説明

プリズム層形成用組成物およびこれから製造されたプリズムフィルム

プリズム層形成用組成物およびこれから製造されたプリズムフィルムを開示する。前記プリズム層形成用組成物は、化学式1または化学式2で表わされるフルオレン誘導体ジアクリレート単量体を含む紫外線硬化型単量体[A]、1種または2種以上のアクリレート単量体を含む紫外線硬化型単量体[B]、光開始剤、および添加剤を含んでなり、これにより、表面強度、基材フィルムとの接着力および黄変防止特性に優れるうえ、プリズム層の形成に適した粘度特性を持つ。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、プリズム層形成用組成物およびこれから製造されたプリズムフィルムに関する。さらに詳しくは、本発明は、表面強度、基材フィルムとの接着力および黄変防止特性に優れる上に、プリズム層の形成に適した粘度特性を持つプリズム層形成用組成物、ならびにこれから製造されたプリズムフィルムに関する。
【0002】
〔背景技術〕
一般に、プリズムフィルムは、液晶ディスプレイ(LCD)の背面に配置されるバックライトユニットの輝度を向上させるために用いられるもので、今日まで、バックライトユニットの輝度を高めるために様々な試みが行われてきた。バックライトユニットの輝度を高めるために様々な試みが行われてきた。バックライトユニットの光の流れを適切に利用することにより、バックライトユニットの輝度を高めることができる。光を波動性と粒子性とによって解釈される干渉、回折、偏光および光粒子原理を適切に利用することが可能な立体構造を採用すると、光の流れを制御することができる。その上このような立体構造を構成する物質の物理的特性を変形させることにより、光の流れをさらに制御することができる。その結果、ユーザの所望の方向に光粒子は放出されて、これにより、その方向における輝度を向上させることができる。光源装置の正面輝度の増加を目的として特別な立体構造を持つように製作された代表的なフィルムは、米国特許登録第4,542,449号、同第4,906,070号、および韓国特許出願第1986−0009868号に開示されている。
【0003】
これらのフィルムは、一面には凹凸表面を、他面には滑らかな面を持つプリズム層を有するが、前記凹凸表面は並んで配列された複数の二等辺三角形が滑らかな面と約45°の角度を成して線形配列されている。さらに、輝度増加フィルム(以下、「プリズムフィルム」という)を提供するために、このようなプリズム層を持つフィルム2枚は90°ずらすように重ね合わされる。
【0004】
また、プリズムフィルムのプリズム層を構成する物質の一つの重要な光学的変数として屈折率を挙げることができ、屈折率が高いほど、プリズムフィルムの性能が向上する。高い屈折率を持つプリズムフィルムがLCDバックライトの効率増加のために用いられた例は、日本特開平5−127159に開示されている。一方、配列方法に関する例は、日本特開平5−323319に開示されている。
【0005】
一般に、プリズムフィルムのプリズム層は、フリーラジカルによって重合可能な高分子樹脂、特に紫外線硬化型樹脂で形成される。屈折率の高い紫外線硬化型高分子物質の代表的な例としては、芳香族を1つもしくは2つ以上含有した(メタ)アクリレート、フッ素以外のハロゲンを含有した(メタ)アクリレート、または硫黄を含有した(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。このような高屈折高分子樹脂を適切に混合してプリズムフィルムを製作し、このプリズムフィルムをバックライトユニットに適用している。
【0006】
ところが、高屈折樹脂として芳香族を含む化合物は、紫外線に長時間晒されると、黄変が発生するおそれがある。すなわち、バックライトユニットが冷陰極蛍光ランプ(CCFL)を光源として使用し、冷陰極蛍光ランプが紫外線を一部放出するので、冷陰極蛍光ランプの数が多いほど、また、冷陰極蛍光ランプに晒される時間が長いほど、高屈折高分子樹脂に累積する紫外線の量は急激に増加する。従って、芳香族によって、発色団が生成されて、望ましくない黄変がもたらされる。このような黄変はプリズムフィルムの性能を低下させる。したがって、プリズムフィルムのプリズム層形成用高屈折組成物は紫外線に対する黄変防止手段が必要である。
【0007】
また、プリズムフィルムのプリズム層形成用高屈折組成物は、紫外線に対して安定でなければならない条件以外にも、透明基材フィルムに高屈折高分子樹脂が堅く支持されるために十分な接着力を維持し、且つ表面強度を増加させることが可能な条件を必要とする。しかも、高屈折組成物の粘度が高ければ加工上の難しさがあるので、常温で液体状態を保つことが好ましい。
【0008】
現在、上記条件を全て満足させることが可能な高屈折組成物の開発が切実に求められている。
【0009】
〔発明の開示〕
そこで、本発明の目的は、プリズムフィルム形成後の表面強度および基材フィルムとの接着力が向上し、プリズムフィルムのプリズム層の形成に適した粘度特性を有し、紫外線による黄変を防止する特性などに優れたプリズムフィルムのプリズム層形成用組成物を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、前記組成物から製造されたプリズムフィルムを提供することにある。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、下記化学式1または化学式2で表わされるフルオレン誘導体ジアクリレート単量体を含む紫外線硬化型単量体[A]、少なくとも1種のアクリレート単量体を含む紫外線硬化型単量体[B]、光開始剤、および添加剤を含んでなることを特徴とする、プリズムフィルムのプリズム層形成用組成物を提供する。
【0012】
【化1】

【0013】
式中、XおよびXはそれぞれHまたはCH、Y〜YはそれぞれH、CHまたはOH、aおよびbはそれぞれ0〜4の整数を示す。
【0014】
【化2】

【0015】
式中、XおよびXはそれぞれHまたはCH、YおよびYはそれぞれHまたはCH、cおよびdはそれぞれ0〜4の整数を示す。
【0016】
前記紫外線硬化型単量体[B]は、イソシアヌレート環を持つ多官能性アクリレート単量体、またはテトラヒドロフルフリルアクリレート(Tetrahydrofurfurylacrylate)、2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート(2(2-ethoxyethoxy)ethylacrylate)および1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(1,6-hexandioldiacrylate)からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体であることを特徴とする。
【0017】
また、前記紫外線硬化型単量体[B]は、イソシアヌレート環を持つ多官能性アクリレート単量体と、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート(2(2-ethoxyethoxy)ethylacrylate)および1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(1,6-hexandioldiacrylate)からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体とを含むことを特徴とする。
【0018】
前記イソシアヌレート環を持つ多官能性アクリレート単量体は、トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートトリアクリレート単量体であることを特徴とする。
【0019】
前記紫外線硬化型単量体[B]は、前記紫外線硬化型単量体[A]100重量部に対して1〜80重量部で用いられることを特徴とする。
【0020】
前記プリズムフィルムのプリズム層形成用組成物は、1.50以上の屈折率、および25℃において2000cps以下の粘度を持つアクリル系単量体を含む紫外線硬化型単量体[C]をさらに含んでなることを特徴とする。
【0021】
前記紫外線硬化型単量体[C]は、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエートアクリレート、およびフェニルフェノキシエタノールアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体であることを特徴とする。
【0022】
前記紫外線硬化型単量体[C]は、前記紫外線硬化型単量体[A]100重量部に対して5〜100重量部で用いられることを特徴とする。
【0023】
前記添加剤は、紫外線吸収剤および/またはヒンダードアミン系安定剤(Hindered Amine Light Stabilizer)であることを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、透明基材フィルムと、前記組成物を用いて前記透明基材フィルムの一面に形成されたプリズム層とを含んでなることを特徴とする、プリズムフィルムを提供する。
【0025】
前記プリズムフィルムは、その他面(プリズム層の反対面)に形成され且つ屈折率が前記透明基材フィルムより低い低屈折層をさらに含んでなることを特徴とする。
【0026】
前記低屈折層は有機または無機粒子を含むことを特徴とする。
【0027】
〔発明を実施するための最良の様態〕
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0028】
本発明のプリズムフィルムのプリズム層形成用組成物は、いろんな種類の紫外線硬化型単量体、光開始剤、および添加剤を含む。
【0029】
まず、紫外線硬化型単量体[A]は、下記化学式1または化学式2で表わされるフルオレン誘導体ジアクリレート類単量体である。
【0030】
【化3】

【0031】
式中、XおよびXはそれぞれHまたはCH、Y〜YはそれぞれH、CHまたはOH、aおよびbはそれぞれ0〜4の整数を示す。
【0032】
【化4】

【0033】
式中、XおよびXはそれぞれHまたはCH、YおよびYはそれぞれHまたはCH、cおよびdはそれぞれ0〜4の整数を示す。
【0034】
前記化学式1または化学式2で表わされるフルオレン誘導体ジアクリレート類単量体は、屈折率1.55〜1.65の高屈折物質であって、これにより、硬化後のプリズム層の高屈折率が維持される。さらに、前記単量体は、耐熱性および耐光性に優れるため、プリズムフィルムのプリズム層を形成する物質として使用されるのが好ましい。
【0035】
上述したフルオレン誘導体ジアクリレート類単量体が硬化した後の基材フィルムへの接着力および表面硬度を向上させるために、紫外線硬化型単量体[B]として、イソシアヌレート環を持つ多官能性アクリレート単量体、またはテトラヒドロフルフリルアクリレート、2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレートおよび1,6−ヘキサンジオールジアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体を使用することができる。
【0036】
また、前記紫外線硬化型単量体[B]として、前記イソシアヌレート環を持つ多官能性アクリレート単量体と、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレートおよび1,6−ヘキサンジオールジアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体との混合物を使用することができる。
【0037】
この際、前記イソシアヌレート環を持つ多官能性アクリレート単量体は、トリス(2−ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートトリアクリレート単量体であってもよい。
【0038】
前記イソシアヌレート環を持つ多官能性アクリル単量体は、多官能基を持つことにより、本発明に係る組成物の紫外線硬化の際に架橋剤の役割を果たしてガラス転移温度を上昇させ、これにより硬化後の硬度を増加させる。また、前記イソシアヌレート環を持つ単量体は、非局在化電子が均一に配置されている化学構造であって、電子密度の勾配による物理的な接着力を確保することにより、本発明に係る組成物の硬化後の基材フィルムへの接着力が向上する効果を奏することができる。
【0039】
一方、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレートおよび1,6−ヘキサンジオールジアクリレートの中から選ばれる少なくとも1種の単量体は、本発明に係る組成物の硬化の際に基材フィルムの表面の微細隙間への内部浸透能力を持っているから、本発明に係る組成物の硬化後の基材フィルムへの接着力をさらに向上させることができる。
【0040】
前記紫外線硬化型単量体[B]の含量は、前記紫外線硬化型単量体[A]100重量部に対して1〜80重量部であることが好ましい。
【0041】
この際、紫外線硬化型単量体[B]として、前記イソシアヌレート環を持つ多官能性アクリレート単量体と、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレートおよび1,6−ヘキサンジオールジアクリレートの中から選ばれる少なくとも1種の単量体との混合物を使用する場合には、前記イソシアヌレート環を持つ多官能性アクリレート単量体とテトラヒドロフルフリルアクリレート、2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレートおよび1,6−ヘキサンジオールジアクリレートの中から選ばれる少なくとも1種の単量体との混合割合を5〜40:1〜5重量比とすることが好ましい。
【0042】
本発明の組成物の粘度を加工に適した程度に維持することを可能とするために、本発明の組成物は、紫外線硬化型単量体[C]として、前記紫外線硬化型単量体[A]であるフルオレン誘導体ジアクリレート類単量体に対する溶解性に優れる上に、溶解後の組成物の粘度を減少させるのに十分に低い粘度を持つ単量体を使用することができる。そのような紫外線硬化型単量体[C]は、1.50以上の屈折率、および25℃において2000cps以下の粘度を持つアクリル系単量体を含む。その具体的な例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエートアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、およびフェニルフェノキシエタノールアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体であることが好ましい。
【0043】
このような紫外線硬化型単量体[C]は、前記紫外線硬化型単量体[A]であるフルオレン誘導体ジアクリレート類単量体100重量部に対して5〜100重量部で用いられることが好ましい。
【0044】
本発明の組成物は、前記紫外線硬化型単量体の光重合を開始する光開始剤として、ホスフィンオキシド(phospine oxide)系、プロパノン(propanone)系、ケトン(ketone)系およびギ酸塩(formate)系光開始剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、この際、全体組成物100重量部に対して0.1〜5重量部で用いられることが好ましい。
【0045】
この他にも、本発明のプリズム層形成用組成物は必要に応じて添加剤を含むことができる。
【0046】
本発明は、代表的な添加剤として紫外線吸収剤を含むことにより、プリズムフィルムの長時間使用の際に紫外線により発生する黄変現象を防止することができる。
【0047】
本発明で使用可能な紫外線吸収剤は、光源から発生する紫外線の波長長さに応じて選択的に使用することができ、代表的には、シュウ酸アニリド(oxalic anilide)系、ベンゾフェノン(benzophenone)系、ベンゾトリアジン(benzotriazin)系、およびベンゾリアゾール(bensotriazole)系の紫外線吸収剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を選択して使用すればよい。これは全体組成物100重量部に対して0.1〜5重量部で用いられることが好ましい。
【0048】
また、添加剤としてヒンダードアミン系安定剤(Hindered Amine Light Stabilizer)を全体組成物100重量部に対して0.1〜5重量部で用いることにより、前記紫外線吸収剤の性能をさらに向上させることができる。
【0049】
これ以外の添加剤として帯電防止剤も含むことができる。
【0050】
次に、上述したプリズムフィルムのプリズム層形成用組成物を用いたプリズムフィルムについて説明する。
【0051】
本発明のプリズムフィルムは、透明基材フィルムと、上述した本発明のプリズム層形成用組成物を用いて前記透明基材フィルムの一面に形成されたプリズム層とを含んでなることが特徴である。
【0052】
上述した本発明の組成物を、輝度向上機能を持つ立体構造物(プリズム構造物)が印刻されたフレームにコートし、前記透明基材フィルムの一面を、前記印刻フレームにコートされたコーティング面と接触させた状態で、前記透明基材フィルム側へ紫外線を照射して、フレームにコートされた組成物を光硬化させ、前記透明基材フィルムに接着されて硬化したコーティング層を印刻フレームから分離することにより、前記透明基材フィルムの一面にプリズム層を形成させることができる。
【0053】
また、前記透明基材フィルムの他面には、前記透明基材フィルムより屈折率が低い低屈折層を形成することができる。前記低屈折率層は有機または無機粒子を含むことができる。
【0054】
代表的に使用される有機粒子には、メチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アクリルアミド、メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、エチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート重合体などのアクリル系、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系粒子、アクリルとオレフィン系の共重合体、および単独重合体の粒子を形成した後、その層上に他の種類の単量体を覆って作る多層多成分系粒子などの有機粒子がある。
【0055】
無機系粒子も使用可能である。たとえば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタニウム、酸化ジルコニウム、フッ化マグネシウムなどの無機系粒子が使用可能である。上述した有機粒子および無機粒子は、例示的なものに過ぎず、前記羅列した有機または無機材質の粒子に限定されず、本発明の主な目的が達成できる限りは、他の公知の材料に幾らでも代置できることは当業者には自明であり、このような材質変更の場合もやはり本発明の技術的思想の範疇内のものと思われるべきである。
【0056】
以下、本発明の実施例について説明するが、これらの実施例は本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものと解釈されてならない。
【0057】
<実施例1〜6>
本発明の組成物に対する実施例1〜6の組成および組成比は下記表1の通りである。
【0058】
下記表1の組成および組成比の通りにした本発明のプリズム層形成用組成物を、通常の公知の方法で、輝度向上機能を持つ立体構造物(プリズム層)が印刻されたフレームにコートし、屈折率1.58〜1.64の透明基材フィルム(PETフィルム)の一面を、前記印刻フレームにコートされたコーティング面と接触させた状態で、前記透明基材フィルム側へ紫外線を照射して、フレームにコートされた組成物を光硬化させ、前記透明基材フィルムに接着されて硬化したコーティング層を印刻フレームから分離することにより、前記透明基材フィルムの一面にプリズム層が形成された本発明の実施例としてプリズムフィルムを製造した。
【0059】
この際、紫外線システムは、米国Fusion社の無電極型紫外線照射装置(600W/inch)にType−D blubを装着して900mJ/cmを照射した。
【0060】
【表1】

【0061】
<実施例7〜12>
前記実施例1〜6の組成および組成比のプリズム層形成用組成物を用いて、前記実施例1〜6と同様の方法で透明基材フィルムの一面にプリズム層を形成し、前記透明基材フィルムの他面に、屈折率1.48〜1.50のアクリレート単量体を主成分とする紫外線硬化型コーティング液を製造してコートした後、紫外線硬化方法で低屈折層を形成した。
【0062】
<実施例13〜16>
前記実施例1、2、5および6の組成および組成比のプリズム層形成用組成物を用いて、前記実施例1〜6と同様の方法で透明基材フィルムの一面にプリズム層を形成し、前記透明基材フィルムの他面に、屈折率1.48〜1.50のアクリレート単量体を主成分とし且つメチルメタクリレート粒子を含む紫外線硬化型コーティング液を製造してコートした後、紫外線硬化方法で低屈折層を形成した。
【0063】
前記実施例に対する評価方法は下記の通りである。
【0064】
(1)組成物の屈折率評価
組成物の屈折率を測定するために屈折計(モデル名:1T、日本ATAGO ABBE)を用いて屈折率を測定した。測定のための光源は589.3nmのD光線ナトリウムランプを用いた。
【0065】
(2)組成物硬化後の屈折率評価
組成物の硬化後の屈折率を測定するためにPETフィルムの上部に組成物をコートした後、表面上に表面の滑らかな金属板を重ねて厚さが20μmとなるように圧力を加えた後、米国Fusion社の無電極型紫外線照射装置(600W/inch)にType−D blubを装着して700mJ/cmのエネルギーをPETフィルム方向から照射し、金属板を分離した。組成物が硬化したPETフィルムを屈折計(モデル名:1T、日本ATAGO ABBE)を用いて測定した。測定のための光源は589.3nmのD光線ナトリウムランプを用いた。
【0066】
(3)粘度
製造されたそれぞれのコーティング液をブルックフィールド粘度計(BROOKFIELD Viscometer、モデル名:HBDV−II+)を用いて測定温度25℃で粘度を測定した。
【0067】
(4)輝度(Cd/m
17インチ液晶ディスプレイパネル用バックライトユニット(モデル名:LM170E01、韓国HEESUNG電子)に、前記製作された実施例のプリズムフィルムを固定し、輝度計(モデル名:BM−7、日本TOPCON社)を用いて13ヶ所の輝度を測定して平均値を求めた。
【0068】
(5)初期色座標の測定
前記(3)の輝度評価の際に発生する13ヶ所の色座標値を平均とした。色座標体系は国際標準規格であるCIE Laとし、b値を表記する。
【0069】
(6)紫外線黄変の測定
6−1)輝度(Cd/m
80℃、0.34W/mWeather−O−meterに200時間放置した後、前記(4)の方法と同様にして輝度を測定した。
【0070】
6−2)黄変
80℃、0.34W/mWeather−O−meterに200時間放置した後、前記(5)の方法と同様にして色座標を測定した。色座標体系は国際標準規格であるCIEIaとし、b値を表記する。
【0071】
(7)接着力の評価(分離された個数/100)
透明PET基材フィルムに組成物をコートした後、表面上に表面の滑らかな金属板を重ねて厚さが3μmとなるように圧力を加えた後、硬化させて金属板を除去し、その後硬化した厚さのみを10×10mmの領域内で100個のマトリックス構造に切断した後、その上にテープを接着し、垂直に強く離型することにより分離されたマトリックスの数を計測した。
【0072】
(8)柔軟性の評価
透明PET基材フィルムに組成物をコートし、表面上に表面の滑らかな金属板を重ねて厚さが3μmとなるように圧力を加えた後、硬化させて金属板を除去した。その後硬化した塗膜が外方を向かうように二つに折り曲げられたとき、透明PET基材フィルムとコーティング物との接着状態を肉眼で判別した。
【0073】
(塗膜が維持される←◎>○>△>×→塗膜が分離される)
前記実施例の組成物およびプリズムフィルムを上述した評価方法によって評価し、その結果は表2に示す。
【0074】
【表2】

【0075】
前記表2に示すように、本発明の実施例1〜6は、プリズムフィルムのプリズム層が高屈折率を持ちながら、生産工程の際に作業し易い粘度範囲を持つことが分かる。また、硬化後の基材フィルムへの接着力および柔軟性にも優れることが分かる。
【0076】
また、透明基材層の他面に低屈折層をさらに含んだ実施例7〜12は透明基材層の他面に低屈折層を含んでいない実施例1〜6に比べて輝度が約0.5%増加することが分かる。また、透明基材層の他面に低屈折層をさらに含んでもフィルムの柔軟性には変わりがないことが分かる。
【0077】
透明基材層の他面に低屈折層および有機または無機粒子を含んだコーティング層を持つ実施例13〜16は、透明基材層の他面に低屈折層を含むが有機または無機粒子は含んでいない実施例7〜12に比べて輝度がやや減少する傾向を示す。ところが、これは無視できる程度の値であって、輝度差異がないものと見なされる。
【0078】
〔産業上の利用可能性〕
本発明は、高屈折の組成物であって、プリズムフィルムのプリズム層の形成に適した粘度特性を有し、プリズムフィルム形成後の基材フィルムとの接着力が向上し、紫外線による黄変を防止する特性などに優れたプリズム層形成用組成物、およびこれから製造されたプリズムフィルムを提供する。
【0079】
本発明の好適な実施例を例示の目的で開示したが、当業者であれば、添付した特許請求範囲に開示されたような本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多様な変形、付加および代替が可能なことが理解できるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1または化学式2で表わされるフルオレン誘導体ジアクリレート単量体を含む紫外線硬化型単量体[A]と、
少なくとも1種のアクリレート単量体を含む紫外線硬化型単量体[B]と、
光開始剤と、
添加剤とを含んでなることを特徴とする、プリズムフィルムのプリズム層形成用組成物。
【化1】

(式中、XおよびXはそれぞれHまたはCH、Y〜YはそれぞれH、CHまたはOH、aおよびbはそれぞれ0〜4の整数を示す。)
【化2】

(式中、XおよびXはそれぞれHまたはCH、YおよびYはそれぞれHまたはCH、cおよびdはそれぞれ0〜4の整数を示す。)
【請求項2】
前記紫外線硬化型単量体[B]は、イソシアヌレート環を持つ多官能性アクリレート単量体、またはテトラヒドロフルフリルアクリレート(Tetrahydrofurfurylacrylate)、2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート(2(2-ethoxyethoxy)ethylacrylate)および1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(1,6-hexandioldiacrylate)からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体であることを特徴とする、請求項1に記載のプリズムフィルムのプリズム層形成用組成物。
【請求項3】
前記紫外線硬化型単量体[B]は、イソシアヌレート環を持つ多官能性アクリレート単量体と、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート(2(2-ethoxyethoxy)ethylacrylate)および1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(1,6-hexandioldiacrylate)からなる群から選択される少なくとも1種の単量体とを含むことを特徴とする、請求項2に記載のプリズムフィルムのプリズム層形成用組成物。
【請求項4】
前記イソシアヌレート環を持つ多官能性アクリレート単量体はトリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートトリアクリレート単量体であることを特徴とする、請求項2または3に記載のプリズムフィルムのプリズム層形成用組成物。
【請求項5】
前記紫外線硬化型単量体[B]は前記紫外線硬化型単量体[A]100重量部に対して1〜80重量部で用いられることを特徴とする、請求項1に記載のプリズムフィルムのプリズム層形成用組成物。
【請求項6】
前記プリズムフィルムのプリズム層形成用組成物は、1.50以上の屈折率および25℃において2000cps以下の粘度を持つアクリル系単量体を含む紫外線硬化型単量体[C]をさらに含んでなることを特徴とする、請求項1に記載のプリズムフィルムのプリズム層形成用組成物。
【請求項7】
前記紫外線硬化型単量体[C]は、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエートアクリレート、およびフェニルフェノキシエタノールアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体であることを特徴とする、請求項6に記載のプリズムフィルムのプリズム層形成用組成物。
【請求項8】
前記紫外線硬化型単量体[C]は前記紫外線硬化型単量体[A]100重量部に対して5〜100重量部で用いられることを特徴とする、請求項6に記載のプリズムフィルムのプリズム層形成用組成物。
【請求項9】
前記添加剤は紫外線吸収剤および/またはヒンダードアミン系安定剤であることを特徴とする、請求項1に記載のプリズムフィルムのプリズム層形成用組成物。
【請求項10】
透明基材フィルムと、
前記請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物を用いて前記透明基材フィルムの一面に形成されたプリズム層とを含んでなることを特徴とする、プリズムフィルム。
【請求項11】
前記プリズムフィルムは、その他面(プリズム層の反対面)に形成され且つ屈折率が前記透明基材フィルムより低い低屈折層をさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載のプリズムフィルム。
【請求項12】
前記低屈折層は有機または無機粒子を含むことを特徴とする、請求項11に記載のプリズムフィルム。

【公表番号】特表2008−528755(P2008−528755A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553033(P2007−553033)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際出願番号】PCT/KR2006/000306
【国際公開番号】WO2006/080813
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(507255400)コーロン インダストリーズ インコーポレイテッド/コリア (1)
【Fターム(参考)】