説明

ホログラム検査装置

【課題】検出対象のホログラムが検出媒体のどの位置にある場合でも、回折反射光を安定して検出することができ、検出精度の向上したホログラム検査装置を提供する。
【解決手段】ホログラム検査装置は、ホログラムが付された検査媒体を支持する支持機構14と、ホログラムに光を照射する光ファイバ照明装置16と、ホログラムからの回折光を撮像する撮像部20と、撮像部で撮像された画像を画像処理する画像処理部と、処理画像からホログラムの欠損、疲弊、真偽判定を行う判定処理部と、を備えている。光ファイバ照明装置は、検査媒体に平行に対向して配置された出射面と、ホログラムの特定の入射角度に対応した角度だけ出射面に対し傾斜して出射側端部が配置された光ファイバと、を有し、ホログラムに光を照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は紙葉類、カード等の検査媒体に付されたホログラムを検査するホログラム検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンボスホログラムに代表される回折型光学的変化素子(以下、回折型OVD)は、表面に光の回折現象を引き起こす加工がされた素子であり、回折パターンにより光の回折・干渉現象に起因する鮮やかな色彩を発光する模様を有している。ホログラムに特定の角度から光を入射させると、正反射光とは別に回折格子のピッチや方向に従って特定の角度に回折光を反射する。ホログラムは、通常の印刷とは異なる光学的な特徴を有しているため、商品券、有価証券等の紙葉類やクレジットカード等のカード類のセキュリティスレッドとして用いられ、真贋を判別する目的として実現化されている。
【0003】
このような紙葉類やカード類の品質管理を目的として、これら紙葉類、カード類に付されたホログラムを検査する種々の検査装置が提案されている。このような検査装置として、ホログラムに特定の角度から光を当て、回折発光がなされる位置に受光系を配置してホログラムの真贋を判定する装置が知られている。例えば、特許文献1には、測定光を投光する投光系とホログラムの回折パターンにより反射回折された複数の反射回折光をそれぞれ検出する複数個の受光系とを用いて真贋判定を行う検査装置が開示されている。また、例えば、特許文献2には、ホログラムを照明する照明装置として、複数のセルフォック(登録商標)レンズを所定の角度で並べて光を照射する装置が開示されている。
【特許文献1】特開2001−307173号公報
【特許文献2】特開2002−221494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように構成されたホログラム検査装置によりホログラムの回折反射光を検出する場合において、検出対象のホログラムが検出媒体の複数箇所、例えば、両端に設けられている場合、検査装置の結像系から見たときに、それぞれのホログラムから得られる回折反射光の反射条件が異なる。そのため、結像系に取り込まれる各々の回折特性が異なってきてしまう。例えば、一方のホログラムからの回折反射光は長波長側の特性が強くなり、他方のホログラムからの回折反射光は短波長側の特性が強くなる。この場合、ホログラムの位置により、同じ回折特性が得られないという問題があった。従って、検出視野内全体の情報が安定して得られず、検出精度に悪影響を与える。
【0005】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、検出対象のホログラムが検出媒体のどの位置にある場合でも、回折反射光を安定して検出することができ、検出精度の向上したホログラム検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、この発明の態様に係るホログラム検査装置は、特定の入射角度で入射する光に対し、一定方向に回折反射する回折パターンをそれぞれ有し複数位置に設けられたホログラムを検査するホログラム検査装置であって、前記ホログラムが付された検査媒体を支持する支持機構と、前記ホログラムからの回折反射光が前記ホログラムの表面に垂直方向に回折するように特定の入射角で前記ホログラムに光を照射する照明装置と、前記ホログラムの中心からの垂直線上に光軸中心が重なる位置に配置された複数の受光素子を含み、前記ホログラムからの回折光を撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像された画像を画像処理する画像処理部と、前記処理画像からホログラムの欠損、疲弊、真偽判定を行う判定処理部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、検出対象のホログラムが検出媒体のどの位置にある場合でも、回折反射光を安定して検出することができ、検出精度の向上したホログラム検査装置を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下図面を参照しながら、この発明の第1の実施形態に係るホログラム検査装置について詳細に説明する。
図1および図2に示すように、ホログラム検査装置は、検査媒体として、複数、例えば、2つのホログラム10、11が付されたカード12を保持するとともに所定方向Bに沿って搬送する支持搬送機構14、ホログラム10、11を含むカード12の表面、つまり、検査面12aに検査用の照明光を照射する照明装置16、およびホログラムからの回折光を撮像する撮像部20を備えている。
【0009】
各ホログラム10、11は、カード12の検査面12aに貼付された例えば、円形の金属箔10a、11aと、この金属箔に形成された所望形状の回折パターン(回折格子)10b、11bと、を有している。回折パターン10b、11bは、所定の格子方向を有している。ホログラム10、11は、特定の角度から可視光が照射されると、回折パターン10b、11bに対応した回折光を一定の方向に反射し虹色の特徴パターンを表示する。2つのホログラム10、11は、例えば、カード12の幅方向に互いに隙間をおいて並んで設けられている。
【0010】
検査対象のホログラム10、11から回折光が現れる条件は、ホログラムの回折パターン10b、11bの向きとピッチにより決まる。ホログラム10を代表して説明する。図3に示すように、入射光が、回折パターン10bに直交する方向で最適化した入射角度(仰角)θ1および回転角φ1(搬送方向Bと直行する方向Yあるいは搬送方向Bに対する入射光がなす角度)にてホログラム10へ照射されると、回折パターン10bから、正反射光が角度θ1で現れ、入射角と正反射光角に挟まれた間で回折光が観測される。
【0011】
図4(a)に示すように、図3の矢印a方向から見た場合、入射光が、仰角θ1と回転角φ1とを合成した角度α1にてホログラム10へ照射されると、回折パターン10bから、正反射光が角度α1で現れ、また、入射角と正反射光角に挟まれた間で複数色の回折光が観測される。同様に、図4(b)に示すように、図3の矢印b方向から見た場合、入射光が、仰角θ1と回転角φ1とを合成した角度β1にてホログラム10へ照射されると、回折パターン10bから、正反射光が角度β1で現れ、入射角と正反射光角に挟まれた間で回折光が観測される。
【0012】
支持搬送機構14は、例えば、複数のローラ22および図示しないベルト等により構成され、カード12を弛み無く張った状態で所定位置に保持するとともに、照明装置16および撮像部20に対して所定方向Bに沿って相対的に搬送する。本実施形態において、カード12は、その長手方向が搬送方向Bと一致した状態で、支持搬送機構14により支持および搬送される。
【0013】
図1および図2に示すように、照明装置16は、光源24と、複数の素線26aの束で形成された光ファイバ26と、光ファイバの出射側端部を支持したガイド部材としてのライトガイド28とを備えている。光源24としては、例えば、蛍光管やハロゲン光源が用いられる。
【0014】
光ファイバ26の基端部は光源24に光学的に接続され、出射側端部はライトガイド28に支持されている。光ファイバ26は、光源24から出射された光を導き、出射端から出射する。ライトガイド28は、カード12に対して所定の角度位置に配設され、ホログラム10、11の回折パターン10b、11bにより回折画像が得られるように最適化した指向性を有する照明光をホログラムに照射する。すなわち、ライトガイド28は、カード12に付された回折パターン10b、11bを有するホログラム10、11に対して、少なくともホログラムの表面に対して垂直方向の回折光を反射する位置に配置されている。
【0015】
光ファイバ26の出射側端部において、光ファイバを構成している複数の素線26aはライトガイド28内に埋め込まれ、ホログラム10、11から反射回折光を生じる特定の入射角だけ傾斜している。また、複数の素線26aは、ライン状に並んで配置され、例えば、カード12の搬送方向Bと直行する方向に沿って一列に並んでいる。
【0016】
光ファイバ26の出射端からカード12上に照射された照射光は、カード12の搬送方向Bと直行する方向に延びた細長い照射領域Eを有している。複数の素線26aは、照射領域Eがカード12の幅よりも充分広くなるように、充分な数、および充分な長さに並べられている。なお、ライトガイド28内において、素線26aは、一列に限らず、複数列に並べて配置してもよい。
【0017】
図1に示すように、撮像部20は、カード12に対してライトガイド28と同一面側に設けられ、ホログラム10からの反射回折光を受光する位置に配設されている。撮像部20は、列状に並んだ多数の受光素子を有する密着型のイメージセンサ50、およびホログラム10、11からの回折光を平行ビームとしてイメージセンサ50に導く屈折率分散型レンズ(セルフォックレンズ)52を有している。
【0018】
図1および図5に示すように、屈折率分散型レンズ52およびイメージセンサ50は、カード12の幅よりも大きな長さを有し、カード12の搬送方向Bと直行する方向に沿って配置され、照明装置16の照射領域Eと対向している。屈折率分散型レンズ52はイメージセンサ50に密着して設けられ、ここでは、イメージセンサと長手方向の長さが一致するように形成されている。屈折率分散型レンズ52およびイメージセンサ50は、その両端部がカード12の両側縁を超えてそれぞれ外側に距離dだけ突出する位置に配設されている。距離dは、例えば、10mm程度に設定されている。
【0019】
図1および図2に示すように、ホログラム検査装置は、撮像部20により受光および撮像された検出データを演算処理し特徴を抽出する画像処理部25、画像処理部で得られた検出画像と判定基準メモリ32に記憶されている基準データとを比較し、ホログラム10の真贋およびホログラム10の損傷、欠損を判別する判別処理回路34、光源24を駆動する光源ドライバ36、および装置全体の動作を制御する制御部40を備えている。判別処理回路34は判別処理部として機能する。
【0020】
次に、以上のように構成されたホログラム検査装置の検査動作について説明する。
図1に示すように、入射角度α1の入射光に対し垂直方向に回折反射する回折パターン10b、11bを持つホログラム10、11が添付されたカード12は、支持搬送機構14によりほぼ水平に支持された状態で搬送方向Bに搬送される。光源24をオンし、ライトガイド28に設けられた光ファイバ26の出射端からカード12の検査面12aに向けて一定の入射角にて照明光を照射する。
【0021】
図1および図5に示すように、カード12上のホログラム10、11が照明装置16の照射領域Eを通過し、ホログラム10に入射光27aが照射されると、ホログラム10の回折パターン10b全域から正反射光29aが反射されるととともに、ホログラムの表面に対して垂直方向に回折反射光28aが反射する。回折反射光28aは、回折格子の方向、ピッチに依存する回折特性を有し、波長28a1(長波長)、28a2、28a3、28a4(短波長)ごとに反射角度が相違している。
【0022】
撮像部20の屈折率分散型レンズ52およびイメージセンサ50は充分に長く形成されているため、ホログラム10からの回折反射光28a1〜28a4は、全て屈折率分散型レンズ52に入射し、この屈折率分散型レンズにより、互いに平行なビームとされた後、イメージセンサ50に入力される。
【0023】
他方のホログラム11についても同様に、入射光27bが照射されると、ホログラム11の回折パターン11b全域から正反射光29bが反射されるととともに、ホログラムの表面に対して垂直方向に回折反射光28bが反射する。回折反射光28bは、回折格子の方向、ピッチに依存する回折特性を有し、波長28a1(長波長)、28a2、28a3、28a4(短波長)ごとに反射角度が相違している。ホログラム11からの回折反射光28a1〜28a4は、全て屈折率分散型レンズ52に入射し、この屈折率分散型レンズにより、互いに平行なビームとされた後、イメージセンサ50に入力される。
【0024】
このように、ホログラム10、11からの回折光は、撮像部20によって受光される。撮像部20は、受光した回折光を電気信号に変換し、画像処理部25へ入力する。この際、イメージセンサ50から見た場合、ホログラム10からの回折反射光28aの回折特性と、ホログラム11からの回折反射光28bの回折特性とは、互いに等しくなり、ホログラムの配設位置の違いによる回折反射特性の差はなくなる。
【0025】
画像処理部25は、撮像部20から入力された検出データを演算処理し1次元あるいは2次元の画像として特徴を抽出する。ホログラム10、11上の回折パターン10b、11bに欠け、剥がれ等による欠損がある場合、欠損部分からの反射回折光は検出されない。また、ホログラム10、11に傷、しわ等による表面状態が劣化する疲弊がある場合は、回折光が無かったり、強度が弱い状態となる。また、当然存在するべき回折パターン10b、11bが存在しない場合、あるいは、異なる回折パターンがあった場合は、まったく回折反射光が無い現象となる。判別処理回路34は、画像処理部25から送られた画像データと、判定基準メモリ32に記憶されている基準データと比較し、ホログラム10、11の損傷、欠損、真偽を判別する。これにより、ホログラム10、11の損傷、欠損、真偽が検査される。
【0026】
以上のように構成されたホログラム検査装置によれば、照明装置16の光ファイバから射出される特定の照射角度を含む光で、ホログラム10、11全体を均一に照射することができる。これにより、ホログラム10、11全域から安定した反射回折光を得ることができる。また、撮像部20の屈折率分散型レンズ52およびイメージセンサ50は検査媒体としてのカードの幅よりも充分に長く形成されている。そして、イメージセンサ50は、ホログラム10、11がカードのどの位置に設けられている場合でも、ホログラムの中心からの垂直線上に光軸中心が重なる位置に配置された複数の受光素子を有している。そのため、ホログラム10、11が検出媒体のどの位置にある場合でも、例えば、本実施形態のようにカードの幅方向両端部に位置している場合でも、各ホログラムの回折反射光を安定して検出することができる。これにより、ホログラムの設置位置の違いによる検出特性の差がなく、ホログラムの欠損、疲弊、真偽を高精度でかつ安定して検出することが可能となる。
【0027】
なお、ホログラム10、11の配設位置は、検出媒体の幅方向両端部に限らず、検出媒体内であれば、どの位置に何個あってよい。また、複数のホログラムは、同一の回折バターンを有していても、あるいは、互いに異なる回折パターンを有していてもよい。
【0028】
次に、第2の実施形態に係るホログラム検査装置について説明する。
図6および図7に示すように、検出媒体としてのカード12は検査面12aを有し、この検査面の幅方向両端部には、それぞれホログラム10、11が付されている。本実施形態において、カード12上の複数のホログラム10、11は、予め確定された既知の配設位置に設けられている。このカード12は支持搬送機構14により矢印B方向に沿って搬送される。
【0029】
照明装置16は、光源24と、光源からの光を導きカード12の表面上に照射する光ファイバ26と、光ファイバの出射端部を支持したライトガイド28とを有している。照明装置16から照射される光は、カード12の幅に対して充分に広い照射領域Eを照射し、また、この照射光によってホログラム10、11からの回折反射光がホログラムに対し垂直方向に回折させるような角度成分(入射光46a、46b)を含んでいる。搬送されてきたカード12上のホログラム10、11に入射光46a、46bが照射されると、ホログラム10、11から回折反射光48a、48bがホログラムに対し垂直方向に回折される。
【0030】
撮像部20は、カード12に設けられているホログラムに合わせて2つの受光センサ54a、54bを備えている。各受光センサ54a、54bは、結像レンズ56a、56bを有し、この結像レンズで結像された反射光を受光する。受光センサ54a、54bとしては、ラインセンサ、モノクロCCDセンサ、カラーCCDセンサ等を用いることができる。ホログラム10、11の位置が予め決められているため、受光センサ54a、54bは、その光軸中心が、ホログラム10、11の中心を通る垂直線と一致する位置に配置されている。
【0031】
第2の実施形態において、ホログラム検査装置の他の構成は、前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
上記構成のホログラム検査装置において、照明装置16からカード12の表面上に所定の入射角にて光を照射した状態で、照射領域E内にホログラム10、11が搬送されてくると、ホログラム10、11から回折反射光48a、48bがホログラムに対し垂直方向に回折される。
【0032】
一方のホログラム10からの回折反射光48aは、結像レンズ56aにより受光センサ54aに結像される。他方のホログラム11からの回折反射光48bは、結像レンズ56bにより受光センサ54bに結像される。ここで、ホログラム10、入射光46a、受光センサ54aの位置関係と、ホログラム11、入射光46b、受光センサ54bの位置関係と、は同等であり、それぞれの受光センサ54a、54bに入射する回折反射光48a、48bの回折特性は互いに等しくなる。そのため、受光センサ54a、54bによって検出される回折特性は、ホログラム10、11の位置の違いに起因する回折特性の差は無くなる。
【0033】
受光センサ54a、54bに入射した回折反射光は、センサ内で電気信号に変換され、画像処理部25、判定処理部34へと順次送られる。画像処理部25および判定処理部34では、得られた情報と基準画像との演算を行い、パターンマッチングなどの手法を用いて、ホログラムの欠損、疲弊、真偽検出が行われる。
【0034】
以上のように構成されたホログラム検査装置によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、本実施形態によれば、受光センサは各ホログラムに対応する予め決められた位置に設けられているため、ホログラムの位置の違いによる特性の差をなくし、複数のホログラムを高精度にかつ安定して検出することができる。
【0035】
次に、第3の実施形態に係るホログラム検査装置について説明する。
図8および図9に示すように、第3の実施形態によれば、撮像部20は、ラインセンサ60と、ホログラム10、11からの回折反射光をラインセンサに導くテレセントリックレンズ62とを備えている。テレセントリックレンズ62は、屈折率分散型レンズと同様に、入射した光を平行ビームとしてラインセンサに導く光学系である。
【0036】
テレセントリックレンズ62は、検査媒体であるカード12の幅よりも大きな径に形成され、カードの幅よりも十分に長い視野を有している。そして、テレセントリックレンズ62は、その周縁部がカード12の両側縁を超えてそれぞれ外側に距離dだけ突出する位置に配設されている。距離dは、例えば、10mm程度に設定されている。
【0037】
第3の実施形態において、ホログラム検査装置の他の構成は、前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
上記構成のホログラム検査装置において、照明装置16からカード12の表面上に所定の入射角にて光を照射した状態で、照射領域にホログラム10、11が搬送されてくると、ホログラム10、11に所定の入射角度で入射光64a、64bが照射され、回折反射光66a、66bがホログラムに対し垂直方向に回折される。
【0038】
テレセントリックレンズ62は、カード12の幅よりも充分に大きな形成されているため、ホログラム10からの回折反射光66a、66bは、全てテレセントリックレンズ62に入射し、このレンズにより、互いに平行なビームとされた後、ラインセンサ60に入力される。
【0039】
ラインセンサ60に入射した回折反射光は、センサ内で電気信号に変換され、画像処理部25、判定処理部34へと順次送られる。画像処理部25および判定処理部34では、得られた情報と基準画像との演算を行い、パターンマッチングなどの手法を用いて、ホログラムの欠損、疲弊、真偽検出が行われる。
以上のように構成されたホログラム検査装置においても、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0040】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0041】
例えば、検査対象となるホログラムが付された検査媒体は、前述したカードに限らず、商品券、有価証券等の紙葉類や他の検査媒体としてもよい。上述した実施形態では、検査媒体と搬送しながらホログラムを検査する構成としたが、これに限らず、所定位置に保持された検査媒体のホログラムを検査する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係るホログラム検査装置を示す斜視図。
【図2】図2は、上記ホログラム検査装置全体の構成を示すブロック図。
【図3】図3は、ホログラムに対する入射光と反射回折光とを示す図。
【図4】図4は、ホログラムの回折光と反射光とを示す図。
【図5】図5は、上記ホログラム検査装置の撮像部およびホログラムからの反射光を示す側面図。
【図6】図6は、本発明の第2の実施形態に係るホログラム検査装置を示す斜視図。
【図7】図7は、第2の実施形態に係るホログラム検査装置の撮像部およびホログラムからの反射光を示す側面図。
【図8】図8は、本発明の第3の実施形態に係るホログラム検査装置を示す斜視図。
【図9】図9は、第3の実施形態に係るホログラム検査装置の撮像部およびホログラムからの反射光を示す側面図。
【符号の説明】
【0043】
10、11…ホログラム、10b、11b…回折パターン、12…カード、
12a…検査面、14…支持搬送機構、16…照明装置、20…撮像部、24…光源、
26…光ファイバ、26a…素線、28…ライトガイド、25…画像処理部、
34…判定処理回路、40…制御部、50…イメージセンサ、
52…屈折率分散型レンズ、54a、54b…受光センサ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の入射角度で入射する光に対し、一定方向に回折反射する回折パターンをそれぞれ有し複数位置に設けられたホログラムを検査するホログラム検査装置であって、
前記ホログラムが付された検査媒体を支持する支持機構と、
前記ホログラムからの回折反射光が前記ホログラムの表面に垂直方向に回折するように特定の入射角で前記ホログラムに光を照射する照明装置と、
前記ホログラムの中心からの垂直線上に光軸中心が重なる位置に配置された複数の受光素子を含み、前記ホログラムからの回折光を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された画像を画像処理する画像処理部と、
前記処理画像からホログラムの欠損、疲弊、真偽判定を行う判定処理部と、
を具備したホログラム検査装置。
【請求項2】
前記撮像部は、列状に並んで配設された複数の受光素子を有し、前記検出媒体の幅よりも大きな長さに形成された密着型のイメージセンサと、前記検出媒体の幅よりも大きな長さを有し前記イメージセンサと対向して配設され、前記ホログラムからの回折光を前記イメージセンサに導く屈折率分布型レンズと、を備えている請求項1に記載のホログラム検査装置。
【請求項3】
前記撮像部は、予め配設位置が決められた複数の前記ホログラムの中心からの垂直線上に光軸中心が重なる位置にそれぞれ設けられた複数のラインイメージセンサを備えている請求項1に記載のホログラム検査装置。
【請求項4】
特定の入射角度で入射する光に対し、一定方向に回折反射する回折パターンをそれぞれ有し複数位置に設けられたホログラムを検査するホログラム検査装置であって、
前記ホログラムが付された検査媒体を支持する支持機構と、
前記ホログラムからの回折反射光が前記ホログラムの表面に垂直方向に回折するように特定の入射角で前記ホログラムに光を照射する照明装置と、
前記検出媒体の幅よりも大きな長さを視野に有するテレセントリックレンズとラインイメージセンサとを有し、前記ホログラムからの回折反射光を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された画像を画像処理する画像処理部と、
前記処理画像からホログラムの欠損、疲弊、真偽判定を行う判定処理部と、
を具備したホログラム検査装置。
【請求項5】
特定の入射角度で入射する光に対し、一定方向に回折反射する回折パターンを有したホログラムを検査するホログラム検査装置であって、
前記ホログラムが付された検査媒体を支持する支持機構と、
前記ホログラムからの回折反射光が前記ホログラムの表面に垂直方向に回折するように特定の入射角で前記ホログラムに光を照射する照明装置と、
列状に並んで配設された複数の受光素子を有し、前記検出媒体の幅よりも大きな長さに形成された密着型のイメージセンサと、前記検出媒体の幅よりも大きな長さを有し前記イメージセンサと対向して配設され、前記ホログラムからの回折光を前記イメージセンサに導く屈折率分布型レンズと、を含み、前記ホログラムからの回折光を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された画像を画像処理する画像処理部と、
前記処理画像からホログラムの欠損、疲弊、真偽判定を行う判定処理部と、
を具備したホログラム検査装置。
【請求項6】
前記照明装置は、光を発生する光源と、前記光源から光を導き出射端から出射する光ファイバと、前記光ファイバの出射側端部を支持したガイド部材と、を備え、前記光ファイバの出射側の端部は、前記ホログラムからの回折反射光が前記ホログラムの垂直方向に回折するように特定の入射角度で光が入射する角度にライン状に並べて配置されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載のホログラム検査装置。
【請求項7】
前記検査媒体を前記照明装置および撮像部に対して相対的に移動させる搬送機構を備えている請求項1ないし6のいずれか1項に記載のホログラム検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−133743(P2009−133743A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−310569(P2007−310569)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】