説明

ヘミフマル酸アリスキレンの結晶形

本発明は、ヘミフマル酸アリスキレンの結晶形およびそれに関連する種々の実施形態、例えば医薬製剤、該結晶形の製造方法、医薬使用などに関する。これらの結晶形は特に有利な特性を有し、例えば、血圧降下医薬製剤などの製造に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘミフマル酸アリスキレンの新規な結晶(溶媒和物を含む)形、およびそれらを含む医薬製剤およびそれらの製造方法、ならびに種々の疾患および障害の処置における該結晶形または製剤の使用および以下に詳細に示す関連の発明実施形態に関する。
【背景技術】
【0002】
レニンアンギオテンシン系(RAS)は血圧(BP)の調節および容量の恒常性に重要な役割を果たす。レニンは、循環量および血圧の低下に応答して腎臓により分泌され、基質アンギオテンシノーゲンを開裂して、不活性なデカペプチドアンギオテンシンI(Ang I)を形成する。Ang Iは、肺、腎臓およびその他の臓器でアンギオテンシン変換酵素(ACE)によって変換され、活性のあるオクタペプチドAng IIを形成する。Ang IIは細胞受容体と相互作用し、血管収縮、ならびに副腎髄質および接合部前神経終末からのカテコールアミンの遊離を誘発する。これはまたアルドステロンの分泌およびナトリウムの再吸収も促進する。さらに、Ang IIはレニンの遊離を阻害し、従ってこの系への負のフィードバックを提供する。Ang IIは種々のレベル(例えば、血管系、交感神経系、副腎の皮質および髄質)で作用し、血管抵抗およびBPを高める。
【0003】
RASは種々のレベルで遮断され得る。アンギオテンシンII受容体遮断薬は、Ang IIとAT受容体の間の相互作用を阻害することによってRASに作用する。ACE阻害剤はAng IからAng IIへの変換を遮断し、ブラジキニンを増強する。レニン阻害剤はACE阻害剤よりもカスケードの上流点でRASを遮断し、RASの成分に対して異なる作用を有する。レニン阻害剤を投与した後、Ang IおよびAng IIの双方の形成が遮断され、それにより、ACEおよび非ACE経路によるアンギオテンシンペプチドの形成が妨げられる。RASに対するこれらの作用は、高血圧症および心血管疾患におけるレニン阻害の研究に薬理学的根拠を与え、アリスキレン(SPP100、SPP100AまたはSPP100B)はヒトレニンの強力かつ選択的な阻害剤である:SPP100A(塩酸塩)では、ヒトレニンの強力なin vitro阻害が実証されている(IC50=0.6nM)。
【0004】
in vivoにおいては、重度のナトリウム欠乏マーモセットサルを用いたいくつかの研究で、経口または静脈内投与されたSPP100は双方とも、血漿レニン活性の完全な阻害を生じ、平均動脈血圧の低下を持続し、活性型レニンおよび総レニンの血漿濃度を有意に上昇させた。
【0005】
4週間の自由行動下血圧測定に対するアリスキレンおよびロサルタンの作用の用量範囲試験が軽度から中度の高血圧症患者で行われた。用量に依存した血圧低下は、アリスキレン75mg〜300mgの用量範囲で見られた。
【0006】
NYHAクラスII〜IVの心不全およびLVEF<35%を有する患者において、安全性、許容度、BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)およびRAAS(レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系)ホルモンに対するアリスキレンとラミプリルの作用を比較する非盲検無作為化パイロット試験が行われた。どの群でもホルモンパラメーターに対する悪影響は見られなかった。アリスキレンおよびラミプリルの両群で、アンギオテンシンIIレベルの低下に向かう傾向が見られた。PRAはアリスキレン群では阻害され、ラミプリル群では増強され、PRAに対するレニン阻害とおよびACE阻害の異なる作用を保持していた。
【0007】
レニン阻害剤アリスキレン(INN名)は、化学的には、式:
【化1】

の2(S),4(S),5(S),7(S)−N−(3−アミノ−2,2−ジメチル−3−オキソプロピル)−2,7−ジ(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−アミノ−8−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)フェニル]−オクタンアミドである。
【0008】
この化合物およびその製造はEP678503Aに具体的に開示されている。
【0009】
有効成分アリスキレンはEP678503Aに具体的に示されている遊離塩基であり、5位に1つの塩基基、すなわちアミノ基を有する。この基のpKaは9.79であり、従って、酸と塩を形成することができる。
【0010】
EP678503Aは、アリスキレンの具体的な塩として塩酸塩(実施例137)とヘミフマル酸塩(実施例83)を開示している。結晶性形態は見られない。
【0011】
錠剤またはカプセル剤としてのアリスキレンなどの医薬剤の経口投与は、静脈または筋肉内などの非経口投与に優るある種の利点を有する。痛みを伴う注射製剤による処置を必要とする疾患は、経口投与形で処置可能な状態よりも重篤であると考えられる。しかしながら、経口製剤を用いる場合の主な利点はそれらの自己投与適性であり、一方、非経口製剤はほとんどの場合、医師または医療補佐によって投与されなければならない。
【0012】
ヘミフマル酸アリスキレンは製剤が困難である。一般に、ヘミフマル酸アリスキレンを含む生薬製剤では、通常、錠剤の製剤を困難とする特性を有する薬剤物質(DS)を高量必要とする。
【0013】
薬剤物質の品質は、錠剤の加工性、例えば、粒径分布、嵩密度、流動性、濡れ挙動、表面積および粘着経口に対して影響を及ぼして極めて変わりやすい。これまでに知られているヘミフマル酸アリスキレンは基本的に非晶質である。さらに、アリスキレンは吸湿性が高い。これらの障害の組合せから、標準的な錠剤製造工程は極めて困難となる。
【0014】
この低い結晶性、吸湿性および比較的低い安定性から、特に水分の存在下では、特に最終生成物を単離する際により複雑な製造工程となる。特に、濾過および乾燥などの工程は、上述したヘミフマル酸アリスキレンの望ましくない特性の結果、極めて長くなり得る。また、ヘミフマル酸アリスキレンは造粒工程にも敏感である。
【0015】
よって、アリスキレンが成してきた極めて大きな寄与にもかかわらず、報告されている望ましくない特性が加工経済学の点から障害となっている。
【0016】
よって、化学製造工程の最終段階の後の乾燥、濾過または造粒工程における、また、医薬製剤の調製に段階における取扱いが遙かに容易な、より安定な形態のアリスキレンの必要性がある。塩形成によって変形を見出そうとする無益な試みが多く行われてきたが、これらの形態は理想的にはできる限り結晶であるとともに、物理的かつ化学的に安定なものである。
【発明の概要】
【0017】
発明の概説および詳説
今般、驚くことに、以下に具体的に示される、むしろ特殊な条件下で得ることができるヘミフマル酸アリスキレンの新規な結晶形を見出すことができた。これらの結晶形は所望の改良された特性を示す。
【0018】
これらの結晶性材料の利点としては、これらの材料が、結晶性形態で利用できるために高い純度の生成物を見込め、材料の取扱いがより容易となり、バルク材料のより高い安定性かつ、従って、例えば、より容易かつ長期の保存が見込め、かつ、便宜な乾燥性、より良い流動性、結晶性という点でより高い純度、特性のより良い定義などのその他の利点を示すことが挙げられる。
【0019】
よって、本発明は、ヘミフマル酸アリスキレンの新規な結晶形、それらの製造方法、医薬分野でのそれらの使用、ならびにこれらの結晶形および/またはその医薬製剤の製造中に得られた種々の形態のヘミフマル酸アリスキレンの1以上を含む医薬製剤、ならびにそれらの製造方法および本明細書で述べられる関連またはその他の実施形態に関する。
【0020】

これらの図面(これらも本発明の特定の実施形態の開示の一部である)は次のことを示す(括弧内のパラメーターは実施例1の前の表のものに加えて示す)。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】変形AのX線粉末回折図(Scintag装置にてCu Kα放射源;ステップ0.020°;Cnt. time 2.400秒;レンジ2.00〜40.00(°);一定走査速度0.50°/分を用いて測定したX線粉末データ)
【図2】変形BのX線粉末回折図(Scintag装置にてCu Kα放射源;ステップ0.020°;Cnt. time 2.400秒;レンジ2.00〜40.00(°);一定走査速度0.50°/分を用いて測定したX線粉末データ)
【図3】非晶質ヘミフマル酸アリスキレンのX線粉末回折図(Scintag装置にてCu Kα放射源;ステップ0.020°;Cnt. time 1.200秒;レンジ2.00〜40.00(°);一定走査速度1.00°/分を用いて測定したX線粉末データ)
【図4】溶媒和物形SのX線粉末回折図(STOE Stadi P Combi装置にてCu Kα放射源;スリット カプトンホイル間4mm/2mm、透過;単色:屈曲ゲルマニウム(111);放射1.54060 Cu;ジェネレーター:50kV、30mA;デテクター:Linear PSD/Moving/Fixed Omega;レンジ1:2θ(初め、終わり、ステップ)=2.000、39.980、0.020;325.0秒/ステップ;Imax=1884を用いて測定したX線粉末データ)
【図5】媒和物形SのX線粉末回折図(STOE Stadi P Combi装置にてCu Kα放射源;スリット カプトンホイル間4mm/2mm、透過;単色:屈曲ゲルマニウム(111);放射1.54060 Cu;ジェネレーター:50kV、30mA;デテクター:Linear PSD/Moving/Fixed Omega;レンジ1:2θ(初め、終わり、ステップ)=2.000、39.980、0.020;260.0秒/ステップ;Imax=1728を用いて測定したX線粉末データ)
【0022】
【図6】タイプIII(25℃にてジオキサン中で平衡化した形態A)のX線粉末回折図(STOE Stadi P Combi装置にてCu Kα放射源;スリット カプトンホイル間4mm/2mm、透過;単色:屈曲ゲルマニウム(111);放射1.54060 Cu;ジェネレーター:50kV、30mA;デテクター:Linear PSD/Moving/Fixed Omega;レンジ1:2θ(初め、終わり、ステップ)=2.000、39.980、0.020;390.00秒/ステップ、Imax=3259;サンプルポジション90.000、45.000)を用いて測定したX線粉末データ)
【図7】タイプIV(25℃にてアセトニトリル雰囲気下で維持した非晶質)のX線粉末回折図(STOE Stadi P Combi装置にてCu Kα放射源;スリット アセテートホイルおよそ15mg間4mm/コイル2mm、透過;単色:屈曲ゲルマニウム(111);放射1.54060 Cu;ジェネレーター:50kV、30mA;デテクター:Linear PSD/Moving/Fixed Omega;レンジ1:2θ(初め、終わり、ステップ)=2.000、39.980、0.020;260.0秒/ステップ、Imax=808を用いて測定したX線粉末データ)
【図8】タイプVI(25℃にてエタノールALI(テクニカルグレードのエタノール)下で維持した形態A)のX線粉末回折図(STOE Stadi P Combi装置にてCu Kα放射源;スリット アセテートホイルおよそ15mg間4mm/コイル2mm、透過;単色:屈曲ゲルマニウム(111);放射1.54060 Cu;ジェネレーター:50kV、30mA;デテクター:Linear PSD/Moving/Fixed Omega;レンジ1:2θ(初め、終わり、ステップ)=2.000、39.980、0.020;260.0秒/ステップ、Imax=1327を用いて測定したX線粉末データ)
【図9】タイプI(25℃にて酢酸エチル雰囲気下で維持した非晶質)のX線粉末回折図(STOE Stadi P Combi装置にてCu Kα放射源;スリット アセテートホイルおよそ15mg間4mm/コイル2mm、透過;単色:屈曲ゲルマニウム(111);放射1.54060 Cu;ジェネレーター:50kV、30mA;デテクター:Linear PSD/Moving/Fixed Omega;レンジ1:2θ(初め、終わり、ステップ)=2.000、39.980、0.020;260.0秒/ステップ、Imax=1381を用いて測定したX線粉末データ)
【図10】タイプII(25℃にてtert−ブチルメチルエーテル中で平衡化した形態A)のX線粉末回折図(STOE Stadi P Combi装置にてCu Kα放射源;コイル2mmスリット、サンプルポジション10.000、45.000、透過;単色:屈曲ゲルマニウム(111);放射1.54060 Cu;ジェネレーター:50kV、30mA;デテクター:Linear PSD/Moving/Fixed Omega;レンジ1:2θ(初め、終わり、ステップ)=2.000、39.980、0.020;390.0秒/ステップ、Imax=4043を用いて測定したX線粉末データ)
【0023】
【図11】タイプV(25℃にてn−ブタノール雰囲気下で維持した非晶質)のX線粉末回折図(STOE Stadi P Combi装置にてCu Kα放射源;スリット アセテートホイルおよそ15mg間4mm/コイル2mm、透過;単色:屈曲ゲルマニウム(111);放射1.54060 Cu;ジェネレーター:50kV、30mA;デテクター:Linear PSD/Moving/Fixed Omega;レンジ1:2θ(初め、終わり、ステップ)=2.000、39.980、0.020;260.0秒/ステップ、Imax=2433を用いて測定したX線粉末データ)
【図12】ヘミフマル酸アリスキレンの異なる結晶性形態および非晶質形態の変換スキーム(vap=蒸気;toluol=トルエン;DMAc=酢酸ジメチル;TBME=tert−ブチルメチルエーテル;Hept=ヘプタン)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以上および以下で用いる一般用語は、特に断りのない限り、好ましくは本開示内で次の意味を有する(ここでは、好ましい実施形態は、1以上〜全ての一般表現または記号を本明細書で与えられるより具体的な、またはより好ましい定義に置き換えることによって定義することができる)。
【0025】
化合物、塩、結晶形、医薬組成物および疾患などに関して複数形が用いられる場合には、単一の化合物、塩、結晶形、医薬組成物または疾患も意味するものとする。
【0026】
「結晶形」(または変形、または溶媒が存在する場合には溶媒和物もしくは溶媒和物形)とは、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、いっそうより好ましくは少なくとも40%、特に50%(それぞれ重量に対し、存在する総ヘミフマル酸アリスキレン(=100%)に関する)以上のDS特定の結晶形(特に、その他の形態および/または好ましくは非晶質材料以外に)を含むヘミフマル酸アリスキレン(aliskeren hemifumarate)(薬剤物質=DS)の一形態を指す。特定の結晶形のうち、下記でより詳細に記載される変形B、および特に変形Aが特に好ましい。さらに、この表現はまた、溶媒和物形、特に、形態S(本明細書では形態Eとも呼ばれる)およびSならびにS(イソプロパノールを含む)およびS(エタノールを含む)、タイプI(酢酸エチルを含む)、タイプII(tert−ブチルメチルエーテルを含む)、タイプIII(ジオキサンまたはテトラヒドロフランを含む)(タイプDに相当する)、タイプIV(アセトニトリルを含む)、タイプV(ペンタノール、n−ブタノール、2−プロパノール、1−ヘキサノールまたはエタノールを含む)およびタイプVI(エタノールまたはメタノールを含む)(示されているだけのパーセンテージで)にも関する。特にそれらのX線回折図については、タイプI、IIおよびVは変形Aに関するものであり、タイプIII、IVおよびVIは変形Bに関するものであることを注記しておく。
【0027】
溶媒和物には水和物を含み、具体的に示されている溶媒和物が好ましい。
本発明の好ましい種々の結晶形の関係の全体像は、図12に示されている変換スキームで表される。
【0028】
特に、製造に用いるバルク材料は本発明の結晶形を含み、さらにまた、以上および以下で好ましいことが示される、結晶形の薬剤物質を、特に他の(特に、非晶質)形態の薬剤物質に関するそのパーセンテージの結晶形で含む医薬製剤も本発明の好ましい実施形態である。
【0029】
製造中、特に、以下に記載されるような湿式造粒中に結晶形の少なくとも一部が失われる場合がある(その結果、例えば、ヘミフマル酸アリスキレンの一部が非晶質材料および/または溶媒和物として存在することになる)。それでもなお、このバルク材料のより容易な取扱い、より良い保存安定性などは、このような結晶化の低下が起こった場合でも医薬製剤の製造に有利である。よって、このような形態の薬剤物質からの医薬製剤の製造も本発明の好ましい実施形態である。
【0030】
本発明の以下の好ましい結晶形に関してX線データが記載されるとき、それらは好ましくは対応する図面の凡例に記載されている条件下で得られるものである。
【0031】
本発明は特に、2θ+/−0.3°:6.0、7.3、8.6、9.2および9.9、より好ましくは6.0、7.3、8.6、9.2、9.9、15.0、17.2および17.9、いっそうより好ましくは6.0、7.3、8.6、9.2、9.9、15.0、17.2、17.9、19.2、19.7、20.1におけるピークとして得られるX線回折図(図1の記載に示されている条件下)、特に、図1に示されているものに相当するX線回折図を有する、変形Aと呼ばれる結晶形に基づく(すなわち、主要な非晶質材料および可能性のある他の結晶性形態以外に少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、いっそうより好ましくは少なくとも40%、極めて好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも60%(それぞれ重量に対する)(例えば、各場合において90%まで、より好ましくは95%まで)を含む)ヘミフマル酸アリスキレンの結晶形に関する。
【0032】
別の実施形態では、本発明は、2θ+/−0.3°:3.8、6.5、7.7、8.0、より好ましくは3.8、6.5、7.7、8.0、15.6および17.4、いっそうより好ましくは3.8、6.5、7.7、8.0、13.8、14.5、15.6、17.4におけるピークとして得られるX線回折図(図2の記載に示されている条件下)、特に、図2に示されているものに相当するX線回折図を有する、変形Bと呼ばれる結晶形に基づく(すなわち、主要な非晶質材料および可能性のある他の結晶性形態以外に少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、いっそうより好ましくは少なくとも40%、極めて好ましくは少なくとも50%、高度に好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%(それぞれ重量に対する)を含む)ヘミフマル酸アリスキレンの結晶形に関する。
【0033】
別の実施形態では、本発明は、2θ+/−0.3°におけるピーク:ピーク(°2θ):4.5、5.9、7.1、14.8、16.8、18.0、19.1および20.7、より好ましくは4.5、5.9、7.1、8.6、9.1、11.0、11.2、13.2、14.2、14.8、15.2、16.0、16.4、16.8、18.0、19.1、19.7、20.7、21.4、22.4、22.6として得られるX線回折図、特に、図4に示されているものに相当するX線回折図を有する、溶媒和物形Sと呼ばれる結晶溶媒和物形に基づく(すなわち、主要な非晶質材料および可能性のある他の結晶性形態以外に少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、いっそうより好ましくは少なくとも40%、極めて好ましくは少なくとも50%、高度に好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%(それぞれ重量に対する)を含む)ヘミフマル酸アリスキレンの結晶形に関する。
【0034】
別の実施形態では、本発明は、2θ+/−0.3°におけるピーク:ピーク(°2θ):6.7、7.2、8.0、12.2、15.6、16.9、17.3および18.3、より好ましくは3.7、6.1、6.4、6.7、7.2、8.0、10.0、11.1、12.2、15.6、16.9、17.3、18.3、18.7、19.5として得られるX線回折図(図5の記載に示されている条件下)、特に、図5に示されているものに相当するX線回折図を有する、溶媒和物形Sと呼ばれる結晶溶媒和物形に基づく(すなわち、主要な非晶質材料および可能性のある他の結晶性形態以外に少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、いっそうより好ましくは少なくとも40%、極めて好ましくは少なくとも50%、高度に好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%(それぞれ重量に対する)を含む)ヘミフマル酸アリスキレンの結晶形に関する。
【0035】
別の実施形態では、本発明は、2θ+/−0.3°におけるピーク:ピーク(°2θ):5.4、7.4、8.7、9.1、10.3、15.4、16.0および18.2、より好ましくは5.4、7.4、8.7、9.1、10.3、11.3、11.7、12.3、14.2、15.1、15.4、16.0、16.6、17.8、18.2、19.4、19.9、20.2として得られるX線回折図(図6の記載に示されている条件下)、特に、図6に示されているものに相当するX線回折図を有する、タイプIIIと呼ばれる結晶溶媒和物形に基づく(すなわち、主要な非晶質材料および可能性のある他の結晶性形態以外に少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、いっそうより好ましくは少なくとも40%、極めて好ましくは少なくとも50%、高度に好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%(それぞれ重量に対する)を含む)ヘミフマル酸アリスキレンの結晶形に関する。
【0036】
別の実施形態では、本発明は、2θ+/−0.3°におけるピーク:ピーク(°2θ):4.5、5.9、7.2、8.6、9.2、10.0、11.1、15.0および16.0、より好ましくは4.5、5.9、7.2、8.6、9.2、10.0、11.1、11.6、15.0、16.0、17.4、17.9、19.2、21.7として得られるX線回折図(図7の記載に示されている条件下)、特に、図7に示されているものに相当するX線回折図を有する、タイプIVと呼ばれる結晶溶媒和物形に基づく(すなわち、主要な非晶質材料および可能性のある他の結晶性形態以外に少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、いっそうより好ましくは少なくとも40%、極めて好ましくは少なくとも50%、高度に好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%(それぞれ重量に対する)を含む)ヘミフマル酸アリスキレンの結晶形に関する。
【0037】
別の実施形態では、本発明は、2θ+/−0.3°におけるピーク:ピーク(°2θ):4.6、5.9、7.1、9.2、11.2、14.8、16.4、16.9および19.2、より好ましくは4.6、5.9、7.1、8.4、9.2、11.2、11.6、12.1、12.8、14.8、16.4、16.9、18.5、19.2、19.8、20.8、21.4、21.8、23.3として得られるX線回折図(図8の記載に示されている条件下)、特に、図8に示されているものに相当するX線回折図を有する、タイプVIと呼ばれる結晶溶媒和物形に基づく(すなわち、主要な非晶質材料および可能性のある他の結晶性形態以外に少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、いっそうより好ましくは少なくとも40%、極めて好ましくは少なくとも50%、高度に好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%(それぞれ重量に対する)を含む)ヘミフマル酸アリスキレンの結晶形に関する。
【0038】
別の実施形態では、本発明は、2θ+/−0.3°におけるピーク:ピーク(°2θ):6.5、8.0、14.6、15.5として得られるX線回折図(図9の記載に示されている条件下)、特に、図9に示されているものに相当するX線回折図を有する、タイプIと呼ばれる結晶溶媒和物形に基づく(すなわち、主要な非晶質材料および可能性のある他の結晶性形態以外に少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、いっそうより好ましくは少なくとも40%、極めて好ましくは少なくとも50%、高度に好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%(それぞれ重量に対する)を含む)ヘミフマル酸アリスキレンの結晶形に関する。
【0039】
別の実施形態では、本発明は、2θ+/−0.3°におけるピーク:ピーク(°2θ):4.4、6.7、15.4および16.6、より好ましくは4.4、6.7、9.4、11.6、15.4、16.6、19.7として得られるX線回折図(図10の記載に示されている条件下)、特に、図10に示されているものに相当するX線回折図を有する、タイプIIと呼ばれる結晶溶媒和物形に基づく(すなわち、主要な非晶質材料および可能性のある他の結晶性形態以外に少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、いっそうより好ましくは少なくとも40%、極めて好ましくは少なくとも50%、高度に好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%(それぞれ重量に対する)を含む)ヘミフマル酸アリスキレンの結晶形に関する。
【0040】
別の実施形態では、本発明は、2θ+/−0.3°におけるピーク:ピーク(°2θ):3.7、6.5、8.0、14.6、15.5、17.2、18.8および20.1、より好ましくは3.7、6.3、6.5、7.2、8.0、9.6、10.1、12.4、14.6、15.1、15.5、17.2、17.7、18.8、19.3、19.6、20.1、22.1、23.1として得られるX線回折図(図11の記載に示されている条件下)、特に、図11に示されているものに相当するX線回折図を有する、タイプVと呼ばれる結晶溶媒和物形に基づく(すなわち、主要な非晶質材料および可能性のある他の結晶性形態以外に少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、いっそうより好ましくは少なくとも40%、極めて好ましくは少なくとも50%、高度に好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%(それぞれ重量に対する)を含む)ヘミフマル酸アリスキレンの結晶形に関する。
【0041】
「相当するX線図」とは、特に、個々の例に関して、例えば、図面の説明および実施例に記載されているような同一の条件下で、同じピーク、特にほぼ同一のX線図を示すものに関する。
【0042】
図面に示されているデータの他、X線データ(また図面においても)を得るための条件については、実施例1の前の「使用方法および条件の表」(特に断りのない限り)を参照。
【0043】
X線回折図測定装置は、X線源の角度に対して回折されたX線強度(counts per second、cps)を測定する。結晶性サンプルだけが十分定義された角度で回折し、従って、結晶形の性質に応じて鋭いピークが見られる。各形態はユニークな回折図を示す。ピークの強度は粒子の大きさと形状によって異なるので、これはバッチの特性であって、結晶性形態の特性ではない。回折ピーク(図形)はその分子内の各原子の位置を定義し、与えられた結晶系の結晶の対称性および空間群を定義する。
【0044】
使用する特定の回折計、分析者およびサンプル調製技術に基づき、観測される2θ角または格子面間隔(d-spacing values)には若干の変動が予想されることを心に留めておかなければならない。相対的ピーク強度では、もっと大きなばらつきが予想される。
【0045】
化合物の厳密な結晶形の同定は、主として、相対的ピーク強度への関与が重要でない、観測された2θ角に基づくべきである。
【0046】
2θ角および格子面間隔(d-spacing)の割り当てにはいくらかの誤差があり得るので、特定の結晶性形態を同定するためにX線粉末回折図を比較する好ましい方法は、既知の形態のX線粉末回折図に未知の形態のX線粉末回折図を重ね合わせることである。得られた任意の2θ角は本明細書に示される任意の2θ角との差は+/−0,3°、より好ましくは+/−0,1°の間隔内であることが好ましい。
【0047】
上述および後述の結晶形はいずれも有利であり、特に変形B、最も特には変形Aは双方とも本発明のいずれの実施形態についても、その中になお非晶質材料が存在している可能性があったとしても、より便宜な精製、例えば、より容易な濾過、少なくとも部分的な結晶化による薬剤物質の化学製造に起因する夾雑物からのより良い分離(その結果、より純粋な最終材料が得られる)、バルク材料のより良い取扱い(例えば、乾燥材料のより容易な注入、より容易な投与、より高い安定性、およびより容易な乾燥など)を見込めることから極めて好ましい。
【0048】
変形Bは、純度の高い形態で得ることができる(低量、例えば10%以下、より好ましくは5%以下の非晶質材料しか存在しない、ここで、%は重量%であり、結晶形製剤中に存在する総ヘミフマル酸アリスキレンに対するものである)。
【0049】
いっそうより好ましいのは変形Aであり、これは、付随する非晶質材料に関して純度が低くとも、変形Bのように針状結晶束を形成せず、従って、より低い純度による不利益の可能性は、結晶性薬剤物質ならびにそれを含む医薬製剤の双方の製造目的にとってより都合のよい形状の結晶の存在により一層補償される。
【0050】
これらの結晶形は、X線回折図の他、実施例に示される対応する1以上の特性、特に、それらの製造方法(結晶化工程)、示差走査熱量測定からの結果(特に、融解温度範囲および/または融解エンタルピー)、窒素流下で保存した際にXRPD図に変化がないこと、様々な相対湿度でのX線回折特性、動的蒸気吸着重量変化、溶解熱、溶液中での平衡挙動および/または本明細書で述べられているその他の特性によりさらに特徴付けることができる。
【0051】
特に好ましいのは、これらの1以上のこれらの特性、特に、融点(例えば、SPP100ヘミフマル酸塩は、10K/分の加熱速度において、それぞれ変形Aでは、約95〜104℃、特に、96〜98℃、変形Bでは、95〜105℃、特に、99〜102℃の範囲内で融解する)とX線回折図の組合せである。いっそうより好ましいのは、実施例に記載されている製造方法と表のX線回折図、より好ましくは、図面に示されているX線図のX線回折図の組合せである。
【0052】
イソプロパノール溶媒和物Sおよびエタノール溶媒和物Sの双方では、単結晶が得られる。
ここで、実施例5に示されている結晶のパラメーターはまた、この溶媒和物形Sのさらに好ましい種類を特徴付ける。
本発明はまた、本明細書に記載されている結晶形の製造方法、ならびにこのような方法によって得ることができる(好ましくは、得られた)結晶形に関する。
【0053】
変形AおよびBは、エタノール中のヘミフマル酸アリスキレン溶液から、貧溶媒としてアセトニトリルを用いることによって製造することができる。エタノール含量に比べてアセトニトリルの相対含量が高ければ変形Aの生産に好適であり、相対含量が低ければ変形Bの生産に好適である。さらに、結晶化温度は重要であり、結晶化の際に用いる温度が高いほど変形Aの生産に好適である。
【0054】
例えば、変形Aは、アセトニトリル:エタノールの重量比(w/w)が80:20〜99:1、より好ましくは85:15〜90:10(例えば、87:13)の範囲の溶液から、15〜40℃の範囲の適当な温度で、例えば、(好ましくは変形Aの種結晶を加えた後に(例えば37℃))、37℃から17℃に冷却し、再び37℃に加温し、この冷却と加温を繰り返し、その後、22℃に冷却し;溶媒を留去し;ヘミフマル酸アリスキレン(最初に用いた量)とアセトニトリルの重量比約8:23でアセトニトリルを加え、約20℃で維持し、約0〜5℃、例えば3℃に冷却し、濾過および洗浄(好ましくは母液で)を行った後に乾燥させて得ることができる。
より一般には、変形Aは、Sから溶媒をゆっくり乾燥させることによって得ることができる。
【0055】
変形Bは、例えば、アセトニトリル:エタノールの重量比(w/w)が80:20〜75:25(例えば80:20)の範囲の溶液から、15〜40℃の範囲の適当な温度で、例えば、37℃から35℃に冷却し、(特に曇りが生じた後には)さらに20℃まで引き下げてヘミフマル酸アリスキレンを結晶化させ、濾過し、例えば、40℃、10ミリバール下で真空乾燥させて得ることができる。
より一般には、変形Bは、溶媒形Sから、例えばまさに記載されている条件下で乾燥させることによって得ることができる。
【0056】
変形Bはまた、酢酸エチルまたはイソプロパノールから溶媒をゆっくり蒸発させることにより、例えば、約20℃で溶媒にヘミフマル酸アリスキレンを溶解させた後に、室温でゆっくり蒸発させることによって得ることができる。
【0057】
溶媒形Sは、例えば、濾過および乾燥を省くこと以外は、変形Aの製造に関して上記された通りに得ることができる。
溶媒形Sは、例えば、濾過および乾燥工程を省くこと以外は、変形に関して上記された通りに得ることができる。
溶媒形Sは、ヘミフマル酸アリスキレンのイソプロパノール溶液から、貧溶媒としてヘプタンを用いて沈殿させることによって得ることができる。
溶媒形SD’は、ヘミフマル酸アリスキレンのエタノール溶液から、貧溶媒としてヘプタンを用いて沈殿させることによって得ることができる。
【0058】
溶媒形タイプIは、酢酸エチルおよび/または酢酸メチル雰囲気下で維持することにより非晶質材料から結晶化させることによって得ることができる。
溶媒形タイプIIは、変形Aおよび/または非晶質ヘミフマル酸アリスキレンから、それをtert−ブチルメチルエーテル雰囲気下で維持することによって得ることができる。
溶媒形タイプIII(溶媒形Sに相当)は、変形Aから、それをジオキサン、テトラヒドロフランおよび/または酢酸エチル雰囲気下で維持することによって得ることができる。
溶媒形タイプIVは、非晶質ヘミフマル酸アリスキレンから、それをアセトニトリル雰囲気下で維持することによって得ることができる。
溶媒形Vは、変形Aから、それをペンタノール雰囲気下で維持することによって、かつ/または非晶質ヘミフマル酸アリスキレンから、それをn−ブタノール、2−プロパノール、1−ヘキサノールもしくはエタノール雰囲気下で維持することによって得ることができる。
溶媒形タイプVIは、変形Aから、それをエタノールおよび/またはメタノール雰囲気下で維持することによって得ることができる。
【0059】
本発明の結晶形を得るためのこれらおよびその他の条件は、実施例ならびに図12からも推測することができる。
シクロヘキサンまたはn−ヘプタン中では、結晶性変形A、変形Bおよび非晶質ヘミフマル酸アリスキレンに変化は見られない。
非晶質材料は、例えばエタノール溶液から慣用の条件下で噴霧乾燥させ、好ましくはその後、得られた材料を例えば20ミリバール、30℃でさらに乾燥させることによって得ることができる。
【0060】
「含む」という用語を用いるときには、その後に記載または列挙されている成分、作用、特徴がそれだけで十分であるというだけでなく、具体的に記載されているものに加え、1以上の他の成分および/または特徴(例えば、他の添加物、他の作用)も存在し得ることを意味するものとする。これは、本発明でこのような表現の後に具体的に記載されているもの以外の成分または特徴を含まない、従って、特徴および/または成分の完全な列挙/表示を表すことを意味する「含有する」または「からなる」という用語とは対照的である。「含む」を用いる場合には常に、これは、可能かつ便宜なとき、最も狭い用語である「からなる」または(工程または方法の場合には)「〜の工程を含有する」によって(他の存在とは独立に)置き換えることができ、従って、本発明の特定の好ましい実施形態につながる。
【0061】
非晶質状態は、一般に、不規則な固体状態であり、例えば、薬剤物質(結晶化工程、乾燥、粉砕)または薬剤製品(造粒、圧縮)の製造中に見られ得る。
【0062】
「相当する医薬製剤の製造工程中にそれから得ることができる形態」(「得ることができる」は、記載されている場合には特に「得られた」を意味する)は好ましくは、製造工程中に、この結晶形が変換され、かつ/または元の結晶形から(少なくとも部分的に)取り出され得るとき(湿式造粒手順中)に、他の形態(例えば、非晶質および/または溶媒和物形など)を形成し得る、かつ、元の結晶形の全部または好ましくは一部だけに取って代わって最終医薬製剤中に存在し得ることを意味する。好ましくは、結晶形(例えば、上記に好ましいとして示されているパーセンテージで)とそれから得ることができる形態(例えば、非晶質形または溶媒和物形)の双方が同時に存在する。処理または調製などに関して結晶形という場合には、これは好ましくは、結晶形および相当する医薬製剤の製造工程中でそれから得ることができる形態を含む。
【0063】
本発明の結晶形(好ましくは、それらの1つ、特に変形A)または好ましくは、相当する医薬製剤の製造工程中にそれから得ることができる(特に、得られた)形態は、他と、有効成分を、特に、治療上有効な量の有効物質として、場合により、薬学的に許容される担体、例えば、無機もしくは有機、固体もしくは場合により薬学的に許容される液体担体とともに含む、腸内投与、例えば、経口投与、または非経口投与に好適な医薬製剤の形態で使用することができる。
【0064】
本発明は特に、特に固体投与形の、好ましくは、経口投与のための、場合により薬学的に許容される担体とともに、有効成分として本発明の結晶形を使用することから得ることができる医薬組成物に関する。
【0065】
この種の医薬製剤は、例えば、AT受容体を遮断することによって処置または調節、特に阻害され得る疾患または状態、例えば、
(a)高血圧症(悪性、本態性、腎血管性、糖尿病性腎症、糖尿病性心筋疾患、孤立性収縮期、またはその他の続発型のいずれも)、うっ血性心不全、腎機能不全または不全、特に、慢性腎不全、経皮経管血管形成術後の再狭窄および冠動脈バイパス術後の再狭窄;
(b)アテローム性動脈硬化症、腎症、腎不全、例えば、慢性腎不全、甲状腺機能低下症、心筋梗塞、特に、心筋梗塞(MI)後の生存、冠動脈性心疾患、例えば、狭心症(不安定型または安定型のいずれも)、高齢者高血圧症、家族性異脂肪症性高血圧症、コラーゲン形成の増加、繊維症および高血圧症後のリモデリング(組合せの抗増殖性作用)、高血圧症を伴う、または伴わない全てのこれらの疾患または状態;
(c)高血圧症を伴う、または伴わない内皮機能不全、または末梢血管疾患;
(d)高脂血症、高リポタンパク質血症、アテローム性動脈硬化症および高コレステロール血症;
(e)緑内障;
(f)II型糖尿病(インスリン抵抗性)
(g)代謝症候群(X症候群とも呼ばれる;下記基準の少なくとも3つを満たすときに存在する:1)腹囲が、男性では102cmを超える、女性では88cmを超えること;2)空腹時血漿HDL−C(高密度脂質コレステロール)が、男性では40mg/dlを超える、女性では50mg/mlを超えること;3)空腹時血漿トリグリセリドが150mg/dlを超えること;4)血圧が130/85mmHgを超えること;および5)グルコース調節障害/インスリン抵抗性=空腹時血漿グルコースが100mg/dl以上であること(J. Am. Med. Assoc. 285(3), 2486-97 (1991)参照);
(h)(f)および/または(g)に記載されている状態から生じる疾患、例えば、炎症、高血圧、高トリグリセリドレベル、内臓脂肪、一般に肥満、易血栓状態(例えば、繊維素溶解障害および/または凝固促進)、低HDL−Cレベル、高血糖レベル、特に、グルコース不耐性、神経障害、網膜症、腎症、心血管障害および糖尿病;ならびに
(i)左心室肥大、認知障害、例えば、アルツハイマー病、卒中、頭痛および慢性心不全
からなる群から選択される疾患または状態の予防および処置に使用可能である。
【0066】
よって、本発明はまた、上記疾患のいずれか1以上の予防および/または処置のための結晶形(それ自体、または医薬製剤の形態、または好ましくは、相当する本発明の医薬製剤の製造工程中にそれから得ることができる(特に、得られた)形態として)の使用、上記疾患のいずれか1以上の予防および/または処置に使用することができる(好ましく使用される)医薬製剤の製造における、結晶形(それ自体、または医薬製剤の形態、または好ましくは、相当する本発明の医薬製剤の製造工程中にそれから得ることができる(特に、得られた)形態として)の使用、本発明の結晶形、または結晶形もしくは好ましくは相当する本発明の医薬製剤の製造工程中にそれから得ることができる(特に、得られた)形態を、該疾患の予防および/または処置に有効な量で含む医薬製剤を投与することを含む、そのような処置を必要とする温血動物、特に、そのような処置を必要とするヒトの処置方法、ならびに本発明の結晶形を含む医薬製剤、または結晶形(または好ましくは相当する医薬製剤の製造工程中に得ることができる形態)および少なくとも1種類の薬学的に許容される担体材料に関する。
【0067】
主要な用途は、高血圧症およびうっ血性心不全ならびに心筋梗塞後の処置である。
【0068】
本発明のアリスキレンの結晶形の有効性は、例えば、EP0678503A1で特定されている試験系(これに関しては、出典明示により本明細書の一部とされる)によって容易に確認することができる。例えば、レニン阻害活性のin vitro測定は、例えば、ヒト血漿、それぞれ合成または天然レニン基質を一緒に用いる精製ヒトレニンなどの種々のアッセイ系を使用すれば可能である。1つの可能な試験系は下記の通りである:腎臓からのヒトレニン抽出物(単離されたもの、または組換え的に得られたもの)(0.5mGU(=Milli−Goldblatt−Units)/ml)を37℃にて、23μg/mlの合成レニン基質、デカペプチドH−Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe−His−Leu−Leu−Val−Tyr−Ser−OHを含む2−N−(トリス−ヒドロキシメチルメチル)−アミノ−エタンスルホン酸の1モルバッファー水溶液、pH7.2中で1時間インキュベートした。生じたアンギオテンシンIの量は、ラジオイムノアッセイによって測定する。有効成分活性としてアリスキレンを含む結晶型をそれぞれ異なる濃度で加える。アンギオテンシンIIの形成が50%低下する個々の化合物の濃度をIC50と呼ぶ。in vivo有効性は前臨床試験および臨床試験で確認する。
【0069】
当業者ならば、以上および以下に示される治療適応および有益な効果を証明するため、かつ/または相当する臨床試験を行うために、適切かつ標準的な動物試験モデルを選択することが十分可能である。
【0070】
望ましければ、組合せ製剤の場合に、本発明の結晶形および/またはこのような結晶形から相当する医薬製剤の製造中に得られるヘミフマル酸アリスキレンの形態とは別に、さらなる薬学的に活性な物質を含む本医薬製剤は、例えば、通常の混合、造粒、コーティング、溶解または凍結乾燥工程の手段によるなど、それ自体公知の方法で製造され、好ましくは約0.1%〜100%、特に約1%〜約50%、凍結乾燥品の場合には100%までの有効物質(ここでは、ヘミフマル酸アリスキレン)または組合せの場合には有効物質を含む。
【0071】
本発明は同様に、本発明の結晶形、好ましくはヘミフマル酸アリスキレンを、少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、いっそうより好ましくは少なくとも30%、高度に好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも50%の割合の本発明の結晶形、特に、変形Aおよび/またはその溶媒和物(パーセンテージは、存在するヘミフマル酸アリスキレンの総量100%に対しての重量%で示される)とともに含む組成物に関する。
【0072】
本発明は同様に、好ましくは、特にレニン阻害によって調節可能な疾患または状態の予防および処置を目的とした医薬製剤の製造のための本発明の結晶形の使用に関する。主要な用途は、高血圧症、腎不全、左心室機能不全および心不全の処置である。
【0073】
本発明は同様に、レニン阻害によって調節可能な疾患または状態の予防および処置を目的とした、本発明の結晶形および/または、好ましくはおよび相当する医薬製剤の製造工程中にそれから得ることができる(特に、得られた)形態の使用であって、このような処置を必要とする患者(ヒト患者を含む)に治療上有効な量の本発明の結晶形および/または、好ましくはおよび相当する医薬製剤の製造工程中にそれから得ることができる(特に、得られた)形態を、場合によって、心血管疾患および関連状態ならびに以上または以下に挙げられる疾患の処置のための少なくとも1種類のさらなる有効成分と組み合わせて投与することを特徴とする使用に関する。
【0074】
本発明は同様に、組合せ、例えば、本発明の結晶形および/または、好ましくはおよび相当する医薬製剤の製造工程中にそれから得ることができる(特に、得られた)形態を、特に心血管疾患および関連状態ならびに以上または以下に挙げられる疾患の処置のための1以上のさらなる有効成分またはその薬学的に許容される塩と組み合わせて含有する医薬組合せに関する。心血管疾患および関連状態ならびに以上または以下に挙げられる疾患の処置のための他の組成物、または各場合においてその薬学的に許容される塩との組合せも、同様に本発明の目的である。
【0075】
該組合せは、例えば、
(i)HMG−Co−Aレダクターゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(ii)アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(iii)カルシウムチャネル遮断薬(CCB)またはその薬学的に許容される塩、
(iv)アルドステロンシンターゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(v)アルドステロンアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、
(vi)デュアルアンギオテンシン変換酵素/中性エンドペプチダーゼ(ACE/NEP)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(vii)エンドセリンアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、
(viii)アンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)またはその薬学的に許容される塩、および
(ix)利尿薬またはその薬学的に許容される塩
からなる群から選択される組成物とともに作製され得る。
【0076】
HMG−Co−Aレダクターゼ阻害剤(β−ヒドロキシ−β−メチルグルタリル−補酵素Aレダクターゼ阻害剤とも呼ばれる)は、血中コレステロールを含む脂質レベルを低下させるために用い得る有効薬であると理解される。
【0077】
HMG−Co−Aレダクターゼ阻害剤のクラスは、異なる構造特徴を有する化合物を含む。例えば、アトルバスタチン(atorvastatin)、セリバスタチン(cerivastatin)、コンパクチン(compactin)、デルバスタチン(dalvastatin)、ジヒドロコンパクチン(dihydrocompactin)、フルインドスタチン(fluindostatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、ロバスタチン(lovastatin)、ピタバスタチン(pitavastatin)、メバスタチン(mevastatin)、プラバスタチン(pravastatin)、リバスタチン(rivastatin)、シンバスタチン(simvastatin)およびベロスタチン(velostatin)、または各場合においてその薬学的に許容される塩からなる群から選択される化合物が挙げられる。
【0078】
好ましいHMG−Co−Aレダクターゼ阻害剤は市販されている薬剤であり、最も好ましいのはフルバスタチンおよびピタバスタチン、または各場合においてその薬学的に許容される塩である。
【0079】
いわゆるACE阻害剤(アンギオテンシン変換酵素阻害剤とも呼ばれる)によるアンギオテンシンIからアンギオテンシンIIへの酵素分解の妨害は、血圧の調節に好結果が得られる変形であり、従って、うっ血性心不全の処置の治療方法を利用可能とする。
【0080】
ACE組成物のクラスは、異なる構造的特徴を有する化合物を含む。例えば、アラセプリル(alacepril)、ベナゼプリル(benazepril)、ベナゼプリラート(benazeprilat)、カプトプリル(captopril)、セロナプリル(ceronapril)、シラザプリル(cilazapril)、デラプリル(delapril)、エナラプリル(enalapril)、エナプリラート(enaprilat)、フォシノプリル(fosinopril)、イミダプリル(imidapril)、リシノプリル(lisinopril)、モベルトプリル(moveltopril)、ペリンドプリル(perindopril)、キナプリル(quinapril)、ラミプリル(ramipril)、スピラプリル(spirapril)、テモカプリル(temocapril)およびトランドラプリル(trandolapril)、または各場合においてその薬学的に許容される塩からなる群から選択される化合物が挙げられる。
【0081】
好ましいACE阻害剤は市販されている薬剤であり、最も好ましいのはベナゼプリルおよびエナラプリルである。
【0082】
CCBのクラスは、本質的に、ジヒドロピリジン(DHP)および非−DHP、例えば、ジルチアゼム型およびベラパミル型CCBを含む。
【0083】
該組合せにおいて有用なCCBは、好ましくは、アムロジピン(amlodipine)、フェロジピン(felodipine)、リョシジン(ryosidine)、イスラジピン(isradipine)、ラシジピン(lacidipine)、ニカルジピン(nicardipine)、ニフェジピン(nifedipine)、ニグルジピン(niguldipine)、ニルジピン(niludipine)、ニモジピン(nimodipine)、ニソルジピン(nisoldipine)、ニトレンジピン(nitrendipine)およびニバルジピン(nivaldipine)からなる群から選択される代表的DHPであり、また、好ましくは、フルナリジン(flunarizine)、プレニラミン(prenylamine)、ジルチアゼム(diltiazem)、フェンジリン(fendiline)、ガロパミル(gallopamil)、ミベフラジル(mibefradil)、アニパミル(anipamil)、チアパミル(tiapamil)およびベラパミル(verapamil)からなる群から選択される代表的非DHP、および各場合においてその薬学的に許容される塩である。これらのCCBは全て、例えば、抗高血圧薬、抗狭心症薬または抗不整脈薬として治療上使用される。
【0084】
アルドステロンシンターゼ阻害剤は、コルチコステロン(cortocosterone)をヒドロキシル化して18−OH−コルチコステロンを形成させ、さらに18−OH−コルチコステロンからアルドステロンを形成させることによってコルチコステロンからアルドステロンに変換する酵素である。アルドステロンシンターゼ阻害剤のクラスは高血圧の処置に適用されることが知られており、原発性アルドステロン症には、ステロイド系および非ステロイド系双方のアルドステロンシンターゼ阻害剤が含まれ、後者が最も好適である。
【0085】
好ましいものとしては、市販のアルドステロンシンターゼ阻害剤または保健当局により承認されたアルドステロンシンターゼ阻害剤である。
【0086】
アルドステロンシンターゼ阻害剤のクラスは、異なる構造的特徴を有する化合物を含む。例えば、非ステロイド系アロマターゼ阻害剤アナストロゾール(anastrozole)、ファドロゾール(fadrozole)(その(+)−エナンチオマーを含む)、ならびにステロイド系アロマターゼ阻害剤エキセメスタン(exemestane)または適当であれば、各場合においてその薬学的に許容される塩からなる群から選択される化合物が挙げられる。
【0087】
最も好ましい非ステロイド系アルドステロンシンターゼ阻害剤は、ファドロゾール(fadrozole)の塩酸塩の(+)−エナンチオマー(米国特許第4617307号および同第4889861号)である。
好ましいステロイド系アルドステロン拮抗薬はエプレレノン(eplerenone)またはスピロノラクトン(spironolactone)である。
【0088】
好ましいデュアルアンギオテンシン変換酵素/中性エンドペプチダーゼ(ACE/NEP)阻害剤は、例えば、オマパトリレート(omapatrilate)(EP629627参照)、ファシドトリル(fasidotril)またはファシドトリレート(fasidotrilate)、または適当であれば、その薬学的に許容される塩である。
好ましいエンドセリン拮抗薬としては、例えば、ボセンタン(bosentan)(EP526708A参照)、さらに、テゾセンタン(tezosentan)(WO96/19459参照)、または各場合においてその薬学的に許容される塩がある。
【0089】
本発明の組合せに使用可能な好適なアンギオテンシンII受容体遮断薬は、異なる構造的特徴を有する(好ましくは、非ペプチド構造を有するものである)AT受容体拮抗薬を含む。例えば、バルサルタン(valsartan)(EP443983)、ロサルタン(losartan)(EP253310)、カンデサルタン(candesartan)(EP459136)、エプロサルタン(eprosartan)(EP403159)、イルベサルタン(irbesartan)(EP454511)、オルメサルタン(olmesartan)(EP503785)、タソサルタン(tasosartan)(EP539086)、テルミサルタン(telmisartan)(EP522314)、式:
【化2】

のE−4177で示される化合物、下式:
【化3】

のSC−52458で示される化合物、および式:
【化4】

の化合物ZD−8731で示される化合物からなる群から選択される化合物、または各場合においてその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0090】
好ましいAT−受容体拮抗薬は市販されている薬剤であり、最も好ましいのはバルサルタンまたはその薬学的に許容される塩である。
利尿薬としては、例えば、クロロチアジド(chlorothiazide)、メチクロチアジド(methylclothiazide)およびクロロサリドン(chlorothalidon)からなる群から選択されるチアジド誘導体があり、特に、ヒドロクロロチアジド(hydrochlorothiazide)である。
【0091】
好ましくは、共同で治療上有効な量の本発明の組合せの有効薬は、同時投与または順序は問わず逐次投与、個別投与または固定された組合せとして投与可能である。
【0092】
一般名または商標名により特定される有効薬の構造は、標準的概説書「The Merck Index」の現行版または例えば、Patents International(例えば、IMS World Publications)などのデータベースから得られる。これらの相当する内容は、出典明示により本明細書の一部とされる。当業者であればこれらの参考文献に基づき十分に有効薬を特定することができ、同様に、作製し、in vitroおよびin vivoの双方において標準的試験モデルで医薬適応および特性を試験することができる。
【0093】
相当する有効成分またはその薬学的に許容される塩はまた、水和物など、または沈殿法または結晶化に用いられるその他の溶媒を含む溶媒和物の形態でも使用可能である。
【0094】
組み合わせられる化合物は、薬学的に許容される塩として存在することもできる。これらの化合物が例えば少なくとも1つの塩基中心を有するとき、それらは酸付加塩を形成することができる。また、所望により、さらなる塩基中心の存在を有する、相当する酸付加塩を形成することもできる。酸基(例えば、COOH)を有する化合物もまた、塩基と塩を形成することができる。
【0095】
その変形形態において、本発明は同様に、例えば、本発明の組み合わせられる成分を独立に投与することもできるし、あるいは区別された量の成分との種々の固定された組合せの使用によって投与することもできる、すなわち、同時投与または異なる時点での投与が可能であるという意味で「複数パーツのキット」の形態にある医薬製品に関する。この複数パーツのキットのパーツは、同時投与または交互投与可能であり、すなわち、その複数パーツのキットのパーツごとに異なる時点で、等時間間隔または異なる時間間隔で投与することができる。好ましくは、この時間間隔は、パーツの組合せ使用において処置を受ける疾患または状態に対する作用が、それらの成分のいずれか1つ単独の使用によって得られる作用よりも大きいように選択される。
【0096】
本発明さらに、本発明の組合せを、同時、個別または逐次使用するための使用説明書とともに含む市販パッケージ(医薬製品)に関する。
【0097】
本発明の結晶形および/または、好ましくはおよび相当する医薬製剤の製造工程中にそれから得ることができる(特に、得られた)形態の投与は、適用様式、種、齢および/または個々の状態などの種々の因子によって異なる。例えば、体重約75kgの温血動物(ヒトを含む)に投与される用量、特に、レニン活性の阻害、例えば、血圧降下に有効な用量は、それぞれアリスキレンの遊離塩基に基づき、約3mg〜約3g、好ましくは約10mg〜約1g、例えば20〜600mg/人/日であり、好ましくは、例えば同じサイズであり得る1〜4回の単回用量に分割される。通常、小児には成人用量の約半分を投与する。各個体に必要な用量は、例えば、有効成分の血清濃度を測定することでモニタリングし、最適なレベルに調節することができる。単回用量はアリスキレンの遊離塩基に基づき、例えば、成体患者当たり75mg、150mgまたは300mgを含む。
【0098】
本発明はまた、本発明の結晶形および/または、好ましくはおよび相当する医薬製剤の製造工程中にそれから得ることができる(特に、得られた)形態と、特に、固体経口投与形の大規模製造に好適な工程に有用な1以上の薬学的に許容される担体材料を含む医薬製剤に関する。
【0099】
よって、本発明は特に、有効成分(アリスキレン遊離塩基として算出)が、使用するコーティング材料またはカプセル材料とは独立に、または非独立に、その経口投与形の総重量に対して46重量%を超える量で存在する、治療上有効な量の本発明の結晶形を含む固体経口投与形に関する。
【0100】
使用するコーティングまたはカプセルと非独立であるときには、有効成分は、経口投与形の総重量に対して48重量%を超える量で存在する。使用するコーティングまたはカプセルと独立であるときには、有効成分は、経口投与形の総重量に対して46重量%を超える量で存在する。
【0101】
本発明の好ましい実施形態では、有効成分は、経口投与形の総重量に対して46〜60重量%の範囲の量で存在する。
【0102】
本発明のもう1つの好ましい実施形態では、有効薬は、経口投与形の総重量に対して46重量%を超え、56重量%までの量で存在する。
【0103】
有効薬が完全に本発明の結晶形および/または、好ましくはおよび相当する医薬製剤の製造工程中にそれから得ることができる(特に、得られた)形態からなる本発明の固体経口投与形では、この有効成分は単位投与形当たり遊離塩基の約75mg〜約600mg(好ましくは約300mgまで)の範囲の量で存在するとき好ましい。
【0104】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、用量はヘミフマル酸アリスキレン塩に基づき、単位投与形当たり約83、約166、約332または約663mgの量で存在する。
【0105】
本発明の好ましい固体経口投与形は、有効成分の得られる単位用量に対してこれまでに可能であったものよりも小さな経口形での有効成分の投与を提供する。さらに、得られた経口投与形は生産工程および保存中の双方で、例えば密閉アルミニウムブリスターパックなどの通常のパッケージングで約2年間、安定である。
【0106】
「有効量」または「治療上有効な量」とは、処置される状態の進行を休止または低下させる、あるいはそうでなければ完全もしくは部分的に治癒する、またはその状態に対して改良された様式でそれ以外の作用を示す有効成分または有効薬の量を指す。
【0107】
固体経口投与形は、カプセル剤またはより好ましくは錠剤もしくはフィルムコーティング錠剤を含む。
【0108】
本発明の固体経口投与形は、薬学的に許容される担体材料、例えば、本発明の固体経口投与形の製造に好適な添加剤または賦形剤を含む。錠剤の製剤に汎用される打錠助剤が使用可能であり、被験体に対する包括的文献としては、特に、Fiedlerの「Lexikon der Hilfstoffe」(lexicon of adjuvants), 5th Edition, ECV Aulendorf 2002を参照(出典明示により本明細書の一部とされる)。これらには、限定されるものではないが、増量剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、安定化剤、増量剤または希釈剤、界面活性剤、フィルム形成剤、軟化剤および色素などが含まれる。
【0109】
好ましい実施形態では、本発明の固体経口投与形は、添加剤として増量剤を含む。
好ましい実施形態では、本発明の固体経口投与形は、添加剤として増量剤に加えて崩壊剤を含む。
好ましい実施形態では、本発明の固体経口投与形は、添加剤として増量剤および崩壊剤に加えて滑沢剤を含む。
好ましい実施形態では、本発明の固体経口投与形は、添加剤として増量剤、崩壊剤および滑沢剤に加えて流動促進剤を含む。
好ましい実施形態では、本発明の固体経口投与形は、添加剤として増量剤、崩壊剤、滑沢剤および流動促進剤に加えて結合剤を含む。
【0110】
増量剤としては、特に、デンプン、例えば、ジャガイモデンプン、小麦デンプン、コーンスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)および好ましくは微晶質セルロース、例えば、登録商標AVICEL、FILTRAK、HEWETENまたはPHARMACELとして入手可能な製品が挙げられる。
【0111】
湿式造粒のための結合剤としては、特に、ポリビニルピロリドン(PVP)、例えば、PVP K30、HPMC(例えば、粘度等級3または6cps)およびポリエチレングリコール(PEG)、例えば、PEG 4000が挙げられる。最も好ましい結合剤はPVP K30である。
【0112】
崩壊剤としては、特に、カルボキシメチルセルロースカルシウム(CMC−Ca)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)、架橋PVP(例えば、CROSPOVIDONE、POLY PLASDONEまたはKOLLIDON XL)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウムおよびグアーガム、最も好ましくは、架橋PVP(CROSPOVIDONE)、架橋CMC(Ac−Di−Sol)、カルボキシメチルデンプン−Na(PIRIMOJELおよびEXPLOTAB)が挙げられる。最も好ましい崩壊剤はCROSPOVIDONである。
【0113】
流動促進剤としては、特に、コロイドシリカ(例えば、コロイド二酸化ケイ素、例えば、AEROSIL、三ケイ酸マグネシウム(Mg)、粉末セルロース、デンプン、タルクおよび三塩基性リン酸カルシウムまたはこれらと増量剤または結合剤、例えば、ケイ化微晶質セルロース(PROSOLV)との組合せが挙げられる。極めて好ましい流動促進剤はコロイド二酸化ケイ素(例えば、AEROSIL 200)である。
【0114】
増量剤または希釈剤としては、精製糖、圧縮糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、ラクトース、マンニトール、微晶質セルロース(特に約0.45g/cmの密度を有するもの、例えば、AVICEL)、粉末セルロース、ソルビトール、スクロースおよびタルクが挙げられる。最も好ましい増量剤は微晶質セルロースである。
【0115】
滑沢剤としては、特に、ステアリン酸Mg、ステアリン酸アルミニウム(Al)またはステアリン酸Ca、PEG 4000〜8000およびタルク、硬化ヒマシ油、ステアリン酸およびその塩、グリセロールエステル、ステアリルフマルサ酸Na、硬化綿実油およびその他が挙げられる。最も好ましい滑沢剤はステアリン酸Mgである。
【0116】
フィルムコーティング材料として使用される添加剤としては、HPMC、PEG、PVP、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体(PVP−VA)、ポリビニルアルコール(PVA)およびフィルム形成剤としての糖などのポリマーが含まれる。最も好ましいコーティング材料はHPMC、特にmHPMC 3cps(好ましい量は5〜6mg/cm)およびそれらとさらなる添加剤、例えば、登録商標OPADRYとして入手可能なものとの混合物である。さらなる添加剤としては、色素、染料、レーキ、最も好ましくはTiOおよび酸化鉄、タルクのような粘着防止剤およびPEG 3350、4000、6000、8000またはその他のような軟化剤が含まれる。最も好ましい添加剤はタルクおよびPEG 4000である。
【0117】
本発明は同様に、有効成分としての治療上有効な量の本発明の結晶形および/または、好ましくはおよび相当する医薬製剤の製造工程中にそれから得ることができる(特に、得られた)形態と、添加剤としての増量剤(薬学的に許容される担体材料)を含む固体経口投与形に関する。さらなる添加剤としては、限定されるものではないが、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、安定化剤、希釈剤、界面活性剤、フィルム形成剤、色素、軟化剤および粘着防止剤などが挙げられる。有効成分およびさらなる添加剤の量は、好ましくは、上記で定義されたものである。
【0118】
本発明は同様に、有効成分としての治療上有効な量の本発明の結晶形および/または、好ましくはおよび相当する医薬製剤の製造工程中にそれから得ることができる(特に、得られた)形態と、添加剤としての増量剤および崩壊剤(disintergrant)を含む固体経口投与形に関する。さらなる添加剤としては、限定されるものではないが、結合剤、滑沢剤、流動促進剤、安定化剤、希釈剤、界面活性剤、フィルム形成剤、色素、軟化剤および粘着防止剤などが挙げられる。有効成分およびさらなる添加剤の量は、好ましくは、上記で定義されたものである。
【0119】
本発明は同様に、有効成分としての治療上有効な量の本発明の結晶形および/または、好ましくはおよび相当する医薬製剤の製造工程中にそれから得ることができる(特に、得られた)形態と、添加剤としての増量剤、崩壊剤および滑沢剤を含む固体経口投与形に関する。さらなる添加剤としては、限定されるものではないが、結合剤、流動促進剤、安定化剤、希釈剤、界面活性剤、フィルム形成剤、色素、軟化剤および粘着防止剤などが挙げられる。有効成分およびさらなる添加剤の量は、好ましくは、上記で定義されたものである。
【0120】
本発明は同様に、有効成分としての治療上有効な量の本発明の結晶形および/または、好ましくはおよび相当する医薬製剤の製造工程中にそれから得ることができる(特に、得られた)形態と、添加剤としての増量剤、崩壊剤、滑沢剤および流動促進剤を含む固体経口投与形に関する。さらなる添加剤としては、限定されるものではないが、結合剤、安定化剤、希釈剤、界面活性剤、フィルム形成剤、色素、軟化剤および粘着防止剤などが挙げられる。有効成分およびさらなる添加剤の量は、好ましくは、上記で定義されたものである。
【0121】
本発明は同様に、有効成分としての本発明の結晶形および/または、好ましくはおよび相当する医薬製剤の製造工程中にそれから得ることができる(特に、得られた)形態と、添加剤としての増量剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤および結合剤を含む固体経口投与形に関する。さらなる添加剤としては、限定されるものではないが、安定化剤、希釈剤、界面活性剤(surfacetants)、フィルム形成剤、色素、軟化剤および粘着防止剤などが挙げられる。有効成分およびさらなる添加剤の量は、好ましくは、上記で定義されたものである。
【0122】
当業者であれば、これら1以上の添加剤が、慣用の実験により、過度な労力なく、固体経口投与形の特定の望ましい特性に関して選択および使用可能である。
【0123】
用いる各種添加剤、例えば、流動促進剤、結合剤、崩壊剤、増量剤または希釈剤および滑沢剤フィルムコーティング剤の量は、当技術分野における慣用の範囲内で可変である。よって、例えば、滑沢剤の量は0.2〜5重量%、特に、ステアリン酸Mgのときには0.5〜2.0重量%、例えば、0.8〜1.5重量%の範囲内で可変であり;結合剤の量は0〜約20重量%、例えば、3〜4重量%の範囲内で可変であり;崩壊剤の量は0〜約20重量%、例えば、13.5〜16重量%の範囲内で可変であり;増量剤または希釈剤の量は0〜約80重量%、例えば、20〜32重量%の範囲内で可変であり;一方、流動促進剤の量は0〜約5重量%、例えば、0.4〜0.6重量%の範囲内で可変であり;また、フィルムコーティング剤の量は0〜20mg/cm、例えば、4〜7mg/cmの範囲内で可変である。
【0124】
高含量の有効薬を考慮すると比較的少量の添加剤だけを含むことが、好ましい固体経口投与形の特徴である。これにより物理的に小さな単位投与形の製造が可能となる。ある非コーティング単位投与形の添加剤総量は、固体経口投与形の総重量に対して約60重量%以下、より詳しくは約54重量%以下であり得る。好ましくは、この添加剤含量は約35〜55重量%の範囲であり、より詳しくは、添加剤含量は約50〜約52重量%の範囲である。
【0125】
増量剤、特に微晶質セルロースの好ましい量は、単位投与形当たり約20〜32重量%の範囲である。
結合剤、特にPVP K30の好ましい量は、単位投与形当たり約3〜4重量%の範囲である。
崩壊剤、特にクロスポビドンの好ましい量は、単位投与形当たり約13.5〜15重量%の範囲である。
流動促進剤、特にコロイド二酸化ケイ素の好ましい量は、単位投与形当たり約0.4〜0.6重量%の範囲である。
【0126】
滑沢剤、特にステアリン酸Mgの好ましい量は、単位投与形当たり約0.8〜1.5重量%の範囲である。
フィルムコーティング剤、特にHPMC 3cpsの好ましい量は、単位投与形当たり約4〜7mg/cmの範囲である。
アリスキレンおよび添加剤の好ましい量は、さらに実施例で示される。
【0127】
各添加剤の絶対量および他の添加剤との相対量は同様に、固体経口投与形の所望の特性に依存し、また、慣用の実験により、過度な労力なく、当業者によって選択可能である。例えば、固体経口投与形は、有効薬の放出の量的制御を伴って、または伴わずに、有効薬の加速放出および/または遅延放出を示すように選択することができる。
【0128】
よって、加速放出が望ましいとき、架橋PVP、例えば、登録商標POLYPLASDONE XLまたはKOLLIDON CLとして入手可能な製品、特に、1,000,000を超える分子量を有するもの、より詳しくは、400ミクロン未満、または好ましくは74ミクロン未満の粒径分布を有するもの、または水の存在下で錠剤の急速な崩壊を果たす反応性添加剤(発泡性混合物)を含むもの、例えば、水中にて、化学的に結合された二酸化炭素、例えば、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを含有する基板上で作用し、二酸化炭素を放出する、固体形態の酸、一般にはクエン酸を含む、いわゆる、発泡性錠剤などの崩壊剤。
【0129】
一方、遅延放出が望ましいとき、多粒子(例えば、ペレット、ミニタブレット)、ワックスマトリックス系、ポリマーマトリックス錠またはポリマーコーティングのためのコーティング技術または当技術分野で慣用の他の技術を使用することができる。
【0130】
有効薬の放出の量的制御は、当技術分野で公知の慣用の技術によって果たすことができる。このような投与形は経口浸透系(oral osmotic system)(例えば、OROS)、コーティング錠剤、マトリックス錠剤、加圧コーティング錠剤および多層錠剤などとして知られている。
【0131】
有効薬が本発明の結晶形および/または、好ましくはおよび相当する医薬製剤の製造工程中にそれから得ることができる(特に、得られた)形態、またはアリスキレンと他の有効な医薬成分との組合せからなる固体経口投与形では、好ましい添加剤は微晶質セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、架橋PVP、PVP、PEG、CMC−NaまたはCMC−Ca、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Caまたはステアリン酸Al、無水コロイドシリカ、タルク、二酸化チタンおよび酸化鉄色素である。用いる添加剤の量は、どれくらいの有効薬を用いるかによって異なる。ステアリン酸塩、例えば、ステアリン酸Mgは、好ましくは0.8〜1.5重量%の量で使用される。一方、シリカは、好ましくは0.4〜0.6重量%の量で使用される。
【0132】
非コーティング単位投与形の総重量内のヘミフマル酸塩形態のアリスキレンの量は、好ましくは約83〜約663mgの範囲であり、最も好ましくは、ヘミフマル酸アリスキレンの量は、単位投与形当たり約83、約166または約332mgである。
非コーティング単位投与形の総重量内の結合剤の量は、好ましくは単位投与形当たり2〜5重量%、最も好ましくは3〜4重量%である。
非コーティング単位投与形の総重量内の崩壊剤の量は、好ましくは単位投与形当たり0〜20重量%、最も好ましくは13.5〜16重量%である。
【0133】
非コーティング単位投与形の総重量内の流動促進剤の量は、好ましくは単位投与形当たり0〜5重量%、最も好ましくは0.4〜0.6重量%である。
非コーティング単位投与形の総重量内の滑沢剤の量は、好ましくは、ステアリン酸Mgでは、単位投与形当たり0.2〜5重量%、最も好ましくは0.8〜1.5重量%である。
フィルムコーティング剤、特にHPMC 3cpの好ましい量は、単位投与形当たり約4〜約7mg/cmである。
【0134】
アリスキレンと結合剤の重量比は、好ましくは約8:1〜約25:1、より好ましくは約11:1〜約15:1範囲である。最も好ましくは、この重量比は約12.5:1である。
アリスキレンと崩壊剤の重量比は、好ましくは約2:1〜約4:1、より好ましくは約2.5:1〜約3.7:1の範囲である。最も好ましくは、この重量比は約3.1:1である。
アリスキレンと流動促進剤の重量比は、好ましくは約75:1〜約125:1、より好ましくは約80:1〜約90:1の範囲である。最も好ましくは、この重量比は約83.3:1である。
アリスキレンと滑沢剤の重量比は、好ましくは約25:1〜約63:1、より好ましくは約30:1〜約50:1の範囲である。最も好ましくは、この重量比は約30:1である。
【0135】
本発明の固体経口投与形は、フィルムコーティング錠剤またはドラジェー剤の形態であってよく、その場合、固体経口剤形はコーティング、一般には、HPMCまたはPVPなどのポリマー、糖、セラックまたは当分野では完全に慣用の他のフィルムコーティング剤とともに提供される。当分野において使用される多数の既知のコーティング法、例えば、Aeromatic、Glatt、WursterまたはHuettlinから入手可能な装置を用いた既知の方法による流動床での、あるいは例えばAccela Cota、Glatt、Driamまたはその他から得られる装置を用いた既知の方法による有孔パンでのスプレーコーティング、あるいは当技術分野で関連の他の方法に着目される。製菓に汎用される添加剤もこのような方法に使用可能である。
【0136】
本発明のさらなる実施形態は、本発明の医薬製剤(特に、固体経口投与形)の製造方法であり、この場合、本発明の結晶形(特に、変形Aに基づく)を1種類以上の薬学的に許容される担体材料と混合する。これらの方法は、例えば、湿式造粒、スラッギング(slugging)、噴霧乾燥球状化または結晶化、コーティングまたは他の工程を含む医薬製剤に関する当技術分野で公知のいずれの製造方法も含み得る。
【0137】
本発明の結晶形と賦形剤との、水および/または結合剤水溶液を用いた湿式造粒は、薬剤物質の多型に変化をもたらすことがあり、これは例えば非晶質状態(「および/または、好ましくはおよび相当する医薬製剤の製造工程中にそれから得ることができる(特に、得られた)形態」で示される)へと部分的に変化させ、薬剤製品(DP)の不十分な化学安定性をもたらし得る。しかしながらやはり、これらの場合にも、相当する医薬製剤の製造のための出発材料として本発明の結晶形を使用することは、とりわけ有用であり、その後、この出発材料は結晶化のためにより高い純度を有し、より長期の保存が可能となり、より良い乾燥が可能となり、沈殿後の濾過性がより良くなり、投与および取扱いにとってより良い形態を有する。
【0138】
いずれにせよ、有機溶媒または有機結合剤溶液の混合物を用いる本発明の結晶形の湿式造粒は好適なヘミフマル酸アリスキレン固体経口投与形、特に、錠剤を製造する極めて有利な方法であることが分かっており、例えば、下記の利点を示す。
・該湿式造粒は造粒中にヘミフマル酸アリスキレンの嵩を減じること;
・薬剤物質の品質変化の影響が最小となること;
・単位投与形当たり46重量%を超える高い薬剤負荷が容易に達成できること;
・十分な硬度、破砕耐性、崩壊時間、溶解速度などを有する錠剤の形成が可能となること;
・薬剤物質の粘着傾向および不十分な流動性が最小まで軽減されること;
・DPの堅牢な製造方法が達せられること;
・再現性あるDP性能が得られる製剤および加工のスケールアップが達せられること;および
・合理的な保存期間を達成するに十分な安定性が達せられること。
【0139】
これらの賦形剤は、記載されている発明の場合、一部を内相(顆粒)に、一部を外相に分布させてもよい。微晶質セルロース(増量剤)およびCROSPOVIDONE(崩壊剤)は一部が内相に、一部が外相にありPVP K30(結合剤)は内相の一部だけにあって造粒中に結合剤となり、一方、コロイド二酸化ケイ素(流動促進剤)およびステアリン酸Mg(滑沢剤)は外相の一部だけにある。
【0140】
内相賦形剤、例えば、増量剤、結合剤および崩壊剤と薬剤物質を混合し、結合剤のエタノール溶液およびさらなるエタノールで造粒する。例えば、崩壊剤、増量剤、流動促進剤および滑沢剤を含有する外相を乾燥顆粒とともに篩にかけ、混合する。この混合物を打錠する。この錠剤コアに場合よりフィルムコーティングを施してもよい。
【0141】
顆粒相は内相と定義され、顆粒に加えられた賦形剤は錠剤混合物の外相と定義される。
本発明は同様に、本明細書で上記したような固体経口投与形の製造方法に関する。このような固体経口投与形は、上記で定義された成分を適当な量で後処理して単位投与形を形成することによって製造することができる。
【0142】
よって、本発明は、本発明の固体経口投与形の製造方法であって、
1)本発明の結晶形と添加剤を混合し、該成分を、造粒液を用いて造粒すること;
2)得られた顆粒を乾燥させること;
3)該乾燥顆粒を外相賦形剤と混合すること;
4)得られた混合物を打錠して固体経口投与形をコア錠剤として形成すること;および
5)場合により、コア錠剤をコーティングしてフィルムコーティング錠剤を形成すること
を含む方法を提供する。
【0143】
好ましくは、工程(1)の添加剤は、増量剤、崩壊剤および結合剤から選択され;工程(3)の外相賦形剤は、増量剤、崩壊剤、滑沢剤および流動促進剤から選択される。
【0144】
造粒液はエタノール、エタノールと水の混合物、エタノールと水とイソプロパノールの混合物、または以上に挙げた混合物中のPVP溶液であり得る。エタノールと水の好ましい混合物は、約50/50〜約99/1(%w/w)の範囲であり、最も好ましくは約94/6(%w/w)である。エタノールと水とイソプロパノールの好ましい混合物は、約45/45/5〜約98/1/1(%w/w/w)、最も好ましくは約88.5/5.5/6.0〜約91.5/4.5/4.0(%w/w/w)の範囲である。上記に示した混合物中のPVPの好ましい濃度は約5〜約30重量%、好ましくは約15〜約25%、より好ましくは約16〜約22%の範囲である。
【0145】
例えば、流動床での噴霧造粒、高剪断ミキサーでの湿式造粒、融解造粒、流動床乾燥機での乾燥、自由落下ブレンダーまたはタンブルブレンダーでの混合、シングルパンチまたは回転打錠機での打錠など、当技術分野で使用される多くの既知の造粒、乾燥および混合法が着目される。
【0146】
顆粒の製造は、有機造粒工程に好適な標準的な装置で行うことができる。最終ブレンドの製造および打錠も標準的な装置で行うことができる。
【0147】
例えば、工程(1)は、例えば、Collette Gralなどの高剪断造粒機によって行うことができ;工程(2)は、流動床乾燥機で行うことができ;工程(3)は、自由落下ミキサー(例えば、コンテナブレンダー、タンブルブレンダー)によって行うことができ;工程(4)は、例えば回転打錠機などの乾燥打錠法を用いて行うことができる。
上記のように、コア錠剤を、次に、場合によりフィルムコーティングしてもよい。
【0148】
多型性に関する本発明の結晶形の高い吸湿性および水分感受性から、上述の理由の多型性の変化(非晶質状態、不十分な化学安定性)から薬剤物質を保護するために、好ましくは水の使用は避けるべきである。このような問題の対策は、有機フィルムコーティング法を適用することである。
【0149】
標準的なフィルムコーティング組成物を用いる水性フィルムコーティング法は、さらなる多型変化なくアリスキレンコア錠剤に適用可能であることが分かった。
【0150】
このフィルムコーティングは、好ましくは、ポリマーとしてのHPMC、酸化鉄色素、着色剤としての二酸化チタン、軟化剤としてのPEGおよび粘着防止剤としてのタルクからなる。着色剤または染料の使用は、外観を強調するとともに、組成物を識別するために役立ち得る。一般に用いるのに好適な他の染料としては、カロチノイド、クロロフィルおよびレーキが挙げられる。
【0151】
フィルムコーティング条件は、錠剤コアが無視できない量の水分を取り込まないように、また、錠剤内の薬剤物質が水滴と密に接触しないように保証しなければならない。これは、錠剤コア上に保持される水分の量を減らすプロセスパラメーター設定により達せられる。
【0152】
本発明の固体経口投与形は、血圧(収縮期血圧または拡張期血圧または双方)を降下させるため、および/または加えて本明細書に記載されている他のいずれか1以上の疾患/障害の処置のために有用である。
【0153】
本発明は同様に、高血圧症(悪性、本態性、腎血管性、糖尿病性、孤立性収縮期または他の続発型のいずれも)および/または本明細書に記載されている他のいずれか1以上の疾患/障害を処置する方法に関する。
【0154】
本願において、「(医薬)組成物」および「(医薬)製剤」は同じ意味を有する。
本発明は特に、請求項、特に従属請求項に示されている実施形態に関する。よって、これらの請求項は出典明示により本明細書の一部とされる。
【0155】
本発明は特に、実施例で得られる結晶形および医薬製剤、特に、実施例で得られるような変形Aおよびそれを含む医薬製剤に関する。
本発明は特に実施例で例示され、また、実施例で呼称される新規な結晶形、およびそれらの使用、およびその製造方法に関する。
【0156】
下記の実施例は本発明を例示するためのものであって、本発明を何ら限定しない。「SPP100」はアリスキレンであり、そのヘミフマル酸塩も薬剤物質(DS)と呼ばれる場合がある。エタノールALIはテクニカルグレードのエタノールである。
DSC=示差走査熱量測定
TG=TGA=熱重量分析(分析)
XRPD=X線粉末回折
表1:用いた方法および条件の表(特に断りのない限り)
【表1】

【実施例】
【0157】
実施例1:結晶変形A(形態Aとも呼ばれる)
40gのSPP100塩基を51gのエタノールALIに溶解させる。35℃のエタノールALI中、フマル酸の溶液(2g/46g)を、室温下20分で塩基に滴下する。この溶液を加熱し、エタノールの一部を、SPP/EtOH比が1/0.9となるまで蒸留する。次に、50℃で30gのアセトニトリルを1.7gのエタノールとともに加え、EtOH/CHCN比を40/60に調整する。さらに98gのアセトニトリルを、37℃を超える温度で加え、CHCN/EtOH比を87/13とする。この溶液に37℃にて、0.5mlのSPP100変形A懸濁液(例えば、実施例10 f)(iv)の場合のような平衡実験から得られる)を播種し、200分で37℃から17℃まで冷却する。この懸濁液を20分攪拌した後、40分で17℃から37℃まで加熱し、10分攪拌する。この懸濁液を200分で37℃から17℃まで冷却し、20分攪拌し、40分で17℃から37℃まで加熱する。攪拌下で10分後、この懸濁液を200分で22℃まで冷却し、20分攪拌する。この懸濁液を留去し、20℃で115gのCHCNを加える。この懸濁液を180分で3℃まで冷却し、濾過する。この固体を母液の一部で洗浄し、ヘミフマル酸アリスキレンの結晶変形Aを得る。
【0158】
特性決定:
この形態はアセトニトリル/エタノール混合物中で得られた溶媒和物形Sの乾燥製品である(実施例2)。
【0159】
a)示差走査熱量測定(DSC)試験:
加熱速度の影響
表2:
変形A 装置:Mettler Toledo DSC822e (Nr. 17-1)、加熱速度:10K/分
【表2】

【0160】
適用された加熱速度に応じ、ガラス遷移に相当する約60℃でさらなる温度事象の存在が観察され得る。変形Aにおける非晶質部分の存在は、X線粉末回折(XRPD)によって観察される(およそ50%と算出)。
【0161】
b)X線粉末回折(XRPD)
変形Aのバッチは下記のピーク(図1に対する説明に示されている条件下):ピーク(°2θ):6.0、7.3、8.6、9.2、9.9、15.0、17.2および17.9、例えば、より詳しくは、6.0、7.3、8.6、9.2、9.9、15.0、17.2、17.9、19.2、19.7、20.1を有するX線回折図を示す。例えば、バッチは図1に示されるX線回折図を示す。
【0162】
c)種々の相対湿度(RH)での変形AのX線粉末回折試験
この目的は、SPP100ヘミフマル酸塩の結晶性形態に対する保存条件の影響を評価することである。この目的で、2つの異なる実験を行った。最初のものは、SPP100ヘミフマル酸塩変形Aを窒素流に曝し、種々の時点で相当するXRPD図を記録することからなる。第二の実験では、結晶性変形Aに対する相対湿度の影響をXRPD測定により決定する。対応する結果を以下の表にまとめた。
【0163】
(i)表3:窒素流下での保存
【表3】

注釈:窒素流下での保存中にこの変形の変化は見られない。
【0164】
(ii)表4:相対湿度の影響
変形A
【表4】

注釈:有意な変形は見られない。
【0165】
実施例2:溶媒和物S(結晶形Eとも呼ばれる):
乾燥前の変形Aの溶媒和物形を、懸濁液(CHCN/EtOH 87/13 w/w)が濾過されないこと以外は、実施例1に記載の通りに得る。
【0166】
X線粉末回折(XRPD)
溶媒和物Sのバッチは下記のピーク(図4に対する説明に示されている条件下):ピーク(°2θ):4.5、5.9、7.1、14.8、16.8、18.0、19.1および20.7、例えば、より詳しくは、4.5、5.9、7.1、8.6、9.1、11.0、11.2、13.2、14.2、14.8、15.2、16.0、16.4、16.8、18.0、19.1、19.7、20.7、21.4、22.4、22.6を有するX線回折図を示し、例えば、バッチは図4に示されるXRPDを示す。
【0167】
実施例3:結晶変形B(形態Bとも呼ばれる)
この結晶形は、55℃で281gのエタノールALIに溶解させた150gのSPP100ヘミフマル酸塩から得られる。この溶液に、1125gのCHCNを滴下し、この溶液を37℃で30分放置する。この溶液を35℃に冷却したところ、1時間後に溶液に若干の曇りが出る。この溶液(CHCN/エタノール比=80/20 w/w)を200分で20℃まで冷却し、この懸濁液を室温で放置する。物質が結晶化した後、この懸濁液を濾液し、この固体を40℃、10ミリバール下で2日間乾燥させ、ヘミフマル酸アリスキレンの結晶変形Bを得る。
【0168】
特性決定:
この形態、変形Bは、アセトニトリル/エタノール混合物中で得られた溶媒和物形Sの乾燥製品である(実施例2)。
【0169】
a)DSC試験:
表5:変形B 装置:Mettler Toledo DSC822e (Nr. 17-1)、加熱速度:10K/分
【表5】

DSC実験は、変形Bにおいて非晶質部分の存在を示さない。
【0170】
b)X線粉末回折(XRPD)
変形Bのバッチは、下記のピーク(図2に対する説明に示されている条件下):ピーク(°2θ):3.8、6.5、7.7、8.0、15.6および17.4、例えば、より詳しくは、3.8、6.5、7.7、8.0、13.8、14.5、15.6、17.4を有するX線回折図を示し、例えば、バッチは図2に示されるXRPDを示す。
【0171】
実施例4:溶媒和物形S
乾燥前の変形の溶媒和物形を、懸濁液(CHCN/EtOH 80/20 w/w)が濾過されないこと以外は、実施例3に記載の通りに得る。
【0172】
X線粉末回折(XRPD)
溶媒和物Sのバッチは、下記のピーク(図5に対する説明に示されている条件下):ピーク(°2θ):6.7、7.2、8.0、12.2、15.6、16.9、17.3および18.3、例えば、より詳しくは、3.7、6.1、6.4、6.7、7.2、8.0、10.0、11.1、12.2、15.6、16.9、17.3、18.3、18.7、19.5を有するX線回折図を示し、例えば、バッチは図5に示されるXRPDを示す。
【0173】
実施例5:溶媒和物形SおよびS、単結晶
特性決定:構造上、溶媒和物形SおよびSは単結晶X線回折により特徴付けられる。これらの単結晶を、貧溶媒としてヘプタンを用いて成長させる。SPP100ヘミフマル酸塩のイソプロパノールおよびエタノール溶媒和物は、それぞれイソプロパノールまたはエタノール溶液から、貧溶媒ヘプタンを用いて沈殿させることによって小針状結晶として成長し得る。データの質がより良いことから、エタノール/ヘプタンから得られたエタノール溶媒和物形(すなわちS、実施例9に述べられている形態Dに相当する)だけを詳細に考察する。しかし、これらのデータから、イソプロパノール溶媒和物(すなわち、S)がエタノール溶媒和物(貧溶媒としてヘプタンを用いる場合)と同型構造であるという結論が導くことができる。溶媒和物Sは化学量論的には、SPP100分子1個、フマル酸基1/2個および溶媒分子3個からなる。
【0174】
およびSの構造は双方とも空気および湿度に極めて敏感であり、急速に分解する。それらは、全結晶構造体積の約25%を占める結晶学的b軸に沿った明瞭なチャネル構造からなる。これらのチャネル内では、強い障害を示す溶媒分子が見られる。SPP100(SPP100のヒドロキシル基およびプロトン化アミン基)とフマル酸基の間、およびSPP100分子(プロトン化アミン基および酸素)間に水素結合が見られる。エタノールとSPP100(酸素およびアミン基)の間にさらなる水素結合が存在する。これらの水素結合の優勢な伝搬ベクトル(propagation vector)は結晶学的b軸である。水素結合がいくらか見られるが、この構造の主要な圧密力(packing force)(3次元結晶に関して)はファンデルワールス相互作用であると思われ、これが構造の不安定さを説明する。
【0175】
表6 エタノールとのSPP100ヘミフマル酸塩溶媒和物形Sの結晶データ
【表6】

GOF=適合度
【0176】
実施例6:非晶質材料:
非晶質SPP100ヘミフマル酸塩は、400gのエタノールALI中、100gのSPP100の溶液を噴霧乾燥させることによって得る。噴霧乾燥の後に約80gの非晶質SPP100ヘミフマル酸塩が得られる。この固体を30℃、20ミリバール下で乾燥させ、窒素雰囲気下で保存する。
【0177】
特性決定:
a)DSC試験
装置:Perkin Elmer pan:219-041、温度範囲:10℃〜140℃
非晶質SPP100ヘミフマル酸塩のガラス遷移は約60℃で見られる。ΔH融解変化は概算でΔc=0.5J/g℃として見出せる。
【0178】
b)X線粉末回折(XRPD)
非晶質ヘミフマル酸アリスキレンのバッチは図3に示されるX線回折図を示す。有意なピークは認められない。
【0179】
実施例7:結晶変形A、結晶変形Bおよび非晶質材料のさらなる物理化学的特性決定:
結晶変形(=形態)AおよびB/乾燥で得られた結果は、下記の表および説明にまとめられる形態を特徴とする。
A)一般分析データ
プロトンおよび13C NMRデータならびにIRおよび元素分析データにより、ヘミフマル酸アリスキレンの構造を確認する(詳細は示さず)。
【0180】
B)変形A、変形Bおよび非晶質材料の動的蒸気吸着等温線:
下記の表7および8では、R.H.は相対湿度を、Sorpt.は吸着、そして、Desorpt.は脱着を表す。
表7:
【表7】

表8:
【表8】

【0181】
注釈:SPP100ヘミフマル酸塩変形A、変形Bおよび非晶質形は、強い吸湿挙動を示す。水の取り込みは最大相対湿度60%では可逆的である。この値を超えると、SPP100ヘミフマル酸塩変形A、変形Bおよび非晶質形は、物質が溶液となるまで、相対湿度の著しい上昇を示す。
【0182】
水の吸着/脱着の連続的増加/低下は、結晶構造の破壊のない、共同的な水和/脱水を示唆する。この挙動は、結晶構造中にチャネルまたは層のいずれかが存在することによるものであり得る。この結晶構造は常に物理的応力を受けていることから、この材料の水分子受容能は、その結晶性に有意な影響を有している可能性がある。
【0183】
特定の相対湿度(25℃で60%R.H.)までは、SPP100ヘミフマル酸塩変形A、変形Bおよび非晶質の吸湿性は可逆的である。60%R.H.を超えると、この化合物は溶解性となる。この現象はこの材料の高い水溶解度に関係している。
【0184】
これらの3つの変形のうち変形Bは、最も吸湿性の小さい形態である。親水性が低いことは、結晶構造の違いによって説明できる。25℃で60% R.H.より高い相対湿度では、変形Aや非晶質と同じ挙動が見られるが、これは材料が水に溶解するためである。
【0185】
C)溶解熱
約100mgの材料を密閉ガラスアンプルに入れる。25℃で平衡化した後、このアンプルを100mlの水の中で割る。溶解中に生じた熱を測定し、3回測定した平均値を表9に示す。
表9:
【表9】

注釈:非晶質と変形Aの間には有意な差はない。
【0186】
D)分析方法と検出限界の比較:
(i)変形A中の変形B
XRPD:SPP100ヘミフマル酸塩はXRPDで同定:変形Bは、4%を超える検出限界(LOD)で、SPP100ヘミフマル酸塩変形Aとの混合物中で検出可能である。
【0187】
FT−IR:
変形Bは、FT−IR法にて1465cm−1領域のバンドを用い、変形Aから区別可能である。しかしながら、変形Aおよび変形BのFT−IRスペクトル間には著しい類似性がある。
【0188】
FT−RAMAN:
変形Bは、FT−Ramanにより変形Aから区別可能である。しかしながら、変形Bには、変形AのFT−RAMANスペクトルとの比較における典型的なバンドが存在しない。
【0189】
(ii)変形A中の非晶質部分
XRPD:XRPDによるSPP100ヘミフマル酸塩非晶質の含量:SPP100ヘミフマル酸塩の非晶質含量の定量はX線粉末回折(XRPD)により可能である。FT−IRおよびFT−RAMAN分光法:FT−IRおよびT−RAMANスペクトルは、非晶質SPP100ヘミフマル酸塩材料とSPP100ヘミフマル酸塩変形Aとの間で有意な差が存在せず、定量法を開発した。
【0190】
動的蒸気吸着(DVS):変形Aと非晶質材料を用いて行った数種の混合物から、サンプル中に存在する非晶質含量と水分取り込みの間に直線的関係を見出すことができる。
【0191】
実施例8:結晶形C:
この結晶形は、エタノール/アセトンの溶媒混合物からの平衡化によって得られ、変形Aと、アセトンとの反応反応(シッフ塩基の形成)によって得られた分解産物の間の混合物に相当する。よって、ここではこれ以上考察を行わない。他のケトン(例えば、メチルエチルケトン、5−ノナノン、シクロヘキサノン)を用いた場合も、化学反応生成物(おそらくこれもシッフ塩基)が見られる。
【0192】
実施例9:結晶形D:
形態Dは、テトラヒドロフラン中での結晶化(平衡化および乾燥)により得られ、実施例11 a)(i)の、いわゆる溶媒和物タイプIIIの基に相当する。
【0193】
実施例10:溶媒和物形SおよびS、変形AおよびBならびに他の形態の、溶媒和物形SおよびSの脱溶媒和/乾燥試験:平衡試験によるさらなる特性決定
200mg〜700mgの間の薬剤物質を水浴中、所定の温度±0.1℃で少なくとも24時間、0.5〜1mlの溶媒で平衡化する。平衡化した後、これらの溶液を濾過する。固体部分をXRPD(X線粉末回折)によって調べる。
【0194】
表10:変形Aの25℃での平衡化
【表10】

記号の意味:
//は、物質が溶解し過ぎるため行わなかった。
+は、変化が検出
−は、変化は検出されない
注釈:アセトニトリル、シクロヘキサンおよびn−ヘプタン中での平衡化は変形Aの変換を示さない。
【0195】
実施例11:SPP 100ヘミフマル酸塩の他の溶媒和物形
a)変形Aと類似の溶媒和物形:
(i)タイプIII(結晶形Dに相当する) この結晶性形態は、25℃、ジオキサン中、およびテトラヒドロフラン中で平衡化された変形Aから得られる。これはまた、25℃、THF雰囲気下で維持した非晶質材料からも得ることができる。XRPD図は、低θで分解の良いピークの存在を伴った適切な結晶性を示す。タイプIIIのバッチは、下記のピーク(°2θ):5.4、7.4、8.7、9.1、10.3、15.4、16.0および18.2、例えば、より詳しくは、5.4、7.4、8.7、9.1、10.3、11.3、11.7、12.3、14.2、15.1、15.4、16.0、16.6、17.8、18.2、19.4、19.9、20.2を有するX線回折図(図6に対する説明に示されている条件下);例えば、図6に示されるXRPDを示す。
【0196】
(ii)タイプIV:この溶媒和物は、室温、アセトニトリル雰囲気下で保存した非晶質材料から得られる。この結晶性形態の最初のXRPD図は、変形Aに関して見られるものと類似している。タイプIVのバッチは、下記のピーク:ピーク(°2θ):4.5、5.9、7.2、8.6、9.2、10.0、11.1、15.0および16.0、例えば、より詳しくは、4.5、5.9、7.2、8.6、9.2、10.0、11.1、11.6、15.0、16.0、17.4、17.9、19.2、21.7を有するX線回折図(図7に対する説明に示されている条件下);例えば、図7に示されるXRPDを示す。
【0197】
(iii)タイプVI:この溶媒和物は、エタノール(無水またはALI)雰囲気下、またはメタノール雰囲気下で維持した変形Aから得られる。この変形は、低2θで鋭いピークの存在を伴った良好な結晶性を示す。タイプVIのバッチは、下記のピーク:ピーク(°2θ):4.6、5.9、7.1、9.2、11.2、14.8、16.4、16.9および19.2、例えば、より詳しくは、4.6、5.9、7.1、8.4、9.2、11.2、11.6、12.1、12.8、14.8、16.4、16.9、18.5、19.2、19.8、20.8、21.4、21.8、23.3を有するX線回折図(図8に対する説明に示されている条件下);例えば、図8に示されるXRPDを示す。
【0198】
b)変形Bと類似の溶媒和物形:
(i)タイプI:この溶媒和物は、室温、酢酸エチルまたは酢酸メチルの溶媒蒸気下で非晶質材料から結晶化させることにより得られる。XRPD図は極めて低い結晶性を示し、変形Bといくらかの類似性を示す。タイプIのバッチは、下記のピーク:ピーク(°2θ):6.5、8.0、14.6および15.5を有するX線回折図(図8に対する説明に示されている条件下);例えば、図9に示されるXRPDを示す。
【0199】
(ii)タイプII:この溶媒和物は、25℃、TBME(tert−ブチル−メチルエーテル)雰囲気下で平衡化した変形Aおよび非晶質材料から得られる。XRPD図は低結晶性を示す。最初のスペクトルは変形Bとのいくらかの類似性を示す。タイプIIのバッチは、下記のピーク:ピーク(°2θ):4.4、6.7、15.4および16.6、例えば、より詳しくは、4.4、6.7、9.4、11.6、15.4、16.6、19.7を有するX線回折図(図10に対する説明に示されている条件下);例えば、図10に示されるXRPDを示す。
【0200】
(iii)タイプV:この形態は、25℃、ペンタノール雰囲気下で平衡化した変形Aから、また、室温、n−ブタノール、2−プロパノール、1−ヘキサノールおよびエタノール雰囲気下で維持した非晶質材料から得られる。このタイプは変形Bに極めて近い(ピークの位置がいくらかシフトし、付加的なピークが存在する場合があるだけ)。中程度の結晶性。タイプVのバッチは、下記のピーク:ピーク(°2θ):3.7、6.5、8.0、14.6、15.5、17.2、18.8および20.1、例えば、より詳しくは、3.7、6.3、6.5、7.2、8.0、9.6、10.1、12.4、14.6、15.1、15.5、17.2、17.7、18.8、19.3、19.6、20.1、22.1、23.1を有するX線回折図(図11に対する説明に示されている条件下);例えば、図11に示されるXRPDを示す。
【0201】
例えば、約100mgの非晶質材料を、室温で少なくとも1週間、有機溶媒蒸気下に置く。この固体材料をXRPD(X線粉末回折)により調べたところ、下記の結果が得られた。
表11:非晶質材料の溶媒蒸気下での維持から得られた結果
【表11】

【0202】
実施例12:医薬製剤
以下の医薬製剤の製剤例は、湿式造粒製造工程で、ヘミフマル酸アリスキレンの結晶形A(変形A)とともに有効成分である出発材料を用いて製造したものである。
【0203】
結晶形A(非晶質材料を伴わない状態ではまだ得られていないが)は、本開示の全般で上記されているように湿式造粒工程での医薬製剤の製造に好ましく用いられる。また、この結晶形は針状結晶束を形成する傾向があるが、結晶形Bも好ましく用いられる。
【0204】
表12:アリスキレン150mg(遊離塩基)非コーティング錠剤の組成(mg/単位)
【表12】

【0205】
表13:アリスキレン150mg(遊離塩基)非コーティング錠剤の組成(重量%)
【表13】

【0206】
表14:アリスキレン150mg(遊離塩基)非コーティング錠剤の組成(mg/単位)(内相/外相に分けられた)
【表14】

【0207】
表15:アリスキレン150mg(遊離塩基)非コーティング錠剤の組成(重量%)(内相/外相に分けられた)
【表15】

【0208】
実施例13:組成(湿式造粒により得られる)
表16:アリスキレン(上記の変形または形態の1つ、特に変形A)(投与形3)フィルムコーティング錠剤の組成(mg/単位)
【表16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘミフマル酸アリスキレンの結晶形(この「結晶形」には溶媒和物形が含まれる)。
【請求項2】
80〜110℃の範囲の融解温度を有する、請求項1に記載の結晶形。
【請求項3】
90〜105℃の範囲の融解温度を有する、請求項1に記載の結晶形。
【請求項4】
2θ+/−0.3°:6.0、7.3、8.6、9.2、9.9、15.0、17.2および17.9において得られる主要ピークを示すX線粉末回折図を特徴とする、変形Aと呼ばれる請求項1〜3のいずれか一項に記載の結晶形。
【請求項5】
2θ+/−0.3°:6.0、7.3、8.6、9.2、9.9、15.0、17.2、17.9、19.2、19.7、20.1においてピークとして得られるX線粉末回折図を特徴とする、変形Aと呼ばれる請求項1〜4のいずれか一項に記載の結晶形。
【請求項6】
下図:
【表1】

に相当するX線粉末回折図を有する、請求項5に記載の結晶形。
【請求項7】
好ましくは10K/分の加熱速度において90〜100℃、特に96〜98℃の範囲の融点を有する、請求項4〜6のいずれか一項に記載の結晶形。
【請求項8】
ヘミフマル酸アリスキレンの総量に対して20重量%、好ましくは30重量%以上、特に40重量%以上の純度を有する、請求項4〜7のいずれか一項に記載の結晶形。
【請求項9】
ヘミフマル酸アリスキレンの総量に対して50重量%以上の純度を有する、請求項4〜7のいずれか一項に記載の結晶形。
【請求項10】
加えて、下記の特性:
アセトニトリル:エタノールの比が80:20〜99:1、より好ましくは85:15〜90:10、特に87:13の範囲の溶液から、15〜40℃の範囲の温度で、次いで、好ましくは変形Aの種結晶を加えた後に(例えば37℃)、37℃から17℃に冷却し、再び37℃に加温し、この冷却と加温を繰り返し、その後、22℃に冷却し;溶媒を留去し;ヘミフマル酸アリスキレンとアセトニトリルの重量比約8:23でアセトニトリルを加え、約20℃で維持し、約0〜5℃、例えば3℃に冷却し、濾過および洗浄(好ましくは母液で)を行った後に乾燥させて得ることができること;および/または
融解エンタルピーが10K/分の加熱速度において29±7(標準偏差)J/gの範囲であること
の1以上、好ましくは1つまたは2つを有する、請求項4〜9のいずれか一項に記載の結晶形。
【請求項11】
2θ+/−0.3°:3.8、6.5、7.7、8.0、15.6および17.4において得られる主要ピークを示すX線粉末回折図を特徴とする、変形Bと呼ばれる請求項1〜3のいずれか一項に記載の結晶形。
【請求項12】
2θ+/−0.3°:3.8、6.5、7.7、8.0、13.8、14.5、15.6、17.4においてピークとして得られるX線粉末回折図を特徴とする、変形Bと呼ばれる請求項1〜3または11のいずれか一項に記載の結晶形。
【請求項13】
下図:
【表2】

のものに相当するX線回折図を有する、請求項12に記載の結晶形。
【請求項14】
好ましくは10K/分の加熱速度において、95〜105℃、特に99〜102℃の範囲の融点を有する、請求項11〜13のいずれか一項に記載の結晶形。
【請求項15】
20重量%、好ましくは30重量%以上、特に40重量%以上の純度を有する、請求項11〜14のいずれか一項に記載の結晶形。
【請求項16】
50重量%以上の純度を有する請求項11〜15のいずれか一項に記載の結晶形。
【請求項17】
総ヘミフマル酸アリスキレンに対して90重量%以上、好ましくは95重量%以上の純度を有する、請求項11〜16のいずれか一項に記載の結晶形。
【請求項18】
加えて、下記の特性:
アセトニトリル:エタノールの重量比(w/w)が90:10〜75:25(例えば80:20)の範囲の溶液から、15〜40℃の範囲の適当な温度で、例えば37℃から35℃に冷却し、特に曇りが生じた後にはさらに20℃まで引き下げてヘミフマル酸アリスキレンを結晶化させ、濾過し、例えば、40℃、10ミリバール下で真空乾燥させて得ることができること;および/または
融解エンタルピーが10K/分の加熱速度において56±8(標準偏差)J/gの範囲であること
の1以上、好ましくは1つまたは2つを有する、請求項11〜17のいずれか一項に記載の結晶形。
【請求項19】
2θ+/−0.3°におけるピーク:ピーク(°2θ):4.5、5.9、7.1、14.8、16.8、18.0、19.1および20.7、より好ましくは、4.5、5.9、7.1、8.6、9.1、11.0、11.2、13.2、14.2、14.8、15.2、16.0、16.4、16.8、18.0、19.1、19.7、20.7、21.4、22.4、22.6として得られるX線回折図を特徴とする、特に、下図:
【表3】

のものに相当するX線回折図を有する、溶媒和物Sと呼ばれる溶媒和物である、請求項1に記載の結晶形。
【請求項20】
濾過および乾燥工程が省かれていること以外は請求項10に記載のように得ることができる、請求項19に記載の結晶形。
【請求項21】
2θ+/−0.3°におけるピーク:ピーク(°2θ):6.7、7.2、8.0、12.2、15.6、16.9、17.3および18.3、より好ましくは、3.7、6.1、6.4、6.7、7.2、8.0、10.0、11.1、12.2、15.6、16.9、17.3、18.3、18.7、19.5として得られるX線回折図を特徴とする、特に、下図:
【表4】

のものに相当するX線回折図を有する、溶媒和物Sと呼ばれる溶媒和物である、請求項1に記載の結晶形。
【請求項22】
濾過および乾燥工程が省かれていること以外は請求項18に記載のように得ることができる、請求項21に記載の結晶形。
【請求項23】
2θ+/−0.3°におけるピーク:ピーク(°2θ):5.4、7.4、8.7、9.1、10.3、15.4、16.0および18.2、より好ましくは、5.4、7.4、8.7、9.1、10.3、11.3、11.7、12.3、14.2、15.1、15.4、16.0、16.6、17.8、18.2、19.4、19.9、20.2として得られるX線回折図を特徴とする、特に、下図:
【表5】

のものに相当するX線回折図を有する、タイプIIIと呼ばれる溶媒和物である、請求項1に記載の結晶形。
【請求項24】
請求項4〜10のいずれか一項に記載のような変形Aから、ジオキサン、テトラヒドロフランおよび/または酢酸エチル雰囲気下でそれを維持することによって得ることができる、請求項23に記載の結晶形。
【請求項25】
2θ+/−0.3°におけるピーク:ピーク(°2θ):4.5、5.9、7.2、8.6、9.2、10.0、11.1、15.0および16.0、より好ましくは、4.5、5.9、7.2、8.6、9.2、10.0、11.1、11.6、15.0、16.0、17.4、17.9、19.2、21.7として得られるX線回折図を特徴とする、特に、下図:
【表6】

のものに相当するX線回折図を有する、タイプIVと呼ばれる溶媒和物である、請求項1に記載の結晶形。
【請求項26】
非晶質ヘミフマル酸アリスキレンから、アセトニトリル雰囲気下でそれを維持することによって得ることができる、請求項25に記載の結晶形。
【請求項27】
2θ+/−0.3°におけるピーク:ピーク(°2θ):4.6、5.9、7.1、9.2、11.2、14.8、16.4、16.9および19.2、より好ましくは、4.6、5.9、7.1、8.4、9.2、11.2、11.6、12.1、12.8、14.8、16.4、16.9、18.5、19.2、19.8、20.8、21.4、21.8、23.3として得られるX線回折図を特徴とする、特に、下図:
【表7】

のものに相当するX線回折図を有する、タイプVIと呼ばれる溶媒和物である、請求項1に記載の結晶形。
【請求項28】
請求項4〜10のいずれか一項に記載のような変形Aから、エタノールおよび/またはメタノール雰囲気下でそれを維持することによって得ることができる、請求項27に記載の結晶形。
【請求項29】
2θ+/−0.3°におけるピーク:ピーク(°2θ):6.5、8.0、14.6および15.5として得られるX線回折図を特徴とする、特に、下図:
【表8】

のものに相当するX線回折図を有する、タイプIと呼ばれる溶媒和物である、請求項1に記載の結晶形。
【請求項30】
酢酸エチルおよび/または酢酸メチル雰囲気下でそれを維持することによって非晶質材料から結晶化させることにより得ることができる、請求項29に記載の結晶形。
【請求項31】
2θ+/−0.3°におけるピーク:ピーク(°2θ):4.4、6.7、15.4および16.6、より好ましくは、4.4、6.7、9.4、11.6、15.4、16.6、19.7として得られるX線回折図を特徴とする、特に、下図:
【表9】

のものに相当するX線回折図を有する、タイプIIと呼ばれる溶媒和物である、請求項1に記載の結晶形。
【請求項32】
請求項4〜10のいずれか一項に記載の変形Aから、および/または非晶質ヘミフマル酸アリスキレンから、tert−ブチルメチルエーテル雰囲気下でそれを維持することによって得ることができる、請求項31に記載の結晶形。
【請求項33】
2θ+/−0.3°におけるピーク:ピーク(°2θ):3.7、6.5、8.0、14.6、15.5、17.2、18.8および20.1、より好ましくは、3.7、6.3、6.5、7.2、8.0、9.6、10.1、12.4、14.6、15.1、15.5、17.2、17.7、18.8、19.3、19.6、20.1、22.1、23.1として得られるX線回折図を特徴とする、特に、下図:
【表10】

のものに相当するX線回折図を有する、タイプVと呼ばれる溶媒和物である、請求項1に記載の結晶形。
【請求項34】
請求項4〜10のいずれか一項に記載の変形Aからペンタノール雰囲気下でそれを維持することによって、および/または非晶質ヘミフマル酸アリスキレンからn−ブタノール、2−プロパノール、1−ヘキサノールまたはエタノール雰囲気下でそれを維持することによって得ることができる、請求項33に記載の結晶形。
【請求項35】
ヘミフマル酸アリスキレンのイソプロパノール溶液から、貧溶媒としてヘプタンを用いて沈殿させることによって得ることができる、S型と呼ばれる溶媒和物である、請求項1に記載の結晶形。
【請求項36】
ヘミフマル酸アリスキレンのエタノール溶液から、貧溶媒としてヘプタンを用いて沈殿させることによって得ることができ、好ましくは以下の化学量論(stochiometry):アリスキレン分子1、フマル酸基1/2および溶媒分子3を有し、より好ましくは下記の特性:
【表11】

GOF=適合度
を有する単結晶である、S型と呼ばれる溶媒和物である、請求項1に記載の結晶形。
【請求項37】
ヒトの処置(この用語は治療および/または予防を含む)に用いるための、特に、AT受容体を遮断することによって調節可能な温血動物における疾患の処置に用いるための、請求項1〜36のいずれか一項に記載の結晶形。
【請求項38】
AT受容体を遮断することによって調節可能な温血動物における疾患の処置に有用な医薬製剤の製造のための、請求項1〜36のいずれか一項に記載の結晶形の使用。
【請求項39】
AT受容体を遮断することによって調節可能な温血動物における疾患の処置に有用な医薬製剤の製造のための方法であって、請求項1〜36のいずれか一項に記載の結晶形と少なくとも1種類の薬学的に許容される担体材料を混合することを含む、方法。
【請求項40】
請求項1〜36のいずれか一項に記載の結晶形と薬学的に許容される担体材料を含む、医薬製剤。
【請求項41】
ヒトにおいてAT受容体を遮断することによって調節可能な疾患の処置に用いるための、請求項40に記載の医薬製剤。
【請求項42】
処置を必要とする温血動物、特に、処置を必要とするヒトのAT受容体を遮断することによって調節可能な疾患の処置方法であって、請求項1〜36のいずれか一項に記載の結晶形を該疾患の予防および/または処置に有効な量で投与することを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−508370(P2010−508370A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535613(P2009−535613)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/009573
【国際公開番号】WO2008/061622
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】