説明

ヘッドマウントディスプレイ

【課題】携帯電話が受信したメッセージを容易に確認することができるヘッドマウントディスプレイを提供する。
【解決手段】ユーザーの頭部に装着され、ユーザーに画像を視認させる画像表示部52と、ユーザーが所持する携帯電話80と通信する通信手段と、通信相手の電話90に待受モードであることを通知させる待受モード通知情報を生成し、当該待受モード通知情報を、前記通信手段を介して携帯電話80に送信する待受モード設定手段を有し、前記通信手段は携帯電話80が受信したメッセージを取得し、当該メッセージが画像表示部52で表示される。ユーザーは、入力部53を操作したり、頭を動かしたりすることにより、前記メッセージに対する応答を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話が受信したメッセージを容易に確認することができるヘッドマウントディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話を利用して、メール等のメッセージを送受信する技術が知られている。携帯電話は持ち運びが可能なため、携帯電話の所有者は、メッセージを受信したときに確認することができる。しかし、会議中等手が離せない場合には、携帯電話の所有者は受信したメッセージを確認することは困難であった。そこで、特許文献1には、腕時計型の表示装置に着信情報等を表示させる携帯端末システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000―69149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される携帯端末システムでは、ユーザーが腕時計型の表示装置を見るために視線をそらす必要があり、会議中等手が離せない場合には前記表示装置に表示されたメッセージを確認することが困難であった。
本発明は、上記問題を解決し、携帯電話が受信したメッセージを簡単に確認することができるシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、
ユーザーの頭部に装着され、ユーザーに画像を視認させる画像表示部と、
ユーザーが所持する携帯電話と通信する通信手段と、
通信相手の電話情報が記憶される電話情報記憶手段と、
通信相手の電話情報を、前記通信手段を介して取得し、前記電話情報を前記電話情報記憶手段に記憶させる電話情報取得手段と、
前記電話情報取得手段が、前記電話情報を取得した場合に、前記ユーザーが所持する携帯電話の通信相手の電話に、前記ユーザーが所持する携帯電話が受信したメッセージを前記画像表示部で表示可能な状態である待受モードであることを通知させる待受モード通知情報を生成し、当該待受モード通知情報を、前記通信手段を介して、前記ユーザーが所持する携帯電話に送信する待受モード設定手段と、
前記ユーザーが所持する携帯電話が受信したメッセージを、前記通信手段を介して取得するメッセージ取得手段と、
前記メッセージ取得手段が取得したメッセージを、前記画像表示部で表示させるメッセージ表示手段とを、
有することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
待受モードが設定されているか否かを判断する待受モード判断手段を有し、
待受モード判断手段が、待受モードであると判断した場合に限り、
待受モード設定手段は待受モード通知情報をユーザーが所持する携帯電話に送信し、
メッセージ表示手段は、メッセージ取得手段が取得したメッセージを、前記画像表示部で表示させることを特徴とする。
これにより、ユーザーが画像表示部でメッセージを表示させることを希望する場合に限り、メッセージが画像表示部で表示されるので、ユーザーが煩わしく感じることが無い。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
待受けモードであるか否かを示す待受モードフラグが記憶される待受モードフラグ記憶手段を有し、
待受モード判断手段は、待受モードフラグ記憶領域に待受モードフラグが記憶されている場合に、ユーザーが所持する携帯電話が待受モードであると判断することを特徴とする。
これにより、待受モード判断手段は、確実に待受モードであることを判断することができる。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3に記載の発明において、
メッセージ表示手段は、電話情報記憶手段に記憶されている電話情報と同一の電話から送信されたメッセージを前記画像表示部で表示させることを特徴とする。
これにより、通信相手と関係の無いメッセージが、画像表示部で表示されることが無いので、ユーザーが煩わしく感じることが無い。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4に記載の発明において、
ユーザーからの入力操作を検知する入力部と、
前記入力部が検知したユーザーの入力操作に基づき、メッセージ取得手段が取得したメッセージに対する応答情報を生成し、当該応答情報を、通信手段を介してユーザーが所持する携帯電話に送信する応答情報生成手段を更に有することを特徴とする。
これにより、ユーザーは入力操作により、通信相手の電話から送信されたメッセージに対する応答を行うことが可能となる。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、
入力情報と応答情報との関係を表した応答情報テーブルが記憶される応答情報テーブル記憶手段を有し、
応答情報生成手段は、入力部が検知したユーザーの入力操作及び前記応答情報テーブルに基づき、応答情報を生成することを特徴とする。
これにより、会議中等手が離せない場合であっても、ユーザーは簡単な入力操作により、通信相手の電話から送信されたメッセージに対する応答を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、待受モード設定手段は、待受モード情報を通信相手の電話に送信し、メッセージ取得手段は、ユーザーが所持する携帯電話が受信した前記通信相手の電話からのメッセージを取得し、画像表示部は前記メッセージを表示する。このため、会議中等手が離せない場合であっても、ユーザーは携帯電話が受信したメッセージを容易に確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の概念図である。
【図2】ヘッドマウントディスプレイのブロック図である。
【図3】携帯電話のブロック図である。
【図4】本発明の各処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本発明の概要)
以下に図面を参照しつつ、本発明の好ましい実施の形態を示す。なお、本明細書において、HMDとは、ヘッドマウントディスプレイの略語である。図1に示されるように、本発明のヘッドマウントディスプレイ100は、ユーザーの頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイ部50と、ユーザーの腰等の身体に装着される制御部30とから構成されている。ヘッドマウントディスプレイ部50は、頭部装着部51と、画像表示部52とから構成されている。頭部装着部51は、図1に示される実施形態では、眼鏡のフレーム形状であるが、ヘルメット形状等であってもよく、ユーザーの頭部に装着される構造のものであれはすべて含まれる。
【0014】
画像表示部52は、頭部装着部51の側前部に取り付けられている。画像表示部52は、画像を生成し、当該画像をユーザーに視認させるものである。本実施形態では、画像表示部52は、レーザ光を直接ユーザーの眼球に走査することにより、ユーザーに画像を視認させる網膜走査型ディスプレイを用いて構成される。画像表示部52は、ハーフミラー52aを有する。ハーフミラー52aは、画像表示部52から入射された画像光の一部を反射し、ユーザーの左眼に導く。ハーフミラー52aはまた、外界像を表す外界光の一部を透過し、ユーザーの左眼に導く。このように、画像表示部52がハーフミラー52aを有するので、ユーザーは画像表示部52が生成する画像を視認することができると同時に、外界もまた視認することができる。なお、画像表示部52は、液晶ディスプレイ、有機EL(Organic Electroluminescence)ディスプレイなど、その他の装置を用いた構成であっても差し支えない。画像表示部52には、ユーザーによる入力操作を受け付ける複数のボタン等からなる入力部53や加速度センサー54(図2に示す)が設けられている。
【0015】
制御部30は、画像表示部52と接続し、画像表示部52が表示する画像を生成する機能を有している。制御部30は、ユーザーが所持する携帯電話80と通信する機能を有している。本発明では、携帯電話80が着信した場合には(図1の(A)の(1))、携帯電話80は通信相手の「電話情報」を制御部30に送信し(図1の(A)の(2))、当該「電話情報」が画像表示部52で表示される(図1の(A)の(3))。次に、制御部30は「待受モード通知情報」を、携帯電話80に送信し(図1の(A)の(4))、携帯電話80は「待受モード通知情報」を通信相手の電話90に送信する(図1の(A)の(5))。なお、「待受モード」とは、画像表示部52で携帯電話90の「電話情報」が表示されるとともに、画像表示部52で携帯電話90から送信され携帯電話80で受信したメッセージが表示される状態のモードである。「待受モード通知情報」を確認した通信相手が、メール等の「メッセージ」を携帯電話90で携帯電話80に送信した場合において、ユーザーが所持する携帯電話80が、前記「メッセージ」を受信すると(図1の(A)の(6))、携帯電話80は当該「メッセージ」を制御部30に送信する(図1の(A)の(7))。「メッセージ」を受信した制御部30は、当該「メッセージ」を画像表示部52で表示させる(図1の(A)の(8))。このため、会議中等手が離せない場合であっても、ユーザーは携帯電話80が受信した「メッセージ」を簡単に確認することが可能となる。
【0016】
画像表示部52で表示された「メッセージ」を視認したユーザーは、入力部53を操作したり、頭を動かしたりすることにより、前記「メッセージ」に対する応答を行うことができる。ユーザーが、入力部53を操作して応答する場合には、図1の(C)に示されるように、制御部30は入力部53の各ボタンに対応する「応答情報」を生成する。或いは、ユーザーが頭を動かす等により応答する場合には、加速度センサー54(図2参照)はユーザーの頭の動きを検知して検知信号を制御部30に出力し、図1の(B)に示されるように、制御部30は前記検知信号に基づいて「応答情報」を生成する。制御部30は、前記生成された「応答情報」を携帯電話80に送信する(図1の(A)の(9))。「応答情報」を受信した携帯電話80は、当該「応答情報」を通信相手の電話90に送信する(図1の(A)の(10))。このように、会議中等手が離せない場合であっても、ユーザーは簡単な入力操作により、通信相手の電話90から送信された「メッセージ」に対する応答をすることが可能となる。
以下、このような機能を実現するヘッドマウントディスプレイ100について詳細に説明する。
【0017】
(ヘッドマウントディスプレイのブロック図)
図2を用いて、ヘッドマウントディスプレイ100を説明する。制御部30は、CPU11、RAM12、記憶部13、入力インターフェース14、画像生成部15、通信部16を有している。これらの構成は、相互にバス9で接続されている。ヘッドマウントディスプレイ部50は、入力部53、加速度センサー54及び画像表示部52を有している。入力部53や加速度センサー54は、入力インターフェース14に接続している。画像表示部52は、画像生成部15に接続している。なお、ヘッドマウントディスプレイ部50と制御部30との各構成間の接続は、有線及び無線の両方の接続方式が含まれる。
【0018】
CPU(Central Processing Unitの略)11は、RAM(Random Access Memoryの略)12、記憶部13と協動して、各種演算、処理を行う。
【0019】
RAM12は、CPU11で処理されるプログラムや、CPU11が処理するデータを、そのアドレス空間に一時的に記憶する。
【0020】
記憶部13には、不揮発性メモリーやハードディスク等の補助記憶装置が含まれる。記憶部13には、制御部30を制御する各種プログラムやパラメータが記憶されている。当該各種プログラムが、CPU11で処理されることにより、各種機能を実現している。記憶部13には、電話情報取得プログラム13a、電話情報表示プログラム13b、待受モード設定プログラム13c、メッセージ取得プログラム13d、メッセージ表示プログラム13e、応答情報生成プログラム13f、待受モード判断プログラム13gが記憶されている。また、記憶部13には、電話情報記憶領域13h、待受モードフラグ記憶領域13i、メッセージ記憶領域13j、応答情報テーブル記憶領域13kを有している。
【0021】
電話情報取得プログラム13aは、通信部16を介して、携帯電話80から送信された通信相手の「電話情報」を受信して取得し、当該「電話情報」を電話情報記憶領域13hに記憶させるプログラムである。
電話情報表示プログラム13bは、電話情報記憶領域13hに記憶された「電話情報」を画像表示部52で表示させる描画命令を画像生成部15に出力するプログラムである。
待受モード設定プログラム13cは、ユーザーの入力部53への入力操作により、「待受モード設定信号」が入力インターフェース14からバス9に入力されたと判断した場合には、「待受モードフラグ」を待受モードフラグ記憶領域13iに記憶させる。また、待受モード設定プログラム13cは、ユーザーの入力部53への入力操作により、「待受モード解除信号」が入力インターフェース14からバス9に入力されたと判断した場合には、待受モードフラグ記憶領域13iから「待受モードフラグ」を消去させる。待受モード設定プログラム13cは、携帯電話80が携帯電話90に転送する「待受モード通知情報」を、通信部16を介して、携帯電話80に送信する。
メッセージ取得プログラム13dは、携帯電話90から送信され、携帯電話80から転送された「メッセージ」を、通信部16を介して取得し、メッセージ記憶領域13jに記憶させる。
メッセージ表示プログラム13eは、メッセージ記憶領域13jに記憶された「メッセージ」を、画像表示部52に表示させる描画命令を画像生成部15に出力する。
応答情報生成プログラム13fは、ユーザーによる入力操作から、「応答情報」を生成するプログラムである。
待受モード判断プログラム13gは、待受モードであるか否かを判断するプログラムである。具体的には、待受モード判断プログラム13gは、待受モードフラグ記憶領域13iを参照することにより、「待受モードフラグ」が記憶されているか否かにより、待受モードであるか否かを判断する。
なお、電話情報取得プログラム13a、電話情報表示プログラム13b、待受モード設定プログラム13c、メッセージ取得プログラム13d、メッセージ表示プログラム13e、応答情報生成プログラム13f、待受モード判断プログラム13gを、ASIC(ApplicationSpecific Integrated Circuit)として構成することとしても差し支えない。
【0022】
電話情報記憶領域13hには、携帯電話80から送信された通信相手の電話90の「電話情報」が記憶される。
待受モードフラグ記憶領域13iには、「待受モード設定フラグ」が記憶される。
メッセージ記憶領域13jには、携帯電話90から送信され、携帯電話80によって転送された「メッセージ」が記憶される。
応答情報テーブル記憶領域13kは、図1の(B)や(C)に示されるように、ユーザーによる複数の入力操作と、当該入力操作に対応した応答情報との対応関係を表した「応答情報テーブル」が記憶されている。
【0023】
入力部53は、ユーザーからの入力操作を受け付けるものである。入力部53には、物理的なボタン、マトリックススイッチ式や静電容量式等のタッチパネルが含まれる。ユーザーの入力部53での入力操作により生成された信号は、入力インターフェース14で、物理的・論理的な形式が変換されて、入力操作信号としてバス9に出力される。図1に示される実施形態では、入力部53は、画像表示部52に設けられているが、他のヘッドマウントディスプレイ部50に設けられていても差し支えない。
なお、ユーザーは、入力部53を操作することにより、「待受モード」の設定及び解除を行うことができる。
また、ユーザーは、入力部53を操作することにより、通信相手の電話90から送信された「メッセージ」に対する応答を行うことが可能となる。
【0024】
加速度センサー54は、ユーザーの頭の動作や、画像表示部52が受ける加速度を検出する。加速度センサー54が検出した加速度は、入力インターフェース14で、物理的・論理的な形式が変換されて、入力操作信号としてバス9に入力される。なお、加速度センサー54は、頭部装着部51に設けられていても差し支えない。
【0025】
画像生成部15は、GPU(Graphics Processing Unit)及びVRAMを有している。GPUは、電話情報表示プログラム13bやメッセージ表示プログラム13eからの描画命令により、「画像データ」を生成し、VRAMに記憶させる。VRAMに記憶された「画像データ」は、「画像信号」として画像表示部52に出力される。
【0026】
通信部16は、ユーザーが所持する携帯電話80と通信を行う装置である。通信部16は、赤外線通信やブルートゥース(登録商標)による無線規格のインターフェースとなっている。
【0027】
(携帯電話のブロック図)
図3を用いて、以下に、携帯電話80について説明する。携帯電話80は、CPU61、RAM62、記憶部63、入力インターフェース64、画像生成部65、通信部66、携帯電話通信部67を有している。これらの構成は、相互にバス79で接続されている。携帯電話80は更に入力部68及び表示部69を有している。入力部68は、入力インターフェース64に接続している。表示部69は、画像生成部65に接続している。
【0028】
CPU61は、RAM62、記憶部63と協動して、各種演算、処理を行う。RAM62は、CPU61で処理されるプログラムや、CPU61が処理するデータを、そのアドレス空間に一時的に記憶する。
【0029】
記憶部63には、不揮発性メモリーやハードディスク等の補助記憶装置が含まれる。記憶部63には、携帯電話80を制御する各種プログラムやパラメータが記憶されている。当該各種プログラムが、CPU61で処理されることにより、各種機能を実現している。
記憶部63には、情報表示プログラム63a、電話情報送信プログラム63b、通話状態通知プログラム63c、待受モード通知情報送信プログラム63d、メッセージ転送プログラム63e、音声変換プログラム63f、応答情報送信プログラム63gが記憶されている。
情報表示プログラム63aは、着信があった場合に、通信相手の電話90の所有者名や電話番号を表示部69で表示させる描画命令を、画像生成部65に出力するプログラムである。
電話情報送信プログラム63b、着信があった場合に、通信相手の電話90の所有者名や電話番号からなる「電話情報」を、ヘッドマウントディスプレイ100の制御部30に送信するプログラムである。
通話状態通知プログラム63cは、携帯電話80が通信相手の電話90と通話状態であることを、ヘッドマウントディスプレイ100の制御部30に通知するプログラムである。
待受モード通知情報送信プログラム63dは、「待受モード通知情報」を通信相手の電話90に送信するプログラムである。
メッセージ転送プログラム63eは、通信相手の電話90から送信された「メッセージ」をヘッドマウントディスプレイ100の制御部30に転送するプログラムである。
音声変換プログラム63fは、通信相手の電話90から送信された音声の「メッセージ」を音声認識により、文字に変換し、文字の「メッセージ」を生成するプログラムである。
応答情報送信プログラム63gは、ヘッドマウントディスプレイ100の制御部30から送信された「応答情報」を、通信部66を介して、通信相手の電話90に転送するプログラムである。
勿論、記憶部63には、携帯電話としての通話機能及びメール送受信機能を実現するプログラムが記憶されている。
【0030】
入力部68は、ユーザーからの入力操作を受け付けるものである。入力部68には、物理的なボタン、マトリックススイッチ式や静電容量式等のタッチパネルが含まれる。ユーザーの入力部68での入力操作により生成された信号は、入力インターフェース64で、物理的・論理的な形式が変換されて、「入力操作信号」としてバス79に出力される。
【0031】
画像生成部65は、GPU及びVRAMを有している。GPUは、情報表示プログラム63aからの描画命令により、「画像データ」を生成し、VRAMに記憶させる。VRAMに記憶された「画像データ」は、「画像信号」として表示部69に出力される。
【0032】
通信部66は、制御部30の通信部16と通信を行う装置である。通信部18は、通信部16に対応したインターフェースとなっている。
【0033】
携帯電話通信部67は、無線公衆通信網と通信を行う装置である。携帯電話通信部67は、前記無線公衆通信網に対応したインターフェースとなっている。本発明では、公携帯電話通信部67は、無線公衆通信網を介して、通信相手の電話90と通信する。
【0034】
(ヘッドマウントディスプレイメイン処理)
図4を用いて、ヘッドマウントディスプレイメイン処理の説明をする。ヘッドマウントディスプレイ100に電源が投入されヘッドマウントディスプレイメイン処理が開始すると、S11の判断処理に進む。
S11「電話情報受信」の判断処理において、電話情報取得プログラム13aは、携帯電話80から送信された「電話情報」を受信したか否かを判断する。電話情報取得プログラム13aが、「電話情報」を受信したと判断した場合には(S11の判断処理がYES)、当該「電話情報」を電話情報記憶領域13hに記憶させて、S12の処理に進む。一方で、電話情報取得プログラム13aが、「電話情報」を受信したと判断しない場合には(S11の判断処理がNO)、S12の処理に進まない。
【0035】
S12の「電話情報表示」の処理において、電話情報表示プログラム13bは、電話情報記憶領域13hに記憶されている「電話情報」を画像表示部52で表示させる描画命令を、画像生成部15に出力する。通信相手の名前や通信相手の電話90の電話番号からなる「電話情報」は、画像表示部52で表示される。S12の処理が終了すると、S13の判断処理に進む。
【0036】
S13「通話」の判断処理において、CPU11は、携帯電話80から「通話状態情報」を受信したか否かを判断する。CPU11が、携帯電話80から「通話状態情報」を受信したと判断した場合には(S13の判断処理がYES)、ユーザーが携帯電話80を用いて通話を行っていると考えられる。そのため、CPU11は、画像表示部52における「電話情報」の表示を停止させる描画命令を画像生成部15に出力した後に、S11の判断処理に戻る。一方で、CPU11が、「通話状態情報」を、S11の判断処理で携帯電話80から「電話情報」を受信してから所定時間の内に受信しなかったと判断した場合には(S13の判断処理がNO)、S14の判断処理に進む。
【0037】
S14「待受モードフラグ有り」の判断処理において、待受モード判断プログラム13gは、待受モードフラグ記憶領域13iを参照することにより、「待受モードフラグ」が記憶されているか否かを判断する。待受モード判断プログラム13gが、「待受モードフラグ」が記憶されていると判断した場合には(S14の判断処理がYES)、S15の処理に進む。待受モード判断プログラム13gが、「待受モードフラグ」が記憶されていないと判断した場合には(S14の判断処理がNO)、電話情報表示プログラム13bは、画像表示部52における「電話情報」の表示を停止させる描画命令を画像生成部15に出力した後に、S11の判断処理に戻る。このように、ユーザーが画像表示部52でメッセージを表示させることを希望しない場合には、ユーザーが入力部53を操作することにより、「待受モードフラグ」を待受モードフラグ記憶領域13iから消去させることにより、「メッセージ」を画像表示部52で表示させないようにすることができる。
【0038】
S15「待受モード通知情報を携帯電話に送信」の処理において、待受モード設定プログラム13cは、「待受モード通知情報」を、通信部16を介して、携帯電話80に送信させる。S15の処理が終了すると、S16の判断処理に進む。
【0039】
S16「メッセージ受信」の判断処理において、メッセージ取得プログラム13dは、携帯電話80から「メッセージ」を受信したか否かを判断し、さらに、当該「メッセージ」が電話情報記憶領域13hに記憶されている「電話情報」と同一の携帯電話から送信されたものであるか否かを判断する。メッセージ取得プログラム13dが、電話情報記憶領域13hに記憶されている「電話情報」の携帯電話90から「メッセージ」を受信したと判断した場合には(S16の判断処理がYES)、当該「メッセージ」をメッセージ記憶領域13jに記憶させて、S18の処理に進む。一方で、メッセージ取得プログラム13dが、電話情報記憶領域13hに記憶されている「電話情報」の携帯電話90から「メッセージ」を受信したと判断しない場合には(S16の判断処理がNO)、S17の判断処理に進む。
【0040】
S17「待受モードフラグ有り」の判断処理において、待受モード判断プログラム13gは、待受モードフラグ記憶領域13iに「待受モードフラグ」が記憶されているか否かを判断する。待受モード判断プログラム13gが、待受モードフラグ記憶領域13iに「待受モードフラグ」が記憶されていると判断した場合には(S17の判断処理がYES)、S16の判断処理に戻る。一方で、待受モード判断プログラム13gが、待受モードフラグ記憶領域13iに「待受モードフラグ」が記憶されていないと判断した場合には(S17の判断処理がNO)、画像表示部52における「電話情報」の表示を停止させる描画命令を画像生成部15に出力した後に、S11の判断処理に戻る。
【0041】
S18「メッセージを表示」の処理において、メッセージ表示プログラム13eは、メッセージ記憶領域13jに記憶されている「メッセージ」を画像表示部52で表示させる描画命令を、画像生成部15に出力する。前記「メッセージ」は画像表示部52で表示され、ユーザーは、前記「メッセージ」を確認することができる。このように、S16の判断処理において、メッセージ取得プログラム13dが、電話情報記憶領域13hに記憶されている「電話情報」の携帯電話90から「メッセージ」を受信したと判断した場合に限り、前記「メッセージ」が画像表示部52に表示される。従って、通信相手と関係の無い「メッセージ」が、画像表示部52で表示されることが無いので、ユーザーが煩わしく感じることが無い。
S18の処理が終了すると、S19の判断処理に進む。
【0042】
S19「入力あり」の判断処理において、応答情報生成プログラム13fは、ユーザーによる入力操作があったか否かを判断する。具体的には、ユーザーが入力部53への入力操作を行うことにより、応答情報生成プログラム13fが、入力インターフェース14からバス9に「入力操作信号」が入力されたと判断した場合には、ユーザーによる入力操作があったと判断する。或いは、ユーザーが頭を振ったり、画像表示部53を指で叩いたりして、加速度センサー54が所定値以上の加速度を検知し、応答情報生成プログラム13fが、入力インターフェース14からバス9に「入力操作信号」が入力されたと判断した場合には、ユーザーによる入力操作があったと判断する。応答情報生成プログラム13fが、ユーザーによる入力操作があったと判断した場合には(S19の判断処理がYES)、S20の処理に進む。一方で、応答情報生成プログラム13fが、ユーザーによる入力操作があったと判断しない場合には(S19の判断処理がNO)、S20の処理には進まない。
【0043】
S20「入力を応答に変換」の処理において、応答情報生成プログラム13fは、ユーザーによる入力操作を「応答情報」に変換して生成する。具体的には、応答情報生成プログラム13fは、S19の判断処理において入力部53に対して行われた入力操作によって生成された「入力操作信号」と、応答情報テーブル記憶領域13kに記憶されている「応答情報テーブル」(図1の(C)に示す)を対応させて、前記「入力操作信号」に対応する「応答情報」特定する。或いは、S19の判断処理において、ユーザーが頭を振る若しくは画像表示部52を叩くことによる入力操作を行った場合には、応答情報生成プログラム13fは、前記入力操作によって生成された「入力操作信号」と、応答情報テーブル記憶領域13kに記憶されている「応答情報テーブル」(図1の(B)に示す)を対応させて、前記「入力操作信号」に対応する「応答情報」特定する。S20の処理が終了すると、S21の処理に進む。
【0044】
S21「応答を携帯電話に送信」の処理において、応答情報生成プログラム13fは、S20の処理で生成された「応答情報」を、通信部16を介して、ユーザーが所持する携帯電話80に送信する。メッセージ表示プログラム13eは、画像表示部52における「メッセージ」の表示を停止させる描画命令を画像生成部15に出力する。S21の処理が終了すると、S11の判断処理に戻る。
【0045】
(携帯電話メイン処理)
図4を用いて、携帯電話メイン処理の説明をする。携帯電話80に電源が投入されると、携帯電話メイン処理が開始し、S51の判断処理に進む。
S51「着信有り」の判断処理において、CPU61は、携帯電話90からの着信が有ったか否かを判断する。CPU61が、携帯電話90からの着信が有ったと判断した場合には(S51の判断処理がYES)、S52の判断処理に進む。一方で、CPU61が、携帯電話90からの着信が有ったと判断しない場合には(S51の判断処理がNO)、S52の判断処理に進まない。
【0046】
S52「HMDと通信可」の判断処理において、CPU61は、ヘッドマウントディスプレイ100の制御部30と通信可能であるか否かを判断する。CPU61が、制御部30と通信可能であると判断した場合には(S52の判断処理がYES)、S53の処理に進む。一方で、CPU61が、制御部30と通信不能であると判断した場合には(S52の判断処理がNO)、S51の判断処理に戻る。
【0047】
S53「HMDに電話情報送信」の処理において、電話情報送信プログラム163bは、通信相手の名前や携帯電話90の電話番号からなる「電話情報」を、通信部66を介して、ヘッドマウントディスプレイ100の制御部30に送信する。S53の処理が終了すると、S54の判断処理に進む。
【0048】
S54「通話」の判断処理において、CPU61は、ユーザーが入力部68を操作することにより通話することを選択したか否かを判断する。CPU61は、ユーザー通話することを選択したと判断した場合には(S54の判断処理がYES)、S55の処理に進む。一方で、ユーザーが操作部68を操作することにより通話を保留することを選択した場合、或いは、ユーザーが一定時間以上操作部68を操作しなかった場合には、CPU61はユーザーが通話することを選択しなかったと判断し(S54の判断処理がNO)、S56の判断処理に進む。
【0049】
S55の「HMDに通話状態通知」の処理において、通話状態通知プログラム63cは、携帯電話80が携帯電話90と通話状態であることを表す「通話状態情報」を、通信部66を介してヘッドマウントディスプレイ100の制御部30に送信する。S55の処理が終了すると、S51の判断処理に戻る。
【0050】
S56「待受モード通知情報受信」の判断処理において、CPU61が、「待受モード通信情報」を受信したと判断した場合には(S56の判断処理がYES)、S57の処理に進む。一方で、CPU61が、「待受モード通信情報」を、一定時間以上受信していないと判断した場合には(S56の判断処理がNO)、S51の判断処理に戻る。
【0051】
S57「待受モード通知情報を通信相手の電話に送信」の処理において、待受モード通知情報送信プログラム63dは、「待受モード通知情報」を通信相手の電話90に送信する。通信相手(連絡者)は、「待受モード通知情報」を自己が所持する携帯電話で確認することにより、ユーザー(被連絡者)が通話できない状態であることを知覚することができる。S57の処理が終了すると、S51の判断処理に戻る。
【0052】
(メッセージ待受処理)
図4を用いて、メッセージ待受処理について説明する。携帯電話80の電源が投入されると、メッセージ待受処理が開始し、S61の判断処理に進む。
S61「メッセージあり」の判断処理において、CPU61は、通信相手の電話90等からメール等の「メッセージ」を受信したか否かを判断する。CPU61が、通信相手の電話90等から「メッセージ」を受信したと判断した場合には(S61の判断処理がYES)、S62の処理に進む。一方で、CPU61が、通信相手の電話90等から「メッセージ」を受信したと判断しない場合には(S61の判断処理がNO)、S62の処理に進まない。
【0053】
S62「受信したメッセージをHMDに転送」に処理において、メッセージ転送プログラム63eは、S61の判断処理で受信した「メッセージ」をヘッドマウントディスプレイ100の制御部30に転送する。なお、前記「メッセージ」が音声である場合には、音声変換プログラム63fは、S62の判断処理した音声の「メッセージ」を、音声認識により文字に変換する。そして、メッセージ転送プログラム63eは、前記文字に変換された「メッセージ」をヘッドマウントディスプレイ100の制御部30に転送する。S62の処理が終了すると、S61の判断処理に戻る。
【0054】
(応答待受処理)
図4を用いて、応答待受処理について説明する。携帯電話80の電源が投入されると、応答待受処理が開始し、S71の判断処理に進む。
S71「応答受信」の判断処理の処理において、CPU61は、ヘッドマウントディスプレイ100の制御部30から「応答情報」を受信したか否かを判断する。CPU61が、ヘッドマウントディスプレイ100の制御部30から「応答情報」を受信したと判断した場合には(S71の判断処理がYES)S72の処理に進む。一方で、CPU61が、ヘッドマウントディスプレイ100の制御部30から「応答情報」を受信したと判断しない場合には(S71の判断処理がNO)S72の処理に進まない。
【0055】
S72「応答を通信相手の電話に送信」の処理において、応答情報送信プログラム63gは、S71の判断処理で受信した「応答情報」を、携帯電話通信部67を介して、通信相手の電話90(図1の(A)に示す)に送信する。このようにして、通信相手は、ユーザーによる応答を認知することができる。
S72の処理が終了すると、S71の判断処理に戻る。
【0056】
以上説明した実施形態では、通信相手の電話が携帯電話90である例について本発明を説明したが、通信相手の電話が固定電話であっても差し支えないことは言うまでもない。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うヘッドマウントディスプレイもまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0057】
9 バス
11 CPU
12 RAM
13 記憶部
13a 電話情報取得プログラム
13b 電話情報表示プログラム
13c 待受モード設定プログラム
13d メッセージ取得プログラム
13e メッセージ表示プログラム
13f 応答情報生成プログラム
13g 待受モード判断プログラム
13h 電話情報記憶領域
13i 待受モードフラグ記憶領域
13j メッセージ記憶領域
13k 応答情報テーブル記憶領域
14 入力インターフェース
15 画像生成部
16 通信部
30 制御部
50 ヘッドマウントディスプレイ部
51 頭部装着部
52 画像表示部
53 入力部
54 加速度センサー
61 CPU
62 RAM
63 記憶部
63a 情報表示プログラム
63b 電話情報送信プログラム
63c 通話状態通知プログラム
63d 待受モード通知情報送信プログラム
63e メッセージ転送プログラム
63f 音声変換プログラム
63g 応答情報送信プログラム
64 入力インターフェース
65 画像生成部
66 通信部
67 携帯電話通信部
68 入力部
69 表示部
79 バス
80 ユーザーが所持する携帯電話
90 通信相手の電話
100 ヘッドマウントディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの頭部に装着され、ユーザーに画像を視認させる画像表示部と、
ユーザーが所持する携帯電話と通信する通信手段と、
通信相手の電話情報が記憶される電話情報記憶手段と、
通信相手の電話情報を、前記通信手段を介して取得し、前記電話情報を前記電話情報記憶手段に記憶させる電話情報取得手段と、
前記電話情報取得手段が、前記電話情報を取得した場合に、
前記ユーザーが所持する携帯電話の通信相手の電話に、前記ユーザーが所持する携帯電話が受信したメッセージを前記画像表示部で表示可能な状態である待受モードであることを通知させる待受モード通知情報を生成し、当該待受モード通知情報を、前記通信手段を介して、前記ユーザーが所持する携帯電話に送信する待受モード設定手段と、
前記ユーザーが所持する携帯電話が受信したメッセージを、前記通信手段を介して取得するメッセージ取得手段と、
前記メッセージ取得手段が取得したメッセージを、前記画像表示部で表示させるメッセージ表示手段とを、
有することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項2】
待受モードが設定されているか否かを判断する待受モード判断手段を有し、
待受モード判断手段が、待受モードであると判断した場合に限り、
待受モード設定手段は待受モード通知情報をユーザーが所持する携帯電話に送信し、
メッセージ表示手段は、メッセージ取得手段が取得したメッセージを、前記画像表示部で表示させることを特徴とする請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項3】
待受けモードであるか否かを示す待受モードフラグが記憶される待受モードフラグ記憶手段を有し、
待受モード判断手段は、待受モードフラグ記憶領域に待受モードフラグが記憶されている場合に、ユーザーが所持する携帯電話が待受モードであると判断することを特徴とする請求項2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項4】
メッセージ表示手段は、電話情報記憶手段に記憶されている電話情報と同一の電話から送信されたメッセージを前記画像表示部で表示させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項5】
ユーザーからの入力操作を検知する入力部と、
前記入力部が検知したユーザーの入力操作に基づき、メッセージ取得手段が取得したメッセージに対する応答情報を生成し、当該応答情報を、通信手段を介してユーザーが所持する携帯電話に送信する応答情報生成手段を更に有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項6】
入力情報と応答情報との関係を表した応答情報テーブルが記憶される応答情報テーブル記憶手段を有し、
応答情報生成手段は、入力部が検知したユーザーの入力操作及び前記応答情報テーブルに基づき、応答情報を生成することを特徴とする請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−211383(P2011−211383A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75533(P2010−75533)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】