説明

プローブ製造方法、プローブ構造体、プローブ装置、および試験装置

【課題】被試験デバイスの入出力端子の配置に合わせた微細なプローブを形成する。
【解決手段】プローブを製造する製造方法であって、プローブ本体上に接点部を形成する接点形成段階と、接点部およびプローブ本体の少なくとも一方を切削工具により切削して整形する整形段階と、を備えるプローブ製造方法を提供する。接点形成段階は、プローブ本体となる基板上に接点部を形成し、整形段階において接点部およびプローブ本体となる基板の少なくとも一方を切削工具により整形した後に、基板におけるプローブ本体以外の部分を除いてプローブを形成するプローブ形成段階を更に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブ製造方法、プローブ構造体、プローブ装置、および試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被試験デバイスを試験する試験装置は、被試験デバイスが半導体ウェハに造り込まれた状態またはパッケージされた状態のままで試験するものがある。このような試験装置は、被試験デバイスの入出力端子にプローブ針を電気的に接触させた状態で試験を実行する(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開2009−2865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような試験装置は、被試験デバイスの入出力端子の配置に合わせてプローブを配置させなければならない。また、被試験デバイスの狭ピッチ化に伴い、プローブおよびプローブの接点を微細化しなければならず、このような微細なプローブ及びプローブの接点を形成することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、プローブを製造する製造方法であって、プローブ本体上に接点部を形成する接点形成段階と、接点部およびプローブ本体の少なくとも一方を切削工具により切削して整形する整形段階と、を備えるプローブ製造方法を提供する。
【0005】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本実施形態に係るプローブ構造体100の構成例を示す。
【図2】本実施形態に係るプローブ構造体100が被試験デバイス200と電気的に接続された状態を示す。
【図3】本実施形態に係るプローブ構造体100の製造フローを示す。
【図4】本実施形態に係るプローブ構造体100の接点部110の製造方法を示す。
【図5】本実施形態に係るプローブ構造体100の接点部110を、切削工具420が切削する例を示す。
【図6】本実施形態に係るプローブ構造体100の接点部110を、切削工具420が切削する別の例を示す。
【図7】本実施形態に係るプローブ本体120の腹を、切削工具420が切削する例を示す。
【図8】本実施形態に係るプローブ装置300の構成例を示す。
【図9】本実施形態に係る試験装置500の構成例を被試験デバイス200と共に示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、本実施形態に係るプローブ構造体100の構成例を示す。プローブ構造体100は、被試験デバイス200と物理的に接触して電気的に接続される。また、プローブ構造体100は、プローブ構造体100を実装する基板との間で、ボンディングワイヤ150により電気的に接続されてプローブ装置を形成する。プローブ構造体100は、接点部110と、プローブ本体120と、プローブパッド部130と、導電層140と、絶縁部160と、ピッカー吸着部170とを備える。
【0009】
接点部110は、被試験デバイスの入出力端子に物理的、かつ、電気的に接触して被試験デバイスとの間で電気信号を伝送する。接点部110は、被試験デバイスの入出力端子に面で接触するように、突部のない平面を有してよい。これに代えて、接点部110は、半球状の形状であってもよい。これに代えて、接点部110は、先端を丸めた針状の形状であってもよい。接点部110は、タングステン、パラジウム、ロジウム、金、白金、ルテニウム、イリジウム、および/またはニッケルを含んでよい。
【0010】
プローブ本体120は、接点部110が形成される。例えば、プローブ本体120は、シリコン基板から形成される。具体的には、プローブ本体120は、シリコン基板等の半導体基板に、フォトリソグラフィおよびエッチング等の半導体製造技術を用いて形成されてよい。これによって、プローブ本体120は、被試験デバイスの入出力端子のピッチに合わせて微細な形状で形成することができる。
【0011】
これに代えて、プローブ本体120は、切削工具等で切削されて形成されてもよい。また、プローブ本体120は、一例として櫛形形状に形成される。プローブ本体120は、櫛形形状のそれぞれの櫛の先端に、接点部110をそれぞれ有してよい。
【0012】
プローブパッド部130は、接点部110と電気的に接続される。プローブパッド部130は、プローブ本体120の表面上にメッキ等で形成されてよい。プローブパッド部130は、プローブ本体120に形成された複数の接点部110に対応して、複数形成されてよい。
【0013】
導電層140は、接点部110とプローブパッド部130とを電気的に接続する。導電層140は、プローブ本体120の表面上に形成されてよく、これに代えて、プローブ本体120の内部に形成されてもよい。導電層140は、タングステン、パラジウム、ロジウム、金、白金、ルテニウム、イリジウム、および/またはニッケルを含んでよく、接点部110と略同一の材質であってよい。
【0014】
ボンディングワイヤ150は、一端がプローブパッド部130にボンディングされて電気的に接続される。ボンディングワイヤ150は、金またはアルミニウムを含んでよい。ボンディングワイヤ150は、もう一端がプローブ構造体100を搭載する基板上のパッドに接続されてよい。
【0015】
絶縁部160は、プローブ本体120上に設けられ、ボンディングワイヤ150とプローブ本体120との間を絶縁する。また、絶縁部160は、複数のプローブパッド部130にそれぞれ接続される複数のボンディングワイヤ150同士の間を絶縁する。絶縁部160は、フォトリソグラフィによって、プローブ本体120上に形成されてよい。絶縁部160は、ポリイミドまたは永久膜レジスト等の絶縁体樹脂であってよい。絶縁部160は、ボンディングワイヤ150に接触してテンションをかける。
【0016】
ピッカー吸着部170は、製造時においてプローブ構造体100を吸着して保持するピッカーによって吸着されるべく設けられる。ピッカー吸着部170は、プローブ本体120上に設けられてよく、絶縁部160と同時に形成されてもよい。ピッカー吸着部170は、絶縁部160と略同一の絶縁体樹脂であってよい。また、ピッカー吸着部170は、表面積を導電層140の表面積よりも広く形成されてよい。
【0017】
図2は、本実施形態に係るプローブ構造体100が被試験デバイス200と電気的に接続された状態を示す。被試験デバイス200は、電気信号を入出力する1以上のパッド202と、デバイス表面に形成された電子回路等を保護する保護膜204とを有する。プローブ構造体100は、保護膜204に接触して破壊しないように、被試験デバイス200に合わせた接点幅、接点長、および形状の接点部110を備えることが望ましい。
【0018】
また、接点部110のパッド202と接触する接触部112は、パッド202と物理的に接触して電気的に接続するので、広い面積で接触することが望ましい。例えば、接触部112は、パッド202と面で接触することが望ましい。
【0019】
例えば、接触部112は、接触面がプローブ本体120に対して平行でなく、予め定められた角度を持つ。これによって、接点部110は、プローブ本体120とパッド202とが、ある角度を持って接する場合に、接触面積を増やすことができる。
【0020】
また、接点部110は、パッド202と電気的な接続を得る過程で、パッド202の表面に接触したまま表面上に沿って移動して引っかくような動作(スクラブ)をして、パッド202上にできる酸化膜を削り取ることがある。この場合、接点部110は、パッド202の表面上にできる傷(スクラブ痕)を比較的小さく、かつ、浅くできるような形状であることが望ましい。例えば、接点部110は、パッド202に接触する角部を落として断面を円形または球形に近づける面取り加工をしてよい。
【0021】
また、プローブ本体120は、プローブ本体120の腹の1部を加工した切り欠き部122を有して、柔軟性を調整してよい。これによって、接触部112は、深刻なスクラブ痕をつけることなく、パッド202と電気的に接続することができる。また、何らかの原因で、過大な圧力がプローブ本体120を押し下げる方向に加わった場合に、プローブ本体120は、過大な圧力を吸収するように曲がることができ、破壊を防ぐことができる。
【0022】
以上のような、本実施例にかかるプローブ構造体100を製造する方法を以下に示す。図3は、本実施形態に係るプローブ構造体100の製造フローを示す。図4は、本実施形態に係るプローブ構造体100の接点部110の製造方法を示す。
【0023】
まず、プローブ本体120となる基板上に接点部110を形成する(S500)。例えば、基板210上に接点部110と、プローブパッド部130と、導電層140とを形成する。基板210は、シリコンウェハであってよい。一例として、導電層140は、材料を加熱して気化または昇華させて基板210の表面に付着させる蒸着によって形成される。また、プローブパッド部130および接点部110は、蒸着された導電層140上に、さらにメッキ処理して形成されてよい。図4(a)において、表面上に接点部110と、プローブパッド部130と、導電層140とを形成した基板210の状態を示す。
【0024】
次に、基板210上に樹脂220を塗布する(S510)。樹脂220は、ポリイミドまたはレジスト等の液状の絶縁体樹脂であってよい。ここで、樹脂220は、基板210上に供給された後に基板210を高速回転して遠心力で薄膜を構成するスピンコートによって、塗布されてよい。これに代えて、樹脂220を噴射して塗布するスプレーコートによって塗布されてよい。基板210を加熱して、塗布した樹脂220を固化させる。図4(b)において、表面上に接点部110を形成した基板210に樹脂220を塗布した状態を示す。
【0025】
次に、接点部110およびプローブ本体120の少なくとも一方を切削工具420により切削して整形する(S520)。例えば、接点部110を切削工具420により切削して接点サイズを小さくする。ここで、プローブ本体120の延伸方向における接点部110の上面の長さが、接点部110のプローブ本体120に接する部分の長さより小さくなるように切削してよい。
【0026】
これによって、接点部110のプローブ本体120に接触する面積を減少させずに、接点部110の接触部112のサイズを被試験デバイス200のパッド202のサイズに合わせることができる。したがって、接点部110は、プローブ本体120上に高い密着力で形成することができる。
【0027】
このような接点部110は、プローブ本体120の延伸する面で切った断面が、プローブ本体120の延伸方向が長い長方形または台形といった四角形の形状を持ってよい。接触部112は、プローブ本体120の延伸する面とは異なる面の方向に切削して形成されてよい。また、接点部110は、接触部112の他に、接触部112とは異なる1以上の面を切削して接点部110が保護膜204に接触することを防いでよい。例えば、接点部110は、互いに異なる2つの面で切削されて、保護膜204に接触することを防ぐ。
【0028】
ここで、接点部110に設ける構造の角度に合わせた角度の切削工具420を、プローブ本体120の延伸方向に対して垂直に当ててよい。切削工具420は、回転しながら側面に備えた刃で切削対象を切削して、回転軸に直交する方向に穴を削り広げるエンドミル等であってよい。図4(c)および図4(d)において、接点部110に設ける構造の角度に合わせた角度の切削工具420を、基板210に垂直に当てた状態を示す。
【0029】
例えば、図4(c)において、切削工具420は、保護膜204に接触することを防ぐための互いに異なる2つの面を切削する。図は、互いに異なる2つの面を切削工具420による一度の切削で形成される例を示しているが、これに代えて、それぞれの面に対応した異なる切削工具420がそれぞれの面を切削してもよい。また、例えば、図4(d)において、切削工具420は、接触部112の面を切削する。
【0030】
ここで、切削工具420は、固化した樹脂220ごと切削してよく、切削した後に、樹脂220を除去する(S530)。ここで、光によって反応する化学物質を溶媒に溶かした樹脂220を用いる場合、光を照射して感光した部分を溶解させて樹脂220を除去してよい。これに代えて、樹脂220を、現像液または剥離液等によって除去してもよい。これによって、接点部110の削りカス等を樹脂に絡めて除去することができるので、微細な付着物を接点部110に残さずに切削することができる。
【0031】
ここで、切削工具420の切削によって接点部110の削りカスと樹脂220が分離しない程度に樹脂220の粘度が高い場合、樹脂220を固化する過程を省いて、切削工具420により塗布した樹脂220ごと接点部110を切削してもよい。図4(e)において、樹脂220を除去した状態を示す。
【0032】
次に、絶縁部160およびピッカー吸着部170を形成する(S540)。基板210に、ポリイミドまたは永久膜レジスト等の液状の絶縁体樹脂230を塗布する。ここで、絶縁体樹脂230を、スピンコートまたはスプレーコートによって塗布してよい。次に、基板210を加熱して、塗布した絶縁体樹脂230を固化させる。
【0033】
固化した絶縁体樹脂230に、マスク240を介してマスク240のパターンを露光する。絶縁体樹脂230は、例えば、光によって反応する化学物質を溶媒に溶かしたものであり、感光した部分が溶解する「ポジ型」または感光した部分が残る「ネガ型」がある。本例の絶縁体樹脂230はポジ型であり、光250に感光した部分が溶解する。図4(f)において、絶縁体樹脂230にマスク240を介して光250を照射した状態を示す。
【0034】
次に、露光した基板210を現像液に浸して、余分な部分の絶縁体樹脂230を除去する。これにより、基板210上に、絶縁部160およびピッカー吸着部170が形成される。図4(g)において、基板210上に、絶縁部160およびピッカー吸着部170が形成された状態を示す。
【0035】
以上の本実施例は、基板210上に樹脂220と絶縁体樹脂230とをそれぞれ塗布して、切削工具420の切削と絶縁部160およびピッカー吸着部170の形成とを、樹脂を塗布する毎にそれぞれ実行する例を説明した。これに代えて、基板210上に塗布した同一の絶縁体樹脂230に対して、切削工具420の切削と絶縁部160およびピッカー吸着部170の形成とを順次実行してもよい。
【0036】
例えば、基板210上に絶縁体樹脂230を塗布して固化させた後に、接点部110およびプローブ本体120の少なくとも一方を切削工具420により絶縁体樹脂230ごと切削して整形する。次に固化した絶縁体樹脂230に、マスク240を介してマスク240のパターンを露光して余分な部分の絶縁体樹脂230を除去することで、絶縁部160およびピッカー吸着部170を形成させる。これによって、基板210上に樹脂220を塗布する回数と、樹脂220を除去する回数を減らすことができる。
【0037】
次に、基板210におけるプローブ本体120以外の部分を除いてプローブ構造体100を形成する(S540)。基板210は、ガスを使用するドライエッチングまたは液体を用いるウェットエッチングで加工されてよい。これに代えて、基板210は、切削工具によって加工されてもよい。このような加工方法を用いて、基板210を櫛形に加工することにより、複数のプローブ針を有するプローブ構造体100を形成してよい。
【0038】
一例として、基板210である円形のシリコンウェハを櫛形に加工することにより、図1に示すプローブ構造体100を形成してよい。ここで、1枚の基板210から複数のプローブ構造体100を形成してよい。また、以上の本実施例に係るプローブ構造体100の製造方法は、1つの接点部110を切削工具420が切削することを例として説明した。これに代えて、切削工具420は、複数の接点部110を順次切削してよい。
【0039】
図5は、本実施形態に係るプローブ構造体100の接点部110を、切削工具420が切削する例を示す。切削工具420は、並列に並べられた複数のプローブの接点部110に対して、プローブ本体120の延伸方向と垂直に切削工具を当てて、延伸方向における接点部110の接触部112の長さを短くする。切削工具420は、例えば、図中の矢印が示す一方向に移動して、基板210上に形成された複数の接点部110を順次切削する。これによって、均一な形状の接点部110を形成することができる。
【0040】
図6は、本実施形態に係るプローブ構造体100の接点部110を、切削工具420が切削する別の例を示す。切削工具420は、並列に並べられた複数のプローブの接点に対して、プローブ本体120の延伸方向と平行に切削工具を当てて、接点部110の接触部112の幅を切削する。例えば、図中の矢印が示す方向に移動して、基板210上に形成された複数の接点部110を順次切削する。これによって、均一な形状の接点部110を形成することができる。
【0041】
以上の本実施例に係るプローブ構造体100の製造方法は、接点部110を切削することを例として説明した。これに代えて、切削工具420は、プローブ本体120を切削してもよい。図7は、本実施形態に係るプローブ本体120の腹を、切削工具420が切削する例を示す。切削工具420は、プローブ本体120の腹の少なくとも1箇所をプローブ本体120の延伸方向と垂直に切削して、プローブ本体120に切り欠き部122を形成して柔軟性を調整する。
【0042】
以上の図5から図7で説明した切削工具420による切削方法は、いずれも基板210の状態にあるプローブ本体120上の接点部110またはプローブ本体120を切削するので、接点部110およびプローブ本体120の形状にバラツキが発生しにくく、精度の高い加工を実施することができる。基板210は、切削工具420の切削加工の後に、例えば、図中の櫛形のプローブ形状以外の部分を除去することでプローブ構造体100を形成する。
【0043】
図8は、本実施形態に係るプローブ装置300の構成例を示す。プローブ装置300は、プローブ構造体100が有する接点部110を介して、被試験デバイス200と電気的に接続する。プローブ装置300は、プローブ構造体100と、実装基板部310と、配線部320とを備える。
【0044】
実装基板部310は、1以上のプローブ構造体100を実装する。実装基板部310は、一例としてセラミック等の熱膨張係数が比較的小さな材料によって形成される。ここで実装基板部310を、強度を保つ程度の厚さの範囲で、表面と裏面の温度差が小さくなるように薄くしてよい。これによって、実装基板部310は、温度等の環境変化による反りの発生を抑えることができ、デバイスの複数の入出力部に対して、複数のプローブを略同一の高さ、かつ、略同一の圧力で接触させることができる。
【0045】
配線部320は、プローブ構造体100に有する複数の接点部110と電気信号を授受する。配線部320は、実装基板部310のプローブ構造体100が実装される面に形成されてよく、パッド、貫通ビア、コネクタ、および回路素子等を含んでよい。また、配線部320は、貫通ビア等によって、実装基板部310の裏面に形成された回路と接続されてもよい。配線部320は、プローブ構造体100に有する複数のプローブパッド部130と、ボンディングワイヤ150で電気的に接続される。
【0046】
ここで、ボンディングワイヤ150は、絶縁部160に接触して絶縁部160によってテンションをかけられた状態を保つてよい。また、ボンディングワイヤ150は、一端がプローブパッド部130にボンディングされ、絶縁部160との接触した部分を支点としてループ状に曲げられ、実装基板部310上の配線部320に接続されてよい。
【0047】
これによって、ボンディングワイヤ150は、絶縁部160に接触することで空間的に精度よく配置させることができるので、よれを防ぐことができる。即ち、ボンディングワイヤ150は、狭ピッチでプローブ本体120が形成されても、プローブ本体120および隣のワイヤ等との電気的なショートを防ぐことができる。
【0048】
ここで絶縁部160は、弾力性を有してよく、ボンディングワイヤ150に接触してテンションをかける場合に、絶縁部160の表面が窪んでよい。これによって、ボンディングワイヤ150は、絶縁部160と接触した位置を保持することができ、狭ピッチでボンディングされても隣のワイヤとの電気的なショートを防ぐことができる。
【0049】
ここで、プローブ構造体100は、接着剤330を用いて配線部320に実装される。接着剤330は、紫外線等の光が照射されることによって硬化する紫外線硬化型接着剤であってよい。プローブ構造体100は、ピッカー340に吸着されて移動され、実装基板部310上に位置決めされて接着剤330によって固定されてよい。
【0050】
プローブ構造体100上に、プローブパッド部130よりも面積が広く均一な高さのピッカー吸着部170を設けているので、ピッカー340は、プローブパッド部130を精度よくしっかり吸着することができる。また、プローブ構造体100は、絶縁部160とピッカー吸着部170の高さを略同一にすることにより、ピッカー340は絶縁部160を含めて吸着できる。ピッカー340は、プローブパッド部130を精度よくしっかり吸着することによって、実装基板部310上にプローブ構造体100を精度よく配置することができる。
【0051】
以上の本実施例に係るプローブ装置300は、被試験デバイス200の微少なサイズのパッド202および狭ピッチに並んだ複数のパッド202に対応できる接点部110を備えるプローブ構造体100を精度よく実装できる。また、接点部110が有するプローブパッド部130と狭ピッチで精度よくワイヤボンディングすることができる。以上の本実施例は、絶縁部160とピッカー吸着部170で精度よくプローブ構造体100を実装する例を説明したが、プローブ構造体100の配置する精度が求められない場合は、絶縁部160および/またはとピッカー吸着部170は無くてもよい。
【0052】
図9は、本実施形態に係る試験装置500の構成例を被試験デバイス200と共に示す。試験装置500は、アナログ回路、デジタル回路、アナログ/デジタル混載回路、メモリ、およびシステム・オン・チップ(SOC)等の少なくとも1つを有する被試験デバイス200を試験する。試験装置500は、被試験デバイス200を試験するための試験パターンに基づく試験信号を被試験デバイス200に入力して、試験信号に応じて被試験デバイス200が出力する出力信号に基づいて被試験デバイス200の良否を判定する。試験装置500は、制御部510と、テストヘッド部530とを備える。
【0053】
制御部510は、テストヘッド部530へ試験を実行するための制御信号を送信する。また、制御部510は、テストヘッド部530の試験結果を受け取って、記憶装置に記憶および/または表示装置に表示してよい。
【0054】
テストヘッド部530は、試験部520を有する。試験部520は、被試験デバイス200との間で電気信号を授受して被試験デバイス200を試験する。試験部520は、試験信号発生部524と、期待値比較部526とを含む。
【0055】
試験信号発生部524は、被試験デバイス200へ供給する複数の試験信号を発生する。試験信号発生部524は、試験信号に応じて被試験デバイス200が出力する応答信号の期待値を生成してよい。試験信号発生部524は、プローブ装置300を介して複数の被試験デバイス200に接続されて、複数の被試験デバイス200を試験してよい。
【0056】
期待値比較部526は、テストヘッド部530が受信した受信データ値を期待値と比較する。期待値比較部526は、期待値を試験信号発生部524から受信してよい。試験装置500は、期待値比較部526の比較結果に基づき、被試験デバイス200の良否を判定してよい。
【0057】
テストヘッド部530は、1以上のデバイスを有する被試験デバイス200に接続され、試験装置500と被試験デバイス200との試験信号をやり取りする。テストヘッド部530は、本実施例に係るプローブ装置300を有する。
【0058】
試験装置500は、本実施形態に係るプローブ装置300によって被試験デバイス200と電気的に接続される。これによって試験装置500は、実装密度が高いデバイスの入出力端子、または複雑な配置の入出力端子を有する被試験デバイス200の試験を実行することができる。
【0059】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0060】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0061】
100 プローブ構造体、110 接点部、112 接触部、120 プローブ本体、122 切り欠き部、130 プローブパッド部、140 導電層、150 ボンディングワイヤ、160 絶縁部、170 ピッカー吸着部、200 被試験デバイス、202 パッド、204 保護膜、210 基板、220 樹脂、230 絶縁体樹脂、240 マスク、250 光、300 プローブ装置、310 実装基板部、320 配線部、330 接着剤、340 ピッカー、420 切削工具、500 試験装置、510 制御部、520 試験部、524 試験信号発生部、526 期待値比較部、530 テストヘッド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブを製造するプローブ製造方法であって、
プローブ本体上に接点部を形成する接点形成段階と、
前記接点部および前記プローブ本体の少なくとも一方を切削工具により切削して整形する整形段階と、
を備えるプローブ製造方法。
【請求項2】
前記接点形成段階は、前記プローブ本体となる基板上に前記接点部を形成し、
前記整形段階において前記接点部および前記プローブ本体となる前記基板の少なくとも一方を前記切削工具により整形した後に、前記基板における前記プローブ本体以外の部分を除いてプローブを形成するプローブ形成段階を更に備える請求項1に記載のプローブ製造方法。
【請求項3】
前記整形段階は、前記接点部を前記切削工具により切削して接点サイズを小さくする接点加工段階を有する請求項2に記載のプローブ製造方法。
【請求項4】
前記接点加工段階は、前記プローブの延伸方向における前記接点部の上面の長さが、前記接点部の前記プローブに接する部分の長さより小さくなるように切削する請求項3に記載のプローブ製造方法。
【請求項5】
前記接点加工段階は、前記接点部に設ける構造の角度に合わせた角度の前記切削工具を、プローブの延伸方向に対して垂直に当てる請求項4に記載のプローブ製造方法。
【請求項6】
前記接点加工段階は、並列に並べられた複数のプローブの接点に対して、プローブの延伸方向と垂直に前記切削工具を当てて、延伸方向における接点の長さを短くする請求項3から5のいずれかに記載のプローブ製造方法。
【請求項7】
前記接点加工段階は、並列に並べられた複数のプローブの接点に対して、プローブの延伸方向と平行に前記切削工具を当てて、接点の幅を切削する請求項3から5のいずれかに記載のプローブ製造方法。
【請求項8】
前記整形段階は、前記切削工具により整形する前に、前記基板上に樹脂を塗布する塗布段階を更に有し、前記切削工具により前記樹脂ごと切削して整形する請求項2から7のいずれかに記載のプローブ製造方法。
【請求項9】
前記塗布段階は、前記樹脂を加熱して固化させ、
前記整形段階は、前記切削工具により固化した前記樹脂ごと切削した後に、前記樹脂を除去する請求項8に記載のプローブ製造方法。
【請求項10】
前記整形段階は、前記プローブの腹の少なくとも1箇所を前記プローブの延伸方向と垂直に切削して、前記プローブの柔軟性を調整する請求項1から9のいずれかに記載のプローブ製造方法。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載のプローブ製造方法で製造され、被試験デバイスと電気的に接続するプローブ構造体。
【請求項12】
被試験デバイスと電気的に接続するプローブ装置であって、
1以上の請求項11に記載のプローブ構造体を実装する実装基板部と、
前記プローブ構造体に有する複数の接点と電気信号を授受する配線部と、
を備えるプローブ装置。
【請求項13】
被試験デバイスを試験する試験装置であって、
前記被試験デバイスとの間で電気信号を授受して前記被試験デバイスを試験する試験部と、
前記被試験デバイスと電気的に接続する請求項12に記載のプローブ装置と、
を備える試験装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−52887(P2012−52887A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194979(P2010−194979)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】