説明

ベルト管状体、定着装置、および画像形成装置

【課題】潤滑剤の漏れを抑制するとともに、摺動摩擦を充分に低減させるベルト管状体、良好な画像形成が維持される定着装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】ベルト管状体において、管の形状を有するベルト本体と、上記ベルト本体の内周面に複数本が並んで設けられた、該内周面の周回方向に延びた突条と、上記突条が互いに隣り合った間の溝に設けられた、該溝を堰き止めた堰止め部材とを備えた。また、定着装置および画像形成装置において、上記ベルト管状体を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状に形成されたベルトからなるベルト管状体と、未定着トナー像を定着させる定着装置、および記録媒体上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタやコピー機を中心とする画像形成装置が広く普及している。画像形成装置の中でも電子写真方式を採用している画像形成装置では、記録媒体に対して熱および圧力を加える定着装置が備えられており、こうした画像形成装置では、記録媒体上に未定着トナー像を形成する処理が行われた後に、その未定着トナー像に対して、定着装置を用いて熱および圧力を加える処理が行われて、記録媒体上に未定着トナー像が定着する。定着装置の中には、このような加熱加圧処理を行うため、熱を発生しながら回転する加熱ロールと、加熱ロールと外接しながら加熱ロールの回転とともに従動回転するベルト管状体とを備え、この加熱ロールとベルト管状体との間に、未定着トナー像を有する記録媒体を通過させることで記録媒体上の未定着トナー像に対して熱および圧力が加えられるという方式を採用した定着装置が存在する。このような定着装置では、ベルト管状体と、ベルト管状体を支える部材との間の摺動摩擦のためにベルト管状体と加熱ロールとの間にスリップが生じ、このスリップに起因して画像乱れが発生することがある。このため、ベルト管状体を備えた定着装置では、ベルト管状体が滑らかに回転するように、ベルト管状体の内周面(加熱ロールと接する面とは反対側の面)に、シリコンオイルなどの潤滑剤が塗布されていることが多い。しかし、定着処理が繰り返されるにつれ、潤滑剤がベルト管状体の縁から漏れ出してベルト管状体の内周面において潤滑剤が不足することがある。そこで、ベルト管状体の内周面上に複数の溝を設け、ベルト管状体の回転駆動時には、潤滑剤がベルト管状体の内周面上の溝に沿ってベルト管状体の内周面の中央部に向けて流れやすくすることによって、ベルト管状体の縁から出て行かないように工夫された定着器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−3781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の方法では、ベルト管状体の縁からの潤滑剤の漏れを抑制する効果は高いが、潤滑剤が、ベルト管状体とベルト管状体を支える部材との間に介在しにくく、ベルト管状体が回転する際の摺動摩擦が充分には低減されない。このように摺動摩擦が充分に低減されていない状況では、画像乱れが発生して画像形成に不具合が生じ得る。特に、高速の定着処理を行う定着器や、高速の画像形成を行う画像形成装置では、高速度でベルト管状体が回転するため、摺動摩擦による画像乱れの発生は大きな問題となる。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑み、潤滑剤の漏れを抑制するとともに、摺動摩擦を充分に低減させるベルト管状体、良好な画像形成が維持される定着装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明のベルト管状体は、
管の形状を有するベルト本体と、
上記ベルト本体の内周面に複数本が並んで設けられた、該内周面の周回方向に延びた突条と、
上記突条が互いに隣り合った間の溝に設けられた、該溝を堰き止めた堰止め部材とを備えたことを特徴とする。
【0006】
ベルト管状体内周面において内周面上を周回する複数の突条を備えたベルト管状体では、ベルト管状体内周面に付着した油などの液体は、ベルト管状体が周回方向に周回移動する際に、隣り合う2本の突条の間にできた溝の中を流れる。
【0007】
本発明のベルト管状体は、内周面の周回方向に延びている溝の一部を埋める堰止め部材を備えているため、ベルト管状体が周回方向に周回移動する際に、その堰止め部材により溝の中を流れる液体が堰き止められて溢れ、突条の上部にまで広がる。このため、ベルト管状体が周回方向に周回移動する際に、外部の部材と内周面で接触する際には、接触に伴う摺動摩擦を低減することができる。
【0008】
また、本発明のベルト管状体において、「上記突条は、上記内周面を周回したものである」という形態は、好ましい形態である。
【0009】
このような形態によれば、ベルト管状体内周面に付着した油などの液体は、ベルト管状体が周回方向に周回移動する際には同じ溝の中を流れ続けることとなり、ベルト管状体の縁から漏れない。
【0010】
また、本発明のベルト管状体は、上記堰止め部材を、上記溝を横切る方向について一列に並んで複数個備えてもよい。
【0011】
このような形態によれば、ベルト管状体内周面に付着した油などの液体は、ベルト管状体が周回方向に周回移動する際に、まんべんなくベルト管状体の内周面に広がることとなる。
【0012】
また、本発明のベルト管状体において、「上記堰止め部材が上記突条の高さ以下の高さを有するものである」という形態は、好ましい形態である。
【0013】
このような形態によれば、堰止め部材が、外部の部材と接触して摺動摩擦を生じることが回避される。
【0014】
また、本発明のベルト管状体において、「上記突条は、上記溝として、断面がV字型の溝を形成したものであって、上記堰止め部材は、上記溝に嵌合した四面体形状のものである」という形態も、好ましい形態である。
【0015】
互いに隣り合う2本の突条の間にできた溝の断面がV字型の形状となる突条は、もっとも簡単に実現できる突条の形態であり、このような突条に対しては、上記の四面体の形状を有する堰止め部材によって、溝の中を流れる液体が効果的に堰き止められる。
【0016】
また、本発明のベルト管状体は、上記ベルト本体が、フッ素樹脂を材料とする離型層を外周面に備えたものであってもよい。
【0017】
上記目的を達成するための本発明の定着装置は、
未定着トナー像を定着させる定着装置において、
回転する回転部材と、
上記回転部材に外接して従動回転するベルト管状体であって、管の形状を有するベルト本体と、上記ベルト本体の内周面に複数本が並んで設けられた、該内周面の周回方向に延びた突条と、上記突条が互いに隣り合った間の溝に設けられた、該溝を堰き止めた堰止め部材とを有するベルト管状体と、
上記ベルト管状体を上記回転部材に該ベルト管状体の内側から押圧することで、上記回転部材と上記ベルト管状体とが接したニップ部を形成し、該ニップ部を、上記未定着トナー像を担持した記録媒体が通過すると該未定着トナー像を該記録媒体上に定着させる押圧部とを備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明の定着装置は、上述したベルト管状体を備えているため、ベルト管状体の内周面上に油などの液体が付着した状態でベルト管状体が周回方向に周回移動する際には、外部の部材との接触で生じる摺動摩擦を低減することができる。このため、上述したスリップが防がれて、良好な定着処理が維持される。
【0019】
上記目的を達成するための本発明の画像形成装置は、
記録媒体上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置において、
上記記録媒体上に未定着トナー像を形成するトナー像形成部と、
回転する回転部材と、
上記回転部材に外接して従動回転するベルト管状体であって、管の形状を有するベルト本体と、上記ベルト本体の内周面に複数本が並んで設けられた、該内周面の周回方向に延びた突条と、上記突条が互いに隣り合った間の溝に設けられた、該溝を堰き止めた堰止め部材とを有するベルト管状体と、
上記ベルト管状体を上記回転部材に該ベルト管状体の内側から押圧することで、上記回転部材と上記ベルト管状体とが接したニップ部を形成し、該ニップ部を、上記トナー像形成部で形成された未定着トナー像を担持する記録媒体が通過すると該未定着トナー像を該記録媒体上に定着させる押圧部とを備えたことを特徴とする。
【0020】
本発明の画像形成装置は、上述したベルト管状体を備えているため、ベルト管状体の内周面上に油などの液体が付着した状態でベルト管状体が周回方向に周回移動する際には、外部の部材との接触で生じる摺動摩擦を低減することができる。このため、上述したスリップが防がれて、良好な画像形成が維持される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、潤滑剤の漏れが抑制されるとともに、摺動摩擦が充分に低減され、良好な画像形成が維持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態に相当するフルカラー画像形成装置の概略構成を示す図である。
【0024】
図1に示す画像形成装置1は、感光体10および中間転写ベルト2を備えている。感光体10は、電子写真方式用の積層型感光体であり、画像形成時には図の矢印A方向に回転する。中間転写ベルト2は、バックアップロール60a,60b,60cに張架された、ポリイミド樹脂を主成分とする無端状のベルト部材であり、画像形成時には、感光体10に従動して図の矢印B方向に循環移動する。また、中間転写ベルト2を挟んで感光体10と対向する位置に1次転写ロール40aが配設されており、さらにその下方(図の下側)には、2次転写ロール40bが設けられている。これらは、それぞれ1次転写バイアス電圧印加部41a,2次転写バイアス電圧印加部41bからバイアス電圧の印加を受けている。
【0025】
感光体10の周囲には、現像ロータリー50、帯電器20、露光器32、コロトロン42、クリーニングブレード31が配設されている。帯電器20は、感光体10に接触しながら感光体を帯電する接触型の帯電器である。現像ロータリー50は、ブラック(BK)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の有色トナーをそれぞれ有する現像剤を収容した現像器51〜54が周方向に沿って配置された回転式の複合現像器であり、現像ロータリー50の回転により、感光体3に近接して現像を行う現像器を切り換えることができる。各有色トナーは負極に帯電する帯電特性を有するものであり、各有色トナーには、潤滑剤や転写助剤やクリーニング助剤といったトナー粒子よりも小さな外添剤粒子が添加されている。露光器32は、感光体10の表面10bに向けてレーザ光を照射する役目を担い、クリーニングブレード31は、感光体10に当接して感光体10上のトナーを擦り落とす役目を担っている。また、コロトロン42は、残留トナーに対して電荷を付与する。
【0026】
次に、この画像形成装置1における画像形成の動作について説明する。
【0027】
この画像形成装置1では、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色の画像信号を有する、1つ以上の画像を表した画像情報の入力を受けて画像形成を行う。これらの画像信号が入力されると、感光体10が回転を開始し、この回転する感光体10の表面を、帯電器20が一様に帯電する。そして、入力された4色の画像信号のうち、まずシアンの画像信号に応じたレーザ光が露光器32から感光体10に向けて照射され、この照射によって感光体10の表面に、周囲より電位の高くなった静電潜像が形成される。また、現像ロータリー50の回転により、シアントナーを収納した現像器54が感光体10に近接して、静電潜像をシアントナーで現像する。この静電潜像の現像の際には、シアントナーを収納した現像器54が、不図示の現像バイアス印加部によりバイアス電圧の印加を受けて、その電位が、静電潜像の電位よりも低く感光体10の電位よりは高い電位となる。このため、現像器54のシアントナーは、静電潜像とシアントナーを収納した現像器54との間の電位差により、現像器54を離れて静電潜像に付着し、感光体10上にシアントナー像が形成される。
【0028】
次いで、形成されたシアントナー像は、1次転写ロール40aによって、感光体10から中間転写ベルト2に1次転写される。この1次転写の際には、1次転写ロール40aの電位が、シアントナー像が位置する感光体10上の電位よりも高い電位となるよう、1次転写ロール40aに対して1次転写バイアス電圧印加部41aがバイアス電圧の印加を行うことで、上記の1次転写が実現する。
【0029】
感光体10の上には、1次転写されずに残った残留トナーがあり、その残留トナーの一部は、1次転写バイアス電圧の印加の際によりプラスに帯電している。プラス帯電した残留トナーに対して、コロトロン42がマイナスの電荷を付与することで、残留トナーの電荷の中和が行われる。コロトロン42による中和処理の後、残留トナー粒子や外添剤粒子などの残留物が、クリーニングブレード31によって感光体10から削り落とされる。
【0030】
クリーニングブレード31による残留物の除去が行われた後、再び、感光体10の表面が、帯電器20により一様に帯電され、現像ロータリー50の回転により、今度はマゼンタトナーを収納した現像器53が感光体10に近接し、上述のシアントナー像の形成と同様にしてマゼンタトナー像が形成される。このマゼンタトナー像の形成は、中間転写ベルト2の上のシアントナー像が1次転写後にバックアップロール60a,60b,60cを通過して1次転写ロール40aの位置に戻ってきたときに、形成されたマゼンタトナー像がシアントナー像の上に重ねて1次転写されるように、タイミングを合わせて行われる。マゼンタトナー像がシアントナー像の上に重ねて1次転写された後、イエロートナー像,ブラックトナー像についても同様にして形成されて、マゼンタトナー像およびシアントナー像に重ね合わされる。この結果、中間転写ベルト2には、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの各色のトナー像が1つに重なり合った多色のトナー像が形成される。
【0031】
続いて、この多色のトナー像は、2次転写ロール40bとバックアップロール60cとで挟まれた位置において、トレイ6から給紙ロール61によって送り出されてきた用紙上に2次転写される。この2次転写の際には、2次転写ロール40bの電位が、多色のトナー像が位置する中間転写ベルト2上の電位よりも高い電位となるよう、2次転写ロール40bに対して2次転写バイアス電圧印加部41bがバイアス電圧の印加を行うことで、上記の2次転写が実現する。
【0032】
多色のトナー像の2次転写を受けた用紙は、図1において2次転写ロール40bの右方向に離れた位置に備えられている定着器62により、熱および圧力を加えられてトナー像の定着処理が施される。そして、定着処理が施された用紙は、矢印で示すように画像形成装置の右方向に出力される。ここで、定着器62が、本発明の定着装置の一実施形態に相当する。
【0033】
次に、図1に示す定着器62について図2を用いて説明する。
【0034】
図2は、図1に示す定着器の概略断面図である。
【0035】
定着器62は、用紙上のトナーを定着するために熱を発生する加熱部11と、加熱部11と接触しながら加熱部11との間で用紙に圧力をかける加圧部14とを有している。
【0036】
加熱部11は、熱を発生する加熱ヒータ12、加熱ヒータ12を取り囲む、外径が例えば26mmの筒状の加熱ロール110を有している。加熱ヒータ12により発生した熱は、加熱ヒータ12を取り囲む加熱ロール110に伝わってこの熱が用紙上でのトナー定着に用いられる。図2には、この筒状の加熱ロール110の断面が表されている。この加熱ロール110の円筒の内側は、アルミニウム製の芯金111となっており、この芯金111の上に、耐熱ゴムの一種であるシリコンゴムからなる弾性層112、トナーを加熱ロールから離れやすくするための離型層113が設けられている。
【0037】
加圧部14は、支持体142、スプリング143a、支持体142に取りつけられたベルトガイド143、支持体142上に装着された弾性体131、弾性体131の上に被さるシート状部材132、潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段132a、これら支持体142、スプリング143a、ベルトガイド143、弾性体131、シート状部材132、潤滑剤供給手段132aを取り巻くベルト管状体141を有している。ここで、支持体142、スプリング143a、ベルトガイド143、弾性体131、シート状部材132を合わせたものが本発明にいう押圧部の一例に相当する。また、ベルト管状体141が、本発明のベルト管状体の一実施形態に相当する。
【0038】
ベルト管状体141は、層厚として例えば70μmのポリイミドの基体141bの上に、フッ素樹脂の一種であるテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下PFAと呼ぶ)を主成分とする層厚として例えば20μmの離型層141aが重なった2層構成のベルト管状体であり、ベルト管状体の幅(図2に対して垂直な方向についての長さ)は、例えば330mmである。
【0039】
この実施形態では、このように2層構成のベルト管状体を採用するが、本発明のベルト管状体としては、ポリイミドの基体と離型層との間に、耐熱ゴムで構成された耐熱弾性層が設けられていてもよい。このような耐熱ゴムとしては、シリコンゴムやフッ素ゴムが採用可能であり、液状シリコンゴムが特に好ましい。耐熱弾性層の厚みとしては、2mm以下が好ましく、0.5mm以下が特に好ましい。
【0040】
本実施形態のベルト管状体141は、定着処理の際には、支持体142、スプリング143a、ベルトガイド143、弾性体131、シート状部材132の周りを回転する。ベルト管状体の内周面(加熱ロール110と接する面とは反対側の面)には、ベルト管状体141がスムーズに回転するように、潤滑剤供給手段132aから潤滑剤が供給されている。潤滑剤供給手段132aは、潤滑剤が含浸されているフェルトを有しており、このフェルトで定着べルト110の内周面に潤滑剤を塗布することで、潤滑剤の供給が行われる。ここで、潤滑剤としては、粘度300csのアミノ変性シリコンオイル(信越化成 製)が採用されている。シート状部材132は、ベルト管状体と弾性体131との間の摺動性を良好にするための、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含浸したシート(中興化成 製)であり、潤滑剤を保持する役割も担っている。
【0041】
この定着器62では、シート状部材132が被さった弾性体131が、ベルト管状体141を加熱ロール110に押し付けることによってニップ部が形成される。このときスプリング143aは、その弾性力により弾性体131を加熱ロール110に向けて押し付けて圧接を維持する役割を果たしており、ベルト管状体141を加熱ロール110に押し付けるときの荷重が例えば34kgとなるように調節されている。
【0042】
このように、ニップ部を形成した状態で加熱ロール110が、不図示の駆動モータから駆動力を受けて図において矢印Bで示す方向に回転し、加圧部側では、加熱ロール110の回転駆動力を受けたベルト管状体141が、ベルトガイド143の周りを図で矢印Aで示す方向に従動回転する。図で矢印Cで示す方向から定着器62内に搬送されて来た用紙30は加熱ロール110とベルト管状体141との間のニップ部を通過し、その際、熱および圧力を受けることで、この用紙30上の未定着トナー像301の定着が行われる。定着後、用紙30は、図で矢印Dで示す方向に向けて定着器62外部へ搬送されていく。
【0043】
このような未定着トナー像301の定着を行う処理が繰り返されるにつれて、ベルト管状体141の内周面(弾性体131側の面)に塗布された潤滑剤がベルト管状体の縁から漏れ出し、ベルト管状体の内周面において潤滑剤が不足することがある。潤滑剤が不足するとベルト管状体が滑らかに回転しなくなり、ベルト管状体と加熱ロールとの間にスリップが生じて画像乱れが発生する。高速の定着処理を行う際には、高速度でベルト管状体が回転するため、このような摺動摩擦による画像乱れの発生は、特に大きな問題となる。そこで、この定着器62では、このような問題を回避するため、ベルト管状体141の内周面において、潤滑剤の漏れ出しを防ぐための構造が備えられている。以下では、この構造について説明する。
【0044】
図3は、ベルト管状体141の内周面の構造を表した模式図、図4は、図3に示すベルト管状体内周面の断面図である。
【0045】
図3では、ベルト管状体141の内周面の一部が表されており、定着処理が行われる際には、ベルト管状体141は図3の右向きの矢印の方向に移動する。すなわち、この右向きの矢印の方向が、図2の矢印Aで示す、ベルト管状体141の移動方向に相当する。
【0046】
ベルト管状体141の内周面には、ベルト管状体141の移動方向に延びた、複数の突条が設けられており、図3では、この突条の、ベルト管状体141の表面上に突き出した最大ピーク部分1411が表されている。従って、これら最大ピーク部分1411の間は、最大ピーク部分1411よりは低くなった溝となっている。
【0047】
図4には、図3に示すベルト管状体141の、左側の点線Aに沿った突条の断面が表されている。この図に示すように、突条の存在により、ベルト管状体内周面の断面は凹凸の繰り返しとなっており、突条の断面である凸部は、三角形の形状となっている。この三角形の頂点が、図3に示す直線状の最大ピーク部分1411上の一点に対応し、隣り合う三角形の間の空間が、前述の溝の断面となっている。潤滑剤は、この溝に蓄えられる。ここで、三角形ABCの底辺の長さLは30μm、三角形ABCの高さhは10μmである。
【0048】
ベルト管状体141が図3の右向きの矢印の方向に移動すると、溝に蓄えられた潤滑剤は、ベルト管状体141の移動に伴う慣性力のため図3の左方向に向かう力を受けて、溝の中を図3の左方向に流れる。このとき、各溝の両側の突条の存在により、ベルト管状体141の縁に向かって広がることが抑制され、ベルト管状体141の両縁からの潤滑剤の漏れ出しが防がれている。
【0049】
このような突条の存在により潤滑剤の漏れ出しは防がれるが、突条が備えられているだけでは潤滑剤が溝の中に留まるだけで、潤滑剤が、図2のシート状部材132と直接擦れ合う、突条の最大ピーク部分1411の付近に達することが稀になる。このような状態では、突条の最大ピーク部分1411が図2に示すシート状部材132と接触する際の摺動摩擦が充分に低減することができない。そこで、このベルト管状体141では、摺動摩擦を低減させるための工夫が凝らされている。
【0050】
図5は、溝の中を流れる潤滑剤を堰き止める構造を表した図である。
【0051】
この図には、図3および図4に示す溝の中に設けられた、潤滑剤堰き止め部材1410が表されている。この図5に示すように、潤滑剤堰き止め部材1410は、溝を形成する2つの斜面に接する四面体の形状をしており、このような潤滑材堰き止め部材1410が、各溝に設けられている。これら潤滑材堰き止め部材1410の四面体の稜線のうち、溝の底から最も高い位置になる、図5の水平方向の稜線1412が、図3では、ベルト管状体141の中央付近に表されている。ベルト管状体141が移動する際には、溝の中を流れる潤滑剤は、潤滑材堰き止め部材1410によって行く手を阻まれて、これら潤滑材堰き止め部材1410の稜線1412付近に溢れることとなる。この結果、ベルト管状体141の移動とともに、最大ピーク部分1411と、図2に示すシート状部材132との間に潤滑剤がまんべんなく塗布され、摺動摩擦が充分に低減することとなる。
【0052】
ここで、潤滑材堰き止め部材1410の高さ(溝の最深点から稜線1412までの距離)は、最大ピーク部分1411の高さ(溝の最深点から最大ピーク部分1411までの距離)以下となっている。これは、潤滑材堰き止め部材1410の高さが、最大ピーク部分1411の高さを越えると、潤滑材堰き止め部材1410の稜線1412が、図2に示すシート状部材132と直接接触することになり、ベルト管状体141の移動時の摺動摩擦が大きくなるためである。
【0053】
次に、ベルト管状体141の製造方法について説明する。
外径30mm、長さ500mmのアルミ製円筒を用意し、このアルミ製円筒の外周面に、切削加工によって、図3および図4に示す突条の型になる溝を形成する。さらに、切削加工によって、図5に示すような潤滑材堰き止め部材1410の連なりの型となる溝を、アルミ製円筒の外周面に沿って形成する。そして、アルミ製円筒の外周面にシリコン系離型剤(商品名:KS700、信越化学(株)製)を塗布し、300℃で1時間、焼き付け処理を施す。
【0054】
次に、このアルミ製円筒の外周面に、ポリイミド前駆体溶液を塗布装置を用いて塗布する。ここで、ポリイミド前駆体溶液として、固形分濃度が18質量%、粘度が約5Pa・sのN−メチルピロリドン溶液(商品名;Uワニス、宇部興産(株)製)が採用されている。
【0055】
図6は、アルミ製円筒管の外周面に、ポリイミド前駆体溶液を塗布する塗布装置を表した断面図である。
【0056】
図6に示す塗布装置900は、内径80mm、高さ600mmの円筒容器からなる塗布槽910と、円筒状の塗布槽910と同心の環状体920とを有している。この環状体920は、外径65mm、内径40mm、高さ30mmのステンレス製円筒920aの内側に、環状となったテフロン(登録商標)製の内張り部材920bが、ステンレス製円筒920aと同心状に嵌め込まれた構成となっており、図6では、ステンレス製円筒920aの、長方形の形状をした断面と、内張り部材920bの、三角形の形状をした断面とが示されている。環状体920は、不図示の機構により、塗布槽910の上部への固定およびその固定の解除が、選択的に実行可能となっている。ここで、この環状体920の内孔の半径は、31.3mmである。
【0057】
塗布槽910には、前述のポリイミド前駆体溶液930が満たされており、このポリイミド前駆体溶液930の中に、前述のアルミ製円筒901を、軸を鉛直にして、環状体の孔を通して500mm/minの速度で挿入する。次いで、環状体920の固定を解除する。この状態では、環状体920は、ポリイミド前駆体溶液930上に浮かんだ状態となっている。そこで、図6に示すように、アルミ製円筒901を、150mm/minの速度で引き上げる。この引き上げの際には、環状体920は、アルミ製円筒901につられて多少は上側に引き上げられるものの、自重により塗布槽910内のポリイミド前駆体溶液930と共に残る。このときの環状体920とアルミ製円筒901との相対的な動きにより、ポリイミド前駆体溶液930が、アルミ製円筒901の外周面に一様に塗布されることとなる。このアルミ製円筒外周面に塗布されたポリイミド前駆体溶液930の膜厚は、約650μmである。
【0058】
次に、外周面にポリイミド前駆体溶液930が付着したアルミ製円筒901を、すぐに水中に浸漬し、6分間放置した後、水中から引き上げる。次いで芯体周面に付着した水滴を拭き取り、不図示の乾燥炉に入れる。この乾燥炉の設定温度は最初が30℃であり、1時間後に100℃になるよう、徐々に温度を上昇させる。乾燥炉による乾燥によって、黄白色であったポリイミド前駆体溶液930の塗布膜は透明化する。乾燥後、ポリイミド前駆体溶液930が塗布されたアルミ製円筒901を室温まで冷却する。
【0059】
次に、ポリイミド前駆体溶液930の塗布膜の表面に、図6に示す塗布装置900と同様の構成の塗布装置を用いた同様の塗布法により、PFAの一種であるディスパージョン水性塗料(商品名:AD−2CR、ダイキン工業(株)製)を浸漬塗布する。ただし、このときは、アルミ製円筒901の引き上げ速度を300mm/minにして上記の浸漬塗布を行う。このような浸漬塗布によって、ポリイミド前駆体溶液930の塗布膜の表面に膜厚が20μmのPFA塗布膜が形成される。
【0060】
続いて、PFA塗布膜を室温で5分間乾燥させた後、60℃で10分間加熱乾燥させて、PFA塗布膜から水分を除去する。その後、380℃で30分間加熱することにより、前述のポリイミド前駆体溶液930の塗布膜をポリイミド樹脂の皮膜に変性させ、PFA塗布膜の焼成を行う。そして、加熱処理後、アルミ製円筒901を室温まで冷却し、アルミ製円筒901の外周面から、焼成後のPFA塗布膜が重なった、幅330mmのポリイミド樹脂の皮膜を剥離する。このポリイミド樹脂の皮膜が図2に示すポリイミドの基体141bであり、焼成後のPFA塗布膜が、離型層141aである。以上説明した作業により、最終的に、膜厚70μmのポリイミドの基体の外周面に、膜厚20μmのPFAからなる離型層141aが重なった構成を有するベルト管状体141が得られる。
【0061】
以上が、ベルト管状体141の製造方法についての説明である。
【0062】
以上説明したベルト管状体141では、図5に示すように、潤滑剤を堰き止める構造として四面体の形状をした部材が採用されているが、潤滑剤を堰き止める部材としては、潤滑剤を堰き止めるのに適した形状であれば、四面体以外の形状の部材であってもよい。以下では、そのような四面体以外の形状の潤滑剤堰き止め部材の例を紹介する。
【0063】
図7は、上部が平面状となっている潤滑剤堰き止め部材を表した図である。
【0064】
この図7に示す潤滑剤堰き止め部材1410’は、例えば、ベルト管状体内周面上の溝の型となるアルミ製円筒外周面上の突出部分の一部に、底が平坦な窪みを切削加工で形成することで得ることができる。このような形状の潤滑剤堰き止め部材1410’も、図5の潤滑剤堰き止め部材1410と同様、ベルト管状体の移動時に溝の中を流れる潤滑剤を堰き止めることで、ベルト管状体が移動する際の摺動摩擦を低減する働きをする。このように潤滑剤堰き止め部材の形状が異なる点を除けば、図7のような潤滑剤堰き止め部材を有するベルト管状体、およびこのベルト管状体を備えた、定着器や画像形成装置は、図2に示すベルト管状体、定着器、および図1に示す画像形成装置と同じ構成で実現される。ここでは、これらのベルト管状体、定着器、および画像形成装置についての重複説明は省略する。
【0065】
図8は、上部が滑らかな曲面となっている潤滑剤堰き止め部材を表した図である。
【0066】
この図8に示す潤滑剤堰き止め部材1410’’は、例えば、ベルト管状体内周面上の溝の型となるアルミ製円筒外周面上の突出部分の一部に、底が滑らかな窪みを切削加工で形成することで得ることができる。このような形状の潤滑剤堰き止め部材1410’’も、図5の潤滑剤堰き止め部材1410と同様、ベルト管状体の移動時に溝の中を流れる潤滑剤を堰き止めることで、ベルト管状体が移動する際の摺動摩擦を低減する働きをする。このように潤滑剤堰き止め部材の形状が異なる点を除けば、図8のような潤滑剤堰き止め部材を有するベルト管状体、およびこのベルト管状体を備えた、定着器や画像形成装置は、図2に示すベルト管状体、定着器、および図1に示す画像形成装置と同じ構成で実現される。ここでは、これらのベルト管状体、定着器、および画像形成装置についての重複説明は省略する。
【0067】
以下では、図5に示す潤滑剤を堰き止める構造をベルト管状体の内周面上に備えることにより、実際に摺動摩擦が低減することを、ベルト管状体を定着器に組み込んで駆動させる実験によって検証する。
【0068】
まず、実験の内容について説明する。
(実施例)ベルト管状体141(図5に示す潤滑剤を堰き止める構造有り)を備えた、図2に示す定着器10を用いて、加熱ロール120の表面温度を190℃に設定し、ニップ部に用紙を通紙させない状態で、定着器10を100時間の間、駆動(空運転)させる。そして、駆動開始直後の時点、駆動開始から20時間経過した時点、駆動終了の時点(駆動開始から100時間経過した時点)において、加熱ロール120を回転させる駆動モータにかかる負荷トルクを、駆動モータに流れる電流値から算出する。この負荷トルクの算出を、加熱ロール120の回転数を200rpmに設定した場合と、350rpmに設定した場合とについて、それぞれ行う。一般に、200rpm程度の回転数の定着器は、低速タイプの画像形成装置に搭載される定着器であり、350rpm程度の回転数の定着器は、高速タイプの画像形成装置に搭載される定着器である。
(比較例)ベルト管状体が図5に示す潤滑剤を堰き止める構造が存在しない点を除けば、実施例1で用いられた定着器10と同様の構成を有する定着器を用いて、実施例と同じ100時間の駆動実験を行う。なお、この比較例で採用されているベルト管状体は、図5の潤滑材堰き止め部材1412に対する型が存在しないアルミ製円筒が用いられる点を除き、上述したベルト管状体の製造方法と同じ製造方法によって、製造される。
下記表1に、加熱ロールの回転数を200rpmに設定した場合の負荷トルクの時間変化を示し、下記表2に、加熱ロールの回転数を350rpmに設定した場合の負荷トルクの時間変化を示す。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
加熱ロール120の回転数を200rpmに設定した場合には、表1に示すように、実施例および比較例ともに100時間の駆動の間、負荷トルクが0.32N・m〜0.34N・mの間に留まっており、図2に示すシート状部材とベルト管状体との摺動摩擦の増加は、ほとんどみられない。従って、駆動中には、充分な量の潤滑剤がシート状部材とベルト管状体との間に介在しているものと考えられる。
【0072】
加熱ロール120の回転数を350rpmに設定した場合には、表2に示すように、比較例では、駆動開始直後の0.53N・mであった負荷トルクが、駆動終了時(駆動開始から100時間経過時)には、0.78N・mまで増加しており、ベルト管状体と加熱ロールとの間のスリップの発生が危惧される状況となっている。この比較例の結果に対し、実施例では、100時間の駆動の間、負荷トルクが0.52N・m〜0.53N・mの間に留まっており、シート状部材とベルト管状体との摺動摩擦の増加は、ほとんどみられず、駆動中には、充分な量の潤滑剤がシート状部材とベルト管状体との間に介在しているものと考えられる。
【0073】
以上の表1および表2の結果から、高速度の定着処理を行うことが必要となる定着器や
、画像形成装置では、図5に示す潤滑剤を堰き止める構造を備えたベルト管状体を採用することで、ベルト管状体が滑らかに回転する状態が長期間維持されるということがわかり、信頼性の高い定着器および画像形成装置が実現するということが結論できる。
【0074】
なお、以上の説明では、図5の潤滑剤堰き止め部材は、図の横方向に一列に並んでいたが、潤滑剤堰き止め部材は溝のどこかに備えられていればよく、必ずしも一列に並んでいなくてもよい。また、潤滑剤堰き止め部材は各溝に少なくとも1つ以上設けることが好ましいが、本発明では、例えば、コスト低減のために、溝3本に1つの割合で潤滑剤堰き止め部材が設けられている形態も採用可能である。
【0075】
また、以上の説明では、加熱ロール110において、アルミニウム製の芯金111を用いたが、芯金の材質は、機械的強度に優れて伝熱性が良好であればよく、アルミニウムの他には、例えば、SUS、鉄、銅等の金属、合金、セラミックス、FRMなどが挙げられる。また、加熱ロール110の弾性層112の材料として、シリコンゴムが採用されたが、この他にも、公知の耐熱ゴム、例えば、フッ素ゴムであってもよい。また、本発明では、加熱ヒータにより加熱ロールに熱を伝える形態の他に、ベルト管状体を、ベルト管状体内周面側から加熱する形態も採用可能である。
【0076】
また、潤滑剤としては、アミノ変性シリコンオイルの他にも、劣化しにくいヒンダードアミンオイル、ジメチルシリコンオイル、メルカプト変性シリコンオイル、酸化防止剤入りのアミノ変性シリコンオイルであるヒンダードアミンオイルなどが使用可能である。
また、以上の説明では、ベルト管状体がロールなどに張架されずに回転移動する形態が採用されたが、本発明では、ベルト管状体が、ロールなどに張架されて回転移動する形態でも採用可能である。
【0077】
また、以上の説明では、ベルト管状体の構成としてポリイミドの基体の上に、PFAの離型層が重なった2層構成を用いたが、本発明のベルト管状体は、単層構造のものであってもよい。また、ベルト管状体の基体の材料としては、上記ポリイミドの他にも、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール等などを用いてもよく、また、ステンレスやニッケルなどの薄い膜状の金属を採用してもよい。基体の厚さは、強度の観点から20μm以上必要であり、可とう性や熱容量の観点から200μm以下が好ましく、更には、50μm以上100μm以下がより好ましい。ベルト管状体の離型層の材質としては、上記のPFAの他にも、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン・テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂などが挙げられる。フッ素系樹脂を用いる場合には、厚さを2μm以上30μm以下にすることが好ましい。また、ベルト管状体の離型層には、耐久性や静電オフセットの向上のために、カーボン等の無機フィラーを分散含有させてもよい。
【0078】
シート状部材の材質としては、金属、セラミックス、樹脂等各種材料を採用することができる。具体的には、耐熱性樹脂であるポリエーテルサルホン(PES)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の他、6−ナイロンあるいは6,6−ナイロンや、これらにカーボンやガラス繊維等を添加した材料を用いることができる。
【0079】
また、感光体の帯電器としては、図1の画像形成装置で採用された接触型の帯電器以外に、コロトロンやスコロトロンといった非接触型の帯電器が用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態に相当するフルカラー画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示す定着器の概略断面図である。
【図3】ベルト管状体の内周面の構造を表した模式図である。
【図4】ベルト管状体の内周面の断面図である。
【図5】溝の中を流れる潤滑剤を堰き止める構造を表した図である。
【図6】アルミ製円筒管の外周面に、ポリイミド前駆体溶液を塗布する塗布装置を表した断面図である。
【図7】上部が平面状となっている潤滑剤堰き止め部材を表した図である。
【図8】上部が滑らかな曲面となっている潤滑剤堰き止め部材を表した図である。
【符号の説明】
【0081】
1…画像形成装置、
10…感光体、
2…中間転写ベルト、
20…帯電器、
31…クリーニングブレード、
32…露光器、
40a…1次転写ロール、
40b…2次転写ロール、
41a…1次転写バイアス電圧印加部、
41b…2次転写バイアス電圧印加部、
42…コロトロン、
50…現像ロータリー、
51,52,53,54…現像器、
60a,60b,60c…バックアップロール、
6…トレイ、
61…給紙ロール、
62…定着器、
11…加熱部、
12…加熱ヒータ、
110…加熱ロール、
111…芯金、
112…弾性層、
113…離型層、
131…弾性体、
132…シート状部材、
132a…潤滑剤供給手段、
141…ベルト管状体、
1410,1410’,1410’’…潤滑材堰き止め部材、
1411…最大ピーク部分、
1412…稜線、
141a…離型層、
141b…基体、
142…支持体、
143…ベルトガイド、
143a…スプリング、
14…加圧部、
30…用紙、
301…未定着トナー像、
900…塗布装置、
901…アルミ製円筒、
910…塗布槽、
920…環状体、
920a…ステンレス製円筒、
920b…内張り部材、
930…ポリイミド前駆体溶液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管の形状を有するベルト本体と、
前記ベルト本体の内周面に複数本が並んで設けられた、該内周面の周回方向に延びた突条と、
前記突条が互いに隣り合った間の溝に設けられた、該溝を堰き止めた堰止め部材とを備えたことを特徴とするベルト管状体。
【請求項2】
未定着トナー像を定着させる定着装置において、
回転する回転部材と、
前記回転部材に外接して従動回転するベルト管状体であって、管の形状を有するベルト本体と、前記ベルト本体の内周面に複数本が並んで設けられた、該内周面の周回方向に延びた突条と、前記突条が互いに隣り合った間の溝に設けられた、該溝を堰き止めた堰止め部材とを有するベルト管状体と、
前記ベルト管状体を前記回転部材に該ベルト管状体の内側から押圧することで、前記回転部材と前記ベルト管状体とが接したニップ部を形成し、該ニップ部を、前記未定着トナー像を担持した記録媒体が通過すると該未定着トナー像を該記録媒体上に定着させる押圧部とを備えたことを特徴とする定着装置。
【請求項3】
記録媒体上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置において、
前記記録媒体上に未定着トナー像を形成するトナー像形成部と、
回転する回転部材と、
前記回転部材に外接して従動回転するベルト管状体であって、管の形状を有するベルト本体と、前記ベルト本体の内周面に複数本が並んで設けられた、該内周面の周回方向に延びた突条と、前記突条が互いに隣り合った間の溝に設けられた、該溝を堰き止めた堰止め部材とを有するベルト管状体と、
前記ベルト管状体を前記回転部材に該ベルト管状体の内側から押圧することで、前記回転部材と前記ベルト管状体とが接したニップ部を形成し、該ニップ部を、前記トナー像形成部で形成された未定着トナー像を担持する記録媒体が通過すると該未定着トナー像を該記録媒体上に定着させる押圧部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−279361(P2007−279361A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−105174(P2006−105174)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】