説明

ペット動物の飼料リシン吸収を改善するための乳酸菌の使用

本発明は、非病原性のリシン取り込み刺激乳酸菌株;好ましくはラクトバシラス・ロイテリ株ATCC PTA−6127などのラクトバシラス・ロイテリの株の、選択及び使用に関する。例えばペット動物における毛皮−毛及び爪の品質の改善のための、このような株を使用する製品及び方法も、本発明に包含される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非病原性のリシン取り込み刺激乳酸菌株の選択及び使用、並びに例えばペット動物における毛皮及び爪の品質の改善のための、このような株を使用する製品及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1908年に、ロシアの生物学者Eli Metchnikoffは、特定のブルガリア及びロシアの住民の長命が、発酵乳製品の大量消費にあると認めた(1)。これらの食品中の重要な生物は、アシドフィルス菌(Lactobacillus acidophilus)として後に同定された乳酸産生細菌であった(2)。乳酸産生細菌は、乳酸を産生するその能力に因んでそう命名された。しかし、乳酸産生は、この細菌の収集に由来する多くの利点のうちの1つに過ぎない。
【0003】
Metchnikoff及びその他の研究に基づいて、科学者たちは、動物の健康状態及び性能を改善するために、生きた乳酸産生細菌及び酵母をその動物に直接給餌する、プロバイオティクス微生物の概念を展開した。観察された利点は、以下から生じたものであり得る:1)消化管中の付着部位をめぐる競争、2)必須栄養素をめぐる競争、3)抗菌物質の産生、4)有益な細菌の増殖の増大、及び5)免疫系の刺激(3)。
【0004】
いくつかの疾患原因細菌は、小腸の内層を破壊することによって、動物が栄養素を吸収する能力を低下させる(4)。研究により、乳酸産生細菌は小腸に付着し、疾患原因生物が小腸壁に結合するのを防止する物質を産生することが示されている(5)。さらに、有益な細菌の付着は、小腸の吸収表面積を増大させ得、動物によるよりよい栄養素吸収のために酵素活性を増大させ得る(8、6)。
【0005】
健康増進細菌及び疾患原因細菌は共に、増殖のために特定の栄養素を必要とする。乳酸産生細菌は、その他の場合では有害細菌の増殖を支持する可能性があるビタミン、アミノ酸又は他の栄養素を利用できる(7)。
【0006】
直接摂食した微生物培養物の、疾患原因生物を阻害する物質を産生する能力に対して、かなりの研究が焦点を当ててきた。乳酸、酢酸及びギ酸は、腸のpHを低下させて、有害生物に不適切な環境を作り出す(4)。乳酸産生細菌はまた、過酸化水素を分泌し、酸素要求微生物にとって好ましくない条件を生じる(8)。
【0007】
低分子量抗菌物質、例えば、L.reuteriが産生するロイテリン;及びバクテリオシンという2つの群の抗菌物質が同定されている。バクテリオシンは、しばしば遺伝的に関連する細菌の増殖を阻害する、微生物により産生される物質である(4)。バクテリオシンはポリペプチドであり、その阻害特性はプロテアーゼによって破壊されるが、広いスペクトルの抗菌物質であるロイテリンはポリペプチドではなく、その抗菌活性はプロテアーゼにより影響を受けない。
【0008】
研究により、乳酸産生細菌の、大腸菌(E.coli)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及びウェルシュ菌(Clostridium perfingens)を阻害する能力が報告されている(7)。下痢原因生物の減少は、新生仔及び若齢の動物において特に重要である。
【0009】
しかし、コンパニオン動物におけるプロバイオティクスについてはほとんど研究されていない。1つの最近の研究(9)では、イヌにおけるアシドフィルス菌DSM 13241の適用が調査された。この株は、その増殖特徴、病原体に対する抗菌活性及び腸モデルにおける生存率に基づいて選択された。健康なイヌの給餌は、クロストリジウム集団の減少を同時に伴った、排泄物中の回収可能な乳酸桿菌集団の有意な増加を生じた。研究者らは、プロバイオティクスの給餌が、腸の微生物学的状態、及びラクトバシラス(Lactobacillus)菌種を消費した後にヒトにおいて観察される免疫系の刺激を示唆する全身的効果において、ポジティブな変化を生じたと結論付けた(10)。
【0010】
イヌ同様、ネコ、ミンク(Mustela vison)及びブルーフォックス(Alopex lagopus)は、食肉目の哺乳動物に属する。食肉類は、比較的濃縮された非常に消化されやすい食餌に適応しており、胃及び比較的短い単純な腸を特徴とする。ミンクは盲腸を欠き、結腸において非常に限定された細菌活性を有する短い消化管を有する。イヌ及びキツネは、盲腸の容量がほとんどなく、小嚢のない結腸を有するが、いくらかの細菌発酵が、盲腸及び結腸において生じる(11)。
【0011】
タンパク質は、体組織の成長、修復及び維持に必要である。タンパク質は酵素及び抗体の基礎をなす。動物及び鳥類について、多数のタンパク質が、主にα−ケラチンである毛皮、羽毛及び爪を形成するためのエネルギーとして使用される。α−ケラチンは、互いの周りに巻きついて三重ヘリックスを形成する長いα−ヘリックスのポリペプチドからなる。毛皮動物にとっては一般に、硫黄含有アミノ酸は、通常、第一の制限アミノ酸とみなされる(12)。毛皮、羽毛及び爪を形成するタンパク質は、食餌に由来するほかない。食餌は、非必須アミノ酸を生成する窒素を供給するのに充分過剰なアミノ酸と共に、必須アミノ酸の要件を満たすのに充分なアミノ酸を供給しなければならない。食餌中の余分なタンパク質は貯蔵することができず、脂肪に変換されるか、腎臓によって排出されることになる。
【0012】
リシンは必須アミノ酸であり、従ってアミノ基転移によって合成することができない。リシンは、カルニチンを産生することによって脂肪を体にとって使用可能なものにし、体から毒素を除去し、毛皮、羽毛及び骨を構築するのに役立つ。高いレベルは、アルギニンの必要性を増大させる。リシンは、無傷のタンパク質中で非常に不安定である。リシンはグルコースと反応し、この反応は温かさ及び湿気の存在下で加速する。若齢のブタ及び家禽に関する研究により、リシンが成長にとって第一の制限アミノ酸であることが見出されている(例えば、Boisenら、2000;(13、14))。
【0013】
メチオニン及びシステインは栄養アミノ酸であり、必須アミノ酸の中で最も活性である。これらは、カルニチン(脂肪酸の輸送において使用される)、クレアチン、ナイアシン、ポリアミン、及びプリン(尿酸を生成するために使用される)などの重要な分子を生成するために使用される。これらは、毛皮及び羽毛の形成においても使用される。システインはメチオニンから合成でき、従って、非必須に分類される。しかし、システイン及びその酸化生成物シスチンは、総硫黄アミノ酸の必要性の約50%を充足し得、このようにして、メチオニンの必要性を減少させ得る。メチオニンはシステインからは合成できず、従って必須である。メチオニンは、シスチンの非存在下で硫黄アミノ酸の全必要性を満たすことができる。いくつかの研究により、メチオニンがミンクにおける毛髪の成長及び毛皮の品質にとって第一の制限アミノ酸であることが見出されている(15、16、17、18、19、20、21)。
【0014】
ほとんどの家庭のペットにおいて、健康な皮膚及び毛は、動物が全般的に良好な健康状態であることを示す。皮膚及び毛の問題は家庭のペットにおいて一般的であるので、多数の研究が、皮膚及び毛の状態の悪化を修復する食餌を提供し、それによって、以下に記載するように健康な皮膚及び毛の基本的レベルを提供することに向けられてきた。
【0015】
完全でバランスのとれた市販のドッグフードへの亜鉛及びリノール酸の補充が、イヌにおける皮膚及び毛の状態の有意かつ実質的な増強を生じ得ることが、研究により示されている。イヌは、標準的食餌を受けたコントロール群と比較した場合、毛艶及び毛のスケールにおいて有意な改善を示した。このアプローチは、特許EP0987961B1にも記載されている。
【0016】
栄養は、皮膚のバリア機能に影響を与え得る。国際特許出願WO0207531A1は、皮膚の健康状態及び/又は毛の品質を改善又は維持することを意図した飼料組成物の調製のための、抗菌脂肪酸を含む食餌性脂質の使用を開示している。
【0017】
Kerminen−Hakkioによる研究(21)において、ミンクにおけるタンパク質品質の不良により、生皮の長さが平均して4cm減少した。最良の全体的な毛皮の品質は、良好な品質の高レベルタンパク質群で観察された。著者らは、不可欠なアミノ酸の供給の欠乏は、食餌中のタンパク質レベルを増大させることによっては完全には補償できないと結論付けている。
【0018】
いくつかの場合、最適な利用可能な量を確保するには非必須アミノ酸が依然として補充されなければならない。本発明者らは、利用可能なメチオニンは、毛皮及び爪の成長及び品質を改善するために、ネコ及びイヌ用の飼料においてもリシンとバランスをとるべきであることを見出した。飼料由来のリシンをよりよく使用する優れた方法は、単純により多くを給餌するのではなく、その吸収を改善する方法を探すことである。
【0019】
乳酸菌(LAB)を給餌した動物は、一般に栄養素の吸収の改善に起因して、成長が促進されることが知られている。今日の現代的な動物の繁殖において、多数の国が、動物を肥育するためにプロバイオティクス微生物を含む飼料添加物を既に使用している。動物がLABを消費すると、LABは消化管でコロニー形成し、デンプンを消化する酵素(アミラーゼ)、タンパク質を消化する酵素(プロテアーゼ)、脂肪を消化する酵素(リパーゼ)を産生し始める。これらの酵素は、家畜用飼料中の複雑な有機化合物の、低分子化合物への分解に寄与する。動物は、これらの低分子化合物をよりよく使用できる。動物の食欲が改善し、家畜用飼料の変換速度がよりよくなり、産生性能が改善される。動物飼料におけるLABの使用は、病原体に対する免疫防御にも寄与する。LABは、炭水化物を消化管内容のpHを低下させる乳酸に分解し、消化管内容は病原体微生物にとって非常に好ましくない環境になる。
【0020】
本発明者らは驚くべきことに、飼料中又は胃腸管中に存在する種々の株のLABが、アミノ酸、特にリシンの吸収を差次的に助けることができることを見出した。そして、このような差異が測定でき、それによってリシン取り込みを最も改善する乳酸菌の特定の株を選択することが可能になることも見出した。
【0021】
Caco−2細胞系は、両方の栄養素[ペプチド及びアミノ酸(23、24、25、26)]及び医薬製品(27、24)の腸上皮透過性研究(22)に適したモデル系であると証明された。Twaitesによってなされた1996年の研究は、腸Caco−2細胞が塩基性アミノ酸リシンを輸送する能力を記載している(28)。
【0022】
しかし、ペット動物において食餌からのアミノ酸の吸収を促進又は増加させるLactobacillusについての研究はほとんど存在しなかった。
【0023】
4種の異なる細菌(メチロコッカス・カプスラタス(Methylococcus capsulatus)、アルカリゲネス・アシドボランス(Alcaligenes acidovorans)、バシラス・ブレビス(Bacillus brevis)及びバシラス・フィルムス(Bacillus firmus))の規定された混合物並びに炭素及びエネルギー源として天然ガスを使用した持続的細菌発酵によって製造される細菌タンパク質食(BPM)は、新たな高タンパク質飼料成分である。ブルーフォックスをモデル動物として使用して、イヌ用の食餌の成分としてのBPMの知識を拡張するための研究が実施された。動物は全般的に良好な成長を示したが、毛皮の品質の改善の存在を示すデータは存在しなかった(7)。
【0024】
特許WO01/17365A1は、ペットの皮膚及び毛の系を改善及び維持するための方法を記載しており、この方法において、栄養剤はプレバイオティクス又は任意のプロバイオティクス微生物であり得る。その出願人らは、プロバイオティクスとして17の異なる細菌属及びほぼ30のプロバイオティクス微生物の具体例に言及している。バシラス・コアグランス・ラクリス(Bacillus coagulans Lacris)−S株(SANKYO LIFETECH CO.,LTD、日本国、東京都、文京区、本郷)は、記載された唯一の具体的な株であり、好ましい株の選択については何ら言及されておらず、LAB株がリシン取り込みを刺激する能力についても何ら基づくものではない。
【0025】
動物におけるよりよい毛皮及び羽毛のためのプロバイオティクスの使用は当該分野で公知であったものの、種々のプロバイオティクス株が動物(例えば、イヌ又はネコ)の毛皮及び爪の品質を改善するそれらの能力において異なり、またこの能力が動物の腸におけるリシン吸収に対するプロバイオティクス株の影響と相関することは、以前には知られていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
従って、本発明の目的は、動物におけるリシンの吸収を直接促進又は改善するそれらの能力を分析することによってこのようなより適切な株を選択すること、及びこのような選択された株を、例えばイヌ又はネコの毛皮及び爪の品質を改善するために、動物飼料又はサプリメントにおいて使用することである。新たな株ラクトバシラス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ATCC PTA−6127は、毛皮動物においてリシン取り込みを刺激することが示され、この特性は、毛皮及び爪の品質の改善を生じる。
【0027】
他の目的及び利点は、以下の開示及び添付の特許請求の範囲から、より完全に明らかとなろう。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、非病原性のリシン取り込み刺激乳酸菌株の選択及び使用に関し、ペット動物における毛皮及び爪の品質の治療及び予防のための、このような株を使用する製品及び方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】Caco−2腸細胞によるリシンの取り込みに対する、7.0×10cfu/mlの種々のLAB株の影響を示す棒グラフである。使用した株は、ラクトバシラス・ロイテリATCC PTA−6127、ラクトバシラス・ロイテリ1068、ラクトバシラス・ロイテリSD2112及びバシラス・コアグランス・ラクリス−S株である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、非病原性のリシン取り込み刺激乳酸菌株の選択及び使用に関し、ペットにおける毛皮及び爪の品質の治療及び予防のための、このような株を使用する製品及び方法に関する。
【0031】
本発明の1つの目的は、動物におけるリシンの吸収を直接促進又は改善する能力を分析することによって最良の適切な株を選択すること、及びこのような選択された株を、例えばイヌ又はネコの毛皮及び爪の品質を改善するために、動物飼料又はサプリメントにおいて使用することである。ラクトバシラス・ロイテリの新たな株(ATCC PTA−6127)は、毛皮動物におけるリシン取り込みを刺激することが示され、この特性は、毛皮及び爪の品質の改善を生じる。この株は、ブダペスト条約の下に、2004年7月22日付けでAmerican Type Culture Collection(Manassas,VA)に寄託された。公への利用可能性に対する全ての制限は、特許付与後に、取り消し不能に取り除かれるであろう。
【0032】
本発明の製品は、飼料、錠剤若しくはカプセル又は他の剤形などの形態であり得、選択されたLAB培養物を含む基本的な製品を調製する標準的な方法は、当該分野で公知である。
【0033】
特定の代表的な実施形態が本明細書中に示されているが、当業者は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなしに、改変がなされ得ることを容易に理解するであろう。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
細胞培養物の調製
Caco−2細胞(ATCC番号:HTB−37、Manassas,VA,USA)を、(Thwaitesら、1993a;1993b)に記載のとおりに培養した。細胞単層を、高密度(4.4〜5.0°−10細胞/cm)で直径12mm又は24.5mmの組織培養インサート[Transwellポリカーボネートフィルター(Costar)]上に播種することにより調製した。細胞単層を、空気中5%のCOの加湿雰囲気中で37℃で維持した。細胞のコンフルエンスを顕微鏡及び経上皮抵抗の決定によって推定した。リシンの放射標識流動を、播種後18〜25日及び給餌後18〜24時間に実施した。
【0035】
(実施例2)
腸リシン取り込みについてL.ロイテリ(L.reuteri)株を選択する方法
Caco−2細胞単層を洗浄し(500mlの改変Krebs緩衝液(組成は以下のとおり(全てmmol/l)、NaCl 140、KCl 5.4、CaCl 2.8、MgSO 1.2、NaHPO 0.3、KHPO 0.3、HEPES 10、グルコース10(Tris塩基でpHを7.4にして37℃で))中で4回)又は必要に応じてNa不含Krebs緩衝液(上記と同様であるが、NaCl及びNaHPOの代わりにコリンCl)で、予め温めた(37℃)Na不含Krebbs緩衝液2mlを含む6ウェルプレート(Life Technologies)中に配置した。新たなKrebs緩衝液又はNa不含Krebbs緩衝液のアリコートを、チャンバー中に配置した。放射標識リシン((3H)Amersham)を、トレーサー濃度(0.2μCi/ml)で使用した。次いで上皮層を、7.0×10cfu/mlの濃度の試験すべき種々のLAB(ラクトバシラス・ロイテリATCC PTA−6127、ラクトバシラス・ロイテリ1068、ラクトバシラス・ロイテリSD2112及びバシラス・コアグランス・ラクリス−S株)と共に37℃で6時間インキュベートした。200μLのサンプルを、経上皮輸送の決定のために基礎溶液から60分毎に採取した。放射標識を、シンチレーションカウントによって決定した。結果については図1を参照のこと。
【0036】
(実施例3)
選択された株を含む飼料製品の製造
本実施例では、L.ロイテリ「Shiny」(ATCC PTA−6127)を、市販製品にこの株を添加するために、一般的に良好な成長特徴及び実施例2で既に言及した選択における好ましい結果に基づいて選択する。このL.ロイテリShiny株は、業界でラクトバシラスを増殖させるための標準的な方法を使用して、増殖及び凍結乾燥させる。
【0037】
飼料混合物を、トウモロコシ、コーングルテン、鶏肉及び魚粉、塩類、ビタミン並びにミネラルから製造する。飼料混合物をプレコンディショナー中に供給し、加湿する。次いで、プレコンディショナーから取り出した加湿飼料を、押出機−調理器中に供給し、ゼラチン化する。押出機から取り出したゼラチン化マトリックスを、ダイを通して押し出す。ダイヘッドを離れた押し出し物を切ってイヌへの給餌に適切な断片にし、約140℃で約20分間乾燥させ、冷却してペレットを形成する。ペレットの水分活性は約0.6である。
【0038】
これらのペレットに、獣脂を含むコーティング基材を噴霧する。プロバイオティクスL.ロイテリ「Shiny」(ATCC PTA−6127)を、製品1グラム当たり10CFUのレベルで乾式噴霧することによって適用し、その後、獣脂を、脂肪層に付着するか又は脂肪層中に部分的に浸透するように配置する。37℃で8週間の保存の結果は、微生物が優れた安定性を示し、通常の条件での1年間の保存後に安定である可能性が高いことを示している。
【0039】
(実施例4)
イヌ試験
45匹のビーグル犬を使用して試験を実施する。イヌに、実施例3の食餌に対応する標準的な乾燥食餌を1週間給餌し、その後試験を開始する。試験開始の直前に、参加するイヌの毛の状態を、実施例5に記載したように評価パネルによって評価する。イヌを、15匹ずつ3グループに分ける。1グループのイヌに、L.ロイテリ「Shiny」(ATCC PTA−6127)でコーティングした乾燥ペレットを給餌し、他のグループのイヌに、L.ロイテリ株1068でコーティングした乾燥ペレットを給餌し、3番目のグループには標準的な食餌を続けることにより、コントロール食餌を提供する。全てのグループを、飼料及び水に自由にアクセスできるようにする。12週間後、各イヌの毛の状態を再度評価する。L.ロイテリ「Shiny」コーティングを有するペレットを給餌したイヌは、顕著に艶が増した外観を有し、L.ロイテリ1068株を有するペレットを給餌したイヌ及びコントロール群のイヌと比較して、顕著なフケを示さない。
【0040】
(実施例5)
爪の成長及び毛皮の特徴
実施例4のイヌの爪は、熟練のネイルグルーマーがスコア付けし、毛皮は、ビーグルの繁殖を専門とする2人の経験のあるドッグショー審判がスコア付けする。試験前に、イヌを、毛皮及び爪の品質によって、グループ間に均等に分配する。12週間後、爪を、カットしたときの割れ及び成長に関して品質を評価し、1を悪いとし、5を優れているとして、5つのレベルの尺度でスコア付けする。毛皮を、全体的な品質、フケ、毛皮の長さ及び艶について、1(最も悪い)から5(最も良い)の範囲の尺度で評価する。
【表1】


【表2】

【0041】
(参考文献)







【0042】
PCT 紙面による写し(電子データが原本)

【0043】
受理官庁記入欄

【0044】
国際事務局記入欄




【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバシラス・ロイテリ(ラクトバシラス・ロイテリ)の非病原性のリシン取り込み刺激乳酸菌株を選択するステップと、選択した株の生物学的に純粋な培養物を含む製品を動物に提供するステップとを含む、コンパニオン動物における毛皮及び爪の品質を改善する方法。
【請求項2】
選択するステップが、乳酸菌株が動物におけるリシンの吸収を直接促進又は改善する能力を分析することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
選択するステップが、腸上皮透過性研究のためのCaco−2細胞系の使用を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
選択が、リシンの放射標識流動の使用を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
株が、ラクトバシラス・ロイテリ(ラクトバシラス・ロイテリ)株ATCC PTA−6127の生物学的に純粋な培養物である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法によって選択された、乳酸菌の株の生物学的に純粋な培養物。
【請求項7】
ラクトバシラス・ロイテリ(ラクトバシラス・ロイテリ)株ATCC PTA−6127の生物学的に純粋な培養物である、請求項5に記載の株。
【請求項8】
a)請求項1に従って選択されたラクトバシラス・ロイテリ(ラクトバシラス・ロイテリ)株の生物学的に純粋な培養物、及び
b)コーティング基材でコーティングされ、次いで選択された株の生物学的に純粋な培養物の乾式噴霧でコーティングされた飼料混合物
を含む、ペット動物における毛皮及び爪の品質を改善する製品。
【請求項9】
飼料混合物がペレット化されている、請求項8に記載の製品。
【請求項10】
L.ロイテリ(L.reuteri)株がATCC PTA−6127である、請求項8に記載の製品。
【請求項11】
飼料混合物が、トウモロコシ、コーングルテン、鶏肉及び魚粉、塩類、ビタミン並びにミネラルを含む、請求項8に記載の製品。
【請求項12】
コーティング基材が獣脂を含む、請求項8に記載の製品。
【請求項13】
生物学的に純粋な培養物が、製品1グラム当たり10CFUのレベルで乾式噴霧により適用され、その後獣脂が、脂肪層に付着するか又は脂肪層中に部分的に浸透するように配置される、請求項12に記載の製品。
【請求項14】
飼料、錠剤及びカプセルからなる群より選択される形態である、請求項8に記載の製品。

【図1】
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【公表番号】特表2010−519900(P2010−519900A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551653(P2009−551653)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【国際出願番号】PCT/SE2008/050224
【国際公開番号】WO2008/108722
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(500155578)バイオガイア・エイビー (13)
【氏名又は名称原語表記】Biogaia AB
【Fターム(参考)】