説明

ベッド搬送補助装置およびベッド

【課題】走行台車がベッドに対して安定良く取付けられ得るベッド搬送補助装置を提供する。
【解決手段】ベッド搬送補助装置1は、操作されることで操作信号を送信する操作機2と、操作信号を受信して操作信号に基づいて走行する走行台車3を有する。走行台車3には、ベッド30に係止しかつベッド30に上方の力を付与する上方力付与部材20およびベッド30に係止しかつベッド30に下方の力を付与する下方力付与部材21が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャスタを有する対象物(例えばベッド、荷台、機器)の搬送をアシストする搬送補助装置と搬送補助装置が装着されるベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のベッド搬送補助装置は、台車本体と、台車本体の下部に設けられる左右の駆動輪と、各駆動輪を回転させる各モータと、台車本体の上部に設けられる操作機と、操作機の左右部のそれぞれに加えられた押圧力を検知する左右のセンサと、左右のセンサからの信号に基づいて各モータの出力を制御するコントローラと、台車本体をベッドに連結する連結機を有する。
【0003】
特許文献1の図14に示す連結機は、台車本体の下部からベッドに延出してベッドの下部を下側から押圧する下側連結器と、台車本体の上部からベッドに延出してベッドの上部に吸着する電磁石を備える上側連結器を有する。操作機の左右部が看護師によって押されると、左右のセンサが信号を出力し、コントローラが左右のセンサからの信号に基づいて各駆動輪の回転速度を決定する。台車本体は、駆動輪の速度差によって方向が決定され、駆動輪の回転によってベッドを押す。これにより看護師等は、台車本体の力を利用して一人でベッドを搬送することができる。
【0004】
特許文献2に記載のベッド搬送補助装置は、ベッドの一端部に位置する看護師によって操作される操作機と、ベッドの他端部側に取付けられる走行台車を有する。走行台車は、ベッドの下に設置される台車本体と、台車本体から上方に延出してベッドを持上げる支持部と、一対の駆動輪と、各駆動輪を回転させる各モータと、各モータの出力を制御するコントローラを有する。
【0005】
特許文献2に記載の操作機は、ボタンと、ボタンの回転角度を検知するポテンショメータを有する。看護師等は、ベッドの一端部を片手で押しながら、他の手で操作機のボタンを操作する。ボタンの操作によってコントローラが各駆動輪の回転速度を決定する。駆動輪の速度差によって台車本体の方向が決定され、駆動輪の回転によってベッドを牽引する。これにより看護師等が一人でベッドを搬送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−317953号公報
【特許文献2】特開平10−146364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしベッドを搬送する際に、走行台車とベッドの間に大きな力が加わる場合がある。例えばベッドを大きく方向変換をする場合、あるいは患者を乗せたベッドの重心と走行台車の中心の位置がずれた場合等に大きな力が加わる。したがって走行台車がベッドに対して安定良く取付けられ得るベッド搬送補助装置が従来必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明は、各請求項に記載の通りの構成を備える搬送補助装置であることを特徴とする。一つの特徴によると本発明は、操作されることで操作信号を送信する操作機と、操作信号を受信して操作信号に基づいて走行する走行台車を有する。走行台車には、対象物に係止しかつ対象物に上方の力を付与する上方力付与部材および対象物に係止しかつ対象物に下方の力を付与する下方力付与部材が設けられる。
【0009】
したがって上方力付与部材と下方力付与部材は、協働して対象物をクランプする。そのため走行台車と対象物は、これらの間に力が加わった場合でもがたつき難い。例えば対象物を大きく方向変換をする場合、あるいは対象物であるベッドに患者を乗せた際のベッドの重心と走行台車の中心の位置がずれた場合等に走行台車と対象物の間に左右方向のねじれ力が生じる。また対象物が障害物を乗り越える場合、あるいは床面が傾斜または凹凸を有する場合に走行台車と対象物の間に上下方向の力が生じる。これら力が生じた場合でも上方力付与部材と下方力付与部材によって走行台車と対象物ががたつき難く、走行台車が対象物に対して安定良く取付けられ得る。
【発明の効果】
【0010】
本構成によると、走行台車が対象物に対して安定良く取付けられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ベッドとベッド搬送補助装置の斜視図である。
【図2】ベッドとベッド搬送補助装置の側面図である。
【図3】ベッド搬送補助装置の操作機の斜視図である。
【図4】ベッド搬送補助装置の走行台車の斜視図である。
【図5】走行台車の前方からの断面図である。
【図6】ベッド搬送補助装置のブロック図である。
【図7】ベッドが直進する際のベッドとベッド搬送補助装置の上面図である。
【図8】ベッドが曲って前進する際のベッドとベッド搬送補助装置の上面図である。
【図9】ベッドが横移動する際のベッドとベッド搬送補助装置の上面図である。
【図10】ベッドが旋回する際のベッドとベッド搬送補助装置の上面図である。
【図11】他の旋回・横移動用操作部材を備える操作機の一部斜視図である。
【図12】走行台車が所定速度よりも遅い際の左右操作力差と操舵角の関係を示す図である。
【図13】走行台車が所定速度以上の際の左右操作力差と操舵角の関係を示す図である。
【図14】他の走行台車の斜視図である。
【図15】ベッドが直進する際のベッドとベッド搬送補助装置の上面図である。
【図16】ベッドが曲って前進する際のベッドとベッド搬送補助装置の上面図である。
【図17】ベッドが横移動する際のベッドとベッド搬送補助装置の上面図である。
【図18】ベッドが旋回する際のベッドとベッド搬送補助装置の上面図である。
【図19】キャスタを有する走行台車の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の1つの実施の形態を図1〜10にしたがって説明する。ベッド搬送補助装置1は、図1,4に示すように1人の看護師等によってベッド30を搬送する際にベッド30に装着される。
【0013】
ベッド30は、図1,2に示すようにフレーム30aとキャスタ30cとパネル30dを有する。フレーム30aは、金属製のパイプ材である複数の柱と横部材から構成される。キャスタ30cは、フレーム30aに取付けられてベッド30の下部の4隅に位置する。キャスタ30cは、フレーム30aに対して垂直軸周りに自由回転可能に取付けられる車軸と、車軸の両端部に装着される車輪を有する。パネル30dは、ベッド30の前端部と後端部において起立してフレーム30aに装着される。フレーム30aの上にはマットレス30bが設置され、マットレス30bの上に患者32が横たわり得る。
【0014】
ベッド搬送補助装置1は、図2に示すようにベッド30の長手方向(直進方向)の一端部に装着される操作機2と、ベッド30の長手方向の他端部に装着される走行台車3を有する。操作機2は、看護師等によって操作される操作機本体4と、操作機本体4をベッド30に装着する一対の装着機構5を有する。
【0015】
装着機構5は、図2,3に示すように金属製パイプの装着本体部材5aと、装着本体部材5aの先端部に取付けられる取付プレート5bと、装着本体部材5aの基端部に取付けられるカム5cを有する。装着本体部材5aは、ベッド30の一端部の上部を覆うように延出する。取付プレート5bは、ベッド30のパネル30dに対面してパネル30dに当接され得る。
【0016】
カム5cは、図3に示すように装着本体部材5aに回転可能に取付けられる。カム5cにはベッド30と反対方向に延出するレバー5eが取付けられる。カム5cは、レバー5eによって装着本体部材5aに対して回転されることで取付プレート5bとの距離が変化する外周面を有する。カム5cは、回転することで取付プレート5bと協働してベッド30のパネル30dまたはフレーム30aを挟む。これにより操作機2がベッド30の一端部に取外し可能に装着される。
【0017】
操作機本体4は、図3に示すように棒状である。操作機本体4と装着本体部材5aの間には、ばね6a,6bが設けられる。ばね6a,6bは、スパイラルスプリングであって、一端部が操作機本体4の左部または右部に取付けられ、他端部が各装着本体部材5aに装着される。ばね6aに右センサ7aが装着され、ばね6bに左センサ7bが装着される。右センサ7aと左センサ7bは、ばね6a,6bのひずみ量を検知するひずみゲージ等である。右センサ7aと左センサ7bは、操作機本体4の右部と左部に加えられた力に対応した方向と大きさに対応した検知信号を送信する。
【0018】
操作機本体4の一端部には、図3に示すようにグリップ4aが設けられ、他端部には、旋回・横移動用操作部材9が装着される。グリップ4aは、操作機本体4に対して移動不能であり、看護師31の一方の手によって把持される。旋回・横移動用操作部材9は、操作機本体4に対して操作機本体4を軸中心に回転可能に装着され、看護師31の他方の手によって把持される。旋回・横移動用操作部材9は、図示省略の付勢部材によって初期位置に付勢されて、操作機本体4に対して前方回転と後方回転の両方向に回転され得る。
【0019】
操作機本体4内には図3に示すように操作量検知センサ33が設けられる。操作量検知センサ33は、旋回・横移動用操作部材9の操作機本体4に対する位置を検知して、旋回・横移動用操作部材9の操作機本体4に対する移動方向と移動量に応じた信号を発信する。操作量検知センサ33は、例えば旋回・横移動用操作部材9の操作機本体4に対する角度を検出するポテンショメータである。
【0020】
操作機本体4には、図3に示すように送信機8が設けられる。送信機8は、電気配線によって左センサ7bと右センサ7aと操作量検知センサ33と接続される。送信機8は、センサ(7a,7b,33)から受信した信号を無線で送信、あるいはベッド30のフレーム30aに送信する。
【0021】
走行台車3には、図2,4に示すように上方力付与部材20と下方力付与部材21が装着される。上方力付与部材20は、走行台車3に上下方向に移動可能に取付けられる。上方力付与部材20は、一対のフック20aと一対のフック20aを連結する連結部材20bを有する。フック20aは、走行台車3からベッド30に向けて張出している。連結部材20bは、リフタ22に連結され、リフタ22によって昇降される。
【0022】
リフタ22は、図2,4に示すように棒状であって中央部22aが走行台車3に回転可能に取付けられる。リフタ22は、走行台車3から突出する先端部22bを有し、先端部22bによって力が加えられ得る。リフタ22の基端部22cは、弾性部材19を介して連結部材20bに連結される。
【0023】
弾性部材19は、図4に示すようにスプリングばね等であって、一端部が連結部材20bに取付けられ、他端部がリフタ22の端部に取付けられる。リフタ22は、先端部22bが押し下げられた場合に上方力付与部材20を持上げる。先端部22bが持上げられた場合は上方力付与部材20を下降させる。
【0024】
上方力付与部材20は、図2,4に示すようにリフタ22によって持上げられることでフック20aがベッド30の下部に係止する。フック20aは、ベッド30に係止しかつベッド30に上方への力を付与する。これにより上方力付与部材20は、ベッド30の一端部を支える。上方力付与部材20のベッド30から受ける力が所定以上になると、弾性部材19が弾性変形する。
【0025】
弾性部材19は、図2,4に示すように弾性変形することで上方力付与部材20を付勢し、上方力付与部材20がベッド30を上方に押す。上方力付与部材20がベッド30を上方に押す力は、弾性部材19の特性によって第1力以上でかつ第2力以下になる。付勢力が第2力以下であることによってベッド30のキャスタ30cが床から浮くことが抑制され、ベッド30が搬送時に左右に大きく揺れることがキャスタ30cによって規制され得る。付勢力が第1力以下であることで、上方力付与部材20がベッド30から受ける下方への反力が小さくなり過ぎることが抑制される。これにより走行台車3の駆動輪13の床に対する摩擦力が所定以上になり、駆動輪13が床の上を滑ることが抑制され得る。
【0026】
下方力付与部材21は、図2,4に示すように金属製パイプ等であって2つの縦部材21aと2つの張出部材21bと1つの横部材21cを有する。2つの縦部材21aは、走行台車3から上方に延出する。張出部材21bは、縦部材21aの各上端部からベッド30に向けて張出し、ベッド30の上端部に係止され得る。横部材21cは、張出部材21bの各先端部から下方に延出しかつ水平方向に延出して2つの張出部材21bを連結する。縦部材21aは、高さ調整具21dによって走行台車3に対して上下方向に位置調整される。縦部材21aは、張出部材21bがベッド30の上端部に係止しベッド30に対して下方への力を付与し得るように位置調整される。
【0027】
走行台車3は、図5に示すように略箱形状の台車ベース11と、台車ベース11の底面に形成された開口部に位置して台車ベース11に回転可能に取付けられる回転プレート15を有する。回転プレート15には、駆動源14と車軸12が設けられる。駆動源14は、電力によってトルクを出力するモータと、モータの出力トルクを車軸12に伝達するギアを有する。車軸12の両端部には、駆動輪13が取付けられる。駆動輪13は、回転プレート15に形成された穴を貫通して回転プレート15から下方に突出する。回転プレート15には、駆動輪13の回転速度を検出する速度センサ35が装着される。
【0028】
台車ベース11には、図5に示すように方向変換源16とバッテリ17と制御装置18が設けられる。方向変換源16は、電力によってトルクを出力するモータと、モータの出力トルクを回転プレート15の回転力に変換するギアを有する。これにより回転プレート15は、台車ベース11に対して水平面上で回転する。台車ベース11には、回転プレート15の台車ベース11に対する角度を検出する位置センサ34が設けられる。バッテリ17は、方向変換源16と制御装置18と駆動源14に電力を供給する。
【0029】
制御装置18は、図5,6に示すように受信機18aと複数の制御回路(方向制御回路18b、走行トルク制御回路18c、横移動・旋回制御回路18d)を有する。受信機18aは、操作機2の送信機8からの信号を無線であるいはベッド30のフレーム30aを介して受信する。
【0030】
方向制御回路18bは、図5,6に示すように受信機18aから得た左センサ7bと右センサ7aからの信号に基づいて操作機2の左右に加わった力差を算出する。次に方向制御回路18bは、力差の正負によって方向変換源16を制御して回転プレート15の回転方向を決定する。次に方向制御回路18bは、力差の大きさによって回転プレート15の台車ベース11に対する角度を決定する。
【0031】
方向制御回路18bは、図5,6に示すように位置センサ34からの信号に基づいて回転プレート15の回転方向と回転量を確認しつつ、回転プレート15が台車ベース11に対して所定の角度になるように方向変換源16によって回転プレート15を回転させる。
【0032】
方向制御回路18bは、左右の力差が所定以上であると判断した場合、あるいは左右の力差が所定以上に急激に変化したと判断した場合には、方向変換源16を制御して台車ベース11に対する回転プレート15の回転を停止する。これによりベッド30が急に方向が変わることが避けられ得る。
【0033】
走行トルク制御回路18cは、受信機18aを介して得た左センサ7bと右センサ7aからの信号に基づいて操作機2に加わった左右の力の和を求める。次に走行トルク制御回路18cは、力の和の正負によって駆動源14を制御して走行台車3の走行方向(前進または後進)を決定する。走行トルク制御回路18cは、力の和の大きさによって駆動源14を制御して車軸12に加えるトルクを制御する。
【0034】
走行トルク制御回路18cは、速度センサ35からの信号に基づいて車軸12の回転速度を得て、所定の回転速度以上(例えば人の歩行速度よりも高速)になった際に車軸12に加えられるトルクの大きさを抑制する。また走行トルク制御回路18cは、速度センサ35からの信号に基づいて車軸12の回転加速度を求め、所定の回転加速度以上になった際に車軸12に加えられるトルクの大きさを抑制する。これによりベッド30が不本意に高速あるいは急加速することが抑制され得る。
【0035】
走行トルク制御回路18cは、操作機2に加わる力の和が正と負の間で切り替わったと判断した場合、駆動源14を制御して車軸12の回転を所定時間停止させる。これによりベッド30が急に後退から前進にあるいは前進から後退に切り換えられることが避けられ得る。
【0036】
操作機2の右側に加わった力と左側に加わった力が同じ場合は、図7に示すように車軸12がベッド30の長手方向と直交する。看護師31等が操作機2を押した場合、ベッド30が直進し、操作機2を引いた場合はベッド30が真っ直ぐに後退する。
【0037】
操作機2の右側に加わった力が左側に加わった力よりも大きい場合、図8に示すように車軸12がベッド30の長手方向に直交する位置から図8において反時計回りに回転する。看護師31等がベッド30を押した場合、ベッド30が左方向に曲って前進する。操作機2の左側を引く力が右側を引く力よりも大きい場合、ベッド30が右方向に曲って後退する。
【0038】
操作機2の左側に加わった力が右側に加わった力よりも大きい場合、車軸12がベッド30の長手方向に直交する位置から図8において時計回りに回転する。看護師31等がベッド30を押した場合、ベッド30が右方向に曲って前進する。操作機2の右側を引く力が左側を引く力よりも大きい場合、ベッド30が左方向に曲って後退する。
【0039】
横移動・旋回制御回路18dは、受信機18aから得た操作量検知センサ33からの信号に基づいて旋回・横移動用操作部材9が操作されたか否かを判断する。横移動・旋回制御回路18dは、旋回・横移動用操作部材9が操作されたと判断した場合、方向変換源16を制御して車軸12をベッド30の長手方向と略平行にする。
【0040】
次に横移動・旋回制御回路18dは、操作量検知センサ33からの信号に基づいて旋回・横移動用操作部材9の操作方向と操作量を判断する。横移動・旋回制御回路18dは、旋回・横移動用操作部材9が正方向に操作されたと判断した場合、駆動源14によって車軸12を一方向へ回転させ、旋回・横移動用操作部材9が負方向に操作されたと判断した場合には車軸12を一方向と反対方向に回転させる。横移動・旋回制御回路18dは、旋回・横移動用操作部材9の操作量に比例して駆動源14から車軸12に加えられるトルクの大きさを決定する。
【0041】
看護師31等が図9,10に示すように右手によって旋回・横移動用操作部材9を前方に回転させると、車軸12がベッド30の長手方向に向き、走行台車3がベッド30の短手方向(長手方向と直交する方向)の一方向に移動する。図9に示すように看護師31等が走行台車3と同方向にベッド30を押すと、ベッド30は、ベッド30の短手方向の一方向に横移動する。図10に示すように看護師31等が走行台車3と逆方向にベッド30を押すと、ベッド30は、その場において旋回する。
【0042】
看護師31等が旋回・横移動用操作部材9を操作し、かつ操作機2を押すまたは引いた場合は、横移動・旋回制御回路18dが他の回路(方向制御回路18bと走行トルク制御回路18c)に対して優先して方向変換源16と駆動源14を制御する。これにより走行台車3は、前進または後退せずにベッド30の短手方向に移動する。
【0043】
以上のようにベッド搬送補助装置1は、図2に示すように操作されることで操作信号を送信する操作機2と、操作信号を受信して操作信号に基づいて走行する走行台車3と、走行台車3から張出してベッド30に係止しかつベッド30に上方の力を付与する上方力付与部材20と、走行台車3から張出してベッド30に係止しかつベッド30に下方の力を付与する下方力付与部材21を有する。
【0044】
したがって上方力付与部材20と下方力付与部材21は、図2に示すように協働してベッド30をクランプする。そのため走行台車3とベッド30は、これらの間に力が加わった場合でもがたつき難い。例えばベッド30を大きく方向変換をする場合、あるいは患者32を乗せたベッド30と走行台車3の中心がずれた場合等に走行台車3とベッド30の間に左右方向のねじれ力が生じる。またベッド30が障害物を乗り越える場合、あるいは床面が傾斜または凹凸を有する場合に走行台車3とベッド30の間に上下方向の力が生じる。これら力が生じた場合でも上方力付与部材20と下方力付与部材21によって走行台車3とベッド30ががたつき難く、走行台車3がベッド30に対して安定良く取付けられ得る。
【0045】
上方力付与部材20と下方力付与部材21は、図2に示すようにそれぞれ走行台車3からベッド30に張出してベッド30に係止する。そのためベッド30の下側のスペースが狭く走行台車3をベッド30の下に設置することが容易でない場合等でも上方力付与部材20と下方力付与部材21を利用することで走行台車3がベッド30に容易かつ確実に取付けられ得る。上方力付与部材20と下方力付与部材21がベッド30に加える力は反対方向である。そのため上方力付与部材20がベッド30に力を加える反力によって生じる走行台車3の上下方向の回転力は、下方力付与部材21がベッド30に加える力に変換される。下方力付与部材21がベッド30に力を加える反力によって生じる走行台車3の上下方向の回転力は、上方力付与部材20がベッド30に加える力に変換される。かくして上方力付与部材20と下方力付与部材21は、効果良くベッド30に力を加え得る。
【0046】
図1に示すように操作機2がベッド30の一端部に装着され、走行台車3が上方力付与部材20と下方力付与部材21によってベッド30の他端部に装着される。したがってベッド30は、一端部が走行台車3から力を受け、他端部が看護師31等から力を受ける。そのためベッド30は、一端部のみから力を受ける場合に比べて小さな力で方向が変えられ得る。かくしてベッド30は、安定良く所定方向に搬送され得る。また看護師31は、ベッド30を1人で搬送しつつ患者32の状態を確認することもできる。
【0047】
走行台車3は、図2に示すように上方力付与部材20をベッド30に当接させかつ上方に付勢する弾性部材19を有する。したがって上方力付与部材20がベッド30に加える上方の力は、弾性部材19の弾性力によって所望の大きさに設定される。そのため例えばベッド30の下部に設けられたキャスタ30cが床から完全に浮くことを避けることができる。これによりキャスタ30cが床から浮いた状態でベッド30を搬送した際にベッド30が大きく傾くことを抑制し得る。あるいは上方力付与部材20がベッド30に加える反力が小さくなり過ぎることを避けることができる。これにより走行台車3と床の間に生じる摩擦力を十分に大きく確保でき、走行台車3が床の上を滑ることでエネルギーが損失することが軽減され得る。
【0048】
走行台車3は、図5に示すように台車ベース11と、台車ベース11に方向変換可能に装着される車軸12と、車軸12を台車ベース11に対して方向変換させる方向変換源16と、車軸12を回転させて車軸12に取付けられた駆動輪13を回転させる駆動源14を有する。したがって車軸12を方向変換させることで走行台車3の進行方向を変えることができる。そのため少ないエネルギーで進行方向を変え得る。例えば2つの駆動輪の速度差によって走行台車の進行方向を変える場合、駆動輪が床の上を滑るが、本形態では車輪の滑りが軽減される。そのため少ないエネルギーで走行台車3の進行方向を変え得る。
【0049】
操作機2は、図3,5に示すように操作機2の左側に加えられた力を検知する左センサ7bと、操作機2の右側に加えられた力を検知する右センサ7aを有する。走行台車3には、左センサ7bと右センサ7aからの信号に基づいて操作機2に加えられた左右の力の差を求めて前記差によって方向変換源16を制御して車軸12の台車ベース11に対する方向を決定する方向制御回路18bが設けられる。
【0050】
したがってベッド30の進行方向は、図8に示すように看護師31等の従前の操作によって変えられえ得る。例えば看護師31等は、ベッド30を右方向に曲げて進行させたい場合、操作機2を介してベッド30の左側を右側よりも強く押す。ベッド30を左方向に曲げて進行させたい場合は、操作機2を介してベッド30の右側を左側よりも強く押す。方向制御回路18bは、看護師31等が加える操作機2に加える左右の力差によって車軸12の方向を決定する。これによりベッド30の進行方向を好適に変えることができる。
【0051】
操作機2は、図9,10に示すようにベッド30を旋回させる際またはベッド30をベッド30の長手方向に対して直交する方向に横移動させる際に操作される旋回・横移動用操作部材9と、旋回・横移動用操作部材9の操作量を検知する操作量検知センサ33を有する。走行台車3には、操作量検知センサ33からの信号に基づいて旋回・横移動用操作部材9が操作された際に方向変換源16を制御して車軸12の向きをベッドの長手方向に決定し、かつ旋回・横移動用操作部材9の操作量によって駆動源14を制御して車軸12に加えられる回転トルクの大きさを決定する横移動・旋回制御回路18dが設けられる。
【0052】
したがってベッド30の一端に位置する看護師31等は、ベッド30を旋回させたい場合または横移動させたい場合、旋回・横移動用操作部材9を操作する。これによりベッド30の他端部に装着された走行台車3が短手方向に移動する。看護師31等は、ベッド30の一端部を走行台車3と同じ方向に移動させることで、ベッド30を横移動させることができ、ベッド30の一端部を走行台車3と逆方向に移動させることで、ベッド30を旋回させることができる。
【0053】
旋回・横移動用操作部材9は、初期位置に対して両方向に操作可能である。横移動・旋回制御回路18dは、旋回・横移動用操作部材9の各方向に対応する操作量検知センサ33からの信号に基づいて車軸12の回転方向を決定する。したがって1つの旋回・横移動用操作部材9の操作方向によってベッド30を左右両方向に移動または左右両方向に旋回させ得る。そのため旋回・横移動用操作部材9を操作機2の左右両側に設ける場合に比べ、操作機2が簡易に構成され得る。
【0054】
操作量検知センサ33が信号を送信した際に、横移動・旋回制御回路18dが方向制御回路18bよりも優先して方向変換源16と駆動源14を制御する。したがってベッド30が不本意な方向に移動等することが抑制され得る。
【0055】
操作機2は、図6に示すように操作信号をベッド30のフレーム30aに送信する送信機8を有する。走行台車3は、操作信号をベッド30のフレーム30aを経由して受信する受信機18aを有する。したがって操作信号は、ベッド30のフレーム30aを経由して操作機2から走行台車3に送信される。そのため操作信号が走行台車3に確実に送信される。また電波が外部に発信される量を軽減することができ、これにより該電波による他の機器への影響を少なくし得る。また操作機2と走行台車3を接続するワイヤ等も不要である。
【0056】
走行トルク制御回路18cは、走行台車3が単独でベッド30を牽引するトルクよりも小さなトルクを出力するように駆動源14を制御する。また走行トルク制御回路18cは、操作機2が操作されていないと判断した際に駆動源14を制御して走行台車3を停止させる。したがってベッド30が走行台車3のみによって移動されることが規制される。
【0057】
走行トルク制御回路18cは、患者32を乗せたベッド30を搬送するために必要な力の50〜90%にて走行台車3を牽引するように駆動源14を制御する。したがってベッド30が走行台車3のみによって移動されることが規制される。
【0058】
操作機2と走行台車3は、図2〜4に示すようにベッド30に対して取外すことができる。したがってベッド搬送補助装置1は、他のベッド30を搬送する際に利用でき、複数のベッド30の搬送用に利用され得る。またベッド30の洗浄時に操作機2と走行台車3をベッド30から取外すことでベッド30は容易に洗浄され得る。
【0059】
操作機2と走行台車3は、図2〜4に示すようにベッド30に個別に取付けられる。したがって操作機2と走行台車3は、ベッド30から取外した際に小型になり、容易に持ち運ばれかつ収納され得る。
【0060】
本発明は、上記実施の形態に限定されず、以下の形態等であっても良い。例えば、図6に示すように送信機8は、無線またはベッド30のフレーム30aを介して走行台車3の受信機18aに信号を送信しても良いし、送信機8と受信機18aを接続する電気配線が設けられ、送信機8が電気配線を経由して受信機18aに信号を送信しても良い。
【0061】
図2に示すように上方力付与部材20は、ベッド30の下端部に係止されて上方への力を付与しても良いし、ベッド30の中央部または上部に係止されて上方への力を付与しても良い。下方力付与部材21は、ベッド30の上端部に係止されて下方への力を付与しても良いし、ベッド30の中央部または下部に係止されて下方への力を付与しても良い。
【0062】
図2に示すように弾性部材19は、リフタ22と上方力付与部材20の間に設けられても良いし、リフタ22を回転一方向に付勢して上方力付与部材20をベッド30に対して上方に向けて押し当てるばね等でも良い。
【0063】
図4に示すように下方力付与部材21は、調整具21dによって上下に位置調整されても良いし、リフタ22あるいは上方力付与部材20と連結されて上方力付与部材20と連動し、上方力付与部材20とともにベッド30をクランプする構成でも良い。
【0064】
図5に示すように走行台車3は、車軸12に取付けられる一対の駆動輪13を有していても良いし、一対の車軸と、各車軸に取付けられる駆動輪と、各車軸を軸回転させる各駆動源を有していても良い。
【0065】
図3に示すように操作機2は、右センサ7aと左センサ7bを有していても良いし、ヨーレートセンサなどのセンサを1つ有し、1つのセンサによって操作機本体4の左右に加えられた力を検知しても良い。右センサ7aと左センサ7bは、ひずみゲージでも良いし、操作機本体4と装着機構5の距離あるいは操作機本体4とベッド30の距離を測定するギャップセンサでも良いし、操作機本体4の装着機構5に対する角度あるいは操作機本体4のベッド30に対する角度を検出する角度センサでも良いし、操作機本体4に加ええられた圧力を測定する圧力センサあるいは力覚センサでも良い。
【0066】
図3に示すように旋回・横移動用操作部材9は、操作機本体4を軸中心として回転可能に操作機本体4に取付けられても良いし、一端部が操作機本体4に回転可能に取付けられて操作機本体4に対して傾動可能に取付けられるレバー等でも良いし、操作機本体4に対してスライド可能に取付けられるスイッチ等でも良いし、操作機本体4に押し込み可能に取付けられるボタン等でも良い。
【0067】
図3に示すように旋回・横移動用操作部材9は、操作機本体4の一端部に設けられても良いし、操作機本体4の両端部に設けられ、1つの旋回・横移動用操作部材の操作によって駆動輪が1方向に回転し、他の1つの旋回・横移動用操作部材の操作によって駆動輪が他の1方向に回転しても良い。
【0068】
図6に示すように送信機8は、ベッド30のフレーム30aを経由して受信機18aに送信する際、直流信号でも良いが、交流信号の方が好ましい。
【0069】
図6に示すように方向制御回路18bと走行トルク制御回路18cと横移動・旋回制御回路18dは、それぞれ走行台車3に設けられても良いし、操作機2に設けられても良い。
【0070】
操作機2と走行台車3は、図1に示すように別体でも良いし一体でも良い。図1に示すように操作機2がベッド30の一端部に装着され、走行台車3がベッド30の他端部に装着されても良いし、操作機2と走行台車3が同じベッド30の一端部に装着されても良い。
【0071】
搬送補助装置の搬送する対象物は、ベッド30でも良いし、キャスタを有する荷台、キャスタを有する機器でも良い。例えば荷台は、食事、医療器具、物品等を積載して病院あるいは工場内を搬送する。機器は、例えば医療機器等である。
【0072】
操作機2は、図3に示す旋回・横移動用操作部材9に代えて図11に示す旋回・横移動用操作部材40を有していても良い。操作機2は、左右のグリップ4aと左右のグリップ4aの間を延出するバー4bを有する。旋回・横移動用操作部材40は、バー4bに設けられて左のグリップ4aの近傍に位置する。旋回・横移動用操作部材40は、グリップ4aを握った使用者の手の指によって操作され得る。
【0073】
図11に示す旋回・横移動用操作部材9は、装着部材40aと回転部材40bと付勢部材40dを有する。装着部材40aは、バー4bの下部に装着される。回転部材40bは、垂直方向の軸線40c中心に回転可能に装着部材40aに取付けられる。付勢部材40dは、コイルばねである。付勢部材40dは、装着部材40aに取付けられた取付部材40eに係止される一端部と、回転部材40bに取付けられた取付部材40fに係止される他端部を有する。
【0074】
図11に示す付勢部材40dは、回転部材40bを初期位置に付勢する。回転部材40bは、使用者の親指等によって軸線40cに向けて押されつつ回転方向に力を受け得る。これにより回転部材40bは、力を安定良く受けつつ、初期位置から両方向に回転され得る。回転部材40bの回転量は、操作量検知センサ33によって検知される。回転部材40bを左方向に回転させることで走行台車3が左方向に進行し、回転部材40bを右方向に回転させることで走行台車が右方向に進行する。
【0075】
以上のように図11に示す旋回・横移動用操作部材40は、使用者の手によって把持される操作機2の左部の近傍に回転可能に設けられる。旋回・横移動用操作部材40は、左部を把持する手の指で操作され得る場所に位置する。そのため操作機2の左部に前後方向の力を加えつつ、旋回・横移動用操作部材40を操作することができる。
【0076】
図11に示す旋回・横移動用操作部材40は、操作機2の左部に代えて操作機2の右部の近傍に設けられても良い。付勢部材40dは、引張りコイルばねに代えてねじりコイルばねでも良い。
【0077】
図3に示す操作機2に図示省略の手を検知する手検知センサが設けられても良い。さらに図4に示す走行台車3にブレーキ装置が設けられても良い。手検知センサは、例えば赤外線センサ等の近接センサ、圧力センサ等のタッチセンサである。手検知センサは、右手検知センサと左手検知センサを含む。右手検知センサは、操作機2の右部に設けられて右部に右手が近接または当接したことを検知する。左手検知センサは、操作機2の左部に設けられて左部に左手が近接または当接したことを検知する。
【0078】
手検知センサは、図3に示す送信機8に信号を送信し、送信機8が信号を制御装置18に発信する。制御装置18は、ブレーキ装置を制御する手検知ブレーキ回路を有する。ブレーキ装置は、通常、走行台車3の走行を規制する制動力を発する。手検知ブレーキ回路は、操作機2に使用者の両手が近接または当接したと判断した際にブレーキ装置を解除する。これにより走行台車3の走行が許容される。その後、手検知ブレーキ回路は、使用者の両手が近接または当接していないと判断した際にブレーキ装置を制御して走行台車3の走行を規制する。
【0079】
以上のように操作機2が手検知センサを有し、走行台車3がブレーキ装置を有する。手検知ブレーキ回路が手検知センサの信号に基づいて手が操作機に近接または当接していないと判断した際にブレーキ装置を制御して走行台車の走行を規制する。そのため操作機2から使用者の手が離れた際、走行台車3が不本意に走行することが規制され得る。
【0080】
手検知センサは、右手検知センサと左手検知センサを含む。手検知ブレーキ回路は、右部に右手が近接または当接しかつ左部に左手が近接または当接したと判断した際にブレーキ装置を解除する。これにより走行台車3の走行を許容する。その後、手検知ブレーキ回路は、右部に右手が近接または当接しておらずかつ左部に左手が近接または当接していないと判断した際にブレーキ装置を制御して走行台車の走行を規制する。
【0081】
したがって両手で操作機2を操作しないと走行台車3を走行させることができない。そのため走行台車3が不本意に走行開始することが抑制され得る。走行台車3が走行開始した後は、操作機2から片手を外しても走行台車3が走行継続できる。そのため片手を操作機2から離して異なる作業しつつ、走行台車3を走行させることができる。両手を操作機2から外した場合は、再び走行台車3の走行が規制される。これにより不本意に走行台車3が走行することが規制され得る。
【0082】
手検知センサは、上記するように右手検知センサと左手検知センサを有しても良い。あるいは1つの手検知センサによって両手を検知しても良い。手検知ブレーキ回路は、走行台車3に設けられても良いし、操作機2に設けられても良い。
【0083】
操作機2または走行台車3に速度規制回路が設けられても良い。速度規制回路は、駆動源14を制御して走行台車3の速度を規制する。旋回・横移動用操作部材9が操作されていない場合、すなわち走行台車3が前進または後進する場合は、速度規制回路が走行台車3の速度を第1速度以下に規制する。旋回・横移動用操作部材9が操作された場合、すなわち横移動または旋回する場合は、速度規制回路が走行台車3の速度を第2速度以下に規制する。
【0084】
第1速度は、人の通常の歩行速度よりも遅い速度、例えば3km/時に設定される。これにより走行台車3が速すぎることで走行台車3の操舵が容易でなくなることを回避し得る。第2速度は、第1速度よりも遅く、例えば1km/時に設定される。横移動あるいは旋回の際は、一般に前進または後進よりも操作が難しい。横移動あるいは旋回の際、走行台車3の最高速度を遅く設定することで、容易に第2速度を得て、第2速度をキープできる。そのため走行台車3を容易に横移動あるいは旋回させ得る。
【0085】
操作機2には、走行台車3の速度が所定以上の際に警報を発する警報装置が設けられても良い。警報装置は、例えば光を発する発光器、音を発するスピーカを有する。警報装置は、警報回路によって制御される。警報回路は、操作機2または走行台車3に設けられる。警報回路は、速度センサ35からの信号に基づいて走行台車3の速度が所定速度以上か否か判断する。所定速度以上と判断した場合、警報装置を制御して警報装置によって警報を発する。所定速度は、例えば3km/時である。
【0086】
したがって走行台車3が所定速度以上になったことを使用者が警報によって知り得る。そのため使用者は、走行台車3が所定速度以下に走行するように気を付ける。これにより走行台車3が障害物にぶつかることを少なくし得る。
【0087】
警報回路は、上記警報装置に加え、あるいは代えて走行台車3のブレーキ装置あるいはパワーオフ装置を制御しても良い。警報回路は、走行台車3が所定速度以上の場合に、警報装置を作動させ、その後あるいは同時にブレーキ装置あるいはパワーオフ装置を制御する。ブレーキ装置は、走行台車3の速度を規制する。パワーオフ装置は、駆動源14への電力供給を停止する。これにより走行台車3の速度が所定速度以下に保持され得る。かくして走行台車3を短時間で停止させ得る。
【0088】
図14に示すように走行台車43は、バンパー45、バンパーセンサ46、ブレーキ装置、ブレーキ回路を有していても良い。バンパー45は、走行台車の前下部とサイド下部に設けられる。バンパー45は、比較的変形しやすい材質または構造を有する。バンパー45が障害物に接触して変形することで走行台車43の台車本体への衝撃が減少され得る。
【0089】
図14に示すバンパーセンサ46は、タッチセンサであって、バンパー45に障害物が接触した際にブレーキ回路に信号を発信する。ブレーキ回路は、前記信号を受信した際にブレーキ装置を制御して走行台車43に制動力を付与する。これにより走行台車43が受ける衝撃が小さくなる。
【0090】
走行台車3は、エリアセンサ、ブレーキ装置、ブレーキ回路を有していても良い。エリアセンサは、走行台車の近傍に障害物が有ることを検知してブレーキ回路に信号を発信する。ブレーキ回路は、前記信号を受信した際にブレーキ装置を制御して走行台車に制動力を付与する。これにより走行台車が障害物に衝突することを避け得る。あるいは走行台車が障害物に衝突する際の衝突を小さくし得る。
【0091】
方向制御回路18bは、図12,13に示すように操作機2の左右に加えられた力の差に応じて方向変換源16を制御して操舵角を決定する。操舵角は、車軸の角度である。操舵角がゼロの場合、車軸が対象物の長手に対して直交し、走行台車3が直進する。操舵角がプラスに大きくなると走行台車3が右方向へ曲り、マイナスに大きくなると左方向へ曲る。
【0092】
方向制御回路18bは、図12,13に示すように不感帯モードを有する。不感帯モードでは、操作機2の左右に加えられた力の差が不感帯41a,42a内の際に操舵角をゼロに保持する。使用者は、歩行する際に操作機2に加える力に左右差が生じやすい。不感帯モードは、この様な場合において走行台車3を安定良く直進させ得る。
【0093】
図12,13に示すように不感帯41a,42aは、速度に応じて設定される。速度が大きい際に不感帯41a,42aの大きさ(幅)が大きい。第1の不感帯41aは、走行台車が所定速度(例えば2km/時)よりも遅い際に適用される。第2の不感帯42aは、走行台車が所定速度以上の際に適用される。第2の不感帯42aの大きさは、第1の不感帯41aよりも大きく設定される。
【0094】
使用者は、歩行する際に操作機2に加える力に左右差が生じ、その差の大きさは、歩行速度が大きくなると大きくなる。これに対して不感帯41a,42aは、走行台車の速度に対応して設定される。そのため走行台車は、速度が速い場合に安定良く直進させ得る。一方、速度が遅い場合には、小さい左右の力差で操舵角を変え得る。そのため走行台車を操作しやすい。
【0095】
図12に示すように走行台車3が所定速度よりも遅く、不感帯41aを越えて左右の力差が大きい場合、操舵角が41b,41cのように徐々に大きくなる。図13に示すように走行台車3が所定速度以上に速く、不感帯41aを越えて左右の力差が大きい場合、操舵角が42bに示すように急上昇する。その後、42cのように操舵角が徐々に大きくなる。図13に示す42cと図12に示す41cは、同じ線上に位置する。
【0096】
したがって方向制御回路は、第1の不感帯41aと第2の不感帯42aを超えた範囲において走行台車3の速度によらずに車軸の方向を決定する制御モードを有する。したがって走行台車3は、速度によらずに操作力差によって同じ操舵角を得ることができる。これにより使用者は、意図した操舵角を得やすい。
【0097】
方向制御回路18bは、操舵角に最大限度角度を有しても良い。最大限度角度は、例えば45±15°に設定される。したがって方向制御回路18bは、車軸の角度を走行台車の直進方向に対して45±15°の最大角度以下に制限する。そのため使用者の押す力に対して走行台車3の進行方向が直交あるいは直交に近い角度になることが避けられる。これにより走行台車3が急に停止することが避けられ得る。あるいは使用者に反動が生じることが避けられ得る。
【0098】
走行台車3には、図5に示すようにバッテリ17が脱着可能に装着される装着器が設けられても良い。これにより複数のバッテリが装着器に交換して装着され得る。そのため走行台車3を連続して長く走行させ得る。装着器は、バッテリを上方からあるいは横方向から受け入れ得る。
【0099】
走行台車3は、一対の駆動輪を有し、駆動輪差を利用して走行方向を変える形態でも良い。
【0100】
走行台車3は、全方向車輪、例えばオムニホイール(登録商標)を有していても良い。走行台車3は、好ましくは3つ以上の全方向車輪を有し得る。
【0101】
走行台車3は、図15〜18に示すように回転プレート15に装着される一対の駆動源47,48と一対の駆動輪49,50を有していても良い。駆動源47,48は、それぞれ駆動輪49,50の車軸49a,50aを所定速度で回転させる。走行台車3は、図17に示すように駆動輪49,50の回転速度を検知する速度センサ51,52を有する。
【0102】
図15に示すように操作機2の左右部に加わった力が同じ場合、走行トルク制御回路18c(図6参照)が駆動輪49,50を同じトルクで走行、あるいは同じ速度で回転するように駆動源47,48を制御する。これによりベッド30が直進する。
【0103】
図16に示すように操作機2の左右部に加わった力に差が生じた場合、その差の大きさに対応して方向制御回路18b(図6参照)が回転プレート15を台車ベース11に対して回転させる。走行トルク制御回路18cは、駆動輪49,50を同じトルクで走行、あるいは同じ速度で回転するように駆動源47,48を制御する。これによりベッド30が曲って進行する。
【0104】
図17に示すようにベッド30を横方向へ移動する場合、使用者は、旋回・横移動用操作部材9を操作し、図示省略のスイッチを操作する。これにより横移動・旋回制御回路18dが回転プレート15を台車ベース11に対して駆動輪49,50の直進方向から90°回転させると共に駆動輪49,50を同じ速度で回転するように駆動源47,48を制御する。例えば看護師31が加える力が小さくなると、駆動輪49,50が出力するトルクの差が大きくなる。これにより走行台車3は、看護師31を補助しつつあるいは看護師31が力を付与することなくベッド30を横方向へ移動させ得る。
【0105】
図17に示すようにベッド30を旋回させる場合、使用者は、旋回・横移動用操作部材9を操作し、図示省略のスイッチを操作する。これにより横移動・旋回制御回路18dが回転プレート15を台車ベース11に対して駆動輪49,50の直進方向から90°回転させると共に駆動輪49,50を異なるトルクで回転するように駆動源47,48を制御する。看護師31が加える力が小さくなると、駆動輪49,50が出力するトルクの差が大きくなる。これにより走行台車3によって生じる回転中心60がベッド30の中心に近づく。これにより走行台車3は、看護師31を補助しつつあるいは看護師31が力を付与することなくベッド30を旋回させ得る。
【0106】
すなわち走行台車3は、図15〜18に示すように一対の駆動輪49,50と一対の駆動源47,48を有する。一対の駆動輪49,50は、台車ベース11に方向変換源16によって一体に方向変換される。各駆動源47,48は、各駆動輪49,50を回転させる。したがって走行台車3は、ベッド30を横方向に移動あるいは旋回させる際に看護師31を補助し得る。
【0107】
横移動・旋回制御回路18dは、図17に示すように横移動アシストモードを有する。横移動アシストモードにおいて横移動・旋回制御回路18dは、ベッド30を横移動させる際に一対の駆動輪49,50の速度差を小さくするように一対の駆動源47,48を制御する。これにより走行台車3は、ベッド30を横移動させる際に看護師31を補助し得る。
【0108】
横移動・旋回制御回路18dは、図18に示すように旋回アシストモードを有する。旋回アシストモードにおいて横移動・旋回制御回路18dは、ベッド30を旋回させる際にベッド30から遠い駆動輪49に加わるトルクをベッド30から近い駆動輪48に加わるトルクよりも大きくするように一対の駆動源47,48を制御する。これにより走行台車3は、ベッド30を旋回させる際に看護師31を補助し得る。
【0109】
図14に示すように走行台車43は、ジャッキ44を有していても良い。ジャッキ44は、杆44aとラチェット44bと力付与部材44cを有する。ラチェット44bは、走行台車43の本体43aに取付けられる。杆44aと力付与部材44cは、ラチェット44bから延出する。
【0110】
図14に示す杆44aは、本体43aから突出し、使用者によって往復動される。杆44aを往復動すると、杆44aに加えられた一方向のトルクがラチェット44bで増幅されて力付与部材44cに伝えられる。力付与部材44cがラチェット44bを中心に傾動し、上方力付与部材20を持上げる。例えば使用者は、足等によって杆44aを5、6回往復動させると、上方力付与部材20がベッド30に係止する。
【0111】
図19に示すように走行台車3にリフタ53とキャスタ56が設けられても良い。リフタ53は、杆54と連動竿55を有する。杆54は、先端部54aと第1連結部54bと第2連結部54cを有する。先端部54aは、台車本体から突出して使用者に操作され得る。第1連結部54bは、台車本体に回転可能に取付けられる。第2連結部54cは、上方力付与部材57と連動竿55に連結される。
【0112】
図19に示す連動竿55は、台車本体に上下動可能に装着される。連動竿55は、杆54に回転可能に連結される上端部と、キャスタ56が回転可能に取付けられる下端部を有する。杆54の先端部54aを上方に位置させると、キャスタ56が連動竿55によって押されて台車本体よりも下方に突出する。上方力付与部材57は、下方に移動してベッド30から外れる。
【0113】
図19に示す下方力付与部材58は、台車本体に位置調整可能に装着される。下方力付与部材58を上方に移動させて位置保持すると、下方力付与部材58がベッド30から外れる。使用者が下方力付与部材58を把持し、キャスタ56を中心に下方力付与部材58を倒す。これにより駆動輪59が浮き上がり、走行台車3がキャスタ56によって移動され得る。
【0114】
図19の仮想線に示すように杆54の先端部54aを下方に位置させると、キャスタ56が連動竿55によって台車本体に内設される。上方力付与部材57が上昇してベッド30に係止する。下方力付与部材58を下げることで下方力付与部材58がベッド30に係止される。
【0115】
以上のように図19に示す走行台車3は、リフタ53とキャスタ(操作機構)56を有する。リフタ53は、上方力付与部材57をベッド30等の対象物に係止および係止解除させ得る。キャスタ56は、リフタ53に連動して移動する。キャスタ56は、上方力付与部材57が対象物から係止解除された際に走行台車3の台車本体から突出して走行台車3を搬送する際に利用される。したがって走行台車3は、駆動輪59を回転させることなく、搬送され得る。
【0116】
図19に示す走行台車3は、リフタ53に代えて下方力付与部材58を対象物に係止および係止解除させる操作機構を有していても良い。キャスタ56は、該操作機構に連動して移動する。キャスタ56は、下方力付与部材58を対象物から係止解除した際に走行台車3の台車本体から突出して走行台車3を搬送する際に利用される。
【0117】
図4に示す下方力付与部材21は、上方力付与部材20よりも上方に位置する。下方力付与部材21は、横部材21cを有する。横部材21cは、水平方向に延出し、使用者の胸の高さ、例えば1〜1.1mの高さに位置保持される。上方力付与部材20と下方力付与部材21をベッド30から外し、使用者が横部材21cを把持して走行台車3を移動させ得る。これにより使用者は、走行台車3を容易に格納等のために移動させ得る。
【0118】
図4に示す形態に代えて、上方力付与部材20が下方力付与部材21よりも上方に位置しても良い。この上方力付与部材20が横部材を有し、横部材が走行台車3を搬送する際に使用者によって把持されるように水平方向に延出しても良い。
【0119】
図5に示す駆動輪13と駆動源14の間にクラッチが設けられても良い。クラッチは、スイッチの操作によって駆動輪13と駆動源14の間をフリーにする。スイッチは、例えば下方力付与部材21に設けられる。走行台車3をベッド30から外し、スイッチの操作とクラッチによって駆動輪13がフリーになる。これにより走行台車3は、小さな力で移動され得る。
【0120】
クラッチを操作するためのスイッチに代えて、走行台車3の電力がOFFの際にクラッチを解除する構成を有していても良い。走行台車3をベッド30から外し、電力をOFFにすることで、駆動輪13がクラッチによってフリーになる。これにより走行台車3が小さな力で移動され得る。
【0121】
図5に示す駆動源14を操作するスイッチが図4に示す走行台車3に設けられても良い。例えばスイッチは、下方力付与部材21に設けられても良い。使用者は、走行台車3をベッド30から外し、スイッチを操作することで走行台車3を単独で移動させ得る。これにより走行台車3が容易に格納等され得る。
【符号の説明】
【0122】
1 ベッド搬送補助装置(搬送補助装置)
2 操作機
3,43 走行台車
4 操作機本体
5 装着機構
7a 右センサ
7b 左センサ
8 送信機
9,40 旋回・横移動用操作部材
11 台車ベース
12,49a,50a 車軸
13,49,50,59 駆動輪
14,47,48 駆動源
15 回転プレート
16 方向変換源
17 バッテリ
18 制御装置
18a 受信機
18b 方向制御回路
18c 走行トルク制御回路
18d 横移動・旋回制御回路
19 弾性部材
20,57 上方力付与部材
21,58 下方力付与部材
21c 横部材
22,53 リフタ(操作機構)
30 ベッド(対象物)
30a フレーム
31 看護師(使用者)
32 患者
33 操作量検知センサ
34 位置センサ
35,51,52 速度センサ
41a,42a 不感帯
56 キャスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を搬送する際に使用される搬送補助装置であって、
操作されることで操作信号を送信する操作機と、前記操作信号を受信して前記操作信号に基づいて走行する走行台車を有し、
前記走行台車には、前記対象物に係止しかつ前記対象物に上方の力を付与する上方力付与部材および前記対象物に係止しかつ前記対象物に下方の力を付与する下方力付与部材が設けられる搬送補助装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送補助装置であって、
前記対象物がベッドである搬送補助装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の搬送補助装置であって、
前記上方力付与部材と前記下方力付与部材は、それぞれ前記走行台車から前記対象物に張出して前記対象物に係止する搬送補助装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の搬送補助装置であって、
前記操作機が前記対象物の一端部に装着され、
前記走行台車が前記上方力付与部材と前記下方力付与部材によって前記対象物の他端部に装着される搬送補助装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の搬送補助装置であって、
前記上方力付与部材を前記対象物に当接させかつ上方に付勢する弾性部材を有する搬送補助装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の搬送補助装置であって、
前記走行台車は、台車ベースと、前記台車ベースに方向変換可能に装着される車軸と、前記車軸を前記台車ベースに対して方向変換させる方向変換源と、前記車軸を回転させて前記車軸に取付けられた駆動輪を回転させる駆動源を有する搬送補助装置。
【請求項7】
請求項6に記載の搬送補助装置であって、
前記操作機は、前記操作機の左側に加えられた力を検知する左センサと、前記操作機の右側に加えられた力を検知する右センサを有し、
前記走行台車または前記操作機には、前記左センサと前記右センサからの信号に基づいて前記操作機に加えられた左右の力の差を求めて前記差によって前記方向変換源を制御して前記車軸の前記台車ベースに対する方向を決定する方向制御回路が設けられる搬送補助装置。
【請求項8】
請求項7に記載の搬送補助装置であって、
前記方向制御回路は、不感帯モードを有し、前記不感帯モードは、前記左右の力の差が不感帯内の場合に前記車軸を前記駆動輪が直進方向となる向きに保持し、
前記不感帯は、前記走行台車の速度に応じてその大きさが決定される搬送補助装置。
【請求項9】
請求項8に記載の搬送補助装置であって、
前記方向制御回路は、前記走行台車が所定速度よりも遅い際に適用する第1の前記不感帯と、前記走行台車が前記所定速度以上に速い際に適用しかつ前記第1の前記不感帯よりも大きい第2の前記不感帯と、前記第1の不感帯と前記第2の不感帯を超えた範囲において前記走行台車の速度によらずに前記車軸の方向を決定する制御モードを有する搬送補助装置。
【請求項10】
請求項7に記載の搬送補助装置であって、
前記方向制御回路は、前記車軸の角度を前記走行台車の直進方向に対して45±15°の最大角度以下に制限する搬送補助装置。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれか1つに記載の搬送補助装置であって、
前記操作機は、前記対象物を旋回させる際または前記対象物を直進方向に対して直交する方向に横移動させる際に操作される旋回・横移動用操作部材と、前記旋回・横移動用操作部材の操作量を検知する操作量検知センサを有し、
前記走行台車または前記操作機には、前記操作量検知センサからの信号に基づいて前記旋回・横移動用操作部材が操作された際に前記方向変換源を制御して前記車軸の向きを前記対象物の前記直進方向に決定し、かつ前記旋回・横移動用操作部材の操作量によって前記駆動源を制御して前記車軸に加えられる回転トルクの大きさを決定する横移動・旋回制御回路が設けられる搬送補助装置。
【請求項12】
請求項11に記載の搬送補助装置であって、
前記旋回・横移動用操作部材は、初期位置に対して両方向に操作可能であり、
前記横移動・旋回制御回路は、前記旋回・横移動用操作部材の前記各方向に対応する前記操作量検知センサからの信号に基づいて前記車軸の回転方向を決定する搬送補助装置。
【請求項13】
請求項11または12に記載の搬送補助装置であって、
前記操作量検知センサが信号を送信した際に、前記横移動・旋回制御回路が前記方向制御回路よりも優先して前記方向変換源と前記駆動源を制御する搬送補助装置。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれか1つに記載の搬送補助装置であって、
前記旋回・横移動用操作部材は、使用者の手によって把持される前記操作機の左部または右部の近傍に回転可能に設けられ、前記旋回・横移動用操作部材は、前記左部または前記右部を把持する前記手の指で回転され得る場所に位置する搬送補助装置。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれか1つに記載の搬送補助装置であって、
前記走行台車の速度を規制する速度規制回路を有し、
前記速度規制回路は、前記旋回・横移動用操作部材が操作されていない際の前記走行台車の速度を第1速度以下に規制し、前記旋回・横移動用操作部材が操作された際の前記走行台車の速度を前記第1速度よりも遅い第2速度以下に規制する搬送補助装置。
【請求項16】
請求項11〜15のいずれか1つに記載の搬送補助装置であって、
前記走行台車は、前記台車ベースに前記方向変換源によって一体に方向変換される一対の前記駆動輪と、前記各駆動輪を回転させる前記各駆動源を有する搬送補助装置。
【請求項17】
請求項16に記載の搬送補助装置であって、
前記横移動・旋回制御回路は、前記対象物を横移動させる際に前記一対の駆動輪の速度差を小さくするように一対の前記駆動源を制御する横移動アシストモードを有する搬送補助装置。
【請求項18】
請求項16または17に記載の搬送補助装置であって、
前記横移動・旋回制御回路は、前記対象物を旋回させる際に前記対象物から遠い前記駆動輪に加わるトルクを前記対象物から近い前記駆動輪に加わるトルクよりも大きくするように一対の前記駆動源を制御する旋回アシストモードを有する搬送補助装置。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1つに記載の搬送補助装置であって、
前記操作機は、前記操作信号を前記対象物のフレームに送信する送信機を有し、
前記走行台車は、前記操作信号を前記対象物の前記フレームを経由して受信する受信機を有する搬送補助装置。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1つに記載の搬送補助装置が装着されたベッド。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1つに記載の搬送補助装置であって、
前記操作機は、前記操作機に使用者の手が近接または当接したことを検知する手検知センサを有し、
前記走行台車は、前記走行台車の走行を規制するブレーキ装置を有し、
前記手検知センサの信号に基づいて前記手が前記操作機に近接または当接していないと判断した際に前記ブレーキ装置を制御して前記走行台車の走行を規制する手検知ブレーキ回路が設けられる搬送補助装置。
【請求項22】
請求項21に記載の搬送補助装置であって、
前記操作機は、前記使用者の右手に把持される右部と、前記使用者の左手に把持される左部を有し、
前記手検知センサは、前記右部に前記右手が近接または当接したことを検知する右手検知センサと、前記左部に前記左手が近接または当接したことを検知する左手検知センサを含み、
前記手検知ブレーキ回路は、前記右部に前記右手が近接または当接しかつ前記左部に前記左手が近接または当接したと判断した際に前記ブレーキ装置を解除して前記走行台車の走行を許容し、その後、前記右部に前記右手が近接または当接しておらずかつ前記左部に前記左手が近接または当接していないと判断した際に前記ブレーキ装置を制御して前記走行台車の走行を規制する搬送補助装置。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか1つに記載の搬送補助装置であって、
前記走行台車は、前記走行台車の速度を検知する速度センサを有し、
前記操作機は、光または音を発する警報装置を有し、
前記速度センサからの信号に基づいて前記走行台車が所定速度以上と判断した際に前記警報装置を作動させる警報回路が設けられる搬送補助装置。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1つに記載の搬送補助装置であって、
前記走行台車は、前記上方力付与部材または前記下方力付与部材を前記対象物に係止および係止解除させる操作機構と、前記操作機構に連動して移動し前記上方力付与部材または前記下方力付与部材が前記対象物から係止解除された際に前記走行台車の台車本体から突出して前記走行台車を搬送する際に利用されるキャスタを有する搬送補助装置。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか1つに記載の搬送補助装置であって、
前記上方力付与部材と前記下方力付与部材の両部材の内、他の1つよりも上方に位置する1つが横部材を有し、
前記横部材は、前記走行台車を搬送する際に使用者によって把持されるように水平方向に延出する搬送補助装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2013−100076(P2013−100076A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−145701(P2012−145701)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】