プロセス
本発明は、亜鉛/クロミア触媒の存在下でC3‐6ヒドロハロフルオロアルカンを脱ハロゲン化水素することを含んでなる、C3‐6ヒドロフルオロアルケンを製造するためのプロセスに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(ヒドロ)フルオロアルケン類を製造するためのプロセス、特にヒドロ(ハロ)フルオロアルカンの脱ハロゲン化水素によりC3‐6(ヒドロ)フルオロアルケン類を製造するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
(ヒドロ)フルオロアルケン類を製造するための既知のプロセスは、典型的には、低収率、および/または毒性および/または高価試薬の取扱い、および/または極端条件の使用、および/または毒性副産物の生成のような欠点を有している。これは2,3,3,3‐テトラフルオロプロペンのようなC3‐6(ヒドロ)フルオロアルケン類を製造するための既知方法を考察することで例示される。2,3,3,3‐テトラフルオロプロペンの製造のための方法は、例えばJournal Fluorine Chemistry(82),1997,171-174で記載されていた。この論文において、2,3,3,3‐テトラフルオロプロペンは四フッ化イオウとトリフルオロアセチルアセトンとの反応により製造されている。しかしながら、この方法は試薬の取扱いに伴う危険性とそれらの費用のために学問的興味にすぎない。2,3,3,3‐テトラフルオロプロペンの製造のための他の方法が米国特許第2931840号に記載されている。この場合に、テトラフルオロエチレンとのまたはそれなしのC1クロロフルオロカーボン類の熱分解で、2,3,3,3‐テトラフルオロプロペンを生じると称されていた。しかしながら、記載された収率は非常に低く、しかも極端条件下で危険な化学物質を取扱う必要があった。このようなプロセスは様々な非常に毒性の強い副産物を生じることも予想される。既知方法の欠点に取り組むことに加えて、易利用性原料のみを用いる(ヒドロ)フルオロアルケン類の製造のための新方法を提供することが望まれるであろう。
【0003】
場合により酸素の存在下で、ガス状の1,1,1,2,3,3‐ヘキサフルオロプロパンを三価クロム酸化物または部分的フッ素化三価クロム酸化物と接触させて脱フッ化水素することにより1,1,1,2,3‐ペンタフルオロプロペンが製造されることも、米国特許第5,679,875号(Daikin)から知られている。
【0004】
この明細書における既公開文書の掲載または考察は、該文書が業界水準の一部であるかまたは共通一般知識であることの承認として必ずしもうけとるべきでない。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、亜鉛/クロミア触媒の存在下でC3‐6ヒドロ(ハロ)フルオロアルカンを脱ハロゲン化水素することを含んでなるC3‐6(ヒドロ)フルオロアルケンを製造するためのプロセスを提供することにより、(ヒドロ)フルオロアルケン類を製造するための既知ルートの前記欠陥に取り組んだものである。
【0006】
典型的には、本プロセスはヒドロ(ハロ)フルオロアルカンを気または液相でフッ化水素(HF)とまたはそれなしで接触させることを含んでなり、−70〜400℃の温度で行われる。ある好ましい態様において、本プロセスはHFの同時供給なしで行われる。本プロセスは低または高大気圧、好ましくは約0〜約30baraで行われる。
【0007】
好ましくは、ヒドロ(ハロ)フルオロアルカンは気相中200〜360℃、更に好ましくは240〜320℃の温度でHFとまたはそれなしで接触される。好ましくは、本プロセスは5〜20barの圧力で行われる。もちろん、本発明のプロセスを行うために好ましい条件(例えば、温度、圧力および触媒)は(ヒドロ)フルオロアルケンへ変換されるヒドロ(ハロ)フルオロアルカンの性質に応じて変わる、と当業者であれば理解するであろう。ある好ましい態様において、例えば触媒が触媒の1%〜10重量%の亜鉛を含有している場合、本プロセスは0〜5bara、好都合には1〜5baraの圧力で効果的に行われる。
【0008】
本発明のプロセスはいずれか適切な装置、例えばスタティックミキサー、攪拌タンクリアクターまたは攪拌気液分離容器で行われる。本プロセスはバッチ式でもまたは連続的でも行える。バッチ式プロセスまたは連続プロセスはいずれも“ワンポット”式で、または2以上の別々な反応ゾーンおよび/または反応容器を用いて行われる。
【0009】
脱フッ化水素はHFの不在下で行えるが、有機フィードの過剰分解および/または触媒のコーキングを防止するおよび/または遅延させるために少量のHFを用いることがある態様では望ましい。典型的には、本発明のプロセスにおけるHF:有機物比は、HFが利用される場合、約0.01:1〜約50:1、好ましくは約0.1:1〜約40:1、更に好ましくは約0.5:1〜約30:1、例えば約1:1〜約20:1、例えば約2:1〜約15:1(例えば約5:1〜約10:1)の範囲である。多段階プロセスにおいて、好ましい条件および比率はステップ毎に変わり、適切な比率を選ぶことができる、と当業者であれば理解するであろう。
【0010】
本発明の好ましい面は、少なくとも触媒の性質および本プロセスが行われる圧力に応じて変わることがわかった。
【0011】
用語“亜鉛/クロミア触媒”について、我々はクロムまたはクロムの化合物と亜鉛または亜鉛の化合物を含んでなる触媒を意味する。このような触媒は当業界で知られている;例えばEP‐A‐0502605、EP‐A‐0773061、EP‐A‐0957074およびWO98/10862参照。しかしながら、C3‐6ヒドロ(ハロ)フルオロアルカン類の脱ハロゲン化水素を促進してC3‐6(ヒドロ)フルオロアルケン類を製造するために亜鉛/クロミア触媒が用いうることを、本発明者らは意外にも発見したのである。
【0012】
典型的には、本発明の触媒に存在するクロムまたはクロムの化合物はクロムの酸化物、オキシフッ化物またはフッ化物、例えば酸化クロムである。
【0013】
本発明の触媒に存在する亜鉛または亜鉛の化合物の総量は典型的には約0.01%〜約25%、好ましくは0.1%〜約25%、好都合には0.01%〜6%亜鉛、一部の態様では好ましくは触媒の0.5重量%〜約25重量%、好ましくは触媒の約1〜10重量%、更に好ましくは触媒の約2〜8重量%、例えば触媒の約4〜6重量%である。
【0014】
他の態様において、触媒は好都合には0.01%〜1%、更に好ましくは0.05%〜0.5%亜鉛を含んでなる。
【0015】
好ましい量は、クロムまたはクロムの化合物、および/または亜鉛または亜鉛の化合物、および/または触媒が作られる手法、および/または触媒の使用条件、例えば温度および圧力のような、幾つかのファクターに依存する。これらのファクターは以下で更に詳細に記載されている。
【0016】
ここで例示される亜鉛または亜鉛の化合物の量は、元素亜鉛としてまたは亜鉛の化合物として存在するかにかかわらず、元素亜鉛の量に関すると理解されている。
【0017】
本発明で用いられる触媒は追加金属またはその化合物を含有してもよい。典型的には、追加金属は、好ましくはニッケル、マグネシウム、アルミニウムおよびそれらの混合物から選択される、二価または三価金属である。典型的には、追加金属は触媒の0.01重量%〜約25重量%、好ましくは触媒の約0.01〜10重量%の量で存在する。他の態様では少なくとも約0.5重量%または少なくとも約1重量%の追加金属を含んでなる。
【0018】
本発明で用いられる亜鉛/クロミア触媒は非晶質でもよい。これについて我々は、例えばX線回折で解析されたときに、触媒が実質的な結晶特性を呈しないことを意味する。
【0019】
一方、触媒は部分的に結晶でもよい。これについて我々は、触媒の0.1〜50重量%がクロムの1種以上の結晶化合物および/または亜鉛の1種以上の結晶化合物の形であることを意味する。部分的結晶触媒が用いられるならば、それは好ましくは触媒の0.2〜25重量%、更に好ましくは0.3〜10重量%、更に一層好ましくは0.4〜5重量%をクロムの1種以上の結晶化合物および/または亜鉛の1種以上の結晶化合物の形で含有している。
【0020】
脱ハロゲン化水素反応で使用時に、結晶化度は変化してもよい。そのため、本発明の触媒は脱ハロゲン化水素反応で使用前に上記のような結晶化度を有し、脱ハロゲン化水素反応で使用中または後にこれら範囲外の結晶化度を有することが可能である。
【0021】
本発明の触媒中結晶物質の割合は、当業界で知られているいずれか適切な方法で調べられる。適切な方法としてはX線回折(XRD)技術がある。X線回折が用いられる場合、結晶物質の量、例えば結晶酸化クロムの量は、触媒に存在するグラファイト(例えば、触媒ペレットを製造する際に用いられるグラファイト)の既知量との関係から、または更に好ましくは適切な国際承認標準から製造されたリファレンス物質、例えばNIST(国立標準技術研究所)リファレンス物質とのサンプル物質のXRDパターンの強度の比較により調べられる。
【0022】
本発明の触媒は、それがフッ化水素またはフッ素化炭化水素のようなフッ化物含有種との前処理へ付される前に、典型的には少なくとも50m2/g、好ましくは70〜250m2/g、最も好ましくは100〜200m2/gの表面積を有する。以下で更に詳細に記載されるこの前処理に際して、触媒中酸素原子の少なくとも一部はフッ素原子で置き換えられる。
【0023】
本発明の触媒は、典型的には活性および選択性のレベルで有利なバランスを有している。好ましくは、それらが比較的長い作用寿命を有することを意味する化学的頑健度もそれらは有している。本発明の触媒は好ましくは比較的容易な取扱いを可能にする機械的強度も有し、例えばそれらは既知技術を用いてリアクターへ投入されるかまたはリアクターから排出される。
【0024】
本発明の触媒は、当業界で知られているいずれか適切な形で用意される。例えば、それらは固定層または流動層で使用に適したサイズのペレットまたは顆粒の形で用意される。該触媒は担持させても、または非担持でもよい。触媒が担持される場合、適切な担体としてはAlF3、フッ素化アルミナまたは活性炭がある。
【0025】
本発明の触媒として、高いルイスおよび/またはブレンステッド酸度および/または塩基度を有するものを含めて、このような触媒の促進形もある。
【0026】
本発明で用いられる非晶質触媒は、非晶質クロミアベース触媒を製造するために当業界で知られたいずれかの方法により得られる。適切な方法としては、水酸化アルミニウムの添加による硝酸亜鉛およびクロムの溶液からの共沈がある。一方、非晶質クロミア触媒への亜鉛またはその化合物の表面含浸も用いられる。
【0027】
非晶質亜鉛/クロミア触媒を製造するための別な方法では、例えばクロム(VI)化合物、例えばクロム酸塩、重クロム酸塩、特に重クロム酸アンモニウムを亜鉛金属によりクロム(III)へ還元し、次いで共沈および洗浄する;あるいは固体物としてクロム(VI)化合物および亜鉛の化合物、例えば酢酸亜鉛またはシュウ酸亜鉛を混合し、クロム(VI)化合物を酸化クロム(III)へ還元して亜鉛の化合物を酸化亜鉛へ酸化するために該混合物を高温に加熱する。
【0028】
亜鉛は、用いられる触媒製造技術に少なくともある程度応じて、化合物、例えばハロゲン化物、オキシハロゲン化物、酸化物または水酸化物の形で非晶質クロミア触媒中および/または上へ導入される。非晶質触媒製造がクロミア、ハロゲン化クロミアまたはオキシハロゲン化クロムの含浸による場合、該化合物は好ましくは水溶性塩、例えばハロゲン化物、硝酸塩または炭酸塩であり、水溶液またはスラリーとして用いられる。一方、亜鉛およびクロムの水酸化物が(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化アンモニウムのような塩基の使用により)共沈され、次いで非晶質触媒を製造するために酸化物へ変換される。不溶性亜鉛化合物と塩基性クロミア触媒との混合および粉砕は、非晶質触媒前駆体を製造する別な方法を提供する。オキシハロゲン化クロムベースの非晶質触媒を製造するための方法では、亜鉛の化合物を水和ハロゲン化クロムへ加える。
【0029】
非晶質触媒前駆体へ導入される亜鉛または亜鉛の化合物の量は、用いられる製造法に依存する。作用触媒は、クロム含有格子、例えば酸化、オキシハロゲン化またはハロゲン化クロム格子に亜鉛のカチオンを位置させた表面を有していると考えられる。そのため、要される亜鉛または亜鉛の化合物の量は、非表面位置にも亜鉛または亜鉛の化合物を含有する共沈のような他の方法で作られた触媒の場合より、含浸で作られた触媒の方が通常少ない。
【0030】
いずれの前記方法または他の方法も、本発明のプロセスで用いられる非晶質触媒の製造に用いられる。
【0031】
ここで記載されている触媒は、典型的には、それらが使用時に曝される環境条件下でそれらが安定であるように、使用前に熱処理で安定化される。この安定化は多くが2段階プロセスである。第一段階において、触媒は窒素または窒素/空気環境中で熱処理により安定化される。当業界において、この段階は通常“か焼”と称されている。フッ素化触媒は次いで、典型的には、フッ化水素中で熱処理によりフッ化水素に対して安定化される。この段階は通常“プレフッ素化”と称されている。
【0032】
これら2回の熱処理段階が行われる条件の慎重なコントロールにより、制御された程度に結晶化が触媒中へ誘導されうることを、本発明者らは発見した。
【0033】
例えば、非晶質触媒は適切な雰囲気中約300〜約600℃、好ましくは約400〜600℃、更に好ましくは500〜590℃、例えば520、540、560または580℃の温度で約1〜約12時間、好ましくは約2〜約8時間、例えば約4時間にわたり熱処理される。この熱処理が行われる適切な雰囲気としては、窒素の雰囲気、または窒素中で約0.1〜約10%v/vの酸素レベルを有する雰囲気がある。他の酸化環境も代わりに用いられる。例えば、適切な酸化剤を含有する環境としては、硝酸源、CrO3またはO2(例えば空気)を含有するものがあるが、それらに限定されない。非晶質触媒を製造するために先行技術で典型的に用いられているか焼段階に加えてまたはその代わりに、この熱処理段階が行える。
【0034】
プレフッ素化段階の条件は、それらが触媒中へ実質的に結晶化を導入しないように選択される。これは、フッ化水素の存在下、場合により窒素のような他のガスの存在下、大気圧または高大気圧で約1〜約16時間にわたり、約200〜約500℃、好ましくは約250〜約400℃の温度で触媒前駆体の熱処理により達成される。
【0035】
プレフッ素化段階の条件は、それらが触媒の結晶化に変化を誘導するか、またはそれらがこのような変化を誘導しないように選択してもよい。フッ化水素の存在下、場合により空気のような他のガスの存在下、大気圧または高大気圧で約1〜約16時間にわたる約250〜約500℃、好ましくは約300〜約400℃の温度で触媒前駆体の熱処理により、クロムの1種以上の結晶化合物および/または少なくとも1種の追加金属の1種以上の結晶化合物の形で結晶化度が前記のような、例えば触媒の0.1〜8.0重量%(典型的には、触媒の0.1から8.0重量%未満)である触媒を製造しうることを、本発明者らは発見した。
【0036】
前記の条件を変えることにより、例えば熱処理が行われる温度および/または時間および/または雰囲気を変えることにより触媒の結晶化度が変えられる、と当業者であれば理解するであろう。典型的には、例えば、更に高い結晶化度(例えば、触媒の8〜50重量%)の触媒は、温度を上げるおよび/またはか焼時間を延ばすおよび/または触媒前処理が行われる雰囲気の酸化性を増すことにより製造される。
【0037】
か焼温度、時間および雰囲気の関数として触媒結晶化のバリエーションが、6%Zn/クロミア触媒の8gサンプルがある範囲の条件でか焼へ付された一連の実験を示す下記表により例示されており、誘導された結晶化のレベルはX線回折により調べられる。
【表1】
【0038】
プレフッ素化処理は、典型的には、触媒の表面積を低下させる効果を有する。プレフッ素化処理後、本発明の触媒は典型的には20〜200m2/g、例えば50〜150m2/g、例えば約100m2/g未満の表面積を有している。
【0039】
使用時、触媒は空気中約300℃〜約500℃の温度で加熱することにより定期的に再生または再活性化してもよい。空気は窒素のような不活性ガスまたはフッ化水素との混合物としても用いられ、後者は触媒処理プロセスから熱時出現して、再活性化触媒を用いるフッ素化プロセスで直接用いうる。
【0040】
別記されていなければ、ここで用いられているような(ヒドロ)フルオロアルケンは、少なくとも1つの水素原子がフッ素で置き換えられたアルケンである。
【0041】
別記されていなければ、ここで用いられているようなヒドロ(ハロ)フルオロアルカンは、少なくとも1つの、但し全部ではない水素原子がフッ素で置き換えられ、場合により少なくとも1つの水素原子が塩素、臭素およびヨウ素から選択されるハロゲンで置き換えられたアルカンである。そのため、ヒドロ(ハロ)フルオロアルカン類は、少なくとも1つの水素、少なくとも1つのフッ素と、場合により塩素、臭素およびヨウ素から選択される少なくとも1つのハロゲンを含有している。換言すると、ヒドロ(ハロ)フルオロアルカンの定義にはヒドロフルオロアルカン、即ち少なくとも1つの、但し全部ではない水素原子がフッ素で置き換えられたアルカンを含む。
【0042】
別記されていなければ、ここで用いられているような、(C3‐6)(ヒドロ)フルオロアルケン、ヒドロフルオロアルカンまたはヒドロ(ハロ)フルオロアルカンへの言及は、3〜6の炭素原子を有する(ヒドロ)フルオロアルケン、ヒドロフルオロアルカンまたはヒドロ(ハロ)フルオロアルカン、即ちヒドロ(ハロ)フルオロ‐プロパン、ブタン、ペンタンまたはヘキサンあるいは(ヒドロ)フルオロ‐プロペン、ブテン、ペンテンまたはヘキセンに関する。
【0043】
本発明のプロセスにより製造される(ヒドロ)フルオロアルケン類は二重結合を含有し、そのため各個別二重結合でE(entgegen)およびZ(zusammen)幾何異性体として存在する。すべてのこのような異性体およびその混合物が本発明の範囲内に含まれる。
【0044】
別記されていなければ、ここで用いられているような用語“脱ハロゲン化水素”(または脱ハロゲン化水素する)について、我々は、例えばヒドロ(ハロ)フルオロアルカンから、ハロゲン化水素(例えば、HF、HCl、HBrまたはHI)の除去に関する。このように、用語“脱ハロゲン化水素”には、ヒドロ(ハロ)フルオロアルカンの“脱フッ化水素”、“脱塩化水素”、“脱臭化水素”および“脱ヨウ化水素”を含む。
【0045】
本発明は式CX3(CX2)nCX=CX2またはCX3CX=CX(CX2)nCX3の化合物を製造するためのプロセスを提供し、ここで各Xは独立してHまたはFであるが、但し少なくとも1つのXはFであり、nは0、1、2または3であり、該プロセスは亜鉛/クロミア触媒の存在下で式CX3(CX2)nCXYCHX2、CX3(CX2)nCXHCYX2、CX3CXHCXY(CX2)nCX3またはCX3CXYCXH(CX2)nCX3の化合物を脱ハロゲン化水素することを含んでなり、ここで各Xは独立してHまたはFであるが、但し少なくとも1つのXはFであり、nは0、1、2または3であり、YはF、Cl、BrまたはIである。
【0046】
一部の態様において、本発明のプロセスに好ましいフィードは混合フルオロ‐クロロヘキサハロプロパンまたはヘキサフルオロプロパンである。
【0047】
好ましくは、式CX3(CX2)nCX=CX2の化合物はCF3(CX2)nCF=CX2である。この化合物は式CF3(CX2)nCFYCHX2またはCF3(CX2)nCFHCYX2の化合物を脱ハロゲン化水素することにより製造される。
【0048】
更に好ましくは、式CX3CX=CX(CX2)nCX3の化合物はCF3CF=CH(CX2)nCX3である。この化合物は式CF3CFHCHY(CX2)nCX3またはCX3CFYCH2(CX2)nCX3の化合物を脱ハロゲン化水素することにより製造される。
【0049】
好ましくは、n=0である。本プロセスは2,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(CF3CF=CH2,HFC‐1234yf)または1,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン(CF3CF=CHF,HFC‐1225ye)を製造するために特に適している。特に好ましい態様において、本発明はHFC‐236eaまたはHFC‐236cb、特にHFC‐236eaからHFC‐1225yeを製造するために用いられる。
【0050】
CF3CF=CH2および1,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(CF3CH=CHF)が本発明のプロセスで一緒に製造されうる。一方、CF3CF=CH2および1,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン(CF3CF=CHF)も本発明のプロセスにより一緒に製造される。
【0051】
CF3CF=CH2は式CF3CFYCH3またはCF3CFHCYH2の化合物を脱ハロゲン化水素することにより製造される。
【0052】
本発明のプロセスはC3‐6ヒドロ(ハロ)フルオロアルカンを脱ハロゲン化水素(例えば脱フッ化水素または脱塩化水素)することによりC3‐6(ヒドロ)フルオロアルケンを製造するために適している。場合により、C3‐6ヒドロ(ハロ)フルオロアルカンが最初にC3‐6ヒドロフルオロアルカンへフッ素化され、次いでこれがC3‐6(ヒドロ)フルオロアルケンへ脱フッ化水素される。
【0053】
好ましくは、C3‐6(ヒドロ)フルオロアルケンは、ヒドロ(ハロ)フルオロプロパンの脱ハロゲン化水素により製造される(ヒドロ)フルオロプロペンである。例としておよび簡素化のために、別記されていなければ、明細書の残部では(ヒドロ)フルオロプロペン類の製造に関して本発明のプロセスを記載する。このような考察は(ヒドロ)フルオロ‐ブテン類、ペンテン類およびヘキセン類の製造にも等しく適用しうる、と当業者であれば理解するであろう。
【0054】
本発明のプロセスにより製造される(ヒドロ)フルオロプロペン類は0、1、2、3、4または5の水素原子と1、2、3、4、5または6のフッ素原子を含有しうる。好ましい(ヒドロ)フルオロプロペン類は3〜5のフッ素原子(およびひいては1〜3の水素原子)、特に4または5のフッ素原子(およびひいては1または2の水素原子)を有するものである。換言すると、好ましい(ヒドロ)フルオロプロペン類はテトラフルオロプロペン類およびペンタフルオロプロペン類である。
【0055】
適切なテトラフルオロプロペン類の例としては、2,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(H2C=CFCF3)、1,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(HFC=CHCF3)、1,2,3,3‐テトラフルオロプロペン(HFC=CFCF2H)、1,1,3,3‐テトラフルオロプロペン(F2C=CHCF2H)および1,1,2,3‐テトラフルオロプロペン(F2C=CFCH2F)がある。1,3,3,3‐テトラフルオロプロペンおよび2,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(H2C=CFCF3)が好ましいテトラフルオロプロペン類であり、2,3,3,3‐テトラフルオロプロペンが特に好ましい。別記されていなければ、この2,3,3,3‐テトラフルオロプロペンは以下でHFC‐1234yfと称され、1,3,3,3‐テトラフルオロプロペンはHFC‐1234zeと称される。
【0056】
適切なペンタフルオロプロペン類の例としては、1,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン(HFC=CFCF3)、1,1,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン(F2C=CHCF3)および1,1,2,3,3‐ペンタフルオロプロペン(F2C=CFCF2H)がある。これらの中では、1,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン(HFC=CFCF3)が好ましい。
【0057】
本発明のプロセスで作られる(ヒドロ)フルオロプロペン類は、多数のヒドロ(ハロ)フルオロプロパン類のうち1種以上から出発して製造される。しかも、例としておよび簡素化のために、別記されていなければ、明細書の残部はHFC‐1234yfの製造に関して記載される。
【0058】
HFC‐1234yfは、1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパン(CH3CF2CF3)または1,1,1,2,3‐ペンタフルオロプロパン(CH2FCHFCF3)の脱フッ化水素を含んでなるプロセスにより製造される。1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパンは、例えば、1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンおよび1,1,2,2‐テトラフルオロ‐1‐クロロプロパンのようなテトラフルオロクロロプロパン類、1,1,1‐トリフルオロ‐2,2‐ジクロロプロパン、1,1,2‐トリフルオロ‐1,2‐ジクロロプロパンおよび1,2,2‐トリフルオロ‐1,1‐ジクロロプロパンのようなトリフルオロジクロロプロパン類、2,2‐ジフルオロ‐1,1,1‐トリクロロプロパン、1,2‐ジフルオロ‐1,1,2‐トリクロロプロパンおよび1,1‐ジフルオロ‐1,2,2‐トリクロロプロパンのようなジフルオロトリクロロプロパン類と、1‐フルオロ‐1,1,2,2‐テトラクロロプロパンおよび2‐フルオロ‐1,1,1,2‐テトラクロロプロパンのようなフルオロテトラクロロプロパン類を含めた多数のヒドロクロロフルオロプロパン類のうち1種以上をフッ素化することにより製造される。1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパン(およびひいては最終的にHFC‐1234yf)は1,1,1,2,2‐ペンタクロロプロパンから出発しても製造される。1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパンへ至る上記ヒドロハロ(フルオロ)プロパン前駆体のいずれにおいても、塩素置換基の1以上が臭素またはヨウ素で置き換えられる。
【0059】
HFC‐1234yfを製造するために好ましいヒドロ(ハロ)フルオロプロパン類としては、1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンおよび1,1,1‐トリフルオロ‐2,2‐ジクロロプロパンがある。1,1,1‐トリフルオロ‐2,2‐ジクロロプロパンがフッ素化されて1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンおよび/または1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパンを与えることは、当業者に理解されるであろう。1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンもフッ素化されて1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパンを生じ、これが次いで脱フッ化水素されてHFC‐1234yfを与える。
【0060】
一方、1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンが脱塩化水素されるとHFC‐1234yfを与える。
【0061】
本発明の好ましい面において、本発明の(ヒドロ)フルオロアルケンである程度の異性化を行うために本発明のプロセスが利用しうる、とわかるかもしれない。更に詳しくは、特に(ヒドロ)フルオロアルケンがR‐1225yeである場合、本発明の触媒と接触して得られる(ヒドロ)フルオロアルケンの効果はE対Z異性体の比率を変えて、それにより異性化を起こすことである。
【0062】
R‐1225yeの具体的関係において、効果はZ異性体対E異性体の比率を増すことである。
【0063】
本発明の別な面では、C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを触媒と接触させることによりC3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを異性化するためのプロセスが提供される。C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを異性化するための触媒の使用も提供される。
【0064】
別な面において、C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを異性化するためのプロセスが提供され、該プロセスは(i)E‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンをC3‐6Z‐(ヒドロハロ)フルオロアルケンへ変換する触媒とE‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを接触させることを含んでなる。好都合には、C3‐6Z‐(ヒドロハロ)フルオロアルケンが回収され、例えば後の操作に用いられる。
【0065】
別な面において、本発明はC3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを異性化するための触媒の使用を提供し、該使用は(i)E‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンをZ‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンへ変換する触媒とE‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを接触させることを含んでなる。好都合には、Z‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンが回収され、例えば後の操作に用いられる。
【0066】
この関係で“異性化”とは、好ましくは、以前の場合における比率からEおよびZ異性体の比率を変えること(例えば、Z異性体のレベルを増すこと)、あるいは特に異性化がその場で、例えば(ヒドロハロ)フルオロアルケンの製造ステップの一部として行われる状況にあれば、触媒が利用されなかった場合と比較してEおよびZ異性体の比率を変えること(例えば、Z異性体のレベルを増すこと)を意味する。
【0067】
別な面において、本発明は本発明のプロセスに従い製造される異性体ブレンドも提供する。本発明は、本発明のプロセスに従い製造される異性体ブレンドを含んでなる冷媒と、このような異性体ブレンドを利用するエアコンディショニングシステムを有した自動車も提供する。
【0068】
好都合には本発明の面において、(ヒドロハロ)フルオロアルケンを製造する反応で動的に決められる異性体の混合物であるものからE/Z異性体比を変えることにより、本発明が機能する。
【0069】
本発明の別な面では、触媒を用いるステップを含んでなる、高レベルのZ異性体、好都合にはC3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンが形成されたときに存在するレベルまたは(ヒドロハロ)フルオロアルケンのZ異性体の動的既定レベルより高いレベルのZ異性体を含んでなるC3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケン組成物を作るためのプロセスが提供される。好都合には、本発明のこの面はこのような組成物でZ異性体のレベルを高めるクリーンアップステップを含んでなる。
【0070】
ブレンド中Z異性体のレベルを増すことが好ましいユーティリティでは、ブレンド中に存在するE異性体をZ異性体へ異性化することでZ異性体のレベルを増すために、本発明の方法を用いることが可能である。E異性体がZ異性体へ変換される程度の限界は、熱力学的考慮により決められる。
【0071】
1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンおよび1,1,1‐トリフルオロ‐2,2‐ジクロロプロパンからHFC‐1234yfを製造するために上記された反応経路が以下で示されている。
【化1】
【0072】
別な態様において、HFC‐1234yfは1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパンから出発して製造され、後者は1,1,1‐トリフルオロメチルプロペンを塩素化することで容易に製造される。以下で示されるように、1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパンからHFC‐1234yfへ至る2つの主要ルートがある、と考えられる。
【化2】
【0073】
ルートBは1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパンのフッ素化(例えば、場合によりクロミア含有触媒の存在下で、HFを用いる)経由で進行して1,1,1,2,3‐ペンタフルオロプロパンを与え、次いでこれが脱フッ化水素されてHFC‐1234yfを与える。しかしながら、ルートAがルートBより好ましいと考えられる。
【0074】
ルートAは1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパンの脱塩化水素により進行して3,3,3‐トリフルオロ‐2‐クロロプロペンを与え、次いでこれがフッ化水素化されて1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンを与える。これら2つのステップは触媒の存在下で1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパンをHFと接触させることによりワンポットで行われる。しかしながら、2段階反応ゾーンが好ましいと考えられ、第一ゾーンでは脱塩化水素を促進するために比較的低いHF:有機物比(例えば、約1:1〜約5:1)を用い、第二ゾーンではフッ化水素化を促進するために比較的高いHF:有機物比(例えば、約5:1〜約30:1)を用いる。上記のように、1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンはフッ素化されて1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパンを生じ(例えば、場合によりクロミア含有触媒の存在下で、HFを用いる)、次いでこれが脱フッ化水素されてHFC‐1234yfを与える。一方、1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンは直接脱塩化水素してもHFC‐1234yfを与える。
【0075】
1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパンは市販されているが、安価原料の四塩化炭素(CCl4)およびエチレンから出発する合成ルートを経て製造してもよい。これら2種の出発物質はテロマー化されて1,1,1,3‐テトラクロロプロパンを生じ、次いでこれがフッ素化されて1,1,1,3‐テトラフルオロプロパンを生じる(例えば、場合によりクロミア含有触媒の存在下で、HFを用いる)。次いで1,1,1,3‐テトラフルオロプロパンの脱フッ化水素(例えば、NaOHを用いる)で3,3,3‐トリフルオロプロペンを生じ、次いでこれが(例えば塩素で)容易に塩素化されて1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパンを生じる。この反応スキームが以下で要約されている。
【化3】
【0076】
上記のように、1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパンは1,1,1,2,2‐ペンタクロロプロパンから出発して製造してもよい。このルート(下記参照)では、1,1,1,2,2‐ペンタクロロプロパンがフッ素化(例えば、場合によりクロミア含有触媒の存在下で、HFを用いる)されて1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンを生じ、次いでこれもフッ素化されて1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパンを生じ、次いで脱フッ化水素されてHFC‐1234yfを与える。一方、1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンは直接脱塩化水素してもHFC‐1234yfを与える。
【化4】
【0077】
1,1,1,2,2‐ペンタクロロプロパンは、アセトンから出発してHFC‐1234yfへ至るルートで便利な中間体である。このような合成ルートにおいて、アセトンは塩素化(例えば、クロミア触媒で塩素を用いる)されて1,1,1‐トリクロロアセトンを生じ、次いでこれが更に塩素化されて(例えばPCl5を用いる‐Advanced Organic Chemistry(Ed.M.B.Smith and J.March),Fifth Edition,page 1195参照)、下記のように1,1,1,2,2‐ペンタクロロプロパンを生じる。
【化5】
【0078】
本発明の広い範囲内において、脱フッ化水素の好ましい条件は、触媒の正確な性質および反応が行われる圧力を含めたいくつかの要因に依存することがわかった。
【0079】
例えば、触媒のファウリング率は触媒処方の関数であることがわかった。一般的に、触媒へ配合される亜鉛のレベルが低いほど、触媒はファウリングに抵抗性であった;無亜鉛含有クロミア触媒は、少量亜鉛含有クロミア触媒よりファウリングに抵抗性であった。更に、本プロセスが大気圧で行われた場合、クロミア触媒は亜鉛/クロミア触媒よりファウリングに通常抵抗性であった。
【0080】
しかしながら、無亜鉛含有クロミア触媒は商業的製造条件下で結晶化により感受的であった。小規模の場合、本例で用いられたタイプのクロミア触媒は不活性雰囲気中440℃付近の温度に対して安定であることがわかったが、この温度は酸化雰囲気でより低かった。無亜鉛含有クロミアは作用温度でまたは少なくとも触媒再生時に結晶化しやすいとみなされた。結晶化は高度に発熱性であり、工業規模製造では非常に問題である。
【0081】
加えて、反応が約300℃以上で行われた場合、1,1,1,2,3,3‐ヘキサフルオロプロペン(HFC‐236ea)から1,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン(HFC‐1225ye)への高レベルの変換が観察された。
【0082】
本プロセスが高大気圧で行われる場合は、異なる基準が該当する。加圧下、HFC‐236eaからHFC‐1225yeへの変換率は、反応が添加HF流の不在下で行われると高いことが観察された。HFC‐236eaが脱フッ化水素されるときにHFが生じるため、反応から全HFを除去することは不可能であった。しかしながら、反応物ストリーム中HFレベルの減少はHFC‐236eaからHFC‐1225yeへの高変換をもたらし、このことは(少なくとも加圧下で)変換がHFにより阻害されていることを示唆している。更に意外なことに、HFレベルが減少するかまたは反応物ストリームから除去されると、触媒で観察されるファウリングのレベルは意外にも低かった。本発明のプロセスを高大気圧で行うことは様々なスケールアップおよび一般的プロセッシング理由から望ましく、例えば加圧下のランで所定容量の装置からの生産性向上をもたらす。
【実施例】
【0083】
本発明は下記例で実証されているが、それに限定されない。
例1:1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパンの脱フッ化水素
クロミア上6重量%Znから構成される非晶質触媒の2gサンプルを管状炉内に設置された15cm×1.25mm Inconnel反応チューブへ入れた。この触媒を250℃で1時間乾燥させ、次いで6:1のN2:HF比で1時間250℃でプレフッ素化してから、温度を380℃へ上げ、その時点で窒素希釈流を止めた。約18時間後、HFフィードを切り、リアクターを200℃に冷却した。
【0084】
次いで、15:1または5:1のHF:有機物比を用いて、180〜380℃(20℃間隔で変える)の反応温度および1baraの圧力において5秒の接触時間で、有機物フィード(1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパンを含む)およびHFを触媒に通した。各温度において、システムを約20分間にわたり平衡化させた後、GCまたはGC‐MSによる解析のために各温度でリアクター排ガスサンプルを採取した。反応生成物は、(5℃/minで約40〜200℃の)温度プログラミングでPlot Silicaカラムを用いて分割できた。利用可能な標準(主にフィードおよび生成物)を用いてGC法を較正し、同定されるが標準が利用できない諸成分と未知物質を定量するためにこれらの平均を用いた。
【0085】
2つの異なるHF:有機物比における温度スキャンの結果が表1および2と図1および2で示されている。
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
15:1のHF:有機物比を用いて得られたデータ(表1および図1)へ最初に注目すると、CF3CHClCH2Clのフィードレベルは温度が上昇するとかなり急速に降下し、変換は約280℃で完了したようである。フィードレベルが降下すると、CF3CCl=CH2として同定される種が増加し、このことはそれがHClの脱離で形成される主要な反応生成物であることを示している。次のステップはCF3CCl=CH2のフッ化水素化でCF3CFClCH3を生じると考えられる。HFC‐1234yfは、CF3CFClCH3から脱塩化水素で直接的に、あるいはCF3CF2CH3を生じるフッ素化に続き脱フッ化水素で間接的に形成された。
【0088】
この反応メカニズムはハロゲン化水素の付加および脱離の双方を要し、したがって結果はHF:有機物比で非常に影響されやすいようである。低比率の実験でもこれが本当であることを実証した。
【0089】
この反応メカニズムはハロゲン化水素の付加および脱離の双方を要し、したがって結果はHF:有機物比で非常に影響されやすいようである。低比率の実験でもこれが本当であることを実証した。
【0090】
5:1のHF:有機物比を用いて得られたデータ(表2および図2)に関して、フィードの完全変換とCF3CCl=CH2のピーク変換が260℃で観察され、HFC‐1234yfの最終収率はそれより高いHF:有機物比での実験と比較して低かった。理論に拘束されることなく、望ましい生成物を形成するために必要なCF3CCl=CH2の前進反応はより高いHF:有機物比のときに有利であるが、その初期形成はより低いHF:有機物比のときに有利であると考えられ、そのことは2段階反応ゾーンが好ましいことを示している。
【0091】
例2:1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパンの脱フッ化水素
クロミア上6重量%Znから構成される非晶質触媒の2gサンプルを管状炉内に設置された15cm×1.25mm Inconel反応チューブへ入れた。この触媒を250℃で1時間乾燥させ、次いで6:1のN2:HF比で1時間250℃でプレフッ素化してから、温度を380℃へ上げ、その時点で窒素希釈流を止めた。約18時間後、HFフィードを切り、リアクターを200℃に冷却した。
【0092】
次いで、15:1または5:1のHF:有機物比を用いて、180〜380℃(20℃間隔で変える)の反応温度および1baraの圧力において5秒の接触時間で、有機物フィード(1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパンを含む)およびHFを触媒に通した。各温度において、システムを約20分間にわたり平衡化させた後、例1で前記されているように、GCまたはGC‐MSによる解析のために各温度でリアクター排ガスサンプルを採取し、結果が表3および図3で示されている。これらの結果は、1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパンが約300℃において高選択性でHFC‐1234yfへ脱フッ化水素されたことを示している。
【表4】
【0093】
例3:HFで1,1,1,2,2,3‐ヘキサフルオロプロパン(HFC‐236cb)および1,1,1,2,3,3‐ヘキサフルオロプロパン(HFC‐236ea)の脱フッ化水素
クロミア上6重量%Znから構成される非晶質触媒の2gサンプルを管状炉内に設置された15cm×1.25mm Inconel反応チューブへ入れた。この触媒を250℃で1時間乾燥させ、次いで6:1のN2:HF比で1時間250℃でプレフッ素化してから、温度を380℃へ上げ、その時点で窒素希釈流を止めた。約18時間後、HFフィードを切り、リアクターを220〜240℃に冷却した。
【0094】
プレフッ素化後、HFC‐236eaまたはHFC‐236cbの脱フッ化水素を温度およびHF:236比の関数として研究した。フィードガス流速度は、約5秒の接触時間が触媒とフィード混合物と間で得られるように選択した。HF:236比を範囲0〜10で調べた。各温度において、システムを約20分間にわたり平衡化させた後、例1で前記されているように、GCまたはGC‐MSによる解析のために各温度でリアクター排ガスサンプルを採取し、結果が表4および5と図4および5で示されている。
【表5】
【0095】
【表6】
【0096】
結果は、HFC‐236eaおよびHFC‐236cbの双方が脱フッ化水素により3,3,3,2,1‐ペンタフルオロプロペン(HFC‐1225ye)を製造するために用いられるが、用いられた条件下でHFC‐236cbよりHFC‐236eaが脱フッ化水素を通常うけやすかったことを示している。HFC‐1225yeのZ異性体が主に形成されたが、有意量のE異性体も形成された。HFの存在は脱フッ化水素反応を強く抑制する。
【0097】
例4
次の例4〜6には、下記の一般的手順が該当した。
【0098】
リアクターチューブを2g触媒で充填し、これを窒素(65mL/min)下250℃で2時間乾燥させた。触媒を次いでHF(30mL/min)および窒素(65mL/min)下250℃で1時間プレフッ素化させた。温度を次いで460℃へ上げ、プレフッ素化をニートHF(30mL/min)下で一夜続けた。次いで望ましいリアクター条件へ達するようにフィード速度および温度を設定し、自動システムを用いて適切な頻度でリアクター排ガスをサンプリングした。窒素スパージを用いてHFを供給し、そのため不活性物でフィード混合物のわずかな希釈が不可避であった。
【0099】
触媒の再生が必要なときは、有機物フィードを切り、HF流を6mL/minに設定し、空気(3mL/min)および窒素(60mL/min)の混合物を380℃で一夜触媒に通した。
【0100】
本例自体では、リアクターを6%亜鉛/クロミア触媒で充填した。プレフッ素化後、リアクターを340℃に冷却し、HF(6mL/min)、HFC‐236ea(1mL/min)および窒素(5mL/min)からなる反応混合物をそれに通した。触媒性能をモニターするために、リアクター排ガス(ROG)サンプルを定期的に採取した。触媒性能が相当に低下したと思われたとき、触媒を上記のように再生し、実験を繰り返した。全3回のこのようなサイクルを行った。これら実験からのHFC‐1225ye Z収率データが図6でプロットされている。
【0101】
これらの実験は、使用時に生じた触媒の有機ファウリングが、観察された性能の損失に関与していることを示した。更に、本プロセスは酸化再生で完全に反転させることができた。
【0102】
例5
下記例は、触媒ファウリング率に及ぼすHF:有機物比の影響について検証している。
【0103】
6%亜鉛/クロミア触媒を含んでなる触媒でリアクターを充填した。プレフッ素化後の第一サイクルでは、ファウリング率を3:1のHF:HFC‐236ea比で調べた。標準再生後の第二サイクルでは、ファウリング率を6:1の比率で測定し、この過程における最終サイクルでは、それを1.5:1の比率で再測定した。これらの実験において、HFの分圧は0.5baraと一定であり、接触時間は4.4秒間と一定であった。この実験過程におけるZ‐HFC‐1225ye収率 vs 時間が図7でプロットされている。3:1〜6:1の比率のときファウリング率は類似しているようであったが、1.5:1では増加するようであった。
【0104】
例6
下記例は、ファウリング率およびHFC‐1225yeの収率に及ぼす触媒処方の影響について検証している。
【0105】
上記の方法論を用いて、0%Zn/クロミア、6%Zn/クロミアおよび10%Zn/クロミアの相対性能を調べた。反応温度、比率および接触時間はすべて実験の過程において各々340℃、6:1および4.4秒間と一定であった。結果が図8で要約されている。性能および安定性に及ぼすZn担持率の効果はかなり顕著であった。0%および6%Zn触媒の初期性能は類似していたが、10%触媒の性能は比較的乏しかった。ファウリング率に関して、0%Zn触媒が最も安定であることも明らかであった。
【0106】
例7
窒素および空気雰囲気下で示差走査熱量測定(DSC)技術を用いて、無亜鉛含有クロミア触媒のサンプルを解析した。結果が図9で示されている。
【0107】
結果は、不活性雰囲気中においてクロミアが約440℃で安定であったが、これが酸化雰囲気下で低下したことを示している。これから、無亜鉛含有クロミア触媒が使用時または少なくとも再生時に結晶化していたと結論付けられる。
【0108】
例8
例4に少し修正を加えて、例4で概説された一般的手順で概説されているようにリアクターチューブを調製し、表6に示された一連の異なる触媒で、温度のスキャンに際して、フィード速度をHF=6mL/min、HFC‐236ea=2mL/min、窒素=4mL/minに設定した。この例は大気圧で行った。
【表7】
【0109】
結果は、空のチューブを用いたときに得られる非常に乏しい収率に基づくと、HFC‐236eaからHFC‐1225yeへの変換が触媒変換であって、単なる熱分解ではないことを示している。
【0110】
260℃〜305℃の収率を比較してみると、無亜鉛含有クロミアが最高変換率を生じている。305℃超の温度のとき、試験された全触媒の変換率が全体的に類似していた。亜鉛担持率が増加するに従いファウリング抵抗が減少することもわかった。しかしながら、無亜鉛含有クロミアの見掛け上好ましい性能は、純粋クロミア触媒の結晶化傾向に対してスケール的にバランスがとられるべきである。
【0111】
例9
圧力を上げながら行われた次の例には、下記の一般的手順が該当した。
【0112】
別記されないかぎり、用いられた触媒は、リグに充填された6wt%亜鉛/クロミア触媒であった。触媒を窒素流(3bargで80mL/min)下で一夜乾燥させ、次いで数段階でプレフッ素化させた。段階1では温度を300℃に上げ、触媒を希HF(3bargで4mL/min+80mL/min窒素)と接触させた。この処理を一夜続け、次いで窒素流を切り、温度を300℃で更に4時間維持した。この後に温度を25℃/hrで380℃へ上げた。これらの条件を更に7時間維持した。次いでHFC‐236ea→HFC E/Z‐1225ye反応をある範囲の条件下で研究した。
【0113】
この例および例10では、加圧下で行われた本発明のプロセスによる変換率が、反応物流からHFを除く効果と一緒にみられる。
【0114】
プレフッ素化後、HFおよびHFC‐236eaフィード流を各々(STPで)約90および30mL/minに設定し、変換に及ぼす温度の影響を5bargおよび10bargで研究した。結果が表7で要約されている。
【表8】
【0115】
触媒を380℃でHF:空気(15:1)再生に付し、5barg操作時のデータポイントの一部を繰り返した;これらも表7で示されている。
【0116】
例10
例9に続いて実験を繰り返したが、同時供給HFはなかった。得られたHFC‐236ea変換率が表8で示されている。
【表9】
HFの不在下では触媒性能に顕著な増加があり、高変換率が観察される。
【0117】
HFが引き起こす有害作用を更に検証するために、フィードを不活性希釈窒素で希釈し、340℃で1回通過変換時に効果を測定した。結果が表9で示されている。
【表10】
【0118】
フィードが希釈されると、接触時間が減少しても変換率が上昇した。
【0119】
例11
この例は、HFC‐236eaからHFC1225yeへの変換がHFの不在下で加圧時に行われたときに生じるとわかっていた触媒ファウリングの予想レベルからの、低下を検証している。HFを窒素に換えたこと以外は例9の関係で前記されたように触媒を再生し、次いで“ニート”HFC‐236eaを約20mL/minの割合でそれに340℃および5bargで通した。触媒性能をモニターし、結果が表10で示されている。
【表11】
意外にも、触媒性能は120時間にわたり良好かつ安定であり、ファウリングを示さなかった。実験を10bargで繰り返した;結果が表11で示されている。
【表12】
高圧時、変換率はやや低く、再度HF阻害を反映していた。窒素がHFC‐236eaフィードへ加えられたとき、フィード希釈後の影響が44.25時間後にみられる。しかも実験全体にわたり、触媒ファウリングの徴候がほとんどなかった。
【0120】
例12
この例は、本プロセスの関係におけるリサイクル物質、例えば得られるHFC1225ye生成物のE/Z異性体ミックスまたはHFC1225yeの異性体リッチブレンド(異性体リッチとは、本プロセスの結果として通常製造されたものとは異なるEおよびZ異性体のブレンドを意味する。異性体リッチブレンドは、例えば、熱分解で通常形成されるものより高レベルのEまたはZ異性体を含有したEおよびZ異性体のブレンドを含んでなるか、あるいはそれは純粋E異性体または純粋Z異性体、好都合には純粋Z異性体を含有している)で、加圧下触媒変換時にフィード(例えばHFC‐236ea)を希釈する有益効果について検証している。
【0121】
本例では、HFC‐236eaフィードを30:70の比率でZ‐HFC1225yeで希釈した。再生したばかりの触媒に340℃および10bargで本ブレンドを通した。結果が表12で要約されている。
【表13】
【0122】
“1回通過当たり”HFC‐236ea変換率は窒素希釈の場合より低いことがわかった。リサイクルされるHFC1225yeは、どのような異性体ブレンドが望まれても、HFC‐236eaフィードを希釈するため利用でき、例えばZ‐HFC1225yeへのHFC‐236eaの優れた触媒変換率を呈する、と結論づけられた。
【0123】
例13:触媒再生を含めた、HFの不在下における6%Zn/クロミアでの気相異性化
非晶質6.0%Zn/クロミア触媒の2gサンプルを15cm×1.25cm Inconnelリアクターチューブへ入れた。触媒を(250℃で1時間)乾燥させ、プレフッ素化(6:1のN2:HFモル比で1時間250℃、380℃に温度上昇、窒素希釈流停止および一夜放置)させた。プレフッ素化後、リアクターを冷却した。次いで87.8%E‐HFC1225ye、9.1%Z‐HFC1225yeと少量のHFC‐227ea、HFC‐236ea、HFC‐236cbおよびヘキサフルオロプロペンの混合物である残部からなる混合物1mL/minおよび窒素5mL/minの混合物を130℃において5mL/minで触媒に通しながらZ異性体へのE異性体の変換率をモニターした。変換率が下がり始めた後、フィード流を止め、380℃で12〜16時間にわたり窒素(40mL/min)および空気(4mL/min)の混合物を用いて触媒を再生させた。再生の最後に、空気フィードを切り、触媒を130℃に冷却した。触媒が冷却したとき、異性化サイクルを繰り返した。この異性化/再生/異性化サイクルの結果が下記表13で掲載されている。
【表14】
【0124】
これらの実験は、触媒がHFの不在下で有意な期間にわたりその異性化活性を留め、異性化性能が4〜5hrの接触後に劣化し始め、空気/窒素再生が触媒をその原状に戻すことを実証した;したがって性能の損失はコーキング型反応のためであったと結論づけられる。
【0125】
例14:
この例は、触媒ファウリング率が圧力の関数としてHFC1225yeへのHFC‐236eaの変換中にどのように変わるかを検証している。
【0126】
6g(2.0〜3.5mm)の5.2%Zn/クロミア触媒をリアクターへ入れ、それを80mL/min窒素下3Bargで一夜250℃で乾燥させ、それを300℃で加熱し、それを3Bargで16時間にわたり4mL/min HFおよび80mL/min窒素で処理し、窒素流をゼロに下げてそれを300℃で更に4時間維持し、温度を25℃/hrの割合で380℃に上げてそれを380℃で更に3時間維持することによるプレフッ素化に付した。
【0127】
プレフッ素化の最後に、リアクター温度を340℃に設定し、圧力を15Bargに設定した。条件が安定化したとき、HFC‐236eaフィードを開始した。目標フィード速度はSTPで13〜14mL/minであった。触媒性能をモニターするために、リアクター排ガスを手順通りにサンプリングした。触媒の性能が初期性能のほぼ半分になったとき、サイクルを終了させた。触媒を380℃において空気(4mL/min)および窒素(40mL/min)の混合物で再生させた。3回のこのような実験サイクルを15、5および2.3Barg(3.3Bara)で完了させた。
【0128】
各サイクル時に供給されたと見積もられる236eaの実際の質量は以下であった:
15Bargでサイクル1中に供給された236ea=1860g
5Bargでサイクル1中に供給された236ea=1637g
2.3Bargでサイクル1中に供給された236ea=1540g
【0129】
結果
異なる圧力における各サイクルの結果が表14〜16で要約され、図10〜11で示されている。
【0130】
圧力が下がると、表記変換率は増加し、このことは反応速度に及ぼすHF分圧の阻害効果を反映している。圧力低下に際するこの変換率増加は、圧力が下がると生じる接触時間の減少を考慮すると、なお一層顕著であった。
【0131】
15および5Bargのとき、性能損失、ひいてはファウリングの率は同様のようであった。更に、試験が進行するに従い、ファウリングの率は加速するようであった。試験された最低圧力2.3Barg(3.3Bara)のとき、ファウリングの率はわずかに減少するようであった。低圧のとき、変換率は高く、したがってファウリング率にいかなる有害作用も及ぼすことなく見掛け上多くの不飽和物に触媒が曝された。
【0132】
図11は、3つの異なる作用圧力下で、各サイクル時におけるEおよびZ 1225yeへの選択率を示している。15Bargのとき、選択率はサイクル中に上昇、安定化、次いで下落するようであった。5Bargのとき、類似の挙動パターンが観察されたが、初期の上昇と最後の下落は双方ともさほど顕著でなかった。2.3Bargのとき、選択率はサイクル中ずっと非常に安定であり、見掛け上下落はなかった。
【0133】
結果は、触媒ファウリングが強い圧力依存性ではなかったが、選択性が低い作用圧力で維持されたことを示唆している。
【0134】
【表15】
【0135】
【表16】
【0136】
【表17】
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(ヒドロ)フルオロアルケン類を製造するためのプロセス、特にヒドロ(ハロ)フルオロアルカンの脱ハロゲン化水素によりC3‐6(ヒドロ)フルオロアルケン類を製造するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
(ヒドロ)フルオロアルケン類を製造するための既知のプロセスは、典型的には、低収率、および/または毒性および/または高価試薬の取扱い、および/または極端条件の使用、および/または毒性副産物の生成のような欠点を有している。これは2,3,3,3‐テトラフルオロプロペンのようなC3‐6(ヒドロ)フルオロアルケン類を製造するための既知方法を考察することで例示される。2,3,3,3‐テトラフルオロプロペンの製造のための方法は、例えばJournal Fluorine Chemistry(82),1997,171-174で記載されていた。この論文において、2,3,3,3‐テトラフルオロプロペンは四フッ化イオウとトリフルオロアセチルアセトンとの反応により製造されている。しかしながら、この方法は試薬の取扱いに伴う危険性とそれらの費用のために学問的興味にすぎない。2,3,3,3‐テトラフルオロプロペンの製造のための他の方法が米国特許第2931840号に記載されている。この場合に、テトラフルオロエチレンとのまたはそれなしのC1クロロフルオロカーボン類の熱分解で、2,3,3,3‐テトラフルオロプロペンを生じると称されていた。しかしながら、記載された収率は非常に低く、しかも極端条件下で危険な化学物質を取扱う必要があった。このようなプロセスは様々な非常に毒性の強い副産物を生じることも予想される。既知方法の欠点に取り組むことに加えて、易利用性原料のみを用いる(ヒドロ)フルオロアルケン類の製造のための新方法を提供することが望まれるであろう。
【0003】
場合により酸素の存在下で、ガス状の1,1,1,2,3,3‐ヘキサフルオロプロパンを三価クロム酸化物または部分的フッ素化三価クロム酸化物と接触させて脱フッ化水素することにより1,1,1,2,3‐ペンタフルオロプロペンが製造されることも、米国特許第5,679,875号(Daikin)から知られている。
【0004】
この明細書における既公開文書の掲載または考察は、該文書が業界水準の一部であるかまたは共通一般知識であることの承認として必ずしもうけとるべきでない。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、亜鉛/クロミア触媒の存在下でC3‐6ヒドロ(ハロ)フルオロアルカンを脱ハロゲン化水素することを含んでなるC3‐6(ヒドロ)フルオロアルケンを製造するためのプロセスを提供することにより、(ヒドロ)フルオロアルケン類を製造するための既知ルートの前記欠陥に取り組んだものである。
【0006】
典型的には、本プロセスはヒドロ(ハロ)フルオロアルカンを気または液相でフッ化水素(HF)とまたはそれなしで接触させることを含んでなり、−70〜400℃の温度で行われる。ある好ましい態様において、本プロセスはHFの同時供給なしで行われる。本プロセスは低または高大気圧、好ましくは約0〜約30baraで行われる。
【0007】
好ましくは、ヒドロ(ハロ)フルオロアルカンは気相中200〜360℃、更に好ましくは240〜320℃の温度でHFとまたはそれなしで接触される。好ましくは、本プロセスは5〜20barの圧力で行われる。もちろん、本発明のプロセスを行うために好ましい条件(例えば、温度、圧力および触媒)は(ヒドロ)フルオロアルケンへ変換されるヒドロ(ハロ)フルオロアルカンの性質に応じて変わる、と当業者であれば理解するであろう。ある好ましい態様において、例えば触媒が触媒の1%〜10重量%の亜鉛を含有している場合、本プロセスは0〜5bara、好都合には1〜5baraの圧力で効果的に行われる。
【0008】
本発明のプロセスはいずれか適切な装置、例えばスタティックミキサー、攪拌タンクリアクターまたは攪拌気液分離容器で行われる。本プロセスはバッチ式でもまたは連続的でも行える。バッチ式プロセスまたは連続プロセスはいずれも“ワンポット”式で、または2以上の別々な反応ゾーンおよび/または反応容器を用いて行われる。
【0009】
脱フッ化水素はHFの不在下で行えるが、有機フィードの過剰分解および/または触媒のコーキングを防止するおよび/または遅延させるために少量のHFを用いることがある態様では望ましい。典型的には、本発明のプロセスにおけるHF:有機物比は、HFが利用される場合、約0.01:1〜約50:1、好ましくは約0.1:1〜約40:1、更に好ましくは約0.5:1〜約30:1、例えば約1:1〜約20:1、例えば約2:1〜約15:1(例えば約5:1〜約10:1)の範囲である。多段階プロセスにおいて、好ましい条件および比率はステップ毎に変わり、適切な比率を選ぶことができる、と当業者であれば理解するであろう。
【0010】
本発明の好ましい面は、少なくとも触媒の性質および本プロセスが行われる圧力に応じて変わることがわかった。
【0011】
用語“亜鉛/クロミア触媒”について、我々はクロムまたはクロムの化合物と亜鉛または亜鉛の化合物を含んでなる触媒を意味する。このような触媒は当業界で知られている;例えばEP‐A‐0502605、EP‐A‐0773061、EP‐A‐0957074およびWO98/10862参照。しかしながら、C3‐6ヒドロ(ハロ)フルオロアルカン類の脱ハロゲン化水素を促進してC3‐6(ヒドロ)フルオロアルケン類を製造するために亜鉛/クロミア触媒が用いうることを、本発明者らは意外にも発見したのである。
【0012】
典型的には、本発明の触媒に存在するクロムまたはクロムの化合物はクロムの酸化物、オキシフッ化物またはフッ化物、例えば酸化クロムである。
【0013】
本発明の触媒に存在する亜鉛または亜鉛の化合物の総量は典型的には約0.01%〜約25%、好ましくは0.1%〜約25%、好都合には0.01%〜6%亜鉛、一部の態様では好ましくは触媒の0.5重量%〜約25重量%、好ましくは触媒の約1〜10重量%、更に好ましくは触媒の約2〜8重量%、例えば触媒の約4〜6重量%である。
【0014】
他の態様において、触媒は好都合には0.01%〜1%、更に好ましくは0.05%〜0.5%亜鉛を含んでなる。
【0015】
好ましい量は、クロムまたはクロムの化合物、および/または亜鉛または亜鉛の化合物、および/または触媒が作られる手法、および/または触媒の使用条件、例えば温度および圧力のような、幾つかのファクターに依存する。これらのファクターは以下で更に詳細に記載されている。
【0016】
ここで例示される亜鉛または亜鉛の化合物の量は、元素亜鉛としてまたは亜鉛の化合物として存在するかにかかわらず、元素亜鉛の量に関すると理解されている。
【0017】
本発明で用いられる触媒は追加金属またはその化合物を含有してもよい。典型的には、追加金属は、好ましくはニッケル、マグネシウム、アルミニウムおよびそれらの混合物から選択される、二価または三価金属である。典型的には、追加金属は触媒の0.01重量%〜約25重量%、好ましくは触媒の約0.01〜10重量%の量で存在する。他の態様では少なくとも約0.5重量%または少なくとも約1重量%の追加金属を含んでなる。
【0018】
本発明で用いられる亜鉛/クロミア触媒は非晶質でもよい。これについて我々は、例えばX線回折で解析されたときに、触媒が実質的な結晶特性を呈しないことを意味する。
【0019】
一方、触媒は部分的に結晶でもよい。これについて我々は、触媒の0.1〜50重量%がクロムの1種以上の結晶化合物および/または亜鉛の1種以上の結晶化合物の形であることを意味する。部分的結晶触媒が用いられるならば、それは好ましくは触媒の0.2〜25重量%、更に好ましくは0.3〜10重量%、更に一層好ましくは0.4〜5重量%をクロムの1種以上の結晶化合物および/または亜鉛の1種以上の結晶化合物の形で含有している。
【0020】
脱ハロゲン化水素反応で使用時に、結晶化度は変化してもよい。そのため、本発明の触媒は脱ハロゲン化水素反応で使用前に上記のような結晶化度を有し、脱ハロゲン化水素反応で使用中または後にこれら範囲外の結晶化度を有することが可能である。
【0021】
本発明の触媒中結晶物質の割合は、当業界で知られているいずれか適切な方法で調べられる。適切な方法としてはX線回折(XRD)技術がある。X線回折が用いられる場合、結晶物質の量、例えば結晶酸化クロムの量は、触媒に存在するグラファイト(例えば、触媒ペレットを製造する際に用いられるグラファイト)の既知量との関係から、または更に好ましくは適切な国際承認標準から製造されたリファレンス物質、例えばNIST(国立標準技術研究所)リファレンス物質とのサンプル物質のXRDパターンの強度の比較により調べられる。
【0022】
本発明の触媒は、それがフッ化水素またはフッ素化炭化水素のようなフッ化物含有種との前処理へ付される前に、典型的には少なくとも50m2/g、好ましくは70〜250m2/g、最も好ましくは100〜200m2/gの表面積を有する。以下で更に詳細に記載されるこの前処理に際して、触媒中酸素原子の少なくとも一部はフッ素原子で置き換えられる。
【0023】
本発明の触媒は、典型的には活性および選択性のレベルで有利なバランスを有している。好ましくは、それらが比較的長い作用寿命を有することを意味する化学的頑健度もそれらは有している。本発明の触媒は好ましくは比較的容易な取扱いを可能にする機械的強度も有し、例えばそれらは既知技術を用いてリアクターへ投入されるかまたはリアクターから排出される。
【0024】
本発明の触媒は、当業界で知られているいずれか適切な形で用意される。例えば、それらは固定層または流動層で使用に適したサイズのペレットまたは顆粒の形で用意される。該触媒は担持させても、または非担持でもよい。触媒が担持される場合、適切な担体としてはAlF3、フッ素化アルミナまたは活性炭がある。
【0025】
本発明の触媒として、高いルイスおよび/またはブレンステッド酸度および/または塩基度を有するものを含めて、このような触媒の促進形もある。
【0026】
本発明で用いられる非晶質触媒は、非晶質クロミアベース触媒を製造するために当業界で知られたいずれかの方法により得られる。適切な方法としては、水酸化アルミニウムの添加による硝酸亜鉛およびクロムの溶液からの共沈がある。一方、非晶質クロミア触媒への亜鉛またはその化合物の表面含浸も用いられる。
【0027】
非晶質亜鉛/クロミア触媒を製造するための別な方法では、例えばクロム(VI)化合物、例えばクロム酸塩、重クロム酸塩、特に重クロム酸アンモニウムを亜鉛金属によりクロム(III)へ還元し、次いで共沈および洗浄する;あるいは固体物としてクロム(VI)化合物および亜鉛の化合物、例えば酢酸亜鉛またはシュウ酸亜鉛を混合し、クロム(VI)化合物を酸化クロム(III)へ還元して亜鉛の化合物を酸化亜鉛へ酸化するために該混合物を高温に加熱する。
【0028】
亜鉛は、用いられる触媒製造技術に少なくともある程度応じて、化合物、例えばハロゲン化物、オキシハロゲン化物、酸化物または水酸化物の形で非晶質クロミア触媒中および/または上へ導入される。非晶質触媒製造がクロミア、ハロゲン化クロミアまたはオキシハロゲン化クロムの含浸による場合、該化合物は好ましくは水溶性塩、例えばハロゲン化物、硝酸塩または炭酸塩であり、水溶液またはスラリーとして用いられる。一方、亜鉛およびクロムの水酸化物が(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化アンモニウムのような塩基の使用により)共沈され、次いで非晶質触媒を製造するために酸化物へ変換される。不溶性亜鉛化合物と塩基性クロミア触媒との混合および粉砕は、非晶質触媒前駆体を製造する別な方法を提供する。オキシハロゲン化クロムベースの非晶質触媒を製造するための方法では、亜鉛の化合物を水和ハロゲン化クロムへ加える。
【0029】
非晶質触媒前駆体へ導入される亜鉛または亜鉛の化合物の量は、用いられる製造法に依存する。作用触媒は、クロム含有格子、例えば酸化、オキシハロゲン化またはハロゲン化クロム格子に亜鉛のカチオンを位置させた表面を有していると考えられる。そのため、要される亜鉛または亜鉛の化合物の量は、非表面位置にも亜鉛または亜鉛の化合物を含有する共沈のような他の方法で作られた触媒の場合より、含浸で作られた触媒の方が通常少ない。
【0030】
いずれの前記方法または他の方法も、本発明のプロセスで用いられる非晶質触媒の製造に用いられる。
【0031】
ここで記載されている触媒は、典型的には、それらが使用時に曝される環境条件下でそれらが安定であるように、使用前に熱処理で安定化される。この安定化は多くが2段階プロセスである。第一段階において、触媒は窒素または窒素/空気環境中で熱処理により安定化される。当業界において、この段階は通常“か焼”と称されている。フッ素化触媒は次いで、典型的には、フッ化水素中で熱処理によりフッ化水素に対して安定化される。この段階は通常“プレフッ素化”と称されている。
【0032】
これら2回の熱処理段階が行われる条件の慎重なコントロールにより、制御された程度に結晶化が触媒中へ誘導されうることを、本発明者らは発見した。
【0033】
例えば、非晶質触媒は適切な雰囲気中約300〜約600℃、好ましくは約400〜600℃、更に好ましくは500〜590℃、例えば520、540、560または580℃の温度で約1〜約12時間、好ましくは約2〜約8時間、例えば約4時間にわたり熱処理される。この熱処理が行われる適切な雰囲気としては、窒素の雰囲気、または窒素中で約0.1〜約10%v/vの酸素レベルを有する雰囲気がある。他の酸化環境も代わりに用いられる。例えば、適切な酸化剤を含有する環境としては、硝酸源、CrO3またはO2(例えば空気)を含有するものがあるが、それらに限定されない。非晶質触媒を製造するために先行技術で典型的に用いられているか焼段階に加えてまたはその代わりに、この熱処理段階が行える。
【0034】
プレフッ素化段階の条件は、それらが触媒中へ実質的に結晶化を導入しないように選択される。これは、フッ化水素の存在下、場合により窒素のような他のガスの存在下、大気圧または高大気圧で約1〜約16時間にわたり、約200〜約500℃、好ましくは約250〜約400℃の温度で触媒前駆体の熱処理により達成される。
【0035】
プレフッ素化段階の条件は、それらが触媒の結晶化に変化を誘導するか、またはそれらがこのような変化を誘導しないように選択してもよい。フッ化水素の存在下、場合により空気のような他のガスの存在下、大気圧または高大気圧で約1〜約16時間にわたる約250〜約500℃、好ましくは約300〜約400℃の温度で触媒前駆体の熱処理により、クロムの1種以上の結晶化合物および/または少なくとも1種の追加金属の1種以上の結晶化合物の形で結晶化度が前記のような、例えば触媒の0.1〜8.0重量%(典型的には、触媒の0.1から8.0重量%未満)である触媒を製造しうることを、本発明者らは発見した。
【0036】
前記の条件を変えることにより、例えば熱処理が行われる温度および/または時間および/または雰囲気を変えることにより触媒の結晶化度が変えられる、と当業者であれば理解するであろう。典型的には、例えば、更に高い結晶化度(例えば、触媒の8〜50重量%)の触媒は、温度を上げるおよび/またはか焼時間を延ばすおよび/または触媒前処理が行われる雰囲気の酸化性を増すことにより製造される。
【0037】
か焼温度、時間および雰囲気の関数として触媒結晶化のバリエーションが、6%Zn/クロミア触媒の8gサンプルがある範囲の条件でか焼へ付された一連の実験を示す下記表により例示されており、誘導された結晶化のレベルはX線回折により調べられる。
【表1】
【0038】
プレフッ素化処理は、典型的には、触媒の表面積を低下させる効果を有する。プレフッ素化処理後、本発明の触媒は典型的には20〜200m2/g、例えば50〜150m2/g、例えば約100m2/g未満の表面積を有している。
【0039】
使用時、触媒は空気中約300℃〜約500℃の温度で加熱することにより定期的に再生または再活性化してもよい。空気は窒素のような不活性ガスまたはフッ化水素との混合物としても用いられ、後者は触媒処理プロセスから熱時出現して、再活性化触媒を用いるフッ素化プロセスで直接用いうる。
【0040】
別記されていなければ、ここで用いられているような(ヒドロ)フルオロアルケンは、少なくとも1つの水素原子がフッ素で置き換えられたアルケンである。
【0041】
別記されていなければ、ここで用いられているようなヒドロ(ハロ)フルオロアルカンは、少なくとも1つの、但し全部ではない水素原子がフッ素で置き換えられ、場合により少なくとも1つの水素原子が塩素、臭素およびヨウ素から選択されるハロゲンで置き換えられたアルカンである。そのため、ヒドロ(ハロ)フルオロアルカン類は、少なくとも1つの水素、少なくとも1つのフッ素と、場合により塩素、臭素およびヨウ素から選択される少なくとも1つのハロゲンを含有している。換言すると、ヒドロ(ハロ)フルオロアルカンの定義にはヒドロフルオロアルカン、即ち少なくとも1つの、但し全部ではない水素原子がフッ素で置き換えられたアルカンを含む。
【0042】
別記されていなければ、ここで用いられているような、(C3‐6)(ヒドロ)フルオロアルケン、ヒドロフルオロアルカンまたはヒドロ(ハロ)フルオロアルカンへの言及は、3〜6の炭素原子を有する(ヒドロ)フルオロアルケン、ヒドロフルオロアルカンまたはヒドロ(ハロ)フルオロアルカン、即ちヒドロ(ハロ)フルオロ‐プロパン、ブタン、ペンタンまたはヘキサンあるいは(ヒドロ)フルオロ‐プロペン、ブテン、ペンテンまたはヘキセンに関する。
【0043】
本発明のプロセスにより製造される(ヒドロ)フルオロアルケン類は二重結合を含有し、そのため各個別二重結合でE(entgegen)およびZ(zusammen)幾何異性体として存在する。すべてのこのような異性体およびその混合物が本発明の範囲内に含まれる。
【0044】
別記されていなければ、ここで用いられているような用語“脱ハロゲン化水素”(または脱ハロゲン化水素する)について、我々は、例えばヒドロ(ハロ)フルオロアルカンから、ハロゲン化水素(例えば、HF、HCl、HBrまたはHI)の除去に関する。このように、用語“脱ハロゲン化水素”には、ヒドロ(ハロ)フルオロアルカンの“脱フッ化水素”、“脱塩化水素”、“脱臭化水素”および“脱ヨウ化水素”を含む。
【0045】
本発明は式CX3(CX2)nCX=CX2またはCX3CX=CX(CX2)nCX3の化合物を製造するためのプロセスを提供し、ここで各Xは独立してHまたはFであるが、但し少なくとも1つのXはFであり、nは0、1、2または3であり、該プロセスは亜鉛/クロミア触媒の存在下で式CX3(CX2)nCXYCHX2、CX3(CX2)nCXHCYX2、CX3CXHCXY(CX2)nCX3またはCX3CXYCXH(CX2)nCX3の化合物を脱ハロゲン化水素することを含んでなり、ここで各Xは独立してHまたはFであるが、但し少なくとも1つのXはFであり、nは0、1、2または3であり、YはF、Cl、BrまたはIである。
【0046】
一部の態様において、本発明のプロセスに好ましいフィードは混合フルオロ‐クロロヘキサハロプロパンまたはヘキサフルオロプロパンである。
【0047】
好ましくは、式CX3(CX2)nCX=CX2の化合物はCF3(CX2)nCF=CX2である。この化合物は式CF3(CX2)nCFYCHX2またはCF3(CX2)nCFHCYX2の化合物を脱ハロゲン化水素することにより製造される。
【0048】
更に好ましくは、式CX3CX=CX(CX2)nCX3の化合物はCF3CF=CH(CX2)nCX3である。この化合物は式CF3CFHCHY(CX2)nCX3またはCX3CFYCH2(CX2)nCX3の化合物を脱ハロゲン化水素することにより製造される。
【0049】
好ましくは、n=0である。本プロセスは2,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(CF3CF=CH2,HFC‐1234yf)または1,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン(CF3CF=CHF,HFC‐1225ye)を製造するために特に適している。特に好ましい態様において、本発明はHFC‐236eaまたはHFC‐236cb、特にHFC‐236eaからHFC‐1225yeを製造するために用いられる。
【0050】
CF3CF=CH2および1,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(CF3CH=CHF)が本発明のプロセスで一緒に製造されうる。一方、CF3CF=CH2および1,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン(CF3CF=CHF)も本発明のプロセスにより一緒に製造される。
【0051】
CF3CF=CH2は式CF3CFYCH3またはCF3CFHCYH2の化合物を脱ハロゲン化水素することにより製造される。
【0052】
本発明のプロセスはC3‐6ヒドロ(ハロ)フルオロアルカンを脱ハロゲン化水素(例えば脱フッ化水素または脱塩化水素)することによりC3‐6(ヒドロ)フルオロアルケンを製造するために適している。場合により、C3‐6ヒドロ(ハロ)フルオロアルカンが最初にC3‐6ヒドロフルオロアルカンへフッ素化され、次いでこれがC3‐6(ヒドロ)フルオロアルケンへ脱フッ化水素される。
【0053】
好ましくは、C3‐6(ヒドロ)フルオロアルケンは、ヒドロ(ハロ)フルオロプロパンの脱ハロゲン化水素により製造される(ヒドロ)フルオロプロペンである。例としておよび簡素化のために、別記されていなければ、明細書の残部では(ヒドロ)フルオロプロペン類の製造に関して本発明のプロセスを記載する。このような考察は(ヒドロ)フルオロ‐ブテン類、ペンテン類およびヘキセン類の製造にも等しく適用しうる、と当業者であれば理解するであろう。
【0054】
本発明のプロセスにより製造される(ヒドロ)フルオロプロペン類は0、1、2、3、4または5の水素原子と1、2、3、4、5または6のフッ素原子を含有しうる。好ましい(ヒドロ)フルオロプロペン類は3〜5のフッ素原子(およびひいては1〜3の水素原子)、特に4または5のフッ素原子(およびひいては1または2の水素原子)を有するものである。換言すると、好ましい(ヒドロ)フルオロプロペン類はテトラフルオロプロペン類およびペンタフルオロプロペン類である。
【0055】
適切なテトラフルオロプロペン類の例としては、2,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(H2C=CFCF3)、1,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(HFC=CHCF3)、1,2,3,3‐テトラフルオロプロペン(HFC=CFCF2H)、1,1,3,3‐テトラフルオロプロペン(F2C=CHCF2H)および1,1,2,3‐テトラフルオロプロペン(F2C=CFCH2F)がある。1,3,3,3‐テトラフルオロプロペンおよび2,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(H2C=CFCF3)が好ましいテトラフルオロプロペン類であり、2,3,3,3‐テトラフルオロプロペンが特に好ましい。別記されていなければ、この2,3,3,3‐テトラフルオロプロペンは以下でHFC‐1234yfと称され、1,3,3,3‐テトラフルオロプロペンはHFC‐1234zeと称される。
【0056】
適切なペンタフルオロプロペン類の例としては、1,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン(HFC=CFCF3)、1,1,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン(F2C=CHCF3)および1,1,2,3,3‐ペンタフルオロプロペン(F2C=CFCF2H)がある。これらの中では、1,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン(HFC=CFCF3)が好ましい。
【0057】
本発明のプロセスで作られる(ヒドロ)フルオロプロペン類は、多数のヒドロ(ハロ)フルオロプロパン類のうち1種以上から出発して製造される。しかも、例としておよび簡素化のために、別記されていなければ、明細書の残部はHFC‐1234yfの製造に関して記載される。
【0058】
HFC‐1234yfは、1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパン(CH3CF2CF3)または1,1,1,2,3‐ペンタフルオロプロパン(CH2FCHFCF3)の脱フッ化水素を含んでなるプロセスにより製造される。1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパンは、例えば、1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンおよび1,1,2,2‐テトラフルオロ‐1‐クロロプロパンのようなテトラフルオロクロロプロパン類、1,1,1‐トリフルオロ‐2,2‐ジクロロプロパン、1,1,2‐トリフルオロ‐1,2‐ジクロロプロパンおよび1,2,2‐トリフルオロ‐1,1‐ジクロロプロパンのようなトリフルオロジクロロプロパン類、2,2‐ジフルオロ‐1,1,1‐トリクロロプロパン、1,2‐ジフルオロ‐1,1,2‐トリクロロプロパンおよび1,1‐ジフルオロ‐1,2,2‐トリクロロプロパンのようなジフルオロトリクロロプロパン類と、1‐フルオロ‐1,1,2,2‐テトラクロロプロパンおよび2‐フルオロ‐1,1,1,2‐テトラクロロプロパンのようなフルオロテトラクロロプロパン類を含めた多数のヒドロクロロフルオロプロパン類のうち1種以上をフッ素化することにより製造される。1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパン(およびひいては最終的にHFC‐1234yf)は1,1,1,2,2‐ペンタクロロプロパンから出発しても製造される。1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパンへ至る上記ヒドロハロ(フルオロ)プロパン前駆体のいずれにおいても、塩素置換基の1以上が臭素またはヨウ素で置き換えられる。
【0059】
HFC‐1234yfを製造するために好ましいヒドロ(ハロ)フルオロプロパン類としては、1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンおよび1,1,1‐トリフルオロ‐2,2‐ジクロロプロパンがある。1,1,1‐トリフルオロ‐2,2‐ジクロロプロパンがフッ素化されて1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンおよび/または1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパンを与えることは、当業者に理解されるであろう。1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンもフッ素化されて1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパンを生じ、これが次いで脱フッ化水素されてHFC‐1234yfを与える。
【0060】
一方、1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンが脱塩化水素されるとHFC‐1234yfを与える。
【0061】
本発明の好ましい面において、本発明の(ヒドロ)フルオロアルケンである程度の異性化を行うために本発明のプロセスが利用しうる、とわかるかもしれない。更に詳しくは、特に(ヒドロ)フルオロアルケンがR‐1225yeである場合、本発明の触媒と接触して得られる(ヒドロ)フルオロアルケンの効果はE対Z異性体の比率を変えて、それにより異性化を起こすことである。
【0062】
R‐1225yeの具体的関係において、効果はZ異性体対E異性体の比率を増すことである。
【0063】
本発明の別な面では、C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを触媒と接触させることによりC3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを異性化するためのプロセスが提供される。C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを異性化するための触媒の使用も提供される。
【0064】
別な面において、C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを異性化するためのプロセスが提供され、該プロセスは(i)E‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンをC3‐6Z‐(ヒドロハロ)フルオロアルケンへ変換する触媒とE‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを接触させることを含んでなる。好都合には、C3‐6Z‐(ヒドロハロ)フルオロアルケンが回収され、例えば後の操作に用いられる。
【0065】
別な面において、本発明はC3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを異性化するための触媒の使用を提供し、該使用は(i)E‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンをZ‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンへ変換する触媒とE‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを接触させることを含んでなる。好都合には、Z‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンが回収され、例えば後の操作に用いられる。
【0066】
この関係で“異性化”とは、好ましくは、以前の場合における比率からEおよびZ異性体の比率を変えること(例えば、Z異性体のレベルを増すこと)、あるいは特に異性化がその場で、例えば(ヒドロハロ)フルオロアルケンの製造ステップの一部として行われる状況にあれば、触媒が利用されなかった場合と比較してEおよびZ異性体の比率を変えること(例えば、Z異性体のレベルを増すこと)を意味する。
【0067】
別な面において、本発明は本発明のプロセスに従い製造される異性体ブレンドも提供する。本発明は、本発明のプロセスに従い製造される異性体ブレンドを含んでなる冷媒と、このような異性体ブレンドを利用するエアコンディショニングシステムを有した自動車も提供する。
【0068】
好都合には本発明の面において、(ヒドロハロ)フルオロアルケンを製造する反応で動的に決められる異性体の混合物であるものからE/Z異性体比を変えることにより、本発明が機能する。
【0069】
本発明の別な面では、触媒を用いるステップを含んでなる、高レベルのZ異性体、好都合にはC3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンが形成されたときに存在するレベルまたは(ヒドロハロ)フルオロアルケンのZ異性体の動的既定レベルより高いレベルのZ異性体を含んでなるC3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケン組成物を作るためのプロセスが提供される。好都合には、本発明のこの面はこのような組成物でZ異性体のレベルを高めるクリーンアップステップを含んでなる。
【0070】
ブレンド中Z異性体のレベルを増すことが好ましいユーティリティでは、ブレンド中に存在するE異性体をZ異性体へ異性化することでZ異性体のレベルを増すために、本発明の方法を用いることが可能である。E異性体がZ異性体へ変換される程度の限界は、熱力学的考慮により決められる。
【0071】
1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンおよび1,1,1‐トリフルオロ‐2,2‐ジクロロプロパンからHFC‐1234yfを製造するために上記された反応経路が以下で示されている。
【化1】
【0072】
別な態様において、HFC‐1234yfは1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパンから出発して製造され、後者は1,1,1‐トリフルオロメチルプロペンを塩素化することで容易に製造される。以下で示されるように、1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパンからHFC‐1234yfへ至る2つの主要ルートがある、と考えられる。
【化2】
【0073】
ルートBは1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパンのフッ素化(例えば、場合によりクロミア含有触媒の存在下で、HFを用いる)経由で進行して1,1,1,2,3‐ペンタフルオロプロパンを与え、次いでこれが脱フッ化水素されてHFC‐1234yfを与える。しかしながら、ルートAがルートBより好ましいと考えられる。
【0074】
ルートAは1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパンの脱塩化水素により進行して3,3,3‐トリフルオロ‐2‐クロロプロペンを与え、次いでこれがフッ化水素化されて1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンを与える。これら2つのステップは触媒の存在下で1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパンをHFと接触させることによりワンポットで行われる。しかしながら、2段階反応ゾーンが好ましいと考えられ、第一ゾーンでは脱塩化水素を促進するために比較的低いHF:有機物比(例えば、約1:1〜約5:1)を用い、第二ゾーンではフッ化水素化を促進するために比較的高いHF:有機物比(例えば、約5:1〜約30:1)を用いる。上記のように、1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンはフッ素化されて1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパンを生じ(例えば、場合によりクロミア含有触媒の存在下で、HFを用いる)、次いでこれが脱フッ化水素されてHFC‐1234yfを与える。一方、1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンは直接脱塩化水素してもHFC‐1234yfを与える。
【0075】
1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパンは市販されているが、安価原料の四塩化炭素(CCl4)およびエチレンから出発する合成ルートを経て製造してもよい。これら2種の出発物質はテロマー化されて1,1,1,3‐テトラクロロプロパンを生じ、次いでこれがフッ素化されて1,1,1,3‐テトラフルオロプロパンを生じる(例えば、場合によりクロミア含有触媒の存在下で、HFを用いる)。次いで1,1,1,3‐テトラフルオロプロパンの脱フッ化水素(例えば、NaOHを用いる)で3,3,3‐トリフルオロプロペンを生じ、次いでこれが(例えば塩素で)容易に塩素化されて1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパンを生じる。この反応スキームが以下で要約されている。
【化3】
【0076】
上記のように、1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパンは1,1,1,2,2‐ペンタクロロプロパンから出発して製造してもよい。このルート(下記参照)では、1,1,1,2,2‐ペンタクロロプロパンがフッ素化(例えば、場合によりクロミア含有触媒の存在下で、HFを用いる)されて1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンを生じ、次いでこれもフッ素化されて1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパンを生じ、次いで脱フッ化水素されてHFC‐1234yfを与える。一方、1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパンは直接脱塩化水素してもHFC‐1234yfを与える。
【化4】
【0077】
1,1,1,2,2‐ペンタクロロプロパンは、アセトンから出発してHFC‐1234yfへ至るルートで便利な中間体である。このような合成ルートにおいて、アセトンは塩素化(例えば、クロミア触媒で塩素を用いる)されて1,1,1‐トリクロロアセトンを生じ、次いでこれが更に塩素化されて(例えばPCl5を用いる‐Advanced Organic Chemistry(Ed.M.B.Smith and J.March),Fifth Edition,page 1195参照)、下記のように1,1,1,2,2‐ペンタクロロプロパンを生じる。
【化5】
【0078】
本発明の広い範囲内において、脱フッ化水素の好ましい条件は、触媒の正確な性質および反応が行われる圧力を含めたいくつかの要因に依存することがわかった。
【0079】
例えば、触媒のファウリング率は触媒処方の関数であることがわかった。一般的に、触媒へ配合される亜鉛のレベルが低いほど、触媒はファウリングに抵抗性であった;無亜鉛含有クロミア触媒は、少量亜鉛含有クロミア触媒よりファウリングに抵抗性であった。更に、本プロセスが大気圧で行われた場合、クロミア触媒は亜鉛/クロミア触媒よりファウリングに通常抵抗性であった。
【0080】
しかしながら、無亜鉛含有クロミア触媒は商業的製造条件下で結晶化により感受的であった。小規模の場合、本例で用いられたタイプのクロミア触媒は不活性雰囲気中440℃付近の温度に対して安定であることがわかったが、この温度は酸化雰囲気でより低かった。無亜鉛含有クロミアは作用温度でまたは少なくとも触媒再生時に結晶化しやすいとみなされた。結晶化は高度に発熱性であり、工業規模製造では非常に問題である。
【0081】
加えて、反応が約300℃以上で行われた場合、1,1,1,2,3,3‐ヘキサフルオロプロペン(HFC‐236ea)から1,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン(HFC‐1225ye)への高レベルの変換が観察された。
【0082】
本プロセスが高大気圧で行われる場合は、異なる基準が該当する。加圧下、HFC‐236eaからHFC‐1225yeへの変換率は、反応が添加HF流の不在下で行われると高いことが観察された。HFC‐236eaが脱フッ化水素されるときにHFが生じるため、反応から全HFを除去することは不可能であった。しかしながら、反応物ストリーム中HFレベルの減少はHFC‐236eaからHFC‐1225yeへの高変換をもたらし、このことは(少なくとも加圧下で)変換がHFにより阻害されていることを示唆している。更に意外なことに、HFレベルが減少するかまたは反応物ストリームから除去されると、触媒で観察されるファウリングのレベルは意外にも低かった。本発明のプロセスを高大気圧で行うことは様々なスケールアップおよび一般的プロセッシング理由から望ましく、例えば加圧下のランで所定容量の装置からの生産性向上をもたらす。
【実施例】
【0083】
本発明は下記例で実証されているが、それに限定されない。
例1:1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパンの脱フッ化水素
クロミア上6重量%Znから構成される非晶質触媒の2gサンプルを管状炉内に設置された15cm×1.25mm Inconnel反応チューブへ入れた。この触媒を250℃で1時間乾燥させ、次いで6:1のN2:HF比で1時間250℃でプレフッ素化してから、温度を380℃へ上げ、その時点で窒素希釈流を止めた。約18時間後、HFフィードを切り、リアクターを200℃に冷却した。
【0084】
次いで、15:1または5:1のHF:有機物比を用いて、180〜380℃(20℃間隔で変える)の反応温度および1baraの圧力において5秒の接触時間で、有機物フィード(1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパンを含む)およびHFを触媒に通した。各温度において、システムを約20分間にわたり平衡化させた後、GCまたはGC‐MSによる解析のために各温度でリアクター排ガスサンプルを採取した。反応生成物は、(5℃/minで約40〜200℃の)温度プログラミングでPlot Silicaカラムを用いて分割できた。利用可能な標準(主にフィードおよび生成物)を用いてGC法を較正し、同定されるが標準が利用できない諸成分と未知物質を定量するためにこれらの平均を用いた。
【0085】
2つの異なるHF:有機物比における温度スキャンの結果が表1および2と図1および2で示されている。
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
15:1のHF:有機物比を用いて得られたデータ(表1および図1)へ最初に注目すると、CF3CHClCH2Clのフィードレベルは温度が上昇するとかなり急速に降下し、変換は約280℃で完了したようである。フィードレベルが降下すると、CF3CCl=CH2として同定される種が増加し、このことはそれがHClの脱離で形成される主要な反応生成物であることを示している。次のステップはCF3CCl=CH2のフッ化水素化でCF3CFClCH3を生じると考えられる。HFC‐1234yfは、CF3CFClCH3から脱塩化水素で直接的に、あるいはCF3CF2CH3を生じるフッ素化に続き脱フッ化水素で間接的に形成された。
【0088】
この反応メカニズムはハロゲン化水素の付加および脱離の双方を要し、したがって結果はHF:有機物比で非常に影響されやすいようである。低比率の実験でもこれが本当であることを実証した。
【0089】
この反応メカニズムはハロゲン化水素の付加および脱離の双方を要し、したがって結果はHF:有機物比で非常に影響されやすいようである。低比率の実験でもこれが本当であることを実証した。
【0090】
5:1のHF:有機物比を用いて得られたデータ(表2および図2)に関して、フィードの完全変換とCF3CCl=CH2のピーク変換が260℃で観察され、HFC‐1234yfの最終収率はそれより高いHF:有機物比での実験と比較して低かった。理論に拘束されることなく、望ましい生成物を形成するために必要なCF3CCl=CH2の前進反応はより高いHF:有機物比のときに有利であるが、その初期形成はより低いHF:有機物比のときに有利であると考えられ、そのことは2段階反応ゾーンが好ましいことを示している。
【0091】
例2:1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパンの脱フッ化水素
クロミア上6重量%Znから構成される非晶質触媒の2gサンプルを管状炉内に設置された15cm×1.25mm Inconel反応チューブへ入れた。この触媒を250℃で1時間乾燥させ、次いで6:1のN2:HF比で1時間250℃でプレフッ素化してから、温度を380℃へ上げ、その時点で窒素希釈流を止めた。約18時間後、HFフィードを切り、リアクターを200℃に冷却した。
【0092】
次いで、15:1または5:1のHF:有機物比を用いて、180〜380℃(20℃間隔で変える)の反応温度および1baraの圧力において5秒の接触時間で、有機物フィード(1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパンを含む)およびHFを触媒に通した。各温度において、システムを約20分間にわたり平衡化させた後、例1で前記されているように、GCまたはGC‐MSによる解析のために各温度でリアクター排ガスサンプルを採取し、結果が表3および図3で示されている。これらの結果は、1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパンが約300℃において高選択性でHFC‐1234yfへ脱フッ化水素されたことを示している。
【表4】
【0093】
例3:HFで1,1,1,2,2,3‐ヘキサフルオロプロパン(HFC‐236cb)および1,1,1,2,3,3‐ヘキサフルオロプロパン(HFC‐236ea)の脱フッ化水素
クロミア上6重量%Znから構成される非晶質触媒の2gサンプルを管状炉内に設置された15cm×1.25mm Inconel反応チューブへ入れた。この触媒を250℃で1時間乾燥させ、次いで6:1のN2:HF比で1時間250℃でプレフッ素化してから、温度を380℃へ上げ、その時点で窒素希釈流を止めた。約18時間後、HFフィードを切り、リアクターを220〜240℃に冷却した。
【0094】
プレフッ素化後、HFC‐236eaまたはHFC‐236cbの脱フッ化水素を温度およびHF:236比の関数として研究した。フィードガス流速度は、約5秒の接触時間が触媒とフィード混合物と間で得られるように選択した。HF:236比を範囲0〜10で調べた。各温度において、システムを約20分間にわたり平衡化させた後、例1で前記されているように、GCまたはGC‐MSによる解析のために各温度でリアクター排ガスサンプルを採取し、結果が表4および5と図4および5で示されている。
【表5】
【0095】
【表6】
【0096】
結果は、HFC‐236eaおよびHFC‐236cbの双方が脱フッ化水素により3,3,3,2,1‐ペンタフルオロプロペン(HFC‐1225ye)を製造するために用いられるが、用いられた条件下でHFC‐236cbよりHFC‐236eaが脱フッ化水素を通常うけやすかったことを示している。HFC‐1225yeのZ異性体が主に形成されたが、有意量のE異性体も形成された。HFの存在は脱フッ化水素反応を強く抑制する。
【0097】
例4
次の例4〜6には、下記の一般的手順が該当した。
【0098】
リアクターチューブを2g触媒で充填し、これを窒素(65mL/min)下250℃で2時間乾燥させた。触媒を次いでHF(30mL/min)および窒素(65mL/min)下250℃で1時間プレフッ素化させた。温度を次いで460℃へ上げ、プレフッ素化をニートHF(30mL/min)下で一夜続けた。次いで望ましいリアクター条件へ達するようにフィード速度および温度を設定し、自動システムを用いて適切な頻度でリアクター排ガスをサンプリングした。窒素スパージを用いてHFを供給し、そのため不活性物でフィード混合物のわずかな希釈が不可避であった。
【0099】
触媒の再生が必要なときは、有機物フィードを切り、HF流を6mL/minに設定し、空気(3mL/min)および窒素(60mL/min)の混合物を380℃で一夜触媒に通した。
【0100】
本例自体では、リアクターを6%亜鉛/クロミア触媒で充填した。プレフッ素化後、リアクターを340℃に冷却し、HF(6mL/min)、HFC‐236ea(1mL/min)および窒素(5mL/min)からなる反応混合物をそれに通した。触媒性能をモニターするために、リアクター排ガス(ROG)サンプルを定期的に採取した。触媒性能が相当に低下したと思われたとき、触媒を上記のように再生し、実験を繰り返した。全3回のこのようなサイクルを行った。これら実験からのHFC‐1225ye Z収率データが図6でプロットされている。
【0101】
これらの実験は、使用時に生じた触媒の有機ファウリングが、観察された性能の損失に関与していることを示した。更に、本プロセスは酸化再生で完全に反転させることができた。
【0102】
例5
下記例は、触媒ファウリング率に及ぼすHF:有機物比の影響について検証している。
【0103】
6%亜鉛/クロミア触媒を含んでなる触媒でリアクターを充填した。プレフッ素化後の第一サイクルでは、ファウリング率を3:1のHF:HFC‐236ea比で調べた。標準再生後の第二サイクルでは、ファウリング率を6:1の比率で測定し、この過程における最終サイクルでは、それを1.5:1の比率で再測定した。これらの実験において、HFの分圧は0.5baraと一定であり、接触時間は4.4秒間と一定であった。この実験過程におけるZ‐HFC‐1225ye収率 vs 時間が図7でプロットされている。3:1〜6:1の比率のときファウリング率は類似しているようであったが、1.5:1では増加するようであった。
【0104】
例6
下記例は、ファウリング率およびHFC‐1225yeの収率に及ぼす触媒処方の影響について検証している。
【0105】
上記の方法論を用いて、0%Zn/クロミア、6%Zn/クロミアおよび10%Zn/クロミアの相対性能を調べた。反応温度、比率および接触時間はすべて実験の過程において各々340℃、6:1および4.4秒間と一定であった。結果が図8で要約されている。性能および安定性に及ぼすZn担持率の効果はかなり顕著であった。0%および6%Zn触媒の初期性能は類似していたが、10%触媒の性能は比較的乏しかった。ファウリング率に関して、0%Zn触媒が最も安定であることも明らかであった。
【0106】
例7
窒素および空気雰囲気下で示差走査熱量測定(DSC)技術を用いて、無亜鉛含有クロミア触媒のサンプルを解析した。結果が図9で示されている。
【0107】
結果は、不活性雰囲気中においてクロミアが約440℃で安定であったが、これが酸化雰囲気下で低下したことを示している。これから、無亜鉛含有クロミア触媒が使用時または少なくとも再生時に結晶化していたと結論付けられる。
【0108】
例8
例4に少し修正を加えて、例4で概説された一般的手順で概説されているようにリアクターチューブを調製し、表6に示された一連の異なる触媒で、温度のスキャンに際して、フィード速度をHF=6mL/min、HFC‐236ea=2mL/min、窒素=4mL/minに設定した。この例は大気圧で行った。
【表7】
【0109】
結果は、空のチューブを用いたときに得られる非常に乏しい収率に基づくと、HFC‐236eaからHFC‐1225yeへの変換が触媒変換であって、単なる熱分解ではないことを示している。
【0110】
260℃〜305℃の収率を比較してみると、無亜鉛含有クロミアが最高変換率を生じている。305℃超の温度のとき、試験された全触媒の変換率が全体的に類似していた。亜鉛担持率が増加するに従いファウリング抵抗が減少することもわかった。しかしながら、無亜鉛含有クロミアの見掛け上好ましい性能は、純粋クロミア触媒の結晶化傾向に対してスケール的にバランスがとられるべきである。
【0111】
例9
圧力を上げながら行われた次の例には、下記の一般的手順が該当した。
【0112】
別記されないかぎり、用いられた触媒は、リグに充填された6wt%亜鉛/クロミア触媒であった。触媒を窒素流(3bargで80mL/min)下で一夜乾燥させ、次いで数段階でプレフッ素化させた。段階1では温度を300℃に上げ、触媒を希HF(3bargで4mL/min+80mL/min窒素)と接触させた。この処理を一夜続け、次いで窒素流を切り、温度を300℃で更に4時間維持した。この後に温度を25℃/hrで380℃へ上げた。これらの条件を更に7時間維持した。次いでHFC‐236ea→HFC E/Z‐1225ye反応をある範囲の条件下で研究した。
【0113】
この例および例10では、加圧下で行われた本発明のプロセスによる変換率が、反応物流からHFを除く効果と一緒にみられる。
【0114】
プレフッ素化後、HFおよびHFC‐236eaフィード流を各々(STPで)約90および30mL/minに設定し、変換に及ぼす温度の影響を5bargおよび10bargで研究した。結果が表7で要約されている。
【表8】
【0115】
触媒を380℃でHF:空気(15:1)再生に付し、5barg操作時のデータポイントの一部を繰り返した;これらも表7で示されている。
【0116】
例10
例9に続いて実験を繰り返したが、同時供給HFはなかった。得られたHFC‐236ea変換率が表8で示されている。
【表9】
HFの不在下では触媒性能に顕著な増加があり、高変換率が観察される。
【0117】
HFが引き起こす有害作用を更に検証するために、フィードを不活性希釈窒素で希釈し、340℃で1回通過変換時に効果を測定した。結果が表9で示されている。
【表10】
【0118】
フィードが希釈されると、接触時間が減少しても変換率が上昇した。
【0119】
例11
この例は、HFC‐236eaからHFC1225yeへの変換がHFの不在下で加圧時に行われたときに生じるとわかっていた触媒ファウリングの予想レベルからの、低下を検証している。HFを窒素に換えたこと以外は例9の関係で前記されたように触媒を再生し、次いで“ニート”HFC‐236eaを約20mL/minの割合でそれに340℃および5bargで通した。触媒性能をモニターし、結果が表10で示されている。
【表11】
意外にも、触媒性能は120時間にわたり良好かつ安定であり、ファウリングを示さなかった。実験を10bargで繰り返した;結果が表11で示されている。
【表12】
高圧時、変換率はやや低く、再度HF阻害を反映していた。窒素がHFC‐236eaフィードへ加えられたとき、フィード希釈後の影響が44.25時間後にみられる。しかも実験全体にわたり、触媒ファウリングの徴候がほとんどなかった。
【0120】
例12
この例は、本プロセスの関係におけるリサイクル物質、例えば得られるHFC1225ye生成物のE/Z異性体ミックスまたはHFC1225yeの異性体リッチブレンド(異性体リッチとは、本プロセスの結果として通常製造されたものとは異なるEおよびZ異性体のブレンドを意味する。異性体リッチブレンドは、例えば、熱分解で通常形成されるものより高レベルのEまたはZ異性体を含有したEおよびZ異性体のブレンドを含んでなるか、あるいはそれは純粋E異性体または純粋Z異性体、好都合には純粋Z異性体を含有している)で、加圧下触媒変換時にフィード(例えばHFC‐236ea)を希釈する有益効果について検証している。
【0121】
本例では、HFC‐236eaフィードを30:70の比率でZ‐HFC1225yeで希釈した。再生したばかりの触媒に340℃および10bargで本ブレンドを通した。結果が表12で要約されている。
【表13】
【0122】
“1回通過当たり”HFC‐236ea変換率は窒素希釈の場合より低いことがわかった。リサイクルされるHFC1225yeは、どのような異性体ブレンドが望まれても、HFC‐236eaフィードを希釈するため利用でき、例えばZ‐HFC1225yeへのHFC‐236eaの優れた触媒変換率を呈する、と結論づけられた。
【0123】
例13:触媒再生を含めた、HFの不在下における6%Zn/クロミアでの気相異性化
非晶質6.0%Zn/クロミア触媒の2gサンプルを15cm×1.25cm Inconnelリアクターチューブへ入れた。触媒を(250℃で1時間)乾燥させ、プレフッ素化(6:1のN2:HFモル比で1時間250℃、380℃に温度上昇、窒素希釈流停止および一夜放置)させた。プレフッ素化後、リアクターを冷却した。次いで87.8%E‐HFC1225ye、9.1%Z‐HFC1225yeと少量のHFC‐227ea、HFC‐236ea、HFC‐236cbおよびヘキサフルオロプロペンの混合物である残部からなる混合物1mL/minおよび窒素5mL/minの混合物を130℃において5mL/minで触媒に通しながらZ異性体へのE異性体の変換率をモニターした。変換率が下がり始めた後、フィード流を止め、380℃で12〜16時間にわたり窒素(40mL/min)および空気(4mL/min)の混合物を用いて触媒を再生させた。再生の最後に、空気フィードを切り、触媒を130℃に冷却した。触媒が冷却したとき、異性化サイクルを繰り返した。この異性化/再生/異性化サイクルの結果が下記表13で掲載されている。
【表14】
【0124】
これらの実験は、触媒がHFの不在下で有意な期間にわたりその異性化活性を留め、異性化性能が4〜5hrの接触後に劣化し始め、空気/窒素再生が触媒をその原状に戻すことを実証した;したがって性能の損失はコーキング型反応のためであったと結論づけられる。
【0125】
例14:
この例は、触媒ファウリング率が圧力の関数としてHFC1225yeへのHFC‐236eaの変換中にどのように変わるかを検証している。
【0126】
6g(2.0〜3.5mm)の5.2%Zn/クロミア触媒をリアクターへ入れ、それを80mL/min窒素下3Bargで一夜250℃で乾燥させ、それを300℃で加熱し、それを3Bargで16時間にわたり4mL/min HFおよび80mL/min窒素で処理し、窒素流をゼロに下げてそれを300℃で更に4時間維持し、温度を25℃/hrの割合で380℃に上げてそれを380℃で更に3時間維持することによるプレフッ素化に付した。
【0127】
プレフッ素化の最後に、リアクター温度を340℃に設定し、圧力を15Bargに設定した。条件が安定化したとき、HFC‐236eaフィードを開始した。目標フィード速度はSTPで13〜14mL/minであった。触媒性能をモニターするために、リアクター排ガスを手順通りにサンプリングした。触媒の性能が初期性能のほぼ半分になったとき、サイクルを終了させた。触媒を380℃において空気(4mL/min)および窒素(40mL/min)の混合物で再生させた。3回のこのような実験サイクルを15、5および2.3Barg(3.3Bara)で完了させた。
【0128】
各サイクル時に供給されたと見積もられる236eaの実際の質量は以下であった:
15Bargでサイクル1中に供給された236ea=1860g
5Bargでサイクル1中に供給された236ea=1637g
2.3Bargでサイクル1中に供給された236ea=1540g
【0129】
結果
異なる圧力における各サイクルの結果が表14〜16で要約され、図10〜11で示されている。
【0130】
圧力が下がると、表記変換率は増加し、このことは反応速度に及ぼすHF分圧の阻害効果を反映している。圧力低下に際するこの変換率増加は、圧力が下がると生じる接触時間の減少を考慮すると、なお一層顕著であった。
【0131】
15および5Bargのとき、性能損失、ひいてはファウリングの率は同様のようであった。更に、試験が進行するに従い、ファウリングの率は加速するようであった。試験された最低圧力2.3Barg(3.3Bara)のとき、ファウリングの率はわずかに減少するようであった。低圧のとき、変換率は高く、したがってファウリング率にいかなる有害作用も及ぼすことなく見掛け上多くの不飽和物に触媒が曝された。
【0132】
図11は、3つの異なる作用圧力下で、各サイクル時におけるEおよびZ 1225yeへの選択率を示している。15Bargのとき、選択率はサイクル中に上昇、安定化、次いで下落するようであった。5Bargのとき、類似の挙動パターンが観察されたが、初期の上昇と最後の下落は双方ともさほど顕著でなかった。2.3Bargのとき、選択率はサイクル中ずっと非常に安定であり、見掛け上下落はなかった。
【0133】
結果は、触媒ファウリングが強い圧力依存性ではなかったが、選択性が低い作用圧力で維持されたことを示唆している。
【0134】
【表15】
【0135】
【表16】
【0136】
【表17】
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛/クロミア触媒の存在下でC3‐6ヒドロ(ハロ)フルオロアルカンを脱ハロゲン化水素することを含んでなる、C3‐6(ヒドロ)フルオロアルケンを製造するための方法。
【請求項2】
ヒドロ(ハロ)フルオロアルカンをフッ化水素と接触させることを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
−70〜400℃の温度および0〜30baraの圧力で行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ヒドロ(ハロ)フルオロプロパンを脱ハロゲン化水素することを含んでなる、(ヒドロ)フルオロプロペンを製造するための請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
製造される(ヒドロ)フルオロプロペンが、テトラフルオロプロペン類およびペンタフルオロプロペン類から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
式CX3(CX2)nCX=CX2またはCX3CX=CX(CX2)nCX3の化合物(各Xは独立してHまたはFであるが、但し少なくとも1つのXはFであり、nは0、1、2または3である)を製造するための方法であって、
亜鉛/クロミア触媒の存在下で式CX3(CX2)nCXYCHX2、CX3(CX2)nCXHCYX2、CX3CXHCXY(CX2)nCX3またはCX3CXYCXH(CX2)nCX3の化合物(各Xは独立してHまたはFであるが、但し少なくとも1つのXはFであり、nは0、1、2または3であり、YはF、Cl、BrまたはIである)を脱ハロゲン化水素することを含んでなる方法。
【請求項7】
式CX3(CX2)nCXYCHX2、CX3(CX2)nCXHCYX2、CX3CXHCXY(CX2)nCX3またはCX3CXYCXH(CX2)nCX3の化合物をフッ化水素と接触させることを含んでなる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
160〜400℃の温度および−70〜400℃の圧力で行われる、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
式CX3(CX2)nCX=CX2の化合物がCF3(CX2)nCF=CX2である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
式CX3CX=CX(CX2)nCX3の化合物がCF3CF=CH(CX2)nCX3である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
n=0である、請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
1,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン(CF3CF=CHF)を製造するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
2,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(CF3CF=CH2)を製造するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
CF3CF=CH2および1,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(CF3CH=CHF)を製造するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
CF3CF=CH2および1,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン(CF3CF=CHF)を製造するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
CF3CF=CH2が、式CF3CFYCH3またはCF3CFHCYH2の化合物を脱ハロゲン化水素することにより製造される、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
2,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(CF3CF=CH2)が、1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパン(CF3CF2CH3)を脱フッ化水素するか、または1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパン(CF3CFClCH3)を脱塩化水素することにより製造される、請求項13〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパン(CF3CF2CH3)を製造するために1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパン(CF3CFClCH3)をフッ素化するステップを含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
トリフルオロジクロロプロパン、ジフルオロトリクロロプロパンまたはフルオロテトラクロロプロパンを1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパン(CF3CFClCH3)へ変換するステップを含んでなる、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
トリフルオロジクロロプロパンが、1,1,1‐トリフルオロ‐2,2‐ジクロロプロパン(CF3CCl2CH3)および1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパン(CF3CHClCH2Cl)から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
1,1,1‐トリフルオロ‐2,2‐ジクロロプロパン(CF3CCl2CH3)が、HFでフッ素化により、1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパン(CF3CFClCH3)へ変換される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパン(CF3CHClCH2Cl)が、脱塩化水素により3,3,3‐トリフルオロ‐2‐クロロプロペン(CF3CCl=CH2)へ、次いでHFでフッ化水素化により1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパン(CF3CFClCH3)へ変換される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパン(CF3CF2CH3)を製造するために1,1,1,2,2‐ペンタクロロプロパン(CCl3CCl2CH3)をフッ素化するステップを含んでなる、請求項17または18に記載の方法。
【請求項24】
フッ素化が、HFを用いて行われる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
フッ素化が、クロミア含有触媒を用いて行われる、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
1,1,1,2,2‐ペンタクロロプロパン(CCl3CCl2CH3)を製造するために1,1,1‐トリクロロアセトン(CCl3C(O)CH3)を塩素化するステップを含んでなる、請求項23〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
塩素化が、PCl5を用いて行われる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
1,1,1‐トリクロロアセトン(CCl3C(O)CH3)を製造するためにアセトン(CH3C(O)CH3)を塩素化するステップを含んでなる、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
塩素化が塩素で行われる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
塩素化が、クロミア含有触媒を用いて行われる、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
脱ハロゲン化水素ステップが添加フッ化水素の不在下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
亜鉛クロミア触媒が0.01%〜25重量%亜鉛を含んでなる、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
亜鉛クロミア触媒が0.05%〜10重量%亜鉛を含んでなる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
亜鉛クロミア触媒が0.05%〜0.5重量%亜鉛を含んでなる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
1,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロペンが製造され、ヒドロ(ハロ)フルオロアルカンがHFC‐236eaである、請求項1〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
亜鉛クロミア触媒が酸化クロムの結晶化特性を呈しない、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
方法が300℃以上の温度で行われる、請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
方法が高大気圧で行われる、請求項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
方法が1〜5baraの圧力で行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
方法が添加HF流の不在下で行われる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
方法が希釈ガスで行われる、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
希釈ガスが窒素を含んでなる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
希釈ガスが、得られるC3‐6(ヒドロ)フルオロアルケン、またはC3‐6(ヒドロ)フルオロアルケンの異性体リッチブレンドを含んでなる、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
触媒が後で再生される、請求項1〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
再生ステップが酸化再生である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
方法がHFの存在下かつ大気圧または低大気圧で行われ、HF対ヒドロ(ハロ)フルオロアルカンの比率が1.5:1以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを触媒と接触させることを含んでなる、C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを異性化するための方法。
【請求項48】
(i)E‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンをZ‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンへ変換するために、E‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを触媒と接触させる;
ことを含んでなる、C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを異性化するための方法。
【請求項49】
C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを異性化するための触媒の使用。
【請求項50】
(i)E‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンをZ‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンへ変換するために、E‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを触媒と接触させる;
ことを含んでなる、C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを異性化するための触媒の使用。
【請求項51】
異性化がEおよびZ異性体の比率の変化をもたらす、請求項47〜50のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項52】
Z異性体対E異性体の比率が増加する、請求項51に記載の方法または使用。
【請求項53】
得られるC3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンが回収される、請求項47〜52のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項54】
(ヒドロ)フルオロアルケンがCF3CF=CHFである、請求項47〜53のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項55】
一般的に実施例に関してここで記載されているような、(ヒドロハロ)フルオロアルケンを異性化するための触媒の使用。
【請求項56】
請求項47〜55のいずれか一項に従い製造された異性体ブレンドを含んでなる流体。
【請求項57】
請求項56に記載の流体を含んでなる冷媒ブレンド。
【請求項58】
請求項57に記載の冷媒ブレンドを利用するエアコンディショニングシステムを有した自動車。
【請求項59】
一般的に実施例に関してここで記載されているような、C3‐6ヒドロフルオロアルケンを製造するための方法。
【請求項1】
亜鉛/クロミア触媒の存在下でC3‐6ヒドロ(ハロ)フルオロアルカンを脱ハロゲン化水素することを含んでなる、C3‐6(ヒドロ)フルオロアルケンを製造するための方法。
【請求項2】
ヒドロ(ハロ)フルオロアルカンをフッ化水素と接触させることを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
−70〜400℃の温度および0〜30baraの圧力で行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ヒドロ(ハロ)フルオロプロパンを脱ハロゲン化水素することを含んでなる、(ヒドロ)フルオロプロペンを製造するための請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
製造される(ヒドロ)フルオロプロペンが、テトラフルオロプロペン類およびペンタフルオロプロペン類から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
式CX3(CX2)nCX=CX2またはCX3CX=CX(CX2)nCX3の化合物(各Xは独立してHまたはFであるが、但し少なくとも1つのXはFであり、nは0、1、2または3である)を製造するための方法であって、
亜鉛/クロミア触媒の存在下で式CX3(CX2)nCXYCHX2、CX3(CX2)nCXHCYX2、CX3CXHCXY(CX2)nCX3またはCX3CXYCXH(CX2)nCX3の化合物(各Xは独立してHまたはFであるが、但し少なくとも1つのXはFであり、nは0、1、2または3であり、YはF、Cl、BrまたはIである)を脱ハロゲン化水素することを含んでなる方法。
【請求項7】
式CX3(CX2)nCXYCHX2、CX3(CX2)nCXHCYX2、CX3CXHCXY(CX2)nCX3またはCX3CXYCXH(CX2)nCX3の化合物をフッ化水素と接触させることを含んでなる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
160〜400℃の温度および−70〜400℃の圧力で行われる、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
式CX3(CX2)nCX=CX2の化合物がCF3(CX2)nCF=CX2である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
式CX3CX=CX(CX2)nCX3の化合物がCF3CF=CH(CX2)nCX3である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
n=0である、請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
1,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン(CF3CF=CHF)を製造するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
2,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(CF3CF=CH2)を製造するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
CF3CF=CH2および1,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(CF3CH=CHF)を製造するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
CF3CF=CH2および1,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロペン(CF3CF=CHF)を製造するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
CF3CF=CH2が、式CF3CFYCH3またはCF3CFHCYH2の化合物を脱ハロゲン化水素することにより製造される、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
2,3,3,3‐テトラフルオロプロペン(CF3CF=CH2)が、1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパン(CF3CF2CH3)を脱フッ化水素するか、または1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパン(CF3CFClCH3)を脱塩化水素することにより製造される、請求項13〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパン(CF3CF2CH3)を製造するために1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパン(CF3CFClCH3)をフッ素化するステップを含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
トリフルオロジクロロプロパン、ジフルオロトリクロロプロパンまたはフルオロテトラクロロプロパンを1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパン(CF3CFClCH3)へ変換するステップを含んでなる、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
トリフルオロジクロロプロパンが、1,1,1‐トリフルオロ‐2,2‐ジクロロプロパン(CF3CCl2CH3)および1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパン(CF3CHClCH2Cl)から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
1,1,1‐トリフルオロ‐2,2‐ジクロロプロパン(CF3CCl2CH3)が、HFでフッ素化により、1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパン(CF3CFClCH3)へ変換される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
1,1,1‐トリフルオロ‐2,3‐ジクロロプロパン(CF3CHClCH2Cl)が、脱塩化水素により3,3,3‐トリフルオロ‐2‐クロロプロペン(CF3CCl=CH2)へ、次いでHFでフッ化水素化により1,1,1,2‐テトラフルオロ‐2‐クロロプロパン(CF3CFClCH3)へ変換される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
1,1,1,2,2‐ペンタフルオロプロパン(CF3CF2CH3)を製造するために1,1,1,2,2‐ペンタクロロプロパン(CCl3CCl2CH3)をフッ素化するステップを含んでなる、請求項17または18に記載の方法。
【請求項24】
フッ素化が、HFを用いて行われる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
フッ素化が、クロミア含有触媒を用いて行われる、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
1,1,1,2,2‐ペンタクロロプロパン(CCl3CCl2CH3)を製造するために1,1,1‐トリクロロアセトン(CCl3C(O)CH3)を塩素化するステップを含んでなる、請求項23〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
塩素化が、PCl5を用いて行われる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
1,1,1‐トリクロロアセトン(CCl3C(O)CH3)を製造するためにアセトン(CH3C(O)CH3)を塩素化するステップを含んでなる、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
塩素化が塩素で行われる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
塩素化が、クロミア含有触媒を用いて行われる、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
脱ハロゲン化水素ステップが添加フッ化水素の不在下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
亜鉛クロミア触媒が0.01%〜25重量%亜鉛を含んでなる、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
亜鉛クロミア触媒が0.05%〜10重量%亜鉛を含んでなる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
亜鉛クロミア触媒が0.05%〜0.5重量%亜鉛を含んでなる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
1,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロペンが製造され、ヒドロ(ハロ)フルオロアルカンがHFC‐236eaである、請求項1〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
亜鉛クロミア触媒が酸化クロムの結晶化特性を呈しない、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
方法が300℃以上の温度で行われる、請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
方法が高大気圧で行われる、請求項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
方法が1〜5baraの圧力で行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
方法が添加HF流の不在下で行われる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
方法が希釈ガスで行われる、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
希釈ガスが窒素を含んでなる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
希釈ガスが、得られるC3‐6(ヒドロ)フルオロアルケン、またはC3‐6(ヒドロ)フルオロアルケンの異性体リッチブレンドを含んでなる、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
触媒が後で再生される、請求項1〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
再生ステップが酸化再生である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
方法がHFの存在下かつ大気圧または低大気圧で行われ、HF対ヒドロ(ハロ)フルオロアルカンの比率が1.5:1以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを触媒と接触させることを含んでなる、C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを異性化するための方法。
【請求項48】
(i)E‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンをZ‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンへ変換するために、E‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを触媒と接触させる;
ことを含んでなる、C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを異性化するための方法。
【請求項49】
C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを異性化するための触媒の使用。
【請求項50】
(i)E‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンをZ‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンへ変換するために、E‐C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを触媒と接触させる;
ことを含んでなる、C3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンを異性化するための触媒の使用。
【請求項51】
異性化がEおよびZ異性体の比率の変化をもたらす、請求項47〜50のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項52】
Z異性体対E異性体の比率が増加する、請求項51に記載の方法または使用。
【請求項53】
得られるC3‐6(ヒドロハロ)フルオロアルケンが回収される、請求項47〜52のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項54】
(ヒドロ)フルオロアルケンがCF3CF=CHFである、請求項47〜53のいずれか一項に記載の方法または使用。
【請求項55】
一般的に実施例に関してここで記載されているような、(ヒドロハロ)フルオロアルケンを異性化するための触媒の使用。
【請求項56】
請求項47〜55のいずれか一項に従い製造された異性体ブレンドを含んでなる流体。
【請求項57】
請求項56に記載の流体を含んでなる冷媒ブレンド。
【請求項58】
請求項57に記載の冷媒ブレンドを利用するエアコンディショニングシステムを有した自動車。
【請求項59】
一般的に実施例に関してここで記載されているような、C3‐6ヒドロフルオロアルケンを製造するための方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−505806(P2010−505806A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530937(P2009−530937)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【国際出願番号】PCT/GB2007/003749
【国際公開番号】WO2008/040969
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(505353319)イネオス、フラウアー、ホールディングス、リミテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】INEOS FLUOR HOLDINGS LIMITED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【国際出願番号】PCT/GB2007/003749
【国際公開番号】WO2008/040969
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(505353319)イネオス、フラウアー、ホールディングス、リミテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】INEOS FLUOR HOLDINGS LIMITED
【Fターム(参考)】
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