、他側面がヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂに嵌入する融着チップ１０Ａ群を着脱自在に突設し、一側の縦管８Ｃ当接用の加熱面１０Ｆ、及び他側の融着チップ１０Ａの外面がテフロン樹脂被膜１０Ｂを備えたブロック片であり、各融着チップホルダー１０群相互を、間隔ｄ１０を保って融着ヒーター１１に対して摺動可能に配置するのが好ましい。
【００２４】
この場合、融着チップホルダー１０は、アルミ金属製品であり、典型的に実施する、ポリプロピレンランダムコポリマー（ＰＰ−Ｒ）樹脂のパイプ８Ｂ，８Ｃの接合時には、融着チップホルダー１０の表面温度は、２００℃〜２１０℃の温度域を採用が、アルミ金属製の融着ヒーター１１及び融着チップホルダー１０は、２１０℃で、長さ（ＬＢ）７８０mmに対して６．５mmの伸長を生じるため、各融着チップホルダー１０は、典型的には、幅（Ｗ１０）が３０mm、長さ（Ｌ１０）が５８mm、高さ（ｈ１０）が３７mmのブロック片の直列配置とし、１個当りの熱伸長０．５mmに抑えて実施し、各融着チップホルダー１０間の間隔ｄ１０は、典型的には、２mmとした。
【００２５】
従って、加熱装置９の加熱稼働中に、融着ヒーター１１が熱伸長するが、各融着チップホルダー１０は、間隔ｄ１０（２mm）で熱伸長が吸収出来、融着ヒーター１１の熱伸長に追従することなく、各短寸（５８mm長）の融着チップホルダー１０は、融着ヒーター１１上で所定位置に留まり、各融着チップ１０Ａの、ヘッダー枝管８Ｂの各取付孔Ｈｂへの適切な挿入が可能となる。
そして、各縦管８Ｃの端縁ｃｆの加熱面１０Ｆ、及び各融着チップ１０Ａのヘッダー枝管８Ｂ取付孔Ｈｂへの嵌入部、即ち、加熱装置９の各プラスチックパイプとの加熱接触部、がテフロン樹脂被膜１０Ｂを備えているため、縦管８Ｃ及びヘッダー枝管８Ｂの加熱溶融部は、付着欠損を生ずることなく加熱装置９から離反出来る。
【００２６】
この場合、ヘッダー枝管８Ｂ側の加熱部へのテフロン樹脂被膜付与は、加熱面１０Ｆ´から突出した融着チップ１０Ａの先端部のみで良いため、従来例２の主管用加熱工具の表層部全面、及び凸部全面でのテフロン加工より遥かに小範囲となり、テフロン樹脂被膜の塗着作業面でも、コスト面でも有利である。
しかも、融着チップ１０Ａは、融着チップホルダー１０に着脱自在に突設したため、加熱装置９のメンテナンス、及び対象プラスチックパイプ８Ｃ，８Ｂの径変更に対応する取換えが容易となる。
【００２７】
また、本発明の融着チップ１０Ａは、図７（Ａ），（Ｂ）に示す如く、金属製円筒片であって、外周は、融着チップホルダー１０の取付孔Ｈ１０に嵌入する基端円筒部１０Ｄと、中間の大径円筒部１０Ｔと、ヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂの段差ｂｅまで嵌入する先端円筒部１０Ｓとを備え、内周は、基端側のボルト挿入用孔Ｈａ´と、先端側のボルト頭部着座用の大径のボルト挿入用孔Ｈａとを連通し、先端円筒部１０Ｓの外周面と、先端円筒部１０Ｓの先端面ｅｆとを、テフロン樹脂被膜１０Ｂで被覆したものが好ましい。
【００２８】
尚、融着チップ１０Ａは、図１２（Ｂ）に示す如く、融着チップホルダー１０で加熱されてヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂを加熱溶融するものであるため、熱良導体の金属パイプであれば良く、典型的には、熱伝導に優れたアルミ金属（熱伝導率：２３７ｗ／ｍ／ｋ）パイプの加工品である。
従って、ボルト１０Ｎで融着チップホルダー１０への着脱が容易であるため、融着チップ１０Ａのメンテナンスが容易で、加工対象ヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂの径変更に伴なう融着チップ１０Ａの取換え対応作業も容易である。
そして、テフロン樹脂被膜１０Ｂの付与加工も、先端円筒部１０Ｓの外周面及び先端面ｅｆのみであるから、テフロン加工が簡便、且つ低コストで実施出来る。
【００２９】
また、本発明の加熱装置９にあって、融着ヒーター１１は、図８（Ｃ）に示す如く、アルミ合金成形品であって、内部には、ストレートヒーター１１Ａを、セパレータ１１Ｂを介在して一体化した上部材１１Ｕと、鋳鉄成形品であって、下端に嵌合溝１１Ｇを介して嵌合突出部嵌合突起１１Ｓをレール形態で備えた下部材１１Ｄとを、面当接で着脱自在に一体化し、融着チップホルダー１０は、アルミ合金成形品であって、上面に融着ヒーター１１下端の嵌合突出部１１Ｓを摺動形態で嵌入するための嵌合溝１０Ｇを備え、融着チップホルダー１０を融着ヒーター１１の下面に密接摺動嵌合するのが好ましい。
【００３０】
尚、融着ヒーター１１の上部材１１Ｕ成形に際しては、ストレートヒーター１１Ａが型内で浮遊移動するため、図６（Ａ）の如く、型内にアルミ製板状材のセパレータ１１Ｋを係止配置して、ストレートヒーター１１Ａをセパレータ１１Ｋに挿通保持した状態でアルミ合金を打設すれば、ストレートヒーター１１Ａは所定位置に埋設出来る。
この場合、ストレートヒーター１１Ａの、側端からは電源端子取付部１１Ｂを突出させ、前面（縦管側）からは計測コード１１Ｃ（図３）を突出させておけば良い。
【００３１】
また、融着ヒーター１１の融着チップホルダー１０との嵌合当接面は、平滑に研磨して熱伝達を良好にしておけば良い。
この場合、融着ヒーター１１を、アルミ合金製の上部材１１Ｕと、鋳鉄製の下部材１１Ｄとの二部材重層タイプとしたため、上部材１１Ｕは、高い熱伝導率（アルミ金属の熱伝導率：２２７ｗ／ｍ／ｋ）でストレートヒーター１１Ａからの発熱量を有効に伝熱し、下部材１１Ｄは、鋳鉄の高硬度、高融点（鋳鉄融点：１５４０℃）で低熱膨張の物性によって、嵌合したアルミ合金（融点：６６０℃）の融着チップホルダー１０との、加熱稼動時の融点相違、熱膨張率相違によって、相互の熱変位すべりをスムーズに許容し、融着チップホルダー１０の経年熱変位も阻止する。
【００３２】
従って、融着ヒーター１１は、融着チップホルダー１０と、嵌合突出部１１Ｓが嵌入形態で当接するため、当接面が大となり、全長に亘って所定加熱が達成出来て、融着チップホルダー１０に有効に熱伝達出来、しかも、融着チップホルダー１０は、長さが短寸（標準：５８mm）のブロック片で、且つ、間隔ｄ１０（標準:２mm）を保って、融着ヒーター１１に摺動形態で配置するため、融着ヒーター１１の熱伸長に追従すること無く、個々の、ブロック片としての独自の微少の熱伸長を生ずるため、融着チップ１０Ａを適正位置に保持出来る。
そして、融着ヒーター１１を、上部材１１Ｕと下部材１１Ｄとの着脱自在一体化動としたため、下部材１１Ｄ下面の研磨平滑化加工も、単体での取扱いが出来て容易となり、耐用中の加熱能力変更等の、メンテナンスも合理化出来る。
【００３３】
また、本発明の熱融着機にあっては、縦管８Ｃ用クランプ装置５は、図９に示す如く、パイプ嵌合溝５Ｇ群を上面に平行配置したパイプホルダー５Ａを、移動テーブル２の上面に着脱自在に固定し、パイプホルダー５Ａの上面に配置した縦管８Ｃ群を、伸縮シリンダーＪ４によって上下動する押圧板５Ｂで保持及び開放するのが好ましい。
【００３４】
尚、パイプホルダー５Ａは、各縦管８Ｃを位置規制するものであるから、パイプ嵌合溝５Ｇは、縦管８Ｃを嵌合するだけで縦管８Ｃが定間隔位置となるように、断面が円弧溝とすれば良い。
また、押圧板５Ｂは、各縦管８Ｃを、単に、嵌合溝５Ｇに、均斉に押圧出来れば良く、桟材群を間隔配置した簀の子板でも良いが、典型的には、１０mm厚のアルミ平板である。
【００３５】
従って、各縦管８Ｃをパイプホルダー５Ａの各嵌合溝５Ｇ内に挿入し、セットプレート７Ａを上昇させて、各縦管８Ｃをセットプレート７Ａに当接して縦管端縁ｃｆを揃え、押圧板５Ｂを降下圧接させれば、各縦管８Ｃは、端縁ｃｆが揃った状態で、嵌合溝５Ｇの配置間隔で確保出来、以後、クランプ装置５によって縦管８Ｃ群を一体として、加熱装置９への移動テーブル２での前進運動、加熱装置上昇のための移動テーブル２での後退運動、及び移動テーブル２によるヘッダー枝管８Ｂと当接融着のための前進運動等が、縦管８Ｃ群に間隔変位を生ずることなく実施出来、縦管８Ｃ群のヘッダー８との融着接合作業の、均質化、合理化が可能となる。
【００３６】
また、本発明の熱融着機にあっては、主管クランプ装置６は、図１０に示す如く、長手方向のヘッダー主管嵌合溝Ｇ１と、前端のヘッダー枝管嵌合溝Ｇ２群とを上面に備えたクランプ下台６Ｂを、移動テーブル３の上面前端に着脱自在に固定し、クランプ下台６Ｂ上に嵌合載置したヘッダー８を、伸縮シリンダーＪ５によって上下動する移動上プレート６Ｔで、保持及び開放するのが好ましい。
【００３７】
この場合、クランプ下台の、主管嵌合溝Ｇ１にヘッダー主管８Ａを、枝管嵌合溝Ｇ２群に各枝管８Ｂを嵌合すれば、ヘッダー８が融着姿勢となり、ヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂが対向接近する縦管８Ｃの端縁ｃｆと整合する作用を奏すれば良く、上プレート６Ｔは、ヘッダー枝管８Ｂの上方への回動を抑制すれば良く、典型的には、図１０（Ｂ）に示す如く、上プレート６Ｔは、下面に、ヘッダー主管８Ａ押圧用の当接曲面Ｇ３と、先端のヘッダー枝管８Ｂ押圧用の当接突辺Ｐ６とを備えたものであり、クランプ下台の嵌合溝Ｇ１と嵌合溝Ｇ２は、ヘッダー８の融着作用時の位置、姿勢に整合する形状である。
【００３８】
尚、主管クランプ装置６は、主管側の移動テーブル３上に配置されたものであって、移動テーブル３によって前後移動するものであるから、伸縮シリンダーＪ５は、移動テーブル３上に配置すれば良く、典型的には、図１０（Ｂ）に示す如く、移動テーブル３の前端上面に固定したクランプ下台６Ｂの後部上面にアングルブラケット６Ａを配置し、アングルブラケット６Ａ上にストローク長２０mmの伸縮シリンダーＪ５を配置して実施する。
【００３９】
従って、主管クランプ装置６でのヘッダー８の位置規制は、クランプ下台６Ｂの、上面の、嵌合溝Ｇ１にヘッダー主管８Ａを嵌入することで前後方向が規制出来、前面の嵌合溝Ｇ２群にヘッダー枝管８Ｂ郡を嵌入することで左右方向が規制出来、上プレート６Ｔをヘッダー８上に押圧することで、ヘッダー枝管８Ｂの端縁ｂｆが移動テーブル３から前方突出の形態で、ヘッダー８の融着姿勢が規定出来、ヘッダー８の配置作業も、作業性良く正確に実施出来る。
そして、ヘッダー枝管８Ｂの縦管８Ｃとの加熱融着作業は、ヘッダー枝管８Ｂを把持した主管クランプ装置の移動テーブル３による前進、後退作業で実施出来るため、適正な温度管理、運動管理の下で、自動的に、且つ均質に実施出来る。
【００４０】
また、本発明の熱融着機にあっては、枝管側の移動テーブル２が、図５（Ａ）に示す如く、固定テーブル１Ｔ上に配置した伸縮シリンダーＪ７で前後動する下テーブル板２Ｂと、下テーブル板２Ｂ上に配置した伸縮シリンダーＪ８で前後動する上テーブル板２Ａとから成る二重テーブルであり、主管側の移動テーブル３が、図５（Ｂ）に示す如く、固定テーブル１Ｔ´上に配置した伸縮シリンダーＪ６で前後動するテーブル板３Ａであり、各伸縮シリンダーＪ７，Ｊ８及びＪ６が、コイルスプリングＪｓを介して作動するバネ介在伸縮シリンダーであるのが好ましい。
【００４１】
この場合、バネ介在伸縮シリンダーとは、例えば図５（Ｂ）の如く、空気の入排気部Ｊａを備えたエアシリンダーＪ６の、シリンダー金具Ｊｍから突出する伸縮ロッドＪｒの先端にナット４Ｍを固定し、袖駆動体（移動テーブル板３Ａ）に固定したブラケット４Ｅの外側から有頭シリンダーボルトＪｂを、ブラケット４Ｅのボルト挿入用孔Ｈ５を貫通してナット４Ｍに、コイルスプリングＪｓを、ブラケット４Ｅとナット４Ｍ間に、介在して螺着し、シリンダーＪ６が伸縮ロッドＪｒを伸長すれば、ボルトＪｂは伸縮ロッドＪｒの剛構造一体化ロッドとして、同時に前方へ伸長するが、被駆動体（移動テーブル板３Ａ）は、伸縮ロッドＪｒの伸長及びナット４Ｍの前進によるコイルスプリングＪｓの圧縮作用を介してのバネ弾性反撥力により、ブラケット４ＥのコイルスプリングＪｓでの押圧力によって前方へ移動するものである。
【００４２】
従って、縦管移動テーブル２側にあっては、下テーブル板２Ｂがバネ介在伸縮シリンダーＪ７で移動し、移動下テーブル板２Ｂ上で、更に上テーブル板２Ａがバネ介在伸縮シリンダーＪ８で移動し、主管移動テーブル３も、バネ介在伸縮シリンダーＪ６で移動するため、縦管８Ｃ及びヘッダー８の加熱装置９への前進当接作用は、バネ作用での当接となり、押圧融着作用でも、プラスチックパイプ製の縦管８Ｃとヘッダー８とは、弾性押圧力作用での衝突作用を奏し、熱に敏感なプラスチック材に対する温和な衝突作用となる。
【００４３】
そして、加熱縦管８Ｃの加熱ヘッダー枝管８Ｂへの押圧融着作用は、縦管８Ｃ群の、下テーブル板２Ｂのバネ弾性前進に、更に上テーブル板２Ａのバネ弾性前進が加わった前進押圧当接作用となるため、縦管８Ｃのヘッダー枝管取付孔Ｈｂ内への嵌入押圧は、必要押圧力を弾性的に、順次段階的に付与するものとなり、縦管８Ｃの端縁ｃｆの、ヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂ内への融着が、繊細な、時間経過を伴う漸増押圧力作用によって、変形を抑制しながら、確実に達成出来る。
【００４４】
また、本発明の熱融着機にあっては、縦管８Ｃ側の移動テーブル２は、加熱装置９の上昇離脱後、バネ介在伸縮シリンダーＪ７で下テーブル板２Ｂを固定テーブル１Ｔと１Ｔ´との間隔Ｓ内へ突出して縦管８Ｃ群をヘッダー８と対向させ、次いで、バネ介在伸縮シリンダーＪ８で上テーブル板２Ａを突出させて縦管８Ｃ群の端縁ｃｆをヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂ内に弾性押圧して、縦管８Ｃ端縁ｃｆを取付孔Ｈｂの段部ｂｅに融着させるのが好ましい。
【００４５】
この場合、典型的には、バネ介在伸縮シリンダーＪ７のストローク長（標準：１００mm）よりバネ介在伸縮シリンダーＪ８のストローク長（標準：２５mm）が小であり、バネ反撥力は、シリンダーＪ７よりシリンダーＪ８の方が小である。
従って、縦管８Ｃ群のヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂ内への嵌入押圧作用は、バネ弾性で前進する下テーブル板２Ｂに、更にバネ弾性で前進する上テーブル板２Ａの付加された二段階バネ弾性押圧作用となり、縦管８Ｃとヘッダー枝管８Ｂの相互融着部での押圧変形を抑制した状態での融着作用となって、加熱温度と押圧時間に敏感なプラスチックパイプ相互の直交形態の融着接合が良好に実施出来る。
【００４６】
また、本発明の熱融着機にあっては、加熱装置９の融着ヒーター１１を温度管理し、ヘッダー枝管８Ｂ及び縦管８Ｃの溶融時間及び融着時間と共に、各伸縮シリンダーＪ１，Ｊ３，Ｊ４，Ｊ５及び各バネ介在伸縮シリンダーＪ６，Ｊ７，Ｊ８を、タイマーを介在して制御作動するのが好ましい。
【００４７】
この場合、融着ヒーター１１の温度、及び溶融時間は、対象プラスチックパイプの材質、太さに対応して最適状態を決定すれば良く、ポリプロピレンランダムコポリマー（ＰＰ−Ｒ）樹脂製の、肉厚３．５mmのヘッダー枝管８Ｂと肉厚１．６mmの縦管８Ｃを採用する場合は、加熱装置９の表面加熱温度２００℃〜２１０℃、加熱時間はヘッダー枝管８Ｂが２０秒間、縦管８Ｃが１０秒で実施すれば良い。
【００４８】
従って、本発明の熱融着機は、縦管クランプ装置５のパイプホルダー５Ａ上への縦管の載置と、主管クランプ装置６のクランプ下台６Ｂ上へのヘッダー８の位置決め載置との作業以外の、製品の良否を決定する、加熱、融着等の重要作業は自動制御で機械的に遂行出来るため、ヘッダー８への縦管８Ｃ群の直交連通接続が、均質性の担保の下に、高い生産性で実施出来る。
【００４９】
そして、所定長さの縦管８Ｃ群を１本のヘッダー８に直交接続連通した、図１５（Ｂ）の半製品８Ｋに、半製品製造時と同様に、各縦管８Ｃ群の他端に、再度、ヘッダー８を直交接続連通すれば、両端のヘッダー８間に多数本の縦管８Ｃ群が連通した、温水循環放熱器用のプラスチック製放熱パネルが得られる。
【発明の効果】
【００５０】
プラスチック樹脂材の加熱溶解は、室温、加熱温度によって、生き物のように微妙に変化し、プラスチックパイプ相互の融着連通は、非常に困難な作業であって、融着精度に問題があると、経年耐用中に漏水の問題を生ずるが、本発明では、高精度の射出成形品である、大径の主管８Ａに直交形態で突出する中径の枝管８Ｂ群を備えたヘッダー８を用いて、枝管８Ｂ群に縦管８Ｃ群を接続する加熱融着機の採用で、ヘッダー８に対する縦管８Ｃ群の直交融着連通作業が、半自動で容易に、且つ、均質精度の下で遂行出来る。
【００５１】
そのため、本発明熱融着機は、従来例１の融着ソケットを採用するパイプ直交接続では製作困難な、縦管８Ｃ群をヘッダー８に対して、高密度に配置するパイプ接続製品の製造を可能とし、従来例２の如き、プラスチックパイプ相互を、手作業で、直接直交接続するパイプ直交接続方法を、半自動的な合理的手法で、且つ、均質、高精度で、高い生産性の下で実施可能とした。
【００５２】
また、縦管８Ｃ側ＭＢの固定テーブル１Ｔと主管側ＭＨの固定テーブル１Ｔ´との間隔Ｓ内で、下方からのセットプレート５Ｅの上下動、及び上方からの加熱装置９の降下上昇動を実施するため、熱融着機の小型化を可能とし、多数の縦管８Ｃ群を、セットプレート７Ａで正確に揃えた状態で、縦管クランプ装置５が保持し、縦管８Ｃ群を一体として加熱作用、融着作用を実施することで、均質性が担保出来る。
【００５３】
その上、縦管クランプ装置５と主管クランプ装置６を、共に、前後動する移動テーブル上に配置して、１個の加熱装置で同時に縦管８Ｃとヘッダー枝管８Ｂ群とを加熱するため、熱効率良く溶融作業が実施出来、対象パイプ材料に適した、加熱温度及び溶解時間で、各移動テーブル２，３を適切に駆動することにより、高精度で高品質の、パイプの直交融着連通品の製作が、作業工程の合理化と省熱エネルギーの下で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【００５４】
【図１】本発明の熱融着機の縦断側面図である。
【図２】熱融着機の上面図である。
【図３】熱融着機の縦管側から見た正面図である。
【図４】熱融着機の主管側から見た正面図である。
【図５】移動テーブル説明図であって、（Ａ）は縦管側移動テーブル２の一部切欠縦断側面図、（Ｂ）は主管側移動テーブル３の縦断側面図、（Ｃ）はスライドユニット配置構造の縦断正面図、（Ｄ）はスライドユニット斜視図である。
【図６】加熱装置の説明図であって、（Ａ）は縦断側面図、（Ｂ）は一部切欠正面図である。
【図７】加熱装置の部分説明図であって、（Ａ）は融着チップホルダー１０と融着チップ１０Ａの分解斜視図、（Ｂ）は融着チップ装着状態の縦断面図である。
【図８】加熱装置の部分説明図であって、（Ａ）は融着ヒーター１１の斜視図、（Ｂ）は融着ヒーターの縦断側面図、（Ｃ）は融着ヒーターの分解断面図である。
【図９】縦管クランプ装置の説明図であって、（Ａ）はクランプ装置５の作用状態の縦断側面図、（Ｂ）はクランプ装置５の一部切欠斜視図、（Ｃ）はパイプホルダー５Ａの移動テーブルへの取付構造を示す部分縦断正面図である。
【図１０】主管クランプ装置６の説明図であって、（Ａ）は一部切欠斜視図、（Ｂ）はヘッダー把持状態の縦断側面図、（Ｃ）は図１０（Ｂ）の矢印Ｃ視図である。
【００５５】
【図１１】ヘッダー及び縦管をセットした状態での、熱融着機の要部縦断側面図である。
【図１２】（Ａ）はヘッダー枝管８Ｂ及び縦管８Ｃの加熱状態での、熱融着機の要部縦断側面図、（Ｂ）は（Ａ）の部分拡大図である。
【図１３】ヘッダー８と縦管８Ｃとの融着状態での、熱融着機の要部縦断側面図である。
【図１４】機枠架台の説明図であって、（Ａ）は全体斜視図、（Ｂ）は（Ａ）のＢ部拡大図である。
【図１５】本発明の熱融着機で製作実施する製品の説明図であって、（Ａ）はヘッダー８と縦管８Ｃとの部分拡大断面図、（Ｂ）は半製品の一部切欠平面図、（Ｃ）は完成品の斜視図である。
【図１６】従来例１の説明図であって、（Ａ）は融着状態断面図、（Ｂ）は融着製品断面図である。
【図１７】従来例２の説明図であって、（Ａ）は主管の孔開け状態説明断面図、（Ｂ）は主管用加熱工具と主管の斜視図、（Ｃ）は分岐管加熱工具と分岐物の斜視図、（Ｄ）は主管と分岐管の接合作業斜視図、（Ｅ）は融着接合状態斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００５６】
本発明を、図１５に示す放熱器用のパイプ接続製品を製作する加熱融着機に就いての、実施例で詳述する。
尚、図１５（Ａ）はヘッダー８と縦管８Ｃとの縦断側面図であり、図１５（Ｂ）は一側のヘッダー８の枝管８Ｂに縦管８Ｃ群を接続連通した半製品８Ｋの平面図であり、図１５（Ｃ）は、図１５（Ｂ）の半製品８Ｋの縦管８Ｃ群の他端にも、ヘッダー８を接続連通した、完成品としてのプラスチックパイプパネルの２枚８１，８２を、更に、セパレータパイプ８Ｄ、及び接続パイプ８Ｅで連通したプラスチックパイプ製の放熱器である。
【００５７】
ヘッダー８と縦管８Ｃとは、同一材料の、ポリプロピレンランダムコポリマー樹脂（ＰＰ−Ｒ樹脂）製パイプであり、この場合、ヘッダー８の主管８Ａは、外径ｄＡが２７mm、肉厚ｔが５mmであり、長さＬ８が３５０mmであって、ヘッダー主管８Ａからは、外径ｄＢが１７mm、肉厚３．６mm、長さＬＡが３０mmの枝管８Ｂ群を、中心間距離（ＰＡ）２０mmで、直交突出しており、各ヘッダー枝管８Ｂは、図１５（Ａ）に示す如く、枝管端縁ｂｆから、内径１３mmの取付孔Ｈｂを、深さ５mm、同心切欠して、取付孔Ｈｂの奥端に段部ｂｅを形成したものである。
また、縦管８Ｃは、外径ｄＣが１３mm、肉厚が１．６mmである。
【００５８】
〔熱融着機の概要〕
図１は熱融着機の縦断側面図であり、図２は、熱融着機の上面図であり、図３は、縦管側の正面図であり、図４は、主管側の正面図である。
本発明のプラスチックパイプ熱融着機Ｍは、図１及び図２に示す如く、両側端のポスト１Ａと、上桟１Ｃ、下桟１Ｄ及び縦桟１Ｅとを剛構造に構築して機枠を構成し、機枠の上桟１Ｃの上面に固定テーブル１Ｔと１Ｔ´とを、ポスト１Ａの幅間隔を保って、同一レベルで前後に配置して架台（機枠架台）を形成している。
【００５９】
そして、架台１上の、縦管側ＭＢの固定テーブル１Ｔ上には、上下二重の移動テーブル２を配置して、移動テーブル２上に縦管クランプ装置５を配設し、主管側ＭＨの固定テーブル１Ｔ´上には、移動テーブル３を配置して、移動テーブル３上に主管クランプ装置６を配設し、縦管側固定テーブル１Ｔと主管側固定テーブル１Ｔ´との間隔Ｓ、即ち、長手方向両側端のポスト１Ａの幅Ｗ４で生じた間隔Ｓ、の固定テーブル１Ｔ，１Ｔ´間の下方には、セットプレート装置７を配置し、固定テーブル１Ｔ，１Ｔ´間の上方には、上下動する加熱装置９を配置したものである。
【００６０】
そして、縦管８Ｃ群を移動テーブル２上のクランプ装置５上に載置し、セットプレート装置７によってセットプレート７Ａを上昇した状態で、各縦管８Ｃを、セットプレート７Ａに当接してパイプ端縁を揃えて、クランプ装置５で確保し、ヘッダー８も、主管クランプ装置６で位置規制して確保し、セットプレート７Ａを下方に引っ込めた後、加熱装置９を降下し、縦管移動テーブル２と主管移動テーブル３の、加熱装置９への前進によって、縦管８Ｃ群とヘッダー枝管８Ｂ群とを加熱装置９で加熱溶融し、移動テーブル２と移動テーブル３とを後退させて加熱装置９を上昇離脱させた後、再度、移動テーブル２と移動テーブル３の対向前進で、縦管８Ｃ群とヘッダー枝管８Ｂ群とを対向前進させて、縦管８Ｃ群の先端溶融部とヘッダー枝管８Ｂ群の溶融取付孔Ｈｂとを当接押圧して縦管８Ｃとヘッダー８とを融着接合させるものである。
【００６１】
〔架台１の構造（図１４）〕
架台（機枠架台）１は、各種機構部を配置するための支承枠体であって、図１４（Ａ）は、架台１の全体斜視図、図１４（Ｂ）は、図１４（Ａ）のＢ部拡大説明図である。
即ち、架台１は、図１４（Ａ）に示す如く、両側のポスト１Ａの縦管側ＭＢと主管側ＭＨとに、上桟１Ｃ、下桟１Ｄ及び縦桟１Ｅから成る台枠を構築し、台枠の下桟１Ｄ隅下面には高さ調整ボルト１Ｋを配置し、台枠上には、縦管側固定テーブル１Ｔと、主管側固定テーブル１Ｔ´とを、ポスト１Ａのウェブ１Ａ´の幅Ｗ４に相当する間隔Ｓを保って取付け、ポスト１Ａの上部間にはヒーターベース１Ｂを差渡し固定したものであり、機枠架台１の全体形状は、長さＬ１が１１３０mm、幅Ｗ１が１０７５mm、ポスト１Ａの上端までの高さｈ１が１６００mmで、固定テーブル１Ｔ，１Ｔ´の高さｈ２が７００mmである。
【００６２】
ポスト１Ａは、慣用の溝形鋼（ＪＩＳＧ３１９２）で、ウェブ１Ａ´の、厚さが９mm、幅Ｗ４が１５０mmで、フランジ１Ａ”の、厚さが１２．５mm、幅Ｌ３が７５mmで、長さ（高さ）が１４５０mmであり、下端には、ボルト挿入用孔Ｈ２を備えた１２mm厚鋼板のアンカープレート１Ｖ´を溶接固着し、ボルト１Ｐを用いて下側の下桟１Ｄにアンカープレート１Ｖ´を固定して、ポスト１Ａを下桟１Ｄ上に立設配置する。
【００６３】
また、ウェブ１Ａ´の下端より３４０mm（ｈ７）上方で縦管側に、図１に示す如く、９mm厚の山形鋼の受桟１Ｌを、セットプレート７Ａ用の、左右の伸縮シリンダーＪ３の取付材として配置している。
そして、ポスト１Ａの両側フランジ１Ａ”の、上下方向の、中間部には、上桟１Ｃ調整取付用のボルト孔Ｈ２を、上端には、ヒーターベース１Ｂ調整取付用のボルト孔Ｈ３を配置している。
【００６４】
また、縦管側ＭＢ及び主管側ＭＨの台枠は、４．５mm厚で一辺が７５mmの慣用の角形鋼管（ＪＩＳＧ３４６６）の上桟１Ｃ、下桟１Ｄ及び縦桟１Ｅで溶接構築し、四隅の下桟１Ｄ下面には、高さ調整ボルト１Ｋを配置し、ポスト１Ａのフランジ１Ａ”に対し、上桟１Ｃはボルト孔Ｈ２を介して取付け、縦管側ＭＢの上桟１Ｃ上には９mm厚の鋼板を固定して固定テーブル１Ｔとし、主管側ＭＨの上桟１Ｃ上にも、９mm厚の鋼板を固定して固定テーブル１Ｔ´とし、幅（Ｗ２）６７５mmの縦管側の固定テーブル１Ｔの前端と、幅（Ｗ３）２５０mmの主管側の固定テーブル１Ｔ´の前端との間隔Ｓ、即ち両テーブル１Ｔ，１Ｔ´の対向間隔Ｓをポスト１Ａの幅Ｗ４（１５０mm）で確保している。
また、ヒーターベース１Ｂは、図１に示す如く、底板１Ｂ´と側板１Ｂ”を備え、９mm厚で、幅が１００mm、長さＬ２が９８０mmの鋼板加工品であって、両側端に溶着した取付プレート１Ｓを、ポストウェブ１Ａ´とボルト孔Ｈ３を介して取付けたものである。
【００６５】
〔移動テーブル２，３（図５）〕
図５（Ａ）は、縦管側移動テーブル２の要部縦断側面図、図５（Ｂ）は主管側移動テーブル３の要部縦断側面図、図５（Ｃ）は移動テーブル２のスライドユニット配置説明図、図５（Ｄ）はスライドユニット斜視図である。
スライドユニット４自体は、図５（Ｄ）に示す如く、長尺のアンカーブロック４Ｄと、アンカーブロック４Ｄ上に載置する、上端に断面円形レール４Ｂを備えた長尺の支持台４Ｃと、レール４Ｂに嵌合するための嵌合溝４Ｇを下面に備え、上面にねじ孔ＨＮを備えたスライドブロック４Ａとから構成したものである。
【００６６】
移動テーブル２は、厚さ９mm、前後幅５００mm、長さ９８０mmの下テーブル板２Ｂと、下テーブル板２Ｂと同一の上テーブル板２Ａとが、別個独立的に前後移動する二重テーブルであって、下テーブル板２Ｂは、図５（Ｃ）に示す如く、固定テーブル１Ｔ上に、前後幅方向にスライドユニット４を配置し、支持台４Ｃとアンカーブロック４Ｄとをボルト４Ｐで固定テーブル１Ｔ（９mm厚鋼板）上に固定し、スライドブロック４Ａ上に、９mm厚鋼板の下テーブル板２Ｂをねじ４Ｎで固定して、下テーブル板２Ｂを固定テーブル１Ｔに対して、前後幅方向に摺動可能とし、更に、下テーブル板２Ｂ上に、図５（Ｃ）の如く、スライドユニット４´を前後幅方向に固定し、スライドユニット４´上に、９mm厚鋼板の上テーブル板２Ａを固定し、上テーブル板２Ａを、下テーブル板２Ｂに対して、前後幅方向に摺動可能としたものである。
【００６７】
そして、図５（Ａ）に示す如く、固定テーブル１Ｔと下テーブル板２Ｂ間の、隙間ｇ２´（標準：６２mm）の前部位置で、機械の長手方向中心から左右各２５０mmには、ストローク長１００mmのバネ介在伸縮シリンダー（エアシリンダー）Ｊ７を、シリンダーＪ７の前後の入排気部Ｊａを固定テーブル１Ｔ上に、アングル形態のストッパー４Ｋを介してボルト４Ｐで固定し、伸縮シリンダーＪ７のシリンダー金具Ｊｍから突出した伸縮ロッドＪｒにナット４Ｍを取付け、ナット４Ｍの前部にコイルスプリングＪｓを配置し、移動下テーブル板２Ｂ下面にねじ２Ｎで下方突設固定したブラケット４Ｅの前側から、シリンダーボルトＪｂを、ブラケット４Ｅのボルト挿入用孔Ｈ５を介して、コイルスプリングＪｓ内を貫通して、ナット４Ｍに螺合固定する。
【００６８】
従って、バネ介在伸縮シリンダーＪ７は、伸縮シリンダーＪ７が伸縮ロッドＪｒを伸長すれば、ナット４Ｍ及びシリンダーボルトＪｂも一体的に伸長し、ブラケット４Ｅと一体の下テーブル板２Ｂは、ナット４Ｍの前進がコイルスプリングＪｓを押圧し、コイルスプリングＪｓの圧縮弾性反撥力がブラケット４Ｅを押圧して下テーブル板２Ｂを前進させることとなり、伸縮シリンダーＪ７は、伸長初期段階ではシリンダーボルトＪｂのみを伸長し、引続くコイルスプリングＪｓの圧縮バネ作用力で、下テーブル板２Ｂに、ブラケット４ＥがシリンダーボルトＪｂの頭部に当接するまで、バネ押圧前進力を付与し、下テーブル板２Ｂの後退は、シリンダーボルトＪｂの後退運動で遂行するものとなる。
【００６９】
また、図５（Ａ）の如く、下テーブル板２Ｂ（９mm厚鋼板）と上テーブル板２Ａ（９mm厚鋼板）との隙間ｇ２（標準：４０mm）の前部位置で、機械の長手方向中心から左右各３００mmの位置にも、ストローク長２５mmの小型のバネ介在伸縮シリンダーＪ８を、下テーブル板２Ｂ上に固定し、上テーブル板２Ａから下方に突設したブラケット４Ｅ´のボルト挿入用孔Ｈ５´を介して、シリンダーボルトＪｂをブラケット４Ｅ´の前側からシリンダーナット４Ｍ´に、コイルスプリングＪｓを介在して螺合し、伸縮シリンダーＪ８に伸長駆動を付与すれば、上テーブル板２Ａは、コイルスプリングＪｓの圧縮バネ弾撥力で伸長する構造とした。
従って、縦管側の移動テーブル２は、下テーブル板２Ｂが、固定テーブル１Ｔに対して、バネ介在伸縮シリンダーＪ７のバネ弾性力で前動し、上テーブル板２Ａが、下テーブル板２Ｂに対して、バネ介在伸縮シリンダーＪ８のバネ弾撥力で前動する二重移動テーブル構造である。
【００７０】
また、主管側の移動テーブル３も、固定テーブル１Ｔ´上で、バネ介在伸縮シリンダーＪ６のバネ弾撥力によって前後動するものである。
即ち、機械の長手方向中心から左右各２５０mmの位置で、図５（Ｂ）に示す如く、固定テーブル１Ｔ´と移動テーブル３との隙間ｇ３（標準：１００mm）の固定テーブル１Ｔ´上に、ストローク長５０mmの伸縮シリンダーＪ６の前後の入排気部Ｊａを、板形状のストッパー４Ｋを介してボルト４Ｐで固定し、移動テーブル３（９mm厚鋼板）の前端３ｔ下面にボルト挿入用孔Ｈ５を備えたブラケット４Ｅをねじ２Ｎで垂下固定しておき、伸縮シリンダーＪ６のシリンダー金具Ｊｍから伸長するシリンダー伸縮ロッドＪｒの前端にナット４Ｍを固定し、ブラケット４Ｅの前側からシリンダーボルトＪｂを、ブラケット４Ｅのボルト挿入用孔Ｈ５を介して、且つ、ブラケット４Ｅとナット４Ｍ間に介在したコイルスプリングＪｓを貫通してナット４Ｍに螺着する。
また、図４に示す如く、移動テーブル３下面と固定テーブル１Ｔ´上面との隙間ｇ３には、前後幅方向に、スライドユニット４を配置しておく。
【００７１】
〔縦管クランプ装置５（図１、図９）〕
縦管クランプ装置５は、外径１３mm、肉厚１．６mmの縦管８Ｃ群を、先端縁ｃｆを揃えた状態で、所定中心間距離ＰＡ（標準：２０mm）で確保するものであって、図９（Ａ）は縦管８Ｃ群を確保した状態の縦断側面図、（Ｂ）は一部切欠斜視図、（Ｃ）はパイプホルダー５Ａの機械の長さＬ１方向縦断説明図である。
縦管クランプ装置５は、図９（Ｂ）に示す如く、パイプホルダー５Ａと、パイプホルダー５Ａに対し、ストローク長が３０mmの伸縮シリンダーＪ４で上下動する押圧板５Ｂとから成り、パイプホルダー５Ａは、対象縦管８Ｃの径、配置間隔の変更に応じて準備するものである。
【００７２】
パイプホルダー５Ａは、両側で縦管クランプサイド５Ｄと固定し、下面で移動テーブル２の上テーブル板２Ａと固定するもので、長さＬ４（図２参照）が８４０mm、幅（Ｗ５）２００mmで、厚さ１０mmのアルミ金属製で、上面には、中心間距離ＰＡが２０mmで直径１３mmの半円状の嵌合溝５Ｇを備え、下面を、図９（Ｃ）の如く、移動テーブル２の上テーブル板２Ａ上にねじ５Ｎで着脱自在に固着し、長手方向両側端は、図２に示す如く、上テーブル板２Ａ上に載置固定した縦管クランプサイド５Ｄと固定している。
【００７３】
クランプサイド５Ｄは、上部中央に欠込み５Ｋを備え、図２、及び図９（Ｂ）に示す如く、両端のクランプサイド５Ｄの該欠込み５Ｋ間に亘って、差渡し状に、鋼製６mm厚で、底板５Ｃ´の幅が５８mm、側板５Ｃ”の高さが３０mm、長さＬ４が８４０mmのＣ形状の鉄板加工品のシリンダー受５Ｃを、ボルト５Ｐ（図２参照）でクランプサイド５Ｄの上面の欠込み５Ｋに固定し、シリンダー受５Ｃの底板５Ｃ´には、図２に示す如く、機械の長さ方向中心から左右各２２５mmの位置に、ストローク長３０mmの伸縮シリンダーＪ４を配置し、シリンダーロッドＪｒの下端には、図９（Ａ）に示す如く、幅（Ｗ５）が２００mm、長さ７８０mm、厚さ１０mmのアルミ平板の押圧板５Ｂを固定している。
【００７４】
〔縦管セットプレート装置７（図９（Ａ））〕
セットプレート装置７は、縦管８Ｃ群を縦管クランプ装置で位置確保する前に、パイプホルダー５Ａ上に縦管８Ｃ群を載置した後、各縦管８Ｃの先端（前端）を揃える基準当て板としてのセットプレート７Ａを、伸縮シリンダーＪ３で上下動させる装置である。
図９（Ａ）に示す如く、シリンダーＪ３は、架台（機枠）１のポスト１Ａ間で、縦管側ＭＢに寄せて固定した受桟１Ｌの水平辺に、機械長手方向中心から左右各２５０mmの位置で固定する。
【００７５】
そして、伸縮ロッドＪｒの先端に係止金具７Ｆの底板７Ｆ´を溶着し、断面溝型の係止金具７Ｆの両側板７Ｆ”間にセットプレート７Ａの下端を嵌入し、ボルト７Ｐでセットプレート７Ａ下端を係止金具７Ｆで挟着固定したものである。
この場合、セットプレート７Ａは、鋼製で、厚さ１５mm、高さ１５０mm、長さＬ７が、クランプ装置５のパイプホルダー５Ａの全長をカバーするため８４０mmの板材であり、係止金具７Ｆは、６mm厚の鋼製溝形鋼で、長さが、セットプレート７Ａと同長であり、伸縮シリンダーＪ３はストローク長１５０mmである。
【００７６】
〔主管クランプ装置６（図１０）〕
主管クランプ装置６は、ヘッダー８を所定姿勢で把持し、ヘッダー枝管８Ｂに、必要加熱溶融作用、及び縦管８Ｃ群との押圧融着作用を付与するものであり、図１０（Ａ）は、主管クランプ装置６の斜視図であり、図１０（Ｂ）は、ヘッダー８を把持した状態のクランプ装置６の縦断側面図であり、図１０（Ｃ）は、図９（Ｂ）の矢印Ｃ視図である。
【００７７】
主管クランプ装置６は、図１０に示す如く、クランプ下台６Ｂと、上プレート６Ｔと、クランプ下台６Ｂに対して上プレート６Ｔを昇降させる伸縮シリンダーＪ５とから成り、クランプ下台６Ｂは、幅Ｗ６が５０mm、厚さｈｂが３０mm、長さＬ６（図２参照）が７８０mmのアルミ板状材であって、上面６Ｕの、前部には、主管嵌合溝Ｇ１を、嵌合溝Ｇ１の前端からは枝管嵌合溝Ｇ２群を備えたもので、ねじ６Ｎで移動テーブル板３Ａの前端に固定するものである。
【００７８】
そして、図２に示す如く、機械の長手方向中心から左右に、２５０mmの位置で伸縮シリンダーＪ５保持用アングルブラケット６Ａを、図１０（Ａ），（Ｂ）に示す如く、クランプ下台６Ｂの上面６Ｕ後端に載置する形態で、クランプ下台６Ｂにねじ６Ｎ´で固定し、アングルブラケット６Ａにはストローク長２０mmの伸縮シリンダーＪ５を取付け、伸縮シリンダーの伸縮ロッドＪｒの先端には、幅３０mm、厚さ１２mmで、長さ（Ｌ６）７８０mmの板材で、下面前部にヘッダー主管８Ａを抑止するための当接曲面Ｇ３を備えた上プレート６Ｔを固定したもので、クランプ下台６Ｂ上に嵌合載置したヘッダー主管８Ａを、伸縮シリンダーＪ５の伸長によって、上プレート６Ｔで圧接把持する構造である。
【００７９】
従って、主管クランプ装置６でのヘッダー８の位置規制は、クランプ下台６Ｂの上面６Ｕの嵌合溝Ｇ１にヘッダー主管８Ａを嵌入することで前後位置が定まり、上面６Ｕの前部の嵌合溝Ｇ２群にヘッダー枝管８Ｂ群を嵌入することで左右位置が定まり、位置規制されたヘッダー８上に上プレート６Ｔを降下押圧すれば、上プレート６Ｔの下面の、当接曲面Ｇ３がヘッダー主管８Ａを確保すると共に、下面前端の当接突辺Ｐ６がヘッダー枝管８Ｂ群の回動変位も阻止し、主管クランプ装置６は、ヘッダー８の、定位置での確保、及びヘッダー８の開放を保証する。
【００８０】
〔加熱装置９（図６、図７、図８）〕
加熱装置９は、図１に示す如く、ポスト１Ａ間に差渡し状に配置した溝形鋼形態のヒーターベース１Ｂ上に左右２個配置した、伸縮シリンダーＪ１から垂下したシリンダーロッドＪｒの下端に、融着バー１２、融着ヒーター１１、及び融着チップホルダー１０を連結配置し、伸縮シリンダーＪ１で加熱装置９を縦管側移動テーブル２と主管側移動テーブル３間に降下させた状態で、縦管８Ｃ群及びヘッダー枝管８Ｂ群を融着チップホルダー１０に当接して、所定状態に溶融して上昇離脱させるものであり、融着バー１２は、図３、図６に示す如く、機械長手方向の中心から各２５０mmの位置に配置した、ストローク長３００mmの伸縮シリンダーＪ１と、伸縮ロッドＪｒ下端に溶接した取付金具１２Ｔを介してのねじ１２Ｎでの固定で連結している。
【００８１】
〔融着バー１２〕
融着バー１２は、図３、及び図６に示す如く、幅Ｗ１２が５０mm、高さｈ１２が６０mmの断面矩形鋼棒で、長さＬＡが９３０mmであり、長さ方向中心位置から、おのおのの左右対称に計４本の、孔径２０mmのボルト挿入用孔Ｈ１２を貫通し、図６（Ａ）に示す如く、ボルト挿入用孔Ｈ１２上に、厚さ５mm、直径４０mmのつば１２Ｂと内径１６mm、長さ２０mmで厚さ２mmのスリーブ１２Ｓから成る、高強度、低熱伝導で耐熱性に優れたセラミックカラー１２Ａを載置し、下方の融着ヒーター１１との間にも、同一のセラミックカラー１２Ａを介在して、径１２mmのボルト１２Ｐで、融着バー１２と下側の融着ヒーター１１とを締着する。
【００８２】
従って、融着ヒーター１１の上面からの、融着バー１２への熱伝達は、セラミックカラー１２Ａで抑制され、融着ヒーター１１からボルト１２Ｐに伝達される熱も、上部のセラミックカラー１２Ａによって、ボルト１２Ｐから融着バー１２への熱伝達が抑制され、融着バー１２は発熱体である融着ヒーター１１からの熱伝達を抑制して、熱変位の抑制された状態で、平滑な上下動を達成する。
【００８３】
融着ヒーター１１は、図８（Ａ），（Ｂ）に示す如く、上部材１１Ｕと下部材１１Ｄとの上下二部材の積層体であって、図３に示す如く、２本直列形態で融着バー１２に取付けるものであり、上部材１１Ｕは、アルミ鋳造品（ＡＣ４Ｃアルミ合金鋳造品）の断面矩型状体であって、上面１１Ｔは平坦面であり、上面１１Ｔの幅中央には、融着バー１２と接続するための径１２mmで深さ１５mmのねじ孔Ｈ１１を備え、下面１１Ｅ´も平坦面であって、下面１１Ｅ´には、下部材１１Ｄと接合するための、径３mm、深さ１８mmのねじ孔Ｈｄを、幅方向に３列、長さ方向には両端と中央の３ヶ所で計９本配置し、内部に鋳造一体化したストレートヒーター１１Ａの端部を、電源端子取付部１１Ｂとして両側端から突出し、縦管側（ＭＢ）の側面（垂直面）１１Ｆ中央からは、融着ヒーター１１の表面温度計測用の計測コード１１Ｃを突出（図３参照）し、計測コード１１Ｃを配電盤内の表示盤に接続するものである。
【００８４】
また、融着ヒーター１１の上部材１１Ｕは、図８に示す如く、幅Ｗｄが６５mm、高さｈｕが４５mm、長さＬｕが３５０mmであり、内部のストレートヒーター１１Ａは、鋳造時に、型枠内の定位置を保持するように、ストレートヒーター１１Ａ挿入用孔Ｈ１１´を備えたアルミ板のセパレータ１１Ｋを適宜間隔（標準：１２０mm）で型内に配置して、２本のストレートヒーター１１Ａを一体化鋳造している。
【００８５】
また、融着ヒーターの下部材１１Ｄは、図８に示す如く、鋳鉄製品の断面矩形状体であって、上面１１Ｔ´は、上部材１１Ｕの平坦下面１１Ｅ´に面当接するための平坦面であり、下面１１Ｅは、幅中央部に、長さ方向全長に亘る嵌合溝１１Ｇと、嵌合溝１１Ｇの幅中央に、長さ方向全長に亘る、断面レール状の嵌合突起１１Ｓを、下面１１Ｅより入り込んだ形態で備え、且つ、下面１１Ｅの、幅方向の両側、及び嵌合突起１１Ｓの中央からは、それぞれ、上部材１１Ｕの下面のねじ孔Ｈｄと整合する、計９本の上下貫通ねじ孔Ｈｄ´を備えており、幅Ｗｄが、上部材１１Ｕと同幅の６５mm、高さｈｄが３０mm、長さＬｄが３９０mmである。
【００８６】
そして、上部材１１Ｕの下面１１Ｅ´、下部材１１Ｄの上面１１Ｔ´、下面１１Ｅ、嵌合溝１１Ｇ周面、及び嵌合突起１１Ｓ周面を平滑面仕上げし、上部材１１Ｕと下部材１１Ｄとを、図８（Ｂ）の如く、ボルトねじ１１Ｐで一体化締着して、融着ヒーター１１は、総高さｈｆが７５mm、幅ｗｄが６５mm、長さは、下部材１１Ｄ部が３９０mm、上部材１１Ｕ部が３５０mmで、上部材１１Ｕ部の両端面１１ｅ´が下部材１１Ｄ部の両端面１１ｅより、各２０mm入り込んだ、欠込み１１Ｍの存在するものである。
【００８７】
また、内蔵するストレートヒーター１１Ａ自体は、供給電力２００Ｖで容量５００Ｗ用の径が１２mm、長さが３７０mmである。
そして、融着ヒーター１１は、図６に示す如く、融着バー１２に対して、セラミックカラー１２Ａを介在して、ボルト１２Ｐで一体化し、図３に示す如く、２本の融着ヒーター１１を、下部材１１Ｄの端面１１ｅの当接する直列配置で融着バー１２に取付け、長さＬＢが７８０mmの融着ヒーター１１の、上部材１１Ｕの欠込み１１Ｍから電源端子取付部１１Ｂの露出した状態に配置する。
【００８８】
また、融着チップホルダー１０は、図７（Ａ）に示す如く、長尺のアルミ（ＡＬ−Ｍｇ−Ｓｉ系６１５）製の押出品を適寸に切断したものであり、長さＬ１０が５８mm、幅Ｗ１０が３０mm、高さｈ１０´が５７mm、露出高さｈ１０が３７mmの断面矩形状ブロックであって、上面１０Ｕには、融着ヒーター１１の嵌合突起１１Ｓを、全周面が密接形態で摺動嵌入するための、嵌合突起１１Ｓに対応整合する嵌合溝１０Ｇを備えたもので、縦管側の平坦な加熱面１０Ｆにはテフロン樹脂被膜１０Ｂを、露出高さｈ１０（３７mm）に亘って塗着焼付けし、主管側の加熱面１０Ｆ´には、下端から上方１８．５mmで、両端から９mmと、中央の位置に、計３個の、径が１２mm、深さ４mmの挿入用孔Ｈ１０を、挿入用孔Ｈ１０から連続する同心の、径が５mmで深さ７mmの、ねじ孔Ｈ１０´を穿設しておき、融着チップ１０Ａを、挿入用孔Ｈ１０を介して加熱面１０Ｆ´に３個付設する。
【００８９】
また、融着チップ１０Ａは、アルミ製丸棒鋼の切削加工品であって、ヘッダー枝管８Ｂの取付孔Ｈｂ内に嵌入して、取付孔Ｈｂ内を加熱溶融するものであり、図７（Ａ）、図７（Ｂ）に示す如く、基端の円筒部１０Ｄは径１２mm、長さ４mmで、中央の大径円筒部１０Ｔは径が１７mmで長さ７mm、先端の円筒部１０Ｓは径ｄｂが１３mm、長さが８mmであり、前側のボルト挿入用孔Ｈａは内径９．８mm、長さ８mmで、引続く後側ボルト挿入用孔Ｈａ´は内径６mm、長さ１１mmであり、総長さＬｂが１９mmの円筒部片である。
【００９０】
そして、先端の円筒部１０Ｓの外周面、及び先端縁ｅｆ面には、テフロン樹脂被膜１０Ｂを塗着焼付けしておく。
そして、各融着チップ１０Ａを、図７（Ｂ）に示す如く、融着チップホルダー１０の挿入用孔Ｈ１０に基端円筒部１０Ｄを嵌入し、ボルト１０Ｎを挿入用孔Ｈａからねじ孔Ｈ１０´に螺入固定し、融着ヒーター１１への嵌着用の融着チップホルダー１０として準備する。
【００９１】
融着チップ１０Ａを一体化した融着チップホルダー１０の融着ヒーター１１への連結は、図６（Ａ），（Ｂ）に示す如く、融着チップホルダー１０の上部を融着ヒーター１１の下部材１１Ｄが包み込むような形態で、融着チップホルダー１０の上面１０Ｕの嵌合溝１０Ｇを融着ヒーター１１の下面１１Ｅの嵌合突起１１Ｓに嵌合摺動して配置する。
【００９２】
この場合、融点が高くて、高硬度の鋳鉄製品である、融着ヒーターの下部材１１Ｄの嵌合突起１１Ｓによって、融着チップホルダー１０は、スムーズに摺動し、且つ、融着チップホルダー１０の上部を挟着して、融着チップホルダー１０の熱変位を阻止するものであり、１本の長さＬｄが３９０mmの融着ヒーター１１を２本直列とした長さ（ＬＢ）７８０mmの融着ヒーター１１に対し、長さ（Ｌ１０）５８mmの融着チップホルダー１０の１３個を、隙間ゲージを用いて、相互間隔２mm（ｄ１０）を保って配置する。
【００９３】
従って、長さ５８mmの各融着チップホルダー１０は、融着ヒーター１１の加熱使用中に、長さ方向に熱伸長（２００〜２１０℃で、長さ７８０mmにつき６．５mm伸長）しても、融着ヒーター１１の熱伸長に追従することなく、各５８mm長の融着チップホルダー１０は、各個独立的に０．５mm伸長するが、相互間隔ｄ１０（２mm）で、相互干渉せずに、各個体の熱伸長を吸収し、融着チップホルダー１０から突設した各融着チップ１０Ａは、中心間距離ＰＡ（標準：２０mm）が、支障の無い程度に維持出来る。
【００９４】
〔ヘッダー８及び縦管８Ｃ（図１５）〕
図１５（Ａ）は、本発明の実施に用いるヘッダー８及び縦管８Ｃの断面図であり、図１５（Ｂ）は、ヘッダー８と縦管８Ｃとを融着した半製品の平面図であり、図１５（Ｃ）は製品斜視図である。
図１５（Ａ）に示す如く、ヘッダー８は、１本の主管８Ａに複数本の枝管８Ｂ群を突設したものであり、縦管８Ｃはヘッダー枝管８Ｂに接続する真直ぐなパイプであり、ヘッダー８及び縦管８Ｃは、ポリプロピレンランダムコポリマー（ＰＰ−Ｒ）樹脂製パイプであり、ヘッダー８の主管８Ａは、肉厚５mm、外径（ｄＡ）２７mmであり、枝管８Ｂは肉厚３．６mm、外径ｄＢが１７mmであり、縦管８Ｃは、肉厚１．６mm、外径（ｄＣ）が１３mmで、主管８Ａには、長さ（ＬＡ）３０mmの枝管８Ｂ群が中心間距離ＰＡが２０mmで突出しており、各ヘッダー枝管８Ｂには、図１５（Ａ）に示す如く、端縁ｂｆから段部ｂｅまでの、５mm長の、取付孔Ｈｂを枝管内径に対して同心的に備え、取付孔Ｈｂの内径は、縦管８Ｃの外径と同じ１３mmであり、ヘッダー枝管８Ｂの内径は、縦管８Ｃの内径と同じ９．８mmである。
【００９５】
〔ヘッダー８と縦管８Ｃとの接合（図１１、図１２、図１３）〕
図１は熱融着機Ｍの稼動前の縦断面図であって、図１１は、ヘッダー８及び縦管８Ｃの位置決定状態の縦断面図、図１２は、ヘッダー枝管８Ｂ及び縦管８Ｃの加熱溶融状態の縦断面図、図１３は、ヘッダー８と縦管８Ｃの押圧融着状態の縦断面図である。
【００９６】
図１の状態から図１１の状態に至るまでの作業は：
（ア）．機械の長さ方向中心から左右各２５０mmの位置の受桟１Ｌ上に配置したセットプレートシリンダーＪ３を駆動伸長してセットプレート７Ａを上昇させる。
（イ）．縦管側ＭＢの移動テーブル２の、上テーブル板２Ａ上に固定したパイプホルダー５Ａ上面の、中心間距離（ＰＡ）２０mmで配置した嵌合溝５Ｇ群に、縦管８Ｃ群を手作業で、先端縁ｃｆをセットプレート７Ａ面に当接して、配列する。
（ウ）．機械長さ方向中心から、左右、各２２５mmの位置で、シリンダー受５Ｃ内に配置した縦管クランプ昇降シリンダーＪ５の伸長で押圧板５Ｂを降下して、パイプホルダー５Ａと押圧板５Ｂとで縦管８Ｃ群を挟着確保する。
【００９７】
（エ）．主管側ＭＨでは、図１０（Ｃ）に示す如く、クランプ下台６Ｂの、上面６Ｕ前部の嵌合溝Ｇ１にヘッダー主管８Ａを、前面上端の嵌合溝Ｇ２群にヘッダー枝管８Ｂ群を、手作業で嵌入する。
（オ）．次に、機械長さ方向中心から左右各２５０mmの位置の、アングルブラケット６Ａ上に配置した主管クランプシリンダーＪ５の伸長によって、上プレート６Ｔを降下して、ヘッダー８をクランプ下台６Ｂと上プレート６Ｔとで挟着確保して、図１１の状態となる。
【００９８】
図１１の状態から図１２の状態までは：
（カ）．伸縮シリンダーＪ３でセットプレート７Ａを降下させる。
（キ）．加熱装置９を、伸縮シリンダーＪ１で降下させる。
【００９９】
（ク）．次いで、主管側移動テーブル３を、縦管側に先行して、伸長シリンダーＪ６で、スライドユニット４を介して前進させ、加熱装置９の融着チップホルダー１０から突出した各融着チップ１０Ａへ、ヘッダー枝管取付孔Ｈｂを嵌合し、図１２（Ｂ）に示す如く、融着チップ１０Ａの先端縁ｅｆが、取付孔Ｈｂの段部ｂｅに当接した形態に挿入して当接部を溶融する。
（ケ）．次いで、縦管側の移動テーブル２を、伸縮シリンダーＪ７で、スライドユニット４を介して前進させて、縦管８Ｃ群の端縁ｃｆを融着チップホルダー１０の、平坦なテフロン加工加熱面１０Ｆに当接し、溶融する（図１２状態）。
【０１００】
この場合、加熱装置９の、融着チップホルダー１０の加熱面１０Ｆ，１０Ｆ´は、２００℃〜２１０℃の適温となるには２時間を要するので、スイッチ入力はタイマー制御する。
また、ヘッダー枝管取付孔Ｈｂの溶解は２０±２秒で、縦管８Ｃの先端縁ｃｆの溶融は、ヘッダー枝管８Ｂより１０秒遅れで、１０±２秒行うが、全てタイマーセットで実施する。
尚、上記時間は、室温２０℃の条件下であり、室温が２０℃以下なら、溶解等は時間増となる。
【０１０１】
図１２の状態から図１３の状態までの作業は：
（コ）．移動テーブル２を、スライドユニット４を介した伸縮シリンダーＪ７の作用で、移動テーブル３を、スライドユニット４を介した伸縮シリンダーＪ６の作用で、共に後退させる。
（サ）．次いで、加熱装置９を伸縮シリンダーＪ１で上昇離脱させ、再度、主管側移動テーブル３を、スライドユニット４を介した伸縮シリンダーＪ６の作用で前進させ、縦管側移動テーブル２を、伸縮シリンダーＪ７による下テーブル板２Ｂの前進と、引続く伸縮シリンダーＪ８による上テーブル板２Ａの前進との二重前進作用で前進させる。
【０１０２】
この場合、主管側の伸縮シリンダーＪ６、縦管側の伸縮シリンダーＪ７，Ｊ８は、共にバネ介在伸縮シリンダーであって、コイルスプリングの弾性反撥力での前進であるため、ヘッダー枝管取付孔Ｈｂの端縁ｂｆから段部ｂｅまでの孔と、縦管線端縁ｃｆとの当接押圧は、繊細な押圧力の下での実施となり、融着部の変形は最小限に抑制されて、パイプ８Ｂ，８Ｃ相互の連通が保証され、ヘッダー枝管８Ｂ先端の溶融樹脂８Ｍの不均斉突出も抑制出来た、良好な外見の融着接合となる。
尚、融着時間は、ＰＰ−Ｒ樹脂のパイプ相互の完全融着冷却のために、１２０秒にセットして実施する。
【０１０３】
図１３の状態から図１の状態までの作業は：
（シ）．パイプホルダー５Ａの嵌合溝５Ｇに嵌合して、押圧板５Ｂで確保されている縦管８Ｃ群を、伸縮シリンダーＪ４の収縮作用で押圧板５Ｂを上昇させて開放し、また、クランプ下台６Ｂの嵌合溝Ｇ１，Ｇ２に嵌合して、上プレート６Ｔで確保しているヘッダー８を、伸縮シリンダーＪ５の収縮作用による上プレート６Ｔの上昇で開放し、１本のヘッダー８に直行状に縦管８Ｃ群が融着一体化した半製品８Ｋを熱融着機Ｍから取外す。
（ス）．そして、縦管側移動テーブル２を、下テーブル板２Ｂ用の伸縮シリンダーＪ７のスライドユニット４を介した作用、及び上テーブル板２Ａ用の伸縮シリンダーＪ８のスライドユニット４´を介した作用で、主管側移動テーブル３を、伸縮シリンダーＪ６のスライドユニット４を介した作用で、おのおの後退させる。
尚、ヘッダー８及び縦管８Ｃの、溶融時間、融着時間と共に、各伸縮シリンダー群の作動も、タイマーによって制御作動する。
【０１０４】
〔放熱器の製作（図１５）〕
図１５（Ｂ）は、本発明の熱融着機の実施で製作した半製品８Ｋの平面図であり、図１５（Ｃ）は完成品の斜視図である。
図１５（Ｂ）に示す如く、１本のヘッダー８に対する縦管８Ｃ群の１回目の熱融着作業で、半製品８Ｋが得られる。
次いで、縦管側のパイプホルダー５Ａの嵌合溝５Ｇに、半製品８Ｋの縦管８Ｃ群を嵌入配置し、主管側のクランプ装置６のクランプ下台６Ｂ上にヘッダー８を配置し、１回目の融着作業と同様に、２回目の融着作業を実施することにより、各縦管８Ｃ群の両端にヘッダー８が融着した、プラスチックパイプ製放熱面８１が得られる。
該２枚の放熱面８１，８２をセパレータパイプ８Ｄ及び接続パイプ８Ｅを介して連続し、ヘッダー主管８Ａの端面に閉止板８Ｆを融着閉止して、各放熱面の上側主管８Ａの一端に、パイプ片で供給口８Ｓ及び排出口８Ｒを融着連通することにより、前後２連の放熱器（放熱パネル）が得られる。
【符号の説明】
【０１０５】
１ 架台（機枠架台）
１Ａ ポスト
１Ａ´ ウェブ
１Ａ” フランジ
１Ｂ ヒーターベース
１Ｂ´底板
１Ｂ” 側板
１Ｃ 上桟
１Ｄ 下桟
１Ｅ 縦桟
１Ｋ 高さ調整ボルト
１Ｌ 受桟
１Ｍ，４Ｍ，４Ｍ´ ナット
１Ｐ，４Ｐ，５Ｐ，７Ｐ，１１Ｐ，１２Ｐ ボルト
１Ｓ 取付プレート
１Ｔ，１Ｔ´ 固定テーブル
１Ｖ，１Ｖ´ アンカープレート
２，３ 移動テーブル
２Ａ 上テーブル板
２Ｂ 下テーブル板
３Ａ テーブル板
４，４´ スライドユニット
４Ａ スライドブロック
４Ｂ レール
４Ｃ 支持台
４Ｄ アンカーブロック
４Ｅ，４Ｅ´ ブラケット
４Ｇ，５Ｇ，１０Ｇ，１１Ｇ 嵌合溝
４Ｋ ストッパー
５ 縦管クランプ装置（クランプ装置）
５Ａ パイプホルダー
５Ｂ 押圧板
５Ｃ シリンダー受
５Ｄ クランプサイド
５Ｋ，１１Ｍ 欠込み
６ 主管クランプ装置（クランプ装置）
６Ａ アングルブラケット
６Ｂ クランプ下台
５Ｎ，６Ｎ，６Ｎ´，７Ｎ，９Ｎ，１０Ｎ，１２Ｎ，１２Ｎ´ ねじ
６Ｔ 上プレート
６Ｕ 上面
７ セットプレート装置
７Ａ セットプレート
７Ｆ 係止金具
７Ｆ´ 底板
７Ｆ” 側板
８ ヘッダー
８Ａ ヘッダー主管（主管、パイプ）
８Ｂ ヘッダー枝管（枝管、パイプ）
８Ｃ 縦管（パイプ）
８Ｄ セパレータパイプ
８Ｅ 接続パイプ
８Ｆ 閉止板
８Ｋ 半製品
８Ｒ 排出口
８Ｓ 供給口
９ 加熱装置
１０ 融着チップホルダー
１０Ａ 融着チップ
１０Ｂ テフロン樹脂被膜
１０Ｄ 基端円筒部
１０Ｆ，１０Ｆ´ 加熱面
１０Ｓ 先端円筒部
１０Ｔ 大径円筒部
１１ 融着ヒーター
１１Ａ ストレートヒーター
１１Ｂ 電源端子取付部（端部）
１１Ｃ 計測コード
１１Ｄ 下部材
１１Ｋ セパレータ
１１Ｓ 嵌合突起（嵌合突出部）
１１Ｕ 上部材
１２ 融着バー
１２Ａ セラミックカラー
１２Ｂ つば
１２Ｓ スリーブ
１２Ｔ 取付金具
ｂｅ 段部
ｂｆ，ｃｆ，ｅｆ 端縁（先端縁）
ｄ１０，ｄ１１，Ｓ 間隔
ｇ２，ｇ２´，ｇ３ 隙間
Ｇ１，Ｇ２ 嵌合溝
Ｇ３ 当接曲面
Ｈｂ，Ｈ１０ 取付孔
Ｊ１，Ｊ３，Ｊ４，Ｊ５ 伸縮シリンダー（シリンダー、エアシリンダー）
Ｊ６，Ｊ７，Ｊ８ バネ介在伸縮シリンダー（シリンダー、エアシリンダー）
Ｊａ 入排気部
Ｊｂ シリンダーボルト
Ｊｍ シリンダー金具
Ｊｒ 伸縮ロッド（シリンダーロッド、ロッド）
Ｊｓ コイルスプリング
Ｍ 熱融着機
ＭＢ 枝管側
ＭＨ 主管側
【特許請求の範囲】
【請求項１】
長手方向の両側にポスト（１Ａ）を備え、ポスト（１Ａ）の前部には縦管側（ＭＢ）の固定テーブル（１Ｔ）を、ポスト（１Ａ）の後部には主管側（ＭＨ）の固定テーブル（１Ｔ´）を、間隔（Ｓ）を保って備えた架台（１）上で、1本の主管（８Ａ）から複数の枝管（８Ｂ）を直交突設したヘッダー（８）に、並行縦管（８Ｃ）群を直交当接融着するプラスチックパイプ熱融着機（Ｍ）であって、縦管側（ＭＢ）の固定テーブル（１Ｔ）は、上面に縦管クランプ装置（５）を配置した前後移動テーブル（２）を備え、主管側（ＭＨ）の固定テーブル（１Ｔ´）は、ヘッダー（８）を位置規制状態で確保する主管クランプ装置（６）を上面に配置した前後移動テーブル（３）を備え、固定テーブル（１Ｔ）と固定テーブル（１Ｔ´）との間隔（Ｓ）には、下方からセットプレート（７Ａ）を上下動させるセットプレート装置（７）と、上方から下降上昇する加熱装置（９）とを配置し、上昇したセットプレート（７Ａ）で縦管（８Ｃ）群の端縁（ｃｆ）を揃えて縦管（８Ｃ）群をクランプ装置（５）が保持し、セットプレート（７Ａ）の下降後に加熱装置（９）を降下させ、主管側の移動テーブル（３）及び縦管側の移動テーブル（２）を前進させて、加熱装置（９）の、一側の加熱面（１０Ｆ）で縦管（８Ｃ）群の端縁（ｃｆ）を、他側の加熱面（１０Ｆ´）でヘッダー枝管（８Ｂ）群の取付孔（Ｈｂ）を加熱溶融し、移動テーブル（２）と（３）とを後進させて加熱装置（９）を上昇離脱させた後、再度、移動テーブル（２）及び（３）を前進させて、縦管（８Ｃ）群の端縁（ｃｆ）をヘッダー枝管（８Ｂ）群の取付孔（Ｈｂ）群に嵌入融着一体化するプラスチックパイプ熱融着機。
【請求項２】
セットプレート（７Ａ）は、両固定テーブル（１Ｔ），（１Ｔ´）の間隔（Ｓ）の下方に配置したセットプレート装置（７）の伸縮シリンダー（Ｊ３）で上下動させ、上昇したセットプレート（７Ａ）が全縦管（８Ｃ）の端縁（ｃｆ）を位置規制する、請求項１に記載のパイプ熱融着機。
【請求項３】
加熱装置（９）は、縦管（８Ｃ）当接用の加熱面（１０Ｆ）を一側面に、ヘッダー枝管（８Ｂ）の取付孔（Ｈｂ）嵌入用融着チップ（１０Ａ）群を突設した加熱面（１０Ｆ´）を他側面に備えた融着チップホルダー（１０）の上面に、融着ヒーター（１１）を当接嵌合し、融着ヒーター（１１）の上部に融着バー（１２）を取付け、融着バー（１２）を、ポスト（１Ａ）間に差渡したヒーターベース（１Ｂ）に配置した伸縮シリンダー（Ｊ１）で、縦管側固定テーブル（１Ｔ）と主管側固定テーブル（１Ｔ´）と間隔（Ｓ）内を上下動させる、請求項１又は２に記載のパイプ熱融着機。
【請求項４】
融着チップホルダー（１０）は、一側面が縦管（８Ｃ）群の端縁（Ｃｆ）当接用の平坦加熱面（１０Ｆ）であり、他側面がヘッダー枝管（８Ｂ）の取付孔（Ｈｂ）に嵌入する融着チップ（１０Ａ）群を着脱自在に突設し、一側の縦管（８Ｃ）当接用の加熱面（１０Ｆ）、及び他側の融着チップ（１０Ａ）の外面がテフロン樹脂被膜（１０Ｂ）を備えたブロック片であり、各融着チップホルダー（１０）群相互を、間隔（ｄ１０）を保って融着ヒーター（１１）に対して摺動可能に配置した、請求項３に記載のパイプ熱融着機。
【請求項５】
融着チップ（１０Ａ）は、金属製円筒片であって、外周は、融着チップホルダー（１０）の取付孔（Ｈ１０）に嵌入する基端円筒部（１０Ｄ）と、中間の大径円筒部（１０Ｔ）と、ヘッダー枝管（８Ｂ）の取付孔（Ｈｂ）の段差（ｂｅ）まで嵌入する先端円筒部（１０Ｓ）とを備え、内周は、基端側のボルト挿入用孔（Ｈａ´）と、先端側のボルト頭部着座用の大径挿入用孔（Ｈａ）とを連通し、先端円筒部（１０Ｓ）の外周面と、先端円筒部（１０Ｓ）の先端面（ｅｆ）とを、テフロン樹脂被膜（１０Ｂ）で被覆した、請求項４に記載のパイプ熱融着機。
【請求項６】
融着ヒーター（１１）は、アルミ合金成形品であって、内部には、ストレートヒーター（１１Ａ）を、セパレータ（１１Ｂ）を介在して一体化した上部材（１１Ｕ）と、鋳鉄成形品であって、下端に嵌合溝（１１Ｇ）を介して嵌合突出部（１１Ｓ）をレール形態で備えた下部材（１１Ｄ）とを、面当接で着脱自在に一体化し、融着チップホルダー（１０）は、アルミ合金成形品であって、上面に融着ヒーター（１１）下端の嵌合突出部（１１Ｓ）を摺動形態で嵌入するための嵌合溝（１０Ｇ）を備え、融着チップホルダー（１０）を融着ヒーター（１１）の下面に密接摺動嵌合した、請求項４、又は５に記載のパイプ熱融着機。
【請求項７】
縦管（８Ｃ）用クランプ装置（５）は、パイプ嵌合溝（５Ｇ）群を上面に平行配置したパイプホルダー（５Ａ）を、移動テーブル（２）の上面に着脱自在に固定し、パイプホルダー（５Ａ）の上面に配置した縦管（８Ｃ）群を、伸縮シリンダー（Ｊ４）によって上下動する押圧板（５Ｂ）で保持及び開放する、請求項１乃至６のいずれか１項に記載のパイプ熱融着機。
【請求項８】
主管クランプ装置（６）は、長手方向のヘッダー主管嵌合溝（Ｇ１）と、前端のヘッダー枝管嵌合溝（Ｇ２）群とを上面に備えたクランプ下台（６Ｂ）を、移動テーブル（３）の上面前端に着脱自在に固定し、クランプ下台（６Ｂ）上に嵌合載置したヘッダー（８）を、伸縮シリンダー（Ｊ５）によって上下動する移動上プレート（６Ｔ）で、保持及び開放する、請求項１乃至７のいずれか１項に記載のパイプ熱融着機。
【請求項９】
枝管側の移動テーブル（２）が、固定テーブル（１Ｔ）上に配置した伸縮シリンダー（Ｊ７）で前後動する下テーブル板（２Ｂ）と、下テーブル板（２Ｂ）上に配置した伸縮シリンダー（Ｊ８）で前後動する上テーブル板（２Ａ）とから成る二重テーブルであり、主管側の移動テーブル（３）が、固定テーブル（１Ｔ´）上に配置した伸縮シリンダー（Ｊ６）で前後動するテーブル板（３Ａ）であり、各伸縮シリンダー（Ｊ７），（Ｊ８）及び（Ｊ６）が、コイルスプリング（Ｊｓ）を介して作動するバネ介在伸縮シリンダーである、請求項１乃至８のいずれか１項に記載の熱融着機。
【請求項１０】
縦管（８Ｃ）側の移動テーブル（２）は、加熱装置（９）の上昇離脱後、バネ介在伸縮シリンダー（Ｊ７）で下テーブル板（２Ｂ）を固定テーブル（１Ｔ）と（１Ｔ´）との間隔（Ｓ）内へ突出して縦管（８Ｃ）群をヘッダー（８）と対向させ、次いで、バネ介在伸縮シリンダー（Ｊ８）で上テーブル板（２Ａ）を突出させて縦管（８Ｃ）群の端縁（Ｃｆ）をヘッダー枝管（８Ｂ）の取付孔（Ｈｂ）内に弾性押圧して、縦管（８Ｃ）端縁（ｃｆ）を取付孔（Ｈｂ）の段部（ｂｅ）に融着させる、請求項９に記載のパイプ熱融着機。
【請求項１１】
加熱装置（９）の融着ヒーター（１１）を温度管理し、ヘッダー枝管（８Ｂ）及び縦管（８Ｃ）の溶融時間及び融着時間と共に、各伸縮シリンダー（Ｊ１，Ｊ３，Ｊ４，Ｊ５）及び各バネ介在伸縮シリンダー（Ｊ６，Ｊ７，Ｊ８）を、タイマーを介在して制御作動する、請求項９又は１０に記載のパイプ熱融着機。
【請求項１】
長手方向の両側にポスト（１Ａ）を備え、ポスト（１Ａ）の前部には縦管側（ＭＢ）の固定テーブル（１Ｔ）を、ポスト（１Ａ）の後部には主管側（ＭＨ）の固定テーブル（１Ｔ´）を、間隔（Ｓ）を保って備えた架台（１）上で、1本の主管（８Ａ）から複数の枝管（８Ｂ）を直交突設したヘッダー（８）に、並行縦管（８Ｃ）群を直交当接融着するプラスチックパイプ熱融着機（Ｍ）であって、縦管側（ＭＢ）の固定テーブル（１Ｔ）は、上面に縦管クランプ装置（５）を配置した前後移動テーブル（２）を備え、主管側（ＭＨ）の固定テーブル（１Ｔ´）は、ヘッダー（８）を位置規制状態で確保する主管クランプ装置（６）を上面に配置した前後移動テーブル（３）を備え、固定テーブル（１Ｔ）と固定テーブル（１Ｔ´）との間隔（Ｓ）には、下方からセットプレート（７Ａ）を上下動させるセットプレート装置（７）と、上方から下降上昇する加熱装置（９）とを配置し、上昇したセットプレート（７Ａ）で縦管（８Ｃ）群の端縁（ｃｆ）を揃えて縦管（８Ｃ）群をクランプ装置（５）が保持し、セットプレート（７Ａ）の下降後に加熱装置（９）を降下させ、主管側の移動テーブル（３）及び縦管側の移動テーブル（２）を前進させて、加熱装置（９）の、一側の加熱面（１０Ｆ）で縦管（８Ｃ）群の端縁（ｃｆ）を、他側の加熱面（１０Ｆ´）でヘッダー枝管（８Ｂ）群の取付孔（Ｈｂ）を加熱溶融し、移動テーブル（２）と（３）とを後進させて加熱装置（９）を上昇離脱させた後、再度、移動テーブル（２）及び（３）を前進させて、縦管（８Ｃ）群の端縁（ｃｆ）をヘッダー枝管（８Ｂ）群の取付孔（Ｈｂ）群に嵌入融着一体化するプラスチックパイプ熱融着機。
【請求項２】
セットプレート（７Ａ）は、両固定テーブル（１Ｔ），（１Ｔ´）の間隔（Ｓ）の下方に配置したセットプレート装置（７）の伸縮シリンダー（Ｊ３）で上下動させ、上昇したセットプレート（７Ａ）が全縦管（８Ｃ）の端縁（ｃｆ）を位置規制する、請求項１に記載のパイプ熱融着機。
【請求項３】
加熱装置（９）は、縦管（８Ｃ）当接用の加熱面（１０Ｆ）を一側面に、ヘッダー枝管（８Ｂ）の取付孔（Ｈｂ）嵌入用融着チップ（１０Ａ）群を突設した加熱面（１０Ｆ´）を他側面に備えた融着チップホルダー（１０）の上面に、融着ヒーター（１１）を当接嵌合し、融着ヒーター（１１）の上部に融着バー（１２）を取付け、融着バー（１２）を、ポスト（１Ａ）間に差渡したヒーターベース（１Ｂ）に配置した伸縮シリンダー（Ｊ１）で、縦管側固定テーブル（１Ｔ）と主管側固定テーブル（１Ｔ´）と間隔（Ｓ）内を上下動させる、請求項１又は２に記載のパイプ熱融着機。
【請求項４】
融着チップホルダー（１０）は、一側面が縦管（８Ｃ）群の端縁（Ｃｆ）当接用の平坦加熱面（１０Ｆ）であり、他側面がヘッダー枝管（８Ｂ）の取付孔（Ｈｂ）に嵌入する融着チップ（１０Ａ）群を着脱自在に突設し、一側の縦管（８Ｃ）当接用の加熱面（１０Ｆ）、及び他側の融着チップ（１０Ａ）の外面がテフロン樹脂被膜（１０Ｂ）を備えたブロック片であり、各融着チップホルダー（１０）群相互を、間隔（ｄ１０）を保って融着ヒーター（１１）に対して摺動可能に配置した、請求項３に記載のパイプ熱融着機。
【請求項５】
融着チップ（１０Ａ）は、金属製円筒片であって、外周は、融着チップホルダー（１０）の取付孔（Ｈ１０）に嵌入する基端円筒部（１０Ｄ）と、中間の大径円筒部（１０Ｔ）と、ヘッダー枝管（８Ｂ）の取付孔（Ｈｂ）の段差（ｂｅ）まで嵌入する先端円筒部（１０Ｓ）とを備え、内周は、基端側のボルト挿入用孔（Ｈａ´）と、先端側のボルト頭部着座用の大径挿入用孔（Ｈａ）とを連通し、先端円筒部（１０Ｓ）の外周面と、先端円筒部（１０Ｓ）の先端面（ｅｆ）とを、テフロン樹脂被膜（１０Ｂ）で被覆した、請求項４に記載のパイプ熱融着機。
【請求項６】
融着ヒーター（１１）は、アルミ合金成形品であって、内部には、ストレートヒーター（１１Ａ）を、セパレータ（１１Ｂ）を介在して一体化した上部材（１１Ｕ）と、鋳鉄成形品であって、下端に嵌合溝（１１Ｇ）を介して嵌合突出部（１１Ｓ）をレール形態で備えた下部材（１１Ｄ）とを、面当接で着脱自在に一体化し、融着チップホルダー（１０）は、アルミ合金成形品であって、上面に融着ヒーター（１１）下端の嵌合突出部（１１Ｓ）を摺動形態で嵌入するための嵌合溝（１０Ｇ）を備え、融着チップホルダー（１０）を融着ヒーター（１１）の下面に密接摺動嵌合した、請求項４、又は５に記載のパイプ熱融着機。
【請求項７】
縦管（８Ｃ）用クランプ装置（５）は、パイプ嵌合溝（５Ｇ）群を上面に平行配置したパイプホルダー（５Ａ）を、移動テーブル（２）の上面に着脱自在に固定し、パイプホルダー（５Ａ）の上面に配置した縦管（８Ｃ）群を、伸縮シリンダー（Ｊ４）によって上下動する押圧板（５Ｂ）で保持及び開放する、請求項１乃至６のいずれか１項に記載のパイプ熱融着機。
【請求項８】
主管クランプ装置（６）は、長手方向のヘッダー主管嵌合溝（Ｇ１）と、前端のヘッダー枝管嵌合溝（Ｇ２）群とを上面に備えたクランプ下台（６Ｂ）を、移動テーブル（３）の上面前端に着脱自在に固定し、クランプ下台（６Ｂ）上に嵌合載置したヘッダー（８）を、伸縮シリンダー（Ｊ５）によって上下動する移動上プレート（６Ｔ）で、保持及び開放する、請求項１乃至７のいずれか１項に記載のパイプ熱融着機。
【請求項９】
枝管側の移動テーブル（２）が、固定テーブル（１Ｔ）上に配置した伸縮シリンダー（Ｊ７）で前後動する下テーブル板（２Ｂ）と、下テーブル板（２Ｂ）上に配置した伸縮シリンダー（Ｊ８）で前後動する上テーブル板（２Ａ）とから成る二重テーブルであり、主管側の移動テーブル（３）が、固定テーブル（１Ｔ´）上に配置した伸縮シリンダー（Ｊ６）で前後動するテーブル板（３Ａ）であり、各伸縮シリンダー（Ｊ７），（Ｊ８）及び（Ｊ６）が、コイルスプリング（Ｊｓ）を介して作動するバネ介在伸縮シリンダーである、請求項１乃至８のいずれか１項に記載の熱融着機。
【請求項１０】
縦管（８Ｃ）側の移動テーブル（２）は、加熱装置（９）の上昇離脱後、バネ介在伸縮シリンダー（Ｊ７）で下テーブル板（２Ｂ）を固定テーブル（１Ｔ）と（１Ｔ´）との間隔（Ｓ）内へ突出して縦管（８Ｃ）群をヘッダー（８）と対向させ、次いで、バネ介在伸縮シリンダー（Ｊ８）で上テーブル板（２Ａ）を突出させて縦管（８Ｃ）群の端縁（Ｃｆ）をヘッダー枝管（８Ｂ）の取付孔（Ｈｂ）内に弾性押圧して、縦管（８Ｃ）端縁（ｃｆ）を取付孔（Ｈｂ）の段部（ｂｅ）に融着させる、請求項９に記載のパイプ熱融着機。
【請求項１１】
加熱装置（９）の融着ヒーター（１１）を温度管理し、ヘッダー枝管（８Ｂ）及び縦管（８Ｃ）の溶融時間及び融着時間と共に、各伸縮シリンダー（Ｊ１，Ｊ３，Ｊ４，Ｊ５）及び各バネ介在伸縮シリンダー（Ｊ６，Ｊ７，Ｊ８）を、タイマーを介在して制御作動する、請求項９又は１０に記載のパイプ熱融着機。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
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【図１０】
【図１１】
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【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【公開番号】特開２０１１−２５５５３９（Ｐ２０１１−２５５５３９Ａ）
【公開日】平成２３年１２月２２日（２０１１．１２．２２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−１３００８９（Ｐ２０１０−１３００８９）
【出願日】平成２２年６月７日（２０１０．６．７）
【公序良俗違反の表示】
（特許庁注：以下のものは登録商標）
１．テフロン
【出願人】（５１０１１３３６８）株式会社 テスク資材販売 (11)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年１２月２２日（２０１１．１２．２２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年６月７日（２０１０．６．７）
【公序良俗違反の表示】
（特許庁注：以下のものは登録商標）
１．テフロン
【出願人】（５１０１１３３６８）株式会社 テスク資材販売 (11)
【Ｆターム（参考）】
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