説明

プリント配線基板、プリント配線基板装置、並びにプリント配線基板装置の外観検査装置および外観検査方法

【課題】プリント配線基板上に高密度に実装する電子部品を実装したプリント配線基板装置において、シルク印刷およびレジスト印刷に起因する問題を解消したプリント配線基板装置の提供をすることにある。
【解決手段】 本体部を備えた電子部品が実装されるプリント配線基板であって、 該プリント配線基板は、光を透過する材料からなる絶縁層を有し、該絶縁層上には、該プリント配線基板を厚さ方向から透視したとき、少なくとも前記本体部の周辺を囲むように、ベタパターンが形成され、該ベタパターンには、前記本体部の輪郭の近傍に一又は複数の貫通孔が形成されたことを特徴とするプリント配線基板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板、プリント配線基板装置、並びにプリント基板装置の外観検査装置および外観検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子装置等に使用されるプリント配線基板(単に、「基板」、「ベアボード」ともいう。)には、種々の配線パターン、配線パターン同士を電気的に接続するためのスルーホール、電子部品のリードフレームなどを配線パターンに半田付けするためのランドやパッド、並びに搭載する電子部品の種類を示す記号、シンボル、部品番号および/またはピン番号等を表示させるシルク印刷(単に、「シルク」ともいう。)などが形成されるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このシルクは、プリント配線基板の製品出荷時等において、プリント配線基板上に実装された各電子部品の目視検査が容易に行えるように、プリント配線基板上の所定の位置に、各電子部品を識別できるパターンが形成(印刷)されたものである。当該シルクを用いることにより、実装後の電子部品の実装位置、実装向きおよび位置ズレ等の目視検査が可能となる。
【0004】
前記プリント配線基板は、プリント配線基板装置の製造工程において、配線パターンなどの断線、短絡、パターン幅不足、異物の付着などの欠陥が発生する場合がある。これらの欠陥は、プリント配線基板装置の外観の検査(以下、「外観検査」と略す。)により、検出される。尚、プリント配線基板は、電子部品が実装される前のベアボードのことであり、プリント配線基板装置は、当該プリント配線基板に電子部品等が実装されたものをいう。
【0005】
前記外観検査は、外観検査するための専用の装置であるプリント配線基板装置の外観検査装置が一般に使用される。この外観検査装置は、被検査品であるプリント配線基板装置の上方に配設され、プリント配線基板装置の表面に向けて光を出射する照明装置と、前記プリント配線基板装置の上方において基板の表面に対向するように配設され、基板の表面を撮像する撮像装置と、プリント配線基板装置を搬送する基板搬送装置と、前記撮像装置より検出された画像データに基づいて、電子部品の有無および位置ズレを判断する制御装置を備えているのが、一般的な構成である。前記撮像装置は、CCD(Charge
Coupled Device)カメラ等が用いられている。
【0006】
そして、外観検査装置に配設された撮像装置でプリント配線基板装置を撮影して得られた画像を、コンピュータプログラムによる画像処理によって解析することで、前記プリント配線基板装置の検査作業を自動処理にて効率的に実行するような、外観検査方法が主流となっている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
【0007】
また、前記外観検査方法の中には、シルクが印刷されたプリント配線基板を用いたプリント配線基板装置に対し、斜め方向から照明を行い、この斜め照明によってシルクの盛り上がりが乱反射することを利用したものがある(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−46701号公報
【特許文献2】特開平5−26636号公報
【特許文献3】特開2006−49348号公報
【特許文献4】特開2003−110298号公報
【特許文献5】特開2001−343337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
シルクの位置やサイズは、印刷時の誤差により、ある程度のバラツキが生じる。そして、あくまでシルクの目的は電子部品を実装する位置等の確認となる目安の提供であり、本来その位置精度等はさほど厳しく要求されないのが一般的であった。
【0010】
その理由は、仮に、シルクの形成位置、サイズ等にずれが生じたとしても、実際の電子部品の実装位置さえ正確であれば何ら基板の機能上問題が生ずることがないからである。
【0011】
しかし、近年のプリント配線基板装置は電子部品の高密度化が進み、シルク印刷においても、前記高密度化にともなうパッドとシルクの間隔の狭い高精度なものが要求されているが、これにより、さまざまな問題が発生している。
【0012】
電子部品の高密度化が進むことで、現状のシルク印刷の技術では高精度および高密度にシルク印刷ができないため、シルク印刷の位置ズレにより、パッド上にシルクがかかるという問題や、印刷不能な問題がある。
【0013】
また、前記外観検査装置を用いて、被検査品であるプリント配線基板装置をCCDカメラ等により撮影し、撮影した検査領域内の画像データをコンピュータによって画像処理による分析を行なう際、高密度に電子部品を実装したプリント配線基板装置では、電子部品、シルク、パッド等を相互に誤識別(誤認識)し、画像データの分析が正しくなされず、プリント配線基板装置の外観検査ができないという問題がある。
【0014】
また、シルク印刷はレジスト印刷(単に、「レジスト」ともいう。)面上に形成されているので、シルクは盛り上がる形状をなしている。これにより、一般的な外観検査は、外観検査装置に配設する照明装置によって出射する光によって、シルクを乱反射させ、シルクにて形成(印刷)するパターンを検出する技術が周知であるが、この際、半田を転写した半田パッドも、光によって乱反射し光らせてしまうので、シルクと半田を誤認識するという問題もある。
【0015】
かかる問題を解決するために、シルク印刷の代わりに、レジスト印刷抜き(単に、「レジスト抜き」ともいう。)と呼ばれる方法が採用されている。このレジスト印刷抜きは、ベタパターン(銅箔)の上に塗布されているレジスト(ソルダーレジスト)の一部を、シルク印刷と同じパターンで除去するものである。
【0016】
しかし、近年使用されるプリント配線基板に形成されるレジスト、シルクおよびパッドは、色の種類が豊富で、かつ、形状も複雑であるため、レジストとベタパターンの色が近似している場合は、外観検査においてレジスト印刷抜きがあると問題が生じる場合がある。CCDカメラは、2次元画像を処理するため、単純に色だけでは、各領域を正確に分離することができないからである。
【0017】
本発明は、前記した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シルクやレジストが無くても電子部品の位置ズレを容易に発見できるプリント配線基板等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
かかる目的のもと、本発明が適用されるプリント配線基板は、本体部を備えた電子部品が実装されるプリント配線基板であって、前記プリント配線基板は、光を透過する材料からなる絶縁層を有し、該絶縁層上には、前記プリント配線基板を厚さ方向から透視したとき、少なくとも前記本体部の周辺を囲むようにベタパターンが形成され、前記ベタパターンには、前記本体部の輪郭の近傍に一又は複数の貫通孔が形成されたことを特徴とする。
【0019】
前記貫通孔を形成する精度は、シルク印刷を形成する精度と比較して高精度にできるので、かかるプリント配線基板を用いたプリント基板装置は、後述する検査装置を用いた検査方法により容易に電子部品の位置ズレを検出することができる。
【0020】
また、前記貫通孔は、前記プリント配線基板上に形成したレジスト層より下側に形成したベタパターンにのみ形成されている。前記プリント配線基板上に形成した貫通孔は、レジストによって覆われているので、プリント配線基板上からは見えない状態となる。
【0021】
そして、前記貫通孔は、前記プリント配線基板の母材であり、光を透過する材料からなる絶縁層には形成されていない。これは前記プリント配線基板の外観検査時において、前記プリント配線基板の検査領域の裏面側にあたる領域より、後述する外観検査装置の照明装置によって光を出射させることで、前記絶縁層内に光を拡散させる目的があるからである。光を透過しない材料を使用した場合、本発明の効果を奏することはできない。
【0022】
前記拡散した光は、プリント配線基板上の電子部品を実装する所定位置にあたる、電子部品の本体部の輪郭の近傍に形成された貫通孔より、前記光の一部が通過する。これにより、貫通孔より通過した光は、貫通孔の形状をなしてプリント配線基板上のレジスト面上に識別パターンとして浮かび上がる。
【0023】
前記識別パターンは、従来より使用しているシルク印刷に代わるものとなり、外観検査装置に配設した撮像装置(例えば、CCDカメラ)が撮像し認識することで、プリント配線基板に実装する電子部品の位置と、前記識別パターンとの位置を確認し、電子部品の有無および位置ズレ等を確認することができる。また、前記識別パターンは、電子部品の周辺部に形成された銅パターンやシルク印刷との色が異なるため、識別することも可能である。
【0024】
前記プリント配線基板の構成により、前記貫通孔は、外観検査時に被検査品であるプリント配線基板上面を照明装置によって出射された光によって、乱反射することがないため、半田が印刷されたパッドと誤認識する問題が発生することはない。
【0025】
前記貫通孔が形成された周辺はベタパターンであり、ベタパターンは光を透過しない材質のものであるので、前記絶縁層の内部に拡散した光は、ベタパターンに形成した貫通孔以外には光が漏れることはない。いわゆる光学系のスリット(「制限開口」ともいう。)の役割を果たす。
【0026】
また、前記貫通孔は、前記所定位置の輪郭の近傍に一又は複数箇所に形成されてもよい。
【0027】
また、本発明は、前記ベタパターンに形成された前記貫通孔は、前記本体部の輪郭の外側近傍および/または内側近傍に形成されたものであっても良い。
【0028】
また、本発明は、前記プリント配線基板に電子部品が実装されることにより、高精度なプリント配線基板装置を提供することができる。
【0029】
また、本発明は、上述のプリント配線基板の少なくとも電子部品の有無および位置ズレの検査を行う外観検査装置を提供することができる。
【0030】
ここで、前記したプリント配線基板装置の外観検査装置について以下に説明する。
前記する本発明のプリント配線基板装置の外観検査装置は、前記プリント配線基板装置(単に、「基板装置」ともいう。)を搬送する基板搬送装置と、前記プリント配線基板装置の下方から前記貫通孔に向けて光を出射する照明装置と、少なくとも前記電子部品の上方に位置する撮像装置と、前記撮像装置により、前記照明装置から出射され、前記貫通孔および前記絶縁層を透過した前記光の有無を検出することにより、前記電子部品の位置ずれの有無を判断する制御装置とを有するプリント配線基板装置の外観検査装置である。
【0031】
上述した目的を達成するために、前記外観検査装置には、前記プリント配線基板装置の下方に、プリント配線基板装置の検査する領域に向かって、光を上方に出射する照明装置が、前記プリント配線基板装置下面に対向させて配設されている。
【0032】
そして、前記照明装置から出射された光は、前記貫通孔および前記絶縁層を透過する。この透過光の有無を検出するために、前記外観検査装置には撮像装置(例えば、CCDカメラ)が配設されている。この撮像装置が前記透過光を撮像し認識することで、電子部品の有無および位置ズレ等を確認することができる。
【0033】
つまり、前記プリント配線基板装置の下方から前記貫通孔に向けて光を出射させた後、前記貫通孔および前記絶縁層を透過した前記光の有無を検出することにより、前記電子部品の位置ずれの有無を判断することができる。
【0034】
前記外観検査装置の構成によって、本発明のプリント配線基板装置の外観検査を実施することができる。検査の詳細については、後述する。
【0035】
以上かかる構成により、プリント配線基板上に高密度に実装する電子部品の位置近傍に、外観検査時のみ表示される識別パターンを利用することで、従来問題としていたシルク印刷を不要とした、プリント配線基板を提供をすることができる。また、従来外観検査時の検出が困難であった位置ズレの検出を確実にすることができるプリント配線基板装置の外観検査装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、位置ズレの検出を確実にできるプリント配線基板およびプリント配線基板装置を提供することができる。また、前記プリント配線基板装置を外観検査する外観検査装置および外観検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るプリント配線基板を示した平面図である。(実施例1)
【図2】本発明に係るプリント配線基板装置を示した平面図である。(実施例1)
【図3】本発明に係るプリント配線基板を示した平面図(部分拡大図)である。(実施例1)
【図4】本発明に係るプリント配線基板装置を示した平面図(部分拡大図)である。(実施例1)
【図5】図3におけるプリント配線基板を示したA−A断面図である。(実施例1)
【図6】本発明に係るプリント配線基板装置の外観検査装置の概略構成図である。(実施例1)
【図7】図5におけるプリント配線基板の裏面に光を出射した状態を示した断面図である。(実施例1)
【図8】図3におけるプリント配線基板に識別パターンが浮かび上がった状態を示した平面図である。(実施例1)
【図9】図5におけるプリント配線基板に電子部品を搭載したことを示した平面図である。(実施例1)
【図10】図5におけるプリント配線基板に搭載した電子部品が、位置ズレ不良の状態を示した図である。(実施例1)
【図11】本発明に係るプリント配線基板を示した平面図である。(実施例1)
【図12】本発明に係るプリント配線基板を示した平面図(部分拡大図)である。(実施例2)
【図13】本発明に係るプリント配線基板を示した平面図である。(実施例3)
【図14】本発明に係るプリント配線基板を示した平面図(部分拡大図)である。(実施例4)
【図15】本発明に係るプリント配線基板を示した平面図(部分拡大図)である。(実施例5)
【図16】本発明に係るプリント配線基板を示したA−A断面図である。(実施例6)
【図17】図16おけるプリント配線基板の各ベタパターン(A層、B層、C層)の平面図である。(実施例6)
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0038】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
図1は本発明に係るプリント配線基板を上から見た状態を示した平面図、図2は図1のプリント配線基板に電子部品3を実装した本発明に係るプリント配線基板装置を上から見た状態を示した平面図、図3は図1の点線部Aを拡大した部分拡大図、図4は図2の点線部Aの部分拡大図である。尚、図1および図2において、電子部品3以外の部分の図示を省略しているが、これは説明を簡単にするためであり、電子部品3以外のプリント配線基板1の部分においても他の電子部品が実装されても良いことは言うまでもない。
【0039】
(プリント配線基板の構成)
図3は、本発明に係るプリント配線基板を上から見た状態を示した平面図であり、そして、図5は、図3におけるプリント配線基板1を示したA−A断面図である。
図3に示すように、プリント配線基板1の表面には、電子部品3の端子を電気的に接続するためのパッド8が形成されている。
【0040】
また、図5に示すように、プリント配線基板1は光を透過する材料からなる絶縁層10上にベタパターン6が形成されており、このベタパターン6はプリント配線基板1の厚さ方向から透視したとき、少なくとも電子部品3の本体部4の周辺(周囲)を囲むように形成されている。なお、この状態は、図11に示すような状態となる。
【0041】
そして、図5に示すように、貫通孔9は、プリント配線基板1の表面に形成されたレジスト層7より下側に形成されたベタパターン6にのみ形成されている。
【0042】
図5に示すように、プリント配線基板1は、光を透過する材料からなる絶縁層10を有している。これは後述するプリント配線基板装置の外観検査時において、プリント配線基板装置の検査領域の裏面側にあたる部分より、後述する外観検査装置の照明装置によって光を出射させることで、絶縁層10の内部に光を拡散させる目的があるからである。
【0043】
絶縁層10の材質としては、例えば、紙フェノール(「ベークライト」とも呼ぶ。)、紙エポキシ、ガラスコンポジット、ガラスエポキシ、フッ素樹脂、ポリイミドが挙げられる。
【0044】
貫通孔9は、プリント配線基板1の母材であり、光を透過する材料からなる絶縁層10には形成されていない。
【0045】
また、貫通孔9は、ベタパターンのみに形成されている。ベタパターン6は、光を透過しない材質のものであるので、プリント配線基板1の裏面より照明装置によって光を出射し、絶縁層10の内部に拡散した光は、ベタパターン6に形成した貫通孔9以外には光が漏れることはない。いわゆる光学系のスリット(「制限開口」ともいう。)の役割を果たす。
【0046】
(プリント配線基板装置の外観検査装置)
次に、本発明に係るプリント基板装置の外観検査装置12について説明する。
図6は、本発明に係るプリント配線基板装置の外観検査する外観検査装置12の概略構成図である。
【0047】
図6に示すように、外観検査装置12は、少なくとも電子部品の有無および位置ズレを検査する実装検査であり、プリント配線基板装置2を搬送する基板搬送装置20としてのコンベア20と、プリント配線基板装置2の下方から、基板装置1に形成した貫通孔9に向けて光を出射する照明装置24と、照明装置24から出射された光が、貫通孔9より前記光の一部が通過して、貫通孔9の形状をなしてプリント配線基板装置上のレジスト面上に浮かび上がる識別パターン11を、少なくともプリント配線基板装置2の上方から検出するための撮像装置26としてのCCDカメラ26と、このCCDカメラ26より検出された画像データに基づいて、電子部品の有無および位置ズレを判断する制御装置28とを主な構成要素とする。
【0048】
外観検査装置12の詳細な構成および作用を以下に説明する。
コンベア20は、ベースプレート29に固定されたプレート30および支柱27に固定されている。このコンベア20における左右一対のコンベアベルト21の上に、プリント配線基板装置2の両端部が載せられて搬送される。そして、コンベア20により搬送されたプリント配線基板装置2は、プリント配線基板装置2の搬送方向下流側に設けられ、ベースプレート29に固定されたストッパ22の突出したストッパピン23に衝突して止められる。
【0049】
その後、プリント配線基板装置2の検査対象である電子部品3の上方には、支柱27にスペーサ32を介して固定されたCCDカメラ26が位置している。また、検査対象の電子部品3の下方には、ベースプレート29に固定された照明装置24が固定されている。この照明装置24は、光を出射するものであれば良いが、本実施例においては、白色LED(Light Emitting Diode)を用いた。
【0050】
ベースプレート29および支柱27には、制御装置28が固定されている。この制御装置28は、CCDカメラ26がとらえた照明装置24から出射された光の一部である識別パターン11を検出し、検出された画像データに基づいて、電子部品3の有無および位置ズレを判断するものである。
前記した構成の外観検査装置12により、プリント配線基板装置2の電子部品3の位置ズレを確実に検出することができる。
【0051】
(プリント配線基板装置の外観検査方法)
次に、本発明に係るプリント配線基板装置の外観検査方法について説明する。
図7は、図5におけるプリント配線基板装置の裏面に光を出射した状態を示した断面図である。図7に示すように、プリント配線基板装置2の裏面にあたる下方から検査する領域に向かって、外観検査装置12に配設する照明装置24より光13を上方に出射する。
【0052】
照明装置24より光を出射すると、プリント配線基板装置2のベタパターン6に形成した貫通孔9より、光の一部が通過する。
【0053】
上述するように、プリント配線基板1に形成した貫通孔9において、貫通孔9を通過した光は、図8示すように、プリント配線基板1の電子部品3を実装する所定位置5にあたる、電子部品3の本体部4の輪郭14の近傍に、貫通孔9の形状をなしてレジスト7面上に識別パターン11(しるし)として浮かび上がるようになる。
尚、所定位置5を示すプリント配線基板1上に図示した点線は、プリント配線基板1に電子部品3を実装した場合、電子部品3の本体部4の輪郭14と一致するものである。
【0054】
そして、図9に示すように、プリント配線基板1に電子部品3が実装された場合、識別パターン11は、外観検査装置12に配設した撮像装置26が撮像し認識することで、プリント配線基板1に実装した電子部品3の位置と、識別パターン11の個数と位置を確認し、電子部品3の位置ズレを確認することができる。ちなみに、図10に示すように、電子部品3の本体部4が、識別パターン11の1つでも塞いでいた場合、制御装置28は電子部品3の位置ズレが発生していると判断することができる。
【0055】
以上説明したように、プリント配線基板上に高密度に実装する電子部品の本体部の位置の近傍に、外観検査時のみ表示される識別パターンを利用することで、従来問題としていたシルク印刷を不要とした、プリント配線基板を提供をすることができる。また、従来外観検査時の検出が困難であった電子部品の位置ズレの検出を確実にすることができるプリント配線基板装置の外観検査装置を提供することができる。
【実施例2】
【0056】
図12に本発明に係る他の実施例を示す。
尚、実施例1に係るプリント配線基板およびプリント配線基板装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略し、実施例1との相違点についてのみ詳細に説明する。
【0057】
図12は、本発明に係るプリント配線基板を4パターン示した平面図(部分拡大図)である。実施例1との相違点は、プリント配線基板1のベタパターン6に形成した貫通孔9が、本体部4の輪郭14の外側近傍および/または内側近傍に形成されている点である。
【0058】
図12(1)は、紙面左右方向が所定位置5(輪郭14)に対して内側近傍に貫通孔9が設けられ、紙面上下方向が所定位置5に対して外側近傍に貫通孔9が設けられたものである。
図12(2)は、紙面左右方向および紙面上下方向が共に所定位置5(輪郭14)に対して内側近傍に貫通孔9が設けられたものである。
図12(3)は、紙面左右方向および紙面上下方向が共に所定位置5(輪郭14)に対して内側近傍および外側近傍に貫通孔9が設けられたものである。
図12(4)は、紙面左右方向および紙面上下方向が共に所定位置5(輪郭14)に対して内側近傍および外側近傍に貫通孔9が設けられ、内側近傍に設けられた貫通孔9の数が多いものである。
【0059】
前記のような構成により、実施例1と同様の効果を奏することが可能である。尚、本実施例において示した貫通孔9のパターンは、実施例1と同様、プリント配線基板1の複数箇所に形成しても良く、プリント配線基板1に複数パターンを組み合わせて形成しても良い。
【実施例3】
【0060】
本発明に係るプリント配線基板の他の実施例を、図13を用いて以下に説明する。尚、説明を簡単にするため、実施例1と同様の部分は、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0061】
本実施例3の実施例1との主な相違点は、図13に示すように、プリント配線基板1に形成するレジスト層7より下側に形成したベタパターン6が、プリント配線基板1の全面に形成されている点である。かかる構成により、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【実施例4】
【0062】
本発明に係るプリント配線基板の他の実施例を、図14を用いて以下に説明する。図14は、本発明に係るプリント配線基板を4パターン示した平面図(部分拡大図)である。尚、説明を簡単にするため、実施例1と同様の部分は、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0063】
本実施例4の実施例1との主な相違点は、図14に示すように、プリント配線基板1のベタパターン6に形成した貫通孔9の形状が、文字および/または記号で形成されている点である。
【0064】
例えば、図14(1)は、紙面左右方向が所定位置5(輪郭14)に対して内側近傍に三角形状の貫通孔9が設けられ、紙面上下方向が所定位置5に対して外側近傍に矩形の貫通孔9が設けられたものである。
かかる構成により、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【実施例5】
【0065】
本発明に係るプリント配線基板の他の実施例を、図15を用いて以下に説明する。尚、説明を簡単にするため、実施例1と同一の部分は、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0066】
本実施例5の実施例1との主な相違点は、図15に示すように、プリント配線基板1に形成した絶縁層10が1層であり、絶縁層10の両面にベタパターン6が形成されている点である。かかる構成により、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【実施例6】
【0067】
本発明に係るプリント配線基板の他の実施例を、図16〜17を用いて以下に説明する。図17は、図16おけるプリント配線基板1の各ベタパターン(A層、B層、C層)の平面図である。尚、説明を簡単にするため、実施例1と同一の部分は、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0068】
本実施例6の実施例1との主な相違点は、図16に示すように、すべてのベタパターンに形成された貫通孔9が、プリント配線基板1の厚さ方向において直線状に位置した点である。つまり、貫通孔9は、プリント配線基板1に積み重なる(積層する)すべてのベタパターン層6(A層、B層、C層)に形成され、かつ、貫通孔9a、貫通孔9bおよび貫通孔9cの中心がプリント配線基板1の厚さ方向において略一致しているものである。
【0069】
さらに詳述すると、図17に示すように、ベタパターン層6であるA層に形成した貫通孔9aと、B層に形成した貫通孔9bと、C層に形成した貫通孔9cは、図17に示したXY平面における座標は、すべて同じである。
かかる構成により、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0070】
前記した実施例は、説明のために例示したものであって、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、及び図面の記載から当事者が認識する事ができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0071】
前記した実施例においては、前記外観検査装置12に撮像装置26としてラインセンサを配設しても良く、これに限定されるものではなく、入力した画像を電子データとして出力できるものであれば良い。
【0072】
また、前記外観検査装置12に、電子部品3を実装する実装装置を配設することで、実装機能と外観検査機能の両方の機能を有した装置でもかまわない。
【0073】
また、前記した実施例においては、前記外観検査装置12において、撮像装置26や照明装置24を固定したものを示したが、XY(2軸)ロボット等に載せられ、XY平面を移動でき、プリント基板装置2の全面を検査できる様に移動機構を設けたものでもよい。これにより、さまざまな角度からプリント配線基板装置を検査することが可能である。
【0074】
さらに、前記外観検査装置26において、撮像装置26が下方、照明装置24が上方に配設した、上下逆さまにした構成や、撮像装置26と照明装置24の両方を、上下に配設した構成であっても良い。
【0075】
前記外観検査装置26に配設する前記照明装置24として白色LEDを例示したが、これに限定されるものではなく、赤色LED、緑色LED、青色LED、ハロゲンランプ等の光を発するものであれば良い。被検査品に適したもの選定する。
【0076】
さらに、前記した実施例においては、リードピンが無い電子部品3を例示して説明したが、リードピン有りのものでもよく、リードピン無しの電子部品3に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0077】
前記した実施例において、プリント配線基板1に形成するレジスト層7より下側に形成する、ベタパターン6に形成した貫通孔9は、複数箇所に形成されていることを例示したが、1箇所だけでもよく、複数箇所に形成されることを限定されるものではないことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、プリント配線基板、プリント配線基板装置、並びにプリント基板装置の外観検査装置および外観検査方法に関するものである。
【符号の説明】
【0079】
1…プリント基板、2…プリント基板装置、3…電子部品、4…本体部、5…所定位置、6…ベタパターン、7…レジスト、8…パッド、9…貫通孔、10…絶縁層、11…識別パターン、12…外観検査装置、13…光、14…輪郭、20…基板搬送装置(例えば、コンベア)、24…照明装置、26…撮像装置(例えば、CCDカメラ)、28…制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部を備えた電子部品が実装されるプリント配線基板であって、
該プリント配線基板は、光を透過する材料からなる絶縁層を有し、
該絶縁層上には、該プリント配線基板を厚さ方向から透視したとき、少なくとも前記本体部の周辺を囲むように、ベタパターンが形成され、
該ベタパターンには、前記本体部の輪郭の近傍に一又は複数の貫通孔が形成されたことを特徴とするプリント配線基板。
【請求項2】
前記ベタパターンに形成された前記貫通孔は、前記本体部の輪郭の外側近傍および/または内側近傍に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のプリント配線基板。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプリント配線基板に、電子部品が実装されたプリント配線基板装置。
【請求項4】
請求項3に記載のプリント配線基板装置を搬送する基板搬送装置と、
該プリント配線基板装置の下方から前記貫通孔に向けて光を出射する照明装置と、
少なくとも前記電子部品の上方に位置する撮像装置と、
該撮像装置により、前記照明装置から出射され、前記貫通孔および前記絶縁層を透過した前記光の有無を検出することにより、前記電子部品の位置ズレの有無を判断する制御装置とを有するプリント配線基板装置の外観検査装置。
【請求項5】
請求項3に記載のプリント配線基板装置の下方から前記貫通孔に向けて光を出射させた後、
前記貫通孔および前記絶縁層を透過した前記光の有無を検出することにより、前記電子部品の位置ズレの有無を判断するプリント配線基板装置の外観検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−238978(P2010−238978A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86398(P2009−86398)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(310010793)富士ゼロックスマニュファクチュアリング株式会社 (13)
【Fターム(参考)】