説明

ペーパーレス会議システム

【課題】セキュリティを強化したペーパーレス会議システムを提供する。
【解決手段】会議室200に、2次記憶装置を持たない複数のシンクライアント端末201を置く。会議室200から物理的に離れたサーバ室100に、シンクライアント管理サーバ101と、会議室システム管理サーバ102と、を置く。会議室システム管理サーバ102は、シンクライアント管理サーバ101に会議資料を送信し、シンクライアント管理サーバ101は、送信された会議資料を複数のシンクライアント端末201に配布する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペーパーレス会議システムに関し、特に、ペーパーレス会議システムにおいてセキュリティを強化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本願の出願前に公知である特許文献の中から本願に関連する技術を記載する文献を挙げるならば、例えば、特許文献1がある。
特許文献1は、例えば、段落0006を参照すると、シンクライアント端末を利用したサーバベースコンピューティングシステムを情報漏洩対策システムとして利用することについて、記載がある。また、段落0069ないし0089(実施例3)を参照すると、シンクライアント端末をテレビ会議端末として利用することについて、記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−311957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
いわゆる「紙ベース」と呼ばれる従来の会議システムは、会議資料の印刷等の経費がかかり高コストである、また、会議資料が会議出席者以外のメンバーの目にも触れる機会が生じる可能性があるためセキュリティ面に課題がある、というような問題点が指摘される。そのため、近時、いわゆる「ペーパーレス」が志向されている。「ペーパーレス」の具体的な実現手段としては、コンピュータ等を用いた会議の電子化である。
【0005】
会議の電子化にあたり、まず問題となるのがセキュリティ問題である。不特定多数の人員が出入りする会議室においては、情報漏洩に対する対策・管理も難しくなる。
【0006】
そこで本発明は、上記実情に鑑みて、セキュリティを強化したペーパーレス会議システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、会議室に置かれた2次記憶装置を持たない複数のシンクライアント端末と、前記会議室から物理的に離れたサーバ室に置かれた前記シンクライアント端末を管理するシンクライアント管理サーバと、前記サーバ室に置かれた会議室システム管理サーバと、を有し、前記会議室システム管理サーバは、前記シンクライアント管理サーバに会議資料を送信し、前記シンクライアント管理サーバは、送信された前記会議資料を前記複数のシンクライアント端末に配布することを特徴とする、ペーパーレス会議システムを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、セキュリティを強化したペーパーレス会議システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るペーパーレス会議システム1の構成を示す図である。
【図2】図1のペーパーレス会議システム1が実現するペーパーレス会議の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に、本発明を好適に実施した一実施形態の構成を示す。
図示のように、本実施形態に係るペーパーレス会議システム1全体は、サーバ室100内のシステムを中心に、会議室200内のシステム、及び、一般ユーザセグメント300内のシステムを含む。なお、会議室200内のシステムと、一般ユーザセグメント300内のシステムとは、相互に通信ができない構成である。サーバ室100内のシステムと、会議室200内のシステムとは、ユーザ毎ないしユーザが所属する部門毎にあらかじめ定められた権限の範囲内で通信が可能である。同様に、サーバ室100内のシステムと、一般ユーザセグメント300内のシステムとは、ユーザ毎ないしユーザが所属する部門毎にあらかじめ定められた権限の範囲内で通信が可能である。
【0011】
ペーパーレス会議システム1は、サーバ室100内に、シンクライアント管理サーバ101、会議室システム管理サーバ102、認証サーバ103、ストレージ104、バックアップサーバ105を有する。また、会議室200内に、シンクライアント端末201を複数有する。シンクライアント端末201には、それぞれにタッチパネル202が接続されている。また、ペーパーレス会議システム1は、一般ユーザセグメント300内に、自席パーソナルコンピュータ301を各々のユーザ毎に有する。
【0012】
ペーパーレス会議システム1において、サーバ室100と会議室200と一般ユーザセグメント300とは、物理的に別々に分けられていて、所定の権限を持っていなければ自由に行き来することはできない。
【0013】
以下、図1に示した各部の詳細について説明する。
シンクライアント端末201は、シンクライアント管理サーバ101が送信する会議資料に係る電子データを読み込み、解釈して、タッチパネル202に表示させる機能を備える。また、タッチパネル202により入力されるユーザの操作を受け付け、解釈して、シンクライアント管理サーバ101に送信する機能も備える。シンクライアント端末201は、オペレーション・システム等のソフトウェアプログラムがインストールされた汎用のコンピュータを用いて実現することができる。また、シンクライアント端末201は、ハードディスクドライブ、着脱可能なフラッシュメモリ、メディアに書き込み可能な光学式ドライブ等の2次記憶装置を持たない。
【0014】
タッチパネル202は、液晶ディスプレイのような表示装置の機能とポインティングデバイスのような位置入力装置の機能とを備え、例えば液晶タブレットを用いることができる。図1では、タッチパネル202をシンクライアント端末201と分離して示したが、一体化した構成としてもよい。タッチパネル202は、文字の入力ができるものであることが好ましい。ユーザがタッチパネル202を用いて入力した文字(例えば、会議メモ)は、シンクライアント端末201が解釈して、文字認識を行う。
【0015】
自席パーソナルコンピュータ301は、汎用のコンピュータを用いることができ、会議室システム管理サーバ102に接続して、ストレージ104に会議の開催情報や会議資料に係る電子データ等を登録・閲覧する機能を備える。ユーザは、会議室200やサーバ室100から物理的に離れた一般ユーザセグメント300の例えば自分の席に設置した自席パーソナルコンピュータ301を用いて、本ペーパーレス会議システム1を利用する。
【0016】
サーバ室100において、シンクライアント管理サーバ101は、会議室200に設置してある複数のシンクライアント端末201の動作を管理するサーバである。また、シンクライアント管理サーバ101は、2次記憶装置を持たないシンクライアント端末201が会議終了後にも保持しておくデータを、サーバ室100に設置しているストレージ104に登録する機能を備える。また、シンクライアント管理サーバ101は、会議時には、ストレージ104に登録されている会議資料に係る電子データを読み出し、会議出席者が手にする各シンクライアント端末201に送信する。
【0017】
会議室システム管理サーバ102は、本ペーパーレス会議システム1全体を管理するサーバである。会議室システム管理サーバ102は、会議時には、シンクライアント管理サーバ101を中心としたシンクライアントシステムを用いて、シンクライアント端末201に会議資料を表示させることで、配布する会議資料のペーパーレスを実現する。また、会議前には、一般ユーザセグメント300からの会議資料を作成したユーザによる会議資料のストレージ104への登録を管理することによって、配布前の会議資料のペーパーレスを実現する。また、会議後には、一般ユーザセグメント300からの会議資料や議事録の電子データへのアクセスを管理することによって、配布後の会議資料へのメモ書きや議事録のペーパーレスを実現する。
【0018】
認証サーバ103は、一般ユーザセグメント300からのサーバ室100内のシステムへのアクセスの認証を行い、ユーザ毎ないしユーザが所属する部門毎にあらかじめ定められた権限に適切なアクセスのみを許可する。
【0019】
ストレージ104は、例えば、ファイルサーバを用いて実現することができ、本ペーパーレス会議システム1に関係する情報を記憶する。本ペーパーレス会議システム1に関係する情報とは、ユーザデータベース及び会議資料データベースを含む。ユーザデータベースは、ユーザ毎に所属する部門や出席する会議や発表する会議資料が関連づけられているデータベースである。会議資料データベースは、会議毎に会議参加者や発表される会議資料が関連づけられているデータベースである。
【0020】
バックアップサーバ105は、ストレージ104が記憶する情報の内、少なくとも本ペーパーレス会議システム1に関係する情報について、バックアップを取って記憶しておく機能を備える。好ましくは、バックアップテープ装置を備える。
【0021】
以上で、本実施形態に係るペーパーレス会議システム1の構成の説明を終える。
以下、このペーパーレス会議システム1が実現するペーパーレス会議について、会議室システム管理サーバ102が実行する処理を中心に、説明する。
【0022】
図2に、ペーパーレス会議システム1が実現するペーパーレス会議の流れを示す。
ステップS101からステップS103までは、会議開催前の処理である。
ステップS104からステップS107までは、会議開催中の処理である。
ステップS108からステップS110までは、会議開催後の処理である。
【0023】
まず、一般ユーザセグメント300上の自席パーソナルコンピュータ301を利用する会議主催者であるユーザが会議室システムに開催する会議を登録する(ステップS101)。これを受けて、会議室システム管理サーバ102は、ストレージ104に記憶されている会議資料データベースに、新しい会議エントリを作る。
【0024】
次に、会議室システム管理サーバ102は、会議開催日時の数日前など所定のタイミングで、会議資料データベースを参照して、新しくエントリが作られた会議の会議参加者の自席パーソナルコンピュータ301へ、会議開催通知を送信する。すなわち、登録されたデータから、会議出席予定者に会議開催通知が届く(ステップS102)。なお、通知は、電子メールやインスタントメッセージ等、公知の手段を用いることができる。
【0025】
次に、主催者及び発表者が開催する会議に関連するドキュメント等(会議資料)を会議室システム管理サーバ102に登録する(ステップS103)。これを受けて、会議室システム管理サーバ102は、ストレージ104に記憶されている会議資料データベース内の、ユーザ登録しようとしている会議資料の会議エントリと、会議資料の文書ファイルとを関連づけて会議資料の文書ファイルを登録する。
【0026】
なお、このとき、必要、権限に応じて、会議出席者は前もって登録された議事情報にアクセスして、事前に会議資料に目を通すことが可能である。すなわち、自席パーソナルコンピュータ301から他の会議エントリにアクセスして、その会議エントリと関連づけられている会議資料、会議メモ、議事録を参照することができる。
【0027】
会議開催中、会議室システム管理サーバ102は、ストレージ104に記憶されている会議資料データベース内の、開催中の会議に関連づけられている会議資料を読み出し、読み出した会議資料を、シンクライアント管理サーバ101に送信し、シンクライアント管理サーバ101が制御するシンクライアント端末201にて会議資料が表されるように、シンクライアント管理サーバ101を制御する。その結果、会議室200では、シンクライアント端末201に接続されたモニタであるタッチパネル202に会議資料が表示される(ステップS104)。
【0028】
会議室200内の会議参加ユーザは、タッチパネル202を用いることによって、紙ベースの資料と同様な感覚でページめくりも可能である。また、ペンタブレットを採用することで手書き感覚で議事メモ(会議メモ)を取ることも可能となる。ユーザがタッチパネル202を用いて入力した会議メモは、シンクライアント端末201が自動的にシンクライアント管理サーバ101を介して会議室システム管理サーバ102に送信する。会議室システム管理サーバ102は、送信された会議メモを、ストレージ104内の会議資料データベース内の、開催中の会議の会議エントリに、同会議と関連づけて登録する。
【0029】
また、ユーザは、過去の会議資料を参考にしたい場合でも、会議参加履歴から容易に検索、参照することができる(ステップS106、107)。すると、過去の経緯を確認しながら、会議を進行することが可能となる。
【0030】
会議後、会議出席者は、各業務フロア(つまり一般ユーザセグメント300)の自席パーソナルコンピュータ301から会議室システム管理サーバ102へアクセスすることにより(ステップS108)、会議内容の確認(ステップS109)、議事録の作成(ステップS110)を行うことができる。
【0031】
上述した本実施形態から得られる効果について説明する。
第1の効果は、会議室にハードディスクを設置しないため、セキュリティをより強固にできることにある。会議室端末としてディスクレスのシンクライアントを採用することにより、セキュリティの強化を図っている。多数の人物が出入りする会議室にデータを置かないことでセキュリティが向上する。
【0032】
第2の効果は、ペーパーレスにすることによる作業効率の向上が実現することにある。紙ベースの会議システムの場合、会議用資料の印刷等の経費だけでなく、会議の事前準備、資料回収、処分と事後処理まで多大な人件費を投入する必要があった。会議室システムで一元管理することで、これらの作業工数、経費を削減することが可能となる。また、会議直前の資料差し替えなど、柔軟な対応も可能となる。
【0033】
第3の効果としては、会議参加者も膨大な量の資料を自身で管理する必要がなくなり、過去の資料検索、会議内容の確認、議事録の確認が容易になるという効果がある。
【0034】
第4の効果としては、各自のモニタ(タッチパネル202)に発表者の会議資料が表示され、ペンタブレットを利用して手書き感覚で会議メモを取ることができるようになるので、普段電子機器の利用になれていない人にとっても容易な操作性を提供することが可能になるという効果がある。
【0035】
第5の効果としては、会議資料や会議メモといったデータがサーバ室にあるストレージ104に格納され、会議参加者が業務フロアの自席PCからこれらデータにアクセスし、アクセスは認証サーバ103によりアクセス権の振り分けが行われるため、セキュリティ面を考慮した会議室システム運用が実現するという効果がある。
【0036】
第6の効果としては、ペーパーレス会議システムを導入するにあたって、会議室には省スペースなシンクライアント端末を入れる程度で済むため、什器の入れ替え等を必要とせず既存の会議室の什器をそのまま使えるという効果がある。従来、会議室に新規システムを導入する場合、通常は会議卓等の什器をカスタマイズする必要があり敷居を高いものにしていた。この観点から、この第6の効果は顕著である。
【0037】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0038】
(付記1)
会議室に置かれた2次記憶装置を持たない複数のシンクライアント端末と、
前記会議室から物理的に離れたサーバ室に置かれた前記シンクライアント端末を管理するシンクライアント管理サーバと、
前記サーバ室に置かれた会議室システム管理サーバと、
を有し、
前記会議室システム管理サーバは、前記シンクライアント管理サーバに会議資料を送信し、
前記シンクライアント管理サーバは、送信された前記会議資料を前記複数のシンクライアント端末に配布する
ことを特徴とする、ペーパーレス会議システム。
【0039】
(付記2)
前記サーバ室は、前記会議室システム管理サーバにアクセスするユーザの認証を行う認証サーバと、前記会議資料を記憶するストレージと、を有し、
前記会議室システム管理サーバは、前記認証サーバにより所定の権限を有することが確認されたユーザが前記会議資料を登録しようとした場合に、前記ストレージに、前記会議資料を記憶させる
ことを特徴とする、付記1記載のペーパーレス会議システム。
【0040】
(付記3)
前記会議室システム管理サーバは、会議開催が登録された会議の参加者に該当するユーザに対して、所定のタイミングで、会議の開催を通知することを特徴とする、付記1又は2記載のペーパーレス会議システム。
【0041】
(付記4)
前記複数のシンクライアント端末は、各々、前記会議資料の表示及び手書き入力可能なタッチパネルを備えることを特徴とする、付記1から3のいずれか1項記載のペーパーレス会議システム。
【0042】
(付記5)
前記シンクライアント端末は、前記タッチパネルから会議メモが手書き入力により入力された場合に、前記会議メモを前記シンクライアント管理サーバへ送信し、
前記会議室システム管理サーバは、前記シンクライアント管理サーバから前記会議メモを受信して、開催中の会議と関連づけて前記会議メモを登録する
ことを特徴とする、付記4記載のペーパーレス会議システム。
【0043】
(付記6)
前記タッチパネルは、前記会議資料のページめくりが可能であることを特徴とする、付記4又は5記載のペーパーレス会議システム。
【符号の説明】
【0044】
1 ペーパーレス会議システム
100 サーバ室
101 シンクライアント管理サーバ
102 会議室システム管理サーバ
103 認証サーバ
104 ストレージ
105 バックアップサーバ
200 会議室
201 シンクライアント端末
202 タッチパネル
300 一般ユーザセグメント
301 自席パーソナルコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
会議室に置かれた2次記憶装置を持たない複数のシンクライアント端末と、
前記会議室から物理的に離れたサーバ室に置かれた前記シンクライアント端末を管理するシンクライアント管理サーバと、
前記サーバ室に置かれた会議室システム管理サーバと、
を有し、
前記会議室システム管理サーバは、前記シンクライアント管理サーバに会議資料を送信し、
前記シンクライアント管理サーバは、送信された前記会議資料を前記複数のシンクライアント端末に配布する
ことを特徴とする、ペーパーレス会議システム。
【請求項2】
前記サーバ室は、前記会議室システム管理サーバにアクセスするユーザの認証を行う認証サーバと、前記会議資料を記憶するストレージと、を有し、
前記会議室システム管理サーバは、前記認証サーバにより所定の権限を有することが確認されたユーザが前記会議資料を登録しようとした場合に、前記ストレージに、前記会議資料を記憶させる
ことを特徴とする、請求項1記載のペーパーレス会議システム。
【請求項3】
前記会議室システム管理サーバは、会議開催が登録された会議の参加者に該当するユーザに対して、所定のタイミングで、会議の開催を通知することを特徴とする、請求項1又は2記載のペーパーレス会議システム。
【請求項4】
前記複数のシンクライアント端末は、各々、前記会議資料の表示及び手書き入力可能なタッチパネルを備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項記載のペーパーレス会議システム。
【請求項5】
前記シンクライアント端末は、前記タッチパネルから会議メモが手書き入力により入力された場合に、前記会議メモを前記シンクライアント管理サーバへ送信し、
前記会議室システム管理サーバは、前記シンクライアント管理サーバから前記会議メモを受信して、開催中の会議と関連づけて前記会議メモを登録する
ことを特徴とする、請求項4記載のペーパーレス会議システム。
【請求項6】
前記タッチパネルは、前記会議資料のページめくりが可能であることを特徴とする、請求項4又は5記載のペーパーレス会議システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−182051(P2011−182051A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42164(P2010−42164)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】