説明

ベルト搬送制御装置、画像形成装置、ベルト搬送制御方法、搬送制御プログラム、及び記録媒体

【課題】従動ローラと駆動ローラにレイアウト上の制限が発生することなく、もしくはより制限が少ない状態で、DCモータを用いたベルトの等速駆動を実施する。
【解決手段】駆動軸ローラ31および従動ローラ32〜36にかけまわされているベルト30の変位を従動軸32に取り付けたエンコーダ18によって検出し、該角変位もしくは角速度の検出値と予め設定された角変位もしくは角速度の目標値との差を求め、両者の差にもとづくフィードバック制御に基づいて、前記ベルト30を等速で移動するようにDCモータ11の駆動を制御する際、フィードバック制御系の制御帯域を略エンコーダ18を取り付けた従動ローラ32の1回転の周波数以下に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DCモータを用いて駆動されるベルトの搬送制御装置、ベルト搬送制御装置を備えた画像形成装置、ベルト搬送制御方法、ベルト搬送制御方法をコンピュータで実行するための搬送制御プログラム、及びコンピュータで実行可能なプログラムを格納した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、転写ベルト、感光体ベルト、紙搬送ベルト等、ベルト搬送装置が用いられている。これらのベルトを等速で駆動することは、高品位な画像を得るために必要不可欠である。このようなベルトの等速駆動を実現する装置としては、例えば、特許文献1及び2に記載された発明が公知である。
【0003】
このうち特許文献1には、駆動軸および従動軸に掛け回されているベルトを等速駆動するものであり、計測用従動ローラにエンコーダを取り付け、そのエンコーダ出力に基づきフィードバック制御することが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、従動ロールと駆動ロールに掛け回されたベルト駆動系であって、従動ロールにエンコーダを取り付け、従動ロールの角速度をエンコーダによって検出し、パルスモータを制御し、ベルトを等速に駆動させるものであり、エンコーダを取り付けた従動ローラの振れに基づく変動をキャンセルすることが記載されている。
【特許文献1】特開昭62−242965号公報
【特許文献2】特開平2000−047547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の発明は、駆動軸および従動軸に掛け回されているベルトを等速駆動するものであり、計測用従動ローラにエンコーダを取り付け、その出力に基づきフィードバック制御している。これによりDCモータによるベルトの等速駆動が可能であるが、 エンコーダを取り付けている従動ローラに振れがある場合、その振れ量に応じて、従動ローラ1回転の変動成分を発生してしまうという欠点がある。
【0006】
前記特許文献2記載の発明は、この欠点を補う方法に関するものである。この発明では、従動ローラの外径を駆動ローラの外径の整数分の一もしくは、整数倍に設定することにより両者を分離し、従動ローラの振れ成分だけキャンセルしている。
【0007】
しかし、この方式では、従動ローラと駆動ローラにレイアウト上の制限が発生してしまう。
【0008】
そこで、本発明が解決すべき課題は、従動ローラと駆動ローラにレイアウト上の制限を生じることなく、もしくはより制限が少ない状態で、DCモータを用いたベルトの等速駆動を実現することにある。
【0009】
また、画像形成装置のベルトを用いた像担持体(感光体ベルト、転写ベルト)や、転写材搬送ベルト駆動系に、本発明を用いることで、同駆動系を高精度に駆動し、高品質な画像を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、第1の手段は、駆動ローラ及び従動ローラに掛け回されているベルトと、前記駆動ローラを介して前記ベルトを回転駆動するDCモータと、前記従動ローラに取り付けられ、前記ベルトの角変位を検出するためのエンコーダと、を備え、前記ベルトの搬送速度を制御するベルト搬送制御装置において、前記エンコーダによって検出された前記角変位の検出値と予め設定された角変位の目標値との差を求め、両者の差に基づくフィードバック制御に基づいて前記ベルトが等速で移動するように前記DCモータを駆動する駆動制御手段を備え、前記駆動制御手段は、フィードバック制御系の制御帯域を略エンコーダを取り付けた前記従動軸の1回転の周波数以下に設定して制御することを特徴とする。
【0011】
第2の手段は、駆動ローラ及び従動ローラに掛け回されているベルトと、前記駆動ローラを介して前記ベルトを回転駆動するDCモータと、前記従動ローラに取り付けられ、前記ベルトの角速度を検出するためのエンコーダと、を備え、前記ベルトの搬送速度を制御するベルト搬送制御装置において、前記エンコーダによって検出された前記各速度の検出値と予め設定された各速度の目標値との差を求め、両者の差に基づくフィードバック制御に基づいて前記ベルトが等速で移動するように前記DCモータを駆動する駆動制御手段を備え、前記駆動制御手段は、フィードバック制御系の制御帯域を略エンコーダを取り付けた前記従動軸の1回転の周波数以下に設定して制御することを特徴とする。
【0012】
第3の手段は、第1又は第2の手段において、前記DCモータから前記駆動軸までの伝達系を、エンコーダを取り付けた前記従動軸の1回転よりも低周波に変動が発生する伝達系に設定したことを特徴とする。
【0013】
第4の手段は、第1ないし第3のいずれかの手段において、前記駆動軸に設けた駆動ローラ径を、エンコーダを付けた前記従動軸に設けた従動ローラ径よりも大きくしたことを特徴とする。
【0014】
第5の手段は、第1ないし第4のいずれかの手段において、前記DCモータの駆動電圧に駆動モータから前記駆動軸までの変動成分をキャンセルする成分を加えたことを特徴とする。
【0015】
第6の手段は、第1ないし第4のいずれかの手段において、前記DCモータの駆動電流に駆動モータから前記駆動軸までの変動成分をキャンセルする成分を加えたことを特徴とする。
【0016】
第7の手段は、第1ないし第6のいずれかの手段に係るベルト搬送制御装置を画像形成装置が備えていることを特徴とする。
【0017】
第8の手段は、第7の手段において、像担持体として機能する感光体ベルトを備えていることを特徴とする。
【0018】
第9の手段は、第7の手段において、像担持体として機能する中間転写ベルトを備えていることを特徴とする。
【0019】
第10の手段は、第9の手段において、前記中間転写ベルトに対して異なる色の画像を転写する複数の感光体を備え、前記駆動ローラと前記エンコーダが取り付けられた従動ローラの周長がそれぞれ前記複数の感光体間隔と略一致していることを特徴とする。
【0020】
第11の手段は、第7の手段において、転写材を担持する転写材搬送ベルトを備えていることを特徴とする。
【0021】
第12の手段は、駆動ローラ及び従動ローラに掛け回されているベルトと、前記駆動ローラを介して前記ベルトを回転駆動するDCモータと、前記従動ローラに取り付けられ、前記ベルトの角変位を検出するためのエンコーダと、を備え、前記ベルトの搬送速度を制御するベルト搬送制御方法において、前記エンコーダによって検出された前記角変位の検出値と予め設定された角変位の目標値との差を求め、両者の差に基づくフィードバック制御に基づいて前記ベルトが等速で移動するように前記DCモータを駆動する際、フィードバック制御系の制御帯域を略エンコーダを取り付けた前記従動軸の1回転の周波数以下に設定して駆動制御することを特徴とする。
【0022】
第13の手段は、駆動ローラ及び従動ローラに掛け回されているベルトと、前記駆動ローラを介して前記ベルトを回転駆動するDCモータと、前記従動ローラに取り付けられ、前記ベルトの角速度を検出するためのエンコーダと、を備え、前記ベルトの搬送速度を制御するベルト搬送制御方法において、前記エンコーダによって検出された前記各速度の検出値と予め設定された各速度の目標値との差を求め、両者の差に基づくフィードバック制御に基づいて前記ベルトが等速で移動するように前記DCモータを駆動する際、フィードバック制御系の制御帯域を略エンコーダを取り付けた前記従動軸の1回転の周波数以下に設定して駆動制御することを特徴とする。
【0023】
第14の手段は、第12又は第13の手段において、前記DCモータの駆動入力に駆動モータから前記駆動軸までの変動成分をキャンセルする成分を加えたことを特徴とする。
【0024】
第15の手段は、第12又は第13の手段に係るベルト搬送制御方法をコンピュータによって実行するための搬送制御プログラムであって、前記エンコーダによって検出された前記角変位の検出値と予め設定された角変位の目標値との差を求める手順と、両者の差に基づくフィードバック制御に基づいて前記ベルトが等速で移動するように前記DCモータを駆動する際、フィードバック制御系の制御帯域を略エンコーダを取り付けた前記従動軸の1回転の周波数以下に設定して駆動制御する手順と、を備えていることを特徴とする。
【0025】
第16の手段は、第15の手段において、前記DCモータの駆動入力に駆動モータから前記駆動軸までの変動成分をキャンセルする成分を加える手順を更に備えていることを特徴とする。
【0026】
第17の手段は、第16の手段に係る搬送制御プログラムがコンピュータによって読み取られ、実行可能に記録媒体に記録されていることを特徴とする。
【0027】
なお、後述の実施形態では、駆動ローラは符号31に、従動ローラは符号32(〜36)に、ベルトは符号30に、DCモータは符号11に、エンコーダは符号18に、ベルト搬送制御装置は制御コントローラ部2に、感光体ベルトは符号201に、中間転写ベルトは符号124に、転写搬送ベルトは符号100(実施例10)に、それぞれ対応する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、従動ローラと駆動ローラにレイアウト上の制限が発生することなく、もしくはより制限が少ない状態で、DCモータを用いたベルトの等速駆動を実施することができる。また、画像形成装置のベルトを用いた像担持体(感光体ベルト、転写ベルト)や、転写材搬送ベルト駆動系に適用することにより、同駆動系を高精度に駆動し、高品質な画像を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0030】
本発明の実施形態として実施例1について説明する。この実施例1は、フィードバック制御系の制御帯域を略エンコーダを取り付けた従動ローラ1回転の周波数以下に設定する例で、各速度制御の電圧制御に関する。
【0031】
図1は、本実施例1に係るベルト搬送制御装置の概略構成を示す斜視図である。同図において、このベルト搬送制御装置は、駆動ローラ31及び従動ローラ32、33,34,34,36に掛け渡されている無端状のベルト30が所定の速度で等速移動するようにDCモータ11を駆動制御するベルト装置である。図1において、回転駆動源としてのDCモータ11の回転トルク(駆動力)は、動力伝達系を構成する減速系、例えばタイミングベルト37及び従動プーリ38により、ベルト30が掛けまわされている駆動ローラ31の駆動軸39に伝達される。DCモータ11の回転駆動力が駆動ローラ31に伝達されると、駆動ローラ31に掛けまわされているベルト30が移動する。本実施例1では、複数の従動ローラのうち従動ローラ32の角速度を検出している。この従動ローラ32の角速度を検出する手段は、従動ローラ32の従動軸40に図示しないカップリングを介して取り付けたエンコーダ18で構成されている。
図2は、本実施例1におけるDCモータ11の制御系及び制御対象のハードウェア構成を示すブロック図である。この制御系は、前記エンコーダ18の出力信号に基づいてDCモータ11の角速度をデジタル制御する制御系である。
この制御系は、マイクロコンピュータ21、バス22、指令発生装置23、モータ駆動用インターフェイス部24、モータ駆動部としてのモータ駆動装置25、及び検出用インターフェイス部26から基本的に構成されている。
前記マイクロコンピュータ21は、マイクロプロセッサ21a、リードオンリメモリ(ROM)21b、ランダムアクセスメモリ(RAM)21c等で構成され、マイクロプロセッサ21aはリードオンリメモリ(ROM)21bに記憶されたプログラムを、RAM21cをワークエリアとして使用しながら実行する。これらのマイクロプロセッサ21a、リードオンリメモリ(ROM)21b、ランダムアクセスメモリ(RAM)21c等はそれぞれバス22を介して接続されている。
前記指令発生装置23は、DCモータ11に対する駆動信号指令値を出力する。この指令発生装置23の出力側もバス22へ接続されている。
【0032】
検出用インターフェイス部26は、エンコーダ18の出力パルスを処理して角速度のデジタル数値に変換する。この検出用インターフェイス部26は、エンコーダ18の出力パルスをより細かい周期のパルスで計数するカウンタを備えており、このカウンタのカウントした数値に、あらかじめ定められたパルス数対角速度の変換定数をかけて従動ローラ32の角速度に対応するデジタル数値に変換する。この従動ローラ32の角速度に対応するデジタル数値の信号は、バス22を介してマイクロコンピュータ21に送られる。
モータ駆動装置25は、モータ駆動用インターフェイス部24から出力されたパルス状の制御信号に基づいて動作し、DCモータ11にパルス状の駆動電圧(PWM信号)を印加する。この結果、DCモータ11は、指令発生装置23から出力される所定の角速度で駆動制御される。これにより、従動ローラ32の角速度が目標角速度に従うように制御され、従動ローラ32に掛け回されているベルト30が所定の速度で等速移動する。従動ローラ32の角速度は、エンコーダ18と検出用インターフェイス部26により検出され続け、マイクロコンピュータ21に取り込まれ、制御が繰り返される。
【0033】
なお、図2中の符号29で示した部分は、図1に示したベルト搬送制御系全体、モータ駆動用インターフェイス部24、モータ駆動装置25、検出用インターフェイス部26を含む制御対象である。
【0034】
図3は、本実施例1に係るベルト搬送制御装置のブロック図である。図2においてエンコーダ18の出力パルス信号を処理する検出用インターフェイス部26から出力される情報、すなわちエンコーダ18を取り付けた従動ローラ32の角速度の情報(以下「検出角速度」という)P(i−1)は演算部(減算器)1に与えられる。この演算部1は、制御目標値である従動ローラ32の角速度の目標値(以下「目標角速度」という)Ref(i)と従動ローラ32の検出角速度P(i−1)との差e(i)を算出する。この差e(i)は制御コントローラ部2に入力される。この制御コントローラ部2は、高周波ノイズを除去するためのローパスフィルタ8と、比例要素(ゲインKp)9とから構成されている。制御コントローラ部2では、DCモータ11の駆動に用いる制御電圧u(i)が求められる。駆動電圧u(i)に基づいて、モータ駆動用インターフェイス部24及びモータ駆動装置25により駆動信号が生成され、DCモータ11へ出力される。このように駆動制御されたDCモータ11の駆動力が、駆動伝達系37,38を介して駆動ローラ31へ伝達され、従動ローラ32が所定の目標角速度に従って等角速度で回転する。以上のフィードバックループの制御動作が繰り返される。
【0035】
なお、本実施例1の制御コントローラ部2では、一例として比例制御系を用いたが、これに限定されるものではない。また、前記演算のすべては、マイクロコンピュータ21内の数値演算で行われ、簡単に実現することができる。
【0036】
ここで、本制御系の目的はベルトを等速で搬送する(移動させる)ことである、エンコーダ18を取り付けた従動ローラ32に振れすなわち偏心がない場合は、前述の系において、従動ローラ32が等角速度で駆動されることは、ベルト30が等速で駆動されることと同意と考えてよい。しかし、実際には振れのないローラを作成する事は不可能である。また、一般にフィードバック制御系は、性能を良くするために制御帯域を極力広くする必要がある。一般に従動ローラ1回転の周波数は、数Hzであることが多いため、この周波数においても大きな制御ゲインを有する事が多く、従って、前記の系だけではベルトの駆動成分にエンコーダローラ1回転周期が含まれてしまう。
【0037】
そこで、図4に示したように、フィードバック制御系の制御帯域を略エンコーダを取り付けた従動ローラ1回転の周波数以下に設定する。図4は、図3において、RefからPまでのオープンループ伝達関数である。ここでは、従動ローラ1回転の周波数6Hzとし、制御系のオープンループのゼロクロスが略その周波数となるようにフィードバック系の比例ゲインを設定している。なお、フィルタはノイズ対策の一例として50Hzのバターワースフィルタを用いている。このように設定することで、エンコーダ18を取り付けた従動軸の周波数は制御せずに、それ以下の周波数成分の変動を制御することにより高精度な駆動が可能なベルト搬送制御装置を構築できる。
【0038】
ベルト搬送制御装置において、ベルト30を等速に駆動するためには、モータ軸から駆動ローラまでの系において、各軸の偏心等によって生じる回転に起因する変動成分を制御することが望まれる。これらは、制御のゲインをあげて低減することができる。
【0039】
図1においては、モータから駆動ローラまでの伝達装置としてタイミングベルト37を用いた系を示している。このようなタイミングベルト37による伝達系ではタイミングベルト37内の心がねの位置変動により、タイミングベルト1周期の変動が生じる。しかし、タイミングベルト1回転は、従動ローラ1回転よりも低周波である。従って、フィードバック制御が働き、その変動を制御することが可能になる。
【0040】
なお、プーリの偏心は、駆動ローラ1回転として現れる。さらに、伝達系として歯車伝達系、特に大口径の1段減速を用いた場合これらの1回転の変動は駆動ローラ周波数と一致する。これらの低減に関しては、駆動ローラ1回転の変動の低減と同様である。この低減は、図1に示しているように、駆動ローラ38径を、エンコーダを付けた従動ローラ32径よりも大きくすることで実現できる。これにより、駆動ローラ38の1回転は、従動ローラ32の1回転よりも低周波になる。従って、フィードバック制御が働き、その変動を制御することが可能になる。
【0041】
従って、本実施例1によれば、従動ローラ32と駆動ローラ31にレイアウト上の制限が発生することなく、ベルト30の等速駆動を実現することができる。
【実施例2】
【0042】
実施例2は、フィードバック制御系の制御帯域を略エンコーダを取り付けた従動ローラ1回転の周波数以下に設定する例である。
【0043】
本実施例2に係るベルト搬送装置は実施例1(図1)と同様なので、ここでの説明は省略する。図5は、本実施例2におけるDCモータ11の制御系及び制御対象のハードウェア構成を示すブロック図である。実施例1(図2)と同様の機能は同じ記号で表しており、ここでの説明は省略する。
【0044】
この制御系は、マイクロコンピュータ21、バス22、指令発生装置5001、モータ駆動用インターフェイス部24、モータ駆動部としてのモータ駆動装置25、及び検出用インターフェイス部5002から基本的に構成されている。
【0045】
指令発生装置5001は、角変位制御用の指令発生装置であり、目標の累積角変位信号を出力する。この指令発生装置5001の出力側もバス22へ接続されており、デジタル処理される。
【0046】
検出用インターフェイス部5002は、エンコーダ18の出力パルスを処理してデジタル数値に変換する。この検出用インターフェイス部5002は、エンコーダ18の出力パルスを計数するカウンタを備えており、このカウンタのカウントした数値に、あらかじめ定められたパルス数対角変位の変換定数を乗算して従動ローラ32の角変位に対応するデジタル数値に変換する。この従動ローラ32の角変位に対応するデジタル数値の信号は、バス22を介してマイクロコンピュータ21に送られる。
【0047】
なお、図5中の符号5003で示した部分(図6も同様)は、図1に示したベルト搬送制御系全体、モータ駆動用インターフェイス部24、モータ駆動装置25、及び検出用インターフェイス部5002を含む制御対象である。
【0048】
図6は、本実施例に係るベルト搬送制御方法を実施するためのベルト搬送制御装置のブロック図である。図1において、エンコーダ18の出力パルス信号を処理する検出用インターフェイス部5002から出力される情報、すなわちエンコーダ18を取り付けた従動ローラ32の角変位の情報(以下「検出角変位」という)P(i−1)は演算部(減算器)1に与えられる。この演算部1は、制御目標値である従動ローラ32の角変位の目標値(以下「目標角変位」という)Ref(i)と従動ローラ32の検出角変位P(i−1)との差e(i)を算出する。この差e(i)は制御コントローラ部2に入力される。この制御コントローラ部2は、高周波ノイズを除去するためのローパスフィルタ8と、比例要素(ゲインKp)9とで構成されている。制御コントローラ部2では、DCモータ11の駆動に用いる制御電圧u(i)が求められる。駆動電圧u(i)に基づいて、モータ駆動用インターフェイス部24及びモータ駆動装置25により駆動信号が生成され、DCモータ11へ出力される。このように駆動制御されたDCモータ11の駆動力が、駆動伝達系37,38を介して駆動ローラ31へ伝達され、従動ローラ32が所定の目標角変位に従って回転する。以上のフィードバックループの制御動作が繰り返される。
【0049】
ここで、本制御系の目的はベルトを等速で搬送することである、エンコーダ18を取り付けた従動ローラ32に振れ、すなわち偏心がない場合は、前述の系において、従動ローラ32が目標角変位で駆動されることは、ベルトが等速で駆動されることと同意と考えてよい。しかし、実際には振れのないローラを作成することは不可能である。また、一般にフィードバック制御系は性能を良くするために制御帯域を極力広くする必要がある。一般に従動ローラ32の1回転の周波数は、数Hzであることが多いため、この周波数においても大きな制御ゲインを有することが多く、従って、前記の系だけではベルト30の駆動成分にエンコーダローラ32の1回転周期が含まれてしまう。
【0050】
そこで、図7に示したように、フィードバック制御系の制御帯域を、エンコーダ18を取り付けた従動ローラ32の1回転の略周波数以下に設定する。図7は、図6において、RefからPまでのオープンループ伝達関数を示す図である。
【0051】
ここでは、従動ローラ32の1回転の周波数6Hzとし、制御系のオープンループのゼロクロスが略その周波数となるようにフィードバック系の比例ゲインを設定している。なお、フィルタはノイズ対策の一例として50Hzのバターワースフィルタを用いている。
【0052】
このように設定することで、エンコーダ18を取り付けた従動軸40の周波数は制御せずに、それ以下の周波数成分の変動を制御することにより高精度な駆動が可能なベルト搬送制御装置を構築することができる。
【実施例3】
【0053】
実施例3は、フィードバック制御系の制御帯域を略エンコーダを取り付けた従動ローラ1回転の周波数以下に設定するベルト搬送制御装置の例である。
【0054】
実施例3に係るベルト搬送装置は図1に示した実施例1と同様なので、ここでの説明は省略する。図8は、本実施例3におけるDCモータ11の制御系及び制御対象のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示した実施例1と同様の機能は同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0055】
実施例3においては、DCモータ11に流れる電流を計測する電流センサ8001が取り付けられており、検出結果はバス22に接続され、マイクロコンピュータ21でデジタル処理されたのち、後述の電流制御系に用いられる。
【0056】
なお、図8、後述の図9中の符号8002で示した部分は、図1に示したベルト搬送制御系全体、モータ駆動用インターフェイス部24、モータ駆動装置25、検出用インターフェイス部26、および電流センサ8001を含む制御対象を示す。
【0057】
図9は、本実施例3に係るベルト搬送制御装置のブロック図である。図1において、エンコーダ18の出力パルス信号を処理する検出用インターフェイス部26から出力される情報、すなわちエンコーダ18を取り付けた従動ローラ32の角速度の情報(以下「検出角速度」という)P(i−1)は演算部(減算器)1に与えられる。この演算部1は、制御目標値である従動ローラ32の角速度の目標値(以下「目標角速度」という)Ref(i)と従動ローラ32の検出角速度P(i−1)との差e(i)を算出する。この差e(i)は制御コントローラ部2に入力される。この制御コントローラ部2は、高周波ノイズを除去するためのローパスフィルタ8と、比例要素(ゲインKp)9とで構成されている。
【0058】
制御コントローラ部2では、DCモータ11の駆動に用いる目標制御電流refI(i)が求められる。目標制御電流refI(i)はブロック9001において、電流センサ8001で計測された電流値との差が求められ、電流制御演算部(KAmp)9002に送られる。電流制御演算部9002では、例えば比例制御で構成され、モータ駆動電圧u(i)が求められる。次いで、モータ駆動電圧u(i)に基づいて、モータ駆動用インターフェイス部24及びモータ駆動装置25により駆動信号が生成され、DCモータ11へ出力される。符号9003はモータ部11を示すブロック図で、Rは抵抗、Lは自己インダクタンス、sはラプラス演算子であり、この出力がモータ部11に流れる電流である。このように駆動制御されたDCモータ11の駆動力が、制御対象すなわち、図11の機構系であり、駆動伝達系(タイミングベルト及び従動プーリ)37,38を介して駆動ローラ31へ伝達され、従動ローラ32が所定の目標角変位に従って回転する。以上のフィードバックループの制御動作が繰り返される。
【0059】
なお、ここでは、簡単のため、モータ部11の逆起電圧は省略した。また、制御ブロック2、9002は、ここで示したものに限定されるのではなく、すべてのフィードバック制御系を用いることができる。
【0060】
本実施例においても実施例1及び2と同様にベルト30を等速で搬送することを目的としており、前述のように前記の系だけでは、ベルト30の駆動成分にエンコーダローラ32の1回転周期が含まれてしまう。本実施例においても、図4に示したように、フィードバック制御系の制御帯域を、エンコーダ18を取り付けた従動ローラ32の略1回転の周波数以下に設定する。図4は、図9において、RefからPまでのオープンループ伝達関数である。
【0061】
ここでは、従動ローラ1回転の周波数6Hzとし、制御系のオープンループのゼロクロスが略その周波数となるようにフィードバック系の比例ゲインを設定している。なお、フィルタはノイズ対策の一例として50Hzのバターワースフィルタを用いている。
【0062】
このように設定することで、エンコーダ18を取り付けた従動軸32の周波数は制御せずに、それ以下の周波数成分の変動を制御することにより、高精度な駆動が可能なベルト搬送制御装置を構築することができる。
【実施例4】
【0063】
実施例4は、フィードバック制御系の制御帯域を略エンコーダを取り付けた従動ローラ1回転の周波数以下に設定するベルト搬送制御装置の例である。実施例4に係るベルト搬送装置は図1に示した実施例1と同様なので、ここでの説明は省略する。
【0064】
図10は、本実施例4におけるDCモータ11の制御系及び制御対象のハードウェア構成を示すブロック図である。実施例1(図2)、実施例2(図5)と同等の機能を有する各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0065】
実施例4においては、モータ11に流れる電流を計測する電流センサ10001が取り付けられており、検出結果は、バス22に接続され、マイクロコンピュータ21でデジタル処理されたのち、後述の電流制御系に用いられる。なお、図10、後述の図11中の符号10002で示した部分は、図1に示したベルト搬送制御系全体、モータ駆動用インターフェイス部24、モータ駆動装置25、検出用インターフェイス部26、および電流センサ10001を含む制御対象を示す。
【0066】
図11は、本実施例4に係るベルト搬送制御方法を実施するためのベルト搬送制御装置のブロック図である。図1において、エンコーダ18の出力パルス信号を処理する検出用インターフェイス部26から出力される情報、すなわちエンコーダ18を取り付けた従動ローラ32の角変位の情報(検出角変位)P(i−1)は演算部(減算器)1に与えられる。この演算部1は、制御目標値である従動ローラ32の角変位の目標値(目標角変位)Ref(i)と従動ローラ32の検出角変位P(i−1)との差e(i)を算出する。この差e(i)は制御コントローラ部2に入力される。この制御コントローラ部2は、高周波ノイズを除去するためのローパスフィルタ8と、比例要素(ゲインKp)9とで構成されている。
【0067】
制御コントローラ部2では、DCモータ11の駆動に用いる目標制御電流 refI(i)が求められる。目標制御電流はブロック9001において、電流センサ10001で計測された電流値との差が求められ、電流制御演算部(KAmp)9002に送られる。電流制御演算部9002は、例えば比例制御で構成され、モータ駆動電圧u(i)が求められる。そこで、求められたモータ駆動電圧u(i)に基づいて、モータ駆動用インターフェイス部24及びモータ駆動装置25により駆動信号が生成され、DCモータ11へ出力される。符号9003はモータ部11を示し、Rは抵抗、Lは自己インダクタンス、sはラプラス演算子であり、この出力がモータ部に流れる電流である。このように駆動制御されたDCモータ11の駆動力が、制御対象すなわち、図11の機構系であり、駆動伝達系(タイミングベルト及び従動プーリ)37,38を介して駆動ローラ31へ伝達され、従動ローラ32が所定の目標角変位に従って回転する。以上のフィードバックループの制御動作が繰り返される。なお、ここでは、簡単のため、モータ部11の逆起電圧は省略した。また、制御ブロック2、9002は、ここで示したものに限定されるのではなく、すべてのフィードバック制御系を用いることができる。
【0068】
本実施例においても実施例1及び2と同様にベルト30を等速で搬送することを目的としており、前述のように前記の系だけでは、ベルト30の駆動成分にエンコーダローラ32の1回転周期が含まれてしまう。本実施例においても、図7に示したように、フィードバック制御系の制御帯域を、エンコーダ18を取り付けた従動ローラ32の略1回転の周波数以下に設定する。図7は、図11において、RefからPまでのオープンループ伝達関数である。
【0069】
ここでは、従動ローラ1回転の周波数6Hzとし、制御系のオープンループのゼロクロスが略その周波数となるようにフィードバック系の比例ゲインを設定している。なお、フィルタはノイズ対策の一例として50Hzのバターワースフィルタを用いている。
【0070】
以上のように本実施例4によれば、エンコーダ18を取り付けた従動軸32の周波数は制御せずに、それ以下の周波数成分の変動を制御することにより、高精度な駆動が可能なベルト搬送制御装置を構築することができる。
【実施例5】
【0071】
モータ軸から駆動ローラまでの系において、各軸の偏心等によって生じる回転に起因する変動成分の周波数が、エンコーダを取り付けた従動ローラの回転に起因する変動成分の周波数よりも十分に低い場合は、エンコーダを取り付けた従動ローラの振れに起因する変動を抑えつつ、モータ軸から駆動ローラまでの系において、各軸の偏心等によって生じる回転に起因する変動成分を制御することができる。しかし、駆動ローラの径と、従動ローラの径があまりかわらない場合、他の方法で、モータ軸から駆動ローラまでの系における各軸の偏心等によって生じる回転に起因する変動成分を低減させる必要がある。実施例5は、DCモータの駆動入力に駆動モータから駆動ローラまでの変動成分をキャンセルする成分を加え、前記変動成分を低減させるようにした例で、角速度制御及び電圧制御が行われる。
【0072】
図12は、実施例5に係るベルト搬送制御装置の斜視図である。ここで、図1に示した実施例1と同等の各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0073】
本実施例は、図12から分かるように実施例1に対して、駆動ローラ31に角速度、もしくは角変位計測用のエンコーダ501を設けている。また、駆動ローラ31には、1回転のホームポジション検知用のセンサ(不図示)が取り付けられている。その他の各部は実施例1と同等に構成されている。
【0074】
図13は、実施例5におけるDCモータ11の制御系及び制御対象のハードウェア構成を示すブロック図である。ここで、図2に示した実施例1と同等の各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。図13において、符号601は検出用インターフェイス部であり、エンコーダ501の出力パルスを処理してデジタル数値に変換する。この検出用インターフェイス部601は、エンコーダ501の出力パルス間隔を計測するタイマーカウンタを備えており、このカウンタのカウントした数値に、あらかじめ定められたパルス対角速度の変換定数をかけて駆動ローラ31の角速度に対応するデジタル数値に変換する。この駆動ローラ31の角速度に対応するデジタル数値の信号は、バス22を介してマイクロコンピュータ21に送られる。また、駆動ローラ31の1回転のホームポジション検知センサの出力もバス22を介してマイクロコンピュータ21に送られており、この信号を基準として、駆動ローラ1回転分の角速度が、メモリ(RAM)21c内に記憶される。また、この角速度を基に補正電圧が生成され、ホームポジションを基準とした補正電圧として、メモリ(RAM)21c内に記録される。前記補正電圧の作成の方法について後述する。
【0075】
なお、図13中の符号602で示した部分は、図12に示したベルト搬送制御系全体、モータ駆動用インターフェイス部24、モータ駆動装置25、検出用インターフェイス部26、601とを含む制御対象である。
【0076】
図14は、実施例5に係るベルト搬送制御装置の制御構成を示すブロック図である。なお、図14は図3に示した実施例1の制御構成に対し、制御ブロック1402と演算部7を追加したもので、同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。図14において、演算部7では、前記補正制御量(図14、番号9の出力)に加えて、前記駆動ローラ1回転分の補正電圧を加え、駆動電圧u(i)が決定される。ここで、駆動ローラ1回転分の補正電圧は、ブロック1402において、HPセンサ信号が入力されるたびにリセットされ、初期値からの値が入力される。
【0077】
この演算部7で求めたモータ駆動電圧u(i)に基づいて、モータ駆動用インターフェイス部24及びモータ駆動装置25により駆動信号が生成され、DCモータ11へ出力される。このように駆動制御されたDCモータ11の駆動力が、駆動伝達系(タイミングベルト及び従動プーリ)37、38を介して駆動ローラ31へ伝達され、従動ローラ32が所定の目標角速度に従って等角速度で回転する。以上のフィードバックループの制御動作が繰り返される。
【0078】
駆動ローラ1回転成分の補正電圧の算出は、例えば次のようにして行われる。算出には図13のハードウェア構成及び図15に示すようなモータFG制御を用いる。まず、図15に示したようにDCモータをFG制御系で駆動する。図15において、モータFGの角速度の情報(以下「検出角速度」という)P_FG(i−1)は演算部(減算器)1に与えられる。この演算部1は、制御目標値でモータ角速度の目標値(以下「目標角速度」という)Ref_FG(i)とFGによる検出角速度P_FG(i−1)との差e(i)を算出する。この差e(i)は制御コントローラ部2に入力される。この制御コントローラ部2は、高周波ノイズを除去するためのローパスフィルタ8と、比例要素(ゲインKp)9とで構成されている。制御コントローラ部2では、DCモータ11の駆動に用いる制御電圧u(i)が求められる。駆動電圧u(i)に基づいて、モータ駆動用インターフェイス部24及びモータ駆動装置25により駆動信号が生成され、DCモータ11へ出力される。このようにしてDCモータ11が所定の目標角速度に従って等角速度で回転し、以上のフィードバックループの制御動作が繰り返される。
【0079】
次にこのときの駆動ローラ31の角速度をエンコーダ出力により計測する。計測は駆動ローラ31のホームポジションセンサを基準に、駆動ローラ1回転以上行い、メモリに保存する。図16にこのときの計測結果例を示す。この結果から、DCモータ11をFG制御で駆動しても、図に示したようにモータ軸から駆動ローラまでの系において、各軸の偏心等によって生じる回転に起因する変動成分が生じていることが分かる。
【0080】
ここで、この変動と逆位相、同振幅の駆動を行えば、これらの変動はキャンセルされる。補正のための駆動は、図14に示したように制御ブロック1402からのモータ入力電圧で行う。そこで、この補正電圧を求めるには、まず図15に示した制御ブロックにおいて、モータへの電圧入力uから駆動ローラ角速度出力までの伝達関数Gを求める。伝達関数はモデルを作成し数学的に得ても良いし、実験で求めても良い。この伝達関数は、駆動ローラ角速度/モータ入力電圧なので、逆数を取り、駆動モータ角速度をかければ、その駆動ローラ角速度に対応したモータ入力電圧が得られる。そこで、得られた伝達関数Gの逆数に、先ほど求めた駆動ローラホームポジションを基準とした駆動ローラ角速度変動(図16)を掛けることにより、必要な駆動補正電圧が得られる。図17にその一例を示す。
【0081】
この補正電圧は、制御のサンプリング周期ごとの値としてメモリ内に保存し、駆動ローラ31のホームポジションセンサ検知ごとに、繰り返し補正値を用いる。これにより、駆動ローラ31の1回転成分の変動が補正され、従動ローラ32が所定の目標角変位に従って等角速度で、すなわちベルト30が等速度で駆動される。
【0082】
以上のように本実施例5によれば、従動ローラ32と駆動ローラ31にレイアウト上の制限が発生することなしに、もしくはより制限が少ない状態で、ベルト30の等速駆動を実現することができる。
【実施例6】
【0083】
実施例6は、DCモータの駆動電圧に駆動モータから駆動ローラまでの変動成分をキャンセルする成分を加える例である。
【0084】
本実施例に係るベルト搬送装置は図12に示した実施例5と同様なので、ここでの説明は省略する。
【0085】
図18は、本実施例6におけるDCモータ11の制御系及び制御対象のハードウェア構成を示すブロック図である。図13に示した実施例5と同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0086】
本実施例は図13に示した実施例5における指令発生装置23及び検出用インターフェイス26を、それぞれ指令発生装置5001及び検出用インターフェイス5002に置換したもので、その他の各部は実施例5と同等に構成されている。指令発生装置5001は角変位制御用の指令発生装置であり、目標の累積角変位信号を出力する。この指令発生装置5001の出力側もバス22へ接続されており、デジタル処理される。検出用インターフェイス部5002は、エンコーダ18の出力パルスを処理してデジタル数値に変換する。この検出用インターフェイス部5002は、エンコーダ18の出力パルスを計数するカウンタを備えており、このカウンタのカウントした数値に、あらかじめ定められたパルス数対角変位の変換定数をかけて従動ローラ32の角変位に対応するデジタル数値に変換する。この従動ローラ32の角変位に対応するデジタル数値の信号は、バス22を介してマイクロコンピュータ21に送られる。
【0087】
なお、図18中の符号1801で示した部分(図19も同様)は、図12に示したベルト搬送制御系全体、モータ駆動用インターフェイス部24、モータ駆動装置25、及び検出用インターフェイス部5002、601を含む制御対象である。
【0088】
図19は、本実施例6に係るベルト搬送制御方法を実施するためのベルト搬送制御装置のブロック図である。ここで、図6に示した各部を同一の構成には同一の参照符号を付して重複する説明は省略し、追加した部分についてのみ説明する。この実施例6では図6に示した実施例2のベルト搬送制御装置に対して、演算部7と制御ブロック1402が追加され、制御対象が符号1802で示す部分に変更されている。この構成では、演算部7で、前記補正制御量(図19、符号9の出力)に、制御ブロック1402から前記駆動ローラ31の1回転分の補正電圧を加え、駆動電圧u(i)が決定される。ここで、駆動ローラ1回転分の補正電圧は、制御ブロック1402において、HPセンサ信号が入力されるたびにリセットされ、初期値からの値が入力される。
【0089】
この演算部7で求めた駆動電圧u(i)に基づいて、図18に示すモータ駆動用インターフェイス部24及びモータ駆動装置25により駆動信号が生成され、DCモータ11へ出力される。このように駆動制御されたDCモータ11の駆動力が、駆動伝達系(タイミングベルト及び従動プーリ)37、38を介して駆動ローラ31へ伝達され、従動ローラ32が所定の目標角変位に従って駆動され、以上のフィードバックループの制御動作が繰り返される。
【0090】
駆動ローラ31の1回転成分の補正電圧の算出には図18のハードウェアを用いるが、電圧制御のため使用する制御系は図15に示すようなモータFG制御であり、算出方法も前記実施例5と同様なのでここでの説明は省略する。
【0091】
以上のように本実施例6によれば、従動ローラ32と駆動ローラ31にレイアウト上の制限が発生することなく、もしくはより制限が少ない状態で、ベルト30の等速駆動を実現することができる。
【実施例7】
【0092】
実施例7は、DCモータの駆動電流に駆動モータから駆動ローラまでの変動成分をキャンセルする成分を加える例である。
【0093】
実施例7に係るベルト搬送装置は図12に示した実施例5と同様なので、ここでの説明は省略する。図20は、本実施例7におけるDCモータ11の制御系及び制御対象のハードウェア構成を示すブロック図である。ここで、実施例5で説明した図13と同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。実施例7においては、モータ11に流れる電流を計測する電流センサ20001が取り付けられており、検出結果は、バス22に接続されデジタル処理されたのち、後述の電流制御系に用いられている。
【0094】
なお、図20及び後述の図21中の符号20002で示した部分は、図12に示したベルト搬送制御系全体、モータ駆動用インターフェイス部2、モータ駆動装置25、検出用インターフェイス部26、及び電流センサ20001を含む制御対象である。
【0095】
図21は、本実施例7に係るベルト搬送制御を実施するためのベルト搬送制御装置のブロック図である。ここで、実施例3で説明した図9と同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0096】
制御コントローラ部2では、DCモータ11の駆動に用いる目標制御電流 refI(i)が求められる。目標制御電流はブロック9001において、目標制御電流(図21、符号9の出力)に前記駆動ローラ1回転分の駆動補正目標電流を加え、駆動電流が決定される。ここで、駆動ローラ31の1回転分の駆動補正目標電流は、ブロック2102において、HPセンサ信号が入力されるたびにリセットされ、初期値からの値が入力される。
【0097】
さらに演算器9001では、電流センサ20001で計測された電流値との差が求められ、電流制御演算部9002に送られる。電流制御演算部9002は、例えば比例制御回路で構成され、モータ駆動電圧u(i)が求められる。駆動電圧u(i)に基づいて、モータ駆動用インターフェイス部24及びモータ駆動装置25により駆動信号が生成され、DCモータ11へ出力される。ここでは、符号9003はモータ部11を示し、Rは抵抗、Lは自己インダクタンス、sはラプラス演算子であり、この出力(1/(Ls+R))がモータ11部に流れる電流である。このように駆動制御されたDCモータ11の駆動力が、制御対象すなわち、図12の機構系であり、駆動伝達系(タイミングベルト、従動プーリ)37,38を介して駆動ローラ31へ伝達され、従動ローラ32が所定の目標角変位に従って回転する。以上のフィードバックループの制御動作が繰り返される。なお、ここでは、簡単のため、モータ部11の逆起電圧は省略した。また、制御ブロック2、9002は、ここで示したものに限定されるのではなく、すべてのフィードバック制御系を用いることができる。
【0098】
駆動ローラ31の1回転成分の補正電圧の算出方法の一例について説明する。算出には図20のハード及び図22に示すようなモータFG制御を用いる。
【0099】
まず、図22に示したようにDCモータ11をFG制御系で駆動する。図22において、モータFGの角速度の情報(以下「検出角速度」という)P_FG(i−1)は演算部(減算器)1に与えられる。この演算部1は、制御目標値でモータ角速度の目標値(以下「目標角速度」という)Ref_FG(i)とFGによる検出角速度P_FG(i−1)との差e(i)を算出する。この差e(i)は制御コントローラ部2に入力される。制御コントローラ部2はこの制御コントローラ部2は、高周波ノイズを除去するためのローパスフィルタ8と、比例要素(ゲインKp)9とで構成されている。
【0100】
制御コントローラ部2では、DCモータ11の駆動に用いる目標制御電流 refI(i)が求められる。目標制御電流はブロック9001において、電流センサ20001で計測された電流値との差が求められ、電流制御演算部9002に送られる。電流制御演算部9002は、例えば比例制御回路で構成され、モータ駆動電圧u(i)が求められる。駆動電圧u(i)に基づいて、モータ駆動用インターフェイス部24及びモータ駆動装置25により駆動信号が生成され、DCモータ11へ出力される。符号9003はモータ部11を示し、前記(1/(Ls+R))で示される電流によって駆動される。このようにしてDCモータ11は所定の目標角速度に従って等角速度で回転する。以上のフィードバックループの制御動作が繰り返される。
【0101】
次に、このときの駆動ローラ31の角速度をエンコーダ出力により計測する。計測は駆動ローラ31のホームポジションセンサを基準に、駆動ローラ31を1回転以上回転させて行い、図示しないメモリに保存する。図16はこのときの計測結果の一例を示す図である。同図から分かるようにDCモータ11をFG制御で駆動しても、図に示したようにモータ軸から駆動ローラまでの系において、各軸の偏心等によって生じる回転に起因する変動成分が発生している。
【0102】
ここで、この変動と逆位相、同振幅の駆動を行えば、これらの変動はキャンセルされる。補正の駆動は、図21に示したように駆動補正目標電流を使用する。この駆動補正目標電流を求めるには、図21に示した制御ブロックにおいて、モータへの目標電流から駆動ローラ角速度出力までの伝達関数Gを求める。伝達関数はモデルを作成し数学的に得ても良いし、実験で求めても良い。この伝達関数は、駆動ローラ角速度/モータ入力電圧なので、逆数を取り、駆動モータ角速度をかければ、その駆動ローラ角速度に対応したモータ入力電圧が得られる。そこで、得られた伝達関数Gの逆数に、先ほど求めた駆動ローラホームポジションを基準とした駆動ローラ角速度変動(図16)をかけることにより、必要な駆動補正電圧が得られる。図17は得られた駆動補正電圧の一例を示す図である。
【0103】
なお、伝達関数は、モータ11への目標電流から駆動ローラ角速度出力だけではなく、モータ11に流れている電流から駆動ローラ角速度出力によって得ても良い。この場合、制御系は図15に示したような電圧制御系を用いることもできる。
【0104】
この補正電圧は、制御のサンプリング周期ごとの値としてメモリ内に保存し、ホームポジションセンサ検知ごとに、繰り返し補正値を用いる。これにより、駆動ローラ31の1回転成分の変動が補正され、従動ローラ32が所定の目標角変位に従って等角速度で駆動される。その結果、ベルト30も等速度で駆動されることになる。
【0105】
従って本実施例7によれば、従動ローラ32と駆動ローラ31にレイアウト上の制限が発生することなく、もしくはより制限が少ない状態で、ベルト30の等速駆動を実現することができる。
【実施例8】
【0106】
実施例8は、DCモータの駆動電流に駆動モータから駆動ローラまでの変動成分をキャンセルする成分を加え、角変位及び電流制御を行う例である。
【0107】
実施例8に係るベルト搬送装置は図12に示した実施例5と同様なので、ここでの説明は省略する。図23は、本実施例8におけるDCモータ11の制御系及び制御対象のハードウェア構成を示すブロック図である。ここで、実施例2で説明した図5及び実施例5で説明した図13と同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0108】
図23に示すように実施例8においては、モータ11に流れる電流を計測する電流センサ23001がモータ駆動装置の出力側に取り付けられており、検出結果はバス22に接続されたマイクロコンピュータ21でデジタル処理されたのち、後述の電流制御系に用いられる。
【0109】
なお、図23、後述の図24中の符号23002で示した部分は、図12に示したベルト搬送制御系全体、モータ駆動用インターフェイス部24、モータ駆動装置25、検出用インターフェイス部26、および電流センサ23001を含む制御対象である。
【0110】
図24は、本実施例8に係るベルト搬送制御方法を実施するためのベルト搬送制御装置のブロック図である。ここで、図11に示した実施例3と同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0111】
制御コントローラ部2では、DCモータ11の駆動に用いる目標制御電流 refI(i)が求められる。目標制御電流はブロック9001において、目標制御電流(図24、符号9の出力)に加えて、前記駆動ローラ1回転分の駆動補正目標電流を加え、駆動電流が決定される。ここで、駆動ローラ31の1回転分の駆動補正目標電流は、制御ブロック2102において、HPセンサ信号が入力されるたびにリセットされ、初期値からの値が入力される。
【0112】
さらに演算器9001では、電流センサ23001で計測された電流値との差が求められ、電流制御演算部9002に送られる。電流制御演算部9002は、例えば比例制御回路で構成され、モータ駆動電圧u(i)が求められる。駆動電圧u(i)に基づいて、図23に示すモータ駆動用インターフェイス部24及びモータ駆動装置25で駆動信号が生成され、DCモータ11へ出力される。符号9003はモータ部11を示し、Rは抵抗、Lは自己インダクタンス、sはラプラス演算子であり、この出力(1/(Ls+R))がモータ部11に流れる電流である。このように駆動制御されたDCモータ11の駆動力が、制御対象すなわち、図12の機構系であり、駆動伝達系(タイミングベルト、従動プーリ)37,38を介して駆動ローラ31へ伝達され、従動ローラ32が所定の目標角変位に従って回転する。以上のフィードバックループの制御動作が繰り返される。なお、ここでは、簡単のため、モータ部の逆起電圧は省略した。また、制御ブロック2、9002は、ここで示したものに限定されるのではなく、すべてのフィードバック制御系を用いることができる。
【0113】
なお、駆動ローラ1回転成分の補正電圧の算出も前記実施例7と同様にして行われ、算出には図20のハード及び図22に示すようなモータFG制御を用いる。算出には図23に示したハードウェアを用いるが、電流制御のため、使用する制御系は図22に示すようなモータFG制御であり、算出方法も前記実施例7と同様なのでここでの説明は省略する。
【0114】
以上のように本実施例8によれば、従動ローラ32と駆動ローラ31にレイアウト上の制限が発生することなく、もしくはより制限が少ない状態で、ベルト30の等速駆動を実施することができる。
【実施例9】
【0115】
図25は、本発明の実施例9に係る画像形成装置としてのカラー複写機の概略構成図である。なお、本実施例9においては、これまで述べた実施例1ないし8とは独立して参照符号を付している。
【0116】
図25において、本実施例9に係るカラー複写機の装置本体110は、その外装ケース111内の中央よりもやや右寄りに、潜像担持体としてのドラム状の感光体(以下「感光体ドラム」という。)112を備えている。感光体ドラム112の周りには、感光体ドラム112の上側に設置されている帯電器113から矢示の回転方向(反時計方向)へ順に、現像手段としての回転型現像装置114、中間転写ユニット115、クリーニング装置116、除電器117などである。
【0117】
これらの帯電器113、回転型現像装置114、クリーニング装置116、除電器117の上には、露光手段としての光書込み装置、例えばレーザ書込み装置118が設置されている。回転型現像装置114は、現像ローラ121を有する現像器120A、120B、120C、120Dを備えている。これら現像器120A、120B、120C、120Dにはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーがそれぞれ収納されている。そして、中心軸まわりに回動して各色の現像器120A、120B、120C、120Dを選択的に感光体ドラム112の外周に対向する現像位置へ移動させる。
【0118】
中間転写ユニット115は複数のローラ123に無端状の中間転写体としての中間転写ベルト124が掛け渡され、この中間転写ベルト124が感光体ドラム112に当接する。中間転写ベルト124の内側には転写装置125が設置され、中間転写ベルト124の外側には転写装置126及びクリーニング装置127が設置されている。クリーニング装置127は中間転写ベルト124に対して接離自在に設けられる。
【0119】
レーザ書込み装置118には、画像読み取り装置129から図示しない画像処理部を介して各色の画像信号が入力される。そして、各色の画像信号により順次に変調されたレーザ光を一様帯電状態の感光体ドラム112に照射して感光体ドラム112を露光することによって感光体ドラム112上に静電潜像を形成する。画像読み取り装置129は装置本体110の上面に設けられた原稿台130上にセットされた原稿の画像を色分解して読み取り、電気的な画像信号に変換する。記録媒体搬送路132は右から左へ用紙等の記録媒体を搬送する。記録媒体搬送路132には、中間転写ユニット115及び転写装置126より手前にレジストローラ133が設置されている。また、中間転写ユニット115及び転写装置126より下流側に、搬送ベルト134、定着装置135、排紙ローラ136が配置されている。
【0120】
装置本体110は給紙装置150上に載置される。給紙装置150内には、複数の給紙カセット131が多段に設けられ、給紙ローラ152のいずれか1つが選択的に駆動されて給紙カセット131のいずれか1つから記録媒体が送り出される。この記録媒体は装置本体110内の自動給紙路137を通って記録媒体搬送路132へ搬送される。また、装置本体110の右側には、手差しトレイ138が開閉自在に設けられ、この手差しトレイ138から挿入された記録媒体は装置本体110内の手差し給紙路139を通って記録媒体搬送路132へ搬送される。装置本体110の左側には、図示しない排紙トレイが着脱自在に取り付けられ、記録媒体搬送路132を通って排紙ローラ136から排出された記録媒体が排紙トレイへ収容される。
【0121】
本実施例9のカラー複写機において、カラーコピーをとる時には、原稿台130上に原稿をセットし、図示しないスタートスイッチを押すと、複写動作が開始される。まず、画像読み取り装置129が原稿台130上の原稿Gの画像を色分解して読み取る。同時に、給紙装置150内の給紙カセット131から給紙ローラ152で選択的に記録媒体が送り出され、この記録媒体は自動給紙路137、記録媒体搬送路132を通ってレジストローラ133に突き当たって止まる。
【0122】
感光体ドラム112は、反時計方向に回転し、複数のローラ123のうちの駆動ローラの回転で中間転写ベルト124が時計方向へ回転する。感光体ドラム112は、回転に伴い、帯電器113により一様に帯電され、画像読み取り装置129から画像処理部を介してレーザ書込み装置118に加えられる1色目の画像信号で変調されたレーザ光がレーザ書込み装置118から照射されて静電潜像が形成される。
【0123】
この感光体ドラム112上の静電潜像は回転型現像装置114の1色目の現像器120Aにより現像されて1色目の画像となり、この感光体ドラム112上の1色目の画像は転写装置125により中間転写ベルト124に転写される。感光体ドラム112は、1色目の画像の転写後にクリーニング装置116でクリーニングされて残留トナーが除去され、除電器117で除電される。
【0124】
続いて、感光体ドラム112は、帯電器113により一様に帯電され、画像読み取り装置129から画像処理部を介してレーザ書込み装置118に加えられる2色目の画像信号で変調されたレーザ光がレーザ書込み装置118から照射されて静電潜像が形成される。この感光体ドラム112上の静電潜像は回転型現像装置114の2色目の現像器120Bにより現像されて2色目の画像となる。そして、この感光体ドラム112上の2色目の画像は転写装置125により中間転写ベルト124上に1色目の画像と重ねて転写される。感光体ドラム112は、2色目の画像の転写後にクリーニング装置116でクリーニングされて残留トナーが除去され、除電器117で除電される。
【0125】
同様にして3色目の画像が形成されて中間転写ベルト124上で1色目及び2色目の画像に重畳され、同様にして4色目の画像が1色目、2色目及び3色面の画像の上に重畳され、フルカラー画像が形成される。感光体ドラム112は、4色目の画像の転写後にクリーニング装置116でクリーニングされて残留トナーが除去され、除電器117で除電される。
【0126】
そして、レジストローラ133がタイミングをとって回転して記録媒体が送り出され、転写装置126によりこの記録媒体上に中間転写ベルト124上のフルカラー画像が転写される。この記録媒体は、搬送ベルト134で搬送されて定着装置135で定着され、排紙ローラ136から排紙トレイへ排出される。また、中間転写ベルト124はフルカラー画像の転写後にクリーニング装置127でクリーニングされて残留トナーが除去される。このようにして記録媒体上に4色のフルカラー画像が形成され、出力される。
【0127】
以上、4色重ね画像を形成する動作について説明したが、3色重ね画像を形成する場合には感光体ドラム112上に3つの異なる単色画像が順次に形成されて中間転写ベルト124上に重ねて転写される。その後に記録媒体に一括して転写され、2色重ね画像を形成する場合には感光体ドラム112上に2つの異なる単色画像が順次に形成されて中間転写ベルト124上に重ねて転写された後に記録媒体に一括して転写される。また、単色画像を形成する場合には、感光体ドラム112上に1つの単色画像が形成されて中間転写ベルト124上に転写された後に記録媒体に転写される。
【0128】
上述のようなカラー複写機においては、中間転写ベルト124の回転精度が最終画像の品質に大きく影響する。そこで、本実施例9のカラー複写機では、中間転写ベルト124を高精度に駆動するために、中間転写ベルト124の駆動を前記図1または12に示すベルト装置を用いて行っている。そして、これらのベルト装置を、前記実施例1ないし8のいずれかの駆動制御装置により制御している。
【0129】
このように構成し、制御する本実施例9によれば、従動ローラと駆動ローラにレイアウト上の制限が発生することなく、もしくはより制限が少ない状態で、ベルト124の等速駆動を実現することが可能となり、画像形成装置において高品質な画像を得ることができる。
【実施例10】
【0130】
図26は、本発明の実施例10に係る画像形成装置としてのカラー複写機の概略構成図である。なお、本実施例10においては、これまで述べた実施例1ないし9とは独立して参照符号を付している。
【0131】
図26において、本実施例10に係るカラー複写機は、露光光学系206、感光体ベルト201、現像器207〜210、中間転写ユニット211、転写ユニット223、給紙カセット220、定着器227、排紙トレイ231などから基本的に構成されている。
【0132】
潜像担持体としての感光体ベルト201は、閉ループ状のNLのベルト基材の外周面上に、有機光半導体(OPC)等の感光層が薄膜状に形成された無端状の感光体ベルトである。この感光体ベルト201は、3本の支持回転体としての感光体搬送ローラ202,203,204によって支持され、駆動モータ(図示せず)によって矢印A方向に回動する。感光体ベルト201の周りには、矢印Aで示す感光体回転方向へ順に、帯電器205、露光手段としての露光光学系(以下、「LSU」と称す)206、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色の現像器207〜210、中間転写ユニット211、感光体クリーニングユニット212及び除電器213が設けられている。帯電器205は、−4〜5kV程度の高電圧が図示しない電源装置から印加され、感光体ベルト201の帯電器205に対向した部分を帯電して一様な帯電電位を与える。
【0133】
前記LSU206は、レーザ駆動回路(図示せず)により階調変換手段(図示せず)からの各色の画像信号を順次に光強度変調やパルス幅変調してその変調信号で半導体レーザ(図示せず)を駆動することにより露光ビーム214を出力し、この露光ビーム214により感光体ベルト201を走査して感光体ベルト201上に各色の画像信号に対応する静電潜像を順次に形成する。継ぎ目センサ215はループ状に形成された感光体ベルト201の継ぎ目を検知するものであり、継ぎ目センサ215が感光体ベルト201の継ぎ目を検知すると、感光体ベルト201の継ぎ目を回避するように、かつ、各色の静電潜像形成角変位が同一になるように、タイミングコントローラ216がLSU206の発光タイミングを制御する。
【0134】
各現像器207〜210は、それぞれの現像色に対応したトナーを収納しており、感光体ベルト201上の各色の画像信号に対応した静電潜像に応じたタイミングで選択的に感光体ベルト201に当接し、感光体ベルト201上の静電潜像をトナーにより現像して各色の画像とすることで、4色重ねの画像によるフルカラー画像を形成する。
【0135】
中間転写ユニット211は、アルミニウム等の金属の素管に導電性の樹脂等からなるベルト状のシートを巻いたドラム状の中間転写体(転写ドラム)217と、ゴム等をブレード状に形成した中間転写体クリーニングブレード218とからなり、中間転写体217上に4色重ねの画像が形成されている間は中間転写体クリーニングブレード218が中間転写体217から離間している。中間転写体クリーニングブレード218は、中間転写体217をクリーニングする時のみ中間転写体217に当接し、中間転写体217から記録媒体としての記録紙219に転写されずに残ったトナーを除去する。記録紙219は、記録紙カセット220から給紙ローラ221により1枚ずつ用紙搬送路222に送り出される。
【0136】
転写手段としての転写ユニット223は、中間転写体217上のフルカラー画像を記録紙219に転写するものであり、導電性のゴム等をベルト状に形成した転写ベルト224と、中間転写体217上のフルカラー画像を記録紙219に転写するための転写バイアスを中間転写体217に印加する転写器225と、記録紙219にフルカラー画像が転写された後に記録紙219が中間転写体217に静電的に張り付くのを防止するようにバイアスを中間転写体217に印加する分離器226とから構成されている。
【0137】
定着器227は、内部に熱源を有するヒートローラ228と、加圧ローラ229とから構成され、記録紙219上に転写されたフルカラー画像をヒートローラ228と加圧ローラ229との記録紙挟持回転に伴い圧力と熱を記録紙219に加えて記録紙219にフルカラー画像を定着させてフルカラー画像を形成する。
【0138】
前記構成のカラー複写は次のように動作する。ここで、静電潜像の現像は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの順で行われるものとして説明を進める。
【0139】
感光体ベルト201と中間転写体217は、それぞれの駆動源(図示せず)により、矢印A、B方向にそれぞれ駆動される。この状態で、まず、帯電器205に−4〜5kV程度の高電圧が電源装置(図示せず)から印加され、帯電器205が感光体ベルト201の表面を一様に−700V程度に帯電させる。次に、継ぎ目センサ215が感光体ベルト201の継ぎ目を検知してから、感光体ベルト201の継ぎ目を回避するように一定時間が経過した後に感光体ベルト201にLSU206からブラックの画像信号に対応したレーザビームの露光ビーム214が照射され、感光体ベルト201は露光ビーム214が照射された部分の電荷が消えて静電潜像が形成される。
【0140】
一方、ブラック現像器207は所定のタイミングで感光体ベルト201に当接される。ブラック現像器207内のブラックトナーは負の電荷が予め与えられており、感光体ベルト201上の露光ビーム214の照射により電荷がなくなった部分(静電潜像部分)にのみブラックトナーが付着し、いわゆるネガポジプロセスによる現像が行われる。ブラック現像器207により感光体ベルト201の表面に形成されたブラックトナー像は、中間転写体217に転写される。感光体ベルト201から中間転写体217に転写されなかった残留トナーは感光体クリーニングユニット212により除去され、さらに除電器213によって感光体ベルト201上の電荷が除去される。
【0141】
次に、帯電器205が感光体ベルト201の表面を一様に−700V程度に帯電させる。そして、継ぎ目センサ215が感光体ベルト201の継ぎ目を検知してから、感光体ベルト201の継ぎ目を回避するように一定時間が経過した後に感光体ベルト201にLSU206からシアンの画像信号に対応したレーザビームの露光ビーム214が照射され、感光体ベルト201は露光ビーム214が照射された部分の電荷が消えて静電潜像が形成される。
【0142】
一方、感光体ベルト201には所定のタイミングでシアン現像器208が当接される。シアン現像器208内のシアントナーは負の電荷が予め与えられており、感光体ベルト201上の露光ビーム214の照射により電荷が無くなった部分(静電潜像部分)にのみシアントナーが付着し、いわゆるネガポジプロセスによる現像が行われる。シアン現像器208により感光体ベルト201の表面に形成されたシアントナー像は、中間転写体217上にブラックトナー像と重ねて転写される。感光体ベルト201から中間転写体217に転写されなかった残留トナーは感光体クリーニング手段212により除去され、さらに除電器213によって感光体ベルト201上の電荷が除去される。同様にしてマゼンタ、イエローの画像の露光及び現像が行われ中間転写体217上にフルカラー画像が形成される。
【0143】
このようにして形成されたフルカラー画像は、これまで中間転写体217から離間していた転写ユニット223が中間転写体217に接触し、転写器225に+1kV程度の高電圧が電源装置(図示せず)から印加されることで、記録紙カセット220から用紙搬送路222に沿って搬送されてきた記録紙219へ転写器225により一括して転写される。
【0144】
また、分離器226には記録紙219を引き付ける静電力が働くように電圧が電源装置から印加され、記録紙219が中間転写体217から剥離される。続いて、記録紙219は、定着器227に送られ、ここでヒートローラ228と加圧ローラ229とによる挟持圧、ヒートローラ228の熱によってフルカラー画像が定着されて排紙ローラ230により排紙トレイ231へ排出される。
【0145】
また、転写ユニット223により記録紙219上に転写されなかった中間転写体217上の残留トナーは中間転写体クリーニングブレード218により除去される。中間転写体クリーニングブレード218は、フルカラー画像が得られるまで中間転写体217から離間した角変位にあり、フルカラー画像が記録紙219に転写された後に中間転写体217に接触して中間転写体217上の残留トナーを除去する。以上の一連の動作によって1枚分のフルカラー画像形成が終了する。
【0146】
このようなカラー複写機においては、感光体ベルト201の回転精度が最終画像の品質に大きく影響し、特に高精度な感光体ベルト201の高精度駆動が望まれる。そこで、本実施形10のカラー複写機では、感光体ベルト201を高精度に回転駆動するために、感光体ベルト201を前記図1又は図12に示すベルト装置によって駆動している。そして、これらの回転体駆動装置及びベルト装置を、前記実施例1〜8のいずれかの駆動制御装置により制御する。
【0147】
このように構成し、制御する本実施例10によれば、従動ローラと駆動ローラにレイアウト上の制限が発生することなく、もしくはより制限が少ない状態で、感光体ベルト201の等速駆動を実施することが可能となり、画像形成装置において高品質な画像を得ることができる。
【実施例11】
【0148】
図27は、本発明の実施例11に係る画像形成装置としての直接転写方式のタンデム型カラーレーザプリンタの概略構成断面図であり、図28は、図27の転写ユニット部分の概略構成を示す拡大図である。なお、本実施例10においては、これまで述べた実施例1ないし9とは独立して参照符号を付している。
【0149】
図27において、本実施例11に係るカラーレーザプリンタ(以下、レーザプリンタという)は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組のトナー像形成部1Y、1M、1C、1K(以下、各符号の添字Y、M、C、Kは、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、黒用の部材であることを示す)が、転写紙106、107の移動方向(図27中の矢印Aに沿ってベルト100が走行する方向)における上流側から順に配置されている。このトナー像形成部1Y、1M、1C、1Kは、それぞれ、像担持体としての感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kと、現像ユニットとを備えている。また、各トナー像形成部1Y、1M、1C、1Kの配置は、各感光体ドラムの回転軸が平行になるように、かつ、転写紙移動方向に所定のピッチで配列するように、設定されている。
【0150】
このレーザプリンタは、前記トナー像形成部1Y、1M、1C、1Kのほか、光書込ユニット102、給紙カセット103、104、レジストローラ対105、転写紙107を担持して各トナー像形成部の転写位置を通過するように搬送する転写搬送部材としての転写搬送ベルト100を有するベルト駆動装置としての転写ユニット108、ベルト定着方式の定着ユニット109、排紙トレイ110等を備えている。また、手差しトレイMFとトナー補給容器TCとを備え、図示していない廃トナーボトル、両面・反転ユニット、電源ユニットなどは、二点鎖線で示した三角形のスペースSの中に設けられている。光書込ユニット102は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を備えており、画像データに基づいて各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面にレーザ光を走査しながら照射する。
【0151】
そして、図28に示すように、転写ユニット108で使用される転写搬送ベルト100は、体積抵抗率が109〜1011Ωcmである高抵抗の無端状単層ベルトであり、その材質はPVDF(ポリフッ化ビニリデン)である。この転写搬送ベルト100は、各トナー像形成部の感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに接触対向する各転写位置を通過するように、支持ローラ111〜118に掛け回されている。これらの支持ローラのうち、転写紙移動方向上流側の入り口ローラ111には、電源119から所定電圧が印加された静電吸着ローラ120が対向するように転写搬送ベルト100の外周面に配置されている。この2つのローラ111、120の間を通過した転写紙107は、転写搬送ベルト100上に静電吸着される。ローラ113は、転写搬送ベルト100を摩擦駆動する駆動ローラであり、図示しない駆動源に接続されていて矢印方向に回転する。
【0152】
各転写位置において転写電界を形成する転写電界形成手段として、感光体ドラムに対向する位置には、転写搬送ベルト100の裏面に接触するように、転写バイアス印加部材117Y、117M、117C、117Kを設けている。これらはスポンジ等を外周に設けたバイアスローラであり、各転写バイアス電源121Y、121M、121C、121Kからローラ心金に転写バイアスが印加される。この印加された転写バイアスの作用により、転写搬送ベルト100に転写電荷が付与され、各転写位置において該転写搬送ベルト100と感光体ドラム表面との間に所定強度の転写電界が形成される。
【0153】
また、前記転写が行なわれる領域での転写紙と感光体の接触を適切に保ち、最良の転写ニップを得るために、バックアップローラ118を備えている。前記転写バイアス印加部材117Y、117M、117Cとその近傍に配置されるバックアップローラ118は、回転可能に揺動ブラケット123に一体的に保持され、回動軸124を中心として回動が可能である。この回動は、カム軸125に固定されたカム126が矢印の方向に回動することで時計方向に回動する。前記入り口ローラ111と吸着ローラ120は一体的に、入り口ローラブラケット127に支持され、軸128を回動中心として時計方向に回動可能である。揺動ブラケット123に設けた穴129と、入り口ローラブラケット127に固植されたピン130が係合しており、前記揺動ブラケット123の回動と連動して回動する。これらのブラケット127、123の時計方向の回動により、バイアス印加部材117Y、117M、117Cとその近傍に配置されるバックアップローラ118は感光体11Y、11M、11Cから離され、入り口ローラ111と吸着ローラ120も下方に移動する。ブラックのみの画像の形成時には、感光体11Y、11M、11Cと転写搬送ベルト100の接触を避けることが可能となっている。
【0154】
一方、転写バイアス印加部材117Kとその隣のバックアップローラ118は、出口ブラケット132に回転可能に支持され、出口ローラ112と同軸の軸133を中心として回動可能にしてある。転写ユニット108を本体に対し着脱する際に、図示していないハンドルの操作により時計方向に回動させ、ブラック画像形成用の感光体11Kから、転写バイアス印加部材117Kとその隣のバックアップローラ118を離間させるようにしてある。駆動ローラ113に巻きつけられた転写搬送ベルト100の外周面には、ブラシローラとクリーニングブレードから構成されたクリーニング装置134が接触するように配置されている。このクリーニング装置134により転写搬送ベルト100上に付着したトナー等の異物が除去される。転写搬送ベルト100の走行方向で駆動ローラ113より下流に、転写搬送ベルトの外周面を押し込む方向にローラ114を設け、駆動ローラ113への巻き付け角を確保している。ローラ114より更に下流の転写搬送ベルト100のループ内に、押圧部材(ばね)135でベルトにテンションを与えるテンションローラ115を備えている。先に示した図27中の一点鎖線は、転写紙106、107の搬送経路を示している。
【0155】
給紙カセット103、104、あるいは、手差しトレイMFから給送された転写紙106、107は、図示しない搬送ガイドにガイドされながら搬送ローラで搬送され、レジストローラ対105が設けられている一時停止位置に送られる。このレジストローラ対105により所定のタイミングで送出された転写紙106、107は、転写搬送ベルト100に担持され、各トナー像形成部1Y、1M、1C、1Kに向けて搬送され、各転写ニップを通過する。各トナー像形成部1Y、1M、1C、1Kの感光体ドラム11Y、11M、11C、11K上で現像された各トナー像は、それぞれ各転写ニップで転写紙106、107に重ね合わされ、前記転写電界やニップ圧の作用を受けて転写紙106、107上に転写される。この重ね合わせの転写により、転写紙106、107上にはフルカラートナー像が形成される。トナー像転写後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面がクリーニング装置134によりクリーニングされ、更に除電されて次の静電潜像の形成に備えられる。
【0156】
一方、フルカラートナー像が形成された転写紙106、107は、定着ユニット109でこのフルカラートナー像が定着された後、切換ガイドGの回動姿勢に対応して、第1の排紙方向B、または、第2の排紙方向Cに向かう。第1の排紙方向Bから排紙トレイ8上に排出される場合は、画像面が下となった、いわゆるフェースダウンの状態でスタックされる。一方、第2の排紙方向Cに排出される場合には、図示していない別の後処理装置(ソータ、綴じ装置など)に向け搬送させるとか、スイッチバック部を経て両面プリントのために再度レジストローラ対105に搬送される。このような画像形成装置において、転写搬送ベルト100の駆動ローラ113、もしくは、転写ユニット116の従動ローラにエンコーダを取り付け、転写紙搬送ベルト100の駆動制御を行っている。
【0157】
本実施例11のカラーレーザプリンタでは、紙搬送ベルトを高精度に回転駆動するために、転写搬送ベルト100を前記図1又は12に示すベルト装置によって駆動している。そして、これらのベルト駆動制御装置を、前記実施例1〜8のいずれかの駆動制御装置により制御する。
【0158】
このように構成し、制御する本実施例11によれば、従動ローラと駆動ローラにレイアウト上の制限が発生することなく、もしくはより制限が少ない状態で、転写搬送ベルト100の等速駆動を実施することが可能となり、画像形成装置において、高品質な画像を得ることができる。
【0159】
なお、実施例11では、転写搬送ベルト100上に感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kが複数並べて配設されるタンデム式のプリンタにおける転写ユニット108を例示しているが、本発明が適用可能なプリンタおよびベルト駆動装置は必ずしもこの構成に限るものではない。例えば、複数のローラに張架された無端状ベルトを、それらのローラの少なくとも1つ以上のローラで回転駆動するベルト駆動装置を備えたプリンタのベルト駆動装置であればいずれにも適用が可能である。
【実施例12】
【0160】
図29は、本発明の実施例12に係る画像形成装置としてのタンデム型間接転写方式によるカラー複写機の概略構成断面図である。なお、本実施例10においては、これまで述べた実施例1ないし11とは独立して参照符号を付している。
【0161】
図29において、本実施例12に係るカラー複写機は、複写装置本体210、その複写装置本体210を載せる給紙テーブル300、複写装置本体210上に取り付けるスキャナ400、そのスキャナ400の上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)500などに大きく分けることができる。
【0162】
複写装置本体210には、中央に無端ベルト状の中間転写体211が設けられ、その中間転写体211は、ベース層として、例えば伸びの少ないフッ素系樹脂や伸びの大きなゴム材料に帆布など伸びにくい材料で構成された基層を作り、その上に弾性層が設けられている。この弾性層は、例えばフッ素系ゴムやアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムなどで作られる。その弾性層の表面は、例えばフッ素系樹脂をコーティングして平滑性のよいコート層で被われている。
【0163】
そして、図29では、この中間転写体211は3つの支持ローラ212、213、214に掛け回され、図中の時計回りに回転搬送される。ここで、支持ローラ213は、駆動ローラであって、支持ローラ212にはエンコーダが取り付けられている。これらを駆動制御する駆動制御系については、前記の実施例1、2に示したものと同様であるため、ここでは重複説明を省略する。
【0164】
図29の図示例では、支持ローラ213の左側に画像転写後に中間転写体211上に残留する残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置215が設けられている。また、支持ローラ212と支持ローラ213との間に張り渡した中間転写体211の上には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段216を中間転写体211搬送方向に沿って当該ベルトを横切る方向に並設することによってタンデム画像形成部217を構成している。さらに、そのタンデム画像形成部217の上には、露光装置218が設けられている。一方、中間転写体211を挟んでタンデム画像形成部217と反対の側には、2次転写装置219を備えている。2次転写装置219は、2つのローラ220の間に、無端ベルトである2次転写ベルト221を掛け渡して構成し、中間転写体211を介して支持ローラ214に押し当てて配置し、中間転写体211上の画像をシートに転写する。2次転写装置219の用紙搬送方向下流側には、シート上の転写画像を定着する定着装置222が設けてある。定着装置222は、無端ベルトである定着ベルト223に加圧ローラ224を押し当てて構成している。
【0165】
上述した2次転写装置219には、画像転写後のシートをこの定着装置222と搬送するシート搬送機能も備えている。もちろん、2次転写装置219として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合には、このシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
【0166】
なお、図29の例では、このような2次転写装置219、および定着装置222の下に、上述したタンデム画像形成部217と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置225を備えている。
【0167】
そこで、今このカラー電子写真装置を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置500の原稿台230上に原稿をセットするか、あるいは、原稿自動搬送装置500を開いてスキャナ400のコンタクトガラス231上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置500を閉じてそれで押さえる。そして、図示しないスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置500に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス231上へと移動し、他方、コンタクトガラス231上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ400を駆動して、第1走行体232、および第2走行体233を走行させる。そして、第1走行体232で光源から光を照射するとともに、原稿面からの反射光をさらに反射させて第2走行体233に向け、第2走行体233のミラーで反射させて結像レンズ234を通し、読取りセンサ235に結像させることで原稿内容を読み取る。
【0168】
また、図示しないスタートスイッチを押すと、駆動モータと駆動ローラ213が回転駆動して、他の2つの支持ローラ212、214を従動回転させ、中間転写体211を回転搬送する。これと同時に、個々の画像形成手段216における感光体236(Y、C、M、K)を回転させて、各感光体236上にそれぞれブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体211を搬送すると共に、それらの単色画像を順次転写して中間転写体211上に合成カラー画像を形成する。
【0169】
一方、図示しないスタートスイッチを押すと、給紙テーブル300の給紙ローラ237の1つを選択回転し、ペーパーバンク238に多段に備える給紙カセット239の1つからシートを繰り出し、分離ローラ240で1枚ずつ分離して給紙路241に入れ、搬送ローラ242で搬送して、複写機本体210内の給紙路243に導き、レジストローラ244に突き当てて止める。
【0170】
また、給紙ローラ245を回転させて手差しトレイ246上のシートを繰り出し、分離ローラ247で1枚ずつ分離して手差し給紙路248に入れ、同じくレジストローラ244に突き当てて止める。
【0171】
そして、中間転写体211上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ244を回転させ、中間転写体211と2次転写装置219との間にシートを送り込んで、2次転写装置219で転写し、シート上にカラー画像を記録する。
【0172】
画像転写後のシートは、2次転写装置219で搬送して、定着装置222に送り込み、定着装置222で熱と圧力とを加えて転写画像を定着した後、切換爪249を切り換えて排出ローラ250で排出し、排紙トレイ251上にスタックする。あるいは、切換爪249を切り換えてシート反転装置225に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ250を使って排紙トレイ251上に排出する。
【0173】
一方、画像転写後の中間転写体211は、中間転写体クリーニング装置215によって、画像転写後に中間転写体211上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成部217による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ244は、一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
【0174】
このようなカラー複写機においては、中間転写ベルト211の駆動精度が最終画像の品質に大きく影響するため、より高精度な駆動制御が望まれている。
【0175】
そこで、この実施例12では、このような複写機の中間転写ベルト211の駆動系として、前記実施例1〜実施例8のいずれか1つのベルト搬送制御装置を用いる。これにより、従動ローラと駆動ローラにレイアウト上の制限が発生することなく、もしくはより制限が少ない状態で、ベルトの等速駆動を実施することが可能となり、画像形成装置において高品質な画像を得ることができる。
【0176】
また、ここで、駆動ローラ補正駆動に対し、回転のホームポジションを基準にしたが、今回の補正対象は幾何学的な駆動誤差であり、従って、この補正とパルスの位置が回転ごとにずれることはないと考えられる。よって、物理的なホームポジションではなくても、常に回転の位置をモニタする事での対応も可能である。
【0177】
更に、前記中間転写体211に対して異なる色の画像を転写する前記数の感光体236については、駆動ローラと前記エンコーダが取り付けられた従動ローラの周長がそれぞれ前記複数の感光体間隔と略一致するように配置される。
【0178】
なお、前記各実施例における駆動制御はコンピュータを用いて実行することができる。図30は、前記各実施例の駆動制御の実行に使用可能なコンピュータの一例であるパーソナルコンピュータ511の正面図である。パーソナルコンピュータ511に着脱可能な記録媒体512には、パーソナルコンピュータ511に制御のための演算、データ入出力等を実行させるためのプログラムが格納されている。パーソナルコンピュータ511は、この記録媒体512に格納されているプログラムを実行することにより、前記各実施例における駆動制御を実行できる。前記記録媒体512としては、CD−ROM等の光ディスクやフレキシブルディスク等の磁気ディスクが挙げられる。また、前記プログラムは、記録媒体を用いずに通信ネットワークを介してパーソナルコンピュータ511に取り込むようにしてもよい。
【0179】
また、前記実施例1〜8で示したように前記駆動制御に用いるコンピュータとしてはマイクロコンピュータを用いることができる。このマイクロコンピュータは、前記図25〜図29に示した画像形成装置に組み込んで用いられる。この場合の制御プログラムを格納する記録媒体としては、マイクロコンピュータ内のROMを用いることができる。
【0180】
前記プログラムとしては、前記実施例1〜8において、コンピュータによってベルトを回転駆動するための制御プログラムである。また、前記実施例9においては、コンピュータによって画像形成装置の中間転写ベルトを駆動するベルト装置を制御するための制御プログラムである。また、前記実施例10においては、コンピュータによって画像形成装置の感光体ベルト201を駆動するベルト装置を制御するための制御プログラムである。前記実施例11においては、コンピュータによって画像形成装置の紙搬送ベルトを駆動するベルト装置を制御するための制御プログラムである。また、前記実施例12においては、コンピュータによって画像形成装置の中間転写ベルト326を駆動するベルト装置を制御するための制御プログラムである。
【0181】
以上、前記各実施例によれば、移動体としてのベルトの変位において、高精度な等速度駆動制御が可能となり、画像形成装置において高品質な画像を得ることができる
なお、本発明の駆動制御装置は、前記画像形成装置や画像読み取り装置におけるベルトの等速度駆動に限定することなく用いることができる。例えば、本発明の駆動制御装置は、ODD(Optical Disk Drive)、HDD(Hard Disk Drive)、ロボット等における移動体の駆動制御にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】本発明の実施例1に係るベルト搬送制御装置の斜視図である。
【図2】実施例1におけるDCモータの制御系及び制御対象のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】実施例1に係るベルト搬送制御方法を実施するためのベルト搬送制御装置のブロック図である。
【図4】図3におけるRefからPまでのオープンループ伝達関数を示す図である。
【図5】実施例2におけるDCモータの制御系及び制御対象のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図6】実施例2に係るベルト搬送制御方法を実施するためのベルト搬送制御装置のブロック図である。
【図7】図6におけるRefからPまでのオープンループ伝達関数を示す図である。
【図8】実施例3におけるDCモータの制御系及び制御対象のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図9】実施例3に係るベルト搬送制御方法を実施するためのベルト搬送制御装置のブロック図である。
【図10】実施例4におけるDCモータの制御系及び制御対象のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図11】実施例4に係るベルト搬送制御方法を実施するためのベルト搬送制御装置のブロック図である。
【図12】実施例5に係るベルト搬送制御装置の斜視図である。
【図13】実施例5におけるDCモータの制御系及び制御対象のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図14】実施例5に係るベルト搬送制御方法を実施するためのベルト搬送制御装置のブロック図である。
【図15】DCモータをFG制御系で駆動する制御構成を示すブロック図である。
【図16】図15の制御系で求められた伝達関数の逆数に乗算される駆動ローラホームポジションを基準とした駆動ローラ角速度変動特性を示す図である。
【図17】図16で示した駆動ローラ角速度変動特性を乗算することにより得られた駆動補正電圧特性を示す図である。
【図18】実施例6におけるDCモータの制御系及び制御対象のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図19】実施例6に係るベルト搬送制御方法を実施するためのベルト搬送制御装置のブロック図である。
【図20】実施例7におけるDCモータの制御系及び制御対象のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図21】実施例7に係るベルト搬送制御方法を実施するためのベルト搬送制御装置のブロック図である。
【図22】実施例7においてDCモータをFG制御系で駆動する制御構成を示すブロック図である。
【図23】実施例8におけるDCモータの制御系及び制御対象のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図24】実施例8に係るベルト搬送制御方法を実施するためのベルト搬送制御装置のブロック図である。
【図25】実施例9に係る画像形成装置としてのカラー複写機の概略構成図である。
【図26】実施例10に係る画像形成装置としてのカラー複写機の概略構成図である。
【図27】実施例11の画像形成装置である電子写真方式の直接転写方式によるカラーレーザプリンタの概略構成断面図である。
【図28】図27の転写ユニット部分の概略構成を説明する拡大図である。
【図29】実施例12の画像形成装置である電子写真方式のタンデム型間接転写方式によるカラー複写機の概略構成断面図である。
【図30】各実施例の駆動制御の実行に使用可能なコンピュータの一例であるパーソナルコンピュータの正面図である。
【符号の説明】
【0183】
2 制御コントローラ部
11 DCモータ
18 エンコーダ
21 マイクロコンピュータ
23,501,5001, 指令発生装置
24 モータ駆動用インターフェイス部
25 モータ駆動装置
26 検出用インターフェイス
29 制御対象
30 無端状ベルト
31 駆動ローラ
32〜36 従動ローラ
37 タイミングベルト
38 従動プーリ
39 駆動軸
40 従動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ローラ及び従動ローラに掛け回されているベルトと、
前記駆動ローラを介して前記ベルトを回転駆動するDCモータと、
前記従動ローラに取り付けられ、前記ベルトの角変位を検出するためのエンコーダと、
を備え、前記ベルトの搬送速度を制御するベルト搬送制御装置において、
前記エンコーダによって検出された前記角変位の検出値と予め設定された角変位の目標値との差を求め、両者の差に基づくフィードバック制御に基づいて前記ベルトが等速で移動するように前記DCモータを駆動する駆動制御手段を備え、
前記駆動制御手段は、フィードバック制御系の制御帯域を略エンコーダを取り付けた前記従動軸の1回転の周波数以下に設定して制御することを特徴とするベルト搬送制御装置。
【請求項2】
駆動ローラ及び従動ローラに掛け回されているベルトと、
前記駆動ローラを介して前記ベルトを回転駆動するDCモータと、
前記従動ローラに取り付けられ、前記ベルトの角速度を検出するためのエンコーダと、
を備え、前記ベルトの搬送速度を制御するベルト搬送制御装置において、
前記エンコーダによって検出された前記各速度の検出値と予め設定された各速度の目標値との差を求め、両者の差に基づくフィードバック制御に基づいて前記ベルトが等速で移動するように前記DCモータを駆動する駆動制御手段を備え、
前記駆動制御手段は、フィードバック制御系の制御帯域を略エンコーダを取り付けた前記従動軸の1回転の周波数以下に設定して制御することを特徴とするベルト搬送制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のベルト駆動制御装置において、
前記DCモータから前記駆動軸までの伝達系を、エンコーダを取り付けた前記従動軸の1回転よりも低周波に変動が発生する伝達系に設定したことを特徴とするベルト搬送制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のベルト駆動制御装置において、
前記駆動軸に設けた駆動ローラ径を、エンコーダを付けた前記従動軸に設けた従動ローラ径よりも大きくしたことを特徴とするベルト搬送制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のベルト駆動制御装置において、
前記DCモータの駆動電圧に駆動モータから前記駆動軸までの変動成分をキャンセルする成分を加えたことを特徴とするベルト搬送制御装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のベルト駆動制御装置において、
前記DCモータの駆動電流に駆動モータから前記駆動軸までの変動成分をキャンセルする成分を加えたことを特徴とするベルト搬送制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のベルト搬送制御装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像形成装置において、
像担持体として機能する感光体ベルトを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項7記載の画像形成装置において、
像担持体として機能する中間転写ベルトを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項9記載の画像形成装置において、
前記中間転写ベルトに対して異なる色の画像を転写する複数の感光体を備え、
前記駆動ローラと前記エンコーダが取り付けられた従動ローラの周長がそれぞれ前記複数の感光体間隔と略一致していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項7記載の画像形成装置において、
転写材を担持する転写材搬送ベルトを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
駆動ローラ及び従動ローラに掛け回されているベルトと、
前記駆動ローラを介して前記ベルトを回転駆動するDCモータと、
前記従動ローラに取り付けられ、前記ベルトの角変位を検出するためのエンコーダと、
を備え、前記ベルトの搬送速度を制御するベルト搬送制御方法において、
前記エンコーダによって検出された前記角変位の検出値と予め設定された角変位の目標値との差を求め、両者の差に基づくフィードバック制御に基づいて前記ベルトが等速で移動するように前記DCモータを駆動する際、フィードバック制御系の制御帯域を略エンコーダを取り付けた前記従動軸の1回転の周波数以下に設定して駆動制御することを特徴とするベルト搬送制御方法。
【請求項13】
駆動ローラ及び従動ローラに掛け回されているベルトと、
前記駆動ローラを介して前記ベルトを回転駆動するDCモータと、
前記従動ローラに取り付けられ、前記ベルトの角速度を検出するためのエンコーダと、
を備え、前記ベルトの搬送速度を制御するベルト搬送制御方法において、
前記エンコーダによって検出された前記各速度の検出値と予め設定された各速度の目標値との差を求め、両者の差に基づくフィードバック制御に基づいて前記ベルトが等速で移動するように前記DCモータを駆動する際、フィードバック制御系の制御帯域を略エンコーダを取り付けた前記従動軸の1回転の周波数以下に設定して駆動制御することを特徴とするベルト搬送制御方法。
【請求項14】
請求項12又は13記載のベルト駆動制御方法において、
前記DCモータの駆動入力に駆動モータから前記駆動軸までの変動成分をキャンセルする成分を加えたことを特徴とするベルト搬送制御方法。
【請求項15】
請求項12又は13記載のベルト搬送制御方法をコンピュータによって実行するための搬送制御プログラムであって、
前記エンコーダによって検出された前記角変位の検出値と予め設定された角変位の目標値との差を求める手順と、
両者の差に基づくフィードバック制御に基づいて前記ベルトが等速で移動するように前記DCモータを駆動する際、フィードバック制御系の制御帯域を略エンコーダを取り付けた前記従動軸の1回転の周波数以下に設定して駆動制御する手順と、
を備えていることを特徴とする搬送制御プログラム。
【請求項16】
請求項15記載の搬送制御プログラムにおいて、
前記DCモータの駆動入力に駆動モータから前記駆動軸までの変動成分をキャンセルする成分を加える手順を更に備えていることを特徴とする搬送制御プログラム。
【請求項17】
請求項16記載の搬送制御プログラムがコンピュータによって読み取られ、実行可能に記録されていることを特徴とする記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate


【公開番号】特開2009−95117(P2009−95117A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262276(P2007−262276)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】