説明

プロジェクタ

【課題】投射方向を変更でき、かつ取り外し不要な機構を備えるプロジェクタを提供すること。
【解決手段】通常投射の際には、シャッタ41を所定の回転位置まで回転させるだけで、投射レンズ36から射出された画像光を、第2シャッタ開口414、第1シャッタ開口413、および第1開口215を介してプロジェクタ1外へ、その進行方向を変更することなく射出できる。変更投射の際には、シャッタ41を前記所定の回転位置とは異なる回転位置まで回転させるだけで、投射レンズ36から射出された画像光を第1シャッタ開口413を介してシャッタ41内に導入し、導入した画像光を反射部材44にて反射し、第2シャッタ開口414および第2開口231を介して天井に投射できる。反射部材44等からなる変更投射するための機構が筐体2内に内蔵されているので、通常投射の際に該機構を筐体2から取り外す必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し画像光を拡大投射するプロジェクタが利用されている。このようなプロジェクタは、通常、画像光の射出方向が略水平となる姿勢で机上に載置されたり天吊りされたりして、当該プロジェクタの前方に設けられたスクリーンや壁面に画像光を投射するものであるが、近年、画像光の投射方向を切り替えることができ、例えば画像光の投射方向を天井側に切り替えて、天井に画像光を投射することができるものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のプロジェクタは、投射レンズを有するプロジェクタ本体と、反射板を有し、プロジェクタ本体に着脱自在に設けられた投射方向変更ユニットとを備えている。このプロジェクタでは、投射方向変更ユニットをプロジェクタ本体に取り付けることで、反射板を投射レンズの前方に斜めに配置できるので、投射レンズから射出された画像光を反射板にて反射でき、画像光の投射方向を切り替えることができる。例えばこのプロジェクタでは、画像光の射出方向が略水平となる姿勢で机上に設置された場合には、投射方向変更ユニットをプロジェクタ本体に取り付けることで、画像光を天井に投射でき、寝転びながら天井に投射される画像を鑑賞することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2007−114753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のプロジェクタでは、投射方向変更ユニットがプロジェクタ本体とは別体に設けられているので、画像光を水平に投射する通常の使用状態の際には、投射方向変更ユニットをプロジェクタ本体から取り外さなければならず、取り外した投射方向変更ユニットを使用者が紛失してしまうおそれがあった。従って、投射方向を変更でき、かつ取り外し不要な機構を備えるプロジェクタの開発が求められている。
【0005】
本発明の目的は、投射方向を変更でき、かつ取り外し不要な機構を備えるプロジェクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプロジェクタは、光源装置と、前記光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調して画像光を形成する光変調装置と、前記画像光を拡大投射する投射光学装置とを備えたプロジェクタであって、前記各装置を内部に収納し、かつ、第1面において前記投射光学装置の前記画像光の射出方向上に第1開口が形成されるとともに、前記第1面に交差する第2面に第2開口が形成された筐体と、回転可能に前記筐体内部に設けられ、外周面に、第1シャッタ開口および第2シャッタ開口が形成され、回転することで前記外周面により前記第1,第2開口を開閉するシャッタと、前記シャッタ内に、前記シャッタと一体に回転するように設けられた反射部材とを備え、前記第1シャッタ開口は、前記シャッタの外周面において、前記第2シャッタ開口が前記投射光学装置の前記画像光の射出方向上に位置する際に前記第1開口と重なる位置で、かつ、前記第2シャッタ開口が前記第2開口と重なる際に前記投射光学装置の前記画像光の射出方向上に位置する位置に形成され、前記反射部材は、前記投射光学装置の前記画像光の射出方向上から外れた第1位置、および前記投射光学装置の前記画像光の射出方向上の第2位置間を移動可能に設けられ、前記第2位置では、前記投射光学装置から射出され、前記第1シャッタ開口を介して入射する前記画像光を前記第2開口側に反射し、前記画像光を前記第2シャッタ開口および前記第2開口を介して外部へ射出することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、投射光学装置からの画像光の進行方向を変更しないで当該画像光をプロジェクタ外へ射出する通常投射の際には、シャッタを回転させて第1シャッタ開口を第1開口と重なる位置に、第2シャッタ開口を投射光学装置からの画像光の進行方向上に位置づけるとともに反射部材を第1位置に移動させる。これにより、投射光学装置から射出された画像光を第2シャッタ開口を介してシャッタ内に導入し、導入した画像光を、当該画像光の進行方向を変更しないで第1シャッタ開口および第1開口を介してプロジェクタ外へ射出できる。
また、投射光学装置からの画像光の進行方向を変更して当該画像光をプロジェクタ外へ射出する変更投射の際には、シャッタを回転させて第1シャッタ開口を投射光学装置からの画像光の進行方向上に、第2シャッタ開口を第2開口と重なる位置に位置付けるとともに反射部材を第2位置に移動させる。これにより、投射光学装置から射出された画像光を第1シャッタ開口を介してシャッタ内に導入し、導入した画像光を、反射部材にて反射し、第2シャッタ開口および第2開口を介してプロジェクタ外へ射出できる。
従って、第1開口が形成された第1面がスクリーンに対向するように、かつ、第2開口が形成された第2面側が天面側に配置されるように、プロジェクタを水平面上に設置することで、通常投射の際には画像光をスクリーンに投射でき、変更投射の際には画像光を天井に投射できる。
また、反射部材等からなる変更投射するための機構が筐体内に内蔵されており、通常投射の際に当該機構を筐体から取り外す必要がないので、使用者が当該機構を紛失してしまうことがない。
さらに、シャッタを回転させるだけで通常投射および変更投射を切り替えることができるので、手動でシャッタを回転させる場合、使用者は、シャッタを回転させて容易に通常投射および変更投射を切り替えることができる。
【0008】
本発明のプロジェクタでは、前記シャッタは、筒状に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、シャッタが筒状に形成されているので、一方のシャッタ開口からシャッタ内に導入した画像光を他方のシャッタ開口のみからシャッタ外へ、すなわち、第1,第2開口を介してプロジェクタ外へ射出できる。従って、シャッタ内に導入した画像光がプロジェクタ内部に漏れることを防ぐことができ、当該漏れ光がプロジェクタに形成された吸気口等から外部に漏れてしまうことを防止できる。
【0009】
本発明のプロジェクタは、前記シャッタの回転位置を検出する検出手段と、画像情報を取得する取得手段と、前記シャッタの回転位置に基づいて前記画像情報を補正する補正手段と、補正された前記画像情報を前記光変調装置に出力する出力手段とを備えていることが好ましい。
本発明によれば、補正手段がシャッタの回転位置に基づいて画像情報を補正するので、使用者にとって見やすい好適な投射画像を自動的に形成でき、プロジェクタの利便性を向上できる。
【0010】
本発明のプロジェクタでは、前記補正手段は、前記シャッタの回転位置が、前記第1,第2開口を共に閉める位置にあるのか否かを判定する第1判定手段と、前記シャッタの回転位置が、前記第1,第2開口を共に閉める位置には無いと前記第1判定手段が判定した場合、前記シャッタの回転位置が、前記第1開口を開ける位置にあるのか、前記第2開口を開ける位置にあるのかを判定する第2判定手段と、前記光変調装置にて形成される画像の上下が反転するように前記画像情報を補正する上下反転手段と、前記光変調装置にて形成される画像の左右が反転するように前記画像情報を補正する左右反転手段と、前記シャッタの回転位置が、前記第2開口を開ける位置にあると前記第2判定手段が判定した場合、前記上下反転手段および前記左右反転手段のうち、いずれか一方を機能させる選択手段とを備えていることが好ましい。
【0011】
本発明によれば、シャッタの回転位置が第2開口を開ける位置、すなわち天井に画像光を投射する変更投射の位置にあると第2判定手段が判定した場合において、使用者が投射光学装置からの画像光の射出方向に体を向けた状態で天井に形成された画像を見る場合には、選択手段が上下反転手段を機能させることで、光変調装置にて上下が本来とは反転した画像を形成でき、天井に使用者にとって上下の正しい向きの画像を形成できる。また、シャッタの回転位置が変更投射の位置にあると第2判定手段が判定した場合において、使用者が投射光学装置からの画像光の射出方向とは反対方向に体を向けた状態で天井に形成された画像を見る場合には、選択手段が左右反転手段を機能させることで、光変調装置にて左右が本来とは反転した画像を形成でき、天井に使用者にとって左右の正しい向きの画像を形成できる。
【0012】
本発明では、前記補正手段は、前記シャッタの回転位置が、前記第1,第2開口を共に閉める位置にあるのか否かを判定する第1判定手段と、前記シャッタの回転位置が、前記第1,第2開口を共に閉める位置には無いと前記第1判定手段が判定した場合、前記シャッタの回転位置が、前記第1開口を開ける位置にあるのか、前記第2開口を開ける位置にあるのかを判定する第2判定手段と、前記シャッタの回転位置が前記第2開口を開ける位置にあると前記第2判定手段が判定した場合、投射画像において歪みが生じないように前記画像情報を補正する歪補正手段とを備えていることが好ましい。
本発明によれば、シャッタの回転位置が天井に画像光を投射する変更投射の位置にあると第2判定手段が判定した場合、天井に投射される投射画像に歪が乗じないように歪補正手段が画像情報を補正するので、天井に投射される投射画像の歪みを抑制できる。
【0013】
本発明のプロジェクタでは、前記補正手段は、前記シャッタの回転位置が、前記第1,第2開口を共に閉める位置にあるのか否かを判定する第1判定手段と、前記シャッタの回転位置が、前記第1,第2開口を共に閉める位置には無いと前記第1判定手段が判定した場合、前記シャッタの回転位置が、前記第1開口を開ける位置にあるのか、前記第2開口を開ける位置にあるのかを判定する第2判定手段と、前記第2判定手段の判定に応じて、前記画像情報の色調を投射対象面に応じた色調に補正する色調補正手段とを備えていることが好ましい。
【0014】
本発明によれば、シャッタの回転位置が通常投射の位置にあると第2判定手段が判定した場合、色調補正手段は、スクリーンに応じた色調に画像情報の色調を補正する。また、シャッタの回転位置が天井に画像光を投射する変更投射の位置にあると第2判定手段が判定した場合、色調補正手段は、天井に応じた色調に画像情報の色調を補正する。このように、色調補正手段が投射対象面に応じた色調に画像情報の色調を補正するので、通常投射および変更投射を切り換えても、良好な色調の画像を投射面に形成できる。
【0015】
本発明では、前記シャッタの回転位置を検出する検出手段と、画像情報を取得する取得手段と、前記シャッタの回転位置が、前記第1,第2開口を共に閉める位置にあるのか否かを判定する第1判定手段と、前記シャッタの回転位置が、前記第1,第2開口を共に閉める位置にあると前記第1判定手段が判定した場合、前記光変調装置に黒表示させる前記画像情報を生成するミュート手段と、前記ミュート手段により生成された前記画像情報を前記光変調装置に出力する出力手段とを備えていることが好ましい。
【0016】
本発明によれば、シャッタの回転位置が第1,第2開口を共に閉める位置、すなわちシャッタが投射光学装置から射出された画像光を外周面などによって遮ってしまう位置にあると第1判定手段が判定した場合、ミュート手段が光変調装置に黒表示させるので、画像光が照射されることによりシャッタが高温となってしまうことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るプロジェクタ1の要部を示す斜視図である。
プロジェクタ1は、机上などの水平面上に載置され、画像光を、プロジェクタ1の前方に載置されるスクリーンや、プロジェクタ1の上方に位置する天井に拡大投射する。このプロジェクタ1は、図1に示すように、筐体2と、光学ユニット3と、投射方向変更ユニット4と、操作手段5と、制御装置6(図6参照)とを備えている。
【0018】
筐体2は、箱状に形成され、光学ユニット3、投射方向変更ユニット4、および制御装置6を内部に収納する。この筐体2は、画像光を水平方向に射出する面である前面211、背面212、左側面213、および右側面214からなる側面21と、水平面上に載置される際に水平面と対向する底面22と、側面21と交差し、水平面上に載置された際に上側に位置する天面23とを備えている。前面211において、後述する投射レンズ36の画像光の射出方向上には、第1開口215が形成されている。左側面213には挿通孔216が形成されている。また、挿通孔216の周辺部には、基準線Kが形成されている。天面23には第2開口231が形成されている。また、天面23には、操作手段5を構成する操作パネル51が設けられている。このような筐体2の内部には、第1,第2開口215,231の内壁面を構成するとともに、当該開口215,231の筐体2内部側の縁を、投射方向変更ユニット4の後述する筒部材41の外周面412に接しさせ、漏れ光を防止する肉厚部24(図4参照)が設けられている。
【0019】
図2は、光学ユニット3の構成を模式的に示す図である。
光学ユニット3は、制御装置6による制御の下、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し拡大投射する。この光学ユニット3は、図2に示すように、光源装置31と、照明光学装置32と、色分離光学装置33と、リレー光学装置34と、光学装置35と、投射光学装置としての投射レンズ36と、光学部品用筐体37とを備えている。各光学部品31〜37は、種々の一般的なプロジェクタの光学系として利用されているため、以下では簡略に説明する。
【0020】
光源装置31は、光源ランプ311、およびリフレクタ312を備えている。照明光学装置32は、レンズアレイ321,322、偏光変換素子323、および重畳レンズ324を備えている。色分離光学装置33は、ダイクロイックミラー331,332、および反射ミラー333を備えている。リレー光学装置34は、入射側レンズ341、リレーレンズ342、および反射ミラー343,344を備えている。光学装置35は、制御装置6による制御の下、光源装置31から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置としての3つの液晶パネル351(赤色光側を液晶パネル351R、緑色光側を液晶パネル351G、青色光側を液晶パネル351Bとする)、3つの入射側偏光板352、3つの射出側偏光板353、および3つの液晶パネル351にて変調された光束を合成して画像光(カラー画像)を形成する色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム354を備えている。投射レンズ36は、前記画像光を拡大投射する。光学部品用筐体37は、これら各光学部品31〜36を内部に設定された照明光軸Aに対する所定位置に支持固定する。
【0021】
図3は、投射方向変更ユニット4を示す拡大図である。
投射方向変更ユニット4は、プロジェクタ1の画像光の射出方向を変更する。この投射方向変更ユニット4は、図3に示すように、投射レンズ36の画像光の射出方向上に設けられており、シャッタとしての筒部材41と、軸42と、つまみ43と、反射部材44とを備えている。
【0022】
筒部材41は、円筒状かつ箱状に形成され、両端面411に設けられた後述する軸42が筐体2に回転可能に保持されることにより回転可能に設けられている。この筒部材41は、外周面412が各第1,第2開口215,231と接するように配置されている(図4参照)。外周面412には、第1,第2シャッタ開口413,414が形成されている。これら第1,第2シャッタ開口413,414は、共に第1,第2開口215,231よりも大きく形成されている(図4,5参照)。
【0023】
第1シャッタ開口413は、筒部材41の外周面412において、図3に示すように、筒部材41の回転により第2シャッタ開口414が投射レンズ36の画像光の射出方向上に位置する際に第1開口215と重なる位置で、かつ、筒部材41の回転により第2シャッタ開口414が第2開口231と重なる際に(図5参照)、投射レンズ36の画像光の射出方向上に位置する位置に形成されている。筒部材41は、回転することにより、これら第1,第2シャッタ開口413,414が形成された外周面412によって第1,第2開口215,231を開閉する。
【0024】
軸42は、前述したように、筒部材41の両端面411にそれぞれ設けられ、筐体2に回転可能に保持されている。このうち、一方の軸42は、挿通孔216を挿通してプロジェクタ1外部まで伸びており、先端につまみ43が設けられている。本実施形態では、使用者がこのつまみ43を回転させて筒部材41を回転させることで、投射レンズ36からの画像光の進行方向を変更しないで当該画像光をプロジェクタ1外へ射出する通常投射と、投射レンズ36からの画像光の進行方向を変更して当該画像光をプロジェクタ1外へ射出する変更投射とを切り替えることができるようになっている。軸42の外周面412には、筐体2に形成された基準線Kに指示されることにより、通常投射する際のつまみ43の回転停止位置を示すN等の適宜の印が形成されている。また、軸42の外周面412には、基準線Kに指示されることにより、変更投射する際のつまみ43の回転停止位置を示す図示しない適宜の印が形成されている。この軸42の回転、すなわち、筒部材41の回転位置は、ロータリーエンコーダ等の検出手段7(図6参照)により検出され、制御装置6に出力されるようになっている。
【0025】
反射部材44は、筒部材41内に、当該筒部材41と一体に回転するように設けられている。この反射部材44の回転中心側の面には反射面441が形成されている。このような反射部材44は、筒部材41が回転することにより、投射レンズ36からの画像光の射出方向上から外れた第1位置、および投射レンズ36からの画像光の射出方向上の第2位置間を移動可能に設けられている。具体的には、反射部材44は、第1シャッタ開口413が第1開口215と重なり、かつ、第2シャッタ開口414が投射レンズ36の画像光の射出方向上に位置する際に、第1位置となり、第1シャッタ開口413が投射レンズ36の画像光の射出方向上に位置し、かつ、第2シャッタ開口414が第2開口231と重なる際に、第2位置となるように設けられている。さらに反射部材44は、第2位置では、投射レンズ36からの画像光を第2開口231側へ反射することができる角度で、筒部材41内に設けられている。
【0026】
図4は、通常投射する際の筒部材41および反射部材44を示す断面図である。
以上の構成により、通常投射する際には、使用者は、通常投射を示す印が基準線Kに指示されるまでつまみ43を回すことで、図4に示すように、第1シャッタ開口413が第1開口215と重なり、かつ、第2シャッタ開口414が投射レンズ36の画像光の射出方向上に位置するように筒部材41を回転させることができるとともに、反射部材44を投射レンズ36からの画像光の射出方向から外れた第1位置に移動させることができる。これにより、通常投射の際には、投射レンズ36からの画像光は、第2シャッタ開口414から筒部材41内に導入された後、第1シャッタ開口413および第1開口215からプロジェクタ1外へ射出され、プロジェクタ1の前方に配置されたスクリーンに投射されることとなる。この際、筒部材41は、外周面412により第2開口231を閉塞し、第2開口231からプロジェクタ1外への光漏れを防止する。
【0027】
図5は、変更投射する際の筒部材41および反射部材44を示す断面図である。
また、変更投射する際には、使用者は、変更投射を示す印が基準線Kに指示されるまでつまみ43を回すことで、図5に示すように、第1シャッタ開口413が投射レンズ36の画像光の射出方向上に位置し、かつ、第2シャッタ開口414が第2開口231と重なるように筒部材41を回転させることができるとともに、反射部材44を投射レンズ36からの画像光の射出方向上である第2位置に移動させることができる。これにより、変更投射の際には、投射レンズ36からの画像光は、第1シャッタ開口413から筒部材41内に導入され、反射部材44にて反射された後、第2シャッタ開口414および第2開口231からプロジェクタ1外へ射出され、天井に投射されることとなる。この際、筒部材41は、外周面412によって第1開口215を閉塞し、第1開口215からプロジェクタ1外への光漏れを防止する。
【0028】
操作手段5は、操作パネル51、およびリモートコントローラ52(図6参照)からなり、使用者による入力操作に応じた操作信号を制御装置6に出力する。使用者による操作手段5の操作により、画像の向きに係るプロジェクタ1のモードが、画像の上下を反転する上限反転モード、および画像の左右を反転する左右反転モードのうち、一方のモードに設定される。
【0029】
図6は、制御装置6の構成を示す図である。
制御装置6は、CPU(Central Processing Unit)や記憶装置が実装された回路基板として構成され、プロジェクタ1全体を制御する。また、制御装置6は、通常投射および変更投射の切替えに応じて、自動的に画像の向きや色調を補正する。この制御装置6は、図6に示すように、取得手段61と、設定手段62と、補正手段63と、出力手段64とを備えている。
【0030】
取得手段61は、プロジェクタ1に接続されたパーソナルコンピュータ等から表示画像に係る画像情報を取得する。
設定手段62は、使用者による操作手段5の操作に応じて、画像の向きに係るプロジェクタ1のモードを、画像の上下を反転する上下反転モード、および画像の左右を反転する左右反転モードのうち、いずれか一方のモードに設定する。
出力手段64は、後述する補正手段63によって補正された画像情報を液晶パネル351に出力する。
【0031】
補正手段63は、画像情報の補正を行う。この補正手段63は、第1判定手段631、第2判定手段632、色調補正手段633、選択手段634、上下反転手段635、左右反転手段636、歪補正手段637、およびミュート手段638を備えている。
第1判定手段631は、検出手段7によって検出された筒部材41の回転位置が、当該筒部材41が第1,第2開口215,231を共に閉める位置にあるのか否かを判定する。
【0032】
第2判定手段632は、筒部材41の回転位置が第1,第2開口215,231を共に閉める位置では無いと第1判定手段631が判定した場合、筒部材41の回転位置が第1開口215を開ける位置、すなわち、通常投射の位置にあるのか、第2開口231を開ける位置、すなわち、変更投射の位置にあるのかを判定する。
【0033】
色調補正手段633は、第2判定手段632の判定に応じて、画像情報の色調を投射対象面に応じた色調に補正する。すなわち、色調補正手段633は、筒部材41の回転位置がスクリーンに画像光を投射する通常投射の位置にあると第2判定手段632が判定した場合、スクリーンに応じた色調に画像情報の色調を補正する。また、色調補正手段633は、筒部材41の回転位置が天井に画像光を投射する変更投射の位置にあると第2判定手段632が判定した場合、天井に応じた色調に画像情報の色調を補正する。
【0034】
選択手段634は、筒部材41の回転位置が天井に画像光を投射する変更投射の位置にあると第2判定手段632が判定した場合、後述する上下反転手段635および左右反転手段636のうち、いずれか一方を機能させる。具体的には、選択手段634は、画像の向きに係るプロジェクタ1のモードが上下反転モードに設定されていた場合には、上下反転手段635を機能させ、画像の向きに係るプロジェクタ1のモードが左右反転モードに設定されていた場合には、左右反転手段636を機能させる。
【0035】
図7は、スクリーンに投射される投射画像を示す図、図8は、使用者が投射レンズ36からの画像光の射出方向に体を向けた状態で天井に投射される投射画像を見た場合の投射画像を示す図である。なお、図8および後述する図9〜図11では、投射画像を歪みがないものとして図示している。
【0036】
図7に示すように、液晶パネル351にて形成された形成画像をプロジェクタ1の前方にあるスクリーンに投射する通常投射の場合には、スクリーンには、上下左右の向きが形成画像の上下左右の向きと同一の投射画像が形成される。しかしながら、図8に示すように、投射レンズ36から射出された画像光(形成画像)を反射部材44により反射して天井に投射する変更投射の場合において、使用者が投射レンズ36からの画像光の射出方向に体を向けた状態で天井に投射された投射画像を見た場合には、投射画像の上下の向きが、形成画像の上下の向きとは反転してしまう。
【0037】
図9は、上下反転手段により補正された画像情報に係る形成画像を示す図である。
そこで、上下反転手段635は、筒部材41の回転位置が変更投射の位置にあると第2判定手段632が判定した場合において、プロジェクタ1が上下反転モードに設定されている場合、選択手段634により機能し、図9に示すように、液晶パネル351にて形成される画像の上下が、補正前の画像情報に基づいて形成される画像の上下とは反転するように、色調補正手段633により補正された画像情報をさらに補正する。これにより、天井に使用者にとって上下の正しい向きの画像を形成できる。
【0038】
図10は、天井に投射された投射画像を、使用者が投射レンズ36からの画像光の射出方向とは反対方向に体を向けた状態で見た場合の投射画像を示す図、図11は、左右反転手段636により補正された画像情報に係る形成画像を示す図である。
一方、図10に示すように、変更投射の場合において、使用者が投射レンズ36からの画像光の射出方向とは反対方向に体を向けた状態で、天井に形成された投射画像を見た場合には、投射画像の左右の向きが形成画像の左右の向きとは反転してしまう。
そこで、左右反転手段636は、筒部材41の回転位置が変更投射の位置にあると第2判定手段632が判定した場合において、プロジェクタ1が左右反転モードに設定されている場合、選択手段634により機能し、図11に示すように、液晶パネル351にて形成される画像の左右が、補正前の画像情報に基づいて形成される画像の左右とは反転するように、色調補正手段633により補正された画像情報をさらに補正する。これにより、天井に使用者にとって左右の正しい向きの画像を形成できる。
【0039】
図12は、反射部材44による反射によって生じた投射画像の歪みを示す図、図13は、歪補正手段637により補正された画像情報に係る形成画像を示す図である。
また、本実施形態のプロジェクタ1では、投射レンズ36から水平に射出された画像光を反射部材44によって上方に反射して当該画像光を天井に投射するため、投射レンズ36から射出された画像光の中心軸に対する反射部材44の角度によって、図12に示すように、投射画像に台形歪みが生じてしまう。
そこで、歪補正手段637は、筒部材41の回転位置が変更投射の位置にあると第2判定手段632が判定した場合、図13に示すように、天井に投射された画像に台形歪みが生じないように、各手段633,635,636により補正された画像情報をさらに台形歪み補正(キーストン補正)する。これにより、天井に投射される投射画像の歪みを抑制できる。
なお、歪補正手段637による台形歪みの補正量の設定と、色調補正手段633による通常投射および変更投射の際の色調の各補正量の設定とは、使用者が操作手段5を操作することにより変更できるものとする。
【0040】
図14は、外周面412により画像光を遮る位置にある筒部材41を示す断面図である。
ここで、筒部材41が、第1,第2開口215,231を共に閉める位置にある場合、図14に示すように、筒部材41は、画像光を外周面412で遮ぎることとなるので、画像光の熱によって高温となってしまう。
そこで、ミュート手段638は、筒部材41の回転位置が第1,第2開口215,231を共に閉める位置にあると第2判定手段632が判定した場合、液晶パネル351に黒表示させる画像情報を生成して液晶パネル351に黒表示させるとともに、光源ランプ311の出力状態を低出力状態にすることにより、筒部材41が画像光の熱により高温となってしまうことを防止する。
【0041】
なお、ミュート手段638は、筐体2内等に設けられた図示しないスピーカが、投射画像に対応する音声を出力している場合、当該音声をスピーカに出力させないようにする機能も有する。さらにミュート手段638は、筒部材41の回転位置が第1,第2開口215,231を共に閉める位置にあると第2判定手段632が判定してからの経過時間を計時し、所定時間以上その判定が継続した場合、光源ランプ311を消灯するように構成されていてもよい。
【0042】
以下、プロジェクタ1による色調および画像の向きの調整処理について説明する。図15は、プロジェクタ1による前記調整処理を示すフローチャートである。
使用者によりプロジェクタ1が電源を入れられる等の所定の操作をされると、取得手段61は、プロジェクタ1に接続された外部機器から形成画像に係る画像情報を取得する(ステップS1)。
【0043】
ステップS1の後、設定手段62は、使用者による操作手段5の入力操作に応じて、画像の向きに係るプロジェクタ1のモードを、上下反転モードおよび左右反転モードのうち、いずれか一方のモードに設定する(ステップS2)。なお、このステップS2は、使用者にとって設定を変更する必要がない場合には飛ばされる。
【0044】
ステップS2の後、第1判定手段631は、筒部材41の回転位置が第1,第2開口215,231を共に閉める位置にあるのか否かを判定する(ステップS3)。そして、筒部材41の回転位置が第1,第2開口215,231を共に閉める位置にあると第1判定手段631が判定した場合(ステップS3:YES)、ミュート手段638は、液晶パネル351に黒表示させる画像情報を生成するとともに、光源ランプ311の出力状態を低出力状態にする(ステップS4)。
【0045】
一方、筒部材41の回転位置が第1,第2開口215,231を共に閉める位置には無いと第1判定手段631が判定した場合(ステップS3:NO)、第2判定手段632は、筒部材41の回転位置が、第1開口215を開ける位置、すなわち、通常投射の位置にあるのか、第2開口231を開ける位置、すなわち、天井に画像光を投射する変更投射の位置にあるのかを判定する(ステップS5)。そして、筒部材41の回転位置が通常投射の位置にあると第2判定手段632が判定した場合(ステップS5:NO)、色調補正手段633は、画像情報の色調をスクリーンに応じた色調に補正する(ステップS6)。
【0046】
一方、筒部材41の回転位置が天井に画像光を投射する変更投射の位置にあると第2判定手段632が判定した場合(ステップS5:YES)、色調補正手段633は、画像情報の色調を天井に応じた色調に補正する(ステップS7)。
ステップS7の後、選択手段634は、プロジェクタ1が上下反転モードおよび左右反転モードのうち、いずれのモードに設定されているのかを判定する(ステップS8)。そして、選択手段634は、プロジェクタ1が上下反転モードに設定されていると判定した場合(ステップS8:YES)、上下反転手段635を機能させ、液晶パネル351にて形成される画像の上下が、補正前の画像情報に基づいて形成される画像の上下とは反転するように、色調補正手段633により補正された画像情報をさらに補正する(ステップS9)。
【0047】
一方、選択手段634は、プロジェクタ1が左右反転モードに設定されていると判定した場合(ステップS8:NO)、左右反転手段636を機能させ、液晶パネル351にて形成される画像の左右が、補正前の画像情報に基づいて形成される画像の左右とは反転するように、色調補正手段633により補正された画像情報をさらに補正する(ステップS10)。
【0048】
これらのステップS7〜S10の後、歪補正手段637は、天井に投射された画像に台形歪みが生じないように、各手段633,635,636により補正された画像情報をさらに台形歪み補正する(ステップS11)。
ステップS11の後、出力手段64は、補正された画像情報を液晶パネル351に出力する(ステップS12)。
【0049】
以上のような本実施形態のプロジェクタ1によれば、以下の効果を奏することができる。
通常投射の際には、筒部材41を所定の回転位置まで回転させるだけで、投射レンズ36から射出された画像光を、第2シャッタ開口414、第1シャッタ開口413、および第1開口215を介してプロジェクタ1外へその進行方向を変更することなく射出できる。
また、変更投射の場合には、筒部材41を前記所定の回転位置とは異なる回転位置まで回転させるだけで、投射レンズ36から射出された画像光を第1シャッタ開口413を介して筒部材41内に導入し、導入した画像光を反射部材44にて反射し、第2シャッタ開口414および第2開口231を介して天井に投射できる。このように、本実施形態では、通常投射および変更投射の切り替えを、筒部材41を回転させるだけで行うことができるので、使用者は、筒部材41を回転させて容易に通常投射および変更投射を切り替えることができる。
また、反射部材44等からなる変更投射するための機構が筐体2内に内蔵されており、通常投射の際に当該機構を筐体から取り外す必要がないので、使用者が当該機構を紛失してしまうことがない。
【0050】
筒部材41が筒状に形成されているので、一方のシャッタ開口413,414から筒部材41内に導入した画像光を他方のシャッタ開口413,414のみから筒部材41外へ、すなわち、第1,第2開口215,231を介してプロジェクタ1外へ射出できる。従って、筒部材41内に導入した画像光がプロジェクタ1内部に漏れることを防ぐことができ、当該漏れ光がプロジェクタ1に形成された吸気口等から外部に漏れてしまうことを防止できる。
【0051】
補正手段63が筒部材41の回転位置に基づいて画像情報を補正するので、使用者にとって見やすい好適な投射画像を自動的に形成でき、プロジェクタ1の利便性を向上できる。
使用者が投射レンズ36からの画像光の射出方向に体を向けた状態で天井に形成された画像を見る場合には、選択手段634が上下反転手段635を機能させ、液晶パネル351にて上下が本来とは反転した画像を形成するので、天井に使用者にとって上下の正しい向きの画像を形成できる。また、使用者が投射レンズ36からの画像光の射出方向にとは反対方向に体を向けた状態で天井に形成された画像を見る場合には、選択手段634が左右反転手段636を機能させ、液晶パネル351にて左右が本来とは反転した画像を形成するので、天井に使用者にとって左右の正しい向きの画像を形成できる。
【0052】
天井に画像光を投射する変更投射の際には、歪補正手段637が画像情報を台形歪み補正するので、天井に投射される投射画像の歪みを抑制できる。
色調補正手段633が、スクリーンなどに画像光を投射する通常投射の際には、画像情報の色調をスクリーンに応じた色調に補正し、天井に画像光を投射する変更投射の際には、画像情報の色調を天井に応じた色調に補正するので、通常投射および変更投射を切り換えても、良好な色調の画像を投射面に形成できる。
【0053】
筒部材41の回転位置が第1,第2開口215,231を共に閉める位置、すなわち画像光を外周面412で遮ぎる位置にある場合、ミュート手段638が液晶パネル351に黒表示させるとともに、光源ランプ311の出力状態を低出力状態にするので、筒部材41が高温となってしまうことを防止できる。
【0054】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、使用者が手動で筒部材41を回転させる構成としたが、例えば軸42に歯車を設けるとともに筐体2内にこの歯車と噛合するモータを設け、使用者が操作手段5を操作し、制御装置6を介してモータを駆動させることにより、筒部材41を回転させる構成としてもよい。
【0055】
前記実施形態では、プロジェクタ1を水平面上に載置して使用する例を説明したが、プロジェクタ1の設置方法は適宜の設置方法を採用できる。例えばプロジェクタ1を部屋の側壁面に、底面22側を腹にして取り付け、通常投射では、天井に画像光を投射し、変更投射においては、床に鉛直に設置されたスクリーン等に画像光を投射するようにプロジェクタ1を設置して使用してもよい。
また、前記実施形態では、筒部材41は、天面23に沿った回動軸42を有していたが、側面21に沿った回動軸を有し、通常投射の際には前面211から画像光を射出し、変更投射の際には、例えば左側面213から画像光を射出するようにプロジェクタ1は構成されていてもよい。
これらの場合、通常投射および変更投射の際の色調補正手段633の色調補正の切り替え、各上下反転手段635、左右反転手段636、および歪補正手段637の通常投射および変更投射の際の機能の有無は、使用者が操作手段5を介してそれぞれ設定できるものとする。
前記実施形態では、光変調装置は、液晶パネル351から構成されていたが、光変調装置は、DMD(Digital Micromirror Device:米国テキサスインスツルメント社の商標)から構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、プロジェクタに利用でき、特にホームシアタに用いられるプロジェクタに好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施形態に係るプロジェクタの要部を示す斜視図。
【図2】前記実施形態における光学ユニットの構成を模式的に示す図。
【図3】前記実施形態における投射方向変更ユニットを示す拡大図。
【図4】前記実施形態における通常投射する際の筒部材および反射部材を示す断面図。
【図5】前記実施形態における変更投射する際の筒部材および反射部材を示す断面図。
【図6】前記実施形態における制御装置の構成を示す図。
【図7】前記実施形態におけるスクリーンに投射される投射画像を示す図。
【図8】前記実施形態における天井に投射された投射画像を示す図。
【図9】前記実施形態における上下反転手段に補正された画像情報に係る形成画像を示す図。
【図10】前記実施形態における天井に投射された投射画像を示す図。
【図11】前記実施形態における左右反転手段に補正された画像情報に係る画像を示す図。
【図12】前記実施形態における反射部材よる反射によって生じた投射画像の歪みを示す図。
【図13】前記実施形態における歪補正手段に補正された画像情報に係る形成画像を示す図。
【図14】前記実施形態における外周面により画像光を遮る位置にある筒部材を示す断面図。
【図15】前記実施形態における色調および画像の向きの調整処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0058】
1…プロジェクタ、2…筐体、7…検出手段、23…天面(第2面)、31…光源装置、36…投射レンズ(投射光学装置)、41…筒部材(シャッタ)、44…反射部材、61…取得手段、63…補正手段、64…出力手段、211…前面(第1面)、215…第1開口、231…第2開口、351…液晶パネル(光変調装置)、412…外周面、413…第1シャッタ開口、414…第2シャッタ開口、631…第1判定手段、632…第2判定手段、633…色調補正手段、634…選択手段、635…上下反転手段、636…左右反転手段、637…歪補正手段、638…ミュート手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源装置と、前記光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調して画像光を形成する光変調装置と、前記画像光を拡大投射する投射光学装置とを備えたプロジェクタであって、
前記各装置を内部に収納し、かつ、第1面において前記投射光学装置の前記画像光の射出方向上に第1開口が形成されるとともに、前記第1面に交差する第2面に第2開口が形成された筐体と、
回転可能に前記筐体内部に設けられ、外周面に、第1シャッタ開口および第2シャッタ開口が形成され、回転することで前記外周面により前記第1,第2開口を開閉するシャッタと、
前記シャッタ内に、前記シャッタと一体に回転するように設けられた反射部材とを備え、
前記第1シャッタ開口は、前記シャッタの外周面において、前記第2シャッタ開口が前記投射光学装置の前記画像光の射出方向上に位置する際に前記第1開口と重なる位置で、かつ、前記第2シャッタ開口が前記第2開口と重なる際に前記投射光学装置の前記画像光の射出方向上に位置する位置に形成され、
前記反射部材は、前記投射光学装置の前記画像光の射出方向上から外れた第1位置、および前記投射光学装置の前記画像光の射出方向上の第2位置間を移動可能に設けられ、前記第2位置では、前記投射光学装置から射出され、前記第1シャッタ開口を介して入射する前記画像光を前記第2開口側に反射し、前記画像光を前記第2シャッタ開口および前記第2開口を介して外部へ射出する
ことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記シャッタは、筒状に形成されている
ことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクタにおいて、
前記シャッタの回転位置を検出する検出手段と、
画像情報を取得する取得手段と、
前記シャッタの回転位置に基づいて前記画像情報を補正する補正手段と、
補正された前記画像情報を前記光変調装置に出力する出力手段とを備えている
ことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のプロジェクタにおいて、
前記補正手段は、
前記シャッタの回転位置が、前記第1,第2開口を共に閉める位置にあるのか否かを判定する第1判定手段と、
前記シャッタの回転位置が、前記第1,第2開口を共に閉める位置には無いと前記第1判定手段が判定した場合、前記シャッタの回転位置が、前記第1開口を開ける位置にあるのか、前記第2開口を開ける位置にあるのかを判定する第2判定手段と、
前記光変調装置にて形成される画像の上下が反転するように前記画像情報を補正する上下反転手段と、
前記光変調装置にて形成される画像の左右が反転するように前記画像情報を補正する左右反転手段と、
前記シャッタの回転位置が、前記第2開口を開ける位置にあると前記第2判定手段が判定した場合、前記上下反転手段および前記左右反転手段のうち、いずれか一方を機能させる選択手段とを備えている
ことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載のプロジェクタにおいて、
前記補正手段は、
前記シャッタの回転位置が、前記第1,第2開口を共に閉める位置にあるのか否かを判定する第1判定手段と、
前記シャッタの回転位置が、前記第1,第2開口を共に閉める位置には無いと前記第1判定手段が判定した場合、前記シャッタの回転位置が、前記第1開口を開ける位置にあるのか、前記第2開口を開ける位置にあるのかを判定する第2判定手段と、
前記シャッタの回転位置が前記第2開口を開ける位置にあると前記第2判定手段が判定した場合、投射画像において歪みが生じないように前記画像情報を補正する歪補正手段とを備えている
ことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項6】
請求項3から請求項5のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記補正手段は、
前記シャッタの回転位置が、前記第1,第2開口を共に閉める位置にあるのか否かを判定する第1判定手段と、
前記シャッタの回転位置が、前記第1,第2開口を共に閉める位置には無いと前記第1判定手段が判定した場合、前記シャッタの回転位置が、前記第1開口を開ける位置にあるのか、前記第2開口を開ける位置にあるのかを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段の判定に応じて、前記画像情報の色調を投射対象面に応じた色調に補正する色調補正手段とを備えている
ことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクタにおいて、
前記シャッタの回転位置を検出する検出手段と、
画像情報を取得する取得手段と、
前記シャッタの回転位置が、前記第1,第2開口を共に閉める位置にあるのか否かを判定する第1判定手段と、
前記シャッタの回転位置が、前記第1,第2開口を共に閉める位置にあると前記第1判定手段が判定した場合、前記光変調装置に黒表示させる前記画像情報を生成するミュート手段と、
前記ミュート手段により生成された前記画像情報を前記光変調装置に出力する出力手段とを備えている
ことを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−72318(P2010−72318A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239391(P2008−239391)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】