説明

ヘテロアリール置換ジアザトリシクロアルカン、その調製方法およびその使用方法

本発明は、明細書本文中に記載した定義を持つ式(I)
【化1】


のヘテロアリール置換ジアザトリシクロアルカンのアミドおよび尿素誘導体、この化合物を含む医薬組成物、この化合物を調製する方法、ならびにこの化合物を使用する治療方法に関する。より具体的には、該治療方法は、1種以上の該化合物を投与してα7 nAChRサブタイプにより媒介される障害を治療または予防することによりα7 nAChRサブタイプの活性を調節することを要する。ジアザトリシクロアルカンは、典型的には、ピロリジン環と縮合した1-アザビシクロオクタンからなる。その置換基であるヘテロアリール基は、ジアザトリシクロアルカンに直接結合した、3-ピリジニルおよび5-ピリミジニル部分などの5または6員環の複素芳香族化合物である。ピロリジン部分の第2級窒素は、アリールカルボニル(アミド型誘導体)基またはアリールアミノカルボニル(N-アリールカルバモイル)(尿素型誘導体)基で置換されている。該化合物は、ある特定のnAChRサブタイプにおける選択的相互作用を必要とする治療用途において有益である。つまり、該化合物は、ある特定のnAChRサブタイプ、特にα7 nAChRサブタイプの活性は調節するが、ムスカリン受容体に対しては感知しうるほどの活性は持たない。該化合物の放射標識体は診断法に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、例えば、特定のニコチン性受容体サブタイプ(具体的には、α7 nAChRサブタイプ)のモジュレーターとしてニコチン性アセチルコリン作動性受容体(nAChR)に影響を及ぼしうる化合物を組み入れた医薬組成物に関する。また本発明は、多種多様な症状および障害、特に中枢および自律神経系の機能障害に関連する症状および障害を治療するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ニコチンは多くの薬理効果を持つことが提唱されている。例えば、Pullanら、N. Engl. J. Med. 330:811 (1994)を参照されたい。それらの効果のうちの幾つかは、神経伝達物質放出に対する効果と関係している可能性がある。例えば、ニコチンの神経保護効果を提唱しているSjak-shieらのBrain Res. 624:295 (1993)を参照されたい。ニコチン投与時の、ニューロンによるアセチルコリンおよびドーパミンの放出は、Rowellら、J. Neurochem. 43:1593 (1984);Rapierら、J. Neurochem. 50:1123 (1988);Sandorら、Brain Res. 567:313 (1991)およびVizi, Br. J. Pharmacol. 47:765 (1973)に報告されている。ニコチン投与時の、ニューロンによるノルエピネフリンの放出は、Hallら、Biochem. Pharmacol. 21:1829 (1972)に報告されている。ニコチン投与時の、ニューロンによるセロトニンの放出は、Heryら、Arch. Int. Pharmacodyn. Ther. 296:91 (1977)に報告されている。ニコチン投与時の、ニューロンによるグルタミン酸塩の放出は、Tothら、Neurochem Res. 17:265 (1992)に報告されている。確認報告および近年の付随研究には、中枢神経系(CNS)におけるグルタミン酸塩、一酸化窒素、GABA、タキキニン、サイトカイン、およびペプチドの調節が含まれている(Brioniら、Adv. Pharmacol. 37:153 (1997)に概説されている)。また、ニコチンは、ある特定の障害の治療に用いられるある特定の医薬組成物の薬理学的挙動を高めることも報告されている。例えば、Sanbergら、Pharmacol. Biochem. & Behavior 46:303 (1993);Harsingら、J. Neurochem. 59:48 (1993)およびHughes, Proceedings from Intl. Symp. Nic. S40 (1994)を参照されたい。さらに、ニコチンの様々な他の有益な薬理効果も提唱されている。例えば、Decinaら、Biol. Psychiatry 28:502 (1990);Wagnerら、Pharmacopsychiatry 21:301 (1988);Pomerleauら、Addictive Behaviors 9:265 (1984);Onaiviら、Life Sci. 54(3):193 (1994);Tripathiら、JPET 221:91(1982)およびHamon, Trends in Pharmacol. Res. 15:36 (1994)を参照されたい。
【0003】
nAChRを標的とする様々な化合物は、多種多様な症状および障害の治療に有用であることが報告されている。例えば、Williamsら、DN & P 7(4):205 (1994);Arnericら、CNS Drug Rev. 1(1):1 (1995);Arnericら、Exp. Opin. Invest. Drugs 5(1):79 (1996);Bencherifら、JPET 279:1413 (1996);Lippielloら、JPET 279:1422 (1996);Damajら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 291:390 (1999);Chiariら、Anesthesiology 91:1447 (1999);Lavand’hommeおよびEisenbach, Anesthesiology 91:1455 (1999);Holladayら、J. Med. Chem. 40(28):4169 (1997);Bannonら、Science 279:77 (1998);PCT WO 94/08992、PCT WO 96/31475、PCT WO 96/40682、ならびにBencherifらの米国特許第5,583,140号、Dullらの米国特許第5,597,919号、Smithらの米国特許第5,604,231号、およびCosfordらの米国特許第5,852,041号を参照されたい。ニコチン化合物は多種多様なCNS 障害の治療に特に有用であることが報告されている。現に、多種多様な化合物が治療特性を持つことが報告されている。例えば、BencherifおよびSchmitt, Current Drug Targets:CNS and Neurological Disorders 1(4):349 (2002);LevinおよびRezvani, Current Drug Targets:CNS and Neurological Disorders 1(4):423 (2002);O’Neillら、Current Drug Targets:CNS and Neurological Disorders 1(4):399 (2002);Kikuchiらの米国特許第5,1871,166号、Cignarellaの米国特許第5,672,601号、PCT WO 99/21834、ならびにPCT WO 97/40049、英国特許出願GB 2295387、ならびに欧州特許出願第297,858号を参照されたい。
【0004】
CNS障害は一種の神経障害である。CNS障害は薬物によって誘発されることがあるし、遺伝的素因、感染もしくは外傷が原因で生じることもあるし、または病因が分からないこともある。CNS障害には神経精神障害、神経疾患および精神病が含まれ、例としては神経変性疾患、行動障害、認知障害および認知情動障害が挙げられる。その臨床徴候が、CNSの機能障害が原因で生じるCNS障害(すなわち、神経伝達物質放出の不適切なレベル、神経伝達物質受容体の不適切な性質、および/または神経伝達物質と神経伝達物質受容体との間の不適切な相互作用に起因する障害)が幾つか存在する。幾つかのCNS障害は、コリン、ドーパミン、ノルエピネフリンおよび/またはセロトニンの欠乏が原因で生じることがある。比較的よく見られるCNS障害としては、初老期認知症(早発性アルツハイマー病)、老年認知症(アルツハイマー型認知症)、微小梗塞性認知症、AIDS関連認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、ピック病、パーキンソン病を含むパーキンソニズム、レヴィ小体型認知症、進行性核上性麻痺、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジア、運動亢進症、躁病、注意欠陥障害、不安神経症、失読症、統合失調症、鬱病、強迫神経症およびトゥレット症候群が挙げられる。
【0005】
CNSに特有のnAChRは、幾つかのサブタイプとして存在することが証明されており、最も多く見られるのはα4β2およびα7サブタイプである。例えば、Schmitt, Current Med. Chem. 7:749 (2000)を参照されたい。α7 nAChRサブタイプと相互作用するリガンドは、統合失調症の治療に有用であることが提唱されている。統合失調症患者の死後脳組織では海馬のnAChRの数が減少している。また、タバコを吸う統合失調症患者では、吸わない患者と比べて心理的効果が改善される。ニコチンにより、動物および統合失調症患者の感覚情報処理障害(sensory gating deficits)が改善される。α7 nAChRサブタイプの遮断は、統合失調症に見られる情報処理障害に似た障害を誘発する。例えば、Leonardら、Schizophrenia Bulletin 22(3):431 (1996)を参照されたい。P50聴覚誘発電位情報処理障害のある患者における感覚処理の生化学的、分子的、および遺伝的研究では、α7 nAChRサブタイプが抑制性ニューロン経路で機能している可能性があることが示唆されている。例えば、Freedmanら、Biological Psychiatry 38(1):22 (1995)を参照されたい。
【0006】
つい最近、Heeschenら、J. Clin. Invest. 100:527 (2002)に記載されたように、α7 nAChRは血管新生のメディエーターであることが提唱された。これらの研究では、α7サブタイプを抑制すると炎症性血管新生が減少することが証明された。また、α7 nAChRは神経発生および腫瘍増殖を制御するための標的として提示されている(Utsugisawaら、Molecular Brain Research 106(1-2):88 (2002)および米国特許出願2002/0016371)。最近ようやく、認知(LevinおよびRezvani, Current Drug Targets:CNS and Neurological Disorders 1(4):423 (2002))、神経保護(O’Neillら、Current Drug Targets:CNS and Neurological Disorders 1(4):399 (2002)およびJeyarasasingamら、Neuroscience 109(2):275 (2002))、ならびに神経因性疼痛(Xiaoら、Proc. Nat. Acad. Sci. (US) 99(12):8360 (2002))におけるα7サブタイプの役割が認識されるようになった。
【0007】
様々な化合物が、α7 nAChRと相互作用することが報告されており、またそれに基づく治療法として提示されている。例えば、PCT WO 99/62505、PCT WO 99/03859、PCT WO 97/30998、PCT WO 01/36417、PCT WO 02/15662、PCT WO 02/16355、PCT WO 02/16356、PCT WO 02/16357、PCT WO 02/16358、PCT WO 02/17358、Stevensら、Psychopharm. 136:320 (1998)、Dolleら、J. Labeled Comp. Radiopharm. 44:785 (2001)およびMacorら、Bioorg. Med. Chem. Lett. 11:319 (2001)ならびにこれらの文献中の参考文献を参照されたい。これらの化合物に共通する構造テーマは、置換された第3級二環式アミン(例えば、キヌクリジン)という構造テーマである。同じように置換されたキヌクリジン化合物がムスカリン受容体に結合することも報告されている。例えば、Sabbの米国特許第5,712,270号ならびにPCT WO 02/00652およびWO 02/051841を参照されたい。
【特許文献1】PCT WO 94/08992
【特許文献2】PCT WO 96/31475
【特許文献3】PCT WO 96/40682
【特許文献4】Bencherifらの米国特許第5,583,140号
【特許文献5】Dullらの米国特許第5,597,919号
【特許文献6】Smithらの米国特許第5,604,231号
【特許文献7】Cosfordらの米国特許第5,852,041号
【特許文献8】Kikuchiらの米国特許第5,1871,166号
【特許文献9】Cignarellaの米国特許第5,672,601号
【特許文献10】PCT WO 99/21834
【特許文献11】PCT WO 97/40049
【特許文献12】英国特許出願GB 2295387
【特許文献13】欧州特許出願第297,858号
【特許文献14】米国特許出願2002/0016371
【特許文献15】PCT WO 99/62505
【特許文献16】PCT WO 99/03859
【特許文献17】PCT WO 97/30998
【特許文献18】PCT WO 01/36417
【特許文献19】PCT WO 02/15662
【特許文献20】PCT WO 02/16355
【特許文献21】PCT WO 02/16356
【特許文献22】PCT WO 02/16357
【特許文献23】PCT WO 02/16358
【特許文献24】PCT WO 02/17358
【特許文献25】Sabbの米国特許第5,712,270号
【特許文献26】PCT WO 02/00652
【特許文献27】WO 02/051841
【非特許文献1】Pullanら、N. Engl. J. Med. 330:811 (1994)
【非特許文献2】Sjak-shieら、Brain Res. 624:295 (1993)
【非特許文献3】Rowellら、J. Neurochem. 43:1593 (1984)
【非特許文献4】Rapierら、J. Neurochem. 50:1123 (1988)
【非特許文献5】Sandorら、Brain Res. 567:313 (1991)
【非特許文献6】Vizi, Br. J. Pharmacol. 47:765 (1973)
【非特許文献7】Hallら、Biochem. Pharmacol. 21:1829 (1972)
【非特許文献8】Heryら、Arch. Int. Pharmacodyn. Ther. 296:91 (1977)
【非特許文献9】Tothら、Neurochem Res. 17:265 (1992)
【非特許文献9】Brioniら、Adv. Pharmacol. 37:153 (1997)
【非特許文献10】Sanbergら、Pharmacol. Biochem. & Behavior 46:303 (1993)
【非特許文献11】Harsingら、J. Neurochem. 59:48 (1993)
【非特許文献12】Hughes, Proceedings from Intl. Symp. Nic. S40 (1994)
【非特許文献13】Decinaら、Biol. Psychiatry 28:502 (1990)
【非特許文献14】Wagnerら、Pharmacopsychiatry 21:301 (1988)
【非特許文献15】Pomerleauら、Addictive Behaviors 9:265 (1984)
【非特許文献16】Onaiviら、Life Sci. 54(3):193 (1994)
【非特許文献17】Tripathiら、JPET 221:91(1982)
【非特許文献18】Hamon, Trends in Pharmacol. Res. 15:36 (1994)
【非特許文献19】Williamsら、DN & P 7(4):205 (1994)
【非特許文献20】Arnericら、CNS Drug Rev. 1(1):1 (1995)
【非特許文献21】Arnericら、Exp. Opin. Invest. Drugs 5(1):79 (1996)
【非特許文献22】Bencherifら、JPET 279:1413 (1996)
【非特許文献23】Lippielloら、JPET 279:1422 (1996)
【非特許文献24】Damajら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 291:390 (1999)
【非特許文献25】Chiariら、Anesthesiology 91:1447 (1999)
【非特許文献26】Lavand’hommeおよびEisenbach, Anesthesiology 91:1455 (1999)
【非特許文献27】Holladayら、J. Med. Chem. 40(28):4169 (1997)
【非特許文献28】Bannonら、Science 279:77 (1998)
【非特許文献29】BencherifおよびSchmitt, Current Drug Targets:CNS and Neurological Disorders 1(4):349 (2002)
【非特許文献30】LevinおよびRezvani, Current Drug Targets:CNS and Neurological Disorders 1(4):423 (2002)
【非特許文献31】O’Neillら、Current Drug Targets:CNS and Neurological Disorders 1(4):399 (2002)
【非特許文献32】Schmitt, Current Med. Chem. 7:749 (2000)
【非特許文献33】Leonardら、Schizophrenia Bulletin 22(3):431 (1996)
【非特許文献34】Freedmanら、Biological Psychiatry 38(1):22 (1995)
【非特許文献35】Heeschenら、J. Clin. Invest. 100:527 (2002)
【非特許文献36】Utsugisawaら、Molecular Brain Research 106(1-2):88 (2002)
【非特許文献37】Jeyarasasingamら、Neuroscience 109(2):275 (2002)
【非特許文献38】Xiaoら、Proc. Nat. Acad. Sci. (US) 99(12):8360 (2002)
【非特許文献39】Stevensら、Psychopharm. 136:320 (1998)
【非特許文献40】Dolleら、J. Labeled Comp. Radiopharm. 44:785 (2001)
【非特許文献41】Macorら、Bioorg. Med. Chem. Lett. 11:319 (2001)
【発明の開示】
【0008】
ある症状もしくは障害を起こしやすいかまたはある症状もしくは障害に苦しむ患者にニコチン化合物を投与することによる、かかる症状または障害の予防および治療に有用な方法を提供することが望ましい。有益な効果(例えば、CNSの機能に対する効果)を有するニコチン様の薬理を持つ活性成分を含有する医薬組成物の投与によりある特定の障害(例えば、CNS疾患)に苦しむ個体に該障害の症候の停止をもたらすが、それに伴う重大な副作用は与えないことが非常に有益である。nAChRと相互作用する化合物、例えば、CNSの機能に影響を及ぼす可能性がある化合物を組み入れた医薬組成物を提供することが非常に望ましい。かかる化合物は、CNSの機能に影響を及ぼすのに十分な量で用いた場合に、望ましくない副作用(例えば、心血管および骨格筋受容体部位における、感知できるほどの活性)を誘発する可能性があるnAChRサブタイプには有意な影響を及ぼさないものであることが非常に望ましい。また、ニコチン性受容体と相互作用するがムスカリン受容体とは相互作用しない化合物を組み入れた医薬組成物を提供することも非常に望ましい。何故なら、後者は流涎過多、発汗、振戦、心血管および胃腸の障害などの副交感神経系の機能に関する副作用を伴うからである(Caulfield, Pharmacol. Ther. 58:319 (1993)ならびにBroadleyおよびKelly, Molecules 6:142 (2001)を参照されたい)。さらに、ある特定の症状または障害(例えば、統合失調症、認知障害、および神経因性疼痛)の治療のために、ならびに組織損傷の予防および治癒の促進のために(すなわち、神経保護および血管新生の制御のために)α7 nAChRサブタイプ選択的な医薬組成物を提供することが非常に望ましい。本発明は、かかる化合物、組成物および方法を提供するものである。
【0009】
発明の概要
本発明は、ヘテロアリール置換ジアザトリシクロアルカンのアミドおよび尿素誘導体、この化合物を含む医薬組成物、この化合物を調製する方法、ならびにこの化合物を使用する治療方法に関する。より具体的には、該治療方法は、1種以上の該化合物を投与してα7 nAChRサブタイプの活性を調節することによりα7 nAChRサブタイプにより媒介される障害を治療または予防することを含む。
【0010】
ジアザトリシクロアルカンは、典型的には、ピロリジン環と縮合した1-アザビシクロオクタンからなる。その置換基であるヘテロアリール基は、ジアザトリシクロアルカンに直接結合した、3-ピリジニルおよび5-ピリミジニル部分などの5または6員環の複素芳香族化合物である。ピロリジン部分の第2級窒素は、アリールカルボニル(アミド型誘導体)基またはアリールアミノカルボニル(N-アリールカルバモイル)(尿素型誘導体)基で置換されている。
【0011】
前記化合物は、ある特定のnAChRサブタイプにおける選択的相互作用を必要とする治療用途において有益である。つまり、前記化合物は、ある特定のnAChRサブタイプ、特にα7 nAChRサブタイプの活性は調節するが、ムスカリン受容体に対しては感知しうるほどの活性を持たない。前記化合物は、中枢神経系(CNS)の機能に影響を及ぼすには十分な量であるが、望ましくない副作用を誘発する可能性がある受容体サブタイプには有意に影響を及ぼすことのない(例えば、神経節および骨格筋のnAChR部位ならびにムスカリン受容体においては感知しうるほどの活性を示さない)量で投与することができる。従って、前記化合物は、感知しうるほどの副作用なしに神経伝達に関与するリガンドの放出を調節する上で有用である。
【0012】
前記化合物は、正常な神経伝達物質放出における変化を特徴とする障害を治療および/または予防するための治療薬として使用することができる。かかる障害の具体例としては、ある特定のCNSの症状および障害が挙げられる。前記化合物により、神経保護を提供し、痙攣を起こしやすい患者を治療し、鬱病、自閉症、およびある特定の神経内分泌障害を治療し、また脳卒中患者の治療の手助けをすることができる。また前記化合物は、高血圧、II型糖尿病および新生物を治療し、体重を減らす上でも有用である。前記化合物はα7 nAChRサブタイプ選択的であるため、それらを使用することにより、ある特定の症状または障害(例えば、統合失調症、認知障害、および神経因性疼痛)を治療し、組織損傷を予防し、治癒を促進する(すなわち、神経保護および血管新生の制御を提供する)ことができる。
【0013】
前記医薬組成物は、前記の症状または障害に苦しむ個体および前記の症状または障害の臨床徴候を呈する個体に治療上の利点を提供する。前記化合物は、前記医薬組成物と共に投与する場合、(i)ニコチン様の薬理を呈し、かつ関連するnAChR部位に影響を及ぼす(例えば、ニコチン性受容体において薬理学的アゴニストとして働く)、ならびに(ii)神経伝達物質分泌を調節し、それによって疾患に関連する症候を予防および抑制する、のに有効な量で用いることができる。しかも前記化合物は、(i)患者の脳のnAChRの数を増大させる、(ii)神経保護効果を呈する、ならびに(iii)有効量で用いた場合に感知しうるほどの有害な副作用(例えば、血圧および心拍数の有意な上昇、消化管に対する有意な悪影響、ならびに骨格筋に対する有意な影響)を引き起こさない、可能性がある。前記医薬組成物は、様々な症状または障害の予防および治療に関して安全かつ有効であると考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の前述の態様および他の態様を、下記の詳細な説明および実施例において詳しく説明する。
【0015】
本発明の詳細な説明
本明細書中に記載されている化合物は、式1
【化1】

【0016】
で表わされる構造を持つ。
【0017】
式1中、Yは酸素または硫黄であり、かつZは窒素(すなわち、NR')または共有結合である。Aは存在しないかまたは基-CR'R''-、-CR'R''-CR'R''-、-CR'=CR'-、および-C2-から選択されるリンカー種であって、ここで、R'およびR''は本明細書中で後に定義する通りである。Arは、炭素環式または複素環式の、単環式または縮合多環式の、無置換であるかまたは置換されているアリール基であり;またCyは、無置換であるかまたは置換されている、5または6員の芳香族複素環である。アザ環とアザ二環との結合は、その結合部位における様々な相対的および絶対的立体化学配置(例えば、シスまたはトランス、RまたはS)のいずれかによって特徴付けることができる。本発明はさらに、その製薬上許容しうる塩を含む。前記化合物は1つ以上の不斉炭素を有しているため、ラセミ混合物、エナンチオマーおよびジアステレオマーの形で存在しうる。また、前記化合物の中には、炭素-炭素二重結合に関するEおよびZ異性体として存在するものもある。これらの個々の異性体化合物およびそれらの混合物もまた、それら全てが本発明の範囲に含まれるものとする。
【0018】
従って、本発明は、Arがカルボニル基含有官能基を介してジアザ三環(diazatricycle)にそのピロリジン環の窒素位で連結された結果、アミドまたは尿素官能基を形成している化合物を含む。Arは該カルボニル基含有官能基に直接結合していてもよいし、またはリンカーAを通して該カルボニル基含有官能基に連結されていてもよい。さらに本発明は、1-アザビシクロ[2.2.2]オクタンを含有するジアザ三環を含有する化合物も含む。
【0019】
本明細書中で使用する場合、「アルコキシ」には、酸素原子に結合した、直鎖または分枝鎖中に1〜8個の炭素原子を持つアルキル基およびC3-8シクロアルキルが含まれる。
【0020】
本明細書中で使用する場合、「アルキル」には直鎖状および分枝鎖状のC1-8アルキル、好ましくはC1-6アルキルが含まれる。「置換アルキル」は、ArおよびCyに関して下記に定義する1〜3個の置換基で置換されたアルキル基と定義する。
【0021】
本明細書中で使用する場合、「アリールアルキル」はベンジルなどの部分を指し、ここで、芳香族化合物は式1または2の化合物中に示す位置に連結されているアルキル基に連結されている。「置換アリールアルキル」は、ArおよびCyに関して下記に定義する1〜3個の置換基で置換されたアリールアルキル基と定義する。
【0022】
本明細書中で使用する場合、「芳香族化合物(aromatic)」は、3〜10員、好ましくは5および6員の芳香環および芳香族複素環、ならびに5および/または6員の芳香環および/または芳香族複素環を含む多環式芳香族化合物を指す。
【0023】
本明細書中で使用する場合、「アリール」には、単環式および縮合多環式で炭素環式および複素環式の芳香環が共に含まれ、ここで、該芳香環は5または6員の環でありうる。代表的な単環式アリール基としては、限定するものではないが、フェニル、フラニル、ピロリル、チエニル、ピリジニル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルなどが挙げられる。縮合多環式アリール基は、縮合環系内の1つ以上の環として5または6員の芳香環または芳香族複素環を含む芳香族基である。代表的な縮合多環式アリール基としては、ナフタレン、アントラセン、インドリジン、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8-ナフチリジン、プテリジン、カルバゾール、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、およびアズレンが挙げられる。
【0024】
本明細書中で使用する場合、「カルボニル基含有官能基」は、式-C(=Y)-Z-(式中のYおよびZは、本明細書中に定義した通りである)の部分である。
【0025】
本明細書中で使用する場合、「Cy」基は、5および6員環の複素芳香族基である。代表的なCy基としては、ピリジニル、ピリミジニル、フラニル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルなどが挙げられる。
【0026】
ArおよびCy、ならびに1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン環上の様々な位置はそれぞれ、無置換であってもよいし、あるいはアルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ハロ(例えば、F、Cl、Br、もしくはI)、-OR'、-NR'R''、-CF3、-CN、-NO2、-C2R'、-SR'、-N3、-C(=O)NR'R''、-NR'C(=O)-R''、-C(=O)R'、-C(=O)OR'、-OC(=O)R'、-O(CR'R'')rC(=O)R'、-O(CR'R'')rNR''C(=O)R'、-O(CR'R'')rNR''SO2R'、-OC(=O)NR'R''、-NR'C(=O)O-R''、-SO2R'、-SO2NR'R''、および-NR'SO2R''などの1、2または3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、R'およびR''はそれぞれ、水素、低級アルキル(例えば、C1-C8、好ましくはC1-C5を含む直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、例えば、メチル、エチル、もしくはイソプロピル)、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはアリールアルキル(例えば、ベンジル)であり、かつrは1〜6の整数である。また、R'およびR''が結合することにより環式官能基を形成していてもよい。
【0027】
本明細書中で使用する場合、シクロアルキル基は3〜8個の炭素原子を含有する。適切なシクロアルキル基の具体例としては、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられる。本明細書中で使用する場合、ポリシクロアルキル基は、アダマンチル、ボルナニル、ノルボルナニル、ボルネニルおよびノルボルネニルから選択される。
【0028】
本明細書中で使用する場合、ハロゲンは塩素、ヨウ素、フッ素または臭素である。
【0029】
本明細書中で使用する場合、ヘテロアリール基は、酸素、硫黄および窒素から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、3〜10個の環員、好ましくは5または6個の環員を含有する環である。適切な5員環ヘテロアリール部分の具体例としては、フリル、ピロリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チエニル、テトラゾリル、およびピラゾリルが挙げられる。適切な6員環ヘテロアリール部分の具体例としては、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルが挙げられ、中でもピリジニルおよびピリミジニルが好ましい。
【0030】
本明細書中で使用する場合、「複素環式」基または「ヘテロシクリル」基には、酸素、硫黄および窒素から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、3〜10員の環が含まれる。適切な複素環式部分の具体例としては、限定するものではないが、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、イソチアゾリジニル、チアゾリジニル、イソキサゾリジニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニルおよびテトラヒドロフラニルが挙げられる。
【0031】
適切な製薬上許容しうる塩の具体例としては、無機酸付加塩、例えば、塩化物、臭化物、硫酸塩、リン酸塩、および硝酸塩;有機酸付加塩、例えば、酢酸塩、ガラクタル酸塩(galactarate)、プロピオン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびアスコルビン酸塩;酸性アミノ酸との塩、例えば、アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩;アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えば、マグネシウム塩およびカルシウム塩;アンモニウム塩;有機塩基性塩、例えば、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、およびN,N'-ジベンジルエチレンジアミン塩;ならびに塩基性アミノ酸との塩、例えば、リジン塩およびアルギニン塩が挙げられる。塩は、場合によっては、水和物またはエタノール溶媒和物であってもよい。代表的な塩は、Dullらの米国特許第5,597,919号、Dullらの米国特許第5,616,716号およびRuecroftらの米国特許第5,663,356号に記載されている通りにして提供される。
【0032】
本明細書中で使用する場合、本明細書中に記載の化合物によってその放出が調節される(すなわち、該化合物がアゴニスト、部分アゴニストまたはアンタゴニストとして機能するかどうかによって増加または減少する)神経伝達物質としては、限定するものではないが、アセチルコリン、ドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニンおよびグルタミン酸塩(glutamate)が挙げられ、本明細書中に記載の化合物は、1種以上のニコチン性受容体のモジュレーターとして機能する。
【0033】
本明細書中で使用する場合、「アゴニスト」は、その結合パートナー、典型的には受容体を刺激する物質である。刺激は具体的なアッセイに即して定義されるが、当業者には理解されるように、実質的に類似した状況下で特定の結合パートナーの「アゴニスト」または「アンタゴニスト」として認められている因子または物質との比較を行っている文献中の考察から明らかな場合もある。刺激は、アゴニストまたは部分アゴニストと結合パートナーとの相互作用によって誘導される、アロステリック効果を含む特定の効果または機能の増大に関して定義することができる。
【0034】
本明細書中で使用する場合、「アンタゴニスト」は、その結合パートナー、典型的には受容体を阻害する物質である。阻害は具体的なアッセイに即して定義されるが、当業者には理解されるように、実質的に類似した状況下で特定の結合パートナーの「アゴニスト」または「アンタゴニスト」として認められている因子または物質との比較を行っている文献中の考察から明らかな場合もある。阻害は、アンタゴニストと結合パートナーとの相互作用によって誘導される、アロステリック効果を含む特定の効果または機能の低下に関して定義することができる。
【0035】
本明細書中で使用する場合、「部分アゴニスト」は、その結合パートナーに、アゴニスト活性について認められているいずれかの基準により定義される完全または全アンタゴニストとアゴニストの刺激の中間となるレベルの刺激を提供する物質である。刺激、またその結果としての阻害は、本質的に、アゴニスト、アンタゴニスト、または部分アゴニストとして定義されるあらゆる物質または物質カテゴリーについて定義されることを認識されたい。本明細書中で使用する場合、「固有活性(intrinsic activity)」または「有効性」は、結合パートナー複合体の生物学的効果にある程度関係する。受容体薬理学に関して言えば、固有活性または有効性を定義すべき状況は、結合パートナー(例えば、受容体/リガンド)複合体の状況および特定の生物学的成果に関連する活性を考慮することによって決まる。例えば、場合によっては、固有活性がそれに関与する特定の第二メッセンジャー系によって変動することがある。HoyerおよびBoddeke, Trends Pharmacol Sci., 14(7):270 (1993)を参照されたい。こうした状況別の評価(contextually specific evaluations)が関連しあっているかどうか、およびそれらが本発明との関係においてどのように関連しあっているかは、当業者には明らかであろう。
【0036】
ある実施形態では、Cyは3-ピリジニルまたは5-ピリミジニルであり、Yは酸素であり、Zは共有結合であり、かつAは存在しない。別の実施形態では、Cyは3-ピリジニルまたは5-ピリミジニルであり、Yは酸素であり、Zは窒素であり、かつAは存在しない。 第3の実施形態では、Cyは3-ピリジニルまたは5-ピリミジニルであり、Yは酸素であり、Zは共有結合であり、かつAはリンカー種である。第4の実施形態では、Cyは3-ピリジニルまたは5-ピリミジニルであり、Yは酸素であり、Zは窒素であり、かつAはリンカー種である。
【0037】
本発明の代表的な化合物としては、以下:
5-ベンゾイル-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-フルオロベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-フルオロベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-フルオロベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-クロロベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-クロロベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-クロロベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-ブロモベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-ブロモベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-ブロモベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-ヨードベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-ヨードベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-ヨードベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-メチルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-メチルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-メチルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-メトキシベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-メトキシベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-メトキシベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-メチルチオベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-メチルチオベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-メチルチオベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-フェニルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-フェニルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-フェニルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-フェノキシベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-フェノキシベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-フェノキシベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-フェニルチオベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-フェニルチオベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-フェニルチオベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-シアノベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-シアノベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-シアノベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-トリフルオロメチルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-トリフルオロメチルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-トリフルオロメチルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-ジメチルアミノベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-ジメチルアミノベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-ジメチルアミノベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-エチニルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-エチニルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-エチニルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3,4-ジクロロベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2,4-ジメトキシベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3,4,5-トリメトキシベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(ナフト-1-イルカルボニル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(ナフト-2-イルカルボニル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(チエン-2-イルカルボニル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(チエン-3-イルカルボニル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(フラン-2-イルカルボニル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(ベンゾチエン-2-イルカルボニル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(ベンゾフラン-2-イルカルボニル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(7-メトキシベンゾフラン-2-イルカルボニル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、および
5-(1H-インドール-3-イルカルボニル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン
が挙げられる。
【0038】
本発明を代表する他の化合物としては、以下:
5-(フェニルアセチル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(ジフェニルアセチル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-フェニルプロパノイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、および
5-(3-フェニルプロパ-2-エノイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン
が挙げられる。
【0039】
本発明を代表する他の化合物としては以下:
5-N-フェニルカルバモイル-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-フルオロフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-フルオロフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-フルオロフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-クロロフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-クロロフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-クロロフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-ブロモフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-ブロモフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-ブロモフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-ヨードフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-ヨードフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-ヨードフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-メチルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-メチルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-メチルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-メトキシフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-メトキシフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-メトキシフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-メチルチオフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-メチルチオフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-メチルチオフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-フェニルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-フェニルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-フェニルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-フェノキシフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-フェノキシフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-フェノキシフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-フェニルチオフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-フェニルチオフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-フェニルチオフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-シアノフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-シアノフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-シアノフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-トリフルオロメチルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-トリフルオロメチルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-トリフルオロメチルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-ジメチルアミノフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-ジメチルアミノフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-ジメチルアミノフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-エチニルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-エチニルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-エチニルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3,4-ジクロロフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2,4-ジメトキシフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3,4,5-トリメトキシフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(1-ナフチル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、および
5-(N-(2-ナフチル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン
が挙げられる。
【0040】
本発明を代表する他の化合物としては、以下:
5-(N-ベンジルカルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-ブロモベンジル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-メトキシベンジル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(1-フェニルエチル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、および
5-(N-(ジフェニルメチル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン
が挙げられる。
【0041】
これらの各化合物において、3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン部分は、以下に示す部分的な番号付けを行った構造:
【化2】

【0042】
を持つ。
上記構造中で5位と示した位置の窒素は、本明細書中に記載したアミド、チオアミド、尿素およびチオ尿素の形成に関与する窒素である。
【0043】
これらの各化合物において、その個々の異性体、その混合物、例えば、そのラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマーおよび互変異性体、ならびにその製薬上許容しうる塩は、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0044】
I. 化合物を調製する方法
本発明の化合物を調製しうるその様式は、変更することができる。他の合成戦略も当業者には明らかであるが、式1の化合物は、複素芳香族アルデヒドと1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オンから形成されたアルドール縮合生成物の環化によって作製することができる。従って、塩酸3-キヌクリジノンをピリジン-3-カルボキシアルデヒド(Aldrich Chemical Companyから入手可能)と水酸化カリウムメタノール溶液の存在下で反応させると、2-((3-ピリジニル)メチレン)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オンが生じる。該アルドール縮合には、ピリジン-3-カルボキシアルデヒドの代わりに各種の複素芳香族アルデヒドを使用することができる(Cyの変更)。2-((3-ピリジニル)メチレン)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オンをニトロメタンおよびナトリウムメトキシドで処理すると、ニトロメタンアニオンがエノン官能基に共役付加する。こうして生成した2-(1-(3-ピリジニル)-2-ニトロエチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オンのニトロ基を、その後ラネーニッケルを用いて還元することにより、対応するアミンを得る。この反応条件(エタノール中のラネーニッケル)下では、その後分子内還元的アミノ化が起こり、3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカンが生成する。この骨格は第2級窒素をそのピロリジン環中に含有しており、各種アシル化剤(例えば、カップリング試薬の存在下で酸塩化物、酸無水物、活性エステル、およびカルボン酸)と反応させるとアミド誘導体を形成し、またイソシアナートと反応させると尿素誘導体を生成する(Z-A-ARの変更)。このように、該アミドおよび尿素誘導体は、有機合成分野の当業者に公知の方法を利用して容易に調製される。市販されていないイソシアナートは、トリエチルアミンの存在下で対応するアミンおよびトリホスゲンからin situで調製することができる。この化学反応を96ウェルプレートフォーマットで行うことにより、かかる誘導体のライブラリを作製することができる。
【0045】
時には、CyまたはAR上の反応基は保護を必要とする場合がある。 GreeneおよびWuts, Protective Groups in Organic Synthesis、第2版、Wiley-Interscience Pub. (1991)に記載の方法を利用してこれらの反応基を保護および脱保護することができる。
【0046】
前記化合物は、例えば、結晶化、クロマトグラフィーおよび/または抽出を含む当業者に周知の方法を利用して単離および精製することができる。
一般式1の化合物は、それらのラセミ化合物を慣用の方法に従って分離することにより光学的に純粋な形態で取得することができる。
【0047】
場合によっては、一般式1の化合物を、適当な溶媒、例えば、アルコール、ケトン、エーテルまたは塩素系溶剤などの有機溶媒中の鉱酸または有機酸の作用によってかかる酸との付加塩に変換することができる。これらの塩もまた本発明の一環をなすものである。
【0048】
代表的な製薬上許容しうる塩としては、限定するものではないが、ベンゼンスルホン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、クエン酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヨウ素酸塩、マレイン酸塩、イセチオン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチレンビス(β-オキシナフトエート)、硝酸塩、シュウ酸塩、パルモエート(palmoate)、リン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、テオフィリン酢酸塩(theophyllinacetate)、p-トルエンスルホン酸塩、ヘミガラクタル酸塩(hemigalactarate)およびガラクタル酸塩(galactarate)が挙げられる。
【0049】
造影剤
本発明の化合物の幾つかは、画像診断において有用な放射性核種を組み入れるような様式で合成することができる。特に興味深いのは、11C、18F、76Br、123I、125Iなどといった放射性同位体部分を含む化合物である。該化合物は、その様々な位置を任意で放射標識することができる。例えば、ハロゲン系の放射性核種をハロゲン化アルキルまたはハロゲン化アリール部分または官能基中に使用してもよいし、11Cなどの放射性核種をアルキル(例えば、メチル)部分または官能基中に使用してもよい。
【0050】
例えば、市販のp-(ジメチルアミノ)安息香酸(Aldrich)を、WillstaetterおよびKahn, Chem. Ber. 37:406 (1904)に記載されている通りに、メタノール中のヨードメタンで処理することによりp-(トリメチルアンモニウム)ベンゾエートに変換する。トリメチルアンモニウム基のフッ素による置き換えは、類似化合物について数人の研究者により報告されている(例えば、Machら、J. Med. Chem. 36:3707 (1993)およびJalalianら、J. Labeled Compd. Radiopharm. 43:545 (2000)を参照されたい)。これらの求核的芳香核置換反応は、典型的には、フッ素イオンの供給源としてKFまたはCsF(KFを使用する場合はKryptofix(登録商標)222を加えることが多い)を使用して、ジメチルスルホキシド中で(場合によっては水共溶媒を用いて)実施する。前記置き換えに18F-を使用すると、 p-18フルオロ安息香酸が生じる。このカルボン酸を、当業者に公知の各種技術(一部は既に記載した)のいずれかを利用して、式:
【化3】

【0051】
〔式中、Cyは先に記載した通りであり、かつCyおよび1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン環は先に記載した様々な置換基で官能化されていてもよい〕
の化合物の5位にあるNH基と瞬時に結合させることにより、所望のp-18フルオロベンズアミド誘導体を形成させることができる。得られた化合物を使用することにより、α7 nAChRを特異的に画像化することができる。関連のある尿素化合物は、p-18フルオロ安息香酸を、18フルオロアルキルもしくは18フルオロアリールアルキルN-C(O)-O-アルキルまたは上記出発物質の5位にあるNH基により活性化される他の基を含む化合物と交換することによって調製できる。同様に、関連のあるチオ尿素またはチオアミド化合物は、p-18フルオロ安息香酸を、p-18フルオロチオ安息香酸、チオ安息香酸と交換するか、またはN-C(S)-O-アルキルもしくは上記出発物質の5位にあるNH基により活性化される他の基を含む化合物と交換することにより調製できる。
【0052】
前記出発物質は、5位のアミン基をクロロギ酸エチルなどの活性化剤と反応させてN-C(O)-エトキシ基(または他の活性カルボニル化合物)を形成させてから、今度はこれを放射標識したアリールまたはアリールアルキルアミンと反応させる(すなわち、放射標識がアリールまたはアリールアルキル部分上にあるアリール尿素またはアリールアルキル尿素を形成させる)ことにより、容易に放射標識することができる。放射標識アリールアミンの一例は、SigmaAldrichから市販されているアニリン-UL-14Cである。あるいは、放射標識したアリールまたはアリールアルキルイソシアナートを5位のアミンと反応させて放射標識尿素基を形成させることもできる。例えば、ブロモフェニル-p-イソシアナート(カルボニル14C)がAmerican Radiolabeled Chemicals, Incから市販されている。
【0053】
得られた放射標識化合物は、セミ分取または分取HPLCで精製し、再構成のために簡単に単離することができる。
【0054】
必要なアミン含有前駆体化合物については先に詳しく記載した。得られた放射標識化合物を使用することにより、α7 nAChRを特異的に画像化することができる。
【0055】
II. 医薬組成物
本明細書中に記載した化合物を医薬組成物に組み入れてこれを使用することにより、ある症状もしくは障害を起こしやすい被験体においてかかる症状または障害を予防する、および/またはある症状もしくは障害に苦しむ被験体を治療することができる。本明細書中に記載した医薬組成物は、1種以上の式1の化合物および/またはその製薬上許容しうる塩を含む。キラル化合物をラセミ混合物または純粋なエナンチオマーとして用いることができる。
【0056】
前記化合物を投与する様式は変更することができる。前記組成物は、好ましくは(例えば、水性もしくは非水性液体などの溶媒入れた液体の形態でまたは固体担体に入れて)経口投与する。経口投与用の好適な組成物としては、硬ゼラチンカプセル剤および徐放性カプセル剤を含む丸剤、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、シロップ剤、および液剤が挙げられる。前記組成物は、単位用量剤形で、または複数もしくはサブユニット用量で製剤化することができる。好適な組成物は、液体または半固体形態である。水などの製薬上不活性な液体担体または他の製薬上混合可能な液体もしくは半固体を含む組成物を使用することができる。かかる液体および半固体の使用は、当業者には周知である。
【0057】
前記組成物は、注射により、すなわち、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、動脈内、髄腔内、および脳室内に投与することもできる。静脈内投与が好適な注射方法である。注射用の適切な担体は当業者に周知であり、例として5%ブドウ糖溶液, 生理食塩水、およびリン酸緩衝生理食塩水が挙げられる。また、前記化合物は、輸液または注射薬として(例えば、懸濁液として、または製薬上許容しうる液体または液体混合物中のエマルションとして)投与することもできる。
【0058】
前記製剤は、他の手段、例えば直腸投与を利用して投与することもできる。坐薬などの直腸投与に有用な製剤は、当業者には周知である。また前記化合物は、吸入により(例えば、エアロゾルの形態で経鼻的に、もしくはBrooksらの米国特許第4,922,901号(この文献の開示内容はその全てが本明細書中に含まれるものとする)に記載されているタイプの送達用製品を利用して);局所的に(例えば、ローション形態で);または経皮的に(例えば、経皮パッチを使用し、NovartisおよびAlza Corporationから利用可能な技術を利用して)投与することもできる。前記化合物はバルク活性化合物の形態で投与することができるが、効率的かつ効果的な投与のためには各化合物を医薬組成物または製剤の形態で提示することが好ましい。
【0059】
前記化合物を投与するための例示的な方法は、当業者には明らかであろう。これらの製剤の有用性は、使用する特定の組成物および治療を受ける特定の被験体によって異なる可能性がある。これらの製剤には、油性、水性、乳状でありうる液体担体を含有させることができ、または投与形式に適した数種の溶媒を含有させることもできる。
【0060】
前記組成物は、断続的に、または漸進的な、連続的な、一定のもしくは制御された速度で温血動物(例えば、マウス、ラット、ネコ、ウサギ、イヌ、ブタ、ウシ、またはサルなどの哺乳動物)に投与することができるが、人間に投与すると有利である。さらに、医薬製剤を投与する時刻および1日当たりの回数を変更することもできる。
【0061】
好ましくは、投与時に、活性成分が、CNSの機能に影響を及ぼす被験体体内の受容体部位と相互作用する。より具体的に言うと、CNS障害を治療する上で好ましい投与は、CNSの機能に影響を及ぼす関連ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)サブタイプに対する影響を最適化する一方で、筋肉型受容体サブタイプに対する影響を最小限に抑えるよう設計されているものである。本発明の化合物を投与するための他の適切な方法は、Smithらの米国特許第5,604,231号(本特許の内容は参照により本明細書中に含まれるものとする)に記載されている。
ある特定の状況では、本明細書中に記載した化合物を、特定の障害を予防または治療することを目的とする他の化合物と共に医薬組成物の一部として用いることができる。該医薬組成物には、本明細書中に記載した有効量の化合物の他に、添加剤または補助剤として他の様々な成分も含めることができる。関連する状況で用いられる、製薬上許容しうる例示的な成分または補助剤としては、抗酸化剤、フリーラジカル捕捉剤、ペプチド、成長因子、抗生物質、静菌剤、免疫抑制剤、抗凝固剤、緩衝剤、抗炎症剤、解熱剤、徐放性結合剤、麻酔薬、ステロイド、ビタミン、ミネラルおよびコルチコステロイドが挙げられる。かかる成分は、追加の治療効果を提供するか、医薬組成物の治療作用に影響を及ぼすように作用するか、または医薬組成物の投与が原因で生じうる潜在的副作用を予防する形で作用しうる。
【0062】
前記化合物の適当な用量とは、障害の症候の発現を予防するかまたは患者を苦しめている障害の一部の症候を治療するのに有効な量である。「有効(な)量」、「治療量(therapeutic amount)」または「有効用量(effective dose)」と言えば、それは所望の薬理的または治療的効果を引き出すことによって障害を有効に予防または治療するのに十分な量を意味する。
【0063】
CNS障害を治療する場合、化合物の有効量とは、被験体の血液脳関門を通過し、該被験体脳内の関連のある受容体部位に結合して関連のあるnAChRサブタイプの活性を調節する(例えば、神経伝達物質の分泌をもたらすことによって障害を有効に予防または治療する)のに十分な量である。障害の予防は、障害の症候の発症が遅れることで証明される。障害の治療は、障害に関連する症候の軽減または障害の症候の再発の改善によって証明される。好ましくは、有効量は、所望の結果を得るには十分であるが、感知しうるほどの副作用を引き起こすには不十分なものである。
【0064】
有効用量は、患者の健康状態、障害の症候の重症度、および医薬組成物を投与する様式などの因子に応じて異なる。ヒト患者の場合、典型的な化合物の有効用量は、一般に、関連のあるnAChRの活性を調節して神経伝達物質(例えば、ドーパミン)を放出させるのに十分な量で該化合物を投与することを必要とするが、その量は骨格筋および神経節に対する影響を有意な程度まで誘発するには不十分でなければならない。化合物の有効用量は当然患者によって異なるが、一般には、例としてCNS作用または他の所望の治療効果を生じる量以上であるが筋肉作用が認められる量よりは少ない量が挙げられる。
【0065】
前記化合物は、本明細書中に記載した方法に従って有効量で用いた場合、幾つかの関連のあるnAChRに対しては選択的であるが、少なくともドーパミンまたは他の神経伝達物質の放出を誘発するのに必要な濃度より高い濃度で望ましくない副作用に関連する受容体を有意に活性化することはない。このことは、CNS障害を予防および/または治療するのに有効な特定の用量の化合物が、神経伝達物質放出の調節に要する濃度よりも5倍高い、好ましくは100倍高い、より好ましくは1,000倍高い濃度で、ある特定の神経節型nAChRの活性化を誘発するには本質的に無効であることを意味している。心血管系副作用に関与する神経節型受容体に対する本明細書中に記載したある特定の化合物のこの選択性は、ドーパミン放出の活性化に要する濃度よりも高い濃度における、該化合物が副腎クロム親和性組織のニコチン機能を活性化するその能力の欠如によって立証される。
【0066】
本明細書中に記載した化合物により、本明細書中に記載した方法に従って有効量で用いた場合、CNS障害の進行をある程度予防し、CNS障害の症候を改善し、さらにCNS障害の再発をある程度まで改善することができる。該化合物の有効量は、典型的には、感知しうるほどの副作用、例えば骨格筋に関する副作用を誘発するのに必要な閾値濃度よりも低い。該化合物は、ある特定のCNS障害が治療され、かつある特定の副作用が回避される治療濃度域内で投与することができる。理想的には、本明細書中に記載した化合物の有効用量は、CNSに所望の効果をもたらすには十分であるが、望ましくない副作用をもたらすには不十分である(すなわち、十分に高いレベルではない)。好ましくは、該化合物を、CNS障害を治療するには有効であるが、ある特定の副作用を有意な程度まで誘発するのに必要な量の1/5未満、大抵は1/10未満である用量で投与する。
【0067】
最も好ましくは、有効用量は、最大効果が認められるが副作用は最小限に抑えられる極低濃度である。典型的には、前記化合物の有効用量は、一般に、5 mg/患者体重kg未満の量で該化合物を投与することを必要とする。大抵、本発明の化合物は約1 mg/患者体重kg未満から通常は約100μg/患者体重kg未満の量で投与されるが、多くの場合は約10μg〜100μg/患者体重kg未満の量で投与される。低濃度では筋肉型ニコチン性受容体に対する影響を誘発しない化合物の場合、その有効用量は5 mg/患者体重kg未満であり、かかる化合物は大抵は50μg〜5 mg未満/患者体重kgの量で投与される。前述の有効用量は、典型的には、単回用量として投与される量、または1回分以上の用量として24時間にわたって投与される量に相当する。
【0068】
ヒト患者の場合、典型的な化合物の有効用量は、一般に、少なくとも約1 mg/24 hr/患者、大抵は少なくとも約10 mg/24 hr/患者、そして多くの場合は少なくとも約100 mg/24 hr/患者の量で該化合物を投与することを必要とする。ヒト患者の場合、典型的な化合物の有効用量は、一般に約500 mg/24 hr/患者を超えない該化合物、大抵は約400 mg/24 hr/患者を超えない該化合物、そして多くの場合は約300 mg/24 hr/患者を超えない該化合物を投与することを必要とする。また前記組成物は、患者の血漿中の該化合物の濃度が普通は50 ng/mLを超えないような有効用量、大抵は30 ng/mLを超えないような有効用量、そして多くの場合は10 ng/mLを超えないような有効用量で投与すると有利である。
【0069】
III. 化合物および/または医薬組成物を使用する方法
前記化合物を使用することにより、他のタイプのニコチン化合物がその治療用物質として提示されているタイプの症状および障害を治療することができる。例えば、Williamsら、Drug News Perspec. 7(4):205 (1994);Arnericら、CNS Drug Rev. 1(1):1 (1995);Arnericら、Exp. Opin. Invest. Drugs 5(1):79 (1996);Bencherifら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 279:1413 (1996);Lippielloら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 279:1422 (1996);Damajら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 291:390 (1999);Chiariら、Anesthesiology 91:1447 (1999);Lavand’homme およびEisenbach, Anesthesiology 91:1455 (1999);Holladayら、J. Med. Chem. 40(28):4169 (1997);Bannonら、Science 279:77 (1998)、PCT WO 94/08992、PCT WO 96/31475、ならびにBencherifらの米国特許第5,583,140号、Dullらの米国特許第5,597,919号、およびSmithらの米国特許第5,604,231号(これらの各文献の開示内容は、参照によりその全内容が本明細書中に含まれるものとする)を参照されたい。
【0070】
より詳しく言うと、前記化合物を使用することにより、α7 nAChRサブタイプに対する選択性を持つニコチン化合物が治療用物質として提示されているタイプの症状および障害を治療することができる。例えば、Leonardら、Schizophrenia Bulletin 22(3):431 (1996);Freedmanら、Biological Psychiatry 38(1):22 (1995);Heeschenら、J. Clin. Invest. 100:527 (2002);Utsugisawaら、Molecular Brain Research 106(1-2):88 (2002);米国特許出願2002/0016371、LevinおよびRezvani, Current Drug Targets:CNS and Neurological Disorders 1(4):423 (2002);O’Neillら、Current Drug Targets:CNS and Neurological Disorders 1(4):399 (2002);Jeyarasasingamら、Neuroscience 109(2):275 (2002);Xiaoら、Proc. Nat. Acad. Sci. (US) 99(12):8360 (2002);PCT WO 99/62505、PCT WO 99/03859、PCT WO 97/30998、PCT WO 01/36417、PCT WO 02/15662、PCT WO 02/16355、PCT WO 02/16356、PCT WO 02/16357、PCT WO 02/16358、PCT WO 02/17358、Stevensら、Psychopharm. 136:320 (1998);Dolleら、J. Labeled Comp. Radiopharm. 44:785 (2001)ならびにMacorら、Bioorg. Med. Chem. Lett. 11:319 (2001)ならびにこれらの文献中の参考文献(これらの各文献の開示内容は、参照によりその全内容が本明細書中に含まれるものとする)を参照されたい。
【0071】
前記化合物は、前述のタイプの疾患および障害を管理する際に補助療法として既存の療法と併用することもできる。こうした状況では、筋肉および神経節に関連するnAChRサブタイプなどのnAChRサブタイプに対する影響を最小限に抑える様式で活性成分を投与することが好ましい。これは、標的化薬物送達により、および/または有意な副作用をもたらすのに必要な閾値投与量を満たすことなく所望の効果が得られるように投与量を調整することにより、達成することができる。前記医薬組成物を使用することにより、前記の症状、疾患および障害に関連する症候のいずれかを改善することができる。治療しうる障害の代表的な種類については以下で詳しく論じる。
【0072】
CNS障害の治療
治療しうる症状および障害の具体例としては、神経障害および神経変性障害、特にCNS障害が挙げられる。CNS障害は薬物によって誘発されることがあり、遺伝的素因、感染もしくは外傷が原因で生じることもあり、または病因が分からないこともある。CNS障害には神経精神障害、神経疾患および精神病が含まれ、例としては神経変性疾患、行動障害、認知障害および認知情動障害が挙げられる。その臨床徴候がCNSの機能障害が原因で生じるCNS障害(すなわち、神経伝達物質放出の不適切なレベル、神経伝達物質受容体の不適切な性質、および/または神経伝達物質と神経伝達物質受容体との間の不適切な相互作用に起因する障害)が幾つか存在する。幾つかのCNS障害は、コリン、ドーパミン、ノルエピネフリンおよび/またはセロトニンの欠乏が原因で生じることがある。
【0073】
本発明に従って治療しうるCNS障害の具体例としては、初老期認知症(早発性アルツハイマー病)、老年認知症(アルツハイマー型認知症)、レヴィ小体型認知症, 微小梗塞性認知症、AIDS関連認知症、HIV認知症、多発性脳梗塞、パーキンソン病を含むパーキンソニズム、ピック病、進行性核上性麻痺、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジア、運動亢進症、躁病、注意欠陥障害、不安神経症、鬱病、失読症、統合失調症、強迫神経症、トゥレット症候群、軽度認知障害(MCI)、加齢に伴う記憶障害(AAMI)、早発性健忘および認知障害(加齢によるもの、あるいはアルコール依存症または免疫不全症候群の結果として生じるもの、あるいは血管障害に伴うもの、遺伝子変化(例えば、トリソミー21など)に伴うもの、または注意欠陥障害もしくは学習障害に伴うもの)、急性または慢性の神経変性症状、例えば、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、末梢神経症、ならびに脳または脊髄の外傷が挙げられる。また、前記化合物を使用することにより、ニコチン中毒および/または依存性をもたらす物質(例えば、アルコール、コカイン、ヘロインおよびアヘン、覚醒剤、ベンゾジアゼピンおよびバルビツレート)に関する他の行動障害を治療することもできる。
【0074】
統合失調症は、α7 nAChRサブタイプを調節することによる治療に特に適したCNS障害の一例である。前記化合物を投与すれば、認知力を改善する、および/または神経保護を提供することもでき、これらの使用はα7 nAChRサブタイプ特異的な化合物、例えば本発明の化合物による治療にも特に適している。
【0075】
前記障害は、それらの障害の治療または予防を必要とする患者に、CNS障害の進行をある程度予防する(すなわち、保護効果をもたらす)化合物を有効な治療または予防量で投与し、該障害の症候を改善し、また該障害の再発を改善することによって治療および/または予防することができる。
【0076】
抗炎症剤としての使用
過度の炎症および過剰な腫瘍壊死因子(TNF)の合成は、各種疾患において病的状態、さらには死を招く。これらの疾患としては、限定するものではないが、内毒血症、敗血症、関節リウマチ、および過敏性腸疾患が挙げられる。主に迷走神経を介する神経系は、マクロファージ腫瘍壊死因子の放出を抑制することによって先天性免疫応答の程度を調節することが知られている。この生理機構は、「コリン作動性抗炎症経路」として知られている(例えば、Tracey, Nature. 420(6917):853 (2002)を参照されたい)。
【0077】
nAChRα7サブユニットはマクロファージTNF放出のアセチルコリン抑制に必要であり、他のサイトカインの放出もまた抑制する。α7特異的nAChRサブタイプのアゴニスト(または、高投与量では、部分アゴニスト)により、TNFによって調節される炎症反応を抑制することができる。従って、α7アゴニストである本明細書中に記載した化合物を使用することにより、TNFの過剰合成を特徴とする炎症性障害を治療することができる(Wangら、Nature, 421(6921):384 (2003)も参照されたい)。
【0078】
本明細書中に記載した化合物を投与することにより治療または予防しうる炎症症状としては、限定するものではないが、慢性および急性の炎症、乾癬、痛風、急性偽痛風、急性痛風関節炎、関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、同種移植片拒絶反応、慢性移植片拒絶反応、喘息、アテローム性動脈硬化症、単核食細胞依存性の肺損傷、特発性肺線維症、アトピー性皮膚炎、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸窮迫症候群、鎌状赤血球症における急性胸部症候群、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、急性胆管炎、アフタ性口内炎、糸球体腎炎、ループス腎炎、血栓症、および移植片対宿主反応が挙げられる。
【0079】
細菌および/またはウイルス感染症に関連する炎症反応の最小化
多くの細菌および/またはウイルス感染症は、毒素の産生ならびに細菌もしくはウイルスおよび/または毒素に対する身体の自然な反応によって引き起こされる副作用を伴う。かかる細菌感染症の具体例としては、炭疽、ボツリヌス中毒、および敗血症が挙げられる。先に述べた通り、感染症に対する身体の反応は、相当量の腫瘍壊死因子および/または他のサイトカインの生成を伴うことが多い。これらのサイトカインの過剰発現は、敗血症性ショック(細菌が敗血症性(sepsis)である場合)、内毒素性ショック、尿路性敗血症および毒素性ショック症候群などの深刻な損傷をもたらしかねない。
【0080】
サイトカインの発現はα7 nAChRによって媒介されるため、これらの受容体のアゴニストまたは部分アゴニストを投与することで阻害できる。従って、これらの受容体のアゴニストまたは部分アゴニストである本明細書中に記載した化合物を使用することにより、細菌感染症、ならびにウイルスおよび真菌感染症に関連する炎症反応を最小限に抑えることができる。該化合物の一部は、それら自体が抗菌性を有している場合もある。
【0081】
これらの化合物は、補助療法として、抗生物質、抗ウイルス剤および抗真菌剤などの、細菌、ウイルス、および真菌感染症を管理するための既存の療法と併用することもできる。また、抗毒素を使用し、これを病原体が産生する毒素に結合させることにより、結合毒素を炎症反応を生じさせることなく身体を通過させることもできる。抗毒素の具体例は、例えば、Bundleらの米国特許第6,310,043号(参照により本明細書中に含まれるものとする)に開示されている。細菌毒素および他の毒素に対して有効な他の作用物質が有効である場合もあり、それらの治療効果は本明細書中に記載した化合物との同時投与によって補完することができる。
【0082】
鎮痛剤としての使用
前記化合物を投与することにより、神経性、神経因性および慢性の疼痛を含む疼痛を治療および/または予防することができる。本明細書中に記載した化合物の鎮痛活性は、Allgeierらの公開された米国特許出願第20010056084 A1号(例えば、炎症性疼痛の完全フロイントアジュバントラットモデルにおける機械誘発性痛覚過敏、および神経因性疼痛のマウス坐骨神経部分結紮モデルにおける機械誘発性痛覚過敏)に記載されている通りに実施した、持続的な炎症性疼痛のモデルおよび神経因性疼痛のモデルで立証することができる。
【0083】
鎮痛効果は、様々な起源または病因の疼痛を治療するのに適しており、特に、炎症性疼痛およびそれに関連する痛覚過敏、神経因性疼痛およびそれに関連する痛覚過敏、慢性疼痛(例えば、重症慢性疼痛、術後疼痛、ならびに癌、 アンギナ、腎仙痛または胆石仙痛、月経、片頭痛および痛風を含む様々な症状に関連する疼痛)ならびに線維筋痛症候群を治療するのに適している。炎症性疼痛は、関節炎およびリウマチ様疾患、腱鞘炎および血管炎を含む多様な起源を持つ場合がある。神経因性疼痛としては、三叉神経痛またはヘルペス神経痛、糖尿病性ニューロパシーによる疼痛、灼熱痛、腰痛および腕神経叢裂離などの求心路遮断症候群が挙げられる。
【0084】
新血管形成の抑制
α7 nAChRは、新血管形成とも関連している。例えば、α7 nAChRのアンタゴニスト(または、ある特定の投与量では、部分アゴニスト)を投与することによる新血管形成の抑制により新血管形成を抑制し、またその結果として、望ましくない新血管形成または血管新生を特徴とする症状を治療または予防することができる。かかる症状としては、炎症性血管新生および/または虚血誘発性血管新生を特徴とする症状を挙げることができる。腫瘍増殖に関連する新血管形成もまた、α7 nAChRのアンタゴニストまたは部分アゴニストとして機能する本明細書中に記載した化合物を投与することにより抑制できる。
【0085】
α7 nAChR特異的活性の特異的拮抗作用は、炎症、虚血、および新生物に対する血管新生反応を低下させる。本明細書中に記載した化合物を評価するための適当な動物モデル系に関する指針は、例えばHeeschen,ら、J. Clin Invest, 110(4):527 (2002)に記載されており、この文献は、血管新生のα7特異的抑制ならびにヒトの疾患と関係がある血管新生活性の細胞(in vitro)および動物モデル化、特にルイス肺腫瘍モデル(in vivoモデル、マウスモデル−特に、529頁および532〜533頁を参照されたい)の開示に関して参照することにより、本明細書中に含まれるものとする。
【0086】
本明細書中に記載した化合物を使用して治療しうる代表的な腫瘍タイプとしては、NSCLC、卵巣癌、膵癌、乳癌腫、結腸癌腫、直腸癌腫、肺癌腫、中咽頭癌腫、下咽頭癌腫、食道癌腫、胃癌腫、膵癌腫、肝癌腫、胆嚢癌腫、胆管癌腫、小腸癌腫、尿路癌腫、腎癌腫、膀胱癌腫、尿路上皮癌腫、女性生殖器癌腫、子宮頚癌腫、子宮癌腫、卵巣癌腫、絨毛癌腫、妊娠性絨毛性疾患、男性生殖器癌腫、前立腺癌腫、精嚢癌腫、精巣癌腫、胚細胞腫瘍、内分泌腺癌腫、甲状腺癌腫、副腎癌腫、下垂体癌腫、皮膚癌腫、血管腫、黒色腫、肉腫、骨および軟部組織の肉腫、カポジ肉腫、脳の腫瘍、神経の腫瘍、眼の腫瘍、髄膜の腫瘍、星状細胞腫、神経膠腫、神経膠芽腫、網膜芽腫、神経腫、神経芽腫、シュワン腫、髄膜腫、造血器悪性腫瘍(例えば、白血病、緑色腫、形質細胞腫ならびに菌状息肉腫および皮膚T細胞性リンパ腫/白血病のプラークおよび腫瘍)に由来する固形腫瘍、ならびにリンパ腫に由来する固形腫瘍が挙げられる。
【0087】
前記化合物は、他の形態の抗癌治療薬と共に投与することも可能であり、例えば、シスプラチン、アドリアマイシン、ダウノマイシンなどといった抗新生物性抗腫瘍薬、および/または当分野で公知の抗VEGF(血管内皮増殖因子)薬と同時投与することができる。
【0088】
前記化合物は、それらが腫瘍部位を標的とするような様式で投与することができる。例えば、前記化合物を、微粒子を腫瘍に導く様々な抗体に結合させたミクロスフェア、微粒子またはリポソームとして投与することができる。さらに、前記化合物は、動脈および静脈は通過するが腫瘍の周囲の毛細血管床には留まって該腫瘍に該化合物を局所的に投与するように適当に大きさを整えたミクロスフェア、微粒子またはリポソームの形で存在させることもできる。かかる薬物送達デバイスは当分野で公知である。
【0089】
他の障害
前記化合物は、CNS障害、炎症性障害、および新生血管障害を治療し、疼痛反応を抑制するだけでなく、他のある特定の症状、疾患、および障害を予防または治療するために使用することもできる。具体例としては、狼瘡などの自己免疫障害、サイトカイン放出に関連する障害、感染症に続発する悪液質(例えば、AIDS、AIDS関連症候群および新生物で発生する悪液質)、ならびにPCT WO 98/25619に記載の適応症が挙げられる。また、前記化合物を投与することにより、癲癇の症候である痙攣などの痙攣を治療すること、ならびに梅毒およびクロイツフェルト・ヤコブ病などの症状を治療することもできる。
【0090】
診断における使用
前記化合物は、特にそれらが適当な標識を含むよう改変されている場合、プローブなどの診断用組成物として使用することができる。該プローブを使用することにより、例えば、特異的受容体、特にα7受容体サブタイプの相対数および/または機能を測定することができる。最も好ましくは、本発明の化合物を上記の11C、18F、76Br、123Iまたは125Iなどの放射性同位体部分で標識する。
【0091】
投与した前記化合物は、使用した標識に応じた公知検出方法を利用して検出することができる。検出方法の具体例としては、陽電子放射型断層撮影法(PET)および単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)が挙げられる。上記放射標識はPET(例えば、11C、18Fまたは76Br)およびSPECT (例えば、123I)による画像化に有用であり、その半減期は11Cで約20.4分、18Fで約109分、123Iで約13時間、そして76Brで約16時間である。選択した受容体サブタイプを非飽和濃度で可視化するには高い比放射能が必要とされる。投与する用量は、典型的には毒性範囲未満であるが、該用量で硬調画像が得られる。前記化合物は、無毒性レベルで投与することができると考えられる。用量の決定は、放射標識画像化の分野の当業者に公知の様式で行う。例えば、Londonらの米国特許第5,969,144号を参照されたい。
【0092】
前記化合物は公知技術を利用して投与することができる。例えば、Londonらの米国特許第5,969,144 号を参照されたい。前記化合物は、診断用組成物を製剤化するのに有用なタイプの成分などの他の成分を組み入れた製剤組成物として投与することができる。本発明を実施する上で有用な化合物は、最も好ましくは、高純度形態で用いる。例えば、Elmalchらの米国特許第5,853,696号を参照されたい。
【0093】
前記化合物を被験体(例えば、ヒト被験体)に投与した後に、該被験体内の該化合物の存在を適当な技術により画像化および定量化することにより、選択したニコチン性コリン作動性受容体サブタイプの存在、量、および機能性を示すことができる。前記化合物は、ヒトだけでなくマウス、ラット、イヌ、およびサルなどの動物にも投与することができる。SPECTおよびPETによる画像化は、適当な技術および装置を利用して行うことができる。代表的な画像化技術の開示については、Villemagneら、In:Arnericら、(編) Neuronal Nicotinic Receptors:Pharmacology and Therapeutic Opportunities, 235-250 (1998)およびElmalchらの米国特許第5,853,696号を参照されたい。
【0094】
前記放射標識化合物は、選択的nAChRサブタイプ(例えば、α7)に高親和性で結合し、好ましくは他のニコチン性コリン作動性受容体サブタイプ(例えば、筋肉および神経節に関連する受容体サブタイプ)に対しては無視できる程度の非特異的結合しか示さない。従って、前記化合物は、各種CNS疾患および障害に関連する診断のための、被験体体内、特に脳内のnAChRサブタイプの非侵襲的画像化用の薬剤として使用することができる。
【0095】
ある態様では、前記診断用組成物は、ヒト患者などの被験体において疾患を診断する方法に使用することができる。該方法は、本明細書中に記載した通りに検出可能な形で標識した化合物を患者に投与すること、および選択したニコチン性受容体サブタイプ(例えば、α7受容体サブタイプ)への該化合物の結合を検出することを含む。PETおよびSPECTなどの診断ツールを利用する分野の当業者であれば、本明細書中に記載した放射標識化合物を使用することによって中枢および自律神経系の機能障害に関連する症状および障害を含む多種多様な症状および障害を診断することができる。かかる障害としては、アルツハイマー病、パーキンソン病、および統合失調症を含む多種多様なCNSの疾患および障害が挙げられる。評価しうるこれらのおよび他の代表的な疾患および障害としては、Bencherifらの米国特許第5,952,339号(この文献の内容は、参照により本明細書中に含まれるものとする)に記載されているものが挙げられる。
【0096】
別の態様では、前記診断用組成物を、ヒト患者などの被験体の選択的nAChRサブタイプをモニターするための方法に使用することができる。該方法は、本明細書中に記載した通りに検出しうる形で標識した化合物を患者に投与すること、および選択したnAChRサブタイプ(例えば、α7受容体サブタイプ)への該化合物の結合を検出することを含む。
【実施例】
【0097】
本発明をさらに説明するために下記実施例を提供するが、該実施例は本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0098】
IV. 合成例
本発明を説明するために下記合成例を提供するが、該合成例は本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。これらの実施例中の全ての部およびパーセンテージは、特に断りのない限り重量基準である。反応収率はモル百分率で示す。
【0099】
本発明の化合物は3-ピリド-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカンの誘導体であり、その合成については以下に記載する:
2-((3-ピリジニル)メチレン)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン
水酸化カリウム(56 g、0.54モル)をメタノール(420 mL)に溶かした。3-キヌクリジノン塩酸塩(75 g、0.49モル)を加え、この混合物を周囲温度で30分間攪拌した。3-ピリジンカルボキシアルデヒド(58 g、0.54モル)を加え、この混合物を周囲温度で16時間攪拌した。反応混合物はこの期間中に黄色くなり、それと共に固体がフラスコの内壁にこびりついた。該固体を内壁から擦り取り、大きな塊を砕いた。急速に攪拌しながら水(390 mL)を加えた。固体が溶けてから、この混合物を一晩4℃で冷やした。結晶を濾過により収集し、水で洗浄してから風乾することにより、80 gの黄色固体を取得した。二次収穫物(second crop)(8 g)は、濾液をその元の容量の約10%まで濃縮してから一晩かけて4℃で冷やすことにより取得した。いずれの収穫物も、さらなる変換を行うには十分に純粋であった(88 g、82%)。
【0100】
2-(1-(3-ピリジニル)-2-ニトロエチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン
無水メタノール(45 mL)中の2-((3-ピリジニル)メチレン)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン(6.4 g、0.024 mol)をナトリウムメトキシド(in situで製造したもの、0.036 mol)に滴下した。次いでニトロメタン(3.7 mL、0.068 mol)を加え、この混合物を3時間加熱還流した。室温まで冷ましてから、1 N HClをゆっくりと加えてpHを8に調整した。該混合物を回転蒸発により濃縮したところ、褐色の固体残渣が生じた。該残渣を、溶離剤として酢酸エチル/ヘキサン(1:1、v/v)、続いてクロロホルム/メタノール/アンモニア(90:10:1、v/v)を使用してカラムクロマトグラフィーで精製することにより、黄色油(4.2 g、64%)を取得した。
【0101】
3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン
6-(1-(3-ピリジニル)-2-ニトロエチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン(14.0 g、0.046 mol)をエタノール(200 mL)に溶かし、次いでラネーニッケルを窒素下で加えた。この混合物を48時間水素化分解(40 psiのH2)に供し、次いでセライトを通して濾過してから、回転蒸発により濃縮して褐色の粗残渣とした。該残渣を、溶離剤としてクロロホルム/メタノール/アンモニア(80:20:1、v/v)を使用してカラムクロマトグラフィーで精製したところ、3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカンが黄色油(8.0 g、67%)として生じた。
【0102】
下記実施例により、3-(3-ピリジニル)-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカンの様々なアミド誘導体の合成について説明する。
【0103】
実施例1:3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカンのアミド誘導体
ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP、0.097 g、0.22 mmol)を、ジクロロメタン(1 mL)中のカルボン酸(0.22 mmol)およびトリエチルアミン(0.66 mmol)の溶液に加え、次いで3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン(0.046 g、0.20 mmol)を加えた。この混合物を室温で48時間攪拌し、次いで10%NaOH (0.2 mL)で処理した。この二相混合物を相濾過(phase filtration)により分離し、有機相をGenevac遠心エバポレーターで濃縮した。粗残渣をメタノール(1 mL)に溶かし、0.05%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル/水勾配を利用してC18シリカゲルカラム上のHPLCにより精製した。
【0104】
この手順で作製した化合物をトリフルオロ酢酸塩として単離し、LC/MSにより特性決定した。適当な分子イオンおよびフラグメンテーションパターン、ならびに90%以上の純度を示す化合物を、生物学的評価に供した。選択した化合物をNMR分光法により分析し、それらの構造帰属を確認した。表1に、いずれもα7 nAChRサブタイプに結合(Ki値<100 nM)する一部の代表的な化合物について算出した分子量およびLC/MSにより測定した分子量を列挙する。
【表1】

【0105】
下記実施例により、3-(3-ピリジニル)-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカンの様々な尿素誘導体の合成について説明する。
【0106】
実施例2:3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカンの尿素誘導体
3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.20<2,6>]ウンデカン(0.20 mmol)と適当なイソシアナート(0.22 mmol)との混合物を、周囲温度で48時間、無水ジクロロメタン(1 mL)中で攪拌した。次いで、この混合物を減圧濃縮し、残渣をメタノール(0.75 mL)に溶かしてから、0.05%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル/水勾配を利用してC18シリカゲルカラム上のHPLCにより精製した。
【0107】
この手順で作製した化合物をトリフルオロ酢酸塩として単離し、LC/MSにより特性決定した。適当な分子イオンおよびフラグメンテーションパターン、ならびに90%以上の純度を示す化合物を、生物学的評価に供した。選択した化合物をNMR分光法により分析し、それらの構造帰属を確認した。表2に、いずれもα7 nAChRサブタイプに結合(Ki値<100 nM)する一部の代表的な化合物について算出した分子量およびLC/MSにより測定した分子量を列挙する。
【表2】

【0108】
V. 生物学的アッセイ
実施例3:CNS nAChRにおける放射性リガンドの結合
α4β2 nAChRサブタイプ
体重150〜250 gのラット(雌、Sprague-Dawley)を12時間の明/暗サイクルで維持し、PMI Nutrition International, Incから調達した水および餌を自由に摂取させた。動物に 70%CO2で麻酔をかけてから、頭部を切断した。脳を取り出して氷冷プラットフォーム上に置いた。大脳皮質を取り出して20容量(重量:容量)の氷冷調製用緩衝液(137 mM NaCl、10.7 mM KCl、5.8 mM KH2PO4、8 mM Na2HPO4、20 mM HEPES (遊離酸)、5 mM ヨードアセトアミド、1.6 mM EDTA、pH 7.4)に入れ、メタノールに溶かして最終濃度を100μMとしたPMSFを加えてから、この懸濁液をポリトロンでホモジナイズした。ホモジネートを4℃で20分間18,000×gで遠心分離し、得られたペレットを20容量の氷水に再懸濁した。氷上で60分間インキュベートした後、新たなペレットを、4℃で20分間18,000×gで遠心分離することにより収集した。最終的なペレットを10容量の緩衝液に再懸濁し、-20℃で保存した。アッセイ当日に組織を解凍し、20分間18,000×gで遠心分離し、次いで氷冷PBS(ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、138 mM NaCl、2.67 mM KCl、1.47 mM KH2PO4、8.1 mM Na2HPO4、0.9 mM CaCl2、0.5 mM MgCl2、Invitrogen/Gibco、pH 7.4)に再懸濁して最終濃度を約4 mgのタンパク質/mLとした。タンパク質は、Lowryら、J. Biol. Chem. 193:265 (1951)の方法により、ウシ血清アルブミンを標準物質として使用して測定した。
【0109】
[3H]ニコチンの結合は、Romanoら、Science 210:647 (1980)およびMarksら、Mol. Pharmacol. 30:427 (1986)の方法の変法を利用して判定した。[3H]ニコチン(比放射能=81.5 Ci/mmol)はNEN Research Productsから取得した。[3H]ニコチンの結合は、4℃で3時間のインキュベーションを利用して判定した。インキュベーションは48ウェルのマイクロタイタープレートで行い、ウェル当たり約400μgのタンパク質を含有させて最終インキュベーション容量を300μLとした。インキュベーション緩衝液はPBSとし、[3H]ニコチンの最終濃度は5 nMとした。結合反応は、4℃でBrandel Tissue Harvesterを利用したガラス繊維フィルター(GF/B、Brandel)上への結合リガンドを含有するタンパク質の濾過により終結させた。フィルターを0.33%ポリエチレンイミンを含有する脱イオン水に浸すことにより、非特異的結合を減少させた。各フィルターを氷冷緩衝液で洗浄した(3×1 mL)。非特異的結合は、選択したウェルに10μMの非放射性L-ニコチン(Acros Organics)を含めることにより測定した。
【0110】
試験化合物による[3H]ニコチン結合の阻害は、選択したウェルに7種の異なる濃度の試験化合物を含めることにより測定した。各濃度について3回ずつ反復実験を行った。IC50値は、特異的[3H]ニコチン結合のうちの50パーセントを阻害する化合物の濃度として評価した。nMで示した阻害定数(Ki値)は、IC50値からChengら、Biochem. Pharmacol. 22:3099 (1973)の方法を利用して算出した。
【0111】
最初のスクリーニングでは、単一濃度の試験化合物を、以下の変更を加えた上記アッセイフォーマットで調べた。[3H]エピバチジンの結合を判定した。[3H]エピバチジン(比放射能=48 Ci/mmol)はNEN Research Productsから取得した。[3H]エピバチジンの結合は、21℃(室温)で2時間のインキュベーションを利用して判定した。インキュベーションは、ウェル当たり約200μgのタンパク質を含有する96ウェルのMillipore Multiscreen (MAFB)プレートで、最終インキュベーション容量を150μLとして行った。インキュベーション緩衝液はPBSとし、[3H]エピバチジンの最終濃度は0.3 nMとした。結合反応は、Multiscreenプレートのガラス繊維フィルターベース上への結合リガンドを含有するタンパク質の濾過により終結させた。フィルターを0.33%ポリエチレンイミンを含有する脱イオン水に浸すことにより、非特異的結合を減少させた。各フィルターを氷冷緩衝液で洗浄した(3×0.25 mL)。非特異的結合は、選択したウェルに10μMの非放射性L-ニコチン(Acros Organics)を含めることによって測定した。試験化合物の単一濃度は5μMとし、試験は3回ずつ実施した。「活性な(Active)」化合物は、受容体への[3H]エピバチジンの結合を、競合物質非存在下の[3H]エピバチジンの結合と比較して少なくとも50%阻害する化合物と定義した。一点スクリーニング(single point screen)において活性であることが見出された化合物について、それらの阻害定数(Ki値)を本項の前段落に記載した通りに測定した。
【0112】
α7 nAChRサブタイプ
体重150〜250 gのラット(雌、Sprague-Dawley)を12時間の明/暗サイクルで維持し、PMI Nutrition International, Incから調達した水および餌を自由に摂取させた。動物に 70%CO2で麻酔をかけてから、頭部を切断した。脳を取り出して氷冷プラットフォーム上に置いた。海馬を取り出し、10容量(重量:容量)の氷冷調製用緩衝液(137 mM NaCl、10.7 mM KCl、5.8 mM KH2PO4、8 mM Na2HPO4、20 mM HEPES(遊離酸)、5 mMヨードアセトアミド、1.6 mM EDTA、pH 7.4)に入れ、メタノールに溶かして最終濃度を100μMとしたPMSFを加えてから、この組織懸濁液をポリトロンでホモジナイズした。ホモジネートを4℃で20分間18,000×gで遠心分離し、得られたペレットを10容量の氷水に再懸濁した。氷上で60分間インキュベートした後、新たなペレットを、4℃で20分間18,000×gで遠心分離することにより収集した。最終的なペレットを10容量の緩衝液に再懸濁し、-20℃で保存した。アッセイ当日に組織を解凍し、20分間18,000×gで遠心分離し、次いで氷冷PBS(ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、138 mM NaCl、2.67 mM KCl、1.47 mM KH2PO4、8.1 mM Na2HPO4、0.9 mM CaCl2、0.5 mM MgCl2、Invitrogen/Gibco、pH 7.4)に再懸濁して最終濃度を約2 mgのタンパク質/mLとした。タンパク質は、Lowryら、J. Biol. Chem. 193:265 (1951)の方法により、ウシ血清アルブミンを標準物質として使用して測定した。
【0113】
[3H]MLAの結合は、Daviesら、Neuropharmacol. 38:679 (1999)の方法の変法を利用して判定した。[3H]MLA(比放射能=25〜35 Ci/mmol)はTocrisから取得した。[3H]MLA の結合は、21℃で2時間のインキュベーションを利用して測定した。インキュベーションは48ウェルのマイクロタイタープレートで行い、ウェル当たり約200μgのタンパク質を含有させて最終インキュベーション容量を300μLとした。インキュベーション緩衝液はPBSとし、[3H]MLAの最終濃度は5 nMとした。結合反応は、室温でBrandel Tissue Harvesterを利用したガラス繊維フィルター(GF/B、Brandel)上への結合リガンドを含有するタンパク質の濾過により終結させた。フィルターを0.33%ポリエチレンイミンを含有する脱イオン水に浸すことにより、非特異的結合を減少させた。各フィルターを、室温でPBSを用いて洗浄した(3×1 mL)。非特異的結合は、選択したウェルに50μMの非放射性MLAを含めることにより測定した。
【0114】
試験化合物による[3H]MLA結合の阻害は、選択したウェルに7種の異なる濃度の試験化合物を含めることにより測定した。各濃度について3回ずつ反復実験を行った。IC50値は、特異的[3H]MLA 結合のうちの50パーセントを阻害する化合物の濃度として推定した。nMで示した阻害定数(Ki値)は、IC50値からChengら、Biochem. Pharmacol. 22:3099 (1973)の方法を利用して算出した。
【0115】
最初のスクリーニングでは、単一濃度の試験化合物を、以下の変更を加えた上記アッセイフォーマットで調べた。インキュベーションは96ウェルのプレートで最終インキュベーション容量を150μLとして行った。ガラス繊維フィルター上への濾過により結合反応を終結させてから、該フィルターを室温で約250μLのPBSを用いて4回洗浄した。非特異的結合は、選択したウェルに10μMの非放射性MLAを含めることにより測定した。試験化合物の単一濃度は5μMとし、試験は3回ずつ実施した。「活性な」化合物は、受容体への[3H]MLAの結合を、競合物質非存在下の[3H]MLAの結合と比較して少なくとも50%阻害する化合物と定義した。一点スクリーニングにおいて活性であることが見出された化合物について、それらの阻害定数(Ki値)を本項の前段落に記載した通りに測定した。
【0116】
ドーパミン放出の測定
ドーパミンの放出は、ラット脳から取得した線条体シナプトソームを使用し、Rapierら、J. Neurochem. 54:937 (1990)に記載の手順に従って判定した。体重150〜250 gのラット(雌、Sprague-Dawley)を12時間の明/暗サイクルで維持し、PMI Nutrition International, Incから調達した水および餌を自由に摂取させた。動物に 70%CO2で麻酔をかけてから、頭部を切断した。脳を手早く取り出して線条体を解剖した。2匹のラットそれぞれから得た線条体組織をプールし、ガラス/ガラスホモジナイザーを利用して5 mM HEPESを含有する0.32 Mの氷冷スクロース(5 mL)(pH 7.4)でホモジナイズした。次いで、この組織を10分間1,000×gで遠心分離した。ペレットを捨て、上清を20分間12,000×gで遠心分離した。得られたペレットを、モノアミンオキシダーゼ阻害剤を含有する灌流用緩衝液 (128 mM NaCl、1.2 mM KH2PO4、2.4 mM KCl、3.2 mM CaCl2、1.2 mM MgSO4、25 mM HEPES、1 mMアスコルビン酸、0.02 mMパージリンHClおよび10 mMグルコース、pH 7.4)に再懸濁し、15分間25,000×gで遠心分離した。最終的なペレットをすぐに使用するために灌流用緩衝液(1.4 mL)に再懸濁した。
【0117】
シナプトソーム懸濁液を37℃で10分間インキュベートすることにより、代謝活性を回復させた。[3H]ドーパミン([3H]DA、比放射能=28.0 Ci/mmol、NEN Research Products)を最終濃度が0.1μMとなるように加え、この懸濁液をさらに37℃で10分間インキュベートした。組織のアリコート(50μL)および灌流用緩衝液(100μL)をBrandel Suprafusion System(2500シリーズ、Gaithersburg, MD)の表面灌流チャンバ(suprafusion chambers)に添加した。灌流用緩衝液(室温)を、8分の洗浄期間中3 mL/分の速度で該チャンバに送液した。次いで、試験化合物(10μM)またはニコチン(10μM)を灌流の流れに40秒間加えた。画分(各12秒)を実験の間中ずっと各チャンバから連続的に採取することにより、基礎放出およびアゴニスト誘発性ピーク放出を記録し、アゴニスト添加後のベースラインを再設定した。灌流液をシンチレーションバイアルに直接採取し、これにシンチレーション液を加えた。放出された[3H]DAを、シンチレーション計数により定量化した。各チャンバについて、ピーク面積積分値をそのベースラインに標準化した。
【0118】
放出は、等濃度のL-ニコチンを用いて得られる放出のパーセンテージで表した。各アッセイにおいて、各試験化合物について2〜3個のチャンバを使用して反復実験を行い、これらの反復実験の平均をとった。適当であれば、試験化合物の用量反応曲線を測定した。個々の化合物についての最大活性化(Emax)は、L-ニコチンにより誘発される最大活性化のパーセンテージとして測定した。また、特定イオン流束(specific ion flux)の半値活性化を与える化合物濃度(EC50)も定義した。
【0119】
実施例4:末梢nAChRに対する選択性
ヒト筋肉nAChRサブタイプにおける相互作用
筋肉型nAChRの活性化を、胎児性横紋筋肉腫に由来するヒトクローン系TE671/RD(Strattonら、Carcinogen 10:899 (1989))で確認した。これらの細胞は、筋肉型nAChRに似た薬理学的特性(Lukas, J. Pharmacol. Exp. Ther. 251:175 (1989))、電気生理学的特性(Oswaldら、Neurosci. Lett. 96:207 (1989))、および分子生物学的特性 (Lutherら、J. Neurosci. 9:1082 (1989))を有する受容体を発現する。
TE671/RD細胞は、通常のプロトコル(Bencherifら、Mol. Cell. Neurosci. 2:52 (1991)およびBencherifら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 257:946 (1991))に従って増殖成長期で維持した。細胞を、10%ウマ血清(Gibco/BRL)、5%ウシ胎仔血清(HyClone, Logan UT)、1mMピルビン酸ナトリウム、4 mM L-グルタミン、および50,000単位のペニシリン-ストレプトマイシン(Irvine Scientific)を含むダルベッコ改変イーグル培地(Gibco/BRL)で培養した。細胞が80%コンフルエントになったところで、それらを6ウェルのポリスチレンプレート(Costar)に蒔いた。該細胞が100%のコンフルエンシーに達したところで実験を行った。
【0120】
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)機能は、Lukasら、Anal. Biochem. 175:212 (1988)に記載の方法に従い、86Rb+流出を利用して分析した。実験当日に増殖培地をウェルからそっと取り除き、86ルビジウムクロライド(106μCi/mL)を含有する増殖培地を各ウェルに加えた。細胞を37℃で最低3時間インキュベートした。この添加期間後に過剰な86Rb+を取り除き、細胞に影響を及ぼさないように注意しながら該細胞を非標識ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(138 mM NaCl、2.67 mM KCl、1.47 mM KH2PO4、8.1 mM Na2HPO4、0.9 mM CaCl2、0.5 mM MgCl2、Invitrogen/Gibco、pH. 7.4)で2回洗浄した。次に、細胞を100μMの試験化合物、100μMのL-ニコチン(Acros Organics)または緩衝液のみのいずれかに4分間曝露した。この曝露期間の後、放出された86Rb+を含有する上清を取り出し、シンチレーションバイアルに移した。シンチレーション液を加え、放出された放射能を液体シンチレーション計数により測定した。
【0121】
各アッセイにおいて、各時点で2回反復実験を行い、それらの平均をとった。86Rb+放出量を陽性対照(100μMのL-ニコチン)と陰性対照(緩衝液のみ)の両方と比較することにより、L-ニコチンの86Rb+放出量に対する放出パーセントを測定した。
【0122】
適当であれば、試験化合物の用量反応曲線を測定した。個々の化合物についての最大活性化(Emax)は、L-ニコチンにより誘発される最大活性化のパーセンテージとして測定した。また、特定イオン流束の半値活性化を与える化合物濃度(EC50)も測定した。
【0123】
ラット神経節nAChRサブタイプにおける相互作用
ラット神経節nAChRの活性化を、ラット副腎髄質の腫瘍に由来する、神経堤起源の連続クローン細胞系である褐色細胞腫クローン系PC12で確認した。これらの細胞は、神経節様nAChRを発現する(Whitingら、Nature 327:515 (1987);Lukas, J. Pharmacol. Exp. Ther. 251:175 (1989);Whitingら、Mol. Brain Res. 10:61 (1990)を参照されたい)。
【0124】
ラットPC12細胞は、通常のプロトコル(Bencherifら、Mol. Cell. Neurosci. 2:52 (1991)およびBencherifら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 257:946 (1991))に従って増殖成長期で維持した。細胞を、10%ウマ血清(Gibco/BRL)、5%ウシ胎仔血清(HyClone, Logan UT)、1mMピルビン酸ナトリウム、4 mM L-グルタミン、および50,000単位のペニシリン-ストレプトマイシン(Irvine Scientific)を含むダルベッコ改変イーグル培地(Gibco/BRL)で培養した。細胞が80%コンフルエントになったところで、それらを6ウェルのNuncプレート(Nunclon)に蒔き、0.03%ポリ-L-リジン(Sigma、100mMのホウ酸に溶かしたもの)で表面を覆った。該細胞が80%のコンフルエンシーに達したところで実験を行った。
【0125】
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)機能は、Lukasら、Anal. Biochem. 175:212 (1988)に記載の方法に従い、86Rb+流出を利用して分析した。実験当日に増殖培地をウェルからそっと取り除き、86ルビジウムクロライド(106μCi/mL)を含有する増殖培地を各ウェルに加えた。細胞を37℃で最低3時間インキュベートした。この添加期間後に過剰な86Rb+を取り除き、細胞に影響を及ぼさないように注意しながら該細胞を非標識ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(138 mM NaCl、2.67 mM KCl、1.47 mM KH2PO4、8.1 mM Na2HPO4、0.9 mM CaCl2、0.5 mM MgCl2、Invitrogen/Gibco、pH. 7.4)で2回洗浄した。次に、細胞を100μMの試験化合物、100μMのニコチンまたは緩衝液のみのいずれかに4分間曝露した。この曝露期間の後、放出された86Rb+を含有する上清を取り出し、シンチレーションバイアルに移した。シンチレーション液を加え、放出された放射能を液体シンチレーション計数により測定した。
【0126】
各アッセイにおいて、各時点で2回反復実験を行い、それらの平均をとった。86Rb+放出量を陽性対照(100μMのニコチン)と陰性対照(緩衝液のみ)の両方と比較することにより、L-ニコチンの86Rb+放出量に対する放出パーセントを測定した。
【0127】
適当であれば、試験化合物の用量反応曲線を測定した。個々の化合物についての最大活性化(Emax)は、L-ニコチンにより誘発される最大活性化のパーセンテージとして測定した。また、特定イオン流束の半値活性化を与える化合物濃度(EC50)も測定した。
【0128】
ヒト神経節nAChRサブタイプにおける相互作用
細胞系SH-SY5Yは、もともとはヒト末梢神経芽細胞腫から取得した親細胞系SK-N-SHの連続サブクローニングにより得た連続系である。SH-SY5Y細胞は神経節様nAChR を発現する(Lukasら、Mol. Cell. Neurosci. 4:1 (1993))。
【0129】
ヒトSH-SY5Y細胞は、通常のプロトコル(Bencherifら、Mol. Cell. Neurosci. 2:52 (1991)およびBencherifら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 257:946 (1991))に従って増殖成長期で維持した。細胞を、10%ウマ血清(Gibco/BRL)、5%ウシ胎仔血清(HyClone, Logan UT)、1mMピルビン酸ナトリウム、4 mM L-グルタミン、および50,000単位のペニシリン-ストレプトマイシン(Irvine Scientific)を含むダルベッコ改変イーグル培地(Gibco/BRL)で培養した。細胞が80%コンフルエントになったところで、それらを6ウェルのポリスチレンプレート(Costar)に蒔いた。該細胞が100%のコンフルエンシーに達したところで実験を行った。
【0130】
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)機能は、Lukasら、Anal. Biochem. 175:212 (1988)に記載の方法に従い、86Rb+流出を利用して分析した。実験当日に増殖培地をウェルからそっと取り除き、86ルビジウムクロライド(106μCi/mL)を含有する増殖培地を各ウェルに加えた。細胞を37℃で最低3時間インキュベートした。この添加期間後に過剰な86Rb+を取り除き、細胞に影響を及ぼさないように注意しながら該細胞を非標識ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(138 mM NaCl、2.67 mM KCl、1.47 mM KH2PO4、8.1 mM Na2HPO4、0.9 mM CaCl2、0.5 mM MgCl2、Invitrogen/Gibco、pH. 7.4)で2回洗浄した。次に、細胞を100μMの試験化合物、100μMのニコチンまたは緩衝液のみのいずれかに4分間曝露した。この曝露期間の後、放出された86Rb+を含有する上清を取り出し、シンチレーションバイアルに移した。シンチレーション液を加え、放出された放射能を液体シンチレーション計数により測定した。
【0131】
各アッセイにおいて、各時点で2回反復実験を行い、それらの平均をとった。86Rb+放出量を陽性対照(100μMのニコチン)と陰性対照(緩衝液のみ)の両方と比較することにより、L-ニコチンの86Rb+放出量に対する放出パーセントを測定した。
【0132】
適当であれば、試験化合物の用量反応曲線を測定した。個々の化合物についての最大活性化(Emax)は、L-ニコチンにより誘発される最大活性化のパーセンテージとして測定した。また、特定イオン流束の半値活性化を与える化合物濃度(EC50)も測定した。
【0133】
実施例5:非ニコチン性受容体における結合の測定
ムスカリンM3サブタイプ
胎児性横紋筋肉腫に由来するヒトクローン系TE671/RD(Strattonら、Carcinogen 10:899 (1989))を使用して、ムスカリンM3受容体サブタイプへの結合を定義した。薬理学的研究(Bencherifら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 257:946 (1991)およびLukas, J. Pharmacol. Exp. Ther. 251:175 (1989))、電気生理学的研究(Oswaldら、Neurosci. Lett. 96:207 (1989))、ならびに分子生物学的研究(Lutherら、J. Neurosci. 9:1082 (1989))を通じて証明されているように、これらの細胞は筋肉様ニコチン性受容体を発現する。
【0134】
TE671/RD細胞は、通常のプロトコル(Bencherifら、Mol. Cell. Neurosci. 2:52 (1991)およびBencherifら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 257:946 (1991))に従って増殖成長期で維持した。それらを20〜150 mmの組織培養処理プレート上でコンフルエンシーに達するまで増殖させた。次いで、培地を取り除き、80 mLのPBS (ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、138 mM NaCl、2.67 mM KCl、1.47 mM KH2PO4、8.1 mM Na2HPO4、0.9 mM CaCl2、0.5 mM MgCl2、Invitrogen/Gibco、pH 7.4)を使用して細胞を擦り取ってから、10分間1000 rpmで遠心分離した。次いで、上清を吸引除去し、ペレットを使用するまで-20℃で保存した。
【0135】
アッセイ当日に前記ペレットを解凍し、PBSを用いて再懸濁し、20分間18,000×gで遠心分離し、次いでPBSに再懸濁して最終濃度を約4 mgのタンパク質/mLとしてから、ポリトロンでホモジナイズした。タンパク質は、Lowryら、J. Biol. Chem. 193:265 (1951)の方法により、ウシ血清アルブミンを標準物質として使用して測定した。
【0136】
[3H]QNBの結合は、Bencherifら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 257:946 (1991)の方法の変法を利用して判定した。[3H]QNB(比放射能=30〜60 Ci/mmol)はNEN Research Productsから取得した。[3H]QNBの結合は、4℃で3時間のインキュベーションを利用して判定した。インキュベーションは48ウェルのマイクロタイタープレートで行い、ウェル当たり約400μgのタンパク質を含有させて最終インキュベーション容量を300μLとした。インキュベーション緩衝液はPBSとし、[3H]QNBの最終濃度は1 nMとした。結合反応は、4℃でBrandel Tissue Harvesterを利用したガラス繊維フィルター(GF/B、Brandel)上への結合リガンドを含有するタンパク質の濾過により終結させた。フィルターを0.33%ポリエチレンイミンを含有する脱イオン水に予め浸しておくことにより、非特異的結合を減少させた。各フィルターを氷冷緩衝液で洗浄した(3×1 mL)。非特異的結合は、選択したウェルに10μMの非放射性アトロピンを含めることにより測定した。
【0137】
試験化合物による[3H]QNB結合の阻害は、選択したウェルに7種の異なる濃度の試験化合物を含めることにより測定した。各濃度について3回ずつ反復実験を行った。IC50値は、特異的[3H]QNB結合のうちの50パーセントを阻害する化合物の濃度として推定した。nMで示した阻害定数(Ki値)は、IC50値からChengら、Biochem. Pharmacol. 22:3099 (1973)の方法を利用して算出した。
【0138】
実施例6:
α7 nAChRサブタイプにおける活性の測定
選択的α7アゴニストは、市販のハイスループットアッセイ(Molecular Devices Corporation, Sunnyvale, California)であるFLIPRでの機能アッセイを利用して見出すことができる(例えば、PCT WO 00/73431 A2(この文献の内容は参照により本明細書中に含まれるものとする)を参照されたい)。FLIPRは、96または384ウェルプレートの各ウェルからの蛍光シグナルを1秒に2回の速さで最長30分間読み取るよう設計されている。このアッセイを利用することにより、α7 nAChRおよび5HT3Rサブタイプの機能薬理を正確に測定することができる。薬物標的としてα7/5-HT3チャンネルを利用する機能形態(functional forms)のα7 nAChRサブタイプを発現する細胞系、および/または機能的5-HT3を発現する細胞系を使用してアッセイを行う。いずれの場合も、リガンド依存性イオンチャンネルはSH-EP1細胞で発現される。いずれのイオンチャンネルも、FLIPRアッセイにおいてロバストなシグナル(robust signal)を発しうる。FLIPRアッセイを利用すれば、本明細書中に記載した化合物を、α7 nAChRサブタイプにおいてアゴニスト、部分アゴニストまたはアンタゴニストとして機能するそれらの能力について評価することができる。
【0139】
実施例7:
生物活性の要約
本発明の化合物はα7サブタイプにおいてnM〜□M範囲のKi値を呈し、このことは、それらがα7 nAChRサブタイプに対して非常に高い親和性を有することを示している。ハイスループットスクリーニングにより、該化合物はどれも有意な親和性でα4β2 nAChRサブタイプに結合することはない(Ki値>10μM)ということが示された。
【0140】
本発明の化合物は、筋肉型受容体(ヒトTE671/RDクローン細胞のα1β1γδサブタイプ)、または神経節型受容体(ラット褐色細胞腫PC12細胞のShooterサブクローンおよびヒトSHSY-5Yクローン細胞のα3β4サブタイプ)を有する機能モデルでは殆どまたは全くアゴニスト活性を呈さず、これらのサブタイプにおけるニコチンの反応のたった1〜12%(ヒト筋肉)、1〜19%(ラット神経節)ならびに1〜15%(ヒト神経節)の反応しか生じなかった。これらのデータは、PNS nAChRよりもCNS nAChRに対する選択性が高いことを示している。類似化合物がムスカリン活性を呈することが他の研究者によって記載されている(例えば、Sabbの米国特許第5,712,270号ならびにPCT WO 02/00652およびWO 02/051841を参照されたい)ので、代表的な化合物(#1、2、4、9および11)を、ヒトクローン系TE671/RDのムスカリン部位において[3H]QNB結合を阻害するそれらの能力について評価した。該化合物はどれも[3H]QNB結合を阻害することができず、このことは、これらの化合物がヒトM3受容体には結合しないことを示している。従って、本発明の化合物と参照化合物(例えば、Sabbの米国特許第5,712,270号ならびにPCT WO 02/00652およびWO 02/051841)とは、それらの構造中の1-アザ二環の2位に3-ピリジニルメチル置換基が含まれているために、それらのin vitro薬理の点で区別される。
【0141】
データから、本発明の化合物はα7 nAChRサブタイプに選択的に結合する強力なα7ニコチンリガンドであることが分かる。これに対して、本発明の化合物は、末梢神経系に特有のnAChRのサブタイプまたはM3ムスカリン受容体にはあまり結合しない。従って、本発明の化合物は、末梢神経系との相互作用に伴う副作用を引き起こすことなく中枢神経系障害を治療する治療能力を備えている。α7 nAChRサブタイプに対するこれらのリガンドの親和性は、多種多様なアリール(式1中のAr)基およびその上の置換基による影響を受けない。さらに、その合成は直接的かつ効率的であるため、大規模並列処理プロトコルに適している。
【0142】
本発明の主題を開示してきたが、本発明を踏まえて本発明に多くの改変、代用および変更を行いうることは明らかである。具体的に記載した方法以外の方法で本発明を実施しうることは理解されよう。かかる改変、代用および変更は本願の範囲に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

〔式中、
Yは酸素または硫黄であり、
ZはNR'または共有結合であり、
Aは存在しないかまたは基-CR'R''-、-CR'R''-CR'R''-、-CR'=CR'-、および-C2-から選択されるリンカー種であって、ここでR'およびR''は後に定義する通りであり、
Arは、炭素環式または複素環式の、単環式または縮合多環式の、無置換であるかまたは置換されているアリール基であり、そして
Cyは、無置換であるかまたは置換されている5または6員の芳香族複素環であって、ここでアザ環とアザ二環との結合は、該結合部における様々な相対的および絶対的立体化学配置(例えば、シスまたはトランス、RまたはS)のいずれかによって特徴付けることが可能であり、
ここで、Ar、Cy、および1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン環上の様々な位置はそれぞれ、無置換であっても、またはアルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ハロ(例えば、F、Cl、Br、もしくはI)、-OR'、-NR'R''、-CF3、-CN、-NO2、-C2R'、-SR'、-N3、-C(=O)NR'R''、-NR'C(=O)-R''、-C(=O)R'、-C(=O)OR'、-OC(=O)R'、-O(CR'R'')rC(=O)R'、-O(CR'R'')rNR''C(=O)R'、-O(CR'R'')rNR''SO2R'、-OC(=O)NR'R''、-NR'C(=O)O-R''、-SO2R'、-SO2NR'R''、および-NR'SO2R''からなる群より選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、R'およびR''はそれぞれ水素、アルキルC1-C8アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、もしくはアリールアルキルであって、かつrは1〜6の整数であるか、またはR'とR''は結合することにより環式官能基を形成している〕
の構造を持つ化合物、その放射標識体、ならびにその製薬上許容しうる塩。
【請求項2】
Cyが3-ピリジニルまたは5-ピリミジニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
YがOであり、かつZがNR'である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
YがOであり、かつZが共有結合である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
以下:
5-ベンゾイル-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-フルオロベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-フルオロベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-フルオロベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-クロロベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-クロロベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-クロロベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-ブロモベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-ブロモベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-ブロモベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-ヨードベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-ヨードベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-ヨードベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-メチルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-メチルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-メチルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-メトキシベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-メトキシベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-メトキシベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-メチルチオベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-メチルチオベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-メチルチオベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-フェニルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-フェニルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-フェニルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-フェノキシベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-フェノキシベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-フェノキシベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-フェニルチオベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-フェニルチオベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-フェニルチオベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-シアノベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-シアノベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-シアノベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-トリフルオロメチルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-トリフルオロメチルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-トリフルオロメチルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-ジメチルアミノベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-ジメチルアミノベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-ジメチルアミノベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-エチニルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3-エチニルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(4-エチニルベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3,4-ジクロロベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2,4-ジメトキシベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(3,4,5-トリメトキシベンゾイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(ナフト-1-イルカルボニル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(ナフト-2-イルカルボニル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(チエン-2-イルカルボニル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(チエン-3-イルカルボニル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(フラン-2-イルカルボニル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(ベンゾチエン-2-イルカルボニル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(ベンゾフラン-2-イルカルボニル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(7-メトキシベンゾフラン-2-イルカルボニル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、および
5-(1H-インドール-3-イルカルボニル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン
からなる群より選択される化合物。
【請求項6】
以下:
5-(フェニルアセチル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(ジフェニルアセチル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(2-フェニルプロパノイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、および
5-(3-フェニルプロパ-2-エノイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン
からなる群より選択される化合物。
【請求項7】
以下:
5-N-フェニルカルバモイル-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-フルオロフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-フルオロフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-フルオロフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-クロロフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-クロロフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-クロロフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-ブロモフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-ブロモフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-ブロモフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-ヨードフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-ヨードフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-ヨードフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-メチルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-メチルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-メチルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-メトキシフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-メトキシフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-メトキシフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-メチルチオフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-メチルチオフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-メチルチオフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-フェニルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-フェニルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-フェニルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-フェノキシフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-フェノキシフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-フェノキシフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-フェニルチオフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-フェニルチオフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-フェニルチオフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-シアノフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-シアノフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-シアノフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-トリフルオロメチルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-トリフルオロメチルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-トリフルオロメチルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-ジメチルアミノフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-ジメチルアミノフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-ジメチルアミノフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2-エチニルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3-エチニルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-エチニルフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3,4-ジクロロフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(2,4-ジメトキシフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(3,4,5-トリメトキシフェニル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(1-ナフチル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、および
5-(N-(2-ナフチル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン
からなる群より選択される化合物。
【請求項8】
以下:
5-(N-ベンジルカルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-ブロモベンジル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(4-メトキシベンジル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、
5-(N-(1-フェニルエチル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン、および
5-(N-(ジフェニルメチル)カルバモイル)-3-ピリジン-3-イル-1,5-ジアザトリシクロ[5.2.2.0<2,6>]ウンデカン
からなる群より選択される化合物。
【請求項9】
Aが存在しない、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
医薬担体および請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項11】
中枢神経系障害を治療する方法であって、正常な神経伝達物質放出における変化を特徴とする障害を有する被験体に有効量の請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物を投与することを含む上記方法。
【請求項12】
前記中枢神経系障害が、コリン、ドーパミン、ノルエピネフリンおよび/またはセロトニンの欠乏に関連するものである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記中枢神経系障害が、初老期認知症(早発性アルツハイマー病)、老年認知症(アルツハイマー型認知症)、微小梗塞性認知症、AIDS関連認知症、クロイツフェルトヤコブ病、ピック病、パーキンソン病を含むパーキンソニズム、レヴィ小体型認知症、進行性核上性麻痺、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジア、運動亢進症、躁病、注意欠陥障害、不安神経症、失読症、統合失調症、鬱病、強迫神経症およびトゥレット症候群からなる群より選択される、請求項11記載の方法。
【請求項14】
疼痛を治療し、組織損傷を防ぎ、神経保護を提供し、炎症を制御し、および/または血管新生を制御するための方法であって、その治療を必要とする患者に有効量の請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物を投与することを含む上記方法。
【請求項15】
前記疼痛が、神経因性疼痛、神経性疼痛、慢性疼痛および炎症性疼痛からなる群より選択される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記疼痛が神経性疼痛である、請求項14記載の方法。
【請求項17】
細菌感染症に関連する炎症反応を治療するための方法であって、細菌感染症に関連する炎症反応に苦しむ患者にTNF産生を抑制するのに有効な量の請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物を投与することを含む上記方法。
【請求項18】
前記細菌感染症が敗血症性の感染症である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
抗生物質および/または抗毒素の同時投与をさらに含む、請求項17記載の方法。
【請求項20】
腫瘍増殖に関連する血管新生を抑制するための方法であって、腫瘍増殖に苦しむ患者に新血管形成を抑制するのに有効な量の請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物を投与することを含む上記方法。
【請求項21】
抗新生物薬および/またはVEGF阻害剤の同時投与をさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記化合物を、増殖中の腫瘍または増殖中の腫瘍の周囲の毛細血管床に局所投与する、請求項20記載の方法。
【請求項23】
以下(a)〜(c):
(a) 請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物、
(b) 抗新生物薬および/またはVEGF阻害剤、ならびに
(c) 製薬上許容しうる担体
を含む医薬組成物。
【請求項24】
α7媒介性サイトカイン放出を抑制するための方法であって、媒介性サイトカイン放出を必要とする患者に請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物を投与することを含む上記方法。
【請求項25】
前記化合物が放射標識されている、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物または組成物。
【請求項26】
前記化合物が11C、18F、76Br、123Iまたは125Iを含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物または組成物。
【請求項27】
中枢神経系障害を診断するための試薬、または患者の選択的ニコチン性受容体サブタイプをモニターするための試薬の製造における、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物または組成物の使用。
【請求項28】
医薬に使用するための、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物。

【公表番号】特表2009−506037(P2009−506037A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528050(P2008−528050)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/032685
【国際公開番号】WO2007/024814
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(501054735)ターガセプト,インコーポレイテッド (37)
【Fターム(参考)】