説明

ベルト駆動装置及び画像形成装置

【課題】 本発明は、ベルトの外側からのみテンションをかけてベルトの従動プーリに対する巻きつき角を大きくすることで伝達駆動力を安定させ、さらに、平ベルトや歯付ベルト等の様々な種類のベルトを使用可能にし、ベルト騒音を減少することの出来るベルト駆動装置を提供することを目的としている。
【解決手段】 駆動プーリ21のベルト22の送出側で該ベルト22の走行方向上流側に位置し、ベルト22の駆動プーリ21上の張架面に対して傾斜した傾斜面71aを有してベルト22に該ベルト22の外側からテンションを与える上流側コロ71と、駆動プーリ21のベルト22の送出側で上流側コロ71よりもベルト22の走行方向下流側に位置し、ベルト22の駆動プーリ21上の張架面に対して平行な円周面72aを有してベルト22に該ベルト22の外側からテンションを与える少なくとも一つ以上の下流側コロ72とを有する構成であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の駆動手段として装備されるベルト駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9(a)に従来のベルト駆動手段を搭載した一例として画像形成装置のレーザービームプリンタ(以下、「プリンタ」という)の概略構成を説明する断面構成説明図を示す。この図9(a)に基づいて画像形成装置の構成及び画像プロセス、シート材の給送から排出までの一連の流れを説明する。
【0003】
プリンタには装置の小型化やプリンタの高速化、特に1枚目を出力する時間(ファーストプリントアウトタイム)を短縮することを目的とし、シート材の給送から排出までの搬送距離を短く設定した構成を有している。即ち、シート材の給送、トナー画像の転写、トナー画像の定着までのシート材の搬送路がほぼ垂直に配置されている。同時にプリンタ内の熱の排出性能向上を目的とし、熱源となる定着ローラ11等の定着器を本体上部に配置した構成も提案されている。
【0004】
装置下部に設けたシート材給送部1にセットされたシート材は、給送ローラ2と分離パッド6によって分離給送され、ほぼ直角に曲げられて配置された搬送ローラ3a,3bを経て垂直方向に搬送され、画像転写部へ向かう。
【0005】
画像転写部へ搬送されたシート材は、レーザースキャナ5によって潜像されたプロセスカートリッジ7内の感光体ドラム8と転写ローラ9からなる転写ニップ部で未定着画像としてトナーが転写される。
【0006】
未定着画像を加熱定着するために、シート材は定着ローラ11に送られて加熱定着され、排出ガイド15によって定着画像面が下側に曲げられ、排出ローラ12を経て排出トレイ14に排出される。
【0007】
次に、図9(b)は従来の駆動手段の概略構成を説明する駆動構成説明図である。この図9(b)に基づいて、駆動概略構成を説明する。
【0008】
駆動モータ16が駆動することにより駆動プーリ21が回転する。続いてベルト22を介して従動プーリ23及びアイドラギア24a,24b,24cによって駆動の伝達が行われる。ベルト22には適切なテンションを与えるためテンショナーが設けられている。ここでテンショナーはコロ51とテンショナー支持部52から構成されている。
【0009】
被駆動軸となる給送ローラ2の給送ローラ軸に設けられたギア25、搬送ローラ3aの搬送ローラ軸に設けられたギア26がそれぞれ回転駆動される。更に、感光体ドラム8の感光体軸に設けられたギア27、定着ローラ11の定着ローラ軸に設けられたギア28、排出ローラ12の排出ローラ軸に設けられたギア29がそれぞれ回転駆動され、シート材の搬送を行う。
【0010】
ベルト22は使用条件により騒音が問題となる。この原因として、駆動プーリ21と従動プーリ23とコロ51との間でベルト22が弦を形成し、ベルト振動が起こることで騒音が発生する。
【0011】
この騒音を避けるために、テンショナー位置を調節したり、テンションを低減したり、ベルト22の材質を選定したり等様々な対策がなされている。その中で、駆動プーリ21のベルト22の送出側のベルト22の表裏両面に当接して、ベルト22の張架面に対して傾斜した傾斜面を有する1対のコロを配置する提案が特許文献1によりなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−243003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1の技術ではベルト22の内側からテンションをかけることで、ベルト22の従動プーリ23に対する巻きつき角が減少し、接触面積が減少する。もしくは、歯付ベルトであれば、ベルト22と従動プーリ23との歯の噛合い数の減少により伝達駆動力が低減するという問題がある。また、歯付ベルトを使用すると、ベルトの歯がコロによって削られ、ベルト噛合い音の騒音が増大するという問題がある。
【0014】
そこで、本発明の目的は、ベルトの外側からのみテンションをかけてベルトの従動プーリに対する巻きつき角を大きくすることで伝達駆動力を安定させる。さらに、平ベルトや歯付ベルト等の様々な種類のベルトを使用可能にし、ベルト騒音を減少することの出来るベルト駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係るベルト駆動装置の代表的な構成は、枠体と、前記枠体に回転可能に取り付けられた駆動プーリと、前記枠体に回転可能に取り付けられた従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリとにそれぞれの張架面が平行になるように張架され、前記駆動プーリから前記従動プーリに駆動力を伝達しつつ一方向のみに走行するベルトとを有するベルト駆動装置において、前記駆動プーリの前記ベルトの送出側で前記ベルトの走行方向上流側に位置し、前記ベルトの前記駆動プーリ上の張架面に対して傾斜した傾斜面を有して前記ベルトに前記ベルトの外側からテンションを与える上流側コロと、前記駆動プーリの前記ベルトの送出側で前記上流側コロよりも前記ベルトの走行方向下流側に位置し、前記ベルトの前記駆動プーリ上の張架面に対して平行な円周面を有して前記ベルトに前記ベルトの外側からテンションを与える少なくとも一つ以上の下流側コロとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上記構成によれば、上流側コロによってベルトを走行方向に対して傾斜させることで駆動プーリと従動プーリとの間でベルトが形成する弦の振動を減衰させることが出来る。これにより、低騒音化を実現する。それと同時にベルトにテンションを与える上流側コロと下流側コロとをベルトの外側から該ベルトにテンションを与えることで、ベルトと駆動プーリと従動プーリとの接触面積を大きくして駆動力を安定させることが出来る。
【0017】
ベルトが歯付ベルトの場合においてもベルト外側からテンションを与えることで上下流側コロがベルトの歯に接触することが無いため、ベルトの歯の損傷を抑えることが出来る。また、下流側コロをベルト走行方向に対して水平にすることで、上流側コロがベルト走行方向に対して傾斜していることによるベルトの片寄り力を低減し、安定してベルトを走行させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)は本発明に係るベルト駆動装置を備えた画像形成装置の構成を示す断面説明図、(b)は本発明に係るベルト駆動装置を駆動系に備えた画像形成装置の構成を示す断面説明図である。
【図2】本発明に係るベルト駆動装置の第1実施形態の構成を示す斜視説明図である。
【図3】(a)は上流側コロの構成を示す断面説明図、(b)は下流側コロの構成を示す断面説明図である。
【図4】本発明に係るベルト駆動装置の第2実施形態の構成を示す斜視説明図である。
【図5】本発明に係るベルト駆動装置の第3実施形態の構成を示す斜視説明図である。
【図6】本発明に係るベルト駆動装置の第4実施形態の構成を示す斜視説明図である。
【図7】(a)は上流側コロの構成を示す断面説明図、(b)は上流側コロの傾斜面とは逆方向に傾斜した傾斜面を有する下流側コロの構成を示す断面説明図である。
【図8】(a),(b)は上流側コロ及び下流側コロの回転軸を所定角度傾斜させてベルトの張架面に対して傾斜した傾斜面を形成した様子を示す断面説明図である。
【図9】(a)は従来例のベルト駆動装置を備えた画像形成装置の構成を示す断面説明図、(b)は従来例のベルト駆動装置を駆動系に備えた画像形成装置の構成を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明に係るベルト駆動装置を備えた画像形成装置の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0020】
<画像形成装置>
図1は本発明に係るベルト駆動装置を備えた画像形成装置(以下、「プリンタ」という)の断面図である。プリンタは感光体にレーザー光を走査して記録する電子写真方式を採用したものである。図1(a)において、1はシート材給送部であり、該シート材給送部1内には複数枚の記録材となるシート材が積載されている。このシート材はシート材給送部1の図1の右側(装置奥側)に配置された給送ローラ2と分離パッド6によって1枚ずつ分離されて給送され、搬送ローラ3a,3bによって感光体ドラム8と転写ローラ9とのニップ部からなる転写部に搬送される。
【0021】
またレジストセンサ4はシート材の先端位置と露光光源であるレーザースキャナ5の発光タイミングとを同期させてシート材上の所定位置から画像の描き出しを行うものである。
【0022】
そして、転写ローラ9でプロセスカートリッジ7内の感光体ドラム8上のトナー画像をシート材上に転写し、搬送ガイド10に沿って定着ローラ11と加圧ローラ17とによりニップされ、シート材上のトナー画像を加熱し定着する。本実施形態では図1(a)に示すように、給送ローラ2と転写ローラ9と定着ローラ11は該定着ローラ11を最上部としてほぼ鉛直で一直線上に配置されている。定着ローラ11は最上部に配置されているため、定着ローラ11から発生される熱は外装カバー13に形成されたルーバー13aからプリンタの外部に効率よく排出される。
【0023】
トナー画像を定着されたシート材は定着ローラ11の鉛直上方に配置された排出ガイド15に当接して定着画像面が下側に曲げられる。そして、排出ローラ12と排出コロ18とによって外装カバー13の一部に形成された排出トレイ14上に定着画像面が下側にして排出される。
【0024】
<ベルト駆動装置>
次に本発明に係るベルト駆動装置の概略を説明する。図1(b)は本発明に係るベルト駆動装置の概略構成を説明する断面説明図である。本実施形態では、単一の駆動源となる駆動モータ16の作動により該駆動モータ16の駆動軸に連結された駆動プーリ21を介してベルト22が駆動される。さらにベルト22により従動プーリ23が駆動され、従動プーリ23よりも下流側において該従動プーリ23に設けられたギア23aにアイドラギア24a,24bがそれぞれ噛合し、該アイドラギア24bにアイドラギア24cが噛合して駆動列が分岐する。
【0025】
アイドラギア24cには、被駆動軸である給送ローラ2の給送ローラ軸に設けられたギア25、搬送ローラ3aの搬送ローラ軸に設けられたギア26がそれぞれ噛合し、アイドラギア24bには、感光体ドラム8の感光体軸に設けられたギア27が噛合する。アイドラギア24aには、定着ローラ11の定着ローラ軸に設けられたギア28、排出ローラ12の排出ローラ軸に設けられたギア29が噛合されて、各ギアに対して駆動モータ16の駆動力が伝達される。
【0026】
これらの各ギアや各軸は、枠体31とギアカバー30により両持ち支持されて固定されている。これらによって画像形成装置の一連の動作を可能にしている。枠体の構成は、枠体31、枠体32、枠体33、枠体34が板金によって構成されている。これらの枠体は、それぞれ枠体31は駆動機構を支持する役割、枠体32は本体強度を確保する役割、枠体33は本体底面部を構成する役割、枠体34はレーザースキャナ5を取り付ける役割がある。枠体31に対して一方の端部に枠体32が締結され、もう一方の端部に枠体33が締結されている。枠体34は枠体32と枠体33のほぼ中央部に締結されている。また駆動モータ16は枠体32と枠体34との間に設けられている。
【0027】
次に駆動プーリ21と従動プーリ23とベルト22、並びにテンショナーを構成する上流側コロ71、下流側コロ72の配置構成を図2を用いて説明する。図2は図1(b)に示すベルト駆動装置の概略構成を説明する斜視図である。枠体31に回転可能に駆動プーリ21が取り付けられ、該枠体31に駆動プーリ21と平行に従動プーリ23が回転可能に取り付けられている。駆動プーリ21と従動プーリ23との間に、それぞれの張架面が平行になるようにベルト22が張架されており、駆動プーリ21から従動プーリ23に駆動力を伝達しつつ一方向のみに走行する。
【0028】
駆動プーリ21のベルト22の送出側に配置されたテンショナーは、駆動プーリ21のベルト22の送出側で該ベルト22の走行方向上流側に位置して枠体31に取り付けられたホルダ81を有する。そして、該ホルダ81に回転自在に支持して取り付けられ、ベルト22の駆動プーリ21上の(駆動プーリ上)の張架面に対して傾斜した傾斜面71aを有してベルト22に該ベルト22の外側からテンションを与える上流側コロ71とを有する。
【0029】
更に、駆動プーリ21のベルト22の送出側でホルダ81よりもベルト22の走行方向下流側(図1(b)及び図2の右側)に位置して枠体31に取り付けられたホルダ82を有する。更に、該ホルダ82に回転自在に支持して取り付けられ、ベルト22の駆動プーリ21上の張架面に対して平行な円周面72aを有してベルト22に該ベルト22の外側からテンションを与える少なくとも一つ以上の下流側コロ72とを有して構成されている。
【0030】
図3(a)は、上流側コロ71の断面形状を示し、図3(b)は、下流側コロ72の断面形状を示す。図3(a),(b)は図2のX矢視図である。上流側コロ71は、図3(a)に示すように、円錐台形状(断面台形状)で形成され、ベルト22の駆動プーリ21上の張架面に対して傾斜する傾斜面71aを有しており、該傾斜面71aに沿って走行するベルト22は傾斜して走行する。
【0031】
下流側コロ72は、図3(b)に示すように、円柱形状(断面方形状)で形成され、ベルト22の駆動プーリ21上の張架面に対して平行な円周面72aを有している。そして、該平行な円周面72aに沿って走行するベルト22は、上流側コロ71の傾斜面71aにより一旦傾斜して走行した後、ベルト22の駆動プーリ21上の張架面に対して平行に戻される。
【0032】
本実施形態では各部材間の締結は締結ビス61で行っている。しかしながら、溶接、接着、スナップフィット、圧入等の他の締結方法でも良い。
【0033】
次にベルト22の騒音について説明する。ベルト22の騒音は駆動プーリ21のベルト22の送出側を振動源とする。駆動プーリ21のベルト22の送出側でベルト22が駆動プーリ21と従動プーリ23との間で弦を形成し、ベルト騒音を発生している。そのため駆動プーリ21のベルト22の送出側で該ベルト22の走行方向上流側に配置されたベルト22に傾斜面71aを有する上流側コロ71により該ベルト22の外側からテンションを与える。
【0034】
これにより該ベルト22をベルト走行方向に対して傾斜させることで、該ベルト22の幅方向で駆動プーリ21の噛合いからベルト22が抜ける部分が変化し、ベルト22端部で弦を形成する固定端が異なる。これにより、弦の振動を抑制して騒音を低減することが出来る。
【0035】
また、上流側コロ71よりもベルト走行方向下流側に下流側コロ72を配置し、ベルト22の外側からテンションを与えることで駆動プーリ21及び従動プーリ23と、ベルト22との接触面積が大きくなり、伝達駆動力を安定させることが出来る。また、ベルト22が歯付ベルトである場合においては歯付ベルトの歯と上流側コロ71及び下流側コロ72が接触しないため歯付ベルトの歯が損傷せずにベルト22を安定して走行させることが出来る。
【0036】
以上述べたベルト噛合い音低減の構成は、上述した画像形成プロセスを単一の駆動モータ16により行う画像形成装置の駆動装置において好適である。つまり、単一の駆動モータ16による駆動装置では、製造コストを低く抑えるために、一般的に高負荷、高回転が要求される。他方、ベルト騒音は高負荷、高回転時に悪化する傾向にあり、本実施形態による効果がより大きくなる。
【0037】
本実施形態では、上流側コロ71の傾斜面71aの傾斜方向は、枠体31側の径が大きくなる構成としたが、上流側コロ71の傾斜面71aの傾斜方向を枠体31側の径が小さくなるように構成した場合でも同様の効果が期待できる。また、本実施形態の下流側コロ72は一つで構成したが、同様に構成される2つ以上の下流側コロ72を用いても同様の効果が期待できる。
【実施例2】
【0038】
前記第1実施形態では、ベルト22の駆動プーリ21上の張架面に対して傾斜した傾斜面71aを有する上流側コロ71を有する。更に、ベルト22の駆動プーリ21上の張架面に対して平行な円周面72aを有する下流側コロ72との配置によりベルト騒音を低減する構成とした。本実施形態では、さらに図4に示すように、上流側コロ71と、少なくとも一つ以上の下流側コロ72とにベルト22の外側から付勢力を与える付勢手段となるコイルバネ101を設けたものである。
【0039】
本実施形態では、図4に示すように、ベルト22の駆動プーリ21上の張架面に対して傾斜した傾斜面71aを有する上流側コロ71を回転自在に軸支するコロホルダ91を有する。更に、該コロホルダ91を昇降自在に支持するホルダ83との間にコイルバネ101が取り付けられる。また、ベルト22の駆動プーリ21上の張架面に対して平行な円周面72aを有する下流側コロ72を回転自在に軸支するコロホルダ92と、該コロホルダ92を昇降自在に支持するホルダ84との間にコイルバネ101が取り付けられる。
【0040】
コイルバネ101の付勢力により、上流側コロ71と下流側コロ72を介してベルト22が該ベルト22の外側から付勢され、ベルト22に与えるテンションを自動調節することが出来る。ベルト22の騒音はベルト22に与えるテンションの大きさに大きく依存していることが知られている。コイルバネ101の付勢力により、上流側コロ71と下流側コロ72を介してベルト22に与えるテンションを一定に保つことによって、ベルト騒音の要因であるベルト22の弦振動を低減することが出来る。これによりベルト22の騒音を低減することが出来る。
【0041】
前記第1実施形態の構成ではホルダ81,82を枠体31に組み付ける際に上流側コロ71及び下流側コロ72の位置調整により、ベルト22に与えるテンションの調整作業が必要である。本実施形態では、コイルバネ101の付勢力により、ベルト22に与えるテンションを自動調節することが出来、組立時のベルト22に与えるテンションの調整作業が不要である。他の構成は、前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【実施例3】
【0042】
前記第1、第2実施形態では、上流側コロ71と下流側コロ72とをそれぞれ別々のホルダにより回転自在に支持する構成とした。本実施形態では、図5に示すように、上流側コロ71と下流側コロ72とを一つのホルダにより回転自在に支持する構成としたものである。
【0043】
図5に示すように、枠体31に駆動プーリ21と従動プーリ23とを回転可能に設け、更に該駆動プーリ21と従動プーリ23とに張架したベルト22の駆動プーリ21のベルト22の送出側にホルダ85を設ける。そして、ベルト22の駆動プーリ21上の張架面に対して傾斜した傾斜面71aを有する上流側コロ71と、ベルト22の駆動プーリ21上の張架面に対して平行な円周面72aを有する下流側コロ72とをホルダ85に回転自在に軸支して取り付ける。
【0044】
上流側コロ71と、下流側コロ72の二つのコロを一つのホルダ85に取り付けることで、部品点数を減らし、組立工数を減らすことが出来、配置レイアウトが容易にできる。他の構成は、前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【実施例4】
【0045】
前記第3実施形態では、上流側コロ71と、下流側コロ72とを一つのホルダ85に取り付けた構成である。本実施形態では、更に一つのホルダ85に取り付けた上流側コロ71と、下流側コロ72とにベルト22の外側から付勢力を与える付勢手段となるコイルバネ101を設けたものである。
【0046】
図6に示すように、枠体31に駆動プーリ21と従動プーリ23とを回転可能に設け、更に該駆動プーリ21と従動プーリ23とに張架したベルト22の駆動プーリ21のベルト22の送出側にホルダ86を設ける。該ホルダ86に対して昇降自在に支持されるコロホルダ93には、ベルト22の駆動プーリ21上の張架面に対して傾斜した傾斜面71aを有する上流側コロ71が回転自在に軸支される。更に、ベルト22の駆動プーリ21上の張架面に対して平行な円周面72aを有する下流側コロ72が回転自在に軸支される。コロホルダ93と、該コロホルダ93を昇降自在に支持するホルダ86との間にコイルバネ101が取り付けられる。
【0047】
本実施形態では、上流側コロ71と、下流側コロ72の二つのコロを一つのコロホルダ93に取り付ける構成に加え、該コロホルダ93と、枠体31に取り付けられたホルダ86との間に付勢手段となるコイルバネ101を設ける。これにより、コイルバネ101の付勢力により、ベルト22に与えるテンションを自動調整することが出来、部品点数を減らし、組立工数を減らすことが出来、配置レイアウトが容易にできる。他の構成は、前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【実施例5】
【0048】
前記各実施形態では、図3(a)に示すように、ベルト22の駆動プーリ21上の張架面に対して傾斜した傾斜面71aを有する上流側コロ71を有する。更に、図3(b)に示すように、ベルト22の駆動プーリ21上の張架面に対して平行な円周面72aを有する下流側コロ72とを有する一例について説明した。
【0049】
本実施形態では、図7(a)に示すように、円錐台形状(断面台形状)で形成され、ベルト22の駆動プーリ21上の張架面に対して傾斜した傾斜面71aを有する上流側コロ71を有する。更に、図3(b)に示す下流側コロ72の代わりに、図7(b)に示すように、円錐台形状(断面台形状)で形成された下流側コロ73を有する。下流側コロ73は、ベルト22の駆動プーリ21上の張架面に対して上流側コロ71の傾斜面71aとは逆方向に傾斜した傾斜面73aを有する。
【0050】
上流側コロ71がベルト22の走行方向に対して図7(a)に示すように傾斜していることで、ベルト22に片寄り力が生じてしまう。図7(b)に示すように、下流側コロ73を上流側コロ71とはベルト22の走行方向に対して逆傾斜の形状にすることで、上流側コロ71の傾斜面71aによるベルト22の片寄り力を低減させることが出来る。
【0051】
つまり、ベルト22の脱落及びプーリフランジ部との接触がなくなることで、ベルト22の安定走行が出来、ベルト22の端部削れを低減させることが出来る。上流側コロ71の傾斜面71a及び下流側コロ73の傾斜面73aのそれぞれの傾斜方向及び角度は、それぞれが互いに逆傾斜であればどの方向及び角度であっても良い。他の構成は、前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【実施例6】
【0052】
本実施形態では、図7(a),(b)に示す円錐台形状(断面台形状)の上流側コロ71と下流側コロ73の代わりに、図8(a),(b)に示す円柱形状(断面方形状)の上流側コロ74と、下流側コロ75を有する。そして上流側コロ74と、下流側コロ75をベルト22の駆動プーリ21上の張架面に対してα°傾斜させる。そして、それぞれコロホルダ94,95に対して回転自在に軸支したものである。コロホルダ94,95は図4に示して前述した第2実施形態と同様に、ホルダ83,84に対して昇降自在に支持され、コロホルダ94,95とホルダ83,84との間にそれぞれ付勢手段となるコイルバネ101が設けられる。
【0053】
上述のような構成で上流側コロ74及び下流側コロ75をベルト22の走行方向に対して逆傾斜の形状にすることでベルト22の片寄り力を低減させることが出来る。つまり、ベルト22の脱落及びプーリフランジ部との接触がなくなることで、ベルト22の安定走行が出来、ベルト22の端部削れを低減させることが出来る。
【符号の説明】
【0054】
21 …駆動プーリ
22 …ベルト
71 …上流側コロ
71a …傾斜面
72 …下流側コロ
72a …円周面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、
前記枠体に回転可能に取り付けられた駆動プーリと、
前記枠体に回転可能に取り付けられた従動プーリと、
前記駆動プーリと前記従動プーリとにそれぞれの張架面が平行になるように張架され、前記駆動プーリから前記従動プーリに駆動力を伝達しつつ一方向のみに走行するベルトと、
を有するベルト駆動装置において、
前記駆動プーリの前記ベルトの送出側で前記ベルトの走行方向上流側に位置し、前記ベルトの前記駆動プーリ上の張架面に対して傾斜した傾斜面を有して前記ベルトに前記ベルトの外側からテンションを与える上流側コロと、
前記駆動プーリの前記ベルトの送出側で前記上流側コロよりも前記ベルトの走行方向下流側に位置し、前記ベルトの前記駆動プーリ上の張架面に対して平行な円周面を有して前記ベルトに前記ベルトの外側からテンションを与える少なくとも一つ以上の下流側コロと、
を有することを特徴とするベルト駆動装置。
【請求項2】
枠体と、
前記枠体に回転可能に取り付けられた駆動プーリと、
前記枠体に回転可能に取り付けられた従動プーリと、
前記駆動プーリと前記従動プーリとにそれぞれの張架面が平行になるように張架され、前記駆動プーリから前記従動プーリに駆動力を伝達しつつ一方向のみに走行するベルトと、
を有するベルト駆動装置において、
前記駆動プーリの前記ベルトの送出側で前記ベルトの走行方向上流側に位置し、前記ベルトの前記駆動プーリ上の張架面に対して傾斜した傾斜面を有して前記ベルトに前記ベルトの外側からテンションを与える上流側コロと、
前記駆動プーリの前記ベルトの送出側で前記上流側コロよりも前記ベルトの走行方向下流側に位置し、前記ベルトの前記駆動プーリ上の張架面に対して前記上流側コロの傾斜面とは逆方向に傾斜した傾斜面を有して前記ベルトに前記ベルトの外側からテンションを与える少なくとも一つ以上の下流側コロと、
を有することを特徴とするベルト駆動装置。
【請求項3】
前記上流側コロと、前記少なくとも一つ以上の下流側コロとに前記ベルトの外側から付勢力を与える付勢手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のベルト駆動装置。
【請求項4】
前記駆動プーリの前記ベルトの送出側で前記枠体に取り付けられ、前記上流側コロと、前記少なくとも一つ以上の下流側コロとを回転自在に支持するホルダを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のベルト駆動装置。
【請求項5】
前記ホルダが、前記上流側コロと、前記下流側コロとに前記ベルトの外側から付勢力を与える付勢手段を有することを特徴とする請求項4に記載のベルト駆動装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のベルト駆動装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−180882(P2012−180882A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43445(P2011−43445)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】