説明

ポペット弁

【課題】小型で応答性に優れ、操作力の小さな気体制御用電磁弁を提供する。
【解決手段】ポペット弁100は、第一の端部105及び第二の端部106を有する枢動型アーマチャ127を含むアクチュエータ120を有する。枢動型アーマチャ127は、第一の端部105にて枢動する。ポペット弁100は、第一の端部105から離れて枢動型アーマチャ127と接続された張力コネクタ部材129と、張力コネクタ部材129と接続された弁ポペット135とを更に含む。枢動型アーマチャ127は、アクチュエータ120が作動されたとき、弁ポペット135を張力コネクタ部材129を介して弁オリフィス110から離れるよう持ち上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポペット弁に関する。
【背景技術】
【0002】
ポペット弁は、1つ以上の弁オリフィスと、動いて1つ又は複数の弁オリフィスと接触し且つ該弁オリフィスから離れるよう動いて弁機能を実行するポペットとを備えている。ポペット弁は、ポペットを動かすアクチュエータを含む。一般的なアクチュエータは電磁石である。電磁石アクチュエータにおいて、電流は、典型的に、コアの回りに形成されたコイルを通って流れ、これにより磁界を発生させる。磁界は、弁部材と接続されたアーマチャにて作用し、該アーマチャは、弁部材を作動位置まで押す。典型的に、ポペット弁は、磁界に抗する偏倚力を発生させるばねを含む。このため、電磁石により発生された磁界が存在しないとき、弁部材は、ばねによって動いて常開位置又は常閉位置となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ポペット弁は、幾つかの有利な効果を有する。ポペット弁は、高流量を受け入れることができる。ポペット弁は、変化する流量を受け入れることができる。ポペット弁は、水分、塵、埃等が存在するときでさえ、極めて高信頼性のシールを形成することができる。ポペット弁が提供する有利な効果のため、ポペット弁は、機械を制御し且つ、液体及び気体を含む流体を計量供給するためいったような、工業的用途にて広く採用されている。
【0004】
電磁石ポペット弁は、電気的に励起され且つ非励起状態とされ、ポペットを動かし且つ弁機能を実行する電磁石を含む。電磁石ポペット弁は迅速な応答時間を有する。電磁石は、適正に設計された場合、大きい作動力を発生させることができる。電磁石ポペット弁は、コンピュータ制御式又は遠隔制御式とすることができ、このため、工業的用途に十分適している。
【0005】
1つの増大する一般的な用途は、電磁石ポペット弁を弁アイランド(valve island)内にて使用することである。弁アイランドは、流体の流れを計量供給し且つ(又は)制御するため使用される多数の弁のグループである。望ましいことに、所望に応じて弁アイランドの個々の弁装置を追加し且つ除去することができ、また、弁の数を選び且つ変更することができる。更に、異なる型式又は異なる作動特性を有する弁を選び且つ弁アイランドに設置することができる。
【0006】
弁アイランドは、一般的な装置に又は一般的な目的のため、多数の流体の流れを提供し且つその流体の流れを制御すべく一般に使用されている。例えば、製薬業において、最終の化合物を形成し得るよう混合される化合物を計量供給すべく多数の弁を使用することができる。弁アイランドの別の用途は、バイオ技術の用途にて流体を計量供給することである。更に別の用途は、工業的設備内にて加圧された気体の吐出を制御する弁アイランドである。
【0007】
先行技術において、より小型の電磁石ポペット弁を目指す傾向がある。小型の電磁石ポペット弁は、例えば、弁アイランド内にてより高い弁装置の密度を可能にする。しかし、この小型化の短所は、小型の電磁石が発生する閉塞力は小さイ一方、小さい弁オリフィスが通す流体の量が少ないことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの実施の形態に従ってポペット弁が提供される。該ポペット弁は、第一の端部及び第二の端部を有する枢動型アーマチャを含むアクチュエータを備えている。枢動型アーマチャは、第一の端部にて枢動する。ポペット弁は、第一の端部から離れて枢動型アーマチャと接続された張力コネクタ部材と、張力コネクタ部材と接続された弁ポペットとを更に備えている。枢動型アーマチャは、アクチュエータが作動されたとき、ポペット弁を張力コネクタ部材を介して弁オリフィスから離れるよう持ち上げる。
【0009】
本発明の1つの実施の形態に従ったポペット弁が提供される。該ポペット弁は、第一の端部及び第二の端部を有する枢動型アーマチャを含むアクチュエータを備えている。枢動型アーマチャは、第一の端部にて枢動する。ポペット弁は、第一の端部から離れて枢動型アーマチャと接続された張力コネクタ部材と、張力コネクタ部材と接続された弁ポペットとを更に備えている。枢動型アーマチャは、アクチュエータが作動されたとき、弁ポペットを張力コネクタ部材を介して弁オリフィスから離れるよう持ち上げる。ポペット弁は、実質的に張力コネクタ部材に抗して弁ポペットに作用する単一の偏倚装置を更に備えている。
【0010】
本発明の1つの実施の形態に従ってポペット弁が提供される。該ポペット弁は、第一の端部及び第二の端部を有する枢動型アーマチャを含むアクチュエータを備えている。枢動型アーマチャは、第一の端部にて枢動する。ポペット弁は、第一の端部から離れて枢動型アーマチャと接続された張力コネクタ部材と、張力コネクタ部材と接続された弁ポペットとを更に備えている。枢動型アーマチャは、アクチュエータが作動されたとき、ポペット弁を張力コネクタ部材を介して弁オリフィスから離れるよう持ち上げ、張力接続部材及び弁ポペットが移動する間、アーマチャは枢動状態にて動く。
【0011】
ポペット弁の1つの実施の形態において、張力接続部材及び弁ポペットが移動する間、アーマチャは枢動状態にて動く。
ポペット弁の別の実施の形態において、張力コネクタ部材は、弁オリフィスの反対側にて弁ポペットに取付けられている。
【0012】
ポペット弁の更に別の実施の形態において、弁オリフィスは、少なくとも1つの非対称の弁オリフィスを更に含み、該少なくとも1つの非対称のオリフィスは、幅Wよりも大きい長さLを含む。
【0013】
ポペット弁の更に別の実施の形態において、弁オリフィスは、上側オリフィスと、下側オリフィスとを更に含み、弁ポペットは、アクチュエータが作動されないとき、付勢されて下側オリフィスを閉塞し、弁ポペットは、アクチュエータが作動されたとき、引っ張られて上側オリフィスを閉塞する。
【0014】
ポペット弁の更に別の実施の形態において、弁オリフィスは、張力コネクタ部材が通る上側オリフィスと、下側オリフィスとを含み、弁ポペットは、アクチュエータが作動されないとき、付勢されて下側オリフィスを閉塞し、弁ポペットは、アクチュエータが作動されたとき、引っ張られて上側オリフィスを閉塞する。
【0015】
ポペット弁の更に別の実施の形態において、ポペット弁は、実質的に張力コネクタ部材に抗して弁ポペットに作用する単一の偏倚装置を更に備えている。
ポペット弁の更に別の実施の形態において、張力コネクタ部材は、第二の端部にて枢動型アーマチャと接続される。
【0016】
ポペット弁の更に別の実施の形態において、張力コネクタ部材は、第一の端部と第二の端部との間にて枢動型アーマチャと接続されている。
ポペット弁の更に別の実施の形態において、張力コネクタ部材は、第一の端部から離れた所定の位置にて枢動型アーマチャと接続され、張力コネクタ部材内にて所定の変位力を発生させる。
【0017】
ポペット弁の更に別の実施の形態において、張力コネクタ部材は、第一の端部から離れた所定の位置にて枢動型アーマチャと接続され、張力コネクタ部材内にて所定の変位移動量を発生させる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
同一の参照番号は、全ての図面にて同一の要素を表わす。図面は必ずしも正確な縮尺通りではないことを理解すべきである。
【図1】図1は、本発明の1つの実施の形態に従ったポペット弁を示す。
【図2】図2A−2Fは、本発明の色々な実施の形態に従ったポペット弁の弁オリフィスの色々な形態を示す。
【図3】図3は、本発明の1つの実施の形態に従った多数オリフィスの配置を示す。
【図4】図4は、本発明の1つの実施の形態に従ったポペット弁の断面図である。
【図5】図5は、本発明の1つの実施の形態に従ったポペット弁の断面図である。
【図6】図6は、図5のポペット弁のBBに沿った断面図である。
【図7】図7は、本発明の1つの実施の形態に従ったポペット弁の断面図である。
【図8】図7のポペット弁のCCに沿った断面図である。
【図9】図8のポペット弁のDDに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1−図9及び以下の説明は、当該技術の当業者に対し、本発明の最良の形態を実施し且つ使用する方法を教示する特定の例を示すものである。本発明の原理を教示する目的のため、幾つかの従来の形態は簡略化し又は省略されている。これらの例から、当該技術の当業者は本発明の範囲に属する変形例が理解されよう。当該技術の当業者は、以下に説明する特徴は色々な仕方にて組み合わせ本発明の多数の変更例を形成することができることが理解されよう。その結果、本発明は、以下に説明する特定の例にのみ限定されず、特許請求の範囲及びそれらの等価物によってのみ限定される。
【0020】
図1には、本発明の1つの実施の形態に従ったポペット弁100が示されている。その他の図面と共通の構成要素は同一の参照番号で示してある。ポペット弁100は、弁本体101と、図面のポート102a、102b、102cのような流体を供給する2つ以上のポート102とを含む。流体は液体及び気体を含むことができる。
【0021】
弁本体101は、高さH、幅W及び深さDを含む実質的に平面状の形状を有する。1つの実施の形態におけるポペット弁100は、モジュラー弁を備えるよう設計され、このため、基部又は弁アイランドに固定することができ、また、同様の弁に隣接する位置に配置することができる。その結果、深さDは最小に維持されるよう設計され、このため、かかる弁100の多数を共通の基部に固定することができるようにすねことが望まれる。その結果、ポペット弁100の全体の形状及び寸法は極めて重要である。
【0022】
この設計上の配慮の1つの影響は、先行技術にて弁のオリフィス寸法が典型的に最小とされることである。その結果、先行技術の弁の全流量は、オリフィスの寸法により好ましくない影響を受けるか又は少なくても制限されることになる。
【0023】
本発明は、弁本体101内にあり且つ2つ以上のポート102と連通した少なくとも1つのオリフィス110を含む。1つの実施の形態において、該少なくとも1つのオリフィス110は、下側オリフィス110aと、上側オリフィス110bとを含む。しかし、幾つかの実施の形態において、ポペット弁100は1つのオリフィス110のみを含むようにすることができる。
【0024】
本発明の1つの実施の形態に従ったオリフィス110は、非対称とし、また、幅Wよりも大きい長さLを有することができる。幾つかの実施の形態において、オリフィスの長さL対幅Wの比は、1以上の任意の値とすることができる。その結果、オリフィス110は、先行技術の対称的なオリフィスよりも多量の流量を供給することができる。
【0025】
図面には、弁ポペット135が更に示されている。弁ポペット135は、オリフィス110内に嵌まり又は閉塞した(すなわちブロックする)位置にてオリフィス110の上方に嵌まることができる。弁ポペット135は、弁本体101内にて動いてオリフィス110a、110bの一方又は双方を実質的にブロックし又はブロック解除することができる。例えば、弁ポペット135は、オリフィス110a及び(又は)オリフィス110bに対して実質的にブロックする位置まで動き、また、オリフィス110a及び(又は)オリフィス110bから動いて離れるような形態とすることができる。
【0026】
弁ポペット135は、弁作動部材129と接続されている。弁ポペット135は、弁作動部材129により動かし且つ作動することができる。弁作動部材129は、任意の態様の作動機構に連結することができる。
【0027】
図2A−2Fには、本発明の色々な実施の形態に従ったポペット弁100の弁オリフィス110の色々な形態が示されている。オリフィス110は、下側オリフィス110a及び(又は)上側オリフィス110bの一方又はその双方を含むことができることを理解すべきである。
【0028】
図2Aには、実質的に楕円形のオリフィス110が示されている。図2Bには、角度付き端部分を含む実質的に矩形のオリフィス110が示されている。図2Cには、実質的に矩形のオリフィス110が示されている。図2Dには、鋭角な端部を含む実質的に平行な側部のオリフィス110が示されている。図2Eには、丸味を付けた端部を含む実質的に平行な側部のオリフィス110が示されている。図2Fには、丸味を付けた隅部を含む実質的に矩形のオリフィス110が示されている。これと代替的に、オリフィス110は上述したオリフィスの形状の色々な組み合わせを含み又は不規則的な形状を含むことさえもできる。更に、その他のオリフィスの形状とすることが考えられ、また、これらは本明細書及び特許請求の範囲に属するものである。
【0029】
図3には、本発明の1つの実施の形態に従った多数オリフィスの配置が示されている。この実施の形態において、オリフィスの配置は、2つ以上のオリフィス110、110´を有している。2つ以上のオリフィス110、110´は、オリフィスの長さL対オリフィスの幅Wのアスペクト比を増大させるため使用することができる。その結果、オリフィスの長さLは、単一のオリフィス110又は110´が実質的に対称であるときでさえ、オリフィスの幅Wよりも効果的に長い。
【0030】
オリフィス110、110´は、この実施の形態において、図示したように、実質的に円形とすることができる。これと代替的に、オリフィス110、110´は、図2A−2Fに示した形状を含む任意のその他の形状とすることができる。
【0031】
図4は、本発明の1つの実施の形態に従った、ポペット弁100の断面図である。図示した実施の形態において、ポペット弁100は、アクチュエータ120と、該アクチュエータ120の下方に配置された枢動型アーマチャ127とを含む。アクチュエータ120は、図示した実施の形態において、コア121及びコイル122を含む電磁石を備えており、また、枢動型アーマチャ127は、これに相応して、鉄系材料のような、磁力にて吸引される材料にて形成されている。しかし、ポペット弁100内にてその他のアクチュエータを採用することができることを理解すべきである。枢動型アーマチャ127は、第一の端部105と、第二の端部106と、第一の端部105における枢動部材128とを含む。その結果、枢動型アーマチャ127は、第一の端部105の回りにて枢動する。しかし、これと代替的に、図面の枢動位置を逆にし、また、枢動型アーマチャ127が依然として同一の機能を果たすようにしてもよいことを理解すべきである。
【0032】
枢動部材128は、枢動型アーマチャ127が枢動するのを可能にする任意の部材又は装置を備えることができる。枢動部材128は、1つの実施の形態において、ポペット弁100の弁本体101が受け入れるシャフト又は回転軸を備えている。1つの実施の形態において、枢動部材128は、枢動型アーマチャ127を実質的にコア121に対して維持する弾性的な構成要素を備えている。
【0033】
ポペット弁100は、図示した実施の形態における第一、第二及び第三のポート102a、102b、102cのような、2つ以上のポート102を更に含む。1つの実施の形態において、第二のポート102bは入口ポートである一方、第一及び第三のポート102a、102cは、ポペット弁100の作動により選ばれる出口ポートである。ポート102bは、ポペット室130と連通している。しかし、その他の形態とすることが考えられ、これらの形態も本明細書及び特許請求の範囲に属する。
【0034】
ポペット弁100は、オリフィス110を更に含む。図示した実施の形態において、ポペット弁100は、下側オリフィス110aと、上側オリフィス110bとを含む。図示した実施の形態において、下側及び上側オリフィス110a、110bは、ポペット室130と連通している。しかし、これと代替的に、ポペット弁100は、下側オリフィス110aと、2つのポート102b、102cとのみを含むようにしてもよいことを理解すべきである。上側オリフィス110b及び下側オリフィス110aの一方又はその双方は、上記に説明したように、実質的に非対称とすることができる。非対称の弁オリフィスは、幅Wよりも長い長さLを含むことができる。上側オリフィス110bは、第一のポート102aと第二のポート102bとの間にて連通する。下側オリフィス110aは、第二のポート102bと第三のポート102cとの間にて連通する。
【0035】
ポペット弁100は、ポペット室130内にて弁ポペット135を更に含む。弁ポペット135は、動いて下側オリフィス110a又は上側オリフィス110bの何れか一方を選択的にブロックすることができる。1つの実施の形態において、弁ポペット135は、アクチュエータ120が作動されないとき、付勢されて下側オリフィス110aと閉塞状態となり、また、アクチュエータ120が作動されたとき、上方に引っ張られて上側オリフィス110bと閉塞状態となる。
【0036】
弁ポペット135は、張力コネクタ部材129により枢動アーマチャ127と接続される。張力コネクタ部材129は、枢動アーマチャ127に剛性に又は枢動可能に装着される。任意の適宜な装着装置又は装着形態を採用することができる。1つの実施の形態において、張力コネクタ部材129は、枢動アーマチャ127と枢動可能に接続されている。これと代替的に、張力コネクタ部材は、張力コネクタ部材129が少なくとも部分的に可撓性であるような場合、枢動アーマチャ127と固定状態に接続されるようにしてもよい。例えば、この実施の形態において、張力コネクタ部材129は、ワイヤー又は細いストリップを備えることができる。
【0037】
張力コネクタ部材129は、例えば、枢動アーマチャ127の第二の端部106にて枢動アーマチャ127と接続することができる。これと代替的に、張力コネクタ部材129は、第一の端部105と第二の端部106との間にて枢動型アーマチャ127と接続してもよい。張力コネクタ部材129は、張力コネクタ部材129内にて所定の変位力を発生させ得るよう第一の端部105から離れた所定の位置にて接続することができる。張力コネクタ部材129は、所定の変位移動量を発生させ得るよう第一の端部105から離れた所定の位置にて接続することができる。このため、装着位置は、レバーアームの計算に従って決定することができ、張力コネクタ部材の装着位置は、必要とされる力の増倍及び(又は)必要とされる変位移動量に従って決定される。
【0038】
幾つかの異なる設計上の形態は、ポペット弁100を所定の変位力及び所定の変位移動量を有する設計とすることを許容する。張力コネクタ部材129の垂直方向位置は、枢動アーマチャ127に対して調節することができる。1つの実施の形態において、垂直方向調節は、例えば、張力コネクタ部材129を圧力嵌めすることによって実現することができる。張力コネクタ部材129のその他の調節又は継手手段が考えられ、また、これらは本明細書及び特許請求の範囲内に属するものである。更に、張力コネクタ部材129の長さは、所望に応じて変化させることができる。更に、枢動アーマチャ127は、アクチュエータ120から所定の距離Dに配置することができる。所定の距離Dは、所望に応じて変化させることができる。弁ポペット135に対する所定の変位力及び所定の変位移動量を発生させ得るよう1つ以上の設計因子を変更することができる。
【0039】
張力コネクタ部材129は、アクチュエータ120が作動されたとき、張力を受け、枢動型アーマチャ127の上方への枢動は、張力コネクタ部材129に張力を作用させることになる。更に、偏倚装置132は、張力コネクタ部材129に加わる張力に寄与することができる。このため、張力コネクタ部材129は、アクチュエータ120が作動されたとき、弁ポペット135を下側オリフィス110aから離れるよう持ち上げる。張力コネクタ部材129は何らの圧縮力も伝達しない。
【0040】
張力コネクタ部材129は、枢動アーマチャ127の枢動運動を張力としてポペット弁135に伝達することのできる任意の装置又は部材とすることができる。張力コネクタ部材129は、実質的に可撓性又は実質的に剛性であるものとすることができる。張力コネクタ部材129は、任意の適宜な材料にて形成することができる。張力コネクタ部材129は張力を伝達するから、張力コネクタ部材129は、幾つかの実施の形態において、極めて堅固又は剛性である必要はない。
【0041】
これと相違して、先行の技術において、力をアーマチャからポペット弁まで伝達するため圧縮部材が広く使用されている。かかる先行技術の圧縮部材は、圧縮力を受けたとき、撓み、曲がり又は座屈を防止するため、比較的大きく且つ堅固な構造でなければならない。先行技術の圧縮部材が少しでも変形すると、先行技術のポペット弁の移動量は少なくなり、このため、作動は適正でなく及び(又は)不完全となるであろう。
【0042】
図面から、張力コネクタ部材129は上側オリフィス110b内に位置するが、下側オリフィス110a内には位置しないことが分かる。このため、張力コネクタ部材129は、下側オリフィス110aの何らの断面積も占めることはなく、また、下側オリフィス110aを通る流体の流れを制限することはない。更に、張力コネクタ部材129の性質のため、張力コネクタ部材129が上側オリフィス110b内にて占める断面積は最小となる。
【0043】
ポペット弁100は、弁ポペット135と上側オリフィス110bとの間を伸びる偏倚装置132を更に含む。偏倚装置132は、枢動型アーマチャ127に抗して作用し、また、弁ポペット135を押して下側オリフィス110aに対して閉塞する位置にする偏倚力を提供する。アクチュエータ120は、作動されたとき、偏倚装置132に打ち勝つのに十分で且つ弁ポペット135を持ち上げるのに十分な磁力を枢動型アーマチャ127にて発生させる。偏倚装置132は、ヘリカル装置、平坦又は湾曲した装置等を含む任意の態様の偏倚装置を含むことができる。
【0044】
アクチュエータ120が作動されないとき、アクチュエータ120は何らの張力も発生させない。このため、偏倚装置132により発生された偏倚力のため、弁ポペット135は下方に付勢されて下側オリフィス110a内にて閉塞する位置となる。その結果、第一のポート102aは、第二のポート102bと連通する状態に配置され、第三のポート102cはブロックされる。
【0045】
アクチュエータ120が作動されたとき、コイル122及びコア121は、枢動型アーマチャ127に磁気吸引力を作用させる磁気回路を形成する。その結果、枢動型アーマチャ127は上方に引っ張られ、その結果、上方に向けて枢動する。これに伴う枢動型アーマチャ127の枢動は、張力コネクタ部材129に張力を作用させる一方、該張力は弁ポペット135に持ち上げ力を作用させる。持ち上げ力は偏倚装置132により提供される偏倚力に打ち勝つ。その結果、弁ポペット135は、下側オリフィス110aから上方に且つ離れるように動き、上側オリフィス110b内にて閉塞する位置となる。その結果、第三のポート102cは第二のポート102bと連通する状態に置かれ、第一のポート102aは、ブロックされる。
【0046】
図5は、本発明の1つの実施の形態に従ったポペット弁100の断面図である。張力コネクタ部材129は上側オリフィス110bを通る状態にて示されている。張力コネクタ部材129は、この実施の形態において、実質的に円形の断面である。しかし、その他の断面形状とすることが考えられ、これらの形状は、本明細書及び特許請求の範囲に属する。
【0047】
図面から、張力コネクタ部材129は小さく且つ薄いことが理解できる。張力コネクタ部材129は、弁ポペット135に圧縮力を作用させることはできないよう十分に小さいことが理解できる。張力コネクタ部材129は、可撓性又は少なくとも部分的に可撓性とすることができる。例えば、張力コネクタ部材129は、ワイヤー又はケーブルとすることができる。その結果、ポペット弁は単一の偏倚装置132のみがあればよい。更に、張力コネクタ部材129は、上側オリフィス110bにて占める断面積が最小であるようにするのに十分小さい。
【0048】
図6は、図5のポペット弁100の断面図BBである。断面図BBは、上側オリフィス110bに対する張力コネクタ部材129の寸法を示す。張力コネクタ部材129は、この実施の形態において、上記に説明したように実質的に円形の断面をしている。
【0049】
図7は、本発明の1つの実施の形態に従ったポペット弁100の断面図である。上記の場合と同様、偏倚装置132は、張力コネクタ部材129に張力を作用させ、張力コネクタ部材129は2つの張力コネクタ部材129a、129b(図示せず、図8及び図9参照)である。2つの張力コネクタ部材129a、129bは弁ポペット135の中心からずらされている。
【0050】
この実施の形態において、上側オリフィス110bは、下側オリフィス110aよりも大きい。更に、上側オリフィス110bの形状は、図示した実施の形態において、円形でない(図9参照)。
【0051】
図8は、図7のポペット弁100の断面図CCである。この実施の形態において、張力コネクタ部材129は、2つの実質的に平坦、薄いストリップ129a、129bを備えている。2つの張力コネクタ部材129a、129bは、弁ポペット135の側部により伸ばすことができる。2つの張力コネクタ部材129a、129bは、弁ポペット135を偏倚装置132に抗して上方に引っ張るのに十分な強度を有する。しかし、張力コネクタ部材129a、129bは、弁ポペット135に圧縮力を加えるのに十分な剛性は有しない。このため、2つの張力コネクタ部材129a、129bは、少なくとも部分的に可撓性とすることができる。
【0052】
図示した実施の形態において、張力コネクタ部材129a、129bは、開口142を含み、また、枢動型アーマチャ127は相応する突起144を含む。このため、張力コネクタ部材129a、129bは、枢動型アーマチャ127に枢動可能に装着される。
【0053】
図9は、図8のポペット弁100の断面図DDである。この図は、実質的に平行な2つの側部及び丸味を付けた端部を有する上側オリフィス110bを示す。
図は、また、上側オリフィス110bの一側部の開口146を通る2つの張力コネクタ部材129a、129bも示す。その結果、2つの張力コネクタ部材129a、129bは、この実施の形態において、上側オリフィス110bの何れの断面空間を占めることはない。これと代替的に、2つの張力コネクタ部材129a、129bは、上側オリフィス110bを通るようにしてもよい。
【0054】
本発明に従ったポペット弁は、所望であれば、幾つかの有利な効果を提供するよう任意の実施の形態にて採用することができる。本発明は、小型の寸法のポペット弁を提供する。本発明は、比較的小さい全体的な包装内に大きいオリフィス寸法を含むポペット弁を提供する。本発明は、オリフィスの占める面積が最小である張力コネクタ部材を提供する。本発明は、その寸法に比して大きい開弁力を有するポペット弁を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポペット弁(100)において、
第一の端部(105)及び第二の端部(106)を有し、該第一の端部(105)にて枢動する枢動型アーマチャ(127)を含むアクチュエータ(120)と、
前記第一の端部(105)から離れて前記枢動型アーマチャ(127)と接続された張力コネクタ部材(129)と、
前記張力コネクタ部材(129)と接続された弁ポペット(135)と、を備え、
前記枢動型アーマチャ(127)は、前記アクチュエータ(120)が作動されたとき、前記弁ポペット(135)を前記張力コネクタ部材(129)を介して弁オリフィス(110)から離れるよう持ち上げ、
実質的に前記張力コネクタ部材(129)に抗して前記弁ポペット(135)に作用する単一の偏倚装置(132)を備える、ポペット弁(100)。
【請求項2】
請求項1に記載のポペット弁(100)において、
前記張力コネクタ部材(129)及び前記弁ポペット(135)が移動する間、前記枢動型アーマチャ(127)は枢動状態にて動く、ポペット弁(100)。
【請求項3】
請求項1に記載のポペット弁(100)において、
前記張力コネクタ部材(129)は、前記弁オリフィス(110)の反対側にて弁ポペット(135)に取付けられる、ポペット弁(100)。
【請求項4】
請求項1に記載のポペット弁(100)において、
前記弁オリフィス(110)は、少なくとも1つの非対称の弁オリフィス(110)を更に含み、
該少なくとも1つの非対称の弁オリフィス(110)は、幅Wよりも大きい長さLを含む、ポペット弁(100)。
【請求項5】
請求項1に記載のポペット弁(100)において、
前記弁オリフィス(110)は、
上側オリフィス(110b)と、
下側オリフィス(110a)と、を更に含み、
前記弁ポペット(135)は、前記アクチュエータ(120)が作動されないとき、付勢されて前記下側オリフィス(110a)を閉塞し、前記弁ポペット(135)は、該アクチュエータ(120)が作動されたとき、引っ張られて前記上側オリフィス(110b)を閉塞する、ポペット弁(100)。
【請求項6】
請求項1に記載のポペット弁(100)において、
前記弁オリフィス(110)は、
前記張力コネクタ部材(129)が通る上側オリフィス(110b)と、
下側オリフィス(110a)と、を更に含み、
前記弁ポペット(135)は、前記アクチュエータ(120)が作動されないとき、付勢されて前記下側オリフィス(110a)を閉塞し、前記弁ポペット(135)は、該アクチュエータ(120)が作動されたとき、引っ張られて前記上側オリフィス(110b)を閉塞する、ポペット弁(100)。
【請求項7】
請求項1に記載のポペット弁(100)において、
前記張力コネクタ部材(129)は、前記第二の端部(106)にて前記枢動型アーマチャ(127)と接続される、ポペット弁(100)。
【請求項8】
請求項1に記載のポペット弁(100)において、
前記張力コネクタ部材(129)は、前記第一の端部(105)と前記第二の端部(106)との間にて前記枢動型アーマチャ(127)と接続される、ポペット弁(100)。
【請求項9】
請求項1に記載のポペット弁(100)において、
前記張力コネクタ部材(129)は、前記第一の端部(105)から離れた所定の位置にて前記枢動型アーマチャ(127)と接続されて前記張力コネクタ部材(129)内にて所定の変位力を発生させる、ポペット弁(100)。
【請求項10】
請求項1に記載のポペット弁(100)において、
前記張力コネクタ部材(129)は、前記第一の端部(105)から離れた所定の位置にて前記枢動型アーマチャ(127)と接続されて前記張力コネクタ部材(129)内にて所定の変位移動量を発生させる、ポペット弁(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−92977(P2012−92977A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−278592(P2011−278592)
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【分割の表示】特願2009−528600(P2009−528600)の分割
【原出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(509058346)フルーイッド・オートメーション・システムズ・ソシエテ・アノニム (5)
【Fターム(参考)】