説明

ベルト式無段変速機および車両

【課題】フランジ位置検出センサの検出値の校正
【解決手段】制御装置18は、可動フランジ32の位置とフランジ位置検出センサ19の検出値との基準となる相関関係を予め記憶させた第1記憶部201と、規制部100で移動が規制される位置に可動フランジ32を移動させ、当該位置に可動フランジ32を移動させた状態で検出されたフランジ位置検出センサ19の検出値を、第2記憶部202に記憶させる第1処理部211とを備えている。さらに、制御装置18は、第1処理部211によって第2記憶部202に記憶されたフランジ位置検出センサ19の検出値と、第1記憶部201に記憶された可動フランジ32の位置とフランジ位置検出センサ19の検出値との基準となる相関関係とに基づいて、可動フランジ32の位置とフランジ位置検出センサ19の検出値との相関関係を導出する第2処理部212を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト式無段変速機およびベルト式無段変速機を備えたエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
ベルト式無段変速機は、エンジン等の動力源の出力が入力されるプライマリ軸と、駆動輪への出力を取り出すセカンダリ軸とにそれぞれ配された溝幅可変の一対のプライマリシーブ及びセカンダリシーブを備えている。プライマリシーブ及びセカンダリシーブは、相互間にV溝を形成する固定フランジ及び可動フランジから構成されている。各可動フランジは、プライマリ軸又はセカンダリ軸の軸線方向に移動自在に設けられている。両シーブにはVベルトが巻き掛けられている。ベルト式無段変速機は、可動フランジを移動させることによって、両シーブの溝幅が変えられて変速比が変わる。
【0003】
この種のVベルト式無段変速機には、プライマリシーブの可動フランジを移動させるアクチュエータを制御装置で制御する変速機もある。制御装置は、例えば、スロットル開度、車速などの車両情報に基づいて目標変速比を算出する。制御装置は、可動フランジの位置が目標の位置になるようにアクチュエータに制御信号を送り、これにより可動フランジの位置を制御している。斯かるVベルト式の自動無段変速機は、例えば、自動二輪車などの車両に適用されている(例えば、特許第3043061号公報等参照)。
【0004】
特開平7−158706号公報には、可動フランジの位置を検出するポジションセンサを備えている。同公報では、当該ポジションセンサの出力特性のばらつき、特性の経時変化、Vベルトの伸び、摩耗などによって、ポジションセンサで検出された検出値と、可動フランジの位置との相関関係に狂いが生じることが開示されている。さらに同公報には、プライマリシーブとセカンダリシーブの回転数の比から相関データの狂いを自己補正することが開示されている。
【特許文献1】特許第3043061号公報
【特許文献2】特開平7−158706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特開平7−158706号公報に開示されている技術は、センサでフランジの位置を検出する構成上、機構の寸法公差および組付時のばらつきなどの影響がある。このため、センサやフランジを移動させる機構を組み付けた後で、センサの検出値に基づいて正しくフランジが制御できるように、制御装置を調整する必要がある。斯かる調整は、車両ごとの対応が必要であり、さらにベルトの交換などのメンテナンス後においても必要である。このため、より簡単な方法で調整されることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るベルト式無段変速機は、それぞれ一対のフランジが軸方向に相対移動し得るプライマリシーブ及びセカンダリシーブに、ベルトが巻き掛けられている。ベルト式無段変速機は、フランジの位置を検出するフランジ位置検出センサと、フランジの可動域の一端においてフランジの移動を規制する規制部と、フランジ位置検出センサの検出値に基づいてフランジの位置を制御する制御装置とを備えている。制御装置は、フランジの位置とフランジ位置検出センサの検出値との基準となる相関関係を予め記憶させた第1記憶部と、規制部で移動が規制される位置にフランジを移動させ、当該位置にフランジを移動させた状態で検出されたフランジ位置検出センサの検出値を、第2記憶部に記憶させる第1処理部とを備えている。さらに、制御装置は、第1処理部によって第2記憶部に記憶されたフランジ位置検出センサの検出値と、前記第1記憶部に記憶されたフランジの位置とフランジ位置検出センサの検出値との基準となる相関関係とに基づいて、当該ベルト式無段変速機におけるフランジの位置とフランジ位置検出センサの検出値との相関関係を導出する第2処理部とを備えている。
【0007】
例えば、第1記憶部が、フランジを可動域の一端から他端に移動させたときのフランジ位置検出センサの検出値の基準となる変化量を記憶している場合には、第2処理部は、第1処理部によって第2記憶部に記憶された検出値に、第1記憶部に記憶された基準となる変化量を加算することによって、フランジを可動域の他端に移動させたときのフランジ位置検出センサの検出値を導出することができる。
【0008】
この場合、制御装置は、第2処理部で導出されるフランジ位置検出センサの検出値を記憶する第3記憶部を備えているとよい。さらに、制御装置は、第3記憶部に記憶されたフランジ位置検出センサの検出値に基づいて、フランジが可動域の他端に移動したことを検出する第3処理部を備えているとよい。
【0009】
また、第1処理部は、規制部で移動が規制される位置にフランジを移動させる処理において、フランジ位置検出センサの検出値が変化しないことに基づいて、規制部で移動が規制される位置にフランジが移動したことを判定してもよい。
【0010】
また、第1処理部と第2処理部は、運転操作時に実行される走行モードとは別のモードで実行されてもよい。
【0011】
また、規制部は、ベルト式無段変速機の変速比がLOWになる側において、フランジの可動域の一端を規定してもよい。
【0012】
また、制御装置は、第1処理部によって、規制部で移動が規制される位置にフランジを移動させる処理の後に、ベルト式無段変速機の変速比がTOPになる側にフランジを移動させ、一対のフランジでベルトを挟み込む第4処理部を備えていてもよい。
【0013】
制御装置は、規制部で移動が規制される位置にフランジを移動させた状態で検出されるフランジ位置検出センサの検出値の許容範囲を記憶した第4記憶部と、第1処理部によって第2記憶部に記憶された検出値が、前記第4記憶部に記憶された許容範囲外である場合に異常を検出する第1異常検出部とを備えていてもよい。
【0014】
制御装置は、規制部で移動が規制される位置にフランジを移動させる処理において、当該処理を開始してから予め定めた時間以上フランジ位置検出センサの検出値が変化し続ける場合に異常を検出する第2異常検出部を備えていてもよい。
【0015】
制御装置は、ベルト式無段変速機の変速比がTOPになる側にフランジを移動させる処理において、当該処理を開始してから予め定めた時間以上フランジ位置検出センサの検出値が変化し続ける場合に異常を検出する第3異常検出部を備えていてもよい。
【0016】
制御装置は、フランジを移動させる機構又はフランジ位置検出センサの異常を検知する検知部と、当該検知部によって異常が検知された情報を記憶する異常検知情報記憶部とを備え、異常検知情報記憶部に異常が検知された情報が記憶されていない場合に、第1処理部又は第2処理部が実行されてもよい。
【0017】
制御装置は、フランジを動かす電動モータに操作信号を送る制御部と、電動モータに電力を供給するバッテリのバッテリ電圧を検知する電圧検知センサと、電圧検知センサで検知される電圧値の許容範囲を記憶した第5記憶部と、電圧検知センサで検知されたバッテリ電圧が第5記憶部に記憶された電圧値の許容範囲外である場合に異常を検出する第4異常検出部を備えてもよい。
【0018】
制御装置は、ベルト式無段変速機の変速比が予め定めた変速比となったときに、規制部で移動が規制される位置を基準とするフランジ位置検出センサの実際の変化量ΔAと、フランジの位置とフランジ位置検出センサの検出値との基準となる相関関係に基づいて算出されるフランジ位置検出センサの変化量ΔBとに基づいて、基準となる相関関係のフランジ位置検出センサの検出値をΔA/ΔBの割合によって補正する補正部を備えてもよい。
【0019】
プライマリシーブ及びセカンダリシーブは、例えば、それぞれ回転軸に取り付けられた固定フランジと可動フランジとを備え、セカンダリシーブの可動フランジは溝幅を狭める方向に付勢されており、プライマリシーブの可動フランジの移動を前記制御装置で制御することによって、プライマリシーブおよびセカンダリシーブの溝幅が調整されてもよい。
【0020】
フランジ位置検出センサは、例えば、フランジを移動させる機構に連動して回転する回転軸に取り付けた角度センサを用いることができる。
【0021】
上述したベルト式無段変速機は、自動二輪車、鞍乗型車両、スクータ型車両、ゴルフカー又は四輪バギーなどに搭載できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のベルト式無段変速機によれば、簡単な構成によって、センサの検出値に基づいて正しくフランジが制御できるように、制御装置を調整することができる。また、第1異常検出部、第2異常検出部、第3異常検出部、第4異常検出部を備えたものは、それぞれ制御装置の調整にともなってベルト式無段変速機の異常を検出することができる。また、補正部を備えたものは、ベルト式無段変速機の制御精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係るベルト式無段変速機を図面に基づいて説明する。なお、図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0024】
この実施形態では、ベルト式無段変速機800は、図1に示すように、自動二輪車1000のパワーユニット900に装備されている。
【0025】
この実施形態では、ベルト式無段変速機800は、図2に示すように、プライマリ軸11と、セカンダリ軸12と、プライマリシーブ13と、セカンダリシーブ14と、Vベルト15と、溝幅調節機構16と、アクチュエータ17と、制御装置18と、フランジ位置検出センサ19とを備えている。
【0026】
プライマリ軸11とセカンダリ軸12は、図3及び図4に示すように、パワーユニット900のケース901に軸受を介して取り付けられている。プライマリ軸11は、エンジン902の出力軸であるクランク軸903に一体形成されている。セカンダリ軸12は、プライマリ軸11に平行に配されて駆動軸904に連結されている。クランク軸903には、クランクジャーナル905と、クランクウエブ906と、クランクピン907と、コンロッド908と、ピストン909を構成する各部材が連結されている。
【0027】
この実施形態では、プライマリシーブ13及びセカンダリシーブ14は、それぞれ回転軸(プライマリ軸11とセカンダリ軸12)に取り付けられた固定フランジ(31、41)と可動フランジ(32、42)とを備えている。セカンダリシーブ14の可動フランジ42は溝幅を狭める方向に付勢されている。プライマリシーブ13の可動フランジ32の移動は制御装置18で制御されている。固定フランジ(31、41)と可動フランジ(32、42)は、ベルト巻回用のV溝を形成する。Vベルト15は、斯かるプライマリシーブ13及びセカンダリシーブ14のV溝に巻回され、両シーブ(13、14)間で回転駆動力を伝達する。そして、可動フランジ(32、42)がプライマリ軸11とセカンダリ軸12の軸方向に移動することでV溝の溝幅が変化し、ベルト式無段変速機800の変速比が変化する。
【0028】
溝幅調節機構16は、プライマリシーブ13の可動フランジ32を移動させ、プライマリシーブ13の溝幅を調節する機構である。アクチュエータ17は溝幅調節機構16を駆動させる。この実施形態では、プライマリシーブ13の溝幅は、当該プライマリシーブ13の可動フランジ32をアクチュエータ17で移動制御することによって調整される。
【0029】
プライマリシーブ13及び溝幅調節機構16は、プライマリ軸11にそれぞれ装着されている。プライマリ軸11には、スプライン51が形成されており、端部には後述するロックナット74を取り付けるための雄ねじ52が形成されている。
【0030】
プライマリシーブ13は、図5に拡大して示すように、固定フランジ31と可動フランジ32で構成されている。固定フランジ31は先端側に固定的に配設されており、可動フランジ32は基端側にプライマリ軸11に対して軸方向に移動可能に配設されている。この実施形態では、プライマリシーブ13の固定フランジ31と可動フランジ32は、それぞれ略円盤状の部材であり、軸方向で対向する面がそれぞれ円錐面31a,32aで形成されている。固定フランジ31と可動フランジ32とは、互いの円錐面31a,32aを対向させることにより、相互間にVベルト15が巻き掛けられるV溝を形成している。
【0031】
固定フランジ31の中央部には、プライマリ軸11に挿通される挿通穴61が形成されており、斯かる挿通穴61の内周面にはプライマリ軸11のスプライン51に応じたスプラインが形成されている。また、可動フランジ32の中央部には、溝幅調節機構16に取り付けるための取付部62が形成されている。この実施形態では、溝幅調節機構16は、スライダ63と、送り部材64と、ガイド部材65と、歯車66と、固定側支持部材67とで構成されている。また、プライマリシーブ13及び溝幅調節機構16は、回転側支持部材71と、第1スリーブ72と、第2スリーブ73と、ロックナット74によって、プライマリ軸11に取り付けられている。
【0032】
回転側支持部材71、第1スリーブ72、固定フランジ31、第2スリーブ73及びロックナット74は、順にプライマリ軸11に装着されている。第1スリーブ72と固定フランジ31は、それぞれプライマリ軸11のスプライン51に噛み合った状態で装着されており、プライマリ軸11と一緒に回転する。第2スリーブ73は、プライマリ軸11に装着した部材であり、一端を固定フランジ31に当接させている。プライマリ軸11の端部に形成された雄ねじ52には、ロックナット74を螺合させている。プライマリ軸11の端部は、第2スリーブ73とケース901との間に装着した軸受75によって回転可能に支持されている。
【0033】
第1スリーブ72は軸方向に沿って配設されたガイド機構76を備えている。溝幅調節機構16のスライダ63はガイド機構76によって軸方向に沿って移動するように第1スリーブ72に装着されている。可動フランジ32はスライダ63に取り付けられている。スライダ63には、軸受77を介して送り部材64と歯車66が取り付けられている。また、送り部材64の外周面には雄ねじ64aが形成されており、ケース901に固定的に配設されたガイド部材65の内周面に形成された雌ねじ65aに噛み合わせている。
【0034】
溝幅調節機構16のガイド部材65は、プライマリ軸11に装着された回転側支持部材71に軸受78を介して取り付けられ、かつ、ケース901に固定的に配設された固定側支持部材67に取り付けられている。これにより、ガイド部材65は、ケース901に対して固定的に配設されており、プライマリ軸11が回転してもガイド部材65は回転しない。
【0035】
この実施形態では、アクチュエータ17として電動モータを用いている。電動モータ17の出力軸81は、歯車伝達機構82の複数の歯車83〜85を介して歯車66に動力を伝達している。歯車伝達機構82の複数の歯車83〜85は、パワーユニット900のケース901に軸受を介して取り付けられている。歯車伝達機構82は、電動モータ17の出力を減速させている。溝幅調節機構16の歯車66に動力を伝達している。
【0036】
この実施形態では、電動モータ17の出力は、図2に示すように、制御装置18の制御信号に基づいて、電動モータ17に供給される供給電力によって制御される。電動モータ17への供給電力は、例えば、PWM(Pulse Wide Modulation)方式で制御するとよい。PWM方式では、供給電力の電圧を一定として電動モータ17のON/OFFの時間比(Duty比)を変えることによって、電動モータ17の出力を制御している。なお、本実施形態では、PWM方式で電動モータ17の出力を制御しているが、電動モータ17の出力を適当に制御できるのであれば、PWM方式による制御だけには限らず、例えば、供給電力の電圧をアナログ的に可変として、電動モータ17の出力を制御することもできる。
【0037】
電動モータ17は、制御装置18(変速制御装置)に電気的に接続されている。この制御装置18は、電子制御装置(ECU;Electronic Control Unit)で構成されている。電子制御装置(ECU)は、例えば、演算部(マイクロコンピュータ(MPU))と、記憶部(メモリー)とを備えている。制御装置18には、車両に取り付けられた多くのセンサから多くの車両情報が入力される。
【0038】
可動フランジ32は、電動モータ17の回転、及び、送り部材64とガイド部材65との噛み合いに応じて、スライダ63とともに軸方向に移動する。可動フランジ32の位置はフランジ位置検出センサ19によって検出する。
【0039】
フランジ位置検出センサ19は、この実施形態では、図6に示すように、フランジを移動させる機構(溝幅調節機構16)に連動して回転する回転軸に取り付けたポテンショメータ19(角度センサ)で構成されている。ポテンショメータ19の回転軸91は、歯車伝達機構82の歯車85に噛み合わせた歯車92、及び、その歯車軸93に形成したウォーム94に噛み合わせている。斯かるポテンショメータ19は、パワーユニット900のケース901に取り付けられている。斯かる構成によって、ポテンショメータ19は、電動モータ17の操作量に応じて抵抗値が変化する。ポテンショメータ19の検出値と、可動フランジ32の位置、電動モータ17の操作量およびベルト式無段変速機800の変速比との間にはそれぞれ相関関係がある。このため、ポテンショメータ19は、プライマリシーブ13の可動フランジ32の位置だけでなく、電動モータ17の操作量、ベルト式無段変速機800の変速比を検出することができる。
【0040】
この実施形態では、溝幅調節機構16は、可動フランジ32の移動を規制し、可動フランジ32の可動域の一端を規定する規制部100を備えている。規制部100はプライマリシーブ13の溝幅が広くなる側(ベルト式無段変速機800の変速比がLOWになる側)に、可動フランジ32の移動を規制する。この実施形態では、図示は省略するが、規制部100は、歯車66と固定側支持部材67にそれぞれ突き当てを設けている。詳しくは、歯車66の裏面にリブを設け、固定側支持部材67に突起を設けている。斯かる規制部100の構成を図7に概略的に示す。この実施形態では、歯車66を回転させると可動フランジ32が移動する。図8に示すように、当該歯車66の裏面に設けたリブ98と、固定側支持部材67に取り付けた突起99とが突き当たると、可動フランジ32の移動が規制される。この実施形態では、変速比がLOWになる側に可動フランジ32が移動すると、歯車66の裏面に設けたリブ98と、固定側支持部材67に取り付けた突起99とが突き当たる。この実施形態では、規制部100は、可動フランジ32の可動域のLOW側の端部を定めている。
【0041】
ポテンショメータ19は、当該突き当て98、99によって、可動フランジ32の移動が規制された状態で、歯車伝達機構82に取り付けるとよい。この実施形態では、当該突き当て98、99によって、ベルト式無段変速機800の変速比がLOWになる側で可動フランジ32の移動が規制される。そして、当該状態で、ポテンショメータ19を歯車伝達機構82に取り付け、さらに、当該状態でセンサキャリブレーションを行っている。このため、ベルト式無段変速機800の変速比がLOWになる状態では、ポテンショメータ19の検出値は略一定の値になる。
【0042】
制御装置18は、ポテンショメータ19(フランジ位置検出センサ)の検出値に基づいて可動フランジ32の位置を制御する。具体的には、入力された車両情報に基づいて、予め設定されたプログラムに従って、制御目標となるベルト式無段変速機800の目標変速比を算出する。そして、ベルト式無段変速機800の変速比が、目標変速比になるように、ポテンショメータ19の検出値、および、ポテンショメータ19の検出値と変速比との相関関係、ポテンショメータ19の検出値と電動モータ17の操作量との相関関係などに基づいて、電動モータ17の操作量を算出する。そして、算出された電動モータ17の操作量に基づいて、電動モータ17に操作信号を出力する。このように制御装置18は可動フランジ32の位置を制御している。
【0043】
また、制御装置18には、上述したフランジ位置検出センサ19の他、図2に示すように、スロットル・ポジション・センサ101(Throttle Position Sensor/TPS)、エンジン回転数センサ102、車速センサ103、104などの各種のセンサに電気的に接続されており、各種のセンサから鞍乗型車両の様々な状態について所要の情報を得ている。
【0044】
このうち、スロットル・ポジション・センサ101(TPS)は、アクセル開度(スロットル開度)を検知するセンサである。エンジン回転数センサ102は、エンジン回転数を検知するセンサであり、この実施形態では、クランク軸(プライマリ軸11)の回転数を検知するセンサで構成している。車速センサ103、104は、車速を検出する。車速センサは、例えば、セカンダリ軸12の回転数を検知するセンサ103や駆動軸904の回転数を検知するセンサ104で構成するとよい。
【0045】
斯かる構成において、制御装置18がベルト式無段変速機800の変速比を正確に制御するためには、ポテンショメータ19(フランジ位置検出センサ)の検出値に基づいて、可動フランジ32の位置が出来る限り正確に認識されることが必要である。しかしながら、ポテンショメータ19でフランジの位置を検出する構成上、ポテンショメータ19の検出値には、機構の寸法公差および組付時のばらつきなどの影響がある。このため、ポテンショメータ19の検出値を校正し、機構の寸法公差および組付時のばらつきなどの影響を解消しておく必要がある。斯かる校正は、ポテンショメータ19や可動フランジ32を移動させる機構を組み付けた後で行う必要がある。また、斯かる校正は、車両ごとの対応が必要であり、さらにベルトの交換などのメンテナンス後においても必要である。
【0046】
この実施形態では、制御装置18は、斯かる校正を行うため、第1記憶部201と、第2記憶部202と、第1処理部211と、第2処理部212とを備えている。
【0047】
第1記憶部201は、可動フランジ32の位置とポテンショメータ19の検出値との基準となる相関関係を予め記憶させている。この実施形態では、第1記憶部201は、可動フランジ32を可動域の一端から他端に移動させたときのポテンショメータ19の検出値の基準となる変化量が記憶されている。なお、この実施形態では、図9に示すように、可動フランジ32の位置とポテンショメータ19の検出値との基準となる相関関係は、可動フランジ32の可動域の全域について、ポテンショメータ19の検出値が変化する設計上の変化量が記憶されている。また、この実施形態では、第1記憶部201は、ベルト式無段変速機800の変速比がLOWになる側に設けられた突き当て98、99(規制部)によって可動フランジ32の移動が規制される位置から、ベルト式無段変速機800の変速比がTOPになる側の可動フランジ32の作動限界位置に、可動フランジ32を移動させた際に、ポテンショメータ19の検出値が変化する設計上の変化量についても記憶されている。
【0048】
第2記憶部202は、突き当て98、99(規制部)で移動が規制される位置に可動フランジ32を移動させた状態で検出されたポテンショメータ19の検出値を記憶する。
【0049】
第1処理部211は、突き当て98、99(規制部)で移動が規制される位置に可動フランジ32を移動させ、当該位置に可動フランジ32を移動させた状態で検出されたポテンショメータ19の検出値を、第2記憶部202に記憶させる処理を行う。
【0050】
この実施形態では、第1処理部211は、電動モータ17を駆動させて、プライマリシーブ13の溝幅が広くなるように可動フランジ32を移動させる。次に、第1処理部211は、ポテンショメータ19の検出値が所定の時間変化しないことに基づいて、突き当て98、99(規制部)で移動が規制される位置に可動フランジ32が移動したことを検知する。これによって、突き当て98、99で移動が規制される位置に可動フランジ32が移動したことを検知する。そして、このような検知がなされたタイミングで、ポテンショメータ19の検出値を第2記憶部202に記憶させる。
【0051】
第2処理部212は、第1処理部211によって第2記憶部202に記憶された検出値と、第1記憶部201に記憶された可動フランジ32の位置とポテンショメータ19の検出値との基準となる相関関係とに基づいて、当該ベルト式無段変速機800における可動フランジ32の位置とポテンショメータ19の検出値との相関関係を導出する。これにより、機構の寸法公差および組付時のばらつきなどの影響を解消できる。従って、第2処理部212で導出される相関関係に基づいて、可動フランジ32の位置を制御することにより、斯かる第1処理部211と第2処理部212による処理が行われない場合に比べて、ベルト式無段変速機800の変速比制御の精度を向上させることができる。
【0052】
この実施形態では、第1処理部211で突き当て98、99に移動が規制される位置に可動フランジ32を移動させた状態で検出されるポテンショメータ19の検出値は、機構の寸法公差および組付時のばらつきなどによって車両ごとにばらつく。このため第2記憶部202に記憶された検出値には、機構の寸法公差および組付時のばらつきなどによって車両ごとにばらつく。第1記憶部201には、可動フランジ32の位置とポテンショメータ19の検出値との基準となる相関関係として、可動フランジ32を可動域の一端から他端に移動させたときのポテンショメータ19の検出値の基準となる変化量が記憶されている。そして、第2処理部212は、第1処理部211によって第2記憶部202に記憶された検出値に、第1記憶部201に記憶された基準となる変化量を加算する。すなわち、突き当て98、99(規制部)で移動が規制される位置に可動フランジ32を移動させた状態で検出されたポテンショメータ19の検出値に、可動フランジ32を可動域の一端から他端に移動させたときのポテンショメータ19の検出値の基準となる変化量を加算することによって、可動フランジ32を可動域の他端に移動させたときのポテンショメータ19の検出値を導出することができる。
【0053】
なお、具体的には、この実施形態では、可動フランジ32の可動域の全域について、ポテンショメータ19の検出値が変化する設計上の変化量が記憶されている。従って、第1処理部211によって第2記憶部202に記憶された検出値に、第1記憶部201に記憶された設計上の変化量を加算することによって、図9に示すように、可動フランジ32の可動域の全域について、可動フランジ32の位置とポテンショメータ19の検出値との相関関係を導出することができる。また、この実施形態では、第1記憶部201には、ベルト式無段変速機800の変速比がLOWになる側に設けられた突き当て98、99によって可動フランジ32の移動が規制される位置から、ベルト式無段変速機800の変速比がTOPになる側の可動フランジ32の作動限界位置に、可動フランジ32を移動させた際に、ポテンショメータ19の検出値が変化する設計上の変化量が記憶されている。このため、第2処理部212は、第1処理部211によって第2記憶部202に記憶された検出値に、第1記憶部201に記憶された設計上の変化量を加算することによって、ベルト式無段変速機800のTOP側の作動限界位置に関するポテンショメータ19の検出値の情報を得ることができる。この実施形態では、ベルト式無段変速機800の変速比がTOPになる側には、可動フランジ32の移動を規制する突き当てがないが、制御装置18は、ベルト式無段変速機800のTOP側の作動限界位置に関するポテンショメータ19の検出値の情報を得ることができる。
【0054】
また、上述した第1処理部211と第2処理部212の処理は、エンジンが回転していない状況においても実行可能である。例えば、ベルト式無段変速機800を実際の車両に組み付ける前の段階でも実行できる。
【0055】
この実施形態では、制御装置18は、第2処理部212で導出されるポテンショメータ19の検出値を記憶する第3記憶部203を備えている。これによって、可動フランジ32を可動域の他端(この実施形態では、ベルト式無段変速機800のTOP側)の作動限界位置に関するポテンショメータ19の検出値を記憶させることができる。また、制御装置18は、第3記憶部203に記憶されたポテンショメータ19の検出値に基づいて、可動フランジ32が可動域の他端に移動したことを検出する第3処理部213を備えているとよい。これにより、当該作動限界位置で、可動フランジ32を停止させるなど、可動フランジ32が当該作動限界位置を超えて動作するのを防止することができる。
【0056】
このように、この実施形態では、可動フランジ32の可動域の一端にしか規制部100を設けておらず、また、当該規制部100によって移動が規制される位置に可動フランジ32を移動させた状態で検出されるポテンショメータ19の検出値は、車両ごとにばらつきがある。しかしながら、可動フランジ32を可動域の他端の作動限界位置に移動させたときのポテンショメータ19の検出値を導出することができ、可動フランジ32の可動域の両端において、車両ごとにポテンショメータ19の検出値を求めることができる。これにより、可動フランジ32を可動域に相当するポテンショメータ19の検出値の範囲を定めることができ、可動フランジ32を適切に作動させることができる。例えば、図9に示すように、ベルト式無段変速機800のLOWの位置rやTOPの位置sでのポテンショメータ19の検出値を設定するとよい。なお、この実施形態では、ベルト式無段変速機800のLOWの位置rは、突き当て98、99に当たる位置よりも少しTOP側に設定される。また、TOPの位置sは、TOP側の作動限界位置よりも少しLOW側に設定される。
【0057】
この実施形態では、第1処理部211の処理と第2処理部212の処理は、運転操作時に実行される走行モード300とは別のモードで実行される。ここで、走行モード300は、車両を走行させる際に実行される制御プログラムであり、運転操作情報には、アクセルの操作情報や車速などの情報が含まれる。この実施形態では、制御装置18は、走行モード300とは別に、ベルト式無段変速機800を点検する点検モード200を備えている。上述した第1処理部211と第2処理部212による処理は当該点検モード200で実行されるようになっている。
【0058】
点検モード200は、ベルト式無段変速機800の整備や点検を行う際に実行される制御プログラムである。この実施形態では、上述した第1処理部211と第2処理部212を走行モード300とは別の点検モードで実行されることによって、ライダーが運転操作中に、誤って第1処理部211と第2処理部212が実行される不具合を防止できる。この実施形態では、工場での生産工程や、メンテナンスなどの工程においても、制御装置18を点検モード200に設定して、第1処理部211と第2処理部212を実行させて、ポテンショメータ19の検出値を校正するとよい。なお、点検モードを例示したが、走行モードと別のモードであれば良く、必ずしも上述したような点検モードである必要はなく、例えば、ポテンショメータ19の検出値を校正するためのモードでよい。
【0059】
また、この実施形態では、制御装置18は、第1処理部211によって、規制部100で移動が規制される位置に可動フランジ32を移動させる処理の後に、ベルト式無段変速機800の変速比がTOPになる側に可動フランジ32を移動させ、一対のフランジ31、32でベルト15を挟み込む第4処理部214を備えている。
【0060】
この第4処理部214の処理によって、上述した第1処理部211の処理後に、一対のフランジ31、32でベルト15が挟み込まれた状態になるので、その後、運転モード等でエンジンを回転させた際に、ベルト15とプライマリシーブ13とが滑るのを防止することができる。
【0061】
また、この実施形態では、制御装置18は、第4記憶部204と第1異常検出部231とを備えている。第4記憶部204は、規制部100で移動が規制される位置に可動フランジ32を移動させた状態で検出されるポテンショメータ19の検出値の許容範囲を記憶している。第1異常検出部231は、第1処理部211によって、第2記憶部202に記憶された検出値が、第4記憶部204に記憶された許容範囲外である場合に異常を検出する。
【0062】
すなわち、第1処理部211によって、第2記憶部202には、規制部100で移動が規制される位置に可動フランジ32を移動させた状態で検出されるポテンショメータ19の検出値が記憶される。第4記憶部204には、斯かる状態でのポテンショメータ19の検出値の許容範囲が記憶されている。第1異常検出部231は、この実施形態では、第2記憶部202に記憶されたポテンショメータ19の検出値が、第4記憶部204に記憶された許容範囲内にあるか否かを判定する判定部231aを備えている。そして、斯かる判定部231aの判定によって、第2記憶部202に記憶されたポテンショメータ19の検出値が、第4記憶部204に記憶された許容範囲内にないと判定された場合に、異常を検出する。すなわち、第1異常検出部231で異常が検出される場合としては、ベルト式無段変速機800の組付不良や、ポテンショメータ19の異常、ポテンショメータ19の組付不良などの異常を検出できる。
【0063】
また、この実施形態では、制御装置18は、規制部100で移動が規制される位置に可動フランジ32を移動させる処理において、当該処理を開始してから予め定めた時間以上ポテンショメータ19の検出値が変化し続ける場合に異常を検出する第2異常検出部232を備えている。
【0064】
規制部100で移動が規制される位置に可動フランジ32を移動させる処理において、当該処理を開始してから予め定めた時間以上ポテンショメータ19の検出値が変化し続ける場合には、例えば、突き当て98、99(規制部)に不備がある場合や、ポテンショメータ19の異常、ポテンショメータ19の組付不良などの異常が考えられる。この第2異常検出部232は、このような異常を検出できる可能性がある。なお、規制部100で移動が規制される位置に可動フランジ32を移動させる処理は、この実施形態では、第1処理部211で行われる。従って、第2異常検出部232は、第1処理部211での処理において異常を検出することができるので、特別な処理動作を要しない。
【0065】
また、この実施形態では、制御装置18は、ベルト式無段変速機800の変速比がTOPになる側に可動フランジ32を移動させる処理において、当該処理を開始してから予め定めた時間以上ポテンショメータ19の検出値が変化し続ける場合に異常を検出する第3異常検出部233を備えている。
【0066】
ベルト式無段変速機800の変速比がTOPになる側に可動フランジ32を移動させる処理において、当該処理を開始してから予め定めた時間以上ポテンショメータ19の検出値が変化し続ける場合には、例えば、ベルトの組忘れ、ポテンショメータ19(フランジ位置検出センサ)の異常、ポテンショメータ19の組付不良などの異常が考えられる。この第3異常検出部233は、このような異常を検出できる可能性がある。なお、ベルト式無段変速機800の変速比がTOPになる側に可動フランジ32を移動させる処理は、この実施形態では、第4処理部214で行われる。従って、この第3異常検出部233は、第4処理部214での処理において異常を検出することができるので、特別な処理動作を要しない。
【0067】
また、この実施形態では、制御装置18は、フランジ31、32を移動させる機構又はポテンショメータ19の異常を検知する検知部241と、当該検知部241によって異常が検知された情報を記憶する異常検知情報記憶部242とを備えている。また、制御装置18は、異常検知情報記憶部242に異常が検知された情報が記憶されているか否かを判定する判定部243を備えている。制御装置18は、異常検知情報記憶部242に異常が検知された情報が記憶されていない場合に、第1処理部211又は第2処理部212を実行する。
【0068】
すなわち、溝幅調節機構16などフランジ31、32を移動させる機構やポテンショメータ19が正常に動作しない場合がある。例えば、溝幅調節機構16やポテンショメータ19としてのポテンショメータ19の回転軸を動作させる機構に塵が挟まるなどして、フランジ31、32が正常に動作しない場合や、ポテンショメータ19が正常に機能しない場合がある。この実施形態では、検知部241によって斯かる異常が検知され、検知された情報が異常検知情報記憶部242に記憶される。このような異常がある場合には、ユーザーによってメンテナンスが行われる必要がある。斯かる異常がある場合には、上述した第1処理部211又は第2処理部212による処理(ポテンショメータ19の検出値に基づく制御の校正処理)が正常に行われない可能性がある。
【0069】
この実施形態では、制御装置18は、異常検知情報記憶部242に異常が検知された情報が記憶されているか否かを判定する。そして、異常検知情報記憶部242に異常が検知された情報が記憶されている場合は、上述した第1処理部211又は第2処理部212による処理を実行しない。そして、異常検知情報記憶部242に異常が検知された情報が記憶されていない場合は、上述した第1処理部211又は第2処理部212による処理を実行するように構成している。
【0070】
これにより、異常が検知された情報が異常検知情報記憶部242に記憶されていない場合、および、ユーザーによってメンテナンスが行われ、異常検知情報記憶部242に記憶された異常が検知された情報が消去された場合に、上述した第1処理部211又は第2処理部212による処理は実行される。これによって、異常がある場合に、上述した第1処理部211又は第2処理部212による処理が行われるのを確実に防止できる。
【0071】
また、この実施形態では、制御装置18は、アクチュエータ17を制御する制御部251と、電圧検知センサ252と、第5記憶部205と、第4異常検出部234を備えている。制御部251は、可動フランジ32を動かす電動モータ17に操作信号を送る。電圧検知センサ252は、電動モータ17に電力を供給するバッテリのバッテリ電圧を検知する。第5記憶部205は、電圧検知センサ252で検知される電圧値の許容範囲を記憶する。第4異常検出部234は、電圧検知センサ252で検知されたバッテリ電圧が第5記憶部205に記憶された電圧値の許容範囲外である場合に異常を検出する。
【0072】
電圧検知センサ252で検知されたバッテリ電圧が第5記憶部205に記憶された電圧値の許容範囲外である場合とは、例えば、バッテリ電圧が所定の許容範囲よりも低下している状態では、電動モータを正常に動かせない場合がある。この第4異常検出部234によれば、このような異常を検知できる。
【0073】
以上の校正作業は、図2及び図10に示すように、まず、制御装置18のモードを点検モード200に設定し、校正処理を選択させる(S1)。この実施形態では、メインスイッチ271をONにした後、制御装置18を点検モード200に設定する。点検モード200は校正処理を含む複数のメニューが選択できるようになっている。校正処理を行う場合、作業者は複数のメニューから校正処理のメニューを選択する。
【0074】
校正処理のメニューが選択されると、この実施形態では、判定部243において、異常検知情報記憶部242に異常が検知された情報が記憶されているか否かを判定する(S2)。異常検知情報記憶部242に異常が検知された情報が記憶されている場合(YES)は、作業者に異常を知らせる(S3:異常表示)。この実施形態では、作業者に異常を知らせる手段として、インジケータ273を早く点滅させて作業者に異常を知らせている。
【0075】
異常検知情報記憶部242に異常が検知された情報が記憶されていない場合(NO)は、校正処理のメニューが選択でき、校正処理を開始する操作を行う。この実施形態では、点検モード200において校正処理のメニューを選択された後で、エンジンストップスイッチ272をOFFからONにすることにより、校正処理が開始される。校正処理が開始されるとインジケータ273が遅い点滅を始める。これにより、作業者に校正処理が開始されたことが知らされる。
【0076】
制御装置18は、規制部100で移動が規制される位置に可動フランジ32を移動させる(S4)。制御装置18は、第1処理部211の処理によって電動モータ17に操作信号を送り、プライマリシーブ13の可動フランジ32を、プライマリシーブ13の溝幅が広くなる側に移動させる。そして、ポテンショメータ19の検出値が所定の時間変化しないことに基づいて、突き当て98、99(規制部)で移動が規制される位置に可動フランジ32が移動したことを検知して、可動フランジ32を停止させる。
【0077】
この際、上述した第2異常検出部232での異常検出を行う(S5)。すなわち、第2異常検出部232は、規制部100で移動が規制される位置に可動フランジ32を移動させる処理において、当該処理を開始してから予め定めた時間以上ポテンショメータ19の検出値が変化し続ける場合に異常を検出する。第2異常検出部232で異常が検出された場合(YES)には校正処理を中止し、インジケータ273を早く点滅させて作業者に異常を知らせる(S3:異常表示)。
【0078】
第2異常検出部232で異常が検出されなかった場合(NO)には、第2記憶部202に可動フランジ32の基準位置を記憶させる(S6)。すなわち、第1処理部211によって、規制部100で移動が規制される位置に可動フランジ32を移動させた状態で検出されるポテンショメータ19の検出値を第2記憶部202に記憶させる。そして、上述した第1異常検出部231での異常検出を行う(S7)。すなわち、第2記憶部202に記憶させたポテンショメータ19の検出値が、規制部100で移動が規制される位置に可動フランジ32を移動させた状態で検出されるポテンショメータ19の検出値の許容範囲を記憶した第4記憶部204に記憶された許容範囲外である場合に異常を検出する。
【0079】
第1異常検出部231で異常が検出された場合(YES)には校正処理を中止し、インジケータ273を早く点滅させて作業者に異常を知らせる(S3:異常表示)。第1異常検出部231で異常が検出されなかった場合(NO)には、第2処理部212による校正処理を行う(S8)。これにより、ポテンショメータ19の検出値に基づく制御を校正する。
【0080】
(第3異常検出部での異常検出)
次に、制御装置18は、可動フランジ32をTOP側に移動させる(S9)。これによって、プライマリシーブ13のV溝にベルト15を挟み込む。この際、上述した第3異常検出部233での異常検出を行う(S10)。すなわち、第3異常検出部233は、ベルト式無段変速機800の変速比がTOPになる側に可動フランジ32を移動させる処理において、当該処理を開始してから予め定めた時間以上ポテンショメータ19の検出値が変化し続ける場合に異常を検出する。第3異常検出部233で異常が検出された場合(YES)には校正処理を中止し、インジケータ273を早く点滅させて作業者に異常を知らせる(S3:異常表示)。
【0081】
第3異常検出部233で異常が検出されなかった場合(NO)には、校正処理を正常に終了させる(S11)。この実施形態では、インジケータ273の点等が中止され、作業者に校正処理が終了したことが知らされる。
【0082】
以上のように、この実施形態では、突き当て98、99(規制部)で移動が規制される位置での、ポテンショメータ19の検出値を基準として、可動フランジ32の位置とポテンショメータ19の検出値との基準となる相関関係に基づいて、ポテンショメータ19の検出値に基づく制御を校正している。なお、上述したフローは、本発明の一実施形態を示したに過ぎず、各処理の順番などは適当に変更することができる。例えば、基準位置の記憶(S6)と作動範囲の構成(S8)などは、第1異常検出部231〜第3異常検出部233の全てにおいて異常が検出されない場合に処理を行ってもよい。
【0083】
なお、ポテンショメータ19の出力特性にばらつきがある場合には、上述した校正のみでは、ポテンショメータ19の検出値に基づいて可動フランジ32の位置を制御した場合に、可動フランジ32の位置が目標値からずれる可能性がある。
【0084】
例えば、ポテンショメータ19の検出値が設計上の値よりも高く出力される場合、図9に示すように、変速比に対するポテンショメータ19の検出値w1は、基準となる相関関係vよりも高い検出値が出力されるようにずれる。この場合、制御装置18は、目標変速比gに対して基準となる相関関係vに基づいて目標変速比gに応じたポテンショメータ19の検出値hを算出する。そして、制御装置18は、このポテンショメータ19の検出値hに基づいて、実際に電動モータ17の操作量を算出し、電動モータ17を操作する。このため、y1で示すように、ベルト式無段変速機800の変速比は目標変速比gよりもLOW側にずれた変速比g1に制御される。
【0085】
また、ポテンショメータ19の検出値が設計上の値よりも低く出力される場合、図9に示すように、変速比に対するポテンショメータ19の検出値w2は、基準となる相関関係vよりも低い検出値が出力されるようにずれる。この場合、制御装置18は、目標変速比gに対して基準となる相関関係vに基づいて目標変速比gに応じたポテンショメータ19の検出値hを算出する。そして、制御装置18は、このポテンショメータ19の検出値hに基づいて、実際に電動モータ17の操作量を算出し、電動モータ17を操作する。このため、y2で示すように、ベルト式無段変速機800の変速比は目標変速比gよりもTOP側にずれた変速比g2に制御される。
【0086】
この実施形態では、制御装置18は、斯かるずれを補正する補正部261を備えている。補正部261は、ベルト式無段変速機800の変速比が予め定めた変速比となったときに、規制部100で移動が規制される位置を基準とするポテンショメータ19の実際の変化量ΔAと、可動フランジ32の位置とポテンショメータ19の検出値との基準となる相関関係vに基づいて算出されるポテンショメータ19の変化量ΔBとに基づいて、基準となる相関関係vのポテンショメータ19の検出値をΔA/ΔBの割合によって補正する。
【0087】
この実施形態では、制御装置18は、図9に示すように、TOPの所定の変速比sをあらかじめ記憶している。なお、TOPの所定の変速比sは、ベルト式無段変速機800の変速比を制御する際の制御目標値を設定するのに必要である。そして、補正部261は、ベルト式無段変速機800がTOPの所定の変速比になったときのポテンショメータ19の検出値の変化量ΔAと、基準となる相関関係vに基づいて導出されるポテンショメータ19の検出値の変化量ΔBとに基づき、ΔA/ΔBの割合によって基準となる相関関係vを補正する。
【0088】
これによって、基準となる相関関係vが、TOP領域だけでなくLOWからTOPまでの全領域で、実際の相関関係(w1、w2)に近づく。これによって、制御装置18で制御されるベルト式無段変速機800の実変速比を目標変速比に近づけることができ、制御の精度を向上させることができる。
【0089】
なお、斯かる補正は、ベルト式無段変速機800にエンジン等を組付け、実際にエンジンを回転させ、ベルト式無段変速機800の変速比を操作した状態で行うとよい。例えば、工場の出荷時の検査において、エンジンを回転させ、ベルト式無段変速機800の変速を検査する工程で、制御装置18によって、自動的に上記の補正が行われるようにしてもよい。また、出荷後、ライダーが当該ベルト式無段変速機800を搭載した車両を走行させている際に、自動的に上記の補正が行われるようにしてもよい。また、補正が行われる変速比は、LOWからある程度離れた変速比であればよく、必ずしもTOPの所定の変速比sである必要はない。
【0090】
例えば、LOWからTOPの中間位置の所定の変速比でもよい。この場合でも、同様にΔA/ΔBの割合によって基準となる相関関係vを補正することにより、当該補正をしない場合に比べて、基準となる相関関係vを、LOWからTOPまでの全領域で、実際の相関関係(w1、w2)に近づけることができる。また、例えば、工場の出荷時やメンテナンス時において、LOWからTOPの中間の位置を含めた複数の位置でポテンショメータ19の検出値に基づいて、基準となる相関関係vを補正してもよい。これにより、基準となる相関関係vを、より正確に実際の相関関係(w1、w2)に近づけることができる。なお、走行中は、加速度等の影響もあるので、LOWからTOPの中間位置でのポテンショメータ19の検出値に基づいた補正は望ましくない。
【0091】
以上、本発明の一実施形態に係るベルト式無段変速機を説明したが、本発明に係るベルト式無段変速機は上述した実施形態に限定されるものではない。
【0092】
例えば、ベルト式無段変速機800の構成、溝幅調節機構16の構造、フランジ位置検出センサ19の構造、制御装置18の構造などは、上述した実施形態で開示したものに限定されない。
【0093】
また、上述した実施形態では、ベルト式無段変速機800は、自動二輪車のパワーユニットに装備されるものを例示したが、ベルト式無段変速機800は、自動二輪車に限らず種々の車両に適用できる。例えば、鞍乗型車両、スクータ型車両、ゴルフカー又は四輪バギーなどの小型車両にも広く適用できる。また、ベルト式無段変速機800は、パワーユニットに装備されたものを例示したが、ベルト式無段変速機800はエンジンとは別体になっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上のとおり、本発明に係るベルト式無段変速機およびその制御方法は、車両などに装備されるベルト式無段変速機に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の一実施形態に係るベルト式無段変速機が装備された自動二輪車を示す側面図。
【図2】本発明の一実施形態に係るベルト式無段変速機の概略図。
【図3】本発明の一実施形態に係るベルト式無段変速機のプライマリシーブ側の部分断面図。
【図4】本発明の一実施形態に係るベルト式無段変速機のセカンダリシーブ側の部分断面図。
【図5】本発明の一実施形態に係るベルト式無段変速機のプライマリシーブを示す断面図。
【図6】本発明の一実施形態に係るベルト式無段変速機のポテンショメータの取付構造を示す図。
【図7】本発明の一実施形態に係る規制部を示す図。
【図8】本発明の一実施形態に係る規制部の突き当てが当接した状態を示す図。
【図9】本発明の一実施形態に係るベルト式無段変速機のポテンショメータの検出値と変速比との相関関係を示す図。
【図10】本発明の一実施形態に係るベルト式無段変速機の制御装置の制御フローチャート。
【符号の説明】
【0096】
11 プライマリ軸
12 セカンダリ軸
13 プライマリシーブ
14 セカンダリシーブ
15 ベルト
16 溝幅調節機構
17 電動モータ(アクチュエータ)
18 制御装置
19 ポテンショメータ(フランジ位置検出センサ)
31 固定フランジ
31a,32a 円錐面
32 可動フランジ
51 スプライン
61 挿通穴
62 取付部
63 スライダ
64 部材
65 ガイド部材
66 歯車
67 固定側支持部材
71 回転側支持部材
72 第1スリーブ
73 第2スリーブ
74 ロックナット
75 軸受
76 ガイド機構
77 軸受
78 軸受
81 出力軸
82 歯車伝達機構
83-85 歯車
91 回転軸
92 歯車
93 歯車軸
94 ウォーム
97 軸受部
98、99 突き当て
100 規制部
101 スロットル・ポジション・センサ
102 エンジン回転数センサ
103、104 車速センサ
200 点検モード
201 第1記憶部
202 第2記憶部
203 第3記憶部
204 第4記憶部
205 第5記憶部
211 第1処理部
212 第2処理部
213 第3処理部
214 第4処理部
231 第1異常検出部
231a 判定部
232 第2異常検出部
233 第3異常検出部
234 第4異常検出部
241 検知部
242 異常検知情報記憶部
243 判定部
251 制御部
252 電圧検知センサ
261 補正部
271 メインスイッチ
272 エンジンストップスイッチ
273 インジケータ
300 走行モード
800 ベルト式無段変速機
900 パワーユニット
901 ケース
902 エンジン
903 クランク軸
904 駆動軸
905 クランクジャーナル
906 クランクウエブ
907 クランクピン
908 コンロッド
909 ピストン
1000 自動二輪車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ一対のフランジが軸方向に相対移動し得るプライマリシーブ及びセカンダリシーブに、ベルトが巻き掛けられたベルト式無段変速機であって、
前記フランジの位置を検出するフランジ位置検出センサと、
前記フランジの可動域の一端において前記フランジの移動を規制する規制部と、
前記フランジ位置検出センサの検出値に基づいてフランジの位置を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記フランジの位置とフランジ位置検出センサの検出値との基準となる相関関係を予め記憶させた第1記憶部と、
前記規制部で移動が規制される位置にフランジを移動させ、当該位置にフランジを移動させた状態で検出された前記フランジ位置検出センサの検出値を第2記憶部に記憶させる第1処理部と、
前記第1処理部によって前記第2記憶部に記憶されたフランジ位置検出センサの検出値と、前記第1記憶部に記憶されたフランジの位置とフランジ位置検出センサの検出値との基準となる相関関係とに基づいて、当該ベルト式無段変速機におけるフランジの位置とフランジ位置検出センサの検出値との相関関係を導出する第2処理部とを備えていることを特徴とする、
ベルト式無段変速機。
【請求項2】
前記第1記憶部は、前記フランジを可動域の一端から他端に移動させたときのフランジ位置検出センサの検出値の基準となる変化量が記憶されており、
前記第2処理部は、前記第1処理部によって前記第2記憶部に記憶された検出値に、前記第1記憶部に記憶された基準となる変化量を加算することによって、フランジを可動域の他端に移動させたときのフランジ位置検出センサの検出値を導出する、請求項1に記載のベルト式無段変速機。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第2処理部で導出されるフランジ位置検出センサの検出値を記憶する第3記憶部を備えた、請求項2に記載のベルト式無段変速機。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第3記憶部に記憶されたフランジ位置検出センサの検出値に基づいて、前記フランジが可動域の他端に移動したことを検出する第3処理部を備えた、請求項3に記載のベルト式無段変速機。
【請求項5】
前記第1処理部は、前記規制部で移動が規制される位置にフランジを移動させる処理において、前記フランジ位置検出センサの検出値が変化しないことに基づいて、前記規制部で移動が規制される位置にフランジが移動したことを判定する、請求項1に記載のベルト式無段変速機。
【請求項6】
前記第1処理部と第2処理部は、前記運転操作時に実行される走行モードとは別のモードで実行される、請求項1に記載のベルト式無段変速機。
【請求項7】
前記規制部は、前記ベルト式無段変速機の変速比がLOWになる側において、前記フランジの可動域の一端を規定する、請求項1に記載のベルト式無段変速機。
【請求項8】
前記制御装置は、前記第1処理部によって、規制部で移動が規制される位置にフランジを移動させる処理の後に、前記ベルト式無段変速機の変速比がTOPになる側にフランジを移動させ、一対のフランジでベルトを挟み込む第4処理部を備えた、請求項7に記載のベルト式無段変速機。
【請求項9】
前記制御装置は、規制部で移動が規制される位置にフランジを移動させた状態で検出されるフランジ位置検出センサの検出値の許容範囲を記憶した第4記憶部と、
前記第1処理部によって前記第2記憶部に記憶された検出値が、前記第4記憶部に記憶された許容範囲外である場合に異常を検出する第1異常検出部とを備えた、請求項1に記載のベルト式無段変速機。
【請求項10】
前記制御装置は、前記規制部で移動が規制される位置にフランジを移動させる処理において、当該処理を開始してから予め定めた時間以上フランジ位置検出センサの検出値が変化し続ける場合に異常を検出する第2異常検出部を備えた、請求項1に記載のベルト式無段変速機。
【請求項11】
前記制御装置は、前記ベルト式無段変速機の変速比がTOPになる側にフランジを移動させる処理において、当該処理を開始してから予め定めた時間以上フランジ位置検出センサの検出値が変化し続ける場合に異常を検出する第3異常検出部を備えた、請求項8に記載のベルト式無段変速機。
【請求項12】
前記制御装置は、前記フランジを移動させる機構又はフランジ位置検出センサの異常を検知する検知部と、当該検知部によって異常が検知された情報を記憶する異常検知情報記憶部とを備え、前記異常検知情報記憶部に異常が検知された情報が記憶されていない場合に、前記第1処理部又は第2処理部が実行される、請求項1に記載のベルト式無段変速機。
【請求項13】
前記制御装置は、前記フランジを動かす電動モータに操作信号を送る制御部と、
前記電動モータに電力を供給するバッテリのバッテリ電圧を検知する電圧検知センサと、
前記電圧検知センサで検知される電圧値の許容範囲を記憶した第5記憶部と、
前記電圧検知センサで検知されたバッテリ電圧が第5記憶部に記憶された電圧値の許容範囲外である場合に異常を検出する第4異常検出部を備えた、請求項1に記載のベルト式無段変速機。
【請求項14】
前記制御装置は、ベルト式無段変速機の変速比が予め定めた変速比となったときに、前記規制部で移動が規制される位置を基準とするフランジ位置検出センサの実際の変化量ΔAと、前記フランジの位置とフランジ位置検出センサの検出値との基準となる相関関係に基づいて算出されるフランジ位置検出センサの変化量ΔBとに基づいて、前記基準となる相関関係のフランジ位置検出センサの検出値をΔA/ΔBの割合によって補正する補正部とを備えた、請求項1に記載のベルト式無段変速機。
【請求項15】
前記制御装置は、予め定めた複数の変速比において、前記フランジ位置検出センサの実際の検出値に基づいて、前記基準となる相関関係を補正する補正部とを備えた、請求項1に記載のベルト式無段変速機。
【請求項16】
前記プライマリシーブ及び前記セカンダリシーブは、それぞれ回転軸に取り付けられた固定フランジと可動フランジとを備え、
前記セカンダリシーブの可動フランジは溝幅を狭める方向に付勢されており、前記プライマリシーブの可動フランジの移動を前記制御装置で制御することによって、前記プライマリシーブおよびセカンダリシーブの溝幅が調整される、
請求項1に記載のベルト式無段変速機。
【請求項17】
前記フランジ位置検出センサは、フランジを移動させる機構に連動して回転する回転軸に取り付けた角度センサである、請求項1に記載のベルト式無段変速機。
【請求項18】
請求項1から17の何れかに記載されたベルト式無段変速機を備えた自動二輪車、鞍乗型車両、スクータ型車両、ゴルフカー又は四輪バギー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−169972(P2008−169972A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−5671(P2007−5671)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】