説明

ホース外被用ゴム組成物及び油圧ホース

【課題】耐候性を維持しつつ、耐疲労性及び耐摩耗性に優れるホース外被用ゴム組成物及びホース外被用ゴム組成物よりなる外被ゴム層を有した油圧ホースに関する。
【解決手段】ゴム組成分として少なくとも高シス−ブタジエンゴムとクロロプレンゴムとを含むホース外被用ゴム組成物であって、前記ゴム成分100重量部中に前記高シス−ブタジエンゴムが20〜70重量部配合されていることを特徴とするホース外被用ゴム組成物。また、このホース外被用ゴム組成物を外被ゴム層に有する油圧ホース。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム成分として少なくとも1,3ブタジエン単量体単位を含むブタジエン系重合体とクロロプレンゴムとを含むホース外被用ゴム組成物に係り、特に建機用ホースなど耐候性、耐摩耗性及び耐疲労性を求められるホースの外被ゴム層に好適なホース外被用ゴム組成物に関する。また、本発明はこのホース外被用ゴム組成物よりなる外被ゴム層を有する油圧ホースに関する。
【背景技術】
【0002】
主に建機用途に用いられる油圧ホースには高圧用途のものと、低圧用途のものがある。これらの油圧ホースは、求められる耐油性、耐摩耗性、耐燃性等によって数種類の外被ゴムを使い分ける場合と、同じ外被ゴムを高圧、低圧用途の両方のホースに適用する場合がある。どちらの場合にも、外被ゴムには耐候性、耐油性、耐摩耗性、耐疲労性、耐熱性が求められるが、特に建機用の油圧ホースの外被ゴムには、建機の揺動により建機と油圧ホースとの間に摩擦が生じるため耐摩耗性と耐疲労性が求められる。
【0003】
クロロプレンゴム(CR)は、耐候性に優れることから外被ゴムとして好適であるが、CR単独では耐疲労性、耐摩耗性が不十分であるため、ブタジエンゴム(BR)及びスチレン−ブタジエンゴム(SBR)等の耐摩耗性に優れるゴムとをブレンドした外被ゴムが用いられている。
【0004】
しかしながら、BRやSBRの添加量を多くするとCRが有する耐候性が損なわれるため、添加量を変化させることで耐候性、耐疲労性及び耐摩耗性を同時に改善するのは困難である。
【0005】
なお、CRとBRとを特定量配合したゴム組成物及び加硫接着体が特許第3839014号及び特許第3839015号に提案されているが、これらはゴム組成物の加工安定性を改善するものであり、耐候性、耐疲労性及び耐摩耗性を改善するものではない。
【特許文献1】特許第3839014号
【特許文献2】特許第3839015号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の如く、耐候性に優れるCRと、耐疲労性及び耐摩耗性に優れるBR、SBRを混合することによりホース外被用ゴム組成物の耐候性、耐疲労性及び耐摩耗性を改善することができる。しかしながら、BR及びSBRの添加量を単に増やすだけでは、CRが有する耐候性が損なわれてしまうため、より優れた耐疲労性及び耐摩耗性を得ることは困難である。
【0007】
本発明は、上記従来の実状に鑑みてなされたものであって、耐候性に優れ且つ耐疲労性及び耐摩耗性に優れたホース外被用ゴム組成物及びこのホース外被用ゴム組成物よりなる外被ゴム層を有する油圧ホースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明(請求項1)のホース外被用ゴム組成物は、ゴム成分として少なくとも1,3−ブタジエン単量体単位を含むブタジエン系重合体と、クロロプレンゴムとを含むホース外被用ゴム組成物であって、該1,3−ブタジエン単量体単位中のフーリエ変換赤外分光法で測定したシス−1,4結合含量が98.0%以上且つビニル結合含量が0.3%以下で、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.6〜3.5であり、前記ゴム成分100重量部中に前記ブタジエン系重合体が20〜70重量部配合されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2のホース外被用ゴム組成物は、請求項1において、前記シス−1,4結合含量と前記ビニル結合含量とが、下記式(I):
(ビニル結合含量)≦0.25×{(シス−1,4結合含量)−97}(%)…(I)
の関係を満たすことを特徴とするものである。
【0010】
請求項3のホース外被用ゴム組成物は、請求項1又は2において、前記重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.6〜2.7であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4のホース外被用ゴム組成物は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記ブタジエン系重合体が1,3−ブタジエン単量体単位80〜100重量%と1,3−ブタジエンと共重合可能なその他の単量体単位20〜0重量%とからなることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5のホース外被用ゴム組成物は、請求項4において、前記ブタジエン系重合体が1,3−ブタジエン単量体単位のみからなることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6のホース外被用ゴム組成物は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記数平均分子量(Mn)が100,000〜500,000であることを特徴とするものである。
【0014】
請求項7のホース外被用ゴム組成物は、請求項6において、前記数平均分子量(Mn)が150,000〜300,000であることを特徴とするものである。
【0015】
請求項8のホース外被用ゴム組成物は、請求項1ないし7のいずれか1項において、前記ゴム成分100重量部中に前記クロロプレンゴムが30〜60重量部配合されていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明(請求項9)の油圧ホースは、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のホース外被用ゴム組成物よりなる外被ゴム層を有するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ゴム成分として少なくとも耐疲労性及び耐摩耗性に優れる高シス−ブタジエンゴムと、耐候性に優れるクロロプレンゴムとを含み、且つ前記ゴム成分100重量部中に前記高−シスブタジエンゴムを20〜70重量部配合することにより、ホース外被用ゴム組成物の耐候性、耐疲労性及び耐摩耗性を更に改善することができることを見出した。
【0018】
このホース外被用ゴム組成物を用いて製造された油圧ホースは、建機用の油圧ホースとして用いた場合でも、建機と油圧ホースとの摩擦に対して優れた耐久性(耐摩耗性)を示し、また耐疲労性及び耐候性に優れるため長期に亘り使用することができる。
【0019】
また、本発明では、前記シス−1,4結合含量と前記ビニル結合含量とが、下記式(I):
(ビニル結合含量)≦0.25×{(シス−1,4結合含量)−97}(%)…(I)
の関係を満たすことが好ましい。この場合、高シス−ブタジエンゴムの伸張結晶性が更に向上するためホース外被用ゴム組成物の耐疲労性及び耐摩耗性がさらに向上する。
【0020】
また、前記重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)を1.6〜2.7とすることが好ましい。この比(Mw/Mn)が上記範囲内にあると、1,3−ブタジエン単量体単位中のシス1,4結合含量が高くなり且つビニル結合含量が低くなるため、伸張結晶性が著しく高くなりホース外被用ゴム組成物の耐疲労性及び耐摩耗性が更に向上する。また、前記比(Mw/Mn)が上記範囲内にあると、ホース外被用ゴム組成物の作業性が低下することなく、混練りが容易でホース外被用ゴム組成物の物性を十分に向上させることができる。
【0021】
本発明で用いるブタジエン系重合体は、1,3−ブタジエン単量体単位80〜100重量%と1,3−ブタジエンと共重合可能なその他の単量体単位20〜0重量%とからなることが好ましく、特に、1,3−ブタジエン単量体単位のみからなることが好ましい。ブタジエン系重合体が1,3−ブタジエン単量体単位のみからなる場合、高シス−ブタジエンゴムを配合することによる効果が発現しやすくなり、ホース外被用ゴム組成物の耐疲労性及び耐摩耗性が高いものとなる。
【0022】
本発明で用いるブタジエン系重合体の数平均分子量(Mn)は、100,000〜500,000であることが好ましく、特に150,000〜300,000であることが好ましい。数平均分子量がこの範囲内であると混練りが良好なものとなり、ホース外被用ゴム組成物の物性を十分に向上させることができる。
【0023】
さらに本発明では、前記ゴム成分100重量部中にクロロプレンゴムを30〜60重量部配合することが好ましい。クロロプレンゴムの配合量をこの範囲内とすることにより、ホース外被用ゴム組成物の耐候性が良好なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下本発明についてさらに詳細に説明する。
[ホース外被用ゴム組成物]
本発明のホース外被用ゴム組成物は、ゴム成分として、少なくとも1,3−ブタジエン単量体単位を含むブタジエン系重合体(高シス−ブタジエンゴム)とクロロプレンゴムとを含むホース外被用ゴム組成物であって、前記1,3−ブタジエン単量体単位中のフーリエ変換赤外分光法で測定したシス−1,4結合含量が98.0%以上且つビニル結合含量が0.3%以下で、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.6〜3.5、前記ゴム成分100重量部中に前記ブタジエン系重合体が20〜70重量部配合されてなるものである。
【0025】
<ブタジエン系重合体(高シス−ブタジエンゴム)>
本発明で用いる高シス−ブタジエンゴムは、1,3−ブタジエン単量体単位を含み、該1,3−ブタジエン単量体単位中のフーリエ変換赤外分光法で測定したシス−1,4結合含量が98.0%以上且つビニル結合含量が0.3%以下で、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.6〜3.5である。ここで、シス−1,4結合含量及びビニル結合含量は、FT−IRで測定される値であり、具体的には、以下の方法で測定される。
【0026】
≪FT−IRによるミクロ構造の分析法≫
同一セルの二硫化炭素をブランクとして、5mg/mLの濃度に調製したブタジエン系重合体の二硫化炭素溶液のFT−IR透過率スペクトルを測定し、該スペクトルの1130cm−1付近の山ピーク値をa、967cm−1付近の谷ピーク値をb、911cm−1付近の谷ピーク値をc、736cm−1付近の谷ピーク値をdとしたとき、下記行列式(II):
【0027】
【数1】

から導かれるe、f、gの値を用い、下記式(III)、式(IV)、式(V):
(シス−1,4結合含量)=e/(e+f+g)×100(%)・・・(III)
(トランス−1,4結合含量)=f/(e+f+g)×100(%)・・・(IV)
(ビニル結合含量)=g/(e+f+g)×100(%)・・・(V)
に従ってシス−1,4結合含量、トランス−1,4結合含量及びビニル結合含量を求める。なお、上記スペクトルの1130cm−1付近の山ピーク値aはベースラインを、967cm−1付近の谷ピーク値bはトランス−1,4結合を、911cm−1付近の谷ピーク値cはビニル結合を、736cm−1付近の谷ピーク値dはシス−1,4結合を示す。
【0028】
高シス−ブタジエンゴム中の1,3−ブタジエン単量体単位のミクロ構造の分析法としては、従来、H−NMR及び13C−NMRによりシス−1,4結合含量、トランス−1,4結合含量及びビニル結合含量を求める方法が知られているが、13C−NMRによる測定結果では、ビニル結合含量が過少に評価され、実際の値より小さい値が出てしまう。これに対し、本発明のブタジエン系重合体は、シス−1,4結合含量が高いことに加え、ビニル結合含量が極めて小さいことを特徴とするため、ビニル結合含量の測定精度が高いFT−IR法により測定する。
【0029】
この高シス−ブタジエンゴムは、従来のブタジエン系重合体に比べ1,3−ブタジエン単量体単位中のシス−1,4結合含量が高く且つビニル結合含量が低いため、伸張結晶性が著しく高い。そのため、この高シス−ブタジエンゴムをホース外被用ゴム組成物に配合することで、ホース外被用ゴム組成物の耐疲労性、耐摩耗性、耐亀裂成長性及び耐オゾン劣化性を大幅に向上させることができる。
【0030】
また、高シス−ブタジエンゴムは、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が上記の範囲にあるため、該ブタジエン系重合体をホース外被用ゴム組成物に配合しても、ホース外被用ゴム組成物の作業性を低下させることがなく、混練りが容易で、ホース外被用ゴム組成物の物性を十分に向上させることができる。
【0031】
このブタジエン系重合体(高シス−ブタジエンゴム)は、シス−1,4結合含量が98.0%以上で且つビニル結合含量が0.3%以下である。シス−1,4結合含量が98.0%未満であるか、ビニル結合含量が0.3%を超えるブタジエン系重合体は、伸張結晶性が不充分で、ホース外被用ゴム組成物の耐疲労性、耐摩耗性、耐亀裂成長性及び耐オゾン劣化性を向上させる効果が小さい。また、上記ブタジエン系重合体は、シス−1,4結合含量とビニル結合含量とが、下記式(I):
(ビニル結合含量)≦0.25×{(シス−1,4結合含量)−97}(%)…(I)
の関係を満たすのが好ましい。この場合、高シス−ブタジエンゴムの伸張結晶性が更に向上し、ホース外被用ゴム組成物の耐疲労性、耐摩耗性、耐亀裂成長性及び耐オゾン劣化性を更に向上させることができる。
【0032】
高シス−ブタジエンゴムは、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)、即ち分子量分布(Mw/Mn)が1.6〜3.5であることを要し、1.6〜2.7であるのが好ましい。ここで、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の値である。ブタジエン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)が1.6未満では、該ブタジエン系重合体を含むゴム組成物の作業性が悪化するため、混練りが困難となり、ゴム組成物の物性を十分に向上させることができない。また、ブタジエン系重合体の分子量分布が3.5を超えると、ホース外被用ゴム組成物の未加硫粘度が改良される割にはヒステリシスロス等のゴム物性の低下が大きくなり好ましくない。
【0033】
高シス−ブタジエンゴムは、数平均分子量(Mn)が100,000〜500,000であるのが好ましく、150,000〜300,000であるのが更に好ましい。高シス−ブタジエンゴムの数平均分子量が100,000未満では、加硫物の弾性率が低下し、ヒステリシスロスが上昇し、更に耐摩耗性が悪化するため好ましくなく、500,000を超えると、ホース外被用ゴム組成物の作業性が悪化して、混練りが困難となり、ホース外被用ゴム組成物の物性を十分に向上させることができない。
【0034】
高シス−ブタジエンゴムは、1,3−ブタジエン単量体単位が80〜100重量%で、1,3−ブタジエンと共重合可能なその他の単量体単位が20〜0重量%であるのが好ましい。高シス−ブタジエンゴム中の1,3−ブタジエン単量体単位含量が80重量%未満では、重合体全体に対する1,4−シス結合含量が低下する為、本発明の効果が発現しにくくなる。なお、本発明に用いるブタジエン系重合体は、1,3−ブタジエン単量体のみからなるのが特に好ましい。
【0035】
ここで、1,3−ブタジエンと共重合可能なその他の単量体としては、例えば、炭素数5〜8の共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体等が挙げられ、これらの中でも、炭素数5〜8の共役ジエン単量体が好ましい。上記炭素数5〜8の共役ジエン単量体としては、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。上記芳香族ビニル単量体としては、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
【0036】
≪高シス−ブタジエンゴムの製造方法≫
上記高シス−ブタジエンゴムは、以下に詳述する(A)成分、(B)成分及び(C)成分からなる触媒系の存在下、25℃以下の温度で少なくとも1,3−ブタジエンを含む単量体を重合させることで得られる。ここで、単量体としては、1,3−ブタジエンの他、上述した1,3−ブタジエンと共重合可能なその他の単量体が挙げられる。
【0037】
本発明に用いる高シス−ブタジエンゴムの製造に使用する触媒系の(A)成分は、周期律表の原子番号57〜71の希土類元素を含有する化合物、又はこれらの化合物とルイス塩基との反応物である。ここで、原子番号57〜71の希土類元素の中でも、ネオジム、プラセオジウム、セリウム、ランタン、ガドリニウム等、又はこれらの混合物が好ましく、ネオジムが特に好ましい。
【0038】
上記希土類元素含有化合物としては、炭化水素溶媒に可溶な塩が好ましく、具体的には、上記希土類元素のカルボン酸塩、アルコキサイド、β−ジケトン錯体、リン酸塩及び亜リン酸塩が挙げられ、これらの中でも、カルボン酸塩及びリン酸塩が好ましく、カルボン酸塩が特に好ましい。ここで、炭化水素溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭素数4〜10の飽和脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭素数5〜20の飽和脂環式炭化水素、1−ブテン、2−ブテン等のモノオレフィン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
【0039】
上記希土類元素のカルボン酸塩としては、下記一般式(VI):
(R−COM・・・(VI)
(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基で、Mは周期律表の原子番号57〜71の希土類元素である)で表される化合物が挙げられる。ここで、Rは、飽和又は不飽和でもよく、アルキル基及びアルケニル基が好ましく、直鎖状、分岐状及び環状のいずれでもよい。また、カルボキシル基は、1級、2級又は3級の炭素原子に結合している。該カルボン酸塩として、具体的には、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ネオデカン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸[シェル化学(株)製の商品名であって、カルボキシル基が3級炭素原子に結合しているカルボン酸]等の塩が挙げられ、これらの中でも、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、ナフテン酸、バーサチック酸の塩が好ましい。
【0040】
上記希土類元素のアルコキサイドとしては、下記一般式(VII):
(RO)M・・・(VII)
(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基で、Mは周期律表の原子番号57〜71の希土類元素である)で表される化合物が挙げられる。ROで表されるアルコキシ基としては、2−エチル−ヘキシルアルコキシ基、オレイルアルコキシ基、ステアリルアルコキシ基、フェノキシ基、ベンジルアルコキシ基等が挙げられる。これらの中でも、2−エチル−ヘキシルアルコキシ基、ベンジルアルコキシ基が好ましい。
【0041】
上記希土類元素のβ−ジケトン錯体としては、上記希土類元素のアセチルアセトン錯体、ベンゾイルアセトン錯体、プロピオニトリルアセトン錯体、バレリルアセトン錯体、エチルアセチルアセトン錯体等が挙げられる。これらの中でも、アセチルアセトン錯体、エチルアセチルアセトン錯体が好ましい。
【0042】
上記希土類元素のリン酸塩及び亜リン酸塩としては、上記希土類元素と、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、リン酸ビス(p−ノニルフェニル)、リン酸ビス(ポリエチレングリコール−p−ノニルフェニル)、リン酸(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、ビス(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸等との塩が挙げられ、これらの中でも、上記希土類元素と、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸との塩が好ましい。
【0043】
上記希土類元素含有化合物の中でも、ネオジムのリン酸塩、及びネオジムのカルボン酸塩が更に好ましく、特にネオジムの2−エチルヘキサン酸塩、ネオジムのネオデカン酸塩、ネオジムのバーサチック酸塩等のネオジムの分岐カルボン酸塩が最も好ましい。
【0044】
また、(A)成分は、上記希土類元素含有化合物とルイス塩基との反応物でもよい。該反応物は、ルイス塩基によって、希土類元素含有化合物の溶剤への溶解性が向上しており、また、長期間安定に貯蔵することができる。上記希土類元素含有化合物を溶剤に容易に可溶化させるため、また、長期間安定に貯蔵するために用いられるルイス塩基は、希土類元素1モル当り0〜30モル、好ましくは1〜10モルの割合で、両者の混合物として、又は予め両者を反応させた生成物として用いられる。ここで、ルイス塩基としては、アセチルアセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、チオフェン、ジフェニルエーテル、トリエチルアミン、有機リン化合物、1価又は2価のアルコールが挙げられる。
【0045】
以上に述べた(A)成分としての希土類元素含有化合物又はこれらの化合物とルイス塩基との反応物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。
【0046】
本発明に用いるブタジエン系重合体の製造に使用する触媒系の(B)成分は、下記一般式(VIII):
AlR・・・(VIII)
(式中、R及びRは同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、Rは上記R又はRと同一又は異なっていてもよい)
で表される有機アルミニウム化合物である。
式(VIII)の有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。以上に述べた(B)成分としての有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。
【0047】
本発明で用いるブタジエン系重合体の製造に使用する触媒系の(C)成分は、ルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物、及び活性ハロゲンを含む有機化合物からなる群から選択される少なくとも一種のハロゲン化合物である。
【0048】
上記ルイス酸は、ルイス酸性を有し、炭化水素に可溶である。具体的には、二臭化メチルアルミニウム、二塩化メチルアルミニウム、二臭化エチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、二臭化ブチルアルミニウム、二塩化ブチルアルミニウム、臭化ジメチルアルミニウム、塩化ジメチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、臭化ジブチルアルミニウム、塩化ジブチルアルミニウム、セスキ臭化メチルアルミニウム、セスキ塩化メチルアルミニウム、セスキ臭化エチルアルミニウム、セスキ塩化エチルアルミニウム、二塩化ジブチルスズ、三臭化アルミニウム、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三塩化リン、五塩化リン、四塩化スズ、四塩化ケイ素等が例示できる。これらの中でも、塩化ジエチルアルミニウム、セスキ塩化エチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、セスキ臭化エチルアルミニウム、及び二臭化エチルアルミニウムが好ましい。また、トリエチルアルミニウムと臭素の反応生成物のようなアルキルアルミニウムとハロゲンの反応生成物を用いることもできる。
【0049】
上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成する金属ハロゲン化物としては、塩化ベリリウム、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化カドミウム、臭化カドミウム、ヨウ化カドミウム、塩化水銀、臭化水銀、ヨウ化水銀、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、塩化レニウム、臭化レニウム、ヨウ化レニウム、塩化銅、ヨウ化銅、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩化金、ヨウ化金、臭化金等が挙げられ、これらの中でも、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が好ましく、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が特に好ましい。
【0050】
また、上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成するルイス塩基としては、リン化合物、カルボニル化合物、窒素化合物、エーテル化合物、アルコール等が好ましい。具体的には、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジエチルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノエタン、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニトリルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸フェニル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジフェニル、酢酸、オクタン酸、2−エチル−ヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、2−エチル−ヘキシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコール等が挙げられ、これらの中でも、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、アセチルアセトン、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸、2−エチルヘキシルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコールが好ましい。
【0051】
上記ルイス塩基は、上記金属ハロゲン化物1モル当り、0.01〜30モル、好ましくは0.5〜10モルの割合で反応させる。このルイス塩基との反応物を使用すると、ポリマー中に残存する金属を低減することができる。
【0052】
上記活性ハロゲンを含む有機化合物としては、ベンジルクロライド等が挙げられる。
【0053】
高シス−ブタジエンゴムの製造に使用する触媒系には、上記(A)〜(C)成分の他に、更に(D)成分として、有機アルミニウムオキシ化合物、所謂アルミノキサンを添加するのが好ましい。ここで、該アルミノキサンとしては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、クロロアルミノキサン等が挙げられる。(D)成分としてアルミノキサンを加えることで、分子量分布がシャープになり、触媒としての活性も向上する。
【0054】
使用する触媒系の各成分の量又は組成比は、その目的又は必要性に応じて適宜選択される。このうち、(A)成分は、1,3−ブタジエン100gに対し、0.00001〜1.0ミリモル用いるのが好ましく、0.0001〜0.5ミリモル用いるのが更に好ましい。(A)成分の使用量が0.00001ミリモル未満では、重合活性が低くなり、1.0ミリモルを超えると、触媒濃度が高くなり、脱灰工程が必要となる。また、(A)成分と(B)成分の割合は、モル比で、(A)成分:(B)成分が1:1〜1:700、好ましくは1:3〜1:500である。更に、(A)成分と(C)成分中のハロゲンの割合は、モル比で、1:0.1〜1:30、好ましくは1:0.2〜1:15、更に好ましくは1:2.0〜1:5.0である。また、(D)成分中のアルミニウムと(A)成分との割合は、モル比で、1:1〜700:1、好ましくは3:1〜500:1である。これらの触媒量または構成成分比の範囲外では、高活性な触媒として作用せず、または、触媒残渣を除去する工程が必要になるため好ましくない。また、上記の(A)〜(C)成分以外に、重合体の分子量を調節する目的で、水素ガスを共存させて重合反応を行ってもよい。
【0055】
触媒成分として、上記の(A)成分、(B)成分、(C)成分以外に、必要に応じて、1,3−ブタジエン等の共役ジエン単量体を少量、具体的には、(A)成分の化合物1モル当り0〜1000モルの割合で用いてもよい。触媒成分としての1,3−ブタジエン等の共役ジエン単量体は必須ではないが、これを併用すると、触媒活性が一段と向上する利点がある。
【0056】
上記触媒の製造は、例えば、溶媒に(A)成分〜(C)成分を溶解させ、さらに必要に応じて、1,3−ブタジエンを反応させることによる。その際、各成分の添加順序は、特に限定されず、更に(D)成分としてアルミノキサンを添加してもよい。重合活性の向上、重合開始誘導期間の短縮の観点からは、これら各成分を、予め混合して、反応させ、熟成させることが好ましい。ここで、熟成温度は、0〜100℃であり、20〜80℃が好ましい。0℃未満では、充分に熟成が行われず、100℃を超えると、触媒活性の低下や、分子量分布の広がりが起こる。また、熟成時間は、特に制限なく、重合反応槽に添加する前にライン中で接触させることでも熟成でき、通常は、0.5分以上あれば充分であり、数日間は安定である。
【0057】
高シス−ブタジエンゴムの製造は、溶液重合で行うことが好ましい。ここで、溶液重合の場合、重合溶媒としては、不活性の有機溶媒を用いる。不活性の有機溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭素数4〜10の飽和脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭素数5〜20の飽和脂環式炭化水素、1−ブテン、2−ブテン等のモノオレフィン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜6の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素が特に好ましい。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0058】
高シス−ブタジエンゴムの製造は、25℃以下の重合温度で行う必要があり、10〜−78℃で行うのが好ましい。重合温度が25℃を超えると、重合反応を充分に制御することができず、生成したブタジエン系重合体のシス−1,4結合含量が低下し、ビニル結合含量が上昇してしまう。また、重合温度が−78℃未満では、溶媒の凝固点を下まわってしまうため、重合を行うことができない。
【0059】
高シス−ブタジエンゴムの製造は、回分式及び連続式のいずれで行ってもよい。また、上記ブタジエン系重合体の製造において、上記希土類元素化合物系触媒及び重合体を失活させないために、重合の反応系内に酸素、水、炭酸ガス等の失活作用のある化合物の混入を極力なくすような配慮が必要である。
【0060】
本発明では、前記ゴム成分100重量部中に、上記高−シスブタジエンゴムを20〜70重量部特に20〜30重量部配合する。高シス−ブタジエンゴムの配合量が上記上限を超えると、ホース外被用ゴム組成物の作業性が低下し、混練りが困難になる。また、高シス−ブタジエンゴムの配合量が上記下限未満であると、ホース外被用ゴム組成物の耐疲労性、耐摩耗性が発現しにくくなる。
【0061】
<クロロプレンゴム(CR)>
本発明で用いるクロロプレンゴムは、クロロプレンの単独重合体またはクロロプレンとクロロプレンと共重合可能な他の単量体1種以上との混合物(以下、クロロプレン系単量体と称する)を重合させて得られた共重合体(以下、クロロプレン系ゴムと称する)である。
【0062】
クロロプレンと共重合可能な単量体としては、例えば、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、硫黄、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イソプレン、ブタジエン並びにアクリル酸、メタクリル酸またはこれらのエステル類などであり、本発明の目的を満たす範囲で用いることができる。
【0063】
本発明で用いるクロロプレンゴムを得る重合方法には特に制限はなく、クロロプレン系単量体をクロロプレンの重合に一般に用いられる重合開始剤の存在下に、通常用いられる方法により乳化重合して得ることができる。
【0064】
この乳化重合を実施する場合の乳化剤は特に制限はなく、一般にクロロプレンの乳化重合に使用される乳化剤、例えば炭素数が6〜22の飽和または不飽和の脂肪酸のアルカリ金属塩、ロジン酸または不均化ロジン酸のアルカリ金属塩、β−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物のアルカリ金属塩などが用いられる。
【0065】
クロロプレンゴムは分子量調節剤の種類により、イオウ変性タイプ、メルカプタン変性タイプ、キサントゲン変性タイプに分類される。イオウ変性タイプは、イオウとクロロプレンを共重合したポリマーをチウラムジスルフィドで可塑化し、所定のムーニー粘度に調整するものである。メルカプタン変性タイプは、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類を分子量調節剤に使用するものである。また、キサントゲン変性タイプは、アルキルキサントゲン化合物を分子量調節剤に使用するものである。アルキルキサントゲン化合物の具体例としては、ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジイソブチルキサントゲンジスルフィドなどがある。
【0066】
アルキルキサントゲン化合物の使用量は、クロロプレン系重合体の分子量(あるいは、重合体を単離して得られるクロロプレンゴムのムーニー粘度)が適正となるように選定される。アルキル基の構造や目標とする分子量によって異なるが、一般にはクロロプレン系単量体100重量部に対して0.05〜5.0重量部、好ましくは0.3〜1.0重量部の範囲で用いられる。
【0067】
本発明で用いるクロロプレンゴムとしては、いずれの変性タイプも使用可能である。しかし、硫黄変性タイプは、メルカプタン変性およびキサントゲン変性タイプに比較するとポリマー自体の耐熱性が劣るため、より耐熱性が要求される場合は、メルカプタン変性およびキサントゲン変性タイプを使用することが好ましい。
【0068】
重合開始剤としては、クロロプレンの乳化重合に一般に用いられる公知の過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物類が用いられる。
【0069】
クロロプレンの重合温度及びモノマーの最終転化率は特に制限されないが、重合温度は0〜50℃であることが好ましく、更に20〜50℃であることが好ましい。また、モノマー転化率は60〜90%の範囲に入るように行うことが好ましく、この添化率に達した時点で重合禁止剤を少量添加して重合を停止させる。
【0070】
重合禁止剤としては、例えば、チオジフェニルアミン、4−ターシャリーブチルカテコール、2,2−メチレンビス−4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノールなどの通常用いられる禁止剤が用いられる。
【0071】
未反応の単量体は、例えば、スチームストリッピング法によって除去し、その後、ラテックスのpHを調整し、常法の凍結凝固、水洗、熱風乾燥などにより重合体を単離することができる。
【0072】
このようにして得られたCRは、本発明のホース外被用ゴム組成物のゴム成分100重量部中に30〜60重量部程度、特に30〜50重量部程度配合されていることが好ましい。
CRの配合量が上記下限未満であると耐候性が低下し、CRの配合量が上記上限を超えると高シス−ブタジエンゴムが有する耐疲労性及び耐摩耗性効果が発現しにくくなる。
【0073】
<その他の重合体>
前記ゴム成分は、高シス−ブタジエンゴムとCRを主成分とするものであるが、その他のゴムとして、必要に応じ、天然ゴム、SBR、CSM、CPE、NBR、H−NBR、ACM、EPDM、CO、ECO、Q、FKM等を含有することが出来る。特に、上記ゴム成分100重量部中にSBRを5〜30重量部程度特に10〜20重量部程度配合すると、更に、耐摩耗性及び耐疲労性が向上する。
【0074】
<配合剤>
上記ホース外被用ゴム組成物には、上述のゴム成分、充填材の他、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、軟化剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、シランカップリング剤等のゴム業界で通常使用される配合剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択し配合することができる。これら配合剤は、市販品を好適に使用することができる。なお、上記ホース外被用ゴム組成物は、ゴム成分に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
【0075】
充填材としてはカーボンブラックが好適である。カーボンブラックの配合量は、ゴム100重量部に対し10〜90重量部、特に40〜80重量部程度である。
【0076】
<ホース外被用ゴム組成物の製造方法>
ホース外被用ゴム組成物を製造するには上記高シス−ブタジエンゴム、CR、その他の重合体及び配合剤等をバンバリーミキサー等の混練機を用いて混練する。混練を開始する際の温度としては、30〜50℃程度が好ましく、混練物を排出する際の温度としては100〜120℃程度とすることが好ましい。
上記温度で一般に3〜15分混練することによりゴム組成物を得ることができる。
【0077】
このゴム組成物を架橋して、架橋ゴム組成物を得てもよいし、架橋せずにそのまま押出成形などの方法で成形してもよい。
【0078】
[油圧ホース]
本発明の油圧ホースの代表的な構造の一例を図1に示す。
この油圧ホース1は内管2の外周に中間ゴム層3a、補強層4a、中間ゴム層3b、補強層4b、中間ゴム層3c、補強層4c、中間ゴム層3d、補強層4d及び外被ゴム層5をこの順に積層したものである。なお、図1では補強層が4層設けられているが、これより少なくても多くてもよい。
【0079】
<内管>
本発明のホース外被用ゴム組成物の内管は従来の油圧ホースに使用されているものを使用することができる。
内管2を構成するゴム成分としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合ゴム(EPDM)、アクリルゴム(ACM)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ヒドリンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、イソブチレン−イソプレン共重合体ゴム(IIR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ウレタン系ゴム、シリコーン系ゴム、フッ素系ゴム、等が挙げられる。これらの中でも特に、耐油性の面からNBRを主成分として用いることが好ましい。これらのゴム成分は1種を単独でも、2種以上の任意のブレンド物としても使用できる。
【0080】
更に、材料強度や耐久性及び押出し成形性等を考慮して、ゴム工業界で一般に用いられている公知のゴム配合薬品やゴム用充填材を、本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。この様な配合薬品及び充填材としては、例えば、カーボンブラックやシリカ、炭酸カルシウム等の無機充填材;プロセスオイル、可塑剤、軟化剤;硫黄等の加硫剤;酸化亜鉛、ステアリン酸等の加硫助剤;ジベンゾチアジルジスルフィド等の加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル−スルフェンアミド、N−オキシジエチレン−ベンゾチアジル−スルフェンアミド等の老化防止剤;酸化防止剤、オゾン劣化防止剤等の添加剤;等を適宜に使用することができる。これらの配合薬品及び充填材は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
内管の厚さは構成する材料の種類によっても異なるが、1.0〜5.0mm程度が好ましい。
【0081】
<中間ゴム層>
本発明の油圧ホースには、内管2と外被ゴム層5の間に中間ゴム層3a、3b、3c、3d及び補強層4a、4b、4c、4dを交互に積層することが好ましい。中間ゴム層に用いられるゴム成分としては、前記内管に用いられるゴム成分と同じものを使用できるが、CRを主成分とするCR系ゴム組成物を用いることが好ましい。この中間ゴム層の厚さは、0.2〜1.0mm程度が好ましい。
【0082】
<補強層>
本発明の油圧ホースを構成する金属繊維を含んで編成してなる補強層4a、4b、4c、4dとしては、その材質及び構造等に特に制限は設けられず、目的及び必要等に応じて適宜に選択できる。
【0083】
本発明において、補強層4a、4b、4c、4dには金属繊維が含まれており、金属繊維単独、若しくは金属繊維及び有機繊維の組み合わせよりなる編組構造体が好ましく、特に金属繊維単独を用いる場合に前記本発明の効果が最も発揮される。
【0084】
これらの繊維は、例えば、好ましくはスパイラル状又はブレード状に編上げた(編成した)もので、上述の中間ゴム層3a、3b、3c、3dの外周面上に配置される。この繊維補強層に用いられる繊維や編み方は特に限定されるものではなく、適宜に用途に応じ選定することができる。また、交互に巻き付けた各繊維層の間に接着用のゴムシーツを挿入してもよい。
【0085】
また、補強層の層数は、使用時の液体の圧力、すなわち、ホースにかかる内圧等に応じて、適切に決定することが好ましい。この場合の補強層における個々の層の構成についても特に制限はないが、例えば金属ワイヤーが網目状に巻かれた構成(網目構成)が挙げられる。また、金属ワイヤーが螺旋状に巻かれた構成(螺旋構成)等とすることもできる。網目構成は主に低圧用途に使用され、螺旋構成は主に高圧用途に使用される。
【0086】
補強層に用いる金属繊維は、特に制限されないが、好ましくは、金属ワイヤー、例えば、真鍮メッキを施した硬鋼線ワイヤー;ステンレスワイヤー;亜鉛メッキを施した既知の金属ワイヤー;等を用いることが好ましい。
【0087】
そして、金属繊維の引張強さは、200N/mm2〜3200N/mm2の範囲が好ましく、2000N/mm2〜2900N/mm2の範囲がより好ましい。また、線径は0.15mm〜1.0mmの範囲が好ましく、0.2mm〜0.4mmの範囲がより好ましい。金属繊維の種類にもよるが、引張強さが200N/mm2未満であったり、線径が0.15mm未満であると、剛性が低くなってホースの折れ曲がりに対抗する力が弱くなる場合がある。一方、引張強さが3200N/mm2を超え、線径が1.0mmを越えると、ホース全体の柔軟性が相当低くなってしまう場合がある。
【0088】
前記有機繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアリレート繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、炭素系繊維等が挙げられる。本発明に用いる有機繊維として好ましいものは、150℃で30分間加熱した後の熱収縮量が、加熱前と比較して0.3%以上、好ましくは1%以上のものである。この様に熱収縮性及び耐久性等を鑑みると、特にポリエチレンテレフタレート繊維が好ましい。また必要及び目的に応じて、上記に挙げた繊維を2種以上組み合わせた混紡糸を用いてもよい。
【0089】
補強層に用いる繊維は1種のみであってもよく、また、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記に挙げた補強繊維の太さや編み上げ本数等については、使用時の圧力に応じて適宜に決定することができるが、補強性や可撓性及び耐久性等を鑑みると、反対方向に2層以上巻き付けるのが好ましい。ここで、必要に応じて補強層の外側に、押え糸を配設しても構わない。
【0090】
本発明に用いる上記補強繊維の太さとしては、560〜10000デシテックスの範囲が好ましく、1100〜5000デシテックスの範囲のものが更に好ましい。
【0091】
<外被ゴム層>
本発明の油圧ホースは、前述の耐候性、耐疲労性及び耐摩擦性に優れたホース外被用ゴム組成物よりなる外被ゴム層5を有する。これにより本発明の油圧ホースは、長期に亘って使用することが可能になる。
この外被ゴム層の厚さは、0.5〜3.0mm程度が好ましい。
【0092】
<油圧ホースの製造方法>
次に、本発明の油圧ホースの製造方法について説明する。
本発明の油圧ホースの製造は、例えば(1)弾性体マンドレルの外周面上に前記内管を押出し被覆する工程、(2)前記内管の外周面上に中間ゴム層を被覆する工程、(3)被覆された中間ゴム層の外周面上に前記補強層を巻装する工程、(4)巻装された補強層の外周面上に前記外被ゴム層を押出し被覆する工程、(5)中間ゴム層と補強層と外被ゴム層を有する未加硫ホースを加硫する工程、(6)加硫ホースからマンドレルを引抜く工程、を経ることにより行われる。
【0093】
上記製造方法において、工程(1)で用いる弾性体マンドレルとしては、例えば、芯体にスチールコードを入れ、その外周に加硫ゴム、好適にはエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合ゴム(EPDM)製の加硫ゴムを配設したマンドレルを好適に用いることができる。また、マンドレルはポリプロピレンやポリアミド等の熱可塑性樹脂を用いてもよい。該マンドレルの外径は、製造するホースの内径に合わせて適宜に選定すればよい。この様な弾性体マンドレルの外周面上に内管を押出し被覆する。尚、加硫後にマンドレルと内管の離型が困難な場合には、該マンドレルの表面にシリコーン等の離型剤を塗布することが好ましい。
【0094】
工程(2)では、上記内管上に中間ゴム層を被覆する。中間ゴム層の被覆は、管状に成形したものを積層する押し出し成形により行うことができる。
【0095】
工程(3)では、中間ゴム層の外周面上に補強層を巻装する。該補強層は、金属繊維、例えば、硬鋼線ワイヤーを、好ましくはスパイラル状、又はブレード状に編上げたもので、中間ゴム層の外周面上に配置される。この繊維補強層に用いられる繊維や編み方は限定されるものではなく、適宜に用途に応じ選定することができる。また、交互に巻き付けた各層の間に接着用のゴムシートを挿入してもよい。
【0096】
工程(4)では、上記の様に巻装された補強層の外周面上に外被ゴム層を被覆する。外被ゴム層の被覆は、管状に成形したものを積層する押し出し成形により行うことができる。
【0097】
工程(5)では、内管、中間ゴム層、補強層及び外被ゴム層を有する未加硫ホースを所要の時間加熱して加硫硬化させる。この加硫により、内管と補強層及び外皮ゴム層は完全に加硫一体化され、ホースとしての所定の形状及び所要の機械的特性が得られる。上記の加熱は、乾燥式が好ましい。
【実施例】
【0098】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0099】
なお、以下の実施例及び比較例において用いた原料は次の通りである。
<ゴム成分>
クロロプレンゴム(CR) 電気化学工業製 電化クロロプレン「M40」
スチレン−ブタジエンゴム(SBR) JSR製 「JSR1500」
ブタジエンゴム(BR) JSR製 「BR01」
シス1,4結合含量95%
高シス−ブタジエンゴム 下記製造方法に従って製造したもの
シス1,4結合含量98.43%,
ビニル結合含量0.13%,
Mw/Mn=2.3
【0100】
≪高シス−ブタジエンゴムの製造方法≫
(1)触媒の調製
乾燥及び窒素置換された容積100mLのゴム栓付きガラスビンに、順次、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度:15.2重量%)7.11g、ネオジムネオデカノエートのシクロヘキサン溶液(ネオジム濃度:0.56M)0.59mL、メチルアルミノキサン(MAO)[東ソーファインケム製PMAO]のトルエン溶液(アルミニウム濃度:3.23M)10.32mL、水素化ジイソブチルアルミニウム[関東化学製]のヘキサン溶液(0.90M)7.77mLを投入し、室温で2分間熟成した後、塩化ジエチルアルミニウム[関東化学製]のヘキサン溶液(0.95M)1.45mLを加え、室温で時折撹拌しながら15分間熟成した。こうして得られた触媒溶液中のネオジム濃度は、0.011M(mol/L)であった。
(2)高シス−ブタジエンゴムの製造
乾燥及び窒素置換された容積約1Lのゴム栓付きガラスビンに、乾燥精製された1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液及び乾燥シクロヘキサンをそれぞれ投入し、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度:5.0重量%)400gが投入された状態とし、10℃の水浴中で十分に冷却した。次に、上記のようにして調製した触媒溶液1.56mL(ネオジム換算で0.017mmol)を加え、10℃の水浴中で3.5時間重合を行った。引き続き、老化防止剤2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)のイソプロパノール溶液(NS−5濃度:5重量%)2mLを加えて反応を停止させ、更に、微量のNS−5を含むイソプロパノール溶液中で再沈澱させた後、常法にて乾燥して、ほぼ100%の収率で高シス−ブタジエンゴムを得た。
<配合剤>
カーボンブラック 東海カーボン製 「シーストF」
可塑剤 三共油化工業製 「A/O MIX」
【0101】
[実施例1〜6、比較例1〜6]
(1)ホース外被用ゴム組成物の製造
表1に示す配合量(重量部)に従って、各原料を混合しバンバリーミキサーを用いて120℃で約5分間撹拌し、均一な混合物を得た。得られた混合物をゴム圧延用ロールを用いて1mm厚に圧延し、1mm厚のスラブシートサンプルを得た。
得られた各サンプルについて耐候性、耐油性、耐摩耗性及び耐疲労性を評価した。結果を表1に示す。
【0102】
<ホース外被用ゴム組成物の評価>
≪耐候性(静的オゾン試験)≫
JIS K 6259の5に準じて測定した。
≪耐油性≫
JIS K 6301に準じて測定した。
使用オイル ASTM No.1オイル
試験温度 100℃
試験時間 72時間
≪耐摩耗性(DIN摩耗性試験)≫
JIS K 6264に準じて測定した。
≪耐疲労性試験(デマッチャ試験)≫
JIS K 7312に準じて測定した。
【0103】
【表1】

【0104】
(2) 油圧ホースの製造
上記(1)で得られた各ホース外被用ゴム組成物を用いて下記の通り油圧ホースを製造した。
【0105】
NBR系ゴム組成物を押し出すことにより内管を形成した。得られたチューブ状内管は厚さ1.6mmであった。
【0106】
次いで、得られた内管に中間ゴム層(CR系ゴム組成物)を押出被覆した(厚さ:0.3mm)。さらに中間ゴム層上に、補強層としてブラスメッキワイヤー(直径:0.60mm)を打ち込み本数95本でスパイラルに編み上げた。同様に上記中間ゴム層及び補強層を交互にそれぞれ4層積層した後、最外周の補強層上に外被ゴム層として上記(1)で得られたホース外被用ゴム組成物を押出被覆した。その後、熱風中150℃で60分間加硫を行い油圧ホースを製造した。
【0107】
得られた油圧ホースの寸法は、内径が25mm、外径が37mmであった。この油圧ホースについて耐摩耗性及び耐疲労性を評価した。結果を表2、3に示す。
【0108】
<油圧ホースの評価>
≪耐摩耗性試験≫
ISO6945に準じて測定した。
≪耐疲労性試験(揺動試験)≫
実施例1〜6、比較例1〜6で製造した油圧ホースを図2の通り、揺動試験機(サ
ム電子機械製)に取り付け、下記条件にて繰り返し揺動テストを実施し、外被ゴム
層に亀裂が生じるまでの揺動回数を測定した。
ホース内圧 17.2MPa(175kgf/cm
雰囲気温度 80℃
曲げ半径 150mm(A部の最小曲げ半径)
揺動速度 50c.p.m
揺動距離 20cm
【0109】
【表2】

【0110】
【表3】

【0111】
表1〜3より明らかな通り、本発明のホース外被用ゴム組成物及び油圧ホースは、耐候性、耐疲労性、耐摩耗性及び耐油性に優れていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の油圧ホースの実施の形態を示す斜視図である。
【図2】油圧ホースの耐疲労性を評価する揺動試験機の模式図である。
【符号の説明】
【0113】
1 油圧ホース
2 内管
3a,3b,3c,3d 中間ゴム層
4a,4b,4c,4d 補強層
5 外被ゴム層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分として少なくとも1,3−ブタジエン単量体単位を含むブタジエン系重合体と、クロロプレンゴムとを含むホース外被用ゴム組成物であって、
該1,3−ブタジエン単量体単位中のフーリエ変換赤外分光法で測定したシス−1,4結合含量が98.0%以上且つビニル結合含量が0.3%以下で、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.6〜3.5であり、
前記ゴム成分100重量部中に前記ブタジエン系重合体が20〜70重量部配合されていることを特徴とするホース外被用ゴム組成物。
【請求項2】
請求項1において、前記シス−1,4結合含量と前記ビニル結合含量とが、下記式(I):
(ビニル結合含量)≦0.25×{(シス−1,4結合含量)−97}(%)…(I)
の関係を満たすことを特徴とするホース外被用ゴム組成物。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.6〜2.7であることを特徴とするホース外被用ゴム組成物。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記ブタジエン系重合体が1,3−ブタジエン単量体単位80〜100重量%と1,3−ブタジエンと共重合可能なその他の単量体単位20〜0重量%とからなることを特徴とするホース外被用ゴム組成物。
【請求項5】
請求項4において、前記ブタジエン系重合体が1,3−ブタジエン単量体単位のみからなることを特徴とするホース外被用ゴム組成物。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記数平均分子量(Mn)が100,000〜500,000であることを特徴とするホース外被用ゴム組成物。
【請求項7】
請求項6において、前記数平均分子量(Mn)が150,000〜300,000であることを特徴とするホース外被用ゴム組成物。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項において、前記ゴム成分100重量部中に前記クロロプレンゴムが30〜60重量部配合されていることを特徴とするホース外被用ゴム組成物。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載のホース外被用ゴム組成物よりなる外被ゴム層を有する油圧ホース。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−121006(P2010−121006A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294614(P2008−294614)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】