説明

プログラム、情報記憶媒体及びゲーム装置

【課題】加速度センサを内蔵したゲームコントローラを用いてゲーム空間中の移動体の移動を制御する際に、興趣性のある新たな操作を実現すること。
【解決手段】プレーヤがゲームコントローラを振る操作を行うと、この操作に応じて、プレーヤキャラクタ20が武器30を振り回す動作を行う。武器30は、「蛇腹剣」を模し、剣柄31と、剣身32と、剣身32の剣先に取り付けられた分銅33とから構成され、剣柄31がプレーヤキャラクタ20の右手に握られている。剣身32は、複数の刃が接続された関節構造を有し、その形状が可変する。そして、プレーヤがゲームコントローラを振ると、ゲームコントローラに内蔵された加速度センサにより検出される加速度ベクトルαの向きに応じて、プレーヤキャラクタ20の武器30を持った右腕21が制御され、この右腕21の動きに追従して、剣身32の剣先に取り付けられた分銅33が移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報記憶媒体及びゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームコントローラに内蔵されている加速度検出器(加速度センサ)からの出力値に応じてゲームを進行制御する技術が知られている。例えば、特許文献1には、ゲームコントローラを傾かせる傾き操作を加速度センサで検出し、その傾き方向及び傾き量に応じて、ゲーム画像やゲームサウンドを変化させる技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−325972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、加速度センサを内蔵したゲームコントローラに関する技術としては、特許文献1に代表されるように、現実空間においてプレーヤがゲームコントローラをどちらの方向にどれだけ傾けているのかによって、リアルタイムにゲーム空間中の移動体の移動方向を変化させるといった、ゲームコントローラの姿勢を移動体の移動に直接対応させる技術が主であった。そのため、単純な操作である反面、面白みに欠ける操作であった。
【0004】
本発明は、加速度センサを内蔵したゲームコントローラを用いてゲーム空間中の移動体の移動を制御する際に、興趣性のある新たな操作を実現することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための第1の発明は、
コンピュータに、ゲーム空間の画像を生成してゲームを実行させるためのプログラム(例えば、図10のゲームプログラム310)であって、
前記ゲーム空間中に、移動体(例えば、図3の分銅33)と、回転運動可能な運動体(例えば、図3の右腕21)と、前記移動体と前記運動体とを接続する接続体(例えば、図3の剣柄31及び剣身32)とを配置する配置手段(例えば、図10のゲーム演算部210;図13のステップA1)、
加速度検出器(例えば、図1,10の加速度センサ1306)を内蔵したゲームコントローラ(例えば、図1のゲームコントローラ1300)の前記加速度検出器により検出される加速度に基づいて、前記運動体の回転運動を制御する運動体制御手段(例えば、図10の振り回し制御部211;図14のステップB5)、
前記接続体を介して前記運動体制御手段による運動体の回転運動に従動するように前記移動体を移動させる移動体制御手段(例えば、図10の振り回し制御部211;図14のステップB29)、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0006】
また、第18の発明は、
加速度検出器を内蔵したゲームコントローラ(例えば、図1のゲームコントローラ1300)と、
ゲーム空間中に、移動体と、回転運動可能な運動体と、前記移動体と前記運動体とを接続する接続体とを配置する配置手段(例えば、図10のゲーム演算部210)と、
前記ゲームコントローラの前記加速度検出器により検出される加速度に基づいて、前記運動体の回転運動を制御する運動体制御手段(例えば、図10の振り回し制御部211)と、
前記接続体を介して前記運動体制御手段による運動体の回転運動に従動するように前記移動体を移動させる移動体制御手段(例えば、図10の振り回し制御部211)と、
を備えたゲーム装置(例えば、図1,10のゲームシステム1)である。
【0007】
この第1又は第18の発明によれば、ゲームコントローラに内蔵された加速度検出器により検出される加速度に基づいて、ゲーム空間に配置された運動体の回転運動が制御される。運動体には、接続体を介して移動体が接続されており、この接続体を介して、運動体の回転運動に従動するように移動体の移動が制御される。即ち、プレーヤの操作が直接反映されるのはあくまで運動体であって、移動体は、運動体に接続された接続体を介した従動移動の制御となる。このため、プレーヤによるゲームコントローラの操作方向に応じた方向に移動体が移動するとは限らず、興趣性のある操作が実現される。
【0008】
第2の発明は、第1の発明のプログラムであって、
前記運動体制御手段が、前記加速度検出器により検出された加速度の方向に応じた方向に前記運動体を可動させるように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0009】
この第2の発明によれば、検出された加速度の方向に応じた方向に運動体が可動される。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明のプログラムであって、
前記接続体は屈曲自在なオブジェクトであり、
前記接続体の所与の位置に制御点を設定する制御点設定手(例えば、図10の振り回し制御部211;図14のステップB9)、
前記接続体のうち、前記制御点と前記運動体間の部分を硬直部分とし、該硬直部分が前記運動体との相対位置関係を一定に保って移動するように前記接続体の移動を制御する接続体移動制御手段(例えば、図10の振り回し制御部211;図14のステップB11)、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0011】
この第3の発明によれば、屈曲自在なオブジェクトである接続体のうち、所与の位置に設定された制御点と運動体間の部分が硬直部分とされ、この硬直部分が運動体との相対位置関係を一定に保って移動するように制御される。このため、接続体である接続体のうち、実際に屈曲可能な部分は制御点と移動体間の部分となる。よって、その実際に屈曲可能な部分の長さが短くなることによって、運動体の回転運動に伴う移動体の間接的な移動の程度が弱まり、運動体の回転運動に対する追従性が高まって、比較的俊敏に運動体の運動に従動するような移動が実現される。
【0012】
第4の発明は、第3の発明のプログラムであって、
前記制御点設定手段が、前記加速度検出器により検出された加速度の大きさに基づいて前記制御点の設定位置を可変するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0013】
この第4の発明によれば、検出された加速度の大きさに基づいて、制御点の設定位置が可変される。制御点の位置は、接続体である接続体のうちの硬直部分の長さを決定づける位置となる。このため、例えば、加速度の大きさが大きいほど制御点の位置を移動体寄りにすることで、ゲームコントローラを素早く動かした場合に運動体に対する移動体の従動の俊敏性が高まることとなり、操作性の向上につながる。
【0014】
第5の発明は、第4の発明のプログラムであって、
前記制御点設定手段が、前記加速度検出器により検出された加速度が所定の大きさに達した場合に、該大きさが大きくなるほど前記制御点を前記移動体寄りの位置に可変するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0015】
この第5の発明によれば、検出された加速度が所定の大きさに達した場合に、該大きさが大きくなるほど制御点の位置が移動体寄りの位置に可変される。これにより、ゲームコントローラをある程度の素早さで動かすことで、制御点の位置が移動体寄りの位置に可変され、操作に対する移動体の従動の俊敏性が高まることになる。
【0016】
第6の発明は、第3〜第5の何れかの発明のプログラムであって、
前記制御点設定手段が、プレーヤの位置可変指示操作に応じて前記制御点の設定位置を可変するプレーヤ指示可変手段を有するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0017】
この第6の発明によれば、プレーヤの位置可変指示操作に応じて制御点の設定位置が可変される。
【0018】
第7の発明は、第3〜第6の何れかの発明のプログラムであって、
前記制御点設定手段が、前記移動体の位置及び/又は移動速度に基づいて前記制御点の設定位置を可変するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0019】
この第7の発明によれば、移動体の位置及び/又は移動速度に基づいて制御点の設定位置が可変される。
【0020】
第8の発明は、第3〜第7の何れかの発明のプログラムであって、
前記制御点設定手段が、前記運動体に設定されている所定のパラメータの値に基づいて前記制御点の設定位置を可変するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0021】
この第8の発明によれば、運動体に設定されているパラメータの値に基づいて制御点の設定位置が可変される。
【0022】
第9の発明は、第3〜第8の何れかの発明のプログラムであって、
前記移動体及び接続体は、前記運動体が所持する所定の器具であり、
種類に応じて前記制御点の設定位置の可変条件が予め設定された複数種類の前記器具の中から使用する器具を選択する選択手段として前記コンピュータを機能させ、
前記配置手段が、前記選択された器具でなる移動体及び接続体を前記ゲーム空間に配置するように前記コンピュータを機能させ、
前記制御点設定手段が、前記選択された器具に応じた可変条件に従って前記制御点の設定位置を可変するように前記コンピュータを機能させる、
ためのプログラムである。
【0023】
この第9の発明によれば、複数種類の移動体の中から選択された移動体がゲーム空間に配置され、選択された移動体に応じた可変条件に従って制御点の設定位置が可変される。即ち、移動体の種類に応じて制御点の設定位置が可変されるため、どの種類の移動体を選択するかによって、運動体の回転運動に対する移動体の従動の俊敏性が変化することとなり、操作性にバラエティを持たせ、より興趣性のある操作が実現される。
【0024】
第10の発明は、第1〜第9の何れかの発明のプログラムであって、
前記移動体が前記運動体の周囲を周回した回数を計数する周回回数計数手段、
プレーヤの発射指示操作に応じて前記接続体と前記運動体間の接続を切り離し、前記周回回数計数手段により計数された周回回数に応じた速度で前記移動体を発射させる発射制御手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0025】
この第10の発明によれば、プレーヤの発射指示操作に応じて接続体と運動体間の接続が切り離され、移動体が運動体の周囲を周回した回数(周回回数)に応じた速度で、移動体が発射される。
【0026】
第11の発明は、第1〜第10の何れかの発明のプログラムであって、
前記移動制御手段が、前記運動体から前記移動体までの距離を、前記接続体の伸長可能な最大値を超えないように前記移動体を移動制御する、ように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0027】
この第11の発明によれば、運動体から移動体までの距離が、接続体の伸長可能な最大値を越えないように移動体が移動制御される。
【0028】
この場合、第12の発明として、
前記接続体の全長を可変する接続体全長可変手段として前記コンピュータを機能させるためのプログラムとしても良い。
【0029】
具体的には、第13の発明として、
前記接続体全長可変手段が、前記移動体に設定されている所定のパラメータの値に基づいて前記接続体の全長を可変するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムとしても良い。
【0030】
また、第14の発明として、
前記接続体全長可変手段が、前記運動体に設定されている所定のパラメータの値に基づいて前記接続体の全長を可変するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムとしても良い。
【0031】
更に、第15の発明として、
前記接続体全長可変手段が、前記加速度検出器により検出された加速度の大きさに基づいて前記接続体の全長を可変するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムとしても良い。
【0032】
第16の発明は、第1〜第15の何れかの発明のプログラムであって、
前記加速度検出器により検出された加速度の大きさに基づいて、前記運動体の長さを可変する運動体長可変制御手段として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0033】
この第16の発明によれば、検出された加速度の大きさに基づいて、運動体の長さが可変されるため、より興趣性のある操作が実現される。
【0034】
第17の発明は、第1〜第16の何れかの発明のプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な情報記憶媒体(例えば、図10の記憶部300)である。
【0035】
ここで、情報記憶媒体とは、記憶されている情報をコンピュータが読み取り可能な、例えばハードディスクやMO、CD−ROM、DVD、メモリカード、ICメモリ等の記憶媒体である。従って、この第17の発明によれば、情報記憶媒体に記憶されている情報をコンピュータに読み取らせて演算処理を実行させることで、第1〜第16の何れかの発明と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、ゲームコントローラに内蔵された加速度検出器により検出される加速度に基づいて、ゲーム空間に配置された運動体の回転運動が制御される。運動体には、接続体を介して移動体が接続されており、この接続体を介して、運動体の回転運動に従動するように移動体の移動が制御される。即ち、プレーヤの操作が直接反映されるのはあくまで運動体であって、移動体は、運動体に接続された接続体を介した従動移動の制御となる。このため、プレーヤによるゲームコントローラの操作方向に応じた方向に移動体が移動するとは限らず、興趣性のある操作が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。
【0038】
[ゲームシステムの外観]
図1は、本実施形態のゲームシステム1の外観の一例を示す図である。同図によれば、ゲームシステム1は、本体装置1100と、ビデオモニタ1200と、プレーヤがゲーム操作を入力するためのリモコン型のゲームコントローラ1300とを備えて構成される。ビデオモニタ1200は、ディスプレイ1202及びスピーカ1204を備え、画像信号及び音信号を伝送可能な信号ケーブル1121によって本体装置1100に接続されている。
【0039】
本体装置1100は、光学ディスク1102の読み取り装置1106と、メモリカード1104の読み取り装置1108と、CPUやICメモリ等を搭載した制御ユニット1110とを内蔵している。制御ユニット1110は、CPU、ROMやRAM等のICメモリ、通信回線Nに接続するための通信装置1112、ゲームコントローラ1300の無線通信機1308と近距離の無線通信を行うための近距離無線通信モジュール1114を搭載している。制御ユニット1110に搭載されたCPUは、光学ディスク1102等から読み出したゲーム情報や、近距離無線通信モジュール1114を介して受信したゲームコントローラ1300の操作信号等に基づいて種々の処理を実行し、ゲーム画面の画像信号及びゲーム音の音信号を生成する。そして、生成した画像信号及び音信号をビデオモニタ1200に出力して、ディスプレイ1202にゲーム画面を表示させるとともに、スピーカ1204からゲーム音を出力させる。プレーヤは、ディスプレイ1202に表示されたゲーム画面を見て、スピーカ1204から出力されるゲーム音を聞きながら、ゲームコントローラ1300を操作してゲームを楽しむ。
【0040】
ゲームシステム1がゲーム処理を行うために必要な情報(システムプログラムやゲームプログラム、ゲームデータ等)は、制御ユニット1110に搭載されているICメモリや、光学ディスク1102、メモリカード1104等に格納されている。より具体的には、システムプログラムは制御ユニット1110のICメモリに格納され、ゲームプログラム及びゲームデータは、本体装置1100に着脱自在な情報記憶媒体である光学ディスク1102及びメモリカード1104に格納されている。即ち、プレーヤは、この光学ディスク1102等を交換することで異なるゲームを楽しむことができる。尚、このゲーム情報等は、本体装置1100が具備する通信装置1112を介して通信回線Nに接続し、外部装置から取得することにしても良い。
【0041】
ゲームコントローラ1300は、プレーヤが片手で把持可能な略直方体の棒形状を成している。また、ゲームコントローラ1300は、操作ボタン1302と、十字キー1304が設けられた操作面1310をその表面に有しているとともに、加速度センサ1306と、無線通信機1308とを内蔵している。
【0042】
加速度センサ1306は、ゲームコントローラ1300に生じる加速度αを検出する三軸の加速度センサであり、互いに直交するXc,Yc,Zc軸それぞれの方向の加速度αx,αy,αzを検出する。これらの検出軸は、ゲームコントローラ1300に固定的に設定されている。即ち、Zc軸方向がゲームコントローラ1300の長手方向に一致し、Xc軸方向が短手方向に一致し、Yc軸が操作面1310の垂直方向に一致するように設定されている。
【0043】
無線通信機1308は、本体装置1100の近距離無線通信モジュール1114との近距離無線通信を行って、加速度センサ1306による検出信号や、操作ボタン1302や十字キー1304の操作に応じた操作信号を本体装置1100に送信する。
【0044】
ここで、ゲームコントローラ1300の方向を次のように定義する。即ち、長手方向を前後方向とし、先端部1312側を前、後端部1314側を後ろとする。また、短手方向を左右方向とし、先端部1312に向かって右側を右、左側を左とする。また、操作面1310の垂直方向を上下方向とし、操作面1310側を上、裏面側を下とする。
【0045】
[ゲーム概要]
本実施形態では、プレーヤキャラクタを操作して敵キャラクタと対戦する、いわゆる対戦格闘アクションゲームが実行される。図2は、ゲームシステム1における本実施形態のゲームプレイの様子を示した図である。同図によれば、ディスプレイ1202には、器具である武器30を持ったプレーヤキャラクタ20と、敵キャラクタ40とが登場するゲーム画面が表示される。
【0046】
図3は、プレーヤキャラクタ20が持つ武器30の拡大図である。同図によれば、武器30は、武器30は、いわゆる「蛇腹剣」を模した武器であり、剣柄31と、剣身32と、剣身32の剣先に取り付けられた分銅33とから構成される。剣身32は、複数の刃が蛇腹状に繋がれた関節構造を有し、関節に相当する各刃の繋ぎ目それぞれには、屈曲角度に制限が設けられており、隣接する刃間の屈曲角度が一定の角度以上を保つように制御される。従って、剣身32はしなりながら移動する。そして、剣柄31が、プレーヤキャラクタ20の右手に握られて固定されている。つまり、移動体である分銅33が、剣柄31及び剣身32から成る接続体によってプレーヤキャラクタ20の右手に接続されているといえる。
【0047】
プレーヤ10は、ディスプレイ1202に対峙し、右手にゲームコントローラ1300を把持する。即ち、図4に示すように、親指で操作ボタン1302や十字キー1304を操作するように親指を操作面1310側にして、先端部1312をディスプレイ1202に向けるように把持する。そして、プレーヤは、ゲーム操作として、ゲームコントローラ1300を振るスイング操作をする。すると、このスイング操作に応じてプレーヤキャラクタ20が武器30を振り回す動作をする。具体的には、プレーヤ10により為されたスイング操作に応じた方向に、プレーヤキャラクタ20が、武器30を持っている右腕21を振り回す。すると、この振り回しに従動するように追従して武器30が移動し、敵キャラクタ40に衝突すると、この敵キャラクタ40に所定のダメージが与えられる。
【0048】
[原理]
スイング操作によるプレーヤキャラクタ20の武器30の振り回しは、ゲームコントローラ1300の加速度センサ1306により検出される加速度αを基に制御される。
【0049】
先ず、加速度センサ1306により検出された加速度αx,αy,αzを基に、プレーヤキャラクタ20の右腕21が制御される。図5は、プレーヤキャラクタ20の右腕の制御を説明するための図である。同図に示すように、加速度センサ1306の検出座標系(Xc,Yc,Zc)と、ゲーム空間におけるプレーヤキャラクタ20を基準としたローカル座標系(Xp,Yp,Zp)とが対応付けられている。プレーヤキャラクタ20のローカル座標系(Xp,Yp,Zp)は、Zc軸正方向がゲーム空間中のプレーヤキャラクタ20の向きに一致し、Xp軸正方向がプレーヤキャラクタ20の右方向に一致し、Yp軸正方向がプレーヤキャラクタ20の鉛直方向に一致するように設定されている。そして、プレーヤキャラクタ20の右腕21の向き(長手方向)が、検出された加速度αzx,αy,αzを合成した加速度ベクトルαに一致するように制御される。この右腕21は、プレーヤキャラクタ20の所定位置(例えば、右肩)を中心として自在に回転する運動体である。
【0050】
また、検出された加速度αを基に、剣身32に制御点Rが設定される。即ち、図6(a)に示すように、剣柄31と剣身32との接続部分である始点Pから剣身32に沿って所定の長さ(制御長)L1だけ離れた位置に、制御点Rが設定される。詳細には、剣身32は、複数の刃が繋がれた関節構造を有している。このため、制御点Rは、始点Pから制御長L1だけ離れた位置に最も近い繋ぎ目(関節構造の関節に相当)の位置に設定される。そして、始点Pから制御点Rまでの部分が、剣柄31の長手方向に沿った方向に真っ直ぐに硬直した状態の硬直部分とされる。但し、制御長L1は、剣身32の長さ(全長)Lより短い。この剣身32の長さLは、剣身32に沿った始点Pから分銅33との接続位置までの長さであり、即ち剣身32が真っ直ぐに伸びた状態(伸身時)の長さである。
【0051】
また、制御長L1は、検出された加速度αの大きさを基に決定される。同図(b)は、加速度αの大きさと制御長L1との関係の一例を示す図であり、横軸を加速度α、縦軸を制御長L1としたグラフを示している。同図によれば、制御長L1は、加速度αが所定値αs以下では「0」であり、この所定値αsを超えると、加速度αが大きくなるに従って長くなるように定められている。但し、最大長L1mは、剣身32の長さ(全長)Lより短い。即ち、制御点Rは、加速度αが小さい場合には、剣身32の始点Pの位置に定められ、加速度αが所定値αsを超えると、加速度αが大きくなるに従って分銅33寄りの位置に変化する。
【0052】
尚、加速度αと制御長L1との関係は、同図(b)に示す関係で無くとも良い。例えば、加速度αが所定値αtより小さい間は、加速度αが大きくなるに従って制御長L1が長くなり、加速度αが所定値αtより大きくなると、加速度αが大きくなるに従って制御長L1が徐々に短くなるように設定しても良い。
【0053】
そして、同図(c)に示すように、武器30は、剣柄31の長手方向がプレーヤキャラクタ20の右腕21の延長方向に一致するように固定される。即ち、右腕21と、剣柄31と、剣身32の始点Pから制御点Rまでの硬直部分との方向が一致して一体に保たれた状態となる。これにより、剣身32のうち、この硬直部分を除いた分銅33寄りの部分のみが自在に移動可能となる。即ち、自在に移動可能な剣身32の部分が短くなることで、右腕21の振り回しに伴う分銅33の移動の追従性が高まり、プレーヤにとって操作性が良くなる。
【0054】
続いて、分銅33の制御について説明する。図7は、分銅33の制御を説明するための図であり、分銅33の現在の位置から、単位フレーム時間(例えば、1/60秒)後の位置の算出方向を説明するための図である。先ず、検出された加速度ベクトルαを基にプレーヤキャラクタ20の右腕21が制御され、単位フレーム時間後の剣身32の始点P1及び制御点R1それぞれの位置が決定されている。次いで、分銅33に設定されている現在の移動ベクトルV0に従ってこの分銅33を移動させたと仮定した場合の、単位フレーム時間後の分銅33の仮の位置(仮位置)Q1´が算出される。そして、制御点R1とこの仮位置Q1´の間の距離Dが算出される。
【0055】
この距離Dと制御長L1との和「D+L1」が剣身32の長さL以下ならば、図8に示すように、仮位置Q1´が、単位フレーム時間後の分銅33の位置(分銅位置)Q1とされる。また、現在の移動ベクトルV0が、そのまま、単位フレーム時間後の移動ベクトルV1とされる。
【0056】
一方、距離Dと制御長L1との和「D+L1」が剣身32の長さLを超える場合には、図9に示すように、現在の分銅位置Q0と単位フレーム時間後の制御点R1の位置とを結ぶ直線上であって、制御点R1の位置からの距離が「L2(=(剣身32の長さL)−(制御長L1))」となる位置に、単位フレーム時間後の分銅の位置(分銅位置)Q1が設定される。そして、現在の移動ベクトルV1と作用ベクトルFとの和が、単位フレーム時間後の移動ベクトルV1として設定される。作用ベクトルFは、分銅33が剣身32に引っ張られることを表現したベクトルであり、向きが分銅位置Q1から制御点R1の位置に向かい、大きさが加速度αに比例した大きさである。
【0057】
[機能構成]
図10は、ゲームシステム1の機能構成を示すブロック図である。同図によれば、ゲームシステム1は、機能的には、操作入力部110と、音出力部140と、通信部150と、処理部200と、画像表示部130と、記憶部300とを備えて構成される。
【0058】
操作入力部110は、プレーヤによる操作入力を受け付け、操作に応じた操作信号を処理部200に出力する。この機能は、例えばボタンスイッチやレバー、ダイヤル、マウス、キーボード、タッチパネル、各種センサ等によって実現される。図1では、ゲームコントローラ1300がこれに該当する。また、操作入力部110は、加速度センサ1306を含み、検出された加速度αx,αy,αzを、処理部200に出力する。
【0059】
処理部200は、ゲームシステム1の全体制御やゲームの進行、画像生成等の各種演算処理を行う。この機能は、例えばCPU(CISC型、RISC型)やDSP等のプロセッサ、ASIC(ゲートアレイ等)等の演算装置やその制御プログラムにより実現される。図1では、制御ユニット1110に実装されたCPUがこれに該当する。また、処理部200は、主にゲームの実行に係る演算処理を行うゲーム演算部210と、ゲーム演算部210の処理によって求められた各種のデータに基づくゲーム画像を生成する画像生成部230と、効果音やBGM等のゲーム音を生成する音生成部240とを含んでいる。
【0060】
ゲーム演算部210は、操作入力部110から入力された操作信号や、記憶部300から読み出したプログラムやデータ等に基づいて種々のゲーム処理を実行する。本実施形態では、ゲーム演算部210は、振り回し制御部211を含む。
【0061】
振り回し制御部211は、加速度センサ1306により検出された加速度αに基づいて、プレーヤキャラクタ20の武器30の振り回し動作を制御する。具体的には、加速度センサ1306により検出された加速度αx,αy,αzを基に、プレーヤキャラクタ20の右腕21を制御する。即ち、検出された加速度αx,αy,αzを合成した加速度ベクトルαを算出し、右腕21の向きが、算出した加速度ベクトルαの方向に一致するように回転運動させる。
【0062】
検出された加速度αのデータは、検出加速度データ322に格納される。図11は、検出加速度データ322のデータ構成の一例を示す図である。同図によれば、検出加速度データ322は、加速度センサ1306により検出された加速度αx,αy,αzそれぞれと、加速度の大きさαとを格納している。
【0063】
次いで、振り回し制御部211は、プレーヤキャラクタ20の右腕21の制御に伴う武器30の制御を行う。即ち、検出された加速度αを基に、制御長設定データ321を参照して、剣身32の始点Pから制御点Rまでの制御長L1を算出し、剣身32に制御点Rを設定する。この制御点Rを、単位フレーム時間後の制御点R1とする。そして、剣身32の始点Pから算出した制御長L1までの部分を、剣身32の延長方向に一致した硬直部分とする。制御長設定データ321は、例えば図6(b)に一例を示したように、加速度αと制御長L1との関係を定めたデータである。具体的には、グラフを表す関係式や、加速度αと制御長L1との値を対応付けたデータテーブルである。
【0064】
続いて、分銅33に設定されている現在の移動ベクトルV0を基に、単位フレーム時間後の分銅33の仮の位置(仮位置)Q1´を算出する。そして、単位フレーム時間後の制御点R1の位置とこの仮位置Q1´との間の距離Dを算出し、算出した距離Dと制御長L1との和「D+L1」と、剣身32の長さLとを比較する。そして、「D+L1」が剣身32の長さL以下であるならば、仮位置Q1´を単位フレーム時間後の分銅33の位置(分銅位置)Q1として設定する。また、現在の移動ベクトルV0を、そのまま、単位フレーム時間後の移動ベクトルV1として設定する。
【0065】
一方、「D+L1」が剣身32の長さLを超えるならば、現在の分銅位置Q0と単位フレーム時間後の制御点R1の位置とを結ぶ直線上であって、制御点R1の位置からの距離が「L2(=L−L1)」である位置に、単位フレーム時間後の分銅の位置(分銅位置)Q1を設定する。また、検出された加速度ベクトルαの所定倍(n倍)の大きさであって、分銅位置Q1から制御点R1の位置に向かう作用ベクトルFを算出し、この作用ベクトルFと現在の移動ベクトルV0との和を、単位フレーム時間後の移動ベクトルV1として設定する。
【0066】
ここで、武器30に関するデータは、武器データ323に格納される。図12は、武器データ323のデータ構成の一例を示す図である。同図によれば、武器データ323は、剣身32の始点Pの位置323a、制御点Rの位置323b、分銅33の位置323c及び移動ベクトル323dのそれぞれについて、現在の値及び単位フレーム時間後の値を格納しているとともに、剣身32の長さ323eと、ダメージ値323fとを格納している。ダメージ値323fは、該武器30が衝突したと判定された敵キャラクタに与えるダメージ値を格納している。
【0067】
図10において、画像生成部230は、ゲーム演算部210による演算結果に基づき、ゲーム画面を表示するためのゲーム画像を生成し、生成した画像の画像信号を画像表示部130に出力する。画像表示部130は、画像生成部230からの画像信号に基づいて、所定の単位時間間隔、例えば1/60秒毎に1フレームの画面を再描画しながらゲーム画面を表示する。この機能は、例えばCRT、LCD、ELD、PDP、HMD等のハードウェアによって実現される。図1では、ディスプレイ1202がこれに該当する。
【0068】
音生成部240は、ゲーム中に使用される効果音やBGM等のゲーム音を生成し、生成したゲーム音の音信号を音出力部140に出力する。音出力部140は、音生成部240からの音信号に基づいてBGMや効果音等のゲーム音声を出力する。この機能は、例えばスピーカ等によって実現される。図1では、スピーカ1204がこれに該当する。
【0069】
通信部150は、処理部200からの制御信号に従って通信回線に接続し、外部装置とのデータ通信を行う。この機能は、無線通信モジュール、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路などによって実現される。図1では、通信装置1112がこれに該当する。
【0070】
記憶部300は、処理部200にゲームシステム1を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのシステムプログラムや、ゲームを実行させるために必要なプログラムやデータ等を記憶するとともに、処理部200の作業領域として用いられ、処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果や操作入力部110から入力される入力データ等を一時的に記憶する。この機能は、例えば各種ICメモリやハードディスク、CD−ROM、DVD、MO、RAM、VRAM等によって実現される。図1では、制御ユニット1110に搭載されたメモリがこれに該当する。本実施形態では、記憶部300は、プログラムとしてゲームプログラム310を記憶するとともに、データとして、制御長設定データ321と、検出加速度データ322ち、武器データ323と、キャラクタデータ324とを記憶する。
【0071】
キャラクタデータ324は、ゲームに登場するプレーヤキャラクタや敵キャラクタ等の各種キャラクタに関するデータであり、現在の位置座標や能力値、所有アイテム(武器30を含む)、モーションデータ等を格納している。
【0072】
[処理の流れ]
図13は、本実施形態のゲーム処理の流れを説明するためのフローチャートである。この処理は、ゲーム演算部210がゲームプログラム310を実行することで実現される。同図によれば、ゲーム演算部210は、先ず、ゲームステージを設定し、プレーヤキャラクタ20や敵キャラクタ40等の各キャラクタを配置するゲーム空間の設定を行う(ステップA1)。次いで、操作入力部110からの入力指示に従ったプレーヤキャラクタ20の移動制御や、敵キャラクタ40を含む各キャラクタの制御を行う(ステップA3)。続いて、振り回し制御部211が振り回し処理を行って、プレーヤキャラクタ20の武器30の振り回しを制御する(ステップA5)。
【0073】
図14は、振り回し処理の流れを説明するためのフローチャートである。同図によれば、振り回し制御部211は、加速度センサ1306から入力される加速度αx,αy,αzを取り込み(ステップB1)、取り込んだ加速度αx,αy,αzの合成した加速度ベクトルαを算出する(ステップB3)。次いで、プレーヤキャラクタ20の右腕を、算出した加速度αの向きに一致するように制御する(ステップB5)。
【0074】
続いて、算出した加速度ベクトルαの大きさであるか速度αを基に、制御長設定データ321を参照して制御長L1を算出し(ステップB7)、剣身32の始点Pからの長さが算出した制御長L1である位置に、単位フレーム時間後の制御点R1を設定する(ステップB9)。そして、剣身32の始点Pから制御点R1までの部分を、剣身32の延長方向に一致させて真っ直ぐに硬直させた状態とする(ステップB11)。
【0075】
また、現在の移動ベクトルV0に基づいて分銅33を移動させた場合の、単位フレーム時間後の分銅33の仮位置Q1´を算出し(ステップB13)、剣身32の始点P1の位置とこの仮位置Q1´との間の距離Dを算出する(ステップB15)。そして、算出した距離Dと制御長L1との和「D+L1」と、剣身32の長さLとを比較する。
【0076】
その結果、「D+L1」が剣身32の長さL以下ならば(ステップB17:YES)、仮位置Q1´を、単位フレーム時間後の分銅位置Q1として設定し(ステップB19)、また、現在の移動ベクトルV0を、そのまま、単位フレーム時間後の移動ベクトルV1として設定する(ステップB21)。
【0077】
一方、「D+L1」が剣身32の長さLより長いならば(ステップB17:NO)、現在の分銅位置Q0と単位フレーム時間後の制御点R1とを結ぶ直線上であって、制御点R1の位置からの距離が「L−L1」の位置を、単位フレーム時間後の分銅位置Q1として設定する(ステップB23)。次いで、向きが分銅位置Q1から剣身32の始点P1の位置に向かう向きで、大きさが加速度αの所定倍(n倍)の大きさである作用ベクトルFを算出し(ステップB25)、算出した作用ベクトルFと現在の移動ベクトルV0との和を、単位フレーム時間後の移動ベクトルV1として設定する(ステップB27)。
【0078】
その後、振り回し制御部211は、分銅33を、設定した単位フレーム時間後の分銅位置Q1に配置するとともに、剣身32の始点Pと分銅位置Q1との間の距離に応じて、剣身32の隣接する各刃間の角度が所定角度以内となるように制御して、剣身32を適当にしならせた状態とする。具体的には、剣身32のうち、始点P1から制御点R1までの硬直部分については、関節構造の関節に相当する隣り合う各刃間の屈曲角度を真っ直ぐとなる180度とし、制御点Rから分銅33側の屈曲部分については、隣り合う各刃間の屈曲角度が所定角度以上(例えば、120度以上)であり、且つ剣身32の始点Pに近いほど屈曲角度が大きくなるように決定する(ステップB29)。以上の処理を行うと、振り回し制御部211は、振り回し処理を終了する。
【0079】
振り回し処理が終了すると、ゲーム演算部210は、武器30と各敵キャラクタ40との衝突を判定し(ステップA7)、この衝突判定結果に応じて敵キャラクタ40にダメージを与える(ステップA9)。その後、ゲーム演算部210は、ゲームを終了するか否かを判断し、終了しないならば(ステップA11:NO)、ステップA3に戻り、ゲームを終了するならば(ステップA11:YES)、ゲーム処理を終了する。
【0080】
[作用・効果]
このように、本実施形態によれば、ゲームコントローラ1300を振る操作に応じてプレーヤキャラクタ20が持っている武器30を振り回すといった、新たなゲーム操作が実現される。即ち、ゲームコントローラ1300に内蔵された加速度センサ1306により検出される加速度ベクトルαの向きに応じて、プレーヤキャラクタ20の武器30を持った右腕21が制御される。この右腕21の動きに従動して、武器30の剣身32の剣先に取り付けられた分銅33が移動する。つまり、プレーヤによるゲームコントローラ1300の操作が直接反映されるのはあくまで右腕21であって、分銅33は、剣身32を介した従動移動の制御となる。このため、プレーヤによるゲームコントローラ1300の操作方向に応じた方向に分銅33が移動するとは限らず、興趣性のあるゲーム操作が実現される。
【0081】
[変形例]
尚、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0082】
(A)武器30
(A−1)パラメータ
例えば、武器30の剣身32の長さLや、分銅33の重さ、敵キャラクタ40に与えるダメージ値を決定する攻撃力(強さ)といった武器30のパラメータを可変することにしても良い。具体的には、例えば検出された加速度αや、プレーヤキャラクタ20のレベルやこれまでの使用期間といったゲームの進行状況に基づいて可変する。ここで、剣身32の長さLを可変する場合、剣身32を構成する各刃の繋ぎ目の間隔を調整することが望ましい。但し、長さLの可変量がある程度以上に大きく或いは小さくなる場合には、剣身32を構成する刃の数を増やす或いは減少させることにしても良い。または、刃の長さを、所定の最大長まで長くする、或いは最小長まで短くすることにしても良い。
【0083】
(A−2)種類
また、上述の実施形態では、武器30を一種類としたが、複数種類の武器30を用意し、操作入力部110から入力されるプレーヤの操作指示に従って、プレーヤキャラクタ20が持つ武器30の種類を切り替えるようにしても良い。この場合、武器30の種類毎に、剣身32の長さLや分銅33の重さ、敵キャラクタ40に与えるダメージ値を決定する攻撃力(強さ)といったパラメータが異なるように設定しておく。更に、武器30の種類毎に、設定値が異なる複数の制御長設定データ321を用意しておき、プレーヤキャラクタ20が現在持っている武器30の種類に対応する制御長設定データ321に従って、制御点Rを設定することにしても良い。この場合、制御長設定データ321は、武器30の種類毎に定められているパラメータに基づいて、制御長L1の最大値L1mや、閾値である加速度αsの値が異なるように定める。
【0084】
(A−3)形状
また、上述の実施形態では、武器30を「蛇腹剣」を模したものとしたが、他の武器であっても良い。例えば、接続体である紐状体の一端にある程度の大きさの移動体を取り付けた「ヨーヨー」を模した形状としても良い。このとき、この紐状体をゴム紐やばね等の弾性体としても良い。また、接続体である鎖の先端に分銅を取り付けた形状としても良い。即ち、武器30は、振り回すことで敵キャラクタ40に衝突させて攻撃する構成であれば、何れでも構わない。また、接続体を不可視としても良い。更に、武器30は、例えば「ブーメラン」を模した武器のように、接続体を有さずに移動体のみで構成され、移動体がプレーヤキャラクタ20に接続されていなくとも良い。
【0085】
また、武器30は、図15に示すように、分銅33を有さず、剣柄31と剣身32とから構成される形状としても良い。この場合、剣身32を構成する蛇腹状に接続された複数の刃34のうち、剣先に相当する刃34aを、分銅33に代わる移動体であるとして上述の実施形態と同様の制御を行う。更に、同図に示す武器30が敵キャラクタ40に衝突した場合、剣身32を構成する複数の刃34のうち、何れが衝突したかに応じて、その敵キャラクタ40に与えるダメージ値を可変することにしても良い。
【0086】
また、武器30を、剣身32の剣先に取り付けられている分銅33を剣身32から切り離して発射可能な構成としても良い。具体的には、ゲームコントローラ1300における所定の操作(例えば、操作ボタン1302の押下操作)がなされると、剣身32から分銅33を切り離し、分銅33を発射するように独立して移動制御する。またこの場合、ゲーム空間において分銅33がプレーヤキャラクタ20の周囲を周回した回数に応じて、切り離し後の分銅33の移動速度を制御することにしても良い。例えば、周回回数が多いほど、切り離し後の分銅33の移動速度を速くする。
【0087】
(B)制御点Rの設定
また、上述の実施形態では、検出された加速度αを基に制御長L1を決定することで、剣身32に制御点Rを設定することにしたが、これを、次のように可変して設定することにしても良い。
【0088】
(B−1)プレーヤの指示操作
例えば、プレーヤの指示操作に従って可変する。具体的には、予め、例えば始点Pの位置や分銅33との接続位置、剣身32の全長を二分する位置といったように、剣身32の制御点Rの候補位置を定めておく。そして、ゲームコントローラ1300における所定の操作(例えば、操作ボタン1302の押下)に応じた候補位置に制御点Rを設定する。例えば、操作ボタン1302の押下操作がなされていない状態では、制御点Rを、剣身32の始点Pの位置に設定し、押下操作がなされている状態では、剣身32の分銅33との接続位置に設定する。即ち、操作ボタン1302の押下操作により、剣身32の硬直部分が切り替えられる。
【0089】
(B−2)プレーヤキャラクタ20のパラメータ
また、プレーヤキャラクタ20のパラメータに応じて可変することにしても良い。具体的には、プレーヤキャラクタ20の経験値やレベル、所持アイテム、対戦した敵キャラクタの種類や数といった、ゲームの進行に伴って変更し得るパラメータの値に応じて、武器30の剣身32に制御点Rを設定する。例えば、経験値やレベルが高いほど、剣身32の分銅33寄りの位置(剣先に近い位置)に制御点Rを設定する。
【0090】
(B−3)武器30の位置
また、武器30の位置に応じて可変することにしても良い。具体的には、例えば分銅33の位置の地表面からの高さが高いほど、制御点Rを剣身32の始点P寄りの位置に設定するといったように、ゲーム空間における分銅33の位置に応じて設定する。また、分銅33がプレーヤキャラクタ20の前方又は後方に位置している場合には、制御点Rを剣身32の分銅33寄りの位置に設定し、右方又は左方に位置している場合に、始点P寄りの位置に設定する、或いは、分銅33とプレーヤキャラクタ20との間の距離が長いほど、制御点Rを剣身32の分銅33寄りの位置に設定するといったように、分銅33とプレーヤキャラクタ20との相対的な位置関係に応じて設定しても良い。
【0091】
(B−4)武器30の移動速度
また、武器30の移動速度に応じて可変することにしても良い。具体的には、分銅33の移動速度を決定する移動ベクトルUの大きさが小さい、即ち分銅33の移動速度が遅いほど、制御点Rを分銅33との接続位置寄りの位置に設定し、剣身23の硬直部分を長くして操作の追従性を向上させる。
【0092】
(C)右腕21の長さ
また、プレーヤキャラクタ20の右腕21の長さを、例えば検出された加速度αに応じて可変することにしても良い。例えば、加速度αが大きくなるに従って、右腕21の長さを徐々に長くする。この場合、剣身32の長さLは固定としても良いし、或いは、更に剣身32の長さLも可変することにしても良い。
【0093】
(D)検出された加速度の補正
また、加速度センサ1306により検出された加速度αx,αy,αzを補正することにしても良い。具体的には、例えばゲームコントローラ1300における所定の操作(例えば、十字キー1304や不図示の他の操作ボタンの押下)がなされた場合、検出された加速度αx,αy,αzそれぞれの値を所定倍(例えば、「1.5倍」や「0.8倍」)することにしても良い。
【0094】
(E)ゲームコントローラ1300
(E−1)スピーカ
また、ゲームコントローラ1300は、スピーカを内蔵することにしても良い。そして、このスピーカから、加速度センサ1306から検出された加速度αの大きさに応じた音を出力することにしても良い。この場合、例えば加速度αの大きさに応じて、「音」を構成する「音程」、「音量」及び「音質」の3つの音要素のうち、1つ或いは2つの音要素を徐々に変化させた音を出力する。例えば、加速度αの大きさに応じて、音量(音の大きさ)を可変して出力する。
【0095】
(E−2)バイブレータ
また、ゲームコントローラ1300は、バイブレータを内蔵することにしても良い。そして、このバイブレータを、加速度センサ1306から検出された加速度αの大きさに応じた振動パターンで振動させることにしても良い。この場合、例えば加速度αの大きさに応じて振動の回数や間隔を徐々に変化させた振動パターンとする。
【0096】
(F)警告
また、ゲームコントローラ1300を強く振りすぎた場合に、警告を行うことにしても良い。具体的には、加速度センサ1306により検出された加速度αの大きさが、所定の大きさ(閾値)以上の場合に、振りが強すぎる旨のメッセージをディスプレイ1202に表示する。また、内蔵するスピーカから、振りが強すぎる旨をプレーヤに報知するための所定の警告音を出力することにしても良いし、内蔵するバイブレータを、警告用の所定の振動パターンで振動させることにしても良い。
【0097】
(G)ゲームの種類
また、上述の実施形態では、対戦格闘ゲームに適用した場合を説明したが、他のゲームにも適用可能である。他のゲームでは、武器ではなく、プレーヤキャラクタが振り回して使用する種々の器具に本発明を適用する。
【0098】
例えば、城壁を登る場面で使用される、ロープ(接続体)の先端に鉤部(移動体)が接続された道具(器具)に本発明を適用する。即ち、ロープを振り回し、所定の投擲指示操作を行うことで先端の鉤部が投げられ(発射され)、鉤部が城壁の上部に引っ掛けるように使用されるが、この場合、ゲーム空間において鉤部がプレーヤキャラクタの周囲を周回した回数に応じて、投げられた鉤部の飛距離を決定することにしても良い。例えば、周回回数が多いほど、飛距離を長くする。また、類似した器具として、先端部がリング状に形成されたロープを投げて他キャラクタを捕える武器についても、同様に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】ゲームシステムの外観図。
【図2】ゲームプレイの様子の一例。
【図3】プレーヤキャラクタが持つ武器の説明図。
【図4】ゲームコントローラの持ち方の説明図。
【図5】プレーヤキャラクタの右腕の制御の説明図。
【図6】武器の制御の説明図。
【図7】武器の制御の説明図。
【図8】武器の制御の説明図。
【図9】武器の制御の説明図。
【図10】ゲームシステムの機能構成図。
【図11】検出加速度データのデータ構成例。
【図12】武器データのデータ構成例。
【図13】ゲーム処理の流れ図。
【図14】ゲーム処理中に実行される振り回し処理の流れ図。
【図15】武器の変形例。
【符号の説明】
【0100】
1 ゲームシステム
110 操作入力部
1306 加速度センサ
130 画像表示部
140 音出力部
150 通信部
200 処理部
210 ゲーム演算部
211 振り回し制御部
230 画像生成部
240 音生成部
300 記憶部
310 ゲームプログラム
321 制御長設定データ
322 検出加速度データ
323 武器データ
324 キャラクタデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、ゲーム空間の画像を生成してゲームを実行させるためのプログラムであって、
前記ゲーム空間中に、移動体と、回転運動可能な運動体と、前記移動体と前記運動体とを接続する接続体とを配置する配置手段、
加速度検出器を内蔵したゲームコントローラの前記加速度検出器により検出される加速度に基づいて、前記運動体の回転運動を制御する運動体制御手段、
前記接続体を介して前記運動体制御手段による運動体の回転運動に従動するように前記移動体を移動させる移動体制御手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項2】
前記運動体制御手段が、前記加速度検出器により検出された加速度の方向に応じた方向に前記運動体を可動させるように前記コンピュータを機能させるための請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記接続体は屈曲自在なオブジェクトであり、
前記接続体の所与の位置に制御点を設定する制御点設定手段、
前記接続体のうち、前記制御点と前記運動体間の部分を硬直部分とし、該硬直部分が前記運動体との相対位置関係を一定に保って移動するように前記接続体の移動を制御する接続体移動制御手段、
として前記コンピュータを機能させるための請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記制御点設定手段が、前記加速度検出器により検出された加速度の大きさに基づいて前記制御点の設定位置を可変するように前記コンピュータを機能させるための請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記制御点設定手段が、前記加速度検出器により検出された加速度が所定の大きさに達した場合に、該大きさが大きくなるほど前記制御点を前記移動体寄りの位置に可変するように前記コンピュータを機能させるための請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記制御点設定手段が、プレーヤの位置可変指示操作に応じて前記制御点の設定位置を可変するプレーヤ指示可変手段を有するように前記コンピュータを機能させるための請求項3〜5の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記制御点設定手段が、前記移動体の位置及び/又は移動速度に基づいて前記制御点の設定位置を可変するように前記コンピュータを機能させるための請求項3〜6の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記制御点設定手段が、前記運動体に設定されている所定のパラメータの値に基づいて前記制御点の設定位置を可変するように前記コンピュータを機能させるための請求項3〜7の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記移動体及び接続体は、前記運動体が所持する所定の器具であり、
種類に応じて前記制御点の設定位置の可変条件が予め設定された複数種類の前記器具の中から使用する器具を選択する選択手段として前記コンピュータを機能させ、
前記配置手段が、前記選択された器具でなる移動体及び接続体を前記ゲーム空間に配置するように前記コンピュータを機能させ、
前記制御点設定手段が、前記選択された器具に応じた可変条件に従って前記制御点の設定位置を可変するように前記コンピュータを機能させる、
ための請求項3〜8の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記移動体が前記運動体の周囲を周回した回数を計数する周回回数計数手段、
プレーヤの発射指示操作に応じて前記接続体と前記運動体間の接続を切り離し、前記周回回数計数手段により計数された周回回数に応じた速度で前記移動体を発射させる発射制御手段、
として前記コンピュータを機能させるための請求項1〜9の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項11】
前記移動制御手段が、前記運動体から前記移動体までの距離を、前記接続体の伸長可能な最大値を超えないように前記移動体を移動制御する、ように前記コンピュータを機能させるための請求項1〜10の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項12】
前記接続体の全長を可変する接続体全長可変手段として前記コンピュータを機能させるための請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記接続体全長可変手段が、前記移動体に設定されている所定のパラメータの値に基づいて前記接続体の全長を可変するように前記コンピュータを機能させるための請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記接続体全長可変手段が、前記運動体に設定されている所定のパラメータの値に基づいて前記接続体の全長を可変するように前記コンピュータを機能させるための請求項12又は13に記載のプログラム
【請求項15】
前記接続体全長可変手段が、前記加速度検出器により検出された加速度の大きさに基づいて前記接続体の全長を可変するように前記コンピュータを機能させるための請求項12〜14の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項16】
前記加速度検出器により検出された加速度の大きさに基づいて、前記運動体の長さを可変する運動体長可変制御手段として前記コンピュータを機能させるための請求項1〜15の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項17】
請求項1〜16の何れか一項に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な情報記憶媒体。
【請求項18】
加速度検出器を内蔵したゲームコントローラと、
ゲーム空間中に、移動体と、回転運動可能な運動体と、前記移動体と前記運動体とを接続する接続体とを配置する配置手段と、
前記ゲームコントローラの前記加速度検出器により検出される加速度に基づいて、前記運動体の回転運動を制御する運動体制御手段と、
前記接続体を介して前記運動体制御手段による運動体の回転運動に従動するように前記移動体を移動させる移動体制御手段と、
を備えたゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−136696(P2008−136696A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326380(P2006−326380)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】