説明

ベンズイミダゾロン及びサイトカイン抑制剤としてのそれらの使用

式(II)(式中、Xが、O、S又はNR5である)のベンズイミダゾロン化合物を開示する。その化合物は、炎症過程に包含されるサイトカインの生成を抑制し、及び従って、炎症、例えば慢性炎症疾患を包含する病気及び病理的状態を治療するのに有用である。また、これらの化合物を製造する方法及びこれらの化合物を含む医薬組成物を開示する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
出願データ
本件出願は、2002年9月13日に出願された米国仮出願第60/410,420号の利益を主張するものである。
発明の技術分野
本発明は、以下の式(I)及び(II)のベンズイミダゾロン化合物に関する:
【0002】
【化1】

【0003】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、X、L、m、n及びtは以下に定義する)。本発明の化合物は、炎症過程に包含されるサイトカインの生成を抑制し、及び従って、炎症、例えば慢性炎症性疾患を包含する疾患及び病理的状態を治療するのに有用である。本発明は、また、これらの化合物を製造する方法及びこれらの化合物を含む医薬組成物に関する。
【0004】
発明の背景
p38 MAPキナーゼ抑制剤として有用な化合物が知られており、サイトカイン生成を抑制するのに有用であることが知られている(Pargellis C, et al. 2002 Nat Struct Biol. 9:268-272)。
腫瘍壊死因子(TNF)及びインターロイキン−1(IL−1)は、サイトカイン介在疾患において機能する前炎症(proinflammatory)サイトカインと総称される、重要な生物学的実在物である。これらは、数種の他の関連分子と共に、病原菌の免疫学的認識に関連する炎症応答に関係する。炎症応答は、病原性感染を制限及び制御する際に重要な役割を果たす。
前炎症サイトカインの上昇レベルは、また、多くの自己免疫疾患、例えば、毒素性ショック症候群、関節リウマチ、変形性関節症、糖尿病及び炎症性大腸炎に関連する(Dinarello, C.A., et al., 1984, Rev. Infect. Disease 6:51)。これらの疾患において、炎症の慢性上昇は、観察される生理学的異常を悪化させ又は引き起こす。例えば、リウマチ滑膜組織は、軟骨及び骨の破壊をもたらす炎症細胞に侵入されるようになる(Koch, A.E., et al., 1995, J. Invest. Med. 43: 28-38)。研究により、サイトカインが介在する炎症変化は、経皮経管冠動脈形成(PTCA)後の再狭窄を含む内皮細胞病原に包含され得ることが提案されている(Tashiro, H., et al., 2001 Mar, Coron Artery Dis 12(2):107-13)。これらの疾患における潜在的薬剤介入について重要な及び許容される治療アプローチは、前炎症サイトカイン、例えば、TNF(また、その分泌細胞遊離形態においてはTNFαと称される)及びIL−1βの低減である。多くの抗サイトカイン治療が、現在、臨床的に試みられている。多くの自己免疫疾患においては、TNFαに直接的なモノクローナル抗体を用いて効果を証明している(Heath, P., “CDP571: An Engineered Human IgG4 Anti-TNFα Antibody” IBC Meeting on Cytokine Antagonists, Philadelphia, PA, April 24-5, 1997)。これらは、関節リウマチ、クローン病及び潰瘍性大腸炎が含まれる(Rankin, E.C.C., et al., 1997, British J. Rheum. 35: 334-342 and Stack, W.A., et al., 1997, Lancet 349: 521-524)。モノクローナル抗体は、溶解性TNFα及び膜結合TNFの双方に結合することにより機能するとされる。
【0005】
TNFαと相互作用する溶解性TNFαレセプターが設計されている。そのアプローチは、TNFαに直接的なモノクローナル抗体について上述したものと同様であり;両薬剤が、溶解性TNFαに結合し、従って、その濃度が低減される。この構築物の1種類は、エンブレル(Enbrel)(Immunex, Seattle, WA)と称され、近年、関節リウマチの治療についての第3相臨床試験において効果が証明されている(Brower et al., 1997, Nature Biotechnology 15: 1240)。別の種類のTNFαレセプター Ro 45-2081(Hoffman-LaRoche Inc., Nutley, NJ)は、アレルギー性の肺炎症及び急性肺障害の種々の動物モデルにおいて効果が証明されている。Ro 45-2081は、真核細胞に現れ及び重鎖IgG1遺伝子のヒンジ領域へ融合した溶解性55kDaヒトTNFレセプターから構築された組み合わせキメラ分子である(Renzetti, et al., 1997, Inflamm. Res. 46: S143)。
IL−1は、多数の疾患過程における免疫学的エフェクター分子として関係している。IL−1レセプターアンタゴニスト(IL−1ra)は、ヒト臨床試験において検査されている。関節リウマチの治療についての効果が証明されている(Antril, Amgen)。第3相ヒト臨床試験において、IL−1raにより、敗血性ショック症候群の患者の死亡率が低減された(Dinarello, 1995, Nutrution 11, 492)。骨関節症は、関節軟骨の破壊により特徴付けられる進行遅延性疾患である。IL−1は、滑液中及び骨関節症ジョイント(osteoarthritic joint)の軟骨マトリックス中に検出される。IL−1のアンタゴニストは、種々の関節の炎実験モデルにおいて軟骨マトリックス成分の分解を減少させることが分かっている(Chevalier, 1997, Biomed Pharmacother. 51, 58)。一酸化窒素(NO)は、心臓血管のホメオスタシス、神経伝達及び免疫機能の媒介体であり;近年、それは、骨再形成の調節において重要な効果を有することが分かった。サイトカイン、例えば、IL−1及びTNFは、NO生成の潜在的刺激物質である。NOは、骨芽細胞及び破骨細胞系統の細胞に作用する骨における重要な調節分子である(Evans, et al., 1996, J Bone Miner Res. 11, 300)。インシュリン依存性糖尿病に至るβ細胞破壊のプロモーションは、IL−1への依存を示す。このダメージのいくらかには、他のエフェクター、例えば、プロスタグランジン及びトロンボキサンが介在し得る。IL−1は、この過程に作用し得るが、これは、シクロオキシゲナーゼII及び誘導性一酸化窒素シンテターゼ発現(inducible nitric oxide synthetase expression)の双方のレベルを制御することによる(McDaniel et al., 1996, Proc Soc Exp Biol Med. 211, 24)。
【0006】
サイトカイン生成の抑制剤は、誘導性シクロオキシゲナーゼ(COX−2)発現をブロックすることが期待される。COX−2発現は、サイトカインにより上昇することが分かっており、及び、それは、炎症に応答性のシクロオキシゲナーゼのイソ型であるとされる(M.K. O'Banion et al., Proc. Natl. Acad. Sci.U.S.A, 1992, 89, 4888.)。従って、サイトカイン、例えば、IL−1の抑制剤は、現在COX抑制剤、例えばよく知られるNSAIDで治療されている障害に対する効果を示すことが期待されるであろう。これらの障害としては、急性及び慢性の痛み並びに炎症及び心臓血管疾患の症状が挙げられる。
数種のサイトカインが、活性炎症性大腸炎(IBD)の間に上昇することが証明されている。腸IL−1及びIL−1raの粘膜アンバランス(mucosal imbalance)は、IBDの患者に存在する。内生IL−1raの不十分な生成が、IBDの病原の一因となる(Cominelli, et al., 1996, Aliment Pharmacol Ther. 10, 49)。アルツハイマー病は、βアミロイドタンパク堆積の存在、神経原線維変化及びコリン作用の機能障害(海馬領域にわたるもの)により特徴付けられる。アルツハイマー病においてみられる構造的及び代謝的ダメージは、場合により、IL−1の持続上昇に由来する(Holden, et al., 1995, Med Hypotheses, 45, 559)。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の病原におけるIL−1の役割は、確認されている。IL−1raは、急性炎症事象への及びHIV感染の病態生理学における異なる疾患段階への明らかな関係を示した(Kreuzer, et al., 1997, Clin Exp Immunol. 109, 54)。IL−1及びTNFは、双方とも、歯周病に包含される。歯周病に関連する破壊過程は、IL−1及びTNFの双方の不規則性(disregulation)によるかもしれない(Howells, 1995, Oral Dis. 1, 266)。
【0007】
前炎症サイトカイン、例えば、TNFα及びIL−1βは、また、敗血性ショック及び関連心肺機能障害、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)及び多臓器障害の重要な介在体である。敗血症で入院している患者の研究において、TNFα及びIL−6レベル及び感染性合併症の間に相互関係がみられた(Terregino et al., 2000, Ann. Emerg. Med., 35, 26)。TNFαは、また、カヘキシー及び筋肉分解(HIV感染に関係する)関係する(Lahdiverta et al., 1988, Amer. J. Med., 85, 289)。肥満は、感染の上昇した罹患率、糖尿病及び心臓血管疾患に関係する。TNFα発現の異常は、上記状態の各々について注目される(Loffreda, et al., 1998, FASEB J. 12, 57)。TNFαの上昇レベルは、他の食事関連障害、例えば、食欲不振及び大食症(神経性)に包含されることが指摘されている。病態生理学的パラレルが、神経性食欲不振及び癌悪液質の間に引かれる(Holden, et al., 1996, Med Hypotheses 47, 423)。TNFαの抑制剤、HU−211は、実験モデルにおいて非開放性脳損傷(closed brain injury)の結果(outcome)を改善することが分かっている(Shohami, et al., 1997, J Neuroimmunol. 72, 169)。アテローム性動脈硬化が炎症成分を有していることが知られており、及び、サイトカイン、例えば、IL−1及びTNFは、その疾患を促進することが指摘されている。動物モデルにおいて、IL−1レセプターアンタゴニストは、脂肪ストリーク形成(fatty streak formation)を抑制することが知られている(Elhage et al., 1998, Circulation, 97, 242)。
【0008】
TNFαは慢性閉塞性肺疾患の患者の気道において上昇し、及び、それは、この疾患の病原の一因となる(M.A. Higham et al., 2000, Eur. Respiratory J., 15, 281)。循環TNFαは、また、この疾患に関連する体重減少に寄与し得る(N. Takabatake et al., 2000, Amer. J. Resp. & Crit. Care Med.,161 (4 Pt 1), 1179)。上昇したTNFαレベルは、また、うっ血性心不全に関連していることが分かっており、及び、そのレベルは、その疾患の重症度と関係している(A.M. Feldman et al., 2000, J. Amer. College of Cardiology, 35, 537)。また、TNFαは、肺(Borjesson et al., 2000, Amer. J. Physiol., 278, L3-12)、腎臓(Lemay et al., 2000, Transplantation, 69, 959)、及び神経系(Mitsui et al., 1999, Brain Res., 844, 192)における再灌流障害に関係している。
TNFαは、強力な破骨細胞剤(potent osteoclastogenic agent)及び骨吸収及び骨吸収を包含する疾患に包含される(Abu-Amer et al., 2000, J. Biol. Chem., 275, 27307)。また、それは、外傷性関節炎の患者の軟骨細胞中に高度に発現することが分かっている(Melchiorri et al., 2000, Arthritis and Rheumatism, 41, 2165)。TNFαは、また、糸球体腎炎の発達において重要な役割を果たすことが知られている(Le Hir et al., 1998, Laboratory Investigation, 78, 1625)。
【0009】
誘導性一酸化窒素シンテターゼの異常発現(iNOS)は、自然発生高血圧ラットにおける高血圧と関係している(Chou et al., 1998, Hypertension, 31, 643)。IL−1は、iNOSの発現において役割を有し、及び従って、高血圧の原因における役割を有する(Singh et al., 1996, Amer. J. Hypertension, 9, 867)。
IL−1は、また、ラットにおいてブドウ膜炎を誘発させることが知られており、それは、IL−1ブロッカーにより阻害可能である(Xuan et al., 1998, J. Ocular Pharmacol. and Ther., 14, 31)。IL−1、TNF及びGM−CSFを含むサイトカインは、急性骨髄性白血病ブラスト(acute myelogenous leukemia blast)の増殖を刺激することが分かっている(Bruserud, 1996, Leukemia Res. 20, 65)。IL−1は、刺激性及びアレルギー接触皮膚炎の双方の発達に本質的要素であることが分かっている。エピキュテイナス感作(epicutaneous sensitization)は、抗−IL−1モノクローナル抗体の投与をアレルゲンのエピキュテイナス適用前に行うことにより防止することができる(Muller, et al., 1996, Am J Contact Dermat. 7, 177)。IL−1ノックアウトマウスから得られたデータは、このサイトカインについての発熱に関し臨床的改善を示す(Kluger et al., 1998, Clin Exp Pharmacol Physiol. 25, 141)。TNF、IL−1、IL−6及びIl−8を含む種々のサイトカインは、発熱、倦怠感、筋肉痛、頭痛、細胞性代謝亢進及び多発性内分泌腺及び酵素反応について型にはめられた急性期反応を示す(Beisel, 1995, Am J Clin Nutr. 62, 813)。これらの炎症サイトカインの生成は、外傷又は病原体侵入後に容易に生じる。
【0010】
他の前炎症サイトカインは、種々の疾患状態と関係している。IL−8は、炎症又は創傷部位への好中球の流入と関係する。IL−8に対する遮断抗体は、急性炎症における好中球関連組織創傷におけるIL−8に対する役割を示す(Harada et al., 1996, Molecular Medicine Today 2, 482)。従って、IL−8生成の阻害剤は、主に好中球が介在する疾患、例えば、ストローク(stroke)及び心筋梗塞、又は血栓溶解療法のみ又はその後、熱傷、成人呼吸窮迫症候群、外傷の次に生じる多臓器創傷、急性糸球体腎炎、急性炎症成分での皮膚病、急性化膿性髄膜炎又は他の中枢神経系障害、血液透析、ロイコフェリシス(leukopherisis)、顆粒球輸血関連症候群、及び壊死性腸炎の治療において有用であり得る。
ライノウイルスは、種々の前炎症サイトカイン、主にはIL−8の生成を引き起こし、それにより、病的症状、例えば、急性鼻炎が生じる(Winther et al., 1998, Am J Rhinol. 12, 17)。
IL−8が作用する他の疾患には、心筋虚血及び再灌流、炎症性大腸炎及び多くの他の疾患が含まれる。
【0011】
前炎症サイトカインIL−6は、急性期応答と関係する。IL−6は、多発性骨髄腫及び関連プラズマ細胞悪液質を含む腫瘍学的疾患における多くにおいて成長因子である(Treon, et al., 1998, Current Opinion in Hematology 5: 42)。また、それは、中枢神経系内における炎症の重要な介在体であることが分かっている。高レベルのIL−6は、エイズ痴呆、アルツハイマー病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、CNSトラウマ及びウイルス性及びバクテリア性髄膜炎を含む種々の神経学的疾患においてみられる(Gruol, et al., 1997, Molecular Neurobiology 15: 307)。IL−6は、また、骨粗鬆症において重要な役割を果たす。ネズミモデルにおいては、それは、骨吸収に作用し、及び、破骨細胞活性を誘導することが分かっている(Ershler et al., 1997, Development and Comparative Immunol. 21: 487)。マークされたサイトカインの相違、例えばIL−6レベルは、パジェット病の患者からの通常の骨の破骨細胞及び骨の間にインビボで存在する(Mills, et al., 1997, Calcif Tissue Int. 61, 16)。多くのサイトカインは、癌悪液質中に含まれていることが分かっている。悪液質の重要なパラメータの重要性は、抗IL−6抗体での又はIL−6レセプターアンタゴニストでの治療により低減することができる(Strassmann, et al., 1995, Cytokins Mol Ther. 1, 107)。数種の伝染病、例えば、インフルエンザは、症状形成及び宿主防御の双方における重要な因子としてIL−6及びTNFαを示す(Hayden, et al., 1998, J Clin Invest. 101, 643)。IL−6の過剰発現は、多発性骨髄腫、関節リウマチ、キャッスルマン病、乾癬及び閉経後骨粗鬆症を含む多くの疾患の病変と関連する(Simpson, et al., 1997, Protein Sci. 6, 929)。IL−6及びTNFを含むサイトカインの生成を妨げる化合物は、マウスにおける受身皮膚アナフィラキシーをブロックするのに効果的であった(Scholz et al., 1998, J. Med. Chem., 41, 1050)。
【0012】
GM−CSFは、多くの治療疾患に関連する他の前炎症サイトカインである。それは、幹細胞の増殖及び分化に影響するのみでなく、急性及び慢性炎症に包含される数種の他の細胞を制御する。GM−CSFを用いる治療は、熱傷創治療、植皮消散及び細胞増殖抑制剤及び放射線治療誘導性粘膜炎を含む疾患の多くにおいて試みられている(Masucci, 1996, Medical Oncology 13: 149)。GM−CFSは、また、AIDS治療に関連してマクロファージ系統の細胞におけるヒト免疫不全ウイルス(HIV)の複製において役割を果たすと思われる(Crowe et al., 1997, Journal of Leukocyte Biology 62, 41)。気管支ぜんそくは、灰の炎症過程により特徴付けられる。包含されるサイトカインは、他のもののうちGM−CSFを含む(Lee, 1998, J R Coll Physicians Lond 32, 56)。
【0013】
インターフェロンγ(IFNγ)は、多くの疾患において関連している。それは、移植片対宿主病の中心組織病理学的特徴である上昇コラーゲン堆積と関連している(Parkman, 1998, Curr Opin Hematol. 5, 22)。腎臓移植後、患者は、骨髄性白血病と診断される。末梢血サイトカインのレトロスペクティブ分析により、GM−CSF及びIFNγの上昇レベルが明らかとなった。これらの上昇レベルは、末梢血白血球数の上昇と一致する(Burke, et al., 1995, Leuk Lymphoma. 19, 173)。インシュリン依存糖尿病(タイプ1)の発展は、IFNγを生成するT細胞の膵島細胞における蓄積と関係し得る(Ablumunits, et al., 1998, J Autoimmun. 11, 73)。TNF、IL−2及びIL−6に加えてIFNγは、疾患、例えば、多発性硬化症(MS)及びAIDS痴呆について中枢神経系における損傷の前に大抵の末梢T細胞の活性を導く(Martino et al., 1998, Ann Neurol. 43, 340)。アテローム性損傷により、心臓病及び脳梗塞をもたらし得る動脈疾患が生じる。多くの活性化免疫細胞が、これらの損傷において、主にはT細胞及びマクロファージに存在する。これらの細胞は、多量の前炎症サイトカイン、例えば、TNF、IL−1及びIFNγを生成する。これらのサイトカインは、アテローム損傷を生じる周辺血管平滑筋のプログラム細胞死又は促進アポトーシスに含まれるとされる(Geng, 1997, Heart Vessels Suppl 12, 76)。アレルギー患者は、ベスプラベノム(Vespula venom)でのチャレンジ後にIFNγに特異的なmRNAを生成する(Bonay, et al., 1997, Clin Exp Immunol. 109, 342)。IFNγを含む多くのサイトカインの発現は、遅延タイプの過敏反応後の上昇により示され、従って、アトピー性皮膚炎におけるIFNγについての役割を示す(Szepietowski, et al., 1997, Br J Dermatol. 137, 195)。組織病理学的及び免疫組織学的研究が、フェイタル脳マラリアについて行われた。他のサイトカインのうち上昇したIFNγの、この疾患における役割を示す証拠が観察された(Udomsangpetch et al., 1997, Am J Trop Med Hyg. 57, 501)。種々の伝染病の病因における遊離ラジカル種の重要性が確立された。一酸化窒素の合成経路は、前炎症サイトカイン、例えば、IFNγの誘導を介するある種のウイルスでの感染に応じて活性化される(Akaike, et al., 1998, Proc Soc Exp Biol Med. 217, 64)。B型肝炎ウイルス(HBV)に慢性的に感染している患者では、肝硬変及び肝細胞癌が進行し得る。HBVトランスジェニックマウスにおけるウイルスによる遺伝子発現及び複製は、IFNγ、TFN及びIL−2により介在される後転写機構により抑制することができる(Chisari, et al., 1995, Springer Semin Immunopathol. 17, 261)。IFNγは、選択的に、サイトカイン誘導骨吸収を抑制し得る。これは、骨再形成において重要な制御分子である一酸化窒素(NO)の仲介によると思われる。NOは、疾患、例えば、関節リウマチ、腫瘍関連骨溶解及び閉経後骨粗鬆症についての骨疾患の介在体として包含され得る(Evans, et al., 1996, J Bone Miner Res. 11, 300)。遺伝子不完全マウスについての研究では、IFNγのIL−12依存生成が初期寄生的発生物の制御に臨界的であることが証明された。この過程は、一酸化窒素に依存しているが、慢性感染症の制御は、NO依存的であると思われる(Alexander et al., 1997, Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci 352, 1355)。NOは、重要な血管拡張剤であり、及び、説得力のある証拠が、心臓血管ショックにおけるその役割に存在する(Kilbourn, et al., 1997, Dis Mon. 43, 277)。IFNγは、おそらくTH1表現型のCD4+リンパ球の仲介を推定上介する、クローン病及び炎症性大腸炎(IBD)において、慢性腸炎の進行に必要とされる(Sartor 1996, Aliment Pharmacol Ther. 10 Suppl 2, 43)。血清IgEの上昇レベルは、種々のアトピー性疾患、例えば、気管支ぜんそく及びアトピー性皮膚炎に関連する。IFNγのレベルは、アトピー患者におけるIFNγに対する役割を示唆する血清IgEとの関連が否定的であった(Teramoto et al., 1998, Clin Exp Allergy 28, 74)。
【0014】
WO 01/01986は、TNFαを阻害する能力を有するとされる特定の化合物を開示する。WO 01/01986に開示された数種の化合物は、以下の疾患を治療するのに効果的であることが意図される:HIV感染に関連する痴呆、緑内障、視神経症、視神経炎、網膜虚血、レーザー誘導視ダメージ、増殖性硝子体網膜症、脳虚血、低酸素症−虚血、低血糖症、ドモン酸中毒(domoic acid poisoning)、無酸素症、一酸化炭素又はマンガン又はシアン化物中毒、ハンチントン病、アルツハイマー病、パーキンソン病、髄膜炎、多発性硬化症及び他の脱髄疾患、筋萎縮性側索硬化症、頭部及び脊髄創傷、発作、痙攣、オリーブ橋小脳萎縮症、神経障害性痛症候群(neuropathic pain syndrome)、糖尿病性神経障害、HIV関連神経障害、MERRF及びMELAS症候群、レーバー病、ウェルニッケ脳症、レット症候群、ホモシステイン症(homocysteinuria)、高プロリン血症、高ホモシステイン血症、非ケトン性高グリシン血症、ヒドロキシ酪酸アミノ酸尿、亜硫酸オキシダーゼ欠乏症、混合系疾患(combined system disease)、鉛脳症、トゥレット症候群、肝性脳症、麻薬常習、薬物耐性、薬物依存症、うつ病、不安及び統合失調症。WO 02/32862は、TNFαを含む前炎症サイトカインの阻害剤が、たばこの煙などの煙の吸入により生じる肺中の急性及び慢性炎症を治療するのに有用であることを開示する。TNFαアンタゴニストは、また、子宮内膜症の治療に有用であることが明らかである(EP 1022027 A1参照)。インフリキシマブは、RAについての臨床試験において、また、ベーチェット病、ブドウ膜炎及び強直性脊椎炎を含む種々の炎症疾患を治療するのに有用であることが示されている。膵炎は、炎症介在体生成(inflammatory mediator production)により制御することができる(J Surg Res 2000 May 15 90(2)95-101; Shock 1998 Sep. 10(3):160-75参照)。p38MAPキナーゼ経路は、B.ブルグドルフェリー誘発性炎症において役割を果たし、及び、ライム病薬剤により誘導される炎症治療において有用であり得る(Anguita, J. et. al., The Journal of Immunology, 2002,168:63526357)。
【0015】
上記炎症サイトカインの1種又は2種以上の放出を調節する化合物は、これらのサイトカインの放出と関連する疾患を治療する際に有用であり得る。例えば、WO 98/52558は、ヘテロアリール尿素化合物であり、それは、サイトカイン介在疾患を治療する際に有用であることが示されている。WO 99/23091は、他のクラスの尿素化合物を開示しており、それは、抗炎症剤として有用である。WO 99/32463は、アリール尿素、及び、サイトカイン疾患及びタンパク質分解酵素介在疾患を治療する際のそれらの使用に関する。WO 00/41698は、p38MAPキナーゼ疾患において有用であるとされるアリール尿素を開示する。
米国特許第5,162,360号明細書には、N−置換アリール−N’−複素環置換尿素化合物が開示されており、それは、高コレステロール血症及びアテローム性動脈硬化症を治療するのに有用であるとして記載されている。二置換アリール及びヘテロアリール化合物は、また、米国特許第6,080,763号、第6,319,921号、第6,297,381号及び第6,358,945号明細書に開示されている。これらの特許中の化合物は、抗サイトカイン活性を有するとされており、及び従って、炎症に関連する疾患を治療するのに有用である。
上記研究は、サイトカイン生成の抑制がサイトカイン介在疾患の治療に有益であろうという原理を支持する。従って、最適な効能、薬物動態及び安全プロフィールを有するこれらの疾患を治療するための小分子抑制剤が必要とされる。
【0016】
発明の概要
上記研究は、小分子化合物でp38MAPキナーゼを抑制することによるサイトカイン生成の抑制が、種々の病的状態の治療に有益であろうという原理を支持する。
従って、本発明の目的は、以下の式(I)及び(II)のベンズイミダゾロン化合物を提供することである:
【0017】
【化2】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、X、L、m、n及びtは以下に定義する)。
本発明の更なる目的は、本発明の新規化合物を用いて、炎症、例えば慢性炎症性疾患を包含するサイトカイン介在疾患及び病理的状態を治療する方法を提供することである。
本発明の更なる目的は、上記新規化合物の製造方法を提供することである。
【0018】
発明の詳細な記載
本発明の広範な一般的態様においては、以下のものが提供される:
以下の式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容可能な酸及び塩又は異性体:
【化3】

(式中、m及びnが、独立して、0、1又は2であり;
tが、0〜10であり;
Lが、場合により、アルキル又はアルコキシにより置換されていてもよい−CH2−であり;
1が、アミノ、アルキル、C3-7シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、1〜4つのRaにより置換されていてもよく;
2が、モノ−又はジ−アルキルアミノ、アルキルチオ、アルコキシ、C3-7シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、1〜4つのRbにより置換されていてもよく;
a及びRbの各々が、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アルコキシカルボニル、アシルオキシ、アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及びアミノ又はグアニジノより選ばれ、各々が、場合により、アルキル、アシル又はアルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよく、上記Ra及びRbのいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
各R3が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルールアルキル、アリールオキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アルコキシカルボニル、アシルオキシ、アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、アルキル、アシル又はアルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記R3のいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;及び
4及びR5が、独立して、水素及びC1-3アルキルより選ばれる)。
【0019】
第2の態様においては、以下のものが提供される:
tが、0〜5であり;
Lが、場合により、メチル、エチル又はプロピルにより置換されていてもよい−CH2−であり;
1が、アミノ、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、インダニル、インデニル、フェニルナフチル、チエニル、フラニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、キナゾリニル及びインダゾリルより選ばれるヘテロアリール、及びアジリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサラニル、ピラニル、ピペリジニル及びピペラジニルより選ばれるヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、1〜3つのRaにより置換されていてもよく;
2が、モノ−又はジ−C1-5アルキルアミノ、C1-5アルキルチオ、C1-5アルコキシ、C3-7シクロアルキル、アリール、チエニル、フラニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、キナゾリニル及びインダゾリルより選ばれるヘテロアリール、及びアジリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサラニル、ピラニル、ピペリジニル及びピペラジニルより選ばれるヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、1〜3つのRbにより置換されていてもよく;
a及びRbの各々が、C1-5アルキル、C2-5アルケニル、C2-5アルキニル、C3-7シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C2-7アルコキシカルボニル、C1-5アシルオキシ、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び独立して、場合により、C1-5アルキル、C1-5アシル又はC2-7アルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記Ra及びRbのいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
各R3が、水素、C1-5アルキル、C2-5アルケニル、C2-5アルキニル、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C2-7アルコキシカルボニル、C1-5アシルオキシ、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-5アルキル、C1-5アシル又はC2-7アルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記R3のいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;及び
4及びR5が、独立して、水素及びメチルより選ばれる、
式(I)の化合物。
【0020】
第3の態様においては、以下のものが提供される:
mが、0又は1であり;
nが、0、1又は2であり;
tが、0〜3であり;
Lが、場合により、メチルにより置換されていてもよい−CH2−であり;
1が、C3-6アルキル、アミノ、C3-7シクロアルキル、インダニル、インデニル、フェニル、ナフチル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリニル、キナゾリニル及びインダゾリルより選ばれるヘテロアリール、及びピロリジニル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル及びピペラジニルより選ばれるヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、1〜2つのRaにより置換されていてもよく;
2が、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル及びピリダジニルより選ばれるヘテロアリール、及びモルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、ピペリジニル及びピペラジニルより選ばれるヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、1〜3つのRbにより置換されていてもよく;
a及びRbの各々が、独立して、C1-5アルキル、アリールオキシ、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C2-7アルコキシカルボニル、C1-5アシルオキシ、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-5アルキル、C1-5アシル又はC2-7アルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記Ra及びRbのいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
各R3が、C1-5アルキル、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-3アルキルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記R3のいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
4が、水素であり;及び
5が、水素又はメチルである、
直前に記載した式(I)の化合物。
【0021】
第4の態様においては、以下のものが提供される;
tが、0〜2であり;
1が、C4-6アルキル、アミノ、C5-7シクロアルキル、インダニル、インデニル、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル及びジオキサラニルより選ばれ、各々は、場合により、1〜2つのRaにより置換されていてもよく;
2が、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル及びピリダジニルより選ばれるヘテロアリール、及びモルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、ピペリジニル及びピペラジニルより選ばれるヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、Rbにより置換されていてもよく;
a及びRbの各々が、独立して、C1-5アルキル、アリールオキシ、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C2-7アルコキシカルボニル、C1-5アシルオキシ、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-5アルキル、C1-5アシル又はC2-7アルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記Ra及びRbのいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
各R3が、C1-5アルキル、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-3アルキルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記R3のいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよい、
直前に記載した式(I)の化合物。
【0022】
第5の態様においては、以下のものが提供される:
tが、0又は1であり;
1が、C4アルキル、アミノ、C5-6シクロアルキル、インダニル、インデニル、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、ピリジニル、テトラヒドロフラニル及びピペリジニルより選ばれ、各々は、場合により、1〜2つのRaにより置換されていてもよく;
2が、モルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、ピペリジニル及びピペラジニルより選ばれ、各々が、場合により、Rbにより置換されていてもよく;
a及びRbの各々が、独立して、C1-5アルキル、C1-5アルコキシ、C4-6アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及びアミノより選ばれ、上記Ra及びRbのいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
各R3が、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及びアミノより選ばれ、上記R3のいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよい、
直前に記載した式(I)の化合物。
【0023】
第6の態様においては、以下のものが提供される:
nが、1又は2であり;
mが、0であり;
1が、アミノ、シクロヘキシル、インダニル、インデニル、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、ピリジニル、テトラヒドロフラニル及びピペリジニルより選ばれ、各々は、場合により、1〜2つのRaにより置換されていてもよい、
直前に記載した式(I)の化合物。
第7の態様においては、以下のものが提供される:
a及びRbの各々が、独立して、メチル、メトキシ、tert−ブトキシカルボニル、フッ素、トリフルオロメチル及びアミノより選ばれ;及び
各R3が、メチル、メトキシ、フッ素、トリフルオロメチル及びアミノより選ばれる、
直前に記載の式(I)の化合物。
第8の態様においては、以下のものが提供される:
1が、t−ブチル、アミノ、シクロヘキシル及びフェニルより選ばれ、フェニルは、場合により、1〜2つのRaにより置換されていてもよく;及び
3が、メチル及びフッ素より選ばれる、
直前に記載の式(I)の化合物。
【0024】
第9の態様においては、以下のものが提供される:
tが、0であり;
mが、0又は1であり;及び
1が、1〜2つのRaにより置換されていてもよいシクロペンチルより選ばれる、
上記第5の態様に記載の式(I)の化合物。
第10の態様においては、以下のものが提供される:
a及びRbの各々が、独立して、メチル、メトキシ、tert−ブトキシカルボニル、フッ素、トリフルオロメチル及びアミノより選ばれる、
直前に記載の式(I)の化合物。
第11の態様においては、以下のものが提供される:
2が、更に、モノ−又はジ−C1-5アルキルアミノにより置換されているモノ−又はジ−C1-5アルキルアミノである、
上記第2の態様に記載の式(I)の化合物。
第12の態様においては、以下のものが提供される:
2が、C1-3アルキルチオ又はC1-3アルコキシより選ばれ、各々が、更に、モノ又はジ−C1-5アルキルアミノにより置換されている、
上記第2の態様に記載の式(I)の化合物。
【0025】
以下のものが式(I)の代表的化合物、又はそれらの医薬的に許容可能な酸及び塩又は異性体である:
【表1】


























【0026】
【表2】








【0027】
【表3】











【0028】
【表4】



【0029】
【表5】






【0030】
【表6】










【0031】
【表7】









【0032】
【表8】




【0033】
【表9】







【0034】
【表10】







【0035】
【表11】










【0036】
【表12】











【0037】
【表13】





【0038】
【表14】







【0039】
【表15】














【0040】
【表16】











【0041】
【表17】












【0042】
【表18】







【0043】
【表19】

【0044】
一般的スキーム及び実施例に提供される方法、及び当該技術分野において知られる方法により製造可能な本発明の化合物、又はそれらの医薬的に許容可能な酸及び塩又は異性体は以下のものである:
【表20】








【0045】
【表21】






【0046】
【表22】





【0047】
【表23】








【0048】
【表24】








【0049】
【表25】



【0050】
【表26】












【0051】
【表27】












【0052】
【表28】





【0053】
【表29】












【0054】
【表30】









【0055】
【表31】






【0056】
【表32】



【0057】
【表33】



【0058】
【表34】









【0059】
【表35】



【0060】
【表36】



【0061】
【表37】




【0062】
【表38】










【0063】
【表39】



【0064】
【表40】












【0065】
【表41】








【0066】
【表42】







【0067】
【表43】












【0068】
【表44】





【0069】
【表45】









【0070】
【表46】







【0071】
【表47】





【0072】
【表48】




【0073】
【表49】






【0074】
【表50】






【0075】
【表51】

【0076】
本発明の好ましい化合物、又はそれらの医薬的に許容可能な酸及び塩又は異性体は以下のものである:
【表52】







【0077】
【表53】








【0078】
【表54】





【0079】
【表55】











【0080】
【表56】



【0081】
【表57】








【0082】
【表58】









【0083】
【表59】













【0084】
【表60】








【0085】
【表61】







【0086】
【表62】






【0087】
【表63】






【0088】
【表64】






【0089】
【表65】






【0090】
【表66】






【0091】
【表67】




【0092】
【表68】






【0093】
【表69】
















【0094】
【表70】
















【0095】
【表71】















【0096】
【表72】

【0097】
本発明の第2の広範な一般的態様においては、以下のものが提供される:
以下の式(II)の化合物、又はそれらの医薬的に許容可能な酸及び塩又は異性体:
【化4】

(式中、Xが、O又はSであり;
z、m及びnが、独立して、0、1又は2であり;
tが、0〜10であり;
Lが、場合によりアルキル又はアルコキシにより置換されていてもよい−CH2−であり;
1が、アミノ、アルキル、C3-7シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、Raにより置換されていてもよく;
2が、モノ−又はジ−アルキルアミノ、アルキルチオ、アルコキシ、C3-7シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、Rbにより置換されていてもよく;
a及びRbの各々が、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アルコキシカルボニル、アシルオキシ、アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及びアミノ又はグアニジノより選ばれ、各々が、場合により、アルキル、アシル又はアルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよく、上記Ra及びRbのいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
各R3が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルールアルキル、アリールオキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アルコキシカルボニル、アシルオキシ、アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、アルキル、アシル又はアルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記R3のいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;及び
4及びR5が、独立して、水素及びC1-3アルキルより選ばれる)。
【0098】
第2の態様においては、以下のものが提供される:
mが、0であり;
nが、0、1又は2であり;
tが、0〜5であり;
Lが、場合によりメチル、エチル又はプロピルにより置換されていてもよい−CH2−であり;
1が、アミノ、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、インダニル、インデニル、フェニルナフチル、チエニル、フラニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、キナゾリニル及びインダゾリルより選ばれるヘテロアリール、及びアジリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサラニル、ピラニル、ピペリジニル及びピペラジニルより選ばれるヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、1〜3つのRaにより置換されていてもよく;
2が、モノ−又はジ−C1-5アルキルアミノ、C1-5アルキルチオ、C1-5アルコキシ、C3-7シクロアルキル、アリール、チエニル、フラニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、キナゾリニル及びインダゾリルより選ばれるヘテロアリール、及びアジリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサラニル、ピラニル、ピペリジニル及びピペラジニルより選ばれるヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、1〜3つのRbにより置換されていてもよく;
a及びRbの各々が、独立して、C1-5アルキル、C2-5アルケニル、C2-5アルキニル、C3-7シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C2-7アルコキシカルボニル、C1-5アシルオキシ、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-5アルキル、C1-5アシル又はC2-7アルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記Raのいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
各R3が、水素、C1-5アルキル、C2-5アルケニル、C2-5アルキニル、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C2-7アルコキシカルボニル、C1-5アシルオキシ、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-5アルキル、C1-5アシル又はC2-7アルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記R3のいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;及び
4及びR5が、独立して、水素及びメチルより選ばれる、
直前に記載された式(II)の化合物。
【0099】
第3の態様においては、以下のものが提供される:
tが、0〜3であり;
Lが、場合によりメチルにより置換されていてもよい−CH2−であり;
1が、C3-6アルキル、アミノ、C3-7シクロアルキル、インダニル、インデニル、フェニル、ナフチル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリニル、キナゾリニル及びインダゾリルより選ばれるヘテロアリール、及びピロリジニル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル及びピペラジニルより選ばれるヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、1〜2つのRaにより置換されていてもよく;
a及びRbの各々が、独立して、C1-5アルキル、アリールオキシ、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C2-7アルコキシカルボニル、C1-5アシルオキシ、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-5アルキル、C1-5アシル又はC2-7アルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記Raのいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
各R3が、C1-5アルキル、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-3アルキルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記R3のいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
4が、水素であり;及び
5が、水素又はメチルである、
直前に記載された式(II)の化合物。
【0100】
第4の態様においては、以下のものが提供される:
1が、C4-6アルキル、アミノ、C5-7シクロアルキル、インダニル、インデニル、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル及びジオキサラニルより選ばれ、各々は、場合により、1〜2つのRaにより置換されていてもよく;
a及びRbの各々が、独立して、C1-5アルキル、アリールオキシ、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C2-7アルコキシカルボニル、C1-5アシルオキシ、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-5アルキル、C1-5アシル又はC2-7アルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記Raのいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
各R3が、C1-5アルキル、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-3アルキルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記R3のいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよい、
直前に記載の式(II)の化合物。
【0101】
第5の態様においては、以下のものが提供される:
tが、0又は1であり;
1が、C4アルキル、アミノ、C5-6シクロアルキル、インダニル、インデニル、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、ピリジニル、テトラヒドロフラニル及びピペリジニルより選ばれ、各々は、場合により、1〜2つのRaにより置換されていてもよく;
各Raが、独立して、C1-5アルキル、C1-5アルコキシ、C4-6アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及びアミノより選ばれ、上記Raのいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
各R3が、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及びアミノより選ばれ、上記R3のいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよい、
直前に記載の式(II)の化合物。
【0102】
第6の態様においては、以下のものが提供される:
Xが、Oであり;
1が、t−ブチル、アミノ、C5-6シクロアルキル、インダニル、インデニル、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、ピリジニル、テトラヒドロフラニル及びピペリジニルより選ばれ、各々が、場合により、1〜2つのRaにより置換されていてもよく;
各Raが、C1-5アルキル、メトキシ、tert−ブトキシカルボニル、フッ素、トリフルオロメチル及びアミノより選ばれ;及び
各R3が、メチル、メトキシ、フッ素、トリフルオロメチル及びアミノより選ばれる、
直前に記載の式(II)の化合物。
【0103】
第7の態様においては、以下のものが提供される:
1が、t−ブチル、アミノ、シクロヘキシル及びフェニルより選ばれ、フェニルが、場合により、1〜2つのRaにより置換されていてもよい、
直前に記載の式(II)の化合物。
第8の態様においては、以下のものが提供される:
Xが、Oであり;
各Raが、メチル、メトキシ、tert−ブトキシカルボニル、フッ素、トリフルオロメチル及びアミノより選ばれ;及び
各R3が、メチル及びフッ素より選ばれる、
第5の態様に記載の式(II)の化合物。
第9の態様においては、以下のものが提供される:
1が、シクロヘキシルである、直前に記載の式(II)の化合物。
第10の態様においては、以下のものが提供される:
2が、更に、モノ−又はジ−C1-5アルキルアミノにより置換されているモノ−又はジ−C1-5アルキルアミノである第2の態様に記載の式(II)の化合物。
第11の態様においては、以下のものが提供される:
2が、C1-3アルキルチオ又はC1-3アルコキシより選ばれ、各々が、更に、モノ−又はジ−C1-5アルキルアミノにより置換されている、直前に記載の式(II)の化合物。
【0104】
一般的スキーム及び本願明細書に記載の実施例により製造可能な本発明の代表的化合物、又はそれらの医薬的に許容可能な酸及び塩又は異性体は以下のものである:
【表73】
















【0105】
【表74】








【0106】
【表75】










【0107】
【表76】

【0108】
本発明に従って、特に重要なものは、抗サイトカイン作用を有する医薬組成物として使用するための上記化合物である。
本発明は、また、サイトカイン介在疾患又は状態の治療及び/又は予防用医薬組成物を製造するための、本願明細書に記載した化合物に関する。
本発明は、また、本願明細書に記載の化合物又は医薬的に許容可能なそれらの誘導体1種又は2種以上を活性成分として、場合により従来の賦形剤及び/又はキャリヤと組み合せて含む医薬製剤に関する。
本願明細書において上述した化合物全てにおいて、命名が構造と一致しない場合には、その化合物は構造により定義されると理解されるべきである。
本発明は、1つ又は2つ以上の不斉炭素原子を含む上記化合物の使用を含み、それは、ラセミ化合物及びラセミ混合物、単一光学異性体、ジアステレオマー混合物及び各ジアステレオマーとして生じ得る。これらの化合物のそのような異性体の全てが本発明に含まれることは明らかである。各立体型炭素(stereogenic carbon)は、R又はS配置、又はそれらの配置の組み合わせにあってもよい。
【0109】
式(I)/(II)の化合物のいくつかは、1より多くの互変異性型で存在し得る。本発明は、そのような互変異性体を使用する方法を含む。
本願明細書において使用する全ての用語は、特に記載のない限り、当該技術分野において知られている通常の意味で理解されるべきである。例えば、“C1-4アルコキシ”は、末端酸素を有するC1-4アルキル、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシである。アルキル、アルケニル及びアルキニル基の全ては、構造的に可能であり及び他に記載のない限り、分枝又は非分枝として理解されるべきである。他のより具体的な定義は以下の通りである:
本願明細書において使用する用語“アロイル”は、“ベンゾイル”又は“ナフトイル”を意味すると理解されるべきである。
用語“炭素環”は、3〜12個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を意味すると理解されるべきである。炭素環は、3〜10個の炭素原子を含む炭化水素環を含む。これらの炭素環は、芳香環又は非芳香環系のいずれかであり得る。非芳香環系は、モノ−又はポリ不飽和であってもよい。好ましい炭素環は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプタニル、シクロヘプテニル、フェニル、インダニル、インデニル、ベンゾシクロブタニル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、ナフチル、デカヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプタニル及びベンゾシクロヘプテニルを含むが、これらに限定される訳ではない。シクロアルキルについての数種の用語、例えば、シクロブタニル及びシクロブチルは、代替可能に使用されるべきである。
【0110】
用語“ヘテロ環”は、安定な非芳香族系4〜8員(しかし、好ましくは5又は6員)の単環又は非芳香族系8〜11員の二環式ヘテロ環基を意味し、それは、飽和であっても不飽和であってもよい。各ヘテロ環は、炭素原子と、窒素、酸素及び硫黄からなる郡より選ばれる1又はそれより多くの、好ましくは1〜4個のヘテロ原子とからなる。ヘテロ環は、環原子に結合し得、それにより、安定な構造が生じうる。特に記載のない限り、ヘテロ環としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:ピロリジニル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルスルホキシド、チオモルホリニルスルホン、ジオキサラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、1−オキソ−λ−4−チオモルホリニル、13−オキサ−11−アザ−トリシクロ[7.3.1.0−2,7]トリデカ−2,4,6−トリエン、テトラヒドロピラニル、2−オキソ−2H−ピラニル、テトラヒドロフラニル、1,3−ジオキソラノン、1,3−ジオキサノン、1,4−ジオキサニル、8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタニル、2−オキサ−5−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、2−チア−5−アザ−ビシクロ「2.2.1」ヘプタニル、ピペリジノニル、テトラヒドロピリミドニル、ペンタメチレンスルフィド、ペンタメチレンスルホキシド、ペンタメチレンスルホン、テトラメチレンスルフィド、テトラメチレンスルホキシド及びテトラメチレンスルホン。
【0111】
用語“ヘテロアリール”は、1〜4個のヘテロ原子、例えばN、O及びSを含む芳香族系5〜8員の単環又は8〜11員の二環を意味すると理解すべきである。特に記載のない限り、そのようなヘテロアリールとしては、以下のものが挙げられる:アジリジニル、チエニル、フラニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、インダゾリル、トリアゾリル、ピラゾロ[3,4−b]ピリミジニル、プリニル、ピロロ[2,3−b]ピリジニル、ピラゾロ[3,4−b]ピリジニル、ツベルシジニル(tubercidinyl)、オキサゾ[4,5−b]ピリジニル及びイミダゾ[4,5−b]ピリジニル。
本願明細書において使用する用語“ヘテロ原子”は、炭素原子以外の原子、例えばO、N、S及びPを意味すると理解すべきである。
全てのアルキル基又は炭素鎖において、1又はそれより多くの炭素原子が、場合により、ヘテロ原子:O、S又はNにより置換されていてもよく、Nが置換されていない場合には、それは、NHであると理解されるべきであり、ヘテロ原子は、分枝又は非分枝炭素鎖内の末端炭素原子又は中間炭素原子のいずれかを置換し得る。そのような基は、本願明細書において上述したように、オキソなどの基により置換されて、定義、例えばアルコキシカルボニル、アシル、アミド及びチオキソを生じ得るが、これらに限定される訳ではない。
【0112】
本願明細書において使用する用語“アリール”は、芳香族系炭素環又は本願明細書において定義されるようなヘテロアリールを意味すると理解すべきである。各アリール又はヘテロアリールは、特に記載のない限り、その部分的に又は完全に水素化された誘導体を含む。例えば、キノリニルは、デカヒドロキノリニル及びテトラヒドロキノリニルを含んでいてもよく、ナフチルは、その水素化誘導体、例えばテトラヒドロナフチルを含んでいてもよい。本願明細書に記載するアリール及びヘテロアリール化合物の部分的又は完全水素化誘導体の他の例は、当該技術分野における当業者に明らかであろう。
上記環基と類似する用語、例えばアリールオキシ又はヘテロアリールアミンは、そのそれぞれの基に結合した上述したようなアリール、ヘテロアリール、ヘテロ環を意味すると理解すべきである。
本願明細書において使用する“窒素”及び“硫黄”は、窒素及び硫黄の酸化型タイプ及び塩基性窒素の第4級タイプを含む。例えば、−S−C1-6アルキル基については、特に記載のない限り、これが、−S(O)−C1-6アルキル及び−S(O)2−C1-6アルキルを含むと理解すべきである。
【0113】
本願明細書に使用する用語“ハロゲン”は、臭素、塩素、フッ素又はヨウ素を意味すると理解すべきであり、好ましくはフッ素である。定義“部分的に又は完全に水素化された”、“部分的に又は完全にフッ素化された”、“1又はそれより多くのハロゲン原子により置換された”は、例えば、1又はそれより多くの炭素原子上のモノ、ジ又はトリハロ誘導体を含む。アルキルについては、非制限的例示は、−CH2CHF2、−CF3などであろう。
本発明の化合物は、当該技術分野における当業者により理解されるであろうとおり、“科学的に安定”であることが意図されるもののみである。例えば、“ダングリング価(dangling valency)”又は“カルバニオン”を有するであろう化合物は、本願明細書に開示される本発明の方法により意図される化合物ではない。
本発明は、式(I)/(II)の化合物の医薬的に許容可能な誘導体を含む。“医薬的に許容可能な誘導体”は、医薬的に許容可能な塩又はエステル、又は患者に投与する際に本発明に有用な化合物を(直接的に又は間接的に)提供可能である他の化合物、又は薬理学的に活性な代謝産物又は薬理学的に活性なそれらの残基を意味する。薬理学的に活性な代謝産物は、酵素的に又は化学的に代謝され得る本発明の化合物を意味すると理解すべきである。これは、例えば、式(I)/(II)のヒドロキシル化された又は酸化された誘導体化合物を含む。
【0114】
医薬的に許容可能な塩は、医薬的に許容可能な無機及び有機酸及び塩基から誘導されるものを含む。適切な酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−硫酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−硫酸及びベンゼンスルホン酸が挙げられる。他の酸、例えばシュウ酸は、それ自体医薬的に許容可能ではないが、化合物及びそれらの医薬的に許容可能な酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の製造に使用することができる。適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属(例えばナトリウム)、アルカリ土類金属(例えばマグネシウム)、アンモニウム及びN−(C1-4アルキル)4+の塩が挙げられる。
また、式(I)/(II)の化合物のプロドラッグの使用も本発明の範囲内にある。プロドラッグとしては、単純な化学的変換の際に改質されて、本発明の化合物を生成する化合物が含まれる。単純な化学的変換としては、加水分解、酸化及び還元が挙げられる。具体的には、プロドラッグを患者に投与する際、プロドラッグは、上記に開示された化合物に変換され得、それにより、所望の薬理学的効果が奏される。
【0115】
使用方法
本発明によれば、式(I)/(II)の化合物をしようする新規方法が提供される。本願明細書に開示される化合物は、細胞からの炎症性サイトカイン生成を効果的にブロックする。サイトカイン生成の抑制は、過剰サイトカイン生成と関連する種々のサイトカイン介在疾患又は状態、例えば、炎症を包含する疾患及び病理的状態を予防及び治療するのに魅力的な手段である。従って、その化合物は、背景のセクションで記載したような、次の状態及び疾患を含む疾患及び状態を治療するのに有用である:
骨関節症、アテローム性動脈硬化症、接触性皮膚炎、骨吸収疾患、再灌流傷害、喘息、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬、対宿主性移植片疾患、全身性エリテマトーデス及びインシュリン依存性糖尿病、関節リウマチ、毒素性ショック症候群、アルツハイマー疾患、毒素性ショック症候群、糖尿病、炎症性大腸炎、急性及び慢性の痛み、並びに、炎症及び心臓血管疾患の症状、ストローク、心筋梗塞、血栓溶解療法のみ及びその後、熱傷、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、外傷の次に生じる多臓器創傷、急性糸球体腎炎、急性炎症成分での皮膚病、急性化膿性髄膜炎又は他の中枢神経系障害、血液透析に関連する症状、ロイコフェリシス、顆粒球輸血関連症候群、及び壊死性腸炎、経皮経管冠動脈形成後の再狭窄を含む合併症、外傷性関節炎、敗血症、閉塞性肺疾患及びうっ血性心不全。本発明の化合物は、また、2002年8月14日付けで出願された仮出願に記載されているように、抗凝固療法又は線溶療法(及びそのような療法と関連する疾患又は状態)に有用である。
【0116】
治療用途のために、化合物は、従来の手段で従来の投与形態で投与することができる。投与ルートとしては、静脈、筋肉、皮下、滑液、注入、舌下、経皮、経口、局所又は吸入が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。好ましい投与態様は、経口及び静脈である。
化合物は、単独で又は抑制剤の安定性を強化するアジュバントと組み合せて投与することができ、ある態様においてそれらを含む医薬組成物の投与を促進し得、妖怪又は分散を強化し得、抑制活性を強化し得、補佐療法(adjunct therapy)などを提供し得、他の活性成分を含むかもしれない。有利には、そのような組み合わせ療法では、従来の治療より投与量が低く、従って、潜在的毒性及び薬剤が単治療として使用された際にもたらされる副作用が避けられる。上記化合物は、従来の治療剤又は他のアジュバントと物理的に組み合せて、単一の医薬組成物とすることができる。この点については、Cappolaら:米国特許出願第09/902,822号、PCT/US 01/21860及び米国仮出願第60/313,527を参照することができ、各々は、参考文献として本願明細書中にそれらの全内容が組み込まれるものとする。有利には、化合物は、その後、単一投与形態と共に投与される。いくつかの態様においては、そのような化合物の組み合わせを含む医薬組成物は、少なくとも5%、より好ましくは少なくとも約20%の式(I)/(II)の化合物又はそれらの組み合わせを含む。本発明の化合物の最適な割合(w/w)は、変動し得、当該技術分野における当業者の知見内にある。あるいはまた、その化合物は、別々に(連続的に又は並行して)投与することができる。別々の投与により、投与計画の柔軟性が高くなる。
【0117】
上述したように、本願明細書に記載した化合物の投与体は、当該技術分野における当業者に知られている、医薬的に許容可能なキャリヤ及びアジュパントを含む。これらのキャリヤ及びアジュバントは、例えば、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク、緩衝物質、水、塩又は電解質及びセルロースベースの物質を含む。好ましい投与形態は、タブレット、カプセル、カプレット、液体、溶液、サスペンション、エマルション、ロゼンジ、シロップ、再構成可能なパウダー(reconstitutable powder)、顆粒、座薬及び経皮貼付を含む。そのような投与形態の製造方法は知られている(例えば、H.C. Ansel and N.G. Popovish, Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 5th ed., Lea and Febiger (1990)参照)。投与レベル及び条件は、当該技術分野において十分認識されており、及び当該技術分野における当業者により特定の患者に適切な利用可能な方法及び技術から選択され得る。いくつかの態様においては、投与レベル範囲は、70kgの患者で約1〜1000mg/1回投与である。1日あたり1回投与で十分であり得るが、1日あたり5回までの投与が可能である。経口投与については、2000mg/日までが必要とされ得る。これに関連しては、米国特許仮出願第60/339,249号が参照され得る。当業者が理解するであろうように、より低い又はより高い投与量が、具体的因子に依存して必要とされ得る。例えば、具体的な投与及び治療計画は、患者の一般的な健康プロフィール、患者の障害又は体内状態の重傷度及び経過、及び医者の判断に依存するであろう。
【0118】
一般的合成方法
本発明は、また、式(I)及び(II)の化合物の製造方法を提供する。本発明の化合物は、一般的方法及び以下に示す実施例及び当該技術分野における当業者に知られる方法により製造することができる。以下のスキームにおいては、特に記載のない限り、以下に示す式中のR1〜R5、L、X、n、m及びtは、上述した本発明の式(I)及び(II)において定義した意味を有するべきである。以下の合成において使用する中間体は、商業的に入手可能であるか又は当該技術分野における当業者に知られる方法により容易に製造可能であるかのいずれかである。反応進行は、従来の方法、例えば薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニターすることができる。中間体及び生成物は、カラムクロマトグラフィー、HPLC又は再結晶化を含む当該技術分野で知られる方法により精製することができる。
式(I)の化合物は、スキームIに記載する方法により製造することができる。
スキームI
【0119】
【化5】

【0120】
上述したように、アリールボロン酸(IIa)は、4−ハロ−3−ニトロアニリン(IIIa)、好ましくは4−フルオロ−3−ニトロアニリンと、銅塩、好ましくは酢酸銅(II)、適切な塩基、例えばトリエチレンアミンの存在下において、溶剤、例えばジクロロメタン中において結合する。好ましくは、その反応において形成される水を除去するための試薬、例えば4オングストロームのモレキュラーシーブが反応混合物中に存在していてもよい。生成物IVaは、アミンVaと、塩基、例えばN,N’−ジイソプロピルエチレンアミンの存在下で、適切な溶剤、例えばDMF中において反応して、VIaを形成する。VIaのニトロ基は、当該技術分野において知られる方法により、例えば、適切な溶剤、THF中で、水素雰囲気下で、触媒、例えば炭素上パラジウムの存在下での攪拌により反応して、VIIを形成する。ベンズイミダゾール−2−オンが、その後、適切な溶剤、例えばTHF中におけるVIIとカルボニル源、例えばカルボニルジイミダゾールとの反応により形成されて、所望のIが得られる。
2がアミンである式(I)の化合物は、スキームIIに記載するように製造することができる。
スキームII
【0121】
【化6】

【0122】
スキームIにおいて記載した手順を用いるIIaとIIIbとの反応により、ジハロベンゼン中間体IVbが得られる(Y及びY’がハロゲンであり、好ましくはフッ素である)。ハロゲンが連続して置換され、最初に、スキームIに記載したようにVとの反応によりVIbを形成し、及び次いで、同一の手段でアミンR’NH2との反応によりVIcを形成する。連続的なニトロ基還元及び2−ベンズイミダゾロン形成(スキームIに記載)により、式(I)(式中、R2は、アミン又は窒素含有ヘテロ環(R’R”N)である)の所望の化合物が得られる。
X=Oを有する式(II)の化合物は、スキームIに記載した手段を用いて、4−ハロ−3−ニトロ−フェノール(IIIc)で中間体IIIaを置換することにより製造することができる。
【0123】
【化7】

【0124】
X=Sを有する式(II)の化合物は、スキームIIIに記載した方法により製造することができる。
スキームIII
【化8】

【0125】
スキームIIIに記載したように、4−ハロ−3−ニトロアニリン(IIIa)は、アミンR1(L)tNH2(V)と、塩基、例えばN,N’−ジイソプロピルエチルアミンの存在下で、適切な溶剤、例えばDMF中において反応して、VIIIを形成する。中間体VIIIは、NaNO2と、水性酸、例えば48はHBF4の存在下で反応して、ジアゾニウム塩を形成し、それは、その後、メルカプタン塩IXと反応して、VIbを形成する。中間体VIbは、次いで還元され、及びスキームIにおいてVIaについて記載したように環化して、X=Sを有する式(II)の所望の化合物を得る。IIのチオエーテル基又はチオエーテル含有中間体の1つを、当該技術分野において知られる方法により、例えばm−クロロペルオキシ安息香酸での処理により酸かして、X=S(O)2を有する式(II)の化合物を提供することができ、又は過酸化水素で処理することにより、X=S(O)を有する式(II)の化合物を得ることができる。
【0126】
合成例
実施例1:1−シクロヘキシルメチル−5−フェニルアミノ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オンの合成
【化9】

【0127】
ジクロロメタン(200.0mL)及びトリエチルアミン(22.3mL、160mmol)中の、4−フルオロ−3−ニトロアニリン(5.00g、32.03mmol)、フェニルボロン酸(7.81g、64.05mmol)、酢酸銅(II)(5.82g、32.03mmol)及び4オングストロームモレキュラーシーブ(5.00g)の混合物を丸底フラスコ中に入れた。得られたサスペンションを、室温で乾燥周囲雰囲気で48時間攪拌した。混合物を珪藻土でろ過し、及び溶剤をロータリ・エバポレータにより除去した。得られた残留物をEtOAc中に再溶解し、シリカゲル上に吸着させ及びフラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)にかけて、4−フルオロ−3−ニトロ−N−フェニルアニリンを橙色固体として得た(5.24g、70.5%収率)。M-,231.
DMF中の4−フルオロ−3−ニトロ−N−フェニルアニリン(0.30g、1.29mmol)、シクロヘキサンメチルアミン(0.50mL、3.88mmol)及びN,N’−ジイソプロピルエチルアミン(0.68、3.88mmol)を、100℃で不活性雰囲気下で17時間攪拌した。反応混合物を、2N HClを含む分液漏斗に移した。水性層をEtOAcで抽出し、及び、組み合わせ有機層を、水、塩水で洗浄し、及びMgSO4で乾燥した。溶液を珪藻土でろ過し、及び溶剤をロータリ・エバポレータにより除去した。得られた暗赤色残留物をフラッシュクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン)にかけて、N1−シクロヘキシルメチル−2−ニトロ−N4−フェニル−ベンゼン−1,4−ジアミンを、紫色固体として得た(0.27g、64.1%収率)。M+,326.
【0128】
THF(500mL)中のN1−シクロヘキシルメチル−2−ニトロ−N4−フェニル−ベンゼン−1,4−ジアミン(0.06g、0.18mmol)に対して、活性炭素上10%パラジウム(60mg)を添加した。反応フラスコを隔壁に備え付け、減圧下に3分間置いた。フラスコを、その後、水素雰囲気下に置き(水素で膨張させたバルーン)、及び反応混合物を16時間攪拌した。パラジウムを珪藻土のプラグによりろ過除去し、及びEtOAcで洗浄した。溶剤をロータリ・エバポレータにより除去した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(30%EtOAc/ヘキサン)にかけ、N1−シクロヘキシルメチル−N4−フェニル−ベンゼン−1,2,4−トリアミンを紫色気泡として得た(0.04g、75.6%収率)。M+,294.
THF(300mL)中のN1−シクロヘキシルメチル−N4−フェニル−ベンゼン−1,2,4−トリアミン(0.04g、0.14mmol)及び1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.07g、0.41mmol)の溶液を室温で16時間攪拌した。溶剤をロータリ・エバポレータにより除去した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(45%EtOAc/ヘキサン)にかけて、表題化合物を白色固体として得た(0.03g、65.0%収率)。M+,322.
【0129】
また、以下の化合物を、上記実施例に記載した手順を用いて製造した:
1−シクロヘキシルメチル−5−(3,5−ジクロロ−フェニルアミノ)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
5−(3−アミノ−4−メチル−フェニルアミノ)−1−シクロヘキシルメチル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−シクロヘキシルメチル−5−(2−フルオロ−フェニルアミノ)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−シクロヘキシルメチル−5−(2−メトキシ-フェニルアミノ)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−シクロヘキシルメチル−5−(3−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−1,3−ジヒドロ-ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−シクロヘキシルメチル−5−(4−フルオロ−フェニルアミノ)−1,3−ジヒドロ-ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−シクロヘキシルメチル−5−o−トリルアミノ−1,3−ジヒドロ-ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−シクロヘキシルメチル−5−(2,4−ジフルオロ-フェニルアミノ)−1,3−ジヒドロ-ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−シクロヘキシルメチル−5−(3−フルオロ−フェニルアミノ)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−シクロヘキシルメチル−5−(3,4−ジフルオロ-フェニルアミノ)−1,3−ジヒドロ-ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−フェニル−5−フェニルアミノ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−シクロヘキシルメチル−6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−5−フェニルアミノ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
【0130】
1−シクロヘキシルメチル−5−フェニルアミノ−6−ピペラジン−1−イル−1,3−ジヒドロ-ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−シクロペンチル−5−(2−フルオロ−フェニルアミノ)−6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−ベンジル−5−フェニルアミノ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
5−フェニルアミノ−1−(1−フェニルエチル)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
5−フェニルアミノ−1−(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
5−フェニルアミノ−1−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
5−フェニルアミノ−1−(ピリジン−3−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
1−(2,6−ジフルオロベンジル)−5−フェニルアミノ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
5−フェニルアミノ−1−(2−フェニルエチル)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
1−(3−メトキシベンジル)−5−フェニルアミノ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
5−フェニルアミノ−1−(2−フェニルエチル)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
5−フェニルアミノ−1−(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
1−tert−ブチル−5−フェニルアミノ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
1−(1−シクロヘキシルエチル)−5−フェニルアミノ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン;
1−シクロペンチル−5−フェニルアミノ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン。
【0131】
実施例2:1−シクロヘキシルメチル−6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−5−フェニルアミノ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オンの合成
【化10】

【0132】
ジクロロメタン(170.0mL)及びトリエチルアミン(12.01mL、43.08mmol)中の、2,4−ジフルオロ−5−ニトロアニリン(3.00g、17.23mmol)(EP0379894 A3参照)、フェニルボロン酸(6.30g、51.69mmol)、酢酸銅(II)(3.13g、17.23mmol)及び4オングストロームのモレキュラーシーブ(3.0g)の混合物を、丸底フラスコに入れた。得られたサスペンションを室温下で乾燥周囲雰囲気で50時間攪拌した。混合物を珪藻土でろ過し、及び溶剤を除去した。更に、フェニルボロン酸(6.30g、51.69mmol)、酢酸銅(II)(3.13g、17.23mmol)、モレキュラーシーブ(3.00g)トリエチルアミン(12.01mL、43.08mmol)及びジクロロメタン(170.00mL)を添加し、及びそのスラリーを12時間攪拌した。混合物を、再び、珪藻土でろ過し、及び溶剤を蒸発させた。得られた残留物を、EtOAc中に再溶解し、シリカ上に吸着させ及びフラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)にかけて、2,4−ジフルオロ−5−ニトロ−N−フェニルアニリンを橙色固体として得た(3.92g、91%収率)。
DMF(40mL)中の、2,4−ジフルオロ−5−ニトロ−N−フェニルアニリン(1.00g、4.00mmol)、シクロヘキサンメチルアミン(0.57mL、4.40mmol)及びN,N’−ジイソプロピルエチルアミン(0.77、4.40mmol)の溶液を、室温で不活性雰囲気下で18.5時間攪拌した。反応混合物を、2N HClを含む分液漏斗に移した。水性層をEtOAcで抽出し、及び組み合わせ有機層を水、塩水で洗浄し、及びMgSO4で乾燥した。溶液を珪藻土でろ過し、及び溶剤を蒸発させた。得られた暗赤色残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン)にかけて、N4−シクロヘキシルメチル−2−フルオロ−5−ニトロ−N1−フェニル−ベンゼン−1,4−ジアミンを、暗赤色固体として得た(0.48g、34.9%収率)。M+,344.
【0133】
DMF(3.0mL)中の、N4−シクロヘキシルメチル−2−フルオロ−5−ニトロ−N1−フェニル−ベンゼン−1,4−ジアミン(0.23g、0.66mmol)、N−メチルピペラジン(0.22mL、1.97mmol)及びN,N’−ジイソプロピルエチルアミン(0.34、1.97mmol)の溶液を、100℃で不活性雰囲気下で16時間攪拌した。反応混合物を、水を含む分液漏斗に移した。水性層をEtOAcで抽出し、及び組み合わせ有機層を水、塩水で洗浄し、及びMgSO4で乾燥した。溶液を珪藻土でろ過し、及び溶剤を蒸発させた。得られた暗赤色残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/CH2Cl2)にかけて、N4−シクロヘキシルー2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−5−ニトロ−N1−フェニル−ベンゼン−1,4−ジアミンを、赤色気泡として得た(0.22g、80.7%収率)。M+,424.
THF(5.00mL)中の、N4−シクロヘキシルメチルー2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−5−ニトロ−N1−フェニル−ベンゼン−1,4−ジアミン(0.22g、0.53mmol)の溶液に対して、活性炭上10%パラジウム(0.22g)を添加した。反応フラスコを隔壁に取り付け、減圧下に3分間置いた。このフラスコを水素雰囲気下に置き(水素で膨張させたバルーン)、及び反応混合物を18時間攪拌させた。パラジウムを珪藻土によりろ過除去し、EtOAcで洗浄した。溶剤をロータリ・エバポレータで除去した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/CH2Cl2)にかけて、N1−シクロヘキシルメチル−5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−N4−フェニル−ベンゼン−1,2,4−トリアミンを得た(0.10g、49.5%収率)。M+,392.
【0134】
THF(3mL)中の、N1−シクロヘキシルメチル−5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−N4−フェニル−ベンゼン−1,2,4−トリアミン(0.10g、0.25mmol)及び1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.12g、0.76mmol)の溶液を、室温で17.5時間攪拌した。溶液を蒸発させ、及び得られた残留物をクロマトグラフィー(FCC、5%MeOH/CH2Cl2)にかけて、表題化合物を白色固体として得た(0.07g、61.6%収率)。M+,420.
以下の化合物を、また、上記実施例に記載の手順を用いて製造した:
1−シクロヘキシルメチル−6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−5−フェニルアミノ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−シクロヘキシルメチル−5−フェニルアミノ−6−ピペラジン−1−イル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−シクロペンチル−5−(2−フルオロ−フェニルアミノ)−6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−シクロヘキシルメチル−5−(2−フルオロ−フェニルアミノ)−6−ピペラジン−1−イル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−シクロヘキシルメチル−6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−5−o−トリルアミノ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−シクロヘキシルメチル−6−[(2−ジメチルアミノ−エチル)−メチル−アミノ]−5−o−トリルアミノ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
1−シクロヘキシルメチル−6−[(3−ジメチルアミノ−プロピル)−メチル−アミノ]−5−o−トリルアミノ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン.
【0135】
実施例3:1−シクロヘキシルメチル−5−フェノキシ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オンの合成
【化11】

【0136】
ジクロロメタン(200mL)及びトリエチルアミン(20.08mL、144.04mmol)中の、4−クロロ−3−ニトロ−フェニル(5.00g、28.81mmol)、フェニルボロン酸(7.03g、57.62mmol)、酢酸銅(II)(5.23g、28.82mmol)及び4オングストロームのモレキュラーシーブ(0.5g)の混合物を、丸底フラスコ中に入れた。得られたサスペンションを、乾燥周囲雰囲気下で室温で4日間攪拌した。混合物を珪藻土でろ過し、及び溶剤を蒸発させた。得られた残留物をEtOAc中に溶解し、シリカゲルに吸着させ、及びフラッシュクロマトグラフィー(2%EtOAc/ヘキサン)にかけて、1−クロロ−2−ニトロ−4−フェノキシ−ベンゼンを黄色油として得た(1.53g、22.0%収率)。
DMF(20.00mL)中の1−クロロ−2−ニトロ−4−フェノキシ−ベンゼン(0.60g、2.58mmol)、(アミノメチル)シクロヘキサン(1.0mL、7.76mmol)及びN,N’−ジイソプロピルエチルアミン(1.36、7.76mmol)の溶液を100℃で不活性雰囲気下で18.5時間攪拌した。反応混合物を、HCl(2N)を含む分液漏斗に移した。水性層をEtOAcで抽出し、及び組み合せられた有機層を水、塩水で洗浄し、及びMgSO4で乾燥した。溶液を珪藻土でろ過し、及び溶剤を蒸発させた。得られた暗赤色残留物をフラッシュクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン)にかけて、シクロヘキシルメチル−(2−ニトロ−4−フェノキシ−フェニル)−アミンを暗赤色固体として得た(0.55g、65.6%収率)。
【0137】
THF(50mL)中のシクロヘキシルメチル−(2−ニトロ−4−フェノキシ−フェニル)−アミン(0.55g、1.69mmol)の溶液に対して、活性炭上10%パラジウム(0.55g)を添加した。反応フラスコを隔壁に取り付け、及び減圧したで3分間置いた。このフラスコを水素雰囲気下に置き(水素で膨張させたバルーン)、及び反応混合物を18時間攪拌した。パラジウムを珪藻土のプラグによりろ過除去し、及びEtOAcで洗浄した。溶剤をロータリ・エバポレータで除去し、N1−シクロヘキシルメチル−4−フェノキシ−ベンゼン−1,2−ジアミン(0.50g、99%収率)を得て、これを更なる精製なしに次工程へ使用した。
THF(30.00mL)中の上記ジアミン(0.50g、1.69mmol)及び1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.82g、5.06mmol)の溶液を室温で17.5時間攪拌した。溶剤を蒸発させ、及び得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(45%EtOAc/ヘキサン)にかけて、表題化合物を無色固体として得た(0.14g、25.6%収率)。
以下の化合物を、また、上記実施例に記載の手順を用いて製造した:
1−ベンジル−5−フェノキシ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン。
【0138】
生物学的特性の評価
p38MAPキナーゼの抑制及びサイトカイン生成物の抑制は次のとおり測定した:
P38MAPキナーゼの抑制
p38MAPキナーゼに対する化合物の結合親和性を測定するために、蛍光結合アッセイを、記載のように使用する(Pargellis,C., Tong,L., Churchill,L., Cirillo,P.F., Gilmore,T., Graham,A.G., Grob,P.M., Hickey,E.R., Moss,N., Pav,S. & Regan,J. Inhibition of p38 MAP kinase by utilizing a novel allosteric binding site. Nature Structural Biology 9, 268-272 (2002))。結合研究は、結合バッファー:20mM Bis−TRISプロパン(pH7.0)、2mM EDTA、0.01%NaN3、及び0.15%n−オクチルグルコシドを用いて製造された水溶液中において行う。p38MAPキナーゼに対するSK&F86002の会合(association)についての動的データは、停止された流量調整器を備えたKintech蛍光検出系において得られる。データは、単純な1工程結合メカニズムについての動的結合を記載する適切な等式と同時に適合する(Morelock,M.M., Pargellis,C.A., Graham,E.T., Lamarre,D. & Jung,G. Time-resolved ligand exchange reactions: kinetic models for competitive inhibitors with recombinant human renin. J. Med. Chem. 38, 1751-1761 (1995))。交換カーブアッセイ(exchange curve assay)を、SLM Aminco Bowmanシリーズ2モデルSQ−340蛍光検出器を用いる、2つの半反応として行う。前(preliminary)平衡は、2つのp38MAPキナーゼ抑制剤の添加のために異なる2つの半反応でセットアップされる。第1の半反応においては、p38MAPキナーゼ及びSK&F86002を、3分間、前インキュベートする。第2の半反応においては、p38MAPキナーゼをBIRB796と共に60分間前インキュベートする。蛍光プローブ、SK&F86002のネット解離(net dissociation)は、第2の半反応についてみられる。両半反応からの生データは、単純な競合的抑制を記載する等式と同時に適合する(Morelock,M.M., Pargellis,C.A., Graham,E.T., Lamarre,D. & Jung,G. Time-resolved ligand exchange reactions: kinetic models for competitive inhibitors with recombinant human renin. J. Med. Chem. 38, 1751-1761 (1995))。BIRB796(化学名:1−(5−t−ブチルー2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[4−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−ナフタレン−1−イル]−尿素)を、記載のように合成した(Cirillo,P., Gilmore,T.A., Hickey,E., Regan,J. & Zhang,L.H. Aromatic heterocyclic compounds as antiinflammatory agents. (WO0043384) 12-9-1999)。
好ましい化合物が評価され、このアッセイにおいてIC50<1μMであり、p38MAPキナーゼの抑制が確認された。
【0139】
THP細胞におけるTNF生成の抑制
サイトカイン生成の抑制は、リポ多糖体刺激THP細胞におけるTNFαの抑制を測定することによりみることができる(例えば、W. Prichett et al., 1995, J. Inflammation, 45, 97参照)。全ての細胞及び試薬を、フェノールレッド及びL−グルタミンを有するRPMI1640で希釈し、追加のL−グルタミン(全量:4mM)、ペニシリン及びストレプトマイシン(50ユニット/1ml)及びウシ胎仔血清(FBS、3%)(GIBCO、全最終濃度)で補った。アッセイを、殺菌条件下で行い;唯一の試験化合物製造は非殺菌であった。初期ストック溶液をDMSO中において製造し、次いで所望の最終アッセイ濃度より2倍高いRPMI1640に希釈した。融合THP.1細胞(2×106細胞/ml、最終濃度;American Type Culture Company, Rockville, MD)を、125μlの試験化合物(2倍濃縮)又はDMSOビヒクル(コントロール、ブランク)を含む96ウエルのポリプロピレン丸底培養プレート(Costar 3790;無菌)に添加した。DMSO濃度は、最終濃度0.2%を越えなかった。細胞混合物を、リポ多糖体で刺激する前に、30分間、37℃で、5%CO2で前インキュベートした(LPS;1μg/ml最終;Siga L−2630、大腸菌抗原型0111.B4;−80℃で内毒素スクリーニングされた蒸留H2O中における1mg/mlとして貯蔵)。ブランク(非刺激)は、H2Oビヒクルを受け;最終インキュベーション容量は250μlであった。上述したように一晩インキュベートした(18〜24時間)。アッセイを、プレートを5分間、室温で、1600rpm(400×g)で遠心分離することにより終了し;上清を清浄な96ウエルのプレートに移し、商業的に入手可能なELISAキット(Biosource #KHC3015, Camarillo, CA)によりヒトTNFαについて分析されるまで80℃で貯蔵した。データを非直線回帰(Hill等式)により分析して、SASソフトウエアシステムを用いて投与応答曲線を得た(SAS institute, Inc., Cary, NC)。計算されたIC50値は、最大TNFα生成において50%低減を生じさせる試験化合物の濃度である。
好ましい化合物は、このアッセイにおいてIC50<1μMを有する。
【0140】
他のサイトカインの抑制
特定のサイトカインについて、末梢血単球細胞、適切な刺激物、及び商業的に入手可能なELISAキットを用いる同様の方法(又は他の検出方法、例えばラジオイムノアッセイ)により、IL−1β、GM−CSF、IL−6及びIL−8は、好ましい化合物について照明することができる(例えば、J.C. Lee et al., 1988, Int. J. Immunopharmacol., 10, 835参照)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容可能な酸及び塩又は異性体:
【化1】


(式中、m及びnが、独立して、0、1又は2であり;
tが、0〜10であり;
Lが、場合により、アルキル又はアルコキシにより置換されていてもよい−CH2−であり;
1が、アミノ、アルキル、C3-7シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、1〜4つのRaにより置換されていてもよく;
2が、モノ−又はジ−アルキルアミノ、アルキルチオ、アルコキシ、C3-7シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、1〜4つのRbにより置換されていてもよく;
a及びRbの各々が、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アルコキシカルボニル、アシルオキシ、アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及びアミノ又はグアニジノより選ばれ、各々が、場合により、アルキル、アシル又はアルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよく、上記Ra及びRbのいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
各R3が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルールアルキル、アリールオキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アルコキシカルボニル、アシルオキシ、アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、アルキル、アシル又はアルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記R3のいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;及び
4及びR5が、独立して、水素及びC1-3アルキルより選ばれる)。
【請求項2】
tが、0〜5であり;
Lが、場合により、メチル、エチル又はプロピルにより置換されていてもよい−CH2−であり;
1が、アミノ、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、インダニル、インデニル、フェニルナフチル、チエニル、フラニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、キナゾリニル及びインダゾリルより選ばれるヘテロアリール、及びアジリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサラニル、ピラニル、ピペリジニル及びピペラジニルより選ばれるヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、1〜3つのRaにより置換されていてもよく;
2が、モノ−又はジ−C1-5アルキルアミノ、C1-5アルキルチオ、C1-5アルコキシ、C3-7シクロアルキル、アリール、チエニル、フラニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、キナゾリニル及びインダゾリルより選ばれるヘテロアリール、及びアジリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサラニル、ピラニル、ピペリジニル及びピペラジニルより選ばれるヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、1〜3つのRbにより置換されていてもよく;
a及びRbの各々が、独立して、C1-5アルキル、C2-5アルケニル、C2-5アルキニル、C3-7シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C2-7アルコキシカルボニル、C1-5アシルオキシ、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-5アルキル、C1-5アシル又はC2-7アルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記Ra及びRbのいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
各R3が、水素、C1-5アルキル、C2-5アルケニル、C2-5アルキニル、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C2-7アルコキシカルボニル、C1-5アシルオキシ、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-5アルキル、C1-5アシル又はC2-7アルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記R3のいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;及び
4及びR5が、独立して、水素及びメチルより選ばれる、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
mが、0又は1であり;
nが、0、1又は2であり;
tが、0〜3であり;
Lが、場合により、メチルにより置換されていてもよい−CH2−であり;
1が、C3-6アルキル、アミノ、C3-7シクロアルキル、インダニル、インデニル、フェニル、ナフチル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリニル、キナゾリニル及びインダゾリルより選ばれるヘテロアリール、及びピロリジニル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル及びピペラジニルより選ばれるヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、1〜2つのRaにより置換されていてもよく;
2が、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル及びピリダジニルより選ばれるヘテロアリール、及びモルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、ピペリジニル及びピペラジニルより選ばれるヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、1〜2つのRbにより置換されていてもよく;
a及びRbの各々が、独立して、C1-5アルキル、アリールオキシ、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C2-7アルコキシカルボニル、C1-5アシルオキシ、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-5アルキル、C1-5アシル又はC2-7アルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記Ra及びRbのいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
各R3が、C1-5アルキル、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-3アルキルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記R3のいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
4が、水素であり;及び
5が、水素又はメチルである、
請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
tが、0〜2であり;
1が、C4-6アルキル、アミノ、C5-7シクロアルキル、インダニル、インデニル、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル及びジオキサラニルより選ばれ、各々は、場合により、1〜2つのRaにより置換されていてもよく;
2が、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル及びピリダジニルより選ばれるヘテロアリール、及びモルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、ピペリジニル及びピペラジニルより選ばれるヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、Rbにより置換されていてもよく;
a及びRbの各々が、独立して、C1-5アルキル、アリールオキシ、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C2-7アルコキシカルボニル、C1-5アシルオキシ、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-5アルキル、C1-5アシル又はC2-7アルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記Ra及びRbのいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
各R3が、C1-5アルキル、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-3アルキルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記R3のいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよい、
請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
tが、0又は1であり;
1が、C4アルキル、アミノ、C5-6シクロアルキル、インダニル、インデニル、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、ピリジニル、テトラヒドロフラニル及びピペリジニルより選ばれ、各々は、場合により、1〜2つのRaにより置換されていてもよく;
2が、モルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、ピペリジニル及びピペラジニルより選ばれ、各々が、場合により、Rbにより置換されていてもよく;
a及びRbの各々が、独立して、C1-5アルキル、C1-5アルコキシ、C4-6アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及びアミノより選ばれ、上記Ra及びRbのいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
各R3が、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及びアミノより選ばれ、上記R3のいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよい、
請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
nが、1又は2であり;
mが、0であり;
1が、アミノ、シクロヘキシル、インダニル、インデニル、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、ピリジニル、テトラヒドロフラニル及びピペリジニルより選ばれ、各々は、場合により、1〜2つのRaにより置換されていてもよい、
請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
a及びRbの各々が、独立して、メチル、メトキシ、tert−ブトキシカルボニル、フッ素、トリフルオロメチル及びアミノより選ばれ;及び
各R3が、メチル、メトキシ、フッ素、トリフルオロメチル及びアミノより選ばれる、
請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
1が、t−ブチル、アミノ、シクロヘキシル及びフェニルより選ばれ、フェニルは、場合により、1〜2つのRaにより置換されていてもよく;及び
3が、メチル及びフッ素より選ばれる、
請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
tが、0であり;
mが、0又は1であり;及び
1が、1〜2つのRaにより置換されていてもよいシクロペンチルより選ばれる、
請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
a及びRbの各々が、独立して、メチル、メトキシ、tert−ブトキシカルボニル、フッ素、トリフルオロメチル及びアミノより選ばれる、
請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
2が、更に、モノ−又はジ−C1-5アルキルアミノにより置換されているモノ−又はジ−C1-5アルキルアミノである、
請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
2が、C1-3アルキルチオ又はC1-3アルコキシより選ばれ、各々が、更に、モノ又はジ−C1-5アルキルアミノにより置換されている、
請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
以下の式(II)の化合物、又はそれらの医薬的に許容可能な酸及び塩又は異性体:
【化2】


(式中、Xが、O又はSであり;
z、m及びnが、独立して、0、1又は2であり;
tが、0〜10であり;
Lが、場合によりアルキル又はアルコキシにより置換されていてもよい−CH2−であり;
1が、アミノ、アルキル、C3-7シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、Raにより置換されていてもよく;
2が、モノ−又はジ−アルキルアミノ、アルキルチオ、アルコキシ、C3-7シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、Rbにより置換されていてもよく;
a及びRbの各々が、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アルコキシカルボニル、アシルオキシ、アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、オキソ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及びアミノ又はグアニジノより選ばれ、各々が、場合により、アルキル、アシル又はアルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよく、上記Ra及びRbのいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
各R3が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルールアルキル、アリールオキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アルコキシカルボニル、アシルオキシ、アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、アルキル、アシル又はアルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記R3のいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;及び
4及びR5が、独立して、水素及びC1-3アルキルより選ばれる)。
【請求項14】
mが、0であり;
nが、0、1又は2であり;
tが、0〜5であり;
Lが、場合によりメチル、エチル又はプロピルにより置換されていてもよい−CH2−であり;
1が、アミノ、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、インダニル、インデニル、フェニルナフチル、チエニル、フラニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、キナゾリニル及びインダゾリルより選ばれるヘテロアリール、及びアジリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサラニル、ピラニル、ピペリジニル及びピペラジニルより選ばれるヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、1〜3つのRaにより置換されていてもよく;
2が、モノ−又はジ−C1-5アルキルアミノ、C1-5アルキルチオ、C1-5アルコキシ、C3-7シクロアルキル、アリール、チエニル、フラニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、キナゾリニル及びインダゾリルより選ばれるヘテロアリール、及びアジリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサラニル、ピラニル、ピペリジニル及びピペラジニルより選ばれるヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、1〜3つのRbにより置換されていてもよく;
a及びRbの各々が、独立して、C1-5アルキル、C2-5アルケニル、C2-5アルキニル、C3-7シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C2-7アルコキシカルボニル、C1-5アシルオキシ、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-5アルキル、C1-5アシル又はC2-7アルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記Raのいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
各R3が、水素、C1-5アルキル、C2-5アルケニル、C2-5アルキニル、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C2-7アルコキシカルボニル、C1-5アシルオキシ、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-5アルキル、C1-5アシル又はC2-7アルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記R3のいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;及び
4及びR5が、独立して、水素及びメチルより選ばれる、
請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
tが、0〜3であり;
Lが、場合によりメチルにより置換されていてもよい−CH2−であり;
1が、C3-6アルキル、アミノ、C3-7シクロアルキル、インダニル、インデニル、フェニル、ナフチル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリニル、キナゾリニル及びインダゾリルより選ばれるヘテロアリール、及びピロリジニル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル及びピペラジニルより選ばれるヘテロ環より選ばれ、各々が、場合により、1〜2つのRaにより置換されていてもよく;
a及びRbの各々が、独立して、C1-5アルキル、アリールオキシ、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C2-7アルコキシカルボニル、C1-5アシルオキシ、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-5アルキル、C1-5アシル又はC2-7アルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記Raのいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
各R3が、C1-5アルキル、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-3アルキルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記R3のいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
4が、水素であり;及び
5が、水素又はメチルである、
請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
1が、C4-6アルキル、アミノ、C5-7シクロアルキル、インダニル、インデニル、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル及びジオキサラニルより選ばれ、各々は、場合により、1〜2つのRaにより置換されていてもよく;
a及びRbの各々が、独立して、C1-5アルキル、アリールオキシ、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C2-7アルコキシカルボニル、C1-5アシルオキシ、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-5アルキル、C1-5アシル又はC2-7アルコキシカルボニルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記Raのいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
各R3が、C1-5アルキル、C1-5アルコキシ、C1-5アルキルチオ、C1-5アシル、C1-5アシルアミノ、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及び場合により、C1-3アルキルによりモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノより選ばれ、上記R3のいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよい、
請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
tが、0又は1であり;
1が、C4アルキル、アミノ、C5-6シクロアルキル、インダニル、インデニル、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、ピリジニル、テトラヒドロフラニル及びピペリジニルより選ばれ、各々は、場合により、1〜2つのRaにより置換されていてもよく;
各Raが、独立して、C1-5アルキル、C1-5アルコキシ、C4-6アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及びアミノより選ばれ、上記Raのいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよく;
各R3が、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ニトリル及びアミノより選ばれ、上記R3のいずれかが、場合により、可能であればハロゲン化されていてもよい、
請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
Xが、Oであり;
1が、t−ブチル、アミノ、C5-6シクロアルキル、インダニル、インデニル、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、ピリジニル、テトラヒドロフラニル及びピペリジニルより選ばれ、各々が、場合により、1〜2つのRaにより置換されていてもよく;
各Raが、C1-5アルキル、メトキシ、tert−ブトキシカルボニル、フッ素、トリフルオロメチル及びアミノより選ばれ;及び
各R3が、メチル、メトキシ、フッ素、トリフルオロメチル及びアミノより選ばれる、
請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
1が、t−ブチル、アミノ、シクロヘキシル及びフェニルより選ばれ、フェニルが、場合により、1〜2つのRaにより置換されていてもよい、
請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
Xが、Oであり;
各Raが、メチル、メトキシ、tert−ブトキシカルボニル、フッ素、トリフルオロメチル及びアミノより選ばれ;及び
各R3が、メチル及びフッ素より選ばれる、
請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
1が、シクロヘキシルである請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
2が、更に、モノ−又はジ−C1-5アルキルアミノにより置換されているモノ−又はジ−C1-5アルキルアミノである請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
2が、C1-3アルキルチオ又はC1-3アルコキシより選ばれ、各々が、更に、モノ−又はジ−C1-5アルキルアミノにより置換されている請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
医薬的に有効用の請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物及び1種又は2種以上の医薬的に許容可能なキャリヤ及び/又はアジュバントを含む医薬組成物。
【請求項25】
以下のものより選ばれる疾患又は状態の治療用医薬組成物を製造するための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物1種又は2種以上の使用:
変形性関節症、アテローム性動脈硬化症、接触性皮膚炎、骨吸収疾患、再灌流傷害、喘息、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬、対宿主性移植片疾患、全身性エリテマトーデス及びインシュリン依存性糖尿病、関節リウマチ、アルツハイマー病、毒素性ショック症候群、糖尿病、炎症性大腸炎、急性及び慢性の痛み、ストローク、心筋梗塞単独又は血栓溶解療法後のもの、熱傷、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、外傷の次に生じる多臓器創傷、急性糸球体腎炎、急性炎症成分での皮膚病、急性化膿性髄膜炎又は他の中枢神経系疾患、血液透析に関連する症候群、ロイコフェリシス、顆粒球輸血に関連する症候群、壊死性全腸炎、経皮経管冠動脈形成後の再狭窄を含む合併症、外傷性関節炎、敗血症、慢性閉塞性肺疾患及びうっ血性心不全。
【請求項26】
請求項1に記載の式(I)の化合物を製造する方法であって、
適切な条件下でのアリールボロン酸(IIa)と4−ハロ−3−ニトロアニリン(IIIa)との結合を、銅塩及び適切な塩基の存在下で、溶剤中において、場合により該反応において形成される水を除去するための試薬を添加して行って、中間体(IVa)を形成すること:
【化3】


(V)とアミン(Va)との反応を、塩基の存在下において、適切な溶剤中において行って、(VIa)を形成すること;
適切な条件下で、(VIa)のニトロ基を、適切な溶剤中において、水素雰囲気下で、触媒の存在下で還元して、(VII)を形成すること;及び
(VII)とカルボニル源試薬との反応を、適切な溶剤、例えばTHF中において行って、式(I)を提供すること、を含む方法。
【化4】


【公表番号】特表2006−503033(P2006−503033A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−536098(P2004−536098)
【出願日】平成15年9月4日(2003.9.4)
【国際出願番号】PCT/US2003/027692
【国際公開番号】WO2004/024699
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【出願人】(500091335)ベーリンガー インゲルハイム ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (55)
【Fターム(参考)】