説明

ペリクル収納ケースの梱包体

【課題】ペリクルの輸送時に、ペリクル収納ケースに収納されているペリクルに対して塵埃等の異物が付着することを抑制し得る梱包体を提供する。
【解決手段】梱包箱と、該梱包箱の中に収納されるペリクル収納ケースを該梱包箱内において保護する緩衝材とを含み、前記緩衝材は、前記ペリクル収納ケースの上面、又は底面を支持する伸縮可能な支持膜と、前記支持膜が貼張される枠体と、前記ペリクル収納ケースの側面方向への移動を抑制するための横ズレ抑制機構と、を有することを特徴とするペリクル収納ケースの梱包体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LSI、液晶ディスプレイ(LCD)を構成する薄膜トランジスタ(TFT)やカラーフィルター(CF)等を製造する際のリソグラフィー工程で使用されるフォトマスクやレティクルなどの露光用基盤に異物が付着することを防止するために用いられるペリクルの収納ケースを保管・輸送するために用いる、ペリクル収納ケースの梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ペリクルを収納、保管、輸送する際に用いる梱包体に関するものであるが、先ず、収納すべきペリクルについて説明する。
半導体装置や液晶ディスプレイ等の回路パターン製造時のリソグラフィー工程において、フォトマスク或いはレティクルなどの露光用基盤への異物除けの目的で一般にペリクルと呼ばれる防塵フィルムを貼付する方法が用いられている。このペリクルは露光用基盤の形状に合わせた形状を有する厚さ数ミリ程度の枠体の上縁面に、厚さ10μm以下のニトロセルロース或いはセルロース誘導体或いはフッ素ポリマーなどの透明な高分子膜(以下、「ペリクル膜」という)を展張して接着し、かつ該枠体の下縁面に粘着材を塗着すると共に、この粘着材上に所定の接着力で保護フィルムを粘着させたものである。
前記粘着材は、ペリクルを露光用基盤に固着するためのものであり、露光用基盤にペリクルを固着させた際に微細な空洞が生じることが無いようミクロンオーダーの平坦性などの精度が求められる。また、保護フィルムは該粘着材がその用に供するまで該粘着材の接着力を維持するために、該粘着材の接着面を保護するものである。
【0003】
このようなペリクルは、一般的には、ペリクルを製造するメーカーと最終的にペリクルをマスク等に貼付するマスク等のメーカーとが地理的に離れている場合が多く、ペリクルメーカーからマスク等のメーカーへの運搬作業が必須となっている。そのため、ペリクルの運搬作業では、ペリクル膜等に異物が付着するのを防ぎ、あるいはペリクルが損傷するのを防ぐために該ペリクルを1つずつ、トレイとフタからなる専用のペリクル用ケースに収納し、このペリクル用ケースを複数個重ねた後にエアークッションなどの緩衝材を入れた梱包箱に梱包するのが一般的である。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−305814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、露光波長が短波長化し、ペリクルの平坦性や異物に対する高い要求が求められる場合、従来のようにクッション材でケースを囲んだとしても輸送中の振動や衝撃によって擦れが生じ、ペリクル膜に異物が付着したり、ペリクルのマスク粘着材の平坦性などの精度が低下したりする恐れがあった。
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、ペリクルの輸送時に、ペリクル収納ケースに収納されているペリクルに対して塵埃等の異物が付着することを抑制し得る梱包体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明に係る代表的な構成は、ペリクルを収納する収納ケースを梱包するための梱包体であって、梱包箱と、該梱包箱の中に収納されるペリクル収納ケースを保護する緩衝材とを含み、該緩衝材は、枠体と該枠体に展張した伸縮可能な支持膜、そして、伸縮可能な支持膜に沿うように可動できる羽から構成されていることを特徴とする。
【0007】
すなわち、本発明は以下の通りである。
第1の構成は、梱包箱と、該梱包箱の中に収納されるペリクル収納ケースを該梱包箱内において保護する緩衝材とを含み、前記緩衝材は、前記ペリクル収納ケースの上面、又は底面を支持する伸縮可能な支持膜と、前記支持膜が貼張される枠体と、前記ペリクル収納ケースの前記支持膜で支持される面に対して水平方向への移動を抑制するための横ズレ抑制機構と、を有することを特徴とするペリクル収納ケースの梱包体である。
第2の構成は、前記横ズレ抑制機構が、前記枠体から当該枠体の開口部中心方向に向けて延設されると共に、前記ペリクル収納ケースの移動に伴って可動しつつ前記ペリクル収納ケースの側面方向への移動を抑制する抑制羽であることを特徴とする第1の構成に記載の梱包体である。
第3の構成は、前記抑制羽は、前記支持膜を介して前記ペリクル収納ケースを支持する第1又は第2の構成に記載の梱包体である。
第4の構成は、前記抑制羽が前記枠体上に複数独立して形成される第1から第3の構成のいずれかに記載の梱包体である。
第5の構成は、前記枠体の外形が平面視略他角形状であると共に、前記枠体の外形頂点を結ぶ対角線上にある開口部の接線が略垂直であることを特徴とする第1から第4の構成のいずれかに記載の梱包体である。
第6の構成は、前記枠体の厚み方向の高さが、前記ペリクル収納ケースの高さより大きい第1から第5の構成のいずれかに記載の梱包体である。
第7の構成は、前記枠体に底面があることを特徴とする第1から第6の構成のいずれかに記載の梱包体である。
第8の構成は、前記枠体の各辺長さ方向に対して30%以上の長さで前記支持膜が固定されていることを特徴とする第1から第7の構成のいずれかに記載の梱包体である。
第9の構成は、前記枠体の辺の長さの方向の少なくとも端部で前記支持膜が実質的に固定されていることを特徴とする第1から第8の構成のいずれかに記載の梱包体である。
第10の構成は、前記支持膜が前記枠体の側面で固定されていることを特徴とする第1から第9の構成のいずれかに記載の梱包体である。
第11の構成は、第1〜10の構成のいずれかに記載の梱包体を用いたペリクル収納ケースの梱包方法であって、一対の前記緩衝材を用いて前記ペリクル収納ケースを上面側及び底面側から支持することを特徴とする梱包方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ペリクルの輸送時に、ペリクル収納ケースに収納されているペリクルに対して塵埃等の異物が付着することを抑制し得る梱包体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】梱包体の一の実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】梱包体の他の実施形態を示す概略側面図である。
【図3】梱包体の別の実施形態を示す概略側面図である。
【図4】緩衝材の一の実施形態を示す概略斜視図である。
【図5】支持膜の一の貼張例を示す概略斜視図である。
【図6】支持膜の他の貼張例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下「本実施形態」と略記する)について詳細に説明する。なお、本発明は、下記本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0011】
図1は、梱包体の一の実施形態を示す概略斜視図である。本実施形態にかかる梱包体1は、梱包箱2と、該梱包箱2の中に収納されるペリクル収納ケース3を該梱包箱内において保護する緩衝材4とを含む。
梱包箱2は、平面視略矩形状の底面と、当該底面の周縁から上方に立設される側面と、当該側面上端縁を周縁として形成される略矩形状の開口部を有している。また、開口部を形成する一対の平行辺上には舌片状の蓋部21が形成され、当該蓋部が折りたたまれることにより前記開口部が閉塞し、ペリクル収納ケース3及び緩衝材4が梱包箱2内部に収納されるようになっている。
【0012】
梱包箱2の材質としては、ダンボールやプラスチックダンボールなどが使用できる。梱包箱2の内寸は緩衝材4の枠体42が動かないように枠体42の外寸とほぼ同サイズであることが好ましく、梱包箱2の内寸高さはペリクル収納ケース3を緩衝材4で包装したときの高さに対して1〜0.9倍の高さであることが好ましく、こうすることで伸縮可能な支持膜41がしっかりと展張されてペリクル収納ケース3への衝撃を吸収することができる。梱包箱2の内寸が過度に大きい場合には、緩衝材4と梱包箱2との隙間にダンボールやエアキャップなどで作成したスペーサーを介在させても良い。
【0013】
ペリクル収納ケース3は、ペリクル(図示しない)を載置するトレイ31と、当該トレイ上に被せるフタ32とを有している。トレイ31は、例えば厚みのある略方盤形状を有し、上面に水平上面としての載置面が形成されている。また、フタ32は、平面から見て方形状に形成され、フタ32がトレイ31に被せられたときに、トレイ31と周縁部で密着するように形成されている。
なお、トレイ31やフタ32の材質は、特に限定するものではないが、エンジニアリングプラスチック、強化プラスチック、金属等が挙げられる。軽量化、成型性の観点から、プラスチック素材が選択される場合が多く、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂等を用いることができる。更に上記樹脂以外に、ポリエチレンテレフタレート以外のポリエステル樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン樹脂等のポリスチレン系樹脂等を用いることもできる。上記の樹脂には、静電気による異物付着を防止するために制電性を付与しても良い。また、繊維強化プラスチックも用いることが出来る。金属を選択する場合、軽量化の観点から、アルミニウムを用いてもよい。
また、ペリクル収納ケース3のトレイ31やフタ32の寸法は、収納されるペリクルの大きさに応じて設定される。
【0014】
本実施形態において、緩衝材4は、ペリクル収納ケース3の上面、及び底面を支持するよう一組として用いられ、梱包箱2内においてペリクル収納ケース3を宙吊りに固定するよう配置されている。なお、緩衝材4は必ずしも一対として用いる必要は無く、ペリクル収納ケース3の上面、又は底面を支持するよう一つだけ使用することも可能である。
【0015】
図1においては、ペリクル収納ケース3の一つのみが収納される形態を説明したが、収納形態に制限は無く、複数のペリクル収納ケース3を重ねて収納しても良いし、そのように重ねたペリクル収納ケース3の複数組をまとめて収納しても良い。図2は、梱包体の他の実施形態を示す概略側面図である。本実施形態においては複数のペリクル収納ケース3が重ねて収納されている。なお、重ねた複数のペリクル収納ケース3は、収納袋5内にまとめられている。
例えば、LSI用ペリクルのペリクル収納ケースは一般的に、フタとトレイを固定するためのクリップに積層用の足と支持部を設けたものを用いて積層して輸送することが一般的である。このようにペリクル収納ケースを複数個収納する場合は、収納袋に入れたペリクル収納ケースを積層し、それを収納袋で更に収納し、積層したケースがずれないように固定し、その積層体の上面と底面を該緩衝材の支持膜で支持するように挟み込み、梱包箱に収納することも可能である。
【0016】
図3は、梱包体の別の実施形態を示す概略側面図である。本実施形態においては複数のペリクル収納ケース3が重ねて収納されるとともに、収納袋5内にまとめられたペリクル収納ケース3の積層体が複数組、並べて収納されている。なお、図3においては、収納袋5内にまとめられたペリクル収納ケース3の上面側を支持する緩衝材4の上面側に天板6が配置され、蓋部21が折りたたまれてペリクル収納ケース3が梱包箱2”内に収納された際に、蓋部21と緩衝材4とが隔離されている。天板6の材質は特に限定するものではないが、ダンボールやプラスチック板などが使用でき、梱包箱2”の内寸と一致する寸法であることが好ましい。
【0017】
図4は、緩衝材の一の実施形態を示す概略斜視図である。緩衝材4は、ペリクル収納ケース3の上面、又は底面を支持する伸縮可能な支持膜41と、支持膜41が貼張される枠体42と、ペリクル収納ケース3の側面方向への移動を抑制するための横ズレ抑制機構43とを有する。
本実施形態において、横ズレ抑制機構43は、枠体42の開口部中心方向に向けて延設されると共に、ペリクル収納ケース3の移動に伴って可動しつつペリクル収納ケースの側面方向への移動を抑制する抑制羽43として形成されている。
【0018】
支持膜41の素材は、特に限定するものではないが、ポリウレタンやゴムなどの高分子フィルムやシート、ネット状に織られた織物などが使用できる。また、枠体42や抑制羽3は、ダンボールや樹脂を用いることが出来、組立式ダンボールや樹脂成型物として一体型であってもかまわない。
枠体42の各辺の内寸は収納するペリクル収納ケースの辺長より大きいほうが好ましく、1.05〜3倍の範囲であることが好ましい。更に、該枠体42各辺の外寸は緩衝材4を収納する梱包箱2の内壁からペリクル収納ケース3までの距離が3cm以上離れるような長さに設計することが好ましく、より好ましくはペリクル収納ケース3と梱包箱2の内壁までの距離が3cm以上20cm以下になるように長さを設計することが好ましい。
【0019】
枠体42の開口部の形状としては特に限定されず、平面視形状として、正方形、長方形といった四角形や六角形、八角形等の略多角形状であることが好ましい。当該略多角形状の頂部は図4に示すように、鈍角に形成された頂部421のような形状であっても良いし、円弧状で形成されていても良い。また、平面視形状は円形状であっても良い。枠体の外形が平面視略多角形状であると共に、前記枠体の外形頂点を結ぶ対角線上にある開口部の接線が略垂直になるとより好ましい。
なお、図4に示すように、枠体42の高さHは、緩衝材4でペリクル収納ケース3を収納した際に、ペリクル収納ケース3が支持膜41を介して梱包箱2の底部または梱包箱2の天部に接触することなく、宙吊りになる高さであることが好ましい。従って、収納するペリクル収納ケース3の高さより高いほうが好ましく、より好ましくはケース厚みの1.1倍以上が好ましいが、輸送効率を考慮すると1.1倍〜10倍の範囲にあることが好ましい。
また、枠体42には図4に示すように、枠体42の高さ方向下部位置に、辺の長さ方向に沿って一定の領域面積を有する底面422を有することが好ましい。
【0020】
抑制羽43は、枠体42の内周中央に向かって延設され、枠体42の各辺に少なくとも1つ以上の羽を設置することが好ましい。また、抑制羽43は、支持膜を介してペリクル収納ケースの任意の部分に接触することが好ましい。
個々の抑制羽43は、枠体42の各辺のそれぞれに独立し、他の羽と接触しないような構造とすることが好ましい。
なお、横ズレ抑制機構としては抑制羽43のほか、横方向への移動を抑制するように配置されたダンボールやエアキャップなどのスペーサーであっても良い。
【0021】
支持膜41の枠体42に対する貼張方法としては特に限定されず、支持膜41は、枠体42上のいずれかの部位で固定される。図5は、支持膜41の一の貼張例を示す概略斜視図である。
図5において支持膜41は、枠体42の高さ方向上端部から枠体42の開口部中心方向に形成される抑制羽43(図示せず)の更に上部側から、抑制羽43及び開口部の全体を覆うように貼張されている。
【0022】
図5において支持膜41は、枠体42の側面部において、枠体42の辺の長さ方向に沿って一定の長さを有する線状の固定部材7によって固定されている。
ここで、枠体42の辺の長さをWa、線状の固定部材7の長さをWb(図5においては固定部材7が2つ配されているが、Wbは各固定部材7の長さの総和である)とした場合、WbのWaに占める割合は、少なくとも30%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上である。一方、上限として好ましくは90%以下であり、より好ましくは80%以下である。このように、支持膜41を枠体42に完全に固定してしまわないこと(上記割合を100%未満とすること)は、支持膜41の遊びを確保し、枠体42の辺中央に強い応力が加わることを抑制し、枠体42の変形や支持膜41の張力の低下を抑制する観点から好ましい。
また、固定部材7の配置としては、実質的に各辺中央部では固定されていないことが好ましい。
なお、固定部材7としては、特に限定するものではないが、接着剤や粘着材を用いることができ、熱接着や、ネジやビス、クリップなどで物理的に固定しても良い。
【0023】
図6は、支持膜の他の貼張例を示す概略斜視図である。この例において支持膜41は、枠体42の側面部のうち、端部(枠体の4角の位置近傍)において固定されている。
【0024】
本実施形態のペリクル収納ケースの梱包体は、上記のような構成を有するので、緩衝材の支持膜と横ズレ抑制機構を梱包箱内で容易に位置決め・固定することができ、ひいては、梱包箱内におけるペリクル収納ケースの動きを効果的に抑制し得る。その結果、ペリクル収納ケースと他の部位(例えば、梱包箱や緩衝材)との擦れが抑制されて、擦れに基づく塵埃等の異物の発生が抑制されるため、ペリクル収納ケースに収納されているペリクルに対して塵埃等の異物が付着することを抑制することができる。
そして、ペリクルを輸送中、振動や衝撃からペリクルケースを守ることができ、ペリクル収納ケースを多段に重ねて輸送する場合でも、伸縮性素材に沿うように可動する羽により収納ケースが斜めにずれることを防止する事ができ、ペリクルの破損や、ペリクルと収納ケース、または収納ケース同士のこすれ等による発塵を防止することができる。
【実施例】
【0025】
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、下記の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定した。
【0026】
(1)衝撃値
梱包箱の内側の底部、ペリクル収納ケース上に富士フィルム社製ショックセンサーType−2を設置し、100cmの高さから落下させて梱包箱とペリクル収納ケースに加わった衝撃値を測定した。
(2)異物付着、側面方向のズレ、ペリクル外観
目視により観察した。
【0027】
[実施例1]
図1に示すようにペリクル収納ケースを梱包体に収納した。
即ち、1辺35cmの枠体に、当該枠体の開口部中心方向に向けて羽を設け、該枠体の側壁にウレタン製の伸縮膜を固定した緩衝材2個を用い、2つの緩衝材のフィルム側を対になるように並べた。1辺15cmのペリクル収納ケース1枚を収納袋に入れ、そのペリクル収納ケースを対となった緩衝材のウレタンシート側で挟みこみ、段ボール箱に収納した。各種物性を評価した。結果を表1又は2に示す。
【0028】
[実施例2]
図2に示すようにペリクル収納ケースを梱包体に収納した。
即ち、1辺35cmの枠体に、当該枠体の開口部中心方向に向けて羽を設け、該枠体の側壁にウレタン製の伸縮膜を固定した緩衝材2個を用い、2つの緩衝材のフィルム側を対になるように並べた。1辺15cmのペリクル収納ケース10枚を収納袋に入れて固定し、束ねたペリクル収納ケースを対となった緩衝材のウレタンシート側で挟みこみ、段ボール箱に収納した。各種物性を評価した。結果を表1又は2に示す。
【0029】
[実施例3]
図3に示すようにペリクル収納ケースを梱包体に収納した。
即ち、1辺35cmの枠体に、当該枠体の開口部中心方向に向けて羽を設け、該枠体の側壁にウレタン製の伸縮膜を固定した緩衝材4個を用い、2つの緩衝材のフィルム側を対になるように並べて2セット用意した。1辺15cmのペリクル収納ケース10枚を収納袋に入れて固定したものを2セット用意し、束ねたペリクル収納ケースを対となった緩衝材のウレタンシート側で挟みこみ、2セットを同じ段ボール箱に入れ、該ダンボールの内寸と同じ寸法の抑え用ダンボールで該緩衝材を抑えて収納した。各種物性を評価した。結果を表1又は2に示す。
【0030】
[比較例1]
1辺15cmのペリクル収納ケース1枚を収納袋に入れ、そのペリクル収納ケースを厚み10cmに重ねたエアキャップで覆い、段ボール箱に収納した。各種物性を評価した。結果を表1又は2に示す。
【0031】
[比較例2]
1辺15cmのペリクル収納ケース10枚を収納袋に入れて固定し、束ねたペリクル収納ケースを厚み10cmに重ねたエアキャップで覆い、段ボール箱に収納した。各種物性を評価した。結果を表1又は2に示す。
【0032】
[比較例3]
1辺15cmのペリクル収納ケース10枚を収納袋に入れて固定したものを2セット用意し、厚み10cmに重ねたエアキャップで覆い、2セットを同じ段ボール箱に収納した。各種物性を評価した。結果を表1又は2に示す。
【0033】
[比較例4]
1辺35cmの枠体にウレタン製の伸縮膜を固定した緩衝材(羽を有さない)4個を用い、2つの緩衝材のフィルム側を対になるように並べて2セット用意した。その1辺15cmのペリクル収納ケース10枚を収納袋に入れて固定したものを2セット用意し、束ねたペリクル収納ケースを対となった緩衝材のウレタンシート側で挟みこみ、2セットを同じ段ボール箱に入れ、該ダンボールの内寸と同じ寸法の抑え用ダンボールで該緩衝材を抑えて収納した。各種物性を評価した。結果を表1又は2に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
表1、表2に示す結果から明らかなように、本実施形態の梱包体は優れた衝撃緩衝能力を有しており、輸送や強い衝撃に対して強いペリクル収納ケースの保護機能を示す。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の構成物は、LSI、液晶ディスプレイ(LCD)を構成する薄膜トランジスタ(TFT)やカラーフィルター(CF)等を製造する際のリソグラフィー工程で使用されるフォトマスクやレティクルなどの露光用基盤に異物が付着することを防止するために用いられるペリクルの収納ケースを保管・輸送に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0038】
1、1’、1’’:梱包体
2、2’、2’’:梱包箱
21:フタ部
3:ペリクル収納ケース
31:トレイ
32:フタ
4:緩衝材
41:支持膜
42:枠体
421:頂部
422:底面
43:横ズレ抑制機構(抑制羽)
5:収納袋
6:天板
7、7’:固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包箱と、該梱包箱の中に収納されるペリクル収納ケースを該梱包箱内において保護する緩衝材とを含み、
前記緩衝材は、前記ペリクル収納ケースの上面、又は底面を支持する伸縮可能な支持膜と、
前記支持膜が貼張される枠体と、
前記ペリクル収納ケースの前記支持膜で支持される面に対して水平方向への移動を抑制するための横ズレ抑制機構と、
を有することを特徴とするペリクル収納ケースの梱包体。
【請求項2】
前記横ズレ抑制機構が、前記枠体から当該枠体の開口部中心方向に向けて延設されると共に、前記ペリクル収納ケースの移動に伴って可動しつつ前記ペリクル収納ケースの側面方向への移動を抑制する抑制羽であることを特徴とする請求項1に記載の梱包体。
【請求項3】
前記抑制羽は、前記支持膜を介して前記ペリクル収納ケースを支持する請求項1又は2に記載の梱包体。
【請求項4】
前記抑制羽が前記枠体上に複数独立して形成される請求項1から3のいずれかに記載の梱包体。
【請求項5】
前記枠体の外形が平面視略多角形状であると共に、前記枠体の外形頂点を結ぶ対角線上にある開口部の接線が略垂直であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の梱包体。
【請求項6】
前記枠体の厚み方向の高さが、前記ペリクル収納ケースの高さより大きい請求項1から5のいずれかに記載の梱包体。
【請求項7】
前記枠体に底面があることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の梱包体。
【請求項8】
前記枠体の各辺長さ方向に対して30%以上の長さで前記支持膜が固定されていることを特徴とする請求項1から7に記載の梱包体。
【請求項9】
前記枠体の辺の長さ方向の少なくとも端部で前記支持膜が実質的に固定されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の梱包体。
【請求項10】
前記支持膜が前記枠体の側面で固定されていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の梱包体。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の梱包体を用いたペリクル収納ケースの梱包方法であって、一対の前記緩衝材を用いて前記ペリクル収納ケースを上面側及び底面側から支持することを特徴とする梱包方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−79573(P2011−79573A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235761(P2009−235761)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】