説明

ポリアミド顆粒を連続的に製造するための方法

本発明は、ポリアミド顆粒を連続的に製造するための方法であって、少なくとも5barの圧力で低粘性ポリアミド溶融物を得るために少なくとも1種のラクタムおよび水を含む混合物を加水分解重合する工程と;少なくとも前記ポリアミド溶融物中に含有される水の蒸気圧に対応する圧力を維持しながら直接滴下法により前記低粘性ポリアミド溶融物を造粒する工程と、を含む方法に関する。このようにして得られた低粘性顆粒は、より高粘度を得るために過熱蒸気を用いた処理によって1段階で工程において凝縮させ、未反応モノマーおよび環状オリゴマーを抽出し、その後で乾燥させることができる。本発明は、減少した滞留時間および温度を備える丁寧な条件を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミド顆粒を連続的に製造するための方法であって:
− ポリアミド溶融物を形成するために少なくとも1種のラクタムおよび水を含む混合物を加水分解重合する工程と、および
− 前記ポリアミド溶融物を造粒する工程とを含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミドの製造は一般に公知であり、例えば非特許文献1を参照されたい。この標準的方法は、重合度が適正であり、モノマーをほとんど含有しないポリマーを得るための多数の方法の工程を含む。
【0003】
図1は、モノマーとしてカプロラクタムを使用した場合のポリアミド6についての標準方法の工程であって、以下の典型的方法パラメーターを含む方法の工程を示す:
− 上部が開口している直立型反応管(いわゆるVK管)内で、240〜270℃の温度において1もしくは2段階でカプロラクタムおよび水を加水分解重合する工程。この場合、過剰の水は蒸留して除去される。
− 1段階重合では、圧力は1.0〜1.2barの絶対圧力であり、滞留時間は18〜22時間である。
− 2段階重合では、圧力は、第1段階では2〜4barであり、第2段階では0.5〜1.2barである。滞留時間は、第1段階では3〜5時間、第2段階では6〜10時間である。第1段階では、低粘性、低分子量プレポリマーしか生成されない。適切な高分子量を備える所望の重合度は、第2段階において達成される。
− 2.3〜3.0の相対粘度(硫酸中の1重量%の溶液中で測定)を備える、得られたポリアミド溶融物を例えば1barの圧力で水中造粒により造粒する工程。
− 80〜110℃の温度、1barの圧力および16〜24時間の滞留時間で、水を用いて未反応モノマーならびに顆粒から生成された環状オリゴマーを抽出する工程。
− 例えば蒸発により抽出水を濃縮する工程、および重合する工程へ抽出物を再生利用する工程。重合への抽出物の直接再生利用、すなわち、抽出物が蒸留などのそれ以上の洗浄工程には曝されないことが特に経済的である。しかし、例えばフィルムや紡織の用途では、再生利用される抽出物の品質に特定の要件が課される場合、追加の洗浄段階が必要となる可能性がある。さらに他の製造ラインにおける追加の洗浄段階を用いる、または用いない抽出物の再使用も公知であり、既に実施されている。
− 10〜25時間の滞留時間中に100〜140℃および1barの圧力で窒素を用いて顆粒を乾燥する工程。より高温では、固相後凝縮(SSPC)は、同時に分子量を増加させながら行われるが、大多数の用途のためにはポリマーが造粒後には既に適正な分子量を有しているため、あらゆる場合に必要という訳ではない。典型的には140〜180℃の温度および12〜36時間の滞留時間で実施される固相後凝縮によって、相対粘度は通常4.7に増加する(例えば、特許文献1参照)。
− 1barの圧力で窒素を用いて、顆粒を40℃へ冷却する工程。
【0004】
一般に確立された方法では、特に加水分解重合中の長い滞留時間、またそれに起因する高温がポリマーに熱損傷を起こす可能性があることは不都合である。
【0005】
さらに回転ブレードによるポリマー溶融物の機械的切断に基づく、当分野の従来技術によって適用される造粒方法では、高額の維持費および磨耗についての費用を生じるためにさらに不都合である。それらの例としては、ストランド造粒法および水中熱間切断法がある。
【0006】
2段階でカプロラクタムの重合を行う1つの方法が特許文献2に記載されており、この場合、第1段階では5〜30barの圧力下で2〜4時間の滞留時間中に85%のカプロラクタム変換が達成される。第2段階では断熱圧力が緩和され、後重合が行われる。この段階中に、ポリマーの発泡が結果として生じることがある。後処理は熱水抽出およびそれに引き続く固相後凝縮、または例えば特許文献3からも公知であるように過熱蒸気による同時固相後凝縮を伴う抽出のいずれかによって実施される。
【0007】
特許文献4において、予備重合は密閉管型反応装置内の圧力下で、蒸気相の存在下で60分間未満の滞留時間を用いて実施される。圧力を大気圧へ緩和した後、反応生成物の揮発性成分もまた含有する蒸気相が分離される。
【0008】
特許文献5においては、ポリアミド溶融物は加圧反応装置から少なくとも3barの圧力で冷却液中へ排出され、その中で上述した水中造粒法によって造粒される。この形態の造粒は、ポリマー材料の過度に低くない、少なくとも1.6の相対粘度を必要とする。
【0009】
対照的に、低粘性を備えるポリアミドは、振動を伴う滴下法によって造粒することができる。直接滴下法は、溶融生成物から直接的、すなわち切断用もしくは衝撃用ツールを使用せずに液滴が形成される方法として認識されている。ポリエステルのためのそのような滴下法は、特許文献6および特許文献7に記載されており、Rieter Automatik社(グロースオストハイム D−63762)の滴下装置を用いて実施される。これらの滴下装置は、「DROPPO」の型名称の下で公知である。室温では液体であるポリアミド樹脂のための類似の方法が特許文献8に記載されている。
【0010】
【非特許文献1】L.Bottenbruch and R.Binsack,“Polyamides”,Carl Hanser Press, Munich,1998
【特許文献1】独国特許第19510698号
【特許文献2】国際特許公開WO95/01389A1号
【特許文献3】欧州特許第0284968B1号
【特許文献4】欧州特許第1007582B1号
【特許文献5】独国特許第10037030A1号
【特許文献6】国際特許公開WO01/81450A1号
【特許文献7】独国特許第10019508A1号
【特許文献8】独国特許第10050463A1号
【特許文献9】国際特許公開WO95/01389A1号
【特許文献10】欧州特許第0284968B1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、ポリアミド顆粒を連続的に製造するための丁寧な方法であって、比較的短い滞留時間で実施し、また比較的低い温度で進行することができる方法を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1に特徴付けられ:
− 低粘性ポリアミド溶融物を形成するために少なくとも1種のラクタムおよび水を含む混合物の加水分解重合が少なくとも5barの圧力で実施されること、
− 低粘性ポリアミド溶融物を造粒する工程は、少なくとも前記ポリアミド溶融物中に含有される水の蒸気圧に対応する圧力を維持しながら直接滴下法によって実施されること、を特徴とする方法によって達成される。
【0013】
本発明による方法では、加水分解重合中の滞留時間における標準方法と比較した実質的短縮は、この場合に加えられる少なくとも5barの圧力によって生じる。このように上昇した圧力によって、重合の出発反応としてのラクタムの開環が加速される。他方、ポリマーを形成するためのその後の反応(重縮合反応)は、上昇した圧力によって妨害される。好ましくは、加水分解重合の段階には、プレポリマーとも称する低粘性の低分子量ポリマーだけが生成される。だが造粒後に固相凝縮によって分子量を増加させて所望の数値へ調整することが可能である。
【0014】
加水分解重合中に加えられる圧力は、使用される圧力容器の強度によって上限が設けられるが、20barまで達することができよう。当分野の従来技術のように、圧力容器としてはいわゆるVK管が適切である。
【0015】
本発明による作用の態様は、加水分解重合によって加圧下で製造され、好ましくは低粘性のポリアミド溶融物を造粒することが可能であることを前提としている。上述のように、例えば水中造粒法などの造粒方法は溶融物の一定の最小粘度を前提としているが、これは本発明による方法を用いた場合には達成されない。このため従来型の造粒方法は、本発明の範囲内では使用できない。対照的に、同様に上述した滴下法は、溶融物が低粘性である場合は基本的により良好に適合する。しかし、かかる方法およびそれらのために開発された装置は、これまで周囲圧力でのみ適用または動作するものである。しかし、本発明の場合溶融物は少なくとも5barの圧力下にある。このため低粘性、低分子量溶融物として、低圧の場合より実質的に多量の水を含有している。圧力を周囲圧力まで低下させると、ポリマーの発泡という問題が結果として発生し、それが滴下法を不可能にするであろう。本発明のさらに別の特徴によれば、好ましくは低粘性のポリアミド溶融物を造粒する工程は、実際には滴下法によってではあるが、少なくともポリアミド溶融物中に含有される水の蒸気圧に対応する圧力を維持しながら実施される。これによって、発泡は有効に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の好ましい実施形態ならびにさらなる改良は、従属請求項において特徴付けられる。
【0017】
滴下において少なくとも必要とされるポリアミド溶融物中に含有される水の蒸気圧に対応する圧力は、動作温度に依存する。実際には、圧力は3barを下回ってはならない。さらに圧力は、その下で加水分解重合が実施される圧力より2bar以上低くてはならない。慎重を期すため、必要とされる最小圧力よりも高い圧力を選択しなければならず、場合によっては加水分解重合が実施される圧力よりいっそう高い圧力に設定しなければならない。
【0018】
ラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタムおよび/またはラウリンラクタムを使用できよう。
【0019】
少なくとも1種のラクタムおよび水を含む混合物は、有益にはさらにポリアミド形成成分、特にジカルボン酸、例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸もしくはイソフタル酸、ならびにジアミン、例えばヘキサメチレンジアミン、デカンジアミン、ドデカンジアミンもしくはm−キシレンジアミンをさらに含有してもよい。
【0020】
好ましくは、混合物は、さらに鎖調節剤、例えばモノカルボン酸もしくはジカルボン酸を含有している。
【0021】
重合する工程に供給されるラクタム/水の混合物の含水量は、少なくとも重合条件のための飽和圧に、例えば240℃の温度で>10%のカプロラクタムの場合には15barの圧力に対応しなければならない。
【0022】
カプロラクタムの場合に、>5barの圧力下での加水分解重合のための滞留時間は、0.5〜5時間、特に1〜3時間で十分である。
【0023】
カプロラクタムの加水分解重合は、200〜250℃の温度で実施できる。温度があらゆる場合に240℃を超える上述した標準方法の加水分解重合と比較して、本発明による方法のこの段階では、より低い温度が可能である。
【0024】
ポリアミド溶融物は、加水分解重合によって0.2〜2.0Pa・s、特に0.5〜1.5Pa・sの溶融粘度を得られれば十分である。これは、PA6の場合には、1.3〜1.5の相対粘度に一致する。
【0025】
加水分解重合は、過剰圧のために適切な管型反応装置、例えばいわゆるVK管内では1段階のみで効率的に実施できる。
【0026】
上述の滴下法から公知であるように、滴下装置内での滴下法そのものは、ガス雰囲気下の振動の作用下で実施することができる。ガスとしては、例えば窒素が適切である。公知の滴下法では、溶融物はノズルまたは注入ヘッドを通して加圧され、振動するように刺激される。滴下法によって基本的に球状の溶融物液滴の形態で得られる顆粒は、次に、公知の滴下法を用いた場合と同様に、ガス雰囲気内でのある落下距離の落下後に冷却液で収集することができる。落下距離は、溶融物液滴が少なくとも部分的に固化するために十分な時間を有するように、十分に長く設定する必要がある。冷却液としては、特に水、カプロラクタムまたはその両方の混合物が適合する。公知の滴下法とは対照的に、少なくとも3barの圧力を維持しなければならないが、そのためには滴下法のためにも特殊な圧力容器を利用する。
【0027】
好ましくは、顆粒は滴下する工程の加圧領域から少なくとも部分的な圧力緩和下で冷却液とともに排出され、その後に冷却液から分離される。冷却液の分離は、遠心分離機、ふるい、または液体サイクロンによって実施できる。
【0028】
いかなる公知の用途のためにも、顆粒の粘度または分子量をさらに増加させることが必要である。これは、それ自体は高粘度範囲を得るための固相後凝縮として公知であるように、固相凝縮を用いた後処理によって可能である。
【0029】
かかる後処理によって、PA6の相対粘度は好ましくは2.4〜4.2の数値へ増加させられる。
【0030】
低粘性PA6の後処理は、他の出発粘度について特許文献9もしくは特許文献10から既知のように、さらに好ましくは140〜180℃の温度で過熱蒸気を用いて実施される。加えて、蒸気自体が170〜210℃の温度を有するであろう。
【0031】
例えば温度が240℃を超える上述した標準方法の加水分解重合の第2段階と比較して、後処理段階中の顆粒の温度は顆粒の融点より低く、従ってPA6の場合にはいずれにせよ実質的に220℃より低い。
【0032】
過熱蒸気を用いたPA6の後処理によって、特許文献9または特許文献10から同様に公知であるように、分子量の増加とは別に、極めて有益には、顆粒からの未処理モノマーおよびさらに環状ダイマーの抽出が同時に行われる。そのため、これらの成分の含量は0.1〜1.0重量%の数値にまで低減することができる。さらに顆粒中の含水量は、引き続いて実行される乾燥のために本書冒頭に記載した標準方法の場合よりもかなり少ない経費しか必要としない数値に減少させられる(例えば:標準方法では10〜12%、本発明による方法では0.4〜1%のHO)。顆粒の後処理は、本発明による方法の範囲内では過熱蒸気に対して向流にある抽出装置内で実施できる。
【0033】
同時に固相凝縮、抽出および乾燥を行う本発明によるPA6の後処理のためには、便宜的には5〜50時間の滞留時間が選択される。本発明による方法については、加水分解重合中の滞留時間とともに、本書冒頭で言及した標準方法の場合における少なくとも60時間の総滞留時間に比較すると、生じるのはわずか25〜54時間という総滞留時間である。
【0034】
好ましくは、後処理中に放出されるモノマーが負荷された蒸気からモノマーが回収され、重合段階、すなわち例えば上述の管型反応装置内へ再循環させられる。この未変換カプロラクタムを分離する方式によって特別な利点が得られる:従来型の熱水抽出を行った場合は、ラクタムは液状で分離されるが、蒸気を用いた抽出の場合、これはガス状で行われる。この抽出は、追加の装置費用を必要とせずに再使用可能な抽出物のための洗浄工程を含んでいる。そこで、熱水抽出の場合には、例えばつや消し剤などの無機添加物の水溶性成分がともに抽出され、重合および抽出において時間の経過に伴って濃縮されることが公知である。この副産物の濃縮は、特に本来の添加物の不適正な分散特性および製造を実施する装置部分上への望ましくない被膜形状で出現する問題を引き起こす。蒸気相への抽出は、このような望ましくない作用を防止する。
【0035】
上述した冷却液へカプロラクタムを添加すると、滴下装置内で環状ダイマーの所定の予備抽出を既に達成できる。これは、過剰に高含量の環状ダイマーが後処理において妨害的に作用する場合において利点を有する。
【0036】
後処理から生じる顆粒は、さらに好ましくは窒素を用いて、例えばサイロ内でさらに40〜50℃の温度まで冷却される。このための滞留時間は4〜6時間で十分である。窒素によって顆粒は後乾燥させられ、残留している水蒸気は、さらに顆粒層の空洞から除去される。これにより0.04〜0.06重量%の残留含水量を達成できる。
【0037】
(図2および図3の説明)
図2によると、以下の通りの典型的な方法パラメーターを用いた後処理する工程および冷却する工程を含む、モノマーとしてカプロラクタムを使用するポリアミド6のための本発明による方法の工程は、以下の通りである:
− 1〜3時間の滞留時間中に5〜25barの圧力下で200〜260℃の温度において、カプロラクタムおよび水を1段階で加水分解重合する工程。低分子量、低粘性プレポリマーが製造される。
− 得られたポリアミド溶融物を3〜25barの圧力下における直接滴下法によって造粒する工程。
− 組み合わせた固相凝縮する工程、未反応モノマーおよび顆粒から生じた環状ダイマーを抽出する工程、ならびに20〜45時間の滞留時間中に1barの圧力下において160〜190℃の過熱蒸気を用いて顆粒を乾燥させる工程。
− 1barの圧力および4〜6時間の滞留時間で窒素を用いて顆粒を40℃へ冷却する工程。
【0038】
図3には同一の方法を示してあるが、その場合はさらに管型反応装置内で、モノマーおよび場合によってはその他のポリアミド形成物質の回収および再生利用も実施される。
【実施例1】
【0039】
管束熱交換器を用いて、85%のカプロラクタムおよび15%の水からなる30kg/時の混合物を150℃に加熱し、管型反応装置(VK管)内に供給した。管型反応装置では、温度を242℃および圧力を6.8barに設定した。そこから、約2.5時間の滞留時間中に、硫酸中で測定された1.3の相対粘度、および0.5Pa・sの溶融粘度を備えるポリアミド溶融物を生成した。
【0040】
低粘性ポリアミド溶融物は、10barの圧力が優勢である容器内に歯車ポンプによって供給され、窒素雰囲気下で振動させながら滴下させ、顆粒へ凝固させた。顆粒は、容器の下方部分の水中で収集され、65℃へ冷却された。顆粒/水混合物は、容器から取り出され、容量ポンプによって遠心分離機内へ配量され、その中で顆粒を液体から分離された。水力輸送によって、遠心分離機までの圧力は3barまで低下させた。遠心分離後は、1barの圧力が行き渡った。
【0041】
顆粒は、遠心分離機から抽出装置内へ供給された。抽出装置内では顆粒は190℃の温度下で88kg/時の過熱蒸気へ向流で誘導され、170℃の温度に設定された。抽出装置内の顆粒の滞留時間は約32時間であった。固相凝縮によって、顆粒の相対粘度は2.8に上昇した。同時に、顆粒中のカプロラクタムの含量は7.9から0.2%重量%に減少し、環状ダイマーの含量は0.5から0.05重量%に減少した。含水量は0.3重量%に低下した。
【0042】
顆粒は、抽出装置からロータリーフィーダーを経由してサイロに達し、窒素への向流中で50℃に冷却された。これにより含水量の0.05重量%への低下が生じた。
【実施例2】
【0043】
(否定的な例)
実施例1は繰り返されたが、滴下装置では圧力は3barに設定された。ポリマーは泡の塊を形成し、造粒することはできなかった。
【実施例3】
【0044】
(否定的な例)
実施例1は繰り返されたが、抽出装置の調整は変更された。供給された蒸気は、160℃の温度を有しており、顆粒は140℃に加熱された。抽出後、顆粒中のカプロラクタムの残留含量は0.6重量%であり、環状ダイマーの含量は0.1重量%であった。含水量は、1.2重量%の数値に達した。これらの数値を用いると、ポリアミド顆粒は、その後の加工処理(成形製品、フィルム、繊維もしくはフィラメントの製造)に関する通常の要件を満たすことができなかった。
【実施例4】
【0045】
実施例1は繰り返されたが、水の代わりに、水中に30重量%のカプロラクタムを含む溶液が滴下法における冷却液として使用された。その結果、顆粒中の環状ダイマーの含量を抽出後には0.02重量%に減少させることができた。抽出後の顆粒のカプロラクタム含量は0.3重量%であり、含水量は0.3重量%であった。さらに冷却サイロの流出口での含水量は0.04重量%に過ぎなかった。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】モノマーとしてカプロラクタムを使用する、ポリアミド6のための上述の標準方法の工程を示す図である。
【図2】モノマーとしてカプロラクタムを使用する、ポリアミド6のための本発明による方法の工程を示す図である。
【図3】モノマーの追加の回収および管型反応装置内への再循環を行う、ポリアミド6のための本発明による方法の工程を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド顆粒を連続的に製造するための方法であって:
− ポリアミド溶融物を形成するために少なくとも1種のラクタムおよび水を含む混合物の加水分解重合する工程と、
− 前記ポリアミド溶融物を造粒する工程と、を含み、
− 低粘性ポリアミド溶融物を形成するために前記混合物を加水分解重合する工程は、少なくとも5barの圧力下で実施されること、および
− 前記低粘性ポリアミド溶融物を造粒する工程は、少なくとも前記ポリアミド溶融物中に含有される水の蒸気圧に対応する圧力を維持しながら直接滴下法によって実施されること、
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記滴下法は少なくとも3barの圧力で実施されること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記滴下法は、加水分解重合が実施される圧力より2bar以内の低さの圧力で実施されること、を特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ラクタムとしてカプロラクタムおよび/またはラウリンラクタムが使用されること、を特徴とする請求項1から3の一項に記載の方法。
【請求項5】
前記混合物は、さらにポリアミド形成成分、特にジカルボン酸、例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸もしくはイソフタル酸、ならびにジアミン、例えばヘキサメチレンジアミン、デカンジアミン、ドデカンジアミンもしくはm−キシレンジアミンをさらに含有すること、を特徴とする請求項1から4の一項に記載の方法。
【請求項6】
前記混合物は、さらに鎖調節剤、特にモノカルボン酸もしくはジカルボン酸を含有すること、を特徴とする請求項1から5の一項に記載の方法。
【請求項7】
前記供給される混合物の含水量は、少なくとも重合温度での飽和圧に対応すること、を特徴とする請求項1から6の一項に記載の方法。
【請求項8】
モノマーとしてカプロラクタムが使用される前記加水分解重合する工程は、0.5〜5時間、特に1〜3時間の滞留時間中に実施されること、を特徴とする請求項1から7の一項に記載の方法。
【請求項9】
モノマーとしてカプロラクタムが使用される前記加水分解重合する工程は、200〜250℃の温度で実施されること、を特徴とする請求項1から8の一項に記載の方法。
【請求項10】
前記低粘性ポリアミド溶融物は、0.2〜2.0Pa・s、特に0.5〜1.5Pa・sの溶融粘度を有すること、を特徴とする請求項1から9の一項に記載の方法。
【請求項11】
前記加水分解重合する工程は、管型反応装置内で1段階のみで実施されること、を特徴とする請求項1から10の一項に記載の方法。
【請求項12】
前記滴下法はガス雰囲気中の振動の作用下で実施されること、を特徴とする請求項1から11の一項に記載の方法。
【請求項13】
前記滴下法によって得られた顆粒は、ガス雰囲気中である落下距離を落下した後で、冷却液中、特に水、カプロラクタムもしくは水およびカプロラクタムの混合物中において溶融物液滴の形態で得られること、を特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記顆粒は、前記冷却液とともに前記滴下法の圧力領域から放出され、その後に前記冷却液から分離されること、を特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記顆粒は、その相対粘度もしくはその分子量を増加させるために固相凝縮および/または非変換モノマーおよびさらに環状オリゴマーの抽出および/または乾燥を行うその後の処理に供給されること、を特徴とする請求項1から14の一項に記載の方法。
【請求項16】
前記顆粒の相対粘度は、固相凝縮によって、PA6顆粒の場合には少なくとも2.4の数値となること、を特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記顆粒は、PA6顆粒の場合には170〜210℃の蒸気温度の過熱蒸気で後処理されること、を特徴とする請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記後処理は、PA6顆粒の場合には5〜50時間の滞留時間中に実施されること、を特徴とする請求項15から17の一項に記載の方法。
【請求項19】
前記顆粒の後処理は、抽出装置内で前記過熱蒸気への向流中で実施されること、を特徴とする請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記後処理された顆粒は窒素を用いて40〜50℃の温度へ冷却されること、を特徴とする請求項15から19の一項に記載の方法。
【請求項21】
前記後処理された顆粒を冷却する工程はサイロ内で窒素への向流中で実施されること、を特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記抽出物または前記抽出物が負荷された水蒸気は、重合反応装置内の同一または別の製造ラインに誘導されること、を特徴とする請求項17から19の一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−535468(P2009−535468A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508220(P2009−508220)
【出願日】平成19年5月4日(2007.5.4)
【国際出願番号】PCT/EP2007/003960
【国際公開番号】WO2007/128521
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(508275113)ウーデ インベンタ−フィッシャー アーゲー (2)
【Fターム(参考)】