説明

プロジェクタ

【課題】液晶の表示範囲を照明する光に生じるムラを抑制する。
【解決手段】プロジェクタは、光を射出する固体発光素子1231と、投射する像を形成する投射像形成ユニット122と、固体発光素子1231と投射像形成ユニット122との間に配置される反射部材125とを備え、反射部材125は、少なくとも一部が投射像形成ユニット122の有効領域122Aに対応する形状に形成され、有効領域122Aに入射しない光を反射して固体発光素子1231へ戻し、固体発光素子1231へ戻された光を有効領域122Aへ入射させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光源からの照明光のうち、液晶上における表示範囲以外の無効領域を照明する光を反射板により反射して照明光を再利用する画像表示装置が知られている(たとえば特許文献1)。
【特許文献1】特許第3660371号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、反射板で反射された照明光は、光源と液晶との間に設けられた光学系内部で反射されて再び液晶を照明するので、表示範囲を照明する光がムラになるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明によるプロジェクタは、光を射出する固体発光素子と、投射する像を形成する投射像形成ユニットと、固体発光素子と投射像形成ユニットとの間に配置される反射部材とを備え、反射部材は、少なくとも一部が投射像形成ユニットの有効領域に対応する形状に形成され、有効領域に入射しない光を反射して固体発光素子へ戻し、固体発光素子へ戻された光を有効領域へ入射させることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプロジェクタにおいて、固体発光素子から射出された光を投射像形成ユニットへ導く照明光学系をさらに備え、反射部材は、照明光学系に対して固体発光素子側に設けられることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のプロジェクタにおいて、固体発光素子はドーム形状を有するカバー部材を備え、反射部材は、カバー部材の表面に設けられることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプロジェクタにおいて、偏光子をさらに備え、反射部材は、偏光子に対して固体発光素子側に設けられることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のプロジェクタにおいて、投射像形成ユニットは、前段に偏光ビームスプリッタを有する反射型画像形成素子であり、反射部材は、偏光ビームスプリッタの入射面に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、有効領域に入射しない光を反射して固体発光素子へ戻してから、固体発光素子へ戻された光を有効領域へ入射させるので、照明光のムラの発生を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
−第1の実施の形態−
図面を参照しながら、本発明の第1の実施の形態によるプロジェクタを備えるプロジェクタ付き電子カメラを説明する。図1に示すように、プロジェクタ付き電子カメラ10の前面には、撮影レンズ11、照明光窓12、およびプロジェクタ投射窓13が設けられている。プロジェクタ付き電子カメラ10の上面には、レリーズボタン14、ズームスイッチ16、モード切替ダイヤル15、およびメインスイッチ22が設けられている。また図2に示すように、プロジェクタ付き電子カメラ10の背面には、液晶表示器17、電子ビューファインダー18、および十字キー19が設けられている。
【0007】
プロジェクタ付き電子カメラ10には、後述するプロジェクタ装置(プロジェクタ部)が搭載されており、たとえば、机上に載置されたプロジェクタ付き電子カメラ10の正面側に配設されるスクリーンなどに向けて、画像などの情報をプロジェクタ投射窓13から投影する。
【0008】
モード切替えダイヤル15は、撮影モードや投影モードなどのプロジェクタ付き電子カメラ10の動作モードを切替えるためのモード切替え操作部材である。撮影モードは、被写体像を撮影し、撮影した画像データをメモリカードなどで構成される記録媒体に撮影画像ファイルとして保存する動作モードである。
【0009】
投影モードは、撮影済みの画像データを記録媒体(たとえば、後述するメモリカード200や不図示の内部メモリ)から読出すなどして、画像データによる再生画像をプロジェクタ部によってプロジェクタ投射窓13から投影する動作モードである。なお、投影モードが設定されたとき、プロジェクタ部は、記録媒体以外から読出された画像データや、プロジェクタ付き電子カメラ10の外部から供給される画像データによる再生画像を投影することも可能である。
【0010】
図3は、以上説明したプロジェクタ付き電子カメラ10の構成を説明するブロック図である。図3において、プロジェクタ付き電子カメラ10はプロジェクタ部120、撮像部220、メモリ102、操作部材103、液晶表示器104、および照明装置108を有する。CPU101A等から構成される制御回路101の不図示のカードスロットには、メモリカード200が着脱可能に装着されている。
【0011】
CPU101Aは、制御プログラムに基づいて、プロジェクタ付き電子カメラ10を構成する各部から入力される信号を用いて所定の演算を行うなどして、プロジェクタ付き電子カメラ10の各部に対する制御信号を送出することにより、撮影動作および投影動作の制御を行う。なお、制御プログラムはCPU101A内の不図示の不揮発性メモリに格納されている。
【0012】
メモリ102はCPU101Aの作業用メモリとして使用される。操作部材103は、図1におけるメインスイッチ22、レリーズボタン14、ズームスイッチ16、モード切替えダイヤル15、および図2における十字キー19に対応する。操作部材103は、操作内容に対応する操作信号をCPU101Aへ送出する。
【0013】
メモリカード200はフラッシュメモリなどの不揮発性メモリによって構成され、CPU101Aの指令により撮像部220で撮影された画像データなどのデータの書き込み、保存および読み出しが可能である。
【0014】
照明装置108は、CPU101Aからの発光指示に応じて発光体を発光させ、被写体を照明する照明光を照明光窓12からプロジェクタ付き電子カメラ10の正面に向けて射出する。
【0015】
液晶表示器104(図2において17)は、CPU101Aの指令により画像やテキストなどの情報を表示する。テキスト情報は、プロジェクタ付き電子カメラ10の動作状態、操作メニューなどである。
【0016】
(撮像部)
撮像部220は、撮影レンズ221(図1において11)、撮像素子222、レンズ駆動回路223、および撮影制御回路224を含む。撮像素子222としては、CCDやCMOS撮像素子などが用いられる。撮影制御回路224は、CPU101Aからの指令により撮像素子222およびレンズ駆動回路223を駆動制御するとともに、撮像素子222から出力される撮像信号(蓄積電荷信号)に対して所定の画像処理を行う。画像処理は、ホワイトバランス処理やガンマ処理などである。
【0017】
撮影レンズ221は、撮像素子222の撮像面上に被写体像を結像させる。撮影制御回路224は、撮影開始指示に応じて撮像素子222に撮像を開始させ、撮像終了後に撮像素子222から蓄積電荷信号を読出し、上記画像処理を施した上で画像データとしてCPU101Aへ送出する。
【0018】
レンズ駆動回路223は、撮影制御回路224から出力されるフォーカス調節信号に基づいて、撮影レンズ221を構成するフォーカスレンズ(不図示)を光軸方向に進退駆動する。また、レンズ駆動回路223は、撮影制御回路224から出力されるズーム調節信号に基づいて、撮影レンズ221を構成するズームレンズ(不図示)を光軸方向(テレ側もしくはワイド側)へ進退駆動する。フォーカス調節量およびズーム調節量は、CPU101Aから撮影制御回路224へ指示される。
【0019】
(プロジェクタ部)
図3〜図6を参照して、プロジェクタ部120について説明する。図3のブロック図、および図4のプロジェクタ部の構成図に示すように、プロジェクタ部120は、投影光学系121、反射型液晶パネル122、LED光源123、集光光学系124、ミラー125、PBS(偏光ビームスプリッタ)ブロック126、投射制御回路127、および偏光子128を含む。投射像形成ユニットとしての反射型液晶パネル122は、投射制御回路127からの駆動信号に応じて反射型液晶パネル122の画像表示領域122Aに投射像を生成する。すなわち、画像表示領域122Aは、投射像を形成するために利用される有効領域である。なお、無効領域122Bには投射像は形成されない。投射制御回路127は、CPU101Aから出力される投影指令に応じてLED光源123および反射型液晶パネル122へ制御信号を送出する。
【0020】
LED光源123は、たとえば青色LEDと黄色蛍光体による白色LEDであり、投射制御回路127を介して入力したCPU101Aの投影指令に基づいて白色光を射出する。集光光学系124は、LED光源123から射出されて入射した白色光をほぼ平行光にしてPBSブロック126へ向けて射出するコリメート光学系である。PBSブロック126は、集光光学系124から出射される照明光の光軸に対して45度の角度をなす偏光分離部126aを有する偏光ビームスプリッタである。PBSブロック126の上側面には反射型液晶素子(LCOS)によって構成される反射型液晶パネル122が配設される。
【0021】
PBSブロック126における集光光学系124側の面にはミラー125が配設されている。図5(a)のプロジェクタ部の概略配置図(斜視図)に示すように、ミラー125には、反射型液晶パネル122の画像表示領域122Aの形状に対応した開口部125OPが形成されている。この開口部125OPは、たとえば矩形形状を有する。ミラー125は、たとえばPBSブロック126にアルミなどを蒸着して形成され、LED光源123から射出された照明光のうち、反射型液晶パネル122の無効領域122Bに到達する光を反射して、LED光源123に再び入射させるための反射部材である。ミラー125は、図5(b)に示すように、集光光学系124から射出される平行光の進行方向に対して直交するように設けられている。そのため、ミラー125により反射された光は、ミラー125への入射光とほぼ同一の光路を通ってLED光源123へ戻る。ミラー125の開口部125OPには、フィルム状の偏光子128が設けられている。すなわち偏光子128の周囲を囲むようにミラー125が配置されている。なお、偏光子128は、光の進行方向に沿ってミラー125から離間して配置されてもよい。
【0022】
反射型液晶パネル122は、LED光源123から出射され、ミラー125の開口部125OPを通過、すなわち偏光子128を透過した照明光により照明される。PBSブロック126の面126bには、たとえば、黒色処理などの無反射処理が施されている。
【0023】
図6は、LED光源123を拡大して示す断面図である。LED光源123は、ベース部材1230、発光ダイオード素子(以下、LEDチップ)1231、カバー1232、電極1233、およびワイヤー1234等で構成されている。ベース部材1230上に設けられたLEDチップ1231は、青色発光体(LED)を黄色発光蛍光体で覆った白色LEDである。すなわち、青色発光体から発せられた青色光は、黄色発光蛍光体を通過して青色成分の光として射出するとともに、黄色発光蛍光体を励起する。励起された蛍光体は黄色成分の光を発光する。その結果、LEDチップ1231から白色光が射出される。
【0024】
カバー1232は、プラスチックなどの透明部材により半球面体で中空のドーム型形状に形成され、LEDチップ1231を覆うようにベース部材1230上に設けられている。また、カバー1232とベース部材1230との間に生じる空間Sには、カバー1232とほぼ同一の屈折率を有する透明なジェル状の物質が充填されている。
【0025】
上述したミラー125で反射されてLED光源123に戻され、LEDチップ1231に到達した光のうち青色成分の反射光は、LEDチップ1231を構成する黄色発光蛍光体を励起する。上述したように、LEDチップ1231の青色発光体から放射された青色成分の光も黄色発光蛍光体を励起し、それに加えて青色成分の反射光が入射するので黄色発光蛍光体の発光光量が増加する。また、反射部1232bの反射光のうち青色成分の反射光であって、上記の励起に使われなかった成分は、LEDチップ1231内部にも入射し、内部で反射や屈折を繰り返して再びLEDチップ1231の外部に向かって射出する。また、反射部1232bで反射されてLEDチップ1231に到達した光のうち黄色成分の光は、LEDチップ1231の内部で反射や屈折を繰り返し、再びLEDチップ1231の外部に向かって射出する。
【0026】
上述のようにして再びLEDチップ1231から発した光の一部は開口部125OPを透過し、その他の光はミラー125で反射されて再びLEDチップ1231へ戻る。そして、LEDチップ1231へ戻った光は再度上述したようにLEDチップ1231から射出される。したがって、反射型液晶パネル122の無効領域122Bの方向へ射出された光は、画像表示領域122Aへ向かう光として利用することができるようになる。
【0027】
上記構成のプロジェクタ部の動作を図4および図6を参照して説明する。
LEDチップ1231には、ワイヤー1234および電極1233を介して投射制御回路127からの制御信号に基づく駆動電流が供給される。LEDチップ1231は、駆動電流に応じた明るさの光を集光光学系124へ向けて射出する。集光光学系124はLED光をほぼ平行光にして偏光子128へ入射させる。偏光子128は入射光を直線偏光に変換(または抽出)し、変換(または抽出)後の偏光光をPBSブロック126へ向けて射出する。
【0028】
PBSブロック126へ入射された偏光光束(たとえばP偏光)は、PBSブロック126を透過して反射型液晶パネル122を照明する。投射像形成ユニットである反射型液晶パネル122は、赤、緑、青のフィルターが形成された複数の画素から構成され、カラーの画像を生成する。反射型液晶パネル122の液晶層を透過する光は、反射型液晶パネル122へ入射されると液晶層を図4の上向きに進行し、反射型液晶パネル122の反射面で反射された後、液晶層を図4の下向きに進行して反射型液晶パネル122から射出され、PBSブロック126へ再度入射される。電圧が印加された液晶層は位相板として機能するので、PBSブロック126へ再度入射される光は、S偏光である変調光とP偏光である非変調光との混合光になる。PBSブロック126は、再入射された光束のうちS偏光成分である変調光のみを偏光分離部126aで反射(折り曲げる)し、左方の投影光学系121へ向けて投影光として射出する。
【0029】
以上で説明した第1の実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。
(1)LED光源123と反射型液晶パネル122との間に、画像表示領域122Aに対応する形状を有する開口部125OPを有するミラー125を設けた。そして、LED光源123から射出した光のうち、画像表示領域122Aに入射しない光をミラー125で反射してLED光源123へ戻し、画像表示領域122Aへ向かう光として再び射出させるようにした。したがって、LED光源123および反射型液晶パネル122の光路長と、ミラー125および反射型液晶パネル122の光路長とが幾何光学的に異なることに起因して生じる照明光のムラの発生を抑制することができるので、投射像の画質を向上できる。さらに、従来は利用されていない無効領域122Bに入射する光を利用することができるので、LED光源123の光利用効率を向上できるとともに、画像表示領域122Aに入射する光量が向上して投影像の明るさを増加させることができる。
【0030】
(2)ミラー125は、無効領域122Bに入射する光を反射してLED光源123へ戻すので、反射光がPBSブロック126に入射することがなくなり、ゴーストの原因となる散乱光の発生を防ぐことができる。
【0031】
(3)LEDチップ1231は、LEDの発光による青色成分の光、および青色成分の光により蛍光体が励起されて発光する黄色成分の光により白色光を射出する白色LEDである。そして、上記の特性を有するLEDチップ1231を用い、ミラー125からの反射光の青色成分によっても黄色蛍光体を励起することできる。すなわち、本来、投射光(照明光)として利用していなかったLEDチップ1231の光を蛍光体の励起に再利用することができ、LED光源123から射出する光の光量を増加させることができる。
【0032】
以上で説明した第1の実施の形態のプロジェクタ部120を、以下のように変形できる。
(1)図4に示すようにミラー125がPBSブロック126に接するように設けられるものに代えて、ミラー125がPBSブロック126から離間して設けられてもよい。また、ミラー125として、アルミなどをPBSブロック126の下側面に蒸着してもよい。
【0033】
(2)集光光学系124の周辺部において精度が得られない場合、すなわち集光光学系124の周辺部から射出される光が平行光とならない場合は、ミラー125を図7(a)に示すように設けてもよい。この場合、ミラー125からの反射光が、ミラー125への入射光と同一の光路を通ってLED光源123へ戻るように、ミラー125に所定の曲率(光学パワー)を持たせればよい。なお、図7(b)に示すように、集光光学系124の表面におけるPBSブロック126への射出側にアルミなどを蒸着して反射部材としてもよい。
【0034】
(3)集光光学系124が複数枚のレンズ124a、124bによって構成される場合、レンズ124aとレンズ124bとの間にミラー125を設けるようにしてもよい。この場合の配置例を図8に示す。図8(a)は、レンズ124aから射出される平行光の進行方向に対して直交するようにミラー125を配置した場合を示す。図8(b)は、上記(2)の場合と同様に、レンズ124aの周辺部から射出される光が平行光とならない時、ミラー125に所定の光学パワーを持たせるようにした場合を示す。なお、レンズ124aにアルなどを蒸着させて反射部材としてもよい。
【0035】
(4)ミラー125の形状が、少なくとも一部が画像表示領域122Aに対応するように形成されるものでもよい。すなわち、反射型液晶パネル122の上下、もしくは左右方向の無効領域122Bに入射する光のみを反射させる形状でもよい。たとえば、図9に示すように、画像表示領域122Aが辺L1と辺L2(L1>L2)からなる略長方形とであるものとする。さらに、無効領域122Bのうち画像表示領域122Aの長手方向の辺L1と接する領域を無効領域122Baとし、画像表示領域122Aの短手方向の辺L2と接する領域を無効領域122Bbとする。このとき、無効領域122Baの面積は、無効領域122Baの面積より大きくなるので、ミラー125は、画像表示領域122Aの長手方向の辺L1と接する無効領域122Baに入射する光を反射させるように配置すればよい。
【0036】
−第2の実施の形態−
図10および図11を参照して、本発明によるプロジェクタを備えるプロジェクタ付き電子カメラの第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、ミラー125に代えてLED光源123に反射部材を設ける点で、第1の実施の形態と異なる。
【0037】
図10に示すように、偏光子128は、集光光学系124に対してPBSブロック126側に配置されるものとする。すなわち、第2の実施の形態のプロジェクタ120においては、第1の実施の形態のミラー125に相当する反射部1232b(図11)は偏光子128よりもLED光源123側に配置される。
【0038】
図11(a)のLED光源123の断面図に示すように、第2の実施の形態におけるLED光源123のカバー1232の外周面には、頂部近傍の所定領域を除く領域に反射膜が設けられている。すなわち、カバー1232には、LEDチップ1231から射出された光を透過させる透過部1232aと、射出された光を反射させるための反射部1232bとが形成されている。透過部1232aはカバー1232の頂部に設けられ、LEDチップ1231から射出された白色光を透過して、集光光学系124へ導く。図11(b)の外観図に示すように、この透過部1232aの領域は、反射型液晶パネル122の画像表示領域122Aの形状に基づいて決定される。すなわち、カバー1232を透過したすべての光が画像表示領域122Aに入射するように、透過部1232aの領域が設定されている。
【0039】
反射部1232bは、LEDチップ1231から射出された光のうち、そのままでは画像表示領域122Aには入射せず、照明光として利用されない光を光源に戻して再利用するために設けられ、たとえばアルミなどをカバー1232の表面に蒸着したものである。反射部1232bは半球面状のカバー1232の外周面に設けられているので、LEDチップ1231から射出され反射部1232bで反射された光は、半球のほぼ中心に位置するLEDチップ1231に入射する。上述したように、透過部1232aの領域は反射型液晶パネル122の画像表示領域122Aに基づいて決定されているので、画像表示領域122Aに入射しない光はすべて反射部1232bで反射されてLEDチップ1231に戻される。
【0040】
反射部1232bで反射されてLEDチップ1231に到達した光は、第1の実施の形態の場合と同様に、LEDチップ1231内部にも入射し、内部で反射や屈折を繰り返して再びLEDチップ1231の外部に向かって射出する。そして、再びLEDチップ1231から発した光の一部は透過部1232aを透過し、その他の光は反射部1232bで反射されて再びLEDチップ1231へ戻る。したがって、反射型液晶パネル122の無効領域122Bの方向へ射出された光は、画像表示領域122Aへ向かう光として利用することができるようになる。
【0041】
以上で説明した第2の実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。
(1)LED光源123のカバー1232の外周面に、画像表示領域122Aに対応する形状を有する透過部1232aと、射出された光を反射させるための反射部1232bとを設けた。そして、反射部1232bは、LEDチップ1231から射出した光のうち、画像表示領域122Aに入射しない光をLEDチップ1231へ戻し、画像表示領域122Aへ向かう光として射出させるようにした。その結果、従来は利用されていない無効領域122Bに入射する光を利用することができるので、第1の実施の形態において得られた(1)の作用効果と同様の作用効果が得られる。
【0042】
(2)図11に示すように、反射部1232bの形状を、画像表示領域122Aに対応する形状となるように形成し、LEDチップ1231から射出される光のうち集光光学系124に入射しない光についてもLEDチップ1231に戻して再利用するようにした。したがって、図12に示す従来のLED光源223のように、LEDチップ223aの側面方向に射出された有効利用できない光LAを利用できるので、第1の実施の形態におけるLED光源123に比べて、さらに射出した光の光利用効率を向上できる。
【0043】
(3)反射部1232bをカバー1232に設ける、すなわち反射部1232bを偏光子128に対してLEDチップ1231側に設けるようにした。したがって、反射部1232bで反射されてから透過部1232aを通過して射出した光を確実に偏光子128へ導くことができる。
【0044】
第2の実施の形態のプロジェクタ部120を、以下のように変形できる。
(1)LED光源123のカバー1232に透過部1232aと反射部1232bを設けるものに代えて、透過部と反射部とを有するキャップを設けるようにしてもよい。図13に、この場合のLED光源123の断面を示す。LED光源123は、カバー1232とほぼ同一の屈折率を有する透明部材により半球面体で中空のドーム型形状に形成され、カバー1232を覆うようにして設けられたキャップ1235を有する。なお、キャップ1235とカバー1232とは図13に示すように密着するものであっても、キャップ1235とカバー1232との間に空間が存在するものであってもよい。空間が存在する場合には、キャップ1235およびカバー1232とほぼ同一の屈折率を有する透明なジェル状の物質が充填される。
【0045】
キャップ1235は、透過部1235aと、キャップ1235の外周面にアルミ蒸着などが施された反射部1235bとを有する。透過部1235aの領域は反射型液晶パネル122の画像表示領域122Aに基づいて決定される。その結果、カバー1232および透過部1235aは、LEDチップ1231から射出された白色光を透過して集光光学系124を介して画像表示領域122Aへ導く。さらに、カバー1232を透過し反射部1235bで反射された白色光は、再びカバー1232を透過してLEDチップ1231へ戻る。したがって、LEDチップ1231から射出される光のうち画像表示領域122Aに入射しない光をLEDチップ1231に戻して再利用することができる。
【0046】
(2)カバー1232の外周部にアルミ蒸着などにより反射部1232bを設けるものに代えて、カバー1232の内周部に反射部1232bを設けるものでもよい。また、上記(1)のキャップ1235の外周部にアルミ蒸着などにより反射部1235bを設けるものに代えて、キャップ1235の内周部に反射部1235bを設けるものでもよい。
【0047】
上述した第1の実施の形態および第2の実施の形態におけるプロジェクタ部120を、次のように変形できる。
(1)LED光源123は、R、G、Bの各色をそれぞれ発光する3つのLEDチップを用いて白色光を発光するものを用いてもよい。この場合、反射部で反射されて3つのLEDチップに戻ってきた光はLED光源123内で反射を繰り返して外部へ射出される。その結果、本来投射像の照明光として有効に利用できなかった光を有効利用してLED光源の射出光量の増大化に寄与できる。
【0048】
(2)PBSブロック126に代えて、図14(a)に示すワイヤグリッド偏光子、もしくは複屈折性反射型偏光子400を用いてもよい。
(3)反射型液晶パネル122に代えて、図14(b)に示す透過型液晶パネル500を用いることができる。この場合においても、ミラー125の開口125OP、もしくはLED光源123の透過部1232aは、透過型液晶パネル500の画像表示領域500Aに対応した形状となるように形成される。
【0049】
(4)プロジェクタ部120を搭載する携帯電話やPDAなどの携帯型電子機器にも本発明を適用できる。
(5)固体発光素子は、実施の形態で説明した発光ダイオードに限定されない。また、光源としてランプを用いるものであってもよい。
【0050】
また、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態におけるプロジェクタ付き電子カメラの前面斜視図
【図2】実施の形態におけるプロジェクタ付き電子カメラの後面斜視図
【図3】実施の形態におけるプロジェクタ付き電子カメラの構成を説明するブロック図
【図4】第1の実施の形態におけるプロジェクタ部の構成を説明する図
【図5】第1の実施の形態におけるプロジェクタ部の概略配置図
【図6】第1の実施の形態におけるプロジェクタ部が備えるLED光源の構成図
【図7】変形例におけるプロジェクタ部の構成を説明する図
【図8】変形例におけるプロジェクタ部の構成を説明する図
【図9】変形例におけるプロジェクタ部の構成を説明する図
【図10】第2の実施の形態におけるプロジェクタ部の構成を説明する図
【図11】第2の実施の形態におけるプロジェクタ部が備えるLED光源を説明する図
【図12】従来技術による光源付近の構成を説明する図
【図13】変形例における光源の構成を説明する図
【図14】変形例におけるプロジェクタ部の構成を説明する図
【符号の説明】
【0052】
120・・・プロジェクタ部 122・・・反射型液晶パネル
122A・・・画像表示領域 123・・・LED光源 125・・・ミラー
125OP・・・開口部 126・・・PBSブロック 128・・・偏光子
1231・・・LEDチップ 1232・・・カバー 1232a・・・透過部
1232b・・・反射部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を射出する固体発光素子と、
投射する像を形成する投射像形成ユニットと、
前記固体発光素子と前記投射像形成ユニットとの間に配置される反射部材とを備え、
前記反射部材は、少なくとも一部が前記投射像形成ユニットの有効領域に対応する形状に形成され、前記有効領域に入射しない光を反射して前記固体発光素子へ戻し、前記固体発光素子へ戻された光を前記有効領域へ入射させることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記固体発光素子から射出された光を前記投射像形成ユニットへ導く照明光学系をさらに備え、
前記反射部材は、前記照明光学系に対して前記固体発光素子側に設けられることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプロジェクタにおいて、
前記固体発光素子はドーム形状を有するカバー部材を備え、
前記反射部材は、前記カバー部材の表面に設けられることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプロジェクタにおいて、
偏光子をさらに備え、
前記反射部材は、前記偏光子に対して前記固体発光素子側に設けられることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項5】
請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記投射像形成ユニットは、前段に偏光ビームスプリッタを有する反射型画像形成素子であり、
前記反射部材は、前記偏光ビームスプリッタの入射面に設けられることを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−192724(P2009−192724A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32057(P2008−32057)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】