説明

プラズマディスプレイパネル及び電界放出型表示装置

【課題】より外光の反射を軽減できる反射防止機能を有し視認性の優れた信頼性の高いPDP及びFEDを提供することを目的とする。
【解決手段】隣接する複数の錐形状の凸部と、当該凸部を覆う被膜を具備する反射防止層を備える。凸部を覆う被膜を錐形凸部の屈折率より高い屈折率を有する材料で形成すること共に、表示画面表面側より外側(空気側)へ向かって突出した錐形という物理的な形状によって外光の屈折率を変化させ、光の反射を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止機能を有するプラズマディスプレイパネル及び電界放出型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種ディスプレイ(プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと示す。)、電界放出型表示装置(フィールドエミッションディスプレイ、以下、FEDと示す。)など)において、外光の表面反射による景色の写り込みなどにより表示画面が見えにくくなり、視認性が低下してしまうことがある。これは表示装置の大型化や野外での使用に際し、特に顕著な問題となる。
【0003】
このような外光の反射を防止するためにPDP及びFEDの表示画面に反射防止膜を設ける方法が行われている。例えば、反射防止膜として、広い可視光の波長領域に対して有効であるように屈折率の異なる層を積層し多層構造とする方法がある(例えば、特許文献1参照。)。多層構造とすることによって、積層する層の界面での反射された外光が互いに干渉して相殺し合い反射防止効果が得られる。
【0004】
また、反射防止構造体として、基板上に微細な円錐形状やピラミッド状の突起を配列し基板表面での反射率を減少させている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2003−248102号公報
【特許文献2】特開2004−85831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記のような多層構造では、層界面で反射された外光のうち相殺できなかった光は反射光として視認側に放射されてしまう。また、互いに外光が相殺するようにするには、積層する膜の材料の光学特性や膜厚等を精密に制御する必要があり、様々な角度から入射する外光全てに対して反射防止処理を施すことは困難であった。また、円錐形状やピラミッド状の反射防止構造体においても反射防止機能であっても十分ではなかった。
【0006】
以上のことより、従来の反射防止膜では機能に限界があり、より反射防止機能を有するPDP及びFEDが求められている。
【0007】
本発明は、より外光の反射を軽減できる反射防止機能を有した視認性の優れたPDP及びFEDを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、隣接する複数の錐形状の凸部(以下、錐形凸部という)を具備することによって、表示画面となる基板より外側(空気側)へ向かって突出した錐形という物理的な形状によって屈折率を変化させ、光の反射を防止する反射防止層を有するPDP及びFEDである。上記複数の錐形凸部は、錐形凸部の屈折率より高い屈折率を有する材料で形成される被膜で覆われていることを特徴とする。
【0009】
屈折率の高い被膜により錐形凸部の表面を覆うことにより、錐形凸部外へ向かう光において、被膜と空気界面で錐形凸部内に反射する光が増加する。さらに、被膜と錐形凸部界面での光の屈折により、錐形凸部内における光の進行方向は底面と垂直な方向に近くなり、底面(表示画面)に入射するので錐形凸部内で反射回数が減少する。
【0010】
錐形凸部外への反射を防止できるため、錐形凸部を間隔を有して隣接し、錐形凸部間に平面部を有していても、平面部における視認側への光の反射を防止することができる。即ち、一の錐形凸部において錐形を成す少なくとも一の底辺は、隣接する錐形凸部において錐形を成す一の底辺と間隔を有していても、平面部における視認側への光の反射を防止することができる。平面部における外光の視認側への反射を軽減することができるため、錐形凸部の形状や、配置の設定、作製工程の選択の自由度が広がる。
【0011】
また、屈折率差を有する錐形凸部と被膜を積層することにより、空気から被膜及び錐形凸部に入射する光は、空気と被膜との界面における反射光と、被膜と錐形凸部との界面における反射光とにおいて光学干渉が生じて反射光が低減する効果もある。
【0012】
本発明において、被膜と錐形凸部との屈折率差が大きい場合、被膜の膜厚は薄い方が好ましい。
【0013】
錐形凸部は、円錐形状のように法線方向が無数にある側面を有する方が光を効率よく多方向に散乱することができるため好ましく、反射防止機能も高めることができる。
【0014】
錐形凸部は円錐形状、多角錐(三角錐、四角錐、五角錐、六角錐など)形状、針状、錐形凸部の先端が平面である断面が台形の形状、先端が丸いドーム状などでもよい。
【0015】
また被膜で錐形凸部を覆うことにより、錐形凸部の物理的強度を高めることができ、信頼性が向上する。被膜の材料を選択して導電性を持たすことにより静電気防止機能を付与するなどの他の有用な機能を付与することができる。
【0016】
本発明により、隣接する複数の錐形凸部を有する反射防止層を有するPDP及びFEDを提供することができ、高い反射防止機能を付与することができる。
【0017】
PDPとしては、放電セルを有する表示パネル本体のことや、ICや抵抗素子や容量素子やインダクタやトランジスタなどが設けられたフレキシブルプリントサーキット(FPC)やプリント配線基盤(PWB)が取り付けられた表示パネルも含む。また、電磁波シールド機能や近赤外線遮蔽機能を有する光学フィルタを含んでいても良い。
【0018】
また、FEDとしては、発光セルを有する表示パネル本体のことや、ICや抵抗素子や容量素子やインダクタやトランジスタなどが設けられたフレキシブルプリントサーキット(FPC)やプリント配線基盤(PWB)が取り付けられた表示パネルも含む。また、電磁波シールド機能や近赤外線遮蔽機能を有する光学フィルタを含んでいても良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明のPDP及びFEDは、表面に複数の錐形凸部を有する反射防止層を有する。錐形凸部側面が平面(表示画面と平行な面)ではないので、外光は視認側に反射せず隣接する他の錐形凸部に反射する。入射光の一部は錐形凸部を透過し、入射光の他部は反射光として隣接する錐形凸部にまた入射する。このように隣接する錐形凸部界面で反射された外光は他の錐形凸部に入射を繰り返す。
【0020】
つまり反射防止層に入射する外光のうち、反射防止層の錐形凸部に入射する回数が増加するので、反射防止層の錐形凸部を透過する量が増える。よって、視認側に反射する外光が軽減され、写り込みなどの視認性を低下させる原因を防ぐことができる。
【0021】
屈折率の高い材料から低い材料へ光が入射する場合、屈折率差が大きい方が光の全反射が生じやすい。錐形凸部の表面を屈折率の高い被膜で覆うことにより、錐形凸部外へ向かう光において、被膜と空気との界面で錐形凸部内に反射する光が増加する。さらに、被膜と錐形凸部との界面での光の屈折により、錐形凸部内における光の進行方向は底面と垂直な方向に近くなり、底面(表示画面)に入射するので錐形凸部内で反射回数が減少する。従って、高い屈折率を有する被膜で錐形凸部を覆うことにより、錐形凸部内における光の閉じこめ効果が向上し、錐形凸部外への反射を軽減することができる。
【0022】
錐形凸部外への反射が防止できるため、錐形凸部を間隔を有して隣接し錐形凸部間に平坦部を有していても、平坦部による視認側への光の反射を防止することができる。
【0023】
また、屈折率差を有する錐形凸部と被膜を積層することにより、空気より被膜及び錐形凸部に入射する光は、空気と被膜界面における反射光と、被膜と錐形凸部との界面における反射光とにおいて光学干渉が生じて反射光が低減する効果もある。
【0024】
また被膜で錐形凸部を覆うことにより、錐形凸部の物理的強度を高めることができ、信頼性が向上する。被膜の材料を選択して導電性を持たすことにより静電気防止機能を付与するなどの他の有用な機能を付与することができる。
【0025】
本発明は、表面に複数の錐形凸部を有し、かつ錐形凸部より屈折率の高い被膜で錐形凸部を覆うことによって、より外光の反射を軽減できる高い反射防止機能を有した反射防止層を有するPDP及びFEDを提供することができる。従って、より高画質及び高性能なPDP及びFEDを作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0027】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明のPDP及びFEDにおいて、PDP及びFEDに設けられる反射防止層について説明する。具体的には、PDP及びFEDの表面における外光の反射をより軽減できる反射防止機能を有し、PDP及びFEDに優れた視認性を付与することを目的とした反射防止層の一例について説明する。
【0028】
図1に本発明を用いた反射防止層の上面図及び断面図を示す。図1において表示画面450上に複数の凸部451、及び被膜452が設けられている。当該複数の凸部451、及び被膜452により反射防止層を構成する。図1(A)は本実施の形態のPDPまたはFEDの上面図であり、図1(B)は図1(A)の線A−Bにおける断面図である。また図1(C)は図1(B)の拡大図である。図1(A)及び(B)に示すように、凸部451は表示画面上に間隔を有し隣接して設けられており、錐形凸部間には入射する外光に対して表示画面となる基板において錐形凸部が形成されない平面部が存在する。即ち、一の錐形凸部において錐形を成す少なくとも一の底辺は、隣接する錐形凸部において錐形を成す一の底辺と間隔を有していても、平面部による視認側への光の反射を防止することができる。なお、ここでの表示画面とは、表示装置を構成する複数の基板において、最も視認側に設けられた基板の視認側の表面をいう。
【0029】
図1(C)において、錐形凸部の高さH1は錐形凸部の底面より頂部までの高さであり、被膜の頂部と錐形凸部の頂部の高さの差dを錐形凸部の高さH1に加えると被膜に覆われた錐形凸部の高さH2となる。また、錐形凸部底面の幅L1(本実施の形態においては円錐形状の錐形凸部なので底面は円となり直径となる)、錐形凸部の幅L1に底面に接する被膜部分も加えると被膜に覆われた錐形凸部の幅L2となる。同様に錐形凸部の底面に対する斜辺の角度θ1、被膜に覆われた錐形凸部の底面に対する斜辺の角度θ2とする。
【0030】
本発明の反射防止層は、隣接する複数の錐形状の凸部(以下、錐形凸部という)を具備することによって、表示画面となる基板表面より外側(空気側)へ向かって突出した錐形という物理的な形状によって屈折率を変化させ、光の反射を防止する。かつ複数の錐形凸部は錐形凸部の屈折率より高い屈折率を有する材料で形成される被膜で覆われていることを特徴とする。
【0031】
本発明を適用した本実施の形態の複数の錐形凸部における反射防止機能を図4を用いて説明する。図4に、表示画面となる基板410上に間隔を有して隣接する錐形凸部411a、411b、411c、被膜414a、414b、414cが示されている。外光412aは被膜414cで覆われた錐形凸部411cに入射し、一部が透過光413aとなって被膜414c及び錐形凸部411cに入射し、他は被膜414c表面または錐形凸部411c表面で反射光412bとなって反射される。反射光412bは隣接する被膜414bで覆われた錐形凸部411bに再び入射し、一部が透過光413bとなって透過し、他は被膜414b表面または錐形凸部411b表面で反射光412cとなって反射される。反射光412cは再び隣接する被膜414cで覆われた錐形凸部411cに入射し、一部が透過光413cとなって透過し、他は被膜414c表面または錐形凸部411c表面で反射光412dとなって反射される。反射光412dも再び隣接する錐形凸部411bに入射し、一部が透過光413dとなって透過し、他は被膜414b表面または錐形凸部411b表面で反射光412eとなって反射される。
【0032】
このように本実施の形態の反射防止層は、表面に複数の錐形凸部を有しており、外光の反射光は錐形凸部界面が平面(表示画面と平行な面)ではないので視認側に反射せず、隣接する他の錐形凸部に反射する。入射光の一部は錐形凸部を透過し、入射光の他部は反射光として隣接する錐形凸部にまた入射する。このように隣接する錐形凸部界面で反射された外光は他の錐形凸部に入射を繰り返す。
【0033】
つまり錐形凸部に入射する外光のうち、錐形凸部に入射する回数が増加するので、錐形凸部に透過する量が増える。よって、視認側に反射する外光が軽減され、写り込みなどの視認性を低下させる原因を防ぐことができる。
【0034】
さらに本実施の形態では、錐形凸部は、錐形凸部より屈折率の高い被膜で覆われている。被膜による効果を図5及び図6を用いて説明する。
【0035】
図6は比較例であり、被膜で覆わない錐形凸部の例である。外光3020は錐形凸部3023に入射し、錐形凸部3023内部を透過光3021aとして進行する。透過光3021aは再び錐形凸部3023界面で一部が透過光3022となり錐形凸部3023外部へ透過し、他は反射光3021bとなり錐形凸部3023内に進行する。
【0036】
図5は本発明を適用した被膜3002で覆われた錐形凸部3001に外光3010を入射したモデルである。外光3010は被膜3002及び錐形凸部3001内に進行する光3011と再び被膜3002及び錐形凸部3001外へ射出する光3012となる。図5(A)において領域3003の拡大図を図5(B)に示す。図5(B)において外光3010の透過光である光3011aは、空気及び被膜3002界面において屈折し、錐形凸部3001へ入射する。光3011aは被膜3002及び錐形凸部3001界面で屈折し光3011bとなる。光3011bは再び錐形凸部3001及び被膜3002界面にて屈折し光3011cとなり被膜3002及び空気界面へ入射する。この被膜3002及び空気界面において一部の光は透過光となって被膜3002外部へ射出し光3012となり、他は反射光3011dとなって再び錐形凸部3001へ入射する。
【0037】
なお、被膜及び空気界面においても光は、一部反射し反射光となり、他は透過し透過光となる。
【0038】
図6の比較例のモデルと本実施の形態における図5のモデルにおいて光学計算を行った結果を以下に示す。錐形凸部表面での反射光量本数と錐形凸部外に漏れた光量本数をカウントするためモニタを設置し、円錐内に閉じ込められた光量本数を計算する。図25及び図26に、幾何光学に基づいた光線追跡シミュレータLightTools(サイバネットシステム株式会社製)の結果を示す。図25は比較例の屈折率1.35の円錐形状の錐形凸部、図26は屈折率1.35の円錐形状の錐形凸部に屈折率1.9の材料で被膜された円錐形状の錐形凸部を示す。比較例において錐形凸部は、高さ1500nm、幅150nmであり、本発明を用いた図6のモデルは、内部の錐形凸部において、高さH1は1500nm、幅L1は150nmであるが被膜部分も併せると高さH2は1540nm、幅L2は154nmである。
【0039】
図25のように、錐形凸部のみだと、入射された光(光量本数500)は、錐形凸部内に入る。入射光は錐形凸部界面で全反射が起き難いため、光(光量本数468)は再び外部へと射出する。隣接する複数の錐形凸部において錐形凸部を透過した光が最終的に平坦部まで到達し、視認側への反射を増加させる原因になりうる。
【0040】
一方、図26のように、被膜を有する錐形凸部表面では、入射された光(光量本数500)は、被膜界面で反射するものの、一部は透過光(光量本数64)となって錐形凸部を進行し、被膜と外部との界面で錐形凸部内部への反射が生じ、光(光量本数337)が外部へ射出する。従って、図25の比較例においては入射光量本数500に対して錐形凸部内に閉じこめられる光量本数は光量本数34となり、図26の本発明を用いた構造では錐形凸部内に閉じこめられる光量本数は光量本数99となることから、高屈折率材料の被膜は錐形凸部内部へ光を閉じこめる効果あることが分かる。
【0041】
また、錐形凸部のみの比較例と同様の構造(錐形凸部の高さは750nm、幅150nm)において錐形凸部の屈折率を1.492とし、入射光量本数を10000とした場合、錐形凸部を透過し、再び錐形凸部と外部界面で外部へ射出する光量本数は光量本数5784である。一方、被膜に覆われた錐形凸部の構造(内部の錐形凸部において、高さH1は680nm、幅L1は136nmであるが被膜部分も併せると高さH2は750nm、幅L2は150nm)において、被膜の屈折率を1.9、錐形凸部の屈折率を1.492とし、入射光量本数を10000とした場合、再び錐形凸部と外部界面で外部へ射出する光量本数は光量本数4985である。このことからも錐形凸部をより高屈折率の被膜で覆うことで錐形凸部内に光を閉じこめる効果があることが確認できる。
【0042】
屈折率の高い材料から低い材料へ光が入射する場合、屈折率差が大きい方が光の全反射が生じやすい。錐形凸部3001の表面を屈折率の高い被膜3002で覆うことにより、錐形凸部3001外へ射出する光において、被膜3002と空気界面で錐形凸部3001内に反射する光が増加する。さらに、被膜3002と錐形凸部3001界面での光の屈折により、錐形凸部3001内における光の進行方向は底面と垂直な方向に近くなり、底面(表示画面)に入射するので錐形凸部3001内で反射回数が減少する。従って、高い屈折率を有する被膜3002で覆うことにより、錐形凸部3001内における光の閉じこめ効果が向上し、錐形凸部3001外への反射を軽減することができる。
【0043】
錐形凸部表面を屈折率の高い被膜で覆うことで、錐形凸部外への反射が防止できるため、錐形凸部を間隔を有して隣接し錐形凸部間に底面(表示画面)の平坦部を有していても、平坦部による視認側への光の反射を防止することができる。表示画面による外光の視認側への反射を軽減することができるため、錐形凸部の形状や、配置の設定、作製工程の選択の自由度が広がる。
【0044】
また、屈折率差を有する錐形凸部と被膜を積層することにより、空気から被膜及び錐形凸部に入射する光は、空気と被膜との界面における反射光と、被膜と錐形凸部との界面における反射光とにおいて光学干渉が生じて反射光が低減する効果もある。
【0045】
錐形凸部は、円錐形状のように最多な側面を有する方が光を効率よく多方向に散乱することができる方が好ましく、反射防止機能も高めることができる。
【0046】
また被膜で錐形凸部を覆うことにより、錐形凸部の物理的強度を高めることができ、信頼性が向上する。被膜の材料を選択して導電性を持たせることにより、静電気防止機能を付与するなどの他の有用な機能を付与することができる。被膜として用いることのできる材料としては、可視光における透光性の高く導電性の酸化チタン、物理的強度が高い窒化珪素、酸化珪素、酸化アルミニウム、かつ熱伝導性が高い窒化アルミニウム、酸化珪素などを用いることができる。
【0047】
錐形凸部は円錐形状、多角錐(三角錐、四角錐、五角錐、六角錐など)形状、針状、前記錐形凸部の先端が平面である断面が台形の形状、先端が丸まったドーム状などでもよい。錐形凸部の形状の例を図2(A)乃至(C)に示す。図2(A)は、表示画面となる基板460上に形成され且つ被膜462に覆われた錐形凸部461であり、被膜462に覆われた錐形凸部461は円錐形のように先がとがっている形状ではなく、上面と底面を有する形状である。よって底面と垂直な面における断面図では、台形の形状となる。本発明では、下底面から上底面までを高さHとする。
【0048】
図2(B)は表示画面となる基板470上に、先端が丸い錐形凸部471が設けられ、被膜472で覆われている例である。このように錐形凸部は先端が丸まって曲率を有する形状でもよく、この場合、錐形凸部の高さHは、底面より先端部の最も高い位置までとする。
【0049】
図2(C)は表示画面となる基板480上に、断面において、錐形凸部の底面に対して側面が複数の角度θ1及びθ2を有する錐形凸部481が設けられ、被膜482で覆われている例である。このように錐形凸部は、柱状の形状物(側面の角度をθ2とする。)に錐状の形状物(側面の角度をθ1とする。)が積層されるような形状でもよい。この場合、それぞれの側面と底面の角度、θ1及びθ2は異なり、0°<θ1<θ2とになる。図2(C)のような錐形凸部481の場合、高さHは錐形凸部の側面が斜行する部分の高さとする。
【0050】
図3に被膜で覆われた複数の錐形凸部の他の形状及び配置の例を示す。図3(A2)乃至(C2)は上面図であり、図3(A1)は図3(A2)線X1−Y1の断面図、図3(B1)は図3(B2)線X2−Y2の断面図、図3(C1)は図3(C2)線X3−Y3の断面図である。
【0051】
図3(A1)及び(A2)は、表示画面となる基板465上には複数の錐形凸部466a乃至466cが一定間隔を有して隣接し、かつ錐形凸部466a乃至466cは被膜467a乃至467cで覆われている例である。このように表示画面となる基板上で錐形凸部は必ずしも接している必要はない。本発明では、このように間隔を有して設けられている錐形凸部も、反射防止機能を有する部分の総称として反射防止層と呼ぶ。よって膜状に物理的に連続していなくても反射防止層と記す。錐形凸部466a乃至466cは底面が正方形の四角錐形状を有する例である。
【0052】
図3(B1)及び(B2)は、表示画面となる基板475上には複数の錐形凸部476a乃至476cがお互いに空間を有して隣接し、被膜477a乃至477cで覆われている例である。錐形凸部476a乃至476cは底面が正六角形の六角錐形状を有する例である。
【0053】
図3(C1)及び(C2)は、表示画面となる基板485上には複数の錐形凸部486が設けられ、被膜487a乃至487cで覆われている例である。図3(C1)及び(C2)のように、複数の錐形凸部486は一体の連続膜とし、膜(基板)上部の表面に錐形凸部を設ける構成でもよい。
【0054】
本発明の反射防止層は被膜に覆われた錐形凸部を有する構成であればよく、膜(基板)表面に直接錐形凸部を一体の連続構造として作り込んでもよく、例えば膜(基板)表面を加工し、錐形凸部を作り込んでもよいし、ナノインプリント等の印刷法で錐形凸部を有する形状に選択的に形成してもよい。また、錐形凸部を別工程で膜(基板)上に形成してもよい。
【0055】
被膜に覆われた錐形凸部の形成方法の具体例を図7に示す。図7はナノインプリント法を用いた方法であり、錐形凸部の形状に成形された型(モールド)3300に離型膜3301を形成し、離型膜3301上に被膜となる薄膜3302を形成する。離型膜3301は、型3300より薄膜3302を基板3303に転移させるために設ける(図7(A)参照。)。基板3303に薄膜3302を接着し、基板3303に錐形凸部形状以外の薄膜3305及び離型膜3304を転移する(図7(B)参照。)。
【0056】
インプリント用の錐形凸部材料の層3308に、型3300、離型膜3307、及び薄膜3306を印刷し、錐形凸部3309及び被膜3310a、3310b、3310cを形成する(図7(C)及び(D)参照。)。薄膜3306は、離型膜3307によって型3300より剥離し、被膜3310a、3310b、3310cとして錐形凸部3309を覆う。
【0057】
なお、離型膜3301は必須ではない。型3300から容易に剥離することが可能な材料で薄膜3306を形成する場合、離型膜を設けなくとも良い。
【0058】
複数の錐形凸部は一体された連続膜としてもよいし、複数の錐形凸部を基板上に設ける構成としてもよい。またあらかじめ基板に錐形凸部を作りこんでもよい。錐形凸部を設ける基板としては、ガラス基板や石英基板等も用いることができる。また可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアリレート等からなるプラスチック基板の他、高温では可塑化されてプラスチックと同じような成型加工が出来、常温ではゴムのような弾性体の性質を示す高分子材料エラストマー等が挙げられる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニル、ポリアミド、無機蒸着フィルムなど)を用いることもできる。複数の錐形凸部は基板を加工して作りこんでもよいし、成膜などによって基板上に形成してもよい。また、別工程で錐形凸部を形成し接着剤などで基板上に貼り付けてもよい。反射防止層を他の表示画面となる基板上に設ける場合も、粘着剤や接着剤等で貼り付けて設けることができる。このように、本発明の反射防止層は複数の錐形凸部を有する様々な形状を適用して形成することができる。
【0059】
被膜は、少なくとも錐形凸部に用いる材料より高い屈折率材料を用いればよい。従って、被膜に用いる材料はPDP及びFEDの表示画面を構成する基板、及び基板上に形成される錐形凸部の材料によって相対的に決定するので、適宜設定することができる。
【0060】
また、錐形凸部は均一な屈折率でなく、錐形凸部の先端部から表示画面となる基板側に向かって屈折率が変化する材料で形成することができる。複数の凸部において表示画面となる基板側に近づくにつれ基板と同等な屈折率を有する材料で形成し、凸部内部を進行し、基板に入射する光の凸部と基板との界面での反射を軽減する構成とすることができる。
【0061】
錐形凸部及び被膜を形成する材料の組成は、珪素、窒素、フッ素、酸化物、窒化物、フッ化物などを、表示画面表面を構成する基板の材料に応じて適宜設定すればよい。酸化物としては、酸化珪素、ホウ酸、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化カリウム、酸化カルシウム、三酸化二ヒ素(亜ヒ酸)、酸化ストロンチウム、酸化アンチモン、酸化バリウム、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛、酸化インジウムに酸化亜鉛を混合したIZO(indium zinc oxide)、酸化インジウムに酸化珪素を混合した導電材料、有機インジウム、有機スズ、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物などを用いることができる。窒化物としては、窒化アルミニウム、窒化珪素などを用いることができる。フッ化物としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ランタンなどを用いることができる。前記珪素、窒素、フッ素、酸化物、窒化物、フッ化物は単数及び複数種を含んでいてもよく、その混合比は各基板の成分比(組成割合)によって適宜設定すればよい。
【0062】
複数の錐形凸部及び被膜はスパッタリング法、真空蒸着法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)により薄膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することができる。また、選択的にパターンを形成できる液滴吐出法や、パターンが転写または描写できる印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、その他スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法、刷毛塗り法、スプレー法、フローコート法などを用いることもできる。また、インプリント技術、nmレベルの立体構造物を転写技術で形成できるナノインプリント技術を用いることもができる。インプリント、ナノインプリントは、フォトリソグラフィ工程を用いずに微細な立体構造物を形成できる技術である。
【0063】
本実施の形態は、表面に複数の錐形凸部を有し、かつ錐形凸部より屈折率の高い被膜で錐形凸部を覆う反射防止層を有することによってより外光の反射を軽減できる高い反射防止機能を有した視認性の優れたPDP及びFEDを提供することができる。従って、より高画質及び高性能なPDP及びFEDを作製することができる。
【0064】
(実施の形態2)
本実施の形態では、より外光の反射を軽減できる反射防止機能を有し、優れた視認性を付与することを目的としたPDPについて説明する。即ち、一対の基板と、一対の基板の間に設けられた少なくとも一対の電極と、一対の電極の間に設けられた蛍光体層と、一対の基板の一方の基板の外側に設けられた反射防止層を有するPDPの構造の詳細について示す。
【0065】
本実施の形態では交流放電型(AC型)の面放電型PDPを示す。図9に示すように、PDPは、前面基板110、背面基板120が対向しており、前面基板110、背面基板120の周囲が封止材(図示しない。)で封止されている。また、前面基板110、背面基板120、及び封止材の間に放電ガスが充填される。
【0066】
また、表示部の放電セルはマトリクス状に配置されており、各放電セルは前面基板110に含まれる表示電極、及び背面基板120に含まれるデータ電極122の交差部に配置される。
【0067】
前面基板110は、第1の透光性基板111の一方の面上に、第1の方向に伸びた表示電極が形成される。表示電極は透光性導電層112a、112b、走査電極113a、及び維持電極113bで構成される。また、第1の透光性基板111、透光性導電層112a、112b、及び走査電極113a、維持電極113bを覆う透光性絶縁層114が形成される。また、透光性絶縁層114上に保護層115が形成される。
【0068】
また、第1の透光性基板111の他方の面には、反射防止層100が形成される。反射防止層100は、錐形凸部101及び錐形凸部101を覆う被膜112を有する。反射防止層100に形成される錐形凸部101及び錐形凸部101を覆う被膜112としては、実施の形態1で示す反射防止層に形成される錐形凸部及び錐形凸部を覆う被膜を用いることができる。
【0069】
背面基板120は、第2の透光性基板121の一方の面上に、上記第1の方向と交差する第2の方向に伸びたデータ電極122が形成される。また、第2の透光性基板121、及びデータ電極122を覆う誘電体層123が形成される。また、誘電体層123上に各放電セルを区切るための隔壁(リブ)124が形成される。また、隔壁(リブ)124及び誘電体層123に囲まれる領域に蛍光体層125が形成される。
【0070】
また、蛍光体層125及び保護層115で囲まれる空間には放電ガスが充填されている。
【0071】
第1の透光性基板111及び第2の透光性基板121は、500℃を超える焼成工程に耐えることが可能な高歪点ガラス基板、ソーダライムガラス基板等を用いることができる。
【0072】
第1の透光性基板111上に形成される透光性導電層112a、112bは、蛍光体からの発光を透過させるため透光性であることが好ましく、ITO、または酸化スズを用いて形成される。また、透光性導電層112a、112bは、矩形状でもT型状でもよい。透光性導電層112a、112bは、導電層をスパッタリング法、塗布法等で第1の透光性基板111上に形成した後、選択的にエッチングして形成することができる。また、液滴吐出法、印刷法等で選択的に組成物を塗布し焼成して形成することができる。また、リフトオフ法により形成することができる。
【0073】
走査電極113a及び維持電極113bは、抵抗値の低い導電層で形成することが好ましく、クロム、銅、銀、アルミニウム、金等を用いて形成することができる。また、銅、クロム、及び銅の積層構造、クロム、アルミニウム、及びクロムの積層構造を用いることができる。走査電極113a及び維持電極113bの形成方法は、透光性導電層112a、112bと同様の形成方法を適宜用いることができる。
【0074】
透光性絶縁層114としては、鉛または亜鉛を含有する低融点ガラスを用いて形成することができる。透光性絶縁層114の形成方法としては、印刷法、塗布法、グリーンシートラミネート法等がある。
【0075】
保護層115としては、誘電体層の放電プラズマからの保護と、二次電子の放出促進のために設ける。このため、イオンスパッタリング率が低く、二次電子放出係数が高く、放電開始電圧が低く、表面絶縁性が高い材料を用いて形成することが好ましい。このような材料の代表例としては、酸化マグネシウムがある。保護層115の形成方法としては、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、蒸着法等を用いることができる。
【0076】
なお、第1の透光性基板111及び透光性導電層112a、112bの界面、透光性導電層112a、112b及び透光性絶縁層114の界面、透光性絶縁層114中、透光性絶縁層114及び保護層115の界面等のいずれかにカラーフィルタ及びブラックマトリクス設けてもよい。カラーフィルタ及びブラックマトリクスを設けることで、明暗のコントラストを向上させると共に、発光体の発光色の色純度を高めることができる。カラーフィルタとしては、発光セルの発光スペクトルに対応した着色層が設けられる。
【0077】
カラーフィルタの材料には、無機顔料を低融点の透光性ガラスに分散させた材料、金属や金属酸化物を着色成分とする色ガラス等がある。無機顔料としては、酸化鉄系(赤)、クロム系(緑)、バナジウム−クロム系(緑)、アルミン酸コバルト系(青)、バナジウムージルコニウム系(青)の材料を用いることができる。また、ブラックマトリクスの無機顔料としては、コバルトークロムー鉄系を用いることができる。また、上記無機顔料以外にも適宜顔料を混合して所望のRGBの色調またはブラックマトリクスの色調としてもちいることができる。
【0078】
データ電極122は、走査電極113a及び維持電極113bと同様に形成することができる。
【0079】
誘電体層123は、蛍光体による発光を効率よく前面基板側に取り出すために反射率の高い白色とすることが好ましい。誘電体層123は、鉛を含有する低融点ガラス、アルミナ、チタニア等を用いることができる。誘電体層123の形成方法は、透光性絶縁層114と同様の形成方法を適宜用いることができる。
【0080】
隔壁(リブ)124は、鉛を含む低融点ガラス及びセラミックを用いて形成する。隔壁(リブ)は、井桁状にすることで、隣接する放電セル間の発光の混色を妨げることが可能であり、色純度を高めることができる。隔壁(リブ)124の形成方法は、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、アディティブ法、感光性ペースト法、加圧成型法等を用いることができる。隔壁(リブ)124は、図9においては井桁状であるが、この代わりに多角形、円形でもよい。
【0081】
蛍光体層125は、紫外線の照射により発光可能な各種蛍光体材料を用いて形成することができる。例えば、青色用の蛍光体材料としてBaMgAl1423:Eu、赤色用の蛍光体材料として(Y.Ga)BO:Eu、緑色用蛍光体材料としてはZnSiO:Mnがあるが、他の蛍光体材料を適宜用いることができる。蛍光体層125は、印刷法、ディスペンサ法、光粘着法、蛍光体粉末を分散させたドライフィルムレジストをラミネートする蛍光体ドライフィルム法等を用いて形成することができる。
【0082】
放電ガスは、ネオン及びアルゴンの混合ガス、ヘリウム、ネオン、及びキセノンの混合ガス、ヘリウム、キセノン、及びクリプトンの混合ガス等を用いることができる。
【0083】
次に、PDPの作製方法について、以下に示す。
【0084】
背面基板120の周辺部に封着用ガラスを印刷法により印刷した後仮焼成する。次に、前面基板110及び背面基板120を位置合わせし、仮固定したのち、加熱する。この結果、封着用ガラスが溶融し、冷却することにより、前面基板110及び背面基板120を接着しパネル化する。次に、パネルを加熱しながら内部を真空に排気する。次に、背面基板120に設けられた通気管からパネル内部に放電ガスを導入した後、背面基板120に設けられた通気管を加熱することで、通気管の開口端部を閉塞すると共に、パネル内部を気密封止する。この後、パネルのセルを放電させ、発光特性及び放電特性が安定するまで放電を続けるエージングを行うことで、パネルを完成させることができる。
【0085】
また、本実施の形態のPDPとして、図10(A)に示すような、封止された前面基板110及び背面基板120と共に、透光性基板131の一方の面に電磁波シールド層133及び近赤外線遮蔽層132が形成され、他方の面に実施の形態1で示すような反射防止層100が形成される光学フィルタ130を設けてもよい。なお、図10(A)においては、前面基板110の第1の透光性基板111表面には反射防止層100は形成されない形態を示したが、前面基板110の第1の透光性基板111表面にも実施の形態1で示すような反射防止層を更に設けてもよい。このような構造とすることで、外光の反射率を更に低減することができる。
【0086】
PDPの内部でプラズマを発生させると、電磁波、赤外線等がPDPの外側に放出される。電磁波は人体に有害である。また、赤外線はリモコンの誤作動の原因となる。このため、電磁波、赤外線をシールドするために、光学フィルタ130を用いることが好ましい。
【0087】
反射防止層100は、実施の形態1で示す作製方法で透光性基板131上に形成してもよい。また、透光性基板131の表面が反射防止層であっても良い。また、UV硬化接着材等で透光性基板131に貼り付けても良い。
【0088】
電磁波シールド層133の代表例としては、金属メッシュ、金属繊維のメッシュ、有機樹脂繊維に金属層を被覆したメッシュ等がある。金属メッシュ及び金属繊維のメッシュは、金、銀、白金、パラジウム、銅、チタン、クロム、モリブデン、ニッケル、ジルコニウム等で形成される。金属メッシュは、透光性基板131上にレジストマスクを形成した後、メッキ法、無電解メッキ法等により形成することができる。また、透光性基板131上に導電層を形成した後、フォトリソグラフィ工程により形成したレジストマスクを用いて上記導電層を選択的にエッチングして形成することができる。その他、印刷法、液滴吐出法等を適宜用いて形成することができる。なお、金属メッシュ、金属繊維メッシュ、樹脂繊維表面に形成された金属層、それぞれの表面は、可視光の反射率を低減させるため、黒色に処理されていることが好ましい。
【0089】
表面に金属層を被覆した有機樹脂繊維は、ポリエステル、ナイロン、塩化ビニリデン、アラミド、ビニロン、セルロース等で形成される。また、有機樹脂繊維表面の金属層は上記金属メッシュの材料のいずれかを用いて形成される。
【0090】
また、電磁波シールド層133として、面抵抗10Ω/□以下、好ましくは4Ω/□以下、更に好ましくは2.5Ω/□以下の透光性導電層を用いることができる。透光性導電層としては、ITO、酸化スズ、酸化亜鉛等で形成される透光性導電層を用いることができる。上記透光性導電層の厚さは、面抵抗及び透光性から100nm以上5μm以下が好ましい。
【0091】
また、電磁波シールド層133として、透光性導電フィルムを用いることができる。透光性導電フィルムとしては、導電性粒子を分散させたプラスチックフィルムを用いることができる。導電性粒子としては、カーボン、金、銀、白金、パラジウム、銅、チタン、クロム、モリブデン、ニッケル、ジルコニウム等の粒子等がある。
【0092】
また、電磁波シールド層133として、図10(B)に示すような錐体状の電磁波吸収体135を複数設けてもよい。電磁波吸収体としては、三角錐、四角錘、五角錘、六角錐等の多角錐体、円錐体等を用いることができる。また、電磁波吸収体は透光性導電フィルムと同様の材料を用いて形成することができる。また、ITO等の透光性導電層を錘体状に加工して形成してもよい。さらには、上記透光性導電フィルムと同様の材料を用いて錐体を形成した後、錐体の表面に透光性導電層を形成してもよい。なお、電磁波吸収体の尖角は第1の透光性基板111側を向くことで電磁波の吸収を高めることができる。
【0093】
なお、電磁波シールド層133は、アクリル系粘着材、シリコーン系接着材、ウレタン系接着材等の接着材等で近赤外線遮蔽層132上に貼り付けても良い。
【0094】
なお、電磁波シールド層133は端部よりアース端子に接地される。
【0095】
近赤外線遮蔽層132は、波長800〜1000nmに最大吸収波長を有する1種類以上の色素が有機樹脂中に溶解した層である。上記色素としては、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系錯体等がある。
【0096】
近赤外線遮蔽層132に用いることができる有機樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等を適宜用いることができる。また、上記色素を溶解させるため、適宜溶剤を用いることができる。
【0097】
また、近赤外線遮蔽層132として、透光性基板131表面に、銅系材料、フタロシアニン系化合物、酸化亜鉛、銀、ITO等の透光性導電層、ニッケル錯体層を形成してもよい。なお、当該材料で近赤外線遮蔽層132を形成する場合、透光性を有し、且つ近赤外線を遮蔽する膜厚とする。
【0098】
近赤外線遮蔽層132の形成方法としては、印刷法、塗布法等により組成物を塗布し、加熱または光照射により硬化して形成することができる。
【0099】
透光性基板131は、ガラス基板や石英基板等も用いることができる。また可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアリレート等からなるプラスチック基板等が挙げられる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニル、ポリアミド、無機蒸着フィルム等)を用いることもできる。
【0100】
なお、図10(A)においては、前面基板110及び光学フィルタ130は隙間134を介して設置されているが、図11に示すように、接着材136を用いて光学フィルタ130及び前面基板110を接着させても良い。接着材136としては、透光性を有する粘着材を適宜用いることができる。代表的には、アクリル系粘着材、シリコーン系接着材、ウレタン系接着材等がある。
【0101】
特に透光性基板131にプラスチックを用い、接着材136を用いて前面基板110表面に光学フィルタ130を設けることで、プラズマディスプレイの薄型化及び軽量化が可能である。
【0102】
なお、ここでは、電磁波シールド層133及び近赤外線遮蔽層132を異なる層で形成したが、この代わりに電磁波シールド機能及び近赤外線遮蔽機能を有する機能層を1層で形成してもよい。こうすることで、光学フィルタ130の厚みを薄くすることが可能であり、PDPの軽量化及び薄膜化が可能である。
【0103】
次に、PDPモジュール及びその駆動方法について、図12乃至図14を用いて説明する。図12は放電セルの断面図であり、図13はPDPモジュールの斜視図であり、図14はPDPモジュールの模式図である。
【0104】
図13に示すように、PDPモジュールは、前面基板110及び背面基板120が封止用ガラス141で封止されている。また、前面基板110の一部である第1の透光性基板には、走査電極を駆動する走査電極駆動回路142と、維持電極を駆動する維持電極駆動回路143が設けられており、各電極と接続されている。
【0105】
また、背面基板120の一部である第2の透光性基板上には、データ電極を駆動するデータ電極駆動回路144が設けられており、データ電極と接続されている。ここでは、データ電極駆動回路144は配線基板146上に設けられており、データ電極とはFPC147により接続されている。また、図示しないが、第1の透光性基板111または第2の透光性基板121上に、走査電極駆動回路142、維持電極駆動回路143、及びデータ電極駆動回路144を制御する制御回路が設けられている。
【0106】
図14に示すように、入力される画像データに基づいて制御部によって表示部145の放電セル150が選択され、当該放電セル150における走査電極113aとデータ電極122とに放電開始電圧以上のパルス電圧が印加され、当該電極間で放電する。当該放電により保護層表面に壁電荷が蓄積し、壁電圧が発生する。その後、放電を維持するため表示電極間(走査電極113a及び維持電極113b)間にパルス電圧を印加することで、図12に示すように、前面基板110側でプラズマ116を発生させ放電を維持する。また、当該プラズマ内の放電ガスから発生した紫外線117が背面基板の蛍光体層125表面に照射されると蛍光体層125は励起し、蛍光体を発光させ、当該発光が前面基板側に発光118する。
【0107】
なお、維持電極113bは表示部145内を走査する必要は無いため、共通電極とすることができる。また、維持電極を共通電極とすることで、駆動ICの数を削減することができる。
【0108】
また、本実施の形態ではPDPとしてAC方式の反射型面放電タイプのPDPを示したがこれに限られず、AC放電方式の透過型放電タイプのPDPにおいて、反射防止層100を設けることもできる。さらには、直流(DC)放電型のPDPにおいて、反射防止層100を設けることもできる。
【0109】
本実施の形態のPDPは、表面に反射防止層を有する。反射防止層は、表面に複数の錐形凸部を有している。外光の反射光は錐形凸部界面が外光の入射方向に対して垂直ではないので、視認側に反射せず隣接する他の錐形凸部に反射する。入射光の一部は、隣接する六角錐形凸部に入射し、入射光の他部は反射光として隣接する錐形凸部にまた入射する。このように錐形凸部界面で反射された外光は隣接する他の錐形凸部に入射を繰り返す。
【0110】
つまりPDPの表示画面に入射する外光のうち、錐形凸部に入射する回数が増加するので、錐形凸部を透過する光量が増える。よって、視認側に反射する外光が軽減され、写り込みなどの視認性を低下させる原因を防ぐことができる。
【0111】
屈折率の高い材料から低い材料へ光が入射する場合、屈折率差が大きい方が光の全反射が生じやすい。屈折率の高い被膜により錐形凸部の表面を覆うことにより、錐形凸部外へ向かう光において、被膜と空気界面で錐形凸部内に反射する光が増加する。さらに、被膜と錐形凸部との界面での光の屈折により、錐形凸部内における光の進行方向は底面と垂直な方向に近くなり、底面(表示画面)に入射するので錐形凸部内で反射回数が減少する。従って、高い屈折率を有する被膜で錐形凸部を覆うことにより、錐形凸部内における光の閉じこめ効果が向上し、錐形凸部外への反射を軽減することができる。
【0112】
錐形凸部を有する反射防止層の外側への光の反射を防止することができるため、錐形凸部を間隔を有して隣接させ、錐形凸部間に平面部を有していても、平面部による視認側への光の反射を低減することができる。平面部による外光の視認側への反射を軽減することができるため、錐形凸部の形状や、配置の設定、作製工程の選択の自由度が広がる。
【0113】
また、屈折率差を有する錐形凸部と被膜とを積層することにより、空気から被膜及び錐形凸部に入射する光は、空気と被膜との界面における反射光と、被膜と錐形凸部との界面における反射光とにおいて光学干渉が生じて反射光が低減する効果もある。
【0114】
本発明において、被膜と錐形凸部との屈折率差が大きい場合、被膜の膜厚は薄い方が好ましい。
【0115】
錐形凸部は、円錐形状のように最多な側面を有する方が光を効率よく多方向に散乱することができる方が好ましく、反射防止機能も高めることができる。円錐形状のように錐形凸部間に平面部を有する構造であっても、被膜による錐形凸部内への光の閉じこめ効果によって平坦部に入射する光が軽減され、視認側への反射をより防止することができる。
【0116】
錐形凸部は円錐形状、多角錐(三角錐、四角錐、五角錐、六角錐など)形状、針状、錐形凸部の先端が平面である断面が台形の形状、先端が丸まったドーム状などでもよい。
【0117】
また、被膜で錐形凸部を覆うことにより、錐形凸部の物理的強度を高めることができ、信頼性が向上する。被膜の材料を選択して導電性を持たすことにより静電気防止機能を付与するなどの他の有用な機能を付与することができる。
【0118】
本実施の形態で示すPDPは、錐形凸部より屈折率の高い被膜で覆れた錐形凸部を有する反射防止層を備えることによって、外光の反射をより軽減できる高い反射防止機能を有する。このため視認性の優れたPDPを提供することができる。従って、より高画質及び高性能なPDPを作製することができる。
【0119】
(実施の形態3)
本実施の形態では、より外光の反射を軽減できる反射防止機能を有し、優れた視認性を付与することを目的としたFEDについて説明する。即ち、一対の基板と、一対の基板の一方の基板に設けられた電界放出素子と、一対の基板の他方の基板に設けられた電極と、電極に接する蛍光体層と、他方の基板の外側に設けられた反射防止層を有するFEDの構造の詳細について示す。
【0120】
FEDは電子線により蛍光体を励起させて発光させる表示装置である。FEDは、電極の分類からニ極管型、三極管型、四極管型に分類できる。
【0121】
二極管型FEDは、第1の基板の表面には矩形状のカソード電極が形成され、第2の基板の表面には矩形状のアノード電極が形成されおり、カソード電極とアノード電極とは、数μm〜数mmの距離を介して直交している。カソード電極とアノード電極との真空空間を経た交点において、〜10kVの電圧を印加することにより、電極間で電子線が放出される。この電子が、カソード電極に付された蛍光体層まで到達し、蛍光体を励起し、発光して画像を表示する。
【0122】
三極管型FEDは、カソード電極が形成された第1の基板上に、絶縁膜を介してカソード電極と直交しているゲート電極が形成されている。カソード電極及びゲート電極は、矩形状またはマトリクス状になっており、これらの絶縁膜を介した交点部分には、電子放出素子が形成されている。カソード電極及びゲート電極に電圧を印加することにより、電子放出素子から電子線を放出させる。この電子線が、ゲート電極よりも高電圧が印加された第2の基板のアノード電極に引き寄せられ、アノード電極に付された蛍光体層を励起し、発光して画像を表示する。
【0123】
四極管型FEDは、三極管型FEDのゲート電極とアノード電極との間に、各ドットごとに開口部を有する板状又は薄膜状の集束電極が形成されており、該集束電極によって電子放出素子から放出された電子線を各ドットごとに集束させて、アノード電極に付された蛍光体層を励起し、発光して画像を表示する。
【0124】
図15にFEDの斜視図を示す。図15に示すように、前面基板210、背面基板220が対向しており、前面基板210、背面基板220の周囲が封止材(図示しない。)で封止されている。また、前面基板210及び背面基板220の間隔を一定に保つためスペーサ213が前面基板210及び背面基板220の間に設けられている。また、前面基板210、背面基板220、及び封止材の閉空間は、真空に保持されている。また当該閉空間を電子線が移動して、アノード電極またはメタルバックに付された蛍光体層232を励起させ、発光させて任意のセルを発光させることで、表示画像を得ている。
【0125】
また、表示部の放電セルはマトリクス状に配置されている。
【0126】
前面基板210は、第1の透光性基板211の一方の面上に蛍光体層232が形成される。また、蛍光体層232上にメタルバック234が形成されている。なお、第1の透光性基板211及び蛍光体層232の間にアノード電極が形成されていてもよい。アノード電極としては、第1の方向に伸びた矩形状の導電層を形成することができる。
【0127】
また、第1の透光性基板211の他方の面には、反射防止層200が形成される。反射防止層200は、凸部201を有する。反射防止層200に形成される錐形凸部201及び錐形凸部201を覆う被膜112としては、実施の形態1で示す反射防止層に形成される錐形凸部、被膜をそれぞれ用いることができる。
【0128】
背面基板220は、第2の透光性基板221の一方の面上に、電子放出素子226が形成される。電子放出素子としては、様々な構造が提案されている。具体的には、スピント型電子放出素子、表面伝導型電子放出素子、弾道電子面放出型電子放出素子、MIM(Metal−Insulator−Metal)素子、カーボンナノチューブ、グラファイトナノファイバー、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)等がある。
【0129】
ここでは、代表的な電子放出素子を図18を用いて示す。
【0130】
図18(A)は、スピント型電子放出素子を有するFEDのセルの断面図である。
【0131】
スピント型電子放出素子230は、カソード電極222及びカソード電極222上に形成された円錐状の電子源225である。円錐状の電子源225は金属や半導体で形成される。また、円錐状の電子源225の周囲にゲート電極224が配置されている。なお、ゲート電極224及びカソード電極222は層間絶縁層223で絶縁されている。
【0132】
背面基板220に形成されたゲート電極224及びカソード電極222の間に電圧を印加すると、円錐状の電子源225の先端部分に電界が集中し強電界となり、トンネル現象によって円錐状の電子源225を構成する金属や半導体から電子が真空中に放出される。一方、前面基板210にはメタルバック234(またはアノード電極)及び蛍光体層232が形成される。メタルバック234(またはアノード電極)に電圧を印加することで、円錐状の電子源225から放出された電子線235を蛍光体層232に誘導し、蛍光体を励起して発光を得ることができる。このため、ゲート電極224に囲まれた円錐状の電子源225をマトリクス状に配置し、カソード電極、メタルバック(またはアノード電極)、及びゲート電極に選択的に電圧を印加することにより、各セルの発光を制御することができる。
【0133】
スピント型電子放出素子は、電界の集中が最も大きいゲート電極の中央領域に配置される構造であるため、電子引出し効率が高い、また、電子放出素子の配列を正確にパターン描画することが可能であり、電界分布を最適配置しやすく、引き出し電流の面内均一性が高い、等の利点が挙げられる。
【0134】
次に、スピント型電子放出素子を有するセルの構造について示す。前面基板210は、第1の透光性基板211、第1の透光性基板211上に形成される蛍光体層232及びブラックマトリクス233、蛍光体層232及びブラックマトリクス233上に形成されるメタルバック234を有する。
【0135】
第1の透光性基板211としては、実施の形態2で示す第1の透光性基板111と同様の基板を用いることができる。
【0136】
蛍光体層232としては、電子線235により励起される蛍光体材料を用いることができる。また、蛍光体層232として、RGBの蛍光体層をそれぞれ矩形状配列、格子状配列、デルタ状配列とすることで、カラー表示が可能である。代表的には、YS:Eu(赤色)、ZnSiO:Mn(緑色)、ZnS:Ag,Al(青色)等を用いることができる。なお、このほか公知の電子線により励起される蛍光体材料を用いることができる。
【0137】
また、各蛍光体層232の間にはブラックマトリクス233が形成されている。ブラックマトリクスを設けることで、電子線235の照射位置のずれによる発光色のずれを防止することができる。また、ブラックマトリクス233に導電性を持たせることにより、電子線による蛍光体層232のチャージアップを防止することができる。ブラックマトリクス233としては、カーボン粒子を用いて形成することができる。なお、このほか公知のFED用のブラックマトリクス材料を用いることができる。
【0138】
蛍光体層232及びブラックマトリクス233は、スラリー法または印刷法を用いて形成することができる。スラリー法とは、感光性材料、溶媒等に上記蛍光体材料またはカーボン粒子を混合した組成物を、スピンコートで塗布し乾燥させた後、露光及び現像を行うことである。
【0139】
メタルバック234としては、厚さ10〜200nm、好ましくは50〜150nmのアルミニウムなどの導電性薄膜を用いて形成することができる。メタルバック234を設けることで、蛍光体層232の発光した光のうち、背面基板220側に進む光を第1の透光性基板211に反射して輝度を向上させることができる。また、セル内に残存したガスが電子線235により電離され生成したイオンの衝撃によって、蛍光体層232が損傷を受けることを防止することができる。また、電子放出素子230に対してアノード電極の役割を果たすため、電子線235を蛍光体層232へ誘導することができる。メタルバック234は、スパッタリング法で導電層を形成したのち、選択的にエッチングすることで形成できる。
【0140】
背面基板220は、第2の透光性基板221、第2の透光性基板221上に形成されるカソード電極222、カソード電極222上に形成される円錐状の電子源225、電子源225をセルごとに分離する層間絶縁層223、層間絶縁層223上に形成されるゲート電極224で構成される。
【0141】
第2の透光性基板221としては、実施の形態2で示す第2の透光性基板121と同様の基板を用いることができる。
【0142】
カソード電極222としては、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、アルミニウム、銅、ITOを用いて形成することができる。カソード電極222の形成方法としては、電子ビーム蒸着法、熱蒸着法を用いることができる。また、印刷法、めっき法等を用いることができる。また、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法等で全面に導電層を形成した後、レジストマスク等を用いて上記導電層を選択的にエッチングしてカソード電極222を形成することができる。カソード電極は、アノード電極が形成される場合、アノード電極と平行な第1の方向に伸びた矩形状の導電層で形成することができる。
【0143】
電子源225としては、タングステン、タングステン合金、モリブデン、モリブデン合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、タンタル合金、チタン、チタン合金、クロム、クロム合金、n型を付与する(リンがドープされた)シリコン等で形成することができる。
【0144】
層間絶縁層223としては、シリカガラスに代表されるシロキサンポリマー系材料を出発材料として形成された珪素、酸素、水素からなる化合物のうちSi−O−Si結合を含む無機シロキサンポリマー、又はアルキルシロキサンポリマー、アルキルシルセスキオキサンポリマー、水素化シルセスキオキサンポリマー、水素化アルキルシルセスキオキサンポリマーに代表される珪素に結合される水素がメチルやフェニルのような有機基によって置換された有機シロキサンポリマーで形成される。上記材料を用いて形成する場合は、塗布法、印刷法等を用いる。また、層間絶縁層223として、スパッタリング法、CVD法等により酸化珪素層を形成してもよい。なお、電子源225が形成される領域には、層間絶縁層223は開口部が形成されている。
【0145】
ゲート電極224としては、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタル、クロム、アルミニウム、銅等を用いて形成することができる。ゲート電極224の形成法は、カソード電極222の形成方法を適宜用いることができる。ゲート電極224としては、第1の方向と90°で交差する第2の方向に伸びた矩形状の導電層で形成することができる。なお、電子源225が形成される領域には、ゲート電極に開口部が形成されている。
【0146】
なお、ゲート電極224及びメタルバック234の間、即ち前面基板210及び背面基板220の間に集束電極を形成してもよい。集束電極は、電子放出素子から放出された電子線を集束させるために設ける。集束電極を設けることにより、発光セルの発光輝度の向上、隣接するセルとの色の混色によるコントラストの低減抑制等が可能である。集束電極には、メタルバック(またはアノード電極)と比較して負の電圧が印加されていることが好ましい。
【0147】
次に、表面伝導型電子放出素子を有するFEDのセルの構造について示す。図18(B)は、表面伝導型電子放出素子を有するFEDのセルの断面図である。
【0148】
表面伝導型電子放出素子250は、対向する素子電極255、256、及び素子電極255、256の一方それぞれに接する導電層258、259からなる。導電層258、259は間隙部を有する。素子電極255、256に電圧を印加すると、間隙部に強電界がかかり、トンネル効果により導電層の一方から他方へ電子が放出される。前面基板210に形成されるメタルバック234(またはアノード電極)に正の電圧を印加することで、導電層の一方から他方から放出された電子を蛍光体層232に誘導する。この電子線260が蛍光体を励起することで、発光を得ることができる。
【0149】
このため、表面伝導型電子放出素子をマトリクス状に配置し、素子電極255、256、及びメタルバック(またはアノード電極)に選択的に電圧を印加することにより、各セルの発光を制御することができる。
【0150】
表面伝導型電子放出素子は、他の電子放出素子と比較して駆動電圧が低いため、FEDの低消費電力化が可能である。
【0151】
次に、表面伝導型電子放出素子を有するセルの構造について示す。前面基板210は、第1の透光性基板211、第1の透光性基板211上に形成される蛍光体層232及びブラックマトリクス233、蛍光体層232及びブラックマトリクス233上に形成されるメタルバック234を有する。なお、第1の透光性基板211及び蛍光体層232の間にアノード電極が形成されていてもよい。アノード電極としては、第1の方向に伸びた矩形状の導電層を形成することができる。
【0152】
背面基板220は、第2の透光性基板221、第2の透光性基板221上に形成される行方向配線252、行方向配線252及び第2の透光性基板221上に形成される層間絶縁層253、層間絶縁層253を介して行方向配線252に接続される接続配線254、接続配線254に接続され、且つ層間絶縁層253上に形成される素子電極255、層間絶縁層253上に形成される素子電極256、素子電極256に接続される列方向配線257、素子電極255に接する導電層258、素子電極256に接する導電層259で構成される。なお、図18(B)で示す電子放出素子250は、対となる素子電極255、256、及び対となる導電層258、259である。
【0153】
行方向配線252としては、チタン、ニッケル、金、銀、銅、アルミニウム、白金等の金属、またはその合金を用いて形成することができる。行方向配線252の形成方法としては、液滴吐出法、真空蒸着法、印刷法等を用いることができる。また、スパッタリング法、CVD法等により形成した導電層を選択的にエッチングして形成することができる。素子電極255、256の厚さは20nm〜500nmが好ましい。
【0154】
層間絶縁層253としては、図18(A)に示す層間絶縁層223と同様の材料及び形成方法を適宜用いることができる。層間絶縁層253の厚さは500nm〜5μmが好ましい。
【0155】
接続配線254としては、行方向配線252と同様の材料及び形成方法を適宜用いることができる。
【0156】
対となる素子電極255、256としては、クロム、銅、イリジウム、モリブデン、パラジウム、白金、チタン、タンタル、タングステン、ジルコニウム等の金属、またはその合金を用いて形成することができる。素子電極255、256の形成方法としては、液滴吐出法、真空蒸着法、印刷法等を用いることができる。また、スパッタリング法、CVD法等により形成した導電層を選択的にエッチングして形成することができる。素子電極255、256の厚さは20nm〜500nmが好ましい。
【0157】
列方向配線257としては、行方向配線252と同様の材料及び形成方法を適宜用いることができる。
【0158】
対となる導電層258、259の材料としては、パラジウム、白金、クロム、チタン、銅、タンタル、タングステン等の金属、酸化パラジウム、酸化スズ、酸化インジウム及び酸化アンチモンの混合物、シリコン、カーボン等を適宜用いて形成することができる。また、上記材料を複数用いて積層構造としてもよい。また、導電層258、259を上記材料の粒子を用いて形成することができる。なお、上記材料の粒子の周りに酸化物層が形成されていてもよい。酸化物層を有する粒子を用いることで、電子を加速させることが可能であり、容易に電子を放出させることができる。導電層258、259の形成方法としては、液滴吐出法、真空蒸着法、印刷法等を用いることができる。導電層258、259の厚さは0.1nm〜50nmが好ましい。
【0159】
対となる導電層258、259の間に形成される間隙部の距離は100nm以下、さらには50nm以下が好ましい。間隙部は、導電層258、259への電圧印加による開裂、または集束イオンビームを用いた開裂により形成することができる。また、レジストマスクを用いてウエットエッチングまたはドライエッチングにより選択的にエッチングして開隙部を形成することができる。
【0160】
なお、前面基板210及び背面基板220の間に集束電極を形成してもよい。集束電極を設けることにより、電子放出素子から発生する電子線を集束させることが可能であり、セルの発光輝度の向上、隣接するセルとの色の混色によるコントラストの低減抑制等が可能である。集束電極には、メタルバック234(またはアノード電極)と比較して負の電圧が印加されていることが好ましい。
【0161】
次に、FEDパネルの作製方法について、以下に示す。
【0162】
背面基板220の周辺部に封着用ガラスを印刷法により印刷した後仮焼成する。次に、前面基板210及び背面基板220を位置合わせし、仮固定したのち、加熱する。この結果、封着用ガラスが溶融し、冷却することにより、前面基板210及び背面基板220を接着しパネル化する。次に、パネルを加熱しながら内部を真空に排気する。次に、背面基板220に設けられた通気管を加熱することで、通気管の開口端部を閉塞すると共に、パネル内部を真空封止することで、FEDパネルを完成させることができる。
【0163】
また、FEDとして、図16に示すように、前面基板210及び背面基板220が封止されたパネルと共に、透光性基板131の一方の面に実施の形態2で示すような電磁波シールド層133が形成され、他方の面に、実施の形態1で示すような反射防止層200が形成される光学フィルタ130を設けてもよい。なお、図16においては、前面基板210の第1の透光性基板211表面には反射防止層200は形成されない形態を示したが、前面基板210の第1の透光性基板211表面にも実施の形態1で示すような反射防止層を更に設けてもよい。このような構造とすることで、外光の反射率を更に低減することができる。
【0164】
なお、図16においては、前面基板210及び光学フィルタ130は隙間134を介して設置されているが、図17に示すように、接着材136を用いて光学フィルタ130及び前面基板210を接着させても良い。
【0165】
特に透光性基板131にプラスチックを用い、接着材136を用いて前面基板210表面に光学フィルタ130を設けることで、FEDの薄型化及び軽量化が可能である。
【0166】
なお、ここでは、光学フィルタ130には電磁波シールド層133及び反射防止層200を有する構造を示したが、実施の形態2と同様に電磁波シールド層133と共に近赤外線遮蔽層を設けてもよい。さらには、電磁波シールド機能及び近赤外線遮蔽機能を有する機能層を1層で形成してもよい。
【0167】
次に、スピント型電子放出素子を有するFEDモジュール及びその駆動方法について、図18(A)、図19、及び図20を用いて説明する。図19は、FEDモジュールの斜視図であり、図20はFEDモジュールの模式図である。
【0168】
図19に示すように、前面基板210及び背面基板220の周変部が封止用ガラス141で封止されている。また、前面基板210の一部である第1の透光性基板には、行電極を駆動する駆動回路261と、列電極を駆動する駆動回路262が設けられており、各電極と接続されている。
【0169】
また、背面基板220の一部である第2の透光性基板には、メタルバック(またはアノード電極)に電圧を印加する駆動回路263が設けられており、メタルバック(またはアノード電極)と接続されている。ここでは、メタルバック(またはアノード電極)に電圧を印加する駆動回路263は配線基板264上に設けられており、駆動回路263及びメタルバック(またはアノード電極)はFPC265により接続されている。また、図示しないが、第1の透光性基板211または第2の透光性基板221上に、駆動回路261〜263を制御する制御回路が設けられている。
【0170】
図18(A)及び図20に示すように、制御部から入力される画像データに基づいて行電極を駆動する駆動回路261と、列電極を駆動する駆動回路262により表示部266の発光セル267が選択され、当該発光セル267におけるゲート電極224及びカソード電極222に電圧を印加して、発光セル267の電子放出素子230から電子線を放出させる。また、メタルバック234(またはアノード電極)に電圧を印加する駆動回路によりメタルバック234(またはアノード電極)にアノード電圧を印加する。発光セル267の電子放出素子230から放出された電子線235はアノード電圧により加速され、前面基板210の蛍光体層232表面に照射し励起させて、蛍光体を発光させ、当該発光を前面基板の外側に発光することができる。また、任意のセルを上記方法により選択することで画像を表示することができる。
【0171】
次に、表面伝導型電子放出素子を有するFEDモジュール及びその駆動方法について、図18(B)、図19、及び図20を用いて説明する。
【0172】
図19に示すように、前面基板210及び背面基板220の周辺部が封止用ガラス141で封止されている。また、前面基板210の一部である第1の透光性基板には、行電極を駆動する駆動回路261と、列電極を駆動する駆動回路262が設けられており、各電極と接続されている。
【0173】
また、背面基板220の一部である第2の透光性基板上には、メタルバック(またはアノード電極)に電圧を印加する駆動回路263が設けられており、メタルバック(またはアノード電極)と接続されている。また、図示しないが、第1の透光性基板または第2の透光性基板上に、駆動回路261〜263を制御する制御回路が設けられている。
【0174】
図18(B)及び図20に示すように、制御部から入力される画像データに基づいて行電極を駆動する駆動回路261と、列電極を駆動する駆動回路262により表示部266の発光セル267が選択され、当該発光セル267における行方向配線252及び列方向配線257に電圧を印加して素子電極255、256間に電圧を与え、発光セル267の電子放出素子250から電子線260を放出させる。また、メタルバック234(またはアノード電極)に電圧を印加する駆動回路により、メタルバック(またはアノード電極)にアノード電圧を印加する。電子放出素子250から放出された電子線260はアノード電圧により加速され、前面基板210の蛍光体層232表面を照射し励起させて、蛍光体を発光させ、当該発光を前面基板の外側に発光することができる。また、任意のセルを上記方法により選択することで画像を表示することができる。
【0175】
本実施の形態で示すFEDは、表面に反射防止層を有する。反射防止層は複数の錐形凸部を有している。外光の反射光は、錐形凸部界面が外光の入射方向に対して垂直ではないので視認側に反射せず隣接する他の錐形凸部に反射する。入射光の一部は、隣接する六角錐形凸部に入射し、入射光の他部は反射光として隣接する錐形凸部にまた入射する。このように錐形凸部界面で反射された外光は隣接する他の錐形凸部への入射を繰り返す。
【0176】
つまりFEDに入射する外光のうち、錐形凸部に入射する回数が増加するので、錐形凸部を透過する量が増える。よって、視認側に反射する外光が軽減され、写り込みなどの視認性を低下させる原因を防ぐことができる。
【0177】
屈折率の高い材料から低い材料へ光が入射する場合、屈折率差が大きい方が光の全反射が生じやすい。屈折率の高い被膜により錐形凸部の表面を覆うことにより、錐形凸部の外へ向かう光において、被膜と空気との界面で錐形凸部内に反射する光が増加する。さらに、被膜と錐形凸部との界面での光の屈折により、錐形凸部内における光の進行方向は底面と垂直な方向に近くなり、底面(表示画面)に入射するので錐形凸部内で反射回数が減少する。従って、高い屈折率を有する被膜で錐形凸部を覆うことにより、錐形凸部内における光の閉じこめ効果が向上し、錐形凸部外への反射を軽減することができる。
【0178】
錐形凸部の外への光の反射を防止することができるため、錐形凸部を間隔を有して隣接させて錐形凸部間に平面部を有していても、平面部による視認側への光の反射を低減することができる。即ち、一の錐形凸部において錐形を成す少なくとも一の底辺は、隣接する錐形凸部において錐形を成す一の底辺と間隔を有していても、平面部による視認側への光の反射を低減することができる。平面部による外光の視認側への反射を軽減することができるため、錐形凸部の形状や、配置の設定、作製工程の選択の自由度が広がる。
【0179】
また、屈折率差を有する錐形凸部と被膜を積層することにより、空気から被膜及び錐形凸部に入射する光は、空気と被膜との界面における反射光と、被膜と錐形凸部との界面における反射光とにおいて光学干渉が生じて反射光が低減する効果もある。
【0180】
本発明において、被膜と錐形凸部との屈折率差が大きい場合、被膜の膜厚は薄い方が好ましい。
【0181】
錐形凸部は、円錐形状のように最多な側面を有する方が光を効率よく多方向に散乱することができる方が好ましく、反射防止機能も高めることができる。円錐形状のように錐形凸部間に平面部を有する構造であっても、被膜による錐形凸部内への光の閉じこめ効果によって平坦部に入射する光が軽減され、視認側への反射をより防止することができる。
【0182】
錐形凸部は円錐形状、多角錐(三角錐、四角錐、五角錐、六角錐など)形状、針状、錐形凸部の先端が平面である断面が台形の形状、先端が丸まったドーム状などでもよい。
【0183】
また、被膜で錐形凸部を覆うことにより、錐形凸部の物理的強度を高めることができ、信頼性が向上する。被膜の材料を選択して導電性を持たすことにより静電気防止機能を付与するなどの他の有用な機能を付与することができる。
【0184】
本実施の形態で示すFEDは、錐形凸部より屈折率の高い被膜で覆れた錐形凸部を有する反射防止層を備えることによって、外光の反射をより軽減できる高い反射防止機能を有する。このため、視認性の優れたFEDを提供することができる。従って、より高画質及び高性能なFEDを作製することができる。
【0185】
(実施の形態4)
本発明のPDP及びFEDによって、テレビジョン装置(単にテレビ、又はテレビジョン受信機ともよぶ)を完成させることができる。図22はテレビジョン装置の主要な構成を示すブロック図を示している。
【0186】
図21(A)は本発明に係るPDPパネル及びFEDパネル(以下、表示パネルと示す。)の構成を示す上面図であり、絶縁表面を有する基板2700上に画素2702をマトリクス上に配列させた画素部2701、入力端子2703が形成されている。画素数は種々の規格に従って設ければ良く、XGAであってRGBを用いたフルカラー表示であれば1024×768×3(RGB)、UXGAであってRGBを用いたフルカラー表示であれば1600×1200×3(RGB)、フルスペックハイビジョンに対応させ、RGBを用いたフルカラー表示であれば1920×1080×3(RGB)とすれば良い。
【0187】
図21(A)に示すように、COG(Chip on Glass)方式によりドライバIC2751を基板2700上に実装しても良い。また他の実装形態として、図21(B)に示すようなTAB(Tape Automated Bonding)方式を用いてもよい。ドライバICは単結晶半導体基板に形成されたものでも良いし、ガラス基板上にTFTで回路を形成したものであっても良い。図21において、ドライバIC2751は、FPC(Flexible printed circuit)2750と接続している。
【0188】
図22において、その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナ904で受信した信号のうち、映像信号を増幅する映像信号増幅回路905と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路906と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路907などからなっている。コントロール回路907は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路908を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
【0189】
チューナ904で受信した信号のうち、音声信号は、音声信号増幅回路909に送られ、その出力は音声信号処理回路910を経てスピーカー913に供給される。制御回路911は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部912から受け、チューナ904や音声信号処理回路910に信号を送出する。
【0190】
これらの表示モジュールを、図23(A)、及び(B)に示すように、筐体に組みこんで、テレビジョン装置を完成させることができる。表示モジュールとしてPDPモジュールを用いればPDPテレビジョン装置、FEDモジュールを用いればFEDテレビジョン装置を作製することができる。図23(A)において、表示モジュールにより主画面2003が形成され、その他付属設備としてスピーカー部2009、操作スイッチなどが備えられている。このように、本発明によりテレビジョン装置を完成させることができる。
【0191】
筐体2001に表示用パネル2002が組みこまれ、受信機2005により一般のテレビ放送の受信をはじめ、モデム2004を介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、又は受信者間同士)の情報通信をすることもできる。テレビジョン装置の操作は、筐体2001に組みこまれたスイッチ又は別体のリモコン装置2006により行うことが可能であり、このリモコン装置2006にも出力する情報を表示する表示部2007が設けられていても良い。
【0192】
また、テレビジョン装置にも、主画面2003の他にサブ画面2008を第2の表示用パネルで形成し、チャネルや音量などを表示する構成が付加されていても良い。
【0193】
図23(B)は例えば20〜80インチの大型の表示部を有するテレビジョン装置であり、筐体2010、表示部2011、操作部であるリモコン装置2012、スピーカー部2013等を含む。本発明を用いた本実施の形態は、表示部2011の作製に適用される。図23(B)のテレビジョン装置は、壁かけ型となっており、設置するスペースを広く必要としない。
【0194】
勿論、本発明はテレビジョン装置に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など大面積の表示媒体として様々な用途に適用することができる。
【0195】
本実施の形態は、上記の実施の形態1乃至3と適宜組み合わせることができる。
【0196】
(実施の形態5)
本発明に係るPDP及びFEDを用いた電子機器として、テレビジョン装置(単にテレビ、又はテレビジョン受信機ともよぶ)、デジタルカメラ及びデジタルビデオカメラ等のカメラ、携帯電話装置(単に携帯電話機、携帯電話ともよぶ)、PDA等の携帯情報端末、携帯型ゲーム機、コンピュータ用のモニタ、コンピュータ、カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の記録媒体を備えた画像再生装置等が挙げられる。また、パチンコ機、スロットマシン、ピンボール機、大型ゲーム機など表示装置を有するあらゆる遊技機に適用することができる。その具体例について、図24を参照して説明する。
【0197】
図24(A)に示す携帯情報端末機器は、本体9201、表示部9202等を含んでいる。表示部9202は、本発明のFEDを適用することができる。その結果、視認性が優れた高画質な画像を表示することができる高性能な携帯情報端末機器を提供することができる。
【0198】
図24(B)に示すデジタルビデオカメラは、表示部9701、表示部9702等を含んでいる。表示部9701は本発明のFEDを適用することができる。その結果、視認性が優れた高画質な画像を表示することができる高性能なデジタルビデオカメラを提供することができる。
【0199】
図24(C)に示す携帯電話機は、本体9101、表示部9102等を含んでいる。表示部9102は、本発明のFEDを適用することができる。その結果、視認性が優れた高画質な画像を表示することができる高性能な携帯電話機を提供することができる。
【0200】
図24(D)に示す携帯型のテレビジョン装置は、本体9301、表示部9302等を含んでいる。表示部9302は、本発明のPDP及びFEDを適用することができる。その結果、視認性が優れた高画質な画像を表示することができる高性能な携帯型のテレビジョン装置を提供することができる。またテレビジョン装置としては、携帯電話機などの携帯端末に搭載する小型のものから、持ち運びをすることができる中型のもの、また、大型のもの(例えば40インチ以上)まで、幅広いものに、本発明のPDP及びFEDを適用することができる。
【0201】
図24(E)に示す携帯型のコンピュータは、本体9401、表示部9402等を含んでいる。表示部9402は、本発明のFEDを適用することができる。その結果、視認性が優れた高画質な画像を表示することができる高性能な携帯型のコンピュータを提供することができる。
【0202】
図24(F)に示すスロットマシンは、本体9501、表示部9502等を含んでいる。表示部9502は、本発明の表示装置を適用することができる。その結果、視認性が優れた高画質な画像を表示することができる高性能なスロットマシンを提供することができる。
【0203】
このように、本発明のPDP及びFEDにより、視認性が優れた高画質な画像を表示することができる高性能な電子機器を提供することができる。
【0204】
本実施の形態は、上記の実施の形態1乃至4と適宜組み合わせることができる。
【実施例1】
【0205】
本実施例では本発明を用いた反射防止モデルの光学計算の結果について説明する。また、比較例として錐形凸部のみのモデルについても光学計算を行った。本実施例では図8、及び図27乃至図29を用いて説明する。
【0206】
円錐状の錐形凸部(屈折率1.35)の比較例、及び被膜(屈折率1.9)で覆われた円錐状の錐形凸部(屈折率1.35)(構造Aという)において、光学計算を行った。比較例1において、錐形凸部の高さH1は1500nm、幅L1は300nmである。構造A1乃至A4において被膜及び錐形凸部の高さH2は1500nm、幅L2は300nmとしている。構造A1は錐形凸部の頂部と被膜の頂部との高さの差dは、構造A1では60nm、構造A2では45nm、構造A3では40nm、構造A4では35nmである。構造A1乃至A4において、錐形凸部の頂部と被膜の頂部との高さの差dに対応して錐形凸部H1の高さを変化させている。錐形凸部の幅L1は、錐形凸部の高さH1と底面における幅L1との比が常に5であるように変化させた。なお、複数の被膜で覆われた錐形凸部は、一の錐形凸部に対して6つの錐形凸部が被膜を介して接するような、最も密に充填するように隣接している。
【0207】
本実例においての計算は、光デバイス用光学計算シミュレータDiffract MOD(RSoft株式会社製)を用いた。反射率の計算を3次元で光学計算を行い計算する。比較例及び構造Aにおけるそれぞれ光の波長と反射率の関係を図8に示す。また計算条件として上述の計算シミュレータのパラメータであるHarmonicsはX、Y方向ともに3に設定した。また、円錐形凸部や六角錐形凸部の場合、錐形凸部の頂部の間隔をp、錐形凸部の高さをbとして、上述の計算シミュレータのパラメータであるIndex Res.は、X方向は√3×p/512、Y方向はp/512、Z方向はb/80で計算される数値に設定した。
【0208】
図8において、比較例1が菱形のドット、構造A1が四角形のドット、構造A2が三角形のドット、構造A3がばつ印のドット、構造A4が米印のドットでありそれぞれの波長と反射率の関係を示している。光学計算結果においても本発明を適用する構造Aの被膜で覆われた錐形凸部のモデルが測定した波長380nm〜780nmにおいて、比較例よりも反射率が低く、反射が軽減できることが確認できる。また構造A1乃至A4において、錐形凸部の頂部と被膜の頂部との高さの差dを45nm(構造A2)、40nm(構造A3)、35nm(構造A4)とすると、より反射率を低く抑えられている。
【0209】
次に、本発明を用いた被膜に覆われた錐形凸部モデルにおいて、錐形凸部の屈折率と被膜の屈折率差Δn及び錐形凸部の頂部と被膜の頂部との高さの差dを変化させて、各波長に対する反射率の変化を計算した。被膜及び錐形凸部の高さH2は1500nm、幅L2は300nmとし、錐形凸部の頂部と被膜の頂部との高さの差dに対応して錐形凸部H1の高さを変化させている。錐形凸部の屈折率は1.49とし、被膜の屈折率を変化させて計算を行った。図27(A)乃至(C)に、錐形凸部の頂部と被膜の頂部との高さの差dを0nm(黒菱形のドット)、10nm(黒四角形のドット)、20nm(黒三角形のドット)、30nm(ばつ印のドット)、40nm(米印のドット)、50nm(黒丸印のドット)、60nm(十字印のドット)、70nm(白抜きの三角形のドット)、80nm(白抜きの丸印のドット)、90nm(白抜きの菱形のドット)、100nm(白抜きの四角形のドット)と変化させたときの、錐形凸部の屈折率と被膜の屈折率差Δnに対する反射率R(%)の変化を示す。
【0210】
図28(A)乃至(C)に、錐形凸部の屈折率と被膜の屈折率差Δnを0.05(黒菱形のドット)、0.35(ばつ印のドット)、0.65(十字印のドット)、0.95(白抜きの菱形のドット)、1.15(黒三角形のドット)、1.45(黒丸印のドット)、1.75(白抜きの三角形のドット)、1.95(黒四角形のドット)、2.25(米印のドット)、2.55(白抜きの丸印のドット)と変化させたときの、錐形凸部の頂部と被膜の頂部との高さの差dに対する反射率R(%)の変化を示す。光の波長は可視光において青色を示す440nm(図27(A)図28(A))、緑色を示す550nm(図27(B)図28(B))、赤色を示す620nm(図27(C)図28(C))においてそれぞれ計算を行い、結果を示す。
【0211】
図27(A)乃至(C)において、錐形凸部の頂部と被膜の頂部との高さの差dが大きくなるにつれ、反射率も大きくなっており、この傾向は錐形凸部と被膜との屈折率差Δnが大きくなるにつれ顕著になる。図28(A)乃至(C)において、錐形凸部と被膜との屈折率差Δnが大きくなるにつれ、反射率も大きくなっており、この傾向は錐形凸部の頂部と被膜の頂部との高さの差dが大きくなるにつれ顕著になる。
【0212】
図29(A)乃至(C)に、錐形凸部の頂部と被膜の頂部との高さの差d、錐形凸部と被膜との屈折率差Δn、及び反射率の関係を示す。図29(A)乃至(C)においては、被膜を形成しない錐形凸部の反射率を基準にして、錐形凸部の頂部と被膜の頂部との高さの差がdの時の反射率が基準反射率より小さい場合は点のドットで、大きい場合は斜線で領域を塗りわけた。図29(A)は波長440nmの光において被膜無しの反射率0.021%を基準にグラフ化したものであり、図29(B)は波長550nmの光において被膜無しの反射率0.023%を基準にグラフ化したものであり、図29(C)は波長620nmの光において被膜無しの反射率0.027%を基準にグラフ化したものである。
【0213】
図29(A)乃至(C)のグラフより、錐形凸部と被膜との屈折率差Δnが0.05以上0.65以下の場合、錐形凸部の頂部と被膜の頂部との高さの差dは100nm以下であると被膜を形成しない場合の基準の反射率より、反射率が低く抑えられるために好ましい。図29(A)乃至(C)のグラフより、錐形凸部と被膜との屈折率差Δnが0.65以上1.15以下の場合、錐形凸部の頂部と被膜の頂部との高さの差dは50nm以下であると被膜を形成しない場合の基準の反射率より、反射率が低く抑えられるために好ましい。また錐形凸部の頂部と被膜の頂部との高さの差dは1nm以上が好ましい。
【0214】
錐形凸部の頂部と被膜の頂部との高さの差dは被膜の膜厚に依存し同様に変化するため、錐形凸部の頂部と被膜の頂部との高さの差dの傾向は被膜の膜厚の傾向とも言える。
【0215】
以上において、被膜と錐形凸部との屈折率差が大きい場合、被膜の膜厚(錐形凸部の頂部と被膜の頂部との高さの差)は薄い方が好ましいことが確認できた。
【0216】
従って本発明に示す反射防止層は、複数の錐形凸部を有し、かつ錐形凸部より屈折率の高い被膜で錐形凸部を覆うことによって、高い反射防止機能を有することが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0217】
【図1】本発明の概念図である。
【図2】本発明の概念図である。
【図3】本発明の概念図である。
【図4】本発明の概念図である。
【図5】本発明の概念図を示した断面図である。
【図6】比較例の実験モデルを示す図である。
【図7】本発明の被膜及び錐形凸部の作製方法を示す図である。
【図8】実施例1の実験データを示す図である。
【図9】本発明のPDPを示した斜視図である。
【図10】本発明のPDPを示した斜視図である。
【図11】本発明のPDPを示した斜視図である。
【図12】本発明のPDPを示した断面図である。
【図13】本発明のPDPモジュールを示した斜視図である。
【図14】本発明のPDPを示した図である。
【図15】本発明のFEDを示した斜視図である。
【図16】本発明のFEDを示した斜視図である。
【図17】本発明のFEDを示した斜視図である。
【図18】本発明のFEDを示した断面図である。
【図19】本発明のFEDモジュールを示した斜視図である。
【図20】本発明のFEDを示した図である。
【図21】本発明のPDP及びFEDを示した上面図である。
【図22】本発明が適用される電子機器の主要な構成を示すブロック図である。
【図23】本発明の電子機器を示した図である。
【図24】本発明の電子機器を示した図である。
【図25】実施の形態1の実験データを示す図である。
【図26】実施の形態1の実験データを示す図である。
【図27】実施例1の実験データを示す図である。
【図28】実施例1の実験データを示す図である。
【図29】実施例1の実験データを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板と、前記一対の基板の間に設けられた少なくとも一対の電極と、
前記一対の電極の間に設けられた蛍光体層と、
前記一対の基板の一方の基板の外側に設けられた反射防止層を有し、
前記一方の基板は透光性を有し、
前記反射防止層は間隔を有して隣接する複数の錐形凸部を有し、
前記複数の錐形凸部は被膜で覆われており、
前記被膜の屈折率は前記錐形凸部の屈折率より高いことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項2】
一対の基板と、前記一対の基板の間に設けられた少なくとも一対の電極と、
前記一対の電極の間に設けられた蛍光体層と、
前記一対の基板の一方の基板の外側に設けられた反射防止層を有し、
前記一方の基板は透光性を有し、
前記反射防止層は複数の錐形凸部を有し、
前記複数の錐形凸部は被膜で覆われており、
前記被膜の屈折率は前記錐形凸部の屈折率より高く、
一の錐形凸部において錐形を成す少なくとも一の底辺は、隣接する錐形凸部において錐形を成す一の底辺と間隔を有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項3】
請求項1または2において、前記錐形凸部の屈折率と前記被膜の屈折率の差は0.05以上0.65以下であり、
前記錐形凸部の頂部と前記被膜の頂部との高さの差が100nm以下であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項4】
請求項1または2において、前記錐形凸部の屈折率と前記被膜の屈折率の差は0.65以上1.15以下であり、
前記錐形凸部の頂部と前記被膜の頂部との高さの差が50nm以下であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、前記錐形凸部は円錐形状であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項6】
一対の基板と、前記一対の基板の一方の基板に設けられた電子放出素子と、
前記一対の基板の他方の基板に設けられた電極と、前記電極に接する蛍光体層と、
前記他方の基板の外側に設けられた反射防止層を有し、
前記他方の基板は透光性を有し、
前記反射防止層は間隔を有して隣接する複数の錐形凸部を有し、
前記複数の錐形凸部は被膜で覆われており、
前記被膜の屈折率は前記錐形凸部の屈折率より高いことを特徴とする電界放出型表示装置。
【請求項7】
一対の基板と、前記一対の基板の一方の基板に設けられた電子放出素子と、
前記一対の基板の他方の基板に設けられた電極と、前記電極に接する蛍光体層と、
前記他方の基板の外側に設けられた反射防止層を有し、
前記他方の基板は透光性を有し、
前記反射防止層は複数の錐形凸部を有し、
前記複数の錐形凸部は被膜で覆われており、
前記被膜の屈折率は前記錐形凸部の屈折率より高く、
一の錐形凸部において錐形を成す少なくとも一の底辺は、隣接する錐形凸部において錐形を成す一の底辺と間隔を有することを特徴とする電界放出型表示装置。
【請求項8】
請求項6または7において、前記錐形凸部の屈折率と前記被膜の屈折率の差は0.05以上0.65以下であり、
前記錐形凸部の頂部と前記被膜の頂部との高さの差が100nm以下であることを特徴とする電界放出型表示装置。
【請求項9】
請求項6または7において、前記錐形凸部の屈折率と前記被膜の屈折率の差は0.65以上1.15以下であり、
前記錐形凸部の頂部と前記被膜の頂部との高さの差が50nm以下であることを特徴とする電界放出型表示装置。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれか一項において、前記錐形凸部は円錐形状であることを特徴とする電界放出型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2008−166267(P2008−166267A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311390(P2007−311390)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】