説明

プローブカードの検査方法及びこれに用いる検査用ボード

【目的】 本発明の目的は、検査時間を短縮することができるプローブカードの検査方法及びこれに用いる検査用ボードを提供する。
【構成】 プローブカードの検査方法は、共通電極120A、120Bと、共通電極120Aに電気的に接続されたプローブ130A1〜A4と、共通電極120Bに電気的に接続された複数のプローブ130B1〜B4とを備えたプローブカード100の検査方法であって、共通電極120A、120Bに電力を供給しつつ、プローブ130A1〜A4を一本毎に検査電極220A1〜A4に、プローブ130B1〜B4を一本毎に検査電極220B1〜B4に略同時に接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブカードの検査方法及びこれに用いる検査用ボードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプローブカードとしては、ウエハに形成された複数の半導体デバイスの電気的諸特性の検査をウエハの状態で、一括で行うために用いられるものがある(特許文献1の段落0038参照)。このプローブカードは、テスター接続用の複数の共通電極と、前記半導体デバイスに対応する複数のプローブ領域とを備えている。プローブ領域は、半導体デバイスの電極の配列に応じて配列された複数のプローブを有している。半導体デバイスの電極の配列は全て同じであるため、プローブ領域のプローブの配列も全て同じになっている。また、プローブ領域のプローブは、一本毎に共通電極に電気的に接続されている。例えば、前記プローブカードが、第1、第2共通電極と、第1、第2プローブを各々有する複数のプローブ領域とを備えている場合、第1共通電極に各プローブ領域の第1プローブが、第2共通電極に各プローブ領域の第2プローブが電気的に接続されている。換言すると、第1、第2共通電極には複数の第1、第2プローブが電気的に接続されている。
【0003】
前記プローブカードについては、半導体デバイスの電気的諸特性の検査に用いる前に、当該プローブカード自体の検査を行う必要がある。このプローブカードの検査においては、一の共通電極に電力を供給しつつ、当該共通電極に接続されたプローブを一本毎にメタルプレートに接触させ、共通電極とこれに接続された各プローブとの電気的導通を確認していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−192799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記プローブカードの検査は、一の共通電極とこれに接続されたプローブとの電気的導通をプローブ一本毎に行うため、非常に時間がかかる。プローブカードが5000本のプローブを備えている場合、当該プローブカードの検査に約15時間必要であり、プローブカードが20000本のプローブを備えている場合、当該プローブカードの検査に約60時間必要であった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、検査時間を短縮することができるプローブカードの検査方法及びこれに用いる検査用ボードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のプローブカードの検査方法は、第1、第2共通電極と、前記第1共通電極に電気的に接続された複数の第1プローブと、前記第2共通電極に電気的に接続された複数の第2プローブとを備えたプローブカードの検査方法において、前記第1、第2共通電極に電力を供給しつつ、前記第1プローブを一本毎に第1検査電極に、前記第2プローブを一本毎に第2検査電極に略同時に接触させるようになっている。
【0008】
このような発明の態様による場合、前記第1、第2共通電極に電力を供給しつつ、第1プローブを一本毎に第1検査電極に、第2プローブを一本毎に第2検査電極に略同時に接触させるようにしているので、第1、第2プローブの導通検査を略同時に行うことができる。よって、全ての第1、第2プローブの導通検査にかかる時間を短縮することができる。
【0009】
前記検査方法は、前記第1、第2共通電極に電力を供給しつつ、前記第1プローブを一本毎に第1検査電極に、前記第2プローブを一本毎に第2検査電極に略同時に接触させると共に、当該第1、第2プローブ以外の第1、第2プローブを絶縁部に接触させることも可能である。
【0010】
このような発明の態様による場合、第1、第2検査電極に接触する第1、第2プローブ以外の第1、第2プローブが絶縁部に接触するため、当該第1、第2プローブが誤って導通するのを防ぐことができる。よって、検査精度を向上させることができる。
【0011】
前記検査方法は、絶縁処理され前記絶縁部として機能する第1面と、この第1面上に配設された複数の前記第1、第2検査電極とを備えた検査用ボードを用意し、その後、前記プローブカードと前記検査用ボードとを対向させ、その後、前記第1、第2共通電極に電力を供給しつつ、前記プローブカードと前記検査用ボードとを相対的に移動させ、前記第1プローブを一本毎に第1検査電極に、前記第2プローブを一本毎に第2検査電極に略同時に接触させることが可能である。
【0012】
このような発明の態様による場合、前記プローブカードと検査用ボードとを対向させ、その後、前記第1、第2共通電極に電力を供給しつつ、前記プローブカードと前記検査用ボードとを相対的に移動させ、前記第1プローブを一本毎に第1検査電極に、前記第2プローブを一本毎に第2検査電極に略同時に接触させることから、半導体デバイスの電気的諸特性の検査に用いられる既存のテスターを用いてプローブカードの検査を行うことが可能になる。したがって、新たな検査装置を作成する必要がなく、検査費用の低コスト化を図ることができる。
【0013】
本発明の検査用ボードは、上記プローブカードの検査方法に用いられるものである。前記ボードは、絶縁処理された第1面と、前記第1面に設けられた複数の第1、第2検査電極とを備えている。前記第1、第2検査電極は、当該第1検査電極が前記第1共通電極に電気的に接続された第1プローブに対して一本毎に、当該第2検査電極が前記第2共通電極に電気的に接続された第2プローブに対して一本毎に略同時に接触し得るように配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は本発明の実施の形態に係るプローブカード検査方法により検査されるプローブカードの模式的平面図、(b)は前記プローブカードの模式的底面図である。
【図2】前記プローブカードの模式的部分断面図である。
【図3】(a)は前記検査方法に用いられる検査用ボードの模式的平面図、(b)は検査用ボードの検査領域の検査電極とプローブとの対応関係を説明する説明図である。
【図4】検査用ボードの検査領域の検査電極とプローブとの別の対応関係を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係るプローブカードの検査方法について説明する。まず、前記検査方法により検査されるプローブカード100と、当該検査に用いられる検査用ボード200について図1乃至図3を参照しつつ説明する。プローブカード100は、図1(a)、図1(b)及び図2に示すように、基板110と、複数の共通電極120と、複数のプローブ130とを備えている。
【0016】
基板110は円盤状のプリント基板である。この基板110は、第1面111と、その裏側の第2面112と、複数の導電ライン113とを有している。第1面111の外周縁部には、図1(a)に示すように、複数の共通電極120が間隔を空けて配設されている。第2面112には、図1(b)に示すように、複数のプローブ領域αが設けられている。プローブ領域αは、図示しないウエハに形成された複数の半導体デバイスに対応した領域である。プローブ領域αには、図2に示すように、半導体デバイスの電極の配列に応じて複数のプローブ130が配列されている。半導体デバイスの電極の配列は全て同じであるため、プローブ領域αのプローブ130の配列も全て同じになっている。
【0017】
図2においては、基板110の第1面111に設けられた4つの共通電極を120A〜120Dとして示し、基板110の第2面112に設けられた4つのプローブ領域をα1〜α4として示している。プローブ領域α1は、プローブ130A1、130B1、130C1、130D1を有している。プローブ領域α2は、プローブ130A2、130B2、130C2、130D2を有している。プローブ領域α3は、プローブ130A3、130B3、130C3、130D3を有している。プローブ領域α4は、プローブ130A4、130B4、130C4、130D4を有している。
【0018】
基板110内部には複数の導電ライン113が設けられている。この導電ライン113が、共通電極120とプローブ領域αのプローブ130のうち一本のプローブ130とを電気的に接続している。なお、図2においては、共通電極120A(第1共通電極)が導電ライン113によりプローブ130A1、130A2、130A3、130A4(第1プローブ)と電気的に接続されている。共通電極120B(第2共通電極)が導電ライン113によりプローブ130B1、130B2、130B3、130B4(第2プローブ)と電気的に接続されている。共通電極120Cが導電ライン113によりプローブ130C1、130C2、130C3、130C4と電気的に接続されている。共通電極120Dが導電ライン113によりプローブ130D1、130D2、130D3、130D4と電気的に接続されている。
【0019】
検査用ボード200としては図3(a)に示すようにウエハを用いている。この検査用ボード200の第1面210は絶縁処理が施されている。この第1面210上には、プローブ領域αに対応する複数の検査領域Tが設けられている。この検査領域Tは、第1面210上に形成された複数の検査電極220を有している(図3(b)参照)。検査電極220は、後述するプローブカード100の導通検査時に、各共通電極120に接続された複数のプローブ130に対して一本毎に略同時に接触し得るように配置されている。なお、図3(b)においては、第1面210の4つの検査領域をT1〜T4として示している。図3(b)に示す検査領域T1〜T4のXY座標は、説明の便宜上付したものであり、検査領域T1〜T4に現実に付されているわけではない。
【0020】
検査領域T1は、プローブ130A1、130B1、130C1、130D1の導通検査を行うための検査電極220A1(第1検査電極)、220B1(第2検査電極)、220C1、220D1を有している。検査電極220A1は、検査領域T1のXY座標のX1Y1に位置し、検査電極220B1は、検査領域T1のXY座標のX2Y2に位置し、検査電極220C1は、検査領域T1のXY座標のX3Y3に位置し、検査電極220D1は、検査領域T1のXY座標のX4Y4に位置している。検査電極220A1、220B1、220C1、220D1間のX方向の間隔は上記半導体デバイスの電極間の間隔と同じに設定されている。検査電極220A1、220B1、220C1、220D1間のY方向の間隔は、後述する検査移動距離と略同じに設定されている。
【0021】
検査領域T2は、プローブ130A2、130B2、130C2、130D2の導通検査を行うための検査電極220A2(第1検査電極)、220B2(第2検査電極)、220C2、220D2を有している。検査電極220A2は、検査領域T2のXY座標のX1Y2に位置し、検査電極220B2は、検査領域T2のXY座標のX2Y3に位置し、検査電極220C2は、検査領域T2のXY座標のX3Y4に位置し、検査電極220D2は、検査領域T2のXY座標のX4Y1に位置している。検査電極220A2、220B2、220C2、220D2間のX方向の間隔は上記半導体デバイスの電極間の間隔と同じに設定されている。検査電極220D2、220A2、220B2、220C2間のY方向の間隔は、前記検査移動距離と略同じに設定されている。
【0022】
検査領域T3は、プローブ130A3、130B3、130C3、130D3の導通検査を行うための検査電極220A3(第1検査電極)、220B3(第2検査電極)、220C3、220D3を有している。検査電極220A3は、検査領域T3のXY座標のX1Y3に位置し、検査電極220B3は、検査領域T3のXY座標のX2Y4に位置し、検査電極220C3は、検査領域T3のXY座標のX3Y1に位置し、検査電極220D3は、検査領域T3のXY座標のX4Y2に位置している。検査電極220A3、220B3、220C3、220D3間のX方向の間隔は上記半導体デバイスの電極間の間隔と同じに設定されている。検査電極220C3、220D3、220A3、220B3間のY方向の間隔は、前記検査移動距離と略同じに設定されている。
【0023】
検査領域T4は、プローブ130A4、130B4、130C4、130D4の導通検査を行うための検査電極220A4(第1検査電極)、220B4(第2検査電極)、220C4、220D4を有している。検査電極220A4は、検査領域T4のXY座標のX1Y4に位置し、検査電極220B4は、検査領域T4のXY座標のX2Y1に位置し、検査電極220C4は、検査領域T4のXY座標のX3Y2に位置し、検査電極220D4は、検査領域T4のXY座標のX4Y3に位置している。検査電極220A4、220B4、220C4、220D4間のX方向の間隔は上記半導体デバイスの電極間の間隔と同じに設定されている。検査電極220B4、220C4、220D4、220A4間のY方向の間隔は、前記検査移動距離と略同じに設定されている。
【0024】
以下、検査用ボード200を用いてプローブカード100の導通検査を行う方法について詳しく説明する。このプローブカード100の導通検査においては、プローブカード100を用いてウエハに形成された半導体デバイスの電気的諸特性の検査を行う周知のテスターを用いて行う。当該導通検査の環境温度は、半導体デバイスの検査時の環境温度(高温環境下の検査の場合、例えば80〜150℃、低温環境下の検査の場合、例えば−20〜40℃)と略同じに設定する。
【0025】
まず、テスターのプローバーのホルダーにプローブカード100を取り付ける。このとき、プローバーのスプリングプローブPがプローブカード100の共通電極120に各々接触する。その後、検査用ボード200を用意し、当該検査用ボード200を前記テスターのプローバーのステージにセットする。
【0026】
その後、テスターの操作部を通じて、プローブカード100の導通検査の開始操作がなされると、スプリングプローブPを通じてプローブカード100の共通電極120に電力が供給される。この状態で、プローバーが動作し、プローブカード100と検査用ボード200とが相対的に接近する。すると、プローブカード100の共通電極120に各々接続されたプローブ130のうちの一本のプローブ130(すなわち、共通電極120に各々対応する検査対象のプローブ130(複数))が、検査用ボード200の検査電極220に各々略同時に接触する。これと共に、各共通電極120に接続された残りのプローブ130(前記一本のプローブ130を除いたプローブ130)が第1面210に接触する。具体的には図3(b)に示すように、プローブ領域α1のプローブ130A1が検査領域T1の検査電極220A1に、プローブ領域α2のプローブ130D2が検査領域T2の検査電極220D2に、プローブ領域α3のプローブ130C3が検査領域T3の検査電極220C3に、プローブ領域α4のプローブ130B4が検査領域T4の検査電極220B4に略同時に接触する。これと共に、プローブ領域α1のプローブ130B1〜130D1、プローブ領域α2のプローブ130A2〜130C2、プローブ領域α3のプローブ130A3、130B3、130D3及びプローブ領域α4のプローブ130A4、130C4、130D4が第1面210に接触する。このとき、前記テスターにより、プローブ領域α1のプローブ130A1と共通電極120Aとの間、プローブ領域α2のプローブ130D2と共通電極120Dとの間、プローブ領域α3のプローブ130C3と共通電極120Cとの間、及びプローブ領域α4のプローブ130B4と共通電極120Bとの間が各々電気的に導通しているか否かの検査が行われる。
【0027】
その後、プローバーが動作し、プローブカード100と検査用ボード200とが相対的に離反する。その後、プローバーが動作し、プローブカード100と検査用ボード200とが相対的に図3(b)のY方向の図示下方向に所定の検査移動距離を平行移動しつつ、接近する。すると、プローブカード100の共通電極120に各々接続されたプローブ130のうちの別の一本のプローブ130(すなわち、共通電極120に各々対応する別の検査対象のプローブ130(複数))が、検査用ボード200の別の検査電極220に各々略同時に接触する。これと共に、各共通電極120に接続された残りのプローブ130(前記別の一本のプローブ130を除いたプローブ130)が第1面210に接触する。具体的には図3(b)に示すように、プローブ領域α1のプローブ130B1が検査領域T1の検査電極220B1に、プローブ領域α2のプローブ130A2が検査領域T2の検査電極220A2に、プローブ領域α3のプローブ130D3が検査領域T3の検査電極220D3に、プローブ領域α4のプローブ130C4が検査領域T4の検査電極220C4に略同時に接触する。これと共に、プローブ領域α1のプローブ130A1、130C1、130D1、プローブ領域α2のプローブ130B2〜130D2、プローブ領域α3のプローブ130A3〜130C3及びプローブ領域α4のプローブ130A4、130B4、130D4が第1面210に接触する。このとき、前記テスターにより、プローブ領域α1のプローブ130B1と共通電極120Bとの間、プローブ領域α2のプローブ130A2と共通電極120Aとの間、プローブ領域α3のプローブ130D3と共通電極120Dとの間、及びプローブ領域α4のプローブ130C4と共通電極120Cとの間が各々電気的に導通しているか否かの検査が行われる。
【0028】
その後、プローバーが動作し、プローブカード100と検査用ボード200とが相対的に離反する。その後、プローバーが動作し、プローブカード100と検査用ボード200とが相対的に図3(b)の上記図示下方向に所定の検査移動距離を平行移動しつつ、接近する。すると、プローブカード100の共通電極120に各々接続されたプローブ130のうちの別の一本のプローブ130(すなわち、共通電極120に各々対応する別の検査対象のプローブ130(複数))が、検査用ボード200の別の検査電極220に各々略同時に接触する。これと共に、各共通電極120に接続された残りのプローブ130(前記別の一本のプローブ130を除いたプローブ130)が第1面210に接触する。具体的には図3(b)に示すように、プローブ領域α1のプローブ130C1が検査領域T1の検査電極220C1に、プローブ領域α2のプローブ130B2が検査領域T2の検査電極220B2に、プローブ領域α3のプローブ130A3が検査領域T3の検査電極220A3に、プローブ領域α4のプローブ130D4が検査領域T4の検査電極220D4に略同時に接触する。これと共に、プローブ領域α1のプローブ130A1、130B1、130D1、プローブ領域α2のプローブ130A2、130C2、130D2、プローブ領域α3のプローブ130B3〜130D3及びプローブ領域α4のプローブ130A4〜130C4が第1面210に接触する。このとき、前記テスターにより、プローブ領域α1のプローブ130C1と共通電極120Cとの間、プローブ領域α2のプローブ130B2と共通電極120Bとの間、プローブ領域α3のプローブ130A3と共通電極120Aとの間、及びプローブ領域α4のプローブ130D4と共通電極120Dとの間が各々電気的に導通しているか否かの検査が行われる。
【0029】
その後、プローバーが動作し、プローブカード100と検査用ボード200とが相対的に離反する。その後、プローバーが動作し、プローブカード100と検査用ボード200とが相対的に図3(b)の上記図示下方向に所定の検査移動距離を平行移動しつつ、接近する。すると、プローブカード100の共通電極120に各々接続されたプローブ130のうちの別の一本のプローブ130(すなわち、共通電極120に各々対応する別の検査対象のプローブ130(複数))が、検査用ボード200の別の検査電極220に各々略同時に接触する。これと共に、各共通電極120に接続された残りのプローブ130(前記別の一本のプローブ130を除いたプローブ130)が第1面210に接触する。具体的には図3(b)に示すように、プローブ領域α1のプローブ130D1が検査領域T1の検査電極220D1に、プローブ領域α2のプローブ130C2が検査領域T2の検査電極220C2に、プローブ領域α3のプローブ130B3が検査領域T3の検査電極220B3に、プローブ領域α4のプローブ130A4が検査領域T4の検査電極220A4に略同時に接触する。これと共に、プローブ領域α1のプローブ130A1〜130C1、プローブ領域α2のプローブ130A2、130B2、130D2、プローブ領域α3のプローブ130A3、130C3、130D3及びプローブ領域α4のプローブ130B4〜130D4が第1面210に接触する。このとき、前記テスターにより、プローブ領域α1のプローブ130D1と共通電極120Dとの間、プローブ領域α2のプローブ130C2と共通電極120Cとの間、プローブ領域α3のプローブ130B3と共通電極120Bとの間、及びプローブ領域α4のプローブ130A4と共通電極120Aとの間が電気的に導通しているか否かの検査が行われる。
【0030】
その後、プローバーが動作してプローブカード100と検査用ボード200とが相対的に離反する。その後、スプリングプローブPを通じたプローブカード100の共通電極120に対する電力の供給がストップし、プローブカード100の導通検査が終了する。
【0031】
上述したプローブカード100の検査方法による場合、プローブカード100と検査用ボード200との一度の接近において、プローブカード100の共通電極120に各々接続されたプローブ130のうちの一本のプローブ130が、検査用ボード200の検査電極220に各々略同時に接触し、これにより全共通電極120とこれに接続された一本のプローブ130との導通検査が略同時に行われるようになっている。換言すると、共通電極120とこれに接続されたプローブ130との一本毎の導通検査が、全共通電極120において同時並行で行われる。よって、全てのプローブ130と共通電極120との間の導通検査にかかる時間を短縮することができる。例えば、プローブ130が20000本の場合、検査時間を約1時間に短縮できる。
【0032】
なお、上述したプローブカードの検査方法は、上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
【0033】
上記実施の形態では、プローブカード100は、基板110と、複数の共通電極120と、複数のプローブ130を備えるとしたが、これに限定されるものではない。検査対象となるプローブカードは、少なくとも、第1、第2共通電極と、前記第1共通電極に電気的に接続された複数の第1プローブと、前記第2共通電極に電気的に接続された複数の第2プローブとを備えている限りどのような構成のものであっても良い。例えば、プローブカードが、メイン基板と、サブ基板と、メイン基板とサブ基板との間を接続するインターポーザーと、メイン基板に設けられた第1、第2共通電極と、サブ基板に設けられ且つ第1共通電極に接続された複数の第1プローブと、サブ基板に設けられ且つ第2共通電極に接続された複数の第2プローブとを備えた構成とすることが可能である。この場合、メイン基板の導電ライン、インターポーザー及びサブ基板の導電ラインを通じて第1、第2共通電極と複数の第1、第2プローブとが電気的に接続されている。
【0034】
上記実施の形態のプローブカード100の検査方法は、検査用ボード200を用いて検査を行うとしたが、これに限定されるものではない。本発明に係るプローブカードの検査方法は、第1、第2共通電極に電力を供給しつつ、前記第1プローブを一本毎に第1検査電極に接触させると略同時に、前記第2プローブを一本毎に第2検査電極に接触させるようになっている限り任意に変更することが可能である。
【0035】
上記実施の形態では、検査電極220に接触するプローブ130以外のプローブ130は、検査用ボード200の第1面210に接触するとしたが、これに限定されるものではない。例えば、検査電極の高さ寸法を高くし、当該検査電極にプローブが各々接触した際、当該プローブ以外のプローブは、何ら接触しない構成とすることが可能である。また、プローブ130が検査電極220に接触する際に、検査電極220に接触するプローブ130以外のプローブ130を別途、絶縁部に接触させるようにしても構わない。
【0036】
上記実施の形態では、既存のテスターを用いてプローブカード100の検査を行うとしたが、プローブカードの検査専用機を用いることも可能である。
【0037】
上記実施の形態では、検査用ボード200は、絶縁処理された第1面210と、この第1面210に形成された複数の検査電極220とを備えているとしたが、これに限定されるものではない。検査用ボードは、絶縁処理された第1面と、前記第1面に設けられた複数の第1、第2検査電極と少なくともを備えており、前記第1、第2検査電極は、当該第1検査電極が前記第1共通電極に電気的に接続された第1プローブに対して一本毎に、当該第2検査電極が前記第2共通電極に電気的に接続された第2プローブに対して一本毎に略同時に接触し得るように配置されている限り任意に設計変更することが可能である。したがって、検査用ボードは、ウエハに限定されない。
【0038】
上記実施の形態では、検査用ボード200の第1面210の検査領域T1上には検査電極220A1〜D1が、検査領域T2には検査電極220A2〜D2が、検査領域T3には検査電極220A3〜D3が、検査領域T4には検査電極220A4〜D4が形成されているとしたが、これに限定されるものではない。検査電極の配置については、プローブカードの導通検査時に、第1検査電極が第1共通電極に電気的に接続された第1プローブに対して一本毎に、第2検査電極が第2共通電極に電気的に接続された第2プローブに対して一本毎に略同時に接触し得るように配置されている限り任意に設計変更することが可能である。例えば、図4に示すように、検査電極220A1〜D1をXY座標のY1列にX方向に一列に並べて配置し、検査電極220A2〜D2をXY座標のY2列にX方向に一列に並べて配置し、検査電極220A3〜D3をXY座標のY3列にX方向に一列に並べて配置し、検査電極220A4〜D4をXY座標のY4列にX方向に一列に並べて配置することができる。このように検査電極が配置された検査用ボードを用いてプローブカードの検査を行った場合であっても、共通電極120Aに接続されたプローブ130A1〜A4が一本毎に検査電極220A1〜A4に接触し、共通電極120Bに接続されたプローブ130B1〜ABが一本毎に検査電極220B1〜B4に接触し、共通電極120Cに接続されたプローブ130C1〜C4が一本毎に検査電極220C1〜C4に接触し、共通電極120Dに接続されたプローブ130D1〜D4が一本毎に検査電極220D1〜D4に接触するので、上記実施の形態と同様に、共通電極とこれに接続されたプローブとの一本毎の導通検査を、全共通電極において同時並行で行うことができる。よって、プローブカードの検査時間を短縮することができる。なお、図5の検査領域T1〜T4のXY座標は、説明の便宜上付したものであり、検査領域T1〜T4に現実に付されているわけではない。
【0039】
なお、上記実施の形態では、プローブカード100及び検査用ボード200の各部を構成する素材、形状、寸法、数及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
100・・・・プローブカード
110・・・基板
111・・第1面
112・・第2面
113・・導電ライン
120・・・共通電極
120A・共通電極(第1共通電極)
120B・共通電極(第2共通電極)
120C・共通電極
120D・共通電極
α・・・・・プローブ領域
130・・・プローブ
130A1〜A4・プローブ(第1プローブ)
130B1〜B4・プローブ(第2プローブ)
130C1〜C4・プローブ
130D1〜D4・プローブ
200・・・・検査用ボード
210・・・第1面
T・・・・・検査領域
220・・・検査電極
220A1〜A4・検査電極(第1検査電極)
220B1〜B4・検査電極(第2検査電極)
220C1〜C4・検査電極
220D1〜D4・検査電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1、第2共通電極と、前記第1共通電極に電気的に接続された複数の第1プローブと、前記第2共通電極に電気的に接続された複数の第2プローブとを備えたプローブカードの検査方法において、
前記第1、第2共通電極に電力を供給しつつ、前記第1プローブを一本毎に第1検査電極に、前記第2プローブを一本毎に第2検査電極に略同時に接触させるプローブカードの検査方法。
【請求項2】
請求項1記載のプローブカードの検査方法において、
前記第1、第2共通電極に電力を供給しつつ、前記第1プローブを一本毎に第1検査電極に、前記第2プローブを一本毎に第2検査電極に略同時に接触させると共に、当該第1、第2プローブ以外の第1、第2プローブを絶縁部に接触させるプローブカードの検査方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のプローブカードの検査方法において、
絶縁処理され前記絶縁部として機能する第1面と、この第1面上に配設された複数の前記第1、第2検査電極とを備えた検査用ボードを用意し、
その後、前記プローブカードと前記検査用ボードとを対向させ、
その後、前記第1、第2共通電極に電力を供給しつつ、前記プローブカードと前記検査用ボードとを相対的に移動させ、前記第1プローブを一本毎に第1検査電極に、前記第2プローブを一本毎に第2検査電極に略同時に接触させるプローブカードの検査方法。
【請求項4】
請求項3記載のプローブカードの検査方法に用いられる検査用ボードであって、
絶縁処理された第1面と、
前記第1面に設けられた複数の第1、第2検査電極とを備えており、
前記第1、第2検査電極は、当該第1検査電極が前記第1共通電極に電気的に接続された第1プローブに対して一本毎に、当該第2検査電極が前記第2共通電極に電気的に接続された第2プローブに対して一本毎に略同時に接触し得るように配置されている検査用ボード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−112771(P2012−112771A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261357(P2010−261357)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000232405)日本電子材料株式会社 (272)
【Fターム(参考)】