説明

ペースト供給方法

【課題】従来の方法では困難であった、ひとつの基板上への異なる高さのペーストの供給を確実に行うことができるペースト供給方法を提供することを目的とする。
【解決手段】第1電極2aに対応して設けられた開口32aを有するマスク32を第1電極2aに合致させてスキージングを行うスクリーン印刷によって第1電極2aにペーストPtを供給する第1のペースト供給工程(ステップST2〜ST5)と、第2電極2bに対応して設けられたブロック状部材32の開口32aからペーストPtを圧出するペースト圧出ヘッド8により第2電極2bにペーストPtを圧出しつつ、ペースト圧出ヘッド8を基板2に対して相対的に上下方向に離間させることにより、第1のペースト供給工程によって第1電極2aに供給されたペーストPtの高さよりも高い高さのペーストPtを第2電極2bに供給する第2のペースト供給工程(ステップST7〜ST11)を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ひとつの基板上への異なる高さのペーストの供給を行うペースト供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来知られたプリント配線基板等の基板には複数の電極が設けられており、各電極には他の基板の電極やコネクタの端子を接合させるために半田や導電性ペースト等のペーストが供給される。このような基板の電極へのペーストの供給方法としては、基板上の電極に対応して設けられた開口部を有するマスクを基板上の電極に合致させてスキージによる摺動(スキージング)を行った後、マスクを基板から離間させることによって電極にペーストを転写させるスクリーン印刷が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−31877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記スクリーン印刷によるペースト供給方法では、電極に供給されるペーストの高さはマスクの厚みによって決まってしまうことから、例えば、0402部品などの小型部品を接続させるための第1の電極と、コネクタなどの大型部品を接続させるための第2の電極とがひとつの基板に混在している場合であって、より高い接合強度が求められる第2の電極と大型部品との接合のために第2の電極には第1の電極よりも高さの高いペーストを供給する必要がある場合であっても、このようなペーストの供給を行うこと(すなわち、ひとつの基板上への異なる高さのペーストの供給を行うこと)は困難であった。
【0005】
この場合、相対的に高さの低いペーストを第1の電極に供給するためにそのペーストの高さに相当する厚みを有する第1のマスクを用いて第1のスクリーン印刷を行った後、相対的に高さの高いペーストを第2の電極に供給するための第1のマスクの厚みに厚みを付加する第2のマスクを第1のマスクに被せるように設置して第2のスクリーン印刷を行うという方法もあるが(上記特許文献1)、2枚重ねとなってマスク全体としての厚さが厚くなるため、マスクの厚さによっては、マスク(第1のマスクと第2のマスク)を版離れさせにくい場合があり、結果としてひとつの基板上への異なる高さのペーストの供給を行うことが困難な場合があった。
【0006】
そこで本発明では、従来の方法では困難であった、ひとつの基板上への異なる高さのペーストの供給を確実に行うことができるペースト供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のペースト供給方法は、基板上に設けられた第1の電極及び第2の電極に対して互いに異なる高さのペーストを供給するペースト供給方法であって、第1の電極に対応して設けられた開口部を有するマスクを第1の電極に合致させてスキージングを行った後、マスクを基板から離間させるスクリーン印刷によって第1の電極にペーストを供給する第1のペースト供給工程と、第2の電極に対応して設けられたブロック状部材の開口からペーストを圧出するペースト圧出ヘッドにより第2の電極にペーストを圧出しつつ、ペースト圧出ヘッドを基板に対して相対的に上下方向に離間させることにより、第1のペースト供給工程によって第1の電極に供給されたペーストの高さよりも高い高さのペーストを第2の電極に供給する第2のペースト供給工程とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、スクリーン印刷によって第1の電極にペーストを供給した後、第2の電極に対応して設けられたブロック状部材の開口からペーストを圧出するペースト圧出ヘッドにより第2に電極にペーストを圧出しつつ、ペースト圧出ヘッドを基板に対して相対的に上下方向に離間させることにより、第1のペースト供給工程によって第1の電極に供給されたペーストの高さよりも高い高さのペーストを第2の電極に供給するようにしているので、従来の方法では困難であった、ひとつの基板上への異なる高さのペーストの供給を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態におけるペースト供給装置の構成図
【図2】本発明の一実施の形態におけるペースト供給装置によってペーストの供給を行う基板の(a)平面図(b)側面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるペースト供給装置の部分平面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるペースト供給装置の部分側面図
【図5】本発明の一実施の形態におけるペースト供給装置の部分側面図
【図6】本発明の一実施の形態におけるペースト供給装置が実行するペースト供給作業の手順を示すフローチャート
【図7】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるペースト供給装置が実行する第2のペースト供給工程の動作説明図
【図8】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるペースト供給装置が実行するペースト供給作業の中の第2のペースト供給工程の動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1に示すペースト供給装置1は、基板2の搬入及び保持動作、保持した基板2へのペーストPtの供給動作及びペーストPtを供給した基板2の搬出動作等から成る一連の工程を繰り返し実行する装置である。基板2の表面には複数個ずつの第1電極2a(第1の電極)及び第2電極2b(第2の電極)が設けられており(図2)、ペーストPtは第1電極2a及び第2電極2bのそれぞれに供給される。
【0011】
ここで、第1電極2aは図示しない0402部品などの小型部品を電極に接合させるためのものであり、第2電極2bはコネクタなどの大型部品(図示せず)の端子を接合させるためのものである。したがって第2電極2bとコネクタなどの大型部品との間の接合には第1電極2aと0402部品などの小型部品との間の接合よりも高い接合強度が求められ、第2電極2bには第1電極2aよりも高さの高い(したがって量の多い)ペーストPtが供給される。
【0012】
図1において、ペースト供給装置1は、基台3上に設けられて基板2の搬送、位置決めと保持を行う基板保持部及び保持した基板2の移動を行う基板移動部としての基板保持移動ユニット4、基板保持移動ユニット4に保持された基板2上の第1電極2aに開口部5a(図3)を合致させて基板2の上面に接触されるマスク5、基板2の上面に接触されたマスク5上を摺動してマスク5上に供給されたペーストPtを掻き寄せることによりマスク5の開口部5aを介して基板2上の第1電極2aにペーストPtを転写させるスキージユニット6、基板2とマスク5の位置合わせのための撮像を行うカメラユニット7、ペーストPtを圧出して基板2上の第2電極2bにペーストPtを供給するペースト圧出ヘッド8及び各部の作動制御を行う制御装置9を備えている。
【0013】
以下、説明の便宜上、ペースト供給装置1において基板2を搬送する水平方向をX軸方向とし、X軸方向と直交する水平方向をY軸方向、上下方向をZ軸とする。更に、Y軸方向をペースト供給装置1の前後方向、X軸方向を横(左右)方向とし、前後方向のうち、ペースト供給装置1に対してオペレータ(図示せず)が作業を行う側(図1の紙面右方)をペースト供給装置1の前方、その反対側(図1の紙面左方)を後方とする。
【0014】
図4において、基板保持移動ユニット4は、Yテーブル11、Xテーブル12及びθテーブル13の相対移動動作によって水平面内方向への移動が自在であるとともにθテーブル13に対する昇降が自在なベース部14、ベース部14の上面に設けられてY軸方向に対向する一対の支柱15、一対の支柱15に支持された一対の搬送コンベア16、一対の支柱15の上部にY軸方向に開閉自在に設けられた一対のクランプ部材17(図3も参照)及びベース部14の中央部をベース部14に対して昇降自在に設けられた下受け部材18を有して成る。
【0015】
図1において、一対の搬送コンベア16は基板2の両端を下方から支持してX軸方向に搬送し、位置決めする。下受け部材18は搬送コンベア16によって位置決めされた基板2の中央部を下方から支持し、一対のクランプ部材17は下受け部材18によって支持された基板2の両端部をクランプして保持する。
【0016】
図3において、マスク5は平面視において矩形の枠状部材から成るマスク枠5Wによって四辺が支持されており、開口部5aはマスク枠5Wによって囲まれた矩形の領域内に多数設けられている。
【0017】
図2及び図3において、基板2の対角位置には2つ一組の基板側マーク2mが設けられており(図3では一方のみが見えている)、図3において、マスク5には基板側マーク2mに対応して配置された2つ一組のマスク側マーク5mが設けられている(図3では一方のみが見えている)。これら基板側マーク2mとマスク側マーク5mとが平面視において一致する状態で基板2をマスク5に接触させると、基板2の第1電極2aとマスク5の開口部5aが合致した状態となる。
【0018】
図1及び図4において、スキージユニット6は図示しないアクチュエータ等から成るスキージ移動機構21(図1)によってY軸方向に移動されるスキージベース22と、スキージベース22の上面側に取り付けられた一対のスキージ昇降シリンダ23によってスキージベース22の下方で昇降自在な一対のスキージ24から成る。
【0019】
カメラユニット7は、基板2上の第1電極2aとマスク5の開口部5aが合致した状態で基板2とマスク5が接触されるように基板2及びマスク5それぞれに設けられたマーク(基板側マーク2m及びマスク側マーク5m)を撮像するマーク認識用の撮像手段として用いられるものであり、撮像視野を下方に向けた下方撮像部と撮像視野を上方に向けた上方撮像部とを有し、図示しないアクチュエータ等から成るカメラユニット移動機構31(図1)によって水平面内方向への移動ができるようになっている。
【0020】
図1において、ペースト圧出ヘッド8はマスク5の上方領域から後方に外れた領域に設けられている。ペースト圧出ヘッド8は、図5に示すように、基板2の第1電極2aに対応して配置された開口32aを有するブロック状部材32を下端に備えるとともに、ブロック状部材32の開口32aからペーストPtを圧出するペースト圧出機構としての加圧シリンダ33を備えている。
【0021】
図1及び図5において、ペースト圧出ヘッド8の側方には撮像視野を下方に向けたカメラ34が設けられている。カメラ34はペースト圧出ヘッド8と一体になって移動し、基板保持移動ユニット4に保持された基板側マーク2mの撮像を行う。
【0022】
図5において、加圧シリンダ33はペースト圧出ヘッド8の内部に形成されたペースト貯留室8a内で加圧板8bを上下させる。ペースト貯留室8a内にはペーストPtが貯留されており、加圧シリンダ33によって加圧板8bがペースト貯留室8a内で下降されてペースト貯留室8a内でペーストPtが加圧されると、その加圧されたペーストPtがブロック状部材32に設けられた開口32aを介してペースト圧出ヘッド8の下方(ブロック状部材32の下方)に圧出される。
【0023】
図1において、基板保持移動ユニット4が備えるベース部14の水平面内方向への移動動作は、制御装置9が基板保持移動ユニット4内の図示しない水平面内移動機構の作動制御を行ってYテーブル11、Xテーブル12及びθテーブル13を互いに相対移動させることによってなされ、ベース部14の昇降動作は、制御装置9が基板保持移動ユニット4内の図示しない昇降機構の作動制御を行ってベース部14をθテーブル13に対して昇降させることによってなされる。
【0024】
図1において、搬送コンベア16による基板2の搬送及び位置決め動作は制御装置9が基板保持移動ユニット4内の図示しない搬送コンベア駆動機構の作動制御を行うことによってなされる。また、搬送コンベア16によって位置決めされた基板2の下受け部材18による支持は、制御装置9が基板保持移動ユニット4内の図示しない下受け部材昇降部の作動制御を行って下受け部材18をベース部14に対して昇降させることによってなされ、下受け部材18によって支持された基板2の一対のクランプ部材17による保持(クランプ)は、制御装置9が基板保持移動ユニット4内の図示しないクランプ開閉機構の作動制御を行って一対のクランプ部材17をY軸方向に開閉させることによってなされる。
【0025】
図1において、スキージユニット6が備えるスキージベース22のY軸方向への移動は制御装置9が前述のスキージ移動機構21の作動制御を行うことによってなされ、スキージベース22に対する各スキージ24の昇降動作は、制御装置9が各スキージ24に対応するスキージ昇降シリンダ23の作動制御を行うことによってなされる。
【0026】
図1において、カメラユニット7の水平面内方向への移動動作は、制御装置9が前述のカメラユニット移動機構31の作動制御を行うことによってなされ、カメラユニット7による撮像動作制御は制御装置9によってなされる。カメラユニット7の撮像動作によって得られた画像データは制御装置9のデータ記憶部9aに記憶されて画像認識部9bにおいて画像認識される(図1)。
【0027】
図1において、ペースト圧出ヘッド8によるペーストPtの圧出動作は、制御装置9が加圧シリンダ33の作動制御を行うことによってなされる。また、カメラ34の撮像動作は制御装置9によって制御がなされ、カメラ34の撮像動作によって得られた画像データは制御装置9のデータ記憶部9aに記憶されて画像認識部9bにおいて画像認識される。
【0028】
次に、図6のフローチャート及び図7〜図8の動作説明図を参照してペースト供給装置1による基板2上の電極(第1電極2a及び第2電極2b)にペーストPtを供給するペースト供給作業の実行手順を説明する。ペースト供給作業では、制御装置9は先ず、基板保持移動ユニット4の作動制御を行い、搬送コンベア16によって上流側工程の装置から送られてきた基板2を受け取って搬入し、所定の作業位置に位置決めする。そして、基板2を作業位置に位置決めしたら、下受け部材18を上昇させて基板2を下方から支持するとともに、一対のクランプ部材17によって基板2の両側部をクランプして基板2を保持する(図6に示すステップST1の基板保持工程)。なお、基板2を搬入、位置決め及び保持するときの基板保持移動ユニット4の位置は、マスク5の直下の前方位置(図1の実線で示す基板保持移動ユニット4参照)である。
【0029】
制御装置9は、基板保持工程が終了したら、マスク5を用いたスクリーン印刷による第1電極2aに対する第1のペースト供給工程(図6に示すステップST2〜ステップST5)を実行する。第1のペースト供給工程では先ず、カメラユニット7によって基板2に設けられた基板側マーク2mを撮像して画像認識するとともに、マスク5に設けられたマスク側マーク5mを撮像して画像認識し、基板側マーク2mがマスク側マーク5mの直下に位置するように基板2を移動させることによって、マスク5に対する基板2の位置合わせを行う(図6に示すステップST2のマスク・基板位置合わせ工程)。
【0030】
制御装置9は、マスク5に対する基板2の位置合わせを行ったら、基板保持移動ユニット4の作動制御を行ってベース部14を上昇させ、基板2の上面をマスク5の下面に接触させる(図6に示すステップST3のマスク・基板接触工程)。これにより基板2とマスク5が基板2上の第1電極2aとマスク5の開口部5aが合致して接触された状態となる。
【0031】
制御装置9は、基板2をマスク5に接触させたらオペレータによるマスク5上へのペーストPtの供給待ちの状態に入り、オペレータがマスク5上にペーストPtの供給を行って所定の操作を行うと、制御装置9はスキージユニット6によるペーストPtのスキージング作業を行う(図6に示すステップST4のスキージング工程)。
【0032】
制御装置9は、スキージング作業を、一方のスキージ24をスキージベース22に対して下降させてその下端部をマスク5上に当接させた後、スキージベース22を水平方向(Y軸方向)に移動させてスキージ24をマスク5上で摺動させることによって行う。これによりマスク5上のペーストPtはスキージ24によって掻き寄せられ、マスク5の開口部5aを介して基板2上の第1電極2a上に転写される。
【0033】
ここで、スキージベース22をペースト供給装置1の前方から後方に(図1及び図4では紙面の右方から左方に)移動させるときには前方に位置するスキージ24をマスク5上に当接させてスキージングを行い、スキージベース22をペースト供給装置1の後方から前方に(図1及び図4では紙面の左方から右方に)移動させるときには後方に位置するスキージ24をマスク5上に当接させてスキージングを行う。
【0034】
制御装置9は、スキージユニット6によるペーストPtのスキージング作業が終了したら、ベース部14を下降させて、基板2をマスク5から離間させて版離れを行う(図6に示すステップST5の版離れ工程)。これにより基板2上の第1電極2aにペーストPtが供給された状態となり、マスク5を用いたスクリーン印刷による第1のペースト供給工程が終了する。
【0035】
第1のペースト供給工程が終了したら、制御装置9は基板保持移動ユニット4の作動制御を行って、基板保持移動ユニット4のベース部14よりも上方の部分を前方位置からマスク5の直下の位置から後方に外れる後方位置(図1の一点鎖線で示す基板保持移動ユニット4参照)に移動させる(図6に示すステップST6の後方移動工程)。
【0036】
制御装置9は、上記後方移動工程を行ったら、続いて、ペースト圧出ヘッド8を用いた第2電極2bに対する第2のペースト供給工程(図6に示すステップST7〜ステップST11)を実行する。第1のペースト供給工程では、制御装置9は先ず、基板保持移動ユニット4の作動制御を行って基板2をペースト圧出ヘッド8のカメラ34の下方に移動させる。そして、カメラ34で基板側マーク2mの撮像を行って画像認識し、これによって得られた基板側マーク2mの位置に基づいて基板2を移動させることによって、ペースト圧出ヘッド8に対する基板2の位置合わせを行う(図6に示すステップST7のヘッド・基板位置合わせ工程)。
【0037】
制御装置9は、ペースト圧出ヘッド8に対する基板2の位置合わせを行ったら、基板保持移動ユニット4の作動制御を行ってベース部14を上昇させ、基板2の上面をペースト圧出ヘッド8のブロック状部材32の下面に接触させる(図6に示すステップST8のヘッド・基板接触工程)。これにより基板2とブロック状部材32が第2電極2bと開口32aが合致して(第2電極2bがブロック状部材32の開口32a内に入り込んで)接触された状態となる(図7(a))。
【0038】
制御装置9は、ペースト圧出ヘッド8に対する基板2の位置合わせを行ったら、加圧シリンダ33の作動制御を行ってペースト貯留室8a内で加圧板8bを押し下げて(図7(b)中に示す矢印A)、ペースト圧出ヘッド8からブロック状部材32の開口32aを介してペーストPtを圧出しつつ、基板保持移動ユニット4の作動制御を行って基板2をペースト圧出ヘッド8に対して下方に離間(すなわちペースト圧出ヘッド8を基板2に対して相対的に上下方向に離間)させ(図7(b)中に示す矢印B1)、ペースト圧出ヘッド8から圧出されるペーストPtがブロック状部材32の下方に伸長されるようにする(図7(b)。図6に示すステップST9の圧出・離間工程)。
【0039】
制御装置9は、基板2をペースト圧出ヘッド8に対して下方に離間させたら、加圧シリンダ33の作動制御を行い、加圧板8bの下降動作を停止させることによって、ペースト圧出ヘッド8からのペーストPtの圧出を停止させる(図7(c)。図6に示すステップST10の圧出停止工程)。
【0040】
これにより基板2の第2電極2b上にはブロック状部材32の開口32aの厚みMt(図7(c))よりも高さの高い柱状のペーストPt(以下、ペースト柱Pttと称する)が第2電極2b上に供給されるが、このペースト柱Pttの高さH(図7(c))は、ペースト圧出ヘッド8に対して基板2を離間させる距離Lm(図7(c))に応じて調節することができる。
【0041】
制御装置9は、ペースト圧出ヘッド8からのペーストPtの圧出を停止させたら、基板保持移動ユニット4の作動制御を行い、ペースト圧出ヘッド8に対して基板2を水平面内方向に小刻みに往復相対移動させつつ基板2をペースト圧出ヘッド8に対して下方に離間させることによって(図8(a)中に示す矢印B2及び矢印C)、ペースト圧出ヘッド8(ブロック状部材32)からペーストPtを分離させる(図8(a)→図8(b)。図6に示すステップST11のペースト分離工程)。
【0042】
これによりペーストPt(ペースト柱Ptt)は倒伏することなく安定した状態で基板2の第2電極2b上に供給され、ペースト供給装置1による第2電極2b上への第2のペースト供給工程が終了する。
【0043】
制御装置9は、第2のペースト供給工程が終了したら、基板保持移動ユニット4の作動制御を行って、基板保持移動ユニット4のベース部14よりも上方の部分を後方位置から前方位置に移動させる(図6に示すステップST12の前方移動工程)。
【0044】
制御装置9は、前方移動工程を行ったら、クランプ部材17による基板2のクランプを解除したうえで下受け部材18を下降させることによって基板2の保持を解除し、搬送コンベア16を作動させて、下流側の工程の装置(例えば基板2に部品を装着する部品装着機)に基板2を搬出する(図6に示すステップST13の基板搬出工程)。
【0045】
このように、本実施の形態におけるペースト供給装置1によるペースト供給方法は、基板2上に設けられた第1電極2a及び第2電極2bに対して互いに異なる高さのペーストPtの供給(ひとつの基板2上への異なる高さのペーストPtの供給)を行うものであり、第1電極2aに対応して設けられた開口部5aを有するマスク5を第1電極2aに合致させてスキージングを行った後、マスク5を基板2から離間させるスクリーン印刷によって第1電極2aにペーストPtを供給する第1のペースト供給工程(ステップST2〜ステップST5)と、第2電極2bに対応して設けられたブロック状部材32の開口32aからペーストPtを圧出するペースト圧出ヘッド8により第2電極2bにペーストPtを圧出しつつ、ペースト圧出ヘッド8を基板2に対して相対的に上下方向に離間させることにより、第1のペースト供給工程によって第1電極2aに供給されたペーストPtの高さよりも高い高さのペーストPt(ペースト柱Ptt)を第2電極2bに供給する第2のペースト供給工程(ステップST7〜ステップST11)を含むものとなっている。
【0046】
本実施の形態におけるペースト供給方法では、スクリーン印刷によって第1電極2aにペーストPtを供給した後、第2電極2bに対応して設けられたブロック状部材32の開口32aからペーストPtを圧出するペースト圧出ヘッド8により第2電極2bにペーストPtを圧出しつつ、ペースト圧出ヘッド8を基板2に対して相対的に上下方向に離間させることにより、第1のペースト供給工程によって第1電極2aに供給されたペーストPtの高さよりも高い高さのペーストPt(ペースト柱Ptt)を第2電極2bに供給するようにしているので、従来の方法では困難であった、ひとつの基板2上への異なる高さのペーストPtの供給を確実に行うことができる。
【0047】
また、本実施の形態におけるペースト供給方法では、第2電極2bに供給するペーストPtの高さは、スクリーン印刷のようにマスクの厚さに依存しないため、第2電極2bと大型部品とを接合する場合であっても、接合に十分な高さの(したがって量の多い)ペーストPtを第2電極2bに供給することができる。
【0048】
本実施の形態では、ひとつのペースト供給装置1がマスク5を用いた第1のペースト供給工程(スクリーン印刷)とペースト圧出ヘッド8を用いた第2のペースト供給工程を行うものとなっていたが、ふたつのペースト供給装置が基板2の流れの上流側と下流側とに並んで配置され、上流側のペースト供給装置においてマスク5を用いた第1のペースト供給工程を実行し、下流側のペースト供給装置においてペースト圧出ヘッド8を用いた第2のペースト供給工程を実行するようになっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
従来の方法では困難であった、ひとつの基板上への異なる高さのペーストの供給を確実に行うことができるペースト供給方法を提供する。
【符号の説明】
【0050】
2 基板
2a 第1電極(第1の電極)
2b 第2電極(第2の電極)
5 マスク
5a 開口部
8 ペースト圧出ヘッド
32 ブロック状部材
32a 開口
Pt ペースト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられた第1の電極及び第2の電極に対して互いに異なる高さのペーストを供給するペースト供給方法であって、
第1の電極に対応して設けられた開口部を有するマスクを第1の電極に合致させてスキージングを行った後、マスクを基板から離間させるスクリーン印刷によって第1の電極にペーストを供給する第1のペースト供給工程と、
第2の電極に対応して設けられたブロック状部材の開口からペーストを圧出するペースト圧出ヘッドにより第2の電極にペーストを圧出しつつ、ペースト圧出ヘッドを基板に対して相対的に上下方向に離間させることにより、第1のペースト供給工程によって第1の電極に供給されたペーストの高さよりも高い高さのペーストを第2の電極に供給する第2のペースト供給工程とを含むことを特徴とするペースト供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−151257(P2012−151257A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8364(P2011−8364)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】