説明

ベルト駆動制御装置、ベルト駆動制御方法および画像形成装置

【課題】画像形成装置において、ファーストプリントタイムを短縮する。
【解決手段】ベルト駆動制御装置において、ベルトの位相を検出するベルト位相検出手段と、ベルトの前記位相の各々におけるベルトの移動速度の変動を低減させるための速度補正量を算出する補正量算出手段と、位相に対応する前記速度補正量を記憶する記憶手段と、ベルト位相検出手段からの位相の情報を用いて、記憶手段から、位相に対応する速度補正量を読み出し、速度補正量に基づき、ベルトの速度変動が小さくなるように、駆動支持回転体の駆動制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の支持回転体に掛け渡されたベルトの駆動制御を行うベルト駆動制御装置、このベルト駆動制御装置を用いたベルト装置、ベルト駆動制御方法及び、このベルト装置を利用した画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このようなベルトを利用する装置として、感光体ベルト、中間転写ベルト、紙搬送ベルト等のベルトを用いる画像形成装置がある。このような画像形成装置においては、そのベルトの高精度な駆動制御が高品位な画像を得るために必須である。特に画像形成速度に優れ且つ小型化に適した直接転写方式のタンデム型画像形成装置では、記録材である記録用紙を搬送する搬送ベルトの高精度な駆動制御が要求される。この画像形成装置では、搬送ベルトを用いて記録用紙を搬送し、その搬送方向に沿って配置された互いに異なる単色の画像を形成する複数の画像形成ユニットを順次通過させる。これにより、記録用紙上に各単色画像を重ね合わせて形成しカラー画像を得ることができる。
図8は、電子写真方式による直接転写方式のタンデム型画像形成装置の一例である。22は搬送ベルト、23は駆動ローラ、24は従動ローラである。また、21Y,21M,21C,21Kは画像形成ユニットである。
この画像形成装置では、例えばイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各単色画像を形成する画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kが記録用紙の搬送方向に順次配置される。そして、図示しないレーザ露光ユニットにより各感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kの表面に形成された静電潜像が各画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kで現像されることによりトナー像(顕像)が形成される。そして、静電力により搬送ベルト22に付着されて搬送される図示しない記録用紙上に順次重ね合わされて転写された後、定着機17によってトナーが溶融圧着されることにより、記録用紙上にカラー画像が形成される。搬送ベルト22は、互いに平行に配置された駆動ローラ23及び従動ローラ24に適当なテンションで掛け渡される。駆動ローラ23は、図示しない駆動モータによって所定の回転速度で回転駆動され、それに伴い搬送ベルト22も所定の速度で無端移動する。記録用紙は給紙機構によって所定のタイミングで搬送ベルト22の画像形成ユニット21Y,21M,21C,21K側に供給され、搬送ベルト22の移動速度と同一速度で移動して搬送されることにより、各画像形成ユニットを順次通過する。
このような画像形成装置では、記録用紙の移動速度、つまり搬送ベルト22の移動速度が一定速度に維持されないと、色ずれが発生する。この色ずれは、記録用紙上で重ね合わせられる各単色画像の転写位置が相対的にずれることによって発生する。色ずれが発生すると、例えば、複数色の画像が重なって形成された細線画像がにじんで見えたり、複数色の画像が重なって形成された背景画像中に形成される黒の文字画像の輪郭周辺に白抜けが発生したりする。
図9は、別の画像形成装置であり、各画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kの表面に形成された各単色画像を、一旦中間転写ベルト16上に順次重なり合うように転写した後、これを記録用紙上に一括転写する中間転写方式を採用したタンデム型画像形成装置である。この装置においても、中間転写ベルト16の移動速度が一定速度に維持されないと、同様に色ずれが発生する。
また、上述したタンデム型の画像形成装置に限らず、記録材を搬送する記録材搬送部材や、その記録材に転写される画像を担持する感光体や中間転写体等の像担持体として、ベルトを用いた画像形成装置においては、そのベルトの移動速度が一定速度に維持されないとバンディングが発生する。このバンディングは、画像転写中にベルト移動速度が速くなったり遅くなったりすることにより発生する画像濃度ムラである。すなわち、ベルト移動速度が相対的に速い時に転写された画像部分は本来の形状よりもベルト周方向に引き延ばされた形状となり、逆に、ベルト移動速度が相対的に遅い時に転写された画像部分は本来の形状よりもベルト周方向に縮小された形状となる。これにより、引き延ばされた画像部分は濃度が薄くなり、縮小された画像部分は濃度が濃くなる。その結果、ベルト周方向に画像濃度ムラが発生し、バンディングが生じる。このバンディングは、淡い単色画像を形成する場合には人間の目に顕著に感じ取られる。
ベルトの移動速度は、様々な原因によって変動するが、その原因の中に、単層ベルトの場合にはベルト周方向におけるベルト厚みムラがある。このベルト厚みムラは、例えば、円筒金型を用いて遠心焼成方式で作成されたベルトにみられるベルト周方向にわたる肉厚の偏りによって生じる。このようなベルト厚みムラがベルトに存在すると、ベルトを駆動する駆動ローラ上にベルト厚の厚い部分が巻き付いているときにはベルト移動速度が速くなり、反対にベルト厚の薄い部分が巻き付いているときにはベルト移動速度が遅くなる。そのため、ベルト移動速度に変動が生じる。
【0003】
ベルト厚みムラを考慮してベルトの駆動制御を行うことが可能なものとしては、特許文献1に記載された画像形成装置がある。 特許文献1では、ベルトを支持する複数のローラのうち、径が異なる2つのローラにおける回転角変位又は回転角速度の回転情報に基づいて、ベルトの周方向における厚みムラにより生じるベルトの移動速度変動を打ち消す為に、駆動ローラに対する補正制御量を算出し、駆動ローラの回転速度を制御する。また、前記補正制御量とベルト厚み変動を同期させるためには、ベルトにホームポジションとなる基準マークを設け、光学センサ等により読み取ることにより、ベルトのホームポジションを検出する必要がある。ホームポジションとなる基準マークを使用しない方法としては、特許文献1にベルトを支持するローラに設けたエンコーダセンサより得られる、ローラの回転角度の累積値を算出し、累積値が規定値に達した場合を仮想のホームポジションとする方法が示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のベルト駆動制御装置では、ホームポジションをまたは仮想ホームポジションを検出した後に、ベルト厚みムラにより生じるベルトの移動速度変動を打ち消す制御が開始される。よって、ホームポジションの位置により、最悪の場合はベルトが一周するまでの待ち時間が生じる。一方、ベルト駆動制御装置を利用したプリンタやコピアに代表される画像形成装置では、上位装置または、画像形成装置自体に備える操作部からの印刷開始命令を受信してから印刷物を画像形成装置の排紙トレーに排出するまでの時間(以降、「ファーストプリントタイム」と記載する。)が可能な限り短いことが望ましい。前記画像形成装置では、画像品質を安定させるためにベルトの移動速度変動が安定した後に、画像形成を開始することが一般的である。よって、前記待ち時間はファーストプリントタイムに直接加算されるため、極力短いことが望ましい。
【0005】
本発明は上記の問題点を解決し、画像形成装置においてはファーストプリントタイムを短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明で使用されるベルト駆動制御装置は、ベルトに駆動力を伝達する駆動支持回転体に掛け渡された前記ベルトの駆動制御を行うベルト駆動制御装置であって、
前記ベルトの位相を検出するベルト位相検出手段、
前記ベルトの前記位相の各々におけるベルトの移動速度の変動を低減させるための速度補正量を算出する補正量算出手段、
前記位相に対応する前記速度補正量を記憶する記憶手段、
前記ベルト位相検出手段からの前記位相の情報を用いて、前記記憶手段から、前記位相に対応する前記速度補正量を読み出し、前記速度補正量に基づき、前記ベルトの速度変動が小さくなるように前記駆動支持回転体の駆動制御を行う駆動制御手段、
を有することを特徴の一つとする。
【0007】
また、本発明は、上記ベルト駆動装置を有する画像形成装置を特徴の一つとする。
【0008】
加えて、本発明のベルト駆動制御方法は、ベルトに駆動力を伝達する駆動支持回転体に掛け渡された前記ベルトの駆動制御を行うベルト駆動制御方法であって、
前記ベルトの位相を検出するベルト位相検出ステップ、
前記ベルトの前記位相の各々におけるベルトの移動速度の変動を低減させるための速度補正量を算出する補正量算出ステップ、
前記位相に対応する前記速度補正量を記憶手段に記憶する記憶ステップ、
前記位相の情報を用いて、前記記憶手段から、前記位相に対応する前記速度補正量を読み出し、前記速度補正量に基づき、前記ベルトの速度変動が小さくなるように前記駆動支持回転体の駆動制御を行う駆動制御ステップ、
を有することを特徴の一つとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るベルト駆動制御装置を利用した画像形成装置においては、ファーストプリントタイムを短縮することが可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のベルト駆動制御装置の概略図である。
【図2】本発明の画像形成装置の構成図である。
【図3】本発明の補正データδCLK(n)の算出および保存シーケンスを示した図である。
【図4】駆動ローラYを軸方向から見たときの拡大図である
【図5】本発明の第1の支持ローラおよび第2の支持ローラを示す模式図である
【図6】本発明におけるPLD(Pitch Line Distance)の変動の影響を示す図である。
【図7】中間転写ベルト駆動モータ33の起動動作のシーケンスフロー図である。
【図8】従来技術である直接転写方式の構成を示す図である。
【図9】従来技術である中間転写方式の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0011】
図2は本発明を用いたタンデム式カラーレーザプリンタの概略構成図である。
プリンタ本体1には、中間転写ベルト16、定着機17、2次転写ローラ15、4色分のレーザ走査ユニット10Y〜K、感光体12Y〜K、帯電器11Y〜K、現像機13Y〜K、1次転写ローラ14Y〜K、第1給紙ホッパ5、第2給紙ホッパ6を備える。増設給紙装置2は第3給紙ホッパ7、第4給紙ホッパ8を備える。増設給紙装置2はプリンタ本体1に接続されている。
【0012】
第1給紙ホッパ5、第2給紙ホッパ6、第3給紙ホッパ7及び第4給紙ホッパ8には其々、用紙20が格納されており、ユーザは操作パネル3や図示しないPC等の入力端末より、使用する給紙ホッパを選択する。図示しない上位装置より印刷開始命令がプリンタ本体1に送信されたとき、プリンタ本体1は印刷動作を開始する。例えば紙ホッパからは用紙20が搬送路19に補給され、用紙20は回転駆動される搬送ローラによって搬送路19を搬送され、用紙20上には画像が形成され、排紙トレー4に排出される。
【0013】
以下画像形成のプロセス(1)〜(6)について説明する。(1)各帯電器11Y〜Kにより等速回転する各感光体ドラム12Y〜Kを帯電させる。(2)各レーザ走査ユニット10Y〜Kより電気的に表現された画像データに応じて変調したレーザ光を照射して走査させることにより、各感光体ドラム12Y〜K上に静電潜像を形成させる。(3)各現像機13Y〜Kにて各感光体ドラム12Y〜K上の静電潜像に各色のトナーを付着させて現像を行う。(4)各1次転写ローラ14Y〜Kにて各色感光体ドラム12Y〜K上の各色のトナーは回転する無端の中間転写ベルト16に順次転写される。(5)2次転写ローラ15にて、搬送路19を搬送されて来る用紙20へ中間転写ベルト16上のトナーを一括転写する。(6)定着機17にて用紙20に転写されたトナーへ熱及び圧力を加えることによりトナーを用紙に定着させる。
【0014】
図1に本発明を用いた中間転写ベルト駆動部の概略図を示す。図中破線で囲んだ制御手段としてのデジタル信号処理部の各機能は、CPU、メモリ等のハードウエアとソフトウエアで実現される。駆動ローラ23は、第1のギア34及び第2のギア35を介し、中間転写ベルト駆動モータ33にて発生する回転力によって駆動される。また、中間転写ベルト16は接触する駆動ローラ23によって回転させられる。中間転写ベルト16を支持する第1の支持ローラ38には第1のロータリーエンコーダ36が取り付けられており、第1のロータリーエンコーダ36からは第1の支持ローラ38の回転速度に応じて、パルス信号が出力される。前記パルス信号は角速度ω(n)検出部30へ入力され、検出された角速度ω(n)は随時、コントローラ31へ送信される。第2の支持ローラ39についても第1の支持ローラ38と同様の手順にて、角速度ω(n)が算出されコントローラ31に送信される。コントローラ31は、上述した中間転写ベルトの厚さムラより生じるベルト移動速度変動を打ち消す様、中間転写ベルト駆動モータ33を制御する。なお、nは中間転写ベルト16の位相を表す自然数である。補正データδCLK(n)の算出方法の詳細については、後述する。
【0015】
本実施例の中間転写ベルト駆動モータ33にはステッピングモータを使用しているため、中間転写ベルト駆動モータ33を駆動する為に設けられた駆動回路32に入力する駆動用クロック信号の周波数と、中間転写ベルト駆動モータ33の回転速度は正比例する。また、コントローラ31は中間転写ベルト16の厚さムラによって生じる中間転写ベルト16の速度変動を相殺することが可能な前記駆動用クロック信号の補正データδCLK(n)を、角速度ω(n)及び角速度ω(n)より算出する。尚、補正データδCLK(n)は中間転写ベルト16一周分に相当するデータ数となる。算出方法としては特許文献1の方法等がある。
【0016】
次に、中間転写ベルト16の位相nの検出方法及び運用方法について述べる。中間転写ベルト16の位相は位相カウンタ28によって管理される。第2のロータリーエンコーダ37より出力されるパルス信号は位相カウンタ28にも入力され、位相カウンタ28は前記パルス信号のパルス数をカウントし、カウント値をコントローラ31に送信している。また前記カウント値は中間転写ベルト16の一周に相当するカウント数に達すると、自動で0クリアされる。
【0017】
コントローラ31では前記カウント値に応じて中間転写ベルト16の位相nを判断し、補正データδCLK(n)を算出した後、補正データδCLK(n)を記憶手段40に保持している。また、コントローラ31では前記カウント値に応じて中間転写ベルト16の位相nの値を判断し、記憶手段40より、中間転写ベルト16の位相nに対応した前記補正データδCLK(n)を呼び出し、前記補正データδCLK(n)に基づき補正された駆動用クロック信号を出力する。ここで、位相カウンタに入力するパルス信号の発生源は第2のロータリーエンコーダ37に限定されるものではなく、中間転写ベルトを支持する何れのローラでも良く、また、前記駆動用クロック信号を前記パルス信号の代用としても良い。更に位相カウンタをタイマで代用することも可能である。位相カウンタをタイマで代用する場合は、中間転写ベルト16が駆動されている時間を積算し、該積算値を中間転写ベルト16の位相として利用する。
【0018】
図3は、前記補正データδCLK(n)の算出および保存シーケンスを示した図である。
・ステップS11は、実施例のカラーレーザプリンタの電源が投入されるステップである。
・ステップS12は、カラーレーザプリンタの各所をウォーミングアップさせる為、イニシャライズ動作と呼ばれる動作モードに移行するステップである。
・ステップS13は、スルーアップ動作の開始ステップである。スルーアップ動作中には、コントローラ31が中間転写ベルト駆動モータ33を起動させる。中間転写ベルト駆動モータ33はステッピングモータの為、駆動用クロック信号は低い周波数から序々に高い周波数へと変化し、最終的には中間転写ベルト駆動モータ33を目標の回転速度である一定速度で回転させるスルーアップ動作を行う。
・ステップS14は、中間転写ベルトが一定速度に達しているかを検出し、スルーアップ動作が完了しているかをチェックするステップである。スルーアップが完了していれば、次のステップに進む。
・ステップS15は、ベルトの位相全域にわたり、ローラ38およびローラ39のそれぞれの角速度ω(n)およびω(n)を計測し、一時記憶しておくステップである。なお、位相カウンタ28は電源投入直後からカウントが可能となっている。そして、電源投入後中間転写ベルトのスルーアップに伴って第2のロータリーエンコーダがパルスを出力するとカウントを開始する。この為、中間転写ベルト駆動モータ33のスルーアップ動作完了後には任意のタイミングで、角速度ω(n)及び角速度ω(n)の計測を開始し、補正データδCLK(n)を算出することが可能である。
・ステップS16は、上記ステップS15で記憶した角速度ω(n)およびω(n)から、駆動用クロック信号の補正データδCLK(n)を計算するステップである。
・ステップS17は、上記ステップで計算されたδCLK(n)を記憶手段40に記憶するステップである。
・ステップS18は、スルーダウン動作の開始ステップである。駆動用クロック信号は高い周波数から序々に低い周波数へと変化するスルーダウン動作を行う。
・ステップS19は、中間転写ベルト駆動モータ33が完全に停止するステップである。なお、中間転写ベルト駆動モータが駆動を停止すると、第2のロータリーエンコーダがパルスの出力を停止するため位相カウンタはカウントを停止するが、カウント値はそのまま保持している。なお、上述のように、位相カウンタをタイマで代用した場合には、タイマによって示される値は、ベルトの移動時間となる。この場合には、中間転写ベルト駆動モータが駆動を停止すると、タイマが停止するが、タイマ値はそのまま保持している。
【0019】
[補正データδCLK(n)の算出方法]
図4は、駆動ローラYに巻き付いたベルト16を、その駆動ローラYの軸方向から見たときの拡大図である。Pは、ベルトのピッチ線、Btはベルトの内側からピッチ線Pまでの距離、rはローラYの半径、RはローラYの半径rとピッチ距離Btとの和を示す。なお、本図の場合、ベルト16は、均一な材質とし、ピッチ線Pは、ベルトの中央に位置するものとする。
この図4を用いて、駆動ローラYの回転角速度とベルト16の移動速度との関係について説明する。ベルト16の移動速度は、ローラ表面からベルトピッチ線Pまでの距離すなわちピッチ線距離(以下、「PLD(Pitch Line Distance)」という。)によって決定される。このPLDは、ベルト16が均一なベルト材質の単層ベルトであり、かつ、ベルト16の内周面側と外周面側との伸縮度の絶対値がほぼ一致する場合、そのベルト厚み方向の中央とベルト内周面すなわちローラ表面との距離Btに相当する。すなわち、この場合には、PLD=Btとなる。したがって、単層ベルトの場合、PLDとベルト厚みとの関係がほぼ一定となるので、ベルト16の移動速度はベルト厚み変動によって決定することもできる。しかし、複数層からなるベルトなどにおいては、硬質な層と軟質な層との間で互いに伸縮性が異なる結果、ベルト厚み方向の中央からずれた位置とローラ表面との距離がPLDとなる。また、PLDは、駆動ローラYに対するベルト巻付角によっても変化することがある。
すなわち、
【0020】
【数1】

上記数1となる。ここで、PLDaveは、ベルト1周にわたるPLDの平均値であり、例えば平均厚みが100[μm]の単層ベルトの場合、PLDaveは50[μm]となる。また、f(n)は、ベルト1周にわたるPLDの変動を示す関数である。ここでのnは、上述したように、中間転写ベルト16の位相を表す自然数である。
【0021】
ベルト移動速度Vと駆動ローラYと回転角速度ωとの関係は、
【0022】
【数2】

上記数2で表される。この式中のrは、駆動ローラの半径rである。また、PLDの変動を示すf(n)がベルトの移動速度又はベルト移動距離とローラの回転角速度又は回転角変位との関係に影響する度合いは、ローラに対するベルトの接触状態や巻付き量によって変化する場合がある。この影響度をPLD変動実効係数κで表す。
【0023】
以下、本明細書において、上記数2に示す式中{ }内をローラ実効半径といい、その定常部分(r+PLDave)をローラ実効半径Rとする。そして、f(n)をPLD変動という。
【0024】
図5は、図1の主要部の詳細を示す模式図である。このベルト装置は、ベルト16と、このベルト16が掛け渡された支持回転体としての第1の支持ローラ38及び第2の支持ローラ39とを備えている。ベルト16は、第1の支持ローラ38に対してベルト巻付角θ1で巻き付いており、第2の支持ローラ39に対してベルト巻付角θ2で巻き付いている。ベルト16は、図中矢印の方向に無端移動する。第1の支持ローラ38及び第2の支持ローラ39には、検出手段としての回転型エンコーダがそれぞれ設けられている。これらの回転型エンコーダとしては、各ローラ38,39の回転角変位又は回転角速度が検知できるものであればよい。本実施例においては、各ローラ38,39の回転角速度ω1(n),ω2(n)を検知できるものを用いる。この回転型エンコーダとしては、例えば、透明のガラス又はプラスチック等の透明部材で作られた円盤上の同心円上に一定間隔のタイミングマークを形成し、これを各ローラ38,39に対して同軸に固定し、そのタイミングマークを光学的に検知するような公知の光学エンコーダを用いることができる。また、例えば、磁性体からなる円盤上の同心円上に磁気的にタイミングマークを記録し、これを各ローラ38,39に対して同軸に固定し、そのタイミングマークを磁気ヘッドで検出するような磁気エンコーダを用いることもできる。また、公知のタコジェネレータを用いることもできる。本実施形態において、回転角速度は、例えば、回転型エンコーダから連続的に出力されるパルスの時間間隔を計測し、その逆数から得ることができる。なお、回転角変位は、回転型エンコーダから連続的に出力されるパルスの数をカウントすることで得ることができる。
【0025】
ベルトの位相がnの位置における、第1の支持ローラ38の回転角速度ω1(n)、第2の支持ローラ39の回転角速度ω2(n)およびベルト移動速度V(n)との関係を、それぞれ、下記の数3及び数4に示す式で表される。
【0026】
【数3】

【0027】
【数4】

ここで、R1は第1の支持ローラ38のローラの実効半径であり、R2は第2の支持ローラ39のローラ実効半径である。また、κ1は、第1の支持ローラ38のベルト巻付角θ1、ベルト材質、ベルト層構造等によって決まる第1の支持ローラ38のPLD変動実効係数であり、PLDがベルト移動速度V(n)に影響する度合いを決定するパラメータである。同様に、κ2は、第2の支持ローラ39のPLD変動実効係数である。ローラ38,39それぞれの関係式である上記数3及び上記数4において互いに異なるPLD変動実効係数を設定しているのは、ベルト巻付状態(変形曲率)が異なることや、各ローラに対するベルト巻付量が異なることなどが原因で、PLD変動が、ベルト移動速度(ベルト移動量)とローラの回転角速度(回転角変位)との関係に影響する度合いが異なる場合があるためである。なお、これらのPLD変動実効係数κ1,κ2は、一般に、ベルト材質が均一で一層構造のベルトを用い、かつ、ベルト巻付角θ1,θ2が十分に大きいとき、いずれも同じ値となる。
また、f(n)は、ベルトの位相nにおける移動経路上の特定地点を通過するベルト部分のPLDの変化を示し、ベルトが1周する周期と同じ周期をもった周期関数であり、ベルト1周にわたるベルト周方向のPLDの平均値PLDaveからの偏差を示すものである。ここでは、上記特定地点を、第2の支持ローラ39に巻き付いた箇所とする。したがって、位相n=0のとき、第2の支持ローラ39に巻き付いたベルト部分のPLD変動量はf(0)となる。なお、PLD変動の関数としては、位相関数f(n)ではなく、時間関数f(t)を用いてもよい。f(n)とf(t)は相互に変換することができる。
また、αは、第1の支持ローラ38から第2の支持ローラ39までのベルト16のベルト位相差であり、以下、「遅れ位相」という。この遅れ位相αは、二つのローラ38および39の位置関係とベルトの移動方向により、プラス・マイナスのいずれの値も取り得る。αは、第1の支持ローラ38に巻き付いたベルト部分におけるPLD変動f(n)と、第2の支持ローラ39に巻き付いたベルト部分におけるPLD変動f(n+α)との位相差としての意味をもつ。
【0028】
PLDの平均値PLDaveは、ベルトの層構造及び各層の材質や物性だけから求めることは困難であるが、例えば当該ベルトについて簡単な試験駆動を行ってそのベルト移動速度の平均値を得ることにより求めることができる。すなわち、駆動ローラを一定の回転角速度で駆動したときのベルト移動速度の平均値は、{(駆動ローラの半径R01+PLDave)×駆動ローラの一定の回転角速度ω0}である。そして、駆動ローラを一定の回転角速度で駆動したときのベルト移動速度の平均値は、(ベルト周長)/(ベルト1周に要する時間)から求められる。ベルト周長及びベルト1周に要する時間は正確に計測することができる。したがって、駆動ローラを一定の回転角速度で駆動したときのベルト移動速度の平均値も正確に算出できる。また、駆動ローラの半径R01及び駆動ローラの一定の回転角速度ω0も正確に把握できるので、PLDaveを正確に算出することができる。なお、PLDaveの算出方法は、これに限られるものではない。
【0029】
第2の支持ローラ39に巻き付いたベルト部分の位相nにおけるベルト移動速度V(n)は、第1の支持ローラ38に巻き付いたベルト部分の位相nにおけるベルト移動速度V(n)と同じであるので、上記数3及び上記数4の式から、下記の数5に示す式を導くことができる。
【0030】
【数5】

そして、ローラ実効半径R1,R2に対し、PLD変動f(n)は十分小さいことから、上記数5に示す式を下記数6に示す式に近似することができる。
【0031】
【数6】

本認識方法においては、第1の支持ローラ38と第2の支持ローラ39がベルト周方向において互いに近接配置されている。つまり、遅れ位相αが十分に小さくなるように第1の支持ローラ38と第2の支持ローラ39とを近接配置すれば、f(n)=f(n+α)と近似することができる。本認識方法のようにf(n)=f(n+α)と近似すると、本認識方法により導出されるPLD変動f(n)と実際のPLD変動との間には誤差が生じるが、この誤差により発生するベルト16のベルト移動速度の変動やベルト移動位置のズレが許容範囲内のものであれば、実用上問題ない。f(n)=f(n+α)と近似することにより数7が導ける。
【0032】
【数7】

上記数7に示す式からわかるように、位相nにおける第1の支持ローラ38の回転角速度ω1(n)及び第2の支持ローラ39の回転角速度ω2(n)から、PLD変動f(n)を求めることができる。なお、第1の支持ローラ38の回転角速度ω1(n)が一定となるようにベルト16の駆動制御を行っていれば、ω1(n)は一定となり、第2の支持ローラ39の回転角速度ω2(n)を検出するだけで、PLD変動f(n)を求めることができる。また、ノイズなどがあることを想定して、ノイズ除去フィルタ処理を通して、得られたPLD変動f(n)に含まれるすべての変動周波数成分に対して、補正制御を実行することが可能であるが、誤差が許容範囲内で正確に制御できるのは、ある変動周波数成分の周期と遅れ位相αとの関係で、αが無視できる周波数までである。
【0033】
なお、数7は、αをゼロと置いてf(n)を求めた近似式であるが、正確にf(n)を求めるには、理論的には、n=0からn=nmax まで数6を作り、(nmax+1)次元連立一次方程式を解くことにより、計算により求めることができる。方程式の解法については、高速に求める既存の方法を用いればよい。なお、(nmax+1)がαの整数倍になるようにαを設定すれば(すなわちmα=(nmax+1))、連立一次方程式の次元は、m次元になるため、解法時間は飛躍的に短縮される。また、α段の遅延要素をm個用意することにより、ハードウエアで連立方程式を解くことも可能である。なお、(nmax+1)がαの整数倍に正確になっていなくても、その誤差は、非常に小さくなるので問題ない。その他、数6のf(n)の解法には、種々の方法がある。
【0034】
以上のようにして、全ての位相すなわちn=0からn=nmaxまでのPLD変動f(n)を求めることができる。
【0035】
図6は、PLD変動f(n)により、ステッピングモータである中間転写ベルト駆動モータ33の1パルスあたりのベルト16の移動量の変化を示す図である。まず、ベルト位相の前記特定地点から駆動ローラ23がベルトに接触している位置までのベルトの位相差をα0とする。R0は駆動ローラ23の実行半径である。βは、中間転写ベルト駆動モータ33の1パルス間隔当たりに駆動ローラ23が回転する回転角度とする。Pは、ベルト16の平均的ピッチ線を表している。Pは、位相n-α0でのベルト16のピッチ線を表している。
【0036】
ベルトの位相がnのときにおける、駆動ローラ23とベルトが接触している地点でのPLD変動は、f(n-α0)となる。ピッチ線がPの位置にあり、通常のパルス間隔をtave、とする。PLDの変動がない場合すなわちf(n-α0)=0の場合のときのベルトの速度Vaveは数8となる。
【0037】
【数8】

図6のピッチ線Pの場合には、PLD変動f(n-α0)が存在するために、ベルトの移動距離はf(n-α0)tanβだけ増加する。この場合におけるベルト16の速度V(n)は、パルス間隔をtave+δCLK(n)と置くと、下記数9のようになる。
【0038】
【数9】

となる。
【0039】
そして、ベルトの速度を一定に保つには、数8と数9におけるそれぞれの速度は同じ速度でなければならない。すなわち、Vave=V(n)とならなければならないため、下記数10が導ける。
【0040】
【数10】

上記数10をδCLK(n)について解けば、数11が導ける。
【0041】
【数11】

したがって、数7と数11から、
【0042】
【数12】

数12から、δCLK(0)からδCLK(nmax)の値が実際に算出され、これらの値を記憶手段40に記憶させればよい。実際に中間転写ベルト駆動モータを駆動するときのパルス間隔は、中間転写ベルト16の位相nの時にtave+δCLK(n)とすればよい。なお、数12は、数7で求めた近似式を使っているため、既に説明した他の方法でf(n)を求めた場合には、そのf(n)の値を利用して数11からδCLK(nmax)を求めればよい。
【0043】
なお、上記実施例では、半径の異なる二つの支持ローラ38および39を用いて、ベルトの速度変動を計測したが、光学的手段等を用いて、ベルトの速度変動を直接計測して、この速度変動を用いてベルトのPLD変動f(n)を求めてもよい。この場合には、直接計測されたベルトの速度変動データから、駆動用クロック信号の補正データδCLK(n)を同様に計算すればよい。
【0044】
[補正データの更新]
次に、補正データδCLK(n)の更新について述べる。位相カウンタ28のカウント値が一周する周期は中間転写ベルト16の周長、第2のロータリーエンコーダ37の径の理想値から決定している。しかしながら、実際には中間転写ベルト16の周長及び第2のロータリーエンコーダ37の径にはバラツキがあったり、中間転写ベルト16とローラ2の間に微小な滑りが発生したりするため、厳密には位相カウンタ28のカウント値が一周する周期と中間転写ベルトが一周する周期が一致するとは限らない。よって、位相カウンタ28にて中間転写ベルト16の位相を管理する場合、位相カウンタ28による位相と中間転写ベルト16の真の位相との間にずれが生じ、中間転写ベルト16を回転させるに連れ、前記ずれは序々に拡大することになる。補正データδCLK(n)の値は位相カウンタ28のカウント値に応じて、記憶手段40より呼び出されるため、補正データδCLK(n)と中間転写ベルト16の真の位相との間にもずれが発生することになる。よって、ある程度の間隔で補正データδCLK(n)の値を更新する必要がある。本実施例では中間転写ベルト16が2周する度に、角速度ω(n)及び角速度ω(n)の計測を開始し、補正データδCLK(n)を算出する。中間転写ベルト16が定速で駆動されている間は常に補正データδCLK(n)を更新する。この場合には、記憶手段40に記憶されている既存のデータを読み出し、新たに算出された補正データδCLK(n)を加算し、その加算結果を記憶させればよい。
【0045】
また、各部品の経年変化や、周囲の温度変化により、位相のnmaxが変化することも考慮する必要がある。nmaxを修正するためには、ベルト16が正確に一周する際のカウント値を求める必要がある。ベルトが一周するのを感知するために、ベルトに基準マークを付け、これを検知するようにすれば、nmaxの修正が行える。この修正は、イニシャライズ動作時あるいは、中間転写ベルト16が回転しているとき、適宜に実施すればよい(なお、この基準マークは、ベルトのホームポジションを決めるためのものではない)。
【0046】
[駆動モータ33の起動動作について]
図7は、前記イニシャライズ動作完了後における、中間転写ベルト駆動モータ33の起動動作のシーケンスフロー図である。前記イニシャライズ動作が完了した後に中間転写ベルト駆動モータ33の起動する契機としては、図示しない上位装置や操作部からの印刷指令を画像形成装置が受信し、印刷動作を開始した場合や、画像形成装置の調整動作が画像形成装置自体のプログラムにより発動した場合が挙げられる。
・ステップS21は、スルーアップ動作の開始ステップである。スルーアップ動作が始まり、中間転写ベルトが駆動すると、第2のロータリーエンコーダがパルスの出力を開始し、位相カウンタはカウントを再開する。位相カウンタは停止時のカウント値からカウントを行う。
・ステップS22は、スルーアップ動作が完了しているかをチェックするステップである。スルーアップが完了していれば、次のステップに移行する。
・ステップS23は、中間転写ベルトの位相を判定するステップである。イニシャライズ動作完了後の中間転写ベルト駆動モータ33の起動時には、既に前回算出した補正データδCLK(n)が記憶手段40に保持されている為、スルーアップ動作により中間転写ベルト駆動モータ33が定常回転速度に達した後は、コントローラ31は位相カウンタ28が送信するカウント値より、中間転写ベルト16の位相nを判断する。位相カウンタ28は電源投入時から連続して第2のロータリーエンコーダパルスの出力に応じてカウントを行い、中間転写ベルト16の一周に相当するカウント数に達すると、自動で0クリアされているため、カウント値から中間転写ベルト16の位相nを判断することが出来る。
・ステップS24は、記憶手段40より補正データδCLK(n)を読み出すステップである。
・ステップS25は、読み出されたよって、δCLK(n)の値に応じて、駆動クロックを補正するステップである。中間転写ベルト駆動モータ33のスルーアップ動作完了後には直ちに中間転写ベルトの厚さムラによる中間転写ベルトの速度変動を打ち消す補正制御を開始することが可能である。
・ステップS26は、転写が終了した後、スルーダウンを開始し、機器の動作を停止させるステップである。
【0047】
以上のように、本願に記載の発明によると、ベルトの位相を検出する検出手段を備え、ベルトの位相に応じてベルトの位相の各々におけるベルトの移動速度の変動を低減させるための速度補正量を算出し、前記ベルトの位相に対応する速度補正量を記憶し、ベルト位相検出手段はベルトの停止時にもベルト位相情報を保持し、ベルトの速度を制御する際には、ベルト位相検出手段の検出した位相に対応した速度補正量を読み出し、前記ベルトの速度変動が小さくなるように前記駆動支持回転体の駆動制御を行っている。
【0048】
これにより、ベルトの起動時にはすぐに現在のベルトの位相が分かり、それに応じて駆動制御を行うことが出来るので、ホームポジションを待つことなくファーストプリントタイムを短縮することが出来るという効果を奏する。
【0049】
以上の動作により、きわめて迅速に画像形成の処理が完了する。
【符号の説明】
【0050】
1 プリンタ本体
2 増設給紙装置
3 操作パネル
4 排紙トレー
5 第1給紙ホッパ
6 第2給紙ホッパ
7 第3給紙ホッパ
8 第4給紙ホッパ
10Y,10M,10C,10K,10 レーザ走査ユニット
11Y,11M,11C,11K 帯電器
12Y,12M,12C,12K,12 感光体ドラム
13Y,13M,13C,13K 現像機
14Y,14M,14C,14K 1次転写ロール
15 2次転写ロール
16 中間転写ベルト
17 定着機
18 レジストローラ
19 用紙搬送路
20 用紙
21Y,21M,21C,21K, 画像形成ユニット
22 搬送ベルト
23 駆動ローラ
24 従動ローラ
25 2次転写ベルト
26 レジストローラ
27 ベルトクリーナ
28 位相カウンタ
29 角速度ω(n)検出部
30 角速度ω(n)検出部
31 コントローラ
32 駆動回路
33 中間転写ベルト駆動モータ
34 第1のギア
35 第2のギア
36 第1のロータリーエンコーダ
37 第2のロータリーエンコーダ
38 第1の支持ローラ
39 第2の支持ローラ
40 記憶手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【特許文献1】特開2006−264976号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトに駆動力を伝達する駆動支持回転体に掛け渡された前記ベルトの駆動制御を行うベルト駆動制御装置であって、
前記ベルトの位相を検出するベルト位相検出手段、
前記ベルトの前記位相の各々におけるベルトの移動速度の変動を低減させるための速度補正量を算出する補正量算出手段、
前記位相に対応する前記速度補正量を記憶する記憶手段、
前記ベルト位相検出手段からの前記位相の情報を用いて、前記記憶手段から、前記位相に対応する前記速度補正量を読み出し、前記速度補正量に基づき、前記ベルトの速度変動が小さくなるように前記駆動支持回転体の駆動制御を行う駆動制御手段、
を有することを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のベルト駆動制御装置において、
前記ベルトを支持する少なくとも2つの支持回転体、
少なくとも2つの前記支持回転体の各々の角速度を計測する角速度計測手段、を有し、
前記補正量算出手段は、前記角速度に基づいて前記速度補正量を算出することを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のベルト駆動制御装置において、
前記支持回転体は、前記駆動支持回転体及び/またはベルトの移動に伴って連れ回りする従動支持回転体であることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のベルト駆動制御装置において、
前記ベルト位相検出手段は前記支持回転体の回転量を検出し、前記支持回転体の回転が停止している間は前記回転量を表す情報を保持することを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のベルト駆動制御装置において、
前記位相として、前記ベルトの移動時間を用い、前記ベルトが移動していない間は前記移動時間を表す情報を保持することを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のベルト駆動制御装置を有する画像形成装置。
【請求項7】
ベルトに駆動力を伝達する駆動支持回転体に掛け渡された前記ベルトの駆動制御を行うベルト駆動制御方法であって、
前記ベルトの位相を検出するベルト位相検出ステップ、
前記ベルトの前記位相の各々におけるベルトの移動速度の変動を低減させるための速度補正量を算出する補正量算出ステップ、
前記位相に対応する前記速度補正量を記憶手段に記憶する記憶ステップ、
前記位相の情報を用いて、前記記憶手段から、前記位相に対応する前記速度補正量を読み出し、前記速度補正量に基づき、前記ベルトの速度変動が小さくなるように前記駆動支持回転体の駆動制御を行う駆動制御ステップ、
を有することを特徴とするベルト駆動制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−97199(P2010−97199A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206160(P2009−206160)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】