説明

ホモアダマンタン誘導体、その製造方法及びフォトレジスト用感光性材料

【課題】ポジ型フォトレジストとして用いたときに、ラフネス低減、溶解性、相溶性、ディフェクト低減、露光感度等に優れる重合体、これを与える単量体(モノマー)及びその前駆体(中間体,修飾剤)を提供する。
【解決手段】下記式(I)で表されるホモアダマンタン誘導体。式中、R,Rはそれぞれ水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を表し、Xは水酸基又はハロゲン原子を表し、n,mはそれぞれ0〜3の整数である。ただし、nとmが同時に0になることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なホモアダマンタン誘導体、(メタ)アクリル酸エステル、それらの製造方法、(メタ)アクリル系重合体、ポジ型フォトレジスト組成物及びレジストパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子の微細化が進むに伴い、その製造におけるフォトリソグラフィー工程において、さらなる微細化が要求されている。KrF、ArF又はFエキシマレーザー光等の短波長の照射光に対応したフォトレジスト材料を用いて、微細パターンを形成させる方法が種々検討され、エキシマレーザー光等の短波長の照射光に対応できる新しいフォトレジスト材料が望まれている。
【0003】
フォトレジスト材料として、従来はフェノール樹脂をベースとするものが数多く開発されてきたが、これらの材料は芳香族環を含むために光の吸収が大きく、微細化に対応できるだけのパターン精度を得ることができない。
【0004】
このため、ArFエキシマレーザーによる半導体製造におけるフォトレジストとしては、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレートのような脂環式骨格を持った重合性化合物を共重合したポリマーが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
微細加工技術の更なる進歩に伴い、現時点では32nm以下の線幅を実現しようとしているものの、従来の技術だけでは基盤密着性、露光感度、解像度、パターン形状、露光深度、表面荒れ等の種々の要求性能をクリアすることができていない。具体的には、LER、LWRと呼ばれるパターン表面の粗さ(ラフネス)やうねりといった平滑性の問題が顕在化してきた。また、近年の液浸露光による方法では、液浸媒体に起因するレジストパターンのディフェクト=欠陥等の現像不良も散見される。さらには、13.5nmの極端紫外線(EUV)を使用した半導体製造工程においては、スループットの向上の為にも、より高感度のフォトレジスト開発が望まれている。
【0006】
従来より、ArFエキシマレーザーによる半導体製造におけるフォトレジストには、基盤密着性を高める目的で各種環状ラクトンを有した重合性化合物を共重合したポリマーが使用されてきた。このような中、ホモアダマンタン骨格を持つラクトンとして、1−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンチル)メタクリレートが提案され、短波長光に対する高い透明性、高いドライエッチング耐性を備え、かつアルカリ現像でき、密着性、解像性の良好なレジストパターンを形成することができる感光性組成物及びパターン形成方法が提供されている(例えば、特許文献2)。しかしながら、このホモアダマンチルメタクリレート化合物を含め、従来の各種環状ラクトンを有した重合性化合物には酸分解性がないため、単独ではポジ型フォトレジストとして機能しない。従って、必ず、tert−ブチルメタクリレートや2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート等の酸分解性モノマーとの共重合が必要となっていた。
【0007】
一方、ポジ型フォトレジストには感光作用(酸分解)をさせるために光酸発生剤(PAG)が必須成分である。近年の微細化に伴い顕在化してきたLER、LWRと呼ばれるパターン表面の粗さ(ラフネス)を改善するために、このPAG自体にも酸分解機能を付与する検討がなされている(例えば、特許文献3〜6)。しかしながら、ラフネスの更なる改善のためにフォトレジスト樹脂への相溶性を高めたり、レジスト樹脂中により均一に分散させる必要がある。
【0008】
さらに近年、ラフネス低減を目的にした低分子(単分子)のポジ型フォトレジストの開発においても、各種アダマンタン骨格や各種環状ラクトン構造を有した酸分解ユニットが、盛んに導入されている(例えば、特許文献7〜10)。しかしながら、これらの手法でも満足する結果が得られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4−39665号公報
【特許文献2】特開2000−122294号公報
【特許文献3】特開2009−149588号公報
【特許文献4】特開2009−282494号公報
【特許文献5】特開2008−69146号公報
【特許文献6】特表2009−515944号公報
【特許文献7】特表2009−527019号公報
【特許文献8】特開2009−98448号公報
【特許文献9】特開2009−223024号公報
【特許文献10】特開2006−201762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ポジ型フォトレジストとして用いたときに、ラフネス低減、溶解性、相溶性、ディフェクト低減、露光感度等に優れる重合体、これを与える単量体(モノマー)及びその前駆体(中間体,修飾剤)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、以下のホモアダマンタン誘導体等が提供される。
1.下記式(I)で表されるホモアダマンタン誘導体。
【化1】

(式中、R,Rはそれぞれ水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を表し、Xは水酸基又はハロゲン原子を表し、n,mはそれぞれ0〜3の整数である。ただし、nとmが同時に0になることはない。)
2.下記式(1)〜(3)のいずれかで表される1記載のホモアダマンタン誘導体。
【化2】

(式中、Xは水酸基又はハロゲン原子を表す。)
3.下記式(1a)〜(3b)のいずれかで表される2記載のホモアダマンタン誘導体。
【化3】

(式中、Xは水酸基又はハロゲン原子を表す。)
4.下記a〜gのいずれかの工程を含む、1〜3のいずれか記載のホモアダマンタン誘導体の製造方法。
a.下記式で表わされるホモアダマンチルアルコールと、アルデヒド及びハロゲン化水素ガスとを反応させる工程
b.下記式で表わされるホモアダマンチルアルコールと、アルキルスルホキシド及び酸無水物とを反応させてアルキルチオアルキルエーテル体を得、このアルキルチオアルキルエーテル体とハロゲン化剤とを反応させる工程
c.下記式で表わされるホモアダマンチルアルコールと、2−ヒドロキシカルボン酸ハライド、2−ハロゲン化カルボン酸ハライド又は2−ハロゲン化カルボン酸を反応させる工程
d.上記a〜cのいずれかで得られたハロゲン化ホモアダマンタン誘導体と、2−ヒドロキシカルボン酸と反応させる工程
e.上記a〜cのいずれかで得られたハロゲン化ホモアダマンタン誘導体と、2−ハロゲン化カルボン酸と反応させる工程
【化4】

5.下記式(II)で表される(メタ)アクリル酸エステル。
【化5】

(式中、R,Rはそれぞれ水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を表し、Rは水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。n,mはそれぞれ0〜3の整数であり、nとmが同時に0になることはない。)
6.下記式(4)〜(6)のいずれかで表される5記載の(メタ)アクリル酸エステル
【化6】

7.下記式(4a)〜(6b)のいずれかで表される6記載の(メタ)アクリル酸エステル。
【化7】

8.1〜3のいずれか記載のホモアダマンタン誘導体と、(メタ)アクリル酸類、(メタ)アクリル酸類ハライド、(メタ)アクリル酸類無水物、(メタ)アクリル酸類2−ヒドロキシアルキル誘導体から選択される1種以上とを反応させる5〜7のいずれか記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
9.5〜7のいずれか記載の(メタ)アクリル酸エステルを重合して得られる(メタ)アクリル系重合体。
10.9記載の(メタ)アクリル系重合体及び光酸発生剤を含有するポジ型フォトレジスト組成物。
11.10に記載のポジ型フォトレジスト組成物を用いて支持体上にフォトレジスト膜を形成する工程と、該フォトレジスト膜を選択露光する工程と、選択露光された該フォトレジスト膜をアルカリ現像処理してレジストパターンを形成する工程とを含むレジストパターン形成方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ポジ型フォトレジストとして用いたときに、ラフネス低減、溶解性、相溶性、ディフェクト低減、露光感度等に優れる重合体、これを与える単量体(モノマー)及びその前駆体(中間体,修飾剤)が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】評価例1の各モノマーの重合速度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のホモアダマンタン誘導体は下記式(I)で表される。
【化8】

式中、R,Rはそれぞれ水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を表し、Xは水酸基又はハロゲン原子を表し、n,mはそれぞれ0〜3の整数である。ただし、nとmが同時に0になることはない。
【0015】
及びRは、好ましくは水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基である。アルキル基の例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基等の直鎖状又は分岐状アルキル基、シクロペンチル環、シクロヘキシル環等の環状構造等が挙げられる。R及びRは、特に水素原子、メチル基が好ましく、特に水素原子が好ましい。
【0016】
Xとしては水酸基の他、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、中でも水酸基、塩素原子、臭素原子が好ましい。
【0017】
式(I)におけるn,mの組み合わせとしては、それぞれ独立に0〜3の整数の中で任意の組み合わせをとるが、(n,m)=(0,1),(0,2),(1,0),(1,1),(1,2),(2,0),(2,1),(2,2)が好ましく、特に(n,m)=(0,1),(0,2),(1,0),(1,1)がより好ましい。
【0018】
式(I)におけるホモアダマンタン骨格上の置換基位置は、4,5を除く1〜11の任意の位置番号を取ることができるが、合成上の容易さより1又は2が好ましい。
【0019】
本発明のホモアダマンタン誘導体は、好ましくは下記式(1)〜(3)のいずれかで表わされる。
【化9】

式中、Xは水酸基又はハロゲン原子を表す。
【0020】
より好ましくは、下記式(1a)〜(3b)のいずれかで表される。
【化10】

式中、Xは水酸基又はハロゲン原子を表す。
【0021】
上記式(I)で表される本発明のホモアダマンタン誘導体の具体例としては、(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメタノール、1−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシエタノール、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエタノール、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエタノール、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエタノール、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソエタノール、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエタノール、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエタノール、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−エチルエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエタノール、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソ−1−エチルエタノール、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−エチルエトキシ)−2−オキソ−1−エチルエタノール、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメトキシ−2−オキソエタノール、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソエタノール、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメトキシ−2−オキソ−1−メチルエタノール、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソ−1−メチルエタノール、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシエチルメトキシ−2−オキソ−1−メチルエタノール、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソ−1−エチルエタノール、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシエチルメトキシ−2−オキソ−1−エチルエタノール、(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルクロライド、1−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシエチルクロライド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエチルクロライド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチルクロライド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソエチルクロライド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエチルクロライド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエチルクロライド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−エチルエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエチルクロライド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソ−1−エチルエチルクロライド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−エチルエトキシ)−2−オキソ−1−エチルエチルクロライド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルクロライド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソエチルクロライド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメトキシ−2−オキソ−1−メチルエチルクロライド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソ−1−メチルエチルクロライド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシエチルメトキシ−2−オキソ−1−メチルエチルクロライド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソ−1−エチルエチルクロライド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシエチルメトキシ−2−オキソ−1−エチルエチルクロライド、(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルブロマイド、1−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシエチルブロマイド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエチルブロマイド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエチルブロマイド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチルブロマイド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソエチルブロマイド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエチルブロマイド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエチルブロマイド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−エチルエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエチルブロマイド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソ−1−エチルエチルブロマイド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−エチルエトキシ)−2−オキソ−1−エチルエチルブロマイド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルブロマイド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソエチルブロマイド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメトキシ−2−オキソ−1−メチルエチルブロマイド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソ−1−メチルエチルブロマイド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシエチルメトキシ−2−オキソ−1−メチルエチルブロマイド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソ−1−エチルエチルブロマイド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシエチルメトキシ−2−オキソ−1−エチルエチルブロマイド、(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメタノール、1−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシエタノール、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエタノール、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエタノール、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエタノール、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソエタノール、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエタノール、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエタノール、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−エチルエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエタノール、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソ−1−エチルエタノール、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−エチルエトキシ)−2−オキソ−1−エチルエタノール、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメトキシ−2−オキソエタノール、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソエタノール、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメトキシ−2−オキソ−1−メチルエタノール、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソ−1−メチルエタノール、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシエチルメトキシ−2−オキソ−1−メチルエタノール、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソ−1−エチルエタノール、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシエチルメトキシ−2−オキソ−1−エチルエタノール、
(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルクロライド、1−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシエチルクロライド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエチルクロライド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチルクロライド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソエチルクロライド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエチルクロライド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエチルクロライド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−エチルエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエチルクロライド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソ−1−エチルエチルクロライド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−エチルエトキシ)−2−オキソ−1−エチルエチルクロライド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルクロライド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソエチルクロライド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメトキシ−2−オキソ−1−メチルエチルクロライド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソ−1−メチルエチルクロライド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシエチルメトキシ−2−オキソ−1−メチルエチルクロライド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソ−1−エチルエチルクロライド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシエチルメトキシ−2−オキソ−1−エチルエチルクロライド、(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルブロマイド、1−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシエチルブロマイド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエチルブロマイド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエチルブロマイド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチルブロマイド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソエチルブロマイド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエチルブロマイド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエチルブロマイド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−エチルエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエチルブロマイド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソ−1−エチルエチルブロマイド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−エチルエトキシ)−2−オキソ−1−エチルエチルブロマイド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルブロマイド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソエチルブロマイド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメトキシ−2−オキソ−1−メチルエチルブロマイド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソ−1−メチルエチルブロマイド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシエチルメトキシ−2−オキソ−1−メチルエチルブロマイド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソ−1−エチルエチルブロマイド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシエチルメトキシ−2−オキソ−1−エチルエチルブロマイド等が挙げられる。
【0022】
これらのホモアダマンタン誘導体の中で、性能及び製造の容易さ等の観点から、(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルクロライド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエタノール、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルクロライド、(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルクロライド、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライド、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエタノール、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルクロライド等が好ましい。
【0023】
以下に本発明のホモアダマンタン誘導体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【0024】
本発明のホモアダマンタン誘導体は種々の方法により製造可能であり、代表的な例として以下の工程を含む方法を挙げるがこれらに限定されるものではない。
a.下記式で表わされるホモアダマンチルアルコールを、アルデヒドの存在下、ハロゲン化水素ガスで反応させ、ハロゲン化エーテル体である式(I)のホモアダマンタン誘導体を得る工程
b.下記式で表わされるホモアダマンチルアルコールを、アルキルスルホキシド及び酸無水物の存在下反応させてアルキルチオアルキルエーテル体を得て、さらにこれとハロゲン化剤を反応させてハロゲン化エーテル体である式(I)のホモアダマンタン誘導体を得る工程
c.下記式で表わされるホモアダマンチルアルコールと、2−ヒドロキシカルボン酸ハライド、2−ハロゲン化カルボン酸ハライド又は2−ハロゲン化カルボン酸を反応させてエステル体である式(I)のホモアダマンタン誘導体を得る工程
d.上記a〜cのいずれかで得られたハロゲン化ホモアダマンタン誘導体と、2−ヒドロキシカルボン酸と反応させる工程
e.上記a〜cのいずれかで得られたハロゲン化ホモアダマンタン誘導体と、2−ハロゲン化カルボン酸と反応させる工程
【化17】

【0025】
工程a,bと同様の工程を繰り返すことにより、nが2以上の化合物が得られ、工程c,d,eと同様の工程を繰り返すことにより、mが2以上の化合物が得られる。
【0026】
アルデヒドとしては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド等の直鎖状又は分岐状の脂肪族アルデヒドが挙げられる。
【0027】
ハロゲン化水素ガスとしては、例えばフッ化水素ガス、塩化水素ガス、臭化水素ガス等の単体ガス又はこれらの混合ガスが挙げられる。
【0028】
アルキルスルホキシドとしては、例えばジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジ−n−プロピルスルホキシド、ジイソプロピルスルホキシド、ジ−n−ブチルスルホキシド、ジイソブチルスルホキシド、ジ−sec−ブチルスルホキシド、ジ−tert−ブチルスルホキシド、ジイソペンチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド、メチル−tert−ブチルスルホキシド等の対称又は非対称のアルキルスルホキシドが挙げられる。
【0029】
酸無水物としては、例えば無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、イソ酪酸無水物、吉草酸無水物、ピバリン酸無水物、安息香酸無水物、クロロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物等の脂肪族又は芳香族カルボン酸無水物が挙げられる。
【0030】
ハロゲン化剤としては、例えば塩化チオニル、塩化スルフリル、臭化チオニル、臭化スルフリル、塩化臭化チオニル、塩化臭化スルフリル、等のハロゲン化硫黄化合物や、三塩化リン、三臭化リン、三ヨウ化リン、三塩化リン酸、三臭化リン酸、五塩化リン、五臭化リン等のハロゲン化リン化合物が挙げられる。
【0031】
2−ヒドロキシカルボン酸としては、例えばグリコール酸、乳酸(2−ヒドロキシプロピオン酸)、2−ヒドロキシブタン酸等の脂肪族−2−ヒドロキシカルボン酸とその酸無水物が挙げられ、2−ハロゲン化カルボン酸としては、例えば2−クロロ酢酸、2−ブロモ酢酸、2−クロロピオン酸、2−ブロモプロピオン酸等の2−ハロゲン化脂肪族カルボン酸とその酸無水物が挙げられる。
【0032】
工程aのハロゲン化エーテル体は、ホモアダマンチルアルコールをアルデヒドの存在下、ハロゲン化水素ガスと反応させることにより得ることができる。このとき、有機溶媒の存在下又は不存在下で行うことができる。
【0033】
有機溶媒を使用する場合の基質濃度は、ホモアダマンチルアルコールの飽和溶解度以下であれば特に限定はないが、基質濃度が0.1mol/L〜10mol/L程度となるように調節することが好ましい。基質濃度が0.1mol/L以上であると、通常の反応器で必要な量が得られるため経済的に好ましく、基質濃度が10mol/L以下であると、反応液の温度制御が容易となり好ましい。
【0034】
使用できる有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、THF(テトラヒドロフラン)、ジオキサン、DME(ジメトキシエタン)等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒が挙げられ、これらを1種又は2種以上を混合して用いてもよい。好ましくは、ハロゲン化水素ガスの溶存量が高いハロゲン系溶媒である。また、反応温度は任意であるが、高すぎるとハロゲン化水素ガスの溶解度が低下する恐れがあり、低すぎると反応自体の進行が遅くなる恐れがあるため0℃〜40℃が好ましい。圧力は任意であるが、加圧条件では副反応の制御が必要となるため常圧が好ましい。圧力が高すぎる場合は特別な耐圧装置が必要となり経済的でない。
【0035】
工程bのアルキルチオアルキルエーテル体は、ホモアダマンチルアルコールをアルキルスルホキシド及び酸無水物の存在下、反応させることにより得ることができる。このとき、有機溶媒の存在下又は不存在下で行うことができるが、通常はアルキルスルホキシド及び酸無水物を反応試剤かつ溶媒として大過剰使用することにより反応は進行する。
別途有機溶媒を使用する場合、使用できる有機溶媒、圧力は工程aと同じであり、基質濃度が1mol/L〜10mol/L程度となるように調節することが好ましい。基質濃度が1mol/L以上であると、通常の反応器で必要な量が得られるため経済的に好ましく、基質濃度が10mol/L以下であると反応液の温度制御が容易となり好ましい。
反応温度は任意であるが、高すぎると副反応による選択率低下が起きる恐れがあり、低すぎると反応自体の進行が遅くなる恐れがあるので室温〜60℃が好ましい。
【0036】
ハロゲン化アルキルエーテル体は、アルキルチオアルキルエーテル体をハロゲン化剤と反応させることにより得られる。このとき、有機溶媒の存在下又は不存在下で行うことができるが、ハロゲン化剤を反応試剤かつ溶媒として大過剰使用してもよい。
別途有機溶媒を使用する場合、基質濃度、使用できる有機溶媒、圧力は工程aと同じである。
反応温度は任意であるが、高すぎると副反応による選択率低下が起きる恐れがあり、低すぎると反応自体の進行が遅くなる恐れがあるので室温〜100℃が好ましい。
【0037】
工程a〜cのエステル化及びエーテル化は、ホモアダマンチルアルコールと反応試剤に塩基を作用させることにより系中で塩を発生させることもできるが、共沸脱水反応により発生する水を系外に強制的に除去することにより反応を促進することができる。
【0038】
上記エステル化及びエーテル化は、有機溶媒の存在下又は不存在下で行うことができるが、有機溶媒を使用する場合、基質濃度は上記工程aと同じである。
【0039】
使用できる有機溶媒としては、上記工程aで例示した溶媒の他、DMF(N、N−ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、HMPA(ヘキサメチルリン酸トリアミド)、HMPT(ヘキサメチル亜リン酸トリアミド)、二硫化炭素等の非プロトン極性溶媒が挙げられ、これらを1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0040】
上記塩基としては水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酸化銀、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸一水素二ナトリウム、燐酸一水素二カリウム、燐酸二水素一ナトリウム、燐酸二水素一カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ピリジン、N、N−ジメチルアミノピリジン、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン)、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン)等の無機塩基及び有機アミンが用いられる。
【0041】
共沸脱水反応の場合には溶媒として、好ましくはシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、等の炭化水素系溶媒が選択される。ホモアダマンチルアルコールに対する反応試薬の仕込み比は、0.01〜100倍mol程度、望ましくは1〜1.5倍molで行う。塩基の添加量は、ホモアダマンチルアルコールに対して、0.1〜10倍mol程度、望ましくは1〜1.5倍molで行う。反応温度は−200〜200℃程度であればよく、好ましくは−50〜100℃である。また、反応圧力は絶対圧力で0.01〜10MPa程度であり、好ましくは常圧〜1MPaである。反応時間が長い場合は滞留時間が長くなり、圧力が高すぎる場合は特別な耐圧装置が必要となり経済的でない。
【0042】
上記いずれの反応も、反応後、反応生成液は水と有機層に分離し、必要に応じて水層から生成物を抽出する。反応液から溶媒を減圧留去することで、本発明のホモアダマンタン誘導体が得られる。必要に応じて精製してもよいし、精製することなく反応液を次の反応に供してもよい。精製方法としては、蒸留、抽出洗浄、晶析、活性炭吸着、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等一般的な精製方法の中から、製造スケール、必要な純度を考慮して、選択することができるが、比較的低温での取扱いが可能であり、一度に多量のサンプルを処理できるため、抽出洗浄又は晶析による方法が好ましい。
【0043】
本発明の(メタ)アクリル酸エステル類は下記式(II)で表される。
【化18】

式中、R,Rはそれぞれ水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を表し、Rは水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。n,mはそれぞれ0〜3の整数であり、nとmが同時に0になることはない。
【0044】
式(II)におけるRは、好ましくは、水素原子、メチル基である。
【0045】
本発明の(メタ)アクリル酸エステルは好ましくは下記式(4)〜(6)のいずれかで表される。
【化19】

【0046】
より好ましくは下記式(4a)〜(6b)のいずれかで表される。
【化20】

【0047】
上記式(II)で表される本発明の(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルメタクリレート、1−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシエチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエチルメタクリレート、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチルメタクリレート、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソエチルメタクリレート、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエチルメタクリレート、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエチルメタクリレート、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−エチルエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエチルメタクリレート、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソ−1−エチルエチルメタクリレート、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソ−1−エチルエトキシ)−2−オキソ−1−エチルエチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソエチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメトキシ−2−オキソ−1−メチルエチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソ−1−メチルエチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシエチルメトキシ−2−オキソ−1−メチルエチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソ−1−エチルエチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシエチルメトキシ−2−オキソ−1−エチルエチルメタクリレート、(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルメタクリレート、1−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシエチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエチルメタクリレート、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチルメタクリレート、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソエチルメタクリレート、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエチルメタクリレート、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエチルメタクリレート、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−エチルエトキシ)−2−オキソ−1−メチルエチルメタクリレート、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−メチルエトキシ)−2−オキソ−1−エチルエチルメタクリレート、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソ−1−エチルエトキシ)−2−オキソ−1−エチルエチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソエチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメトキシ−2−オキソ−1−メチルエチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソ−1−メチルエチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシエチルメトキシ−2−オキソ−1−メチルエチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルメトキシ−2−オキソ−1−エチルエチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシエチルメトキシ−2−オキソ−1−エチルエチルメタクリレート、(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルアクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエチルアクリレート、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチルアクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルアクリレート、(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルアクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエチルアクリレート、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチルアクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルアクリレート、(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルトリフルオロメチルアクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエチルトリフルオロメチルアクリレート、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチルトリフルオロメチルアクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルトリフルオロメチルアクリレート、(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルトリフルオロメチルアクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエチルトリフルオロメチルアクリレート、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチルトリフルオロメチルアクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルトリフルオロメチルアクリレート等が挙げられる。
【0048】
これらの(メタ)アクリル酸エステルの中で、性能及び製造の容易さ等の観点から、(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエチルメタクリレート、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルメタクリレート、(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエチルメタクリレート、2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチルメタクリレート、2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルメタクリレート等が好ましい。
【0049】
以下に本発明の(メタ)アクリル酸エステルの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化21】

【化22】

【化23】

【0050】
本発明の(メタ)アクリル酸エステルは種々の方法により製造可能であり、特に限定されるものではないが、例えば以下に示す方法が挙げられる。
【0051】
式(I)のホモアダマンタン誘導体と、(メタ)アクリル酸類、(メタ)アクリル酸類ハライド、(メタ)アクリル酸類無水物、(メタ)アクリル酸類2−ヒドロキシアルキルから選択される1種以上の化合物(以下、単に(メタ)アクリル酸誘導体ともいう)をエステル化させて、式(II)の(メタ)アクリル酸エステル類を得ることができる。
【0052】
(メタ)アクリル酸類としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、2−フルオロアクリル酸、2−トリフルオロメチルアクリル酸等のハロゲン化(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
【0053】
(メタ)アクリル酸類ハライドとしては、例えばアクリル酸フルオライド、アクリル酸クロライド、アクリル酸ブロマイド、アクリル酸アイオダイド、メタクリル酸フルオライド、メタクリル酸クロライド、メタクリル酸ブロマイド、メタクリル酸アイオダイド、2−フルオロアクリル酸フルオライド、2−フルオロアクリル酸クロライド、2−フルオロアクリル酸ブロマイド、2−フルオロアクリル酸アイオダイド、2−トリフルオロメチルアクリル酸フルオライド、2−トリフルオロメチルアクリル酸クロライド、2−トリフルオロメチルアクリル酸ブロマイド、2−トリフルオロメチルアクリル酸アイオダイド等が挙げられる。
【0054】
(メタ)アクリル酸類無水物としては、例えばアクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、2−フルオロアクリル酸無水物、2−トリフルオロメチルアクリル酸無水物等が挙げられる。
【0055】
(メタ)アクリル酸類2−ヒドロキシアルキルとしては、例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
【0056】
エステル化は、式(I)のホモアダマンタン誘導体と(メタ)アクリル酸誘導体に塩基を作用させることにより系中で塩を発生させることもできるが、共沸脱水反応により発生する水を系外に強制的に除去することにより反応を促進することもできる。
【0057】
エステル化は有機溶媒の存在下又は不存在下で行うことができるが、有機溶媒を使用する場合には、基質濃度が0.1mol/L〜10mol/L程度となるように調節することが好ましい。基質濃度が0.1mol/L以上であると、通常の反応器で必要な量が得られるため経済的に好ましく、基質濃度が10mol/L以下であると反応液の温度制御が容易となり好ましい。
【0058】
使用できる有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、THF、ジオキサン、DME等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒、DMF、DMSO、NMP、HMPA、HMPT、二硫化炭素等の非プロトン極性溶媒が挙げられ、これらを1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0059】
塩基としては水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酸化銀、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸一水素二ナトリウム、燐酸一水素二カリウム、燐酸二水素一ナトリウム、燐酸二水素一カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ピリジン、N、N−ジメチルアミノピリジン、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン)、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン)等の無機塩基及び有機アミンが用いられる。
【0060】
共沸脱水反応の場合、溶媒は好ましくはシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒である。脂環構造含有アルコールに対する反応試薬の仕込み比は、例えば0.01〜100倍mol程度、望ましくは1〜1.5倍molである。塩基の添加量は、脂環構造含有アルコールに対して、例えば0.1〜10倍mol程度、望ましくは1〜1.5倍molである。
反応温度は−200〜200℃程度であればよく、好ましくは−50〜100℃である。また、反応圧力は例えば絶対圧力で0.01〜10MPa程度であり、好ましくは常圧〜1MPaである。反応時間が長い場合は滞留時間が長くなり、圧力が高すぎる場合は特別な耐圧装置が必要となり経済的でない。
【0061】
反応後、反応生成液は水と有機層に分離し、必要に応じて水層から生成物を抽出する。反応液から溶媒を減圧留去することで、本発明のホモアダマンタン誘導体が得られる。必要に応じて精製してもよいし、精製することなく反応液を次の反応に供してもよい。精製方法としては、蒸留、抽出洗浄、晶析、活性炭吸着、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等一般的な精製方法の中から、製造スケール、必要な純度を考慮して、選択することができるが、比較的低温での取扱いが可能であり、一度に多量のサンプルを処理できるため、抽出洗浄又は晶析による方法が好ましい。
【0062】
本発明の(メタ)アクリル系重合体は、式(II)の(メタ)アクリル酸エステルを重合して得られる。
本発明の(メタ)アクリル系重合体は、本発明の(メタ)アクリル酸エステル1種類以上に由来する繰り返し単位を含む重合体であればよく、(メタ)アクリル酸エステル1種だけを用いた単独重合体であってもよく、(メタ)アクリル酸エステル2種類以上を用いた共重合体であってもよく、(メタ)アクリル酸エステル1種類以上と他の重合性モノマーとを用いた共重合体であってもよい。
【0063】
本発明の(メタ)アクリル系重合体としては、式(II)の(メタ)アクリル酸エステルに由来する繰り返し単位を10〜90モル%含むものが好ましく、25〜75モル%含むものがより好ましい。
【0064】
重合法は特に限定されず、慣用の重合法で行うことができるが、例えば溶液重合(沸点重合、沸点未満重合)、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等の公知の重合方法を用いることができる。重合後の反応液中に残存している高沸点の未反応モノマー量が少ないほど好ましく、重合時又は重合終了後に必要に応じて未反応モノマーを除去する操作を施すことが好ましい。
上記重合法のうち、溶媒中でラジカル重合開始剤を用いた重合反応が好ましい。重合開始剤としては特に限定はないが、パーオキサイド系重合開始剤、アゾ系重合開始剤等が用いられる。
【0065】
パーオキサイド系重合開始剤としてはパーオキシカーボネート、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル(ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド)等の有機過酸化物が挙げられる。また、アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル等のアゾ化合物等が挙げられる。
【0066】
上記重合開始剤は、重合温度等の反応条件に応じて1種又は2種以上の重合開始剤を適宜用いることができる。
【0067】
重合終了後、使用した(メタ)アクリル酸エステルや他の共重合モノマーを、製造した重合体から除去する方法としては種々の方法が採用され得るが、操作性や経済的な視点から、アクリル系ポリマーに対する貧溶媒を用いてアクリル系ポリマーを洗浄する方法が好ましい。アクリル系ポリマーに対する貧溶媒の中でも、沸点が低いものが好ましく、代表的にはメタノール、エタノール、n−ヘキサン、n−ヘプタン等が挙げられる。
【0068】
上述したように、式(I)のホモアダマンタン誘導体から式(II)の(メタ)アクリル酸エステルを得ることができ、さらに、式(II)の(メタ)アクリル酸エステルを重合させて(メタ)アクリル系重合体を得ることができる。
本発明の(メタ)アクリル系重合体はポジ型フォトレジストとして使用できる。即ち、反応性の高い式(I)のホモアダマンタン誘導体から、ホモアダマンタン骨格を、PAG、低分子ポジ型フォトレジスト又はポジ型フォトレジストモノマーに導入でき、さらにはポジ型フォトレジスト重合体に導入できる。
式(II)の(メタ)アクリル酸エステルに含まれる炭素炭素二重結合は重合速度を高める。
【0069】
さらに本発明の重合体がアセタール結合を有するとき、酸分解性となる。例えば、ホモアダマンタン骨格にアセタール結合を介して基が結合しているとき、これをフォトレジストに用いると、酸により酸素原子のホモアダマンタン側と反対の側の結合が切れ、切れた基がアルカリに流され、これによるラフネスの低減等が期待される。
【0070】
また、本発明の(メタ)アクリル系重合体は従来別々のモノマーから導入していたアダマンタン骨格とラクトン骨格を、これらを同時に有する同じモノマーから導入するため、(メタ)アクリル系重合体(フォトレジスト樹脂)中でのこれら骨格の分散がより均一になり、ラフネス低減につながると考えられる。
【0071】
本発明の(メタ)アクリル系重合体を含む樹脂組成物は、種々の用途、例えば、回路形成材料(半導体製造用レジスト、プリント配線板等)、画像形成材料(印刷版材、レリーフ像等)等に利用できるが、特にフォトレジスト用樹脂組成物として用いることが好ましく、ポジ型フォトレジスト用樹脂組成物として用いることがより好ましい。
【0072】
本発明のポジ型フォトレジスト組成物は、本発明の(メタ)アクリル系重合体及び光酸発生剤を含有するものであれば特に限定されないが、本発明のポジ型フォトレジスト組成物100質量%に対して、本発明の(メタ)アクリル系重合体を2〜50質量%含有するものが好ましく、5〜15質量%含有するものがより好ましい。
【0073】
本発明のポジ型フォトレジスト組成物は、上記(メタ)アクリル系重合体及びPAG(光酸発生剤)以外に、有機アミン等のクエンチャー、アルカリ可溶性樹脂(例えば、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂、カルボキシル基含有樹脂等)等のアルカリ可溶成分、着色剤(例えば、染料等)、有機溶媒(例えば、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類、カルビトール類、グリコールエーテルエステル類、これらの混合溶媒等)等を添加することができる。
【0074】
光酸発生剤としては、露光により効率よく酸を生成する慣用の化合物が挙げられ、例えばジアゾニウム塩、ヨードニウム塩(例えば、ジフェニルヨードヘキサフルオロホスフェート等)、スルホニウム塩(例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート等)、スルホン酸エステル(例えば、1−フェニル−1−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ−1−ベンゾイルメタン、1,2,3−トリスルホニルオキシメチルベンゼン、1,3−ジニトロ−2−(4−フェニルスルホニルオキシメチル)ベンゼン、1−フェニル−1−(4−メチルフェニルスルホニルオキシメチル)−1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルメタン等)、オキサチアゾール誘導体、s−トリアジン誘導体、ジスルホン誘導体(ジフェニルジスルホン等)、イミド化合物、オキシムスルホネート、ジアゾナフトキノン、ベンゾイントレート等が挙げられる。これらの光酸発生剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0075】
本発明のポジ型フォトレジスト組成物における光酸発生剤の含有量は、光照射により生成する酸の強度、(メタ)アクリル系重合体の(メタ)アクリル酸エステル類に基づく単量体単位の含有量等に応じて適宜選択できる。
光酸発生剤の含有量は、(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜25質量部、さらに好ましくは2〜20質量部である。
【0076】
本発明のポジ型フォトレジスト組成物は、(メタ)アクリル系重合体、光酸発生剤及び必要に応じて前記有機溶媒等を混合し、必要に応じて夾雑物をフィルター等の慣用の固体分離手段により除去することにより調製できる。
このポジ型フォトレジスト組成物を基材又は基板上に塗布し、乾燥した後、所定のマスクを介して塗膜(レジスト膜)に光線を露光して(又は、さらに露光後ベークを行い)潜像パターンを形成し、次いで現像することにより微細なパターンを高い精度で形成できる。
【0077】
また、本発明は、上記ポジ型フォトレジスト組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程と、該レジスト膜を選択露光する工程と、選択露光されたレジスト膜をアルカリ現像処理してレジストパターンを形成する工程とを含むレジストパターン形成方法をも提供する。
【0078】
支持体としては、シリコンウエハー、金属、プラスチック、ガラス、セラミック等が挙げられる。ポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程は、スピンコータ、ディップコータ、ローラコータ等の慣用の塗布手段を用いて行うことができる。レジスト膜の厚みは、好ましくは50nm〜20μm、より好ましくは100nm〜2μmである。
【0079】
レジスト膜を選択露光する工程には、種々の波長の光線、例えば紫外線、X線等が利用でき、半導体レジスト用では、通常g線、i線、エキシマレーザー(例えば、XeCl、KrF、KrCl、ArF、ArCl等)、軟X線等が使用される。露光エネルギーは例えば0.1〜1000mJ/cm、好ましくは1〜100mJ/cm程度である。
【0080】
本発明のポジ型レジスト組成物に含まれる(メタ)アクリル系重合体は、好ましくはアセタール構造を有し、酸分解性機能を有する。この場合、上記選択露光により光酸発生剤から酸が生成し、この酸により(メタ)アクリル系重合体中の(メタ)アクリル酸エステルに基づく構造単位のうち環状部分が速やかに脱離して、可溶化に寄与するカルボキシル基や水酸基が生成する。そのため、アルカリ現像液を用いて現像処理を行うことで、所定のパターンを精度よく形成できる。
【実施例】
【0081】
以下、本発明について実施例及び比較例を示してより具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
尚、物性の測定方法は以下の通りである。
(1)核磁気共鳴分光法(NMR):溶媒としてクロロホルム−dを使用し、JNM−ECA500(日本電子株式会社製)で測定した。
(2)ガスクロマトグラフ−質量分析(GC−MS):EI(株式会社島津製作所製GCMS−QP2010)を用いて測定した。
(3)重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn):HLC−8220 GPCシステム(東ソー製、カラム=TSGgel G−4000HXL+G−2000HXL)を用いてポリスチレン換算で測定した。
【0082】
また、5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−オールは2−アダマンタノンを原料に文献(J.Org.Chem., 48,1099−1101(1983))記載の方法により4−オキソ−1−アダマンタノールを合成し、さらにギ酸と過酸化水素水からなる過ギ酸による反応により合成した。
5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−オールは2−アダマンタノンを原料に文献(J.Am.Chem.Soc., 108,15,4484(1986))記載の方法によりendo−ビシクロ[3.3.1]ノン−6−エン−3−カルボン酸を合成し、さらにギ酸と過酸化水素水からなる過ギ酸による反応により合成した。
【0083】
実施例1
ホモアダマンタン誘導体の合成:(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルクロライド
1Lフラスコに、5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−オール54.7g(300mmol)とジメチルスルホキシド(DMSO)400mL(5.6mol)、無水酢酸200mL(2.1mol)を加え、3日間攪拌した後、ガスクロ分析を行ったところ、5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−オールが完全にメチルチオメチルエーテル体に転化していることを確認した。
【0084】
この反応混合液に水150mLとジエチルエーテル300mLを加え、震とう、静置の後、水層と有機層を分けた。水層に再びジエチルエーテル150mLを加え、震とう、静置の後水層と有機層を分けた。これをさらに2回繰り返し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過、濃縮し、得られた黄色オイルにクロロホルム100mLを加え、塩化チオニル21.8mL(300mmol)を滴下した。1時間撹拌した後、溶媒と軽質ガス成分を減圧下留去したところ、目的とする下記式の(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルクロライド54.2g(235mmol、単離収率78.3%、GC純度98.3%)を単離した。以下にGC−MS、H−NMR及び13C−NMRの各データを示す。
【0085】
GC−MS:232(0.04%),230(0.4%),194(10.2%),164(23.3%),138(56.7%),120(39.6%),95(100%),79(58.8%),67(22.1%),55(18.4%),41(29.8%)
H−NMR:1.84〜2.67(m,11H),3.09(t,J=5.6Hz,1H),4.63(s,1H),5.43(s,2H)
13C−NMR:29.69,30.11,34.56,34.63,38.14,39.83,41.37,68.29,73.88,82.07,177.92
【化24】

【0086】
実施例2
ホモアダマンタン誘導体の合成:(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルクロライド
塩化水素ガス導入用のノズルを取付けた1Lセパラブルフラスコに撹拌装置を取り付け、ここに5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−オール54.7g(300mmol)、パラホルムアルデヒド13.6g(450mmol)、硫酸マグネシウム36.2g(300mmol)及び乾燥したジクロロメタン650mLを加え、氷浴で0℃に冷却、攪拌した。ここに塩化ナトリウム292g(5.0mmol)と濃硫酸700mLを混合して発生させた塩化水素ガスをノズルを通して1時間吹き込んだ。さらに3時間攪拌後、硫酸マグネシウムをろ過した後、ガスクロ分析を行ったところ5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−オールは完全にエーテル体に転化していることを確認した。
【0087】
蒸留により塩化水素及びジクロロメタンを除去し、目的とする下記式の(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルクロライド58.1g(251mmol,単離収率84.0%,GC純度98.9%)を単離した。以下にGC−MS、H−NMR及び13C−NMRの各データを示す。
【0088】
GC−MS:232(0.01%),230(0.5%),194(9.9%),164(53.7%),136(83.0%),121(15.8%),110(15.9%),79(100%),67(22.4%),55(19.1%),41(24.1%)
H−NMR:1.57(s,1H),1.84〜2.25(m,9H),3.22(s,1H),3.92(s,1H),4.11(s1H),5.68(s,2H)
13C−NMR:24.78,27.76,28.53,29.72,30.41,31.67,38.49,69.91,72.30,82.15,177.48
【化25】

【0089】
実施例3
ホモアダマンタン誘導体の合成:2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライド
1Lフラスコに5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−オール36.4g(200mmol)を加え、テトラヒドロフラン200mLで溶解させ、トリエチルアミン41.8mL(300mmol)を加えた。フラスコを氷浴で冷却した状態で、クロロ酢酸クロライド19.1mL(240mmol)を約30分かけてゆっくり滴下した。
【0090】
その後、3時間撹拌を続けた後、水100mLを加えて反応を停止させた。得られた反応混合液はジエチルエーテル抽出、水洗の後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過、濃縮後、再結晶により精製し、目的とする下記式の2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライド39.8g(154mmol、単離収率76.9%、GC純度97.9%)を単離した。以下にGC−MS、H−NMR及び13C−NMRの各データを示す。
【0091】
GC−MS:261(0.02%),259(0.07%),214(0.14%),164(14.5%),138(35.4%),120(26.0%),105(15.1%),95(64.3%),93(43.6%),92(100%),79(38.1%),67(14.5%),55(11.6%),41(19.8%)
H−NMR:1.80〜2.57(m,11H),3.24(t,J=5.8Hz,1H),3.99(t,J=0.8Hz,2H),4.68(s,1H)
13C−NMR:29.68,30.20,34.55,34.70,38.18,39.70,41.07,41.53,73.67,80.43,165.88,176.75
【化26】

【0092】
実施例4
ホモアダマンタン誘導体の合成:2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライド
実施例3において、5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−オールの代わりに5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−オールを使用したこと以外は実施例3と同様に行った結果、目的とする下記式の2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライド37.0g(143mmol,単離収率71.5%,GC純度98.0%)を単離した。以下にGC−MS、H−NMR及び13C−NMRの各データを示す。
【0093】
GC−MS:259(0.05%),215(0.60%),186(1.32%),164(55.7%),136(81.7%),121(16.2%),110(16.0%),92(59.6%),79(100%),67(22.9%),55(18.5%),41(24.4%)
H−NMR:1.57(d,J=13.1Hz,1H),1.86〜2.28(m,9H),3.09(s,1H),4.10(s,2H),4.29(s,1H),5.07(s,1H)
13C−NMR:24.89,27.76,28.61,29.65,30.34,31.62,40.36,40.65,72.08,73.67,165.71,176.66
【化27】

【0094】
実施例5
ホモアダマンタン誘導体の合成:2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライド
1Lフラスコに5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−オール36.4g(200mmol)、パラトルエンスルホン酸1水和物1.9g(10mmol)、クロロ酢酸28.3g(300mmol)を加え、トルエン500mLで溶解させた。トルエンが沸騰するまで昇温し、その後、8時間撹拌を続けた後、水100mLを加えて反応を停止させた。得られた反応混合液は水洗の後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過,濃縮後、再結晶により精製し、目的の2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライド44.1g(170mmol,単離収率85.2%,GC純度98.8%)を単離した。以下にGC−MS、H−NMR及び13C−NMRの各データを示す。
【0095】
GC−MS:261(0.02%),259(0.07%),214(0.14%),164(14.5%),138(35.4%),120(26.0%),105(15.1%),95(64.3%),93(43.6%),92(100%),79(38.1%),67(14.5%),55(11.6%),41(19.8%)
H−NMR:1.80〜2.57(m,11H),3.24(t,J=5.8Hz,1H),3.99(t,J=0.8Hz,2H),4.68(s,1H)
13C−NMR:29.68,30.20,34.55,34.70,38.18,39.70,41.07,41.53,73.67,80.43,165.88,176.75
【化28】

【0096】
実施例6
ホモアダマンタン誘導体の合成:2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライド
実施例5において、5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−オールの代わりに5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−オールを使用したこと以外は実施例5と同様に行った結果、目的の2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライド49.1g(190mmol,単離収率94.9%,GC純度98.0%)を単離した。以下にGC−MS、H−NMR及び13C−NMRの各データを示す。
【0097】
GC−MS:259(0.05%),215(0.60%),186(1.32%),164(55.7%),136(81.7%),121(16.2%),110(16.0%),92(59.6%),79(100%),67(22.9%),55(18.5%),41(24.4%)
H−NMR:1.57(d,J=13.1Hz,1H),1.86〜2.28(m,9H),3.09(s,1H),4.10(s,2H),4.29(s,1H),5.07(s,1H)
13C−NMR:24.89,27.76,28.61,29.65,30.34,31.62,40.36,40.65,72.08,73.67,165.71,176.66
【化29】

【0098】
実施例7
ホモアダマンタン誘導体の合成:2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエタノール
500mLの三口フラスコに、グリコール酸4.6g(60mmol)、DMF50mL、炭酸カリウム10.4g(75mmol)、ヨウ化カリウム3.4g(20mmol)を入れ、室温で30分間撹拌した。そこへ、実施例3で合成した2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライド14.9g(50mmol)のDMF30mL溶液をゆっくりと加え、45℃に昇温し、4時間撹拌した。反応終了後、トルエン100mLを加えてろ過し、得られた溶液を水洗、10wt%チオ硫酸ナトリウム水溶液での洗浄の後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過,濃縮後、トルエン−ヘプタン混合溶液から再結晶を行い、目的とする下記式の2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエタノール10.8g(36.2mmol,単離収率72.4%,GC純度98.7%)を単離した。以下にGC−MS、H−NMR及び13C−NMRの各データを示す。
【0099】
GC−MS:298(0.02%),181(0.09%),164(22.7%),138(58.4%),120(40.6%),95(100%),79(63.2%),67(23.6%),55(17.6%),41(30.4%)
H−NMR:1.79〜2.55(m,11H),3.36(t,J=6.0Hz,1H),4.42(d,J=5.2Hz,2H),4.55(s,2H),4.79(s,1H)
13C−NMR:29.61,30.39,34.67,34.72,38.30,39.85,41.31,60.85,61.13,74.36,80.11,166.23,171.99,177.64
【化30】

【0100】
実施例8
ホモアダマンタン誘導体の合成:2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエタノール
実施例7において、実施例3で合成した2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライドの代わりに実施例4で合成した2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライドを使用したこと以外は実施例7と同様に行った結果、目的とする下記式の2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエタノール11.3g(37.9mmol,単離収率75.8%,GC純度99.0%)を単離した。以下にGC−MS、H−NMR及び13C−NMRの各データを示す。
【0101】
GC−MS:298(0.01%),181(0.09%),164(53.1%),136(78.0%),121(15.2%),110(15.2%),79(100%),67(22.6%),55(18.2%),41(23.0%)
H−NMR:1.56(d,J=12.5Hz,1H),1.80〜2.34(m,9H),3.06(s,1H),4.27(d,J=5.0Hz,2H),4.34(s,1H),4.94(s,1H),4.99(s,2H)
13C−NMR:24.94,27.78,28.72,29.55,30.19,31.67,40.42,60.78,61.11,72.33,73.81,165.34,173.65,176.38
【化31】

【0102】
実施例9
ホモアダマンタン誘導体の合成:2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルクロライド
100mLフラスコに実施例1で合成した(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルクロライド11.5g(50mmol)を入れ、テトラヒドロフラン50mLを加えて溶解させ、トリエチルアミン9.1mL(65mmol)を加えて撹拌開始した。ここへクロロ酢酸5.2g(55mmol)のテトラヒドロフラン10mL溶液を約10分かけてゆっくりと滴下した。引き続き2時間撹拌の後、水50mLを加えて反応を止めた。反応混合液にジエチルエーテル100mLを加え、水洗の後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過、濃縮すると、目的とする下記式の2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルクロライド13.7g(47mmol、単離収率95.0%、GC純度95.2%)を単離した。以下にGC−MS、H−NMR及び13C−NMRの各データを示す。
【0103】
GC−MS:288(0.01%),260(1.2%),258(3.9%),164(24.1%),194(21.7%),138(54.0%),120(40.6%),95(100%),79(58.5%),67(22.5%),55(18.6%),41(31.0%)
H−NMR:1.88〜2.55(m,11H),3.15(t,J=5.6Hz,1H),3.91(s,2H),4.45(s,1H),5.63(s,2H)
13C−NMR:29.59,30.29,34.70,34.80,38.06,39.76,40.88,41.10,74.05,80.25,89.25,167.25,176.55
【化32】

【0104】
実施例10
ホモアダマンタン誘導体の合成:2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルクロライド
実施例9において、実施例1で合成した(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルクロライドの代わりに実施例2で合成した(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルクロライドを使用したこと以外は実施例9と同様に行った結果、目的とする下記式の2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルクロライド12.3g(43mmol,単離収率85.0%,GC純度95.8%)を単離した。以下にGC−MS、H−NMR及び13C−NMRの各データを示す。
【0105】
GC−MS:288(0.01%),260(1.3%),258(4.1%),164(51.9%),136(74.8%),121(15.5%),110(15.5%),79(100%),67(20.9%),55(18.3%),41(22.8%)
H−NMR:1.62(d,J=12.8Hz,1H),1.92〜2.33(m,9H),2.96(s,1H),4.24(s,1H),4.26(s,2H),4.91(s,1H),5.22(s,2H)
13C−NMR:24.90,27.64,28.73,29.64,30.38,31.63,40.54,40.99,72.17,73.79,89.48,166.30,177.08
【化33】

【0106】
実施例11
(メタ)アクリル酸エステルの合成:(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルメタクリレート
実施例9において、クロロ酢酸の代わりにメタクリル酸4.7g(55mmol)を使用したこと以外は実施例9と同様に行った結果、目的とする下記式の(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルメタクリレート13.5g(48mmol、単離収率96.3%、GC純度97.8%)を単離した。以下にGC−MS、H−NMR及び13C−NMRの各データを示す。
【0107】
GC−MS:250(30.6%),194(59.8%),164(23.6%),138(53.3%),120(41.1%),95(100%),79(60.9%),69(49.6%),67(21.8%),55(17.4%),41(77.1%)
H−NMR:1.73〜2.47(m,11H),2.04(s,3H),3.12(t,J=5.7Hz,1H),4.53(s,1H),5.29(s,2H),5.67(t,J=1.5Hz,1H),5.89(s,1H)
13C−NMR:18.17,29.64,30.13,34.50,34.83,38.36,39.59,41.12,73.80,80.49,88.62,126.52,136.49,166.86,176.74
【化34】

【0108】
実施例12
(メタ)アクリル酸エステルの合成:(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルメタクリレート
実施例11において、実施例1で合成した(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルクロライドの代わりに実施例2で合成した(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルクロライドを使用したこと以外は実施例11と同様に行った結果、目的とする下記式の(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメチルメタクリレート12.9g(46mmol、単離収率92.0%、GC純度98.2%)を単離した。以下にGC−MS、H−NMR及び13C−NMRの各データを示す。
【0109】
GC−MS:250(30.8%),194(59.0%),164(57.2%),136(81.2%),121(16.6%),110(16.1%),79(100%),69(50.7%),67(23.1%),55(19.1%),41(24.3%)
H−NMR:1.54(d,J=12.7Hz,1H),1.92〜2.37(m,9H),2.06(s,3H),3.22(s,1H),4.08(s,1H),5.18(s,1H),5.41(s,2H),5.72(t,J=1.6Hz,1H),5.96(s,1H)
13C−NMR:18.15,24.97,27.85,28.51,29.54,30.46,31.74,40.31,72.09,73.83,88.69,126.13,136.70,166.82,177.50
【化35】

【0110】
実施例13
(メタ)アクリル酸エステルの合成:2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエチルメタクリレート
200mLの三口フラスコに、メタクリル酸3.1mL(36mmol)、DMF30mL、炭酸カリウム6.2g(45mmol)、ヨウ化カリウム2.0g(12mmol)を入れ、室温で30分間撹拌した。そこへ、実施例3で合成した2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライド7.8g(30mmol)のDMF20mL溶液をゆっくりと加え、45℃に昇温し、4時間撹拌した。反応終了後、トルエン60mLを加えてろ過し、得られた溶液を水洗、10wt%チオ硫酸ナトリウム水溶液での洗浄の後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過、濃縮後、シリカゲルカラムでの精製により、目的とする下記式の2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエチルメタクリレート8.0g(25.9mmol、単離収率86.3%、GC純度97.5%)を単離した。以下にGC−MS、H−NMR及び13C−NMRの各データを示す。
【0111】
GC−MS:308(1.0%),164(21.3%),138(56.6%),120(40.9%),95(100%),79(60.9%),69(21.8%),67(22.4%),55(17.9%),41(49.5%)
H−NMR:1.72〜2.55(m,11H),1.98(s,3H),3.18(t,J=5.6Hz,1H),4.74(s,1H),4.91(s,2H),5.53(t,J=1.6Hz,1H),6.38(s,1H)
13C−NMR:18.16,29.67,30.15,34.65,34.70,38.13,39.71,41.26,60.90,74.21,80.27,126.71,134.76,166.11,166.73,178.11
【化36】

【0112】
実施例14
(メタ)アクリル酸エステルの合成:2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエチルメタクリレート
実施例13において、実施例3で合成した2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライドの代わりに実施例4で合成した2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライドを使用したこと以外は実施例13と同様に行った結果、目的とする下記式の2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエチルメタクリレート7.8g(25.3mmol、単離収率84.3%、GC純度96.9%)を単離した。以下にGC−MS、H−NMR及び13C−NMRの各データを示す。
【0113】
GC−MS:308(0.9%),164(60.6%),136(86.0%),121(17.3%),110(16.2%),79(100%),69(20.4%),67(23.6%),55(19.6%),41(45.7%)
H−NMR:1.58(d,J=13.4Hz,1H),1.76〜2.31(m,9H),2.02(s,3H),3.08(s,1H),4.10(s,1H),4.76(s,2H),5.17(s,1H),5.87(t,J=1.5Hz,1H),6.35(s,1H)
13C−NMR:18.10,24.85,27.65,28.69,29.57,30.33,31.61,40.50,61.16,72.09,73.63,126.75,135.80,167.25,167.36,176.46
【化37】

【0114】
実施例15
(メタ)アクリル酸エステルの合成:2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチルメタクリレート
実施例13において、実施例3で合成した2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライドの代わりに実施例7で合成した2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエタノールを使用したこと以外は実施例13と同様に行った結果、目的とする下記式の2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチルメタクリレート8.4g(22.9mmol、単離収率76.3%、GC純度97.0%)を単離した。以下にGC−MS、H−NMR及び13C−NMRの各データを示す。
【0115】
GC−MS:366(1.0%),164(24.1%),138(54.9%),120(41.5%),95(100%),79(58.8%),69(32.9%),67(22.7%),55(18.9%),41(57.0%)
H−NMR:1.75〜2.65(m,11H),2.00(s,3H),3.30(t,J=5.9Hz,1H),4.49(s,1H),4.69(s,2H),4.74(s,2H),5.58(t,J=1.5Hz,1H),6.11(s,1H)
13C−NMR:18.13,29.62,30.18,34.68,34.74,38.20,39.89,41.09,60.93,61.08,74.27,80.83,126.59,135.40,166.05,166.46,166.74,177.35
【化38】

【0116】
実施例16
(メタ)アクリル酸エステルの合成:2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチルメタクリレート
実施例13において、実施例3で合成した2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライドの代わりに実施例8で合成した2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエタノールを使用したこと以外は実施例13と同様に行った結果、目的とする下記式の2−(2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシ−2−オキソエトキシ)−2−オキソエチルメタクリレート)8.2g(22.4mmol、単離収率74.6%、GC純度97.2%)を単離した。以下にGC−MS、H−NMR及び13C−NMRの各データを示す。
【0117】
GC−MS:366(1.0%),164(53.4%),136(81.0%),121(15.4%),110(15.8%),79(100%),69(33.7%),67(21.9%),55(19.1%),41(52.0%)
H−NMR:1.49(d,J=13.5Hz,1H),1.94(s,3H),1.80〜2.36(m,9H),3.02(s,1H),4.16(s,1H),4.47(s,2H),4.78(s,2H),4.95(s,1H),5.64(t,J=1.5Hz,1H),6.04(s,1H)
13C−NMR:18.07,24.82,27.78,28.52,29.73,30.49,31.72,40.19,60.70,60.74,71.96,73.45,126.78,135.42,165.85,166.10,166.79,176.57
【化39】

【0118】
実施例17
(メタ)アクリル酸エステルの合成:2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルメタクリレート
実施例13において、実施例3で合成した2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライドの代わりに実施例9で合成した2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルクロライドを使用したこと以外は実施例13と同様に行った結果、目的とする下記式の2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルメタクリレート7.2g(21.3mmol、単離収率70.9%、GC純度95.3%)を単離した。以下にGC−MS、H−NMR及び13C−NMRの各データを示す。
【0119】
GC−MS:308(32.8%),194(35.4%),164(23.4%),138(53.9%),120(42.5%),95(100%),79(60.4%),69(50.9%),67(21.7%),55(17.9%),41(70.0%)
H−NMR:1.81〜2.50(m,11H),1.94(s,3H),3.11(t,J=5.9Hz,1H),4.48(s,2H),4.88(s,1H),5.31(s,2H),5.69(t,J=1.5Hz,1H),6.48(s,1H)
13C−NMR:18.09,29.64,30.14,34.65,34.73,38.26,39.69,41.46,60.95,73.72,80.24,88.70,126.68,134.80,166.43,166.66,177.11
【化40】

【0120】
実施例18
(メタ)アクリル酸エステルの合成:2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルメタクリレート
実施例13において、実施例3で合成した2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシ−2−オキソエチルクロライドの代わりに実施例10で合成した2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルクロライドを使用したこと以外は実施例13と同様に行った結果、目的とする下記式の2−(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−2−イル)オキシメトキシ−2−オキソエチルメタクリレート7.6g(22.5mmol、単離収率74.9%、GC純度95.0%)を単離した。以下にGC−MS、H−NMR及び13C−NMRの各データを示す。
【0121】
GC−MS:308(31.5%),194(35.0%),164(57.5%),136(85.3%),121(16.5%),110(15.5%),79(100%),69(51.4%),67(22.2%),55(18.9%),41(24.5%)
H−NMR:1.63(d,J=13.3Hz,1H),1.87〜2.31(m,9H),1.94(s,3H),3.08(s,1H),4.20(s,1H),4.81(s,2H),4.98(s,1H),5.54(s,2H),5.85(t,J=1.5Hz,1H),6.06(s,1H)
k13C−NMR:18.19,24.88,27.76,28.66,29.51,30.48,31.76,40.24,60.65,72.29,73.89,88.73,126.84,135.89,166.16,166.28,175.92
【化41】

【0122】
実施例19〜26
(メタ)アクリル系共重合体の合成
メチルイソブチルケトンに2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル/モノマーA/モノマーB/モノマーC(実施例11〜18で合成した化合物)を質量比0.1/2.0/1.0/1.0で仕込み、加熱還流下、3時間撹拌した。その後、反応液を大量のメタノールと水の混合溶媒に注いで沈殿させる動作を3回行い精製した結果、それぞれの共重合体P1〜P8を得た。共重合体P1〜P8の共重合組成、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を表1に示す。
【化42】

【0123】
【表1】

【0124】
実施例27〜34
ポジ型レジスト組成物の調製
実施例19〜26で得られた共重合体P1〜P8それぞれ100質量部に対し、光酸発生剤としてトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネートを5質量部加え、得られた樹脂組成物10質量部に対してプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート90質量部を用いて溶解し、レジスト組成物R1〜R8を調製した。シリコンウエハー上に、調製したレジスト組成物R1〜R8を塗布し、110℃で、60秒間ベークを行い、レジスト膜を形成した。こうして得られたウエハーを波長248nmの光によって100mJ/cmの露光量でオープン露光した。露光直後に110℃で、60秒間加熱した後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)で60秒間現像した。このときのレジスト膜の減少の有無を表2に示した。○印はレジスト膜が完全になくなったことを示す。
【0125】
【表2】

【0126】
このように、本発明の(メタ)アクリル系重合体を含む組成物は、いずれもポジ型フォトレジスト組成物として機能することが明らかになった。
【0127】
比較例1
(メタ)アクリル酸エステルの合成:5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イルメタクリレート
実施例9において、(5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イル)オキシメチルクロライドの代わりに5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−オール9.1g(50mmol)を、クロロ酢酸の代わりにメタクリル酸4.7g(55mmol)を使用したこと以外は実施例9と同様に行った結果、目的とする下記式の5−オキソ−4−オキサ−5−ホモアダマンタン−1−イルメタクリレート11.9g(48mmol、単離収率95.1%、GC純度98.7%)を単離した。
【化43】

【0128】
評価例1
(メタ)アクリル系共重合体の合成
メチルイソブチルケトンに2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル/モノマーD(実施例13で合成した化合物)/モノマーE(比較例1で合成した化合物)を質量比0.1/1.0/1.0で仕込み、加熱還流下、3時間撹拌した。その際、それぞれのモノマーの転化率を経時的に比較したものを表3と図1に示した。
【化44】

【0129】
【表3】

【0130】
このように、本発明の(メタ)アクリル酸エステルは重合速度も速いことが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明の(メタ)アクリル系重合体を含む樹脂組成物は、回路形成材料(半導体製造用レジスト、プリント配線板等)、画像形成材料(印刷版材、レリーフ像等)等に使用でき、特にポジ型フォトレジスト用樹脂組成物として用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表されるホモアダマンタン誘導体。
【化45】

(式中、R,Rはそれぞれ水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を表し、Xは水酸基又はハロゲン原子を表し、n,mはそれぞれ0〜3の整数である。ただし、nとmが同時に0になることはない。)
【請求項2】
下記式(1)〜(3)のいずれかで表される請求項1記載のホモアダマンタン誘導体。
【化46】

(式中、Xは水酸基又はハロゲン原子を表す。)
【請求項3】
下記式(1a)〜(3b)のいずれかで表される請求項2記載のホモアダマンタン誘導体。
【化47】

(式中、Xは水酸基又はハロゲン原子を表す。)
【請求項4】
下記a〜gのいずれかの工程を含む、請求項1〜3のいずれか記載のホモアダマンタン誘導体の製造方法。
a.下記式で表わされるホモアダマンチルアルコールと、アルデヒド及びハロゲン化水素ガスとを反応させる工程
b.下記式で表わされるホモアダマンチルアルコールと、アルキルスルホキシド及び酸無水物とを反応させてアルキルチオアルキルエーテル体を得、このアルキルチオアルキルエーテル体とハロゲン化剤とを反応させる工程
c.下記式で表わされるホモアダマンチルアルコールと、2−ヒドロキシカルボン酸ハライド、2−ハロゲン化カルボン酸ハライド又は2−ハロゲン化カルボン酸を反応させる工程
d.上記a〜cのいずれかで得られたハロゲン化ホモアダマンタン誘導体と、2−ヒドロキシカルボン酸と反応させる工程
e.上記a〜cのいずれかで得られたハロゲン化ホモアダマンタン誘導体と、2−ハロゲン化カルボン酸と反応させる工程
【化48】

【請求項5】
下記式(II)で表される(メタ)アクリル酸エステル。
【化49】

(式中、R,Rはそれぞれ水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を表し、Rは水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。n,mはそれぞれ0〜3の整数であり、nとmが同時に0になることはない。)
【請求項6】
下記式(4)〜(6)のいずれかで表される請求項5記載の(メタ)アクリル酸エステル
【化50】

【請求項7】
下記式(4a)〜(6b)のいずれかで表される請求項6記載の(メタ)アクリル酸エステル。
【化51】

【請求項8】
請求項1〜3のいずれか記載のホモアダマンタン誘導体と、(メタ)アクリル酸類、(メタ)アクリル酸類ハライド、(メタ)アクリル酸類無水物、(メタ)アクリル酸類2−ヒドロキシアルキル誘導体から選択される1種以上とを反応させる請求項5〜7のいずれか記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
【請求項9】
請求項5〜7のいずれか記載の(メタ)アクリル酸エステルを重合して得られる(メタ)アクリル系重合体。
【請求項10】
請求項9記載の(メタ)アクリル系重合体及び光酸発生剤を含有するポジ型フォトレジスト組成物。
【請求項11】
請求項10に記載のポジ型フォトレジスト組成物を用いて支持体上にフォトレジスト膜を形成する工程と、該フォトレジスト膜を選択露光する工程と、選択露光された該フォトレジスト膜をアルカリ現像処理してレジストパターンを形成する工程とを含むレジストパターン形成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−219363(P2011−219363A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86352(P2010−86352)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】