説明

ヘテロアリールチオメチルピリジン誘導体

本発明は、式(I):
【化1】


[式中、Xは、
【化2】


で表される基等を示し、Yは、
【化3】


で表される基等を示し、Arは、
【化4】


で表される基等を示す]で表される化合物又はその薬学的に許容される塩に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘテロアリールチオメチルピリジン誘導体を有効成分として含有する神経ペプチドY受容体拮抗剤に関する。さらに、新規なヘテロアリールチオメチルピリジン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
神経ペプチドY(以下NPYと称す)は36アミノ酸からなるペプチドであり、1982年、立元等によりブタ脳より初めて単離された(例えば、ネイチャー(Nature)、296巻、659頁(1982年)参照)。NPYは中枢神経系及び末梢神経系に広く分布し、神経系における最も多量に存在するペプチドの一つとして、生体において多様な機能を司っている。すなわち、NPYは中枢においては食欲促進物質として働くとともに、各種ホルモンの分泌又は神経系の作用を介して脂肪蓄積を顕著に促進する。NPYの脳室内連続投与はこれらの作用に基づき、肥満及びインスリン抵抗性を誘発することが知られている。また、感情の制御や中枢自律神経系の機能等にも関係している。更に、末梢では、NPYは交感神経終末にノルエピネフリンと共存し、交感神経系の緊張性と関係している。NPYの末梢投与は血管収縮を引き起こし、またノルエピネフリンを初めとする他の血管収縮物質の作用を増強することが知られている(例えば、インターナショナル・ジャーナル・オブ・オベシティー(International Journal of Obesity)、19巻、517頁(1995年)、エンドクリノロジー(Endocrinology)、133巻、1753頁(1993年)、ブリティシュ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(British Journal of Pharmacology)、95巻、419頁(1988年)、及びフロンティアーズ・イン・ニューロエンドクリノロジー(Frontiers in Neuroendocrinology)、27巻、308頁(2006年)参照)。NPYの機能は中枢又は末梢神経系に存在するNPY受容体と結合することにより発現される。したがって、NPYのNPY受容体との結合を阻害すれば、NPYの作用発現を阻止することができる。その結果、NPYのNPY受容体結合に拮抗する物質はNPYが関与する各種の疾患、例えば高血圧、動脈硬化症、腎臓病、心疾患、血管攣縮等の循環器系疾患、例えば過食症、うつ病、てんかん、不安症、アルコール依存症、痴呆等の中枢性疾患、例えば肥満症、糖尿病、ホルモン異常等の代謝性疾患又は緑内障等の予防又は治療における有用性が期待できる(例えば、トレンド・イン・ファーマコロジカル・サイエンス(Trends in Pharmacological Sciences)、15巻、153頁(1994年)参照)。
【0003】
また、NPYの近縁誘導体がNPY受容体に結合し、NPYの活性に拮抗することが述べられている(例えば、欧州特許355794号、デンマーク特許3811193号及びジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)、37巻、811頁(1994年)参照)。
【0004】
また、最近、ある種のペプチドがNPYのNPY受容体との結合を阻害することが明らかとなった(WO94/00486号公報及び特開平6−116284号参照)。
【0005】
しかしながら、これらのペプチド性化合物は医薬として開発するには大きな問題点を抱えている。即ち、これら高分子量のペプチド類は、一般に生体内での安定性が悪く、また持続性も短い。
【0006】
更に、これら化合物は、通常、経口吸収性や脳内移行性は殆ど期待できない化合物群である。
【0007】
一方、ある種の非ペプチド性化合物がNPYのNPY受容体との結合を阻害し、NPYの活性に拮抗することが明らかとなった(例えば、特開平6−293794号公報及びドイツ特許DE4301452−A1号公報参照)。
【0008】
しかしながら、これらの非ペプチド性NPY拮抗剤は構造的に本発明化合物とは全く異なっており、本発明に何ら示唆を与えるものではない。
【0009】
また、NPY Y1アンタゴニスト作用を有する化合物として、下記化合物(A)
【0010】
【化1】

が開示されている(WO97/34873号公報参照)。
【0011】
しかしながら、本発明に係る化合物は、アリルオキシカルボニルアミノフェニル基及びチアジアゾリル基を有していない。
【0012】
また、本発明に係る化合物は、前記化合物(A)に比べて、NPY Y1アンタゴニスト活性が高いため、及び/又はヒトにおけるP糖タンパク質の基質性が低く、脳からの排出が低いため、医薬としてより有用である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、NPY Y1アンタゴニスト活性が高く、及び/又はヒトにおけるP糖タンパク質の基質性の低い新規な化合物を提供することにある。また、PETリガンド候補となる化合物を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、NPY Y1アンタゴニスト活性が高く、及び/又はヒトにおけるP糖タンパク質の基質性の低い新規ヘテロアリールチオメチルピリジン化合物を見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、
式(I)
【0015】
【化2】

【0016】
[式中、
Xは、
【0017】
【化3】

からなる群より選択される基を示し;
Yは、
【0018】
【化4】

からなる群より選択される基を示し;
Arは、
【0019】
【化5】

からなる群より選択される基を示す]で表される化合物又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0020】
本発明に係る化合物(I)は、NPY拮抗作用を有しているため、NPYが関与する各種の疾患、例えば高血圧、動脈硬化症、腎臓病、心疾患、血管攣縮等の循環器系疾患、例えば過食症、うつ病、てんかん、不安症、アルコール依存症、痴呆等の中枢性疾患、例えば肥満症、糖尿病、ホルモン異常等の代謝性疾患又は緑内障等の治療及び/又は予防に有用である。
【0021】
また、本発明に係る化合物(I)は、ヒトにおけるP糖タンパク質の基質性が低く、医薬として有用である。
【0022】
また、本発明に係る化合物(I)中のCを11Cに、又はFを18Fで標識した化合物は、PETリガンドとして有用である。
【発明の効果】
【0023】
式(I)で表される本発明に係るヘテロアリールチオメチルピリジン誘導体又はその薬学的に許容される塩は、強力なNPY拮抗作用を有しており、NPYが関与する各種の疾患、例えば、高血圧、腎臓病、心疾患、血管攣縮等の循環器系疾患、例えば高血圧、動脈硬化症、腎臓病、心疾患、血管攣縮等の循環器系疾患、例えば過食症、うつ病、てんかん、不安症、アルコール依存症、痴呆等の中枢性疾患、例えば肥満症、糖尿病、ホルモン異常等の代謝性疾患又は緑内障の治療及び/又は予防に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本明細書において用いられる用語の意味について説明し、本発明に係る化合物について更に説明する。
【0025】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。
【0026】
「低級アルキル基」とは、炭素数1乃至6の直鎖又は分岐を有するアルキル基を意味し、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基等が挙げられる。
【0027】
本発明に係る式(I)
【0028】
【化6】

[式中、各記号は前記に同じ]で表される化合物について、更に具体的に開示するために、式(I)において用いられる各種記号について、具体例を挙げて説明する。
【0029】
Xは、
【0030】
【化7】

からなる群より選択される基を示す。
【0031】
これらのうち、Xとしては、
【0032】
【化8】

から選択される基が好ましい。
【0033】
Yは、
【0034】
【化9】

からなる群より選択される基を示す。
【0035】
これらのうち、Yとしては、
【0036】
【化10】

から選択される基が好ましい。
【0037】
Arは、
【0038】
【化11】

からなる群より選択される基を示す。
【0039】
これらのうち、Arとしては、
【0040】
【化12】

から選択される基が好ましい。
【0041】
以上で説明した、X、Y及びArの好ましい態様は、いずれを組み合わせてもよい。
【0042】
式(I)で表される化合物としては、具体的には、例えば、
6−{[(4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−N−[(6−フルオロピリジン−2−イル)メチル]−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミン、
6−{[(4,5−ジメチル−1,3−チアゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミン、
6−{[(5−エチル−4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(4−フルオロピペリジン−1−イル)−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]ピリジン−2−アミン、
6−{[(5−エチル−4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−[(3−エキソ)−3−フルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル]−N−(プロプ−2−エン−1−イル)ピリジン−2−アミン、
4−(3,3−ジフルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル)−6−{[(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]ピリジン−2−アミン、
4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−{[(5−エチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}−N−(プロプ−2−エン−1−イル)ピリジン−2−アミン、
N−ブチル−4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−{[(5−エチル−1,4−ジメチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}ピリジン−2−アミン、
4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−{[(5−エチル−1,4−ジメチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}−N−(2−メトキシエチル)ピリジン−2−アミン、
6−({[4−(フルオロメチル)−5−メチル−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミン、
6−({[5−エチル−4−(フルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミン、又は
6−({[5−シクロプロピル−4−(フルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミン
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0043】
また、式(I)で表される化合物中のCを11Cに、又はFを18Fで標識することによって、PETリガンドとして用いることもできる。
【0044】
式((I)で表される化合物中のCを11Cに、又はFを18Fに置き換えた化合物は、当業者が通常用いる方法又はこれに準じた方法によって製造することができる。
【0045】
PETリガンド候補化合物としては、具体的には、例えば、上記に記載した化合物のうち、
6−{[(4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−N−[(6−フルオロピリジン−2−イル)メチル]−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミン、
6−({[4−(フルオロメチル)−5−メチル−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミン、又は
6−({[5−エチル−4−(フルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミン中のFを18Fに置き換えた化合物が好ましい。
【0046】
また、6−{[(4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−N−[(6−フルオロピリジン−2−イル)メチル]−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミン、
6−({[4−(フルオロメチル)−5−メチル−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミン、又は
6−({[5−エチル−4−(フルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミンは、ヒトにおけるP糖タンパク質の基質性がとりわけ低い化合物である。
【0047】
本発明に係る化合物の好ましい態様は、NPY Y1アンタゴニスト活性が高く、かつ、ヒトにおけるP糖タンパク質の基質性が低い化合物である。
【0048】
また、本発明に係る化合物の別の好ましい態様は、NPY Y1アゴニスト活性が高い化合物である。
【0049】
また、本発明に係る化合物の別の好ましい態様は、ヒトにおけるP糖タンパク質の基質性が低い化合物である。
【0050】
次に、本発明に係る化合物の製造方法について説明する。本発明に係る化合物は、以下に示す方法、参考例又は実施例に記載の方法により製造することができる。ただし、本発明化合物の製造方法は、これら反応例に限定されるものではない。
【0051】
本発明に係る化合物(I−1)
【0052】
【化13】

[式中、Ar11は、
【0053】
【化14】

で表される基を示し、他の記号は前記に同じ]で表される化合物は、例えば、以下の方法により製造することができる。
【0054】
【化15】

[式中、Lはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基(OTf)等の脱離基を示し、Rは低級アルキル基を示し、Proはヒドロキシ基の保護基を示し、Halはハロゲン原子を示し、Lはメタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等を示し、Ar’=Sは、
【0055】
【化16】

で表される化合物を示し、他の記号は前記に同じ]
(工程1)
本工程は、化合物(1)と化合物(2)とを反応させることにより、化合物(3)を製造する方法である。
【0056】
用いられる化合物(2)の量は、化合物(1)1当量に対して、通常2.0乃至20.0当量、好ましくは、2.0乃至10.0当量である。
【0057】
また、反応系中に塩基を加えて本反応を行ってもよい。
【0058】
該塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。
【0059】
該塩基の量は、化合物(1)1当量に対して、通常1.0乃至10.0当量、好ましくは、1.0乃至5.0当量である。
【0060】
本工程に用いられる化合物(1)は、参考例に記載の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより製造することができる。
【0061】
また、本工程において用いられる化合物(2)XHは、
【0062】
【化17】

で表される基を意味する。
【0063】
化合物(2)XHは、市販の化合物を用いるか、或いは、市販の化合物を用いて参考例に記載の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより製造した化合物を用いることができる。
【0064】
反応温度は、通常0℃乃至150℃であり、好ましくは、室温乃至100℃である。
【0065】
反応時間は、通常10分間乃至48時間であり、好ましくは、10分間乃至24時間である。
【0066】
用いられる反応溶媒は、本反応に支障をきたすものでなければ、いかなるものを用いてもよいが、例えば、テトラヒドロフラン(THFと略すこともある)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMFと略すこともある)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAと略すこともある)、ジメチルスルホキシド(DMSOと略すこともある)、ジメトキシエタン(DMEと略すこともある)、トルエン、クロロホルム、塩化メチレン、ジエチルエーテル等が挙げられる。
【0067】
このようにして得られる化合物(3)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、再沈殿、溶媒抽出、結晶化、クロマトグラフィー等により、単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(工程2)
本工程は、前記工程1で得られた化合物(3)の有するエステルを加水分解することにより、カルボン酸化合物(4)を製造する方法である。
【0068】
エステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル等が挙げられる。
【0069】
本工程における反応は、文献(例えば、プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、T.W.Green著、第2版、John Wiley&Sons社、1991年等)に記載の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができ、例えば、メタノール中、水酸化ナトリウムを用いて化合物(3)を化合物(4)に変換することができる。
【0070】
このようにして得られる化合物(4)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、再沈殿、溶媒抽出、結晶化、クロマトグラフィー等により、単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(工程3)
本工程は、塩基の存在下、化合物(4)、tert−ブタノール及びジフェニルホスホリルアジドを反応させることにより、化合物(5)を製造する方法である
本工程において用いられる塩基としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等が挙げられる。
【0071】
用いられる塩基の量は、化合物(4)1当量に対して、通常1.0乃至10.0当量、好ましくは、1.0乃至5.0当量である。
【0072】
上記反応は、tert−ブタノール、または、tert−ブタノールと有機溶媒の混合溶液中で行うことができる。
【0073】
該有機溶媒としては、反応に支障のないものであれば、いかなるものを用いてもよいが、例えば、トルエン、THF、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル等が挙げられる。
【0074】
用いられるジフェニルホスホリルアジドの量は、化合物(4)1当量に対して、通常1.0乃至10.0当量、好ましくは、1.0乃至5.0当量である。
【0075】
用いられるtert−ブタノールの量は、化合物(4)1当量に対して、通常1.0当量乃至大過剰量である。
【0076】
反応温度は、通常0℃乃至150℃、好ましくは、室温乃至100℃である。
【0077】
反応時間は、通常10分間乃至48時間、好ましくは、10分間乃至24時間である。
【0078】
このようにして得られる化合物(5)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、再沈殿、溶媒抽出、結晶化、クロマトグラフィー等により、単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(工程4)
本工程は、化合物(5)の有するヒドロキシ基の保護基Proを除去することにより、化合物(6)を製造する方法である。
【0079】
本工程における反応は、文献(例えば、プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、T.W.Green著、第2版、John Wiley&Sons社、1991年等)に記載の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
【0080】
Proとして、テトラヒドロピラニル基を用いる場合には、例えば、エタノール、メタノール等の溶媒中、化合物(5)とp−トルエンスルホン酸又はその水和物とを反応させることにより、化合物(6)を得ることができる。
【0081】
このようにして得られる化合物(6)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、再沈殿、溶媒抽出、結晶化、クロマトグラフィー等により、単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(工程5)
本工程は、塩基の存在下、化合物(6)と化合物(7)とを反応させることにより、化合物(8)を製造する方法である。
【0082】
本工程において用いられる塩基としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム等が挙げられる。
【0083】
該塩基の量は、化合物(6)1当量に対して、通常1.0乃至10.0当量、好ましくは、1.0乃至5.0当量である。
【0084】
用いられる化合物(7)の量は、化合物(6)1当量に対して、通常1.0乃至10.0当量、好ましくは、1.0乃至5.0当量である。
【0085】
用いられる化合物(7)としては、例えば、メタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、p−ニトロベンゼンスルホニルクロリド等が挙げられる。
【0086】
反応温度は、通常0℃乃至100℃、好ましくは、0℃乃至50℃である。
【0087】
反応時間は、通常10分間乃至48時間、好ましくは10分間乃至24時間である。
【0088】
本工程において用いられる溶媒は、反応に支障のないものであれば、いかなるものを用いてもよいが、例えば、THF、DMF、クロロホルム、塩化メチレン、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
【0089】
このようにして得られる化合物(8)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、再沈殿、溶媒抽出、結晶化、クロマトグラフィー等により、単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(工程6)
本工程は、塩基の存在下、化合物(8)と化合物(9)とを反応させることにより、化合物(10)を製造する方法である。
【0090】
用いられる塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジアザビシクロウンデセン、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム等が挙げられる。
【0091】
該塩基の量は、化合物(8)1当量に対して、通常1.0当量乃至10.0当量、好ましくは、1.0当量乃至5.0当量である。
【0092】
用いられる化合物(9)の量は、化合物(8)1当量に対して、通常1.0乃至10.0当量、好ましくは1.0乃至5.0当量である。
【0093】
化合物(9)又はその許容される塩は、市販の化合物を用いるか、或いは、市販の化合物を用いて参考例に記載の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより製造した化合物を用いることができる。
【0094】
反応温度は、通常0℃乃至150℃、好ましくは、0℃乃至100℃である。
【0095】
反応時間は、通常10分間乃至48時間、好ましくは10分間乃至24時間である。
【0096】
本工程において用いられる溶媒は、反応に支障のないものであれば、いかなるものを用いてもよいが、例えば、THF、DMF、DMSO、クロロホルム、塩化メチレン等が挙げられる。
【0097】
このようにして得られる化合物(10)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、再沈殿、溶媒抽出、結晶化、クロマトグラフィー等により、単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(工程6−1)
本工程は、化合物(10)中においてAr’
【0098】
【化18】

である場合に、DMF等の溶媒中、炭酸カリウム等の塩基の存在下、化合物(10)とヨウ化メチルとを反応させることにより、化合物(10−1)を製造する方法である。
【0099】
用いられる塩基としては、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム等が挙げられる。
【0100】
該塩基の量は、化合物(10)1当量に対して、通常1.0乃至10.0当量、好ましくは、1,0乃至5.0当量である。
【0101】
用いられるヨウ化メチルの量は、化合物(10)1当量に対して、通常1.0乃至10.0当量、好ましくは、1.0乃至5.0当量である。
【0102】
反応温度は、通常0℃乃至150℃、好ましくは、0℃乃至100℃である。
【0103】
反応時間は、通常10分間乃至48時間、好ましくは、10分間乃至24時間である。
【0104】
用いられる溶媒としては、DMF、THF、DMSO、クロロホルム、塩化メチレン等が挙げられる。
【0105】
このようにして得られる化合物(10−1)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、再沈殿、溶媒抽出、結晶化、クロマトグラフィー等により、単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(工程7)
本工程は、塩基の存在下、化合物(10)又は化合物(10−1)と化合物(11)
【0106】
【化19】

とを反応させることにより化合物(12)を製造する方法である。
【0107】
Halとしては、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
【0108】
本工程において用いられる塩基としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム、カリウムtert−ブトキシド等が挙げられる。
【0109】
該塩基の量は、化合物(10)又は化合物(10−1)1当量に対して、通常1.0乃至10.0当量、好ましくは、1.0乃至5.0当量である。
【0110】
用いられる化合物(11)の量は、化合物(10)又は化合物(10−1)1当量に対して、通常1.0乃至5.0 当量、好ましくは、1.0乃至3.0当量である。
【0111】
反応温度は、通常0℃乃至150℃、好ましくは0℃乃至100℃である。
【0112】
反応時間は、通常10分間乃至48時間、好ましくは、10分間乃至24時間である。
【0113】
本工程において用いられる溶媒は、反応に支障のないものであれば、いかなるものを用いてもよいが、例えば、THF、DMF、DMSO、クロロホルム、塩化メチレン等が挙げられる。
【0114】
このようにして得られる化合物(12)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、再沈殿、溶媒抽出、結晶化、クロマトグラフィー等により、単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(工程8)
本工程は、化合物(12)の有するBoc基を除去することにより、本発明に係る化合物(I−1)を製造する方法である。
【0115】
本工程における反応は、文献(例えば、プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、T.W.Green著、第2版、John Wiley&Sons社、1991年等)記載の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
【0116】
このようにして得られる化合物(I−1)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、再沈殿、溶媒抽出、結晶化、クロマトグラフィー等により、単離精製することができる。
【0117】
また、本発明に係る化合物(I−2)
【0118】
【化20】

[式中、Ar12
【0119】
【化21】

で表される基を示し、他の記号は前記に同じ]で表される化合物は、例えば、以下の方法によって製造することができる。
【0120】
【化22】

[式中、Ar’’=Sは、
【0121】
【化23】

で表される化合物を示し、Ar’12は、
【0122】
【化24】

で表される基を示し、他の記号は前記に同じ]
(工程9)
本工程は、塩基の存在下、化合物(5)と化合物(11)
【0123】
【化25】

とを反応させることにより化合物(13)を製造する方法である。
【0124】
本工程における反応は、前記工程7と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
【0125】
このようにして得られる化合物(13)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、再沈殿、溶媒抽出、結晶化、クロマトグラフィー等により、単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(工程10)
本工程は、化合物(13)の有するヒドロキシ基の保護基Proを除去することにより、化合物(14)を製造する方法である。
【0126】
本工程における反応は、前記工程4と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
【0127】
このようにして得られる化合物(14)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、再沈殿、溶媒抽出、結晶化、クロマトグラフィー等により、単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(工程11)
本工程は、塩基の存在下、化合物(14)と化合物(7)とを反応させることにより、化合物(15)を製造する方法である。
【0128】
本工程における反応は、前記工程5と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
【0129】
このようにして得られる化合物(15)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、再沈殿、溶媒抽出、結晶化、クロマトグラフィー等により、単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(工程12)
本工程は、塩基の存在下、化合物(15)と化合物(16)とを反応させることにより、化合物(17)を製造する方法である。
【0130】
本工程における反応は、前記工程6と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、行うことができる。
【0131】
このようにして得られる化合物(17)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、再沈殿、溶媒抽出、結晶化、クロマトグラフィー等により、単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(工程13)
本工程は、化合物(17)の有するエステル基COORを還元することにより、化合物(18)を製造する方法である。
【0132】
本工程において用いられる還元剤としては、例えば、水素化リチウムアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、ボラン−テトラヒドロフラン錯体、ボラン−硫化メチル錯体等が挙げられる。
【0133】
該還元剤の量は、化合物(17)1当量に対して、通常1.0乃至10.0当量、好ましくは1.0乃至5.0当量である。
【0134】
反応時間は、通常10分間乃至48時間、好ましくは10分間乃至24時間である。
【0135】
反応温度は、通常−100℃乃至150℃、好ましくは−78℃乃至100℃である。
【0136】
本工程において用いられる溶媒は、反応に支障のないものであれば、いかなるものを用いてもよいが、例えば、THF、トルエン、ジエチルエーテル、ヘキサン、メタノール、エタノール、クロロホルム、塩化メチレン等が挙げられる。
【0137】
このようにして得られる化合物(18)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、再沈殿、溶媒抽出、結晶化、クロマトグラフィー等により、単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
(工程14)
本工程は、化合物(18)の有するBoc基を除去し、次いで、DAST(ジエチルアミノ硫黄トリフルオライド)で処理することにより、本発明に係る化合物(I−2)を製造する方法である。
【0138】
Boc基を除去する反応は、文献(例えば、プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、T.W.Green著、第2版、John Wiley&Sons社、1991年等)記載の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより行うことができる。
【0139】
Boc基を除去した後、DASTで処理することにより、ヒドロキシ基をフッ素化して、本発明に係る化合物を得る。
【0140】
用いられるDASTの量は、化合物(18)のBoc基を除去した化合物1当量に対して、通常1.0乃至10.0当量、好ましくは1.0乃至5.0当量である。
【0141】
反応時間は、通常10分間乃至48時間、好ましくは10分間乃至24時間である。
【0142】
反応温度は、通常−100℃乃至100℃、好ましくは−78℃乃至50℃である。
【0143】
本工程において用いられる溶媒は、反応に支障のないものであれば、いかなるものを用いてもよいが、例えば、THF、クロロホルム、塩化メチレン等が挙げられる。
【0144】
このようにして得られる化合物(I−2)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、再沈殿、溶媒抽出、結晶化、クロマトグラフィー等により、単離精製することができる。
【0145】
本発明によって提供されるヘテロアリールチオメチルピリジン誘導体は、薬学的に許容される塩として存在することができ、当該塩は、本発明に係る化合物(I)、及び該化合物(I)に包含される前記式(I−1)又は(I−2)で表される化合物を用いて、常法に従って製造することができる。
【0146】
具体的には、上記(I)の化合物が、当該分子内に例えばアミノ基、ピリジル基等に由来する塩基性基を有している場合には、当該化合物を酸で処理することにより、相当する薬学的に許容される塩に変換することができる。
【0147】
当該酸付加塩としては、例えば塩酸塩、フッ化水素酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩等のハロゲン化水素酸塩;硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、燐酸塩、炭酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩等の低級アルキルスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等のアリ−ルスルホン酸塩;フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩;及びグルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等のアミノ酸等の有機酸である酸付加塩を挙げることができる。また、本発明の化合物が酸性基を当該基内に有している場合、例えばカルボキシル基等を有している場合には、当該化合物を塩基で処理することによっても、相当する薬学的に許容される塩に変換することができる。当該塩基付加塩としては、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、グアニジン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の有機塩基による塩が挙げられる。さらに本発明の化合物は、遊離化合物又はその塩の任意の水和物又は溶媒和物として存在してもよい。
【0148】
また、本発明に係る化合物は、その置換基の態様によって、光学異性体、ジアステレオ異性体、幾何異性体等の立体異性体又は互変異性体が存在する場合がある。これらの異性体は、すべて本発明に係る化合物に包含されることは言うまでもない。さらに、これらの異性体の任意の混合物も本発明に係る化合物に包含されることは言うまでもない。
【0149】
本発明に係る化合物の医薬としての有用性は、例えば、下記の薬理試験例1又は2により具体的に証明される。
【0150】
薬理試験例1(NPY結合阻害試験)
ヒトNPY Y1受容体をコードするcDNA配列[Accession No.L07615]を、発現ベクターpEF1x(インビトロジェン社製)にクローニングした。得られた発現ベクターをカチオン性脂質法[プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)、84巻、7413頁(1987年)参照]を用いて宿主細胞CHO−K1 NFAT β−Lactamase(Aurora社)にトランスフェクトし、NPY Y1受容体発現細胞を得た。
【0151】
NPY Y1受容体を発現させた細胞から調製した膜標品を被検化合物及び20,000cpmの[125I]ペプタイドYY(アマーシャム社製)とともに、アッセイ緩衝液(20mM HEPES、0.5%BSA、1mM フェニルメチルスルホニルフルオリド及び0.1%バシトラシンを含むHBSS緩衝液、pH7.4)中で25℃、2時間インキュベーションした後、グラスフィルターGF/Cにて濾過した。20mM HEPES緩衝液、pH7.4にて洗浄後ガンマカウンターにてグラスフィルター上の放射活性を求めた。非特異的結合は1μM ペプタイドYY存在下で測定し、特異的[125I]ペプタイドYY結合に対する被検化合物の50%阻害濃度(IC50値)を求めた[エンドクリノロジー(Endocrinology)、131巻、2090頁(1992年)参照]。その結果を表に示す。
【0152】
【表1】

【0153】
また、前記化合物(A)のWO97/34873号公報に記載のIC50値は、0.33(nM)であった。
【0154】
上記に示すとおり、本発明化合物はNPY Y1受容体に対するペプタイドYY(NPYと同族物質)の結合を強力に阻害した。
【0155】
以上の結果、本発明に係る化合物(I)は、NPYが関与する各種の疾患、例えば高血圧、腎臓病、心疾患、血管攣縮等の循環器系疾患、例えば過食症、うつ病、てんかん、痴呆等の中枢性疾患、例えば肥満症、糖尿病、ホルモン異常等の代謝性疾患又は緑内障等の予防及び/又は治療剤、特に例えば過食症、肥満症、糖尿病等の予防及び/又は治療剤として有用である。
【0156】
薬理試験例2(P糖タンパク質の基質性についてのアッセイ)
P糖タンパク質(P−gp)の基質性を、、ヒトP糖タンパク質を発現する細胞を用い、経細胞輸送試験系で評価した。ヒトP糖タンパク質発現細胞は、宿主細胞としてブタ腎臓由来のLLC−PK1細胞を使用したもので、オランダ癌研究所(The Netherlands Cancer Institute)のアルフレッド シンケル博士(Dr. Alfred Schinkel)より入手した[ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション(Journal of Clinical Investigation)、96巻、1698頁(1995年)参照]。 24ウェル・HTS・マルチウェル・インサートシステム (ベクトン・ディッキンソン社製)のフィルターメンブレン上に、0.15 million cells/wellの濃度になるように細胞を播種した。細胞による単層膜を形成するため約1週間細胞培養を行った。マルチウェル・インサートシステムは2つのコンパートメント(頂側膜側=Apical側及び側底膜側=Basolateral側)に分かれる。輸送実験前に両側(Apical側及びBasolateral側) の細胞培養液をアッセイ緩衝液 (10 mM Hepes (pH 7.4) を含んだHank’s balanced salt solution (HBSS)) に交換した。約1時間後、Apical→Basolateral (A→B)の輸送に関しては、Basolateral 側をアッセイ緩衝液 0.5 mLに、Apical側を1 μM被験化合物入りのアッセイ緩衝液 0.5 mLに交換し、輸送実験を開始した。3時間後、Apical、Basolateral 両側から50 μLずつ測定用サンプルとして採取した。Basolateral→Apical(B→A)輸送に関してはこの逆の操作を行った。被験化合物添加側をdonor、他方をreceiverとする。細胞単層膜の形成は、被験化合物と共に0.5 μM Dextran Texas Red (3000 MW) をdonor側に添加しておき、インキュベーション終了後、receiver側への漏れを蛍光プレートリーダー (Ex 590 nm−Em 635 nm) で測定することにより確認した。輸送実験終了後、測定用サンプルに内部標準物質入りアセトニトリルを等量添加した。測定用サンプルはLC−MS/MSを用い測定し、相対検量線法により被験化合物濃度を計算した。 A→B、B→Aそれぞれに対して輸送された被験化合物の透過係数 (Papp:式1) を算出した。また、A→B、B→Aの透過係数の比を求めた(BA/AB:式2)。BA/ABをP糖タンパク質(P−gp)の基質性の指標とした[ドラッグ・メタボリズム・アンド・ディスポジション(Drug Metabolism and Disposition)、31巻、1251頁(2003年)参照]。その結果を表に示す。
【0157】
【表2】

【0158】
ヒトにおけるP糖タンパク質に関する上記アッセイにおいては、BA/ABが3未満であることが好ましい。
式1:Papp=(0.5mL×CR)/((CD+CR)×3hr×Area)
式2:BA/AB=Papp(B→A)/Papp(A→B)Area:フィルターの表面積、CD:3時間後のdonor側の被験化合物濃度、CR:3時間後のreceiver側の被験化合物濃度
薬理試験例1及び2で用いた化合物(A)は、特許文献7に記載の前記化合物である。
【0159】
一般式(I)で表される化合物は、経口又は非経口的に投与することができ、そしてそのような投与に適する形態に製剤化することにより、例えば狭心症、急性・うっ血性心不全、心筋梗塞、高血圧、腎臓病、電解質異常、血管れん縮、動脈硬化症等の循環器系疾患、例えば過食症、うつ病、不安、痙攣、てんかん、痴呆、痛み、アルコール依存症、薬物の断薬に伴う禁断症状、概日リズムの変調、統合失調症、記憶障害、睡眠障害、認知障害等の中枢神経系疾患、例えば肥満症、糖尿病、ホルモン分泌異常、高コレステロール血症、高脂血症、痛風、脂肪肝等の代謝性疾患、例えば不妊、早産、性機能障害等の生殖系疾患、消化管系疾患、呼吸器系疾患、炎症性疾患又は緑内障等、また、例えばアテローム性動脈硬化症、性腺機能低下症、高アンドロゲン症、多嚢胞性卵巣症候群、多毛症、消化管運動障害、肥満に関連した胃食道逆流、肥満低換気症候群(ピックウィック症候群)、睡眠時無呼吸症候群、炎症、全身性脈管炎、変形性関節症、インシュリン抵抗性、気管支収縮、アルコール嗜好性、代謝異常症候群(metabolic syndrome;syndrome X)、アルツハイマー病、心肥大、左心室肥大、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール血症、例えば冠動脈性心疾患(CHD)、脳血管性疾患、脳卒中、末梢脈管疾患、突然死等の循環器系疾患、胆嚢疾患、癌(乳癌、子宮内膜癌、結腸癌)、息切れ、高尿酸血症、生殖能障害、腰痛又は麻酔薬過敏症等の処置剤として供することができる。本発明の化合物を臨床的に用いるにあたり、その投与形態に合わせ、薬剤学的に許容される添加剤を加えて各種製剤化の後投与することも可能である。その際の添加剤としては、製剤分野において通常用いられる各種の添加剤が使用可能であり、例えばゼラチン、乳糖、白糖、酸化チタン、デンプン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、トウモロコシデンプン、マイクロクリスタリンワックス、白色ワセリン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水りん酸カルシウム、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ソルビトール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン、硬化ヒマシ油、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルク、植物油、ベンジルアルコール、アラビアゴム、プロピレングリコール、ポリアルキレングリコール、シクロデキストリン又はヒドロキシプロピルシクロデキストリン等が挙げられる。
【0160】
これらの添加剤との混合物として製剤化される剤形としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤若しくは坐剤等の固形製剤;又は例えばシロップ剤、エリキシル剤若しくは注射剤等の液体製剤等が挙げられ、これらは、製剤分野における通常の方法に従って調製することができる。なお、液体製剤にあっては、用時に水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁させる形であってもよい。また、特に注射剤の場合、必要に応じて生理食塩水又はブドウ糖液に溶解又は懸濁させてもよく、更に緩衝剤や保存剤を添加してもよい。
【0161】
本発明の化合物を例えば臨床の場で使用する場合、その投与量及び投与回数は、患者の性別、年齢、体重、症状の程度及び目的とする処置効果の種類と範囲等により異なるが、一般に経口投与の場合、成人1日あたり、0.01〜100mg/kg、好ましくは0.03〜1mg/kgを1〜数回に分けて、また非経口投与の場合は、0.001〜10mg/kg、好ましくは0.001〜0.1mg/kg、より好ましくは0.01〜0.1mg/kgを1〜数回に分けて投与するのが好ましい。
【0162】
通常の内科医、獣医又は臨床医は病状進行を阻止し、抑制し又は停止させるに必要な効果的薬物量を容易に決定し処理することができる。
【0163】
これらの製剤は、本発明の化合物を全薬剤1.0〜100重量%、好ましくは1.0〜60重量%の割合で含有することができる。これらの製剤は、また、治療上有効な他の化合物を含んでいてもよい。
【0164】
本発明化合物は代謝障害及び/又は摂食障害の処置に有用な他剤と組み合わせて使用することができる。そのような組み合わせの個々の成分は、処置期間中、別々の異なる時に又は同時に、分割された又は単一の製剤で投与することができる。したがって、本発明は同時の又は時間が異なる投与の全てを含むと解釈すべきであり、本発明における投与はそのように解釈すべきである。本発明化合物と代謝障害及び/又は摂食障害の処置に有用な他剤との組み合わせの範囲には、原則として代謝障害及び/又は摂食障害の処置に有用ないかなる医薬製剤との組み合わせも包含される。
【0165】
糖尿病は複合因子によって引き起こされ、絶食状態における血漿中のグルコース濃度の上昇(高血糖症)によって特徴付けられる。糖尿病には一般に認知された二つの型がある。1型は、グルコースの活用を制御するホルモンであるインスリンの分泌不全によるインスリン依存性糖尿病(IDDM)で、2型は、高血糖症を呈するインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)であり、高インスリン血症(血漿中のインスリン濃度が糖尿病でない患者と比較して同等若しくはむしろ高い)を呈する。1型の糖尿病は、通常注射による外来性インスリンの投与により治療される。しかしながら、2型の糖尿病は、主たるインスリン感受性組織、すなわち筋肉、肝臓及び脂肪組織におけるグルコース及び脂肪の代謝を促進するインスリンの作用が低減するインスリン抵抗性が亢進する現象をしばしば示す。すなわち、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)患者において、血漿中のインスリン濃度は、その濃度が上昇時でさえ、顕著なインスリン抵抗性を克服するには不十分で、結果として患者が高血糖症に陥る。そのため、外来性インスリン単独投与による治療は困難を呈する。
【0166】
インスリン抵抗性は、未だ完全には理解されていないが、筋肉中におけるグルコース取り込み阻害、グルコースの酸化減退、グリコーゲンの蓄積、脂肪組織中における脂肪分解阻害並びに肝臓におけるグルコースの産生及び分泌の異常を来たす。糖尿病における高血糖の放置は高い疾病への羅患率及び死亡率と関係がある。2型の糖尿病では、循環器系の合併症、例えばアテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患、脳卒中、末梢脈管疾患、高血圧、腎臓病、神経障害及び網膜症の亢進の危険性が増加する。
【0167】
インスリン非依存性糖尿病は、また心肥大、特に左心室肥大と関係がある(Devereux,R.B.,Circulation,101:2271−2276(2000))。左心室肥大の如き心肥大は慢性的な血圧上昇あるいは循環血液量の増加に起因するものである。左心室肥大(LVH)は左心室質量の増加を含む左心室壁の肥厚化を特徴としており、体表面積あたりの左心室質量で表される指数、すなわち男性の場合131g/mを超える数値、女性の場合100g/mを超える数値によって左心室肥大が定義づけられている(サヴェイジら、The Framingham Study,Circulation,75(1Pt2):26−33(1987))。
【0168】
左心室肥大はうっ血性心不全、虚血性心不全、循環器及びその他に起因する死、突然死及び脳卒中の如き循環器系疾患の発生率の増加に関与している。そのため、左心室肥大の退縮は循環器系疾患の低減と関係している。左心室肥大が進行した患者は、左心室肥大が退縮した患者よりも重篤な事態におちいる危険性が高いことが報告されている。
減量、ナトリウム摂取制限及び有酸素運動の如き非薬理的手法を含む現行の心肥大症に対する治療は、左心室の質量を減少させることができる(ガリ、J.Kら、American Journal of Geriatric Cardiology,6:38−49(1997))。
【0169】
インスリン抵抗性を示すが2型糖尿病にまでは進行していない多くの患者でも症候群X(syndrome X)、又は多代謝異常症候群とも呼称される代謝異常症候群(metabolic syndrome)に進行する危険性にも曝されている。耐糖能異常に到るまでの5〜10年の期間も多くのホルモン失調症を伴い、内臓脂肪の蓄積、高血圧、インスリン抵抗性及び高脂血症を助長する(Bjornstop,P.,Current Topics in Diabetes Research,eds.Belfore,F.,Bergman.R.N.,and Molinath.G.M.,Front Diabetes,Basel,Karger,12:182−192(1993))。また、代謝異常症候群は内臓脂肪の蓄積、高インスリン血症、高血糖、症候群X、低HDL血症及び高VLDL血症を伴うインスリン抵抗性で特徴付けられる。そのため、代謝異常症候群の種々の構成因子間の因果関係については不明な点もあるが、インスリン抵抗性が重要な役割を演じていると考えられる(Requen,G.M.,et al.,N.Eng.J.Med.334.374:381(1996);Despres,J−P.,et al.,N.Engl.J.Med.334:952−957(1996);Wajchenberg,B.L.,et al.,Diabetes/Metabolism Rev.10:19−29(1994))。代謝異常症候群患者は、糖尿病に進行するしないに拘わらず上記した循環器系の合併症に進行する危険性に曝されている。左心室肥大と代謝異常症候群との間の関連性についても近年報告されている(Marcus,R.et al.Circulation,90:928−936(1994));Lind,L.et al.,J Hypertens.13:433−38(1995);Paolisso,G et al.,Am J Hypertens.,10:1250−1256(1997))。
【0170】
2型糖尿病は例えばグリタゾン等のPPAR作動薬、ビグアナイド剤、タンパク質チロシンリン酸化酵素1B阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、インスリン、インスリン模倣剤、スルホニル尿素、メグリティナイド、α−グルコシド加水分解酵素阻害剤、及びα−アミラーゼ阻害剤等の多種多様の治療薬を用いて治療される。
【0171】
膵臓β−細胞を刺激してより多くのインスリンを分泌させるスルホニル尿素(例えば、トルブタミド及びグリピジド)又はメグリティナイドの投与及びこれら薬剤の効果がなくなる場合にはインスリンの注射により、血漿中のインスリン濃度レベルをインスリン抵抗性組織をも刺激するに充分な高い濃度に達する。しかしながら、血糖値が危険なほど低濃度に達する低血糖症を引き起こす可能性があるとともに、更にインスリン抵抗性を助長する。ビグアナイド剤はインスリンの感度を上昇させ、高血糖症を幾分改善する方向に働く。α−アミラーゼ阻害剤は澱粉又はグリコーゲンのマルトースへの酵素的分解を阻害し、腸内での糖吸収を遅らせる働きをするとともに利用可能な糖類の量を低下させる。メトフォルミンによる単独療法は肥満体及び/又は脂肪異常症のタイプ2型糖尿病患者の治療にしばしば用いられる。メトフォルミンがしかるべき効能を示さない場合はスルホニル尿素、チアゾリジンジオン、インスリン又はα−グルコシド阻害剤を用いて引き続き治療が続けられる。しかしながら、二つのビグアナイド剤、フェンフォルミン及びメトフォルミンは乳酸アシドーシス及び吐き気/下痢をもそれぞれ誘発する。アカルボース等のα−グルコシダーゼ阻害剤は、腸管の機能障害をひきおこす。
【0172】
チアゾリジンジオン(例えば、5−ベンジルチゾリジン−2,4−ジオン)としても知られるグリタゾンは、2型の糖尿病の多くの症状を改善するための新しい作用様式の薬剤としてごく最近報告された化合物類の一つである。これらの薬剤はペルオキシソーム増殖活性化レセプター(PPAR)γ−サブタイプの作動薬であり、2型糖尿病のいくつかの動物モデル中の筋肉、肝臓及び脂肪組織におけるインスリン感度を本質的に上昇させ、低血糖を誘発することなく血漿中の上昇した糖濃度を部分的又は完全に改善する。2型糖尿病及び/又は脂質異常症の治療のために開発されつつあるより新しいPPAR作動薬はPPARα、γ及びδサブタイプのうちの1又はそれ以上の作動薬である。
【0173】
しかしながら、PPARγ作動薬による糖尿病の治療は心肥大又は心重量増大をきたすことがある。PPARγ作動薬であるアバンディア(Avandia)(ロシグリタゾン(rosiglitazone)のマレイン酸塩)の最近のラベル改定は患者が浮腫及びうっ血性心不全の如き体液貯留及び質量増加に関連した症状を呈する可能性を示唆している。PPARγ作動薬による治療に関連した心肥大は薬剤投与を中止することが典型的な治療方法であると言える。
2型糖尿病の治療方法の中には通常、運動及び食餌療法による体重調整が含まれる。運動、及び食事摂取カロリーの低減により糖尿病としての病態は劇的に改善されるが、身に付いたほとんど運動しない生活習慣及び過食、特に飽和脂質を含む食物の過食ゆえに、この治療方法に対する順守性は非常に悪い。更に、運動強化による体重減少は関連の病状のため、多くの糖尿病患者にとって行うことが困難である。
【0174】
異常なグルコース恒常性(ホメオスタシス)はまた肥満、高血圧及び脂質代謝異常と直接あるいは間接的に関連している。また、肥満はインスリン抵抗性を助長し、及び結果として発症するインスリン抵抗性が体重増加を助長する。それゆえに、グルコース恒常性、脂質代謝異常、肥満及び高血圧の治療管理は糖尿病の臨床管理及び治療にとって極めて重要である。
理想体重の20%以上高い体重を以って定義される肥満は西洋社会における主要な健康に関する関心事である。米国民の3人に一人の成人が過体重又は肥満であると推定されている。肥満はエネルギー消費量よりも摂取カロリー量が上回ることによりエネルギーバランスがプラス側になった結果起こる。(B.Staels et al.,J.Biol.Chem.270(27),15958(1995);F.Lonnquist et al.,Nature Medicine1(9),950(1995))。食物摂取及び体重バランスを規制する分子レベルの要因に関しては未だ完全に理解されていない部分もあるが、いくつかの遺伝子的因子が特定されている。
【0175】
疫学的研究により過体重及び肥満の進行度が寿命短縮の重要な因子であることが明らかにされた。肥満は他の疾患とは独立して又は関連して多くの健康問題を惹起又は悪化させる。深刻かつ生命を脅かす肥満と関係する医学上の問題は2型糖尿病、高血圧、高インスリン、インスリン抵抗性、脂質代謝異常、高脂血症、子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌、腎臓癌及び大腸癌、変形性関節症、呼吸器系合併症、具体的には不閉塞型睡眠時無呼吸症候群、胆石、動脈硬化症、心疾患、心拍リズムの異常及び不整脈を含む(Kopelman,P.G.,Nature 404,635−643(2000))。肥満はまた代謝異常症及び循環器障害、例えば、心肥大、特に左心室肥大、若年死亡及び脳卒中による死亡率、羅患率の深刻な増加、心筋梗塞、うっ血性心不全、冠動脈性心疾患及び突然死と関連性がある。
【0176】
内臓型肥満は高い危険率で冠動脈疾患との関連性があり、また、主たる三つの危険因子として高血圧、成人期に発症する糖尿病、高脂血症との関連もある。体重減少は、劇的にこれらのリスクを軽減する。更に、内臓型肥満は、耐糖能異常、高インスリン血症、高トリグリセリド血症及び高比重リポタンパク質(HDL)の低下及び極低比重リポタンパク質(VLDL)の上昇の如き代謝異常症候群(症候群X)と関連性のある他の疾患(VLDL)と密接な関連性を有している(Montague et al.,Diabetes,2000,49:883−888)。
【0177】
肥満及び肥満に関連する糖尿病の如き疾患に対して、食事摂取量を減らすか又はエネルギー消費量を増加するために運動量を増すことによって減量するよう患者に勧める治療方法が取られる。体重の5〜10%の減量の維持を行うことにより糖尿病、左心室肥大、変形性関節症及び心肺機能障害の如き肥満関連疾患をも改善することができる。
【0178】
肥満症の治療に用いられる減量用薬としてオルリスタット(Davidson,M.H.et al.(1999)JAMA 281:235−42)、デクスフェンフルラミン(Guy Grand,B.et al.(1989)Lancet 2:1142−5)、シブトラミン(Bray,G.A.et al.(1999)Obes.Res.&:189−98)及びフェンテルミン(Douglas,A.et al.(1983)Int.J.Obes.7:591−5)が挙げられる。しかしながら、これらの抗肥満症薬には副作用があり、その使用が制限を受ける。デクスフェンフルラミンは心臓弁膜症という副作用を惹起する疑いのために市場から撤退された。オルリスタットは胃腸への副作用のためにその投与が制限される。シブトラミンは心臓への副作用による死亡報告のためイタリア市場から撤退されており、その投与が制限されている。
【0179】
ここで用いられる「糖尿病」の用語はインスリン依存性糖尿病(すなわち、IDDM、1型糖尿病としても知られている)及びインスリン非依存性糖尿病(すなわち、NIDDM、2型糖尿病としても知られている)両者を含む。本発明の組成物はタイプ1及びタイプ2の糖尿病の両者の治療にとって有用である。本組成物は特に2型糖尿病の治療に対して有用である。本発明の組成物はまた妊娠糖尿病の治療及び/又は予防に対して特に有用である。
【0180】
本発明の化合物又は組み合わせ組成物は糖尿病治療に有効である。治療の一成果は上昇したグルコース濃度を低減させることにある。治療の別の成果は上昇したインスリン濃度を低減させることにある。治療の別の成果は上昇した血中トリグリセリド濃度を低減させることにある。治療の別の成果は上昇したLDLコレステロール濃度を低減させることにある。治療の別の成果は低濃度のHDLコレステロールを上昇させうることにある。治療の別の成果はインスリン感度を上げることにある。治療の別の成果は耐糖能異常を改善することにある。治療の別の成果はインスリン抵抗性を低減させうることにある。
【0181】
本発明の化合物又は組み合わせ組成物は糖尿病予防に有効である。
【0182】
ここで用いられている用語「高血圧」はその原因が知られていないか、又は心臓及び血管の両方に変化を来たすような、その原因が一つ以上から起こる本態性高血圧及びその原因が知られている二次性高血圧を含む。二次性高血圧の原因は肥満症を含むがそれに限られておらず、腎疾患、ホルモン失調及び経口避妊薬、副腎皮質ステロイド、サイクロスポリン等のある種の薬の服用による原因を包含する。用語「高血圧」は収縮期血圧及び拡張期血圧共に上昇した高血圧の場合、及び拡張期血圧は90mmHg未満であるのに、収縮期血圧が140mmHg以上である場合を包含する。治療の一成果は上昇した血圧を低減させることにある。
【0183】
脂質代謝異常又は脂質代謝疾患は一つあるいはそれ以上の脂質(例えばコレステロール及びトリグリセリド)及び/又はアポリポタンパク質(例えばアポリポタンパク質A、B、C及びE)及び/又はリポタンパク質(例えば脂質を血中に循環させる脂質及びアポリポタンパク質から形成される、例えばLDL、VLDL及びIDLの如き高分子複合体)の異常濃度で特徴付けられる種々の状態を包含する。高脂血症は脂質、LDL及びVLDLコレステロール及び/又はトリグリセライド異常な上昇を伴う。
【0184】
症候群Xとしても知られている用語「代謝異常症候群」はThird Report of the National Cholesterol Education Program Expert Panel on Detection, Evaluation and Treatment of High Blood Cholesterol in Adultsの中で定義されている(ATP−III)(E.S.Ford et al.,JAMA,vol.287(3),Jan.16,2002,pp356−359)。例えば、内臓型肥満、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール、高血圧及び空腹時高血糖のうち、三つ又はそれ以上の症状を有する場合に、その人は代謝異常症候群を有すると定義されている。これらの基準はATP−IIIに定義されている。
【0185】
ここで用いられている「左心室肥大」(LVH)は左心室質量指数(LVMI=左心室質量(g)を体表面領域(m)で除した値)及び相対的壁厚さ(RWT=2×後壁厚さ/心臓拡張終点時の左心室直径)に基づいて定義された左心室肥大症の三つの型を包含する。三つの型は左心室質量指数が144及び相対壁厚みが0.52の場合を典型例として挙げられる求心性LVH、左心室質量指数が136及び相対壁厚みが0.38の場合を典型例として挙げられる遠心性LVH及びLVMIが93、相対的壁厚みが0.38の場合を典型的な例として挙げられる変形求心性左心室を意味する。正常なLVMIの典型的な数値は85及び正常なRWTの典型的な数値は約0.36である。変形求心性左心室(LV)を持つ患者の心血管系疾患への進行危険率は正常な左心室構造を有する患者と左心室肥大症患者の中間に位置する。
【0186】
心肥大又は左心室肥大を最小限に抑えながら行う糖尿病治療の一成果は心室質量を低減させうることである。心肥大又は左心室肥大を最小限に抑えながら行う糖尿病治療の他の一成果は心室質量の増加率を低下させうることである。心肥大又は左心室肥大を最小限に抑えながら行う糖尿病治療の他の一成果は左心室壁の厚さを低減させうることである。心肥大又は左心室肥大を最小限に抑えながら行う糖尿病治療の他の一成果は左心室壁の厚さの増加率を低下させうることである。
【0187】
ここで用いられる用語「肥満」は体脂肪が過剰にある状態を言う。肥満の定義は体重を身長の二乗で除して計算される身体質量指数(BMI)(kg/m)に基づいている。欧米においては、肥満症とはBMIが30kg/m以上の健常者又はBMIが27kg/m以上の少なくとも一つの合併症を有する者の健康状態のことを言う。肥満症になる危険性のある者とはBMIが25kg/m以上30kg/m未満の健常者、又はBMIが25kg/m以上27kg/m未満の少なくとも一つの合併症を有する者のことを言う。
【0188】
アジア人においては、肥満に関連するリスクは、欧米人に比してより低いBMIから発生する。日本を含むアジア諸国においては、肥満症とは、減量を必要とする又は減量によって改善するであろう少なくとも一つの肥満に誘発されたか又は肥満に関連した合併疾患に罹患し、25kg/m以上のBMIを有する者の健康状態のことを言う。アジア諸国において、肥満症になる危険性のある者とは23kg/m以上、25kg/m未満のBMIを有する者のことを言う。
【0189】
ここで用いられているように、用語「肥満」は上記に定義したすべての肥満を包含する。
【0190】
肥満によって誘発するか又は肥満に関連した合併疾患は、これらに制限されることはないが、糖尿病、耐糖能異常、インスリン抵抗性症候群、脂質異常、高血圧、高尿酸血症、痛風、冠動脈疾患、心筋梗塞、狭心症、睡眠時無呼吸症候群、ピックウィック症候群、脂肪肝、脳梗塞、脳血栓症、一過性脳虚血発作、整形外科疾患、変形性関節症、腰痛症、月経異常及び不妊症を包含する。特に合併疾患として、高血圧、高脂血症、脂質異常、耐糖能異常、循環器系疾患、睡眠時無呼吸症候群、糖尿病及び他の肥満関連病状を包含する。
【0191】
肥満及び肥満関連疾患の治療は肥満患者の体重を低減又は維持するために本発明の化合物又は混合剤組成物を投与することを意味する。治療の一成果は肥満患者の体重が、本発明に係る化合物又は混合組成物の投与前の患者の体重に比較して減少し始めうることにある。他の治療の成果は食餌療法、運動又は薬物療法の結果減量した体重を維持しうることにある。他の治療の成果は肥満関連疾患の発症及び/又は重症度を低減させうることにある。治療の成果は食物摂取量及び/又はカロリー摂取量の低減にある。すなわち、食物摂取の総量の減少又は炭水化物若しくは脂肪の如き特別な食物成分の摂取量の減少及び/又は栄養素の吸収阻害及び/又は代謝率の低下阻害にある。また治療の成果は代謝率の変化にある。すなわち、代謝率減少の阻止又は代謝率の増大の如き代謝率の変化及び/又は通常、減量から来る代謝抵抗の最小化にある。
【0192】
肥満及び肥満関連疾患の予防は肥満に進行する危険性のある者の体重を低減又は維持するために本発明の化合物又は混合組成物を投与することを意味する。予防の一成果は肥満に進行する危険性のある者の体重が、本発明に係る化合物又は混合組成物の投与前の患者の体重に比較して減少し始めうることにある。他の予防の成果は食餌療法、運動又は薬物療法の結果減量した体重を維持しうることにある。他の予防の成果は、肥満になる危険性のある者が肥満を呈する前に治療が開始されれば肥満の発症が予防されうることにある。他の予防の成果は、肥満になる危険性のある者が肥満を呈する前に治療が開始されれば肥満症関連疾患の発症及び/又は重症度を低減させうることにある。更に、肥満者に治療が行われれば、それによって肥満関連疾患の発症、進行が予防され又は重症度が低減さることにある。そのような肥満関連疾患として、動脈硬化症、2型糖尿病、多嚢胞性卵巣症候群、循環器系疾患、変形性関節症、皮膚疾患、高血圧、インスリン抵抗性、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症及び胆石症が挙げられるが、これらに制限されない。
【0193】
ここで用いられる「アテローム性動脈硬化症」は医師が当該分野の薬剤の投薬を通じて得た経験によって確認され、理解される血管疾患及び病態を包含する。アテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患(冠動脈疾患又は虚血性心不全としても知られている)、脳血管疾患及び末梢血管拡張性疾患はすべてアテローム性動脈硬化症の臨床症状であり、それ故に用語「アテローム性動脈硬化症」及び「アテローム性動脈硬化性疾患」に包含される。治療的に効果のある量の抗糖尿病薬剤と治療的に効果のある量の抗肥満症薬剤との組合せ組成物を潜在的に存在する冠動脈性心疾患、脳血管疾患又は間欠性跛行の発症又は再発の危険性を防止、低減するために投与することができる。冠動脈性心疾患事象はCHD死、心筋梗塞(例えば心臓発作)及び血管再開通術処置を包含する。脳血管疾患事象は虚血性又は出血性脳卒中(脳血管偶発事故としても知られている)及び一過性虚血性発作を包含することを意味する。間欠性跛行は末梢血管疾患の臨床症状である。ここで用いられる用語「アテローム性動脈硬化性疾患事象」は冠動脈性心疾患事象、脳血管疾患事象及び間欠性跛行を包含することを意味する。以前に1度又はそれ以上の非致命的アテローム性動脈硬化症事象に罹患した者はその事象の再発の潜在性を有している者であることを意味する。
【0194】
概日リズムが生理学的パラメーターに影響を与える。生理学的パラメーターとして休息と活動、睡眠と覚醒のサイクル、体温、ホルモン濃度のリズム、一般生理機能の変動等を挙げることができる。これらのパラメーターが日常の時間推移との共時性にずれを生じると、生理機能、多種の仕事の遂行能力及び情緒面の健康に影響を及ぼす概日リズムが変調をきたす。本発明は、概日リズムに関連した症状のみならず例えば時間帯を横切る旅行及び交代勤務制に関連した精神的、肉体的障害の予防又は治療に有益である。
【0195】
他の実施態様において、本発明は、哺乳動物候群、交替勤務制による障害、睡眠相後退症候群、睡眠相進行症候群及び非24時間睡眠−覚醒障害を含む哺乳動物の概日リズム障害の予防又は治療方法を提供する。
【0196】
他の実施態様において、本発明は、睡眠−覚醒サイクルに異常をきたした患者の再同調(正常な概日リズムへの回復であり、環境的明−暗サイクルへの同調を意味する)時間を短縮する方法を提供する。
【0197】
他の実施態様において、本発明は、旅行者のジェット−ラグを緩和する方法を提供する。この態様の目的は時間帯を何度も横切る場合の睡眠及び摂食のパターンの変化に対して生理機能的に身体を順応させるよう支援することである。
【0198】
好ましい実施の態様は、患者の体内時計を患者の現時点の活動/睡眠サイクルにリセットする方法を提供することである。例えば、交代勤務者が夜から昼又は昼から夜へ勤務時間交代するときに有効である。
【0199】
本発明は、睡眠効率を上げ、睡眠持続性を増大することによる睡眠の質を高め又は改善するための方法を提供する。更に、本発明は睡眠障害及び睡眠妨害の予防及び治療のための方法を提供する。本発明は、更に睡眠の質を高め又は改善するための、及び睡眠効率や睡眠持続性を増大するための医薬組成物を提供する。本発明は、精神病理学的障害(特に不安に関連した)の結果として心理生理的原因から生じたり、薬物使用及びアルコール過剰摂取(特に断薬及び禁酒の段階における)、幼児期開始DIMS、夜間ミオクロヌス、老齢者に見られる脚不穏症及び非特異性REM(眼球運動)障害から発生する睡眠開始障害及び持続性睡眠障害(「DIMS」)を含む睡眠障害の治療に有益である。
【0200】
本発明によってもたらされる患者の身の上に起こる次のような成果は睡眠の質向上に関係しうる。患者の睡眠時間を睡眠を試みようとする時間で除することにより得られる値の増加、睡眠潜時(眠りに落ちるまでの時間)、睡眠中における目覚める回数の減少、最初の睡眠開始後に完全に目覚めるまでにかかる時間の減少、全睡眠時間の増大、REM睡眠の量と割合の増大、REM睡眠の継続時間及び発生増大、REM睡眠寸断化の減少、徐波睡眠(例えばステージ3又は4)の量及び割合の増大、ステージ2睡眠の量及び割合の増大、特に早朝時の覚醒回数の減少、白昼時の意識・覚醒の向上及び睡眠持続性の増大を挙げることができる。本発明によってもたらされる二次的成果として認知機能の強化及び記憶保持力増大が含まれる。「睡眠の質を強化する方法」は、上記したように睡眠の質強化に関係する成果を含む、しかしこれに限定されないが、睡眠の質強化に関係する患者の身の上に起こる成果をもたらす方法を意味する。
【0201】
本発明は、更に不眠症、睡眠過剰、睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシー、夜間ミオクロヌス、REM睡眠妨害、ジェット−ラグ、交替勤務者の睡眠妨害、ダイソムニア(dysomnias)、夜間恐怖症、夜間飲食症候群、睡眠(睡眠時異常行動)と関連性のあるうつ病、情緒的/気分的障害、機能障害に関連した不眠症夢遊、遺尿症、老齢化に伴って起こる睡眠障害に関連性のある睡眠問題を含む睡眠障害及び睡眠妨害の予防及び治療に有益である。睡眠障害及び睡眠妨害は一般に睡眠の開始又は持続に困難があり、又は安らかな又は充分な睡眠を得るのが困難である。
【0202】
更に、ある薬物は副作用としてもREM睡眠の減少が発症し、そして本発明がこれらのタイプの睡眠障害を是正するのにも使用されうる。本発明は、非回復性睡眠及び筋肉痛を示す線維筋痛症又は睡眠中の呼吸障害と関連性のある無呼吸睡眠の治療にも有効であろう。本発明は睡眠障害及び睡眠妨害に限定されることなく、睡眠の質が減退することにより生来する広範な病態に適用可能であることが明らかである。
【0203】
本発明の化合物及びその組成物又はこれらを用いた他剤との併用は、これらの病態の治療及び予防に有益である。
【0204】
本発明において、対象の哺乳動物が人間であることが好ましい。本発明は老若男女に適用可能であるが、年配の男女に対してより大きな適用性がありうる。更に、本発明は健康な人々の睡眠の質を向上するのに適用されるが、睡眠障害又は睡眠妨害に罹っている人々の睡眠の質を向上する方に特に効果がありうる。
【0205】
式Iの化合物においては、原子はそれらの天然同位体多数を呈してもよく、或いは1つ以上の原子を、同じ原子番号をもつが、原子質量又は質量数が自然界で主として見られる原子質量又は質量数とは異なる特定の同位体について人工的に増やしてもよい。本発明は、式Iの化合物の全ての適切な同位体変形物を包含するものとする。例えば、水素(H)の異なる同位体型は、プロチウム(H)及び重水素(H)を包含する。プロチウムは、自然界で見られる主な水素同位体である。重水素を強化することで、インビボの半減期が増加されるか又は必要投与量が低減されるといった、ある種の治療上の利点が得られることがあり、或いは生物試料のキャラクタリゼーションのための標準物として有用な化合物を提供し得る。式Iの範囲内で同位体を強化された化合物は、当業者に周知の通常の技術又は本明細書のスキーム及び実施例に記載されたものに類似のプロセスにより、適切に同位体富化された試薬及び/又は中間体を用いることで、過度の実験を伴わずに調製し得る。
【0206】
本発明に係る組成物は、高血圧、肥満と関連性のある高血圧、高血圧関連障害、心肥大、左心室肥大、及び代謝異常症候群、肥満及び肥満関連障害の如き障害の治療、予防又は管理にも有益な他の薬物と組み合わせて使用されることが出来る。そのような他の薬物は常法に従い、通常一般に用いられる量とルートで、本発明に係る組成物と同時に又は順次投与出来る。本発明の組成物が1又はそれ以上の他の薬物と同時に投与される場合、そのような他の薬物及び本発明の組成物を含む服用単位形態の薬剤組成物であることが好ましい。しかしながら、併用療法は本発明に係る薬物と1又はそれ以上の他の薬物との組み合わせ薬物が種々の重複服用計画に基づいて投与される療法をも包含する。また、1又はそれ以上の他の活性成分と組み合わされる場合、本発明に係る組成物と他の活性成分はそれらが各単独で服用される場合に比較してより少ない服用量でよいことが予期される。したがって、本発明の薬物組成物は本発明の組成物に加えて、1又はそれ以上の他の活性成分を含む組成物を包含する。
【0207】
本発明に係る組成物と組み合わせて、及び別々又は同一の薬物組成物として服用される他の活性成分の例として、以下のものが挙げられるが、これらに制約されない。
【0208】
(a)(i)グリタゾン類(例えばシグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、イサグリタゾン(MCC−555)、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾン、BRL49653、CLX−0921、5−BTZD等)、及びGW−0207、LG−100641、及びLY−300512等の如きPPARγ作動薬、(ii)ブフォルミン、メトフォルミン、フェンフォルミン等の如きビグアナイド類、(iii)タンパク質チロシンリン酸化酵素−1B(PTP−1B)阻害剤、(iv)アセトヘキサミド、クロルプロパミド、ジアビネーゼ、グリベンクラミド、グリピジド、グリブリド、グリメピリド、グリクラジド、グリペンチド、グリキドン、グリソラミド、トラザミド、及びトルブタミド等の如きスルホニル尿素類、(v)レパグリニド及びナテグリニド等の如きメグリチニド類、(vi)アカルボース、アジポシン、カミグリボース、エミグリテート、ミギリトール、ボグリボース、プラジミシン−Q、サルボスタチン、CKD−711、MDL−25,637、MDL−73,945、及びMOR14等の如きα−グルコシド加水分解酵素阻害剤、(vii)テンダミスタット、トレスタチン及びAl−3688等の如きα−アミラーゼ阻害剤、(viii)リノグリリド、及びA−4166等の如きインスリン分泌促進物質、(ix)クロモキシル及びエトモキシルの如き脂肪酸酸化阻害剤、(x)ミダグリゾール、イサグリドール、デリグリドール、イダゾキサン、エアロキサン及びフルパロキサン等の如きA2拮抗薬、(xi)バイオタ、LP−100、ノバラピド、インスリン デテミール、インスリン リスプロ、インスリン グラルジン、インスリン亜鉛懸濁液(レンテ及びウルトラレンテ)、Lys−Proインスリン、GLP−1(73−7)(インスリントロピン)、及びGLP−1(7−36)−NH)等の如きインスリン又はインスリン類似薬、(xii)JT−501、及びファルグリタザール(GW−2570/GI−262579)等の如き非チアゾリジンジオン類、(xiii)MK−0767、CLX−0940、GW−1536、GW−1929、GW−2433、KRP−297、L−796449、LR−90及びSB219994等の如きPPARα/γ二重作動薬、(xiv)他のインスリン感作薬物及び、(xv)VPAC2レセプター作動薬、のような抗糖尿病薬
(b)(i)コレスチラミン、コレセベレム、コレスチポール、交差結合デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体、Colestid(登録商標)、LoCholest(登録商標)、及びQuestran(登録商標)等の如き胆汁酸吸収抑制薬、(ii)アトルバスタチン、イタバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、リバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン及びZD−4522等の如きHMG−CoA還元酵素阻害剤、(iii)HMG−CoAシンターゼ阻害剤、(iv)スタノールエステル類、β−シトステロール、チクエシドの如きステロールグリコシド類及びエゼチミベ等の如きアゼチジノン類等の如きコレステロール吸収阻害剤、(v)アバシミベ、エフルシミベ、KY505、SMP797等の如きアシル補酵素A−コレステロールアシル転移酵素(ACAT)阻害剤、(vi)JTT705、トルセトラピブ、CP532,632、BAY63−2149、SC591、SC795等の如きCETP阻害剤、(vii)スクアレン合成酵素阻害剤、(viii)プロブコール等の如き抗酸化剤、(ix)ベクロフィブレート、ベンザフィブレート、シプロフィブレート、クロフィブレート、エトフィブレート、フェノフィブレート、ジェムカベン、及びジェムフィブロジル、GW7647、BM170744、LY518674、及びAtromid(登録商標)、Lopid(登録商標)、及びTricor(登録商標)等の他のフィブル酸誘導体、の如きPPARα作動薬、(x)GW4064、SR103912等の如きFXRレセプターモデュレータ、(xi)GW3965、T9013137、及びXTCO179628等の如きLXRレセプター、(xii)ナイアシンの如きリポタンパク質合成阻害剤、(xiii)レニン・アンジオテンシン系阻害剤、(xiv)PPARδ部分作動薬、(xv)BARI1453、SC435、PHA384640、S8921、AZD7706等の如き胆汁酸再吸収阻害剤、(xvi)GW501516、及びGW590735等の如きPPARδ作動薬、(xvii)トリグルセリド合成阻害剤、(xviii)インプリタピド、LAB687、及びCP346086等の如きミクロソームトリグリセリド輸送(MTTP)阻害剤、(xix)転写モデュレータ、(xx)スクアレンエポキシダーゼ阻害剤、(xxi)低比重リポタンパク質(LDL)レセプター誘発剤、(xxii)血小板凝集阻害剤、(xxiii)5−LO又はFLAP阻害剤、及び(xxiv)ナイアシンレセプター作動薬、のような脂質低減薬、及び
(c)(i)クロルタリドン、クロルチアジド、ジクロロフェナミド、ハイドロフルメチアジド、インダパミド、及びハイドロクロロチアジドを含むチアジド類の如き利尿薬、ブメタニド、エタクリン酸、フロセミド、及びトルセミドの如きループ利尿薬、アミロリド、及びトリアムテレンの如きカリウム保持性薬、及びスピロノラクトン、エピレノン等の如きアルドステロン拮抗薬、(ii)アセブトロール、アテノロール、ベタクソロール、ベバントロール、ビソプロロール、ボピンドロール、カルテオロール、カルベディロール、セリプロロール、エスモロール、インデノロール、メタプロロール、ナドロール、ネビボロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロパノロール、ソタロール、テルタトロール、チリソロール、及びチモロール等の如きβ−アドレナリン遮断薬、(iii)アムロジピン、アラニジピン、アゼルニジピン、バルニジピン、ベニジピン、ベプリジル、シナルジピン、クレビジピン、ジルチアゼム、エフォニジピン、フェロジピン、ガロパミル、イスラジピン、ラシジピン、レミルジピン、レルカニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、マニジピン、プラニジピン、及びベラパミル等の如きカルシウムチャネル遮断薬、(iv)ベナゼプリル、カプトプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、フォシノプリル、イミダプリル、ロシノプリル、モエキシプリル、キナプリル、キナプリラット、ラミプリル、ペリンドプリル、ペリンドロプリル、クアニプリル、スピラプリル、テノカプリル、トランドラプリル、及びゾフェノプリル等の如きアンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害剤、(v)オマパトリラット、カドクサトリル及びエカドトリル、フォシドトリル、サムパトリラット、AVE7688、ER4030等の如き中性エンドペプチダーゼ阻害剤、(vi)テゾセンタン、A308165、及びYM62899等の如きエンドセリン拮抗薬、(vii)ヒドララジン、クロニジン、ミノキシジル、及びニコチニルアルコール等の如き血管拡張薬、(viii)カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、プラトサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、及びEXP−3137、FI6828K、及びRNH6270等の如きアンジオテンシンIIレセプター拮抗薬、(ix)ニプラジロール、アロチノロール及びアモスラロール等の如き、α/βアドレナリン遮断薬、(x)テラゾシン、ウラピジル、プラゾシン、ブナゾシン、トリマゾシン、ドクサゾシン、ナフトピジル、インドラミン、WHIP164、及びXEN010等の如きα1遮断薬、(xi)ロフェキシジン、チアメニジン、モクソニジン、リルメニジン、及びグアノベンツ等の如きα2作動薬、(xii)アルドステロン阻害剤等、のような抗高血圧薬、及び
(d)(i)パロキセチン、フルオキセチン、フェンフルラミン、フルボキサミン、セルトラリン、及びイミプラミンの如き5HT(セロトニン)輸送体阻害剤、(ii)GW320659、デスピラミン、タルスプラム、及びノミフェンシンの如きNE(ノルエピネフリン)輸送体阻害剤、(iii)リモナバント(サノフィシンセラボ社)、SR−147778(サノフィシンセラボ社)、BAY65−2520(バイエル社)、及びSLV319(ソルベー社)、及び米国特許No.5,532,237、4,973,587、5,013,837、5,081,122、5,112,820、5,292,736、5,624,941及び6,028,084、及びWO96/33159、WO98/33765、WO98/43636、WO98/43635、WO01/09120、WO01/96330、WO98/31227、WO98/41519、WO98/37061、WO00/10967、WO00/10968、WO97/29079、WO99/02499、WO01/58869、WO02/076949、WO01/64632、WO01/64633、WO03/006007、及びWO03/007887、及びEPO出願No.EP−658546に開示された化合物の如きCB−1(カンナビノインド−1レセプター)拮抗薬/反作動薬、(iv)WO01/87335、及びWO02/08250において開示された薬物の如きグレリン拮抗薬、(v)チオペラミド、3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロピル N−(4−ペンテニル)カルバメート、クローベンプロピット、イオドフェンプロピット、イモプロキシファン、GT2394(グリアテック)、及びA331440、及びWO02/15905において開示された薬物、及びO−〔3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロパノール〕カルバメート類(Kiec−Kononowicz,K.et al.,Pharmazie,55:349−55(2000))、ピペリジン含有ヒスタミンH3−レセプター拮抗剤(Lazewska,D.et al.,Pharmazie,56:927−32(2001))、ベンゾフェノン誘導体及び関連化合物(Sasse,A.et al.,Arch.Pharm.(Weinheim)334:45−52(2001))、置換N−フェニルカルバメート類(Reidemeister,S.et al.,Pharmazie,55:83−6(2000))、及びプロキシファン誘導体(Sasse,A.et al.,J.Med.Chem.,43:3335−43(2000))の如きH3(ヒスタミンH3)拮抗薬/反作動薬、(vi)T−226296(武田)、SNP−7941(シナプチック社)、及びWO01/82924、WO01/87834、WO02/051809、WO02/06245、WO02/076929、WO02/076947、WO02/04433、WO02/51809、WO02/083134、WO02/094799、WO03/004027、及び日本特許出願番号JP13226269に開示された薬物の如きメラニン−濃縮ホルモン1レセプター(MCH1R)拮抗薬、(vii)MCH2R(メラニン濃縮ホルモン2R)作動薬/拮抗薬、(viii)BIBP3226、2−〔1−(5−クロロ−3−イソプロピルオキシカルボニルアミノフェニル)エチルアミノ〕−6−〔2−(5−エチル−4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)エチル〕−4−モルホリノピリジン、BIBO3304、LY−357897、CP−671906、及びGI−264879A、及び米国特許No.6,001,836、及びWO96/14307、WO01/23387、WO99/51600、WO01/85690、WO01/85098、WO01/85173、及びWO01/89528で開示された薬物の如きNPY1(神経ペプチドY Y1)拮抗薬、(ix)L−152,804、GW−569180A、GW−594884A、GW−587081X、GW−548118X、FR235,208、FR−226928、FR240662、FR252384、1229U91、GI−264879A、CGP71683A、LY−377897、LY366377、PD−160170、SR−120562A、SR−120819A、JCF−104、及びH409/22、及び米国特許No.6,140,354、6,191,160、6,258,837、6,313,298、6,337,332、6,329,395、及び6,340,683、米国特許No.6,326,375、6,329,395、6,337,332、6,335,345、欧州特許No.EP−01010691、及びEP−01044970、及びPCT国際特許出願公開No.WO97/19682、WO97/20820、WO97/20821、WO97/20822、WO97/20823、WO98/27063、WO00/107409、WO00/185714、WO00/185730、WO00/64880、WO00/68197、WO00/69849、WO01/09120、WO01/14376、WO01/85714、WO01/85730、WO01/07409、WO01/02379、WO01/23388、WO01/23389、WO01/44201、WO01/62737、WO01/62738、WO01/09120、WO02/20488、WO02/22592、WO02/48152、WO02/49648及びWO02/094789、及びNorman et al.,J.Med.Chem.,43:4288−4312(2000)に記載された化合物の如きNPY5(神経ペプチドY Y5)拮抗薬、(x)組み換えヒトレプチン(PEG−OB、Hoffman La Roche)及び組み換えメチオニルヒトレプチン(アムジェン社)の如きレプチン類、(xi)米国特許No.5,552,524、5,552,523、5,552,522、5,521,283、及びPCT国際特許No.WO96/23513、WO96/23514、WO96/23515、WO96/23516、WO96/23517、WO96/23518、WO96/23519、及びWO96/23520の如きレプチン誘導体、(xii)ナルメフェン(Revex(登録商標))、3−メトキシナルトレキソン、ナロキソン、及びナルトレキソン、及びWO00/21509に開示された化合物の如きオピオイド拮抗薬、(xiii)SB−334867−A、及びWO01/96302、WO01/68609、WO02/51232、WO02/51838、及びWO03/023561に開示された化合物の如きオレキシン拮抗薬、(xiv)BRS3(ボムベシンレセプターサブタイプ3)作動薬、(xv)AR−R15849、GI181771、JMV−180、A−71378、A−71623、及びSR146131、及び米国特許5,739,106に開示された化合物の如きCCK−A(コレシストキニン−A)拮抗薬、(xvi)GI−181771(グラクソ−スミスクライン社)、SR146131(サノフィシンセラボ社)、ブタビンジド、及びPD170292、PD149164(ファイザー社)の如きCNTF(毛様体神経栄養因子)、(xvii)アクソカイン(レジェネロン)、及びWO94/09134、WO98/22128、及びWO99/43813で開示された化合物の如きCNTF誘導体、(xviii)NN703、ヘキサレリン、MK−0677、SM−130686、CP−424,391、L−692,429及びL−163,255、及び米国特許No.6,358,951、米国特許出願No.2002/049196及び2002/022637、及びWO01/56592、及びWO02/32888に開示されたそれらの化合物の如きGHS(成長ホルモン分泌促進レセプター)作動薬、(xix)BVT933、DPCA37215、IK264、PNU22394、WAY161503、R−1065、及びYM348、及びで米国特許No.3,914,250、及びWO02/36596、WO02/48124、WO02/10169、WO01/66548、WO02/44152、WO02/51844、WO02/40456、及びWO02/40457で開示された化合物の如き5HT2c(セロトニンレセプター2c)作動薬、(xx)Mc3r(メラノコルチン3レセプター)作動薬、(xxi)CHIR86036(Chiron社)、ME−10142、及びME−10145(メラキュア)、及びWO99/64002、WO00/74679、WO01/991752、WO01/74844、WO01/70708、WO01/70337、WO01/91752、WO02/059095、WO02/059107、WO02/059108、WO02/059117、WO02/12166、WO02/11715、WO02/12178、WO02/15909、WO02/068387、WO02/068388、WO02/067869、WO03/007949、及びWO03/009847に開示された化合物の如きMc4r(メラノコルチン4レセプター)作動薬、(xxii)シブトラトミン(Meridia(登録商標)/Reductil(登録商標))及びその塩,及び米国特許No.4,746,680、4,806,570、及び5,436,272、及び米国特許公開No.2002/0006964、及びWO01/27068、及びWO01/62341に開示された化合物の如きモノアミン再摂取阻害剤、(xxiii)デキスフェンフルラミン、フルオキセチン、及び米国特許No.6,365,633、及びWO01/27060、及びWO01/162341に開示された化合物の如きセロトニン再摂取阻害剤、(xxiv)GLP−1(グルカゴン様ペプチド1)作動薬、(xxv)トピラメート(Topimax(登録商標))、(xxvi)フィトファーム化合物57(CP644,673)、(xxvii)ACC2(アセチル−CoAカルボキシラーゼ−2)阻害剤、(xxviii)AD9677/TAK677(大日本/武田)、CL−316,243、SB418790、BRL−37344、L−796568、BMS−196085、BRL−35135A、CGP12177A、BTA−243、GW427353、トレカドリン、ゼネカD7114、及びSR59119A、及び米国特許出願No.5,705,515、米国特許5,451,677、及びWO01/74782、WO02/32897に開示された化合物の如きβ3(βアドレナリン受容体3)作動薬、(xxix)DGAT1(ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ1)阻害剤、(xxx)DGAT2(ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ2)阻害剤、(xxxi)セルレニン及びC75の如きFAS(脂肪酸シンターゼ)阻害剤、(xxxii)テオフィリン、ペントキシフィリン、ザプリナスト、シリデナフィル、アムリノン、ミルリノオン、シロスタミド、ロリプラム、及びシロミラストの如きPDE(ホスホジエステラーゼ)阻害剤、(xxxiii)KB−2611(KaroBioBMS社)、及びWO02/15845及び日本特許出願番号JP2000256190に開示された化合物の如き甲状腺ホルモンβ作動薬、(xxxiv)フィタン酸、4−[(E)−2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−プロペニル]安息香酸(TTNPB)、及びレチノイン酸、及びWO99/00123に開示された化合物の如きUCP−1(脱共役タンパク質1)、2又は3活性物質、(xxxv)del Mar−Grasa,M.et al.,Obesity Research,9:202−9(2001)に開示されたオレオイル−エストロンの如きアシル−エストロゲン、(xxxvi)グルココルチコイド拮抗薬、(xxxvii)BVT3498、BVT2733、及びWO01/90091、WO01/
90090、WO01/90092に開示された化合物の如き11βHSD−1(11−βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼタイプ1)阻害剤、(xxxviii)SCD−1(ステアロイル−CoA不飽和化酵素−1)阻害剤、(xxxix)イソロイシン チアゾリジド、バリン ピロリジド、NVP−DPP728、LAF237、P93/01、TSL225、TMC−2A/2B/2C、FE999011、P9310/K364、VIP0177、SDZ274−444、及びWO03/004498、WO03/004496、EP1258476、WO02/083128、WO02/062764、WO03/000250、WO03/002530、WO03/002531、WO03/002553、WO03/002593、WO03/000180、及びWO03/000181に開示された化合物の如きジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤、(xxxx)テトラヒドロリプスタチン(Orlistat/Xenical(登録商標))、トリトンWR1339、RHC80267、リプスタチン、テアサポニン、及びジエチルウムベリフェリルリン酸塩、FL−386、WAY−121898、Bay−N−3176、バリラクトン、エステラシン、エベラクトンA、エベラクトンB、及びRHC80267、及びWO01/77094、及び米国特許No.4,598,089、4,452,813、5,512,565、5,391,571、5,602,151、4,405,644、4,189,438、及び4,242,453に開示された化合物の如きリパーゼ阻害剤、(xxxxi)脂肪酸輸送阻害剤、(xxxxii)ジカルボキシレート輸送阻害剤、(xxxxiii)グルコース輸送阻害剤、(xxxxiv)リン酸塩輸送阻害剤、(xxxxv)メラノタンII又はWO99/64002及びWO00/746799に記載されたそれらの化合物の如きメラノコルチン作動薬、(xxxxvi)メラニン濃縮ホルモン拮抗薬、(xxxxvii)ガラニン拮抗薬、(xxxxviii)CCK作動薬、(xxxxix)コルチコトロピン−放出ホルモン作動薬、及び(xxxxx)ホスホジエステラーゼ−3B(PDE3B)阻害剤等、のような抗肥満薬。
【0209】
上記組み合わせは、本発明の組成物に一つの他の活性物質のみならず、2又はそれ以上の他の活性物質を組み合わせたものを包含する。本発明の組成物と、脂質低減薬剤及び抗高血圧薬剤から選ばれた1、2又はそれ以上の活性化物質との組み合わせには多くの例が存在する。本発明の組成物と脂質低減薬剤及び抗糖尿病薬剤から選ばれた1、2又はそれ以上の活性化物質との組み合わせは代謝異常症候群の治療、管理又は予防に有益である。特に、抗糖尿病薬剤及び/又は脂質低減剤に加えて、抗肥満薬剤、抗高血圧薬剤を包含する組成物は代謝異常症候群の治療、管理又は予防に相乗的な効果を発揮する。
【実施例】
【0210】
以下において、製剤例、実施例、参考例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0211】
製剤例1
実施例1の化合物20.0g、乳糖417g、結晶セルロース80g及び部分アルファー化デンプン80gをV型混合機を用いて混合した後、ステアリン酸マグネシウム3.0gを加え混合した。混合末を常法に従い打錠し直径7.0mm、1錠の重量150mgの錠剤3000錠を得る。
【0212】
一錠(150mg)あたりの含有量
実施例1の化合物5.0mg
乳糖104.25mg
結晶セルロース20.0mg
部分アルファー化デンプン20.0mg
ステアリン酸マグネシウム0.75mg
【0213】
製剤例2
ヒドロキシプロピルセルロース2910 10.8g及びポリエチレングリコール6000 2.1gを精製水172.5gに溶解した後、二酸化チタン2.1gを分散し、コーティング液を調製する。別に調製した製剤例1の錠剤2500錠にハイコーターミニを用いてコーティング液をスプレーコーティングし、重量155mgのフィルムコート錠を得る。
【0214】
一錠(155mg)あたりの含有量
製剤例1の錠剤150mg
ヒドロキシプロピルセルロース2910 3.6mg
ポリエチレングリコール6000 0.7mg
二酸化チタン0.7mg
【0215】
参考例及び実施例の薄層クロマトグラフは、プレートとしてSilicagel60F254(Merck)を、アミン系薄層クロマトグラフはプレートとしてPLC05 NH(FUJI Silysia)を用い、検出法としてUV検出器を用いた。カラム用シリカゲルとしては、WakogelTMC−300(和光純薬)を用い、充填済シリカゲルカラムとしては、FLASH用カートリッジ、KP−SIL又はKP−NH(Biotage Japan)、Purif−pack SI又はPurif−pack NH(Moritex)を用いた。また、NMRスペクトルはJNM−ALシリーズFT NMR400(JEOL)を用い、マススペクトルはQuattroII(Micromass)を用いて測定した。
【0216】
下記の実施例における略号の意味を以下に示す。
i−Bu:イソブチル基
n−Bu:n−ブチル基
t−Bu:t−ブチル基
Me:メチル基
Et:エチル基
Ph:フェニル基
i−Pr:イソプロピル基
n−Pr:n−プロピル基
CDCl:重クロロホルム
CDOD:重メタノール
DMSO−d:重ジメチルスルホキシド
【0217】
下記に核磁気共鳴スペクトルにおける略号の意味を示す。
s:シングレット
d:ダブレット
dd:ダブルダブレット
dt:ダブルトリプレット
t:トリプレット
m:マルチプレット
br:ブロード
brs:ブロードシングレット
q:カルテット
J:カップリング定数
Hz:ヘルツ
【0218】
参考例1−1
8−アザビシクロ[3,2,1]オクタン−3−オン 塩酸塩
トロピノン5.00gを1,2−ジクロロエタン100mLに溶解し、0℃で1−クロロエチルクロロホルメート4.70mLを加えた後、加熱還流下6時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣にメタノール100mLを室温で加え、加熱還流下2時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣をジエチルエーテルで洗い、表題化合物4.57gを淡黄色固体として得た。
mass:126(M+1)
【0219】
参考例1−2
3−オキソ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクタン−8−カルボン酸 ベンジルエステル
参考例1−1で得られた8−アザビシクロ[3,2,1]オクタン−3−オン 塩酸塩4.57gをクロロホルム70.0mLに懸濁させ、トリエチルアミン15.7mL及びベンジルオキシカルボニルクロリド56.6mLを0℃で加えた後、室温で終夜攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=75:25〜50:50)にて精製し、表題化合物2.77gを淡黄色油状物として得た。
mass:260(M+1)
【0220】
参考例1−3
3,3−ジフルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクタン−8−カルボン酸 ベンジルエステル
参考例1−2で得られた3−オキソ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクタン−8−カルボン酸 ベンジルエステル2.51gをトルエン30.0mLに溶解し、ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド6.39mLを窒素雰囲気下0℃で加えた後、100℃で24時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、不溶物をろ過した。ろ液を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=90:10〜50:50)にて精製し、表題化合物0.777gを淡黄色油状物として得た。
mass:282(M+1)
【0221】
参考例1−4
3,3−ジフルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクタン 塩酸塩
参考例1−3で得られた3,3−ジフルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクタン−8−カルボン酸 ベンジルエステル777mgをメタノール10.0mLに溶解し、シクロヘキセン2.80mL及び10%パラジウムカーボン300mgを室温で加え、加熱還流下1時間攪拌した。不溶物をろ過し、ろ液に10%塩酸−メタノール溶液10.0mLを加えた後、減圧濃縮し、表題化合物409mgを淡黄色固体として得た。
mass:148(M+1)
【0222】
参考例1−5
3,3’−ジチオビス(5−メチル−1H−ピラゾール)
tert−ブトキシカリウム22.9gをテトラヒドロフラン500mLに懸濁し、室温でアセトン5.00mLを滴下した。10分間攪拌した後、室温で二硫化炭素4.11mLをテトラヒドロフラン50.0mLに溶解したものをゆっくり滴下し、2時間攪拌した。0℃で反応液に4N塩酸−ジオキサン溶液51.0mLを加え、同温で30分間攪拌した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、3−オキシブタンジチオン酸の粗生成物を得た。得られた3−オキシブタンジチオン酸をエタノール150mLに溶解し、0℃でヒドラジン一水和物3.41gを滴下した。加熱還流下6時間攪拌し、さらに室温で12時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2:1〜0:1)にて精製し、表題化合物2.03gを茶褐色固体として得た。
mass:227(M+1)
【0223】
参考例1−6
3,3’−ジチオビス(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール)
参考例1−5で得られた3,3’−ジチオビス(5−メチル−1H−ピラゾール)1.50gをジメチルホルムアミド25.0mLに溶解し、ヨウ化メチル1.04mLと炭酸セシウム6.48gを加え、室温で一晩攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2:1〜0:1)にて精製し、表題化合物492mgを茶褐色固体として得た。
mass:255(M+1)
【0224】
参考例1−7
1,5−ジメチル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−チオン
参考例1−6で得られた3,3’−ジチオビス(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール)492mgをテトラヒドロフラン10.0mLに溶解し、1Mハイドロサルファイトナトリウム水溶液19.3mLを加え、室温で6時間攪拌した。反応液をクロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、表題化合物の粗生成物240mgを淡黄色固体として得た。
mass:129(M+1)
【0225】
参考例1−8
2−tert−ブチル−5−エチル−2,4−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
tert−ブチルヒドラジン 塩酸塩4.99gを酢酸50.0mLに溶解し、3−オキソペンタン酸 メチルエステル5.03mLを室温で加えた後、110℃で終夜攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をジエチルエーテル/ヘキサン(1:1)で洗い、表題化合物4.32gを白色固体として得た。
mass:169(M+1)
【0226】
参考例1−9
5−エチル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−チオン 塩酸塩
参考例1−8で得られた2−tert−ブチル−5−エチル−2,4−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン1.00gをトルエン15.0mLに溶解し、ローソン試薬1.44gを室温で加えた後、100℃で4時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣に2N水酸化ナトリウム水溶液5.00mLを加え、水層をジエチルエーテルで洗った。水層に濃塩酸6.00mLを室温で加え、100℃で終夜攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣にトルエンを加え、再び減圧濃縮した。この操作を3回繰り返し、表題化合物0.457gを白色固体として得た。
mass:129(M+1)
【0227】
参考例1−10
2−メチル−3−オキソペンタン酸 メチルエステル
3−オキソペンタン酸 メチルエステル5.05mLをテトラヒドロフラン70.0mLに溶解し、炭酸カリウム16.6gを室温で加えた後、加熱還流下3時間攪拌した。反応液にヨウ化メチル3.00mLを0℃で加え、室温で8時間攪拌した。不溶物をろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、表題化合物5.38gを淡黄色油状物として得た。
mass:145(M+1)
【0228】
参考例1−11
2−tert−ブチル−5−エチル−4−メチル−2,4−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
3−オキソペンタン酸 メチルエステルの代わりに参考例1−10で得られた2−メチル−3−オキソペンタン酸 メチルエステルを用いて、参考例1−8と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を白色固体として得た。
mass:183(M+1)
【0229】
参考例1−12
5−エチル−4−メチル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−チオン 塩酸塩
参考例1−8で得られた2−tert−ブチル−5−エチル−2,4−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オンの代わりに参考例1−11で得られた2−tert−ブチル−5−エチル−4−メチル−2,4−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オンを用いて、参考例1−9と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を白色固体として得た。
mass:143(M+1)
【0230】
参考例1−13
2−オキソブタン酸 エチルエステル
2−オキソブタン酸10.0gをエタノール200mLに溶解し、濃硫酸0.500mLを室温で加えた後、加熱還流下終夜攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、表題化合物10.8gを無色油状物として得た。
mass:131(M+1)
【0231】
参考例1−14
3−ブロモ−2−オキソブタン酸 エチルエステル
臭化銅(II)46.3gを酢酸エチル350mLに懸濁させ、参考例1−13で得られた2−オキソブタン酸 エチルエステル10.8gをクロロホルム100mLに溶解させたものを室温で加えた後、加熱還流下18時間攪拌した。反応液をシリカゲルを通してろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣を減圧蒸留(9torr,76〜80℃)にて精製し、表題化合物11.8gを無色油状物として得た。
mass:209(M+1)
【0232】
参考例1−15
5−メチル−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−チアゾール−4−カルボン酸 エチルエステル
参考例1−14で得られた3−ブロモ−2−オキソブタン酸 エチルエステル5.00gをエタノール80.0mLに溶解し、アンモニウムカルバモジジオエート2.64gを室温で加えた後、加熱還流下終夜攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣に水を加えた。析出した固体をろ取した後、ジエチルエーテル/ヘキサン(1:1)で洗浄し、表題化合物2.04gを白色固体として得た。
mass:204(M+1)
【0233】
参考例1−16
2−オキソペンタン酸 エチルエステル
2−オキソブタン酸の代わりに2−オキソペンタン酸を用いて、参考例1−13と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を無色油状物として得た。
mass:145(M+1)
【0234】
参考例1−17
3−ブロモ−2−オキソペンタン酸 エチルエステル
参考例1−13で得られた2−オキソブタン酸 エチルエステルの代わりに参考例1−16で得られた2−オキソペンタン酸 エチルエステルを用いて、参考例1−14と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を無色油状物として得た。
mass:223(M+1)
【0235】
参考例1−18
5−エチル−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−チアゾール−4−カルボン酸 エチルエステル
参考例1−14で得られた3−ブロモ−2−オキソブタン酸 エチルエステルの代わりに参考例1−17で得られた3−ブロモ−2−オキソペンタン酸 エチルエステルを用いて、参考例1−15と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を白色固体として得た。
mass:218(M+1)
【0236】
参考例1−19
2−(シクロプロピルメチル)−1,3−ジチアン−2−カルボン酸 エチルエステル
水素化ナトリウム1.03gをトルエン40.0mLに懸濁させた後、エチル1,3−ジチアン−2−カルボキシレート4.13g及び(ブロモメチル)シクロプロパン2.52mLをジメチルホルムアミド10mLに溶解させたものを0℃で加え、室温で終夜攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、表題化合物5.20gを無色油状物として得た。
mass:247(M+1)
【0237】
参考例1−20
3−シクロプロピル−2−オキソプロパン酸 エチルエステル
N−ブロモスクシンイミド22.5gをアセトニトリル120mL及び水30mLに懸濁させた後、参考例1−19で得られた2−(シクロプロピルメチル)−1,3−ジチアン−2−カルボン酸 エチルエステル5.20gをアセトニトリル15.0mLに溶解させたものを0℃で滴下し、室温で1時間攪拌した。反応液をヘキサン/ジクロロメタン(1:1)で抽出し、有機層を飽和亜硫酸ナトリウム水溶液、続いて飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過した後、ろ液を減圧濃縮した。残渣にクロロホルムを加え、不溶物をろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、表題化合物2.95gを淡黄色油状物として得た。
mass:157(M+1)
【0238】
参考例1−21
3−ブロモ−3−シクロプロピル−2−オキソプロパン酸 エチルエステル
参考例1−13で得られた2−オキソブタン酸 エチルエステルの代わりに参考例1−20で得られた3−シクロプロピル−2−オキソプロパン酸 エチルエステルを用いて、参考例1−14と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を無色油状物として得た。
mass:235(M+1)
【0239】
参考例1−22
5−シクロプロピル−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−チアゾール−4−カルボン酸 エチルエステル
参考例1−14で得られた3−ブロモ−2−オキソブタン酸 エチルエステルの代わりに参考例1−21で得られたエチル3−ブロモ−3−シクロプロピル−2−オキソプロパン酸 エチルエステルを用いて、参考例1−15と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を白色固体として得た。
mass:230(M+1)
【0240】
参考例2−1
4−ヒドロキシピリジン−2,6−ジカルボン酸 ジエチルエステル
4−ヒドロキシピリジン−2,6−カルボン酸水和物3.00kgをエタノール60.0Lに溶解し、p−トルエンスルホン酸一水和物514gを加え、一晩加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、表題化合物3.48kgを黄色油状物として得た。
mass:240(M+1)
【0241】
参考例2−2
4−(ベンジルオキシ)ピリジン−2,6−ジカルボン酸 ジエチルエステル
参考例2−1で得られた4−ヒドロキシピリジン−2,6−ジカルボン酸 ジエチルエステル3.48kgをN,N−ジメチルホルムアミド20.0Lに溶解し、炭酸カリウム2.01kg及び臭化ベンジル1.73Lを加え、室温で4時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をヘプタン−酢酸エチルから再結晶し、表題化合物3.56kgを白色固体として得た。
mass:330(M+1)
【0242】
参考例2−3
4−(ベンジルオキシ)−6−(ヒドロキシメチル)ピリジン−2−カルボン酸 エチルエステル
参考例2−2で得られた4−(ベンジルオキシ)ピリジン−2,6−ジカルボン酸 ジエチルエステル1.78kgをエタノール8.90Lに溶解し、0℃で塩化カルシウム420g及び水素化ホウ素ナトリウム140gを加え、室温で5時間攪拌した。反応液に5N塩酸を加え、減圧濃縮した。残渣に1N塩酸を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をヘプタンから再結晶し、表題化合物1.09kgを白色固体として得た。
mass:288(M+1)
【0243】
参考例2−4
4−(ベンジルオキシ)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−カルボン酸 エチルエステル
参考例2−3で得られた4−(ベンジルオキシ)−6−(ヒドロキシメチル)ピリジン−2−カルボン酸 エチルエステル300gをクロロホルム1500mLに溶解し、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン191mL及びp−トルエンスルホン酸ピリジニウム26.2gを加え、3時間加熱還流した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、表題化合物388gを黄色油状物として得た。
mass:372(M+1)
【0244】
参考例2−5
4−ヒドロキシ−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−カルボン酸 エチルエステル
参考例2−4で得られた4−(ベンジルオキシ)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−カルボン酸 エチルエステル388gをメタノール1900mLに溶解し、10%パラジウム炭素77.6g及びシクロヘキセン1060mLを加え、80℃で1時間攪拌した。反応液をセライトろ過し、ろ液を減圧濃縮し、表題化合物298gを黄色油状物として得た。
mass:282(M+1)
【0245】
参考例2−6
6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]−4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}ピリジン−2−カルボン酸 エチルエステル
参考例2−5で得られた4−ヒドロキシ−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−カルボン酸 エチルエステル250gおよびトリエチルアミン149mLをクロロホルム1250mLに溶解し、0℃でトリフルオロメタンスルホン酸無水物165mLをゆっくり加え、同温で1時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)にて精製し、表題化合物364gを黄色油状物として得た。
mass:414(M+1)
【0246】
参考例2−7
4−(ベンジルオキシ)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−カルボン酸
参考例2−4で得られた4−(ベンジルオキシ)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−カルボン酸 エチルエステル2.07kgをメタノール8.30Lに溶解し、0℃で2N水酸化ナトリウム水溶液4.20Lを加え、室温で1時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣に水を加え、tert−ブチルメチルエーテルで抽出した。水層を5N塩酸でpH4とし、クロロホルムで抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、表題化合物2.04kgを黄色油状物として得た。
mass:342(M−1)
【0247】
参考例2−8
{4−(ベンジルオキシ)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例2−7で得られた4−(ベンジルオキシ)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−カルボン酸1.02kg、トリエチルアミン620mL及びtert−ブタノール2.80Lをジオキサン8.20Lに溶解し、80℃でジフェニルホスホリルアジド610mLをゆっくり加え、同温で1時間攪拌した。反応液に水を加え、tert−ブチルメチルエーテルで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をtert−ブチルメチルエーテル−ヘプタンから再結晶し、表題化合物690gを白色固体として得た。
mass:415(M+1)
【0248】
参考例2−9
{4−ヒドロキシ−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例2−4で得られた4−(ベンジルオキシ)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−カルボン酸 エチルエステルを参考例2−8で得られた{4−(ベンジルオキシ)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバミン酸 tert−ブチルエステルに替え、参考例2−5と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を得た。
mass:325(M+1)
【0249】
参考例2−10
2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−4−イル トリフルオロメタンスルホン酸
参考例2−5で得られた4−ヒドロキシ−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−カルボン酸 エチルエステルを参考例2−9で得られた{4−ヒドロキシ−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバミン酸 tert−ブチルエステルに替え、参考例2−6と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を淡黄色油状物として得た。
mass:457(M+1)
【0250】
参考例2−11
{4−(モルホリン−4−イル)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例2−10で得られた2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−4−イル トリフルオロメタンスルホン酸1.02gをジメチルスルホキシド15.0mLに溶解し、モルホリン1.17mLを加え、50℃で21時間攪拌した。反応液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1:0〜1:1)にて精製し、表題化合物879mgを無色固体として得た。
mass:394(M+1)
【0251】
参考例2−12
[6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル
モルホリンの代わりにチオモルホリンを用いて、参考例2−11と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を得た。
mass:410(M+1)
【0252】
参考例2−13
4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−カルボン酸 エチルエステル
4,4−ジフルオロピペリジン 塩酸塩111gをN,N−ジメチルホルムアミド900mLに溶解し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン335mL及びモレキュラーシーブス4A(粉末)1300gを加え、室温で1時間攪拌した。反応液に参考例2−6で得られた6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]−4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−2−ピリジンカルボン酸 エチルエステル264gをN,N−ジメチルホルムアミド400mLに溶解したものを加え、100℃で一晩攪拌した。反応液をセライトろ過し、ろ液を酢酸エチルで希釈した。この溶液を水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1:1)にて精製し、表題化合物241gを黄色油状物として得た。
mass:385(M+1)
【0253】
参考例2−14
4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−ピリジンカルボン酸
参考例2−13で得られた4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−カルボン酸 エチルエステル241gをメタノール940mLに溶解し、0℃で2N水酸化ナトリウム水溶液470mLを加え、室温で1時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に水を加え、ジエチルエーテルで抽出した。水層を5N塩酸でpH4とし、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、表題化合物199gを黄色油状物として得た。
mass:357(M+1)
【0254】
参考例2−15
{4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例2−14で得られた4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−ピリジンカルボン酸199g、トリエチルアミン117mL及びtert−ブタノール534mLをジオキサン1600mLに溶解し、80℃でジフェニルホスホリルアジド133mLをゆっくり加え、同温で2時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1:1)にて精製し、表題化合物220gを黄色油状物として得た。
mass:428(M+1)
【0255】
参考例2−16
{4−(4−フルオロピペリジン−1−イル)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバミン酸 tert−ブチルエステル
4,4−ジフルオロピペリジン 塩酸塩の代わりに4−フルオロピペリジン 塩酸塩を用いて、参考例2−13〜2−15と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を淡黄色油状物として得た。
mass:410(M+1)
【0256】
参考例2−17
{4−[(3−エキソ)−3−フルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル]−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバミン酸 tert−ブチルエステル
4,4−ジフルオロピペリジン 塩酸塩の代わりに(3−エキソ)−3−フルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクタン 塩酸塩(合成法:J. Org. Chem.,2002,67,8970)を用いて、参考例2−13〜2−15と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を黄色油状物として得た。
mass:436(M+1)
【0257】
参考例2−18
{4−(3,3−ジフルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバミン酸 tert−ブチルエステル
4,4−ジフルオロピペリジン 塩酸塩の代わりに参考例1−4で得られた3,3−ジフルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクタン 塩酸塩を用いて、参考例2−13〜2−15と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を黄色油状物として得た。
mass:454(M+1)
【0258】
参考例2−19
[6−(ヒドロキシメチル)−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例2−12で得られた[6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル400mgをエタノール4.00mLに溶解し、p−トルエンスルホン酸一水和物223mgを室温にて加え、終夜攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=98:2〜30:70)で精製し、表題化合物318mgを無色油状物として得た。
mass:326(M+1)
【0259】
参考例2−20
[6−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]メチル メタンスルホン酸
参考例2−19で得られた[6−(ヒドロキシメチル)−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル150mgを酢酸エチル1.5mlに溶解し、氷冷下、トリエチルアミン128μL、メタンスルホニルクロライド72.0μLを加え、同温度で30分間攪拌した。反応液に飽和食塩水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。不溶物をろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、表題化合物180mgを無色油状物として得た。
mass:404(M+1)
【0260】
参考例2−21
{6−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)ピリジン−2−イル}メチル メタンスルホン酸
参考例2−12で得られた[6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルの代わりに参考例2−15で得られた{4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバミン酸 tert−ブチルエステルを用いて、参考例2−19〜2−20と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を黄色油状物として得た。
mass:422(M+1)
【0261】
参考例2−22
{6−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(4−フルオロピペリジン−1−イル)ピリジン−2−イル}メチル メタンスルホン酸
参考例2−12で得られた[6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルの代わりに参考例2−16で得られた{4−(4−フルオロ−1−ピペリジニル)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバミン酸 tert−ブチルエステルを用いて、参考例2−19〜2−20と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を黄色油状物として得た。
mass:404(M+1)
【0262】
参考例2−23
{6−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−[(3−エキソ)−3−フルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル]ピリジン−2−イル}メチル メタンスルホン酸
参考例2−12で得られた[6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルの代わりに参考例2−17で得られた{4−[(3−エキソ)−3−フルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル]−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバミン酸 tert−ブチルエステルを用いて、参考例2−19〜2−20と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を黄色油状物として得た。
mass:430(M+1)
【0263】
参考例2−24
{6−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(3,3−ジフルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル)ピリジン−2−イル}メチル メタンスルホン酸
参考例2−12で得られた[6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルの代わりに参考例2−18で得られた{4−(3,3−ジフルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバミン酸 tert−ブチルエステルを用いて、参考例2−19〜2−20と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を黄色油状物として得た。
mass:448(M+1)
【0264】
参考例2−25
[6−{[(4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例2−20で得られた[6−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]メチル メタンスルホン酸180mgをジメチルホルムアミド1.50mLに溶解し、炭酸カリウム127mg、4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2(3H)−チオン89mgを室温にて加え、2時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=95:5〜50:50)で精製し、表題化合物194mgを黄色油状物として得た。
mass:437(M+1)
【0265】
参考例2−26
[6−{[(4,5−ジメチル−1,3−チアゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル
4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2(3H)−チオンの代わりに4,5−ジメチル−1,3−チアゾール−2(3H)−チオンを用いて、参考例2−25と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を黄色油状物として得た。
mass:453(M+1)
【0266】
参考例2−27
[6−{[(5−エチル−4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(4−フルオロピペリジン−1−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例2−20で得られた[6−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]メチル メタンスルホン酸の代わりに参考例2−22で得られた[6−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(4−フルオロピペリジン−1−イル)ピリジン−2−イル]メチル メタンスルホン酸を、また4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2(3H)−チオンの代わりに5−エチル−4−メチル−1,3−チアゾール−2(3H)−チオンを用いて、参考例2−25と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を黄色油状物として得た。
mass:467(M+1)
【0267】
参考例2−28
(6−{[(5−エチル−4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−[(3−エキソ)−3−フルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル]ピリジン−2−イル)カルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例2−20で得られた[6−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(チオモルホリン−4−チオモルホリニル)ピリジン−2−イル]メチル メタンスルホン酸の代わりに参考例2−23で得られた{6−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−[(3−エキソ)−3−フルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル]ピリジン−2−イル}メチル メタンスルホン酸を、また4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2(3H)−チオンの代わりに5−エチル−4−メチル−1,3−チアゾール−2(3H)−チオンを用いて、参考例2−25と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を黄色油状物として得た。
mass:493(M+1)
【0268】
参考例2−29
[4−(3,3−ジフルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル)−6−{[(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}ピリジン−2−イル)カルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例2−20で得られた[6−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]メチル メタンスルホン酸の代わりに参考例2−24で得られた{6−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(3,3−ジフルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル)ピリジン−2−イル}メチル メタンスルホン酸を、また4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2(3H)−チオンの代わりに参考例1−7で得られた1,5−ジメチル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−チオンを用いて、参考例2−25と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を黄色油状物として得た。
mass:480(M+1)
【0269】
参考例2−30
[4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−{[(5−エチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例2−21で得られた{6−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)ピリジン−2−イル}メチル メタンスルホン酸144mgをジメチルホルムアミド2.00mLに溶解し、ジアザビシクロウンデセン0.132mLを室温で加えた。30分間攪拌した後、参考例1−9で得られた5−エチル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−チオン 塩酸塩148mg及び炭酸カリウム145mgを室温で加え、終夜攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=75:25〜50:50)にて精製し、表題化合物160mgを淡黄色油状物質として得た。
mass:454(M+1)
【0270】
参考例2−31
[4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−{[(5−エチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例2−30で得られた[4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−{[(5−エチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル160mgをジメチルホルムアミド2.00mLに溶解し、炭酸セシウム345mg及びヨウ化メチル33.1μLを室温で加え、終夜攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水及び飽和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=75:25〜34:66)にて精製し、表題化合物27.4mgを無色油状物質として得た。
mass:468(M+1)
【0271】
参考例2−32
[4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−{[(5−エチル−1,4−ジメチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例1−9で得られた5−エチル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−チオン 塩酸塩の代わりに参考例1−12で得られた5−エチル−4−メチル−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−チオン 塩酸塩を用いて、参考例2−30〜2−31と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を淡黄色油状物として得た。
mass:482(M+1)
【0272】
参考例2−33
[6−{[(4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル][(6−フルオロピリジン−2−イル)メチル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例2−25で得られた[6−{[(4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル83.0mgをジメチルホルムアミド1.50mLに溶解し、室温にて水素化ナトリウム23.0mgを加え、30分間攪拌した。反応液に、2−(クロロメチル)−6−フルオロピリジン138mgを加え、30時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。不溶物をろ過した後、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=95:5〜25:75)で精製し、表題化合物51.3mgを黄色油状物として得た。
mass:546(M+1)
【0273】
参考例2−34
[6−{[(4,5−ジメチル−1,3−チアゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル][(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例2−25で得られた[6−{[(4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルの代わりに参考例2−26で得られた[6−{[(4,5−ジメチル−1,3−チアゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルを、また2−(クロロメチル)−6−フルオロピリジンの代わりに2−(クロロメチル)−6−メチルピリジン 塩酸塩を用いて、参考例2−33と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を黄色油状物として得た。
mass:558(M+1)
【0274】
参考例2−35
[6−{[(5−エチル−4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(4−フルオロピペリジン−1−イル)ピリジン−2−イル][(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例2−25で得られた[6−{[(4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルの代わりに参考例2−27で得られた[6−{[(5−エチル−4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(4−フルオロピペリジン−1−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルを、また2−(クロロメチル)−6−フルオロピリジンの代わりに2−(クロロメチル)−6−メチルピリジン 塩酸塩を用いて、参考例2−33と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を黄色油状物として得た。
mass:572(M+1)
【0275】
参考例2−36
(6−{[(5−エチル−4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−[(3−エキソ)−3−フルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル]ピリジン−2−イル)2−プロペン−1−イルカルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例2−25で得られた[6−{[(4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルの代わりに参考例2−28で得られた(6−{[(5−エチル−4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−[(3−エキソ)−3−フルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル]ピリジン−2−イル)カルバミン酸 tert−ブチルエステルを、また2−(クロロメチル)−6−フルオロピリジンの代わりにアリルブロミドを用いて、参考例2−33と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を淡黄色油状物として得た。
mass:533(M+1)
【0276】
参考例2−37
[4−(3,3−ジフルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル)−6−{[(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}ピリジン−2−イル][(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例2−25で得られた[6−{[(4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルの代わりに参考例2−29で得られた[4−(3,3−ジフルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル)−6−{[(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}ピリジン−2−イル)カルバミン酸 tert−ブチルエステルを、また2−(クロロメチル)−6−フルオロピリジンの代わりに2−(クロロメチル)−6−メチルピリジン 塩酸塩を用いて、参考例2−33と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を黄色油状物として得た。
mass:585(M+1)
【0277】
参考例2−38
[4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−{[(5−エチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}ピリジン−2−イル]プロプ−2−エン−1−イルカルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例2−25で得られた[6−{[(4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルの代わりに参考例2−31で得られた[4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−{[(5−エチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルを、また2−(クロロメチル)−6−フルオロピリジンの代わりにアリルブロミドを用いて、参考例2−33と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を淡黄色油状物として得た。
mass:508(M+1)
【0278】
参考例2−25で得られた[6−{[(4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルの代わりに参考例2−32で得られた[4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−{[(5−エチル−1,4−ジメチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルを、また2−(クロロメチル)−6−フルオロピリジンの代わりに対応するアルキルハライドを用いて、参考例2−33と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、参考例2−39〜2−40の化合物を得た。
【0279】
参考例2−39
ブチル[4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−{[(5−エチル−1,4−ジメチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル
2−(クロロメチル)−6−フルオロピリジンの代わりにブチルブロミドを用いて、参考例2−33と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を淡黄色油状物として得た。
mass:538(M+1)
【0280】
参考例2−40
[4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−{[(5−エチル−1,4−ジメチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}ピリジン−2−イル](2−メトキシエチル)カルバミン酸 tert−ブチルエステル
2−(クロロメチル)−6−フルオロピリジンの代わりに2−メトキシエチルブロミドを用いて、参考例2−33と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を淡黄色油状物として得た。
mass:540(M+1)
【0281】
参考例2−41
[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]{4−(モルホリン−4−イル)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例2−25で得られた[6−{[(4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルの代わりに参考例2−11で得られた{4−(モルホリン−4−イル)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバミン酸 tert−ブチルエステルを、また2−(クロロメチル)−6−フルオロピリジンの代わりに2−(クロロメチル)−6−メチルピリジン 塩酸塩を用いて、参考例2−33と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を黄色油状物として得た。
mass:499(M+1)
【0282】
参考例2−42
[6−{(tert−ブトキシカルボニル)[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]メチル メタンスルホン酸
参考例2−12で得られた[6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルの代わりに参考例2−41で得られた[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]{4−(モルホリン−4−イル)−6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバミン酸 tert−ブチルエステルを用いて、参考例2−19〜2−20と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を無色油状物として得た。
mass:493(M+1)
【0283】
参考例2−20で得られた[6−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]メチル メタンスルホン酸の代わりに参考例2−42で得られた[6−{(tert−ブトキシカルボニル)[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]メチル メタンスルホン酸を、また4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2(3H)−チオンの代わりに対応する2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−チアゾール−4−カルボン酸 エチルエステルを用いて、参考例2−25と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、参考例2−43〜2−45の化合物を得た。
【0284】
参考例2−43
2−({[6−{(tert−ブトキシカルボニル)[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]メチル}スルファニル)−5−メチル−1,3−チアゾール−4−カルボン酸 エチルエステル
4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2(3H)−チオンの代わりに参考例1−15で得られた5−メチル−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−チアゾール−4−カルボン酸 エチルエステルを用いて、参考例2−25と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を淡黄色油状物として得た。
mass:600(M+1)
【0285】
参考例2−44
2−({[6−{(tert−ブトキシカルボニル)[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]メチル}スルファニル)−5−エチル−1,3−チアゾール−4−カルボン酸 エチルエステル
4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2(3H)−チオンの代わりに参考例1−18で得られた5−エチル−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−チアゾール−4−カルボン酸 エチルエステルを用いて、参考例2−25と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を淡黄色油状物として得た。
mass:614(M+1)
【0286】
参考例2−45
2−({[6−{(tert−ブトキシカルボニル)[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]メチル}スルファニル)−5−シクロプロピル−1,3−チアゾール−4−カルボン酸 エチルエステル
4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2(3H)−チオンの代わりに参考例1−22で得られた5−シクロプロピル−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−チアゾール−4−カルボン酸 エチルエステルを用いて、参考例2−25と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を淡黄色油状物として得た。
mass:626(M+1)
【0287】
参考例2−46
[6−({[4−(ヒドロキシメチル)−5−メチル−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル][(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例2−43で得られた2−({[6−{(tert−ブトキシカルボニル)[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]メチル}スルファニル)−5−メチル−1,3−チアゾール−4−カルボン酸 エチルエステル43.0mgをテトラヒドロフラン3.00mLに溶解し、水素化リチウムアルミニウム5.47mgを0℃で加え、2時間攪拌した。反応液に硫酸ナトリウム十水和物を過剰量加え、室温で6時間攪拌した。不溶物をろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、表題化合物39.6mgを無色油状物として得た。
mass:558(M+1)
【0288】
参考例2−47
[6−({[5−エチル−4−(ヒドロキシメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル][(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例2−43で得られた2−({[6−{(tert−ブトキシカルボニル)[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]メチル}スルファニル)−5−メチル−1,3−チアゾール−4−カルボン酸 エチルエステルの代わりに参考例2−44で得られた2−({[6−{(tert−ブトキシカルボニル)[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]メチル}スルファニル)−5−エチル−1,3−チアゾール−4−カルボン酸 エチルエステルを用いて、参考例2−46と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を無色油状物として得た。
mass:572(M+1)
【0289】
参考例2−48
[6−({[5−シクロプロピル−4−(ヒドロキシメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル][(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル
参考例2−43で得られた2−({[6−{(tert−ブトキシカルボニル)[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]メチル}スルファニル)−5−メチル−1,3−チアゾール−4−カルボン酸 エチルエステルの代わりに参考例2−45で得られた2−({[6−{(tert−ブトキシカルボニル)[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]アミノ}−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル]メチル}スルファニル)−5−シクロプロピル−1,3−チアゾール−4−カルボン酸 エチルエステルを用いて、参考例2−46と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を無色油状物として得た。
mass:584(M+1)
【0290】
実施例1
6−{[(4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−N−[(6−フルオロピリジン−2−イル)メチル]−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミン
参考例2−33で得られた[6−{[(4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル][(6−フルオロピリジン−2−イル)メチル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル50.2mgにトリフルオロ酢酸1.00mLを加え、室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去した。得られた残渣を逆相高速液体カラムクロマトグラフィー(アセトニトリル/水=10:90〜90:10)で精製し、表題化合物39.0mgを茶色油状物として得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.91(3H,s),2.12(3H,s),2.49(4H,t,J=4.9Hz),3.57(4H,t,J=4.9Hz),4.07(2H,s),4.37(2H,d,J=5.9Hz),5.74(1H,s),6.21(1H,s),6.75(1H,s),6.95(1H,dd,J=8.0,2.5Hz),7.21(1H,dd,J=8.0,2.5Hz),7.85(1H,q,J=8.0Hz)
mass:446(M+1)
【0291】
参考例2−33で得られた[6−{[(4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル][(6−フルオロピリジン−2−イル)メチル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルの代わりに対応するBoc保護体を用いて、実施例1と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、実施例2〜8の化合物を得た。
【0292】
実施例2
6−{[(4,5−ジメチル−1,3−チアゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミン
参考例2−34で得られた[6−{[(4,5−ジメチル−1,3−チアゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル][(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルを用いて、実施例1と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を得た。
H−NMR(CDCl)δ:2.28(6H,m),2.55−2.58(7H,m),3.66(4H,t,J=5.1Hz),4.22(2H,s),4.52(2H,d,J=5.5Hz),5.43(1H,brs),5.59(1H,d,J=2.0Hz),6.20(1H,d,J=2.0Hz),7.03(1H,d,J=7.8Hz),7.17(1H,d,J=7.8Hz),7.53(1H,t,J=7.6Hz)
mass:458(M+1)
【0293】
実施例3
6−{[(5−エチル−4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(4−フルオロピペリジン−1−イル)−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]ピリジン−2−アミン
参考例2−35で得られた[6−{[(5−エチル−4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(4−フルオロピペリジン−1−イル)ピリジン−2−イル][(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルを用いて、実施例1と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.20(3H,t,J=7.6Hz),1.85−1.90(4H,m),2.29(3H,s),2.55(3H,s),2.68(2H,q,J=7.6Hz),3.23−3.43(4H,m),4.23(2H,s),4.53(2H,d,J=5.9Hz),4.75−4.85(1H,m),5.42−5.44(1H,m),5.66(1H,d,J=2.0Hz),6.27(1H,d,J=2.0Hz),7.02(1H,d,J=7.8Hz),7.17(1H,d,J=7.8Hz),7.52(1H,t,J=7.6Hz).
mass:472(M+1)
【0294】
実施例4
6−{[(5−エチル−4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−[(3−エキソ)−3−フルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル]−N−(プロプ−2−エン−1−イル)ピリジン−2−アミン
参考例2−36で得られた(6−{[(5−エチル−4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−[(3−エキソ)−3−フルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル]ピリジン−2−イル)2−プロペン−1−イルカルバミン酸 tert−ブチルエステルを用いて、実施例1と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.19(3H,t,J=7.6Hz),1.67−1.82(4H,m),1.93−2.07(4H,m),2.29(3H,s),2.67(2H,q,J=7.6Hz),3.85(2H,t,J=5.7Hz),4.20−4.22(4H,m),4.57−4.64(1H,m),4.89−5.10(1H,m),5.13−5.17(1H,m),5.25−5.31(1H,m),5.53(1H,d,J=2.0Hz),5.88−5.98(1H,m),6.17(1H,d,J=2.0Hz).
mass:433(M+1)
【0295】
実施例5
4−(3,3−ジフルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル)−6−{[(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]ピリジン−2−アミン
参考例2−37で得られた[4−(3,3−ジフルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル)−6−{[(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}ピリジン−2−イル][(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルを用いて、実施例1と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.76−2.03(8H,m),2.15(3H,s),2.52(3H,s),3.68(3H,s),3.96(2H,s),4.16−4.18(2H,br m),4.48(2H,d,J=5.9Hz),5.46(1H,brs),5.49(1H,s),5.93(1H,s),6.14(1H,s),6.99(1H,d,J=7.4Hz),7.14(1H,d,J=7.4Hz),7.49(1H,t,J=7.4Hz).
mass:485(M+1)
【0296】
実施例6
4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−{[(5−エチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}−N−(プロプ−2−エン−1−イル)ピリジン−2−アミン
参考例2−38で得られた[4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−{[(5−エチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}ピリジン−2−イル]プロプ−2−エン−1−イルカルバミン酸 tert−ブチルエステルを用いて、実施例1と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.22(3H,t,J=7.4Hz),1.90−2.10(4H,m),2.55(2H q,J=7.4Hz),3.45−3.50(4H,m),3.73(3H,s),3.84(2H,s),4.01(2H,s),4.62(1H,brs),5.18(1H,dd,J=10.2,1.5Hz),5.28(1H,dd,J=17.1,1.5Hz),5.56(1H,d,J=2.2Hz),5.86−5.95(1H m),6.03(1H,s),6.32(1H,d,J=2.2Hz).
mass:408(M+1)
【0297】
実施例7
N−ブチル−4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−{[(5−エチル−1,4−ジメチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}ピリジン−2−アミン
参考例2−39で得られたブチル[4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−{[(5−エチル−1,4−ジメチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}ピリジン−2−イル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルを用いて、実施例1と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を得た。
H−NMR(CDCl)δ:0.91(3H,t,J=7.4Hz),1.07(3H,t,J=7.6Hz),1.39(2H,dd J=15.1,7.6Hz),1.52−1.59(2H m),1.84(3H,s),1.90−1.99(4H,m),2.51(2H,q J=7.6Hz),3.09−3.11(2H,m),3.39(4H,t,J=5.7Hz),3.72(3H,s),3.86(2H s)4.60(1H,brs),5.54(1H,s),6.11(1H,s).
mass:438(M+1)
【0298】
実施例8
4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−{[(5−エチル−1,4−ジメチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}−N−(2−メトキシエチル)ピリジン−2−アミン
参考例2−40で得られた[4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−{[(5−エチル−1,4−ジメチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}ピリジン−2−イル](2−メトキシエチル)カルバミン酸 tert−ブチルエステルを用いて、実施例1と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.11(3H,t,J=7.6Hz),1.88(3H,s),1.92−2.02(4H,m),2.55(2H,q,J=7.6Hz),3.37(3H,s),3.39−3.44(6H,m),3.57(2H,t,J=5.3Hz),3.76(3H,s),3.91(2H,s),4.70−4.77(1H,m),5.63(1H,d,J=2.0Hz),6.16(1H,d,J=2.0Hz).
mass:440.3(M+1)
【0299】
実施例9
6−({[4−(フルオロメチル)−5−メチル−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミン
参考例2−46で得られた[6−({[4−(ヒドロキシメチル)−5−メチル−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル][(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]カルバミン酸 tert−ブチルエステル39.6mgにトリフルオロ酢酸2.00mLを室温で加え、30分間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過した後、ろ液を減圧濃縮した。残渣をテトラヒドロフラン2mLに溶解した後、ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド18.0μLを0℃で加え、2時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。不溶物をろ過した後、ろ液を減圧濃縮した。残渣を薄層NHシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=25:75)にて精製し、表題化合物10.6mgを無色油状物質として得た。
H−NMR(CDCl)δ:2.39(3H,d,J=3.9Hz),2.51(3H,s),3.13(4H t,J=4.9Hz),3.73(4H,t,J=4.9Hz),4.25(2H,s),4.49(2H,d,J=5.5Hz),5.32(2H,d,J=48.9Hz),5.43(1H,t,J=5.5Hz),5.62(1H,d,J=2.0Hz),6.26(1H,d,J=2.0Hz),6.99(1H,d,J=7.8Hz),7.12(1H,d,J=7.8Hz),7.49(1H,t,J=7.8Hz).
mass:460(M+1)
【0300】
参考例2−46で得られた[6−({[4−(ヒドロキシメチル)−5−メチル−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル][(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルの代わりに対応するBoc保護体を用いて、実施例9と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、実施例10〜11の化合物を得た。
【0301】
実施例10
6−({[5−エチル−4−(フルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミン
参考例2−47で得られた[6−({[5−エチル−4−(ヒドロキシメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル][(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルを用いて、実施例9と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.22(3H,t,J=7.6Hz),2.51(3H,s),2.80(2H,dq,J=3.5,7.6Hz),3.12(4H,t,J=4.9Hz),3.72(4H,t,J=4.9Hz),4.26(2H,s),4.49(2H,d,J=5.9Hz),5.32(2H,d,J=48.9Hz),5.54(1H,brs),5.61(1H,d,J=2.0Hz),6.25(1H,d,J=2.0Hz),6.99(1H,d,J=7.4Hz),7.12(1H,d,J=7.8Hz),7.49(1H,dd,J=7.8,7.4Hz).mass:474(M+1)
【0302】
実施例11
6−({[5−シクロプロピル−4−(フルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミン
参考例2−48で得られた[6−({[5−シクロプロピル−4−(ヒドロキシメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−イル][(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]カルバミン酸 tert−ブチルエステルを用いて、実施例9と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物を得た。
H−NMR(CDCl)δ:0.63−0.65(2H,m),1.02−1.07(2H,m),1.97−2.01(1H,m),2.51(3H,s),3.12(4H,t,J=4.9Hz),3.72(4H,t,J=4.9Hz),4.23(2H,s),4.49(2H,d,J=5.5Hz), 5.40(2H,d,J=48.9Hz),5.53(1H,brs),5.61(1H,d,J=2.0Hz),6.23(1H,d,J=2.0Hz),6.99(1H,d,J=7.8Hz),7.12(1H,d,J=7.8Hz),7.49(1H,t,J=7.8Hz).
mass:486(M+1)
【産業上の利用可能性】
【0303】
式(I)で表される本発明に係るヘテロアリールチオメチルピリジン誘導体又はその薬学的に許容される塩は、強力なNPY拮抗作用を有することから、NPYが関与する各種の疾患、例えば高血圧、動脈硬化症、腎臓病、心疾患、血管攣縮等の循環器系疾患、例えば過食症、うつ病、てんかん、不安症、アルコール依存症、痴呆等の中枢性疾患、例えば肥満症、糖尿病、ホルモン異常等の代謝性疾患又は緑内障等の治療及び/又は予防に有用である。本発明は、また、P糖タンパク質の基質性が低く、医薬として優れている。本発明の化合物は、放射性同位体を導入することにより、PETリガンドとしても用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
Xは、
【化2】

からなる群より選択される基を示し;
Yは、
【化3】

からなる群より選択される基を示し;
Arは、
【化4】

からなる群より選択される基を示す]で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Xが、
【化5】

から選択される基である請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
Yが、
【化6】

から選択される基である請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
Arが、
【化7】

から選択される基である請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
式(I)で表される化合物が、
6−{[(4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−N−[(6−フルオロピリジン−2−イル)メチル]−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミン、
6−{[(4,5−ジメチル−1,3−チアゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミン、
6−{[(5−エチル−4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−(4−フルオロピペリジン−1−イル)−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]ピリジン−2−アミン、
6−{[(5−エチル−4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−4−[(3−エキソ)−3−フルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル]−N−(プロプ−2−エン−1−イル)ピリジン−2−アミン、
4−(3,3−ジフルオロ−8−アザビシクロ[3,2,1]オクト−8−イル)−6−{[(1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]ピリジン−2−アミン、
4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−{[(5−エチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}−N−(プロプ−2−エン−1−イル)ピリジン−2−アミン、
N−ブチル−4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−{[(5−エチル−1,4−ジメチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}ピリジン−2−アミン、
4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)−6−{[(5−エチル−1,4−ジメチル−1H−ピラゾール−3−イル)スルファニル]メチル}−N−(2−メトキシエチル)ピリジン−2−アミン、
6−({[4−(フルオロメチル)−5−メチル−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミン、
6−({[5−エチル−4−(フルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミン、及び
6−({[5−シクロプロピル−4−(フルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミンからなる群より選択される化合物である請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
式(I)で表される化合物が、6−{[(4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2−イル)スルファニル]メチル}−N−[(6−フルオロピリジン−2−イル)メチル]−4−(チオモルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミンである請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
式(I)で表される化合物が、6−({[4−(フルオロメチル)−5−メチル−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミンである請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
式(I)で表される化合物が、6−({[5−エチル−4−(フルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]スルファニル}メチル)−N−[(6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−4−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−アミンである請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
ヒトP糖タンパク質の基質性が低い、請求項1乃至8のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む、NPY Y1アンタゴニスト。
【請求項11】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む、高脂血症、糖尿病及び/又は肥満症の治療剤及び/又は予防剤。
【請求項12】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2012−525325(P2012−525325A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545960(P2011−545960)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【国際出願番号】PCT/JP2010/057847
【国際公開番号】WO2010/126163
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(595152759)MSD株式会社 (22)
【Fターム(参考)】