説明

ホウ素架橋オルガノポリシロキサンのエマルションおよびパーソナルケア組成物におけるそれらの使用

シラノール官能性オルガノポリシロキサン、ホウ素化合物、乳化剤の混合物を形成する工程、およびその後、混合物に水を加えて混合し、エマルションを形成する工程によって、エマルション組成物を調製するための方法を開示する。得られたエマルションは、パーソナルケア用途、特にヘアケア組成物において便益を提供するために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は2008年4月14日に出願された米国仮特許出願第61/044594号および2008年12月22日に出願された米国仮特許出願第61/139708号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、ホウ素架橋シリコーンのエマルション組成物に関する。このエマルションは、様々なパーソナルケア製品に有用な、高粘度のシリコーンのコーティングを提供する。
【背景技術】
【0003】
バルクでの取扱いの代替として、高分子量シリコーンのエマルションを提供するための、数多くの試みが存在する。一般的に、高分子量シリコーンを調製するための2つのタイプの方法が存在し、それは、シロキサンモノマーのエマルション重合、または、あらかじめ形成した高分子量シリコーンの機械的な乳化のどちらかである。非常によく、シリコーンの特性に影響を与えるために、シリコーン組成物中に他の成分を組み込む必要が存在する。例えば、他の添加成分、例えば充填剤、触媒、または架橋剤が、シリコーン組成物において関心が寄せられ、続けてシリコーンの物理的な特性を変える。しかし、シリコーンエマルション組成物中のこれらの成分の多くの組み込みは、添加成分の選択およびエマルション方法(つまり、機械的方法かエマルション重合法か)に応じて問題となり得る。例えば、所望のシリコーン添加成分が乳化方法の間に水と相互作用する場合、シリコーンエマルションにその添加剤を組み込むことは困難または不可能であるかもしれない。
【0004】
シリコーンエマルション分野において、様々な架橋成分をオルガノポリシロキサンに組み込み、高分子量または弾性シリコーン組成物を提供する、豊富な例が存在する。しかし、シリコーンエマルションにおける架橋添加剤としてホウ素化合物の添加のための例はほとんど存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4863985号
【特許文献2】米国特許第6051216号
【特許文献3】米国特許第5919441号
【特許文献4】米国特許第5981680号
【特許文献5】国際公開2004/060271号
【特許文献6】国際公開2004/060101号
【特許文献7】国際公開2004/060276号
【特許文献8】国際公開03/105801号
【特許文献9】米国特許出願第2003/0235553号
【特許文献10】米国特許出願第2003/0072730号
【特許文献11】米国特許出願第2003/0170188号
【特許文献12】欧州特許第1266647号
【特許文献13】欧州特許第1266648号
【特許文献14】欧州特許第1266653号
【特許文献15】国際公開03/105789号
【特許文献16】国際公開2004/000247号
【特許文献17】国際公開03/106614号
【特許文献18】国際公開2004/054523号
【特許文献19】米国特許出願第2004/0180032号
【特許文献20】国際公開2004/054524号
【特許文献21】米国特許第4009256号
【特許文献22】英国特許出願第9403156.4号(国際公開95/22311号)
【特許文献23】米国特許第3962418号
【特許文献24】米国特許第3958581号
【特許文献25】米国特許第4741855号
【特許文献26】米国特許第4788006号
【特許文献27】米国特許第4704272号
【特許文献28】米国特許第2798053号
【特許文献29】欧州特許出願第678292号
【特許文献30】米国特許第4585597号
【特許文献31】仏国特許出願第2236515号
【特許文献32】仏国特許出願第2282426号
【特許文献33】仏国特許出願第2645148号
【特許文献34】仏国特許出願第2430938号
【特許文献35】仏国特許出願第2592380号
【特許文献36】仏国特許出願FR-A-2326405号
【特許文献37】仏国特許出願FR-A-2440933号
【特許文献38】欧州特許出願EP-A-0114607号
【特許文献39】欧州特許出願EP-A-0487404号
【特許文献40】欧州特許出願EP-A-0518772号
【特許文献41】欧州特許出願EP-A-0518773号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】CTFA Cosmetic Ingredient Directory、第3版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
たくさんのホウ素架橋オルガノポリシロキサン、またはボロシロキサンが、その固有の膨張特性によって、特に関心が寄せられている。例えば、膨張性ホウ素架橋シリコーンは、アクティブ保護システム(APS)において使用されており、素材がホウ素架橋シリコーンで被覆されている。しかし、このような方法は、ホウ素架橋シリコーンを、最初に溶剤中に分散または溶解させる必要がある。ホウ素架橋シリコーンの水ベースのエマルションが、このような方法において、使用するために容易であり、環境的により望ましい。しかし、ホウ素架橋シリコーンまたはボロシロキサンのエマルションの例はほとんど存在しない。おそらく、ホウ素架橋剤と水の相互作用が、水ベースの組成物中の架橋化学を制限していた。したがって、望まない溶剤ベースの方法を避けるため、ホウ素架橋シリコーンのエマルションを提供するための要求が存在する。
【0008】
米国特許第4863985号は、エラストマー状態に架橋できる水性シリコーンエマルションを教示する。特に、米国特許第4863985号は、例えば、建設業界のためのエラストマーシールを作るための、そこからの水の除去でエラストマー状態に架橋可能なチキソトロピー性のシリコーンエマルションを開示し、これは、4から8のpH、および少なくとも50%の固形分量を有し、(A) 100部のα,ω-(ジヒドロキシ)ポリジオルガノシロキサンの水中油型エマルション、および安定化量の少なくとも1つのアニオン性または非イオン性表面活性剤、またはこれらの混合物、(B) 1から15部のパウダー形態のシリカの補強充填剤、(C) 0から250部のシリカの充填剤(B)以外の無機充填剤、(D) 0.01から2部の触媒のスズ化合物、および(E) 0.1から5部の酸化ホウ素、ホウ酸またはボレートを含む。米国特許第4863985号は、エラストマーのシリコーンを提供するシリコーンのエマルションを教示する一方、これらの組成物内にはスズおよび充填剤の添加が必要である。さらに、米国特許第4863985号は、あらかじめ形成されたα,ω-(ジヒドロキシ)ポリジオルガノシロキサンの水中油型エマルションへのホウ素化合物の添加を教示する。
【0009】
本発明者らは、ホウ素架橋オルガノポリシロキサンのエマルションを発見した。先行技術の教示に対して、本発明者らは、意外にも、ホウ素化合物を、エマルションを形成する前にオルガノポリシロキサンに組み込んでもよいことを発見した。この方法は、続けて物理的特性を変化させるシリコーンポリマーを生成する、ホウ素架橋オルガノポリシロキサンのエマルションを提供する。特に、本方法は、様々なパーソナルケア製品において有用な、高粘度シリコーンのコーティングを生成する、ホウ素架橋オルガノポリシロキサンのエマルションを提供し、特に、ヘアケア用途にとって、髪のもつれをほぐし、コーミングし、柔軟性、滑らかさおよび滑りやすさを容易にすることを含む、コンディショニングの便益を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、24℃において少なくとも1000mPa・sの粘度を有するホウ素架橋オルガノポリシロキサンのエマルションを提供し、このエマルションは、
I) 以下:
A) シラノール官能性オルガノポリシロキサン、
B) ホウ素化合物、
C) 乳化剤、
の混合物を形成する工程;
II) 工程I)の混合物に水を加えて混合し、エマルションを形成する工程;
III) 場合によって、エマルションをさらにせん断混合する工程
によって得られる。
【0011】
本エマルションは、様々な用途において有用である。例えば、本方法は、パーソナルケア製品において有用な、高粘度のシリコーンのエマルションを提供し、特にこれらはヘアケア製品に処方された場合、コンディショニングの便益を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】エマルションからのポリマーの粘度(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本エマルションを調製するための方法の最初の工程は、以下:
A) シラノール官能性オルガノポリシロキサン、
B) ホウ素化合物、および
C) 乳化剤、
の混合物を形成する工程を含み、それぞれは以下でより詳細が記載される。
【0014】
A) シラノール官能性オルガノポリシロキサン
オルガノポリシロキサンは、独立に(R3SiO0.5)、(R2SiO)、(RSiO1.5)、または(SiO2)シロキシ単位から選択される、シロキサン単位を含むポリマーであり、ここで、Rは独立に有機基、OH(シラノール)、またはH(SiH官能性)であってもよい。これらのシロキシ単位は、一般的に、それぞれM、D、T、およびQ単位として表される。これらのシロキシ単位は、様々な方法で組み合わされることができ、環式、直鎖、または分岐構造を形成する。得られるポリマー構造の化学的および物理的特性は、オルガノポリシロキサン中に存在するそれぞれのシロキシ単位のタイプおよび数に依存して変化するだろう。例えば、オルガノポリシロキサンは、揮発性または低粘性流体、高粘性流体/ガム、エラストマーまたはゴム、および樹脂となり得る。
【0015】
本発明において成分A)として有用なオルガノポリシロキサンは、(R3SiO0.5)、(R2SiO)、(RSiO1.5)、または(SiO2)シロキシ単位のいずれの組合せを有してもよく、ただし、このオルガノポリシロキサンは少なくとも1つのシラノール基(SiOH)を含む。したがって、オルガノポリシロキサンは分子量が変化してもよく、液体、ガム、エラストマー、樹脂、またはこれらのいずれかの組合せであってもよい。例えば、オルガノポリシロキサンは、低分子量の液体のオルガノポリシロキサン中の高分子量のオルガノポリシロキサン(例えばエラストマーまたは樹脂)の混合物であってもよく、ただし、成分Aのオルガノポリシロキサン組成物の中に少なくとも1つのシラノール基が存在する。
【0016】
オルガノポリシロキサン中に存在するシラノール基の量は変化してもよい。オルガノポリシロキサン中のシラノール基の量は、SiOHの質量%として設計されてもよい。典型的なシラノール基の質量%は、成分A)として有用なオルガノポリシロキサン中で、0.01から20質量%、代わりには0.05から10質量%、代わりには0.05から4質量%で変化する。
【0017】
一実施形態において、オルガノポリシロキサンは、末端シラノール基を有する、主に直鎖のポリジメチルシロキサンである。末端シラノール基を有する、主に直鎖のポリジメチルシロキサンは、以下の式:
HO(Me)2SiO[(Me)2SiO]x(Me)2SiOH
を有していてもよい。ここで、xは>0であり、代わりには、xは1〜4000であり、代わりには、10〜1000である。
【0018】
さらに別の実施形態において、シラノール官能性オルガノポリシロキサンは、成分B)およびC)と混合される前または間に、他のシランまたはポリシロキサン成分と混合されてもよい。他のシランまたはシロキサン成分には、シラノール官能性オルガノポリシロキサンと反応することができる、オルガノ官能性シランまたはオルガノ官能性ポリシロキサンが含まれる。好適なオルガノ官能性シランには、アミノ官能性シラン、例えば、
アミノプロピルトリメトキシシラン、
エチレンジアミンプロピルトリメトキシシラン、または
エチレンジアミンイソブチルトリメトキシシラン
が含まれる。
【0019】
好適なオルガノ官能性ポリシロキサンには、アミノ官能性オルガノポリシロキサン、例えば以下の式:
R2R2SiO(R2SiO)a(R1RSiO)bSiR2R2または
R2R2SiO(R2SiO)a(R1SiO3/2)bSiR2R2
を有するものが含まれる。ここで、Rは一価の有機基、R1は-R3NH2および-R3NHR4NH2からなる群から選択される式を有するアミノアルキル基であり(ここで、R3は少なくとも3個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、R4は少なくとも2個の炭素原子を有する二価の炭化水素基である)、R2はR、R1、またはOHであり、aは0から2000の値を有し、およびbは0より大きく、200までの値を有する。一価のR基は、アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、およびヘキシル)、アルケニル基(例えばビニル、アリル、およびヘキセニル)、シクロアルキル基(例えばシクロブチルおよびシクロヘキシル)、アリール基(例えばフェニルおよびナフチル)、アラルキル基(例えばベンジルおよび2-フェニルエチル)、アルカリール基(例えばトリルおよびキシリル)、ハロ炭化水素基(例えば3-クロロプロピル、4-ブロモブチル、3,3,3-トリフルオロプロピル、クロロシクロヘキシル、ブロモフェニル、およびクロロフェニル)により例示される。典型的には、Rは1から6個の炭素原子を有する一価の炭化水素基である。特に好ましいR基は、メチル、フェニル、およびビニルである。基R3は、典型的には、3から20個の炭素原子を有するアルキレン基である。典型的には、R3は、プロピレン、-CH2CHCH3-、ブチレン、-CH2CH(CH3)CH2-、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、3-エチル-ヘキサメチレン、オクタメチレン、およびドデカメチレンから選択される。基R4は、典型的には、2から20個の炭素原子を有するアルキレン基である。典型的には、R4は、エチレン、プロピレン、-CH2CHCH3-、ブチレン、-CH2CH(CH3)CH2-、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、3-エチル-ヘキサメチレン、オクタメチレン、およびドデカメチレンから選択される。R1は、典型的には、-CH2CH2CH2NHCH2CH2NH2または-CH2CH(CH3)CH2NHCH2CH2NH2である。これらの同じアミノ官能基の塩を使用してもよい。このような塩の例には、アルキルカルボン酸塩、アリールカルボン酸塩、ハロゲン化物塩(例えば塩化物または臭化物)、および他の有機酸とアミンの中性生成物が含まれる。基R2はR、R1、または-OHでもよいが、典型的には、R2はメチルまたは-OHである。ポリオルガノシロキサンは、0.1から15モル%の上記で記載したアミノ基、および最も典型的には、0.2から10モル%の上記で記載したアミノ基を有していてもよい。上記の式において、典型的には、aは50から2000の値を有し、bは1から100の値を有する。本発明において有用なアミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、当分野でよく知られている手順によって調製することができる。これらのポリオルガノシロキサンの多くは、商業的に入手可能である。
【0020】
工程Iにおいて添加されるシラノール官能性ポリオルガノシロキサンの量は、変化してもよい。使用される量は、工程I)において使用されるホウ素化合物のタイプおよび量、ならびに所望の架橋の程度に依存する。典型的には、シラノール官能性オルガノポリシロキサンの量は、工程Iにおける混合物の全質量に基づいて、50から99、代わりには75から95、代わりには85から90質量%の範囲である。
【0021】
B) ホウ素化合物
成分B)はホウ素化合物である。本明細書において使用される「ホウ素化合物」としては、ホウ素を含む任意の化合物を意味する。オルガノポリシロキサンと反応することが知られている任意のホウ素化合物は、成分B)として選択されてもよい。代わりには、ホウ素化合物は、オルガノポリシロキサンのシラノール官能基と反応することが知られているものから選択されてもよい。このようなホウ素化合物には、ホウ素または酸化ホウ素、ホウ酸、ボレート、無水ホウ酸(boric anhydride)が含まれる。ホウ酸は、オルトホウ酸、メタホウ酸、またはテトラホウ酸であってもよい。ボレートには、水の存在下で加水分解してホウ酸になる、アルキルおよびアリルホウ酸エステル/トリオルガノボレート、例えばトリエチルボレート、トリフェニルボレート、トリベンジルボレート、トリシクロヘキシルボレート、トリ(メチルシリル)ボレート、トリ-t-ブチルボレート、トリアルコキシボロキシン(例えばトリメトキシボロキシンおよびトリイソプロポキシボロキシン)、トリエタノールアミンボレート、および誘導体(例えば2,2’-オキシビス[4,4,6-トリメチル-1,3,2-ジオキサボラニン])が含まれる。ボレートはまた、無機ボレート、例えばジアンモニウムペンタボレート、ナトリウムテトラボレート十水和物(ホウ砂)、カリウムペンタボレート、マグネシウムジボレート、カルシウムモノボレート、バリウムトリボレート、および亜鉛メタボレートを包含する。好適なホウ素化合物には、前述のボレートの部分加水分解生成物がさらに含まれる。典型的には、ホウ素化合物は、酸化ホウ素(III)、三酸化ホウ素(boron trioxide)、または三酸化二ホウ素(diboron trioxide)としても知られている、式B2O3[CAS登録#1303-86-2]を有する酸化ホウ素である。
【0022】
ホウ素化合物は、工程Iにおいて、単独または他の成分と組み合わせて添加されてもよい。
【0023】
一実施形態において、ホウ素化合物は酸化ホウ素であり、トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、例えば25℃において0.65cS(mm2/s)から100000cS(mm2/s)、代わりには25℃において100から10000cS(mm2/s)、または代わりには25℃において100から1000cS(mm2/s)の範囲の粘度を有するDow Corning(登録商標) 200 fluid中に分散される。
【0024】
トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン中に分散される酸化ホウ素の量は変化してもよいが、典型的には、0.5から70、代わりには10から50質量%、代わりには40から50質量%の範囲である。
【0025】
工程Iにおいて添加されるホウ素化合物の量は変化してもよい。使用される量は、工程I)において使用されるオルガノポリシロキサンのタイプおよび量、ならびに所望の架橋の程度に依存する。典型的には、ホウ素化合物の量は、工程Iにおける混合物の全質量に基づいて、0.05から30、代わりには0.1から10、代わりには0.1から6質量%の範囲である。
【0026】
C) 乳化剤
本開示の方法における成分Cは、乳化剤である。本明細書において使用される「乳化剤」としては、乳化の形成を可能にする任意の化合物または物質を表す。エマルションは、油/水エマルション、水/油エマルション、多相または三相(triple)エマルションであってもよい。乳化剤は、エマルションを安定化することを可能にする、任意の表面活性化合物またはポリマーから選択されてもよい。典型的には、このような表面活性化合物またはポリマーは、分散した粒子の合体を防ぐことによってエマルションを安定化させる。本方法における乳化剤として有用な表面活性化合物は、界面活性剤または界面活性剤の組合せであってもよい。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、またはこれらの界面活性剤のいずれかの混合物であってもよい。
【0027】
好適なアニオン性界面活性剤の代表的な例には、高級脂肪酸のアルカリ金属せっけん、アルキルアリールスルホネート(例えばナトリウムドデシルベンゼンスルホネート)、長鎖の脂肪アルコールサルフェート、オレフィンサルフェートおよびオレフィンスルホネート、硫酸化モノグリセリド、硫酸化エステル、スルホン化エトキシ化アルコール、スルホサクシネート、アルカンスルホネート、ホスフェートエステル、アルキルイセチオネート、アルキルタウレート、およびアルキルサルコシネートが含まれる。
【0028】
好適なカチオン性界面活性剤の代表的な例には、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、スルホニウム塩、およびホスホニウム塩が含まれる。好適な非イオン性界面活性剤の代表的な例には、長鎖の脂肪アルコールまたは脂肪酸、例えばC12〜16アルコールとエチレンオキシドとの縮合体、アミンまたはアミドとエチレンオキシドとの縮合体、エチレンおよびプロピレンオキシドの縮合生成物、グリセロールのエステル、スクロース、ソルビトール、脂肪酸アルキロールアミド、スクロースエステル、フルオロ-界面活性剤、および脂肪アミンオキシドが含まれる。好適な両性界面活性剤の例には、イミダゾリン化合物、アルキルアミノ酸塩、およびベタインが含まれる。
【0029】
好適な商業的に入手可能な非イオン性界面活性剤の代表的な例には、Uniqema(ICI Surfactants)、Wilmington、DelawareによりBRIJ(登録商標)の商品名で販売されているポリオキシエチレン脂肪アルコールが含まれる。いくつかの例は、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルとして知られているエトキシ化アルコールである、BRIJ(登録商標) 35 Liquid、およびポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルとして知られている別のエトキシ化アルコールである、BRIJ(登録商標) 30である。いくつかの追加の非イオン性界面活性剤には、The Dow Chemical Company、Midland、MichiganによりTERGITOL(登録商標)の商標名で販売されているエトキシ化アルコールが含まれる。いくつかの例は、エトキシ化トリメチルノナノールとして知られているエトキシ化アルコールである、TERGITOL(登録商標) TMN-6、および商標名TERGITOL(登録商標) 15-S-5、TERGITOL(登録商標) 15-S-12、TERGITOL(登録商標) 15-S-15、およびTERGITOL(登録商標) 15-S-40で販売されている、様々なエトキシ化アルコール、つまりC12〜C14第二級アルコールエトキシレートである。エトキシ化C10-ゲルベ(Guerbet)アルコールとして知られているLutensol XPシリーズにおいてBASFにより供給されるLutensol(登録商標)、およびエトキシ化iso-C13アルコールとして知られているLutensol TOを使用してもよい。
【0030】
非イオン性界面活性剤を含む混合物が使用される場合、2つの非イオン性界面活性剤が11〜15の組み合わされたHLB、代わりには12.5〜14.5の組み合わされたHLBを有するように、1つの非イオン性界面活性剤は低い親水親油バランス(HLB)を有してもよく、他の非イオン性界面活性剤は高いHLBを有してもよい。
【0031】
代わりには、乳化剤は、ポリマー、または「増粘剤」あるいは「増粘する薬剤」として考えられている物質であってもよい。このようなポリマー乳化剤には、ポリビニルアルコール、セルロースポリマーまたはキサンタンガムが含まれる。ポリビニルアルコールには、加水分解されたポリビニルアルコール、例えば80〜95%が加水分解されたポリビニルアルコールが含まれる。好適な増粘剤は、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、ポリオキシエチレン、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、エトキシ化アルコール(例えばラウレス-4またはポリエチレングリコール400)、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシルプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルヒドロキシエチルセルロースにより例示される)、デンプン、およびデンプン誘導体(ヒドロキシエチルアミロースおよびアミロースデンプンにより例示される)、ローカストビーンガム、電解質(塩化ナトリウムおよび塩化アンモニウムにより例示される)、およびサッカリド(例えばフルクトースおよびグルコース)、およびサッカリドの誘導体(例えばPEG-120メチルグルコースジオラート)、またはこれらの2つ以上の混合物により例示される。典型的には、増粘剤は、セルロース誘導体、サッカリド誘導体、および電解質からなる群から選択されるか、またはセルロース誘導体と任意の電解質、およびデンプン誘導体と任意の電解質の組合せにより例示される、上記の増粘剤の2つ以上の組合せから選択される。
【0032】
乳化剤は、工程Iにおいて、水の量を変化させて、単独または組み合わせのどちらかにおいて添加されてもよい。典型的には、界面活性剤または界面活性剤の組合せが乳化剤として選択される場合、界面活性剤は、工程Iにおいて、濃縮された水性分散体として、または代わりには、水性溶液として添加される。
【0033】
一実施形態において、乳化剤は、少なくとも70質量%の、8〜15の組み合わされたHLBを有する2つの非イオン性界面活性剤を含む水性溶液である。
【0034】
代わりには、乳化剤は、5から30質量%の、8から15の単独のHLBを有する非イオン性界面活性剤の水性溶液であるか、または、乳化剤は、少なくとも20質量%の1つの非イオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤を含む水性溶液であるか、あるいは、乳化剤は、30から100質量%のアニオン性界面活性剤を含む水性界面活性剤である。
【0035】
工程Iにおいて添加される乳化剤の量は、変化してもよい。使用される量は、エマルションのタイプおよび所望の粒子サイズに依存する。典型的には、工程Iにおいて添加される乳化剤の量は、工程Iにおける混合物の、0.1から40、代わりには0.5から30質量%の量である。
【0036】
工程(I)における混合工程は、高粘度物質の混合に影響を与えるための、当分野で知られている任意の方法によって達成することができる。混合は、バッチ、半連続、または連続方法のどちらかとして起きる。例えば、チェンジキャンミキサー(change-can mixer)、ダブルプラネタリーミキサー(double-planetary mixer)、コニカルスクリューミキサー(conical-screw mixer)、リボンブレンダー(ribbon blender)、ダブルアーム(double-arm)またはシグマブレード(sigma-blade)ミキサーを含む、中間/低せん断を伴うバッチ混合装置、Charles Ross & Sons (NY)、Hockmeyer Equipment Corp. (NJ)により製造されるものを含む、高せん断および高速分散機、Banburyタイプ(CW Brabender Instruments Inc.、NJ)およびHenschelタイプ(Henschel mixers America、TX)を含む、高せん断動作を伴うバッチ装置を使用して、混合が起きる。連続ミキサー/コンパウンダーの実例には、一軸、二軸、および多軸の押出機、共回転押出機(例えばKrupp Werner & Pfleiderer Corp(Ramsey、NJ)およびLeistritz(NJ)により製造されたもの)、二軸反転押出機(twin-screw counter-rotating extruder)、二段階押出機(two-stage extruder)、二回転連続ミキサー(twin-rotor continuous mixer)、動的または静的ミキサー、あるいはこれらの装置の組合せが含まれる。
【0037】
工程Iの混合が起きる温度および圧力は重要ではないが、一般的には、周囲の温度および大気圧で行われる。典型的には、混合物の温度は、このような高粘度の物質のせん断に伴う機械的なエネルギーにより混合プロセスの間に上昇する。
【0038】
いずれの理論にも制約されることを望まないが、本発明者らは、成分A)、B)、およびC)を混合する結果として、ホウ素化合物がシラノール官能性オルガノポリシロキサンと反応して、様々な架橋を形成すると考えている。しかし、工程I)の混合物における乳化剤の含有が、続けて工程II)におけるエマルションの形成を促進する。
【0039】
方法の工程IIは、工程Iの混合物に水を追加して混合し、エマルションを形成する工程を含む。典型的には、5から700部の水が、100部の工程Iの混合物ごとに混合され、エマルションを形成する。一実施形態において、形成されたエマルションは、水連続エマルション(water continuous emulsion)である。典型的には、水連続エマルションは、工程Iからのホウ素架橋オルガノポリシロキサンの分散された粒子を有し、これは150μmより小さい平均粒子サイズを有する。
【0040】
追加される水の量は、100重量部の工程Iからの混合物あたり、5から700重量部で変化することができる。水は、工程Iからの混合物に、工程Iの混合物のエマルションを形成するための速度で加えられる。この水の量は酸化ホウ素架橋オルガノポリシロキサンおよび乳化剤の選択に依存して変化し得るが、一般的には、水の量は、工程Iの混合物の100重量部あたり5から700重量部、代わりには工程Iの混合物の100重量部あたり5から100重量部、または代わりには工程Iの混合物の100重量部あたり5から70重量部である。
【0041】
典型的には、水は、増分部分ごとに工程Iからの混合物に加えられ、それぞれの増分部分は、工程Iからの混合物の30質量%未満を含み、ぞれぞれの水の増分部分は、前の水の増分部分の分散後に連続的に加えられ、十分な水の増分部分は、ホウ酸架橋オルガノポリシロキサンのエマルションを形成するために加えられる。
【0042】
工程(II)における混合は、高粘度の物質の混合に影響を与えるための、当分野で知られている任意の方法によって達成することができる。混合は、バッチ、半連続、または連続方法のどちらかとして起きる。工程(I)のために記載されたいずれかの混合方法を、工程(II)における混合に影響を与えるために使用してもよい。
【0043】
場合によって、工程(II)において形成される水連続エマルションは、工程(III)によってさらにせん断されてもよく、粒子サイズが減少し、および/または長期間の貯蔵安定性を改善する。せん断は、上記で議論されたいずれかの混合技術によって起きてもよい。
【0044】
本方法から得られるエマルション生成物は、油/水エマルション、水/油エマルション、多相または三相エマルションであってもよい。
【0045】
一実施形態において、本方法により生成されたエマルション生成物は、油/水エマルションである。油/水エマルションは、連続水相中に分散されたホウ素架橋オルガノポリシロキサン相の平均体積粒子により特徴付けられてもよい。粒子サイズは、エマルションのレーザー回折により決定されてもよい。好適なレーザー回折技術は、当分野においてよく知られている。粒子サイズは、粒子サイズ分布(PSD)から得られる。PSDは、体積、表面、長さを基準にして決定することができる。体積粒子サイズは、所定の粒子と同じ体積を有する球の直径に等しい。用語Dvは、分散された粒子の平均体積粒子サイズを表す。Dv0.5は、50%の累積する粒子の集団に対応する体積で測定された粒子サイズである。言い換えると、Dv0.5 = 10μmの場合、50%の粒子が10μm未満の平均体積粒子サイズを有し、50%の粒子が10μmを超える平均体積粒子サイズを有する。他に示されていなければ、すべての平均体積粒子サイズは、Dv0.5を使用して計算される。
【0046】
油/水エマルション中に分散されたシロキサン粒子の平均体積粒子サイズは、0.1μmから150μmの間、または0.1μmと30μmの間、または0.3μmと5.0μmの間である。
【0047】
本開示のエマルションは、得られるフィルム、またはエマルションのフィルムを乾燥させた後に生成するコーティングの特性により、さらに特徴付けられてもよい。典型的には、このようなコーティングは、エマルションのフィルムを形成することによって得られ、フィルムはエマルション中に存在する水を蒸発させるために十分な間の時間置いておく。この方法は、フィルムまたはコーティングの周囲の温度を上げることによって加速されてもよい。
【0048】
本エマルションから得られるフィルムまたはコーティングは、レオロジー特性、例えばCarri-Medレオメーターにより特徴付けられてもよく、0.2HzにおけるLVRにおいて、動的せん断蓄積(dynamic shear storage)(G’)および損失モジュール(loss module)(G’’)の両方を決定する。
【0049】
一実施形態において、得られるフィルムは、動粘度により特徴付けられる高粘度流体として考えられてもよい。得られるフィルムの動粘度は、24℃において測定され、少なくとも1000mPa・s、代わりには10000mPa・sから100000000mPa・s、または代わりには10000から10000000mPa・sである。
【0050】
他の添加剤、例えば充填剤、泡制御剤、不凍剤および殺生物剤も本開示のエマルション中に組み込むことができる。
【0051】
シリコーンエマルションを含む組成物は、パーソナルケア製品に処方されてもよい。本発明のパーソナルケア組成物は、クリーム、ゲル、パウダー、ペースト、または自由に注ぐことができる液体の形態であってもよい。一般的に、このような組成物は、室温で固体の物質が組成物中に存在しない場合、単純なプロペラミキサー、Brookfield反転ミキサー、または均質化ミキサーを使用して、室温で調製することができる。特別な装置またはプロセス条件は、典型的には必要とされない。製造される形態のタイプに応じて、調製方法は異なるが、このような方法は当分野においてよく知られている。
【0052】
パーソナルケア製品は、それらを塗布した体の一部に対して、美容効果があり、治療効果があり、またはこれらのいくつかの組合せの点で機能的であってもよい。このような製品の従来の例には、これに制限されないが、制汗剤および脱臭剤、スキンケアクリーム、スキンケアローション、保湿剤、フェイシャルトリートメント(例えば、にきびまたはしわ除去剤)、パーソナルおよびフェイシャルクレンザー、シャワーゲル、バスオイル、香水、コロン、サシェ、日光遮蔽剤、シェーブ前およびシェーブ後のローション、シェービングソープ、およびシェービングラザー(shaving lather)、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘア着色剤、ヘア弛緩剤、ヘアスプレー、ムース、ゲル、パーマネント、脱毛剤、およびキューティクルコート、メイクアップ、カラー化粧品、ファンデーション、コンシーラー、頬紅、リップスティック、アイライナー、マスカラ、オイル除去剤、カラー化粧品除去剤、およびパウダー、薬用クリーム、抗にきび剤を含むペーストまたはスプレー、歯科衛生剤(dental hygienic)、抗生物質、治療促進剤(healing promotive)、栄養剤、または予防および/あるいは治療効果がある同様のものが含まれる。一般的に、パーソナルケア製品は、塗布を可能にするため、これに制限されないが、液体、リンス、ローション、クリーム、ペースト、ゲル、泡、ムース、軟膏、スプレー、エアロゾル、ソープ、スティック、軟らかい固体、固体ゲル、およびゲルを含むいずれかの従来の形態に、担体と一緒に処方されてもよい。好適な担体を構成するものは、容易に当業者に明らかである。
【0053】
本組成物は、様々なパーソナル用途、ハウスホールド(household)用途、ヘルスケア用途において使用することができる。特に、本発明の組成物は、米国特許第6051216号、第5919441号、第5981680号に教示され、国際公開2004/060271号および国際公開2004/060101号に開示される通り、パーソナルケア用途において; 国際公開2004/060276号に教示される通り、日光遮蔽組成物において; 国際公開03/105801号に開示される通り、フィルムを形成する樹脂も含む化粧用組成物において; 米国特許出願第2003/0235553号、第2003/0072730号、第2003/0170188号、欧州特許第1266647号、欧州特許第1266648号、欧州特許第1266653号、国際公開03/105789号、国際公開2004/000247号および国際公開03/106614号に教示される通り、化粧用組成物において; 国際公開2004/054523号に教示される追加の薬剤として; 米国特許出願第2004/0180032号に教示される通り、長く身に付ける化粧用組成物において; 国際公開2004/054524号に議論される通り、透明または半透明のケアおよび/あるいはメイクアップ組成物において使用されてもよく、これらの全ては参照により本明細書に援用される。
【0054】
本発明による組成物は、標準的な方法、例えばこれらを人間の体(例えば皮膚または毛髪)に塗布器、ブラシを使用して塗布する、手によって塗布する、これらを注ぐ、および/または場合により組成物を体の表面または内部に擦るまたはもむことにより、使用することができる。例えばカラー化粧品の除去方法は、洗浄、拭き取り、剥離および同様のものを含む、よく知られている標準的な方法である。皮膚に使用するために、本発明による組成物は、従来の方法において、例えば皮膚をコンディショニングするために使用してもよい。目的のための組成物の効果的な量が、皮膚に塗布される。このような効果的な量は、一般的には、約1mg/cm2から約3mg/cm2の範囲である。皮膚への塗布は、典型的には、組成物が皮膚中に入り込むことを含む。皮膚に塗布するためのこの方法は、皮膚に効果的な量の組成物を接触させ、その後、組成物を皮膚中に擦る工程を含む。これらの工程は、所望の便益を達成するために望まれる通り、何回も繰り返されることができる。
【0055】
毛髪への本発明による組成物の使用は、毛髪をコンディショニングするための従来の方法を使用してもよい。毛髪をコンディショニングするための組成物の効果的な量が、毛髪に塗布される。このような効果的な量は、一般的には、約0.5gから約50g、好ましくは約1gから約20gである。毛髪への塗布は、典型的には、ほとんどまたは全ての毛髪が組成物に接触するように、毛髪を通して組成物を機能させることを含む。毛髪をコンディショニングするためのこの方法は、効果的な量の毛髪ケア組成物を毛髪に塗布し、その後毛髪を通して組成物を機能させる工程を含む。これらの工程は、所望のコンディショニングの便益を達成するために望まれる通り、何回も繰り返されることができる。
【0056】
これに制限されないが、ホウ素架橋オルガノポリシロキサンエマルションに加えてパーソナルケア組成物に処方してもよい添加剤の例には、追加のシリコーン、抗酸化剤、クレンジング剤、着色剤、追加のコンディショニング剤、付着剤、電解質、皮膚軟化剤および油、角質剥離剤、増泡剤、香料、湿潤剤、閉塞剤、シラミ駆除剤、pH制御剤、顔料、防腐剤、殺生物剤、他の溶媒、安定化剤、日光遮蔽剤、懸濁剤、日焼け剤、他の界面活性剤、増粘剤、ビタミン、植物由来成分、香料、ワックス、レオロジー調整剤、ふけ防止剤、抗にきび剤、抗虫歯剤、および創傷治療促進剤が含まれる。
【0057】
パーソナルケア組成物、例えばシャンプーまたはクレンザーは、少なくとも1つのアニオン性洗浄用界面活性剤を含む。これは、シャンプー処方において典型的に使用される任意のよく知られているアニオン性洗浄用界面活性剤であり得る。これらのアニオン性洗浄用界面活性剤は、本発明のシャンプー組成物中においてクレンジング剤および発泡剤として機能する。アニオン性洗浄用界面活性剤は、アルカリ金属スルホネート、脂肪酸のスルホン化グリセリルエステル(例えばココナッツ油酸のスルホン化モノグリセリド)、スルホン化一価アルコールエステルの塩(例えばナトリウムオレイルイセチアネート)、アミノスルホン酸のアミド(例えばオレイルメチルタウリドのナトリウム塩)、脂肪酸ニトリルのスルホン化生成物(例えばパルミトニトリルスルホネート)、スルホン化芳香族炭化水素(例えばナトリウムアルファ-ナフタレンモノスルホネート)、ホルムアルデヒドとナフタレンスルホン酸の縮合生成物、ナトリウムオクタヒドロアントラセンスルホネート、アルカリ金属アルキルサルフェート(例えばナトリウムラウリルサルフェート)、アンモニウムラウリルサルフェートまたはトリエタノールアミンラウリルサルフェート、8個以上の炭素原子のアルキル基を有するエーテルサルフェート(例えばナトリウムラウリルエーテルサルフェート、アンモニウムラウリルエーテルサルフェート、ナトリウムアルキルアリールエーテルサルフェート、およびアンモニウムアルキルアリールエーテルサルフェート)、8個以上の炭素原子のアルキル基を1つ以上有するアルキルアリールスルホネート、アルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩(ヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、セチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、およびミリスチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩により例示される)、CH3(CH2)6CH2O(C2H4O)2SO3H、CH3(CH2)7CH2O(C2H4O)3.5SO3H、CH3(CH2)8CH2O(C2H4O)8SO3H、CH3(CH2)19CH2O(C2H4O)4SO3H、およびCH3(CH2)10CH2O(C2H4O)6SO3Hを含むポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル、アルキルナフチルスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩、およびアミン塩により例示される。好ましくは、洗浄用界面活性剤は、ナトリウムラウリルサルフェート、アンモニウムラウリルサルフェート、トリエタノールアミンラウリルサルフェート、ナトリウムラウリルエーテルサルフェート、およびアンモニウムラウリルエーテルサルフェートからなる群から選択される。アニオン性洗浄用界面活性剤は、本発明のシャンプー組成物中に、組成物の全質量に基づいて、約5から50質量%および好ましくは約5から25質量%の量で存在する。
【0058】
パーソナルケア組成物は、少なくとも1つのカチオン性付着助剤、好ましくはカチオン性付着ポリマーを含んでもよい。カチオン性付着助剤は、一般的には、0.001から5質量%、好ましくは約0.01から1質量%、より好ましくは約0.02質量%から約0.5質量%の量で存在する。ポリマーはホモポリマーであってもよく、または2つ以上のタイプのモノマーから形成されてもよい。ポリマーの分子量は、一般的には、5000から10000000の間、典型的には少なくとも10000、および好ましくは100000から約2000000の範囲である。ポリマーは、例えば第四級アンモニウムまたはプロトン化アミノ基、あるいはこれらの混合物の基を含む、カチオン性窒素を有する。カチオン電荷密度は、少なくとも0.1meq/g、好ましくは0.8またはそれより大きい必要があることがわかっている。カチオン電荷密度は、4meq/gを超えるべきではなく、3未満が好ましく、2meq/g未満がより好ましい。電荷密度は、Kjeldahl法を使用して測定することができ、一般的には約3から9および好ましくは4から8の間である使用の所望のpHにおいて、上記の制限内であるべきである。カチオン性窒素含有基は、一般的には、カチオン性付着ポリマーの全モノマー単位の一部における置換基として存在する。したがって、ポリマーがホモポリマーではない場合、それはスペーサー非カチオン性モノマー単位を含むことができる。このようなポリマーは、CTFA Cosmetic Ingredient Directory、第3版に記載されている。好適なカチオン性付着助剤には、例えば、カチオン性アミンまたは第四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーと、水に相溶なスペーサーモノマー、例えば(メタ)アクリルアミド、アルキルおよびジアルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクタムおよびビニルピロリドンとのコポリマーが含まれる。アルキルおよびジアルキルで置換されたモノマーは、好ましくは、C1〜C7アルキル基、より好ましくはC1〜3アルキル基を有する。他の好適なスペーサーには、ビニルエステル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、プロピレングリコールおよびエチレングリコールが含まれる。カチオン性アミンは、組成物の特定の化学種およびpHに応じて、第一級、第二級、または第三級アミンであることができる。一般的には、第二級および第三級アミン、特に第三級が好ましい。アミンで置換されたビニルモノマーおよびアミンは、アミン形態中で重合されることができ、その後、四級化によりアンモニウムに転換される。好適なカチオン性アミノおよび第四級アンモニウムモノマーには、例えば、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、モノアルキルアミノアルキルアクリレート、モノアルキルアミノアルキルメタクリレート、トリアルキルメタクリロキシアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアクリロキシアルキルアンモニウム塩、ジアリル第四級アンモニウム塩、および環式カチオン性窒素含有環、例えばピリジニウム、イミダゾリウム、および第四級ピロリジン(例えばアルキルビニルイミダゾリン)ならびに四級化ピロリジン(例えばアルキルビニルイミダゾリン、アルキルビニルピリジニウム、アルキルビニルピロリジン塩)を有するビニル第四級アンモニウムモノマーで置換されたビニル化合物が含まれる。これらのモノマーのアルキル部分は、好ましくは、低級アルキル、例えばC,〜C.,アルキル、より好ましくはC,およびC2アルキルである。本明細書における使用のための、好適なアミンで置換されたビニルモノマーには、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、およびジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドが含まれ、アルキル基は、好ましくはC,〜C,ヒドロカルビル、より好ましくはC,〜C,,アルキルである。カチオン性付着助剤は、アミンおよび/または第四級アンモニウムで置換されたモノマーならびに/あるいは相溶するスペーサーモノマーから得られるモノマー単位の混合物を含むことができる。好適なカチオン性付着助剤には、例えば、1-ビニル-2-ピロリジンと1-ビニル-3-メチルイミダゾリウム塩(例えば塩化物塩)(化粧品工業会(Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association)「CTFA」による産業において、Polyquaternium-16として表される)、例えばLUVIQUATの商標名(例えばLUVIQUAT FC 370)でBASF Wyandotte Corp.(Parsippany、NJ、USA)から商業的に入手可能なものとのコポリマー; 1-ビニル-2-ピロリジンとジメチルアミノエチルメタクリレート(CTFAによる産業において、Polyquaternium-11として表される)、例えばGAFQUATの商標名(例えばGAFQUAT 755N)でGar Corporation(Wayne、NJ、USA)からの商業的なものとのコポリマー; 例えばジメチルジアリル塩化アンモニウムホモポリマーおよびアクリルアミドとジメチル1ジアリル塩化アンモニウムとのコポリマー(それぞれ産業(CTFA)においてPolyquaternium 6およびPolyquaternium 7として表される)を含む、カチオン性ジアリル第四級アンモニウム含有ポリマー; 米国特許第4009256号に記載された、3から5個の炭素原子を有する不飽和カルボン酸のホモポリマーおよびコポリマーのアミノアルキルエステルの鉱酸塩; および本出願人らの同時係属中の英国特許出願第9403156.4号(国際公開WO95/22311号)に記載されたカチオン性ポリアクリルアミドが含まれる。使用されることができる他のカチオン性付着助剤には、ポリサッカリドポリマー、例えばカチオン性セルロース誘導体およびカチオン性デンプン誘導体が含まれる。本発明の組成物中の使用のために好適なカチオン性ポリサッカリドポリマー物質には、式: A-O(R-N+R1R2R3X-)(ここで、Aは無水グルコース残基、例えばデンプンまたはセルロース無水グルコース残基であり、Rはアルキレン、オキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、またはヒドロキシアルキレン基、あるいはこれらの組合せであり、R’、R~’およびR3は独立に、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、またはアルコキシアリール基であり、それぞれの基は最大約18個の炭素原子を含み、それぞれのカチオン性部分の炭素原子の総数(つまり、R’、R2およびR’内の炭素原子の合計)は、好ましくは約20個以下であり、およびXは前に記載したアニオン性対イオンである)のものが含まれる。カチオン性セルロースは、産業において(CTFA)Polyquaternium 10として表される、トリメチルアンモニウムで置換されたエポキシドと反応されるヒドロキシエチルセルロースの塩として、ポリマーのPolymer JR(商標)およびLR(商標)シリーズにおいて、Amerchol Corp.(Edison、NJ、USA)から入手可能である。別のタイプのカチオン性セルロースには、産業(CTFA)においてPolyquaternium 24として表される、ラウリルジメチルアンモニウムで置換れたエポキシドと反応されるヒドロキシエチルセルロースのポリマー性第四級アンモニウム塩が含まれる。これらの物質は、商標名Polymer LM-200の商標名でAmerchol Corp.(Edison、NJ、USA)から入手可能である。使用されることができる、他のカチオン性付着助剤には、カチオン性グアーガム誘導体、例えばグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(Jaguar商標シリーズにおいてRhodia Novecareから商業的に入手可能)が含まれる。他の物質には、第四級窒素含有セルロースエーテル(例えば参照により本明細書に援用される、米国特許第3962418号に記載されたもの)、およびエーテル化セルロースとデンプンのコポリマー(例えば参照により本明細書に援用される、米国特許第3958581号に記載されたもの)が含まれる。
【0059】
パーソナルケア組成物は、増泡剤を含んでもよい。増泡剤は、泡の崩壊を遅らせる泡安定化剤とは対照的に、一定のモル濃度の界面活性剤の系から利用可能な泡の量を増加させる薬剤である。泡の形成は、水性媒体および効果的な量の増泡剤を添加することによって提供される。増泡剤は、好ましくは、脂肪酸アルカノールアミドおよびアミンオキシドからなる群から選択される。脂肪酸アルカノールアミドは、イソステアリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、カプリン酸ジエタノールアミド、ココナッツ脂肪酸ジエタノールアミド、リノール酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ココナッツ脂肪酸モノエタノールアミド、オレイン酸モノイソプロパノールアミド、およびラウリン酸モノイソプロパノールアミドにより例示される。アミンオキシドは、N-ココジメチルアミンオキシド、N-ラウリルジメチルアミンオキシド、N-ミリスチルジメチルアミンオキシド、N-ステアリルジメチルアミンオキシド、N-コカミドプロピルジメチルアミンオキシド、N-タロウアミドプロピルジメチルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)C12〜15アルコキシプロピルアミンオキシドにより例示される。好ましくは、増泡剤は、ラウリン酸ジエタノールアミド、N-ラウリルジメチルアミンオキシド、ココナッツ酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、およびオレイン酸ジエタノールアミドからなる群から選択される。増泡剤は、好ましくは、本発明のシャンプー組成物中に、組成物の全質量に基づいて、約1から15質量%、およびより好ましくは約2から10質量%の量で存在する。組成物は、泡立ち性能を改善するために、ポリアルキレングリコールをさらに含む。シャンプー組成物中のポリアルキレングリコールの濃度は、組成物の、約0.01質量%から約5質量%、好ましくは約0.05質量%から約3質量%、およびより好ましくは約0.1質量%から約2質量%の範囲であってもよい。任意のポリアルキレングリコールは、一般式H(OCH2CHR)n-OH(ここで、RはH、メチル、およびこれらの混合物から選択される)により特徴付けられる。RがHの場合、これらの物質は、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン、およびポリエチレング
リコールとしても知られている、エチレンオキシドのポリマーである。Rがメチルの場合、これらの物質は、ポリプロピレンオキシド、ポリオキシプロピレン、およびポリプロピレングリコールとしても知られているプロピレンオキシドのポリマーである。上記の構造において、nは約1500から約25000、好ましくは約2500から約20000、およびより好ましくは約3500から約15000の平均値を有する。本明細書において有用なポリエチレングリコールポリマーは、PEG-2M(ここで、RはHに等しく、nは約2000の平均値を有する(PEG-2MはUnion Carbideから入手可能なPolyox WSR9 N-10およびPEG-2000として知られている)); PEG-5M(ここで、RはHに等しく、nは約5000の平均値を有する(PEG-5MはUnion Carbideから入手可能なPolyox WSRO N-35およびPolyox WSRS N-80、ならびにPEG-5000、ならびにPolyethylene Glycol 300000として知られている)); PEG-7M(ここで、RはHに等しく、nは約7000の平均値を有する(PEG-7MはUnion Carbideから入手可能なPolyox WSRO N-750として知られている)); PEG-9M(ここで、RはHに等しく、nは約9000の平均値を有する(PEG-9MはUnion Carbideから入手可能なPolyox WSRS N-3333として知られている)); およびPEG-14M(ここで、RはHに等しく、nは約14000の平均値を有する(PEG-14MはUnion Carbideから入手可能なPolyox WSRO N-3000として知られている))である。他の有用なポリマーには、ポリプロピレングリコールおよびポリエチレン/ポリプロピレングリコールンの混合物が含まれる。
【0060】
パーソナルケア組成物は、シャンプー組成物中に分散された形態で、好ましいシリコーンコンディショニング剤または他の水に不溶な物質を懸濁するために効果的な濃度で、懸濁剤を含んでもよい。このような濃度は、シャンプー組成物の、約0.1質量%から約10質量%、好ましくは約0.3質量%から約5.0質量%の範囲である。懸濁剤には、アシル誘導体、長鎖アミンオキシド、およびこれらの混合物として分類される、結晶性懸濁剤が含まれ、この濃度は、シャンプー組成物の、約0.1質量%から約5.0質量%、好ましくは約0.5質量%から約3.0質量%の範囲である。これらの懸濁剤は、米国特許第4741855号に記載されており、その記載は参照により本明細書に援用される。これらの好ましい懸濁剤には、好ましくは約16から約22個の炭素原子を有する脂肪酸のエチレングリコールエステルが含まれる。より好ましくは、エチレングリコールステアレート、モノおよびジステアレートの両方であるが、特に約7%未満のモノステアレートを含むジステアレートである。他の好適な懸濁剤には、好ましくは約16から約22の炭素原子、より好ましくは約16から18個の炭素原子を有する、脂肪酸のアルカノールアミドが含まれ、この好ましい例には、ステアリックモノエタノールアミド、ステアリックジエタノールアミド、ステアリックモノイソプロパノールアミドおよびステアリックモノエタノールアミドステアレートが含まれる。他の長鎖アシル誘導体には、長鎖脂肪酸の長鎖エステル(例えばステアリルステアレート、セチルパルミテートなど)、グリセリルエステル(例えばグリセリルジステアレート)および長鎖アルカノールアミドの長鎖エステル(例えばステアラミドジエタノールアミドジステアレート、ステアラミドモノエタノールアミドステアレート)が含まれる。上記に記載された好ましい物質に加えて、長鎖アシル誘導体、長鎖カルボン酸のエチレングリコールエステル、長鎖アミンオキシド、および長鎖カルボン酸のアルカノールアミドが、懸濁剤として使用されてもよい。例えば、C8〜C22鎖を有する長鎖ヒドロカルビルの懸濁剤が使用されてもよい。懸濁剤として使用されるために好適な他の長鎖アシル誘導体には、N,N-ジヒドロカルビルアミド安息香酸およびこの可溶な塩(例えばNa、K)、特にN,N-ジ(水素化)C16、C18およ
びこのファミリーのタロウアミド安息香酸種が含まれ、これはStepan Company(Northfield、Illinois、USA)から商業的に入手可能である。懸濁剤としての使用のための好適な長鎖アミンオキシドの例には、アルキル(C16〜C22)ジメチルアミンオキシド、例えばステアリルジメチルアミンオキシドが含まれる。他の好適な懸濁剤には、シャンプー組成物の、約0.3質量%から約3質量%、好ましくは約0.4質量%から約1.2質量%のキサンタンガムが含まれる。シリコーン含有シャンプー組成物中における懸濁剤としてのキサンタンガムの使用は、例えば、米国特許第4788006号に記載されており、その記載は参照により本明細書に援用される。長鎖アシル誘導体とキサンタンガムの組合せも、シャンプー組成物における懸濁剤として使用されてもよい。このような組合せは、米国特許第4704272号に記載されており、その記載は参照により本明細書に援用される。他の好適な懸濁剤の例には、カルボキシビニルポリマーが含まれる。これらのポリマーの中で好ましくは、米国特許第2798053号に記載される、ポリアリルスクロースと架橋されるアクリル酸のコポリマーであり、その記載は参照により本明細書に援用される。これらのポリマーの例には、B. F. Goodrich Companyから入手可能なCarbopol 934、940、941、および956が含まれる。他の好適な懸濁剤には、少なくとも約16個の炭素原子を有する脂肪アルキル部分を有する第一級アミン(この例には、パルミタミンまたはステアラミンが含まれる)、およびそれぞれ少なくとも約12個の炭素原子を有する2個の脂肪アルキル部分を有する第二級アミン(この例には、ジパルミトイルアミンまたはジ(水素化タロウ)アミンが含まれる)が含まれる。さらに他の好適な懸濁剤には、ジ(水素化タロウ)フタル酸アミド、および架橋マレイック無水メチルビニルエーテルコポリマーが含まれる。シャンプー組成物中に使用されてもよい他の好適な懸濁剤には、ゲルのような粘度を組成物に与えられるもの、例えば、セルロースエーテル(例えばメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース)、グアーガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルグアーガム、デンプンおよびデンプン誘導体、ならびに他の増粘剤、粘度改質剤、ゲル化剤などのように水に相溶なまたはコロイド的に水に相溶なポリマーが含まれる。
【0061】
パーソナルケア組成物は、これに限定されないが、低分子量の脂肪族ジオール(例えばプロピレングリコールおよびブチレングリコール)、ポリオール(例えばグリセリンおよびソルビトール)、およびポリオキシエチレンポリマー(例えばポリエチレングリコール200)を含む、1つまたは複数の水に相溶な皮膚軟化剤を含んでもよい。用いられる水に相溶な皮膚軟化剤特定のタイプおよび量は、組成物の所望の美的特性に応じて変化し、当業者により容易に決定される。
【0062】
パーソナルケア組成物は、様々な油を含んでもよい。本明細書で使用される用語「油」は、実質的に水に不溶な任意の物質を表す。組成物が化粧用またはパーソナルケア製品において使用される場合、製品成分は、美容上許容されるか、または最終用途製品の条件に合わなければならない。好適な油成分には、これに制限されないが、天然油(例えばココナッツ油)、炭化水素(例えば、鉱油および水素化ポリイソブテン)、脂肪アルコール(例えばオクチルドデカノール)、エステル(例えばC12〜C15アルキルベンゾエート)、ジエステル(例えばプロピレンジペラルガネート)、およびトリエステル(例えばグリセリルトリオクタノエート)、ならびにシリコーン(特にシクロメチコーンおよびジメチコーン)、ならびにこれらの混合物が含まれる。本発明の組成物は、油、好ましくは低粘度および高粘度の油の混合物を含む。好適な低粘度の油は、25℃において5から100mPa・sの粘度を有し、一般的には構造RCO-OR’を有するエステルであり、ここで、RCOはカルボン酸基を表し、OR’はアルコール残基を表す。これらの低粘度の油の例には、イソトリデシルイソノナノエート、PEG-4ジヘプタノエート、イソステアリルネオペンタノエート、トリデシルネオペンタノエート、セチルオクタノエート、セチルパルミテート、セチルリシノレエート、セチルステアレート、セチルミリステート、ココ-ジカプリレート/カプレート、デシルイソステアレート、イソデシルオレエート、イソデシルネオペンタノエート、イソヘキシルネオペンタノエート、オクチルパルミテート、ジオクチルマレート、トリデシルオクタノエート、ミリスチルミリステート、オクトドデカノール、またはオクチルドデカノールの混合物、アセチル化ラノリンアルコール、セチルアセテート、イソドデカノール、ポリグリセリル-3-ジイソステアレート、またはこれらの混合物が含まれる。高粘度の表面油は、一般的には、25℃で200〜1000000mPa・s、好ましくは100000〜250000mPa・sの粘度を有する。表面油には、ヒマシ油、ラノリンおよびラノリン誘導体、トリイソセチルシトレート、ソルビタンセスキオレエート、C10〜18トリグリセリド、カプリリック/カプリック/トリグリセリド、ココナッツ油、コーン油、綿実油、グリセリルトリアセチルヒドロキ
システアレート、グリセリルトリアセチルリシノレエート、グリセリルトリオクタノエート、水素化ヒマシ油、亜麻仁油、ミンク油、オリーブ油、パーム油、イリッペバター(illipe butter)、レイプシード油、大豆油、ヒマワリ種子油、獣脂、トリカプリン、トリヒドロキシステアリン、トリイソステアリン、トリラウリン、トリリノレイン、トリミリスチン、トリオレイン、トリパルミチン、トリステアリン、ウォールナッツ油、小麦胚芽油、コレステロール、またはこれらの混合物が含まれる。油相中における高粘度油に対する低粘度の油の提案される比は、それぞれ、1:15から15:1、好ましくは1:10から10:1である。本発明の好ましい処方は、1から20%の低粘度および高粘度の表面油の混合物を含む。任意の他の非シリコーン脂肪物質の中で、例として、鉱油(例えば液体パラフィンまたは液体石油)、動物油(例えばペルヒドロスクアレンまたはアララ油)、または代わりには植物油(例えばスイートアーモンド油、カロフィルム油、パーム油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油または穀物胚芽油)が挙げられる。ラノリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、またはミリスチン酸のエステル; アルコール(例えばオレイルアルコール、リノレイルまたはリノレニルアルコール、イソステアリルアルコールまたはオクチルドデカノール); またはアルコールあるいはポリアルコールのアセチルグリセリド、オクタノエート、ドデカノエートまたはリシノレエートを使用することも可能である。代わりに、25℃において固体である水素化油、例えば水素化ヒマシ油、水素化パーム油または水素化ココナッツ油、あるいは水素化獣脂; モノ、ジ、トリまたはスクログリセリド; ラノリン; または25℃において固体である脂肪エステルを使用することが可能である。
【0063】
パーソナルケア組成物は、様々なワックスを含んでもよい。ワックスまたはワックスのような物質は、一般的には、大気圧で35から120℃の融点を有する。この部類におけるワックスには、合成ワックス、セレシン、パラフィン、オゾケライト、イリップバター、蜜ロウ、カルナバ、微晶質、ラノリン、ラノリン誘導体、キャンデリラ、ココアバター、セラックワックス、鯨ロウ、ブラン(bran)ワックス、カポク(capok)ワックス、サトウキビワックス、モンタンワックス、鯨ワックス、ベイベリー(bayberry)ワックス、またはこれらの混合物が含まれる。本発明の好ましい処方は、混合物の約10〜30%のワックスを含む。非シリコーン脂肪物質として使用されることができるワックスの中で、例として、動物油(例えば蜜ロウ)、植物油(例えばカルナバ、キャンデリラ、オウリキュリー(ouricury)または日本(japan)ワックスあるいはコルク繊維あるいはサトウキビワックス)、ミネラルワックス(例えばパラフィンまたは褐炭ワックスあるいは微晶質ワックスあるいはオゾケライト)、合成ワックス(ポリエチレンワックスを含む)、およびFischer-Tropsch合成による得られるワックスが挙げられる。シリコーンワックスの中で、例として、ポリメチルシロキサンアルキル、アルコキシおよび/またはエステルが挙げられる。
【0064】
パーソナルケア組成物は、様々なパウダーを含んでもよい。本発明のパウダー成分は、一般的には、0.02〜50ミクロンの粒子サイズを有する、乾燥した粒子状物質として定義される。粒子状物質は、着色されていてもよく、着色されていなくても(例えば白色)よい。好適なパウダーには、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、ヒュームドシリカ、球状シリカビーズ、ポリメチルメタクリレートビーズ、微粉化テフロン(登録商標)、窒化ホウ素、アクリレートポリマー、ケイ酸アルミニウム、アルミニウムデンプンオクテニルサクシネート、ベントナイト、ケイ酸カルシウム、セルロース、チョーク、コーンスターチ、珪藻土、フラー土、グリセリルスターチ、ヘクトライト、ケイ酸(hydrated silica)、カオリン、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、マルトデキストリン、モンモリロナイト、微晶質セルロース、米デンプン、シリカ、タルク、雲母、二酸化チタン、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ネオドデカン酸亜鉛、ロジン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ポリエチレン、アルミナ、アタパルジャイト、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、デキストラン、カオリン、ナイロン、シリカシリレート、シルクパウダー、セリサイト、大豆粉、酸化スズ、水酸化チタン、リン酸三マグネシウム、ウォールナッツシェルパウダー、またはこれらの混合物が含まれる。上記で挙げたパウダーは、レシチン、アミノ酸、鉱油、シリコーン油、または様々なほかの薬剤で、単独または組み合わせて表面処理されてもよく、パウダーの表面を被覆し、自然界において疎水性の粒子の下塗りをする。パウダー成分は、様々な有機または無機顔料も含む。有機顔料は、一般的には、D&CおよびFD&C青色、茶色、緑色、橙色、赤色、黄色などとして設計された、アゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノン、およびキサンチン染料を含む、様々な芳香族タイプである。無機顔料は、一般的には、レーキまたは酸化鉄として表される、認定色添加剤の不溶な金属塩からなる。
【0065】
粉状着色剤(例えばカーボンブラック、酸化クロムまたは酸化鉄、ウルトラマリン、ピロリン酸マンガン、アイロンブルー(iron blue)、および二酸化チタン)、一般的に着色された顔料との混合物として使用される真珠光沢剤、または、一般的に着色された顔料との混合物として使用され、通常化粧品産業において使用される、いくつかの有機染料を、組成物に添加することができる。一般的には、これらの着色剤は、最終組成物の、0から20質量%の量で存在することができる。
【0066】
粉状無機または有機充填剤も、一般的には、最終組成物に対して、0から40質量%の量で添加することができる。これらの粉状充填剤は、タルク、雲母、カオリン、酸化亜鉛または酸化チタン、炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウム、シリカ、球状二酸化チタン、ガラスビーズまたはセラミックビーズ、8〜22個の炭素原子を有するカルボン酸から誘導される金属せっけん、非膨張合成ポリマーパウダー、膨張パウダー、および架橋されていてもされていなくてもよい、天然有機化合物からのパウダー、例えば穀物デンプンから選択されることができる。充填剤は、好ましくは、組成物の全質量の、0から35質量%、より好ましくは5から15質量%の割合で存在してもよい。例として、特にタルク、雲母、シリカ、カオリン、ナイロンパウダー(特にORGASOL)、ポリエチレンパウダー、テフロン(登録商標)、デンプン、窒化ホウ素、コポリマーのミクロスフェア(例えばEXPANCEL(Nobel Industrie))、ポリトラップ(polytrap)およびシリコーン樹脂マイクロビーズ(例えばToshibaからのTOSPEARL)が挙げられる。
【0067】
パーソナルケア組成物は、日光遮蔽剤を含んでもよい。これらには、290〜320nm(UV-B領域)の紫外線光を吸収するもの、例えば、これに制限されないが、パラ-アミノ安息香酸誘導体およびシンナメート(例えばオクチルメトキシシンナメート)、および320〜400nm(UV-A領域)を吸収するもの(例えば、ベンゾフェノンおよびブチルメトキシジベンゾイルメタン)が含まれる。本発明によって用いることができる、日光遮蔽化学種のいくつかの追加の例は、2-エトキシエチルp-メトキシシンナメート、メンチルアントラニレート、ホモメンチルサリチレート、グリセリルp-アミノベンゾエート、イソブチルp-アミノベンゾエート、イソアミルp-ジメチルアミノベンゾエート、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンスルホン酸、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、エチルベンゾエートの4-モノおよび4-ビス(3-ヒドロキシ-プロピル)アミノ異性体、および2-エチルヘキシルp-ジメチルアミノベンゾエートである。本発明において用いることができる親水性遮蔽剤として、例として、欧州特許出願第678292号に記載されたものが挙げられる。これらの親水性遮蔽防止剤は、少なくとも1つのカルボン酸基、またはよりよくはスルホン酸基を含むものである。この酸基は、中性化された形態を含まない、または部分的にあるいは全体的に中性化された形態であってもよい。酸官能基を含む1つまたは複数の親水性遮蔽剤を使用することが可能である。少なくとも1つのSO3H基を含む酸性の遮蔽剤の例として、より詳しくは3-ベンジリジン-2-カンファースルホン誘導体が挙げられる。特に好ましい化合物は、ベンゼン-1,4-[ジ(3-メチリデンカンファー-10-スルホン酸)]である。この遮蔽剤は、280nmから400nmの間の波長の紫外線を吸収することができ、320nmから400nmの間、特に約345nmで吸収の最大値を有する広範囲の遮蔽剤である。それは酸性化された形態、またはトリエタノールアミン、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムから選択される塩基で塩化された形態で使用される。さらに、それはシスまたはトランス形態で使用することができる。この遮蔽剤は、Mexoryl SXの商品名で知られている。他の特定の例は、4-(3-メチリデンカンファー)-ベンゼンスルホン酸、3-ベンジリデンカンファー-10-スルホン酸、2-メチル-5-(3-メチリデンカンファー)ベンゼンスルホン酸、2-クロロ-5-(3-メチリデンカンファー)-ベンゼンスルホン酸、3-(4-メチル)ベンジリデンカンファー-10-スルホン酸、(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチル)ベンジリデンカンファー-10-スルホン酸、(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メトキシ)ベンジリデンカンファー-10-スルホン酸、(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンジリデンカンファー-10-スルホン酸、2-メトキシ-5-(3-メチリデンカンファー)ベンゼンスルホン酸、3-(4,5-メチレンジオキシ)ベンジリデンカンファー-10-スルホン酸、3-(4-メトキシ)ベンジリデンカンファー-10-スルホン酸、3-(4,5-ジメトキシ)ベンジリデンカンファー-10-スルホン酸、3-(4-n-ブトキシ)ベンジリデンカンファー-10-スルホン酸、3-(4-n-ブトキシ-5-メトキシ)ベンジリデンカンファー-10-スルホン酸、2-[4-(カンファーメチリデン)フェニル]ベンズイミダゾール-5-スルホン酸である。好適な化合物は、米国特許第4585597号、仏国特許出願第2236515号、第2282426号、第2645148号、第2430938号および第2592380号に記載されている。スルホン基を含む遮蔽剤は、Merck社により「Eusolex 232」の商品名で販売されている、UV-B放射範囲において優れた光保護力を有するまたは2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸、ベンゼン-1,4-ジ(ベンズイミダゾール-2-イル-5-スルホン酸)、ベンゼン-1,4-ジ(ベンゾオキサゾール-2-イル-5-スルホン酸)のベンゾフェノンのスルホン誘導体でもあり得る。親水性遮蔽剤は、本発明による最終組成物中に、組成物の全質量と比較して、0.1から20質量%、好ましくは0.2から10質量%の範囲であり得る含有量で存在することができる。本発明において使用することができる親油性遮蔽剤として、有利には、例として、高い固有の吸収力を効果的に有する、ジベンゾイルメタン、より特には4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンから誘導される遮蔽剤のファミリーが挙げられる。それ自体UV-A活性遮蔽剤としてよく知られている、これらのジベンゾイルメタン誘導体は、特に仏国特許出願FR-A-2326405号およびFR-A-2440933号、同様に欧州特許出願EP-A-0114607号に記載されており、さらに4-(tert-ブチル)-4’-メトキシジベンゾイルメタンは、現在Givaudan社により「Parsol 1789」の商品名で販売されている。本発明に好ましい別のジベンゾイルメタン誘導体は、4-ソプロピルジベンゾイルメタンであり、この遮蔽剤は、Merck社により「Eusolex 8020」の名称で販売されている。同様の、すでにUV-B範囲においてその活性が知られている、液体の親油性遮蔽剤であるオクトクリレンは、商業的に入手可能であり、特にBASF社により「Uvinul N 539」の名称で販売されている。本発明において使用されることができる、別の親油性(または脂溶性)遮蔽剤の例として、UV-B吸収剤としても知られており、特にMerck社により「Eusolex 6300」の商品名で販売されている、p-エチルベンジリデンカンファーが挙げられる。親油性遮蔽剤は、本発明による組成物中に、組成物の全質量の、0.5から30質量%、好ましくは0.5から20質量%で存在することができる。親油性または親水性有機遮蔽剤の他の例は、特に特許出願EP-A-0487404号で与えられる。本発明による化粧用および/または皮膚用組成物は、被覆されたまたは被覆されていない金属酸化物の、顔料または代わりにナノ顔料(平均一次粒子サイズ: 一般的には5nmから100nm、好ましくは10から50nmの間)、例えば、それ自体すべてよく知られている光保護剤であり、物理的にUV放射をブロック(反射および/または散乱)することによって働く、酸化チタン(非晶質またはルチル型および/あるいはアナターゼ型に結晶化された)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウムのナノ顔料を含むこともできる。さらに、標準的な被覆剤は、アルミナおよび/またはステアリン酸アルミニウム、ならびにシリコーンである。このような被覆されたまたは被覆されていない金属酸化物ナノ顔料は、特に特許出願EP-A-0518772号およびEP-A-0518773号に記載されている。
【0068】
都合のよい粘度を備えるために、増粘剤が添加されてもよい。例えば、25℃において500から25000mm2/sの範囲内、または代わりには3000から7000mm2/sの範囲内の粘度が、通常好適である。好適な増粘剤は、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、ポリオキシエチレン、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、エトキシ化アルコール(例えばラウレス(laureth)-4またはポリエチレングリコール400)、セルロース誘導体(メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルヒドロキシエチルセルロースにより例示される)、デンプン、およびデンプン誘導体(ヒドロキシエチルアミロースおよびアミロースデンプンにより例示される)、ローカストビーンガム、電解質(塩化ナトリウムおよび塩化アンモニウムにより例示される)、およびサッカリド(例えばフルクトースおよびグルコース)、およびサッカリドの誘導体(例えばPEG-120メチルグルコースジオレート)、またはこれらの2つ以上の混合物により例示される。代わりには、増粘剤は、セルロース誘導体、サッカリド誘導体、および電解質からから選択されるか、またはセルロース誘導体と任意の電解質、およびデンプン誘導体と任意の電解質の組合せにより例示される、2つ以上の上記の増粘剤の組合せから選択される。使用される増粘剤は、本発明のシャンプー組成物中に、最終シャンプー組成物中で500から25000mm2/sの粘度を備えるために十分な量で存在する。代わりには、増粘剤は、組成物の全質量に基づいて、約0.05から10質量%、および代わりには0.05質量%から5質量%で存在する。
【0069】
安定化剤を、組成物の水相中に使用することができる。好適な水相安定化剤は、電解質、ポリオール、アルコール(例えばエチアルコール)、および親水コロイドを単独、またはこれらの1つまたは複数の組合せを含むことができる。典型的な電解質は、アルカリ金属塩およびアルカリ土類塩、特にナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムの、塩化物塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、および硫酸塩であり、同様に、塩酸アルミニウム、ならびに高分子電解質、特にヒアルロン酸およびヒアルロン酸ナトリウムである。安定化剤が電解質である、または電解質を含む場合、それは、全組成物の、約0.1から5質量%、および代わりには、0.5から3質量%の量である。親水性コロイドには、ガム(例えばキサンタンガムまたはビーガム(veegum))および増粘剤(例えばカルボキシメチルセルロース)が含まれる。ポリオール、例えばグリセリン、グリコール、およびソルビトールも使用することができる。代わりのポリオールは、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、およびブチレングリコールである。大量のポリオールが使用された場合、電解質を追加する必要はない。しかし、水相を安定化するために、電解質、ポリオールおよび親水性コロイドの組合せ、例えば、硫酸マグネシウム、ブチレングリコールおよびキサンタンガムを使用することが、典型的である。
【実施例】
【0070】
これらの実施例は、当業者に本発明を例示することを意図しており、請求の範囲内で説明される本発明の範囲を制限するように解釈されるべきではない。全ての測定および実験は、他に示されていない場合、23℃で行われた。
【0071】
平均粒子サイズは、Malvern Mastersizer 2000を使用して決定された。レオロジー特性は、コーンおよびプレートを装備したTA Instruments ARESレオメーターを使用して決定された。
【0072】
実施例1
最初に、約50000mPa・s(cP)の粘度および約61000の数平均分子量を有する、50gのMe2SiOH末端ジメチルポリシロキサンを、最大100のカップ中で計量し、続けて、約1000cStの動粘度を有する、0.10gの50質量%のトリメチルシロキシでキャップされたポリジメチルシロキサン流体中のホウ酸分散体を計量した。カップを閉じ、Speedmixer(登録商標) DAC 150ミキサー内に置き、カップを最大速度で20秒間回転した。カップを再び最大速度で20秒間回転した後、15分間そのままにしておいた。さらに10分間静置した後、カップを再び20秒間回転した。前の回転に続いてすぐに、0.75gのラウリルアルコール(4)エトキシレート(Brij(登録商標) 30)を加え、続けて1.5gの72%ラウリルアルコール(23)エトキシレート(Brij(登録商標) 35L)の水性溶液および0.60gの脱イオン(DI)水を加えた。カップを閉じ、Speedmixer(登録商標)内で20秒間回転した。カップの含有物は、粘度の高いゲル状の堅さを有する塊を形成し、カップの壁を、スパチュラでこすり落とした。カップおよびその含有物を、再び20秒間回転した。粘度が高い相の組成物を、合計31gのDI水で徐々に希釈した。最初の増加量は5gであり、続けて別の5g、その後10g、続けて最後に11gであった。それぞれの水の増加量の追加後、カップを全速力でSpeedMixer(登録商標)内で18秒間回転した。
【0073】
得られた最終組成物は、低粘度の乳白色の液体であり、酸化ホウ素を含み、約0.75μmの平均粒子サイズを有する、約60質量%のポリジメチルシロキサンの油/水エマルションからなっていた。翌日、エマルションの20gの部分をペトリ(Petri)皿に注ぎ、24時間周囲条件で蒸発させた。エマルションから得られたポリマーを検査し、出発シリコーンポリマーから実質的に粘度が増加したことがわかった。エマルションからのポリマーの粘度を、レオメーターを使用して決定し、図1に要約した通り、約107cP(10-1sec-1および24℃)を有することが分かった。これらの結果は、エマルションからのシロキサンポリマーの粘度は、出発シロキサンポリマー(約5×104cP)より十分高いことを示す。
【0074】
実施例2
実施例1において記載した通りと同じ手順を使用して、組成物を、約50000mPa・s(cP)の粘度および約61000の数平均分子量を有する、50gのMe2SiOH末端ジメチルポリシロキサンを、約1000cStの動粘度を有する、0.11gの50質量%のトリメチルシロキシでキャップされたポリジメチルシロキサン流体中のホウ酸分散体を、0.75gのラウリルアルコール(4)エトキシレート(Brij(登録商標) 30)、1.5gの72%ラウリルアルコール(23)エトキシレート(Brij(登録商標) 35L)の水性溶液および0.60gの脱イオン(DI)水を使用して乳化した。エマルションの粘度の高い相を、実施例1と同じ手順を使用して、合計31gのDI水で徐々に希釈した。エマルションの平均粒子サイズは、約0.75μmであった。エマルションからのポリマーの粘度を、レオメーターを使用して決定し、約6×107cP(10-1sec-1および24℃)の粘度を有することがわかった。
【0075】
実施例3
使用したポリジメチルシロキサン中に分散された酸化ホウ素分散体の量以外は、実施例2において記載した通りと同じ手順および量を使用して、エマルションを調製した。このエマルションを、50gのMe2SiOH末端ジメチルポリシロキサンおよび0.40gの酸化ホウ素/ポリジメチルシロキサン分散体を使用して調製した。エマルションの平均粒子サイズは、約0.75μmであった。
【0076】
実施例4
実施例1において記載した通りの手順を使用して、約50000mPa・s(cP)の粘度および約61000の数平均分子量を有する、50gのSiOH官能性ポリジメチルシロキサンと、約1000cStの動粘度を有する、トリメチルシロキシでキャップされたポリジメチルシロキサン流体中の、0.50gの50質量%ホウ酸分散体とから調製された組成物を、1.25gの60質量%の水性ナトリウム第二級アルキルナトリウムスルホネート(Hostapur(登録商標) SAS-60)および5.0gの水を使用して乳化した。得られた粘度の高い相の組成物を、実施例1で記載された通り、徐々に27gのDI水で希釈した。得られたエマルションは、0.5%のB2O3を含むPDMSの約60%の固体アニオン性エマルションからなった。このエマルションから水の除去は、高粘度のポリマーをもたらした。
【0077】
実施例5
実施例1において記載した通りの手順を使用して、約50000mPas(cP)の粘度および約61000の数平均分子量を有する、50gのSiOH官能性ポリジメチルシロキサンと、約1000cStの動粘度を有する、トリメチルシロキシでキャップされたポリジメチルシロキサン流体中の、0.50gの50質量%ホウ酸分散体とから調製された組成物を、3.3gの30%のセチルトリメチル塩化アンモニウム(CETAC(登録商標) 30)の水性溶液および0gの水を使用して乳化した。得られた粘度の高い相の組成物を、実施例1で記載された通り、徐々に30gのDI水で希釈した。得られたエマルションは、500ppmのB2O3を含むPDMSの約60%のカチオン性エマルションからなった。このエマルションから水の除去は、ゴム状の堅さを有するポリマーのフィルムをもたらした。
【0078】
実施例6
実施例1および2からのエマルションを毛髪上で評価した。これらのエマルションを、シャンプー内に組み込み、毛髪の房に塗布し、Instron引張試験機を使用して、毛髪の房の湿ったおよび乾燥したコーミング力(combing force)を得た。毛髪の房の調製およびコーミングの手順はいかに詳細を述べる。これらの2つのエマルションのコンディショニング性能は、これら実験における対照として使用したDC 1785 Emulsion(〜106cP)およびHMW 2220 Emulsion(〜12×107cP)の性能と同程度であった。シャンプー組成物を表1に示し、湿ったおよび乾燥したコーミングの結果は表2に見ることができる。
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】

【0081】
(毛髪サンプルの調製)
DeMeo Brothers, Inc.によるわずかに漂白した欧州人の毛髪を、毛髪のシャンプーの性能を試験するために使用した。長さが約8インチの毛髪のマスターハンド(master hand)を、個々の毛髪の房のシリーズに分割した。それぞれの房は約2.5gの重量であった。毛髪の根の末端の0.5インチの区域を切り落とし、残りの毛髪を、DUCO CEMENT(登録商標)を使用して、2インチごとにプラスチックのタブに接着した。この接着剤を乾燥し、毛髪の房をコーミングし、6インチの拡張された毛髪をプラスチックタブの底の下に拡張した長さに切り落とした。最上部から約4分の1インチのタブの中心に、穴を開けた。それぞれの房を、40℃の水道水で15秒間すすいだ。ピペットを使用して、1.0mlの9%(活性)ナトリウムラウリルサルフェート溶液を塗布し、30秒間房を通して泡立てた。房を30秒間流水ですすいだ。人差し指と中指の間に房を通すことによって、過剰の水を房から除去した。房をペーパータオルで覆われたトレーの上に置き、終夜乾燥した。それぞれの房を狭い歯のACE(登録商標)櫛で3回コーミングし、INSTRON「湿った」およびINSTRON「乾いた」コーミング手順を使用して、基準となるコーミングの負荷を確立した。
【0082】
シャンプーを含むテストのために、毛髪の房を、40℃で30秒間、水道水ですすいだ。試験コンディショナーを0.8gの量で房に塗布し、房を30秒間なでた。房を、40℃で30秒間、水道水ですすいだ。人差し指と中指の間に房を通すことによって、過剰の水を除去した。房を、室温で終夜、ペーパータオル上で別々に乾燥させた。房を、INSTRON調査を行う前に、一度コーミングした。
【0083】
(コーミング試験手順)
湿ったまたは乾燥したコーミングの容易さを、毛髪をコーミングするために必要な力を測定するための、INSTRONの歪みゲージを使用して決定した。コンディショニング性能は、INSTRON歪みゲージで毛髪をコーミングするために必要な力を低減するための、特定の毛髪トリートメント処方、例えばシャンプーまたはヘアコンディショナーの能力に基づいている。力を、平均コーミング負荷(Average Combing Load、ACL)として報告する。ACL値が低いほど、試験した処方によってより優れたコンディショニング効果が与えられている。典型的には、ACLの基準は、初期に、9%(活性)ナトリウムラウリルサルフェート溶液で洗浄されたのみの、「トリートメントされていない」房で確立される。トリートメントの有効性は、トリートメントした房のACLとして、または以下の式:
((トリートメントしていない毛髪のACL-トリートメントした毛髪のACL)/トリートメントしていない毛髪のACL)×100
を使用して計算される、ACLにおける低減%として表すことができる。
【0084】
(INSTRONの湿ったコーミング方法)
毛髪を、最初に蒸留水中に浸漬することによって湿らせ、その後、3回房をコーミングすることによって、毛髪のもつれをほぐした。房はその後、3回蒸留水に浸漬することによって、再びもつれをほぐした。過剰な水を、人差し指と中指の間を通ることによって除去した。房を、その後、ハンガーの上に置き、INSTRONのコーミングをした。「再びもつれをほぐす」および「INSTRONのコーミング」の工程を、それぞれの房に対して、5つのデータ点が収集されるまで繰り返した。3つの房の平均のコーミング力を、それぞれのトリートメントに対して測定した。
【0085】
(INSTRONの乾燥したコーミング方法)
毛髪を、3回房をコーミングすることによって、もつれをほぐした。その後、毛髪を、房を時計回りに3回および反時計回りに3回回転させることによって、再びもつれをほぐした。房を、その後、ハンガーの上に置き、INSTRONのコーミングをした。再びもつれをほぐす」および「INSTRONのコーミング」の工程を、それぞれの房に対して、5つのデータ点が収集されるまで繰り返した。3つの房の平均のコーミング力を、それぞれのトリートメントに対して測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
24℃において、少なくとも1000mPa・sの粘度を有する、ホウ素架橋オルガノポリシロキサンのエマルションであって、以下:
I) 以下:
A) シラノール官能性オルガノポリシロキサン、
B) ホウ素化合物、
C) 乳化剤、
の混合物を形成する工程;
II) 工程I)の混合物に水を加えて混合し、エマルションを形成する工程;
III) 場合によって、エマルションをさらにせん断混合する工程;
によって得られるエマルション。
【請求項2】
工程Iの混合物が、以下:
50〜99質量%のA)、
0.05〜30質量%のB)、
0.10〜40質量%のC)、
(ただし、A)、B)、C)の合計は100質量%である)
を含む、請求項1に記載のエマルション。
【請求項3】
ホウ素架橋オルガノポリシロキサンを含む分散相を有する水連続エマルションである、請求項1に記載のエマルション。
【請求項4】
前記オルガノポリシロキサンが、シラノール末端ポリジメチルシロキサンである、請求項1に記載のエマルション。
【請求項5】
前記ホウ素化合物が、トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン中に分散されている、請求項1に記載のエマルション。
【請求項6】
前記ホウ素化合物が、B2O3またはH3BO3である、請求項1に記載のエマルション。
【請求項7】
前記乳化剤が、非イオン性界面活性剤の混合物である、請求項1に記載のエマルション。
【請求項8】
前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン脂肪アルコールである、請求項7に記載のエマルション。
【請求項9】
前記非イオン性界面活性剤が、8〜15の組み合わされたHLB値を有する、請求項7に記載のエマルション。
【請求項10】
前記非イオン性界面活性剤の混合物が、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルおよびポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルを含む、請求項7に記載のエマルション。
【請求項11】
前記非イオン性界面活性剤の混合物が、エトキシ化C10-ゲルベアルコールまたはエトキシ化イソ-C13アルコールを含む、請求項7に記載のエマルション。
【請求項12】
工程Iの混合物100部あたり、5から700部の水を加えて混合し、エマルションを形成する、請求項1に記載のエマルション。
【請求項13】
前記水は、それぞれの部分が工程Iからの混合物の30質量%未満である増分部分ごとに追加される、請求項12に記載のエマルション。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のエマルションを含む、パーソナルケア組成物。
【請求項15】
前記パーソナルケア組成物が、カラー化粧品、リップスティック、ファンデーション、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘア固定剤、ヘアスタイリング助剤、ヘア着色剤、ヘア弛緩剤、シャワーゲル、スキン保湿剤、スキンコンディショナー、ボディーコンディショナー、日光保護製品、制汗剤、および脱臭剤から選択される、請求項14に記載のパーソナルケア組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2011−519984(P2011−519984A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505113(P2011−505113)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/040359
【国際公開番号】WO2009/129179
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】