プラント制御装置及び蒸気使用プラントの制御方法
【課題】蒸気負荷における蒸気の需要量が変動しても、効率を低下させることなく、蒸気使用プラントの蒸気発生装置を運転できるプラント制御装置及び蒸気使用プラントの制御方法を提供することを課題とする。
【解決手段】ボイラ10と、ボイラ10で発生した蒸気を貯蔵する蒸気アキュムレータ30と、蒸気アキュムレータ30に貯蔵される蒸気が供給される蒸気負荷20と、を含んで構成される蒸気使用プラント1に備わり、蒸気負荷20における蒸気の予測需要量を予測するとともに予測需要量に基づいてボイラ10の運転パターンを決定し、運転パターンに基づいてボイラ10を運転するプラント制御装置100及び蒸気使用プラント1の制御方法とする。そして、予測需要量の蒸気が発生するボイラ10の負荷率が、予め設定される下限負荷率より低くなる時間帯でのボイラ10の運転時間が短くなるように、運転パターンを決定することを特徴とする。
【解決手段】ボイラ10と、ボイラ10で発生した蒸気を貯蔵する蒸気アキュムレータ30と、蒸気アキュムレータ30に貯蔵される蒸気が供給される蒸気負荷20と、を含んで構成される蒸気使用プラント1に備わり、蒸気負荷20における蒸気の予測需要量を予測するとともに予測需要量に基づいてボイラ10の運転パターンを決定し、運転パターンに基づいてボイラ10を運転するプラント制御装置100及び蒸気使用プラント1の制御方法とする。そして、予測需要量の蒸気が発生するボイラ10の負荷率が、予め設定される下限負荷率より低くなる時間帯でのボイラ10の運転時間が短くなるように、運転パターンを決定することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気貯蔵装置を備える蒸気使用プラントに備わるプラント制御装置及び蒸気使用プラントの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気を利用する蒸気使用プラントに備わって蒸気を発生する蒸気発生装置(例えば、ボイラ)の効率は、「蒸気発生量/定格蒸気発生量」で算出される負荷率によって変動する。このような蒸気発生装置は、負荷率が所定の下限値(例えば、20%)以下となるような低負荷率運転すると効率が低下するため、低負荷率運転が回避されることが好ましい。
そこで、低負荷率運転を回避するために、負荷率が下限値以下となったときに間欠運転をする構成も考えられるが、このような間欠運転は、排気ガス熱損失や放熱熱損失が増えて効率が低下する。また、通常のON/OFF運転が頻繁に繰り返されるような場合も効率が低下する。
【0003】
蒸気発生装置の蒸気発生量は、蒸気の供給対象(蒸気負荷)における蒸気の需要量に自動的に追従するため、蒸気負荷における蒸気の需要量の変動にともなって蒸気発生量が変動し、負荷率も変動する。
そこで、例えば、蒸気貯蔵装置(蒸気アキュムレータ)を備え、蒸気負荷の変動に応じて変動する蒸気発生量を蒸気アキュムレータから供給される蒸気量で調節することで、蒸気発生量の変動を吸収する蒸気発生装置も知られている。
しかしながら、このような蒸気発生装置であっても、汎用的な「保圧弁型制御システム」や「流量平均化システム」では、蒸気負荷の変動のピークを削る、蒸気負荷の変動を平滑化する、という効果しか得ることができず、負荷率が低い場合の効率を向上させるための根本的な解決とはなっていない。
【0004】
そこで、蒸気発生装置の効率を向上させる技術として、例えば、特許文献1や特許文献2に開示される技術が知られている。
特許文献1に開示される技術によると、蒸気負荷が増加したときにはアキュムレータから放出される蒸気をタービンの中間段落に導入してタービン出力を増加させることによって、効率の低下を抑えることができる。
また、特許文献2に開示される技術によると、ボイラ制御装置に、負荷を制御する負荷制御装置からの信号を入力し、この信号に基づいた最適な燃焼をすることによって、効率の低下を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−296005号公報
【特許文献2】特開平8−135904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、蒸気発生装置(ボイラ)の運転目標である一定蒸気流量よりも蒸気負荷に供給される蒸気量(蒸気需要量)が下回る時間が長く継続すると、アキュムレータの蒸気貯蔵量が限界貯蔵量を超えるためボイラを運転停止することになり、結果的にボイラの運転及び運転停止(ON/OFF運転)が頻発して効率が低下するという問題がある。
また、特許文献2に開示される技術では、蒸気発生装置(ボイラ)の一時的な運転停止を回避するため、アキュムレータに蒸気を貯蔵する時間に応じてアキュムレータに貯蔵される蒸気を少しづつ放出するため、負荷率の低い運転(低負荷率運転)が長時間に亘って継続され、蒸気発生装置の効率が低下する虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、蒸気負荷における蒸気の需要量が変動しても、効率を低下させることなく、蒸気使用プラントの蒸気発生装置を運転できるプラント制御装置及び蒸気使用プラントの制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、蒸気発生装置と、前記蒸気発生装置で発生した蒸気を貯蔵する蒸気貯蔵装置と、前記蒸気貯蔵装置に貯蔵される蒸気が供給される蒸気負荷と、を含んで構成される蒸気使用プラントに備わり、前記蒸気負荷における蒸気の予測需要量を予測するとともに前記予測需要量に基づいて前記蒸気発生装置の運転パターンを決定し、前記運転パターンに基づいて前記蒸気発生装置を運転するプラント制御装置とする。そして、前記予測需要量の蒸気が発生する前記蒸気発生装置の負荷率が、予め設定される下限負荷率より低くなる時間帯での前記蒸気発生装置の運転時間が短くなるように、前記運転パターンを決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、蒸気負荷における蒸気の需要量が変動しても、効率を低下させることなく、蒸気使用プラントの蒸気発生装置を運転できるプラント制御装置及び蒸気使用プラントの制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る蒸気使用プラント及びプラント制御装置の構成図である。
【図2】ボイラ効率とボイラ負荷率を示すグラフである。
【図3】蒸気需要量の時系列変動の一例を示すグラフである。
【図4】(a)はデータ入力部の一構成例を示す図、(b)はデータ入力画面の一構成例を示す図である。
【図5】ボイラ運転方法決定部が第1の実施形態で運転パターンを決定する手順を示すフローチャートである。
【図6】(a)は第1特定時刻を説明するためのグラフ、(b)はボイラで発生する蒸気量の時系列変動を示すグラフである。
【図7】(a)は第1特定時刻と第2特定時刻を説明するためのグラフ、(b)はボイラで発生する蒸気量の時系列変動を示すグラフである。
【図8】蒸気需要量の時系列変動の他の一例を示すグラフである。
【図9】ボイラ運転方法決定部が第2の実施形態で運転パターンを決定する手順を示すフローチャートである。
【図10】(a)は第4特定時刻と第5特定時刻を説明するためのグラフ、(b)はボイラで発生する蒸気量の時系列変動を示すグラフである。
【図11】(a)は第7特定時刻と第8特定時刻を説明するためのグラフ、(b)はボイラで発生する蒸気量の時系列変動を示すグラフである。
【図12】第3の実施形態に係る蒸気使用プラント及びプラント制御装置の構成図である。
【図13】第4の実施形態に係る蒸気使用プラント及びプラント制御装置の構成図である。
【図14】第5の実施形態に係る蒸気使用プラント及びプラント制御装置の構成図である。
【図15】第5の実施形態に係る蒸気使用プラントに備わる第1ボイラと第2ボイラのボイラ効率とボイラ負荷率を示すグラフである。
【図16】蒸気発生量を変えて、第1ボイラと第2ボイラを運転する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態について、適宜図を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、第1の実施形態に係る蒸気発生装置(ボイラ10)は、蒸気を動力源として駆動するプラント(蒸気使用プラント1)に備わり、蒸気を動力源とする生産装置などの付属設備に蒸気を供給する蒸気を発生する装置である。
蒸気を動力源とする付属設備は限定されるものではないが、ボイラ10に対する負荷となることから、以下、蒸気を動力源とする付属設備を蒸気負荷20と称する。
【0012】
また、ボイラ10と蒸気負荷20を連結する蒸気配管11には、ボイラ10で発生した蒸気を貯蔵するための蒸気貯蔵装置(蒸気アキュムレータ30)が備わり、蒸気負荷20には蒸気アキュムレータ30から蒸気が供給される。さらに、蒸気アキュムレータ30と蒸気負荷20の間には、蒸気負荷20の蒸気使用量によって変動する蒸気配管11の蒸気圧力(配管内圧力)を計測する圧力計11bと、配管内圧力を一定値に維持するための制御弁11aが備わっている。
制御弁11aを制御する図示しない制御装置は、圧力計11bが計測する配管内圧力を取得し、配管内圧力が所定の一定値を維持するように制御弁11aの開度を設定して、蒸気アキュムレータ30から蒸気負荷20に供給される蒸気の流量(蒸気流量)を調節する。
【0013】
ボイラ10は、一般的に図2に示すような特性曲線C1で示される効率特性を有し、ボイラ効率が最も高くなるボイラ負荷率(効率最高点P1)で運転されることが好ましい。
しかしながら、前記したように蒸気発生量は蒸気負荷20における蒸気需要量の変動にともなって変動することから、「蒸気発生量/定格蒸気発生量」で算出されるボイラ負荷率も蒸気需要量によって変動する。
このため、ボイラ10が常に効率最高点P1で運転されることは困難である。
また、ボイラ負荷率の低下にともなってボイラ効率も低下するため、ボイラ負荷率、すなわち、蒸気負荷20における蒸気需要量が低い状態で長時間に亘ってボイラ10が運転されることは好ましい状態ではない。
【0014】
そこで、第1の実施形態に係る蒸気使用プラント1には、図1に示すようにプラント制御装置100が備わり、ボイラ効率を低下することなくボイラ10が好適なボイラ負荷率で運転されるように、蒸気使用プラント1を制御する。
第1の実施形態に係るプラント制御装置100は、蒸気需要量予測部109と、運転制御部101とを含んで構成され、蒸気需要量予測部109が予測する蒸気需要量(予測需要量と称する)の時系列変動と、蒸気アキュムレータ30の蒸気貯蔵量と、に基づいて、運転制御部101がボイラ10を制御するように構成される。
【0015】
蒸気需要量予測部109は、例えば、蒸気使用プラント1の過去の運転実績に基づいて予測需要量を予測(算出)する。
この場合、蒸気需要量予測部109は、蒸気使用プラント1の過去の運転での蒸気の需要量を統計データ等から算出し、その平均値を予測需要量として予測することができる。
蒸気需要量予測部109が予測需要量を予測する方法は限定されるものではないが、例えば、前記した方法で、予め設定される蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻まで、図3に例示するような特性曲線である予測需要量曲線C2のように時系列変動する予測需要量を予測する。
【0016】
運転制御部101は、蒸気需要量予測部109が予測する予測需要量の変動に基づいてボイラ10の運転パターン(運転方法)を決定する運転パターン決定部(ボイラ運転方法決定部112)と、ボイラ運転方法決定部112が決定した運転パターンに基づいてボイラ10を運転するボイラ燃焼制御部113と、ボイラ10の運転パターンの決定に必要な情報をユーザ110が入力するためのデータ入力部111と、を含んで構成される。
【0017】
そして、第1の実施形態に係る運転制御部101は、ボイラ10が運転されるときの負荷率(ボイラ負荷率)をユーザ110が任意に設定できる構成であり、ボイラ運転方法決定部112は、ユーザ110が設定するボイラ負荷率に基づいてボイラ10の運転パターンを決定するように構成される。
【0018】
データ入力部111は、例えば、図4の(a)に示すように、モニタ等の出力装置111aと、キーボードやマウス等の入力装置111bと、を備えるパーソナルコンピュータとする。そして、出力装置111aには、ユーザ110(図1参照)がボイラ負荷率を入力するためのデータ入力画面401が表示され、ユーザ110が入力装置111bを操作して、データ入力画面401の所定の場所にボイラ負荷率を示す数値データを入力するように構成される。
【0019】
第1の実施形態において、ユーザ110(図1参照)は、「運転回避負荷率a(負荷率a)」と「アキュムレータ貯蔵時運転負荷率b(負荷率b)」を、ボイラ負荷率として設定可能であり、データ入力画面401は、例えば、図4の(b)に示すように構成される。
運転回避負荷率aは、許容できる最低のボイラ効率でボイラ10(図1参照)を運転するためのボイラ負荷率の下限側許容値(下限負荷率)であり、ボイラ運転方法決定部112(図1参照)は、運転回避負荷率aを下回るボイラ負荷率でボイラ10が運転されることを極力回避するように運転パターンを決定する。
【0020】
また、アキュムレータ貯蔵時運転負荷率bは、蒸気アキュムレータ30(図1参照)に蒸気を貯蔵するときにボイラ10(図1参照)が運転されるボイラ負荷率の設定値(設定負荷率)である。つまり、ボイラ運転方法決定部112(図1参照)は、蒸気アキュムレータ30に蒸気を貯蔵するとき、アキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率としてボイラ10が運転されるように運転パターンを決定する。
【0021】
データ入力画面401は、図4の(b)に示すように主に2つの領域で構成され、ボイラ10の効率特性を示す特性曲線C1を表示するデータ表示領域402と、ユーザ110(図1参照)がデータを入力するデータ入力領域403と、を有する。
データ入力領域403には、ユーザ110が、運転回避負荷率aを数値データとして入力するための第1入力部405と、アキュムレータ貯蔵時運転負荷率bを数値データとして入力するための第2入力部406と、が備わる。
さらに、ユーザ110が、第1入力部405に入力した数値データを運転回避負荷率aとして設定し、第2入力部406に入力した数値データをアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bとして設定するための設定ボタン411が備わる。
【0022】
そして、ユーザ110(図1参照)が、第1入力部405に運転回避負荷率aとする数値データを入力し、第2入力部406にアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bとする数値データを入力した後、設定ボタン411を押下することによって、運転回避負荷率aとアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bが設定されるように構成される。
この構成によって、運転回避負荷率a及びアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bが設定変更可能になる。
【0023】
なお、データ入力画面401が第1入力部405のみを備えて運転回避負荷率aのみ設定変更可能な構成であってもよい。この場合、アキュムレータ貯蔵時運転負荷率bは固定値として予め設定される。
また、データ入力画面401が第2入力部406のみを備えてアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bのみ設定変更可能な構成であってもよい。この場合、運転回避負荷率aは固定値として予め設定される。
【0024】
さらに、データ入力領域403には、設定された運転回避負荷率aをボイラ負荷率としてボイラ10(図1参照)が運転されたときの蒸気発生量(運転回避蒸気発生量)を示す直線La及びアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率としてボイラ10が運転されたときの蒸気発生量(貯蔵時蒸気発生量)を示す直線Lbが、蒸気需要量予測部109が予測した予測需要量の時系列変動を示す予測需要量曲線C2に重ねて表示される。
【0025】
また、データ表示領域402には、前記したようにボイラ10(図1参照)の効率特性を示す特性曲線C1が表示され、さらに、設定された運転回避負荷率aに対応するボイラ効率(運転回避効率409)と、設定されたアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bに対応するボイラ効率(貯蔵運転効率410)も併せて表示される。
なお、運転回避負荷率aに対応する運転回避効率409は、運転回避負荷率aをボイラ負荷率としてボイラ10が運転されたときのボイラ効率であり、アキュムレータ貯蔵時運転負荷率bに対応する貯蔵運転効率410は、アキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率としてボイラ10が運転されたときのボイラ効率である。
【0026】
データ入力画面401はこのように構成され、ユーザ110(図1参照)は、データ入力画面401によって、運転回避負荷率a及びアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bを設定するとともに、運転回避効率409と貯蔵運転効率410を確認できる。
換言すると、ユーザ110は、好適な運転回避効率409となるように運転回避負荷率aを設定でき、さらに、好適な貯蔵運転効率410となるようにアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bを設定できる。
そして、運転回避効率409及び貯蔵運転効率410をグラフィカルに確認することで、容易に運転回避負荷率a及びアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bを設定できる。
【0027】
なお、データ入力画面401のデータ入力領域403に予測需要量曲線C2と重ねて表示される直線La(運転回避蒸気発生量)及び直線Lb(貯蔵時蒸気発生量)をマウス等の入力装置111bでグラフィカルに移動して、運転回避負荷率a及びアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bを設定する構成であってもよい。
又は、データ表示領域402に表示される運転回避負荷率a及びアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをマウス等の入力装置111bでグラフィカルに移動して、運転回避負荷率a及びアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bを設定する構成であってもよい。
【0028】
また、モニタ等の出力装置111aと入力装置111b(キーボード、マウス等)の替わりに、例えばダイヤル式のセレクタスイッチ(図示せず)が備わり、ユーザ110(図1参照)がセレクタスイッチを操作して運転回避負荷率a及びアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bを設定するデータ入力部111であってもよい。
つまり、データ入力部111は、ユーザ110が運転回避負荷率a及びアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bを設定可能な構成であれば、その形態は限定されない。
【0029】
図1に示すボイラ運転方法決定部112は、ユーザ110によって設定された運転回避負荷率a及びアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bと、蒸気需要量予測部109によって予測された蒸気需要量(予測需要量)の変動と、に基づいて、図5に示す手順でボイラ10の運転パターンを決定する。以下にその手順を説明する(適宜図1〜4参照)。
【0030】
ボイラ運転方法決定部112は、例えば、予め設定される蒸気使用プラント1の始動時刻に、運転終了時刻までのボイラ10の運転パターンを決定する手順を開始するように構成される。又は、ユーザ110が運転回避負荷率aとアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bの少なくとも一方を入力してデータ入力画面401の設定ボタン411を押下したときに、その時刻から蒸気使用プラント1の運転終了時刻までのボイラ10の運転パターンを決定する手順を開始するように構成される。
【0031】
また、蒸気需要量予測部109は、ボイラ運転方法決定部112がボイラ10の運転パターンを決定する手順を開始する前に、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までの予測需要量を予測する構成が好ましい。
【0032】
ボイラ運転方法決定部112は、予測需要量が低下して、設定された運転回避負荷率aに対応する運転回避蒸気発生量を下回る時刻(第1基準時刻t1と称する)を決定する。さらに、ボイラ運転方法決定部112は、第1基準時刻t1以降で、予測需要量が上昇し、設定された運転回避負荷率aに対応する運転回避蒸気発生量を再び上回る時刻(第2基準時刻t2と称する)を決定する(ステップS1)。
【0033】
例えば、ボイラ運転方法決定部112は、図6の(a)に示すように、予測需要量曲線C2と直線La(運転回避蒸気発生量)の交点となる時刻を第1基準時刻t1、第2基準時刻t2として決定する。
第1基準時刻t1から第2基準時刻t2の間は、ボイラ10が予測需要量の蒸気を発生するときのボイラ負荷率が、運転回避負荷率aを下回る時間帯であり、以下、低負荷時間Tlowと称する。つまり、ボイラ運転方法決定部112は、低負荷時間Tlowを算出する。
【0034】
低負荷時間Tlowは、予測需要量の蒸気を発生させるボイラ負荷率が低く、予測需要量の蒸気を発生させるボイラ負荷率でボイラ10が運転されるとボイラ効率が悪化する時間帯である。したがって、低負荷時間Tlowでボイラ10が運転される時間は、極力短いほうが好ましい。
【0035】
ボイラ運転方法決定部112はステップS2で、第1基準時刻t1から第2基準時刻t2の間(低負荷時間Tlow)に蒸気負荷20での需要が予測される蒸気量(低負荷時蒸気量と称する)を算出する。
低負荷時蒸気量は、低負荷時間Tlowに亘って予測需要量が積算された積算量に相当する蒸気量であり、図6の(a)における領域A1の面積で示される。
【0036】
そして、ボイラ運転方法決定部112はステップS3で、低負荷時蒸気量と、第1基準時刻t1の時点で蒸気アキュムレータ30に貯蔵されている蒸気量(残存蒸気量と称する)と、を比較する。
なお、第1基準時刻t1での残存蒸気量は、ボイラ運転方法決定部112が、ボイラ10の運転パターンを決定する手順を開始した時点における残存蒸気量、あるいはそれを元にして予測される第1基準時刻t1での残存蒸気量とすることができる。そして、残存蒸気量は蒸気アキュムレータ30に備わる図示しない蒸気量計測装置等によって計測される構成が好ましい。
【0037】
低負荷時蒸気量が第1基準時刻t1における残存蒸気量以下の場合(ステップS3→No)、ボイラ運転方法決定部112は、第1基準時刻t1から第2基準時刻t2までの間(低負荷時間Tlow)はボイラ10の運転が停止され、第1基準時刻t1以前及び第2基準時刻t2以降は、予測需要量の蒸気を発生するボイラ負荷率(負荷率cとする)でボイラ10が運転されるように、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までの運転パターンを決定する(ステップS4)。
【0038】
一方、低負荷時蒸気量が第1基準時刻t1における残存蒸気量より多い場合(ステップS3→Yes)、ボイラ運転方法決定部112は、低負荷時蒸気量が蒸気アキュムレータ30の容量(アキュムレータ容量)を超えているか否かを判定する(ステップS5)。
【0039】
低負荷時蒸気量がアキュムレータ容量以下の場合(ステップS5→No)、ボイラ運転方法決定部112は、第1基準時刻t1以前の特定の時刻(第1特定時刻ta)を決定する(ステップS6)。
この第1特定時刻taは、当該時刻taから第1基準時刻t1まで、ユーザ110が設定したアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率としてボイラ10が運転された場合に蒸気アキュムレータ30に追加貯蔵される蒸気量と、当該時刻taの時点で蒸気アキュムレータ30に貯蔵されている残存蒸気量の合計が、低負荷時蒸気量(図6の(a)における領域A1の面積)と等しくなる時刻である。
【0040】
蒸気アキュムレータ30に追加貯蔵される蒸気量は、アキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率としてボイラ10が運転された場合に発生する貯蔵時蒸気発生量(直線Lb)から予測需要量(予測需要量曲線C2)を減算した蒸気量を、第1特定時刻taから第1基準時刻t1まで積算した積算量(蒸気量)であり、図6の(a)における領域A2の面積で示される。つまり、ボイラ運転方法決定部112は、時刻taから第1基準時刻t1までに蒸気アキュムレータ30に貯蔵される蒸気量の合計が低負荷時蒸気量(図6の(a)における領域A1の面積)と等しくなるように第1特定時刻taを決定する。
【0041】
そして、ボイラ運転方法決定部112は、第1特定時刻taから第1基準時刻t1まではユーザ110が設定したアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率としてボイラ10が運転され、第1基準時刻t1から第2基準時刻t2の間(低負荷時間Tlow)はボイラ10の運転が停止され、さらに、第1特定時刻ta以前及び第2基準時刻t2以降は、予測需要量の蒸気を発生するボイラ負荷率(負荷率c)でボイラ10が運転されるように、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までの運転パターンを決定する(ステップS7)。
【0042】
ボイラ10で発生する蒸気発生量は、図6の(b)に示す特性曲線C3のように時系列変動する。
第1特定時刻taから第1基準時刻t1までの間、つまり、低負荷時間Tlowより前に、ボイラ10はユーザ110が設定したアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率として運転されて蒸気が蒸気アキュムレータ30に追加貯蔵される。その結果、第1基準時刻t1の時点で、蒸気アキュムレータ30には低負荷時蒸気量の蒸気が貯蔵される。
第1基準時刻t1から第2基準時刻t2の間は、ボイラ10の運転が停止されボイラ10で発生する蒸気発生量が「0」になるが、この間は、蒸気アキュムレータ30に貯蔵される蒸気が蒸気負荷20に供給される。そして、第2基準時刻t2でボイラ10の運転が再開されて予測需要量に相当する蒸気発生量の蒸気が発生し、蒸気負荷20に供給される。
【0043】
この構成によると、低負荷時間Tlowにおいて、蒸気アキュムレータ30から蒸気負荷20に蒸気が供給される間はボイラ10の運転が停止され、ボイラ10が運転回避負荷率a以下のボイラ負荷率で低負荷率運転される時間をゼロにすることができる。
【0044】
一方、ステップS5において、低負荷時蒸気量がアキュムレータ容量を超えている場合(ステップS5→Yes)、ボイラ運転方法決定部112は、第1基準時刻t1より以降の特定の時刻(第2特定時刻tb)を決定する(ステップS8)。
この第2特定時刻tbは、第1基準時刻t1から当該時刻tbまでに必要と予測される蒸気量(図7の(a)における領域A3の面積)が、アキュムレータ容量と等しくなる時刻である。
【0045】
さらに、ボイラ運転方法決定部112はステップS9で、第1基準時刻t1以前に特定の時刻(第3特定時刻tc)を決定する。
この第3特定時刻tcは、当該時刻tcから第1基準時刻t1まで、ユーザ110が設定したアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率としてボイラ10が運転された場合に蒸気アキュムレータ30が蒸気で満たされるための時刻である。
【0046】
つまり、第3特定時刻tcは、当該時刻tcから第1基準時刻t1まで、ボイラ10がアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率として運転されたときに発生する蒸気量から予測需要量を減算した蒸気量の積算量(図7の(a)における領域A4の面積で示される蒸気量)が、当該時刻tcの時点における蒸気アキュムレータ30の空き容量に相当する蒸気量となって、第1基準時刻t1の時点で蒸気アキュムレータ30が蒸気で満たされるように決定される時刻である。
【0047】
そして、ボイラ運転方法決定部112は、第3特定時刻tcから第1基準時刻t1まではユーザ110が設定したアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率としてボイラ10が運転され、第1基準時刻t1から第2特定時刻tbまではボイラ10の運転が停止され、さらに、第3特定時刻tc以前及び第2特定時刻tb以降は、予測需要量の蒸気が発生するボイラ負荷率(負荷率c)でボイラ10が運転されるように、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までの運転パターンを決定する(ステップS10)。
【0048】
ボイラ10で発生する蒸気発生量は、図7の(b)に示す特性曲線C4のように時系列変動する。
第3特定時刻tcから第1基準時刻t1まで、つまり、低負荷時間Tlowより前に、ボイラ10はユーザ110が設定したアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率として運転され、第1基準時刻t1までに、第3特定時刻tcの時点における蒸気アキュムレータ30の空き容量に相当する蒸気量が蒸気アキュムレータ30に追加貯蔵される。その結果、第1基準時刻t1において、蒸気アキュムレータ30にはアキュムレータ容量に相当する蒸気量の蒸気が貯蔵される。つまり、蒸気アキュムレータ30が蒸気で満たされる。
【0049】
第1基準時刻t1から第2特定時刻tbの間は、ボイラ10の運転が停止されてボイラ10で発生する蒸気発生量が「0」になるが、この間は、蒸気アキュムレータ30に貯蔵される蒸気が蒸気負荷20に供給される。そして、第2特定時刻tbで蒸気アキュムレータ30に貯蔵される蒸気が全て蒸気負荷20に供給された後、ボイラ10の運転が再開されて予測需要量に相当する蒸気発生量の蒸気が発生する。
【0050】
この構成によると、低負荷時間Tlowにおいて、蒸気アキュムレータ30から蒸気負荷20に蒸気が供給される間はボイラ10の運転が停止され、ボイラ10が運転回避負荷率a以下のボイラ負荷率で運転される時間を第2特定時刻tbから第2基準時刻t2までの時間とすることができる。
したがって、第1基準時刻t1から第2基準時刻t2まで、運転回避負荷率a以下のボイラ負荷率でボイラ10が低負荷率運転される場合に比べて、ボイラ10が低負荷率運転される時間を短縮できる。
【0051】
そして、ボイラ運転方法決定部112が図5に示すステップS1〜ステップS10の手順を実行して決定した運転パターンに基づいて、ボイラ燃焼制御部113がボイラ10を運転する。
【0052】
以上のように、第1の実施形態に係るボイラ10(図1参照)は、低負荷時蒸気量とアキュムレータ容量のうち、少ない側に相当する貯蔵蒸気量の蒸気を、低負荷時間Tlowより前に蒸気アキュムレータ30に貯蔵することによって、ユーザ110(図1参照)が設定した運転回避負荷率a以下のボイラ負荷率で低負荷率運転される時間を短縮、又はゼロにできる。この構成によって、効率の低い低負荷率運転の時間を短縮することができ、ボイラ効率を低下させることなくボイラ10を運転することができる。そして、省エネルギを図ることができる。
また、ボイラ10の運転がON/OFFする回数を例えば1回に減らすことができるためボイラ10のON/OFF運転の頻発による効率低下を軽減でき、このことによってもボイラ効率を低下させることなくボイラ10を運転することができる。そして、省エネルギを図ることができる。
【0053】
なお、第1基準時刻t1以前に第1特定時刻taが決定できない場合、ボイラ運転方法決定部112は、蒸気使用プラント1(図1参照)の始動時刻から、ユーザ110(図1参照)が設定したアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bでボイラ10(図1参照)を運転し、第1基準時刻t1でボイラ10の運転を停止して蒸気アキュムレータ30(図1参照)から蒸気負荷20(図1参照)に蒸気を供給するように運転パターンを決定する。
【0054】
《第2の実施形態》
第2の実施形態に係る蒸気使用プラントは、図1に示す蒸気使用プラント1及びプラント制御装置100と同じ構成とするが、アキュムレータ貯蔵時運転負荷率bが設定されていなくても運用可能であり、図4の(b)に示すデータ入力画面401の構成のうち、ユーザ110がアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bを数値データとして入力する第2入力部406を含まない構成とすることができる。
【0055】
例えば、蒸気需要量予測部109が予測する予測需要量が、蒸気使用プラント1(図1参照)の始動時刻から運転終了時刻まで、図8に示す予測需要量曲線C5のように時系列変動する場合、ボイラ運転方法決定部112は、ユーザ110(図1参照)が設定した運転回避負荷率a以上のボイラ負荷率でボイラ10が運転されるように運転パターンを決定する。
【0056】
第2の実施形態においてボイラ運転方法決定部112は、図9に示す手順にしたがってボイラ10の運転パターンを決定する。以下にその手順を説明する(適宜図1〜4参照)。
【0057】
第1の実施形態と同様、予め設定される蒸気使用プラント1の始動時刻に、運転終了時刻までのボイラ10の運転パターンを決定する手順を開始するように構成される。又は、ユーザ110が運転回避負荷率aを入力してデータ入力画面401の設定ボタン411を押下したときに、その時刻から蒸気使用プラント1の運転終了時刻までのボイラ10の運転パターンを決定する手順を開始するように構成される。
【0058】
また、第1の実施形態と同様に、蒸気需要量予測部109は、ボイラ運転方法決定部112がボイラ10の運転パターンを決定する手順を開始する前に、予測需要量を予測する構成が好ましい。
【0059】
ボイラ運転方法決定部112は、予測需要量が低下して、設定された運転回避負荷率aに対応する運転回避蒸気発生量を下回る第1基準時刻t1と、第1基準時刻t1以降で、予測需要量が上昇して運転回避蒸気発生量を再び上回る第2基準時刻t2を決定する(ステップS20)。つまり、ボイラ運転方法決定部112は、低負荷時間Tlowを算出する。
【0060】
さらに、ボイラ運転方法決定部112は、第1基準時刻t1から第2基準時刻t2までの間、すなわち、低負荷時間Tlowに、設定された運転回避負荷率aをボイラ負荷率としてボイラ10を運転した場合に蒸気アキュムレータ30に貯蔵される蒸気量(余剰蒸気量と称する)を算出する(ステップS21)。この余剰蒸気量は、予測需要量に対して余剰な蒸気量であって、運転回避蒸気発生量(直線La)から予測需要量(予測需要量曲線C5)を減算した蒸気量を第1基準時刻t1から第2基準時刻t2まで、つまり、低負荷時間Tlowに亘って積算した積算量(蒸気量)であり、図10の(a)における領域A5の面積で示される。
【0061】
ボイラ運転方法決定部112はステップS22で、第2基準時刻t2における残存蒸気量と余剰蒸気量の合計(合計蒸気量と称する)と、アキュムレータ容量を比較する。
そして、合計蒸気量がアキュムレータ容量以下の場合(ステップS22→No)、ボイラ運転方法決定部112は、第2基準時刻t2以降、つまり、低負荷時間Tlowより後で、予測需要量が最大となる点(ピーク点Pk)の前後における特定の時間(第4特定時刻td、第5特定時刻te)を決定する(ステップS23)。
【0062】
ボイラ運転方法決定部112は、第4特定時刻td及び第5特定時刻teを以下のように決定する。
第4特定時刻tdにおける予測需要量が「St1」の場合、第5特定時刻teは、ピーク点Pkを過ぎた後で予測需要量が再度「St1」になる時刻とする。
さらに、第4特定時刻tdから第5特定時刻teまでボイラ10が蒸気量「St1」の蒸気を発生した場合に、予測需要量に不足する蒸気量を算出する。
【0063】
予測需要量に不足する蒸気は蒸気アキュムレータ30に貯蔵される蒸気が供給されることになり、予測需要量に不足する蒸気量は、蒸気アキュムレータ30から消費される蒸気量になる。このように、第4特定時刻tdから第5特定時刻teまでに蒸気アキュムレータ30から消費される蒸気量(ピーク時貯蔵蒸気消費量と称する)は、予測需要量から蒸気量「St1」を減算した差を第4特定時刻tdから第5特定時刻teまで積算した積算量(蒸気量)であり、図10の(a)における領域A6の面積として示される。
【0064】
さらに、ボイラ運転方法決定部112は、ピーク時貯蔵蒸気消費量が、前記した合計蒸気量と等しくなるように蒸気量「St1」を設定する。換言すると、ボイラ運転方法決定部112は、図10の(a)における領域A6の面積が合計蒸気量と等しくなるように、蒸気量「St1」を決定し、さらに、第4特定時刻td及び第5特定時刻teを決定する。
【0065】
そして、ボイラ運転方法決定部112は、第1基準時刻t1から第2基準時刻t2の間(低負荷時間Tlow)は、ユーザ110が設定した運転回避負荷率aをボイラ負荷率としてボイラ10が運転され、第2基準時刻t2から第4特定時刻tdまでは予測需要量の蒸気を発生するボイラ負荷率(負荷率c)でボイラ10が運転され、第4特定時刻tdから第5特定時刻teまでは「St1」の蒸気量を発生するボイラ負荷率(負荷率dとする)でボイラ10が運転され、さらに、第1基準時刻t1以前及び第5特定時刻te以降は、予測需要量の蒸気が発生するボイラ負荷率(負荷率c)でボイラ10が運転されるように、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までの運転パターンを決定する(ステップS24)。
【0066】
ボイラ10で発生する蒸気発生量は、図10の(b)に示す特性曲線C6のように時系列変動する。第1基準時刻t1から第2基準時刻t2の間、余剰蒸気量の蒸気が蒸気アキュムレータ30に貯蔵され、第2基準時刻t2において、蒸気アキュムレータ30には前記した合計蒸気量の蒸気が貯蔵される。
そして、低負荷時間Tlowより後に決定される第4特定時刻tdから第5特定時刻teの間は、ボイラ10が予測需要量より少ない蒸気量「St1」の蒸気が発生するボイラ負荷率(負荷率d)で運転され、合計蒸気量の蒸気が蒸気アキュムレータ30から消費される。
つまり、第4特定時刻tdから第5特定時刻teの間は、蒸気アキュムレータ30に貯蔵される蒸気が蒸気負荷20に供給され、さらに、ボイラ10が予測需要量より少なく蒸気が発生するボイラ負荷率(負荷率d)で運転される。
【0067】
このように、第1基準時刻t1から第2基準時刻t2の間にユーザ110が設定する運転回避負荷率aをボイラ負荷率としてボイラ10が運転されることによって、ボイラ10が効率の低い低負荷率運転される低負荷率運転時間をゼロにすることができる。
【0068】
また、第4特定時刻tdから第5特定時刻teの間に、予測需要量が最大になるピーク点Pkが存在することから、予測需要量が最大になるときに、予測需要量より少なく蒸気が発生するボイラ負荷率(負荷率d)でボイラ10が運転される。
【0069】
一方、ステップS22において、合計蒸気量がアキュムレータ容量を超えている場合(ステップS22→Yes)、ボイラ運転方法決定部112は、第1基準時刻t1以降に、特定の時刻(第6特定時刻tf)を決定する(ステップS25)。
この第6特定時刻tfは、第1基準時刻t1から当該時刻tfまで運転回避負荷率aをボイラ負荷率としてボイラ10が運転されたときに、アキュムレータ容量と等しい蒸気量の蒸気が蒸気アキュムレータ30に貯蔵される時刻である。
【0070】
つまり、ボイラ運転方法決定部112は、第1基準時刻t1から第6特定時刻tfまで運転回避負荷率aをボイラ負荷率としてボイラ10が運転されたときに、第1基準時刻t1の時点における蒸気アキュムレータ30の空き容量に相当する蒸気量の蒸気が蒸気アキュムレータ30に貯蔵されるように第6特定時刻tfを設定する。
この構成によって、第1基準時刻t1から第6特定時刻tfまで、運転回避負荷率aをボイラ負荷率としてボイラ10が運転されたとき、蒸気アキュムレータ30にはアキュムレータ容量に相当する蒸気量の蒸気が貯蔵され、第6特定時刻tfの時点で蒸気アキュムレータ30が蒸気で満たされる。
【0071】
さらにボイラ運転方法決定部112は、第2基準時刻t2以降、つまり、低負荷時間Tlowより後で、予測需要量が最大になる点(ピーク点Pk)の前後における特定の時間(第7特定時刻tg、第8特定時刻th)を決定する(ステップS26)。
ボイラ運転方法決定部112は、第7特定時刻tg、第8特定時刻thを以下のように決定する。
例えば、図11の(a)に示すように、第7特定時刻tgにおける予測需要量が「St2」の場合、第8特定時刻thは、ピーク点Pkを過ぎた後で予測需要量が再度「St2」になる時刻とする。
【0072】
さらに、第7特定時刻tgから第8特定時刻thまでボイラ10が蒸気量「St2」の蒸気を発生した場合に、予測需要量に不足する蒸気量を算出する。
前記したように、予測需要量に不足する蒸気量は、蒸気アキュムレータ30から消費される蒸気量(ピーク時貯蔵蒸気消費量)と等しくなる。
予測需要量に不足する蒸気量、つまり、ピーク時貯蔵蒸気消費量は、予測需要量から蒸気量「St2」を減算した差を第7特定時刻tgから第8特定時刻thまで積算した積算量(蒸気量)であり、図11の(a)における領域A7の面積として示される。
【0073】
そして、ボイラ運転方法決定部112は、ピーク時貯蔵蒸気消費量がアキュムレータ容量に相当する蒸気量と等しくなるように蒸気量「St2」を設定し、さらに、第7特定時刻tg及び第8特定時刻thを決定する。換言すると、ボイラ運転方法決定部112は、図11の(a)における領域A7の面積がアキュムレータ容量と等しくなるように、蒸気量「St2」を決定し、第7特定時刻tg及び第8特定時刻thを決定する。
【0074】
ボイラ運転方法決定部112は、第1基準時刻t1から第6特定時刻tfまではユーザ110が設定した運転回避負荷率aをボイラ負荷率としてボイラ10が運転され、第6特定時刻tfから第7特定時刻tgまでは予測需要量の蒸気を発生するボイラ負荷率(負荷率c)でボイラ10が運転され、第7特定時刻tgから第8特定時刻thまでは「St2」の蒸気量を発生するボイラ負荷率(負荷率eとする)でボイラ10が運転され、さらに、第1基準時刻t1以前及び第8特定時刻th以降は、予測需要量の蒸気が発生するボイラ負荷率(負荷率c)でボイラ10が運転されるように、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までの運転パターンを決定する(ステップS27)。
【0075】
ボイラ10で発生する蒸気発生量は、図11の(b)に示す特性曲線C7のように時系列変動する。第1基準時刻t1から第6特定時刻tfの間、余剰蒸気量の蒸気が蒸気アキュムレータ30に貯蔵され、第6特定時刻tfにおいて、蒸気アキュムレータ30にはアキュムレータ容量に相当する蒸気量の蒸気が貯蔵される。つまり、第6特定時刻tfにおいて、蒸気アキュムレータ30は蒸気で満たされる。
そして、低負荷時間Tlowより後に決定される第7特定時刻tgから第8特定時刻thの間は、アキュムレータ容量に相当する蒸気量の蒸気がピーク時貯蔵蒸気消費量として蒸気アキュムレータ30から消費される。
【0076】
したがって、第7特定時刻tgから第8特定時刻thの間は、予測需要量を下回る蒸気量「St2」の蒸気が発生するボイラ負荷率(負荷率e)でボイラ10が運転されてアキュムレータ容量に等しい蒸気量の蒸気が蒸気アキュムレータ30から消費される。
つまり、第7特定時刻tgから第8特定時刻thの間は、蒸気アキュムレータ30に貯蔵される蒸気が蒸気負荷20に供給され、さらに、ボイラ10が予測需要量より少なく蒸気が発生するボイラ負荷率(負荷率e)で運転される。
【0077】
また、低負荷時間Tlowにおいて運転回避負荷率aより低いボイラ負荷率でボイラ10が低負荷率運転される時間を、第6特定時刻tfから第2基準時刻t2までの時間とすることができ、第1基準時刻t1から第2基準時刻t2まで、運転回避負荷率a以下のボイラ負荷率でボイラ10が低負荷率運転される場合に比べて、低負荷率運転される時間を短縮できる。
【0078】
また、第7特定時刻tgから第8特定時刻thの間に、予測需要量が最大になるピーク点Pkが存在することから、予測需要量が最大になるときに、予測需要量より少なく蒸気が発生するボイラ負荷率(負荷率e)でボイラ10が運転される。
【0079】
そして、ボイラ運転方法決定部112が図9に示すステップS20〜ステップS27の手順を実行して決定した運転パターンに基づいて、ボイラ燃焼制御部113がボイラ10を運転する。
【0080】
以上のように、第2の実施形態に係るボイラ10(図1参照)は、運転を停止(OFF)することなく連続運転することによって、運転のON/OFFに伴う効率の低下を回避でき、ボイラ効率を低下させることなくボイラ10を運転できる。
また、低負荷時間Tlowにおいて、運転回避負荷率aより低いボイラ負荷率でボイラ10が低負荷率運転される時間をゼロにすること、又は、短縮することができる。この構成によって、ボイラ10の低負荷率運転による効率低下を軽減でき、ボイラ効率を低下させることなくボイラ10を運転できる。そして、省エネルギを図ることができる。
【0081】
《第3の実施形態》
第3の実施形態に係る蒸気使用プラントは、図1に示す蒸気使用プラント1及びプラント制御装置100とほぼ同じ構成とするが、図12に示すように、ボイラ運転方法決定部112に燃料使用量評価部101aが備わる構成が異なっている。
【0082】
例えば、第1の実施形態に係るボイラ運転方法決定部112は、図6の(b)に示すように、第1基準時刻t1から第2基準時刻t2まではボイラ10の運転が停止(OFF)されるようにボイラ10の運転パターンを決定する。
又は、図7の(b)に示すように、第1基準時刻t1から第2特定時刻tbまではボイラ10の運転が停止(OFF)されるようにボイラ10の運転パターンを決定する。
この構成では、低負荷時間Tlowでボイラ10の運転を停止し、ボイラ10が低負荷率運転される時間を短縮して(ゼロにして)省エネルギを図っている。
【0083】
一方、第2の実施形態に係るボイラ運転方法決定部112は、図10の(b)、図11の(b)に示すように、ユーザ110(図1参照)が設定する運転回避負荷率aより低いボイラ負荷率でボイラ10が運転されることを極力回避するように運転パターンを決定する。
この構成では、低負荷時間Tlowにおいて、ユーザ110(図1参照)が設定した運転回避負荷率aより低いボイラ負荷率でボイラ10が運転される時間をゼロ、又は短くすることで、ボイラ10が低負荷率運転される時間を短縮して(ゼロにして)省エネルギを図っている。
【0084】
そこで、第3の実施形態に係るプラント制御装置100は、低負荷時間Tlowでボイラ10の運転を停止して省エネルギを図るという第1の実施形態に係る運転パターン(第1運転パターン)による運転と、低負荷時間Tlowにおいて、設定される運転回避負荷率aより低いボイラ負荷率でボイラ10が運転される時間をゼロ又は短くして省エネルギを図るという第2の実施形態に係る運転パターン(第2運転パターン)による運転と、の省エネルギの効果を、燃料使用量評価部101aが備わるボイラ運転方法決定部112で評価して省エネルギの効果の高い一方を運転パターンとして決定し、決定された運転パターンに基づいてボイラ10が運転される構成とする。
【0085】
そのため、第3の実施形態に係るボイラ運転方法決定部112は、図5に示す手順を実行して、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までのボイラ10の運転パターン(第1運転パターン)を決定する。さらに、図9に示す手順を実行して、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までのボイラ10の運転パターン(第2運転パターン)を決定する。
そして、第1運転パターン及び第2運転パターンを燃料使用量評価部101aに入力する。燃料使用量評価部101aは、ボイラ10が第1運転パターンにしたがって運転された場合の燃料消費量(第1燃料消費量)と、ボイラ10が第2運転パターンにしたがって運転された場合の燃料消費量(第2燃料消費量)を算出し、第1運転パターンと第2運転パターンのうち、少ない燃料消費量でボイラ10が運転される一方を選択してボイラ運転方法決定部112に入力する。
【0086】
なお、ボイラ10の燃料消費量「Fuse」は、次式(1)で算出可能である。
Fuse=100×(STuse)×(h’’−h’)/(η×H)・・・(1)
式(1)における「h’’」はボイラ発生蒸気の比エンタルピ、「h’」はボイラ給水の比エンタルピ、「H」は低位発熱量を示し、それぞれボイラ10固有の定数である。
また、「STuse」はボイラ10で発生する蒸気発生量を示し、「η」はボイラ10のボイラ効率を示す。
【0087】
例えば、図12に示す燃料使用量評価部101aは、第1運転パターンにしたがってボイラ10が運転されるときに発生する蒸気発生量の時系列変動を特性曲線C3(図6の(b)参照)又は特性曲線C4(図7の(b)参照)から取得し、さらに、取得した蒸気発生量の時系列変動からボイラ負荷率の時系列変動を算出する。さらに、特性曲線C1(図2参照)を参照してボイラ負荷率の時系列変動に応じたボイラ効率「η」の時系列変動を取得する。
【0088】
そして、燃料使用量評価部101aは、第1運転パターンにしたがってボイラ10が運転されている任意の時刻に発生する蒸気発生量を「STuse」とし、この蒸気発生量「STuse」と当該時刻のボイラ効率「η」を式(1)に代入して、当該時刻における燃料消費量「Fuse」を算出する。
【0089】
さらに、燃料使用量評価部101aは、任意の時刻における燃料消費量「Fuse」を、第1運転パターンにしたがってボイラ10が運転される蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻まで積算することによって、ボイラ10が第1運転パターンにしたがって蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻まで運転されたときの燃料消費量(第1燃料消費量「Fuse1」)を算出する。
【0090】
同様にして、燃料使用量評価部101aは、ボイラ10が第2運転パターンにしたがって蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻まで運転されたときの燃料消費量(第2燃料消費量「Fuse2」)を算出する。
そして、燃料使用量評価部101aは、第1燃料消費量「Fuse1」と第2燃料消費量「Fuse2」に基づいて、第1運転パターンと第2運転パターンの一方を選択する。
【0091】
具体的に、燃料使用量評価部101aは、第1燃料消費量「Fuse1」と第2燃料消費量「Fuse2」を比較し、第1燃料消費量「Fuse1」が第2燃料消費量「Fuse2」より小さい場合(Fuse1<Fuse2)、第1運転パターンを選択してボイラ運転方法決定部112に入力する。一方、第2燃料消費量「Fuse2」が第1燃料消費量「Fuse1」より小さい場合(Fuse2<Fuse1)は、第2運転パターンを選択してボイラ運転方法決定部112に入力する。
なお、第1燃料消費量「Fuse1」と第2燃料消費量「Fuse2」が等しい場合(Fuse1=Fuse2)、燃料使用量評価部101aは、第1運転パターンと第2運転パターンの任意の一方を選択する構成とすればよい。
【0092】
ボイラ運転方法決定部112は、燃料使用量評価部101aから入力される第1運転パターンと第2運転パターンの一方をボイラ10の運転パターンとして決定する。
そして、ボイラ運転方法決定部112が決定した運転パターンに基づいて、ボイラ燃焼制御部113がボイラ10を運転する。
【0093】
この構成によると、ボイラ運転方法決定部112は、第1運転パターンと第2運転パターンのうちの燃料消費量の少ない一方をボイラ10の運転パターンに決定することができ、ボイラ10における燃料消費量を効果的に減らすことができる。このことによって、蒸気使用プラント1の省エネルギの効果を向上できる。
【0094】
《第4の実施形態》
本発明の第4の実施形態に係る蒸気使用プラントは、図1に示す蒸気使用プラント1及びプラント制御装置100とほぼ同じ構成であるが、図13に示すように、蒸気需要量予測部109に替わってプラント運転制御部190が備わる。
プラント運転制御部190は、例えば、予め決定される蒸気使用プラント1の稼動計画に基づいて蒸気負荷20における蒸気需要量の時系列変動を含んだ用役需要パターンを作成し、さらに、ボイラ運転方法決定部112は、プラント運転制御部190が作成する用役需要パターンに含まれる蒸気需要量の時系列変動に基づいて、ボイラ10の最適な運転方法(運転パターン)を決定する。
【0095】
そのため、プラント運転制御部190には、経営資源計画立案システム(以下、ERPシステム191)と、製造実行及び分散制御システム(以下、MES・DCSシステム192)と、が接続される。
ERPシステム191はスケジューラを有し、蒸気使用プラント1の時系列に沿った稼動計画を備えている。
また、MES・DCSシステム192は、蒸気使用プラント1における製造処方を有する。ここでいう製造処方は、例えば蒸気使用プラント1で製品を製造する場合は、その製造工程を示す情報である。
【0096】
プラント運転制御部190には、用役需要量演算モジュール190aと、用役需要量補正モジュール190bと、最適運転制御モジュール190cと、が備わっている。
用役需要量演算モジュール190aは、ERPシステム191から稼動計画を取得するとともに、MES・DCSシステム192から製造処方を取得し、稼動計画及び製造処方に基づいて、蒸気使用プラント1で使用する用役(例えば、温水、冷水、エア、電気、蒸気など)の必要用役量の時系列変動を予測し、予測した用役量の時系列変動を示す用役需要パターンを作成する。
【0097】
用役需要量補正モジュール190bは、蒸気使用プラント1の実際の運転時における環境状態量を取得し、取得した環境状態量に基づいて、用役需要量演算モジュール190aが作成する用役需要パターンを補正する。
ここでいう環境状態量は、例えば、蒸気使用プラント1が設置される環境の温度、湿度、気圧等を含んだ状態量であり、用役需要量補正モジュール190bは、温度、湿度、気圧等に基づいて、蒸気使用プラント1で使用する用役量を蒸気使用プラント1の実際の運転時の環境状態量に基づいて補正する。
【0098】
最適運転制御モジュール190cは、用役需要量補正モジュール190bによって補正された用役需要パターンを利用して、蒸気使用プラント1に備わる複数の付属設備(生産装置等)に対して負荷を分散するように最適化する機能と、複数の付属設備が作動するときの時定数を考慮した運転計画を決定する機能と、を有する。
【0099】
第4の実施形態に係る運転制御部101は、用役需要量演算モジュール190aが作成して用役需要量補正モジュール190bが補正する用役需要パターンに含まれる蒸気量の時系列変動を、蒸気量の予測需要量として取得し、例えば第1の実施形態に係る運転制御部101と同様に、ボイラ10の運転パターンを決定する。
又は、第2の実施形態に係る運転制御部101と同様に、用役需要量演算モジュール190が作成して用役需要量補正モジュール190bが補正する用役需要パターンに含まれる蒸気量の時系列変動を、蒸気量の予測需要量としてボイラ10の運転パターンを決定してもよい。
【0100】
また、第3の実施形態に係る運転制御部101と同様に、用役需要量演算モジュール190aが作成して用役需要量補正モジュール190bが補正する用役需要パターンに含まれる蒸気量の時系列変動を、蒸気量の予測需要量として第1運転パターン及び第2運転パターンを決定し、さらに、第1運転パターンと第2運転パターンのうちの省エネルギの効果の高い一方を運転パターンに決定する構成としてもよい。
【0101】
そして、ボイラ運転方法決定部112が決定した運転パターンに基づいて、ボイラ燃焼制御部113がボイラ10を運転する。
【0102】
第4の実施形態に係る蒸気使用プラント1は、蒸気需要量予測部109(図1参照)が予測する予測需要量の代わりに、プラント運転制御部190の用役需要量演算モジュール190aが作成して用役需要量補正モジュール190bが補正する用役需要パターンに含まれる蒸気量の時系列変動を利用する点以外は、第1〜3の実施形態に係る蒸気使用プラント1(図1参照)の構成と同一であり、第1〜3の実施形態に係る蒸気使用プラント1と同様に、ボイラ効率を低下することなくボイラ10を運転できるという効果を奏する。
【0103】
《第5の実施形態》
本発明の第5の実施形態は、図14に示すように複数のボイラ10(図14には2台の第1ボイラ10a、第2ボイラ10bを図示)を備え、効率低下を軽減するように複数のボイラ10が運転される蒸気使用プラント1とする。
なお、第1ボイラ10a、第2ボイラ10bのボイラ効率は、例えば、図15に示すように示される。
【0104】
第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bの定格蒸気発生量を等しく「STstd」とし、蒸気負荷20における蒸気需要量が「STuse」の場合、従来は、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bはともに「STuse/2」の蒸気発生量となるように運転される。
例えば、図16に示すように、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bの定格蒸気発生量が「100[kg/h]」、蒸気負荷20の蒸気需要量が「120[kg/h]の場合、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bが、ともに「60(=120/2)[kg/h]」の蒸気発生量となるボイラ負荷率で1時間(60分)運転される状態(特性線L1)とする。
【0105】
このとき、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bの1台あたりの燃料消費量「Fuse」は、前記した式(1)を利用した次式(2)で示される。
Fuse=100×(STuse/2)×(h’’−h’)/(η×H)・・・(2)
【0106】
図16に特性線L1で示されるように、蒸気負荷20の蒸気需要量が「120[kg/h]」で、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bがともに「60[kg/h]」の蒸気発生量で運転される場合、ボイラ負荷率はともに「60%」であり、図15から読み取れる第1ボイラ10aのボイラ効率ηは「60%」、第2ボイラ10bのボイラ効率ηは「85%」である。
したがって、特性線L1で示されるように運転される第1ボイラ10aと第2ボイラ10bにおける燃料消費量Fuseは、次式(3)で示される。
Fuse=100×(60/60+60/85)×K
=1.71×K ・・・(3)
但し、「K」は、定数となる「(h’’−h’)/H」を示す。
【0107】
一方、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bを、ボイラ負荷率が「100%」になるように運転することもできる。この場合、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bはともに、定格蒸気発生量「STstd」の蒸気が発生する。
例えば、前記したように、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bの定格蒸気発生量が「100[kg/h]」、蒸気負荷20の蒸気需要量が「120[kg/h]の場合、ボイラ負荷率が「100%」になるように第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bを運転して、それぞれ定格蒸気発生量(100[kg/h])の蒸気を発生させる。
そして、図16の特性線L2に示すように、2台のボイラ10で「200[kg/h]」の蒸気量を発生させる。
【0108】
蒸気負荷20(図14参照)の蒸気需要量は「120[kg/h]」であることから、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bの運転中は、「80(=200−120)[kg/h]」の蒸気量が蒸気負荷20に供給されない。
そこで、蒸気負荷20に供給されない蒸気を蒸気アキュムレータ30(図14参照)に貯蔵する構成とする。
【0109】
さらに、ボイラ運転方法決定部112(図14参照)は、第1ボイラ10a(図14参照)及び第2ボイラ10b(図14参照)の運転時間(ボイラ運転時間)を決定する。
ボイラ運転方法決定部112が決定するボイラ運転時間「Trun」を、図16に基づいて説明する。
【0110】
第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bが、ともに100%のボイラ負荷率でボイラ運転時間「Trun」だけ運転された場合(特性線L2)、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bから領域A10の面積に相当する蒸気量が蒸気負荷20に供給され、領域A11の面積に相当する蒸気量が蒸気アキュムレータ30(図14参照)に貯蔵される。
また、ボイラ運転時間「Trun」の経過後60分までに、蒸気負荷20(図14参照)には、領域A12の面積に相当する蒸気量が供給される必要がある。
そこで、領域A11の面積が領域A12の面積に等しくなるようにボイラ運転時間が決定されれば、ボイラ運転時間「Trun」の経過後60分まで、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bの運転を停止しても、蒸気負荷20には蒸気アキュムレータ30から蒸気が供給される。
【0111】
前記したように、第1ボイラ10a(図14参照)及び第2ボイラ10b(図14参照)の定格蒸気発生量が「100[kg/h]」、蒸気負荷20(図14参照)の蒸気需要量が「120[kg/h]」の場合、ボイラ運転時間「Trun」を40分とすれば、60分間に亘って蒸気負荷20に蒸気を過不足なく供給できる。
【0112】
第1ボイラ10a(図14参照)及び第2ボイラ10b(図14参照)を、100%のボイラ負荷率で40分間運転した場合、蒸気の発生量はともに「100[kg/h]」であり、図15から読み取れる第1ボイラ10aのボイラ効率ηは「85%」、第2ボイラ10bのボイラ効率ηは「90%」である。
したがって、第1ボイラ10aと第2ボイラ10bの運転における燃料消費量Fuseは、次式(4)で示される。
Fuse=100×(100/85+100/90)×K×(40/60)
=1.53×K ・・・(4)
なお、式(4)における係数「40/60」は、60分のうち40分だけ運転することを示す係数である。
【0113】
式(3)、(4)を比較すると、式(4)で示される燃料消費量(Fuse=1.53×K[kg/h])が、式(3)で示される燃料消費量(Fuse=1.71×K[kg/h])より小さい。
このことから、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bを、ボイラ負荷率100%で40分間運転したほうが、ボイラ負荷率60%で60分間運転するより燃料消費量が少なくなり、省エネルギの効果が大きいことがわかる。
【0114】
このように、例えば2台のボイラ10(第1ボイラ10a、第2ボイラ10b)を備える蒸気使用プラント1の場合、ボイラ効率を低下させることなく、かつ、燃料消費量が少なくなるように第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bが運転される構成とすることができる。そして、燃料消費量が少なくなることから、蒸気使用プラント1の省エネルギを図ることができる。
【0115】
図14に示すように2台のボイラ10(第1ボイラ10a、第2ボイラ10b)が備わる蒸気使用プラント1において、ボイラ運転方法決定部112は、蒸気需要量予測部109が予測する予測需要量に基づいて、前記した式(2)を利用して燃料消費量を評価でき、燃料消費量の少ない運転パターンを決定できる。
【0116】
例えば、ボイラ運転方法決定部112は、蒸気需要量予測部109が予測する予測需要量の、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までの総量(総需要量)を算出する。そして、総需要量の単位時間当たりの平均値(平均需要量)を算出して、式(2)における蒸気需要量「STuse」とする。さらに、平均需要量をボイラ10の台数(2台の場合は「2」)で除して1台当たりの平均需要量を算出し、算出した1台当たりの平均需要量を各ボイラ10の蒸気発生量として各ボイラ10のボイラ効率「η」を算出する。
【0117】
ボイラ運転方法決定部112は、このように算出する蒸気需要量「STuse」とボイラ効率「η」を式(2)に代入し、さらに、式(3)に示すように第1ボイラ10aの燃料消費量と第2ボイラ10bの燃料消費量を合計して、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻まで連続して第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bを運転したときの総燃料消費量を算出する。そして、このように第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bを運転する運転パターン(図16の特性線L1に相当)をAパターンとする。
【0118】
一方、ボイラ運転方法決定部112は、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bが定格蒸気発生量「STstd」を発生するように運転した場合のボイラ運転時間「Trun」を算出する。このときのボイラ運転時間は、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bが定格蒸気発生量「STstd」の蒸気を発生するように運転したときに、前記した総需要量の蒸気を発生するのに必要な時間とする。
さらに、ボイラ運転方法決定部112は、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bの定格蒸気発生量のときのボイラ効率「η」を算出する。
【0119】
そして、第1ボイラ10aの定格蒸気発生量と第2ボイラ10bの定格蒸気発生量、それぞれのボイラ10のボイラ効率「η」、ボイラ運転時間の係数から式(4)を利用して、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻の間にボイラ運転時間「Trun」に亘って第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bを運転したときの総燃料消費量を算出する。このように第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bを運転する運転パターン(図16の特性線L2に相当)をBパターンとする。
なお、ボイラ運転時間の係数は、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までの時間に対するボイラ運転時間「Trun」の比とすればよい。
【0120】
そして、ボイラ運転方法決定部112は、AパターンとBパターンのうち、総燃料消費量の少ない一方を運転パターンとして決定する。
【0121】
このようにボイラ運転方法決定部112が決定した運転パターンに基づいて、ボイラ燃焼制御部113が第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bを運転すれば、複数のボイラ10が備わる蒸気使用プラント1の省エネルギを図ることができる。
【0122】
なお、図16には一例として60分間の運転パターンを示したが、60分を、蒸気使用プラント1(図14参照)の始動時刻から運転終了時刻までの時間に置き換えることによって蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までの運転パターンとすることができる。
【0123】
また、3台以上のボイラ10(図14参照)が備わる場合、ボイラ負荷率とボイラ効率に基づいて算出される各ボイラ10ごとの燃料消費量を合計することによって、蒸気使用プラント1(図14参照)の燃料消費量を評価することができる。そして、ボイラ運転方法決定部112(図14参照)は、燃料消費量が最も少なくなるように、ボイラ10の運転パターンを決定すればよい。
【符号の説明】
【0124】
1 蒸気使用プラント
10 ボイラ(蒸気発生装置)
20 蒸気負荷
30 蒸気アキュムレータ(蒸気貯蔵装置)
100 プラント制御装置
109 蒸気需要量予測部
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気貯蔵装置を備える蒸気使用プラントに備わるプラント制御装置及び蒸気使用プラントの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気を利用する蒸気使用プラントに備わって蒸気を発生する蒸気発生装置(例えば、ボイラ)の効率は、「蒸気発生量/定格蒸気発生量」で算出される負荷率によって変動する。このような蒸気発生装置は、負荷率が所定の下限値(例えば、20%)以下となるような低負荷率運転すると効率が低下するため、低負荷率運転が回避されることが好ましい。
そこで、低負荷率運転を回避するために、負荷率が下限値以下となったときに間欠運転をする構成も考えられるが、このような間欠運転は、排気ガス熱損失や放熱熱損失が増えて効率が低下する。また、通常のON/OFF運転が頻繁に繰り返されるような場合も効率が低下する。
【0003】
蒸気発生装置の蒸気発生量は、蒸気の供給対象(蒸気負荷)における蒸気の需要量に自動的に追従するため、蒸気負荷における蒸気の需要量の変動にともなって蒸気発生量が変動し、負荷率も変動する。
そこで、例えば、蒸気貯蔵装置(蒸気アキュムレータ)を備え、蒸気負荷の変動に応じて変動する蒸気発生量を蒸気アキュムレータから供給される蒸気量で調節することで、蒸気発生量の変動を吸収する蒸気発生装置も知られている。
しかしながら、このような蒸気発生装置であっても、汎用的な「保圧弁型制御システム」や「流量平均化システム」では、蒸気負荷の変動のピークを削る、蒸気負荷の変動を平滑化する、という効果しか得ることができず、負荷率が低い場合の効率を向上させるための根本的な解決とはなっていない。
【0004】
そこで、蒸気発生装置の効率を向上させる技術として、例えば、特許文献1や特許文献2に開示される技術が知られている。
特許文献1に開示される技術によると、蒸気負荷が増加したときにはアキュムレータから放出される蒸気をタービンの中間段落に導入してタービン出力を増加させることによって、効率の低下を抑えることができる。
また、特許文献2に開示される技術によると、ボイラ制御装置に、負荷を制御する負荷制御装置からの信号を入力し、この信号に基づいた最適な燃焼をすることによって、効率の低下を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−296005号公報
【特許文献2】特開平8−135904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、蒸気発生装置(ボイラ)の運転目標である一定蒸気流量よりも蒸気負荷に供給される蒸気量(蒸気需要量)が下回る時間が長く継続すると、アキュムレータの蒸気貯蔵量が限界貯蔵量を超えるためボイラを運転停止することになり、結果的にボイラの運転及び運転停止(ON/OFF運転)が頻発して効率が低下するという問題がある。
また、特許文献2に開示される技術では、蒸気発生装置(ボイラ)の一時的な運転停止を回避するため、アキュムレータに蒸気を貯蔵する時間に応じてアキュムレータに貯蔵される蒸気を少しづつ放出するため、負荷率の低い運転(低負荷率運転)が長時間に亘って継続され、蒸気発生装置の効率が低下する虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、蒸気負荷における蒸気の需要量が変動しても、効率を低下させることなく、蒸気使用プラントの蒸気発生装置を運転できるプラント制御装置及び蒸気使用プラントの制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、蒸気発生装置と、前記蒸気発生装置で発生した蒸気を貯蔵する蒸気貯蔵装置と、前記蒸気貯蔵装置に貯蔵される蒸気が供給される蒸気負荷と、を含んで構成される蒸気使用プラントに備わり、前記蒸気負荷における蒸気の予測需要量を予測するとともに前記予測需要量に基づいて前記蒸気発生装置の運転パターンを決定し、前記運転パターンに基づいて前記蒸気発生装置を運転するプラント制御装置とする。そして、前記予測需要量の蒸気が発生する前記蒸気発生装置の負荷率が、予め設定される下限負荷率より低くなる時間帯での前記蒸気発生装置の運転時間が短くなるように、前記運転パターンを決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、蒸気負荷における蒸気の需要量が変動しても、効率を低下させることなく、蒸気使用プラントの蒸気発生装置を運転できるプラント制御装置及び蒸気使用プラントの制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る蒸気使用プラント及びプラント制御装置の構成図である。
【図2】ボイラ効率とボイラ負荷率を示すグラフである。
【図3】蒸気需要量の時系列変動の一例を示すグラフである。
【図4】(a)はデータ入力部の一構成例を示す図、(b)はデータ入力画面の一構成例を示す図である。
【図5】ボイラ運転方法決定部が第1の実施形態で運転パターンを決定する手順を示すフローチャートである。
【図6】(a)は第1特定時刻を説明するためのグラフ、(b)はボイラで発生する蒸気量の時系列変動を示すグラフである。
【図7】(a)は第1特定時刻と第2特定時刻を説明するためのグラフ、(b)はボイラで発生する蒸気量の時系列変動を示すグラフである。
【図8】蒸気需要量の時系列変動の他の一例を示すグラフである。
【図9】ボイラ運転方法決定部が第2の実施形態で運転パターンを決定する手順を示すフローチャートである。
【図10】(a)は第4特定時刻と第5特定時刻を説明するためのグラフ、(b)はボイラで発生する蒸気量の時系列変動を示すグラフである。
【図11】(a)は第7特定時刻と第8特定時刻を説明するためのグラフ、(b)はボイラで発生する蒸気量の時系列変動を示すグラフである。
【図12】第3の実施形態に係る蒸気使用プラント及びプラント制御装置の構成図である。
【図13】第4の実施形態に係る蒸気使用プラント及びプラント制御装置の構成図である。
【図14】第5の実施形態に係る蒸気使用プラント及びプラント制御装置の構成図である。
【図15】第5の実施形態に係る蒸気使用プラントに備わる第1ボイラと第2ボイラのボイラ効率とボイラ負荷率を示すグラフである。
【図16】蒸気発生量を変えて、第1ボイラと第2ボイラを運転する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態について、適宜図を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、第1の実施形態に係る蒸気発生装置(ボイラ10)は、蒸気を動力源として駆動するプラント(蒸気使用プラント1)に備わり、蒸気を動力源とする生産装置などの付属設備に蒸気を供給する蒸気を発生する装置である。
蒸気を動力源とする付属設備は限定されるものではないが、ボイラ10に対する負荷となることから、以下、蒸気を動力源とする付属設備を蒸気負荷20と称する。
【0012】
また、ボイラ10と蒸気負荷20を連結する蒸気配管11には、ボイラ10で発生した蒸気を貯蔵するための蒸気貯蔵装置(蒸気アキュムレータ30)が備わり、蒸気負荷20には蒸気アキュムレータ30から蒸気が供給される。さらに、蒸気アキュムレータ30と蒸気負荷20の間には、蒸気負荷20の蒸気使用量によって変動する蒸気配管11の蒸気圧力(配管内圧力)を計測する圧力計11bと、配管内圧力を一定値に維持するための制御弁11aが備わっている。
制御弁11aを制御する図示しない制御装置は、圧力計11bが計測する配管内圧力を取得し、配管内圧力が所定の一定値を維持するように制御弁11aの開度を設定して、蒸気アキュムレータ30から蒸気負荷20に供給される蒸気の流量(蒸気流量)を調節する。
【0013】
ボイラ10は、一般的に図2に示すような特性曲線C1で示される効率特性を有し、ボイラ効率が最も高くなるボイラ負荷率(効率最高点P1)で運転されることが好ましい。
しかしながら、前記したように蒸気発生量は蒸気負荷20における蒸気需要量の変動にともなって変動することから、「蒸気発生量/定格蒸気発生量」で算出されるボイラ負荷率も蒸気需要量によって変動する。
このため、ボイラ10が常に効率最高点P1で運転されることは困難である。
また、ボイラ負荷率の低下にともなってボイラ効率も低下するため、ボイラ負荷率、すなわち、蒸気負荷20における蒸気需要量が低い状態で長時間に亘ってボイラ10が運転されることは好ましい状態ではない。
【0014】
そこで、第1の実施形態に係る蒸気使用プラント1には、図1に示すようにプラント制御装置100が備わり、ボイラ効率を低下することなくボイラ10が好適なボイラ負荷率で運転されるように、蒸気使用プラント1を制御する。
第1の実施形態に係るプラント制御装置100は、蒸気需要量予測部109と、運転制御部101とを含んで構成され、蒸気需要量予測部109が予測する蒸気需要量(予測需要量と称する)の時系列変動と、蒸気アキュムレータ30の蒸気貯蔵量と、に基づいて、運転制御部101がボイラ10を制御するように構成される。
【0015】
蒸気需要量予測部109は、例えば、蒸気使用プラント1の過去の運転実績に基づいて予測需要量を予測(算出)する。
この場合、蒸気需要量予測部109は、蒸気使用プラント1の過去の運転での蒸気の需要量を統計データ等から算出し、その平均値を予測需要量として予測することができる。
蒸気需要量予測部109が予測需要量を予測する方法は限定されるものではないが、例えば、前記した方法で、予め設定される蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻まで、図3に例示するような特性曲線である予測需要量曲線C2のように時系列変動する予測需要量を予測する。
【0016】
運転制御部101は、蒸気需要量予測部109が予測する予測需要量の変動に基づいてボイラ10の運転パターン(運転方法)を決定する運転パターン決定部(ボイラ運転方法決定部112)と、ボイラ運転方法決定部112が決定した運転パターンに基づいてボイラ10を運転するボイラ燃焼制御部113と、ボイラ10の運転パターンの決定に必要な情報をユーザ110が入力するためのデータ入力部111と、を含んで構成される。
【0017】
そして、第1の実施形態に係る運転制御部101は、ボイラ10が運転されるときの負荷率(ボイラ負荷率)をユーザ110が任意に設定できる構成であり、ボイラ運転方法決定部112は、ユーザ110が設定するボイラ負荷率に基づいてボイラ10の運転パターンを決定するように構成される。
【0018】
データ入力部111は、例えば、図4の(a)に示すように、モニタ等の出力装置111aと、キーボードやマウス等の入力装置111bと、を備えるパーソナルコンピュータとする。そして、出力装置111aには、ユーザ110(図1参照)がボイラ負荷率を入力するためのデータ入力画面401が表示され、ユーザ110が入力装置111bを操作して、データ入力画面401の所定の場所にボイラ負荷率を示す数値データを入力するように構成される。
【0019】
第1の実施形態において、ユーザ110(図1参照)は、「運転回避負荷率a(負荷率a)」と「アキュムレータ貯蔵時運転負荷率b(負荷率b)」を、ボイラ負荷率として設定可能であり、データ入力画面401は、例えば、図4の(b)に示すように構成される。
運転回避負荷率aは、許容できる最低のボイラ効率でボイラ10(図1参照)を運転するためのボイラ負荷率の下限側許容値(下限負荷率)であり、ボイラ運転方法決定部112(図1参照)は、運転回避負荷率aを下回るボイラ負荷率でボイラ10が運転されることを極力回避するように運転パターンを決定する。
【0020】
また、アキュムレータ貯蔵時運転負荷率bは、蒸気アキュムレータ30(図1参照)に蒸気を貯蔵するときにボイラ10(図1参照)が運転されるボイラ負荷率の設定値(設定負荷率)である。つまり、ボイラ運転方法決定部112(図1参照)は、蒸気アキュムレータ30に蒸気を貯蔵するとき、アキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率としてボイラ10が運転されるように運転パターンを決定する。
【0021】
データ入力画面401は、図4の(b)に示すように主に2つの領域で構成され、ボイラ10の効率特性を示す特性曲線C1を表示するデータ表示領域402と、ユーザ110(図1参照)がデータを入力するデータ入力領域403と、を有する。
データ入力領域403には、ユーザ110が、運転回避負荷率aを数値データとして入力するための第1入力部405と、アキュムレータ貯蔵時運転負荷率bを数値データとして入力するための第2入力部406と、が備わる。
さらに、ユーザ110が、第1入力部405に入力した数値データを運転回避負荷率aとして設定し、第2入力部406に入力した数値データをアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bとして設定するための設定ボタン411が備わる。
【0022】
そして、ユーザ110(図1参照)が、第1入力部405に運転回避負荷率aとする数値データを入力し、第2入力部406にアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bとする数値データを入力した後、設定ボタン411を押下することによって、運転回避負荷率aとアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bが設定されるように構成される。
この構成によって、運転回避負荷率a及びアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bが設定変更可能になる。
【0023】
なお、データ入力画面401が第1入力部405のみを備えて運転回避負荷率aのみ設定変更可能な構成であってもよい。この場合、アキュムレータ貯蔵時運転負荷率bは固定値として予め設定される。
また、データ入力画面401が第2入力部406のみを備えてアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bのみ設定変更可能な構成であってもよい。この場合、運転回避負荷率aは固定値として予め設定される。
【0024】
さらに、データ入力領域403には、設定された運転回避負荷率aをボイラ負荷率としてボイラ10(図1参照)が運転されたときの蒸気発生量(運転回避蒸気発生量)を示す直線La及びアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率としてボイラ10が運転されたときの蒸気発生量(貯蔵時蒸気発生量)を示す直線Lbが、蒸気需要量予測部109が予測した予測需要量の時系列変動を示す予測需要量曲線C2に重ねて表示される。
【0025】
また、データ表示領域402には、前記したようにボイラ10(図1参照)の効率特性を示す特性曲線C1が表示され、さらに、設定された運転回避負荷率aに対応するボイラ効率(運転回避効率409)と、設定されたアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bに対応するボイラ効率(貯蔵運転効率410)も併せて表示される。
なお、運転回避負荷率aに対応する運転回避効率409は、運転回避負荷率aをボイラ負荷率としてボイラ10が運転されたときのボイラ効率であり、アキュムレータ貯蔵時運転負荷率bに対応する貯蔵運転効率410は、アキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率としてボイラ10が運転されたときのボイラ効率である。
【0026】
データ入力画面401はこのように構成され、ユーザ110(図1参照)は、データ入力画面401によって、運転回避負荷率a及びアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bを設定するとともに、運転回避効率409と貯蔵運転効率410を確認できる。
換言すると、ユーザ110は、好適な運転回避効率409となるように運転回避負荷率aを設定でき、さらに、好適な貯蔵運転効率410となるようにアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bを設定できる。
そして、運転回避効率409及び貯蔵運転効率410をグラフィカルに確認することで、容易に運転回避負荷率a及びアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bを設定できる。
【0027】
なお、データ入力画面401のデータ入力領域403に予測需要量曲線C2と重ねて表示される直線La(運転回避蒸気発生量)及び直線Lb(貯蔵時蒸気発生量)をマウス等の入力装置111bでグラフィカルに移動して、運転回避負荷率a及びアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bを設定する構成であってもよい。
又は、データ表示領域402に表示される運転回避負荷率a及びアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをマウス等の入力装置111bでグラフィカルに移動して、運転回避負荷率a及びアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bを設定する構成であってもよい。
【0028】
また、モニタ等の出力装置111aと入力装置111b(キーボード、マウス等)の替わりに、例えばダイヤル式のセレクタスイッチ(図示せず)が備わり、ユーザ110(図1参照)がセレクタスイッチを操作して運転回避負荷率a及びアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bを設定するデータ入力部111であってもよい。
つまり、データ入力部111は、ユーザ110が運転回避負荷率a及びアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bを設定可能な構成であれば、その形態は限定されない。
【0029】
図1に示すボイラ運転方法決定部112は、ユーザ110によって設定された運転回避負荷率a及びアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bと、蒸気需要量予測部109によって予測された蒸気需要量(予測需要量)の変動と、に基づいて、図5に示す手順でボイラ10の運転パターンを決定する。以下にその手順を説明する(適宜図1〜4参照)。
【0030】
ボイラ運転方法決定部112は、例えば、予め設定される蒸気使用プラント1の始動時刻に、運転終了時刻までのボイラ10の運転パターンを決定する手順を開始するように構成される。又は、ユーザ110が運転回避負荷率aとアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bの少なくとも一方を入力してデータ入力画面401の設定ボタン411を押下したときに、その時刻から蒸気使用プラント1の運転終了時刻までのボイラ10の運転パターンを決定する手順を開始するように構成される。
【0031】
また、蒸気需要量予測部109は、ボイラ運転方法決定部112がボイラ10の運転パターンを決定する手順を開始する前に、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までの予測需要量を予測する構成が好ましい。
【0032】
ボイラ運転方法決定部112は、予測需要量が低下して、設定された運転回避負荷率aに対応する運転回避蒸気発生量を下回る時刻(第1基準時刻t1と称する)を決定する。さらに、ボイラ運転方法決定部112は、第1基準時刻t1以降で、予測需要量が上昇し、設定された運転回避負荷率aに対応する運転回避蒸気発生量を再び上回る時刻(第2基準時刻t2と称する)を決定する(ステップS1)。
【0033】
例えば、ボイラ運転方法決定部112は、図6の(a)に示すように、予測需要量曲線C2と直線La(運転回避蒸気発生量)の交点となる時刻を第1基準時刻t1、第2基準時刻t2として決定する。
第1基準時刻t1から第2基準時刻t2の間は、ボイラ10が予測需要量の蒸気を発生するときのボイラ負荷率が、運転回避負荷率aを下回る時間帯であり、以下、低負荷時間Tlowと称する。つまり、ボイラ運転方法決定部112は、低負荷時間Tlowを算出する。
【0034】
低負荷時間Tlowは、予測需要量の蒸気を発生させるボイラ負荷率が低く、予測需要量の蒸気を発生させるボイラ負荷率でボイラ10が運転されるとボイラ効率が悪化する時間帯である。したがって、低負荷時間Tlowでボイラ10が運転される時間は、極力短いほうが好ましい。
【0035】
ボイラ運転方法決定部112はステップS2で、第1基準時刻t1から第2基準時刻t2の間(低負荷時間Tlow)に蒸気負荷20での需要が予測される蒸気量(低負荷時蒸気量と称する)を算出する。
低負荷時蒸気量は、低負荷時間Tlowに亘って予測需要量が積算された積算量に相当する蒸気量であり、図6の(a)における領域A1の面積で示される。
【0036】
そして、ボイラ運転方法決定部112はステップS3で、低負荷時蒸気量と、第1基準時刻t1の時点で蒸気アキュムレータ30に貯蔵されている蒸気量(残存蒸気量と称する)と、を比較する。
なお、第1基準時刻t1での残存蒸気量は、ボイラ運転方法決定部112が、ボイラ10の運転パターンを決定する手順を開始した時点における残存蒸気量、あるいはそれを元にして予測される第1基準時刻t1での残存蒸気量とすることができる。そして、残存蒸気量は蒸気アキュムレータ30に備わる図示しない蒸気量計測装置等によって計測される構成が好ましい。
【0037】
低負荷時蒸気量が第1基準時刻t1における残存蒸気量以下の場合(ステップS3→No)、ボイラ運転方法決定部112は、第1基準時刻t1から第2基準時刻t2までの間(低負荷時間Tlow)はボイラ10の運転が停止され、第1基準時刻t1以前及び第2基準時刻t2以降は、予測需要量の蒸気を発生するボイラ負荷率(負荷率cとする)でボイラ10が運転されるように、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までの運転パターンを決定する(ステップS4)。
【0038】
一方、低負荷時蒸気量が第1基準時刻t1における残存蒸気量より多い場合(ステップS3→Yes)、ボイラ運転方法決定部112は、低負荷時蒸気量が蒸気アキュムレータ30の容量(アキュムレータ容量)を超えているか否かを判定する(ステップS5)。
【0039】
低負荷時蒸気量がアキュムレータ容量以下の場合(ステップS5→No)、ボイラ運転方法決定部112は、第1基準時刻t1以前の特定の時刻(第1特定時刻ta)を決定する(ステップS6)。
この第1特定時刻taは、当該時刻taから第1基準時刻t1まで、ユーザ110が設定したアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率としてボイラ10が運転された場合に蒸気アキュムレータ30に追加貯蔵される蒸気量と、当該時刻taの時点で蒸気アキュムレータ30に貯蔵されている残存蒸気量の合計が、低負荷時蒸気量(図6の(a)における領域A1の面積)と等しくなる時刻である。
【0040】
蒸気アキュムレータ30に追加貯蔵される蒸気量は、アキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率としてボイラ10が運転された場合に発生する貯蔵時蒸気発生量(直線Lb)から予測需要量(予測需要量曲線C2)を減算した蒸気量を、第1特定時刻taから第1基準時刻t1まで積算した積算量(蒸気量)であり、図6の(a)における領域A2の面積で示される。つまり、ボイラ運転方法決定部112は、時刻taから第1基準時刻t1までに蒸気アキュムレータ30に貯蔵される蒸気量の合計が低負荷時蒸気量(図6の(a)における領域A1の面積)と等しくなるように第1特定時刻taを決定する。
【0041】
そして、ボイラ運転方法決定部112は、第1特定時刻taから第1基準時刻t1まではユーザ110が設定したアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率としてボイラ10が運転され、第1基準時刻t1から第2基準時刻t2の間(低負荷時間Tlow)はボイラ10の運転が停止され、さらに、第1特定時刻ta以前及び第2基準時刻t2以降は、予測需要量の蒸気を発生するボイラ負荷率(負荷率c)でボイラ10が運転されるように、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までの運転パターンを決定する(ステップS7)。
【0042】
ボイラ10で発生する蒸気発生量は、図6の(b)に示す特性曲線C3のように時系列変動する。
第1特定時刻taから第1基準時刻t1までの間、つまり、低負荷時間Tlowより前に、ボイラ10はユーザ110が設定したアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率として運転されて蒸気が蒸気アキュムレータ30に追加貯蔵される。その結果、第1基準時刻t1の時点で、蒸気アキュムレータ30には低負荷時蒸気量の蒸気が貯蔵される。
第1基準時刻t1から第2基準時刻t2の間は、ボイラ10の運転が停止されボイラ10で発生する蒸気発生量が「0」になるが、この間は、蒸気アキュムレータ30に貯蔵される蒸気が蒸気負荷20に供給される。そして、第2基準時刻t2でボイラ10の運転が再開されて予測需要量に相当する蒸気発生量の蒸気が発生し、蒸気負荷20に供給される。
【0043】
この構成によると、低負荷時間Tlowにおいて、蒸気アキュムレータ30から蒸気負荷20に蒸気が供給される間はボイラ10の運転が停止され、ボイラ10が運転回避負荷率a以下のボイラ負荷率で低負荷率運転される時間をゼロにすることができる。
【0044】
一方、ステップS5において、低負荷時蒸気量がアキュムレータ容量を超えている場合(ステップS5→Yes)、ボイラ運転方法決定部112は、第1基準時刻t1より以降の特定の時刻(第2特定時刻tb)を決定する(ステップS8)。
この第2特定時刻tbは、第1基準時刻t1から当該時刻tbまでに必要と予測される蒸気量(図7の(a)における領域A3の面積)が、アキュムレータ容量と等しくなる時刻である。
【0045】
さらに、ボイラ運転方法決定部112はステップS9で、第1基準時刻t1以前に特定の時刻(第3特定時刻tc)を決定する。
この第3特定時刻tcは、当該時刻tcから第1基準時刻t1まで、ユーザ110が設定したアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率としてボイラ10が運転された場合に蒸気アキュムレータ30が蒸気で満たされるための時刻である。
【0046】
つまり、第3特定時刻tcは、当該時刻tcから第1基準時刻t1まで、ボイラ10がアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率として運転されたときに発生する蒸気量から予測需要量を減算した蒸気量の積算量(図7の(a)における領域A4の面積で示される蒸気量)が、当該時刻tcの時点における蒸気アキュムレータ30の空き容量に相当する蒸気量となって、第1基準時刻t1の時点で蒸気アキュムレータ30が蒸気で満たされるように決定される時刻である。
【0047】
そして、ボイラ運転方法決定部112は、第3特定時刻tcから第1基準時刻t1まではユーザ110が設定したアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率としてボイラ10が運転され、第1基準時刻t1から第2特定時刻tbまではボイラ10の運転が停止され、さらに、第3特定時刻tc以前及び第2特定時刻tb以降は、予測需要量の蒸気が発生するボイラ負荷率(負荷率c)でボイラ10が運転されるように、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までの運転パターンを決定する(ステップS10)。
【0048】
ボイラ10で発生する蒸気発生量は、図7の(b)に示す特性曲線C4のように時系列変動する。
第3特定時刻tcから第1基準時刻t1まで、つまり、低負荷時間Tlowより前に、ボイラ10はユーザ110が設定したアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bをボイラ負荷率として運転され、第1基準時刻t1までに、第3特定時刻tcの時点における蒸気アキュムレータ30の空き容量に相当する蒸気量が蒸気アキュムレータ30に追加貯蔵される。その結果、第1基準時刻t1において、蒸気アキュムレータ30にはアキュムレータ容量に相当する蒸気量の蒸気が貯蔵される。つまり、蒸気アキュムレータ30が蒸気で満たされる。
【0049】
第1基準時刻t1から第2特定時刻tbの間は、ボイラ10の運転が停止されてボイラ10で発生する蒸気発生量が「0」になるが、この間は、蒸気アキュムレータ30に貯蔵される蒸気が蒸気負荷20に供給される。そして、第2特定時刻tbで蒸気アキュムレータ30に貯蔵される蒸気が全て蒸気負荷20に供給された後、ボイラ10の運転が再開されて予測需要量に相当する蒸気発生量の蒸気が発生する。
【0050】
この構成によると、低負荷時間Tlowにおいて、蒸気アキュムレータ30から蒸気負荷20に蒸気が供給される間はボイラ10の運転が停止され、ボイラ10が運転回避負荷率a以下のボイラ負荷率で運転される時間を第2特定時刻tbから第2基準時刻t2までの時間とすることができる。
したがって、第1基準時刻t1から第2基準時刻t2まで、運転回避負荷率a以下のボイラ負荷率でボイラ10が低負荷率運転される場合に比べて、ボイラ10が低負荷率運転される時間を短縮できる。
【0051】
そして、ボイラ運転方法決定部112が図5に示すステップS1〜ステップS10の手順を実行して決定した運転パターンに基づいて、ボイラ燃焼制御部113がボイラ10を運転する。
【0052】
以上のように、第1の実施形態に係るボイラ10(図1参照)は、低負荷時蒸気量とアキュムレータ容量のうち、少ない側に相当する貯蔵蒸気量の蒸気を、低負荷時間Tlowより前に蒸気アキュムレータ30に貯蔵することによって、ユーザ110(図1参照)が設定した運転回避負荷率a以下のボイラ負荷率で低負荷率運転される時間を短縮、又はゼロにできる。この構成によって、効率の低い低負荷率運転の時間を短縮することができ、ボイラ効率を低下させることなくボイラ10を運転することができる。そして、省エネルギを図ることができる。
また、ボイラ10の運転がON/OFFする回数を例えば1回に減らすことができるためボイラ10のON/OFF運転の頻発による効率低下を軽減でき、このことによってもボイラ効率を低下させることなくボイラ10を運転することができる。そして、省エネルギを図ることができる。
【0053】
なお、第1基準時刻t1以前に第1特定時刻taが決定できない場合、ボイラ運転方法決定部112は、蒸気使用プラント1(図1参照)の始動時刻から、ユーザ110(図1参照)が設定したアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bでボイラ10(図1参照)を運転し、第1基準時刻t1でボイラ10の運転を停止して蒸気アキュムレータ30(図1参照)から蒸気負荷20(図1参照)に蒸気を供給するように運転パターンを決定する。
【0054】
《第2の実施形態》
第2の実施形態に係る蒸気使用プラントは、図1に示す蒸気使用プラント1及びプラント制御装置100と同じ構成とするが、アキュムレータ貯蔵時運転負荷率bが設定されていなくても運用可能であり、図4の(b)に示すデータ入力画面401の構成のうち、ユーザ110がアキュムレータ貯蔵時運転負荷率bを数値データとして入力する第2入力部406を含まない構成とすることができる。
【0055】
例えば、蒸気需要量予測部109が予測する予測需要量が、蒸気使用プラント1(図1参照)の始動時刻から運転終了時刻まで、図8に示す予測需要量曲線C5のように時系列変動する場合、ボイラ運転方法決定部112は、ユーザ110(図1参照)が設定した運転回避負荷率a以上のボイラ負荷率でボイラ10が運転されるように運転パターンを決定する。
【0056】
第2の実施形態においてボイラ運転方法決定部112は、図9に示す手順にしたがってボイラ10の運転パターンを決定する。以下にその手順を説明する(適宜図1〜4参照)。
【0057】
第1の実施形態と同様、予め設定される蒸気使用プラント1の始動時刻に、運転終了時刻までのボイラ10の運転パターンを決定する手順を開始するように構成される。又は、ユーザ110が運転回避負荷率aを入力してデータ入力画面401の設定ボタン411を押下したときに、その時刻から蒸気使用プラント1の運転終了時刻までのボイラ10の運転パターンを決定する手順を開始するように構成される。
【0058】
また、第1の実施形態と同様に、蒸気需要量予測部109は、ボイラ運転方法決定部112がボイラ10の運転パターンを決定する手順を開始する前に、予測需要量を予測する構成が好ましい。
【0059】
ボイラ運転方法決定部112は、予測需要量が低下して、設定された運転回避負荷率aに対応する運転回避蒸気発生量を下回る第1基準時刻t1と、第1基準時刻t1以降で、予測需要量が上昇して運転回避蒸気発生量を再び上回る第2基準時刻t2を決定する(ステップS20)。つまり、ボイラ運転方法決定部112は、低負荷時間Tlowを算出する。
【0060】
さらに、ボイラ運転方法決定部112は、第1基準時刻t1から第2基準時刻t2までの間、すなわち、低負荷時間Tlowに、設定された運転回避負荷率aをボイラ負荷率としてボイラ10を運転した場合に蒸気アキュムレータ30に貯蔵される蒸気量(余剰蒸気量と称する)を算出する(ステップS21)。この余剰蒸気量は、予測需要量に対して余剰な蒸気量であって、運転回避蒸気発生量(直線La)から予測需要量(予測需要量曲線C5)を減算した蒸気量を第1基準時刻t1から第2基準時刻t2まで、つまり、低負荷時間Tlowに亘って積算した積算量(蒸気量)であり、図10の(a)における領域A5の面積で示される。
【0061】
ボイラ運転方法決定部112はステップS22で、第2基準時刻t2における残存蒸気量と余剰蒸気量の合計(合計蒸気量と称する)と、アキュムレータ容量を比較する。
そして、合計蒸気量がアキュムレータ容量以下の場合(ステップS22→No)、ボイラ運転方法決定部112は、第2基準時刻t2以降、つまり、低負荷時間Tlowより後で、予測需要量が最大となる点(ピーク点Pk)の前後における特定の時間(第4特定時刻td、第5特定時刻te)を決定する(ステップS23)。
【0062】
ボイラ運転方法決定部112は、第4特定時刻td及び第5特定時刻teを以下のように決定する。
第4特定時刻tdにおける予測需要量が「St1」の場合、第5特定時刻teは、ピーク点Pkを過ぎた後で予測需要量が再度「St1」になる時刻とする。
さらに、第4特定時刻tdから第5特定時刻teまでボイラ10が蒸気量「St1」の蒸気を発生した場合に、予測需要量に不足する蒸気量を算出する。
【0063】
予測需要量に不足する蒸気は蒸気アキュムレータ30に貯蔵される蒸気が供給されることになり、予測需要量に不足する蒸気量は、蒸気アキュムレータ30から消費される蒸気量になる。このように、第4特定時刻tdから第5特定時刻teまでに蒸気アキュムレータ30から消費される蒸気量(ピーク時貯蔵蒸気消費量と称する)は、予測需要量から蒸気量「St1」を減算した差を第4特定時刻tdから第5特定時刻teまで積算した積算量(蒸気量)であり、図10の(a)における領域A6の面積として示される。
【0064】
さらに、ボイラ運転方法決定部112は、ピーク時貯蔵蒸気消費量が、前記した合計蒸気量と等しくなるように蒸気量「St1」を設定する。換言すると、ボイラ運転方法決定部112は、図10の(a)における領域A6の面積が合計蒸気量と等しくなるように、蒸気量「St1」を決定し、さらに、第4特定時刻td及び第5特定時刻teを決定する。
【0065】
そして、ボイラ運転方法決定部112は、第1基準時刻t1から第2基準時刻t2の間(低負荷時間Tlow)は、ユーザ110が設定した運転回避負荷率aをボイラ負荷率としてボイラ10が運転され、第2基準時刻t2から第4特定時刻tdまでは予測需要量の蒸気を発生するボイラ負荷率(負荷率c)でボイラ10が運転され、第4特定時刻tdから第5特定時刻teまでは「St1」の蒸気量を発生するボイラ負荷率(負荷率dとする)でボイラ10が運転され、さらに、第1基準時刻t1以前及び第5特定時刻te以降は、予測需要量の蒸気が発生するボイラ負荷率(負荷率c)でボイラ10が運転されるように、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までの運転パターンを決定する(ステップS24)。
【0066】
ボイラ10で発生する蒸気発生量は、図10の(b)に示す特性曲線C6のように時系列変動する。第1基準時刻t1から第2基準時刻t2の間、余剰蒸気量の蒸気が蒸気アキュムレータ30に貯蔵され、第2基準時刻t2において、蒸気アキュムレータ30には前記した合計蒸気量の蒸気が貯蔵される。
そして、低負荷時間Tlowより後に決定される第4特定時刻tdから第5特定時刻teの間は、ボイラ10が予測需要量より少ない蒸気量「St1」の蒸気が発生するボイラ負荷率(負荷率d)で運転され、合計蒸気量の蒸気が蒸気アキュムレータ30から消費される。
つまり、第4特定時刻tdから第5特定時刻teの間は、蒸気アキュムレータ30に貯蔵される蒸気が蒸気負荷20に供給され、さらに、ボイラ10が予測需要量より少なく蒸気が発生するボイラ負荷率(負荷率d)で運転される。
【0067】
このように、第1基準時刻t1から第2基準時刻t2の間にユーザ110が設定する運転回避負荷率aをボイラ負荷率としてボイラ10が運転されることによって、ボイラ10が効率の低い低負荷率運転される低負荷率運転時間をゼロにすることができる。
【0068】
また、第4特定時刻tdから第5特定時刻teの間に、予測需要量が最大になるピーク点Pkが存在することから、予測需要量が最大になるときに、予測需要量より少なく蒸気が発生するボイラ負荷率(負荷率d)でボイラ10が運転される。
【0069】
一方、ステップS22において、合計蒸気量がアキュムレータ容量を超えている場合(ステップS22→Yes)、ボイラ運転方法決定部112は、第1基準時刻t1以降に、特定の時刻(第6特定時刻tf)を決定する(ステップS25)。
この第6特定時刻tfは、第1基準時刻t1から当該時刻tfまで運転回避負荷率aをボイラ負荷率としてボイラ10が運転されたときに、アキュムレータ容量と等しい蒸気量の蒸気が蒸気アキュムレータ30に貯蔵される時刻である。
【0070】
つまり、ボイラ運転方法決定部112は、第1基準時刻t1から第6特定時刻tfまで運転回避負荷率aをボイラ負荷率としてボイラ10が運転されたときに、第1基準時刻t1の時点における蒸気アキュムレータ30の空き容量に相当する蒸気量の蒸気が蒸気アキュムレータ30に貯蔵されるように第6特定時刻tfを設定する。
この構成によって、第1基準時刻t1から第6特定時刻tfまで、運転回避負荷率aをボイラ負荷率としてボイラ10が運転されたとき、蒸気アキュムレータ30にはアキュムレータ容量に相当する蒸気量の蒸気が貯蔵され、第6特定時刻tfの時点で蒸気アキュムレータ30が蒸気で満たされる。
【0071】
さらにボイラ運転方法決定部112は、第2基準時刻t2以降、つまり、低負荷時間Tlowより後で、予測需要量が最大になる点(ピーク点Pk)の前後における特定の時間(第7特定時刻tg、第8特定時刻th)を決定する(ステップS26)。
ボイラ運転方法決定部112は、第7特定時刻tg、第8特定時刻thを以下のように決定する。
例えば、図11の(a)に示すように、第7特定時刻tgにおける予測需要量が「St2」の場合、第8特定時刻thは、ピーク点Pkを過ぎた後で予測需要量が再度「St2」になる時刻とする。
【0072】
さらに、第7特定時刻tgから第8特定時刻thまでボイラ10が蒸気量「St2」の蒸気を発生した場合に、予測需要量に不足する蒸気量を算出する。
前記したように、予測需要量に不足する蒸気量は、蒸気アキュムレータ30から消費される蒸気量(ピーク時貯蔵蒸気消費量)と等しくなる。
予測需要量に不足する蒸気量、つまり、ピーク時貯蔵蒸気消費量は、予測需要量から蒸気量「St2」を減算した差を第7特定時刻tgから第8特定時刻thまで積算した積算量(蒸気量)であり、図11の(a)における領域A7の面積として示される。
【0073】
そして、ボイラ運転方法決定部112は、ピーク時貯蔵蒸気消費量がアキュムレータ容量に相当する蒸気量と等しくなるように蒸気量「St2」を設定し、さらに、第7特定時刻tg及び第8特定時刻thを決定する。換言すると、ボイラ運転方法決定部112は、図11の(a)における領域A7の面積がアキュムレータ容量と等しくなるように、蒸気量「St2」を決定し、第7特定時刻tg及び第8特定時刻thを決定する。
【0074】
ボイラ運転方法決定部112は、第1基準時刻t1から第6特定時刻tfまではユーザ110が設定した運転回避負荷率aをボイラ負荷率としてボイラ10が運転され、第6特定時刻tfから第7特定時刻tgまでは予測需要量の蒸気を発生するボイラ負荷率(負荷率c)でボイラ10が運転され、第7特定時刻tgから第8特定時刻thまでは「St2」の蒸気量を発生するボイラ負荷率(負荷率eとする)でボイラ10が運転され、さらに、第1基準時刻t1以前及び第8特定時刻th以降は、予測需要量の蒸気が発生するボイラ負荷率(負荷率c)でボイラ10が運転されるように、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までの運転パターンを決定する(ステップS27)。
【0075】
ボイラ10で発生する蒸気発生量は、図11の(b)に示す特性曲線C7のように時系列変動する。第1基準時刻t1から第6特定時刻tfの間、余剰蒸気量の蒸気が蒸気アキュムレータ30に貯蔵され、第6特定時刻tfにおいて、蒸気アキュムレータ30にはアキュムレータ容量に相当する蒸気量の蒸気が貯蔵される。つまり、第6特定時刻tfにおいて、蒸気アキュムレータ30は蒸気で満たされる。
そして、低負荷時間Tlowより後に決定される第7特定時刻tgから第8特定時刻thの間は、アキュムレータ容量に相当する蒸気量の蒸気がピーク時貯蔵蒸気消費量として蒸気アキュムレータ30から消費される。
【0076】
したがって、第7特定時刻tgから第8特定時刻thの間は、予測需要量を下回る蒸気量「St2」の蒸気が発生するボイラ負荷率(負荷率e)でボイラ10が運転されてアキュムレータ容量に等しい蒸気量の蒸気が蒸気アキュムレータ30から消費される。
つまり、第7特定時刻tgから第8特定時刻thの間は、蒸気アキュムレータ30に貯蔵される蒸気が蒸気負荷20に供給され、さらに、ボイラ10が予測需要量より少なく蒸気が発生するボイラ負荷率(負荷率e)で運転される。
【0077】
また、低負荷時間Tlowにおいて運転回避負荷率aより低いボイラ負荷率でボイラ10が低負荷率運転される時間を、第6特定時刻tfから第2基準時刻t2までの時間とすることができ、第1基準時刻t1から第2基準時刻t2まで、運転回避負荷率a以下のボイラ負荷率でボイラ10が低負荷率運転される場合に比べて、低負荷率運転される時間を短縮できる。
【0078】
また、第7特定時刻tgから第8特定時刻thの間に、予測需要量が最大になるピーク点Pkが存在することから、予測需要量が最大になるときに、予測需要量より少なく蒸気が発生するボイラ負荷率(負荷率e)でボイラ10が運転される。
【0079】
そして、ボイラ運転方法決定部112が図9に示すステップS20〜ステップS27の手順を実行して決定した運転パターンに基づいて、ボイラ燃焼制御部113がボイラ10を運転する。
【0080】
以上のように、第2の実施形態に係るボイラ10(図1参照)は、運転を停止(OFF)することなく連続運転することによって、運転のON/OFFに伴う効率の低下を回避でき、ボイラ効率を低下させることなくボイラ10を運転できる。
また、低負荷時間Tlowにおいて、運転回避負荷率aより低いボイラ負荷率でボイラ10が低負荷率運転される時間をゼロにすること、又は、短縮することができる。この構成によって、ボイラ10の低負荷率運転による効率低下を軽減でき、ボイラ効率を低下させることなくボイラ10を運転できる。そして、省エネルギを図ることができる。
【0081】
《第3の実施形態》
第3の実施形態に係る蒸気使用プラントは、図1に示す蒸気使用プラント1及びプラント制御装置100とほぼ同じ構成とするが、図12に示すように、ボイラ運転方法決定部112に燃料使用量評価部101aが備わる構成が異なっている。
【0082】
例えば、第1の実施形態に係るボイラ運転方法決定部112は、図6の(b)に示すように、第1基準時刻t1から第2基準時刻t2まではボイラ10の運転が停止(OFF)されるようにボイラ10の運転パターンを決定する。
又は、図7の(b)に示すように、第1基準時刻t1から第2特定時刻tbまではボイラ10の運転が停止(OFF)されるようにボイラ10の運転パターンを決定する。
この構成では、低負荷時間Tlowでボイラ10の運転を停止し、ボイラ10が低負荷率運転される時間を短縮して(ゼロにして)省エネルギを図っている。
【0083】
一方、第2の実施形態に係るボイラ運転方法決定部112は、図10の(b)、図11の(b)に示すように、ユーザ110(図1参照)が設定する運転回避負荷率aより低いボイラ負荷率でボイラ10が運転されることを極力回避するように運転パターンを決定する。
この構成では、低負荷時間Tlowにおいて、ユーザ110(図1参照)が設定した運転回避負荷率aより低いボイラ負荷率でボイラ10が運転される時間をゼロ、又は短くすることで、ボイラ10が低負荷率運転される時間を短縮して(ゼロにして)省エネルギを図っている。
【0084】
そこで、第3の実施形態に係るプラント制御装置100は、低負荷時間Tlowでボイラ10の運転を停止して省エネルギを図るという第1の実施形態に係る運転パターン(第1運転パターン)による運転と、低負荷時間Tlowにおいて、設定される運転回避負荷率aより低いボイラ負荷率でボイラ10が運転される時間をゼロ又は短くして省エネルギを図るという第2の実施形態に係る運転パターン(第2運転パターン)による運転と、の省エネルギの効果を、燃料使用量評価部101aが備わるボイラ運転方法決定部112で評価して省エネルギの効果の高い一方を運転パターンとして決定し、決定された運転パターンに基づいてボイラ10が運転される構成とする。
【0085】
そのため、第3の実施形態に係るボイラ運転方法決定部112は、図5に示す手順を実行して、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までのボイラ10の運転パターン(第1運転パターン)を決定する。さらに、図9に示す手順を実行して、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までのボイラ10の運転パターン(第2運転パターン)を決定する。
そして、第1運転パターン及び第2運転パターンを燃料使用量評価部101aに入力する。燃料使用量評価部101aは、ボイラ10が第1運転パターンにしたがって運転された場合の燃料消費量(第1燃料消費量)と、ボイラ10が第2運転パターンにしたがって運転された場合の燃料消費量(第2燃料消費量)を算出し、第1運転パターンと第2運転パターンのうち、少ない燃料消費量でボイラ10が運転される一方を選択してボイラ運転方法決定部112に入力する。
【0086】
なお、ボイラ10の燃料消費量「Fuse」は、次式(1)で算出可能である。
Fuse=100×(STuse)×(h’’−h’)/(η×H)・・・(1)
式(1)における「h’’」はボイラ発生蒸気の比エンタルピ、「h’」はボイラ給水の比エンタルピ、「H」は低位発熱量を示し、それぞれボイラ10固有の定数である。
また、「STuse」はボイラ10で発生する蒸気発生量を示し、「η」はボイラ10のボイラ効率を示す。
【0087】
例えば、図12に示す燃料使用量評価部101aは、第1運転パターンにしたがってボイラ10が運転されるときに発生する蒸気発生量の時系列変動を特性曲線C3(図6の(b)参照)又は特性曲線C4(図7の(b)参照)から取得し、さらに、取得した蒸気発生量の時系列変動からボイラ負荷率の時系列変動を算出する。さらに、特性曲線C1(図2参照)を参照してボイラ負荷率の時系列変動に応じたボイラ効率「η」の時系列変動を取得する。
【0088】
そして、燃料使用量評価部101aは、第1運転パターンにしたがってボイラ10が運転されている任意の時刻に発生する蒸気発生量を「STuse」とし、この蒸気発生量「STuse」と当該時刻のボイラ効率「η」を式(1)に代入して、当該時刻における燃料消費量「Fuse」を算出する。
【0089】
さらに、燃料使用量評価部101aは、任意の時刻における燃料消費量「Fuse」を、第1運転パターンにしたがってボイラ10が運転される蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻まで積算することによって、ボイラ10が第1運転パターンにしたがって蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻まで運転されたときの燃料消費量(第1燃料消費量「Fuse1」)を算出する。
【0090】
同様にして、燃料使用量評価部101aは、ボイラ10が第2運転パターンにしたがって蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻まで運転されたときの燃料消費量(第2燃料消費量「Fuse2」)を算出する。
そして、燃料使用量評価部101aは、第1燃料消費量「Fuse1」と第2燃料消費量「Fuse2」に基づいて、第1運転パターンと第2運転パターンの一方を選択する。
【0091】
具体的に、燃料使用量評価部101aは、第1燃料消費量「Fuse1」と第2燃料消費量「Fuse2」を比較し、第1燃料消費量「Fuse1」が第2燃料消費量「Fuse2」より小さい場合(Fuse1<Fuse2)、第1運転パターンを選択してボイラ運転方法決定部112に入力する。一方、第2燃料消費量「Fuse2」が第1燃料消費量「Fuse1」より小さい場合(Fuse2<Fuse1)は、第2運転パターンを選択してボイラ運転方法決定部112に入力する。
なお、第1燃料消費量「Fuse1」と第2燃料消費量「Fuse2」が等しい場合(Fuse1=Fuse2)、燃料使用量評価部101aは、第1運転パターンと第2運転パターンの任意の一方を選択する構成とすればよい。
【0092】
ボイラ運転方法決定部112は、燃料使用量評価部101aから入力される第1運転パターンと第2運転パターンの一方をボイラ10の運転パターンとして決定する。
そして、ボイラ運転方法決定部112が決定した運転パターンに基づいて、ボイラ燃焼制御部113がボイラ10を運転する。
【0093】
この構成によると、ボイラ運転方法決定部112は、第1運転パターンと第2運転パターンのうちの燃料消費量の少ない一方をボイラ10の運転パターンに決定することができ、ボイラ10における燃料消費量を効果的に減らすことができる。このことによって、蒸気使用プラント1の省エネルギの効果を向上できる。
【0094】
《第4の実施形態》
本発明の第4の実施形態に係る蒸気使用プラントは、図1に示す蒸気使用プラント1及びプラント制御装置100とほぼ同じ構成であるが、図13に示すように、蒸気需要量予測部109に替わってプラント運転制御部190が備わる。
プラント運転制御部190は、例えば、予め決定される蒸気使用プラント1の稼動計画に基づいて蒸気負荷20における蒸気需要量の時系列変動を含んだ用役需要パターンを作成し、さらに、ボイラ運転方法決定部112は、プラント運転制御部190が作成する用役需要パターンに含まれる蒸気需要量の時系列変動に基づいて、ボイラ10の最適な運転方法(運転パターン)を決定する。
【0095】
そのため、プラント運転制御部190には、経営資源計画立案システム(以下、ERPシステム191)と、製造実行及び分散制御システム(以下、MES・DCSシステム192)と、が接続される。
ERPシステム191はスケジューラを有し、蒸気使用プラント1の時系列に沿った稼動計画を備えている。
また、MES・DCSシステム192は、蒸気使用プラント1における製造処方を有する。ここでいう製造処方は、例えば蒸気使用プラント1で製品を製造する場合は、その製造工程を示す情報である。
【0096】
プラント運転制御部190には、用役需要量演算モジュール190aと、用役需要量補正モジュール190bと、最適運転制御モジュール190cと、が備わっている。
用役需要量演算モジュール190aは、ERPシステム191から稼動計画を取得するとともに、MES・DCSシステム192から製造処方を取得し、稼動計画及び製造処方に基づいて、蒸気使用プラント1で使用する用役(例えば、温水、冷水、エア、電気、蒸気など)の必要用役量の時系列変動を予測し、予測した用役量の時系列変動を示す用役需要パターンを作成する。
【0097】
用役需要量補正モジュール190bは、蒸気使用プラント1の実際の運転時における環境状態量を取得し、取得した環境状態量に基づいて、用役需要量演算モジュール190aが作成する用役需要パターンを補正する。
ここでいう環境状態量は、例えば、蒸気使用プラント1が設置される環境の温度、湿度、気圧等を含んだ状態量であり、用役需要量補正モジュール190bは、温度、湿度、気圧等に基づいて、蒸気使用プラント1で使用する用役量を蒸気使用プラント1の実際の運転時の環境状態量に基づいて補正する。
【0098】
最適運転制御モジュール190cは、用役需要量補正モジュール190bによって補正された用役需要パターンを利用して、蒸気使用プラント1に備わる複数の付属設備(生産装置等)に対して負荷を分散するように最適化する機能と、複数の付属設備が作動するときの時定数を考慮した運転計画を決定する機能と、を有する。
【0099】
第4の実施形態に係る運転制御部101は、用役需要量演算モジュール190aが作成して用役需要量補正モジュール190bが補正する用役需要パターンに含まれる蒸気量の時系列変動を、蒸気量の予測需要量として取得し、例えば第1の実施形態に係る運転制御部101と同様に、ボイラ10の運転パターンを決定する。
又は、第2の実施形態に係る運転制御部101と同様に、用役需要量演算モジュール190が作成して用役需要量補正モジュール190bが補正する用役需要パターンに含まれる蒸気量の時系列変動を、蒸気量の予測需要量としてボイラ10の運転パターンを決定してもよい。
【0100】
また、第3の実施形態に係る運転制御部101と同様に、用役需要量演算モジュール190aが作成して用役需要量補正モジュール190bが補正する用役需要パターンに含まれる蒸気量の時系列変動を、蒸気量の予測需要量として第1運転パターン及び第2運転パターンを決定し、さらに、第1運転パターンと第2運転パターンのうちの省エネルギの効果の高い一方を運転パターンに決定する構成としてもよい。
【0101】
そして、ボイラ運転方法決定部112が決定した運転パターンに基づいて、ボイラ燃焼制御部113がボイラ10を運転する。
【0102】
第4の実施形態に係る蒸気使用プラント1は、蒸気需要量予測部109(図1参照)が予測する予測需要量の代わりに、プラント運転制御部190の用役需要量演算モジュール190aが作成して用役需要量補正モジュール190bが補正する用役需要パターンに含まれる蒸気量の時系列変動を利用する点以外は、第1〜3の実施形態に係る蒸気使用プラント1(図1参照)の構成と同一であり、第1〜3の実施形態に係る蒸気使用プラント1と同様に、ボイラ効率を低下することなくボイラ10を運転できるという効果を奏する。
【0103】
《第5の実施形態》
本発明の第5の実施形態は、図14に示すように複数のボイラ10(図14には2台の第1ボイラ10a、第2ボイラ10bを図示)を備え、効率低下を軽減するように複数のボイラ10が運転される蒸気使用プラント1とする。
なお、第1ボイラ10a、第2ボイラ10bのボイラ効率は、例えば、図15に示すように示される。
【0104】
第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bの定格蒸気発生量を等しく「STstd」とし、蒸気負荷20における蒸気需要量が「STuse」の場合、従来は、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bはともに「STuse/2」の蒸気発生量となるように運転される。
例えば、図16に示すように、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bの定格蒸気発生量が「100[kg/h]」、蒸気負荷20の蒸気需要量が「120[kg/h]の場合、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bが、ともに「60(=120/2)[kg/h]」の蒸気発生量となるボイラ負荷率で1時間(60分)運転される状態(特性線L1)とする。
【0105】
このとき、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bの1台あたりの燃料消費量「Fuse」は、前記した式(1)を利用した次式(2)で示される。
Fuse=100×(STuse/2)×(h’’−h’)/(η×H)・・・(2)
【0106】
図16に特性線L1で示されるように、蒸気負荷20の蒸気需要量が「120[kg/h]」で、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bがともに「60[kg/h]」の蒸気発生量で運転される場合、ボイラ負荷率はともに「60%」であり、図15から読み取れる第1ボイラ10aのボイラ効率ηは「60%」、第2ボイラ10bのボイラ効率ηは「85%」である。
したがって、特性線L1で示されるように運転される第1ボイラ10aと第2ボイラ10bにおける燃料消費量Fuseは、次式(3)で示される。
Fuse=100×(60/60+60/85)×K
=1.71×K ・・・(3)
但し、「K」は、定数となる「(h’’−h’)/H」を示す。
【0107】
一方、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bを、ボイラ負荷率が「100%」になるように運転することもできる。この場合、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bはともに、定格蒸気発生量「STstd」の蒸気が発生する。
例えば、前記したように、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bの定格蒸気発生量が「100[kg/h]」、蒸気負荷20の蒸気需要量が「120[kg/h]の場合、ボイラ負荷率が「100%」になるように第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bを運転して、それぞれ定格蒸気発生量(100[kg/h])の蒸気を発生させる。
そして、図16の特性線L2に示すように、2台のボイラ10で「200[kg/h]」の蒸気量を発生させる。
【0108】
蒸気負荷20(図14参照)の蒸気需要量は「120[kg/h]」であることから、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bの運転中は、「80(=200−120)[kg/h]」の蒸気量が蒸気負荷20に供給されない。
そこで、蒸気負荷20に供給されない蒸気を蒸気アキュムレータ30(図14参照)に貯蔵する構成とする。
【0109】
さらに、ボイラ運転方法決定部112(図14参照)は、第1ボイラ10a(図14参照)及び第2ボイラ10b(図14参照)の運転時間(ボイラ運転時間)を決定する。
ボイラ運転方法決定部112が決定するボイラ運転時間「Trun」を、図16に基づいて説明する。
【0110】
第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bが、ともに100%のボイラ負荷率でボイラ運転時間「Trun」だけ運転された場合(特性線L2)、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bから領域A10の面積に相当する蒸気量が蒸気負荷20に供給され、領域A11の面積に相当する蒸気量が蒸気アキュムレータ30(図14参照)に貯蔵される。
また、ボイラ運転時間「Trun」の経過後60分までに、蒸気負荷20(図14参照)には、領域A12の面積に相当する蒸気量が供給される必要がある。
そこで、領域A11の面積が領域A12の面積に等しくなるようにボイラ運転時間が決定されれば、ボイラ運転時間「Trun」の経過後60分まで、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bの運転を停止しても、蒸気負荷20には蒸気アキュムレータ30から蒸気が供給される。
【0111】
前記したように、第1ボイラ10a(図14参照)及び第2ボイラ10b(図14参照)の定格蒸気発生量が「100[kg/h]」、蒸気負荷20(図14参照)の蒸気需要量が「120[kg/h]」の場合、ボイラ運転時間「Trun」を40分とすれば、60分間に亘って蒸気負荷20に蒸気を過不足なく供給できる。
【0112】
第1ボイラ10a(図14参照)及び第2ボイラ10b(図14参照)を、100%のボイラ負荷率で40分間運転した場合、蒸気の発生量はともに「100[kg/h]」であり、図15から読み取れる第1ボイラ10aのボイラ効率ηは「85%」、第2ボイラ10bのボイラ効率ηは「90%」である。
したがって、第1ボイラ10aと第2ボイラ10bの運転における燃料消費量Fuseは、次式(4)で示される。
Fuse=100×(100/85+100/90)×K×(40/60)
=1.53×K ・・・(4)
なお、式(4)における係数「40/60」は、60分のうち40分だけ運転することを示す係数である。
【0113】
式(3)、(4)を比較すると、式(4)で示される燃料消費量(Fuse=1.53×K[kg/h])が、式(3)で示される燃料消費量(Fuse=1.71×K[kg/h])より小さい。
このことから、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bを、ボイラ負荷率100%で40分間運転したほうが、ボイラ負荷率60%で60分間運転するより燃料消費量が少なくなり、省エネルギの効果が大きいことがわかる。
【0114】
このように、例えば2台のボイラ10(第1ボイラ10a、第2ボイラ10b)を備える蒸気使用プラント1の場合、ボイラ効率を低下させることなく、かつ、燃料消費量が少なくなるように第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bが運転される構成とすることができる。そして、燃料消費量が少なくなることから、蒸気使用プラント1の省エネルギを図ることができる。
【0115】
図14に示すように2台のボイラ10(第1ボイラ10a、第2ボイラ10b)が備わる蒸気使用プラント1において、ボイラ運転方法決定部112は、蒸気需要量予測部109が予測する予測需要量に基づいて、前記した式(2)を利用して燃料消費量を評価でき、燃料消費量の少ない運転パターンを決定できる。
【0116】
例えば、ボイラ運転方法決定部112は、蒸気需要量予測部109が予測する予測需要量の、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までの総量(総需要量)を算出する。そして、総需要量の単位時間当たりの平均値(平均需要量)を算出して、式(2)における蒸気需要量「STuse」とする。さらに、平均需要量をボイラ10の台数(2台の場合は「2」)で除して1台当たりの平均需要量を算出し、算出した1台当たりの平均需要量を各ボイラ10の蒸気発生量として各ボイラ10のボイラ効率「η」を算出する。
【0117】
ボイラ運転方法決定部112は、このように算出する蒸気需要量「STuse」とボイラ効率「η」を式(2)に代入し、さらに、式(3)に示すように第1ボイラ10aの燃料消費量と第2ボイラ10bの燃料消費量を合計して、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻まで連続して第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bを運転したときの総燃料消費量を算出する。そして、このように第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bを運転する運転パターン(図16の特性線L1に相当)をAパターンとする。
【0118】
一方、ボイラ運転方法決定部112は、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bが定格蒸気発生量「STstd」を発生するように運転した場合のボイラ運転時間「Trun」を算出する。このときのボイラ運転時間は、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bが定格蒸気発生量「STstd」の蒸気を発生するように運転したときに、前記した総需要量の蒸気を発生するのに必要な時間とする。
さらに、ボイラ運転方法決定部112は、第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bの定格蒸気発生量のときのボイラ効率「η」を算出する。
【0119】
そして、第1ボイラ10aの定格蒸気発生量と第2ボイラ10bの定格蒸気発生量、それぞれのボイラ10のボイラ効率「η」、ボイラ運転時間の係数から式(4)を利用して、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻の間にボイラ運転時間「Trun」に亘って第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bを運転したときの総燃料消費量を算出する。このように第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bを運転する運転パターン(図16の特性線L2に相当)をBパターンとする。
なお、ボイラ運転時間の係数は、蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までの時間に対するボイラ運転時間「Trun」の比とすればよい。
【0120】
そして、ボイラ運転方法決定部112は、AパターンとBパターンのうち、総燃料消費量の少ない一方を運転パターンとして決定する。
【0121】
このようにボイラ運転方法決定部112が決定した運転パターンに基づいて、ボイラ燃焼制御部113が第1ボイラ10a及び第2ボイラ10bを運転すれば、複数のボイラ10が備わる蒸気使用プラント1の省エネルギを図ることができる。
【0122】
なお、図16には一例として60分間の運転パターンを示したが、60分を、蒸気使用プラント1(図14参照)の始動時刻から運転終了時刻までの時間に置き換えることによって蒸気使用プラント1の始動時刻から運転終了時刻までの運転パターンとすることができる。
【0123】
また、3台以上のボイラ10(図14参照)が備わる場合、ボイラ負荷率とボイラ効率に基づいて算出される各ボイラ10ごとの燃料消費量を合計することによって、蒸気使用プラント1(図14参照)の燃料消費量を評価することができる。そして、ボイラ運転方法決定部112(図14参照)は、燃料消費量が最も少なくなるように、ボイラ10の運転パターンを決定すればよい。
【符号の説明】
【0124】
1 蒸気使用プラント
10 ボイラ(蒸気発生装置)
20 蒸気負荷
30 蒸気アキュムレータ(蒸気貯蔵装置)
100 プラント制御装置
109 蒸気需要量予測部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気発生装置と、
前記蒸気発生装置で発生した蒸気を貯蔵する蒸気貯蔵装置と、
前記蒸気貯蔵装置に貯蔵される蒸気が供給される蒸気負荷と、
を含んで構成される蒸気使用プラントに備わり、前記蒸気負荷における蒸気の予測需要量を予測するとともに前記予測需要量に基づいて前記蒸気発生装置の運転パターンを決定し、前記運転パターンに基づいて前記蒸気発生装置を運転するプラント制御装置であって、
前記予測需要量の蒸気が発生する前記蒸気発生装置の負荷率が、予め設定される下限負荷率より低くなる時間帯での前記蒸気発生装置の運転時間が短くなるように、前記運転パターンを決定することを特徴とするプラント制御装置。
【請求項2】
前記下限負荷率が設定変更可能であることを特徴とする請求項1に記載のプラント制御装置。
【請求項3】
前記時間帯に亘る前記予測需要量の積算量と、前記蒸気貯蔵装置の容量と、の少ない一方に相当する貯蔵蒸気量の蒸気が前記時間帯より前に前記蒸気貯蔵装置に貯蔵されるように前記蒸気発生装置が運転されるとともに、前記時間帯において前記蒸気貯蔵装置から前記蒸気負荷に蒸気が供給される間は前記蒸気発生装置の運転が停止されるように、前記運転パターンを決定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプラント制御装置。
【請求項4】
予め設定される設定負荷率で、前記時間帯より前に前記蒸気発生装置が運転されて前記貯蔵蒸気量の蒸気が前記蒸気貯蔵装置に貯蔵されるように、前記運転パターンを決定することを特徴とする請求項3に記載のプラント制御装置。
【請求項5】
前記予め設定される設定負荷率が設定変更可能であることを特徴とする請求項4に記載のプラント制御装置。
【請求項6】
前記時間帯に前記下限負荷率で前記蒸気発生装置が運転されるとともに、前記時間帯より後で、前記蒸気貯蔵装置に貯蔵された蒸気が前記蒸気負荷に供給される間は、前記予測需要量より少なく蒸気が発生する負荷率で前記蒸気発生装置が運転されるように、前記運転パターンを決定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプラント制御装置。
【請求項7】
少なくとも前記予測需要量が最大になるときに、前記予測需要量より少なく蒸気が発生する負荷率で前記蒸気発生装置が運転されるように、前記運転パターンを決定することを特徴とする請求項6に記載のプラント制御装置。
【請求項8】
蒸気発生装置と、
前記蒸気発生装置で発生した蒸気を貯蔵する蒸気貯蔵装置と、
前記蒸気貯蔵装置に貯蔵される蒸気が供給される蒸気負荷と、
を含んで構成される蒸気使用プラントに備わり、前記蒸気負荷における蒸気の予測需要量を予測するとともに前記予測需要量に基づいて前記蒸気発生装置の運転パターンを決定し、前記運転パターンに基づいて前記蒸気発生装置を運転するプラント制御装置であって、
前記予測需要量の蒸気が発生する前記蒸気発生装置の負荷率が予め設定される下限負荷率より低くなる時間帯に亘る前記予測需要量の積算量と、前記蒸気貯蔵装置の容量と、の少ない一方に相当する貯蔵蒸気量の蒸気が前記時間帯より前に前記蒸気貯蔵装置に貯蔵されるように前記蒸気発生装置が運転されるとともに、前記時間帯において前記蒸気貯蔵装置から前記蒸気負荷に蒸気が供給される間は前記蒸気発生装置の運転が停止されるように前記蒸気発生装置の第1運転パターンを決定し、
前記時間帯に前記下限負荷率で前記蒸気発生装置が運転されるとともに、前記時間帯より後で、前記蒸気貯蔵装置に貯蔵された蒸気が前記蒸気負荷に供給される間は、前記予測需要量より少なく蒸気が発生する負荷率で前記蒸気発生装置が運転されるように、前記蒸気発生装置の第2運転パターンを決定し、
さらに、前記蒸気発生装置が前記第1運転パターンに基づいて運転される場合と前記第2運転パターンに基づいて運転される場合の燃料使用量を比較して、前記第1運転パターンと前記第2運転パターンのうち前記燃料使用量が少なくなる一方を前記運転パターンとして決定することを特徴とするプラント制御装置。
【請求項9】
前記下限負荷率が設定変更可能であることを特徴とする請求項8に記載のプラント制御装置。
【請求項10】
予め設定される設定負荷率で、前記時間帯より前に前記蒸気発生装置が運転されて前記貯蔵蒸気量の蒸気が前記蒸気貯蔵装置に貯蔵されるように、前記第1運転パターンを決定することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のプラント制御装置。
【請求項11】
前記予め設定される設定負荷率が設定変更可能であることを特徴とする請求項10に記載のプラント制御装置。
【請求項12】
少なくとも前記予測需要量が最大になるときに、前記予測需要量より少なく蒸気が発生する負荷率で前記蒸気発生装置が運転されるように、前記第2運転パターンを決定することを特徴とする請求項8乃至請求項11のいずれか1項に記載のプラント制御装置。
【請求項13】
蒸気発生装置と、
前記蒸気発生装置で発生した蒸気を貯蔵する蒸気貯蔵装置と、
前記蒸気貯蔵装置に貯蔵される蒸気が供給される蒸気負荷と、
を含んで構成され、
前記蒸気負荷における蒸気の予測需要量を予測するとともに、前記予測需要量に基づいて前記蒸気発生装置を運転するプラント制御装置が備わる蒸気使用プラントの制御方法であって、
前記予測需要量の蒸気が発生する前記蒸気発生装置の負荷率が、予め設定される下限負荷率より低くなる時間帯を算出するステップを有し、
前記時間帯より前に、前記時間帯に亘る前記予測需要量の積算量と、前記蒸気貯蔵装置の容量と、の少ない一方に相当する貯蔵蒸気量の蒸気が前記蒸気貯蔵装置に貯蔵されるように前記蒸気発生装置を運転し、
前記時間帯において前記蒸気貯蔵装置から前記蒸気負荷に蒸気が供給される間は前記蒸気発生装置の運転を停止することを特徴とする蒸気使用プラントの制御方法。
【請求項14】
蒸気発生装置と、
前記蒸気発生装置で発生した蒸気を貯蔵する蒸気貯蔵装置と、
前記蒸気貯蔵装置に貯蔵される蒸気が供給される蒸気負荷と、
を含んで構成され、
前記蒸気負荷における蒸気の予測需要量を予測するとともに、前記予測需要量に基づいて前記蒸気発生装置を運転するプラント制御装置が備わる蒸気使用プラントの制御方法であって、
前記予測需要量の蒸気を発生する前記蒸気発生装置の負荷率が、予め設定される下限負荷率より低くなる時間帯を算出するステップを有し、
前記時間帯に、前記下限負荷率で前記蒸気発生装置を運転し、
前記時間帯より後で、前記蒸気貯蔵装置に貯蔵された蒸気が前記蒸気負荷に供給される間は、前記予測需要量より少なく蒸気が発生する負荷率で前記蒸気発生装置を運転することを特徴とする蒸気使用プラントの制御方法。
【請求項15】
蒸気発生装置と、
前記蒸気発生装置で発生した蒸気を貯蔵する蒸気貯蔵装置と、
前記蒸気貯蔵装置に貯蔵される蒸気が供給される蒸気負荷と、
を含んで構成され、
前記蒸気負荷における蒸気の予測需要量を予測するとともに、前記予測需要量に基づいて前記蒸気発生装置を運転するプラント制御装置が備わる蒸気使用プラントの制御方法であって、
前記予測需要量の蒸気を発生する前記蒸気発生装置の負荷率が、予め設定される下限負荷率より低くなる時間帯を算出するステップと、
前記時間帯に亘る前記予測需要量の積算量と前記蒸気貯蔵装置の容量との少ない一方に相当する貯蔵蒸気量の蒸気が前記時間帯より前に前記蒸気貯蔵装置に貯蔵されるように前記蒸気発生装置が運転され、前記時間帯において前記蒸気貯蔵装置から前記蒸気負荷に蒸気が供給される間は前記蒸気発生装置の運転が停止されるように第1運転パターンを決定するステップと、
前記時間帯に前記下限負荷率で前記蒸気発生装置が運転され、前記時間帯より後で、前記蒸気貯蔵装置に貯蔵された蒸気が前記蒸気負荷に供給される間は、前記予測需要量より少なく蒸気が発生する負荷率で前記蒸気発生装置が運転されるように第2運転パターンを決定するステップと、
前記蒸気発生装置が前記第1運転パターンに基づいて運転される場合と前記第2運転パターンに基づいて運転される場合の燃料使用量を比較し、前記第1運転パターンと前記第2運転パターンのうち前記燃料使用量が少なくなる一方を運転パターンとして決定するステップと、
を有し、決定された前記運転パターンに基づいて前記蒸気発生装置を運転することを特徴とする蒸気使用プラントの制御方法。
【請求項1】
蒸気発生装置と、
前記蒸気発生装置で発生した蒸気を貯蔵する蒸気貯蔵装置と、
前記蒸気貯蔵装置に貯蔵される蒸気が供給される蒸気負荷と、
を含んで構成される蒸気使用プラントに備わり、前記蒸気負荷における蒸気の予測需要量を予測するとともに前記予測需要量に基づいて前記蒸気発生装置の運転パターンを決定し、前記運転パターンに基づいて前記蒸気発生装置を運転するプラント制御装置であって、
前記予測需要量の蒸気が発生する前記蒸気発生装置の負荷率が、予め設定される下限負荷率より低くなる時間帯での前記蒸気発生装置の運転時間が短くなるように、前記運転パターンを決定することを特徴とするプラント制御装置。
【請求項2】
前記下限負荷率が設定変更可能であることを特徴とする請求項1に記載のプラント制御装置。
【請求項3】
前記時間帯に亘る前記予測需要量の積算量と、前記蒸気貯蔵装置の容量と、の少ない一方に相当する貯蔵蒸気量の蒸気が前記時間帯より前に前記蒸気貯蔵装置に貯蔵されるように前記蒸気発生装置が運転されるとともに、前記時間帯において前記蒸気貯蔵装置から前記蒸気負荷に蒸気が供給される間は前記蒸気発生装置の運転が停止されるように、前記運転パターンを決定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプラント制御装置。
【請求項4】
予め設定される設定負荷率で、前記時間帯より前に前記蒸気発生装置が運転されて前記貯蔵蒸気量の蒸気が前記蒸気貯蔵装置に貯蔵されるように、前記運転パターンを決定することを特徴とする請求項3に記載のプラント制御装置。
【請求項5】
前記予め設定される設定負荷率が設定変更可能であることを特徴とする請求項4に記載のプラント制御装置。
【請求項6】
前記時間帯に前記下限負荷率で前記蒸気発生装置が運転されるとともに、前記時間帯より後で、前記蒸気貯蔵装置に貯蔵された蒸気が前記蒸気負荷に供給される間は、前記予測需要量より少なく蒸気が発生する負荷率で前記蒸気発生装置が運転されるように、前記運転パターンを決定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプラント制御装置。
【請求項7】
少なくとも前記予測需要量が最大になるときに、前記予測需要量より少なく蒸気が発生する負荷率で前記蒸気発生装置が運転されるように、前記運転パターンを決定することを特徴とする請求項6に記載のプラント制御装置。
【請求項8】
蒸気発生装置と、
前記蒸気発生装置で発生した蒸気を貯蔵する蒸気貯蔵装置と、
前記蒸気貯蔵装置に貯蔵される蒸気が供給される蒸気負荷と、
を含んで構成される蒸気使用プラントに備わり、前記蒸気負荷における蒸気の予測需要量を予測するとともに前記予測需要量に基づいて前記蒸気発生装置の運転パターンを決定し、前記運転パターンに基づいて前記蒸気発生装置を運転するプラント制御装置であって、
前記予測需要量の蒸気が発生する前記蒸気発生装置の負荷率が予め設定される下限負荷率より低くなる時間帯に亘る前記予測需要量の積算量と、前記蒸気貯蔵装置の容量と、の少ない一方に相当する貯蔵蒸気量の蒸気が前記時間帯より前に前記蒸気貯蔵装置に貯蔵されるように前記蒸気発生装置が運転されるとともに、前記時間帯において前記蒸気貯蔵装置から前記蒸気負荷に蒸気が供給される間は前記蒸気発生装置の運転が停止されるように前記蒸気発生装置の第1運転パターンを決定し、
前記時間帯に前記下限負荷率で前記蒸気発生装置が運転されるとともに、前記時間帯より後で、前記蒸気貯蔵装置に貯蔵された蒸気が前記蒸気負荷に供給される間は、前記予測需要量より少なく蒸気が発生する負荷率で前記蒸気発生装置が運転されるように、前記蒸気発生装置の第2運転パターンを決定し、
さらに、前記蒸気発生装置が前記第1運転パターンに基づいて運転される場合と前記第2運転パターンに基づいて運転される場合の燃料使用量を比較して、前記第1運転パターンと前記第2運転パターンのうち前記燃料使用量が少なくなる一方を前記運転パターンとして決定することを特徴とするプラント制御装置。
【請求項9】
前記下限負荷率が設定変更可能であることを特徴とする請求項8に記載のプラント制御装置。
【請求項10】
予め設定される設定負荷率で、前記時間帯より前に前記蒸気発生装置が運転されて前記貯蔵蒸気量の蒸気が前記蒸気貯蔵装置に貯蔵されるように、前記第1運転パターンを決定することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のプラント制御装置。
【請求項11】
前記予め設定される設定負荷率が設定変更可能であることを特徴とする請求項10に記載のプラント制御装置。
【請求項12】
少なくとも前記予測需要量が最大になるときに、前記予測需要量より少なく蒸気が発生する負荷率で前記蒸気発生装置が運転されるように、前記第2運転パターンを決定することを特徴とする請求項8乃至請求項11のいずれか1項に記載のプラント制御装置。
【請求項13】
蒸気発生装置と、
前記蒸気発生装置で発生した蒸気を貯蔵する蒸気貯蔵装置と、
前記蒸気貯蔵装置に貯蔵される蒸気が供給される蒸気負荷と、
を含んで構成され、
前記蒸気負荷における蒸気の予測需要量を予測するとともに、前記予測需要量に基づいて前記蒸気発生装置を運転するプラント制御装置が備わる蒸気使用プラントの制御方法であって、
前記予測需要量の蒸気が発生する前記蒸気発生装置の負荷率が、予め設定される下限負荷率より低くなる時間帯を算出するステップを有し、
前記時間帯より前に、前記時間帯に亘る前記予測需要量の積算量と、前記蒸気貯蔵装置の容量と、の少ない一方に相当する貯蔵蒸気量の蒸気が前記蒸気貯蔵装置に貯蔵されるように前記蒸気発生装置を運転し、
前記時間帯において前記蒸気貯蔵装置から前記蒸気負荷に蒸気が供給される間は前記蒸気発生装置の運転を停止することを特徴とする蒸気使用プラントの制御方法。
【請求項14】
蒸気発生装置と、
前記蒸気発生装置で発生した蒸気を貯蔵する蒸気貯蔵装置と、
前記蒸気貯蔵装置に貯蔵される蒸気が供給される蒸気負荷と、
を含んで構成され、
前記蒸気負荷における蒸気の予測需要量を予測するとともに、前記予測需要量に基づいて前記蒸気発生装置を運転するプラント制御装置が備わる蒸気使用プラントの制御方法であって、
前記予測需要量の蒸気を発生する前記蒸気発生装置の負荷率が、予め設定される下限負荷率より低くなる時間帯を算出するステップを有し、
前記時間帯に、前記下限負荷率で前記蒸気発生装置を運転し、
前記時間帯より後で、前記蒸気貯蔵装置に貯蔵された蒸気が前記蒸気負荷に供給される間は、前記予測需要量より少なく蒸気が発生する負荷率で前記蒸気発生装置を運転することを特徴とする蒸気使用プラントの制御方法。
【請求項15】
蒸気発生装置と、
前記蒸気発生装置で発生した蒸気を貯蔵する蒸気貯蔵装置と、
前記蒸気貯蔵装置に貯蔵される蒸気が供給される蒸気負荷と、
を含んで構成され、
前記蒸気負荷における蒸気の予測需要量を予測するとともに、前記予測需要量に基づいて前記蒸気発生装置を運転するプラント制御装置が備わる蒸気使用プラントの制御方法であって、
前記予測需要量の蒸気を発生する前記蒸気発生装置の負荷率が、予め設定される下限負荷率より低くなる時間帯を算出するステップと、
前記時間帯に亘る前記予測需要量の積算量と前記蒸気貯蔵装置の容量との少ない一方に相当する貯蔵蒸気量の蒸気が前記時間帯より前に前記蒸気貯蔵装置に貯蔵されるように前記蒸気発生装置が運転され、前記時間帯において前記蒸気貯蔵装置から前記蒸気負荷に蒸気が供給される間は前記蒸気発生装置の運転が停止されるように第1運転パターンを決定するステップと、
前記時間帯に前記下限負荷率で前記蒸気発生装置が運転され、前記時間帯より後で、前記蒸気貯蔵装置に貯蔵された蒸気が前記蒸気負荷に供給される間は、前記予測需要量より少なく蒸気が発生する負荷率で前記蒸気発生装置が運転されるように第2運転パターンを決定するステップと、
前記蒸気発生装置が前記第1運転パターンに基づいて運転される場合と前記第2運転パターンに基づいて運転される場合の燃料使用量を比較し、前記第1運転パターンと前記第2運転パターンのうち前記燃料使用量が少なくなる一方を運転パターンとして決定するステップと、
を有し、決定された前記運転パターンに基づいて前記蒸気発生装置を運転することを特徴とする蒸気使用プラントの制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−145242(P2012−145242A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2365(P2011−2365)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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