説明

プリントコイル基板、対物レンズ駆動装置、光ピックアップおよび光ディスク装置

【課題】並列と直列の接続を組み合わせてコイルパターンの電気抵抗値を調整し、熱的な許容値に達しない範囲で電圧感度を上げる。
【解決手段】1層目と2層目のコイルパターンA,Bの外周側末端部をスルーホール12のaで接続し、1層目から4層目のコイルパターンA,B,C,Dの内周側末端部を1つのスルーホール12のbで接続し、3層目と4層目のコイルパターンC,Dの外周側末端部をスルーホール12のcで接続する。それぞれスルーホール12で接続されたコイルパターンの各末端部は、ランド部11や他のコイルパターンと接続される。1層目と2層目を並列に接続し、3層目と4層目を並列に接続した各コイルパターンを直列に接続した場合と同じ合成抵抗値になる。これにより、4Rだった抵抗値は4分の1のRになる。同じ電圧を印加しても、コイルパターンに流れる電流が4倍になるために、電圧感度が改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに記録,再生を行う装置に用いる、プリントコイル基板、対物レンズ駆動装置、光ピックアップおよび光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図24は従来の対物レンズ駆動装置の一例を示す斜視図、また図25はコイルの配置を説明するために図24における駆動磁石を外した状態を示す斜視図である。図24,図25において、1は対物レンズ、2は対物レンズ1を中央上部に可動部であるレンズ枠、3はレンズ枠2に保持されているフォーカシングコイル、4はレンズ枠2に保持されているトラッキングコイル、5はレンズ枠2を保持する4本のワイヤばね、6は固定部材、7は固定部材6を固定配置したベース、8はフォーカシングコイル3およびトラッキングコイル4に対向配置された駆動磁石を示す。
【0003】
対物レンズ1を保持するレンズ枠2のジッタ方向における両側側面にはフォーカシングコイル3およびトラッキングコイル4が取り付けられており、中央部にはトラッキングコイル4が配置され、このトラッキングコイル4に対してトラッキング方向両側にはフォーカシングコイル3,3が配置されている。以下、レンズ枠2に対物レンズ1、フォーカシングコイル3およびトラッキングコイル4が取り付けたものを可動部、固定部材6およびベース7等を固定部ということにする。
【0004】
レンズ枠2のトラッキング方向両側部にジッタ方向を長手方向とするワイヤばね5の一端部が接続され、他端部が固定部材6に固定されることにより、可動部は、固定部に対してワイヤばね5によってフォーカシング方向、トラッキング方向、ラジアルチルト方向に変位可能に片持ち支持されるようになる。各ワイヤばね5はジッタ方向に平行であり、可動部のトラッキング方向両側において2本ずつフォーカシング方向に並列配置されている。
【0005】
また、駆動磁石8はベース7に一体に形成されたヨーク9,9に固定されている。この駆動磁石8がフォーカシング,トラッキングコイル3,4に対向して所定のギャップを隔てた位置に配置されることによって磁気回路が構成されている。
【0006】
可動部のフォーカシング,トラッキングコイル3,4にはワイヤばね5を介して外部から電流が供給することが可能なように電気的に接続されており、フォーカシング,トラッキングコイル3,4に電流を供給することによって、対物レンズ1を所望の方向に駆動することができる。
【0007】
図26は、図24に示すフォーカシング,トラッキングコイル3,4の代わりに、フォーカシング,トラッキングコイル3,4の機能を果たす渦巻状の導電パターンを有するコイルパターンが絶縁基板に形成されてなるプリントコイル基板10を、レンズ枠2に取り付けたものであり、対物レンズ1を駆動させる原理は、図24に示す装置と同じである。
【0008】
また、組み付け作業性の向上や、コイル部の軽量化を狙った、プリント基板に渦巻状のパターンを形成したプリントコイル基板10を取り付けた図26の対物レンズ駆動装置と原理は同じであり、図27に示すように、1枚のプリントコイル基板10を取り付ける形態もある。
【0009】
図28,図29は駆動磁石の着磁パターンの例を示すものであり、中央にフォーカシング方向の着磁境界線gを有し、その両側に、フォーカシング方向の着磁境界線とトラッキング方向の着磁境界線からなるL字型の着磁境界線h,iを有している。図28に示すパターンは着磁境界線gに対して着磁境界線h,iが点対称に位置し、図29に示すパターンは着磁境界線gに対して着磁境界線h,iが線対称に位置するものである。なお、駆動磁石の着磁パターンにおいて、L字型の着磁境界線h,iを2辺とする矩形の着磁領域を矩形型パターン、駆動磁石においてこの矩形型パターンを形成する磁石を矩形型パターン部、着磁境界線g,h,iを含むように囲まれるL字型の着磁領域をL字型パターン、駆動磁石においてこのL字型パターンを形成する磁石をL字型パターン部と称することにする。
【0010】
このように、それぞれのフォーカシング,トラッキングコイル3,4は、着磁境界線を跨ぐように配置されており、フォーカシング,トラッキングコイル3,4は電流を流すことによって、フォーカシングコイル3は、図30に示すように、フォーカシング方向の推力を発生させ、トラッキングコイル4は、図31に示すように、トラッキング方向に駆動力が発生する。
【0011】
ここで、左右のフォーカシングコイル3,3を個別に制御することにより、ラジアル方向に姿勢を制御することも可能である。また取り付け面ごとに、フォーカシング駆動力を個別制御することによりタンジェンシャル方向に対物レンズ1の姿勢を制御することも可能である。さらに、フォーカシングコイル3,3と略同軸にコイルを貼り合わせるなどして、チルトコイルを配置することも提案されている。
【0012】
また、特許文献1には、磁気回路部と、被駆動体と、被駆動体に一体的に設けられたボイスコイルボビンと、磁気回路部の磁気ギャップ内に配置されたボイスコイルボビンの外周面にボイスコイルボビンの移動方向に並列して巻回されるとともに、互いに並列に接続された第1および第2のボイスコイルとを備え、磁気回路部から発生する磁束およびボイスコイルに供給される駆動電流を有効に利用して、大きな駆動力を持って、能率良く、かつ駆動電流に対し応答性よく被駆動体を駆動させることが記載されている。
【0013】
また、特許文献2には、コイルの抵抗を減少させて機器に印加される駆動電流を増加させるように、少なくとも2本以上のコイルを巻き取る。これにより、電圧駆動方式のサーボ回路でアクチュエータを駆動時に駆動電流を増加させ、高域感度を増加させること記載されている。
【0014】
また、特許文献3には、駆動コイルを同一方向に並列に巻回される複数の巻き線により分割して形成し、巻き線1本当たりの巻回数を減らしてインダクタンスを低減するとともに、複数の巻き線が並列に接続されることによる抵抗値の減少を補償して、これにより位相遅れを低減するとともに、過電流を防止することが記載されている。
【0015】
また、特許文献4には、アクチュエータの対物レンズホルダー上に1組のフォーカシングコイルと1組のトラッキングコイルと1組のチルト調整コイルと配置して4本の導線で接続し、4本の導線のうち3本をフォーカシングコイル制御端、トラッキングコイル制御端、チルト調整コイル制御端として、3組のコイルの接地端を並列接続して残り1本の導線により共通接地端とすることにより、3組のコイルの制御端をそれぞれ回路に接続して、フォーカシング制御、トラッキング制御、チルト調整制御を行うことが記載されている。
【特許文献1】特開平9−139996号公報
【特許文献2】特開平9−330812号公報
【特許文献3】特開2000−242946号公報
【特許文献4】特開2001−273659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前述したように、磁気回路とこの磁気回路中に配置されるコイルとからなるアクチュエータの駆動力(F)は、磁気回路中に配置されたコイルを透過する磁束密度(B)と磁気回路中に配置されるコイルの駆動に有効な部分の長さ(L)とコイルに供給される電流(I)の積から、次に示す式「F=B・L・I」によって求められる。ここで、磁束密度(B),長さ(L),電流(I)を大きくすれば、大きな駆動力(F)を得ることができる。
【0017】
まず、磁束密度(B)を上げるには、配置する磁石を大きくすること、多量の磁束を発生させる磁石を選択することが考えられる。この場合、磁石のスペースが問題となり、さらに、既存の磁石の残留磁束密度に上限があって、得られる磁束に限界がある。
【0018】
また、磁石とコイルパターンのギャップを小さくし、コイルを透過する磁束密度を上げることも考えられる。しかし、駆動装置を構成する部品寸法や作業のバラツキにより、磁石とプリントコイル基板の間隔もバラツキが生じることになり、多少のバラツキがあったとしても、磁石とコイルが接触することがないようにするために、必要な隙間は確保しなくてはならないため、この方法にも限界がある。
【0019】
長さ(L)を増やすには、コイルパターンの駆動力発生に有効な部分を大きくしたり、コイルパターンの巻き数を増やしたりすればよい。しかし、コイルパターンを配置できるスペースは限られており、それによって巻き数も決まってしまう。限られたスペースに多くの巻き数を得ようとすれば、コイルパターンの線材を細くすることが考えられる。またプリントコイル基板の場合は、線と線の間隔を詰めるようにすることも考えられる。しかし、これらを行うと導線の断面積が狭くなり、導線が長くなるので、コイルパターンの電気抵抗が大きくなってしまい、コイルパターンを流れる電流が低下する問題が生じる。
【0020】
プリントコイル基板は、コイルパターン作製上の制約として、コイルパターンの間隔や幅を狭くするにも限界があったが、近年の作製技術の進歩により、より細い線を、狭いピッチで形成できるようになってきており、電気抵抗増加を解決できれば、大きな駆動力を得ることができる。電気抵抗を小さくして、駆動電流を大きくする方法として、コイル線材を並列に巻いたり、巻き数の少ないコイルパターンを重ねて配置したり、並列に接続することで、抵抗値を下げることが知られている。しかし、複数の線を並列に巻くと、単線を巻く場合に比べコイルの形が乱れやすいこと、複数のコイルを重ねて取り付けるのは作業が煩雑になるという問題があった。
【0021】
ところで、磁束密度が一様に分布していれば、図30,図31に示すように、トラッキングコイル4で発生するフォーカシング方向の駆動力とフォーカシングコイル3で発生するトラッキング方向の駆動力は、それぞれの位置で、違った方向に駆動力発生することで、相殺される。しかし、図28や図29のようなパターンで分割するように着磁すると、フォーカシング,トラッキングコイル3,4が配置される距離での磁束密度(コイル取り付け面に垂直な成分)は、図32や図33のように分布する。図32,図33に示すように、磁束密度分布から、着磁境界の周辺は、磁束密度の変化が大きいことがわかる。
【0022】
そのため、わずかでも、磁石とコイルパターンの位置関係がずれると、同じ電流をコイルパターンに流したとしても、発生する駆動力が大きく変化し、制御が難しくなる。着磁境界とコイルパターンの駆動に有効な部分が近づかない構成にすると、駆動装置が大型化してしまう。また、コイルパターンに対向する磁石の面が単極であれば、大きな電流の流れる直列接続部を磁石に近い側の層に配置し、並列接続部を遠い層に配置すれば、駆動力への変換効率がよいが、異なる磁極を跨いでコイルパターンが配置されている場合には、コイルパターンと磁石の位置関係によって発生する駆動力に大きな変動が生じてしまうという問題があった。
【0023】
本発明は、前記従来技術の問題を解決することに指向するものであり、複雑な配線にすることなくコイルパターンの並列接続と直列接続を組み合わせることにより、容易にプリントコイル基板に形成したコイルパターンの電気抵抗値を調整でき、そのため、熱的な許容値に達しない範囲で電圧感度を上げることができるプリントコイル基板、対物レンズ駆動装置、光ピックアップおよび光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載したプリントコイル基板は、絶縁層を挟んで複数の渦巻状のコイルパターンを層状に配置し、コイルパターン同士を接続して形成し、磁界中にある状態でコイルパターンに通電させることにより、所定の方向に駆動力を発生させるプリントコイル基板において、当該基板に形成したコイルパターンの接続において一部のコイルパターンを並列接続としたことにより、複雑な配線にすることなく、プリントコイル基板におけるコイルパターンの並列接続と直列接続を組み合わせて合成抵抗値を調整でき、熱的な許容値に達しない範囲において電圧感度を上げることができる。
【0025】
また、請求項2に記載したプリントコイル基板は、請求項1のプリントコイル基板であって、層状に配置したコイルパターンの内周側末端部同士と外周側末端部同士のそれぞれを接続するスルーホールを備え、スルーホールにより隣接する層に形成したコイルパターンの接続において一部のコイルパターンを並列接続としたことにより、コイルパターンをプリントコイル基板の層間で並列接続として合成抵抗値を調整できる。
【0026】
また、請求項3に記載したプリントコイル基板は、請求項2のプリントコイル基板であって、コイルパターンを層状に配置した当該基板の最外層に設けたランド部と、最外層と隣接する層に設けたコイルパターンの内周側末端部とランド部を接続する配線パターンとを備えたことにより、ランド部の配置の自由度が得られ、当該基板の小型化と対物レンズ近傍にコイルパターンを配置することなくコイルパターンによる熱的な影響を回避した構成ができる。
【0027】
また、請求項4に記載したプリントコイル基板は、請求項2,3のプリントコイル基板であって、層状に配置したコイルパターンの外周側末端部同士を接続するスルーホールを、当該基板の最外層に配置したランド部と重なる位置に設けて接続したことにより、ランド部の配置の自由度が向上し、当該基板をさらに小型化できる。
【0028】
また、請求項5に記載したプリントコイル基板は、請求項2のプリントコイル基板であって、層状に配置したコイルパターンの末端部同士を接続するスルーホール近傍に、測定機器の先端部を押圧するためのスルーホールに接続した検査用パッドを設けたことにより、コイルパターンの並列接続における部分的抵抗値が求められ、正確な合成抵抗値のプリントコイル基板を得ることができる。
【0029】
また、請求項6に記載した対物レンズ駆動装置は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプリントコイル基板を備えたことにより、限られたコイルパターンのスペースで十分な駆動力を得ることができる。
【0030】
また、請求項7に記載した対物レンズ駆動装置は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプリントコイル基板と、プリントコイル基板に対向して配置し、対向面を複数の磁極に分割した磁石とを備え、プリントコイル基板のコイルパターンを磁石の磁極境界を跨ぐ位置と対向配置する場合に、直列接続したコイルパターンを有する層を磁石から遠くに配置し、並列接続したコイルパターンを有する層を磁石の近くに配置したことにより、磁石とコイルパターンの位置関係のずれに対して発生する駆動力の変動を小さくできる。
【0031】
また、請求項8に記載した対物レンズ駆動装置は、対物レンズを挟んで請求項1〜5のいずれか1項に記載のプリントコイル基板をレンズ枠に取り付けた対物レンズ駆動装置において、プリントコイル基板の同一層に対物レンズのフォーカス,トラック方向の位置,傾きを制御する駆動力を発生させるコイルパターンを複数備え、コイルパターンの接続において一部のコイルパターンを並列接続した部分を、トラック方向に非対象、かつ対物レンズを挟み対角に配置したことにより、合成抵抗値を細かく調整して電圧感度を調整できる。
【0032】
また、請求項9に記載した対物レンズ駆動装置は、対物レンズを挟んで請求項1〜5のいずれか1項に記載のプリントコイル基板をレンズ枠に取り付けた対物レンズ駆動装置において、プリントコイル基板に駆動力を発生させるためコイルパターンの接続構成に通電する接続として、それぞれのプリントコイル基板を並列に接続する手段を備えたことにより、当該装置におけるコイルパターンの合成抵抗値を下げることができる。
【0033】
また、請求項10に記載した光ピックアップは、請求項7〜9のいずれか1項に記載の対物レンズ駆動装置を備えたことにより、光ディスクに対して記録,再生を高速に行うことできる。
【0034】
また、請求項11に記載した光ディスク装置は、請求項7〜9のいずれか1項に記載の対物レンズ駆動装置を備えたことにより、光ディスクに対して記録,再生を高速に行うことできる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、複雑な配線にすることなく、プリントコイル基板におけるコイルパターンの並列接続と直列接続を組み合わせて合成抵抗値を調整でき、熱的な許容値に達しない範囲において電圧感度を上げることができ、光ディスクに対する記録,再生を高速に行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明における実施の形態を詳細に説明する。
【0037】
図1は本発明の実施の形態1におけるプリントコイル基板の2層構成のコイルパターンを示す図であり、図2は4層構成のコイルパターンを示す図である。
図1,図2に示すように、プリントコイル基板はスルーホール12を介して、層方向に重なるコイルパターンを直列に接続している。図1,図2において、同じアルファベット例えばaとa’の箇所がスルーホール12を介して電気的に接続される。
【0038】
プリントコイル基板において、同一層上に同じ方向に推力を発生させるコイルパターンがある場合には、例えば図3に示すように複数層のうち一層(2層目)に同一層上のコイルパターン同士を接続するように配線し、すべてのコイルパターンが直列に接続される。そのため、抵抗値が大きくなっていた。コイルパターンの抵抗値を小さくするために、図4,図5に示すように、各層において同一層のコイルパターンの外周側末端部同士を接続し、同じ電源端子のランド部11に接続するコイルパターンにおいて1層目の外周側末端部同士と2層目の外周側末端部同士を接続し、1層目と2層目でそれぞれ重なり合う位置に配置されるコイルパターンの内周側末端部同士もスルーホール12で接続する。つまり、厚み方向に同じ位置にあるコイルパターンを直列に接続し、同一層にあるコイルパターンとは並列に接続するようにする。
【0039】
コイルパターンを抵抗として見た場合に、図3に示すコイルパターンA,A’,B,B’において図6に示すように直列接続されていたものが、図4に示すコイルパターンA,A’,B,B’では図7に示すように並列接続されることになる。そのため、4Rだった抵抗値はRとなり従来の4分の1になる。同じ電圧を印加しても、コイルパターンに流れる電流が4倍になるために、電圧感度が改善する。
【0040】
例えば、図8に示すように1層目と2層目のコイルパターンA,Bの外周側末端部をスルーホール12のaで接続し、1層目から4層目のコイルパターンA,B,C,Dの内周側末端部を1つのスルーホール12のbで接続し、3層目と4層目のコイルパターンC,Dの外周側末端部をスルーホール12のcで接続する。それぞれスルーホール12で接続されたコイルパターンの各末端部は、ランド部11や他のコイルパターンと接続される。1層目と2層目を並列に接続し、3層目と4層目を並列に接続した各コイルパターンを直列に接続した場合と同じ合成抵抗値になる。
【0041】
従来のように、層方向に重なったコイルパターンを直列に接続する場合、図1,図2のように、層方向に隣接するパターン同士は渦を巻く方向が外周から内周または内周から外周へと違っていたが、スルーホール12を使って、隣接するコイルパターンを並列に接続する場合は、それらのコイルパターンは、同じ方向に渦を巻くように構成できる。また、図9は各層のコイルパターンを抵抗として見た場合の接続構成を示す図である。各層のコイルパターンの抵抗値がすべてRであるとすると、4層すべてにおける合成抵抗値はRとなる。抵抗値は直列接続した場合の4分の1になる。
【0042】
また、プリントコイル基板を3層構成とした場合、図10に示すように、1層目のコイルパターンAの外周側末端部と2層目のコイルパターンBの外周側末端部をスルーホール12のaで接続し、1層目のコイルパターンAの内周側末端部と2層目のコイルパターンBの内周側末端部と3層目のコイルパターンCの内周側末端部をスルーホール12のbで接続し、3層目のコイルパターンCの外周側末端部は、ランド部11または別のコイルパターンに電気的に接続する。
【0043】
各層のコイルパターンA,B,Cを抵抗として見た場合、図11に示すように接続構成されることになる。この構成により合成抵抗値が抑えられ、4層構成にしないと駆動力が得られなかった場合であっても、コイルパターンの幅を狭くして、巻き数を増やすことにより、より少ない層でも同等の駆動力を得られるようになる。駆動磁石から遠い層を使わないことから駆動力への変換効率もよく、基板自体を薄くすることが可能である。
【0044】
以上のことから、抵抗値が大きくなるために、コイルパターンの幅を広くし、巻き数を減らさざるを得なかったプリントコイル基板の抵抗値を下げることができ、パターン幅を細くピッチを狭めて、巻き数を増やすことができるので、同じ電圧を印加したとしても、より大きな駆動力が得られる。結果、プリントコイル基板において、4層必要であったものを3層にするなど、駆動力を維持したままで、層数を減らすことができる。また、わずかに駆動力が低下するだけならば、可動部に設けるプリントコイル基板の構成層数が減るため、軽量化で補うことができる。
【0045】
また、プリントコイル基板が5層の場合には、図12に示すように1,2層目の2つの層と3,4,5層目の3つの層に分けて、内周側と外周側の末端部をスルーホール12のa,b,cにより接続し、他のコイルパターンあるいはランド部11に配線する。この場合は、各層のコイルパターンA,B,C,D,Eを抵抗として見た場合、図13のように接続されることになる。または、4つの層のコイルパターンを並列に接続して、残りの1層のコイルパターンと接続するように構成することもできる。あるいは、3つの層のコイルパターンを直列に接続し、他の2つの層のコイルパターンを並列に接続するように構成することもできる。
【0046】
コイルパターンのすべてを並列接続にすると抵抗値が小さくなり過ぎ、過電流のため故障することがありえるが、各層に形成されたコイルパターン同士を接続する際に、直列接続と並列接続を組み合わせることにより、抵抗値調整の自由度を上げることができる。従来のように導線を巻回して作るコイルでは、並列で巻き始めたものを途中で1本の線にすることは難しいが、プリントコイル基板は層構造になっているので、層間の接続によってコイルパターンを直列接続と並列接続の組み合わせることが可能となる。
【0047】
図14は本発明の実施の形態2におけるプリントコイル基板の3層構成のトラッキングコイルとフォーカシングコイルの各コイルパターンを示す図である。前述の実施の形態1においては、コイルパターンの外周側末端部同士をスルーホール12で接続し、そのスルーホール12とランド部11とを接続するように構成していたが、図14に示すように、フォーカシングコイルのコイルパターンの内周側末端部とスルーホール12のaを介して電気的に接続し、そのコイルパターンの内周側末端部をランド部11に接続する。層方向に重なり合う位置にあるフォーカシングコイルのコイルパターンの外周側末端部同士は、スルーホール12のaによって並列接続され、重なり合わない位置にあるコイルパターン同士は外周側末端部同士が2層目に設けられた配線パターン15により接続される。この場合、図14においては、配線パターン15を2層目に設けているが、3層目に設けても問題ない。
【0048】
最外層(1層目)に設けられたランド部11と隣接する層のコイルパターンが重なるので、プリントコイル基板を小さくすることができる。また、最外層(1層目)でランド部11を配置しない部分には、他のコイルパターンを設けるようにすれば、スペース効率のよいプリントコイル基板を作製できる。図14では、トラッキングコイルのコイルパターンを、実施の形態1において説明した図10に示したように接続し、このコイルパターンの外周側末端部をランド部11と接続し、3層構成のコイルパターンを可能にしている。
【0049】
また、図15は本発明の実施の形態3におけるプリントコイル基板の3層構成のコイルパターンを示す図である。前述したように、スルーホール12はコイルパターンを層間で接続するために必要であるが、その分スペースが必要となる。さらに、同一層のコイルパターンを接続するため別に配線パターン15とのマージンを取る必要があることから、スルーホール12だけではなくその周辺も、必要スペースとして確保しなくてはならない。そこで、本実施の形態3において、図8や図10に示したように、1層目のランド部11と2層目のコイルパターンの外周側末端部を接続するスルーホール12を別の位置とせずに、図15に示すように、外周側末端部同士を接続するスルーホール12をランド部11の位置に設ける。隣接する層のコイルパターンの外周側末端部をランド部11の位置まで伸ばして、ランド部11と重なる位置にスルーホール12を設けて接続する。これにより、コイルパターンの外周側末端部を接続するスルーホール12を別の位置に設ける必要がなく、導線の這い回しを簡単にすることができ、基板の面積を広げずに済む。また、ランド部11は半田付けにより他の導電手段に接続するので、スルーホール12とランド部11が同じ位置にあっても支障がない。
【0050】
図16は本発明の実施の形態4におけるプリントコイル基板の3層構成のコイルパターンを示す図である。プリントコイル基板を構成するコイルパターンの接続は途中で並列接続と直列接続の接続が変わることから合成抵抗値だけを良否確認するよりも、部分的にも抵抗値を測定して確認した方がよい。そこで、図16に示すように、最外層(1層目)のスルーホール12周辺の位置に測定に用いる検査用パッド16を設ける。通常プリントコイル基板は、ランド部11にコンタクトプローブを押し当てて、ランド部11間の抵抗値を測定するが、検査用パッド16を設けて、検査用パッド16とランド部11間の抵抗も測定する。
【0051】
ランド部11間の途中に設けた検査用パッド16により、検査用パッド16と一方のランド部11の間と、検査用パッド16と他方のランド部11の間の2箇所で、抵抗値を測定することにより、コイルパターンの合成抵抗値がランド部11間において正しい抵抗値を示す場合であっても、検査用パッド16と各ランド部11とのそれぞれの箇所においては、正しい抵抗値にならない場合の不良品を検出することができる。
【0052】
例えば、一方のランド部11と検査用パッド16の間の抵抗値が規定値より大きく、検査用パッド16と他方のランド部11の間の抵抗値が規定値より小さい場合でも、一方のランド部11と他方のランド部11間の抵抗値が規定値という場合があり、この合成抵抗値だけの測定では、規格に収まってしまう。
【0053】
さらに、一方のランド部11と他方のランド部11間の抵抗値と、各ランド部11と検査用パッド16の間の抵抗値を比べることで、正しくコンタクトプローブが接触しているか確認することもできる。
【0054】
以上のことから、コイルパターンの並列接続と直列接続を組み合わせることにより、容易にプリントコイル基板に形成したコイルパターンの電気抵抗値を調整でき、構成したプリントコイル基板の良否を判別することができる。
【0055】
また、前述したプリントコイル基板を、図26や図28に示したレンズ枠2に取り付け磁気回路中に保持するようにする。巻き線により作られたコイルを取り付けた場合と同様に電流を流す向きや、大きさによって駆動力の方向と大きさを制御できる。コイルパターンを直列にのみ接続したものと比べ、電気抵抗が小さくなることから電圧感度を向上でき、また巻き数を増やすことが可能となり少ない電流で駆動でき、さらに熱の発生を抑えることもできるなどの利点がある。プリントコイル基板は、コイルパターンとコイルパターンの同一層の接続および層間の接続によって、並列接続と直列接続を組み合わせることによりコイルパターンの電気抵抗を調整することが可能となる。
【0056】
図17は本発明の実施の形態5におけるコイルパターンの接続構成を示す図である。図17に示すように、コイルパターンが並列に接続された部分と直列に接続された部分においては流れる電流値が異なる。また、駆動磁石との距離が近いと磁束密度分布のピークの値が大きいために、着磁境界の近傍は磁束密度の変化が大きく、着磁境界から離れると変化は小さくなる。このために、対物レンズの移動に伴って、コイルパターンと駆動磁石の位置関係が変わるので、同じ電流を流しても発生する駆動力が変化する。駆動磁石と距離が近いほど磁束密度の変化が大きいので、電流の大きく流れる直列接続の部分が、駆動磁石に近い部分に配置されると、位置変化によるによる発生駆動力の変動が大きくなってしまう。
【0057】
そこで、対向する駆動磁石が複数の磁極に分割されて、磁極の境界を跨いで、コイルパターンが配置される場合には、図10とは逆に図18に示すように、並列接続部分を駆動磁石に近い側に配置し、遠い側に直列接続したコイルパターンを配置する。具体的には、1層目が駆動磁石から離れた層、3層目が駆動磁石に近い層として配置する。このように、変化率の小さい磁石から遠い層の位置に大きな電流が流れるコイルパターンを配置することで、最大駆動力は小さくなってしまうものの位置変化による発生駆動力の変動を小さくすることができ、安定した駆動制御ができる。
【0058】
図19は本発明の実施の形態6における対物レンズ駆動装置の概略構成を示す(a)は上面図、(b)はプリントコイル基板を示す図である。本実施の形態6は前述の図26に示す対物レンズ駆動装置のように、レンズ枠2を挟むように2つのプリントコイル基板10を取り付けて構成したものである。図19(b)に示すように、それぞれのプリントコイル基板10は、左右対称位置に同じ方向に駆動させるためのコイルパターン(フォーカシングコイル)を持つ場合に、一方の片側には並列部分を含み、他方の片側には並列部分を含まないように構成する。図19(b)に示す例において、プリントコイル基板10は4層構成のコイルパターン(フォーカシングコイル,トラッキングコイル)の位置を示し、黒く塗られたコイルパターンが並列に接続されているものとする。
【0059】
それぞれのプリントコイル基板10は、片側の3つのコイルパターンを並列に接続し、他のコイルパターンとは直列に接続する。このように形成すると、流れる電流の大きさが違うために、例えば図29に示す対物レンズ駆動装置のようにプリントコイル基板を1枚取り付けるだけの形態では、左右で発生する駆動力が違ってしまうが、対物レンズ1を挟んで、反対側に取り付けたコイルパターンは、図19(b)に示すように、並列部分が、対角位置にくるように配置すれば、発生する駆動力の差が相殺されるので、レンズ枠2の傾きを抑えることができる。
【0060】
ここで、1つのコイルパターンの抵抗がすべてRで、同じであるとすれば、従来の直列接続では、フォーカシングコイルは、全部で16Rだった抵抗値が、10.67Rに低下するだけで、著しい抵抗値の減少とはならない。また、コイルパターンを細くするなどして、巻き数を増やせば、並列接続による抵抗値の減少も相殺され、従来のドライバ回路を使うことが可能となり、必要な駆動力を得ることもできる。
【0061】
図20は本発明の実施の形態7における対物レンズ駆動装置の概略構成を示す斜視図である。図20に示すように、レンズ枠2に複数のプリントコイル基板10を取り付け、さらに給電路を兼ねたワイヤばね5とプリントコイル基板10を電気的に接続する場合、それぞれのプリントコイル基板10に形成したコイルパターンを並列に接続すれば、コイルパターン全体の合成抵抗値を下げることができる。これにより、例えば、プリントコイル基板10内の各コイルパターンがすべて直列接続されたものであったとしても、前述したように全体のコイルパターンの合成抵抗値を下げることが可能となる。
【0062】
ワイヤばね5とプリントコイル基板10のトラッキングコイル,フォーカシングコイルを接続する場合に、それぞれ直列に配線せずに、図21に示すようにワイヤばね5からプリントコイル基板10を並列の接続とする接続バー17により分岐させて、それぞれのプリントコイル基板10内で接続されたコイルパターン同士が並列につながるように配線する。図21に示すように、プリントコイル基板10において、フォーカシングコイルに接続されたランド部11同士、トラッキングコイルに接続されたランド部11同士が、向かい合うように配置して、ワイヤばね5からランド部11への給電路を接続バー17により分岐して接続し、反対側も同様とする。図21に示すように接続することで、プリントコイル基板10の合成抵抗値を下げることができる。
【0063】
以上のことから、1つのプリントコイル基板10内では、コイルパターンは直列に接続されていても、全体は直列に接続された抵抗の列が2つ並列に配列されたものと同じことになり、合成抵抗値を下げることが可能となり、電圧感度を上げることができる。
【0064】
図22は本発明の実施の形態8における対物レンズ駆動装置を搭載した光ディスク装置の概略構成を示す図である。
【0065】
図22に示すように光ディスク装置20は、光ディスク100を回転駆動するためのスピンドルモータ22、光ピックアップ23、レーザコントロール回路24、エンコーダ25、モータドライバ27、再生信号処理回路28、サーボコントローラ33、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、ROM39、CPU40およびRAM41などを備えている。なお、図22おける矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係のすべてを表すものではない。
【0066】
光ピックアップ23は、例えば波長が660nmのレーザ光を出射する半導体レーザ、半導体レーザから出射される光束を光ディスク100の記録面に導くとともに、この記録面で反射された戻り光束を所定の受光位置まで導く光学系、受光位置に配置され戻り光束を受光する受光器、および図1〜図21を用いて説明した本発明のプリントコイル基板および対物レンズ駆動装置などを含んで構成されている。そして、受光器からは、その受光量に応じた電流(電流信号)が再生信号処理回路28に出力される。
【0067】
また、光ピックアップ23は、光ディスク100のスパイラル状または同心円状のトラッキングが形成された記録面に半導体レーザの光束を照射するとともに、記録面からの反射光を受光するための装置である。この光ピックアップ23は、一例として図23に示すように、光源ユニット51、コリメートレンズ52、ビームスプリッタ54、対物レンズ60(前述の実施の形態1〜7において説明した対物レンズ駆動装置の対物レンズ1に相当する)、2つの検出レンズ58,72、2つの受光器59,73、反射ミラー71、および駆動系(フォーカシングアクチュエータ、トラッキングアクチュエータおよびシークモータ(いずれも図示せず))などを備えている。
【0068】
図23において、51は波長が約660nmのレーザ光を発光する光源としての半導体レーザ51aを含んで構成されている光源ユニット、52は光源ユニット51から出射された光束を略平行光とするコリメートレンズ、71はコリメートレンズ52の近傍に配置され、光源ユニット51から出射された光束の一部をモニタ用光束として反射する反射ミラー、54はコリメートレンズ52で略平行光とされた光束をそのまま透過させるビームスプリッタである。
【0069】
また、ビームスプリッタ54は、光ディスク100で反射され、対物レンズ60を介して入射する光束(戻り光束)を分岐する。60はビームスプリッタ54を透過した光束を光ディスク100の記録面に集光する対物レンズ、58はビームスプリッタ54で分岐された戻り光束を受光器59の受光面に集光する検出レンズである。また、受光器59としては、通常の光ディスク装置と同様に、例えば、4つの部分受光素子に分かれた4分割受光素子が用いられている。各部分受光素子はそれぞれ光電変換により受光量に応じた電流信号を生成し再生信号処理回路28に出力する。
【0070】
そして、検出レンズ72は、反射ミラー71で反射されたモニタ用光束を受光器73の受光面に集光する。受光器73は、光電変換により受光量に応じた電流信号を生成し、パワーモニタ信号としてレーザコントロール回路24に出力する。
【0071】
また、光ピックアップ23はさらに半導体レーザから照射されるレーザを生成するためのLD(レーザダイオード:半導体レーザ)ドライバを有する。
【0072】
再生信号処理回路28は、光ディスク100の種類に対応して光ピックアップ23からの出力信号である電流信号を電圧信号に変換し、該電圧信号に基づいてウォブル信号、再生信号およびサーボ信号(フォーカシングエラー信号、トラッキングエラー信号)などを検出する。そして、再生信号処理回路28では、ウォブル信号からアドレス情報および同期信号等を抽出する。ここで抽出されたアドレス情報はCPU40に出力され、同期信号はエンコーダ25に出力される。さらに、再生信号処理回路28では、再生信号に対して誤り訂正処理等を行った後、バッファマネージャ37を介してバッファRAM34に格納する。また、サーボ信号は再生信号処理回路28からサーボコントローラ33に出力される。なお、再生信号処理回路28では、CPU40の指示により、光ディスクの種類に対応したサーボパラメータ(例えば、信号レベル調整用ゲインなど)を設定する。
【0073】
サーボコントローラ33は、サーボ信号に基づいて光ピックアップ23を制御する制御信号を生成し、モータドライバ27に出力する。バッファマネージャ37は、バッファRAM34へのデータの入出力を管理し、蓄積されたデータ量が所定の値になると、CPU40に通知する。モータドライバ27は、サーボコントローラ33からの制御信号およびCPU40の指示に基づいて、光ピックアップ23およびスピンドルモータ22を制御する。
【0074】
エンコーダ25は、CPU40の指示に基づいて、バッファRAM34に蓄積されているデータを、バッファマネージャ37を介して取り出し、エラー訂正コードの付加などを行い、光ディスク100への書き込みデータを作成する。そして、エンコーダ25は、CPU40からの指示に基づいて、再生信号処理回路28からの同期信号に同期して、書き込みデータをレーザコントロール回路24に出力する。
【0075】
レーザコントロール回路24は、エンコーダ25からの書き込みデータに基づいて、光ピックアップ23からのレーザ光出力を制御する。すなわち、レーザコントロール回路24は、LDドライバ23aを駆動制御する。インターフェース38は、ホスト(例えば、パーソナルコンピュータ)との双方向の通信インターフェースであり、ATAPI(AT Attachment Packet Interface)およびSCSI(Small Computer System Interface)等の標準インターフェースに準拠している。ROM39には、CPU40にて解読可能なコードで記述されたプログラムが格納されている。
【0076】
CPU40は、ROM39に格納されているプログラムにしたがって各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータ等を一時的にRAM41に保存する。なお、光ディスク装置20に電源が投入されると、ROM39に格納されている各プログラムは、CPU40のメインメモリ(図示せず)にロードされる。
【0077】
このように構成された各実施の形態1〜7で説明したプリントコイル基板および対物レンズ駆動装置を光ピックアップに組み込み、また、その光ピックアップを光ディスク装置に組み込むことにより、プリントコイル基板おとび対物レンズ駆動装置は、限られた大きさで、対物レンズを高速に駆動できるので、光ピックアップ,光ディスク装置としての性能を上げることができ、性能の安定した光ピックアップおよび光ディスク装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明に係るプリントコイル基板、対物レンズ駆動装置、光ピックアップおよび光ディスク装置は、複雑な配線にすることなく、プリントコイル基板におけるコイルパターンの並列接続と直列接続を組み合わせて合成抵抗値を調整でき、熱的な許容値に達しない範囲において電圧感度を上げることができ、光ディスクに対する記録,再生を高速に行う装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態1におけるプリントコイル基板の2層構成のコイルパターンを示す図
【図2】本実施の形態1におけるプリントコイル基板の4層構成のコイルパターンを示す図
【図3】本実施の形態1における他の2層構成のコイルパターンを示す図
【図4】本実施の形態1における他の2層構成のコイルパターンにおける接続例を示す図
【図5】本実施の形態1における他の2層構成のコイルパターンにおける他の接続例を示す図
【図6】図3に示すコイルパターンの接続例を説明する図
【図7】図4に示すコイルパターンの接続例を説明する図
【図8】本実施の形態1における4層構成のコイルパターンにおける接続例を示す図
【図9】図9に示すコイルパターンの接続例を説明する図
【図10】本実施の形態1におけるプリントコイル基板の3層構成のコイルパターンを示す図
【図11】図10に示すコイルパターンの接続例を説明する図
【図12】本実施の形態1におけるプリントコイル基板の5層構成のコイルパターンを示す図
【図13】図12に示すコイルパターンの接続例を説明する図
【図14】本発明の実施の形態2におけるプリントコイル基板の3層構成のトラッキングコイルとフォーカシングコイルの各コイルパターンを示す図
【図15】本発明の実施の形態3におけるプリントコイル基板の3層構成のコイルパターンを示す図
【図16】本発明の実施の形態4におけるプリントコイル基板の3層構成のコイルパターンを示す図
【図17】本発明の実施の形態5におけるコイルパターンの接続構成を説明する図
【図18】本実施の形態5におけるプリントコイル基板の3層構成のコイルパターンを示す図
【図19】本発明の実施の形態6における対物レンズ駆動装置の概略構成を示す(a)は上面図、(b)はプリントコイル基板を示す図
【図20】本発明の実施の形態7における対物レンズ駆動装置の概略構成を示す斜視図
【図21】本実施の形態7における対物レンズ駆動装置のコイルパターンの電気的接続を説明する図
【図22】本発明の実施の形態8における対物レンズ駆動装置を搭載した光ディスク装置の概略構成を示す図
【図23】本実施の形態8における光ディスク装置に搭載した光ピックアップの概略構成を示す図
【図24】従来の対物レンズ駆動装置の一例を示す斜視図
【図25】図24の駆動磁石を外した状態を示すコイルの配置を説明する斜視図
【図26】図24の対物レンズ駆動装置にプリントコイル基板を搭載した斜視図
【図27】他の対物レンズ駆動装置にプリントコイル基板を搭載した斜視図
【図28】駆動磁石の着磁パターンの例を示す説明図
【図29】駆動磁石の着磁パターンの例を示す説明図
【図30】フォーカシングコイルによって発生する推力の説明図
【図31】トラッキングコイルによって発生する推力の説明図
【図32】図28に示す着磁パターンにおける磁束密度の分布を示す説明図
【図33】図29に示す着磁パターンにおける磁束密度の分布を示す説明図
【符号の説明】
【0080】
1,60 対物レンズ
2 レンズ枠
3 フォーカシングコイル
4 トラッキングコイル
5 ワイヤばね
6 固定部材
7 ベース
8 駆動磁石
9 ヨーク
10 プリントコイル基板
11 ランド部
12 スルーホール
15 配線パターン
16 検査用パッド
17 接続バー
20 光ディスク装置
22 スピンドルモータ
23 光ピックアップ
24 レーザコントロール回路
25 エンコーダ
27 モータドライバ
28 再生信号処理回路
33 サーボコントローラ
34 バッファRAM
37 バッファマネージャ
38 インターフェース
39 ROM
40 CPU
41 RAM
51 光源ユニット
51a 半導体レーザ
52 コリメートレンズ
54 ビームスプリッタ
58,72 検出レンズ
59,73 受光器
71 反射ミラー
100 光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層を挟んで複数の渦巻状のコイルパターンを層状に配置し、前記コイルパターン同士を接続して形成し、磁界中にある状態で前記コイルパターンに通電させることにより、所定の方向に駆動力を発生させるプリントコイル基板において、
当該基板に形成した前記コイルパターンの接続において一部の前記コイルパターンを並列接続としたことを特徴とするプリントコイル基板。
【請求項2】
層状に配置した前記コイルパターンの内周側末端部同士と外周側末端部同士のそれぞれを接続するスルーホールを備え、前記スルーホールにより隣接する層に形成した前記コイルパターンの接続において一部の前記コイルパターンを並列接続としたこと特徴とする請求項1記載のプリントコイル基板。
【請求項3】
前記コイルパターンを層状に配置した当該基板の最外層に設けたランド部と、前記最外層と隣接する層に設けた前記コイルパターンの内周側末端部と前記ランド部を接続する配線パターンとを備えたことを特徴とする請求項2記載のプリントコイル基板。
【請求項4】
層状に配置した前記コイルパターンの外周側末端部同士を接続するスルーホールを、当該基板の最外層に配置したランド部と重なる位置に設けて接続したことを特徴とする請求項2または3記載のプリントコイル基板。
【請求項5】
層状に配置した前記コイルパターンの末端部同士を接続するスルーホール近傍に、測定機器の先端部を押圧するための前記スルーホールに接続した検査用パッドを設けたことを特徴とする請求項2記載のプリントコイル基板。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のプリントコイル基板を備えたことを特徴とする対物レンズ駆動装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のプリントコイル基板と、前記プリントコイル基板に対向して配置し、対向面を複数の磁極に分割した磁石とを備え、
前記プリントコイル基板のコイルパターンを前記磁石の磁極境界を跨ぐ位置と対向配置する場合に、直列接続した前記コイルパターンを有する層を前記磁石から遠くに配置し、並列接続した前記コイルパターンを有する層を前記磁石の近くに配置したことを特徴とする対物レンズ駆動装置。
【請求項8】
対物レンズを挟んで請求項1〜5のいずれか1項に記載のプリントコイル基板をレンズ枠に取り付けた対物レンズ駆動装置において、
前記プリントコイル基板の同一層に前記対物レンズのフォーカス,トラック方向の位置,傾きを制御するための駆動力を発生させるコイルパターンを複数設け、前記コイルパターンの接続において一部の前記コイルパターンを並列接続した部分を、トラック方向に非対象、かつ前記対物レンズを挟み対角に配置したことを特徴とする対物レンズ駆動装置。
【請求項9】
対物レンズを挟んで請求項1〜5のいずれか1項に記載のプリントコイル基板をレンズ枠に取り付けた対物レンズ駆動装置において、
前記プリントコイル基板に駆動力を発生させるため前記コイルパターンの接続構成に通電する接続として、それぞれの前記プリントコイル基板を並列に接続する手段を備えたことを特徴とする対物レンズ駆動装置。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1項に記載の対物レンズ駆動装置を備えたことを特徴とする光ピックアップ。
【請求項11】
請求項7〜9のいずれか1項に記載の対物レンズ駆動装置を備えたことを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2006−332099(P2006−332099A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−149290(P2005−149290)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】