説明

プランジャポンプおよびその製造方法

【課題】製造の手間と時間を低減しつつシート部材とポンプハウジングとの高い固定強度を得ることができるプランジャポンプおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】有底円筒状のシート部材11と、シート部材11に挿入される円筒状のポンプハウジング12とを備え、ポンプハウジング12内にポンプ室Pが形成されたプランジャポンプ10において、シート部材11とポンプハウジング12は、溶融材20を溶融させて固化させてなる固化部21を介して互いに固着されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プランジャポンプおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プランジャポンプにおけるシート部材とポンプハウジングとを固着する構造としては、有底円筒状のシート部材にポンプハウジングを嵌合させて、その内部のポンプ室のシールと、ポンプハウジングの保持を兼ねた構造があった(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−274996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プランジャポンプのポンプ室は、マスタシリンダ圧と吐出弁開弁圧とを加えた圧力までの圧力上昇と、その後の吸入動作による圧力下降とが交互に繰り返されるので、液圧変動量、温度変化、作動回数等の使用条件が過酷である。前記の構成では、ポンプハウジングをシート部材内に圧入することのみで、シート部材をポンプハウジングに固定しているので、前記使用条件に耐え得る所望の固定強度を得るためには、シート部材とポンプハウジングの寸法精度を高くして寸法公差を小さくする必要があり、製造に多くの手間と時間を要するという問題があった。
【0005】
このような観点から、本発明は、製造の手間と時間を低減しつつシート部材とポンプハウジングとの高い固定強度を得ることができるプランジャポンプおよびその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決する請求項1に係る発明は、有底円筒状のシート部材と、該シート部材に挿入される円筒状のポンプハウジングとを備え、前記ポンプハウジング内にポンプ室が形成されたプランジャポンプにおいて、前記シート部材と前記ポンプハウジングは、溶融材を溶融させた後に固化させてなる固化部を介して互いに固着されていることを特徴とするプランジャポンプである。
【0007】
前記のような構成によれば、溶融材を一旦溶融させた後に固化させてなる固化部を介してシート部材とポンプハウジングとを固着しているので、シート部材とポンプハウジングの寸法公差があっても、容易にシート部材とポンプハウジングの固定強度を高めることができ、製造の手間と時間を低減することができる。また、溶融材のみを溶融させるだけでよく、シート部材およびポンプハウジングを溶融させなくて済むので、シート部材とポンプハウジングの固着に必要な熱量(溶融に要する熱量)を削減することができる。
【0008】
請求項2に係る発明によれば、前記シート部材の内周面および前記ポンプハウジングの外周面の少なくとも一方に前記溶融材の収容溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプランジャポンプである。
【0009】
前記のような構成によれば、シート部材の内周面とポンプハウジングの外周面とが接合され、固定強度をより一層高めることができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記ポンプハウジングが、その外周面の一部が前記シート部材に圧入されており、前記シート部材の内周面と前記ポンプハウジングの外周面との間に、前記溶融材が流れ込む筒状の流入スペースが形成されており、前記流入スペース内で前記固化部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプランジャポンプである。
【0011】
前記のような構成によれば、溶融した溶融材が効率的に流入スペース全体に広がるので、筒状の広い範囲に亘ってシート部材とポンプハウジングとを固着することができ、固定強度を大幅に高めることができる。また、圧入と固化部とで固着するので、固定強度がさらに高まる。さらに、シート部材の内周面とポンプハウジングの外周面との間に隙間(流入スペース)を形成しているので、ポンプハウジングをシート部材内に圧入する際には、流入スペース部分のシート部材の内周面によってポンプハウジングの傾きが防止され、圧入時の倒れを防止できる。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記ポンプハウジングの外周面の前記流入スペースに相当する部分に、ローレット加工が施されていることを特徴とする請求項3に記載のプランジャポンプである。
【0013】
前記のような構成によれば、ローレット加工部分の溝に溶融した溶融材が流れ込むので、固定強度をより一層高めることができる。
【0014】
請求項5に係る発明は、有底円筒状のシート部材と、該シート部材に挿入される円筒状のポンプハウジングとを備え、前記ポンプハウジング内にポンプ室が形成されたプランジャポンプの製造方法において、前記ポンプハウジングを前記シート部材内に挿入した後に、前記シート部材と前記ポンプハウジング間で、溶融材を溶融させた後に固化させて固化部を形成し、前記シート部材と前記ポンプハウジングとを互いに固着することを特徴とするプランジャポンプの製造方法である。
【0015】
前記のような製造方法によれば、溶融材を一旦溶融させた後に固化させてなる固化部を介してシート部材とポンプハウジングとを固着しているので、シート部材とポンプハウジングの寸法公差があっても、容易にシート部材とポンプハウジングの固定強度を高めることができ、製造の手間と時間を低減することができる。
【0016】
請求項6に係る発明は、前記シート部材と前記ポンプハウジング間に電流を流し、その抵抗発熱によって前記溶融材を加熱して溶融することを特徴とする請求項5に記載のプランジャポンプの製造方法である。
【0017】
前記のような製造方法によれば、シート部材とポンプハウジングも加熱され、溶融材が溶融したときのぬれ性が高まるので、固化部を広い範囲で形成することができ、ひいてはシート部材とポンプハウジングとの固定強度を高めることができる。
【0018】
請求項7に係る発明は、前記シート部材の内周面および前記ポンプハウジングの外周面の少なくとも一方に前記溶融材を収容し、前記ポンプハウジングを、その先端部と前記シート部材の底部との間に隙間が形成されるように、前記シート部材内に挿入し、前記シート部材と前記ポンプハウジング間に流れる電流が、前記溶融材の近傍を流れるようにしたことを特徴とする請求項6に記載のプランジャポンプの製造方法である。
【0019】
前記のような製造方法によれば、シート部材とポンプハウジング間に流れる電流が、溶融材の近傍を流れるので、溶融材を効率的に加熱して溶融することができる。
【0020】
請求項8に係る発明は、前記溶融材に電流を直接流し、その抵抗発熱によって前記溶融材を溶融することを特徴とする請求項5に記載のプランジャポンプの製造方法である。
【0021】
前記のような製造方法によれば、溶融材が発熱しやすく効率的に溶融するので、シート部材とポンプハウジング間に流入しやすくなる。
【0022】
請求項9に係る発明は、下側電極上に前記シート部材を設置して、前記ポンプハウジングを前記シート部材の上側から挿入し、前記シート部材の上端に前記溶融材を設置して当該溶融材の上部から上側電極を当接させて前記溶融材を固定し、前記溶融材に通電させることを特徴とする請求項8に記載のプランジャポンプの製造方法である。
【0023】
前記のような製造方法によれば、溶融材が発熱しやすく効率的に溶融するとともに、溶融材を流れた電流はシート部材を介して下側電極に流れるので、シート部材も加熱されて、ねれ性が確保され、溶融材がシート部材とポンプハウジング間にさらに流入しやすくなる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るプランジャポンプおよびその製造方法によると、製造の手間と時間を低減しつつシート部材とポンプハウジングとの高い固定強度を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(第一実施形態)
以下、本発明を実施するための第一の最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0026】
図1に示すように、プランジャポンプ10は、例えば、車両用ブレーキ液圧制御装置に用いられるものであり、基体(ポンプボディ)1に形成されたポンプ穴2に装着されている。基体1は、略直方体を呈するアルミニウム合金製の押出材または鋳造品からなり、その内部には流体であるブレーキ液の流路(油路)が形成されている。
【0027】
ポンプ穴2は、段付き円筒状の穴であり、基体1の側面1aから軸受穴3に貫通するように形成されている。ポンプ穴2は、モータ(図示せず)の出力軸の偏心カム4が回転する軸受穴3の側方両側に一対に形成されており、軸受穴3を挟んで互いに対向するように開口して形成されている。ポンプ穴2は、その中心線が軸受穴3の中心を通るように形成されている。ポンプ穴2には、リザーバ(図示せず)に連通し、そのリザーバからのブレーキ液をプランジャポンプ10に導く吸入流路2aが開口して連通している。また、ポンプ穴2には、電磁弁や圧力センサといった電子機器が装着される穴(孔)に繋がる流路(図示せず)に連通し、その流路にブレーキ液を送り出す吐出流路2bとが開口して連通している。
【0028】
プランジャポンプ10は、シート部材11と、ポンプハウジング12と、プランジャ13と、戻しばね14と、シールストッパー15と、吸入弁手段16と、キャップ17と、吐出弁手段18と、吐出側フィルタ(図示せず)とを備えて構成されている。
【0029】
シート部材11は、内周面が円筒面状に成形された有底円筒状の例えば焼入鋼等の金属製部材からなり、ポンプハウジング12の一端部が挿入(本実施形態では圧入)されて当接されるようになっている。シート部材11は、その開口部側端部(図1中、右側)の外周面がポンプ穴2の内周面に押圧されるように、ポンプ穴2内に圧入(嵌入)され、その先端部(開口部側端部)が、ポンプ穴2の段差部分2cに係止されるように構成されている。シート部材11の底部の中央部には、ポンプ室Pに吸入したブレーキ液をキャップ17側に吐出させるための吐出路11aとなる貫通孔が形成されている。
【0030】
ポンプハウジング12は、円筒状の例えば焼入鋼等の金属製部材からなり、その内部に、ポンプ室Pが形成されている。ポンプ室Pは、シート部材11とポンプハウジング12とプランジャ13とで区画されている。ポンプ室P内には、吸入弁手段16が収容されている。ポンプハウジング12は、その外周面が、ポンプ穴2の内周面と隙間をあけて対向するように構成されている。また、ポンプハウジング12の軸受穴3側の端部の外周面には、シールストッパー15を保持するための係止凹部12aが形成されている。
【0031】
プランジャ13は、モータの偏心カム4の回転運動に伴ってポンプハウジング12の内空部を往復運動するものであり、偏心カム4に当接する接触部13aと、ブレーキ液の吸入口となる吸入部13bと、ポンプハウジング12の内空部を摺動しつつ往復する摺動部13cと、吸入弁手段16の弁座となる弁座部13dと、を備えている。また、プランジャ13の内部には、吸入路13eが形成されている。吸入路13eは、吸入部13bの周囲に形成された環状空間S1とポンプ室Pとを連通するものであり、吸入部13bの外周面(プランジャ13の外周面)と弁座部13dの端面(プランジャ13のシート部材11側端面)とに開口している。環状空間S1には、ポンプ穴2の吸入流路2aが開口して連通されている。
【0032】
接触部13aは、ポンプ穴2に遊挿されており、かつ、その先端部がモータの軸受穴3に突出している。なお、接触部13aには、ポンプ穴2に当接する環状のシール部材13hとブッシュ13fとが摺動自在に装着されている。吸入部13bは、接触部13aと摺動部13cとの間に形成されていて、かつ、その少なくとも一部がポンプハウジング12の軸受穴3側開口部から突出している。摺動部13cは、ポンプハウジング12の内空部を摺動する部位であり、摺動部13cの外径は、これに隣接する吸入部13bおよび弁座部13dの外径よりも大きく、かつ、ポンプハウジング12の内径よりも僅かに小さくなっている。弁座部13dは、摺動部13cよりもポンプ室P側に形成されており、その周囲には、環状のシールリング13gが環装されている。シールリング13gは、ポンプハウジング12の内周部を摺動しながらポンプ室P内を液密にシールしている。
【0033】
戻しばね14は、ポンプ室Pに圧縮状態で配置され、その復元力によりプランジャ13を軸受穴3側に押圧する。本実施形態に係る戻しばね14は、シート部材11の底部と、後記するリテーナ16bの基端部を介してプランジャ13に環装されたシールリング13gとの間に配置されており、シールリング13gを介してプランジャ13を押圧している。
【0034】
シールストッパー15は、シール部材13hの抜け出しを防止するための枠状の部材であり、プランジャ13の接触部13aおよび吸入部13bの一部を囲繞するように配置される枠体15aと、この枠体15aからポンプハウジング12側に向かって延出する係止片15bとを備えており、この係止片15bをポンプハウジング12の係止凹部12aに係止することで、ポンプハウジング12に保持されている。
【0035】
吸入弁手段16は、吸入路13eを開閉するものであり、ポンプ室Pに収容されている。より詳細には、吸入弁手段16は、吸入路13eの開口部を塞ぐように配置された球状の吸入弁体16aと、この吸入弁体16aを覆うように配置されたリテーナ16bと、吸入弁体16aとリテーナ16bとの間に圧縮状態で配置された吸入弁ばね16cとを備えて構成されている。吸入弁体16aは、吸入弁ばね16cの復元力によって、プランジャ13側に付勢されている。なお、リテーナ16bは、その基端部がプランジャ13の弁座部13dに外嵌されており、かつ、戻しばね14の復元力によってシールリング13gに押え付けられている。
【0036】
キャップ17は、シート部材11の底部を外側から覆設するものであり、シート部材11とは別体の有底円筒状の金属製部材からなる。キャップ17の内側には、シート部材11の底部が圧入される大径凹部17aと、この大径凹部17aよりも小径の小径凹部17bとが形成されている。小径凹部17bは、シート部材11の底部と合わせて、吐出弁手段18を収容する吐出弁室S2を区画形成する。
【0037】
キャップ17の外周面には、その周方向に沿って、環状の係止溝17cが凹設されている。係止溝17cには、ポンプ穴2の穴壁に形成される塑性変形部2dが入り込む。本実施形態においては、係止溝17cの外側に隣接する外蓋部17eの外径が、係止溝17cの内側(奥側)に隣接する内蓋部17dの外径よりも小さくなっている。内蓋部17dは、ポンプ穴2の入口部分の段差部より内側の内径と略同一であり、その部分に挿入される。外蓋部17eは、ポンプ穴2の入口部分の段差部の底面から突出しており、かつ、突出部分の周縁部が面取りされている。
【0038】
なお、キャップ17のうち、プランジャ13側に位置する流路構成部17fの外径は、キャップ17が挿入されるポンプ穴2の内径よりも小さくなっていて、流路構成部17fの外周面とポンプ穴2とにより、基体1の吐出流路2bと連通する環状空間S3が形成される。なお、流路構成部17fには、吐出弁室S2と環状空間S3とを連通する出口孔17gが形成されている。出口孔17gは、プランジャ13の往復動に伴う脈動を緩和するオリフィスとして機能する。
【0039】
吐出弁手段18は、シート部材11の底部に形成された吐出路11aを開閉するものであり、吐出弁室S2に収容されている。より詳細には、吐出弁手段18は、シート部材11の吐出路11aを塞ぐように配置された球状の吐出弁体18aと、吐出弁室S2に圧縮状態で配置された吐出弁ばね18bとを備えて構成されている。吐出弁体18aは、吐出弁ばね18bの復元力によって、吐出路11a側に付勢されている。
【0040】
以上のような構成のプランジャポンプ10によれば、プランジャ13が戻しばね14のばね付勢により軸受穴3内に弾性的に突出することとなる。
【0041】
ところで、本実施形態では、図3の(b)に示すように、シート部材11と、ポンプハウジング12とは、溶融材20(図3の(a)参照)を一旦溶融させた後に固化させてなる固化部21を介して互いに固着されている。
【0042】
溶融材20は、図2に示すように、例えば焼入鋼にて構成されるシート部材11およびポンプハウジング12よりも融点の低い低融点材料にて構成されている。すなわち、溶融材20は、例えば銅、銀またはニッケル等にて構成されている。溶融材20は、断面円形の棒状に形成されて、シート部材11の内周面とポンプハウジング12の外周面との間に介設される。
【0043】
シート部材11の内周面は、ポンプハウジング12の外周径と略同等の内周径を有する圧入部22と、ポンプハウジング12の外周径よりも僅かに大きい内周径を有する拡径部23とを備えて構成されている。圧入部22は、シート部材11の底部側に配置され、拡径部23は、シート部材11の開口部側に配置されている。このような構成によれば、圧入部22にポンプハウジング12を圧入すると、拡径部23では、ポンプハウジング12の外周面との間に筒状の隙間が形成されることとなり、この隙間が、溶融した溶融材20が流れ込む流入スペース24を構成する。流入スペース24には、溶融した溶融材20が毛細管現象によって適宜流れ込むようになっている。
【0044】
シート部材11の内周面には、溶融材20を収容する収容溝25が形成されている。収容溝25は、圧入部22と拡径部23の境界位置に配置され、シート部材11の内周面の周方向に沿って環状に形成されている。収容溝25は、圧入部22の内周面からの深さが、溶融材20の外径と同等の寸法となっており、溶融材20が、収容溝25の底部とポンプハウジング12の外周面の両方に当接するようになっている。収容溝25の底部は、溶融材20の外周面と同等の曲率半径を有する円弧状に形成されており、溶融材20との接触面積を大きく確保している。収容溝25の、拡径部23側の側壁は、拡径部23の表面に連続的に繋がるように開口端部が低く形成されており、溶融した溶融材20が収容溝25から流入スペース24へ流れ込みやすくなっている。
【0045】
ポンプハウジング12は、シート部材11の底部側の先端部(先端面)とシート部材11の底部との間に隙間を確保した状態で、シート部材11内に挿入されている。すなわち、ポンプハウジング12の外周面の一部が、シート部材11の内周面の圧入部22に接触し、ポンプハウジング12のその他の部分は、シート部材11と接触していない。
【0046】
ポンプハウジング12の外周面の、シート部材11の拡径部23に相当する部分(流入スペース24に相当する部分)には、ローレット加工が施されており、複数の方向に交差する溝部32が形成されている。その溝部32に溶融した溶融材20が流れ込むことで、シート部材11とポンプハウジング12との固定強度が高まるようになっている。
【0047】
次に、前記構成のプランジャポンプ10の製造方法を説明する。
【0048】
本発明に係るプランジャポンプ10の製造方法は、ポンプハウジング12をシート部材11内に挿入した後に、シート部材11とポンプハウジング12との間で溶融材20を一旦溶融させた後に固化させて固化部21を形成し、シート部材11とポンプハウジング12とを互いに固着することを特徴とする。
【0049】
以下に、シート部材11とポンプハウジング12との固着工程を詳細に説明する。
【0050】
まず、シート部材11の内周面の収容溝25の全周に亘って、溶融材20を敷設して収容する(図2参照)。このとき、リング状に収容された溶融材20は、外周面(リング状の外側部分)が収容溝25の底面に周接し、内周面(収容溝25の開口側端部)は、圧入部22の表面と同一平面上に位置している。
【0051】
その後、図2に示すように、ポンプハウジング12をシート部材11の内側に圧入する。このとき、ポンプハウジング12は、シート部材11の奥まで挿入させずに、その先端部とシート部材11の底部との間に、隙間を形成しておく。ここで、シート部材11とポンプハウジング12とは、圧入部22のみで接触していることとなる。
【0052】
そして、シート部材11が上側で、ポンプハウジング12が下側になるように配置し、電極30,31間に挟んで固定する。電極30,31間に電流を所定時間流して、その抵抗発熱(ジュール熱)によって、溶融材20を溶融させる。ポンプハウジング12の先端部とシート部材11の底部との間に、隙間が形成されているので、電流は、図3の(a)中の矢印に示すように、シート部材11の圧入部22を通過してポンプハウジング12へと流れる。これによって、収容溝25の近傍のシート部材11とポンプハウジング12が加熱され(図3の(a)中、ドット状ハッチングにて示す範囲)、溶融材20が効率的に溶融される。抵抗発熱によって、シート部材11とポンプハウジング12は溶融せずに、溶融材20だけが溶融するようになっている。
【0053】
溶融された溶融材20は、図3の(b)に示すように、収容溝25の下側に位置する流入スペース24へと流れ込む。このとき、収容溝25の近傍のシート部材11とポンプハウジング12が加熱されているので、流入スペース24の周壁のぬれ性が高く、流入スペース24の全長(軸方向長さ)に亘って溶融した溶融材20が流れ込みやすい。また、溶融した溶融材20は、ポンプハウジング12の外周面に施されたローレット加工による溝部32に入り込む。なお、電流は、溶融した溶融材20が流入スペース24の全体に流れ込んで固化するように、通電時間を設定しておき、自動的に通電が停止されるようになっている。
【0054】
その後、所定時間経過すると、溶融材20は、シート部材11の拡径部23の内周面と、ポンプハウジング12の外周面との間で完全に固化されて固化部21となり、シート部材11とポンプハウジング12との固着が完了する。特に、固化部21は、溝部32に入り込んだ状態でポンプハウジング12の表面と噛み合うので、シート部材11とポンプハウジング12との固定強度がさらに高められている。
【0055】
以上のような、プランジャポンプ10およびその製造方法によれば、溶融材20を一旦溶融させた後に固化させてなる固化部21を介してシート部材11とポンプハウジング12とを固着しているので、シート部材11とポンプハウジング12の寸法公差があっても、容易にシート部材11とポンプハウジング12の固定強度を高めることができ、製造の手間と時間を低減することができる。
【0056】
また、従来のように単にポンプハウジングをシート部材に嵌合させるものと比較して、固定強度は大幅に高くなる。
【0057】
さらに、溶融材20が、シート部材11およびポンプハウジング12よりも融点の低い低融点材料にて構成されているので、溶融材20のみを溶融させるだけで、シート部材11とポンプハウジング12とを固着でき、溶融に必要な熱量を低減でき、電力の消費量を抑えることができる。
【0058】
また、シート部材11の内周面に溶融材20の収容溝25が形成されているので、シート部材11とポンプハウジング12との接合面の内方で固化部21が位置することとなり、固定強度をより一層高めることができる。
【0059】
さらに、シート部材11の内周面とポンプハウジング12の外周面との間に、溶融材20が流れ込む筒状の流入スペース24が収容溝25に連続して形成されているので、溶融した溶融材20が流入スペース24にスムーズに流れ込み、これが固化することで固化部21が形成される。したがって、ポンプハウジング12を囲む筒状の広い範囲に亘ってシート部材11とポンプハウジング12とを固着することができ、固定強度を大幅に高めることができる。流入スペース24の厚さを薄くすれば、毛細管現象によって、溶融した溶融材20が効率的に流入スペース全体に流れ込んで広がる。
【0060】
また、シート部材11の圧入部22における圧入と、拡径部23における固化部21とで、シート部材11とポンプハウジング12とを固着しているので、固定強度がさらに高まるだけでなく、溶融材20の溶融時にはシート部材11とポンプハウジング12同士が仮固定されることとなり、溶融作業を行いやすい。
【0061】
さらに、シート部材11の内周面とポンプハウジング12の外周面との間に、隙間(流入スペース24)を形成しているので、ポンプハウジング12をシート部材11内の奥に位置する圧入部22に圧入する際には、流入スペース24部分のシート部材11の内周面(拡径部23)によって傾きが防止され、ポンプハウジング12の圧入時の倒れを防止でき、圧入作業を行いやすい。
【0062】
また、ポンプハウジング12の外周面の流入スペース24に相当する部分に、ローレット加工が施されているので、ローレット加工部分の溝部32に溶融した溶融材20が流れ込むので、溶融材20とポンプハウジング12の表面が互いに噛み合い、固定強度をより一層高めることができる。
【0063】
また、本実施形態では、電極30,31でシート部材11とポンプハウジング12とを挟んで電流を流すだけで、溶融材20を溶融させているので、溶融作業が比較的容易に行えるとともに、シート部材11とポンプハウジング12の両方を加熱することができ、溶融材20が溶融したときのぬれ性が高まり、固化部21を広い範囲で形成することができる。また、電流を流すことで、シート部材11とポンプハウジング12とを加熱しているので、リング状に配置された溶融材20を、その全周に亘って同時に加熱して溶融することができ、溶融された溶融材20は、流入スペース24内で、全周に亘って同時にバランスよく流下することとなる。
【0064】
さらに、ポンプハウジング12の先端部と、シート部材11の底部との間に、隙間を形成しているので、シート部材11とポンプハウジング12間に流れる電流が、溶融材20(収容溝25)の近傍を流れることとなり、溶融材20近傍の発熱効果が高く、溶融材20が効率的に溶融される。
【0065】
以上のように、本実施形態に係るプランジャポンプ10およびその製造方法によれば、製造の手間と時間を低減しつつシート部材11とポンプハウジング12との高い固定強度を得ることができる。
【0066】
(第二実施形態)
次に、本発明を実施するための第二の最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0067】
本実施形態に係るプランジャポンプは、第一実施形態と比較して、シート部材11とポンプハウジング12との固着方法が異なる。シート部材11とポンプハウジング12を含むその他の構成については、第一実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
【0068】
図5および図6に示すように、本実施形態において、ポンプハウジング12をシート部材11に固着するに際しては、まず、シート部材11の内周面の収容溝25の全周に亘って、溶融材20を収容した後に、シート部材11内にポンプハウジング12を圧入する。このとき、ポンプハウジング12は、シート部材11の奥まで挿入して、その先端部と、シート部材11の底部とを接触させる。
【0069】
そして、シート部材11が上側で、ポンプハウジング12が下側になるように、固定治具35,36間に挟んで固定する。その後、公知のレーザー照射装置37を用いて、シート部材11の、収容溝25が位置する部分の外側に位置する外周面にレーザーを照射して、シート部材11を加熱する。このとき、レーザーの焦点をぼかして、シート部材11を、局所的ではなく広い範囲で加熱するようにする。レーザー照射装置による加熱温度は、シート部材11およびポンプハウジング12が溶融しない温度であって、その内側の収容溝25に位置する溶融材20だけが溶融される温度に設定されている。
【0070】
これによって、溶融材20が収容溝25内で溶融されて、図6の(b)に示すように、収容溝25の下側に位置する流入スペース24へと流れ込む。このとき、収容溝25の近傍のシート部材11とポンプハウジング12が広い範囲で加熱されて、流入スペース24周辺のシート部材11とポンプハウジング12(図6の(a)中、ドット状ハッチングにて示す範囲)の温度が上昇しているので、流入スペース24のぬれ性が高く、流入スペース24の全長(軸方向長さ)に亘って溶融した溶融材20が流れ込みやすい。また、溶融した溶融材20は、ポンプハウジング12の外周面に施されたローレット加工による溝部32に入り込むので、固着強度が高くなる。レーザー照射は、溶融した溶融材20が流入スペース24の全体に流れ込んで固化するように、照射時間を設定しておき、自動的に照射が停止されるようになっている。
【0071】
その後、所定時間経過すると、溶融材20は、シート部材11の拡径部23の内周面と、ポンプハウジング12の外周面との間で完全に固化されて固化部21となり、シート部材11とポンプハウジング12との固着が完了する。
【0072】
このような固着工程を行う本実施形態によっても、第一実施形態と略同等の作用効果を得られる。
【0073】
(第三実施形態)
次に、本発明を実施するための第三の最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0074】
本実施形態に係るプランジャポンプは、第一実施形態と比較して、シート部材11’とポンプハウジング12との固着方法およびシート部材11’の構成の一部が異なる。その他の構成については、第一実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
【0075】
図7および図8に示すように、本実施形態のシート部材11’は、その内周面に収容溝が形成されていない。圧入部22と拡径部23との境界部分は、圧入部22から拡径部23に向かって徐々に拡径するテーパ状に形成されている。また、拡径部23の内周面の開口側端部23aは、外側に向かって徐々に拡径するテーパ状に形成されている。なお、その他の構成は、第一および第二実施形態と同様である。
【0076】
ポンプハウジング12をシート部材11’に固着するに際しては、まずシート部材11’内にポンプハウジング12を圧入する。このとき、ポンプハウジング12は、奥まで挿入して、その先端部と、シート部材11’の底部とを接触させる。
【0077】
そして、シート部材11’が下側で、ポンプハウジング12が上側になるように、固定治具35,36間に挟んで固定する。その後、ポンプハウジング12の外周面で、シート部材11’の上端のテーパ状の開口側端部23aとの間に、その全周に亘って溶融材20を敷設する。
【0078】
そして、公知のレーザー照射装置37を用いて、溶融材20と、その周囲のシート部材11’およびポンプハウジング12にレーザーを照射して、溶融材20およびその周囲を加熱する。このとき、レーザーの焦点をぼかして、溶融材20だけでなく、その周囲の広い範囲で加熱するようにする。レーザー照射装置による加熱温度は、シート部材11’およびポンプハウジング12が溶融しない温度であって、その内側の収容溝25に位置する溶融材20だけが溶融される温度に設定されている。
【0079】
これによって、溶融材20がシート部材11’とポンプハウジング12との間で溶融されて、図8の(b)に示すように、シート部材11’の開口側端部23aの下側に位置する流入スペース24へと流れ込む。このとき、溶融材20の周囲のシート部材11’とポンプハウジング12も広い範囲で加熱されており、流入スペース24周辺のシート部材11’とポンプハウジング12(図8の(a)中、ドット状ハッチングにて示す範囲)の温度が上昇しているので、流入スペース24のぬれ性が高く、流入スペース24の全周に亘って溶融した溶融材20が流れ込みやすい。また、シート部材11’の開口側端部23aは、テーパ状に形成されているので、溶融した溶融材20は、流入スペース24に案内されてスムーズに流れ込む。そして、溶融した溶融材20は、流入スペース24に案内されてスムーズに流れ込んだ後に、ポンプハウジング12の外周面に施されたローレット加工による溝部32に入り込む。
【0080】
その後、所定時間経過すると、溶融材20は、シート部材11’の拡径部23の内周面と、ポンプハウジング12の外周面との間で完全に固化されて固化部21となり、シート部材11’とポンプハウジング12との固着が完了する。
【0081】
このような固着工程を行う本実施形態によっても、第二実施形態と同等の作用効果を得られる。
【0082】
(第四実施形態)
次に、本発明を実施するための第四の最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0083】
本実施形態に係るプランジャポンプは、第一実施形態と比較して、シート部材11”とポンプハウジング12”との固着方法、およびシート部材11”とポンプハウジング12”の構成の一部が異なる。その他の構成については、第一実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
【0084】
図9および図10に示すように、本実施形態のシート部材11”は、その内周面に溶融材流入溝26が形成されている。溶融材流入溝26は、第一実施形態の収容溝に代えて形成されたものであって、シート部材11の内周面の拡径部23よりも底部側に形成されている。溶融材流入溝26は、溶融した溶融材20が流れ込んで、その内部で固化するスペースとして機能する。
【0085】
一方、ポンプハウジング12”は、その外周面に溶融材流入溝27が形成されている。ポンプハウジング12”の溶融材流入溝27は、ポンプハウジング12”をシート部材11”に挿入した状態で、シート部材11”の溶融材流入溝26に対向する位置に形成されており、溶融した溶融材20が流れ込んで、その内部で固化するスペースとして機能する。
【0086】
また、本実施形態では、ポンプハウジング12”は、シート部材11”の奥まで挿入されており、ポンプハウジング12”の先端部がシート部材11”の底部に当接するようになっている。なお、ポンプハウジング12”の先端部がシート部材11” の底部と隙間をあけるように構成してもよいが、この場合は、溶融材流入溝26,27同士が互いに対向するように構成しておく。
【0087】
本実施形態に係るプランジャポンプの製造方法は、ポンプハウジング12”をシート部材11”に固着する際に、溶融材20に電流を直接流し、その抵抗発熱によって前記溶融材を溶融することを特徴とする。
【0088】
ポンプハウジング12”をシート部材11”に固着するに際しては、図9に示すように、まず、シート部材11”内にポンプハウジング12”を圧入し、シート部材11”の開口周縁部の上端に、溶融材20を設置する。その後、組み合わされたシート部材11”、ポンプハウジング12”および溶融材20を、シート部材11”が下側でポンプハウジング12”が上側に向きにして、上側電極30”と下側電極31”で挟んで固定する。このとき、溶融材20は、シート部材11”と上側電極30” との間で挟まれて固定されている。
【0089】
その後、上側電極30”および下側電極31”間に電流を所定時間流して、その抵抗発熱(ジュール熱)によって、溶融材20を溶融させる。このとき、上側電極30”を溶融材20に当接させているので、電流は、図10の(a)中の矢印に示すように、溶融材20を通過してシート部材11”へと流れる。これによって、溶融材20が直接加熱されるので、発熱しやすく効率的に溶融することができる。したがって、溶融材20は、シート部材11”とポンプハウジング12”間に円滑に流れ込む。
【0090】
また、溶融材20を流れた電流はシート部材11”を介して下側電極31”に流れるので、シート部材11”も加熱されて、ねれ性が確保される。さらに、溶融材20が溶融した後は、電流は、上側電極30”からポンプハウジング12”、シート部材11”を介して下側電極31”に流れるので、ポンプハウジング12”も加熱されて、流入スペース24の周壁および溶融材流入溝26,27におけるねれ性がさらに高くなる。これによって、溶融材20がシート部材11”とポンプハウジング12”間の流入スペース24および溶融材流入溝26,27にさらに流入しやすくなる。
【0091】
その後、所定時間経過すると、溶融材20は、流入スペース24および溶融材流入溝26,27内で完全に固化されて固化部21となり、シート部材11”とポンプハウジング12”との固着が完了する。特に、各溶融材流入溝26,27に流れ込んで固化した固化部21が、シート部材11”の内周面とポンプハウジング12”の外周面から、部材厚さ方向に入り込むこととなり、楔の役目を果たすようになっている。これによって、シート部材11”とポンプハウジング12”との固定強度がさらに高まる。
【0092】
なお、本実施形態では、溶融材流入溝26は、シート部材11”の内周面の全周に亘って形成されているが、断続的に形成するようにしてもよい。この場合、ポンプハウジング12”の外周面の溶融材流入溝27は、少なくとも溶融材流入溝26に対向する位置に形成するようにする。
【0093】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。例えば、前記第一および第二実施形態では、収容溝25は、シート部材11の内周面に形成されているが、これに限定されるものではなく、ポンプハウジング12の外周面に形成してもよい。この場合、収容溝がシート部材11の圧入部22と拡径部23の境界位置を跨ぐように配置して、溶融材20が、シート部材11とポンプハウジング12の両方に当接するようにする。
【0094】
また、前記各実施形態では、ポンプハウジング12の外周面にローレット加工を施して溝部32を形成しているが、これに限定されるものではなく、ローレット加工以外の加工で、溝部を形成したり、表面を荒くしたりしてもよい。また、シート部材11の拡径部23の表面に溝部を形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】第一実施形態に係るプランジャポンプの基体への取り付け状態を示した断面図である。
【図2】第一実施形態におけるシート部材とポンプハウジングとの固着工程を説明するための断面図である。
【図3】第一実施形態におけるシート部材とポンプハウジングとの固着工程を説明するための図であって、(a)溶融材の溶融前の状態を示した要部拡大断面図、(b)は溶融材の溶融後の状態を示した要部拡大断面図である。
【図4】ポンプハウジングを示した側面図である。
【図5】第二実施形態におけるシート部材とポンプハウジングとの固着工程を説明するための断面図である。
【図6】第二実施形態におけるシート部材とポンプハウジングとの固着工程を説明するための図であって、(a)溶融材の溶融前の状態を示した要部拡大断面図、(b)は溶融材の溶融後の状態を示した要部拡大断面図である。
【図7】第三実施形態におけるシート部材とポンプハウジングとの固着工程を説明するための断面図である。
【図8】第三実施形態におけるシート部材とポンプハウジングとの固着工程を説明するための図であって、(a)溶融材の溶融前の状態を示した要部拡大断面図、(b)は溶融材の溶融後の状態を示した要部拡大断面図である。
【図9】第四実施形態におけるシート部材とポンプハウジングとの固着工程を説明するための断面図である。
【図10】第四実施形態におけるシート部材とポンプハウジングとの固着工程を説明するための図であって、(a)溶融材の溶融前の状態を示した要部拡大断面図、(b)は溶融材の溶融後の状態を示した要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0096】
10 プランジャポンプ
11 シート部材
12 ポンプハウジング
20 溶融材
21 固化部
24 流入スペース
25 収容溝
11’ シート部材
11” シート部材
12” ポンプハウジング
30” 上側電極
31” 下側電極
P ポンプ室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底円筒状のシート部材と、該シート部材に挿入される円筒状のポンプハウジングとを備え、前記ポンプハウジング内にポンプ室が形成されたプランジャポンプにおいて、
前記シート部材と前記ポンプハウジングは、溶融材を溶融させた後に固化させてなる固化部を介して互いに固着されている
ことを特徴とするプランジャポンプ。
【請求項2】
前記シート部材の内周面および前記ポンプハウジングの外周面の少なくとも一方に前記溶融材の収容溝が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のプランジャポンプ。
【請求項3】
前記ポンプハウジングは、その外周面の一部が前記シート部材に圧入されており、
前記シート部材の内周面と前記ポンプハウジングの外周面との間に、前記溶融材が流れ込む筒状の流入スペースが形成されており、
前記流入スペース内で前記固化部が形成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプランジャポンプ。
【請求項4】
前記ポンプハウジングの外周面の前記流入スペースに相当する部分に、ローレット加工が施されている
ことを特徴とする請求項3に記載のプランジャポンプ。
【請求項5】
有底円筒状のシート部材と、該シート部材に挿入される円筒状のポンプハウジングとを備え、前記ポンプハウジング内にポンプ室が形成されたプランジャポンプの製造方法において、
前記ポンプハウジングを前記シート部材内に挿入した後に、
前記シート部材と前記ポンプハウジング間で、溶融材を溶融させた後に固化させて固化部を形成し、前記シート部材と前記ポンプハウジングとを互いに固着する
ことを特徴とするプランジャポンプの製造方法。
【請求項6】
前記シート部材と前記ポンプハウジング間に電流を流し、その抵抗発熱によって前記溶融材を加熱して溶融する
ことを特徴とする請求項5に記載のプランジャポンプの製造方法。
【請求項7】
前記シート部材の内周面および前記ポンプハウジングの外周面の少なくとも一方に前記溶融材を収容し、
前記ポンプハウジングを、その先端部と前記シート部材の底部との間に、隙間が形成されるように、前記シート部材内に挿入し、
前記シート部材と前記ポンプハウジング間に流れる電流が、前記溶融材の近傍を流れるようにした
ことを特徴とする請求項6に記載のプランジャポンプの製造方法。
【請求項8】
前記溶融材に電流を直接流し、その抵抗発熱によって前記溶融材を溶融する
ことを特徴とする請求項5に記載のプランジャポンプの製造方法。
【請求項9】
下側電極上に前記シート部材を設置して、前記ポンプハウジングを前記シート部材の上側から挿入し、
前記シート部材の上端に前記溶融材を設置して当該溶融材の上部から上側電極を当接させて前記溶融材を固定し、
前記溶融材に通電させる
ことを特徴とする請求項8に記載のプランジャポンプの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−59903(P2010−59903A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228083(P2008−228083)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000226677)日信工業株式会社 (840)
【Fターム(参考)】