説明

ベンゾキナゾリン誘導体

副甲状腺ホルモンの遊離を促進するための;カルシウムの消耗または吸収の増進に関連する、または骨における骨形成およびカルシウム沈着の促進が望まれる骨症状の予防または処置のための式(I):


〔式中、−Rは、2個の縮合環−A−Bの基であり、
ここで、Aは、所望により置換されていてよいヘテロアリールまたはアリールであり、そして
Bは、所望によりO、NおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでよい飽和または不飽和4、5、6または7員環であり;
R上の所望の置換基は、オキソ、シアノ、ハロまたはさらに所望により置換されていてよいC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシおよびアミノから成る群から独立して選択される1個以上の基であり;
さらなる所望の置換基は、シアノ、ハロ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシおよびアミノから選択される。〕
の化合物または薬学的に許容されるその塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二環式化合物、特に2−ベンゾキナゾリン誘導体およびその医薬使用に関する。
【発明の概要】
【0002】
従って、本発明は、式(I):
【化1】

式中、−Rは、2個の縮合環−A−Bの基であり、
ここで、Aは、所望により置換されていてよいヘテロアリールまたはアリールであり、そして
Bは、所望によりO、NおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでよい飽和または不飽和4、5、6または7員環であり;
R上の所望の置換基は、オキソ、シアノ、ハロまたはさらに所望により置換されていてよいC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシおよびアミノから成る群から独立して選択される1個以上の基であり;
さらなる所望の置換基は、シアノ、ハロ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシおよびアミノから選択される。〕
の化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0003】
以下の意味は、独立して、集合的に、または任意の組み合わせもしくは下位の組み合わせで好ましい:
(i) Aはフェニルである;
(ii) Aはフェニルであり、そしてBは、フェニルの3位および4位で縮合している;
(iii) Bは5員環である;
(iv) Bは6員環である;
(v) Bは飽和である(非常に好ましい);
(vi) Bは不飽和である;
(vii) Bは1個のヘテロ原子を含む;
(viii) Bは2個のヘテロ原子を含む;
(ix) Bは酸素を含む;
(x) Bは2個の酸素を含み、その各々がヘテロアリールまたはアリール環に直接結合している;または
(xi) Bは飽和であり、ヘテロ原子を含まない;または
(xii) Bは飽和であり、1個のヘテロ原子を含む。
【0004】
疑いを避けるため、上記および下記の用語は、本明細書および特許請求の範囲を通して、以下の意味を有すると理解すべきである:
用語“低級”は、有機ラジカルまたは化合物に言及するとき、分枝していても分枝していなくてもよい、7個を含む7個までの炭素原子を有する化合物またはラジカルを意味する。
【0005】
低級アルキル基は、分枝、非分枝または環状であってよく、1〜7個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を含む。低級アルキルは、例えば:メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、3級ブチルまたは2,2−ジメチルプロピルである。
【0006】
低級アルコキシ基は、分枝していても分枝していなくてもよく、1〜7個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を含む。低級アルコキシは、例えば:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、イソプロポキシ、イソブトキシまたは3級ブトキシである。低級アルコキシは、シクロアルキルオキシおよびシクロアルキル−低級アルキルオキシを含む。
【0007】
低級アルケン、アルケニルまたはアルケンオキシ基は、分枝または非分枝であり、2〜7個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を含み、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む。低級アルケン、低級アルケニルまたは低級アルケニルオキシは、例えばビニル、プロプ−1−エニル、アリル、ブテニル、イソプロペニルまたはイソブテニルおよびそれらのオキシ等価物を含む。
【0008】
低級アルキンまたはアルキニル基は、分枝または非分枝であり、2〜7個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を含み、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含む。低級アルキンまたは低級アルキニルまたは低級アルケニルオキシは、例えばエチニルまたはプロピニルである。
【0009】
本出願において、酸素含有置換基、例えばアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、カルボニルなどは、その硫黄含有相同物、例えばチオアルキル、アルキル−チオアルキル、チオアルケニル、アルケニル−チオアルキル、チオアルキニル、チオカルボニル、スルホン、スルホキシドなどを含む。
【0010】
ハロまたはハロゲンは、クロロ、フルオロ、ブロモまたはヨードである。
アリールは炭素環式アリールまたはビアリールである。
【0011】
炭素環式アリールは、6〜18個の環原子を含む、芳香族性環状炭化水素である。それは、単環式、二環式または三環式、例えばナフチル、フェニル、または1個、2個もしくは3個の置換基で一、二もしくは三置換されているフェニルであり得る。
【0012】
ヘテロ環式アリールまたはヘテロアリールは、5〜18個の環原子を含み、その1個以上が、O、NまたはSから選択されるヘテロ原子である、芳香族性単環式または二環式炭化水素である。好ましくは、1個または2個のヘテロ原子が存在する。ヘテロ環式アリールは、例えば:ピリジル、インドリル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、フラニル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チエニル、オキサジアゾリル、ベンゾイミダゾリルである。ヘテロ環式アリールもまたそのような置換ラジカルを含む。
【0013】
飽和または不飽和4、5、6または7員環は、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルのいずれかである(環AおよびBが共通で有している、式Iにおける環Aの2個の隣接原子を介して結合)。
【0014】
シクロアルキルは、3〜7個の環原子、好ましくは3〜6個の環原子を含む、環状炭化水素である。シクロアルキルは、例えば:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである。シクロアルキルは、所望により置換されていてよい。
【0015】
ヘテロシクロアルキルは、飽和でも不飽和でもよく、1個以上、好ましくは1〜3個のO、NまたはSから選択されるヘテロ原子を含む、単、二または三環式炭化水素である。好ましくは、それは3〜7個の環原子を有する。用語ヘテロシクロアルキルはまた、3−ヒドロキシ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−8−イルのような架橋ヘテロシクロアルキル基も含むことを意図する。
【0016】
環Bの場合の“飽和”は、少なくともAとBの間の縮環(環Aおよび環Bが共通で有し、不飽和結合でも飽和結合でもよい、これらの環原子の間の結合である)に関与していない原子が、互いに単結合により結合していることを意味する。
【0017】
好ましくは、−A−B(および故にR)は、非置換ベンゾチアゾリルおよび非置換ベンゾ[b]チオフェン−2−イル以外であるが、置換ベンゾチアゾリルまたは置換ベンゾ[b]チオフェン(thiophenen)−2−イル(ylm)、とりわけ6−メチル(methods)−ベンゾチアゾール−2−イルのようなC−C−アルコキシ−ベンゾチアゾリルを含み得る上記および下記からの2個の縮合環基である。
【0018】
最も好ましくは、−A−Bは、ジヒドロベンゾジオキシニル、ベンゾジオキソリルおよびジヒドロベンゾフラニル、またはベンゾジオキシニル、インダニル、非置換またはC−C−アルキル−置換2H−ベンゾ[1,4]オキサジニル、非置換または4個までC−C−アルキルで置換された5,6,7,8−テトラヒドロナフタレニルおよびC−C−アルコキシ置換ベンゾチアゾリル、より好ましくは2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−5−イルおよび2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−6−イル、またはベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル、ベンゾフラン−5−イル、インダン−5−イル、4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−7−イル、4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イル、5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルおよび6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イルから選択される。
【0019】
“縮合”は、好ましくは環系が2個の環原子および(飽和または不飽和)結合を共有することを意味する。
【0020】
薬学的に許容される塩は、慣用の酸、例えば鉱酸、例えば塩酸、硫酸またはリン酸、または有機酸、例えば脂肪族または芳香族性カルボン酸またはスルホン酸、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、フマル酸、ヒドロキシルマレイン酸、ピルビン酸、パモ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルファニル酸またはシクロヘキシルスルファミン酸;またアルギニンおよびリシンのようなアミノ酸との酸付加塩を含む。酸性基、例えば遊離カルボキシ基を有する本発明の化合物について、薬学的に許容される塩はまた、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウム塩、ならびにアンモニアまたは適当な有機アミンと形成するアンモニウム塩のような金属またはアンモニウム塩も示す。
【0021】
遊離ヒドロキシル基を含む本発明の化合物は、また薬学的に許容される、生理学的に開裂可能なエステルの形でも存在でき、それ自体本発明の範囲内に包含される。そのような薬学的に許容されるエステルは、好ましくは、遊離ヒドロキシル基を含む対応する本発明の化合物に加溶媒分解によるまたは生理学的条件下での開裂により変換可能であるような、プロドラッグエステル誘導体である。適当な薬学的に許容されるプロドラッグエステルは、カルボン酸、炭酸モノエステルまたはカルバミン酸、有利に所望により置換されていてよい低級アルカン酸またはアリールカルボン酸由来のエステルである。
【0022】
好ましい式(I)の化合物は:
(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル)−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノン;
ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノン;
(2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−5−イル)−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノン
である。
【0023】
本発明はまた:
ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノン;
インダン−5−イル−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノン;
(2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−6−イル)−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノン;
[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−(4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−7−イル)−メタノン;
ベンゾフラン−5−イル−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノン;
[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−(5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−メタノン;
[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−(4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−−6−−イル)−メタノン;および
[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イル)−メタノン;
の名称を有する化合物から成る群から選択される式(I)の化合物、または各々薬学的に許容されるその塩にも関する。
【0024】
本発明の第二の局面により、式(I)の化合物を薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物が提供される。
【0025】
本発明の第三の局面により、副甲状腺ホルモンの遊離を促進するための、式(I)の化合物が提供される。
【0026】
副甲状腺ホルモン(PTH)およびその類似体およびフラグメントでの患者の調節された処置は、骨形成上顕著な同化作用を有し得ることが現在充分に確立されている。故に、本発明の化合物のようなPTH遊離を促進する化合物は、カルシウムの消耗または吸収の増進に関連する、または骨における骨形成およびカルシウム沈着の促進が望まれる骨症状の予防または処置に使用し得る。
【0027】
故に、第四の局面において、本発明は、カルシウムの消耗または吸収の増進に関連する、または骨における骨形成およびカルシウム沈着の促進が望まれる骨症状の予防または処置方法であって、有効量の上記で定義の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容されるおよび開裂可能なエステル、または酸付加塩を、そのような処置を必要とする患者に投与することを含む、方法が含まれる。
【0028】
第五の局面において、本発明は、遊離または塩形の式(I)の化合物の製造方法であって、式IIa:
【化2】

の化合物を酸化する工程を含む、方法を提供する。
任意の標準的酸化工程、例えば適当な反応条件下のジョーンズ試薬を使用し得る。
【0029】
式IIaの化合物は、簡便には、図説の通り、式IIの化合物と適当な有機金属試薬、例えばグリニャール試薬を、無水条件下で反応させることにより、製造する:
【化3】

【0030】
式IIの化合物は、適当な経路で、例えば下記の通り、製造し得る:
【化4】

【0031】
式IVのアニリンは、任意の慣用の経路で、例えば、下記の通り、WO2002102782に記載の通りに製造し得る:
【化5】

【0032】
他の出発物質は、市販されている、当業者に既知の方法に従い合成できるおよび/または実施例に記載の方法によりまたはその方法に準じて製造できる。
【0033】
遊離形の式(I)の化合物は慣用方法で塩形に変換でき、逆も可能である。
【0034】
本発明の化合物は、慣用法で反応混合物から回収し、精製できる。エナンチオマーのような異性体が、慣用法で、例えば分別結晶または対応して不斉に置換された、例えば光学活性出発物質からの不斉合成により得ることができる。
【0035】
第六の局面において、本発明は、カルシウム消耗または吸収の増進に関連する、または骨における骨形成およびカルシウム沈着の促進が望まれる骨症状を予防または処置するための医薬の製造における、式(I)の化合物の使用を含む。
【0036】
第七の局面において、本発明は、同時、別々または連続処置のための、治療的有効量の上記の化合物および:カルシウム、カルシトニンまたはそのアナログまたは類似体、ステロイドホルモン、部分的エストロゲンアゴニストまたはエストロゲン−ゲスターゲン組み合わせ剤、SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)、ビタミンDまたはその類似体またはPTH、PTHフラグメントまたはPTH誘導体から選択される第二医薬物質を含む、組み合わせを提供する。
【0037】
本発明の薬剤は、非限定的例であることを意図する、下記に記載の方法により製造できる:
分析HPLC条件は下記の通りである:
装置および設定:Agilent 110 SystemとG1311A4級ポンプ(quarternary pump)(0.8mlデッド・ボリューム)、G1313Aオートサンプラー(1μl注入量)、G1316Aカラムコンパートメント(35℃)、G1315Aダイオードアレイ検出器(210nm−250nm波長のUV吸収により検出)、G1946A質量分光計とAPCイオン化。
カラム:Waters Symmetry C8、50×2.1mm、3.5μm平均粒径。流速1.0ml/分。
直線勾配:A中5%BからA中95%に2.0分以内。
A:5%アセトニトリルおよび0.1%TFAを含む水;
B:0.1%TFAを含むアセトニトリル。
【0038】
実施例1:(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル)−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノン
【化6】

130mg(0.28mmol)の(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル)−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノールの5mlのアセトン溶液に、126μl(0.33mmol) 2.6M ジョーンズ試薬を滴下する。混合物は暗色になり、反応は、15分間、rtで撹拌後に完了する。真空濃縮(i.V.)後、残渣を酢酸エチルおよび水/重炭酸ナトリウム溶液に分配する。無水硫酸マグネシウムでの有機相の乾燥および溶媒の蒸発により、黄色油状物を得て、それをクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製する。生成物は明黄色固体の形で得られる。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):8.17(d, 1H), 7.83(d, 2H), 7.73(d, 1H), 7.71(dd, 1H), 7.64-7.69(m, 2H), 7.42(d, 2H), 6.93(d, 1H), 4.79(d, 2H), 4.31-4.35(m, 2H), 4.26-4.30(m, 2H), 3.02(hept, 1H), 2.62(t, 1H), 1.32(d, 6H)。
MS:465(M+1)
【0039】
出発物質の製造:
【化7】

【0040】
A) 4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−カルボン酸エチルエステル
2g(6.8mmol)(2−アミノ−5−プロパルギルオキシ−フェニル)−(4−イソプロピル−フェニル)−メタノンおよび1.6g酢酸アンモニウムの混合物に、7ml水および1.4g(6.8mmol)グリオキシル酸エチル(トルエン中50%)を添加する。空気の存在下で3日間徹底的に撹拌後、反応混合物を水およびCHClで抽出する。有機層をMgSOで乾燥させ、蒸発させる。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)による精製により、4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−カルボン酸エチルエステルを得る。
1H-NMR(300 MHz, CDCl3):8.30(d, 1H), 7.83(d, 2H), 7.67(dd, 1H), 7.65(s, 1H), 7.43(d, 2H), 4.79(d, 2H), 4.60(q, 2H), 3.04(hept, 1H), 2.61(t, 1H), 1.50(t, 3H), 1.34(d, 6H)
MS:375(M+1)
【0041】
B) [4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル−]メタノール
1.0g(2.67mmol)の4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−カルボン酸エチルエステルの20ml THF 溶液を、水/氷浴で冷却し、1.6ml 1M リチウムアルミニウムハイドライド溶液で処理する。添加完了後、反応混合物を、それを飽和塩化アンモニウム/酢酸エチル溶液に注ぐことによりクエンチする。抽出および濃縮i.V.により、生成物を黄色油状物の形で得る。粗物質を以下の酸化工程に直接使用する。
【0042】
C) 4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−カルボアルデヒド
3.9g(11.7mmol)の工程Aで製造したアルコールの40ml ジクロロメタン溶液を、rtで1.1当量デス・マーチン試薬で酸化する。3時間撹拌後、混合物を濾過する。酢酸エチル、水およびチオ硫酸ナトリウム溶液への分配により、有機相濃縮後、粗アルデヒドを得る。これを、酢酸エチル/ヘキサンの混合物からの再結晶により精製して、黄色−褐色固体を得る。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):10.29(s, 1H), 8.25(d, 1H), 7.82(d, 2H), 7.67-7.72(m, 2H), 7.45(d, 2H), 4.80(d, 2H), 3.04(hept., 1H), 2.62(t, 1H), 1.33(d, 6H)
【0043】
D) (2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル)−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノール
48mg(2.0mmol)マグネシウム屑の2ml THF中の懸濁液を、43mg(2.0mmol)6−ブロモ−1,4−ベンゾジオキサンの2ml THFA溶液で処理する。反応混合物をさらに20分間、60℃で撹拌し、室温に冷却し、次いで冷却した(5℃)の495mg(1.5mmol)の4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−カルボアルデヒド(6ml THF中)溶液に添加する。添加完了後、撹拌を、1時間、室温で続ける。混合物を20mlの飽和塩化アンモニウム溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール)で精製して、アルコールを明黄色固体の形で得る。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):8.02(d, 1H), 7.73(d, 2H), 7.56-7.61(m, 2H), 7.41(d, 2H), 7.06-7.11(m, 2H), 6.81(d, 1H), 5.94(d, 1H), 5.15(d, 1H), 4.73(d, 2H), 4.21(s, 4H), 3.03(hept, 1H), 2.58(t, 1H), 1.33(d, 6H)。MS:467(M+1)
【0044】
以下の実施例の化合物を、類似の方法で、適当な出発物質を使用して製造する:
実施例2:ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノン
【化8】

1H-NMR(400 MHz, CDCl3):8.17(d, 1H), 7.83(d, 2H), 7.76(dd, 1H), 7.65-7.69(m, 3H), 7.42(d, 2H), 6.87(d, 1H), 6.06(s, 2H), 4.79(d, 2H), 3.02(hept, 1H), 2.62(t, 1H), 1.32(d, 6H)。MS:451(M+1)
【0045】
実施例3:(2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−5−イル)−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノン
【化9】

1H-NMR(400 MHz, CDCl3):8.17(d, 1H), 8.05(s, 1H), 7.99(d, 1H), 7.83(d, 2H), 7.63-7.69(m, 2H), 7.42(d, 2H), 6.81(d, 1H), 4.79(d, 2H), 4.67(t, 2H), 3.26(t, 2H), 3.02(hept, 1H), 2.62(br t, 1H), 1.32(d, 6H)。MS:449(M+1)
【0046】
実施例4:ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノン
【化10】

1H-NMR(400 MHz, CDCl3):8.15-8.19(m, 1H), 7.82(td, 2H), 7.64-7.73(m, 3H), 7.49(d, 1H), 7.43(d, 2H), 6.68(d, 1H), 5.90(m, 2H), 4.79(d, 2H), 3.03(hept, 1H), 2.62(t, 1H), 1.33(d, 6H)。
MS:463(M+1)
【0047】
グリニャール反応に使用した6−ブロモ−ベンズ[1,4]ジオキシンを、文献法に従い製造する(C. Kashima, A. Tomolake, J. Org. Chem. 1987, 52, 5616)。
【0048】
実施例5:インダン−5−イル−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノン
【化11】

1H-NMR(400 MHz, CDCl3):8.18(d, 1H), 7.98(s, 1H), 7.92(d, 1H), 7.83(d, 2H), 7.64-7.70(m, 2H), 7.42(d, 2H), 7.31(d, 1H), 4.79(d, 2H), 2.92-3.07(m, 5H), 2.62(t, 1H), 2.12(quint, 2H), 1.32(d, 6H)。MS:447(M+1)
【0049】
実施例6:(2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−6−イル)−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノン
【化12】

1H-NMR(400 MHz, CDCl3):8.17(d, 1H), 7.83(d, 2H), 7.68(td, 2H), 7.65(d, 1H), 7.55(d, 1H), 7.42(d, 2H), 7.29(d, 1H), 4.79(d, 2H), 4.63(t, 2H), 3.28(t, 2H), 3.02(hept, 1H), 2.62(t, 1H), 1.32(d, 6H)。MS:449(M+1)
【0050】
実施例7:[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−(4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−7−イル)−メタノン
【化13】

1H-NMR(400 MHz, CDCl3):8.16(d, 1H), 7.83(d, 2H), 7.73(dd, 1H), 7.61-7.67(m, 2H), 7.58(d, 1H), 7.41(d, 2H), 6.63(d, 1H), 4.78(d, 2H), 4.24(br t, 2H), 3.42(br t, 2H), 3.01(m, 4H), 2.61(t, 1H), 1.32(d, 6H)。MS:478(M+1)
【0051】
実施例8:ベンゾフラン−5−イル−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノン
【化14】

1H-NMR(400 MHz, CDCl3):8.44(s, 1H), 8.18(t, 2H), 7.85(d, 2H), 7.65-7.72(m, 3H), 7.58(d, 1H), 7.42(d, 2H), 6.84(br s, 1H), 4.80(d, 2H), 4.24(br t, 2H), 3.02(m, 1H), 2.62(t, 1H), 1.32(d, 6H)。MS:447(M+1)
【0052】
実施例9:[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−(5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−メタノン
【化15】

1H-NMR(400 MHz, CDCl3):8.16-8.21(m, 2H), 7.81-7.87(m, 3H), 7.64-7.70(m, 2H), 7.37-7.44(m, 3H), 4.80(d, 2H), 3.02(hept, 1H), 2.61(t, 1H), 1.71(s, 4H), 1.32(d, 6H), 1.30(s. 6H), 1.29(s, 6H)、MS:517(M+1)
【0053】
実施例10:[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−(4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イル)−メタノン
【化16】

1H-NMR(400 MHz, CDCl3):8.17(d, 1H), 7.83(d, 2H), 7.61-7.69(m, 2H), 7.58-7.61(m, 1H), 7.41(d, 2H), 7.35-7.41(m, 1H), 6.77(d, 1H), 4.79(d, 2H), 4.37(t, 2H), 3.28(t, 2H), 3.02(hept, 1H), 2.94(s, 3H), 2.61(br t, 1H), 1.32(d, 6H)。MS:478(M+1)
【0054】
実施例11:[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イル)−メタノン
【化17】

アルゴン雰囲気下、400mg(1.64mmol)2−ブロモ−6−メトキシ−ベンゾチアゾールの2ml 10%ジオキサン/THF溶液を、−75℃に冷却し、1.6ml(1.76mmol)のsec.BuLi LiCl複合体(THF中1.1M;Chemetall, Frankfurt)で処理する。得られた混合物を数分間、低温で撹拌後、350mg(1.06mmol)4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−カルボアルデヒド(実施例1C参照)の5mlのTHF溶液を、−75℃で滴下する。撹拌を同じ温度で5時間続ける。水および酢酸エチルへの分配、続くクロマトグラフィー精製(ヘキサン/酢酸エチル)により、直接ケトン生成物を得る。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):8.30(d, 1H), 8.17(d, 1H), 7.90(d, 2H), 7.68-7.74(m, 2H), 7.47(d, 2H), 7.42(d, 1H), 7.18(dd, 1H), 4.81(d, 2H), 3.93(s, 3H), 3.05(hept, 1H), 2.63(t, 1H), 1.35(d, 6H)。MS:494(M+1)
【0055】
出発物質2−ブロモ−6−メトキシ−ベンゾチアゾールを、市販の2−アミノ−6−メトキシ−ベンゾチアゾールの、文献法に従うPEGの助けを借りたサンドマイヤー反応を使用して製造する(N. Suzuki et al., Chemistry Express 1992, 7, 717)。
【0056】
実施例12:3−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−カルボニル]−フルオレン−9−オン
A. 2−ブロモ(bormo)−フルオレン−9−オンの合成
【化18】

15.0g(61.2mmol)2−ブロモ−フルオレンの65ml ピリジン溶液を、1.5ml(1.2mmol)の水酸化テトラブチルアンモニウム(メタノール中0.8M溶液)で処理する。空気を、混合物を通して60時間バブリングする。形成した黄色固体を酢酸エチルに取り込み、水で抽出する。エタノールからの再結晶により、純粋標準生成物を得る。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):7.76(d, 1H), 7.66(dd, 1H), 7.61(dd, 1H), 7.49-7.52(m, 2H), 7.39(br d, 1H), 7.30-7.35(m, 1H)。
【0057】
B. 2−ブロモ−9−トリメチルシラニルオキシ−9H−フルオレン−9−カルボニトリル
【化19】

工程Aで得たケトン(2.59g;10.0mmol)を15mlアセトニトリルに溶解し、触媒量(185mg;2.0mmol)のセシウムフルオライドで処理する。5mlアセトニトリルで希釈した2.0ml トリメチルシリルシアニド(15.0mmol)を、アルゴン雰囲気下滴下する。黄色溶液が形成され、それがゆっくり褐色に変わる。薄層クロマトグラフィーが添加の完了を示した後、混合物を水および酢酸エチルに分配し、塩水で洗浄し、真空で濃縮する。得られた褐色固体をさらに精製せずに使用する。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):7.85(s, 1H), 7.72(d, 1H), 7.61(t, 2H), 7.45-7.53(m, 2H), 7.41(t, 1H), -0.14(s, 9H)。
【0058】
C. 3−{ヒドロキシ−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メチル}−9−トリメチルシラニルオキシ−9H−フルオレン−9−カルボニトリル
【化20】

工程Bで製造したブロマイド(358mg;1.00mmol)を3ml THFに溶解し、−15℃に冷却し、0.91ml(1.00mmol)イソプロピルマグネシウムクロライド溶液(Chemetall;THF中1.1M溶液)で処理する。撹拌を、一晩、室温まで温めながら続ける。−80℃に再冷したら、317mg(1.00mmol)4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−カルボアルデヒド(工程1C)の3ml THF溶液を添加する。所望の2級アルコールが、添加完了後数分以内に形成される。混合物を飽和塩化アンモニウム溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、塩水で洗浄し、真空で濃縮する。フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)による精製により、生成物を粘性黄色固体として得る。
【0059】
D. 3−{ヒドロキシ−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メチル−}−フルオレン−9−オン
【化21】

上記工程Cの生成物(115mg;0.189mmol)を5ml THFに溶解し、シリカゲル(1.5mmol/g)に吸着させた250mg(0.38mmol)テトラブチルアンモニウムフルオライドで処理する。2時間撹拌後、反応が完了する。混合物を濾過し、濾液を水/酢酸エチル混合物に取り込む。有機層を分離し、塩水で洗浄し、真空で濃縮する。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により、生成物を黄色固体の形で得る。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):8.04(d, 1H), 7.89(s, 1H), 7.81(d, 1H), 7.72(dd, 2H), 7.62(s, 1H), 7.59(d, 2H), 7.48(d, 2H), 7.45(d, 1H), 7.41(d, 2H), 7.22-7.28(m, 1H below CHCl3 signal), 6.04(d, 1H), 5.39(d, 1H), 4.74(br s, 2H), 3.02(hept, 1H), 2.56-2.59(m, 1H), 1.33(d, 6H)。MS:511(M+1)
【0060】
E. 3−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−カルボニル−フルオレン−9−オン
【化22】

工程Dで製造したアルコールを、実施例1に記載の通りジョーンズ試薬で酸化し、実施例12の表題化合物を得る。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):8.44(dd, 1H), 8.42(s, 1H), 8.20(d, 1H), 7.85(d, 2H), 7.61-7.75(m, 4H), 7.65(d, 1H), 7.56(t, 1H), 7.43(d, 2H), 7.39(t, 1H), 4.81(d, 2H), 3.03(hept, 1H), 2.63(t, 1H), 1.32(d, 6H)。MS:509(M+1)
【0061】
実施例12:細胞外カルシウムで刺激した細胞内カルシウム過渡(transients)の阻害:
以下に詳述する試験系において、以下の範囲のIC50値が見られる:
【表1】

【0062】
遊離または薬学的に許容される酸付加塩形の、上記で定義の本発明の、例えば、式(I)の、特に例示の薬剤は、薬理学的活性を有し、下記の疾患および状態の処置における、例えば治療のための、医薬として有用である。
【0063】
細胞内遊離カルシウムに関するアッセイ:
PcaRでの拮抗作用を決定するための方法は、細胞外カルシウムで刺激された細胞内カルシウム過渡の阻害の測定から成る。
ヒトPcaRで安定にトランスフェクトされたCCL39線維芽細胞を、40’000細胞/ウェルで、96ウェルViewplatesに播種し、24時間インキュベートする。次いで、培地を除去し、2μM Fluo−3 AM(Molecular Probes, Leiden, The Netherlands)を含む新鮮培地に代える。日課の実験において、細胞を37℃、5%COで1時間インキュベートする。その後、プレートを2回mHBSで洗浄し、ウェルを試験化合物含有100μl mHBSで再充填する。インキュベーションを室温で15分間続ける。細胞内遊離カルシウムの変化を記録するために、プレートを蛍光−イメージングプレート読取装置(Molecular Devices, Sunnyvale, CA, USA)に移す。各0.4秒の5回測定から成るベースライン(レーザー励起488nm)を記録する。次いで、細胞をカルシウム(最終2.5mM)で刺激し、蛍光変化を3分間にわたり記録する。
上記アッセイで測定したとき、本発明の薬剤は、典型的に約1000nM〜約1nM以下、好ましくは0.2〜10nMの範囲のIC50を有する。
【0064】
副甲状腺ホルモン(PTH)およびその類似体およびフラグメントでの患者の調節された処置は、骨形成上顕著な同化作用を有し得ることが現在充分に確立されている。故に本発明の化合物のようなPTH遊離を促進する化合物は、カルシウム消耗または吸収の増進に関連する、または骨における骨形成およびカルシウム沈着の促進が望まれる骨症状の予防または処置に使用し得る。
【0065】
故にさらなる局面において、本発明は、カルシウム消耗または吸収の増進に関連する、または骨における骨形成およびカルシウム沈着の促進が望まれる骨症状の予防または処置方法であって、有効量の本発明の化合物を、そのような処置を必要とする患者に投与することを含む、方法を含む。
【0066】
さらに別の局面において、本発明は、本発明の薬剤を薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体と共に含む、カルシウム消耗または吸収の増進に関連する、または骨における骨形成およびカルシウム沈着の促進が望まれる骨症状を予防または処置するための医薬組成物を含む。
【0067】
本発明の薬剤は、従って、全てのカルシウム消耗または吸収の増進に関連する、または骨における骨形成およびカルシウム沈着の促進が望まれる骨症状、例えば種々の原因の骨粗鬆症(例えば若年性、閉経期、閉経後、外傷後、加齢によるまたはコルチコステロイド治療または不動による)、骨折、骨格脱ミネラル化に関連する急性および慢性を含む、オステオパシー、骨軟化症、歯周骨損失または関節炎または骨関節症による骨損失の予防または処置、または副甲状腺機能低下症の処置のために、指示される。
【0068】
予防または処置されるはずであるさらなる疾患および障害は、例えば発作、卒中、頭部外傷、脊髄傷害、心停止または新生児窮迫のような低酸素症誘発神経細胞損傷、癲癇、アルツハイマー病、ハンチントン病およびパーキンソン病のような神経変性疾患、認知症、筋肉緊張、鬱病、不安、パニック障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害、統合失調症、向精神薬悪性症候群、鬱血性心不全;高血圧;下痢、および痙性結腸のような腸運動性障害および、例えば組織治癒、例えば熱傷、潰瘍化および創傷における、皮膚科学的障害を含む。
【0069】
本発明の薬剤は、特に種々の原因の骨粗鬆症の予防または処置に指示される。
【0070】
上記の全ての使用に関して、指示される1日量は約0.03〜約300mg、好ましくは0.03〜30、より好ましくは0.1〜10mgの本発明の化合物である。本発明の薬剤は1日2回または週に2回まで投与してよい。
【0071】
本発明の薬剤は、遊離形または薬学的に許容される塩形態で投与してよい。このような塩は慣用法で製造でき、遊離化合物と同程度の活性を示す。本発明はまた、遊離塩基形または薬学的に許容される塩形の本発明の薬剤を、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物も提供する。このような組成物は、慣用法で製剤できる。本発明の薬剤は、慣用の経路で、例えば非経腸的に、例えば注射可能溶液、マイクロエマルジョンまたは懸濁液の形で、経腸的に、例えば経口で、例えば錠剤またはカプセル剤の形で、または経皮、経鼻または坐薬形で投与し得る。
【0072】
本発明のさらなる態様によって、本発明の薬剤は、他の治療、例えば、骨粗鬆症治療におけるような、例えば骨吸収阻害剤を用いる治療、特にカルシウム、カルシトニンまたはそのアナログまたは類似体、例えばサケ、ウナギまたはヒトカルシトニン、ステロイドホルモン、例えばエストロゲン、部分的エストロゲンアゴニストまたはエストロゲン−ゲスターゲン組み合わせ剤、SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)、例えばラロキシフェン、ラソフォキシフェン、バゼドキシフェン、アルゾキシフェン、FC1271、チボロン(Livial(登録商標))、RANKL抗体、例えばデノスマブ、カテプシンK阻害剤、ビタミンDまたはその類似体またはPTH、PTHフラグメントまたはPTH誘導体、例えばPTH(1−84)、PTH(1−34)、PTH(1−36)、PTH(1−38)、PTH(1−31)NHまたはPTS893を用いる治療の補助剤またはアジュバントとして用い得る。
【0073】
本発明の薬剤を、骨吸収阻害治療と組み合わせて、例えばアジュバントとして使用するとき、併用投与する阻害剤の投与量は、もちろん、用いる阻害剤のタイプ、例えばそれがステロイドであるのか、カルシトニンであるのか、処置する状態、それが治癒的治療であるのか、または予防的治療であるのか、レジメンなどによって変化する。
【0074】
前記により、本発明は、さらに:
a) 医薬として使用するための本発明の薬剤または薬学的に許容されるその塩;
b) 処置を必要とする対象における上記の障害および疾患を予防または処置する方法であって、該対象に有効量の本発明の薬剤または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む、方法;
c) 例えば上記b)において使用するための医薬組成物の製造において使用するための、本発明の薬剤または薬学的に許容されるその塩
を提供する。
【0075】
本発明のさらなる態様において、本発明の薬剤は、他の治療、例えば、骨粗鬆症治療におけるような、例えば骨吸収阻害剤を用いる治療、特にカルシウム、カルシトニンまたはそのアナログまたは類似体、例えばサケ、ウナギまたはヒトカルシトニン、ステロイドホルモン、例えばエストロゲン、部分的エストロゲンアゴニストまたはエストロゲン−ゲスターゲン組み合わせ剤、SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)、例えばラロキシフェン、ラソフォキシフェン、TSE−424、FC1271、チボロン(Livial(登録商標))、ビタミンDまたはその類似体またはPTH、PTHフラグメントまたはPTH誘導体、例えばPTH(1−84)、PTH(1−34)、PTH(1−36)、PTH(1−38)、PTH(1−31)NHまたはPTS893を用いる治療の補助剤またはアジュバントとして用い得る。
【0076】
本発明の薬剤を、骨吸収阻害治療と組み合わせて、例えばアジュバントとして使用するとき、併用投与する阻害剤の投与量は、もちろん、用いる阻害剤のタイプ、例えばそれがステロイドであるのか、カルシトニンであるのか、処置する状態、それが治癒的治療であるのか、または予防的治療であるのか、レジメンなどによって変化する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

〔式中、−Rは、2個の縮合環−A−Bの基であり、
ここで、Aは、所望により置換されていてよいヘテロアリールまたはアリールであり、そして
Bは、所望によりO、NおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでよい飽和または不飽和4、5、6または7員環であり;
R上の所望の置換基は、オキソ、シアノ、ハロまたはさらに所望により置換されていてよいC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、アミノから成る群から独立して選択される1個以上の基であり;
さらなる所望の置換基は、シアノ、ハロ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、アミノから選択される。〕
の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
Aがフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Bが5員環である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Aがフェニルであり、そしてBがフェニルの3位および4位で縮合している、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
Bが2個の酸素を含み、その各々がヘテロアリールまたはアリール環に直接結合している、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
Rがジヒドロベンゾジオキシニル、ベンゾジオキソリルおよびジヒドロベンゾフラニルから選択される、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
Rがベンゾジオキシニル、インダニル、非置換またはC−C−アルキル−置換2H−ベンゾ[1,4]オキサジニル、非置換または4個までC−C−アルキルで置換された5,6,7,8−テトラヒドロナフタレニルおよびC−C−アルコキシ置換ベンゾチアゾリルである、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項8】
次のものから選択される、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物:
(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル)−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノン;
ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノン;
(2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−5−イル)−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノン。
【請求項9】
ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノン;
インダン−5−イル−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノン;
(2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−6−イル)−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノン;
[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−(4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−7−イル)−メタノン;
ベンゾフラン−5−イル−[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−メタノン;
[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−(5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−メタノン;
[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−(4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−−6−−イル)−メタノン;および
[4−(4−イソプロピル−フェニル)−6−プロパルギルオキシ−キナゾリン−2−イル]−(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イル)−メタノン;
から成る群から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物、または各々の薬学的に許容されるその塩。
(請求項9)
式(I)の化合物を薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物。
【請求項10】
副甲状腺ホルモンの遊離を促進するための、請求項1に記載の式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項11】
カルシウム消耗または吸収の増進に関連する、または骨における骨形成およびカルシウム沈着の促進が望まれる骨症状を予防または処置する方法であって、有効量の請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容されるおよび開裂可能なエステル、または酸付加塩を、そのような処置を必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の遊離または塩形の式(I)の化合物の製造方法であって、式IIa:
【化2】

の化合物を、適当な酸化剤を使用して酸化する工程を含む、方法。
【請求項13】
カルシウム消耗または吸収の増進に関連する、または骨における骨形成およびカルシウム沈着の刺激が望まれる骨症状の予防または処置用医薬の製造における、式(I)の化合物の使用。
【請求項14】
同時、別々または連続処置のための、治療的有効量の請求項1〜8のいずれかに記載の化合物および:カルシウム、カルシトニンまたはそのアナログまたは類似体、ステロイドホルモン、部分的エストロゲンアゴニストまたはエストロゲン−ゲスターゲン組み合わせ剤、SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)、RANKL抗体、カテプシンK阻害剤、ビタミンDまたはその類似体またはPTH、PTHフラグメントまたはPTH誘導体から選択される第二薬剤を含む、組み合わせ。

【公表番号】特表2010−516647(P2010−516647A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545877(P2009−545877)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000415
【国際公開番号】WO2008/089933
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】