説明

プローブユニットおよび回路基板検査装置

【課題】ショートやリークの発生の防止、および円滑なプロービングを実現する。
【解決手段】第1挿通孔31aが形成された第1支持部31および第2挿通孔32aが形成された第2支持部32を有する本体部11と、先端部21および基端部22が第1挿通孔31aおよび第2挿通孔32aにそれぞれ挿通された状態で本体部11によって支持されて中央部23がプロービング時に湾曲可能に構成されると共に中央部23の直径が第1挿通孔31aの直径よりも大径となる厚みで中央部23の周面に第1絶縁層24が形成されたプローブピン12とを備え、プローブピン12における先端部21の表面の一部であって回路基板100の端子101に接触する部位を除く予め決め規定された先端領域Aには、先端領域Aの直径が第1挿通孔31aの直径よりも小径となる厚みで第2絶縁層25が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の支持部の挿通孔にプローブピンが挿通されて構成されたプローブユニット、そのプローブユニットを備えた回路基板検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回路基板の検査等に用いられるプローブユニットとして、特開2000−292439号公報に開示されたプローブユニット(垂直作動型プローブカード)が知られている。このプローブユニットは、中央部に座屈部を有する複数のプローブと、異方性導電体を介して各プローブの接続部に接触される配線パターンが形成された基板と、複数の貫通孔がそれぞれ形成された上側支持基板および下側支持基板を有するプローブ支持部材とを備えて構成されている。このプローブユニットでは、各プローブが、上側支持基板の貫通孔および下側支持基板の貫通孔に貫通させられた状態で接着剤によって上側支持基板に固定されている。このため、このプローブカードには、プローブを交換する際のプローブの取り外し作業および取り付け作業が煩雑であるという問題点が存在する。
【0003】
この問題点を解決すべく、発明者は、図9に示すプローブユニット102を既に開発している。このプローブユニット102は、プローブ本体120が金属で形成されたプローブピン112とプローブピン112を支持する第1支持部131および第2支持部132とを備えて構成されている。このプローブユニット102では、隣接する他のプローブピン112との絶縁を兼ねて、プローブピン112の中央部123に絶縁層124が形成され、この絶縁層124によって中央部123が第1支持部131の第1挿通孔131aよりも大径となるように構成されている。このプローブユニット102を組み立てる際には、第2支持部132の第2挿通孔132aおよび第1支持部131の第1挿通孔131aにプローブピン112を挿通させて先端部121を第1支持部131から突出させ、次いで、電極板113を第2支持部132に当接させて固定する。これにより、プローブピン112が第1支持部131および第2支持部132によって保持される。この場合、第1挿通孔131aよりも大径に形成した中央部123の端部、つまり中央部123に形成した絶縁層124の端部が第1支持部131における第1挿通孔131aの縁部に当接し、これによって第1挿通孔131aからのプローブピン112の抜けが規制される。このように、このプローブユニット102では、接着剤を用いてプローブピン112を固定する作業を省略することができるため、プローブピン112の取り外し作業および取り付け作業を容易に行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−292439号公報(第3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、出願人が開発した上記のプローブユニット102には、改善すべき以下の課題がある。すなわち、このプローブユニット102では、中央部123にのみ絶縁層124を形成している。このため、プローブピン112の先端部121は、金属で形成されたプローブ本体120の表面(金属面)が露出した状態となっている。一方、回路基板上の端子に対してプローブピン112をプロービングさせたときには、端子や端子に付着している半田がプローブピン112によって削られて金属屑(切削屑)が発生し、この金属屑がプローブピン112の先端部121に付着することがある。この場合、このプローブユニット102では、回路基板の高密度化に対応して各プローブピン112の間隔が非常に狭く規定されている。このため、隣接するプローブピン112における金属面が露出している先端部121同士が、付着したが金属屑を介して電気的に接続され、これに起因してショートやリークが発生するおそれがある。また、発明者は、金属面が露出しているプローブピン112の先端部121に付着した半田の切削屑(半田屑)が先端部121の金属面に固着し易いことを見いだしている。この場合、プロービングの際の中央部123の座屈に伴って先端部121が第1支持部131に対して摺動するときに、先端部121に固着した半田屑が第1挿通孔131a内に引き込まれ、この半田屑によって先端部121の摺動が阻害されて円滑なプロービングが困難となるおそれもある。
【0006】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、ショートやリークの発生の防止、および円滑なプロービングを実現し得るプローブユニットおよび回路基板検査装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく請求項1記載のプローブユニットは、第1挿通孔が形成された板状の第1支持部および当該第1支持部に対して対向配置されると共に第2挿通孔が形成された板状の第2支持部を有する本体部と、先端部および基端部が前記第1挿通孔および前記第2挿通孔にそれぞれ挿通された状態で前記本体部によって支持されて前記第1支持部および前記第2支持部の間に位置する中央部がプロービング時に湾曲可能に構成されると共に当該中央部の直径が前記第1挿通孔の直径よりも大径となる厚みで当該中央部の周面に第1絶縁層が形成されたプローブピンとを備えたプローブユニットであって、前記プローブピンにおける前記先端部の表面の一部であってプロービング対象体に接触する部位を除く予め決め規定された先端領域には、当該先端領域の直径が前記第1挿通孔の直径よりも小径となる厚みで第2絶縁層が形成されている。
【0008】
また、請求項2記載のプローブユニットは、請求項1記載のプローブユニットにおいて、前記中央部の周面および前記先端領域に前記第2絶縁層が連続的に形成され、前記第1絶縁層は前記中央部に形成された前記第2絶縁層の上部に上層として形成されている。
【0009】
また、請求項3記載のプローブユニットは、請求項1または2記載のプローブユニットにおいて、前記プローブピンは、前記先端部が一様な太さの円柱状に形成され、前記先端部の周面の全域が前記先端領域として規定されている。
【0010】
さらに、請求項4記載のプローブユニットは、請求項1または2記載のプローブユニットにおいて、前記プローブピンは、前記先端部が先端に向かうに従って小径となる小径部を有して構成され、前記先端部における当該小径部を除く部分の周面が前記先端領域として規定されている。
【0011】
また、請求項5記載の回路基板検査装置は、請求項1から4のいずれかに記載のプローブユニットと、プロービング対象体としての回路基板に接触させた前記プローブユニットの前記プローブピンを介して入出力した電気信号に基づいて当該回路基板に対する電気的検査を実行する検査部とを備えている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載のプローブユニットによれば、プローブピンの先端部における先端領域に第2絶縁層を形成したことにより、プロービングの際に発生した金属屑がプローブピンの先端部に付着したとしても、隣接するプローブピンの先端部同士がその金属屑を介して電気的に接続される事態を確実に防止することができる。このため、このプローブユニットによれば、隣接するプローブピンの先端部同士の電気的な接続に起因するショートやリークの発生を確実に防止することができる。また、このプローブユニットによれば、先端部の先端領域に第2絶縁層が形成されてプローブピンの金属面が露出していないため、プロービングの際に発生した半田の切削屑(半田屑)が先端部の先端領域に付着したとしても、その半田屑が先端領域に固着する事態を確実に防止することができる。このため、このプローブユニットによれば、先端部の先端領域に固着した半田屑が第1支持部の第1挿通孔内に引き込まれて、この半田屑によってプロービングの際の先端部の摺動が阻害される事態を確実に防止することができ、この結果、円滑なプロービングを実現することができる。
【0013】
また、請求項2記載のプローブユニットでは、プローブピンの中央部の周面および先端部の先端領域に第2絶縁層が連続的に形成されて、中央部に形成された第2絶縁層の上部に上層としての第1絶縁層が形成されている。このため、このプローブユニットによれば、中央部の周面から先端部の先端領域の間にプローブピンの表面(金属面)が露出する部分が存在しないため、隣接するプローブピンの先端部同士が金属屑を介して電気的に接続される事態をより確実に防止することができると共に、半田屑が先端部の先端領域に固着して第1支持部の第1挿通孔内に引き込まれる事態をより確実に防止することができる。
【0014】
また、請求項3記載のプローブユニットによれば、プローブピンの先端部を一様な太さの円柱状に形成し、先端部の周面の全域を先端領域として規定して第2絶縁層を形成したことにより、端面を除く先端部の表面の全ての部分を第2絶縁層で覆ってプローブピンの金属面を露出させない状態とすることができる。このため、このプローブユニットによれば、露出する金属面を最小限に抑えることができ、この結果、隣接するプローブピンの先端部同士が金属屑を介して電気的に接続される事態をさらに確実に防止することができると共に、半田屑が先端部の先端領域に固着して第1支持部の第1挿通孔内に引き込まれる事態をさらに確実に防止することができる。
【0015】
さらに、請求項4記載のプローブユニットによれば、先端に向かうに従って小径となる小径部を有して先端部を構成したことにより、例えば、プロービング対象体としての回路基板の端子の形状が半球状であったり、回路基板の表面と端子の表面とが面一であったりしたときに、これらの端子に対して先端部(小径部)を確実に接触させることができる。
【0016】
また、請求項5記載の回路基板検査装置によれば、上記のプローブユニットを備えたことにより、上記のプローブユニットが有す効果と同様の効果を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】回路基板検査装置1の構成を示す構成図である。
【図2】プローブユニット2の構成を示す構成図である。
【図3】プローブユニット2の断面図である。
【図4】プローブピン12の断面図である。
【図5】プローブユニット2の組立て方法を説明する第1の説明図である。
【図6】プローブユニット2の組立て方法を説明する第2の説明図である。
【図7】プローブユニット2aの断面図である。
【図8】プローブユニット2bの断面図である。
【図9】プローブユニット102の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るプローブユニットおよび回路基板検査装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
最初に、回路基板検査装置1の構成について説明する。図1に示す回路基板検査装置1は、プロービング対象体の一例としての回路基板100についての電気的検査を実行可能に構成されている。具体的には、回路基板検査装置1は、同図に示すように、プローブユニット2、移動機構3、回路基板支持部4、検査部5および制御部6を備えて構成されている。
【0020】
プローブユニット2は、一例として、図2に示すように、本体部11、プローブピン12および電極板13を備えて構成されている。
【0021】
本体部11は、図2に示すように、第1支持部31、第2支持部32および連結部33を備えて構成されている。第1支持部31は、非導電性を有する樹脂材料等によって板状に形成されている。また、第1支持部31には、図3に示すように、複数の第1挿通孔31aが形成されている。この場合、第1挿通孔31aは、後述するプローブピン12の先端部21の挿通を可能とし、プローブピン12の中央部23の挿通を規制可能な大きさ、つまり、その直径D1が、先端部21の直径D4よりも大径で、かつ中央部23の直径D5よりも小径となるように形成されている(図5参照)。
【0022】
第2支持部32は、図3に示すように、支持板41,42を備えて構成されている。支持板41は、非導電性を有する樹脂材料等によって板状に形成されている。また、支持板41は、第1支持部31に対して平行(またはほぼ平行)な状態で対向配置されて、図2に示すように、連結部33によって第1支持部31に連結されている。また、支持板41には、図3に示すように、複数の挿通孔41aが形成されている。この場合、挿通孔41aは、プローブピン12の中央部23の挿通を可能とする大きさ、つまり、その直径D2が、中央部23の直径D5よりも大径となるように形成されている(図5参照)。
【0023】
また、支持板41には、図3に示すように、固定ピン43を挿入可能な挿入孔41c,41dが形成されている。この場合、挿入孔41cは、図5に示すように、プローブユニット2の組み立てに際してプローブピン12を第1挿通孔31a、挿通孔41aおよび後述する挿通孔42aに挿通させるときに、各挿通孔31a,41a,42aの中心軸が同軸となる状態(第1状態)に支持板41,42を位置合わせする際に用いられる。また、挿入孔41dは、図6に示すように、各挿通孔41a,42aの中心軸が軸ずれした状態(第2状態)に支持板41,42を位置させて、各挿通孔31a,41a,42aに挿通させたプローブピン12を湾曲(弾性変形)させる際に用いられる。
【0024】
支持板42は、図3に示すように、非導電性を有する樹脂材料等によって板状に形成され、支持板41に対してスライド可能に支持板41の上部に配設されている。また、支持板42には、図5に示すように、上記した第1状態において支持板41の各挿通孔41aにそれぞれ連通する複数の挿通孔42aが形成されている。この場合、挿通孔42aは、その直径D3が、例えば、挿通孔41aの直径D2と同径となるように形成されている。なお、挿通孔41a,42aによって第2挿通孔32aが構成される(図3参照)。
【0025】
また、支持板42には、図3に示すように、上記した固定ピン43を挿入可能な挿入孔42c,42dが形成されている。この場合、挿入孔42cは、上記した第1状態において、支持板41の挿入孔41cに連通する位置に形成され(図5参照)、挿入孔42dは、上記した第2状態において、支持板41の挿入孔41dに連通する位置に形成されている(図6参照)。
【0026】
プローブピン12は、一例として、導電性を有する金属材料(例えば、ベリリウム銅合金、SKH(高速度工具鋼)およびタングステン鋼など)によって弾性変形可能な棒状に形成されたプローブ本体20を備えて構成されている(図3,4参照)。また、プローブピン12(プローブ本体20)は、図4に示すように、先端部21が一様な太さの円柱状に形成され、基端部22の先端が鋭利に形成されている。
【0027】
また、図4に示すように、プローブピン12(プローブ本体20)の先端部21における予め決め規定された領域(以下、この領域を「先端領域A」ともいう)と、プローブピン12の中央部23の周面には、第2絶縁層25が形成されている。このプローブユニット2では、同図に示すように、先端部21の表面21a(同図に示す端面21bおよび周面21c)のうちの、プロービング時に回路基板100の端子101に接触する先端部21の端面21bを除く全領域、つまり円柱状に形成された先端部21の周面21cの全域が先端領域Aとして規定されている。
【0028】
この場合、第2絶縁層25は、先端領域Aにおけるプローブピン12の直径(先端部21の直径D4)が第1挿通孔31aの直径D1よりも小径となる厚みで形成されている。また、第2絶縁層25は、一例として、プローブピン12(プローブ本体20)の中央部23の周面および先端部21の先端領域Aに、絶縁性を有するコーティング材料(例えば、テフロン(登録商標)等のフッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリエステルおよびポリイミドなど)を塗布することによって形成される。
【0029】
また、図4に示すように、中央部23に形成された第2絶縁層25の上部には、上層としての第1絶縁層24が重ねて形成(積層)されている。この場合、第1絶縁層24は、例えば、上記したコーティング材料を塗布することにより、中央部23の直径D5が第1挿通孔31aの直径D1よりも大径となる厚みで形成される。
【0030】
また、プローブピン12は、図3に示すように、先端部21が支持部31の第1挿通孔31aに挿通され、基端部22が第2支持部32の第2挿通孔32aに挿通された状態で本体部11によって支持されている。
【0031】
電極板13は、図3に示すように、非導電性を有する樹脂材料等によって板状に形成されて、本体部11の第2支持部32(支持板42)の上部に配設され、本体部11と共に移動機構3の取り付け板(図示せず)に固定される。また、電極板13における各プローブピン12の各基端部22との接触部位には、同図に示すように、導電性を有する端子13aが嵌め込まれており、この各端子13aには、プローブピン12と検査部5とを電気的に接続するためのケーブル13bがそれぞれ接続されている。
【0032】
移動機構3は、プローブユニット2を固定可能に構成されて、制御部6の制御に従い、回路基板支持部4に対して近接する向きおよび離反する向きにプローブユニット2を移動させる。回路基板支持部4は、回路基板100を保持可能に構成されている。検査部5は、制御部6の制御に従い、プローブユニット2のプローブピン12を介して入力した電気信号に基づいて回路基板100に対して断線検査や短絡検査などの予め決められた電気的検査を実行する。制御部6は、移動機構3を制御することにより、移動機構3に固定されたプローブユニット2を移動させる。また、制御部6は、検査部5を制御して、回路基板100に対する電気的検査を実行させる。
【0033】
次に、プローブユニット2の組立て方法について、図面を参照して説明する。
【0034】
まず、図5に示すように、第1支持部31の第1挿通孔31a、支持板41の挿通孔41a、および支持板42の挿通孔42aにおける各々の中心軸が同軸状態(第1状態)となるように支持板42をスライドさせる。この際に、支持板41の挿入孔41cと支持板42の挿入孔42cとが連通する。次いで、挿入孔42c,41cに固定ピン43を挿入する。これにより、支持板41と支持板42とが第1状態に維持される。
【0035】
続いて、図5に示すように、支持板42の各挿通孔42a、支持板41の挿通孔41a、および第1支持部31の第1挿通孔31aの順にプローブピン12を挿通させる。この場合、このプローブユニット2では、プローブピン12の先端部21の直径D4が第1挿通孔31aの直径D1よりも小径のため、先端部21(先端部21の一部)だけが第1挿通孔31aに挿通されて第1支持部31の下側に突出する。また、第1挿通孔31aの直径D1がプローブピン12の中央部23の直径D5よりも小径のため、中央部23の端部、つまり中央部23に形成されている第1絶縁層24の端部が第1支持部31における第1挿通孔31aの縁部に当接し、これによって第1挿通孔31aからのプローブピン12の抜けが規制される。
【0036】
次いで、各挿通孔31a,41a,42aへのプローブピン12の挿通が終了した後に、固定ピン43を挿入孔41c,42cから引き抜く。続いて、図6に示すように、各挿通孔41a,42aの中心軸が軸ずれする第2状態となるまで支持板42をスライドさせる。この際に、支持板42のスライドにより、プローブピン12の基端部22側がスライド方向に傾けられる結果、同図に示すように、中央部23がやや湾曲(弾性変形)させられる。また、第2の位置へのスライドにより、支持板41の挿入孔41dと支持板42の挿入孔42dとが連通する。次いで、挿入孔42d,41dに固定ピン43を挿入する。これにより、支持板41と支持板42とが第2状態に維持され、プローブピン12の中央部23がやや湾曲させられた状態に維持される。
【0037】
続いて、第2支持部32(支持板42)の上部に電極板13を配設し、移動機構3の取り付け板(図示せず)に第2支持部32(本体部11)を電極板13と共にねじ止めする。以上によりプローブユニット2の組立てが完了する。
【0038】
次に、回路基板検査装置1を用いて回路基板100に対する電気的検査を行う方法について、図面を参照して説明する。
【0039】
まず、回路基板支持部4に回路基板100を固定する。次いで、回路基板検査装置1を作動させる。この際に、制御部6が、移動機構3を制御することにより、回路基板100に対して近接する向きにプローブユニット2を移動させる。続いて、制御部6は、プローブユニット2の各プローブピン12における先端部21の端面21bが回路基板100の端子101に接触した位置から所定距離だけプローブユニット2を更に移動させる(図3参照)。この場合、このプローブユニット2では、プローブピン12の中央部23が事前にやや湾曲させられている。このため、プローブユニット2の移動に伴ってプローブピン12の先端部21が第2支持部32側に移動させられたときに、中央部23の湾曲量が変化(増大)すると共に、湾曲量の変化に起因する弾性力によって基端部22の先端が電極板13の端子13aに確実に接触する。
【0040】
ここで、このプローブユニット2では、先端部21の周面21c(先端部21の表面における端面21bを除く先端領域A)に第2絶縁層25が形成されている。このため、プロービングの際にプローブピン12によって端子101が削られて金属屑が発生して、この金属屑がプローブピン12の先端部21に付着したとしても、隣接するプローブピン12の先端部21同士は、付着した金属屑を介して電気的に接続される事態が確実に防止される。また、先端部21の周面21c(先端領域A)に第2絶縁層25が形成されてプローブ本体20の金属面が露出していないため、端子101付着している半田が削られて切削屑(半田屑)が発生して、半田屑がプローブピン12の先端部21に付着したとしても、その半田屑が周面21cに固着する事態が確実に防止される。
【0041】
次いで、検査部5が、制御部6の制御に従い、プローブピン12を介して入力した電気信号に基づいて回路基板100対する電気的検査を実行する。続いて、回路基板100に対する検査を終了したときには、制御部6は、移動機構3を制御して、回路基板100から離間する方向にプローブユニット2を移動させる。次いで、他の回路基板100に対する電気的検査を行う際には、上記の工程を繰り返して実行する。
【0042】
このように、このプローブユニット2および回路基板検査装置1によれば、プローブピン12の先端部21における先端領域Aとしての周面21cに第2絶縁層25を形成したことにより、プロービングの際に発生した金属屑がプローブピン12の先端部21に付着したとしても、隣接するプローブピン12の先端部21同士がその金属屑を介して電気的に接続される事態を確実に防止することができる。このため、このプローブユニット2および回路基板検査装置1によれば、隣接するプローブピン12の先端部21同士の電気的な接続に起因するショートやリークの発生を確実に防止することができる。また、このプローブユニット2および回路基板検査装置1によれば、先端部21の周面21cに第2絶縁層25が形成されてプローブ本体20の金属面が露出していないため、プロービングの際に発生した半田の切削屑(半田屑)がプローブピン12の先端部21に付着したとしても、その半田屑が周面21cに固着する事態を確実に防止することができる。このため、このプローブユニット2および回路基板検査装置1によれば、先端部21に固着した半田屑が第1挿通孔31a内に引き込まれて、この半田屑によってプロービングの際の先端部21の摺動が阻害される事態を確実に防止することができ、この結果、円滑なプロービングを実現することができる。
【0043】
また、このプローブユニット2および回路基板検査装置1では、プローブピン12の中央部23の周面および先端部21の先端領域Aに第2絶縁層25が連続的に形成されて、中央部23に形成された第2絶縁層25の上部に上層としての第1絶縁層24が形成されている。このため、このプローブユニット2および回路基板検査装置1によれば、中央部23の周面から先端部21の先端領域Aの間にプローブ本体20の表面(金属面)が露出する部分が存在しないため、隣接するプローブピン12の先端部21同士が金属屑を介して電気的に接続される事態をより確実に防止することができると共に、半田屑が先端部21の周面21cに固着して第1挿通孔31a内に引き込まれる事態をより確実に防止することができる。
【0044】
さらに、このプローブユニット2および回路基板検査装置1によれば、プローブピン12の先端部21を一様な太さの円柱状に形成し、先端部21の周面21cの全域を先端領域Aとして規定して第2絶縁層25を形成したことにより、端面21bを除く先端部21の表面21aの全ての部分を第2絶縁層25で覆ってプローブ本体20の金属面を露出させない状態とすることができる。このため、このプローブユニット2および回路基板検査装置1によれば、露出する金属面を最小限に抑えることができ、この結果、隣接するプローブピン12の先端部21同士が金属屑を介して電気的に接続される事態をさらに確実に防止することができると共に、半田屑が先端部21の周面21cに固着して第1挿通孔31a内に引き込まれる事態をさらに確実に防止することができる。
【0045】
なお、プローブユニットおよび回路基板検査装置は、上記の構成に限定されない。例えば、プローブピン12の先端部21が一様な太さの円柱状に形成されている構成例について上記したが、図7に示すように、先端に向かうに従って小径となる小径部21dを先端部21が有しているプローブピン12aを用いてプローブユニット2aを構成することができ、そのプローブユニット2aを備えて回路基板検査装置を構成することもできる。なお、同図および後述の図8において、上記したプローブユニット2の構成要素と同じ機能を有するものについては、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0046】
また、図8に示すように、小径部21eが先端に向かうに従って小径になると共にその先端が鋭利に形成されているプローブピン12bを用いてプローブユニット2bを構成することができ、そのプローブユニット2aを備えて回路基板検査装置を構成することもできる。これらのプローブ2b,2cの構成では、先端部21における小径部21dを除く部分の周面21cが先端領域Aとして規定され、その先端領域Aに第2絶縁層25が形成されている。この構成によれば、先端部21が小径部21d,21eを有しているため、端子101の形状が半球状であったり(図7参照)、回路基板100の表面と端子101の表面とが面一であったり(図8参照)したときに、これらの端子101に対して先端部21(小径部21d,21e)を確実に接触させることができる。
【0047】
また、コーティング材料をコーティングして第1絶縁層24および第2絶縁層25を形成する例について上記したが、絶縁材料で形成した円筒体をプローブ本体20の先端部21や中央部23に装着して(円筒体にプローブ本体20を挿入して)、その絶縁材料を第1絶縁層24や第2絶縁層25とする構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0048】
1 回路基板検査装置
2,2a,2b プローブユニット
5 検査部
6 制御部
11 本体部
12,12a,12b プローブピン
21 先端部
21b 端面
21c 周面
21d,21e 小径部
22 基端部
23 中央部
24 第1絶縁層
25 第2絶縁層
31 第1支持部
31a 第1挿通孔
32 第2支持部
32a 第2挿通孔
41,42 支持板
41a,42a 挿通孔
100 回路基板
101 端子
A 先端領域
D1,D4,D5 直径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1挿通孔が形成された板状の第1支持部および当該第1支持部に対して対向配置されると共に第2挿通孔が形成された板状の第2支持部を有する本体部と、先端部および基端部が前記第1挿通孔および前記第2挿通孔にそれぞれ挿通された状態で前記本体部によって支持されて前記第1支持部および前記第2支持部の間に位置する中央部がプロービング時に湾曲可能に構成されると共に当該中央部の直径が前記第1挿通孔の直径よりも大径となる厚みで当該中央部の周面に第1絶縁層が形成されたプローブピンとを備えたプローブユニットであって、
前記プローブピンにおける前記先端部の表面の一部であってプロービング対象体に接触する部位を除く予め決め規定された先端領域には、当該先端領域の直径が前記第1挿通孔の直径よりも小径となる厚みで第2絶縁層が形成されているプローブユニット。
【請求項2】
前記中央部の周面および前記先端領域に前記第2絶縁層が連続的に形成され、前記第1絶縁層は前記中央部に形成された前記第2絶縁層の上部に上層として形成されている請求項1記載のプローブユニット。
【請求項3】
前記プローブピンは、前記先端部が一様な太さの円柱状に形成され、
前記先端部の周面の全域が前記先端領域として規定されている請求項1または2記載のプローブユニット。
【請求項4】
前記プローブピンは、前記先端部が先端に向かうに従って小径となる小径部を有して構成され、
前記先端部における当該小径部を除く部分の周面が前記先端領域として規定されている請求項1または2記載のプローブユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のプローブユニットと、プロービング対象体としての回路基板に接触させた前記プローブユニットの前記プローブピンを介して入出力した電気信号に基づいて当該回路基板に対する電気的検査を実行する検査部とを備えている回路基板検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−3002(P2013−3002A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135253(P2011−135253)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】