説明

プロセスチャンバ構成要素からの、タンタル含有堆積物の洗浄

プロセスチャンバ構成要素の表面からタンタル含有堆積物を洗浄する方法は、構成要素の表面をHFとHNOの重量比が約1:8〜約1:30の洗浄溶液に浸漬するステップを含んでいる。他の変形例においては、洗浄溶液はKOHとHのモル比が約6:1〜約10:1である。銅表面を洗浄するのに適した更に他の変形例においては、洗浄溶液はHFと酸化剤を少なくとも約6:1のHFと酸化剤のモル比で含んでいる。表面をほとんど浸食することなくタンタル含有堆積物を表面から除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【相互参照】
【0001】
本出願は、“被覆されたプロセスチャンバ構成要素の洗浄方法”と称し、アプライドマテリアルズ社に譲渡され、2002年11月25日に出願された、Wangらの米国特許出願第10/304,535号の一部継続出願である、“金属含有化合物を回収するチャンバ表面の洗浄”と称し、アプライドマテリアルズ社に譲渡され、2003年12月19日に出願された、Bruecknerらの米国特許出願第10/742,604号の一部継続出願である。いずれの開示内容も本明細書に全体で援用されている。
【背景】
【0002】
本発明は、洗浄と、処理チャンバ構成要素の表面から金属含有残渣を洗浄・回収することに関する。
【0003】
半導体ウエハやディスプレイのような基板の処理においては、基板をプロセスチャンバ内に配置し、活性化ガスにさらして、基板上に物質を堆積させるか又はエッチングする。このような処理中に、処理残渣が生成し、チャンバの内部表面に堆積する。例えば、スパッタ堆積プロセスでは、基板上の堆積のターゲットからスパッタされた物質は、チャンバ内の他の構成要素の表面、例えば、堆積リング、カバーリング、シャドーリング、内部シールド、上部シールド、壁ライナ、焦点リング上にも堆積する。続いてのプロセスサイクルでは、堆積したプロセス残渣は、チャンバの構成要素表面から“剥がれ”、基板上に落ち、汚染してしまう。従って、堆積したプロセス残渣は、チャンバ表面から定期的に洗浄される。
【0004】
しかしながら、特に構成要素が金属含有材料でできている場合、チャンバ構成要素からタンタルのような金属を含有するプロセス堆積物を洗浄することは難しい。タンタルが基板上にスパッタ堆積される場合、スパッタタンタル堆積物の一部は隣接したチャンバ構成要素表面に堆積する。これらのタンタルプロセス堆積物は、それらの除去に適した洗浄溶液がチャンバ構成要素を形成するために用いられるチタンのような他の金属としばしば反応性であることから除去が難しい。このような表面からのタンタル含有材料の洗浄は、構成要素を浸食することがあり、頻繁に取替えが必要となってしまう。テクスチャ処理金属表面、例えば、“Lavacoat(登録商標)”プロセスによって形成された表面を洗浄する場合、金属表面の浸食は特に問題を含む場合がある。これらの表面はタンタル含有プロセス残渣が留まる隙間と細い穴を持ち、従来の洗浄プロセスでこれらの残渣を除去することを難しくする。
【0005】
従来の洗浄法がタンタルを洗浄するために用いられる場合、これらのプロセスにおいて生成される量のタンタル含有物質は回収されない。多くのタンタル堆積プロセスでは、スパッタタンタル物質の約半分だけが基板上に堆積し、残りはチャンバ内部の構成要素表面上に堆積すると推定される。従来の洗浄方法は、用いた洗浄溶液を溶解したタンタル物質と共にしばしば処分される。このように、チャンバ表面を洗浄した後に、多量のタンタル物質が廃棄され、1年につき約30,000ポンドのタンタルの推定損失が生じる。高純度タンタルが高価であり新しい洗浄溶液を得なければならないことから、タンタルの処分は環境上望ましくなくコストがかかる。
【0006】
一変形例においては、基板の処理の間、銅表面を持つプロセスチャンバ構成要素を用いることができることは望ましい。銅表面は熱の勾配が小さく、従って、銅表面と表面上に堆積したあらゆる残渣間の応力を最小にすることができる。しかしながら、このような表面からプロセス残渣を洗浄することが非常に難しくなり得ることから、銅表面を持つ構成要素の使用を実行することは難しくなってしまう。これは、一部には、銅表面が典型的には非常に簡単にエッチングされ、タンタル含有堆積物を構成要素表面からエッチングし除去することができる同様の洗浄溶液によって浸食されるためである。また、銅表面は、他の金属表面、例えばアルミニウム又はステンレス鋼面を過度に浸食しない洗浄溶液によってさえ浸食され得ることは望ましくない。
【0007】
このように、過度に表面を浸食することなく構成要素の表面から金属含有残渣や堆積物、例えば、タンタル含有堆積物を洗浄する方法があることは望ましいことである。更に、銅を含む構成要素の表面からタンタル含有堆積物を洗浄する方法があることは望ましいことである。また、チャンバ表面を洗浄するタンタル物質の廃棄を減少させることは望ましいことである。更に、タンタル含有残渣を洗浄するために用いられる洗浄溶液を回収する方法があることは望ましいことである。
【0008】
本発明のこれらの特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付された特許請求の範囲、及び発明の実施形態を示す添付の図面に関してより良く理解される。しかしながら、特徴の各々は、一般に本発明に使用し得るものであり、具体的な図面にのみ関連して使用し得るものでなく、本発明はこれらの特徴のあらゆる組み合わせを含むことが理解されるべきである。
【説明】
【0009】
表面20を持つプロセスチャンバ構成要素22は、例えば、図1に示されるように、基板104の処理の間に生成するタンタル含有堆積物24のような金属含有プロセス堆積物24を除去するために洗浄される。タンタル含有堆積物は、例えば、タンタル金属、窒化タンタル、酸化タンタルの少なくとも1つを含むことができる。タンタル含有堆積物24を除去する洗浄プロセスを行うと、チャンバ106内の汚染パーティクルの形成を減少させることができ、基板の歩留まりを改善させることができ、洗浄溶液からタンタルの回収を可能にすることができる。洗浄すべきチャンバ構成要素22は、金属とタンタル含有プロセス堆積物24を蓄積するもの、例えば、チャンバ106内にプロセスガスを供給するガス分配システム112の部分、チャンバ106内で基板104を支持する基板支持体114、プロセスガスを活性化するガスエナジャイザ116、チャンバエンクロージャ壁118、シールド120、又はチャンバからガスを排気するガス排気部122であり、その例示的な実施形態は図4に示されている。
【0010】
物理気相堆積106の実施形態を示す図4を参照すると、洗浄され得る構成要素22はチャンバエンクロージャ壁118と、上下のシールド120a、bを含むチャンバシールド120と、ターゲット124と、カバーリング126と、堆積リング128と、支持リング130と、絶縁リング132と、コイル135と、コイル支持体137と、シャッタディスク133と、クランプシールド141と、基板支持体114の表面134とを含んでいる。構成要素22は、金属、例えば、チタン、ステンレス鋼、アルミニウム、銅及びタンタルの少なくとも1つを含む表面20を持ち得る。表面20は、また、セラミック材料、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び酸化シリコンの少なくとも1つを含むことができる。
【0011】
プロセス堆積物24を除去する洗浄ステップは、構成要素22の表面20を構成要素22の表面20からプロセス堆積物24を少なくとも部分的に除去することができる酸性洗浄溶液にさらす工程を含むことができる。酸性溶液は、例えば、プロセス堆積物24と反応して酸性溶液に容易に溶解する化学種を形成することによって、構成要素22の表面20からのプロセス堆積物24と反応し除去することができる溶解した酸性化学種を含んでいる。しかしながら、プロセス堆積物24が構成要素22のその部分から除去された後、酸性溶液は過度に腐食せず、構成要素22の表面20のさらされた部分も損傷しない。表面20は、酸性溶液で表面20の部分をディップ、浸漬又接触させることによって酸性溶液にさらすことができる。被覆構成要素22の表面20は、約3分間〜15分間、約8分間の酸性溶液にさらすことができるが、プロセス堆積物質の組成と厚みによっては他の時間浸漬されてもよい。
【0012】
酸性洗浄溶液の組成は、表面20の組成と、プロセス堆積物24の組成によって選ばれる。一変形例においては、酸性溶液はフッ化水素酸(HF)を含んでいる。フッ化水素酸は、表面20に蓄積したものである不純物と反応し溶解することができる。酸性溶液は、更に又は代替的に非フッ素化酸、例えば、硝酸(HNO)を含むことができる。非フッ素化剤はあまり積極的でない化学種を与えることができ、基礎にある構成要素構造を通って浸食割れの形成が減少した表面20の洗浄と調製を可能にする。更に、一変形例においては、表面20を洗浄するために供給される酸性溶液は、構成要素22の腐食を減少させるのに適切な低濃度の酸性化学種を含むことができる。適切な濃度の酸性化学種は、例えば、約15M未満の酸性化学種、例えば、約2〜約15Mの酸性化学種であってもよい。酸化アルミニウム又はステンレス鋼を含む表面20を備えた構成要素22の場合、適切な酸性溶液は、約2M〜約8MHF、例えば、約5M HF、約2M HNO〜約15MHNO、例えば、約12M HNOを含むことができる。チタンを含む表面20を備えた要素22の場合、適切な酸性溶液は約2M〜約10MHNOを含むことができる。一変形例においては、適切な酸性溶液は5MHFと12M HNOを含むことができる。
【0013】
洗浄法が表面20をほとんど浸食することなく、特に金属表面20を浸食することなく、タンタル含有堆積物を除去するのに選ばれるHFとHNOとの比を有する溶液に表面20を浸漬することによってタンタル含有残渣を洗浄するために改善され得ることが更に見出された。特に、十分低いHFとHNOとの比を選ぶと表面20の浸食を減少させることができ、特に金属表面20の浸食を減少させることができることが見出された。HFとHNOと適切な比は、質量で約1:8未満である比であってもよい。例えば、洗浄溶液は、約1:8〜約1:30、約1:12〜約1:20、例えば、約1:15のHFとHNOとの重量比を含むことができる。溶液中のHFの濃度は、約10%質量未満、例えば、約2重量%〜約10重量%、5重量%にさえ維持されることが望ましい。溶液のHNOの濃度は、少なくとも約60重量%、例えば、約60重量%〜67重量%、65重量%が望ましい。
【0014】
改良された洗浄の結果は、少なくとも一部には、HNOが表面20、例えば、金属表面と反応して、表面20のエッチングを阻止する表面上に酸化したエッチング抵抗保護層を形成すると考えられる。十分に低い比で、HNOとHFは、表面20をほとんど浸食することなくタンタル含有堆積物を除去するために協力して作用する。HFはエッチングし、タンタル含有堆積物を溶解するので、表面20の部分がさらされる。HNOもまた、低エッチング速度であるが、強い酸化剤が表面20のさらされた部分と反応し酸化させて保護エッチング抵抗層を形成するので、タンタル含有堆積物をエッチングする。このように、溶液中のHFの濃度について十分に高いHNO濃度を維持することによって、HNOの過剰量が表面20を浸食から保護するのに使用できる。HFについてHNOの濃度が十分に高いHFとHNOとの改善された比を有する洗浄溶液は、例えば、チタン、ステンレス鋼、アルミニウム、及びタンタルの少なくとも1つを含む洗浄金属表面20に特に適したものである。
【0015】
洗浄プロセスにおいては、新鮮なHFは、消耗したHFを補充するために洗浄溶液に加えることができる。例えば、溶液中のHFは、タンタル含有堆積物24と反応してフッ化タンタル化合物を形成することによって消耗する。HFの消耗は、表面20からタンタル含有堆積物の除去を徐々に遅らせる。新鮮なHFの追加は、タンタル含有堆積物24を所望される速度で表面20から除去させることができる。
【0016】
一変形例においては、洗浄溶液の組成は、銅を含む金属表面20から、タンタル含有堆積物を洗浄するために最適化することができる。特に、フッ化水素酸(HF)と酸化剤を予め選ばれたモル比で含む洗浄溶液は、銅表面20を過度にエッチングすることなく、ほとんど銅表面20を浸食することなく、タンタル含有堆積物24の改善された洗浄を提供することが見出された。一変形例においては、洗浄溶液は少なくとも約6:1、例えば、約9:1、少なくとも約20:1さえのHFと酸化剤とのモル比を含んでいる。例えば、洗浄溶液は、約6:1〜40:1、例えば、約9:1〜20:1のHFと酸化剤とのモル比を含んでもよい。洗浄溶液中のHFの適切な濃度は、少なくとも約3M、例えば、3M〜20Mであってもよい。洗浄溶液中の酸化剤の適切な濃度は、約3M未満、例えば、約0.1M〜3M、約1M未満さえ、例えば、約0.1M〜約1Mであってもよい。HFと酸化剤を予め選ばれた比で含む改善された洗浄溶液は、銅表面20に、タンタル含有堆積物24の良好なエッチング選択性、例えば、少なくとも約40:1、少なくとも約50:1さえも選択性を与えることができる。
【0017】
酸化剤は、他の化合物や物質、例えば、タンタル含有堆積物を酸化することができ、典型的には酸素含有化合物を含んでいる。一変形例においては、適切な酸化剤は、硝酸(HNO)を含んでいる。良好な洗浄の結果が、いずれか1つ又は組合わせがHNOに加えて又は代替物として与えることができる、過酸化水素(H)、亜硫酸(HSO)、及びオゾン(O)の少なくとも1つを含む酸化剤で得ることができることも更に見出された。例えば、オゾンは洗浄溶液にオゾンガスを通気することによって所望される比の洗浄溶液で供給することができる。
【0018】
銅を含む構成要素の表面20からタンタル含有堆積物を洗浄するのに適した洗浄溶液の例示的な一変形例においては、酸化剤はHNOを含んでいる。例えば、洗浄溶液は、(i)約49重量%HFの濃度を有するHFの貯蔵液約45容積%と、(ii)約70重量%HNOの濃度を有するHNOの貯蔵液約5容積%〜約10容積%とを組合わせることにより形成することができる。溶液の残りは水を含み、好ましくは脱イオンされている。このような溶液は、10容積%HNO溶液の場合は約9:1、5容積%HNO溶液の場合は約19:1のHFとHNOのモル比を含んでいる。
【0019】
HFと酸化剤を予め選ばれた比で含む溶液が過度に銅表面20をエッチングすることなくタンタル含有堆積物24を洗浄ができたという発見は、銅が典型的にはHNOのような酸化剤による化学攻撃を非常に受けやすいので、このような薬剤によって簡単に浸食され得ることから予想されなかった。また、タンタル含有堆積物24は、典型的には、HFのみを含む溶液によって望ましく高速度でエッチングされない。しかしながら、HFと酸化剤を予め選ばれたモル比で組み合わせることにより、相乗効果を得ることができ、それによってタンタル含有堆積物24の改善された洗浄が得られることが見出された。発見をあらゆる特定の化学メカニズムに制限することなく、酸化剤が高エッチング速度で表面20からタンタル含有堆積物をエッチングするために溶液中のHFによって達成される洗浄速度を速めるように作用することができると想定される。しかしながら、酸化剤の過剰量が結果として銅表面20の迅速なエッチングと浸食を生じるので、酸化剤の濃度はHFの濃度について低く維持されることが望ましい。銅以外の金属を含む構成要素の表面20、例えば、アルミニウム又はステンレス鋼の表面がHFとHNOとのモル比がかなり低い洗浄溶液をしばしば必要とし得るので、HFと酸化剤洗浄溶液の改善された銅洗浄能力は更に驚きである。従って、HFと酸化剤を予め選ばれた比率で有する改善された洗浄溶液による銅表面20の洗浄は、予想外に良好な洗浄の結果を与え、基板処理チャンバ106内に銅表面20を持つ構成要素22の効率的使用を与える。
【0020】
図5〜図6Bは、種々の洗浄溶液による表面の洗浄の比較データを示すグラフである。図5は、少なくとも約6:1の所望のモル比より比較的小さい比でHFとHNOを含む洗浄溶液の比較データを示すグラフである。比較データを得るために、銅表面20は、HFとHNOを(i)図5にライン200で示される溶液の2:1と、(ii)ライン202で示される溶液の1:2のモル比を含む洗浄溶液に浸漬した。ライン200で示される溶液は、49重量%HF貯蔵液1容積部、70重量%HNO貯蔵液1容積部、脱イオン水1容積部を合わせることによって形成した。ライン202で示される溶液は、49重量%HF貯蔵液1容積部と脱イオン水4容積部とを合わせることによって形成した。各表面からの銅浸食方法の質量パーセントを洗浄プロセスにおいて種々の間隔で測定し、この重量パーセントを増加洗浄時間に対してグラフに示した。図5は、双方の洗浄溶液が銅表面の望ましくなく高レベルの浸食を生じたことを示し、ライン200で示される洗浄溶液は、わずか約5分後に、銅表面の約20重量%を浸食し、ライン202で示される洗浄溶液は、約5分後に約25重量%をわずかに超え、約10分後に30%を超えて浸食する。従って、洗浄溶液は銅表面20の洗浄において望ましくない結果を示した。
【0021】
図6Aと図6Bは、予め選ばれた比を有するHFとHNOを含む溶液で得られる予想外に良好な洗浄の結果を示すグラフである。図6Aにおいて、銅表面を、(i)ライン204で示されるHFのみを約15Mの濃度で含む比較溶液と、(ii)ライン206で示されるHFとHNOを約20:1のモル比で含む改善された溶液を含む溶液に浸漬した。比較溶液は、49重量%HF貯蔵液1容積部分(part)と脱イオン水1容積部分とを合わせることによって形成した。改善された洗浄溶液は、49重量%HF貯蔵液10容積部分と、70重量%HNO貯蔵液1容積部分と脱イオン水10容積部分とを合わせることによって形成した。各表面からなる銅が浸食された方法の重量パーセントを洗浄プロセスにおいて種々の間隔で測定し、浸食された重量パーセントを増加する洗浄時間に対してグラフに示した。
【0022】
図6Aは、HFを含む比較洗浄溶液とHFとHNO双方を約20:1のモル比で含む改善された洗浄溶液で銅表面20の洗浄から得られた銅の減重量パーセントを示す図である。比較溶液は、銅表面の浸食をほとんど又は全く生じなかった。HFとHNO双方を含む改善された溶液は銅表面の浸食が少ないが、浸食は非常に低速度で生じ、図5にライン200と202で示される比較洗浄溶液より非常に低い銅減重量パーセントが非常に少なかった。例えば、ライン206で示される改善された洗浄溶液の場合、100分をわずかに超える洗浄後の銅の減重量パーセントは、0.15%よりわずかに少ないだけであった。比較により、わずか5分の洗浄後、図5にライン200と202で示される比較溶液は20%と25%をわずかに超える銅の減重量パーセントを生じ、これはHFとHNOの予め選ばれた比を有する改善された洗浄溶液の100倍を超える減重量パーセントである。約350分の洗浄後さえ、HFとHNOの予め選ばれた比を有する改善された洗浄溶液は、表面20から約0.20重量パーセントをわずかに超える銅の損失を生じただけであった。従って、HFとHNOの予め選ばれた比を有する改善された洗浄溶液は、銅表面20をほとんど浸食することなく銅表面20の改善された洗浄を与える。
【0023】
図6Bは、タンタル表面を図6Aと同じ組成を有する洗浄溶液にさらした結果を示す図である。約15MHFを含む比較溶液によって得られた洗浄の結果はライン208で示され、HFとHNOを約20:1の予め選ばれた比で含む改善された溶液によって得られた洗浄結果はライン210で示されている。この図のデータを得るために、タンタルを含む表面を洗浄溶液の各々に浸漬し、各表面からのタンタル浸食方法の質量パーセントを各溶液の洗浄能力を求めるために洗浄プロセスにおいて種々の間隔で測定した。浸食された質量パーセントを増加洗浄時間に対して各溶液のグラフを示した。
【0024】
図6Bに示される結果は、HFとHNOの予め選ばれた比を有する改善された洗浄溶液がHFのみを有する溶液よりタンタル含有物質の優れた洗浄を与えることを示している。例えば、約150分の洗浄後、ライン210で示されるHFとHNOの改善された溶液は、表面から5重量パーセントを超えるタンタルを除去した。比較により、ライン208で示されるHFのみを含む溶液は、同じ時間に約1質量パーセントのタンタルしか除去しなかった。更にまた、図6Aと図6Bの比較から、HFとHNOの予め選ばれた比を含む改善された洗浄溶液によって示されるタンタルと銅間の高選択性が示される。図6Aのライン206に示されるように、改善された洗浄溶液は約350分の洗浄時間後、銅の約0.22質量パーセントだけ損失を生じ、図6Bのライン210で示されるように、11重量パーセントをわずかに超えるタンタルが同じ時間に表面から除去された。従って、改善された洗浄溶液は、約50:1のタンタルと銅との選択性を示すことができる。従って、HFとHNOのような酸化剤との予め選ばれた比を有する溶液は、構成要素表面をほとんど浸食することなく、銅を含む構成要素の表面からタンタル含有堆積物の効率的な洗浄の改善された結果を与える。
【0025】
更に他の一変形例においては、タンタル含有堆積物24は、表面20をKOHとHを含む洗浄溶液に浸漬することによって表面20から洗浄できる。洗浄溶液は、表面20をほとんど浸食することなく、特に金属表面をほとんど浸食することなく、タンタル含有堆積物を除去するのに選ばれるKOHとHとの比を有する。KOHとHの適切な比は、モルで約6:1〜10:1、例えば、約7.5:1である。所望の比の範囲より小さい又は大きい比は、タンタル含有堆積物に対する選択性を低下させるとともに、それぞれ、表面20のエッチングと浸食を生じることになり得る。溶液中のKOHの適切な濃度は、例えば、約5M〜約12M、約5M〜約10M、例えば、7Mである。溶液中のHの適切な濃度は、例えば、約0.5M〜約2.5M、約0.5M〜約2M、例えば、1Mである。また、KOHとHを含む洗浄溶液の適切な温度を維持すると、堆積物除去速度を増加することによってタンタル含有堆積物24の除去を改善し得ることができることが見出された。洗浄溶液の適切な温度は、少なくとも約70℃、例えば約80〜95℃、少なくとも90℃さえあればよい。
【0026】
洗浄法の更に他の変形例においては、金属表面20は、電気化学エッチングプロセスで洗浄される。このプロセスにおいては、例えば、図2に示されるように、構成要素22の表面20は、アノードとして働き、電圧源30の正端子31に接続される。金属表面20は、電解質を含む槽溶液を有する電気化学的槽33に浸漬される。電気化学槽溶液は、また或いは代わりに、タンタル含有堆積物を選択的にエッチングする酸化剤、例えば、HF、HNO、KOH、Hの少なくとも1つを含むことができる。例えば、電気化学槽は、上記HF/HNO又はKOH/H洗浄溶液の1つを含むことができる。槽溶液は、他の洗浄剤、例えば、HCl、HSO、メタノールを含むこともできる。一変形例においては、槽はHF、HSO、メタノールを含む溶液でタンタル含有堆積物を選択的に電気化学的にエッチングする。電圧源30の負端子32に接続されたカソード34も、槽33に浸漬される。電圧源30から金属表面20とカソード34へのバイアス電圧の印加は、電気化学エッチング槽溶液に可溶なイオン形にタンタル含有堆積物24、例えば、タンタル金属を変化させ得る表面20でタンタル含有残渣24の酸化状態の変化を誘発し、これにより、表面20からタンタル含有堆積物24を“エッチングする”。電気化学エッチングプロセス条件、例えば、金属表面20に印加される電圧、電気化学得溶液のpH、溶液の温度は、金属表面20をほとんど浸食することなく金属表面20からタンタル含有堆積物を選択的に除去するために維持されることが望ましい。
【0027】
これらの洗浄法は、例えば、図1に示されるように、テクスチャ処理の表面20に特に適切なものである。テクスチャ処理表面を有する構成要素22は、プロセス残渣が付着する“粘着性”表面を与えることによってプロセスチャンバ内のパーティクル生成を減少させる。一変形例においては、タンタル含有堆積物を洗浄する構成要素22は、表面が“Lavacoat(登録商標)”プロセスでテクスチャ処理された構成要素、例えば、“表面をテクスチャ処理したチャンバ構成要素の製造と洗浄”と称する2002年9月2日出願のWestらの米国特許出願第10/653,713号、2002年3月13日出願のPopiolkowskiらの米国特許出願第10/099,307号、2003年7月17日出願のPopiolkowskiらの米国特許出願第10/622,178号に記載された構成要素を含み、これらの明細書は全てアプライドマテリアルズ社に共同譲渡され、全ての開示内容は本明細書に全体で援用されている。構成要素22は、テクスチャ処理表面を有する被覆構成要素、例えば、プラズマ噴霧コーティング又はツイン・ワイヤアーク噴霧コーティングを含むことができ、例えば、アプライドマテリアルズに共同譲渡された、2002年11月25日出願のWangらの米国特許出願第10/304,535号に記載され、この開示内容は本明細書に全体で援用されている。
【0028】
“Lavacoat(登録商標)”テクスチャ処理金属表面20は、電磁エネルギービームを生成するとともに構成要素22の表面20にビームを送ることによって形成される。電磁エネルギービームは、好ましくは電子ビームであるが、陽子、中性子、X線等も含むことができる。電子ビームは、典型的には、ある時間表面20の領域に焦点が合わせられるが、その間にビームは表面20と相互作用して表面上の特徴部を形成する。ビームは表面20の領域を、ある場合には表面物質の溶融温度に加熱することによって特徴部を形成すると考えられる。急速な加熱は表面物質の一部を外側へ放出させ、物質が放出した領域にくぼみ23と、放出した物質が再堆積する領域に隆起25を生じる。領域内に所望の特徴部が形成された後、ビームは構成要素表面20の異なる部分に走査されて新しい領域に特徴部を形成する。最終的な表面20は、表面20に形成されたくぼみ23と隆起25のハニカム状構造を備えることができる。この方法によって形成される特徴部は、典型的には巨視的な大きさであり、くぼみは直径が約0.1mm〜約3.5mm、例えば、直径が約0.8mm〜約1.0mmの範囲でもよい。“Lavarcoat(登録商標)”テクスチャ処理表面20は約2500マイクロインチ(63.5マイクロメートル)〜約4000マイクロインチ(101.6マイクロメートル)の全表面粗さ平均を有し、表面20の粗さ平均は表面20に沿った特徴部の平均ラインからの変位の絶対値の平均として定義される。
【0029】
本洗浄法は、表面20をほとんど浸食することなくこのようなテクスチャ処理表面を洗浄するのに驚くべき良好な結果を示す。例えば、チタンから形成されたテクスチャ処理金属表面20の場合、上記の洗浄法は、金属表面20から毎時約1mg/cm未満のチタンを浸食しつつ、表面20からタンタル含有残渣を洗浄することができる。対照的に、従来のタンタル洗浄プロセスは、構成要素22のチタン表面から約5mg/cmを超えるチタンを浸食することができる。他の実施例として、約6:1〜10:1の選ばれたモル比と約80〜95℃の温度を有するKOHとHの溶液は、チタン構成要素表面20が浸食される速度より約20倍速い速度でタンタル含有堆積物を洗浄することができ、表面20をほとんど過度に浸食することなく洗浄させることができる。
【0030】
構成要素の表面20の洗浄が完了すると、洗浄溶液は、金属含有物質、例えば、タンタル金属及び酸化タンタルの少なくとも1つであってもよく、タンタル含有物質を回収するために処理することができる。洗浄溶液からタンタル含有物質を回収すると、タンタルの廃棄によって環境の汚染が減少し、廃棄タンタルの適切な処分と関連するコストを減少させることもできる。回収されたタンタル含有物質は基板処理に再使用することができ、例えば、回収されたタンタル物質は物理気相堆積プロセスのタンタル含有ターゲットを形成するために使用できる。タンタル回収に加えて、用いた洗浄溶液は、洗浄溶液の再使用を可能にするために処理することができる。例えば、洗浄溶液はHFとHNOの再使用可能な溶液を回収するために処理することができる。
【0031】
構成要素を洗浄し且つタンタル含有物質を回収する方法の一例を示すフローチャートを図3Aに示す。この方法の第一ステップは、構成要素表面20が、溶液中のタンタルと他の金属含有残渣を溶解してそれぞれタンタルと金属含有化合物を形成する、洗浄溶液に浸漬することによって洗浄される。構成要素が洗浄された後、沈降剤が洗浄溶液に加えられて溶液から金属含有化合物を沈殿させるとともに混合固形分を形成する。混合固形分はタンタル含有化合物、例えば、酸化タンタルを含み、他の金属含有化合物、例えば、アルミニウムと、チタンと、鉄とを含む化合物を含むこともできる。一変形例においては、図3Aにて矢印で示されるように、混合固形分が溶液から沈澱し除去されると、洗浄溶液は回収することができ、次の構成要素22に再使用することができる。混合固形分を沈澱させる一方法においては、酸又は塩基を含む沈澱剤を加えて溶液のpHを約1未満〜約7のpHにすることによって洗浄溶液が中和される。例えば、HFとHNOを含む洗浄溶液の場合、溶液を中和するために塩基を添加することができる。KOHとHを含む洗浄溶液の場合、溶液を中和するために酸を添加することができる。中和する適切な酸は、HNO、HSOとHPOの少なくとも1つを含むことができる。中和する適切な塩基は、NaOH、KOHとCaCOの少なくとも1つを含むことができる。例えば、混合固形分を洗浄溶液からろ過することにより、混合固形分が洗浄溶液から分離される。
【0032】
タンタル含有化合物を他の金属含有化合物から分離するために、金属選択的酸溶液が混合固形分に加えられる。金属選択的酸溶液は、タンタル含有化合物をほとんど溶解することなく金属含有化合物を酸溶液に溶解する金属選択的酸を含んでいる。適切な金属選択的酸は、例えば、HClを含むことができる。固体タンタル含有化合物は、例えば、タンタル含有固形分をろ過することによって、又はタンタル含有固形分から酸性溶液を傾瀉することによって、溶解した金属含有化合物を有する酸溶液から分離される。その後、例えば、加熱することによって、タンタル含有化合物は酸化タンタルに変換され得る。
【0033】
構成要素を洗浄し、タンタル含有物質を回収する更に他の方法は、図3Bのフローチャートに示されている。構成要素表面20は、表面20を水性洗浄溶液に浸漬して表面20からタンタル含有化合物を溶解することによって洗浄される。表面を洗浄した後、タンタル含有化合物は、液体抽出プロセスにおいて洗浄溶液から除去される。抽出プロセスは、水性洗浄溶液を水溶液とほとんど混ざらない有機溶液と合わせることを含んでいる。有機溶液は、タンタル含有化合物が非常に可溶である溶液であり、タンタル含有化合物を水溶液から抽出することができる。タンタル含有化合物を抽出するのに適切な有機溶液は、例えば、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、サイクロヘキサン、ジイソブチルケトン、及びトリブチルホスフェートの少なくとも1つを含むことができる。タンタル含有化合物が有機溶液に抽出されると、例えば、溶液を別々の有機相と水相に分けることを可能にするとともに溶液の1つを他のものから取り出すことにより、有機溶液と水溶液が分離される。分離された水溶液は、図3Bの矢印で示されるように、洗浄溶液として保持し再使用することができる。例えば、水溶液は抽出の間、水溶液に残っているHFとHNOを含むことができ、金属表面20からタンタル含有残渣を除去する、後の洗浄プロセスで再使用することができる。
【0034】
抽出プロセス後、有機溶液中のタンタル含有化合物は、熱加水分解的に分解され得る。熱加水分解的な分解において、タンタル含有化合物は、化合物が酸素と反応して、酸化タンタル化合物を形成する温度、例えば、少なくとも120℃、例えば、約120℃〜約180℃の温度に加熱される。有機溶液及びあらゆる分解反応生成物も、熱加水分解的な分解プロセスの間に酸化タンタル化合物から蒸発させることができる。或いは、有機溶液は、別個のステップでタンタル含有化合物から除去することができる。酸化タンタル化合物は、また、例えば、炉内で酸化タンタル化合物を加熱することによって、処理してタンタル金属を形成することができる。
【0035】
タンタル含有堆積物24のような金属含有堆積物24を除去するために洗浄される構成要素を有する適切なプロセスチャンバ106の実施例を図4に示す。チャンバ106は、チャンバ106間で基板104を移すロボットアームメカニズムで接続された相互接続チャンバのクラスタを有するマルチチャンバプラットホーム(図示せず)の一部でもよい。図示される変形例においては、プロセスチャンバ106は、基板104上に物質、例えば、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、銅、タングステン、窒化タングステン及びアルミニウムの1つ以上をスパッタ堆積させることができる、物理気相堆積チャンバ又はPVDチャンバとも呼ばれるスパッタ堆積チャンバを備えている。チャンバ106は、プロセスゾーン109を包囲し、側壁164、底壁166、シーリング168を含むエンクロージャ壁118を備えている。支持リング130は、シーリング168を支持するために側壁164とシーリング168間に配置できる。他のチャンバの壁は、スパッタ環境からエンクロージャ壁118を遮蔽する1つ以上のシールド120を含むことができる。
【0036】
チャンバ106は、スパッタ堆積チャンバ106において基板を支持する基板支持体114を備えている。基板支持体114は電気的に浮動であってもよく、電源172、例えば、RF電源でバイアスをかける電極170を備えていてもよい。基板支持体114は、基板104が存在しない場合、支持体114の上面134を保護することができる可動シャッタディスク133を備えることもできる。動作中、基板104はチャンバ106の側壁164に基板装填口(図示せず)を通ってチャンバ106に導入され、支持体114上に載置される。支持体114は、支持リフトベローズで持ち上げたり下げたりすることができ、リフトフィンガアセンブリ(図示せず)は、チャンバ106へ、また、チャンバ106から基板104を搬送する間、支持体114に基板を持ち上げ、下ろすために使用できる。
【0037】
支持体114は、支持体114の上面134の少なく一部を覆って支持体114の浸食を阻止する1つ以上のリング、例えば、カバーリング126や堆積リング128を備えることもできる。一変形例においては、堆積リング128は、基板104を少なくとも部分的に取り囲んで、基板104によって覆われない支持体114の部分を保護する。カバーリング126は、堆積リング128の少なくとも一部を取り囲んで覆い、堆積リング128と基礎にある支持体114双方へのパーティクルの堆積を減少させる。
【0038】
スパッタリングガスのようなプロセスガスは、各々がマスフローコントローラのようなガスフローコントロールバルブ178を有するコンジット176に送り、それらを通ってガスのセット流量を通過させる、1つ以上のガス源174を備えているプロセスガス供給源を含んでいるガス分配システム112を通ってチャンバ106へ導入される。コンジット176は、ガスを混合して所望されるプロセスガス組成物を形成する混合マニホールド(図示せず)にガスを送ることができる。混合マニホールドは、チャンバ106内の1つ以上のガス排出口182を有するガス分配器180に送られる。プロセスガスは、ターゲットからの物質上でエネルギー的に衝突しスパッタすることができる、アルゴン又はキセノンのような非反応性ガスを含むことができる。プロセスガスは、スパッタした物質と反応して基板104上に層を形成することができる、酸素含有ガス及び窒素含有ガスの1つ以上のような反応性ガスを含むことができる。使用済みプロセスガスと副生成物は、チャンバ106から、使用済みプロセスガスを受け取り、チャンバ内のガスの圧力を制御するスロットルバルブ188がある排出コンジット186に使用済みガスを通過させる1つ以上の排気口184を含む排出口122を通って排出される。排気コンジット186は、1つ以上の排気ポンプ190に送られる。典型的には、チャンバ106のスパッタガスの圧力は、大気圧未満レベルに設定される。
【0039】
スパッタリングチャンバ106は、更に、基板104の表面105に面し、基板104にスパッタされる物質、例えば、タンタル及び窒化タンタルの少なくとも1つを含む、スパッタリングターゲット124を備えている。ターゲット124は環状絶縁リング132によってチャンバ106から電気的に絶縁され、電源192に接続されている。スパッタリングチャンバ106は、また、チャンバ106の壁118をスパッタ物質から保護するためにシールド120を有する。シールド120は、チャンバ106の上下領域を遮る上下のシールド部分120a、120bを有する壁状円筒形を備えることができる。図4に示される変形例においては、シールド120は支持リング130に取り付けられた上部分120aとカバーリング126に取り付けられた下部分120bを有する。クランプリングを備えているクランプシールド141は、一緒に上下のシールド部分120a、bをクランプで留めるために設けることができる。代替的なシールド構造、例えば、内部シールドと外部シールドを設けることもできる。一変形例においては、電源192、ターゲット124、及びシールド120の1つ以上は、ターゲット124から物質をスパッタするためにスパッタリングガスを活性化することができるガスエナジャイザ116として作動する。電源192は、シールド120についてバイアス電圧をターゲット124に印加する。印加電圧からチャンバ106内に生成する電界は、スパッタリングガスを活性化して、ターゲット124から、また、基板104に物質をスパッタするためにターゲット124にエネルギー的に衝突し衝撃を加えるプラズマを形成する。電極170と支持電極電源172をもつ支持体114は、基板104に向かってターゲット124からスパッタされるイオン化物質を活性化し促進させることによってガスエナジャイザ116の一部としても作動することができる。更にまた、電源192によって出力され、増強された活性化ガス特性、例えば、改善された活性化ガス密度を与えるためにチャンバ106内に位置する、ガス活性化コイル135も設けることができる。ガス活性化コイル135は、チャンバ106内にシールド120又は他の壁に取り付けられるコイル支持体137で支持され得る。
【0040】
チャンバ106は、チャンバ106の構成要素を作動させてチャンバ106内で基板104を処理する命令セットをもつプログラムコードを備えているコントローラ194で制御される。例えば、コントローラ194は、基板104をチャンバ106内に配置するために基板支持体114と基板搬送の1つ以上を作動させる基板位置決め命令セットと; スパッタリングガス流れをチャンバ106に設定するためにフローコントロールバルブ178を作動させるガスフローコントロール命令セットと; チャンバ106内の圧力を維持するために排気スロットルバルブ188を作動させるガス圧力コントロール命令セットと; ガス活性化電力レベルを設定するためにガスエナジャイザ116を作動させるガスエナジャイザコントロール命令セットと; チャンバ106内の温度を制御する温度コントロール命令セットと; チャンバ106内のプロセスをモニターするプロセスモニター命令セットを備えることができる。
【0041】
本発明の例示的実施形態が図示され記載されているが、当業者は本発明を組込み、本発明の範囲内でもある、他の実施形態を構成することができる。例えば、本明細書に記載される例示的な構成要素以外のチャンバ構成要素も洗浄され得る。記載された以外の追加の洗浄ステップと回収ステップも行うことができる。更にまた、例示的な実施形態について図示された、相対する用語又は位置の用語は同じ意味である。従って、添えられた特許請求の範囲は、本発明を例示するために本明細書に記載された好ましい変形例、物質、又は空間的配置の説明に限定すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、表面がその上に金属含有堆積物を有する構成要素の実施形態の概略側面図である。
【図2】図2は、電気化学エッチング装置の実施形態の概略側面図である。
【図3A】図3Aは、タンタル含有化合物を回収する方法の実施形態を示すフローチャートである。
【図3B】図3Bは、タンタル含有化合物を回収する方法の他の実施形態を示すフローチャートである。
【図4】図4は、洗浄プロセスにおいて金属含有堆積物を洗浄し得る1つ以上の構成要素を有するプロセスチャンバの実施形態の側断面図である。
【図5】図5は、HFとHNOを含む異なる洗浄溶液による銅表面の洗浄から得られた洗浄時間の増加に対する銅の減量パーセントの比較グラフである。
【図6A】図6Aは、HFのみを含む洗浄溶液、また、HFとHNOとの予め選択された比を有する改善された洗浄溶液による銅表面の洗浄から得られた洗浄時間の増加に対する銅の減量パーセントのグラフである。
【図6B】図6Bは、図6Aの洗浄溶液によるタンタル表面の洗浄から得られた洗浄時間の増加に対するタンタルの減量パーセントのグラフである。
【符号の説明】
【0043】
20…表面、22…プロセスチャンバ構成要素、24…金属含有プロセス堆積物、104…基板、106…チャンバ、109…プロセスゾーン、112…ガス分配システム、114…基板支持体、116…エナジャイザ、118…エンクロージャ壁、120…シールド、122…ガス排出口、124…ターゲット、126…カバーリング、128…堆積リング、130…支持リング、132…絶縁リング、133…シャッタディスク、134…表面、135…コイル、137…コイル支持体、141…クランプシールド、164…側壁、168…シーリング、170…電極、172…電源、174…ガス供給源、176…コンジット、178…ガスフローコントロールバルブ、180…ガス分配器、182…ガス出口、186…コンジット、188…スロットルバルブ、190…ポンプ、192…電源、194…コントローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスチャンバ構成要素の表面からタンタル含有堆積物を洗浄する方法であって、
該構成要素の該表面を約1:8〜約1:30のHFとHNOの重量比を含む洗浄溶液に浸漬するステップを含み、
それにより、該表面をほとんど浸食することなく該タンタル含有堆積物を該表面から除去することができる。前記方法。
【請求項2】
該プロセスチャンバ構成要素の該表面が、チタン、ステンレス鋼、アルミニウム、及びタンタルの少なくとも1つを含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
該溶液が、約10重量%未満のHFを含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
表面粗さ平均が約63.5マイクロメートル〜約101.6マイクロメートルのテクスチャ処理表面であるプロセスチャンバ構成要素の表面を浸漬するステップを含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
直径が約0.1mm〜約3.5mmのくぼみを持つテクスチャ処理表面であるプロセスチャンバ構成要素の表面を浸漬するステップを含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項6】
プロセスチャンバ構成要素の表面からタンタル含有堆積物を洗浄する方法であって、
該構成要素の該表面を約6:1〜約10:1のKOH:Hのモル比を含む溶液に浸漬させるステップを含み、
それにより、該表面をほとんど浸食することなく該タンタル含有堆積物を該表面から除去することができる、前記方法。
【請求項7】
該プロセスチャンバ構成要素の該表面が、チタン、ステンレス鋼、アルミニウム、及びタンタルの少なくとも1つを含んでいる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
該溶液が、約5M〜約12MのKOHと、約0.5M〜約2.5MのHを含んでいる、請求項6記載の方法。
【請求項9】
該溶液が少なくとも約70℃の温度で維持される、請求項6記載の方法。
【請求項10】
プロセスチャンバ構成要素の表面からタンタル含有堆積物を洗浄する方法であって、該表面が銅を含み、該方法が、
該構成要素の該表面をHFと酸化剤を含む洗浄溶液に浸漬するステップであって、HFと該酸化剤のモル比が少なくとも約6:1である前記ステップを含み、
それにより、該表面をほとんど浸食することなく該タンタル含有堆積物を該表面から除去することができる、前記方法。
【請求項11】
HFと酸化剤のモル比が約9:1〜約20:1である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
該酸化剤がHNO、H、HSO及びOの少なくとも1つを含む、請求項10記載の方法。
【請求項13】
該洗浄溶液が、約3M〜約20M HFと約0.1M〜約3Mの該酸化剤を含む、請求項10記載の方法。
【請求項14】
プロセスチャンバ構成要素の表面からタンタル含有堆積物と他の金属含有堆積物を洗浄してタンタル含有物質を回収する方法であって、
(a)該構成要素の該表面を酸性洗浄溶液又は塩基性洗浄溶液に浸漬し、それにより該表面上の該タンタル含有堆積物と他の金属含有堆積物を溶解して、それぞれタンタル含有化合物と金属含有化合物を形成するステップと、
(b)該溶液を処理して、
(i)該溶液に沈澱剤を添加し、それにより該タンタル含有化合物と金属含有化合物を含む混合固形分を形成する工程と、
(ii)該混合固形分を該溶液からろ過する工程と、
(iii)該混合固形分に金属選択的酸溶液を添加する工程であって、該金属選択的酸溶液が、該タンタル含有化合物をほとんど溶解することなく該金属含有化合物を溶解する金属選択的酸を含んでいる前記工程と、
(iv)該溶解した金属含有化合物から該タンタル含有化合物を分離する工程と、
によって該タンタル含有化合物を回収するステップと、
を含む、前記方法。
【請求項15】
プロセスチャンバ構成要素の表面からタンタル含有堆積物を洗浄してタンタル含有物質を回収する方法であって、
(a)該構成要素の該表面を、酸性又は塩基を備える水性洗浄溶液に浸漬し、それにより該表面上の該タンタル含有堆積物を溶解して、該溶液中にタンタル含有物質を形成するステップと、
(b)該水性洗浄溶液を処理して、
(i)該水性洗浄溶液から該タンタル含有物質を抽出できる有機溶液で該水性溶液を混合する工程と、
(ii)該水性洗浄溶液から該有機溶液を分離する工程と、
(iii)該タンタル含有物質を熱加水分解で分解する工程と、
によって該タンタル含有物質を回収するステップと、
を含む、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2007−528938(P2007−528938A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545314(P2006−545314)
【出願日】平成16年5月25日(2004.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/016518
【国際公開番号】WO2005/068681
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】